(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】チューブクランプおよびチューブクランプを具備する容積ポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 39/28 20060101AFI20230327BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
A61M39/28 110
A61M5/142
(21)【出願番号】P 2018179820
(22)【出願日】2018-09-26
【審査請求日】2021-09-09
(31)【優先権主張番号】10 2017 122 647.8
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】595141166
【氏名又は名称】ベー.ブラウン メルズンゲン アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】マティアス クラマー
(72)【発明者】
【氏名】ザラ ヤコプスケッター
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン シュテガー
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート フライガング
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン シュレードル
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン バッツドルフ
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102013014217(DE,A1)
【文献】英国特許出願公開第02439325(GB,A)
【文献】特表2014-530076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/28
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル医療用チューブを締め付ける医療用チューブクランプであって、
前記医療用チューブを収容するように適合されているチューブ収容領域と、
第二の締付けジョーを含む第二の締付け部に対して移動可能である第一の締付けジョーを含
み、前記第一の締付けジョーおよび前記第二の締付けジョーは壁状の締付け縁部の形をしている第一の締付け部と、
クロージャシステムがロックされていない場合、前記医療用チューブを前記医療用チューブクランプに挿入できるように、および前記医療用チューブクランプから取り外すことができるように、
開スナップフィット位置では、前記挿入された医療用チューブを取り外すことができず、および該医療用チューブは締め付けられず、および締付けスナップフィット位置では、前記医療用チューブは、前記第一の締付けジョーと前記第二の締付けジョーとの間で締め付けられるように、互いに対して一つ以上のスナップフィット位置で、前記二つの締付け部(4a、4b)を安全に配置するクロージャシステムと、を備える医療用チューブクランプであって、
前記第一の締付けジョーは、接続部材を介して、前記第一の締付け部に対して弾力的に移動可能であるように構成され、および/または前記第二の締付けジョーは、接続部材を介して、前記第二の締付け部に対して弾力的に移動可能であるように構成されることを特徴とする医療用チューブクランプ。
【請求項2】
前記締付けスナップフィット位置において、前記第一の締付け部は、前記クロージャシステムによって、前記第二の締付け部に対して堅固に配置され、前記第一の締付けジョーおよび/または前記第二の締付けジョーは、実質的に前記締付け圧力方向のみにおいて、弾力的に移動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の医療用チューブクランプ。
【請求項3】
前記医療用チューブクランプは、前記第一の締付け部が、それによって、前記医療用チューブクランプを挟持式の方法で開閉できるように、旋回軸周りで前記第二の締付け部に対して旋回するヒンジを含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の医療用チューブクランプ。
【請求項4】
前記医療用チューブクランプは、前記第二の締付け部が
、一つのみの並進自由度を有し、および前記第一の締付け部に向かう方向において移動可能であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の医療用チューブクランプ。
【請求項5】
前記クロージャシステムは、スナップフィットクロージャシステムの形態であることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の医療用チューブクランプ。
【請求項6】
前記第一の締付け部および/または前記第二の締付け部は、前記それぞれの締付けジョーの領域において、少なくとも一つの凹部を含み、それによって、接続部材を
プレート状ベース内に形成させるプレート状ベースを有
し、
前記第一の締付けジョーの少なくとも1つが、前記第一の締付け部の第1プレート状ベースに対して弾性的に移動できるように構成され、
前記第1プレート状ベースは、前記第一の締付けジョーに隣接するエリアに少なくとも1つの凹部があり、これにより、第1接続部材が前記第1プレート状ベースに形成され、および/または
第二の締付けジョーは、第二の締付け部の第2プレート状ベースに対して弾性的に移動できるように構成され、
前記第2プレート状ベースは、第二の締付けジョーに隣接する領域に少なくとも一つの凹部を有し、それによって第2接続部材が前記第2プレート状ベースに形成されることを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の医療用チューブクランプ。
【請求項7】
前記締付けジョーは、長手方向のクランプ方向(L)を有する締付け縁部の形態であり、前記第一および/または第二の締付け部は、その長手方向が、前記長手方向のクランプ方向に対して横方向に位置している二つのスロット穴を有し、および前記スロット穴は、前記それぞれの締付け縁部に直接当接していることを特徴とする、請求項6に記載の医療用チューブクランプ。
【請求項8】
前記第一の締付け部、前記接続部材および前記第一の締付けジョーは、一つの材料から成る部材であり、および/または前記第二の締付け部、前記接続部材および前記第二の締付けジョーは、一つの材料から成る部材であることを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載の医療用チューブクランプ。
【請求項9】
前記接続部材は、弾性材料、ばねまたは付勢機構であることを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の医療用チューブクランプ。
【請求項10】
前記ヒンジはフィルムヒンジであることを特徴とする、請求項3に記載の医療用チューブクランプ。
【請求項11】
前記凹部はスロット穴の形態であることを特徴とする、請求項6に記載の医療用チューブクランプ。
【請求項12】
ハウジングを具備する、フレキシブル医療用チューブを介して流体媒質を送出するための容積型ポンプであって、請求項1~11の何れか一項に記載の医療用チューブクランプが、前記医療用チューブを締め付けるために前記ハウジング上に固定されることを特徴とする容積型ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用チューブクランプ、特に、(密封して)クランプするための、および換言すると、フレキシブル医療用チューブ、特に、輸液ポンプ専用の点滴チューブを締め付けるための点滴チューブクランプに関し、該チューブクランプは、該医療用チューブを収容するように適合されたチューブ収容領域と、第二の締付けジョーを含む第二の締付け部(下方シェル)に対して可動になっている第一の締付けジョーを含む第一の締付け部(上方シェル)と、該二つの締付け部の非ロック挿入位置において、該医療用チューブ、換言すると、そのチューブ部分を(一方のチューブ端で必要な何らかのさらなる変更を伴うことなく、例えば、開口を介して該チューブを押すための活性薬剤リザーバからの前の断絶を伴うことなく)、その該チューブ収容領域において該チューブクランプに挿入できるように、および該チューブクランプから取り外すことができるように、(ロックした)開スナップフィット位置において、該挿入された医療用チューブを取り外すことできないように、および締め付けられないように、および(ロックした)締付けスナップフィット位置において、該第一の締付けジョーと該第二の締付けジョーとの間で、該医療用チューブが(密封して)挟まれ(締付けられ)/押し潰され/クランプされるように、二つの締付け部を、互いに一つ以上のスナップフィット位置に安全に位置決めするクロージャシステムとを具備する。さらに、本発明は、独立項のプリアンブルによる容積ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
最新技術
最新技術からは、さまざまなチューブクランプおよび点滴チューブポンプが既知である。通常、外部からフレキシブルチューブ(使い捨て物品)の容積を変位させ、それによって、該チューブの内部に案内された媒質とポンプ類似物との汚染を避ける容積型ポンプがある。輸液技術の分野では、患者と活性薬剤リザーバの接続を確立するチューブが、別様で、制御されていない量の活性薬剤が、いわゆる「フリーフロー状況」で該患者に送り込まれる可能性があるため、該流量がチェックされることなく、決して開口してはならないということが内在的に重要である。そのため、上述したポンプでは、例えば、該ポンプが、該使い捨て物品を交換するために開かれる場合、該使い捨て物品を通るフローを妨げることが必要である。この目的のために、通常は、該ポンプを開く前に、安全クランプ/チューブクランプ/点滴チューブクランプ、例えば、ローラークランプを手で閉じることが(例えば、該輸液ポンプのディスプレイ上の信号出力を介して)該ユーザに指示される。該ユーザが、該安全クランプを閉じるのを忘れたか、または、該安全クランプを正しく閉じない場合には、該患者を危険にさらすフリーフロー状況が生じることになる。
【0003】
例えば、欧州特許第2583716(B1)号明細書(特許文献1)により、輸液ポンプへの挿入用の一般的な点滴チューブクランプ/チューブクランプ/クランプが公知である。前記クランプは、輸液ポンプ収容領域、ならびに点滴チューブを押し潰すための第一の締付け脚部および第二の締付け脚部を含み、該二つの締付け脚部は、第一の点滴チューブクランプの端部において、互いに旋回可能に接続されている。該二つの締付け脚部は、スナップフィットユニット/スナップフィットクロージャシステムを介して、互いに対して一つ以上の位置に安全に配置することができる。
【0004】
最新技術においては、該クランプが閉じられるときに問題が生じる。旋回の増大に伴う、連続的に増加する押圧力により、換言すると、該チューブを押し潰すために、互いに向かって該二つの締付け脚部を閉じることは、高頻度の強い力および張力ピークが生じる。特に、この因果関係は、該医療用チューブは、常に、厳密に同一になるように、または、異なる幾何学的寸法を有する異なるチューブになるように構成されているとは限らず、また、弾性係数を該チューブクランプに利用できるという事実によるものである。また、一定の厳密に同一の公差で、該チューブクランプを製造することは困難であり、かつコストがかかる。一方で、前記力のピークは、該チューブクランプを閉じるために、操作職員の大変な努力を必要とし、さらに、該スナップフィットクロージャシステムは、好ましくないケースでは、完全にスナップ嵌合せず、および危険な「フリーフロー状況」が不注意で生じる可能性があるため、気付かずに再び緩む可能性があるので、高い安全性リスクの要素となる。くわえて、旋回式ドアを介して該チューブクランプを自動的に閉じ、そのことが、該クロージャシステムの安全なスナップフィットの光学的または音響的なチェックをさらに妨げるチューブクランプを有する輸液ポンプがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、最新技術の欠点を回避するか、または、少なくとも和らげることであり、およびチューブクランプならびに容積ポンプの操作の安全性の向上を可能にするための方法および手段を提供することである。本発明の好適な目標は、チューブクランプおよび容積ポンプにおける、フレキシブル医療用チューブの挿入および締付けを、より安全にかつより容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的および目標は、該第一の締付けジョーが、接続部材を介して、該第一の締付け部に対して弾力的/弾性的に移動可能であるように形成され/構成され、および/または該第二の締付けジョーが、接続部材を介して、該第二の締付け部に対して弾力的/弾性的に移動可能であるように構成されるという特徴により、一般的なチューブクランプに関する本発明によって実現される。換言すると、該医療用チューブクランプは、該第一の締付けジョーが、接続部材を介して、該第一の締付け部に対して弾力的/弾性的に移動可能であり、および/または該第二の締付けジョーが、接続部材を介して、該第二の締付け部に対して弾力的/弾性的に移動可能であるように構成される。
【0008】
基本的には、本発明は、(一部が)結合されていない、換言すると、該接続部材を介して、該締付け部と該締付けジョーとの間で、弾力的/弾性的に移動可能なカップリングを提供する。該チューブクランプの構造的デザインは、力の流束の場合に、該第一の締付けジョーと該第二の締付けジョーとの間で直列に接続されている、該少なくとも一つの接続部材を実現するのを補助する。このようにして、該力の流束の全体的な考慮により、該二つの締付けジョーの間で弾力性を調節することができ、それに対して、該二つの締付け部は、それらに関して考慮した場合、堅くなるように、および主に該クロージャシステムとともに、互いの安全な位置決めのために作用するように構成される。該チューブクランプのこのような構造的デザインは、特に力のピークを吸収するように、および該二つの締付け部を互いに安全に固定するのを補助する。該位置決めの、換言すると、該締付けスナップフィット位置の不注意な開放の危険性は大幅に抑えられる。
【0009】
本発明による該チューブクランプは、該締付けジョーと該締付け部の該(部分的な)非結合、換言すると、弾力的結合、すなわち、(該二つの締付け部および該クロージャシステムを含む)該閉塞機構と、該締付け機構(締付けジョー)の該(部分的な)非結合により、該チューブクランプが、完全に固定されること、換言すると、該挿入された医療用チューブと該締付け機構のよりいっそうの独立性によって、より安全かつ容易に該締付けスナップフィット位置に至らせることを容易にする。
【0010】
有利な実施形態は、該サブクレームにおいてクレームされており、および以下で説明する。
【0011】
好ましくは、該締付けスナップフィット位置において、該第一の締付け部は、該クロージャシステムにより、該第二の締付け部と向かい合って固定され/静止するように/弾力性がないように配置することができ、特に、該二つの締付け部は、対応する材料による(例えば、厚い壁による、低弾性係数と組み合わさった導入ブレースまたはプロファイルによる)幾何学的デザインにより、比較的堅く/非弾力的であり、また、該第一の締付けジョーおよび/または該第二の締付けジョーは、実質的に、締付け圧力方向(該締付けジョーの該力が、該締付けスナップフィット位置における該挿入されたチューブに作用する方向)においてのみ弾力的に移動可能である。該締付け圧力方向でのみ該締付け部に向かい合った該締付けジョーの該弾力的な移動性(並進自由度)は、締付け中に張力ピークを吸収するのを補助し、それに対して、該締付けジョーの該締付け部に対する別の(意図された)剛性接続が維持される。
【0012】
好適な態様によれば、該チューブクランプの該二つの締付け部は、互いに旋回するように設計することができる。特に、該チューブクランプは、ヒンジ、特に好適にはフィルムヒンジを含み、該ヒンジにより、該第一の締付け部は、該医療用チューブクランプを、挟持型/顎状の方法で開閉することができるように、該第二の締付け部に対して旋回軸周りに旋回する。例えば、該クロージャシステムは、該ヒンジと反対側に配置することができる。有利には、該それぞれの締付け部の該各締付けジョーは、該クロージャシステムと該旋回軸、換言すると、該ヒンジとの間に配置される。
【0013】
本発明の別の態様によれば、該チューブクランプは、該ヒンジの代わりに、該第二の締付け部が、それによって並進自由度のみを有し、および該第一の締付け部の該方向に移動可能である機構を含んでもよい。該二つの締付け部の互いに向かうまたは当たる前記並進動作は、該旋回運動は別として、さらに代替的な実施形態である。
【0014】
有利な展開によれば、該クロージャシステムは、(非ロック挿入位置の他に、二つのスナップフィット位置を有する)スナップフィットクロージャシステム/スナップフィットの形態であってもよい。このようなスナップフィットクロージャシステムは、該チューブクランプの開スナップフィット位置および締付けスナップフィット位置の該二つのスナップフィット位置を容易かつ安全に実現することを可能にする。このようなスナップフィットクロージャシステムは、欧州特許第2583716(B1)号明細書により公知であり、およびその開示は、完全に組み込まれるものとし、および本出願の一部とする。
【0015】
好ましくは、該第一の締付けジョーおよび/または該第二の締付けジョーは、(直線状の幾何学形状を有する)締付け縁部の形態であってもよく、該形態の該長手方向軸(該長手方向のクランプ軸/該長手方向のクランプ方向)は、該挿入された医療用チューブの該長手方向軸(該長手方向のチューブ軸)に対して横方向に延びている。このような締付け縁部/締付けブレード/締付けウェッジは、該医療用チューブにダメージを与えることなく、最適に封止する方法で該医療用チューブを締め付けるように適合される。
【0016】
好適な実施形態によれば、該第一の締付け部および/または該第二の締付け部は、好ましくは、該各締付けジョーに直接的に当接する該領域に、特に長穴の形態の少なくとも一つの凹部を有し、それによって、該ベース内に接続部材を形成するプレート状ベースを有していてもよい。したがって、該凹部に明確に導入することにより、すぐにでも該接続部材を該締付け部に一体的に組み込むことができる。
【0017】
好適には、該締付けジョーは、該長手方向のクランプ方向および該第一の締付け部を有する締付け縁部であってもよく、および/または該第二の締付け部は、その(該長穴の)長手方向が、該長手方向のクランプ方向に対して横方向である二つの長穴を含んでもよく、および各長穴は、好ましくは直接、該各締付け縁部に当接している。該長穴のこの構成は、(該締付けジョーとしての)該締付け縁部を、二つの側部の該締付け部から切り離し、または引き離し、それに対して、該締付け縁部の該残りの二つの側部は、該締付け部に接続されたままである。前記二つの残りの接続領域/接続箇所は、該各締付けジョー(の各々)を、その締付け部に対して弾力的に移動可能にする該二つの接続部材を構成している。具体的には、該弾力性は、該接続部材の該厚さを規定することによって調節することができる。
【0018】
該第一の締付け部、該接続部材および該第一の締付けジョーが、一つの材料で形成されている(一つの材料から成る部材である)場合、および/または該第二の締付け部、該接続部材および該第二の締付けジョーが、一つの材料である(一つの材料から成る部材である)場合が有利である。特に好適には、該ヒンジを含む該医療用チューブクランプ全体は、一つの材料で形成されている(一つの材料から成る部材である)。特に好適には、該チューブクランプは、合成材料で形成してもよく、およびさらに好適には、該接続部材および該ヒンジがともに一体的に組み込まれている、換言すると、チューブクランプの壁面の特定材料の凹部によって形成されている一つの材料から形成された(熱可塑性の)射出成型部として構成してもよい。
【0019】
好ましくは、該接続部材は、弾性材料、ばねまたは付勢機構とすることができる。前記三つの異なる要素/実施形態において、所望の弾力性は、異なる方法、すなわち、特定の弾性係数を定義することにより、特定のばね定数を選択/特定のばね定数に変更することにより、または、該要件に適合する該付勢機構の予圧を選定することによって決定することができる。
【0020】
本発明の別の独立項による態様は、ハウジングを具備する、フレキシブル医療用チューブを介して媒質を送出するための一般的な容積ポンプ、特に輸液ポンプに関し、この場合、本発明によれば、本発明による医療用チューブクランプは、好ましくは、該医療用チューブを密封して挟む(締め付ける)ための該ハウジングに着脱可能に取り付けられる。本発明による医療用チューブクランプを用いることにより、該容積ポンプに関するより安全でより容易な方法を実現することができる。
【0021】
以後、本発明を、該添付図面を参照して、好適な実施形態例によって説明するものとする。該図面は、単なる概要であり、および本発明の該理解のために排他的な役割がある。類似の要素には、類似の参照数字が与えられている。該さまざまな実施形態例の形状構成は、互いに入れ替えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】挿入された医療用チューブを具備する、第一の好適な実施形態の本発明によるチューブクランプを示す斜視図であり、該チューブクランプは、第一の実施形態の本発明による容積ポンプに挿入されている。
【
図2】該チューブクランプの該内部構造が図示されている非ロック挿入位置にある該第一の好適な実施形態の該チューブクランプを示す斜視図である。
【
図3】該チューブクランプの該外側のデザインが図示されている非ロック挿入位置にある該第一の好適な実施形態の該チューブクランプを示す斜視図である。
【
図4】開スナップフィット位置にある該第一の好適な実施形態の該チューブクランプを示す斜視図である。
【
図5】締付けスナップフィット位置にある該第一の好適な実施形態の該チューブクランプを示す斜視図である。
【
図6】
図5の該チューブクランプの長手方向を示す断面図である。
【
図7】第二の好適な実施形態の本発明によるチューブクランプの長手方向を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明による医療用チューブクランプ1、より正確に言えば、専用ハウジング2.1を備えた輸液ポンプ2(ここでは、概略部分投影図)の形態の本発明による容積ポンプ2に挿入されている第一の好適な実施形態の輸液チューブクランプ1の斜視図を概略的に示す。輸液チューブ3の形態のフレキシブル医療用チューブ3(ここでは、概略部分投影図)は、締付けスナップフィット(締付けスナップフィット位置)により、該輸液チューブクランプ1内に収容されている。該概略的に示す輸液ポンプ2は、患者を活性薬剤リザーバ(図示せず)に接続する該輸液チューブ3が、ポンプフラップ(図示せず)によって閉塞可能なチューブ挿入開口に配置された該蠕動スライド(図示せず)の上流に設置されるスライド蠕動を有するポンプである。該ポンプフラップは、後に閉じられて、該フレキシブル輸液チューブ3の内部の容積を、波状の移動運動で、所定の送出方向に押す該蠕動スライドのためのカウンターベアリングとして作用する。
【0024】
前記医療用チューブクランプ1において、および前記輸液ポンプ2においては、使い捨て物品の形態の該フレキシブル輸液チューブ3は、頻繁に、新たに挿入または交換しなければならない。このような挿入/交換操作は、容積送出をとにかく行えるように、該輸液チューブ3を、該ポンプ類似物(図示せず)の上流に正確に配置しなければならないため、非常に複雑である。本発明の目的は、正しい挿入および安全なスナップフィット、換言すると、構造的手段による該輸液チューブ3の締付けを支援するために、および好ましくは、片手だけを使った容易な該チューブの挿入/交換を可能にするために、該輸液チューブ3の該挿入/交換操作を、該操作職員達のために、より容易にかつより安全にすることである。この目的は、以下において詳細に説明されている、本発明による該チューブクランプ1によって実現される。
【0025】
図2から
図6は、該第一の好適な実施形態の該チューブクランプ1を示す。
図2および
図3には、非ロック挿入位置における該チューブクランプ1が詳細に示されている。該チューブクランプ1は、互いに当たって旋回することができる第一の締付け部4aおよび第二の締付け部4bを含む。この目的のために、該二つの締付け部4a、4bは、(フィルム)ヒンジ5により、旋回軸S周りに旋回するように、一方の端部において互いに接続されている。締付け部4a、4bはともに、既に有利に該ヒンジ5に接続されている場合には、合成材料から単一の/一つの材料の射出成型部材として製造することができる。該第一の締付け部4aおよび第二の締付け部4bの各々は、台形状の輪郭、換言すると、スーツケースまたはシェルと同様に、締付けスナップフィット位置(
図1および
図5を参照)にある該二つの締付け部4a、4bが、(平面視で台形の)均一な本体を構成するように、該第二の締付け部4bに対して対称的に形成されている該第一の締付け部4aの該輪郭を備えた該台形状の輪郭を有するシェル型ベースを含む。
【0026】
該第一の締付け部4aは、(該ヒンジ5と該反対側との間に配置された)該台形状本体の中央に位置する領域における締付け縁部/締付けブレードの形態の第一の締付けジョー6aを含む。該締付け縁部6aは、該第二の締付け部4bの方向に(締付けスナップフィット位置に、
図1および
図5を参照)該チューブクランプ1の該第一のシェル型ベースを形成している該第一の締付け部4aから垂直に突出している。該第一の締付け縁部6aは、壁状であり、および該ヒンジ5の該旋回軸Sに対して横方向である長手方向のクランプ方向Lに直線状に延びている。該第二の締付け部4bもまた、その台形状本体の中央に位置する領域に、締付け縁部の形態の第二の締付けジョー6bを有している。前記第二の締付け縁部6bは、ウェッジ状であり、および該長手方向のクランプ方向Lに等しく直線状に、したがって、該旋回軸Sに対して横方向において、該締付けスナップフィット位置(
図1および
図5を参照)に延びている。該第一の締付け縁部6aと第二の締付け縁部6bは、該旋回軸Sから等距離に形成され、および該長手方向のクランプ方向で視た場合に、それらの展開に関して対称的になっている。該二つの締付け縁部6a、6bもまた、該旋回軸Sと同じ高さになっているため、該二つの締付け縁部6a、6bは、輸液チューブ3を該締付け部4a、4b間で締め付けるために、該締付け部4a、4bが旋回し/閉じた場合、互いに向かって動き、または旋回される。
【0027】
該チューブクランプ1は、該輸液チューブ3を収容するためのチューブ収容領域7を含む。より正確に言えば、この実施形態では、該第一の締付け部4aは、該チューブ収容領域7を含む。この目的のため、該長手方向のクランプ方向Lで視た場合に、該第一の締付け縁部6aの端部の各々には、該旋回軸Sに平行に、換言すると、該長手方向のクランプ方向Lに垂直に延びている、および該締付けスナップフィット位置において、該第一の締付け部4aから該第二の締付け部まで突出している突出部を含むランド8が形成されている。前記二つのランド8の間には、該輸液チューブ3を挿入することができる。該第一の締付け縁部6a(長手方向のクランプ軸L)は、該挿入された輸液チューブ3の長手方向のチューブ軸Aに対して横方向になっている。さらに、該第一の締付け部4aの側面を介して該二つのランド8間に挿入された該輸液チューブ3の該流路には、該丸みのある輸液チューブ3が、ピッチ形状の凹部/開口部/カットアウト/ピット9に嵌まるように、該ピットが設けられている。
【0028】
該長手方向のクランプ方向Lで視た場合に、該ヒンジ5から離れて対向している、該締付け部4a、4bの該上端部には、該チューブクランプ1が、それによって該二つのスナップフィット位置、すなわち、該開スナップフィット位置と該締付けスナップフィット位置を実現する、スナップフィットクロージャシステムの形態のクロージャシステム10が構成されている。より正確に言えば、該スナップフィットクロージャシステム10は、
図2に示す非ロック挿入位置から始まって、後にスナップアイ12に係合するために、その固有材料弾性率に打ち勝ちながら、ランオンスロープを介して、閉塞方向で互いに向かって該二つの締付け部4a、4bを旋回させたときに、その長手方向に対して横方向に撓む弾性スナップフック11を含んでいる。同様に、該スナップフック11は、該チューブクランプ1を該非ロック挿入位置に再び戻すか、または、該位置まで動かすために、その固有材料弾性率に打ち勝ちながら、前記係合から解放することができる。以下、該スナップフィットクロージャシステム10を、
図4および
図5を用いて詳細に説明する。
【0029】
該第一の締付け部4aはさらに、該チューブクランプ1を該輸液ポンプ2(
図1を参照)に着脱可能に取り付けるために該フィルムヒンジ5に隣接する、または換言すると、該旋回軸Sに近接する押しボタン穴13を含んでいる。該旋回軸Sに近接する該押しボタン穴13の該構成は、該チューブクランプ1が開かれたときに、該チューブクランプ1の不注意な開放を阻止するか、または、少なくとも最小限にすることが意図されている。さらに、該スナップフィットクロージャシステム10は、それが、該押しボタン穴13周りに回転可能な該チューブクランプ1の方向性を決めるために、該ハウジング2.1の凹部と相互に作用するように適合された突出部を構成するように、該チューブクランプ1内に形成されている。
【0030】
最新技術とは対照的に、該第二の締付け部4bでは、特に、二つの凹部14が、細長いスリットの形態で、または、該旋回軸Sに平行に、換言すると、該輸液チューブ3の該長手方向のチューブ軸Aと平行に、および該長手方向のクランプ方向Lに対して横方向に延びているスロット穴の形態で導入されている。該二つのスロット穴14は、該長手方向のクランプ方向Lに対して横方向の該方向のそれらの穴の寸法に関して、長さがほぼ等しく、および該第二の締付け縁部6bに関して互いに対称的である。より正確に言えば、該二つのスロット穴14は、該長手方向のクランプ方向Lで視た場合に、該第二の締付け縁部6bの該二つの端部/側部に直接的に隣接している該第二の締付け部4bに導入されている。前記二つのスロット穴13の該構造デザインは、二つの弾力性接続部材またはコネクタを介して、換言すると、接続領域15を介するだけで、該第二の締付け縁部6bを、二つの側部で該第二の締付け部4bから切り離させ、および該第二の締付け部4bに接続させる。前記弾力性接続部材15は、該第二の締付け縁部6bに、堅固に形成された第二の締付け部4bに対向して所定の弾力的な移動性を持たせている。より正確に言えば、該第二の締付け縁部6bは、締付け圧力方向Dにおいて(該第二の締付け部4bに対して横方向のおよび該挿入された輸液チューブ3の該長手方向のチューブ軸Aに対して横方向の締付けスナップフィット位置において、
図1および
図5を参照)構造的な弾力移動性を有している。以下、該二つの締付け部4a、4bを互いに押し付けて旋回させた場合に、換言すると、該チューブクランプ1を閉じてスナップ式で固定した場合に生じる技術的利点について、
図4から
図6を用いて説明する。
【0031】
図3は、該外側面を視た斜視図で
図2の該チューブクランプ1のさらなる図を示す。該第一の締付け部4aは、該輸液ポンプ2の該ハウジング2.1において、相補的で平坦な対向支持面2.2(
図1を参照)に載っている、または、載せられている平坦な支持面/支持部16を含む。図示されている支持面16はさらに、該チューブクランプ1を閉じた(ロックした)ときに、および該チューブ収容領域7に挿入された輸液チューブ3を挟んだ(締め付けた)ときに、該スナップフィットクロージャシステム10が係合してロックするまで、該第二の締付け部のみが旋回して、該ハウジング2.1(
図1を参照)に押圧されるように、該ハウジング側の第一の締付け部4aを戻すように作用する。
【0032】
以下、該接続部材15を介して該第二の締付け部4bに対向する該第二の締付け縁部6bの該構造的に設計された弾力的移動性の機能について説明する。
図4は、該開スナップフィット位置における、該第一の好適な実施形態の
図1から
図3の該チューブクランプ1を示す。締付け部4a、4bがともに、該旋回軸S周りに互いに対して自由に旋回動することができる、および該輸液チューブ3を挿入することができ、または取り外すことができる、
図2および
図3の該非ロック挿入位置に対向して、該二つの締付け部4a、4bは、該閉方向において互いに向かって旋回され、また、該スナップフィットクロージャシステム10の該スナップフック11は、その長手方向に対して横方向のその固有材料弾性率に打ち勝ちながら、該ランオンスロープを介して撓み、その後、中間位置(開スナップフィット位置)でスナップアイ12に嵌まる(アンダーカットをかいしてロックされる)。前記開スナップフィット位置において、該挿入された輸液チューブ3(明確にするために、ここでは図示せず、適切に言えば、
図1を参照)は、該スナップフィットクロージャシステム10を開くことなく、再び取り外すことができないように、該チューブ収容領域に挿入されるが、該輸液チューブ3は、挟まれていない(該輸液チューブ3を通る該流体の放出されたフローの状態)。
【0033】
該第二の締付け部4bが、該第一の締付け部4aに対して該閉塞方向でさらに回転されると、該対向する二つの締付けジョー6a、6bは、それらの間に配置された該フレキシブルで弾力的な輸液チューブ3を益々締め付ける。これもまた、該輸液チューブ3の該形態および該材質に依存する、具体的に決められた旋回角度から、該輸液チューブ3を通るフローは、完全に締め付けられる。該スナップフィットクロージャシステム10の該スナップフック11は、その固有の弾性率に打ち勝ちながら、所定の位置から、別のランオンスロープに打ち勝った後に、アンダーカットを介して該第一の締付け部4aに係合し、このようにして、該締付けスナップフィット位置において、該輸液チューブ3を安全に締め付ける。導入された該二つのスロット穴と、該第二の締付け縁部6bの両側に形成された該二つの接続部材15とにより、閉じたときには、該第二の締付け縁部6bが、該第二の締付け部4bに対して弾力的に移動可能であるため、力のピークが低減され、および該スナップフィットクロージャシステムの安全なロッキングが確実にされる。該第二の締付け縁部6bが、該既に(完全に)押し潰された輸液チューブ3に直接当たっている場合は、該締付け圧力方向Dのさらなる相対運動は、ほとんど不可能であるが、一方で、該第二の締付け部4bは、該第一の締付け部4aにさらに押し付けられる可能性があり、および該(部分的な)非結合、または、該弾力的な接続部材15を介した直列接続/結合により、該スナップフィットクロージャシステムを介して該締付けスナップフィット位置で安全にロックすることができる。
【0034】
図5は、該スナップフィットクロージャシステム10の該スナップフック11がロックされて、該輸液チューブ3(
図1を参照)が締め付けられている、該チューブクランプ1の前記締付けスナップフィット位置を示す。
【0035】
該締付け縁部6aおよび6bを横切る長手方向断面において、
図6は、該接続部材15の機能を詳細に示す。該締付け縁部6aおよび6bは、該輸液チューブ3を押し潰して、それらの間で締め付けるが、該スナップフック11は、該アンダーカットを介して該第二の締付け部4bで固定される。比較すると、該二つの締付け部4a、4bは、該締付け縁部6a、6bに対向して、互いに当たって堅固に固定される。該第一の締付け縁部6aに堅固に接続された該第一の締付け部4aを介して該第一の締付け縁部6aから始まって、力の流束は、二つの方法によって、すなわち、該スナップフィットクロージャシステム10(特に、スナップフック11)によって、およびヒンジ5を介して該第二の締付け部4bまで、およびここから該弾力性接続部材15を介在させて(直列に)該第二の締付け縁部6bまで延びている。そのため、本発明によれば、最新技術とは対照的に、追加的な要素、すなわち、該二つのスロット穴14によって構造的に生じる該接続部材15が、該力の流束中に介在されている。
【0036】
図7は、本発明による、さらなる第二の好適な実施形態のチューブクランプを示す。ここでは、該凹部は、異なる幾何学形状を有し、および該長手方向のクランプ方向Lに対して横方向のスロット穴とは別に、該長手方向のクランプ方向Lにおける該スロット穴に隣接する凹部も含んでいる。該凹部の造形は、該第一の締付け部4bに対向する該第二の締付け縁部6bの弾力性をさらに変えることを可能にし、換言すると、該弾力性を決めることを可能にする。
【0037】
これに関連して、付随する該旋回軸S周りの旋回動を伴う該ヒンジ5の代わりに、該二つの締付け部4a、4bの互いに向かう並進運動も当然のことながら実現することができることに留意されたい。該接続部材15および該弾力的な結合の技術的効果は、ここでもまた、上述したものと同様である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、輸液ポンプ専用の点滴チューブを締め付けるための点滴チューブクランプに利用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 チューブクランプ
2 ポンプ
2.1 ハウジング
2.2 カウンターベアリング面
3 チューブ
4a 第一の締付け部
4b 第二の締付け部
5 ヒンジ
6a 第一の締付けジョー
6b 第二の締付けジョー
7 チューブ収容領域
8 ランド
9 カットアウト
10 クロージャシステム
11 スナップフック
12 スナップアイ
13 押しボタン穴
14 凹部
15 接続部材
16 支持面
S 旋回軸
L 長手方向のクランプ方向
A 長手方向のチューブ軸
D 締付け圧力方向