(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】スライドレール及び移動端末
(51)【国際特許分類】
H04M 1/02 20060101AFI20230327BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
H04M1/02 C
G06F1/16 312G
(21)【出願番号】P 2018563462
(86)(22)【出願日】2018-09-30
(86)【国際出願番号】 CN2018109009
(87)【国際公開番号】W WO2020019523
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2019-05-13
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】201810843442.0
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516180667
【氏名又は名称】北京小米移動軟件有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Xiaomi Mobile Software Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.018, Floor 8, Building 6, Yard 33, Middle Xierqi Road, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】▲羅▼ 添▲飆▼
【合議体】
【審判長】角田 慎治
【審判官】猪瀬 隆広
【審判官】土居 仁士
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第1926289(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2008/0174392(US,A1)
【文献】国際公開第2004/112267(WO,A1)
【文献】特開2011-250393(JP,A)
【文献】特開2009-267869(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102148883(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101207985(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/02
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドレールであって、
N極とS極とが前記スライドレールの長手方向に交互に配列される第1の磁性部が設置される第1のスライド部と、
N極とS極とが前記長手方向に交互に配列される第2の磁性部が設置される第2のスライド部と、を含み、
前記第1のスライド部が、前記第2のスライド部に前記長手方向にスライド可能に取り付けられ、
前記第1のスライド部と前記第2のスライド部とが相対スライドする過程において、前記第1の磁性部と前記第2の磁性部とは、前記スライドレールの幅方向において位置が対向し、引き合いと反発し合いとの2つの状態間で変換可能であ
り、
前記第1の磁性部及び前記第2の磁性部は、前記長手方向に配列される複数の磁性体を有し、
各前記磁性体のN極とS極とが前記スライドレールの幅方向に設置される、
ことを特徴とするスライドレール。
【請求項2】
前記第1の磁性部は、前記第1のスライド部の幅方向の反対の両側に設置され、前記第2の磁性部は、前記第2のスライド部の幅方向の反対の両側に設置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のスライドレール。
【請求項3】
前記第2の磁性部の前記長手方向における寸法は、前記第1の磁性部の前記長手方向における寸法より長い、
ことを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載のスライドレール。
【請求項4】
前記第1のスライド部は、第1の位置から第2の位置まで前記第2のスライド部に対してスライドし、各前記磁性体のN極とS極との前記長手方向における長さをLとし、前記第1のスライド部が前記第1の位置と前記第2の位置との間でスライドするストロークは、≦2Lであり、かつ>Lである、
ことを特徴とする請求項
1に記載のスライドレール。
【請求項5】
前記第1の磁性部と前記第2の磁性部とは、高さが同じである、
ことを特徴とする請求項1
~4のいずれかに記載のスライドレール。
【請求項6】
前記第1のスライド部のストロークの範囲内に、前記第1のスライド部は、前記第1の磁性部と前記第2の磁性部とが引き合う第1の位置及び第2の位置を有し、前記第1の位置と前記第2の位置との間に、前記第1のスライド部は、前記第1の磁性部と前記第2の磁性部とが反発し合う第3の位置を有する、
ことを特徴とする請求項1
~5のいずれかに記載のスライドレール。
【請求項7】
第1の位置制限部により前記第1のスライド部が第1の位置に制限され、第2の位置制限部により前記第1のスライド部が第2の位置に制限され、前記第1のスライド部が前記第1の位置及び前記第2の位置にある場合、前記第1の磁性部と前記第2の磁性部との対向する部分の極性が異なり、前記第1のスライド部と前記第2のスライド部とが引き合う、
ことを特徴とする請求項
6に記載のスライドレール。
【請求項8】
第1の位置制限部により前記第1のスライド部が第1の位置に制限され、第2の位置制限部により前記第1のスライド部が第2の位置に制限され、前記第1のスライド部が前記第1の位置及び前記第2の位置にある場合、前記第1の磁性部と前記第2の磁性部との対向する部分は、極性が異なる部分と極性が同じである部分とを有し、前記極性が異なる部分が、前記極性が同じである部分より多く、前記第1のスライド部と前記第2のスライド部とが引き合う、
ことを特徴とする請求項
6に記載のスライドレール。
【請求項9】
前記第1の磁性部と前記第2の磁性部とが引き合う前記第1の位置及び/又は前記第2の位置で、前記第1の磁性部と前記第2の磁性部との対応する磁性体のずれた距離は、L/2より小さい、
ことを特徴とする請求項
8に記載のスライドレール。
【請求項10】
前記第2の磁性部の中央に、前記磁性体を設置しない空席が設置される、
ことを特徴とする請求項
1~9のいずれかに記載のスライドレール。
【請求項11】
前記空席の前記長手方向における寸法は、1つの磁性体の長さである、
ことを特徴とする請求項
10に記載のスライドレール。
【請求項12】
前記第1の磁性部及び/又は第2の磁性部は、永久磁石又は電磁石を含む、
ことを特徴とする請求項1~
11のいずれかに記載のスライドレール。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれかに記載のスライドレールを含む、
ことを特徴とする移動端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スライドレール及び当該スライドレールを含む移動端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話の「フルスクリーン表示」というコンセプトの普及に伴い、「フルスクリーン表示」携帯電話の分野において、各メーカー間の競争も日々激しくなり、いずれもさらに高い画面比率の携帯電話製品のデザインを求めている。しかしながら、携帯電話の正面一面がスクリーン表示である「フルスクリーン表示」という目標を実現するには、フロントカメラが隠せないのは、最大のボトルネックである。携帯電話にスライドカバーを用いて、フロントカメラのような一部の素子をスクリーンのサイズ範囲に収納することができ、フロントカメラを使用する場合、スライドカバーをスライドアウトする。スライドカバーは、スライドレールを介して本体に接続される。
【0003】
関連技術におけるスライドレールは、アッパースライドプレートと、ダウンスライドプレートと、ばねと、を含み、アッパースライドプレートとダウンスライドプレートとが、スライド可能に取り付けられ、ばねの一端がアッパースライドプレートに取り付けられ、ばねの他端がダウンスライドプレートに取り付けられ、このようなスライドレールには、以下の欠点が存在する。
【0004】
1、スライドレールに用いられるばねの厚さだけでも0.6mm以上であるため、スライドレールの厚さは、約1.6mmである。ばね自体が占める空間によってスライドレール全体の厚さを薄くすることができないので、より薄いスライドレールを作ることができず、携帯電話のような移動端末の厚さを薄くすることができない。
【0005】
2、スライドレールの厚さを薄くするために、通常は、スライドレールのダウンスライドプレートをくり抜いてばねを収容するので、スライドレールの強度が低減される。
【0006】
3、ばねの耐疲労性が悪く、スライドレールのライフサイクルにおいて、使用時間が増えるにつれて、ばねの弾力特性が変化し、ユーザの使用手触りに影響を与える。
【0007】
4、スライドレールのスライド過程において、ばねのスライドレールの高さ方向における弾力変化によって、スライドレールのアッパー・ダウンスライドプレート間の隙間は、均一ではない。
【0008】
5、スライドレールがある位置(デッドポイント)にスライドした場合、ばねの弾力方向が切り替えられて、スライドレールが停止になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
関連技術における課題を解決するために、本開示は、構造強度を確保しつつ、厚さを薄くすることができるスライドレールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の実施例の第1側面は、スライドレールであって、N極とS極とが前記スライドレールの長手方向に交互に配列される第1の磁性部が設置される第1のスライド部と、
N極とS極とが前記長手方向に交互に配列される第2の磁性部が設置される第2のスライド部と、を含み、前記第1のスライド部が、前記第2のスライド部に前記長手方向に沿ってスライド可能に取り付けられ、
前記第1のスライド部と前記第2のスライド部とが相対スライドする過程において、前記第1の磁性部と前記第2の磁性部とは、前記スライドレールの幅方向において位置が対向し、引き合いと反発し合いとの2つの状態間で変換可能であり、
前記第1の磁性部及び前記第2の磁性部は、前記長手方向に配列される複数の磁性体を有し、
各前記磁性体のN極とS極とが前記スライドレールの幅方向に設置されるスライドレールを提供する。
【0011】
少なくとも1つの実施例において、前記第1の磁性部は、前記第1のスライド部の幅方向の反対の両側に設置され、前記第2の磁性部は、前記第2のスライド部の幅方向の反対の両側に設置される。
【0012】
少なくとも1つの実施例において、前記第2の磁性部の前記長手方向における寸法は、前記第1の磁性部の前記長手方向における寸法より長い。
【0015】
少なくとも1つの実施例において、前記第1のスライド部は、第1の位置から第2の位置まで前記第2のスライド部に対してスライドし、各前記磁性体のN極とS極との前記長手方向における長さをLとし、前記第1のスライド部が前記第1の位置と前記第2の位置との間のスライドするストロークは、≦2Lであり、かつ>Lである。
【0016】
少なくとも1つの実施例において、前記第1の磁性部と前記第2の磁性部とは、高さが同じである。
【0017】
少なくとも1つの実施例において、前記第1のスライド部のストロークの範囲内に、前記第1のスライド部は、前記第1の磁性部と前記第2の磁性部とが引き合う第1の位置及び第2の位置を有し、前記第1の位置と前記第2の位置との間に、前記第1のスライド部は、前記第1の磁性部と前記第2の磁性部とが反発し合う第3の位置を有する。
【0018】
少なくとも1つの実施例において、第1の位置制限部により前記第1のスライド部が第1の位置に制限され、第2の位置制限部により前記第1のスライド部が第2の位置に制限され、前記第1のスライド部が前記第1の位置及び前記第2の位置にある場合、前記第1の磁性部と前記第2の磁性部との対向する部分の極性が異なり、前記第1のスライド部と前記第2のスライド部とが引き合う。
【0019】
少なくとも1つの実施例において、第1の位置制限部により前記第1のスライド部が第1の位置に制限され、第2の位置制限部により前記第1のスライド部が第2の位置に制限され、前記第1のスライド部が前記第1の位置及び前記第2の位置にある場合、前記第1の磁性部と前記第2の磁性部との対向する部分は、極性が異なる部分と極性が同じである部分とを有し、前記極性が異なる部分が、前記極性が同じである部分より多いため、前記第1のスライド部と前記第2のスライド部とが引き合う。
【0020】
少なくとも1つの実施例において、前記第1の磁性部と前記第2の磁性部とが引き合う前記第1の位置及び/又は前記第2の位置で、前記第1の磁性部と前記第2の磁性部との対応する磁性体のずれた距離は、L/2より小さい。
【0021】
少なくとも1つの実施例において、前記第2の磁性部の中央には、前記磁性体を設置しない空席が設置される。
【0022】
少なくとも1つの実施例において、前記空席の前記長手方向における寸法は、1つの磁性体の長さである。
【0023】
少なくとも1つの実施例において、前記第1の磁性部及び/又は第2の磁性部は、永久磁石又は電磁石を含む。
【0024】
本開示の実施例の第2の側面は、本開示のいずれかの技術案に記載のスライドレールを含む移動端末を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本開示の実施例によって提供される技術案は、以下の有益効果のうち、少なくとも1つの効果を取得することができる。スライドレールのライフサイクル内において、第1の磁性部と第2の磁性部とによって発生された磁場が安定に維持され、両者の吸引力及び反発力が時間に伴って変化せず、スライドレールのスライド手触りも変化じない。また、第1の磁性部と第2の磁性部とが反発し合い状態で、安定に維持されがたいので、スライドレールには、デッドポイントが存在しない。
【0026】
第1の磁性部を前記第1のスライド部の幅方向の両側に設置し、第2の磁性部を前記第2のスライド部の幅方向の両側に設置することにより、スライドレールに穴を開けてスライドレールの強度を低減させることはなく、スライドレールの中間部分をさらに薄くすることができる。
【0027】
第1の磁性部と第2の磁性部との間にはスライドレールの高さ方向に沿う力がないため、スライドレールの第1のスライド部と第2のスライド部との間の隙間が均一である。
【0028】
なお、以上の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、単に例示及び解釈するためのものであり、本開示を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
ここの図面は、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成し、本開示に適する実施例を示しており、明細書と共に、本開示の原理を説明するために用いられる。
【0030】
【
図1】例示的な一実施例によって示されるスライドレールの概略構造図である。
【
図2】例示的な一実施例によって示されるスライドレールの第1のスライド部の部分拡大図である。
【
図3】例示的な一実施例によって示されるスライドレールの第2のスライド部の部分拡大図である。
【
図5】例示的な一実施例によって示されるスライドレールの構造の部分拡大図である(第1のケースと第2のケースとを含まない)。
【
図6a】例示的な一実施例によって示されるスライドレールのスライド過程の原理図(1)である。
【
図6b】例示的な一実施例によって示されるスライドレールのスライド過程の原理図(2)である。
【
図6c】例示的な一実施例によって示されるスライドレールのスライド過程の原理図(3)である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで例示的な実施例を詳細に説明し、その例が図面に示される。以下の説明が図面に係る場合、他の示しがない限り、異なる図面における同一の数字が、同一又は類似の要素を示す。以下の例示的な実施例に記載される実施形態は、本出願と一致する全ての実施形態を表すものではない。むしろそれらは、単に特許請求の範囲に詳述されている、本開示の一部の側面と一致する装置及び方法の例である。
【0032】
特別な説明がない限り、幅方向Xとは、スライドレールの幅方向であり、長手方向Yとは、スライドレールの長手方向、即ちスライドレールのスライド方向であり、高さ方向Zとは、スライドレールの高さ方向、即ち厚さ方向である。図面及び下記実施例において、N極とS極とは、同じ極性が反発し合い、異なる極性が引き合うことを示しやすくするためのものであり、本開示を限定するためのものではなく、N極とS極との位置は、入れ替えることができる。
【0033】
図1~
図5に示すように、当該スライドレールは、第1のスライド部1と第2のスライド部2とを含み、第1のスライド部1と第2のスライド部2とは、矩形の平板状であってもよい。第1のスライド部1には、長手方向Yに延びるスライド溝12が設置され、スライド溝12は、例えば、C形溝である。第1のスライド部1と第2のスライド部2とが、長手方向Yに沿って相対スライドすることができるように、第2のスライド部2は、スライド溝12内にスライド溝12に沿ってスライド可能に取り付けられ、第1のスライド部1が第2のスライド部2の上方に位置する。なお、第1のスライド部1と第2のスライド部2とがスライド可能に接続されるように、第2のスライド部2に長手方向に延びるスライド溝が設置されてもよい。
【0034】
第2のスライド部2には、第1の位置制限部24と第2の位置制限部(図示せず)とが設置され、第1のスライド部1が第1の位置制限部24と第2の位置制限部との間で長手方向Yに沿ってスライドすることができるように、第1の位置制限部24と第2の位置制限部とは、第1のスライド部1を阻止することができる。第1のスライド部1が第1の位置制限部24までスライドして停止した場合、第1のスライド部1は、第1の位置にあり(
図1及び
図5に示すように)、第1のスライド部1が第2の位置制限部までスライドして停止した場合、第1のスライド部1は、第2の位置にある。
【0035】
なお、スライドレールには、第1の位置制限部24と第2の位置制限部とを設置せず、スライドレールが取り付けられる、例えばケースのような構造部材に第1の位置制限部と第2の位置制限部とが設置されて、第1のスライド部1のストロークを制限する作用を奏することができる。
【0036】
第1のスライド部1には、第1の磁性部11が設置され、第1の磁性部11は、第1のスライド部1の幅方向Xの反対の両側に設置することができる。第2のスライド部2には、第2の磁性部21が設置され、第2の磁性部21は、第2のスライド部2の幅方向Xの反対の両側に設置することができる。なお、第1の磁性部11と第2の磁性部21とは、幅方向Xの反対の両側に位置し、スライドレールの中間部分の空間を占用せず、スライドレールの中間部分の厚さを可能な限り薄くすることができる。具体的には、第2の磁性部21は、第1の磁性部11の幅方向Xの外側に位置することができ、つまり、第1のスライド部1は、第2のスライド部2の両側の第2の磁性部21の間に位置し、第1の磁性部11と第2の磁性部21とが対向する。
【0037】
第1の磁性部11と第2の磁性部21との幅方向Xにおける側面が対向し、つまり、第1の磁性部11と第2の磁性部21との対向する側面が幅方向Xに垂直する。スライドレールの両側の第1の磁性部11と第2の磁性部21との間の距離が同じであるので、スライドレールの両側の第1の磁性部11と第2の磁性部21との間の吸引力又は反発力は、大きさが等しく方向が反対であり、相殺することができ、磁力による第1のスライド部1への幅方向Xに沿う作用が生じない。
【0038】
図2~
図4に示すように、当該実施例において、第1の磁性部11は、第1のケース111を介して第1のスライド部1に取り付けられ、第1の磁性部11は、第1のケース111内に取り付けられ、第1のケース111は、第1のスライド部1の幅方向Xの両側に取り付けられる。第2の磁性部21は、第2のケース211を介して第2のスライド部3に取り付けられ、第2の磁性部21は、第2のケース211内に取り付けられ、第2のケース211は、接続ブラケット22を介して第2のスライド部2の幅方向Xの両側に取り付けられる。
【0039】
図2、
図5及び
図6a~
図6cに示すように、長手方向Yに第1の磁性部11のN極とS極とが交互に配列される。具体的には、第1の磁性部11は、長手方向Yに配列される複数の磁性体112、例えば3つの磁性体112を有し、複数の磁性体112は、例えば、接着方式により接続することができる。複数の磁性体112が互いに引き合ってN極とS極とが交互に配列されるようになる。各磁性体112のN極とS極とが幅方向Xに設置される。なお、複数の磁性体112のN極とS極とが交互に配列されることさえ確保すれば、各磁性体112のN極とS極とが長手方向Yに設置されてもよいし、高さ方向Zに設置されてもよい。
【0040】
当該実施例において、各磁性体112の長さを、いずれもLとし、第1の磁性部11の長さは、3Lである。
【0041】
図3、
図5及び
図6a~
図6cに示すように、長手方向Yに第2の磁性部21のN極とS極とが交互に配列され、第2の磁性部21の長手方向Yにおける寸法は、第1の磁性部11の長手方向Yにおける寸法よりも長いため、第1のスライド部1がスライドする過程で、第1の磁性部11は、第2の磁性部21の異なる部分に対応することができる。当該実施例において、第2の磁性部21の長さは5Lである。
【0042】
具体的には、第2の磁性部21は、長手方向Yに配列される複数の磁性体212を有し、複数の磁性体212は、例えば、接着方式により接続することができる。各磁性体212のN極とS極とが幅方向Xに設置される。なお、複数の磁性体212のN極とS極とが交互に配列されることさえ確保すれば、各磁性体212のN極とS極とが長手方向Yに設置されてもよいし、高さ方向Zに設置されてもよい。
【0043】
さらに、第2の磁性部21の複数の磁性体212は、連続的に配列されるものでなくてもよく、例えば、第2の磁性部21には、磁性体212を設置しない空席23が設置されてもよい。
【0044】
具体的には、例えば、第2の磁性部21は、4つの磁性体212を含み、第2の磁性部21の中間位置には、空席23が設置され、2つの磁性体212が空席23の一側に設置され、もう2つの磁性体212が空席23の他側に設置される。空席23の両側の磁性体212の極性は、対称である。空席23の長さは、1つの磁性体212の長さと同じであり、各磁性体212の長さは、いずれもLである。
【0045】
なお、第2の磁性部21に空席23が設置されることにより、第1の磁性部11が空席23に対応する位置にスライドした場合、第1の磁性部11が受ける磁力を小さくすることができ、第1のスライド部1及び第2のスライド部2のスライド過程がさらにスムーズになる。なお、4つの磁性体212が接続されるように、空席23に非磁性材料が設置されてもよい。
【0046】
第1の磁性部11と第2の磁性部21とは、高さが同じであり、即ち高さ方向Zに高度差がないので、第1の磁性部11と第2の磁性部21との間に、高さ方向Zに磁力作用が存在せず、第1のスライド部1と第2のスライド部2との高さ方向Zにおける間隙が均一であることを確保することができる。
【0047】
なお、第1の磁性部11及び/又は第2の磁性部21の磁性体112、212は、永久磁石又は電磁石であってもよい。電磁石は、通電方向及び電流強度を変更することにより、磁性体112、212の磁場方向及び磁場強度を変更することができ、スライドレールの自動スライドを実現するとともに、スライドの方向及び速度を調節することができる。
【0048】
第1のスライド部1と第2のスライド部2との間には、支持部(図示せず)が設置されてもよく、支持部は、第1のスライド部1を支持し、支持部は、例えば、ストライプ状又は点状であり、支持部は、POMのような耐摩耗性材料によって形成されてもよい。支持部により第1のスライド部1を支持することは、第1のスライド部1と第2のスライド部2との大面積の接触を回避することができ、第1のスライド部1と第2のスライド部2との間の摩擦が小さくなる。なお、支持部は、第1のスライド部1に接続されてもよいし、第2のスライド部2に接続されてもよい。さらに、支持部の表面に潤滑剤が塗布されることにより、第1のスライド部1と第2のスライド部2との間の摩擦をさらに小さくすることができる。
【0049】
図6a~6cに示すように、第1のスライド部1が第1の位置から第2の位置までスライドする過程について、以下に説明する。
【0050】
図6aに示すように、第1のスライド部1が第1の位置にある場合、第1の位置制限部24の作用で、第1の磁性部11のN極と第2の磁性部21のS極とが対向するようになり、第1の磁性部11のS極と第2の磁性部21のN極とが対向するようになる。好ましくは、第1の磁性部11のN極と第2の磁性部21のS極とは、一部が対向し、第1の磁性部11のS極と第2の磁性部21のN極とは、一部が対向する。第1の磁性部11のN極と第2の磁性部21のS極とが対向する部分は、第1の磁性部11のN極と第2の磁性部21のN極とが対向する部分より大きく、第1の磁性部11のS極と第2の磁性部21のN極とが対向する部分は、第1の磁性部11のS極と第2の磁性部21のS極とが対向する部分より大きく、即ち第1の磁性部11と第2の磁性部21とが引き合う。なお、完全な対向と比較して、一部対向の場合、第1の磁性部11と第2の磁性部21との吸引力がより小さく、スライドレールがスライドするように外力を加えて押すときに必要な力をより小さくすることができる。
【0051】
具体的には、第1のスライド部1が第1の位置にある場合、第1の磁性部11の長さがLで磁性体112と、第2の磁性部21の長さがLである磁性体212との同じ極性が対向する部分の長さはDであり、異なる極性が対向する部分の長さはL-Dである。つまり、第1の磁性部11と第2の磁性部21とが長さ方向Yにずれる距離はDである。なお、第1の磁性部11と第2の磁性部とが引き合うようにするために、Dを、L/2より小さくする。第1の磁性部11と第2の磁性部21とが引き合うことにより、第1のスライド部1が、外力の作用を受けないとき、第1の位置に維持され、第2のスライド部2に対してスライドしないようになる。
【0052】
外力の作用で左へ第1のスライド部1を押し、第1のスライド部1は、第1の磁性部11と第2の磁性部21との吸引力を克服して左へスライドする。
【0053】
図6bに示すように、第1のスライド部1がL-Dの距離スライドした場合、第1のスライド部1は、第3の位置にある。第1の磁性部11のN極と第2の磁性部21のN極とが対向し、第1の磁性部11と第2の磁性部21とが反発し合い、第1のスライド部1が安定に維持されにくい。慣性の作用で第1のスライド部1が引き続き左へスライドし、このとき、第1の磁性部11と第2の磁性部21との反発力は、引き続き左へスライドするように第1の磁性部11を押すことができ、つまり、外力で第1のスライド部1がL-Dの距離スライドした後、たとえ外力を加えなくても、第1のスライド部1は、磁力の作用で引き続きスライドすることができる。
【0054】
図6cに示すように、第1のスライド部1は、引き続き第2の位置までスライドし、第2の位置制限部に阻止されて停止するようになる。第1の磁性部11のN極と第2の磁性部21のS極とが対向するようになり、第1の磁性部11のS極と第2の磁性部21のN極とが対向するるようになる。好ましくは、第1の磁性部11のN極と第2の磁性部21のS極とは、一部が対向し、第1の磁性部のS極と第2の磁性部21のN極とは、一部が対向する。第1の磁性部11のN極と第2の磁性部21のS極とが対向する部分は、第1の磁性部11のN極と第2の磁性部21のN極とが対向する部分より大きく、第1の磁性部11のS極と第2の磁性部21のN極とが対向する部分は、第1の磁性部11のS極と第2の磁性部21のS極とが対向する部分より大きく、即ち第1の磁性部11と第2の磁性部21とが引き合う。なお、完全な対向と比較して、一部対向の場合、第1の磁性部11と第2の磁性部21との吸引力がより小さく、スライドするようにスライドレールを外力を加えて押すときに必要な力がより小さくなる。
【0055】
具体的には、第1のスライド部1が第2の位置にある場合、第1の磁性部11の長さがLである磁性体112と、第2の磁性部21の長さがLである磁性体212との同じ極性が対向する部分の長さはDであり、異なる極性が対向する部分の長さはL-Dである。なお、第1のスライド部1のスライドレールの長手方向Yに沿うストロークは2(L-D)である。なお、第1のスライド部が第1の位置及び第2の位置にあるとき、第1の磁性部11のN極と第2の磁性部21のS極とが完全に対向すると、第1の磁性部11のS極と第2の磁性部21のN極とが完全に対向するようになり、即ちD=0であり、第1のスライド部1のスライドレールの長手方向Yに沿うストロークは2Lである。第1のスライド部が第1の位置又は第2の位置にあるとき、第1の磁性部11のN極と第2の磁性部21のS極とが完全に対向すると、第1の磁性部11のS極と第2の磁性部21のN極とが完全に対向するようになり、第1のスライド部1のスライドレールの長手方向Yに沿うストロークは2L-Dである。
【0056】
なお、外力の作用で第1のスライド部1のスライド距離がL-Dより小さいとき、第1のスライド部1が十分な速度を有して、第1の磁性部11と第2の磁性部12との吸引力を克服して、第1のスライド部1を引き続き運動させることができると、第1のスライド部1は、L-Dの距離運動して、第2の位置まで運動することができる。第1のスライド部1が十分な速度を有しないと、第1のスライド部1は、第1の磁性部11と第2の磁性部21との作用で第1の位置に戻る。外力の作用で第1のスライド部1のスライド距離がL-Dより大きく、かつ2(L-D)より小さい場合、第1のスライド部1は、第1の磁性部11と第2の磁性部21との作用で、第1のスライド部1を第2の位置まで運動させることができる。
【0057】
なお、第1の磁性部11と第2の磁性部21との磁性が強いほど、第1の磁性部11と第2の磁性部21との吸引力及び反発力が大きく、第1の位置又は第2の位置からスライドレールをスライドさせるのに必要な力も大きい。
【0058】
第1のスライド部1が第2の位置から第1の位置までスライドする過程と、第1の位置から第2の位置までスライドする過程とは、反対であり、これでは詳しく説明しない。
【0059】
当業者は、明細書を考慮して、またここに開示された発明を実践した後、本開示の他の実施案を容易に想到することができる。本出願は、本開示のあらゆる変形、用途、又は適応的な変更をカバーすることを目的とし、これらの変形、用途、又は適応的な変更は、本開示の一般的原理に従うものであり、また、本開示で開示されていない当分野における公知知識又は慣用技術手段を含む。明細書及び実施例は、単に例示するものであり、本開示の本当の範囲及び主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【0060】
なお、本開示は、上記説明に記載され、図面に示されている厳密な構成に限定されず、その範囲から逸脱しない限り、様々な修正及び変更を行うことができる。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲のみによって限定される。
【符号の説明】
【0061】
1 第1のスライド部
11 第1の磁性部
111 第1のケース
112 磁性体
12 スライド溝
2 第2のスライド部
21 第2の磁性部
211 第2のケース
212 磁性体
22 接続ブラケット
23 空席
24 第1の位置制限部
X 幅方向
Y 長手方向
Z 高さ方向