(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】カバー付き柱
(51)【国際特許分類】
E04F 19/00 20060101AFI20230327BHJP
E04C 3/36 20060101ALI20230327BHJP
H02G 3/36 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
E04F19/00 D
E04C3/36
H02G3/36
(21)【出願番号】P 2019016294
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2022-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】500533880
【氏名又は名称】株式会社昭栄美術
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】石井 敦
【審査官】佐藤 史彬
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-042110(JP,A)
【文献】特開2002-227397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/00
E04C 3/36
H02G 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱本体と、
前記柱本体の側部を被覆し、前記柱本体に対し着脱可能に設けられたカバーと、を備え、
前記柱本体は、
前記柱本体の中心部に設けられた芯部と、
前記芯部の周囲に設けられた環状部と、を有し、
前記環状部は、部材を取り付け可能なスリットが形成され、
前記柱本体は、前記環状部と前記芯部との間に設けられ、前記スリットの左右を連結する連結部を有し、前記カバーと前記環状部との間の空間に配線が収容可能であることを特徴とするカバー付き柱。
【請求項2】
前記柱本体は、
前記芯部と前記環状部を連結するとともに、前記環状部より外側まで延出する複数のアームを有し、
前記カバーは、両端に、前記複数のアームの端部とそれぞれ嵌合する嵌合部を有することを特徴とする請求項1に記載のカバー付き柱。
【請求項3】
前記アームは、U字状の端部を有し、
前記嵌合部は、前記カバーの外周部と、前記外周部から内側に延出する延出部とからなり、
前記外周部と前記延出部とが、前記U字状の端部と嵌合することを特徴とする請求項2に記載のカバー付き柱。
【請求項4】
前記カバーの前記外周部は円弧状であることを特徴とする請求項3に記載のカバー付き柱。
【請求項5】
前記柱本体は、それぞれ延出方向が略90度ずつ異なる4つの前記アームを有し、
前記4つの前記アームのうち隣り合う2つの前記アームとそれぞれ嵌合する4つの前記カバーを備えることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のカバー付き柱。
【請求項6】
前記スリットは、前記環状部の上端から下端に渡って形成されることを特徴とする請求項
1乃至5のいずれかに記載のカバー付き柱。
【請求項7】
前記カバーは、弾性を有することを特徴とする請求項1乃至
6のいずれかに記載のカバー付き柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱本体から着脱可能なカバーを備えるカバー付き柱に関する。
【背景技術】
【0002】
展示会に設置される構造物には、照明器具、音響機器、表示機器等の各種装置が取り付けられ、これらの装置の配線を目立たないようにすることが必要となる。例えば、下記の特許文献1には、柱の中心体と、中心体から延びるアームに取り付けられるカバーとの間の空間に配線を通すことが可能な柱について開示がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、柱の中心体の強度が低く、外部からの力により中心体が撓みやすいため、構造物を支えるのに強度が十分でない。特に、構造物の高さが高くなるとこうした課題がより顕著となる。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、構造物を支える柱の強度を高めつつ、柱周りの配線を体裁良く整えることができるカバー付き柱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、柱本体と、前記柱本体の側部を被覆し、前記柱本体に対し着脱可能に設けられたカバーと、を備え、前記柱本体は、前記柱本体の中心部に設けられた芯部と、前記芯部の周囲に設けられた環状部と、を有し、前記環状部は、部材を取り付け可能なスリットが形成され、前記柱本体は、前記環状部と前記芯部との間に設けられ、前記スリットの左右を連結する連結部を有し、前記カバーと前記環状部との間の空間に配線が収容可能であることを特徴とするカバー付き柱により解決される。
上記のカバー付き柱によれば、柱本体の強度を高めつつ、柱本体とカバーとの間に配線を収容することができる。これにより、配線が柱の外部を通らないため、柱周りの配線を体裁良く整えることができる。
また、上記のカバー付き柱では、カバーは柱本体から着脱可能なため、配線作業が容易となる。
また、上記のカバー付き柱において、環状部は、部材を取り付け可能なスリットが形成されるため、カバーと環状部の間の空間に部材を取り付けることができる。
また、上記のカバー付き柱において、柱本体は、スリットの左右を連結する連結部を有するため、環状部に形成されるスリット近傍の剛性を高めることができる。
【0007】
また、本発明の一態様では、上記のカバー付き柱において、前記柱本体は、前記芯部と前記環状部を連結するとともに、前記環状部より外側まで延出する複数のアームを有し、前記カバーは、両端に、前記複数のアームの端部とそれぞれ嵌合する嵌合部を有することとする。
こうすることで、配線の収容スペースや柱の外径をアームの長さにより調整できる。
また、上記のカバー付き柱によれば、芯部と環状部が複数のアームにより連結されることで、柱本体の強度を向上できる。
【0008】
また、本発明の一態様では、上記のカバー付き柱において、前記アームは、U字状の端部を有し、前記嵌合部は、前記カバーの外周部と、前記外周部から内側に延出する延出部とからなり、前記外周部と前記延出部とが、前記U字状の端部と嵌合することとする。
こうすることで、簡易な構造によりカバーを柱本体から着脱可能とすることができる。
また、上記のカバー付き柱によれば、カバーと柱本体との着脱作業の負荷を軽減できる。
【0009】
また、本発明の一態様では、上記のカバー付き柱において、前記カバーの前記外周部は円弧状であることとする。
こうすることで、配線の収容スペースを大きくすることができる。
【0010】
また、本発明の一態様では、上記のカバー付き柱において、前記柱本体は、それぞれ延出方向が略90度ずつ異なる4つの前記アームを有し、前記4つの前記アームのうち隣り合う2つの前記アームとそれぞれ嵌合する4つの前記カバーを備えることとする。
こうすることで、配線の収容スペースを4つ設けることができる。これにより、配線の整理がしやすくなる。
また、上記のカバー付き柱によれば、柱本体の強度を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の一態様では、上記のカバー付き柱において、前記スリットは、前記環状部の上端から下端に渡って形成されることとする。
こうすることで、環状部の上下方向における任意の位置に部材を取り付けることができる。
【0014】
また、本発明の一態様では、上記のカバー付き柱において、前記カバーは、弾性を有することとする。
こうすることで、柱本体に対するカバーの着脱が容易となる。また、柱本体からカバーが外れにくくすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、構造物を支える柱の強度を高めつつ、柱周りの配線を体裁良く整えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】本実施形態に係るカバー付き柱の斜視図である。
【
図6】配線を通した状態のカバー付き柱の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、
図1乃至
図9を参照しながら、本発明の実施の形態(以下、本実施形態)に係るカバー付き柱5について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0018】
図1には、本実施形態に係るカバー付き柱5を備える展示構造物1の外観図を示した。
図1に示されるように、展示構造物1は、環状のオーバーヘッドフレーム2を4つのカバー付き柱5により支持してなるユニットである。なお、カバー付き柱5の上端は、柱取付部3によりオーバーヘッドフレーム2と固定され、カバー付き柱5の下端は、床に載置されたベースプレート4に固定される。
【0019】
オーバーヘッドフレーム2には、照明装置、表示装置等の機器が取り付けられ、これらの機器の配線は、後述するようにカバー付き柱5を構成する柱本体10と、柱本体10を被覆するカバー20との間を通すことにより、外部に露出しないようになっている。これにより、配線を隠すことができるため、展示構造物1の外観を良好なものとすることができる。
【0020】
以下、
図2乃至
図7に基づき、カバー付き柱5の構成の詳細について説明する。まず、各図の概要について説明する。
【0021】
図2には、カバー付き柱5の一部のカバー20を取り外した状態のカバー付き柱5の斜視図を示した。
図3には、柱本体10の正面図を、
図4には、柱本体10の上面図(平面図)を示した。
図5には、カバー20の上面図を示した。
図6には、配線Cを通した状態のカバー付き柱5の斜視図を、
図7には
図6のVII-VII断面図を示した。
【0022】
図2に示されるように、カバー付き柱5は、柱本体10と、カバー20を備える。カバー20は、柱本体10の側部を被覆し、柱本体10から着脱可能な部材である。なお、本実施形態では、4つのカバー20により、柱本体10の周囲を覆うように構成される。
【0023】
ここで、柱本体10の構成の詳細について説明する。
図2乃至
図4に示されるように、柱本体10は、中心部に設けられた芯部11と、芯部11の外側に設けられた環状部12と、芯部11と環状部12とを連結する4つのアーム13とを備える。なお、本実施形態において「外側」とは、芯部11からカバー20に向かう方向であり、その逆方向を「内側」とする。
【0024】
芯部11は、柱本体10の軸方向に延出し、断面が略円環状の部材である。
【0025】
環状部12は、芯部11の周囲において芯部11から離間して設けられており、芯部11から放射状に延出するアーム13により芯部11と連結している。なお、環状部12も、芯部11と同様に、柱本体10の軸方向に延出し、断面が略円環状の部材である。ただし、
図2及び
図4に示されるように、環状部12において、アーム13の連結箇所の間には、環状部12の上端から下端に渡ってスリット12Aが形成されている。スリット12Aには、配線Cを纏めるクリップや照明器具等の部材が取付可能となっている。
また、環状部12においてスリット12Aで分断される左右の部分は、芯部11側に突出するコの字状の連結部12Bにより連結されている。これにより、スリット12Aを上端から下端に渡って形成した場合においても環状部12の強度を高めることができる。
【0026】
アーム13は、上述したように、芯部11から放射状に延出する部材であり、
図2及び
図4に示されるように、4本のアームはそれぞれ延出方向が90度ずつ異なっている。なお、各アーム13の構成は同一であるため、以下では1つのアーム13の構成について説明する。
【0027】
アーム13は、芯部11から環状部12を貫いてさらに外側まで延出している。アーム13の外側端部には、断面が略U字状のU字状端部13Aが設けられている。このU字状端部13Aと、カバー20の端に形成される嵌合部23が嵌合することにより、カバー20が柱本体10に取り付けられる。ここで、カバー20の構成について
図5を参照しながら説明する。
【0028】
図5に示されるように、カバー20は、カバー付き柱5の外周面を構成する外周部21と、外周部21から内側に延出する延出部22とを備える。ここで、外周部21の端部である外周端部21Aと、延出部22とにより構成される部分を嵌合部23とする。なお、カバー20は、合成樹脂等の弾力性のある部材により形成されることとしてよい。
【0029】
そして、
図2、
図7に示されるように、カバー20の嵌合部23を、U字状端部13Aに対向させて内側に押し込むことにより、嵌合部23が弾性変形し、嵌合部23の外周端部21Aと延出部22とがU字状端部13Aの一端13Bを挟持するようにして、嵌合部23とU字状端部13Aとが嵌合する。
一方で、カバー20を柱本体10から取り外す際には、カバー20を外側に引っ張ることにより、嵌合部23が弾性変形しながら、嵌合部23とU字状端部13Aとの嵌合が外れる。これにより、カバー20を柱本体10に容易に着脱することができる。
【0030】
また、アーム13において、環状部12とU字状端部13Aとの間の側面には、取り付け穴部14が形成される。この取り付け穴部14は、穴14A、穴14B、及び長穴14Cから構成される。なお、アーム13の上部に形成された取り付け穴部14によりオーバーヘッドフレーム2に設けられた柱取付部3に固定される。そして、アーム13の下部に形成された取り付け穴部14によりベースプレート4に固定される。こうすることで、カバー付き柱5によりオーバーヘッドフレーム2を安定して支持可能となる。
【0031】
ここで、
図6及び
図7を参照しながら、カバー付き柱5に配線を通した使用状態の一例について説明する。
【0032】
図6及び
図7に示されるように、カバー付き柱5の環状部12と、カバー20との間の空間に配線Cが通される。
図6及び
図7に示す例では、空間S1、空間S2、空間S3に配線Cが通された状態を示している。ここで、各空間に通された配線Cについては、クリップ30により束ねられ、クリップ30の端部30Aがスリット12Aを通じて、連結部12Bにより囲まれる空間内に収まるように取り付けられる。これにより、各空間に通された配線Cを纏めることができ、配線Cの管理が容易となる。
【0033】
また、
図7に示すように、空間S4のスリット12Aには、照明器具40が取り付けられる。そして、カバー20を光の透過性がある部材により構成することで、照明器具40によりカバー付き柱5を光らせることができる。こうすることで、展示構造物1の演出性を高めることができる。
【0034】
以上説明したカバー付き柱5によれば、柱本体10を、芯部11と、環状部12と、芯部11と環状部12とを連結するアーム13とから構成することで、柱本体10の強度を高めることができる。
また、カバー付き柱5によれば、柱本体10に着脱可能なカバー20と、柱本体10との間に配線を収容することができる。こうすることで、カバー付き柱5周りの配線を体裁良く整えることができる。
また、カバー付き柱5によれば、カバー20は柱本体10から着脱可能なため、配線作業を容易とすることができる。
また、カバー付き柱5によれば、アーム13の長さにより配線の収容スペースやカバー付き柱5の外径を調整できる。
また、カバー付き柱5によれば、カバー20と柱本体10とが、カバー20の嵌合部23と、アーム13のU字状端部13Aが嵌合するように構成したことで、カバー20の着脱を容易とすることができる。これにより、カバー20の着脱の作業負荷を軽減できる。
また、カバー20の外周部21を円弧状としたことで、配線の収容スペースを大きくすることができる。
また、4つのアーム13及びカバー20を設けたことで、カバー20と環状部12とにより構成される配線の収容スペースを4つ設けることができる。これにより、異なる種類の配線を別々の収容スペースに配置可能となるため、配線の整理がしやすくなる。
また、アーム13をバランスよく配置したことで柱本体10の強度を向上させることができる。
また、環状部12に、配線を束ねるクリップ30を取付可能なスリット12Aを設けたことで、配線の整理がしやすくなる。
また、環状部12に、照明器具40を取付可能なスリット12Aを設けたことで、カバー付き柱5を内部から光らせることができる。これにより、展示構造物1の演出性を向上できる。
また、スリット12Aを環状部12の上端から下端に渡って形成することで、クリップ30や照明器具40を上下において任意の位置に取り付けることができる。
また、環状部12においてスリット12Aで分断される左右の部分を連結部12Bにより連結したことで、環状部12の剛性を高めることができる。
また、カバー20を、弾性を有する部材により構成することで、カバー20の柱本体10からの着脱が容易となる。また、カバー20を柱本体10から外れにくくすることができる。
【0035】
[その他の実施形態]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。以下、本発明の他の実施形態について
図8及び
図9を参照しながら説明する。
【0036】
図8には、環状部12の変形例について示した。
図8に示されるように、環状部12に形成される連結部12Bはコの字状に限られるものではなく、連結部12Baのように円弧状、連結部12Bbのように三角状、連結部12Bcのように細長い矩形状のように各種形状としてもよい。また、
図8に示されるように連結部12Bを設けないようにしても構わない。
【0037】
また、
図9には、スリット12Aの変形例について示した。上述した実施形態においては、スリット12Aは上端から下端に渡って設けることとしたが、
図9に示されるように、複数のスリット12Aaを上下に所定の間隔を空けて形成することとしてもよい。この場合には、
図9に示されるように、連結部12Bを設けなくともよいが、連結部12Bを設けることとしても構わない。また、複数のスリット12Aaを左右にずらして形成することとしても構わない。なお、スリット12Aaの大きさや数は図示した例に限られるものでないのはもちろんである。
【0038】
また、環状部12は円環形状に限らず、多角形状であってもよい。また、アーム13は4つに限られず、2以上の任意の数としてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 展示構造物
2 オーバーヘッドフレーム
3 柱取付部
4 ベースプレート
5 カバー付き柱
10 柱本体
11 芯部
12 環状部
12A スリット
12Aa スリット
12B 連結部
12Ba 連結部
12Bb 連結部
12Bc 連結部
13 アーム
13A U字状端部
13B 一端
14 取り付け穴部
14A 穴
14B 穴
14C 長穴
20 カバー
21 外周部
21A 外周端部
22 延出部
23 嵌合部
30 クリップ
30A 端部
40 照明器具
C 配線
S1 空間
S2 空間
S3 空間
S4 空間