(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】チェーンテンショナ
(51)【国際特許分類】
F16H 7/08 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
F16H7/08 B
(21)【出願番号】P 2019048463
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100127340
【氏名又は名称】飛永 充啓
(72)【発明者】
【氏名】小西 一平
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-321899(JP,A)
【文献】特開2008-051212(JP,A)
【文献】特開2013-072493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、
前記シリンダ内に軸方向に摺動可能に挿入された筒先部と、前記シリンダから突出した閉端部と、雌ねじ部とを有するプランジャと、
前記プランジャ内に収容された一端部と、前記筒先部から突出した他端部と、前記雌ねじ部にねじ合わされた雄ねじ部とを有するスクリュロッドと、
前記プランジャを前記シリンダから突出させる方向に付勢するリターンスプリングと、
前記リターンスプリングを軸方向に受けるスプリングシートと、
を備え、
前記リターンスプリングが、前記スクリュロッドによって軸方向に支持されており、
前記プランジャの閉端部が、前記プランジャ内の圧力を外部に逃がす油路と、前記油路を開閉するリリーフバルブとを有し、
前記リリーフバルブが、弁体と、前記弁体を受けるバルブシートとを有するチェーンテンショナにおいて、
前記バルブシートが、前記プランジャ内に開放した入口と、前記弁体に合わさるシート面と、前記スプリングシートに軸方向に対向する端面とを一体に有する一部品からなり、
前記バルブシートと前記スプリングシートの対向する端面同士の接触部のうち、一方が平坦面状であり、他方が球面状であり、
前記バルブシートの入口が、前記バルブシートの接触部から外れた部位に形成されていることを特徴とするチェーンテンショナ。
【請求項2】
前記バルブシートが、前記入口から入った空気を前記シート面に合わさった状態の前記弁体との間から外部側へ逃がすように形成された溝を有する請求項1に記載のチェーンテンショナ。
【請求項3】
前記プランジャの閉端部が、前記バルブシートと嵌め合いかつ軸方向に突き合うシート受けを有し、前記バルブシートが、前記シート受けに対する圧入又は接着によって固定されている請求項1又は2に記載のチェーンテンショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車エンジンのカムシャフトを駆動するタイミングチェーンの張力保持に用いられるチェーンテンショナに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジンでは、一般に、クランクシャフトの回転がタイミングチェーン(以下「チェーン」という)を介してカムシャフトに伝達され、そのカムシャフトの回転により燃焼室のバルブの開閉が行われる。ここで、チェーンの張力を適正範囲に保つために、支点軸を中心として揺動可能に設けたチェーンガイドと、そのチェーンガイドを介してチェーンを押圧するチェーンテンショナとからなる張力調整装置が用いられている。
【0003】
このチェーンテンショナとして、有底筒状のシリンダと、そのシリンダ内に軸方向に摺動可能に挿入されたプランジャとを有する油圧式のものがある。このチェーンテンショナは、エンジン作動中にチェーンの張力が大きくなると、そのチェーンの張力によって、プランジャがシリンダ内に押し込まれる方向に移動し、チェーンの緊張を吸収する。一方、エンジン作動中にチェーンの張力が小さくなると、プランジャがシリンダから突出する方向に移動し、チェーンの弛みを吸収する。
【0004】
エンジンが停止したときに、カムシャフトの停止位置によってチェーンの張力が大きくなる場合がある。このとき、チェーンの張力に応じてプランジャが押し込み方向に大きく移動すると、その後、エンジンを始動したときにチェーンが大きく弛み、チェーンのばたつきや歯飛びを生じるおそれがある。
【0005】
これを防止するため、雌ねじ部を有するプランジャと、その雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を有するスクリュロッドと、プランジャをシリンダから突出させる方向に付勢するリターンスプリングと、リターンスプリングの一端を軸方向に受けるスプリングシートとが採用されている。リターンスプリングの他端は、スクリュロッドによって軸方向に支持されている。それら雄ねじ部と雌ねじ部は、鋸歯ねじになっている。すなわち、それら雄ねじ部と雌ねじ部のねじ山において、プランジャをシリンダ内に押し込む方向の荷重を負荷したときに圧力を受ける押込側フランクのフランク角は、プランジャをシリンダから突出させる方向の荷重を負荷したときに圧力を受ける突出側フランクのフランク角よりも大きくなっている(例えば、特許文献1)。
【0006】
特許文献1のチェーンテンショナでは、チェーンが過張力になることを防止するため、プランジャ内の油圧が過剰に高圧となった際に圧力(作動油)を外部へ逃がすための油路と、この油路を開閉するリリーフバルブとが採用されている。これら油路やリリーフバルブは、シリンダ側に設けると加工コストや小型化の点で不利になるため、それぞれプランジャの閉端部の一部として設けられている。
【0007】
そのリリーフバルブは、弁体と、弁体を受けるバルブシートと、弁体をバルブシートに向けて付勢するバルブスプリングと、バルブシートと嵌合されたバルブスリーブとを有する。リリーフバルブは、プランジャの内周に圧入された環状リテーナによって、プランジャの筒先部側へ移動できないように位置決めされている。リテーナとスプリングシートとの間にスペーサが介在している。スペーサは、プランジャ内の圧力をリテーナの貫通孔まで導入する流路を有する。スペーサの流路は、プランジャ内の上流側から圧力(作動油)を導入するため、スペーサとスプリングシートの接触部から外れた部位に形成されている。バルブシートは、リテーナの貫通孔に開放した入口と、弁体に合わさるシート面とを一体に有する。
【0008】
スペーサとスプリングシートの対向する端面同士の接触部のうち、一方が平坦面状に形成され、他方が球面状に形成されている。このため、スペーサとスプリングシートの接触部は略点状に生じている。これは、リターンスプリングを支持するスクリュロッドと共にスプリングシートがプランジャに対して相対的に回転する際の抵抗を極力低減するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1のチェーンテンショナは、リリーフバルブを位置決めするリテーナや、リテーナとスプリングシート間にスペーサを用いる分、部品点数が多くなり、組付けに労力がかかる点で改良の余地がある。
【0011】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、プランジャの閉端部に油路とリリーフバルブを設け、スプリングシートとプランジャとの間の相対回転の際の抵抗を極力低減したチェーテンショナとしつつ、その部品点数を少なくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための第一の手段に係る発明は、シリンダと、前記シリンダ内に軸方向に摺動可能に挿入された筒先部と、前記シリンダから突出した閉端部と、雌ねじ部とを有するプランジャと、前記プランジャ内に収容された一端部と、前記筒先部から突出した他端部と、前記雌ねじ部にねじ合わされた雄ねじ部とを有するスクリュロッドと、前記プランジャを前記シリンダから突出させる方向に付勢するリターンスプリングと、前記リターンスプリングを軸方向に受けるスプリングシートと、を備え、前記リターンスプリングが、前記スクリュロッドによって軸方向に支持されており、前記プランジャの閉端部が、前記プランジャ内の圧力を外部に逃がす油路と、前記油路を開閉するリリーフバルブとを有し、前記リリーフバルブが、弁体と、前記弁体を受けるバルブシートとを有するチェーンテンショナにおいて、前記バルブシートが、前記プランジャ内に開放した入口と、前記弁体に合わさるシート面と、前記スプリングシートに軸方向に対向する端面とを一体に有する一部品からなり、前記バルブシートと前記スプリングシートの対向する端面同士の接触部のうち、一方が平坦面状であり、他方が球面状であり、前記バルブシートの入口が、前記バルブシートの接触部から外れた部位に形成されている構成を採用したものである。
【0013】
上記第一の手段に係る構成によれば、バルブシートとスプリングシートの端面同士が接触し、その接触部の一方が平坦面状、他方が球面状であり、バルブシートの入口が当該接触部から外れた部位でプランジャ内に開放しているので、スペーサを用いずとも、スプリングシートとバルブシートの接触部での回転抵抗を極力低減することができる。
【0014】
具体的には、前記バルブシートが、前記入口から入った空気を前記シート面に合わさった状態の前記弁体との間から外部側へ逃がすように形成された溝を有するとよい。このようにすると、プランジャ内に入り込んだ空気をリリーフバルブの閉止時でもリリーフバルブ経由で外部へ排出することができる。
【0015】
前記プランジャの閉端部が前記バルブシートと嵌め合いかつ軸方向に突き合うシート受けを有し、前記バルブシートが前記シート受けに対する圧入又は接着によって固定されているとよい。このようにすると、リリーフバルブの位置決め用のリテーナを省くことができる。
【0016】
上記の課題を解決するための第二の手段に係る発明は、シリンダと、前記シリンダ内に軸方向に摺動可能に挿入された筒先部と、前記シリンダから突出した閉端部と、雌ねじ部とを有するプランジャと、前記プランジャ内に収容された一端部と、前記筒先部から突出した他端部と、前記雌ねじ部にねじ合わされた雄ねじ部とを有するスクリュロッドと、前記プランジャを前記シリンダから突出させる方向に付勢するリターンスプリングと、前記リターンスプリングを軸方向に受けるスプリングシートと、を備え、前記リターンスプリングが、前記スクリュロッドによって軸方向に支持されており、前記プランジャの閉端部が、前記プランジャ内の圧力を外部に逃がす油路と、前記油路を開閉するリリーフバルブとを有し、前記リリーフバルブが、弁体と、前記弁体を受けるバルブシートとを有するチェーンテンショナにおいて、前記バルブシートと前記スプリングシートとの間に介在するスペーサを備え、前記スペーサが、前記スプリングシートに軸方向に対向する第一端面と、前記バルブシートに軸方向に合わさる第二端面と、前記プランジャ内の圧力を前記バルブシートまで導入する流路とを一体に有する一部品からなり、前記バルブシートが、前記スペーサの流路に開放した入口と、前記弁体に合わさるシート面とを一体に有する一部品からなり、前記スペーサと前記スプリングシートの対向する端面同士の接触部のうち、一方が平坦面状であり、他方が球面状であり、前記スペーサの流路が、前記スペーサの接触部から外れた部位に形成されており、前記スペーサが、前記プランジャに対する圧入又は接着によって固定されている構成を採用したものである。
【0017】
上記第二の手段に係る構成によれば、スペーサの第一端面とスプリングシートの端面同士が接触し、その接触部の一方が平坦面状、他方が球面状であり、スペーサの流路が当該接触部から外れた部位でプランジャ内に開放しているので、スプリングシートとスペーサの接触部での回転抵抗を極力低減することができる。そのスペーサがバルブシートに軸方向に合わさる第二端面を有すると共に、プランジャに対する圧入又は接着によって固定されているので、リテーナを用いずとも、バルブシートをスペーサでプランジャの筒先部側へ移動できないように位置決めすることができる。
【0018】
第二の手段においても、前記バルブシートが、前記入口から入った空気を前記シート面に合わさった状態の前記弁体との間から外部側へ逃がすように形成された溝を有するとよい。プランジャ内に入り込んだ空気をリリーフバルブの閉止時でもスペーサの流路、リリーフバルブ経由で外部へ排出することができる。
【0019】
前記スペーサが、前記プランジャに対する圧入によって固定されており、前記スペーサの前記プランジャとの圧入部が、径方向に突き出た複数の突起からなるとよい。このようにすると、スペーサの複数の突起をプランジャに圧入することになるので、圧入を容易化することができる。
【発明の効果】
【0020】
上述のように、この発明は、上記第一の手段に係る構成の採用により、プランジャの閉端部に油路とリリーフバルブを設け、スプリングシートとプランジャとの間の相対回転の際の抵抗を極力低減したチェーテンショナとしつつ、特許文献1のようなスペーサを省き、部品点数を少なくすることができる。
【0021】
また、この発明は、上記第二の手段に係る構成の採用により、プランジャの閉端部に油路とリリーフバルブを設け、スプリングシートとプランジャとの間の相対回転の際の抵抗を極力低減したチェーテンショナとしつつ、特許文献1のようなリテーナを省き、部品点数を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】この発明の第一実施形態に係るチェーンテンショナを
図3のI-I線に沿った切断面で示す縦断面図
【
図7】この発明の第二実施形態に係るバルブシートを示す部分斜視図
【
図9】この発明の第三実施形態に係るチェーンテンショナの部分縦断面図
【
図12】この発明の第四実施形態に係るチェーンテンショナの部分縦断面図
【
図14】この発明の第五実施形態に係るチェーンテンショナの部分縦断面図
【
図16】この発明の第六実施形態に係るバルブシートの平面図
【
図18】この発明に係るチェーンテンショナを備えるベルト伝動装置の一例を概略的に示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
上述の第一の手段に係る発明の一例としての第一実施形態を添付図面の
図1~
図6に基づいて説明する。
【0024】
図1に示すこのチェーンテンショナは、有底筒状のシリンダ10と、シリンダ10内に軸方向に摺動可能に挿入されたプランジャ20と、プランジャ20とねじ合わされたスクリュロッド30と、スクリュロッド30とシリンダ10間に配置されたチェックバルブ40と、プランジャ20をシリンダ10から突出させる方向に付勢するリターンスプリング50と、リターンスプリング50を軸方向に受けるスプリングシート60と、を備える。
【0025】
ここで、軸方向は、プランジャ20を案内するシリンダ10の円筒面状の内周部の軸線に沿った方向のことをいう。以下、周方向は、その軸線回りの円周方向のことをいい、径方向は、その軸線に対して直角な方向のことをいう。
【0026】
シリンダ10は、円筒面状の内周部を含むシリンダ本体11と、シリンダ本体11の外周に一体に形成された複数のフランジ部11aを有する。フランジ部11aは、このチェーンテンショナをボルトでエンジンブロック(図示省略)の側面に締結するために使用される。
【0027】
プランジャ20は、軸方向の両端で開放した筒体21と、筒体21の一端部に固定されたキャップ22と、キャップ22に取り付けられたリリーフバルブ23とで構成されている。筒体21は、シリンダ10内に軸方向に摺動可能に挿入された筒先部21aと、内周側に形成された雌ねじ部21bとを有する。シリンダ10から突出したプランジャ20の閉端部は、キャップ22とリリーフバルブ23とで構成されている。キャップ22は、筒体21の一端部に対する圧入によって固定されている。なお、キャップ22は、筒体21の一端部に圧入プロジェクション接合で固定してもよい。また、キャップ22相当の部位と筒体21とを一部品で構成してもよい。
【0028】
シリンダ本体11の閉塞側の端部には、シリンダ10とプランジャ20とで囲まれた空間(圧力室)に連通する給油通路11bが形成されている。給油通路11bは、エンジンブロックに形成された油孔(図示省略)を介してオイルポンプ(図示省略)に接続されており、そのオイルポンプから送り出された作動油を圧力室内に導入するためのものである。給油通路11bの圧力室側の端部にチェックバルブ40が設けられている。
【0029】
チェックバルブ40は、弁座を兼ねたロッドシート41と、弁体42と、弁体42をロッドシート41に形成された弁室内に保持するリテーナ43とを有する。ロッドシート41に形成された弁孔41aが弁体42によって開閉される。チェックバルブ40は、給油通路11b側から圧力室側への作動油の流れのみを許容する。
【0030】
プランジャ20とシリンダ10の摺動面間には微小なリーク隙間が形成されている。そのリーク隙間を通って圧力室内の作動油がシリンダ10の外部側にリークするようになっている。
【0031】
エンジン停止時にオイルポンプが停止することで給油通路11b内の油面が下がり、給油通路11b内に大量の空気が溜まった状態となり、エンジンを再始動したときに、給油通路11bから圧力室に空気が流入する。シリンダ10の閉塞側の端部には、圧力室内の空気を外部に逃がすため、シリンダ10の内外を連通するエア抜き通路が設けられている。そのエア抜き通路は、シリンダ本体11の外部側から圧力室まで貫通するねじ孔11cと、ねじ孔11cにねじ合わされた雄ねじ部材12との間に形成される螺旋状の微小なねじ隙間として構成されている。
【0032】
スクリュロッド30は、プランジャ20内に収容された一端部31と、筒先部21aから突出した他端部32と、雌ねじ部21bにねじ合わされた雄ねじ部33とを有する。スクリュロッド30の他端部32は、シリンダ10の閉塞端に軸方向及び径方向に支持されたロッドシート41に当接している。ロッドシート41は、スクリュロッド30とシリンダ10間に介在し、スクリュロッド30をシリンダ10に対して周方向に相対回転できるように軸方向に支持する。
【0033】
プランジャ20の雌ねじ部21bは、プランジャ20をシリンダ10内に押し込む方向の荷重を負荷したときに圧力を受ける押込側フランクと、プランジャ20をシリンダ10から突出させる方向の荷重を負荷したときに圧力を受ける突出側フランクと、押込側フランクと突出側フランクの間に形成されたねじ山頂面とを有する。雌ねじ部21bの押込側フランクのフランク角は、突出側フランクのフランク角よりも大きい鋸歯状に形成されている。
【0034】
同様に、スクリュロッド30の雄ねじ部33も鋸歯状に形成されている。プランジャ20をシリンダ10内に押し込む方向の荷重を負荷したときに圧力を受ける雄ねじ部33の押込側フランクのフランク角は、プランジャ20をシリンダ10から突出させる方向の荷重を負荷したときに圧力を受ける雄ねじ部33の突出側フランクのフランク角よりも大きい。
【0035】
雄ねじ部33の押込側フランクのフランク角は、雌ねじ部21bの押込側フランクのフランク角と同じ大きさである。雄ねじ部33の突出側フランクのフランク角は、雌ねじ部21bの突出側フランクのフランク角と同じ大きさである。その押込側フランクのフランク角は、一般に、軸方向に対して64°~76°の範囲に設定されている。押込側フランクのフランク角を64°以上とすることにより、スクリュロッド30をプランジャ20内に押し込む方向の軸方向荷重がスクリュロッド30とプランジャ20の間に静的に負荷されたときに、雌ねじ部21bの押込側フランクと雄ねじ部33の押込側フランクとの間の滑りが生じるのを確実に防止することができる。また、押込側フランクのフランク角を76°以下とすることにより、上述の軸方向荷重がスクリュロッド30とプランジャ20の間に負荷されたときに、雄ねじ部33と雌ねじ部21bが楔のように噛み込んでロックする事態を防止することができる。
【0036】
雌ねじ部21bの突出側フランクのフランク角は、一般に、軸方向に対して6°~16°の範囲に設定されている。突出側フランクのフランク角を16°以下とすることにより、上述の軸方向荷重がスクリュロッド30とプランジャ20の間に静的に負荷されたときに、雌ねじ部21bの突出側フランクと雄ねじ部33の突出側フランクとの間に滑りを生じさせ、プランジャ20をシリンダ10から突出させる方向にスクリュロッド30とプランジャ20を円滑に相対移動させることができる。
【0037】
リターンスプリング50は、コイルばねからなる。リターンスプリング50の一端は、スプリングシート60を介してプランジャ20の閉端部を押圧している。その押圧によって、プランジャ20はシリンダ10から突出する方向に付勢されている。リターンスプリング50の他端は、スクリュロッド30によって軸方向に支持されている。スクリュロッド30の内周には、リターンスプリング50の外周を径方向に支持する円筒面34が形成されている。その円筒面の他端部32側の段部が、リターンスプリング50の他端を軸方向に受けている。
【0038】
スプリングシート60は、径方向に沿った平坦面状の端面60aと、端面60aよりも小径な胴部60bとを有する。胴部60bは、リターンスプリング50の内方に挿入されている。スプリングシート60は、リターンスプリング50の付勢力を端面60aからプランジャ20の閉端部に伝達する。
【0039】
プランジャ20のキャップ22は、
図1、
図2に示すように、プランジャ20内の圧力を外部に逃がすための油路22aを有する。油路22aの圧力室側の端部にリリーフバルブ23が設けられている。
【0040】
リリーフバルブ23は、弁体24と、弁体24を受けるバルブシート25と、弁体24をバルブシート25に向けて付勢するバルブスプリング26とを有する。
【0041】
弁体24は、鋼球からなる。バルブスプリング26は、コイルばねからなる。バルブシート25は、金属又は樹脂によってバルブシート25の全体が一体に形成された一部品からなる。
【0042】
バルブシート25は、
図2~
図6に示すように、プランジャ20内に開放した入口25aと、弁体24に合わさるシート面25bと、スプリングシート60に軸方向に対向する端面25cと、外径差をもたせた外側段状部25dとを一体に有する。
【0043】
キャップ22は、バルブシート25の外側段状部25dと径方向に嵌め合いかつ軸方向に突き合うシート受け22bを有する。バルブシート25は、シート受け22bに対する圧入又は接着によって固定されている。
【0044】
バルブシート25のシート面25bは、
図2、
図5、
図6に示すように、バルブシート25の出口を規定する表面部であって、内周全周に亘って弁体24に隙間なく接触可能な部位を含むような円錐面状になっている。
【0045】
バルブシート25の端面25cは、
図2~
図4に示すように、スプリングシート60の端面60aに向かって凸の球面状になっている。端面25cの球面状を規定する中心と、端面60aの円板状を規定する中心線とは、軸方向を規定する軸線と同軸上に設定されている。バルブシート25とスプリングシート60の対向する端面25c,60a同士の接触部のうち、一方が平坦面状であり、他方が球面状であるので、その接触部が略点状に生じている。
【0046】
図1に示すスクリュロッド30がプランジャ20に対して相対回転する際、リターンスプリング50の他端を支持するスクリュロッド30と、リターンスプリング50の一端を受けるスプリングシート60とが一体的に回転する。このとき、スプリングシート60がプランジャ20に対して相対回転する。この際のスプリングシート60とプランジャ20との間の相対回転の際の抵抗は、これらの接触部を点状にすることにより、極力低減されている。
【0047】
バルブシート25の入口25aは、
図2に示すように、スプリングシート60の端面60aと軸方向に対向する端面25cのうち、バルブシート25の上述の点状接触部から外れた部位に形成されている。入口25aは、
図3、
図6に示すように、周方向等配の三か所に開口している。これら三か所の入口25aは、シート面25bから軸方向に延びる中心油路に連通している。なお、入口25aの数は、特に問わない。
【0048】
プランジャ20内が設定圧以下のとき、入口25aから導入された圧力がシート面25bに着座する弁体24を押すが、バルブスプリング26の付勢力が勝る。このため、リリーフバルブ23は、油路22aを閉じた状態(閉止状態)に保つ。一方、プランジャ20内が設定圧を超えると、入口25aから導入された圧力にバルブスプリング26が負けて、弁体24がシート面25bから離れる。このため、リリーフバルブ23は、油路22aを開放した状態(開弁状態)になる。この開弁状態のとき、プランジャ20内の作動油は、入口25aからバルブシート25内に流入し、シート面25bと弁体24間の隙間からバルブシート25に対して外部側へ流出し、さらに油路22aを流れて最終的に外部へ流出する。
【0049】
図1に示すチェーンテンショナは、上述のようなものであり、バルブシート25とスプリングシート60の端面25c,60a同士が接触し、その接触部の一方である端面60aの接触部が平坦面状であり、その接触部の他方である端面25cが球面状であり、バルブシート25の入口25aが端面25c中の接触部から外れた部位でプランジャ20内に開放しているので、特許文献1のようなスペーサを用いずとも、スプリングシート60とバルブシート25の接触部での回転抵抗を極力低減することができ、したがって、スプリングシート60とプランジャ20との間の相対回転の際の抵抗を極力低減することできる。
【0050】
また、
図1に示すチェーンテンショナは、そのスペーサの省略によって部品点数を少なくすることができる。
【0051】
また、
図1、
図2に示すチェーンテンショナは、プランジャ20の閉端部がバルブシート25と嵌め合いかつ軸方向に突き合うシート受け22bを有し、バルブシート25がシート受け22bに対する圧入又は接着によって固定されているので、特許文献1のようなリテーナを用いずとも、バルブシート25をプランジャ20の筒先部21a側へ移動できないように位置決めすることができ、より部品点数を少なくすることができる。
【0052】
第一実施形態では、リリーフバルブ23が閉止状態のとき、シート面25bと弁体24の全周接触で油路22aを完全に閉じる例を示したが、チェーンテンショナとしてのダンパ性能に支障のない範囲でシート面と弁体間からのリークを許すことも可能である。その一例としての第二実施形態を
図7、
図8に示す。なお、以下では、第一実施形態との相違点を述べるに留め、対応の構成要素に同一の符号を用いる。
【0053】
図7、
図8に示すように、第二実施形態に係るバルブシート25は、シート面25bを周方向に分断する溝25eを有する。溝25eは、円錐面状のシート面25bから深さをもってシート面25bに沿って延びている。溝25eは、
図8に示すようにシート面25bに合わさった状態の弁体24との間に隙間を形成する。
図2に示すリリーフバルブ23が閉止状態のとき、入口25aから入った空気は、
図8に示す弁体24まで達する。その空気は、弁体24とシート面25bに合わさった領域から外部側へ逃げることはできないが、溝25eと弁体24との間から外部側へ逃げることができる。
【0054】
このように、第二実施形態に係るチェーンテンショナは、バルブシート25が入口25aから入った空気をシート面25bに合わさった状態の弁体24との間から外部側へ逃がすように形成された溝25eを有するので、その空気をリリーフバルブ23の閉止時でもリリーフバルブ23経由で外部へ排出することができる。
【0055】
上述の第一、第二実施形態では、バルブシートの接触部を球面状とし、スプリングシートの接触部を平坦面状とした例を示したが、これを逆にしてもよい。また、リリーフバルブはキャップとバルブケースを兼用としたが、キャップと別体のバルブケースを採用することも可能である。これらの一例として第三実施形態を
図9~
図11に示す。
【0056】
第三実施形態に係るバルブシート25の端面25cは、径方向に沿った平坦面状に形成されている。一方、スプリングシート60の端面60aは、バルブシート25側に凸の球面状に形成されている。
【0057】
バルブシート25の入口25aは、軸方向のみに開放した形状になっている。これは、バルブシート25の軸方向厚さの増大を避けつつ、外側段状部25dの圧入強度を確保するためである。入口25aは第一実施形態よりも狭くなるが、入口25aの数を増やすことで開弁状態のときの作動油の流入性を十分に確保することができる。そこで、入口25aは、周方向等配の四箇所に形成されている。
【0058】
弁体24及びバルブスプリング26は、バルブケース27に収容されている。バルブケース27は、有底筒状であり、キャップ22に嵌め込まれている。バルブケース27は、シート受け27aと、キャップ22に形成された油路22aに連通する開口27bとを有する。バルブシート25は、バルブケース27のシート受け27aに対する圧入又は接着によって固定されている。
【0059】
上述の第一~第三実施形態では、バルブシートの入口が少なくとも軸方向に開放した場合を例示したが、バルブシートの外周のみに開放した入口を採用することも可能である。この一例としての第四実施形態を
図12、
図13に示す。なお、第四実施形態は、第三実施形態からさらに変更したものなので、ここでは第三実施形態との相違点を述べるに留める。
【0060】
バルブシート25の入口25aは、キャップ22のバルブシート25の外周を直径方向に貫通する二箇所に形成されている。キャップ22は、入口25aと径方向に対向する内周面部22cを有する。第四実施形態では、スプリングシート60の端面60aと軸方向に対向する部位の範囲内に限って入口を形成する第一~第三実施形態のような例に比して、バルブシート25の軸方向厚さを増大させることになるが、入口25aからシート面25bまでの油路断面積を広くすることができる利点がある。
【0061】
上述の第二の手段に係るこの発明の一例としての第五実施形態を
図14、
図15に基づいて説明する。以下、第一実施形態との相違点を述べるに留め、対応の構成要素に同じ符号を用いる(適宜、
図1を参照のこと)。
【0062】
第五実施形態に係るチェーンテンショナは、バルブシート25とスプリングシート60との間に介在するスペーサ70を備える。スペーサ70は、金属又は樹脂によってスペーサ70の全体が一体に形成された一部品からなる。
【0063】
スペーサ70は、スプリングシート60に軸方向に対向する第一端面70aと、バルブシート25に軸方向に合わさる第二端面70bと、プランジャ20に圧入された外側面部70cと、プランジャ20内の圧力をバルブシート25まで導入する流路(70d,70e)とを一体に有する。
【0064】
スペーサ70は、プランジャ20に対する圧入又は接着によって固定されている。その圧入又は接着箇所は、スペーサ70のうち、周方向に延びる円弧面状の外側面部70cと、キャップ22の円筒面状の内周面部22c間である。
【0065】
スペーサ70の第一端面70a,第二端面70bは、それぞれ径方向に沿った平坦面状である。
【0066】
スプリングシート60の端面60aは、スペーサ70側に凸の球面状である。端面60aの球面状を規定する中心と、第一端面70aの円板状を規定する中心線とは、軸方向を規定する軸線と同軸上に設定されている。スペーサ70とスプリングシート60の対向する端面70a,60a同士の接触部のうち、一方が平坦面状であり、他方が球面状であるので、その接触部が点状に生じている。したがって、第五実施形態においても、スプリングシート60とプランジャ20の相対回転の際、スペーサ70とスプリングシート60の接触部での回転抵抗を極力低減することができる。
【0067】
スペーサ70の流路は、軸方向に延びる縦流路70dと、径方向に延びる横流路70eとで構成され、かつスペーサ70の上述の接触部から外れた部位に形成されている。縦流路70dは、スペーサ70の外側面部70cを周方向に分断する溝状に延びている。縦流路70dは、周方向等配の四箇所に形成されているが、その数は特に問わない。横流路70eは、スペーサ70の第二端面70bから軸方向に深さをもって径方向に延びる溝状であって、その両端で縦流路70dに交差している。
【0068】
バルブシート25の入口25aは、スペーサ70の横流路70eに向かって開放している。入口25aは、一箇所だけであり、シート面25bから軸方向に延びる中心油路と直通している。入口25aは、スペーサ70の流路に開放した配置であればよく、複数箇所に配置してもよい。
【0069】
第五実施形態に係るチェーンテンショナは、上述のようなものであり、スペーサ70の第一端面70aとスプリングシート60の端面60a同士が接触し、その接触部の一方が平坦面状、他方が球面状であり、スペーサ70の流路(70d,70e)が当該スペーサ70の接触部から外れた部位でプランジャ20内に開放しているので、スプリングシート60とスペーサ70の接触部での回転抵抗を極力低減することができ、したがって、スプリングシート60とプランジャ20との間の相対回転の際の抵抗を極力低減することできる。
【0070】
また、第五実施形態に係るチェーンテンショナは、そのスペーサ70がバルブシート25に軸方向に合わさる第二端面70bを有すると共に、プランジャ20に対する圧入又は接着によって固定されているので、特許文献1のようなリテーナを用いずとも、バルブシート25をスペーサ70でプランジャ20の筒先部21a側へ移動できないように位置決めすることができ、そのリテーナの省略によって部品点数を少なくすることができる。
【0071】
第五実施形態では、スペーサ70の円弧面状の外側面部70cとプランジャ20の内周面部22c間でスペーサ70をプランジャ20に固定したが、スペーサをプランジャに対する圧入によって固定する場合、より圧入し易い固定構造に変更することも可能である。その一例としての第六実施形態を
図16、
図17に示す。なお、第六実施形態は、第五実施形態からさらに変更したものなので、ここでは第五実施形態との相違点を述べるに留める。
【0072】
第六実施形態に係るスペーサ70は、プランジャ20の内周面部22cに対する圧入によって固定されている。スペーサ70は、プランジャ20の内周面部22cと径方向に対向する部位で円弧面状の外側面部70cから径方向に突き出た突起70fを有する。突起70fは、軸方向にバルブシート25側に向かって低くなる楔状になっている。なお、突起70fの高さは、誇張して描いている。外側面部70cの径寸は、第五実施形態よりも小径化されており、外側面部70cは内周面部22cよりも小径である。突起70fは、周方向等配の複数箇所に形成されている。プランジャ20とスペーサ70間の径方向の締め代は、内周面部22cと突起70f間で規定されている。
【0073】
第六実施形態に係るチェーンテンショナは、スペーサ70がプランジャ20に対する圧入によって固定されており、スペーサ70のプランジャ20との圧入部が、径方向に突き出た複数の突起70fからなるので、第五実施形態のようにスペーサ70の外周の大部分(縦流路70d以外の外側面部)をプランジャ20の内周面部22cに圧入する場合に比して、スペーサ70の複数の突起70fだけをプランジャ20に圧入することになるので、その圧入を容易化することができる。
【0074】
なお、第五、第六実施形態においても、スプリングシート60の端面60aを平坦面状とし、スペーサ70の第一端面70aを球面状にすることも可能である。
【0075】
また、第五,第六実施形態においても、
図7、
図8に示す溝25eを採用することにより、プランジャ20内に入り込んだ空気をリリーフバルブ23の閉止時でもスペーサ70の流路(70d~70e)、リリーフバルブ23経由で外部へ排出することができる。
【0076】
このように、上述の第一~第六実施形態は、適宜に組み合わせて採用することが可能である。例えば、第二実施形態は、第三~第四実施形態のいずれとも組み合わせることが可能である。
【0077】
上述の各実施形態のようなチェーンテンショナを備えるチェーン伝動装置を
図18に示す。
図18に示すチェーン伝動装置は、チェーンテンショナ1と、エンジンのクランクシャフト2に固定されたスプロケット3と、カムシャフト4に固定されたスプロケット5とに架け渡されたチェーン6とを備える。チェーン6は、クランクシャフト2の回転をカムシャフト4に伝達する。そのカムシャフト4の回転により燃焼室のバルブ(図示せず)の開閉が行われる。
【0078】
チェーン6には、支点軸7を中心として揺動可能に支持されたチェーンガイド8が接触している。チェーンテンショナ1は、上述の第一~第六実施形態のいずれに相当するものであってもよい。チェーンテンショナ1は、
図1のフランジ部11aにおいてエンジンカバーの外面にボルトで固定されている。プランジャ20の閉端部(キャップ22)は、
図18のチェーンガイド8を介してチェーン6を押圧する(以下、適宜に
図1、
図18を参照のこと)。
【0079】
エンジン作動中にチェーン6の張力が大きくなると、プランジャ20をシリンダ10内に押し込む方向の軸方向荷重によって、プランジャ20の雌ねじ部21bの押込側フランクが、スクリュロッド30の外周の雄ねじ部33の押込側フランクに当接する。その後、チェーン6の振動に伴う雌ねじ部21bと雄ねじ部33の押込側フランク間の滑りが累積することで、スクリュロッド30がプランジャ20に徐々に押し込まれ、これに伴いプランジャ20がシリンダ10に押し込まれる方向に徐々に移動し、チェーン6の緊張を吸収する。このとき、チェーン6の振動に伴う雌ねじ部21bと雄ねじ部33の押込側フラン間の滑りは微小であるため、プランジャ20の移動速度が制限され、ダンパ作用が生じる。
【0080】
一方、エンジン作動中にチェーン6の張力が小さくなったときは、プランジャ20がシリンダ10から突出し、チェーン6の弛みを吸収する。このとき、リターンスプリング50の付勢力によって、プランジャ20の雌ねじ部21bの突出側フランクが、スクリュロッド30の雄ねじ部33の突出側フランクに当接し、その雌ねじ部21bと雄ねじ33の突出側フランク間の滑りによってスクリュロッド30が回転し、プランジャ20はシリンダ10から突出する方向に移動する。
【0081】
また、エンジン停止時に、カムシャフト4の停止位置によってチェーン6の張力が大きくなる場合がある。この場合、チェーン6が振動しないため、プランジャ20の雌ねじ部21bの押込側フランクとスクリュロッド30の雄ねじ部33の押込側フランクとの間に滑りが生じず、スクリュロッド30の位置が固定される。そのため、エンジンを再始動するときに、チェーン6の弛みを生じにくく、円滑なエンジン始動が可能である。
【0082】
このベルト伝動装置では、エンジンブロックの側面(エンジンカバーの内部)に固定する内装式のチェーンテンショナ1を例に挙げて説明したが、この発明は、エンジンカバーの内外を貫通する孔部に取り付ける外装式のチェーンテンショナにも同様に適用することができる。
【0083】
今回開示された各実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0084】
1 チェーンテンショナ
10 シリンダ
20 プランジャ
21a 筒先部
21b 雌ねじ部
22 キャップ
22a 油路
22b,27a シート受け
23 リリーフバルブ
24 弁体
25 バルブシート
25a 入口
25b シート面
25c 端面
25e 溝
30 スクリュロッド
31 一端部
32 他端部
33 雄ねじ部
50 リターンスプリング
60 スプリングシート
60a 端面
70 スペーサ
70a 第一端面
70b 第二端面
70d 縦流路
70e 横流路
70f 突起