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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】スライドブーム
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20230327BHJP
   B05B 17/00 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
A01M7/00 D
B05B17/00 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019061366
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020156422
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】小野 晃靖
(72)【発明者】
【氏名】清塚 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】小久保 直樹
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-005432(JP,A)
【文献】実開昭63-018690(JP,U)
【文献】特開2012-050367(JP,A)
【文献】特開2013-236595(JP,A)
【文献】特開昭61-185131(JP,A)
【文献】実開昭58-094974(JP,U)
【文献】特開平06-074376(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0012673(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 7/00
B05B 17/00
F16L 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な車両(2)に搭載されるスライドブーム(100)であって、
前記車両(2)の一部に対して取り付けられた第1ブーム(110)と、
前記第1ブーム(110)に沿ってスライド移動する第2ブーム(120)と、
前記第1ブーム(110)に沿って張架された線状部材(18)と、
前記第2ブーム(120)に対して取り付けられた電気部品(150B)と、
前記車両(2)に搭載された液体タンクと前記第2ブーム(120)に取り付けられた送液管(121)とを接続する螺旋状をなすホース部(19)と、
前記電気部品(150B)に電力を供給するための配線(14)であって、前記第1ブーム(110)に対する前記第2ブーム(120)の伸縮に追従できる配線(14)と、を備え、
前記ホース部(19)は螺旋形状における所定の内径を有しており、前記配線(14)は前記ホース部(19)の前記内径の範囲内に配置されており、
前記ホース部(19)および前記配線(14)は、支持具(40)を介して前記線状部材(18)に支持されている、スライドブーム(100)。
【請求項2】
前記配線(14)は、第1端が前記車両(2)または前記第1ブーム(110)に取り付けられると共に第2端が前記第2ブーム(120)に取り付けられ、前記第1ブーム(110)に対する前記第2ブーム(120)の伸縮に追従できるよう螺旋状に成形されている、請求項1に記載のスライドブーム(100)。
【請求項3】
前記配線(14)は、複数箇所において、前記支持具(40)を介して前記ホース部(19)に連結されている、請求項1または2に記載のスライドブーム(100)。
【請求項4】
前記支持具(40)は、前記線状部材(18)に摺動自在に係合する係合部と前記配線(14)に連結される第1連結部(41)前記ホース部(19)に連結される第2連結部(42)とを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のスライドブーム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドブームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搭載式または自走式のブームスプレーヤに用いられる多段式のスライドブームが知られている。例えば、特許文献1に記載されたスライドブームは、3段のブームを備えており、3段のブームのそれぞれに噴霧管が設けられている。3段のブームの噴霧管には、薬液等供給用のホースがそれぞれ接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-236595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のブームスプレーヤでは、昼間に農薬(薬液)の散布を行うことが多かったが、近年、夜間に農薬の散布を行ういわゆる夜間散布の需要が高まっている。ブームスプレーヤのブームから散布した薬液を照らすために、ブームスプレーヤの本体またはブームに、作業灯などが設置される場合がある。また、近年のブームスプレーヤには、ドリフトの低減などの目的で、静電散布装置が取り付けられる場合がある。この静電散布装置は、噴霧した薬液に静電気を与えることにより、その薬液を作物に確実に付着させる。
【0005】
夜間散布においては、ブームスプレーヤの本体からブームの先端部分に向けて投光しても、薬液の霧の影響で、先端部分から噴霧された薬液に対する光の照射が不十分になり得る。そこで、ライトをブームの先端付近に近づけ、霧の影響を低減する等の対策が採られる。一方、上記した静電散布装置は、ノズルの1つ1つに対して取り付けられる。したがって、これらのライトや静電散布装置などの電装品に、ワイヤハーネス(配線)を介して電力を供給する必要がある。
【0006】
スライドブームを備えるブームスプレーヤに取り付けられた電装品に電力を供給するには、ブームのスライド(伸長および収縮)に、配線を追従させる必要がある。スライドブームは、コイル状の薬液ホース(コイルホース)を有するが、その場合、配線をこの薬液ホースに沿わせ、バンドで縛り付けて固定する方法が採られる。薬液ホースに固定された配線は、ブームのスライドに追従し得るが、結束のための大量のバンドが必要になる。また、配線が薬液ホースに沿わされているので、配線の全長が長くなってしまう。このように、配線の取付け構造が複雑である。
【0007】
本発明は、多段式のブームに対して配線を収まりよく設置することができるスライドブームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、走行可能な車両(2)に搭載されるスライドブーム(100)であって、車両(2)の一部に対して取り付けられた第1ブーム(110)と、第1ブーム(110)に沿ってスライド移動する第2ブーム(120)と、第1ブーム(110)に沿って張架された線状部材(18)と、第2ブーム(120)に対して取り付けられた電気部品(150B)と、車両(2)に搭載された液体タンクと第2ブーム(120)に取り付けられた送液管(121)とを接続する螺旋状をなすホース部(19)と、電気部品(150B)に電力を供給するための配線(14)であって、第1ブーム(110)に対する第2ブーム(120)の伸縮に追従できる配線(14)と、を備え、ホース部(19)は螺旋形状における所定の内径を有しており、配線(14)はホース部(19)の内径の範囲内に配置されており、ホース部(19)および配線(14)は、支持具(40)を介して線状部材(18)に支持されている
【0009】
このスライドブーム(100)では、第2ブーム(120)に対して、電気部品(150B)が取り付けられている。この電気部品(150B)へは、配線(14)を介して、電力が供給される。第2ブーム(120)が第1ブーム(110)に沿ってスライド移動することで伸縮すると、配線(14)はこの第2ブーム(120)の伸縮に追従する。このとき、螺旋状をなすホース部(19)も、第2ブーム(120)の伸縮に追従して伸縮するが、配線(14)は、ホース部(19)の内側に配置されているので、ホース部(19)と配線(14)とが互いに干渉することがない。このように、電力供給用の配線(14)をホース部(19)の内側に配置することで、配線(14)を収まりよく設置することができる。
【0010】
配線(14)は、第1端が車両(2)または第1ブーム(110)に取り付けられると共に第2端が第2ブーム(120)に取り付けられ、第1ブーム(110)に対する第2ブーム(120)の伸縮に追従できるよう螺旋状に成形されていてもよい。螺旋状に成形された配線(14)は、第2ブーム(120)の伸縮に追従して、ホース部(19)とともに伸縮する。よって、第2ブーム(120)の伸縮に配線(14)を追従させやすい。配線(14)自体が螺旋状の形状を維持できるので、配線(14)を収まりよく設置することができる。また、配線(14)の内径は、ホース部(19)の内径よりも小さくなるので、コストダウンにもつながる。
【0011】
配線(14)は、複数箇所において、支持具(40)を介してホース部(19)に連結されていてもよい。この場合、配線(14)はホース部(19)と一緒に動く(伸縮する)ので、配線(14)の姿勢が安定する。ホース部(19)に対する位置関係も一定であるので、配線(14)に余分な外力が加わることがなく、配線(14)の長寿命化にも寄与する。
【0013】
支持具(40)は、線状部材(18)に摺動自在に係合する係合部と配線(14)に連結される第1連結部(41)ホース部(19)に連結される第2連結部(42)とを含んでもよい。線状部材に対して配線(14)を支持する支持具(40)は、配線(14)の保持を容易にする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、多段式のブームを備えるスライドブーム(100)において、配線(14)を収まりよく設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のスライドブームの一実施形態を備えたブームスプレーヤの斜視図である。
図2図1中のスライドブームを前方から見て示す斜視図である。
図3図2のスライドブームの側面図である。
図4】電気部品の一例としての光照射装置に係る電気系統を示す模式図である。
図5図2の一部を拡大して示す図であり、線状部材に対して吊設されたホース部および配線を示す図である。
図6】線状部材に対して支持具を介して吊設されたホース部および配線を示す図である。
図7図6中の支持具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
図1に示されるように、ブームスプレーヤ1は、車輪を備えた走行可能な車両2と、車両2に搭載された本実施形態のスライドブーム100とを有する。ブームスプレーヤ1は、圃場において車両2を走行させながら、車両2に搭載された液体タンク10に貯留された薬液等の液体を散布する。図示例では、自走式の車両2を有するブームスプレーヤ1を示しているが、車両は、トラクタ等の自走機体に牽引されることによって、走行してもよい。以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」は、特に断らない限り、ブームスプレーヤ1を基準とする。
【0021】
スライドブーム100は、車両2の後部において左右の一端又は両端に取り付けられている。なお、図1では、車両前方に向かって右側に配置されたスライドブーム100のみを示している。スライドブーム100は、車両2に接続される基端ブームと基端ブームに接続される先端ブームとを含む多段式のスライドブーム(伸縮ブーム)である。スライドブーム100は、第1ブーム110と、第1ブーム110に沿ってスライド移動する第2ブーム120と、第2ブーム120に沿ってスライド移動する第3ブーム130と、を備えている。
【0022】
第1ブーム110は、一方向に延びる長尺部材である。第1ブーム110の基端は、第1ブーム110が水平方向及び上下方向のそれぞれに対して揺動可能となるように、車両2の後部を構成するフレーム3に取り付けられている。薬液が散布される場合、例えばスライドブーム100の長さ方向が水平方向に沿うように、第1ブーム110の揺動が制御される。
【0023】
図2に示されるように、第1ブーム110には、筒状の送液管111が取り付けられている。送液管111は、第1ブーム110の長さ方向に沿って配置されるように、固定部材によって第1ブーム110の下部に固定されている。送液管111には、複数のノズル111aが長さ方向に沿って互いに離間して配置されている。送液管111は、例えば接続ホースを介して液体タンク10に接続されている。ノズル111aは、第1ブーム110の長さ方向が水平方向に沿った状態において、その噴射口が下向きになるように配置されている。
【0024】
第2ブーム120は、一方向に延びる長尺部材である。第2ブーム120には、筒状の送液管121が取り付けられている。送液管121は、第2ブーム120の長さ方向に沿って配置されるように、固定部材によって第2ブーム120の下部に固定されている。送液管121には、複数のノズル121aが長さ方向に沿って互いに離間して配置されている。ノズル121aは、第2ブーム120の長さ方向が水平方向に沿った状態において、その噴射口が下向きになるように配置されている。
【0025】
第3ブーム130は、一方向に延びる長尺部材である。第3ブーム130には、筒状の送液管131が取り付けられている。送液管131は、第3ブーム130の長さ方向に沿って配置されるように、固定部材によって第3ブーム130の下部に固定されている。送液管131には、複数のノズル131aが長さ方向に沿って互いに離間して配置されている。ノズル131aは、第3ブーム130の長さ方向が水平方向に沿った状態において、その噴射口が下向きになるように配置されている。
【0026】
3段式の伸縮ブームであるスライドブーム100において、第2ブーム120は、第1ブーム110の外側において第1ブーム110に支持されており、第1ブーム110の長さ方向に沿ってスライド移動する。たとえば、第2ブーム120は、第1ブーム110内に嵌まり込んでいる。第1ブーム110と第2ブーム120との間には複数のスライドローラが配設されており、それによって、第2ブーム120が第1ブーム110に対してスムーズにスライド移動可能になっている。
【0027】
第3ブーム130は、第2ブーム120の外側において第2ブーム120に支持されており、第2ブーム120の長さ方向に沿ってスライド移動する。第3ブーム130は、第1ブーム110および第2ブーム120に沿って、スライド移動する。たとえば、第3ブーム130は、第2ブーム120内に嵌まり込んでいる。第2ブーム120と第3ブーム130との間には複数のスライドローラが配設されており、それによって、第3ブーム130が第2ブーム120に対してスムーズにスライド移動可能になっている。
【0028】
たとえば使用者による操作に基づいて、図示しない駆動装置が作動して、これらの第2ブーム120および第3ブーム130の進出および縮退が可能となっている。
【0029】
図1図2および図3に示されるように、第1ブーム110の基端には、上方へ延びる支柱117A、及び、傾斜して上方に延びる支柱117Bが固定されている。第1ブームの先端には、上方へ延びる支柱117Cが固定されている。支柱117Cの途中には、支柱117Bと同じ側の側方に水平に突出する支持部117Dが形成されている。第2ブーム120の基端には、上下方向に延びる支柱127Aが固定されている。第2ブーム120の先端には、上方へ延びる支柱127Bが固定されている。
【0030】
支柱117Aの上端部と支柱117Cの上端部との間、支柱117Bの上端部と支持部117Dの先端部との間、及び、支柱127Aと支柱127Bとの間には、ワイヤ18、ワイヤ28、およびワイヤ38がそれぞれ張架されている。ワイヤ18、ワイヤ28、およびワイヤ38は、それぞれ、直線状をなす線状部材である。ワイヤ18,28は、第1ブーム110に沿って張架されており、ワイヤ38は第2ブーム120に沿って張架されている。ワイヤ18,28,38は互いに平行とされている。ワイヤ18,28,38の基端側には、コイルホース19,29,39がそれぞれ吊設されている(詳しくは後述)。
【0031】
コイルホース19,29,39は、それぞれ、互いに平行な中心軸線を有する螺旋状をなしており、各中心軸線に沿って延びる伸縮自在のチューブ状部材である。コイルホース19の第1端は、支柱117Aに設けられた配管を介して液体タンク10に接続されている。コイルホース19の第2端は、可撓性を有する連結ホース17に接続されている。連結ホース17は、第2ブーム120の外側部において、第2ブーム120の長さ方向に沿って固定された送液管121に接続されている。すなわち、コイルホース19は、液体タンク10と送液管121とを接続する。コイルホース19の第1端は第1ブーム110の基端部(一部)に取り付けられ、第2端は第2ブーム120の基端部(一部)に取り付けられている。これらの構成により、散布すべき農薬等がコイルホース19、連結ホース17を経て第2ブーム120の送液管121に供給される。
【0032】
連結ホース17が送液管121に接続されているため、第2ブーム120が第1ブーム110に対してスライドした場合に、コイルホース19が連結ホース17に引っ張られてワイヤ18に沿って伸びる。逆に第2ブーム120が戻るときは、コイルホース19が縮む。
【0033】
コイルホース29の第1端は、支柱117Bに設けられた配管を介して液体タンクに接続されている。コイルホース29の第2端は、第2ブーム120の基端に固定された配管27を介してコイルホース39の第1端に接続されている。コイルホース39の第2端は、可撓性を有する連結ホース37に接続されている。連結ホース37は、第3ブーム130の外側部において、第3ブーム130の長さ方向に沿って固定されている送液管131に接続されている。すなわち、コイルホース29およびコイルホース39は、液体タンク10と送液管131とを接続する。コイルホース29の第1端は第1ブーム110の基端部(一部)に取り付けられ、第2端は第2ブーム120の基端部(一部)に取り付けられている。コイルホース29の第1端は第2ブーム120の基端部(一部)に取り付けられ、第2端は第3ブーム130の基端部(一部)に取り付けられている。これらの構成により、散布すべき農薬等がコイルホース29、配管27、コイルホース39、連結ホース37を経て第3ブーム130の送液管131に供給される。
【0034】
配管27が第2ブーム120の支柱127Aに固定されているため、第2ブーム120が第1ブーム110に対してスライドした場合に、コイルホース29が配管27に引っ張られてワイヤ28に沿って伸びる。逆に第2ブーム120が戻るときは、コイルホース29が縮む。また連結ホース37が第3ブーム130の基端において送液管131に接続されているため、第3ブーム130が第2ブーム120に対してスライドした場合に、コイルホース39が連結ホース37に引っ張られてワイヤ38に沿って伸びる。逆に第3ブーム130が戻るときは、コイルホース39が縮む。
【0035】
そして、送液管121,131には、軸線方向に沿って複数のノズル121a,131aが設けられており、このノズル121a,131aから散布すべき農薬等が噴霧されるようになっている。
【0036】
さらに、スライドブーム100は、たとえば夜間散布の需要に適応すべく、各ブームに取り付けられた光照射装置(電気部品)150を備えている。図4は、光照射装置150に係る電気系統を示す模式図である。図4に示されるように、スライドブーム100は、各ブームの長さ方向に沿って配置される光照射装置150A,150B,150Cを備えている。光照射装置150Aは、第1ブーム110に取り付けられている。光照射装置150Bは、第2ブーム120に取り付けられている。光照射装置150Cは、第3ブーム130に取り付けられている。光照射装置150A,150B,150Cは、それぞれ、複数のノズル111a,121a,131aの噴射範囲に光を照射するように配置されている。すなわち、光照射装置150は、複数のノズル111a,121a,131aから噴射される薬液を照射するように配置されている。
【0037】
光照射装置150は、たとえば、いずれも車両2に搭載された電源5と電気的に接続されている。電源5には、ワイヤーハーネス6の第1端が電気的に接続されている。ワイヤーハーネス6の中間には、ワイヤーハーネス6の通電を制御するスイッチ7が接続されている。なお、図4では、車両2が省略されているが、電源5及びスイッチ7は、車両2に搭載されていてよい。
【0038】
ワイヤーハーネス6の第2端には、カールコード(第1の配線)14の第1端およびカールコード(第2の配線)24の第1端がそれぞれ電気的に接続されるとともに、第1光照射装置150Aのワイヤーハーネス155が電気的に接続されている。また、カールコード14の第2端には、第2光照射装置150Bのワイヤーハーネス155が電気的に接続されている。また、カールコード24の第2端には、カールコード(第3の配線)34の第1端が電気的に接続され、さらにカールコード34の第2端には、第3光照射装置150Cのワイヤーハーネス155が電気的に接続されている。
【0039】
カールコード14は、第2光照射装置150Bに電力を供給するための配線である。カールコード24およびカールコード34は、第3光照射装置150Cに電力を供給するための配線である。各カールコード14,24,34は、螺旋状に成形されている。各カールコード14,24,34は、所定の内径を有しており、それ自体が螺旋状の形状すなわちコイル形状を維持できるように構成されている。各カールコード14,24,34は、たとえば、内部の導線と、導線を被覆する被覆部材とを含む。被覆部材は、各カールコード14,24,34の螺旋形状を維持するとともに、各カールコード14,24,34を伸縮自在とする。
【0040】
カールコード14およびカールコード24は、第1ブーム110に対する第2ブーム120の伸縮に追従できるように構成されている。カールコード14は、コイルホース19と同様にワイヤ18に沿って配置されている。カールコード24は、コイルホース29と同様にワイヤ28に沿って配置されている。カールコード14およびカールコード24は、それぞれ、少なくとも第1ブーム110よりも大きい長さを有している。カールコード14およびカールコード24は、それぞれ、第2ブーム120が伸ばされた(進出した)状態において、第1ブーム110に沿って伸長可能になっている。
【0041】
カールコード34は、第2ブーム120に対する第3ブーム130の伸縮に追従できるように構成されている。カールコード34は、コイルホース39と同様にワイヤ38に沿って配置されている。カールコード34は、少なくとも第2ブーム120よりも大きい長さを有している。カールコード34は、第3ブーム130が伸ばされた(進出した)状態において、第2ブーム120に沿って伸長可能になっている。
【0042】
例えば、使用者がスイッチ7を操作すると、電源5から供給される電力によって第1光照射装置150A、第2光照射装置150B、および第3光照射装置150Cが点灯する。なお、スイッチ7の操作によって、第1光照射装置150A、第2光照射装置150B、および第3光照射装置150Cのうちのいずれか1つ又は2つのみに電力が供給されてもよい。
【0043】
続いて、図5図7を参照して、コイルホース19,29,39およびカールコード14,24,34の支持構造について説明する。図5および図5は、ワイヤ18,28,38に対して吊設されたコイルホース19,29,39およびカールコード14,24,34を示す図である。図7は、図6中の支持具40を示す斜視図である。図5および図6に示されるように、各カールコード14,24,34は、各コイルホース19,29,39の内側に配置されている。各カールコード14,24,34および各コイルホース19,29,39は、中心軸線方向から見た場合にいずれも円形であるが、各カールコード14,24,34の外径は、各コイルホース19,29,39の内径よりも小さい。
【0044】
各カールコード14,24,34は、各コイルホース19,29,39に対して、複数箇所において連結されている。各カールコード14,24,34と、各コイルホース19,29,39との間には、所定の大きさの間隙が形成されており、その間隙に、各カールコード14,24,34および各コイルホース19,29,39を保持(支持)するための複数の支持具40が配設されている。支持具40は、各カールコード14,24,34の外側でかつ各コイルホース19,29,39の内側に配置されて、これらを互いに連結する。各コイルホース19,29,39は、複数の支持具40を介して、各ワイヤ18,28,38に吊設(支持)される。各カールコード14,24,34は、複数の支持具40を介して、各ワイヤ18,28,38に吊設(支持)される。
【0045】
たとえば、各カールコード14,24,34の巻き数は、各コイルホース19,29,39の巻き数に等しい。支持具40は、たとえば、N巻きに1つの割合で、設けられている(Nは自然数)。Nが2である場合、支持具40は、各カールコード14,24,34および各コイルホース19,29,39に対して、2巻きの1つの割合で設けられる(図5参照)。支持具40が設置される個数は、特に限定されない。各支持具40は、上下に位置する各コイルホース19,29,39の1巻きおよび各カールコード14,24,34の1巻きに対して接続され、これらを連結する。各支持具40によって連結されたコイルホース19およびカールコード14、コイルホース29およびカールコード24、コイルホース39およびカールコード34は、それぞれ、巻き位置(ターン部)が一致した状態で、伸縮するようになっている。言い換えれば、支持具40によって、互いのターン部の位置関係が対応するように拘束されている。なお、各カールコード14,24,34の巻き数が、各コイルホース19,29,39の巻き数の約数または倍数であってもよい。
【0046】
図7を参照して、支持具40について説明する。支持具40は、上下方向に長い矩形の枠体45と、枠体45の下壁部および上壁部にそれぞれ設けられた下連結部(第1連結部)41および上連結部(第2連結部)42と、下連結部41および上連結部42に固定されて枠体45の下壁部および上壁部をそれぞれ貫通する下連結ピン47および上連結ピン48と、下連結ピン47の先端および上連結ピン48の先端の間に連結された円形のリング(係合部)43とを含む。枠体45は、スライドブーム100の長さ方向に開放されており、内部にリング43を収容する。下連結ピン47および上連結ピン48は、1つの回転軸線を有するように上下方向線上に配置されており、枠体45に対して回転可能である。リング43の側部は、枠体45の一対の側壁に形成された一対のスリット45aに嵌入しており、枠体45に対して上下方向線周りに回転不能になっている。
【0047】
下連結部41および上連結部42には、それぞれ、スライドブーム100の長さ方向に貫通する貫通孔41aおよび貫通孔42aが形成されている。図5および図6に示されるように、たとえば、これらの貫通孔41aおよび貫通孔42aに通された樹脂バンド51,52によって、下連結部41が各カールコード14,24,34に連結され、上連結部42が各コイルホース19,29,39に連結されている。そして、リング43内の挿通孔43aに、各ワイヤ18,28,38が挿通されている。これらの構造により、各コイルホース19,29,39、その内側の各カールコード14,24,34、および複数の支持具40からなる組立体が、各ワイヤ18,28,38に吊設(支持)されている。支持具40は、ホースを案内するホースガイドであると同時に、電気配線を案内する配線ガイドである。
【0048】
上記構造では、各支持具40のリング43は、各ワイヤ18,28,38に摺動自在に係合している。そして、下連結部41が各カールコード14,24,34に連結され、上連結部42が各コイルホース19,29,39に連結されている。コイルホース19およびカールコード14、コイルホース29およびカールコード24、コイルホース39およびカールコード34が、それぞれ伸縮する際、各コイルホース19,29,39と各カールコード14,24,34が上下左右に揺れ動くことがあっても、支持具40を介して、それらの動きが抑制される。その結果として、伸縮途中の各コイルホース19,29,39と各カールコード14,24,34の姿勢が安定する。下連結ピン47および上連結ピン48が枠体45に対して回転可能であるので、各ワイヤ18,28,38と、各コイルホース19,29,39および各カールコード14,24,34との間の相対移動がある程度許容されるようになっている。
【0049】
このスライドブーム100では、第2ブーム120および第3ブーム130に対して、光照射装置150が取り付けられている。この光照射装置150へは、各カールコード14,24,34を介して、電力が供給される。これにより、夜間散布など、周囲が暗い状況においても、噴霧される薬液を視認し易くすることができる。第2ブーム120が第1ブーム110に沿ってスライド移動することで伸縮すると、各カールコード14,24はこの第2ブーム120の伸縮に追従する。このとき、螺旋状をなす各コイルホース19,29も、第2ブーム120の伸縮に追従して伸縮するが、各カールコード14,24は、各コイルホース19,29の内側に配置されているので、各コイルホース19,29と各カールコード14,24とが互いに干渉することがない。このように、電力供給用のカールコード14,24をコイルホース19,29の内側に配置することで、カールコード14,24を収まりよく設置することができる。この効果は、第3ブーム130と、カールコード34およびコイルホース39との関係においても同様に奏される(以下の各効果についても同様のことが言える)。従来は、配線をホース部に沿わせるように設置していたが、その場合には大量のバンドが必要になり、また、配線の全長が長くなってしまっていた。本実施形態のスライドブーム100によれば、そのような問題が解決されている。なお、本実施形態のように、3段式のスライドブーム100が採用される場合には、第2ブーム120が特許請求の範囲に記載の「第2ブーム」に相当してもよく、第3ブーム130が特許請求の範囲に記載の「第2ブーム」に相当してもよい。第3ブーム130が特許請求の範囲に記載の「第2ブーム」に相当する場合には、第1ブーム110および第2ブーム120が、特許請求の範囲に記載の「第1ブーム」に相当してもよい。
【0050】
螺旋状に成形されたカールコード14,24は、第2ブーム120の伸縮に追従して、コイルホース19,29とともに伸縮する。よって、第2ブーム120の伸縮にカールコード14,24を追従させやすい。カールコード14,24自体が螺旋状の形状を維持できるので、カールコード14,24を収まりよく設置することができる。また、カールコード14,24の内径は、コイルホース19,29の内径よりも小さくなるので、コストダウンが実現される。
【0051】
カールコード14,24は、複数箇所においてコイルホース19,29に連結されていている。この場合、カールコード14,24はコイルホース19,29と一緒に動く(伸縮する)ので、カールコード14,24の姿勢が安定する。コイルホース19,29に対する位置関係も一定であるので、カールコード14,24に余分な外力が加わることがなく、カールコード14,24の長寿命化にも寄与する。
【0052】
各カールコード14,24が各ワイヤ18,28に支持されるので、各カールコード14,24の姿勢が常に安定する。
【0053】
各ワイヤ18,28に対して各カールコード14,24を支持する支持具40は、各カールコード14,24の保持を容易にする。
【0054】
支持具40は、コイルホース19,29および各カールコード14,24の両方を保持する。支持具40によって保持されたコイルホース19,29およびカールコード14,24は、ワイヤ18,28に沿ってスムーズに移動することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。たとえば、線状部材として、ワイヤ以外の素材が用いられてもよい。電気部品は、光照射装置である場合に限られず、その他の部品または装置であってもよい。たとえば、電気部品が、噴霧した薬液に静電気を与えるための静電散布装置であってもよい。
【0056】
コイルホース19およびコイルホース29の第1端は、第1ブーム110ではなく車両2の一部に取り付けられていてもよい。支持具40は、下連結部41のみが各カールコード14,24,34に連結されていてもよく、上連結部42のみが各コイルホース19,29,39に連結されていてもよい。支持具40の枠体、リング、または連結部等の具体的構成は、適宜、変更されてもよい。支持具がワイヤ上をスライド可能とする手段や、コイルホースとカールコードをホースガイドが把持する手段は、特に限定されない。
【0057】
ホース部の内側に配置された配線が、螺旋状に成形されていなくてもよい。ホース部の内側に配置された配線が、螺旋状以外の他の形状、たとえば波線状に成形されていてもよく、直線状に成形されていてもよい。ホース部の内側に配置された配線が、特に定形性を有しないが、その配線が蛇腹状の保護部材に収納されていてもよい。
【0058】
コイルホース19、コイルホース29、およびコイルホース39のうちの一部または全部が設けられなくてもよい。これらのホース部が省略される場合でも、スライドブームは、第2ブーム120または第3ブーム130の伸縮に追従できるよう螺旋状に成形されたカールコード(配線)を備えてもよい。その場合に、カールコードが、第2ブーム120または第3ブーム130に沿って張架されたワイヤに直接支持されてもよいし、当該ワイヤに対して、支持具によって支持されてもよい。ワイヤまたは支持具が省略され、カールコードのみが設けられてもよい。コイルホースが無いような場合においても、螺旋状に成形された配線が、ブームのスライドによる伸縮に追従できる。
【0059】
コイルホース29、カールコード24およびワイヤ28が省略されてもよい。コイルホース39、カールコード34およびワイヤ38が省略されてもよい。2段式の伸縮ブームであるスライドブームに、本発明が適用されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…ブームスプレーヤ、2…車両、3…フレーム(車両の一部)、14…カールコード(配線)、18…ワイヤ(線状部材)、19…コイルホース(ホース部)、24…カールコード(配線)、28…ワイヤ(線状部材)、29…コイルホース(ホース部)、34…カールコード(配線)、38…ワイヤ(線状部材)、39…コイルホース(ホース部)、40…支持具、41…下連結部(第1連結部)、42…上連結部(第2連結部)、43…リング(係合部)、110…第1ブーム、120…第2ブーム、130…第3ブーム、150…光照射装置(電気部品)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7