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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】眼科装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/00 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
A61B3/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019068648
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020163014
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】上野 慎悟
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 亮輔
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特許第6217890(JP,B2)
【文献】特開平05-237060(JP,A)
【文献】国際公開第2009/093641(WO,A1)
【文献】特表2015-527913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼のデータを光学的に取得する眼科装置であって、
前記被検眼で反射された光に基づいて前記被検眼を光学的に検査する検査光学系を有する装置本体部と、
前記装置本体部を支持するとともに上下方向と前後方向と前記上下方向および前記前後方向に直交する左右方向とを有する座標系において前記装置本体部を任意の座標に位置決めする駆動機構と、
を備え、
前記駆動機構は、
水平方向または鉛直方向に延びた軸を中心として回転する2つ以上のアームと、
前記2つ以上のアームを回転させる3つ以上のアーム駆動部と、
前記水平方向および前記鉛直方向のいずれか一方に延びた2つ以上の第1軸と、
前記水平方向および前記鉛直方向のいずれか他方に延びた3つ以上の第2軸と、
前記アームに設けられるとともに前記アームの回転に応じて回転し前記装置本体部の姿勢を保持するタイミングベルトと、
を有し、
前記タイミングベルトは、
前記2つ以上のアームのうちの第1アームが嵌められた第1軸部と、前記2つ以上のアームのうちの第2アームが嵌められた第2軸部と一方の端部において一体的に形成されたプーリと、の間に掛けられた第1タイミングベルトと、
前記第2軸部と他方の端部において一体的に形成されたプーリと、前記第2軸部とは反対側の端部において前記第2アームを貫通した第3軸部と一体的に形成されたプーリと、の間に掛けられた第2タイミングベルトと、
前記2つ以上のアームのうちの第3アームが嵌められた第4軸部と、前記装置本体部を支持する支持部と一体的に形成された第5軸部と、の間に掛けられた第3タイミングベルトと、
を有し、前記姿勢を保持して前記検査光学系の光軸を前記被検眼に向かう方向に合わせることを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
前記第1アームは、前記第1軸部に対して前記第2軸を中心として回転し、
前記第2アームは、前記第2軸部に対して前記第2軸を中心として回転し、
前記第3アームは、前記第4軸部に対して前記第1軸を中心として回転し、
前記アーム駆動部は、
前記第1アームを回転させる第1アーム駆動部と、
前記第2アームを回転させる第2アーム駆動部と、
前記第3アームを回転させる第3アーム駆動部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記第1軸部の径は、前記第2軸部と前記一方の端部において一体的に形成された前記プーリの径と同じであり、
前記第2軸部と前記他方の端部において一体的に形成された前記プーリの径は、前記第3軸部と一体的に形成された前記プーリの径と同じであり、
前記第4軸部の径は、前記第5軸部の径と同じであることを特徴とする請求項1または2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記駆動機構を介して前記装置本体部を支持し方向自在に設けられた車輪を有するスタンドをさらに備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記スタンドは、電源を含む重量物を収納する収納部を有することを特徴とする請求項に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記駆動機構は、前記装置本体部に対して着脱自在に設けられ、前記装置本体部とは異なる他の検査装置に着脱自在とされたことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項7】
一方の端部において病棟内の固定部分に取り付けられ、他方の端部において前記駆動機構を介して前記装置本体部を支持する吊り下げアームをさらに備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の眼科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、装置本体部が駆動部を介してベース部に設けられて構成された眼科装置が開示されている。特許文献1に記載された装置本体部には、被検眼の眼圧を測定する眼圧測定部と、被検眼のその他の光学特性(眼特性)を測定する眼特性測定部と、が設けられている。
【0003】
特許文献1に記載された駆動部は、装置本体部をベース部に対して、上下方向(Y軸方向)と、前後方向(Z軸方向)と、それらに直交する左右方向(X軸方向)と、に移動させる。具体的には、特許文献1に記載された駆動部は、Y軸駆動部分とZ軸駆動部分とX軸駆動部分とを有し、ベース部に対して装置本体部を上下方向(Y軸方向)と前後方向(Z軸方向)と左右方向(X軸方向)とにスライド移動させるスライド機構として機能する。
【0004】
しかし、測定部や撮影部などを含む検査部が設けられた装置本体部をスライド移動させるスライド機構が設けられていると、駆動部が大掛かりになり、眼科装置の小型化を図ることが困難である。また、眼科装置の小型化を図ることが困難であるため、病棟内における眼科装置の省スペース化や移動が困難である。このように、特許文献1に開示された眼科装置には、眼科装置の小型化を図ることが困難である点において改善の余地がある。そこで、駆動部を簡素化し、眼科装置の小型化を図ることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-51337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、装置の小型化を図ることができる眼科装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、被検眼のデータを光学的に取得する眼科装置であって、前記被検眼で反射された光に基づいて前記被検眼を光学的に検査する検査光学系を有する装置本体部と、前記装置本体部を支持するとともに上下方向と前後方向と前記上下方向および前記前後方向に直交する左右方向とを有する座標系において前記装置本体部を任意の座標に位置決めする駆動機構と、を備え、前記駆動機構は、水平方向または鉛直方向に延びた軸を中心として回転する2つ以上のアームと、前記2つ以上のアームを回転させる3つ以上のアーム駆動部と、前記水平方向および前記鉛直方向のいずれか一方に延びた2つ以上の第1軸と、前記水平方向および前記鉛直方向のいずれか他方に延びた3つ以上の第2軸と、を有し、前記装置本体部の姿勢を保持して前記検査光学系の光軸を前記被検眼に向かう方向に合わせることを特徴とする本発明に係る眼科装置により解決される。
【0008】
本発明に係る眼科装置によれば、駆動機構は、被検眼で反射された光に基づいて被検眼を光学的に検査する検査光学系を有する装置本体部を支持するともに、上下方向と、前後方向と、左右方向と、を有する座標系において装置本体部を任意の座標に位置決めする。また、駆動機構は、2つ以上のアームと、3つ以上のアーム駆動部と、水平方向および鉛直方向のいずれか一方に延びた2つ以上の第1軸と、前記水平方向および前記鉛直方向のいずれか他方に延びた3つ以上の第2軸と、を有する。アームは、水平方向または鉛直方向に延びた軸を中心として回転する。アーム駆動部は、アームを回転させる。そして、駆動機構は、装置本体部の姿勢を保持し、検査光学系の光軸を被検眼に向かう方向に合わせる。このとき、駆動機構は、水平方向および鉛直方向のいずれか一方に延びた2つ以上の第1軸と、前記水平方向および前記鉛直方向のいずれか他方に延びた3つ以上の第2軸と、を利用する。
【0009】
このように、駆動機構は、検査光学系を有する装置本体部をスライド移動させるスライド機構として機能するわけではなく、2つ以上のアームを3つ以上のアーム駆動部により回転させ、装置本体部を任意の座標に位置決めする。さらに、駆動機構は、2つ以上のアームを3つ以上のアーム駆動部により回転させ装置本体部を任意の座標に位置決めする際に、2つ以上の第1軸と3つ以上の第2軸とを利用し、装置本体部の姿勢を保持して検査光学系の光軸を被検眼に向かう方向に合わせる。これにより、検査の精度や確度を確保しつつ、眼科装置の小型化を図ることができる。
【0010】
本発明に係る眼科装置において、好ましくは、前記駆動機構は、アームに設けられるとともに前記アームの回転に応じて回転し前記装置本体部の前記姿勢を保持するタイミングベルトをさらに有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る眼科装置によれば、全てのアームを回転させるアーム駆動部を必ずしも設けなくとも、装置本体部を支持する先端のアームの姿勢を保持し、検査光学系の光軸を被検眼に向かう方向に常に合わせることができる。そのため、アーム駆動部の数を抑えることができ、眼科装置のより一層の小型化を図ることができる。
【0012】
本発明に係る眼科装置は、好ましくは、前記駆動機構を介して前記装置本体部を支持し方向自在に設けられた車輪を有するスタンドをさらに備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る眼科装置によれば、眼科装置は、スタンドをさらに備える。スタンドは、駆動機構を介して装置本体部を支持し、方向自在に設けられた車輪を有する。そのため、スタンドは、あらゆる方向に自由に移動することができる。これにより、病棟内において眼科装置を容易に自由に移動させることができる。
【0014】
本発明に係る眼科装置において、好ましくは、前記スタンドは、電源を含む重量物を収納する収納部を有することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る眼科装置によれば、スタンドは、電源などの比較的重い重量の重量物を眼科装置の下部において収納している。これにより、病棟内において眼科装置をより一層容易かつ安定的に自由に移動させることができる。
【0016】
本発明に係る眼科装置において、好ましくは、前記駆動機構は、前記装置本体部に対して着脱自在に設けられ、前記装置本体部とは異なる他の検査装置に着脱自在とされたことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る眼科装置によれば、装置本体部を駆動機構から取り外すことにより、例えば2つ以上のアームを折り畳んだ状態で、駆動機構を装置本体部とは別に病棟内において保管することができる。これにより、眼科装置のより一層の小型化を図ることができるとともに、病棟内における眼科装置の省スペース化を図ることができる。また、駆動機構は、装置本体部とは異なる他の検査装置に着脱自在とされている。すなわち、駆動機構は、眼屈折検査装置(レフラクトメータ、ケラトメータ)や眼圧計などの眼科測定装置、および光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography、OCT)を用いて断面像を得る光干渉断層計や眼底を写真撮影する眼底カメラなどの眼科撮影装置に適用可能とされている。これにより、本発明に係る眼科装置は、種々の眼科測定装置および眼科撮影装置に適用可能とされている。
【0018】
本発明に係る眼科装置は、好ましくは、一方の端部において病棟内の固定部分に取り付けられ、他方の端部において前記駆動機構を介して前記装置本体部を支持する吊り下げアームをさらに備えたことを特徴とする。
【0019】
本発明に係る眼科装置によれば、装置本体部は、駆動機構を介して病棟の床面に設置されるわけではなく、駆動機構を介して吊り下げアームにより病棟内の天井や壁などの固定部分、あるいは病棟内に設置された装置の固定部分から吊り下げされる。これにより、病棟内における眼科装置のより一層の省スペース化を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、装置の小型化を図ることができる眼科装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係る眼科装置を表す側面図である。
図2】本実施形態の駆動機構の第1具体例を例示する概略図である。
図3】本実施形態の駆動機構の第2具体例を例示する概略図である。
図4】本実施形態の駆動機構の第3具体例を例示する概略図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る眼科装置を表す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る眼科装置を表す側面図である。
本実施形態に係る眼科装置10は、被検眼に光を照射し、被検眼で反射した光の検出結果に基づいて被検眼の特性に関する情報を取得する。すなわち、本実施形態に係る眼科装置10は、被検眼で反射された光に基づいて被検眼を検査する眼科装置である。検査には、被検眼の特性を取得するための測定と、被検眼の画像を取得するための撮影と、が含まれる。
【0024】
眼科測定装置の例としては、被検眼の屈折特性を測定する眼屈折検査装置(レフラクトメータ、ケラトメータ)や、眼圧計や、角膜の特性(角膜厚、細胞分布等)を得るスペキュラーマイクロスコープや、ハルトマン-シャックセンサを用いて被検眼の収差情報を得るウェーブフロントアナライザや、眼軸長測定装置などが挙げられる。
【0025】
眼科撮影装置の例としては、光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography、OCT)を用いて断面像を得る光干渉断層計や、眼底を写真撮影する眼底カメラや、共焦点光学系を用いたレーザ走査により眼底の画像を得る走査型レーザ検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope、SLO)や、スリット光を用いて角膜の光切片を切り取ることにより画像を得るスリットランプなどが挙げられる。
【0026】
図1に表したように、本実施形態に係る眼科装置10は、ベース部11と、駆動機構12と、装置本体部13と、表示部14と、顎受部15と、額当部16と、を備える。装置本体部13は、駆動機構12を介してベース部11に設けられている。ベース部11は、制御部33および電源36を収納している。顎受部15および額当部16は、装置本体部13の外方に設けられている。
【0027】
本実施形態に係る眼科装置10では、装置本体部13の内方には眼圧測定部20および眼特性測定部40が設けられている。すなわち、本実施形態に係る眼科装置10は、眼圧測定部20と、眼特性測定部40と、を備える複合型の眼科装置である。眼圧測定部20は、被検眼の眼圧を測定する。眼特性測定部40は、被検眼のその他の光学特性(眼特性)を測定する。但し、装置本体部13の内方に設けられる測定部および撮影部の少なくともいずれかは、眼圧測定部20および眼特性測定部40には限定されない。例えば、眼科装置10は、OCTを用いて断面像を得る光干渉断層計と、眼底を写真撮影する眼底カメラと、を備える複合型の眼科装置であってもよい。すなわち、本実施形態に係る眼科装置10は、例を挙げて前述した眼科撮影装置および眼科測定装置のいずれか単独の装置であってもよく、いずれか複数の組み合わされた装置であってもよい。このように、装置本体部13の内方には、撮影機能を有する撮影部および測定機能を有する測定部の少なくともいずれかを含む検査部が設けられている。本実施形態では、眼圧測定部20および眼特性測定部40が検査部として装置本体部13に設けられた場合を例に挙げる。
【0028】
装置本体部13に設けられた眼圧測定部20および眼特性測定部40のそれぞれは、被検眼を光学的に検査する検査光学系を有する。例えば、眼圧測定部20および眼特性測定部40のそれぞれは、被検眼の前眼部や眼底に照明光を照射する照明光学系や、被検眼の前眼部画像や眼底画像を取得するための撮影光学系などを検査光学系として有する。検査光学系の光源から出力された光は、検査光学系の光軸O1に平行な光線として被検眼に照射される。
【0029】
表示部14は、液晶ディスプレイで形成されており、制御部33の制御下で、被検眼の前眼部像等の画像や検査結果等を表示させる。表示部14は、本実施形態では、タッチパネルの機能を搭載しており、眼圧測定部20または眼特性測定部40を用いて測定を行うための操作や、手動により装置本体部13を移動するための操作を行うことが可能とされている。また、表示部14は、タッチパネルの機能を利用して、眼特性測定モード(眼特性測定部40による測定モード)と眼圧測定モード(眼圧測定部20による測定モード)のそれぞれにおいて切替アイコンを表示し、検者が切替アイコンに触れることにより眼特性測定モードと眼圧測定モードとの切り替え操作を可能としている。なお、測定を行うための操作は、測定スイッチを設けて、測定スイッチの操作により行うものであってもよい。また、装置本体部13を移動するための操作は、コントロールレバーや移動操作スイッチを設けて、コントロールレバーや移動操作スイッチの操作により行うものであってもよい。
【0030】
顎受部15および額当部16は、測定時に装置本体部13に対して被検者(患者)の顔、すなわち被検眼の位置を固定するものである。顎受部15は、被検者が顎を載せる箇所となり、額当部16は、被検者が額を宛がう箇所となる。眼科装置10では、表示部14と、顎受部15および額当部16と、が、装置本体部13を挟んだ両側に設けられており、通常の使用時において、表示部14が検者の側となり、顎受部15および額当部16が被検者の側となる。表示部14は、装置本体部13に回転自在に支持されており、表示面の向きを変更すること、例えば、表示面を被検者側に向けることや、表示面を側方(X軸方向)に向けることが可能とされている。装置本体部13は、駆動機構12により、ベース部11に対して移動すること、すなわち顎受部15と額当部16とにより固定された被検眼(被検者の顔)に対して移動することが可能とされている。
【0031】
駆動機構12は、装置本体部13をベース部11に対して、鉛直方向と、水平方向と、に移動させることができる。そして、駆動機構12は、上下方向(Y軸方向)と、前後方向(Z軸方向:図を正面視して左右方向)と、上下方向および前後方向に直交する左右方向(X軸方向:図の紙面に直交する方向)と、を有する座標系において装置本体部13を任意の座標に位置決めする。なお、本願明細書においては、顔が顎受部15および額当部16に支持された被検者から見て、左右方向をX方向とし、上下方向(鉛直方向)をY方向とし、X方向およびY方向と直交する方向(奥行き方向:検査光学系の光軸O1の方向)をZ方向とする。
【0032】
駆動機構12は、制御部33に電気的に接続されており、制御部33の制御下で駆動される。制御部33は、眼科装置10における電気制御系を構成するものであり、内蔵する記憶部に格納されたプログラムにより眼科装置10の各部を統括的に制御する。なお、図1では、理解容易とするために省略しているが、眼科装置10では、全体の外形形状を形作るカバー部材が設けられており、ベース部11から駆動機構12を経て装置本体部13までがカバー部材により覆われている。
【0033】
図1に表したように、駆動機構12は、3つのアーム121a、122a、121bと、3つのアーム駆動部121c、122c、123cと、3つの軸121y、122y、123yと、2つの軸121x、122xと、を有する。アーム121aは、軸121yを中心として回転する。アーム122aは、軸122yを中心として回転する。アーム121bは、軸123yを中心として回転するとともに、軸121xを中心として回転する。図1に表した駆動機構12では、3つの軸121y、122y、123yは、鉛直方向に延びている。2つの軸121x、122xは、水平方向に延びている。また、アーム121bの先端には、装置本体部13を支持する支持部122bが設けられている。支持部122bは、装置本体部13を支持した状態で、軸122xを中心として回転する。装置本体部13は、支持部122bに対して着脱自在に設けられていてもよい。アーム駆動部121c、122c、123cは、アーム121a、122a、121bを回転させる。
【0034】
なお、本実施形態の駆動機構12において、アームの数は、3つに限定されるわけではなく2つ以上であればよい。また、鉛直方向に延びた軸の数は、3つに限定されるわけではなく2つ以上であってもよい。水平方向の延びた軸の数は、2つに限定されるわけではなく、3つ以上であってもよい。すなわち、本実施形態の駆動機構12は、水平方向および鉛直方向のいずれか一方に延びた2つ以上の第1軸と、水平方向および鉛直方向のいずれか他方に延びた3つ以上の第2軸と、を有する。図1に表した駆動機構12においては、2つの軸121x、122xは、本発明の「第1軸」の一例に相当する。3つの軸121y、122y、123yは、本発明の「第2軸」の一例に相当する。
【0035】
次に、本実施形態の駆動機構の具体例を挙げ、本実施形態の駆動機構をさらに詳しく説明する。
図2は、本実施形態の駆動機構の第1具体例を例示する概略図である。
【0036】
第1具体例の駆動機構12Aは、図1に関して前述した駆動機構12の詳細に相当する。第1具体例の駆動機構12Aは、3つのアーム121a、122a、121bと、3つのアーム駆動部121c、122c、123cと、3つの軸121y、122y、123yと、2つの軸121x、122xと、を有する。本実施形態の軸121y、122y、123yは、鉛直方向に延びており、本発明の「第2軸」の一例に相当する。本実施形態の軸121x、122xは、水平方向に延びており、本発明の「第1軸」の一例に相当する。また、駆動機構12Aは、装置本体部13を支持する支持部122bを有する。装置本体部13は、支持部122bに対して着脱自在に設けられていてもよい。
【0037】
第1アーム121aは、水平方向に延びて配置され、鉛直方向に延びた軸121yを中心として回転することができる。軸121yは、第1軸部121dの中心軸である。第1軸部121dは、ベース部11に固定され、ベース部11の上面から上方に向かって突出している。第1アーム121aは、第1アーム121aと一体的に形成された第1プーリ121eにおいて第1軸部121dに嵌められており、第1軸部121dに対して軸121yを中心として回転することができる。第1アーム駆動部121cと、第1プーリ121eと、の間には、第1駆動ベルト121fが掛けられている。第1アーム駆動部121cは、例えばモータおよび減速機などを有し、制御部33から送信された制御信号に基づいて動作する。これにより、第1アーム121aは、第1アーム駆動部121cから第1駆動ベルト121fおよび第1プーリ121eを介して伝達された駆動力により軸121yを中心として回転する。
【0038】
第2アーム122aは、水平方向に延びて配置され、鉛直方向に延びた軸122yを中心として回転することができる。軸122yは、第2軸部122dの中心軸である。第2軸部122dは、第3プーリ123eおよび第4プーリ124eと一体的に形成されている。第3プーリ123e、第2軸部122dおよび第4プーリ124eは、鉛直方向の下から上に向かってこの順に並んで配置されている。第2アーム122aは、第2アーム122aと一体的に形成された第2プーリ122eにおいて第2軸部122dに嵌められており、第2軸部122dに対して軸122yを中心として回転することができる。第2アーム駆動部122cと、第2プーリ122eと、の間には、第2駆動ベルト122fが掛けられている。第2アーム駆動部122cは、例えばモータおよび減速機などを有し、制御部33から送信された制御信号に基づいて動作する。これにより、第2アーム122aは、第2アーム駆動部122cから第2駆動ベルト122fおよび第2プーリ122eを介して伝達された駆動力により軸122yを中心として回転する。第1軸部121dと、第3プーリ123eと、の間には、第1タイミングベルト121gが掛けられている。第1軸部121dの径は、第3プーリ123eの径と同じである。
【0039】
第3軸部123dは、鉛直方向に延びて配置され、鉛直方向に延びた軸123yを中心として第2アーム122aに対して回転することができる。軸123yは、第3軸部123dの中心軸である。第3軸部123dは、第2アーム122aの端部に設けられ、第2軸部122dとは反対側の端部において第2アーム122aを貫通している。第3軸部123dは、第5プーリ125eと一体的に形成されている。第3軸部123dおよび第5プーリ125eは、鉛直方向に沿って並んで配置されている。第4プーリ124eと、第5プーリ125eと、の間には、第2タイミングベルト122gが掛けられている。第4プーリ124eの径は、第5プーリ125eの径と同じである。
【0040】
第3アーム121bは、水平方向に延びた軸121xを中心として回転することができる。軸121xは、第4軸部124dの中心軸である。第4軸部124dは、第3軸部123dおよび第5プーリ125eと一体的に形成され、軸123yと直交する方向(水平方向)に沿って延びている。第3アーム121bは、第3アーム121bと一体的に形成された第6プーリ126eにおいて第4軸部124dに嵌められており、第4軸部124dに対して軸121xを中心として回転することができる。第3アーム駆動部123cと、第6プーリ126eと、の間には、第3駆動ベルト123fが掛けられている。第3アーム駆動部123cは、例えばモータおよび減速機などを有し、制御部33から送信された制御信号に基づいて動作する。これにより、第3アーム121bは、第3アーム駆動部123cから第3駆動ベルト123fおよび第6プーリ126eを介して伝達された駆動力により軸121xを中心として回転する。
【0041】
支持部122bは、水平方向に延びた軸122xを中心として回転することができる。軸122xは、第5軸部125dの中心軸である。第5軸部125dは、支持部122bと一体的に形成され、水平方向に沿って延びている。第5軸部125dは、第6プーリ126eとは反対側の端部において第3アーム121bと一体的に形成された軸受部127eに嵌められている。これにより、支持部122bは、第3アーム121bに対して軸122xを中心として回転することができる。第4軸部124dと、第5軸部125dと、の間には、第3タイミングベルト123gが掛けられている。第4軸部124dの径は、第5軸部125dの径と同じである。
【0042】
続いて、本具体例の駆動機構12Aの動作を説明する。まず、第1アーム121aが、第1アーム駆動部121cから第1駆動ベルト121fおよび第1プーリ121eを介して伝達された駆動力により軸121yを中心として回転したとする。この場合において、第1軸部121dは、ベース部11に固定されているため回転しない。一方で、第3プーリ123eは、第1アーム121aが回転すること、第1タイミングベルト121gが第1軸部121dと第3プーリ123eとの間に掛けられていること、および第1軸部121dの径が第3プーリ123eの径と同じであることから、第1アーム121aに対して相対的に第1アーム121aと反対方向に同じ角度だけ回転する。第4プーリ124eは、第2軸部122dを介して第3プーリ123eと一体的に形成されているため、第3プーリ123eと同様に、第1アーム121aに対して相対的に第1アーム121aと反対方向に同じ角度だけ回転する。また、第2タイミングベルト122gが第4プーリ124eと第5プーリ125eとの間に掛けられていること、および第4プーリ124eの径が第5プーリ125eの径と同じであることから、第5プーリ125eと一体的に形成された第3軸部123dは、第1アーム121aに対して相対的に第1アーム121aと反対方向に同じ角度だけ回転する。そのため、鉛直方向に延びた軸を中心とした回転方向に関して、第3軸部123dと相対的に共に回転する第3アーム121bおよび支持部122bは、第3軸部123dと同様に、第1アーム121aに対して相対的に第1アーム121aと反対方向に同じ角度だけ回転する。これにより、鉛直方向に延びた軸を中心とした回転方向に関して、第3アーム121bおよび支持部122bの姿勢は、第1アーム121aが回転しても変化せず、常に一定方向に保持される。
【0043】
続いて、第2アーム122aが、第2アーム駆動部122cから第2駆動ベルト122fおよび第2プーリ122eを介して伝達された駆動力により軸122yを中心として回転したとする。この場合において、第4プーリ124eは、第4プーリ124eが第3プーリ123eと一体的に形成されていること、ならびに第1アーム121aおよび第1プーリ121eが回転しないことから、回転しない。すなわち、第4プーリ124eは、第1アーム121aに対して相対的に回転しない。一方で、第5プーリ125eは、第2アーム122aが回転すること、第2タイミングベルト122gが第4プーリ124eと第5プーリ125eとの間に掛けられていること、および第4プーリ124eの径が第5プーリ125eの径と同じであることから、第2アーム122aに対して相対的に第2アーム122aと反対方向に同じ角度だけ回転する。そのため、鉛直方向に延びた軸を中心とした回転方向に関して、第3軸部123dと相対的に共に回転する第3アーム121bおよび支持部122bは、第2アーム122aに対して相対的に第2アーム122aと反対方向に同じ角度だけ回転する。これにより、鉛直方向に延びた軸を中心とした回転方向に関して、第3アーム121bおよび支持部122bの姿勢は、第2アーム122aが回転しても変化せず、常に一定方向に保持される。
【0044】
続いて、第3アーム121bが、第3アーム駆動部123cから第3駆動ベルト123fおよび第6プーリ126eを介して伝達された駆動力により軸121xを中心として回転したとする。この場合において、第4軸部124dは、第3軸部123dと一体的に形成されているため回転しない。一方で、第5軸部125dは、第3アーム121bが回転すること、第3タイミングベルト123gが第4軸部124dと第5軸部125dとの間に掛けられていること、および第4軸部124dの径が第5軸部125dの径と同じであることから、第3アーム121bに対して相対的に第3アーム121bと反対方向に同じ角度だけ回転する。支持部122bは、第5軸部125dと一体的に形成されているため、第5軸部125dと同様に、第3アーム121bに対して相対的に第3アーム121bと反対方向に同じ角度だけ回転する。これにより、水平方向に延びた軸を中心とした回転方向に関して、支持部122bの姿勢は、第3アーム121bが回転しても変化せず、常に一定方向に保持される。
【0045】
これにより、第1アーム121a、第2アーム122aおよび第3アーム121bの回転が重畳して行われても、支持部122bの姿勢は、常に一定方向に保持される。そのため、本具体例の駆動機構12Aは、装置本体部13の姿勢を保持し、検査光学系の光軸O1を被検眼に向かう方向に合わせることができる。
【0046】
本実施形態に係る眼科装置10によれば、駆動機構12、12Aは、検査光学系を有する装置本体部13をスライド移動させるスライド機構として機能するわけではなく、第1アーム121aを第1アーム駆動部121cにより回転させ、第2アーム122aを第2アーム駆動部122cにより回転させ、第3アーム121bを第3アーム駆動部123cにより回転させ、装置本体部13を任意の座標に位置決めする。さらに、駆動機構12、12Aは、装置本体部13を任意の座標に位置決めする際に、鉛直方向に延びた軸121y、122y、123y(第2軸)と、水平方向に延びた軸121x、122x(第1軸)と、を利用し、装置本体部13の姿勢を保持して検査光学系の光軸O1を被検眼に向かう方向に合わせる。これにより、検査の精度や確度を確保しつつ、眼科装置10の小型化を図ることができる。
【0047】
また、第1アーム部12aおよび第2アーム部12bにおいて、第1タイミングベルト121gおよび第2タイミングベルト122gが設けられている。すなわち、第1軸部121dと、第3プーリ123eと、の間には、第1タイミングベルト121gが掛けられている。また、第4プーリ124eと、第5プーリ125eと、の間には、第2タイミングベルト122gが掛けられている。さらに、第4軸部124dと、第5軸部125dと、の間には、第3タイミングベルト123gが掛けられている。そのため、第1アーム121a、第2アーム122a、第3アーム121bおよび支持部122bの全てを回転させるアーム駆動部を必ずしも設けなくとも、3つのアーム駆動部121c、122c、123cが3つアーム121a、122a、121bを回転させることにより、装置本体部13を支持する支持部122bの姿勢を保持し、検査光学系の光軸O1を被検眼に向かう方向に常に合わせることができる。そのため、アーム駆動部の数を抑えることができ、眼科装置10のより一層の小型化を図ることができる。
【0048】
また、装置本体部13が支持部122bに対して着脱自在に設けられている場合には、装置本体部13を支持部122bから取り外すことにより、例えば第1アーム部12aおよび第2アーム部12bを折り畳んだ状態で、駆動機構12、12Aを装置本体部13とは別に病棟内において保管することができる。これにより、眼科装置10のより一層の小型化を図ることができるとともに、病棟内における眼科装置10の省スペース化を図ることができる。
【0049】
また、装置本体部13が支持部122bに対して着脱自在に設けられている場合には、駆動機構12、12Aは、装置本体部13とは異なる他の検査装置に着脱自在とされる。すなわち、駆動機構12、12Aは、眼屈折検査装置(レフラクトメータ、ケラトメータ)や眼圧計などの眼科測定装置、およびOCTを用いて断面像を得る光干渉断層計や眼底を写真撮影する眼底カメラなどの眼科撮影装置に適用可能とされる。これにより、本実施形態に係る眼科装置10は、種々の眼科測定装置および眼科撮影装置に適用可能とされる。
【0050】
なお、第1具体例の駆動機構12Aでは、タイミングベルト121g、122g、123gが設けられた例を挙げたが、タイミングベルト121g、122g、123gは、必ずしも設けられていなくともよい。例えば、モータおよび減速機などを有するアーム駆動部を増加させ設置することにより、タイミングベルトの数を減少させることが可能である。次に、本具体例の駆動機構12Aと比較して、より多くのアーム駆動部が設置され、タイミングベルトの数が減少した駆動機構の具体例を、図面を参照して説明する。
【0051】
図3は、本実施形態の駆動機構の第2具体例を例示する概略図である。
第2具体例の駆動機構12Bは、2つのアーム121a、122aと、5つのアーム駆動部121c、122c、123c、124c、125cと、3つの軸121y、122y、123yと、2つの軸121x、122xと、を有する。本実施形態の軸121y、122y、123yは、鉛直方向に延びており、本発明の「第2軸」の一例に相当する。本実施形態の軸121x、122xは、水平方向に延びており、本発明の「第1軸」の一例に相当する。また、駆動機構12Bは、装置本体部13を支持する支持部122bを有する。装置本体部13は、支持部122bに対して着脱自在に設けられていてもよい。アーム駆動部121c、122c、123c、124c、125cは、制御部33から送信された制御信号に基づいて動作する。
【0052】
第1アーム121aは、一方の端部において第1軸部121dに接続され、他方の端部において第2軸部122dに接続されている。第1軸部121dは、ベース部11に固定され、ベース部11の上面から上方に向かって突出している。第1アーム121aは、鉛直方向に延びた軸121yを中心として回転することができる。軸121yは、第1軸部121dの中心軸である。第1アーム121aは、例えばモータおよび減速機などを有する第1アーム駆動部121cから伝達された駆動力により第1軸部121dに対して相対的に軸121yを中心として回転することができる。
【0053】
第2軸部122dは、一方の端部において第1アーム121aに接続され、他方の端部において第2アーム122aに接続されている。第2軸部122dは、鉛直方向に延びた軸122yを中心として回転することができる。第2軸部122dは、第2軸部122dは、例えばモータおよび減速機などを有する第2アーム駆動部122cから伝達された駆動力により第1アーム121aに対して相対的に軸122yを中心として回転することができる。
【0054】
第2アーム122aは、一方の端部において第2軸部122dに接続され、他方の端部において第3軸部123dに接続されている。第2アーム122aは、水平方向に延びた軸121xを中心として回転することができる。第2アーム122aは、例えばモータおよび減速機などを有する第3アーム駆動部123cから伝達された駆動力により第2軸部122dに対して相対的に軸121xを中心として回転することができる。
【0055】
第3軸部123dは、一方の端部において第2アーム122aに接続され、他方の端部において支持部122bに接続されている。第3軸部123dは、水平方向に延びた軸122xを中心として回転することができる。第3軸部123dは、例えばモータおよび減速機などを有する第4アーム駆動部124cから伝達された駆動力により第2アーム122aに対して相対的に軸122xを中心として回転することができる。
【0056】
支持部122bは、一方の端部において第3軸部123dに接続され、他方の端部において装置本体部13に接続されている。支持部122bは、鉛直方向に延びた軸123yを中心として回転することができる。支持部122bは、例えばモータおよび減速機などを有する第5アーム駆動部125cから伝達された駆動力により第3軸部123dに対して相対的に軸123yを中心として回転することができる。
【0057】
続いて、本具体例の駆動機構12Bの動作を説明する。制御部33は、第1アーム駆動部121cを制御し、軸121yを中心として第1アーム121aを回転させたとする。この場合において、制御部33は、第2アーム駆動部122cを制御し、第1アーム121aに対して相対的に第1アーム121aと反対方向に同じ角度だけ第2軸部122dを回転させる。これにより、鉛直方向に延びた軸を中心とした回転方向に関して、第2アーム122aおよび第3軸部123dの姿勢は、第1アーム121aが回転しても変化せず、常に一定方向に保持される。
【0058】
続いて、制御部33は、第2アーム駆動部122cを制御し、軸122yを中心として第2軸部122dを回転させたとする。この場合において、制御部33は、第5アーム駆動部125cを制御し、第2軸部122dに対して相対的に第2軸部122dと反対方向に同じ角度だけ支持部122bを回転させる。これにより、鉛直方向に延びた軸を中心とした回転方向に関して、支持部122bの姿勢は、第2軸部122dが回転しても変化せず、常に一定方向に保持される。
【0059】
続いて、制御部33は、第3アーム駆動部123cを制御し、軸121xを中心として第2アーム122aを回転させたとする。この場合において、制御部33は、第4アーム駆動部124cを制御し、第2アーム122aに対して相対的に第2アーム122aと反対方向に同じ角度だけ第3軸部123dを回転させる。これにより、水平方向に延びた軸を中心とした回転方向に関して、第3軸部123dの姿勢は、第2アーム122aが回転しても変化せず、常に一定方向に保持される。
【0060】
これにより、第1アーム121aおよび第2アーム122aの回転が重畳して行われても、支持部122bの姿勢は、常に一定方向に保持される。そのため、本具体例の駆動機構12Bは、装置本体部13の姿勢を保持し、検査光学系の光軸O1を被検眼に向かう方向に合わせることができる。
【0061】
図4は、本実施形態の駆動機構の第3具体例を例示する概略図である。
第3具体例の駆動機構12Cは、2つのアーム121a、122aと、5つのアーム駆動部121c、122c、123c、124c、125cと、2つの軸125y、126yと、3つの軸125x、126x、127xと、を有する。本実施形態の軸125y、126yは、鉛直方向に延びており、本発明の「第1軸」の一例に相当する。本実施形態の軸125x、126x、127xは、水平方向に延びており、本発明の「第2軸」の一例に相当する。また、駆動機構12Cは、装置本体部13を支持する支持部122bを有する。装置本体部13は、支持部122bに対して着脱自在に設けられていてもよい。アーム駆動部121c、122c、123c、124c、125cは、制御部33から送信された制御信号に基づいて動作する。
【0062】
第1アーム121aは、一方の端部において第2軸部122dに接続され、他方の端部において第2アーム122aに接続されている。第1アーム121aは、水平方向に延びた軸125xを中心として回転することができる。第1アーム121aは、例えばモータおよび減速機などを有する第1アーム駆動部121cから伝達された駆動力により第2軸部122dに対して相対的に軸125xを中心として回転することができる。
【0063】
第2軸部122dは、一方の端部において第1軸部121dに接続され、他方の端部において第1アーム121aに接続されている。第2軸部122dは、鉛直方向に延びた軸125yを中心として回転することができる。第1軸部121dは、ベース部11に固定され、ベース部11の上面から上方に向かって突出している。第2軸部122dは、例えばモータおよび減速機などを有する第4アーム駆動部124cから伝達された駆動力によりベース部11に対して相対的に軸125yを中心として回転することができる。
【0064】
第2アーム122aは、一方の端部において第1アーム121aに接続され、他方の端部において第3軸部123dに接続されている。第2アーム122aは、水平方向に延びた軸126xを中心として回転することができる。第2アーム122aは、例えばモータおよび減速機などを有する第2アーム駆動部122cから伝達された駆動力により第1アーム121aに対して相対的に軸126xを中心として回転することができる。
【0065】
第3軸部123dは、一方の端部において第2アーム122aに接続され、他方の端部において支持部122bに接続されている。第3軸部123dは、水平方向に延びた軸127xを中心として回転することができる。第3軸部123dは、例えばモータおよび減速機などを有する第3アーム駆動部123cから伝達された駆動力により第2アーム122aに対して相対的に軸127xを中心として回転することができる。
【0066】
支持部122bは、一方の端部において第3軸部123dに接続され、他方の端部において装置本体部13に接続されている。支持部122bは、鉛直方向に延びた軸126yを中心として回転することができる。支持部122bは、例えばモータおよび減速機などを有する第5アーム駆動部125cから伝達された駆動力により第3軸部123dに対して相対的に軸126yを中心として回転することができる。
【0067】
続いて、本具体例の駆動機構12Cの動作を説明する。制御部33は、第1アーム駆動部121cを制御し、軸125xを中心として第1アーム121aを回転させたとする。この場合において、制御部33は、第2アーム駆動部122cを制御し、第1アーム121aに対して相対的に第1アーム121aと反対方向に同じ角度だけ第2アーム122aを回転させる。これにより、水平方向に延びた軸を中心とした回転方向に関して、第2アーム122aおよび第3軸部123dの姿勢は、第1アーム121aが回転しても変化せず、常に一定方向に保持される。
【0068】
続いて、制御部33は、第2アーム駆動部122cを制御し、軸126xを中心として第2アーム122aを回転させたとする。この場合において、制御部33は、第3アーム駆動部123cを制御し、第2アーム122aに対して相対的に第2アーム122aと反対方向に同じ角度だけ第3軸部123dを回転させる。これにより、水平方向に延びた軸を中心とした回転方向に関して、第3軸部123dの姿勢は、第2アーム122aが回転しても変化せず、常に一定方向に保持される。
【0069】
続いて、制御部33は、第4アーム駆動部124cを制御し、軸125yを中心として第2軸部122dを回転させたとする。この場合において、制御部33は、第5アーム駆動部125cを制御し、第2軸部122dに対して相対的に第2軸部122dと反対方向に同じ角度だけ支持部122bを回転させる。これにより、鉛直方向に延びた軸を中心とした回転方向に関して、支持部122bの姿勢は、第2軸部122dが回転しても変化せず、常に一定方向に保持される。
【0070】
これにより、第1アーム121aおよび第2アーム122aの回転が重畳して行われても、支持部122bの姿勢は、常に一定方向に保持される。そのため、本具体例の駆動機構12Cは、装置本体部13の姿勢を保持し、検査光学系の光軸O1を被検眼に向かう方向に合わせることができる。
【0071】
なお、第3具体例の駆動機構12Cでは、5つのアーム駆動部121c、122c、123c、124c、125cが設けられた例を挙げたが、アーム駆動部の数は、5つに限定されるわけではない。例えば、図2に関して前述した第1具体例の駆動機構12Aと同様に、タイミングベルトを設けることにより、アーム駆動部の数を減少させることが可能である。
【0072】
図2に関して前述した第1具体例の駆動機構12A、図3に関して前述した第2具体例の駆動機構12B、および本具体例の駆動機構12Cのように、2つ以上の第1軸(駆動機構12A、12Bでは軸121x、122x、駆動機構12Cでは、軸125y、126y)は、水平方向に延びていてもよく鉛直方向に延びていてもよい。また、3つ以上の第2軸(駆動機構12A、12Bでは軸121y、122y、123y、駆動機構12Cでは、軸125x、126x、127x)は、水平方向に延びていてもよく鉛直方向に延びていてもよい。
【0073】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、第2実施形態に係る眼科装置10Aの構成要素が、図1図4に関して前述した第1実施形態に係る眼科装置10の構成要素と同様である場合には、重複する説明は適宜省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0074】
図5は、本発明の第2実施形態に係る眼科装置を表す側面図である。
本実施形態に係る眼科装置10Aは、第1実施形態に係る眼科装置10と比較して、スタンド50をさらに備える。すなわち、本実施形態に係る眼科装置10Aは、ベース部11と、駆動機構12と、装置本体部13と、表示部14と、顎受部15と、額当部16と、スタンド50と、を備える。
【0075】
本実施形態に係る眼科装置10Aでは、装置本体部13は、駆動機構12およびベース部11を介してスタンド50に設けられている。スタンド50は、収納部502と、支柱503と、脚部504と、車輪505と、を有し、ベース部11および駆動機構12を介して装置本体部13を支持する。支柱503は、鉛直方向に延びて設けられ、上方の端部においてベース部11に接続され、下方の端部において脚部504に接続されている。車輪505は、脚部504の先端部において回転自在に設けられるとともに、方向自在に設けられている。そのため、スタンド50は、ベース部11および駆動機構12を介して装置本体部13を支持した状態で、あらゆる方向に自由に移動することができる。収納部502は、脚部504に固定され、制御部33や電源36などの比較的重い重量の重量物を収納する。すなわち、収納部502は、眼科装置10Aの下部において制御部33や電源36などの比較的重い重量の重量物を収納する。
【0076】
本実施形態に係る眼科装置10Aによれば、病棟内において眼科装置10Aを容易に自由に移動させることができる。また、スタンド50は、制御部33や電源36などの比較的重い重量の重量物を収納する収納部502を眼科装置10Aの下部に有する。つまり、スタンド50は、制御部33や電源36などの重量物を眼科装置10Aの下部の収納部502において収納している。これにより、病棟内において眼科装置10Aをより一層容易かつ安定的に移動させることができる。
【0077】
なお、本実施形態に係る眼科装置10Aが備える駆動機構は、図2に関して前述した第1具体例の駆動機構12Aであってもよく、図3に関して前述した第2具体例の駆動機構12Bであってもよく、図4に関して前述した第3具体例の駆動機構12Cであってもよい。
【0078】
他の実施形態に係る眼科装置によれば、装置本体部13は、駆動機構12およびベース部11を介して吊り下げアーム(図示せず)に支持されていてもよい。この場合には、吊り下げアームの一方の端部は、例えば病棟内の天井や壁などの固定部分に取り付けられる。あるいは、吊り下げアームの一方の端部は、病棟内に設置された所定の装置の固定部分であってもよい。吊り下げアームの他方の端部は、ベース部11に取り付けられる。
【0079】
これによれば、装置本体部13は、駆動機構12およびベース部11を介して病棟の床面に設置されるわけではなく、駆動機構12およびベース部11を介して吊り下げアームにより例えば病棟内の天井や壁などの固定部分、あるいは病棟内に設置された装置の固定部分から吊り下げされる。これにより、病棟内における眼科装置のより一層の省スペース化を図ることができる。このように、吊り下げアームの一方の端部が取り付けられる固定部分は、吊り下げアームがベース部11および駆動機構12を介して装置本体部13を支持可能な病棟内の固定部分のいずれであってもよい。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0081】
10、10A:眼科装置、 11:ベース部、 12、12A、12B:駆動機構、 12a:第1アーム部、 12b:第2アーム部、 13:装置本体部、 14:表示部、 15:顎受部、 16:額当部、 20:眼圧測定部、 33:制御部、 36:電源、 40:眼特性測定部、 50:スタンド、 60:吊り下げアーム、61:ベース部、 65:天井、 121a:第1アーム、 121b:第3アーム、 121c:第1アーム駆動部、 121d:第1軸部、 121e:第1プーリ、 121f:第1駆動ベルト、 121g:第1タイミングベルト、 121x:軸、 121y:軸、 122a:第2アーム、 122b:支持部、 122c:第2アーム駆動部、 122d:第2軸部、 122e:第2プーリ、 122f:第2駆動ベルト、 122g:第2タイミングベルト、 122x:軸、 122y:軸、 123c:第3アーム駆動部、 123d:第3軸部、 123e:第3プーリ、 123f:第3駆動ベルト、 123g:第3タイミングベルト、 123y:軸、 124c:第4アーム駆動部、 124d:第4軸部、 124e:第4プーリ、 125c:第5アーム駆動部、 125d:第5軸部、 125e:第5プーリ、 125x:軸、 125y:軸、 126e:第6プーリ、 126x:軸、 126y:軸、 127e:軸受部、 127x:軸、 502:収納部、 503:支柱、 504:脚部、 505:車輪、 O1:光軸

図1
図2
図3
図4
図5