(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】フィルタエレメント及びフィルタ装置
(51)【国際特許分類】
B01D 29/11 20060101AFI20230327BHJP
B01D 35/027 20060101ALI20230327BHJP
B01D 35/147 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
B01D29/10 510C
B01D29/10 530B
B01D35/02 F
B01D35/14 101
(21)【出願番号】P 2019082077
(22)【出願日】2019-04-23
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000178675
【氏名又は名称】ヤマシンフィルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】北島 信行
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3204806(JP,U)
【文献】特開2010-149007(JP,A)
【文献】特開2005-349336(JP,A)
【文献】特開2006-007140(JP,A)
【文献】特表2018-511465(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0298881(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D27/00-29/96
B01D35/00-37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略有底筒状のフィルタケースと、
前記フィルタケースの内部に設けられ
たフィルタエレメント
と、
前記フィルタケースの上部の開口を覆うように、前記フィルタエレメント及び前記フィルタケースに設けられた蓋体と、
前記蓋体に設けられた差圧測定部と、
を備え、
前記フィルタエレメントは、
両端に開口を有する中空円筒形状のろ材と、
前記ろ材の内側に設けられた内筒と、
前記ろ材及び前記内筒の上端に設けられた上プレートであって、前記内筒に沿う略筒状の筒状部を有する上プレートと、
前記上プレートに取り付けられた把持部材であって、前記筒状部の中空部に挿入される厚板状の本体部と、前記本体部の上面に設けられたハンドルと、を有する把持部材と、
前記本体部に設けられており、前記把持部材が前記上プレートに取り付けられたときに前記内筒の内側に配置されるバルブと、
前記把持部材が前記上プレートに取り付けられたときに、前記上プレートと前記把持部材との間に設けられたシール部材と、を備え
、
前記蓋体には、前記差圧測定部が設けられる取付穴が形成され、
前記蓋体は、一端が前記取付穴に開口する第1孔及び第2孔を有し、
前記把持部材は、前記内筒の内部の空間と前記第1孔とを連通する第3孔を有し、
前記第2孔は、前記フィルタエレメントの外部及び前記フィルタケースの内部の空間と、前記取付穴とを連通し、
前記蓋体は、前記第1孔に連通する穴が内部に設けられた凸部を有し、
前記ハンドルは、前記凸部が挿入される凹部を有し、
前記第3孔は、一端が前記本体部の下面に開口し、他端が前記凹部の底面近傍に開口する
ことを特徴とするフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタエレメント及びフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フィルタエレメントが筒状に形成されるエレメント部分と、エレメント部分の内側に着脱可能に収容される内筒とを備え、簡単にエレメント部分を交換できるように構成されたフィルタエレメントが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、正規品ではない内筒がエレメント部分に取り付けられるおそれがある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、正規品以外の部品の使用を防止することができるフィルタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るフィルタエレメントは、例えば、フィルタケースの内部に設けられるフィルタエレメントであって、両端に開口を有する中空円筒形状のろ材と、前記ろ材の内側に設けられた内筒と、前記ろ材及び前記内筒の上端に設けられた上プレートであって、前記内筒に沿う略筒状の筒状部を有する上プレートと、前記上プレートに取り付けられた把持部材であって、前記筒状部の中空部に挿入された厚板状の本体部と、前記本体部の上面に設けられたハンドルと、を有する把持部材と、前記本体部に設けられており、前記把持部材が前記上プレートに取り付けられたときに前記内筒の内側に配置されるバルブと、前記把持部材が前記上プレートに取り付けられたときに、前記上プレートと前記把持部材との間に設けられたシール部材と、を備え、前記上プレートは、前記筒状部の内周から径方向内側に突出して形成されるリブと、前記リブに形成された孔と、を有し、前記把持部材は、前記本体部から下向きに突出する突出部を有し、前記把持部材が前記上プレートに取り付けられたときに、前記突出部が前記孔に挿入されることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るフィルタエレメントによれば、ろ材及び内筒の上端に設けられた上プレートは、内筒に沿う筒状部と、筒状部の内周から径方向内側に突出して形成されるリブと、リブに形成された孔と、を有し、把持部材は、筒状部の中空部に挿入される厚板状の本体部から下向きに突出する突出部を有し、把持部材が上プレートに取り付けられたときに、突出部が孔に挿入される。これにより、正規品以外の部品の使用を防止することができる。
【0008】
ここで、金属製の棒を環状に折り曲げて形成された弾性を有する押さえリングを更に備え、前記上プレートは、前記押さえリングが設けられる収容部を有し、前記本体部が前記筒状部に挿入された状態で前記収容部に前記押さえリングが設けられると、前記押さえリングが前記本体部の上面に当接する。これにより、フィルタエレメントと把持部材とを一体化することができる。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るフィルタ装置は、例えば、請求項1又は2に記載のフィルタエレメントと、前記フィルタエレメントが内部に設けられた略有底筒状のフィルタケースと、前記フィルタケースの上部の開口を覆うように、前記フィルタエレメント及び前記フィルタケースに設けられた蓋体と、前記蓋体に設けられた差圧測定部と、を備え、前記蓋体には、前記差圧測定部が設けられる取付穴が形成され、前記蓋体は、一端が前記取付穴に開口する第1孔及び第2孔を有し、前記把持部材は、前記内筒の内部の空間と前記第1孔とを連通する第3孔を有し、前記第2孔は、前記フィルタエレメントの外部及び前記フィルタケースの内筒の内部の空間と、前記取付穴とを連通することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るフィルタ装置によれば、フィルタケースの上部の開口を覆うように、フィルタエレメント及びフィルタケースに設けられた蓋体には、差圧測定部が設けられる取付穴が形成されている。蓋体は、一端が前記取付穴に開口する第1孔を有し、把持部材は、内筒の内部の空間と第1孔とを連通する第3孔を有する。また、蓋体は、フィルタエレメントの外部及びフィルタケースの内筒の内部の空間と、取付穴とを連通する第2孔を有する。これにより、蓋体に設けられた差圧センサでフィルタエレメントの外部及びフィルタケースの内筒の内部の空間と、内筒の内部の空間との差圧を検出することができる。
【0011】
ここで、前記蓋体は、前記第1孔に連通する穴が内部に設けられた凸部を有し、前記ハンドルは、前記凸部が挿入される凹部を有し、前記第2孔は、一端が前記本体部の下面に開口し、他端が前記凹部の底面近傍に開口してもよい。これにより、蓋体と把持部材との位置関係を一定にすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、正規品以外の部品の使用を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】フィルタエレメントの上端近傍及び把持部材の断面図である。
【
図6】取付部、蓋本体及び把持部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態では、濾過対象の液体として作動油を例に説明するが、濾過対象の液体は作動油に限られない。また、以下の実施の形態では、リターンフィルタを例に説明するが、本発明のフィルタ装置はリターンフィルタに限られない。
【0015】
<第1の実施の形態>
図1は、フィルタ装置1の概略を示す断面図である。
図1では、断面を示すハッチングを省略する。
【0016】
フィルタ装置1は、作動油に含まれる塵埃等を濾材を用いて除去するものであり、タンク(図示省略)の内部に設けられている。タンクは、作動油を貯留するためのタンクであり、例えば箱形である。タンクは、図示しない作業機械(例えば、油圧装置)に設置されるものであり、この油圧装置へ供給する作動油の油圧回路内に設けられている。ただし、タンクは、油圧回路内に設けられるものに限られない。
【0017】
フィルタ装置1は、主として、フィルタケース10と、フィルタエレメント20と、蓋体30と、把持部材40と、を有する。
【0018】
フィルタケース10は、耐腐食性の高い材料(例えば、ステンレス等の金属)により形成され、主として、タンク本体11と、流入部12と、流出部13と、を有する。フィルタケース10は、タンクの上面から下側(-z側)に突出するようにタンクの内部に設けられる。タンク本体11の側面には流入部12が設けられ、タンク本体11の底面には流出部13が設けられている。
【0019】
フィルタエレメント20は、有底略筒形状の部材であり、フィルタケース10の内部に設けられている。フィルタエレメント20は、主として、濾材21と、外筒22と、内筒23と、上プレート24と、下プレート25と、を有する。外筒22、内筒23、上プレート24及び下プレート25は、濾材21と一体化される。
【0020】
濾材21は、両端に開口を有する略円筒形状の部材である。濾材21は、合成樹脂や紙等を用いた濾紙をひだ折りにし、ひだ折りにした濾紙の両端を連結して円筒状にすることによって形成される。濾材21の外側には、略全域に作動油が通過する孔が形成された外筒22が設けられている。また、濾材21の内側には、略全域に作動油が通過する孔が形成された内筒23が設けられている。
【0021】
外筒22及び内筒23は、両端に開口を有する略中空円筒形状の部材である。外筒22及び内筒23は、耐腐食性の高い材料(例えば、ステンレス又は樹脂)を用いて形成される。濾材21、外筒22及び内筒23は、高さが略同一である。外筒22に形成された孔は、外筒22の外側と内側とを連通しており、内筒23に形成された孔は、内筒23の外側と内側とを連通している。なお、外筒22は必須の構成ではない。
【0022】
濾材21、外筒22、内筒23の上端には上プレート24が設けられている。上プレート24には、把持部材40が設けられている。
【0023】
図2は、フィルタエレメント20の上端近傍及び把持部材40の断面図である。
図2では、断面を示すハッチングを省略する。
【0024】
上プレート24は、主として、濾材21の上端面に当接する板状部24aと、外筒22の外側に外筒22に沿って設けられている略円筒形状の筒状部24bと、内筒23の内側に内筒23に沿って設けられている略円筒形状の筒状部24cと、板状部24aから上方向(+z方向)に突出する略円筒形状の収容部24dと、を有する。
【0025】
収容部24dには、金属製の棒を環状に折り曲げて形成された弾性を有する押さえリング54が設けられている。押さえリング54の両端は、略90度折り曲げられている。押さえリング54は弾性を有するため、折り曲げられた両端を近づける方向に力を加えると、直径が小さくなる方向に変形する。また、力を除去すると、弾性によって押さえリング54の形状が元に戻る。
【0026】
筒状部24cに把持部材40の本体部41(後に詳述)が挿入された状態で収容部24dに押さえリング54が設けられると、押さえリング54が本体部41の上面41a(後に詳述)に当接する。つまり、把持部材40は、押さえリング54によって抜け止めがなされ、フィルタエレメント20に対して着脱可能、かつ容易に外れないように一体化される。なお、把持部材40の抜け止めは、押さえリング54を用いる構造に限定されない。
【0027】
把持部材40は、上プレート24に取り付けられる部材である。把持部材40は、主として、本体部41と、ハンドル42と、を有する。
【0028】
本体部41は、筒状部24cの中空部に挿入される部分であり、平面視が略円形の厚板状、つまり略円柱形状である。本体部41の外周面41bの直径と筒状部24cの内周面の直径とは略同一である。
【0029】
本体部41の外周面41bには溝41cが形成されており、溝41cにはシール部材(例えば、Oリング)52が設けられている。シール部材52は、把持部材40が上プレート24に取り付けられた、すなわち本体部41が筒状部24cの中空部に挿入されたときに、上プレート24(ここでは、筒状部24c)と把持部材40(ここでは、本体部41)との間に設けられている。
【0030】
本体部41が筒状部24cの中空部に挿入されると、シール部材52が弾性変形して溝41c及び外周面41bに密接するため、シール部材51が上プレート24と把持部材40とを一体化する。
【0031】
ハンドル42は、本体部41の上面41aに設けられている。ハンドル42と本体部41とは一部品でもよいし、ねじ等によりハンドル42が本体部41に固定されていてもよい。
【0032】
本体部41の下側には、バルブ53が設けられている。バルブ53は、把持部材40が上プレート24に取り付けられたときに、内筒23の内側に設けられている。バルブ53は、空間S1(
図1参照)の圧力が所定値よりも大きくなると開くようになっている。バルブ53は公知であるため、詳細な説明は省略する。
【0033】
本体部41は、孔41eを有する。バルブ53が開くことで、孔41eは、内筒23の内部の空間(空間S2)と、フィルタケース10の内部かつフィルタエレメント20の外部の空間(空間S1、
図1参照)とを連通する。
【0034】
図3は、上プレート24の斜視図である。筒状部24cには、径方向内側に突出するリブ状の突起部24eが設けられている。突起部24eは、筒状部24cの下端(-z側の端)近傍に設けられている。突起部24eは、板状であり、対向する位置に2箇所形成される。突起部24eは、複数の孔24fを有する。孔24fについては後に詳述する。
【0035】
図4は、把持部材40の斜視図である。本体部41の下面41fは、本体部41が筒状部24cの中空部に挿入されたときに突起部24eに当接する面であり、下面41fには、下向き(-z方向)に突出するリブ41g及び突起41hが設けられている。
【0036】
突起41hは、例えば、文字を表す形状をなしている。本実施の形態では、突起41hは、16個(8個×2組)であり、例えば“Y”、“A”、“M”、“S”、“H”、“I”、“N”の文字又はその鏡像形状を表す形状を含んでいる。
【0037】
突起41hは、突起部24eに形成された孔24fに挿入される。言い換えれば、突起41hと孔24fとは対応する形状を有する。本実施の形態では、孔24fは、“Y”、“A”、“M”、“S”、“H”、“I”、“N”の文字又はその鏡像形状を含む形状である。
【0038】
本体部41が筒状部24cの中空部に挿入されると、下面41fが突起部24eに当接し、突起41hが孔24fに挿入される(
図2参照)。また、リブ41gは、2個の突起部24eの間に位置する。
【0039】
なお、孔24f及び突起41hの形状は、これに限定されるものではない。複数の孔24f及び突起41hは、文字、記号、図柄の少なくとも1つを表す形状と、その鏡像形状であってもよい。例えば、孔24f及び突起41hは、フィルタエレメント20や、フィルタエレメント20が組み込まれる油圧アクチュエータを製作、販売等する会社の社名や登録商標の文字、形状等と、その鏡像形状であってもよい。
【0040】
また、突起部24e、孔24f、突起41h等の位置及び数も、これに限られない。また、リブ41gは必須ではない。
【0041】
図1の説明に戻る。濾材21、外筒22、内筒23の下側の端には下プレート25が設けられている。下プレート25の中空部には、フィルタケース10の流出部13が挿入される。
【0042】
蓋体30は、タンクの外側に設けられている。蓋体30は、フィルタケース10の上端面の開口部を覆うように、フィルタケース10、フィルタエレメント20(ここでは、上プレート24)及び把持部材40に設けられている。
【0043】
蓋体30は、主として、取付部31と、蓋本体32と、カバー33と、を有する。
【0044】
取付部31は、略筒形状であり、ねじ等によりフィルタケース10又はタンクに固定される。
【0045】
蓋本体32は、略厚板状の部材であり、取付部31の上側から、取付部31の中空部を覆うように設けられている。蓋本体32は、取付部31にねじ58により固定される。取付部31と蓋本体32との間には、作動油の漏れを防止するシール部材(図示省略)が設けられている。
【0046】
蓋本体32は、主として、フランジ部32aと、フランジ部32aの内側に配置された略筒状の筒状部32bと、を有する。フランジ部32aは取付部31の上面に当接し、筒状部32bは取付部31の中空部に挿入される。
【0047】
筒状部32bの下側の面には、ハンドル42が挿入される凹部32cが形成される。筒状部32bの上側の面には、カバー33が設けられる凹部32dが形成される。
【0048】
カバー33は、略板状の部材であり、蓋本体32の上側に設けられている。なお、蓋本体32とカバー33とは一つの部材でもよい。
【0049】
図1における2点鎖線矢印は、作動油の流れを示す。濾過前の作動油は、流入部12から空間S1に流入する。作動油は、濾材21で濾過されて空間S2に流入する。その後、作動油は、流出部13からフィルタケース10の外部の空間へと流出する。
【0050】
フィルタエレメント20は、作動油を濾過することにより、次第に濾過能力が低下していくため、定期的に又は必要に応じて、新しいフィルタエレメント20に交換する必要がある。以下、交換の手順について説明する。
【0051】
まず、蓋体30(ここでは、蓋本体32及びカバー33)をフィルタケース10から取り外すと、フィルタエレメント20及び把持部材40がフィルタケース10の上側の開口部から露出するため、把持部材40のハンドル42を使用者が把持してフィルタエレメント20及び把持部材40を引き上げる。押さえリング54によりフィルタエレメント20と把持部材40が一体化されているため、フィルタエレメント20及び把持部材40が一緒にフィルタケース10の内部から引き上げられる。
【0052】
フィルタエレメント20及び把持部材40がフィルタケース10から取り外されたら、押さえリング54を上プレート24から取り外す。次に、把持部材40を上プレート24から取り外す。これにより、使用済みのフィルタエレメント20が取り出される。把持部材40及び押さえリング54は、再び用いられる。
【0053】
未使用の新たなフィルタエレメント20に、使用済みのフィルタエレメント20から取り外した把持部材40を取り付け、使用済みのフィルタエレメント20から取り外した押さえリング54を新しいフィルタエレメント20の上プレート24に装着する。
【0054】
なお、フィルタエレメント20の交換時に、フィルタエレメント20の使用者は、孔24f及び突起41hを視認する。使用者に比較的文字が認識され易いことから、孔24f及び突起41hは、文字として視認できる形状で形成することが望ましい。
【0055】
本実施の形態によれば、正規なフィルタエレメント20以外の非正規品であるフィルタエレメントが用いられることを防止することができる。
【0056】
なお、本実施の形態では、非正規品の取り付け防止対策として、突起部24eに凸部を形成し、当該凸部に対応する形状の凹部を把持部材40に設けてもよい。
【0057】
<第2の実施の形態>
図5は、第2の実施の形態にかかるフィルタ装置2の概略を示す断面図である。
図5では、断面を示すハッチングを省略する。以下、第2の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0058】
フィルタ装置2は、主として、フィルタケース10(
図5では図示省略)と、フィルタエレメント20と、蓋体30Aと、把持部材40Aと、を有する。
【0059】
蓋体30Aは、主として、取付部31Aと、蓋本体32Aと、カバー33と、を有する。把持部材40Aは、上プレート24に取り付けられる部材であり、主として、本体部41Aと、ハンドル42Aと、を有する。
【0060】
取付部31Aは、外側に突出する突出部31aを有する。また、蓋本体32Aは、外側に突出する突出部32iを有する。突出部31a及び突出部32iにより形成される空間30aには、差圧センサ55が設けられている。また、取付部31Aは、径方向に延びる孔31bを有し、孔31bは空間30aと空間S1(
図1参照)とを連通する。
【0061】
図6は、取付部31A、蓋本体32A及び把持部材40Aの断面図である。
図6では、断面を示すハッチングを省略する。本体部41Aには、下面41fから上向きに突出する凹部41mが設けられており、ハンドル42Aには、下向きに突出する凹部42aが設けられている。また、把持部材40Aには、凹部41mと凹部42aとを連結する孔41kが設けられている。なお、孔41kは、凹部42aの底面に開口していてもよいし、凹部42aの底面近傍の側面に開口していてもよい。また、凹部41mと孔41kとの内径は同一でもよい。
【0062】
蓋本体32Aは、凹部32cの底面から突出するように設けられた凸部32eを有する、また、蓋本体32Aは、凹部32dの底面から突出するように設けられた凸部32fを有する。凸部32e及び凸部32fには、凸部32eの先端に開口する穴32gが形成される。また、筒状部32bには、両端が穴32gと筒状部32bの外周面に開口する孔32hが形成される。
【0063】
凸部32eは、凹部42aに挿入される。そのため、蓋体30(ここでは、蓋本体32A)と把持部材40(ここでは、ハンドル42A)との位置関係を一定にし、凹部41m、孔41k、凹部42a、穴32g、及び孔32hを1つの孔とすることができる。凸部32eと凹部42aとの間には、作動油の漏れを防止するシール部材56が設けられている。
【0064】
図5の説明に戻る。凹部41m、孔41k、凹部42a、穴32g、及び孔32hは、空間S2と空間30aとを連通するため、差圧センサ55を空間30aに設けることで、フィルタケース10内部の圧力とケース外部の圧力の差が検出される。
【0065】
本実施の形態によれば、正規品以外の部品の使用を防止しつつ、蓋体30Aに設けられた差圧センサ55で空間S1と空間S2との差圧を検出することができる。
【0066】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。当業者であれば、実施形態の各要素を、適宜、変更、追加、変換等することが可能である。
【0067】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、略同一とは、厳密に同一の場合には限られず、同一性を失わない程度の誤差を含む概念である。また、例えば、単に同一と表現する場合において、厳密に同一の場合のみでなく、略同一の場合を含むものとする。また、本発明において「近傍」とは、基準となる位置の近くのある範囲(任意に定めることができる)の領域を含むことを意味する。例えば、Aの近傍という場合に、Aの近くのある範囲の領域であって、Aを含んでもいても含んでいなくてもよいことを示す概念である。
【符号の説明】
【0068】
1、2 :フィルタ装置
10 :フィルタケース
11 :タンク本体
12 :流入部
13 :流出部
20 :フィルタエレメント
21 :濾材
22 :外筒
23 :内筒
24 :上プレート
24a :板状部
24b :筒状部
24c :筒状部
24d :収容部
24e :突起部
24f :孔
25 :下プレート
30、30A:蓋体
30a :空間
31、31A:取付部
31a :突出部
31b :孔
32、32A:蓋本体
32a :フランジ部
32b :筒状部
32c :凹部
32d :凹部
32e :凸部
32f :凸部
32g :穴
32h :孔
32i :突出部
33 :カバー
40、40A:把持部材
41、41A:本体部
41a :上面
41b :外周面
41c :溝
41e :孔
41f :下面
41g :リブ
41h :突起
41k :孔
41m :凹部
42、42A:ハンドル
42a :凹部
51 :シール部材
52 :シール部材
53 :バルブ
54 :押さえリング
55 :差圧センサ
56 :シール部材
58 :ねじ