(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 6/06 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
F24F6/06
(21)【出願番号】P 2019087635
(22)【出願日】2019-05-07
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 昭広
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-155976(JP,A)
【文献】実開昭57-010219(JP,U)
【文献】特開2012-007786(JP,A)
【文献】特開2010-151365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が流通する流通路を有する筐体と、
各々が前記流通路に配置され、前記空気が通過する複数のフィルター部と
、
前記複数のフィルター部が第1状態及び第2状態のいずれかの状態となるように、前記複数のフィルター部を移動させる第1駆動部と
を備え、
前記複数のフィルター部の各々は、液体が含浸される含浸部を含み、
前記複数のフィルター部の各々の位置に応じて、含浸領域の大きさが異なり、
前記含浸領域は、前記流通路を前記空気の流通方向からみたときに、前記複数のフィルター部の前記含浸部が占める領域を示
し、
前記第1状態は、前記流通路において前記空気の流通方向に、前記複数のフィルター部の前記含浸部が重ならない状態を示し、
前記第2状態は、前記流通路において前記空気の流通方向に、前記複数のフィルター部の前記含浸部のうち、少なくとも2個の含浸部が重なった状態を示す、空気調和機。
【請求項2】
前記複数のフィルター部は、第1フィルター部と、第2フィルター部とを含み、
前記第1フィルター部及び前記第2フィルター部の各々は、前記液体が含浸されない非含浸部を更に含み、
前記第1駆動部は、前記第1フィルター部及び/又は前記第2フィルター部を回転軸線の回りに回転させる、請求項
1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記第1フィルター部は、第1係合部を有し、
前記第2フィルター部は、第2係合部と、前記第2係合部と異なる位置に配置された第3係合部とを有し、
前記第1駆動部は、前記第1フィルター部を回転させ、
前記第1フィルター部が、第1回転方向に回転した場合に、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合し、前記第1フィルター部及び前記第2フィルター部が前記第1状態で回転し、
前記第1フィルター部が、前記第1回転方向と逆の第2回転方向に回転した場合に、前記第1係合部と前記第3係合部とが係合し、前記第1フィルター部及び前記第2フィルター部が前記第2状態で回転する、請求項
2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記第1フィルター部は、第1係合部を有し、
前記第2フィルター部は、第2係合部と、前記第2係合部と異なる位置に配置された第3係合部とを有し、
前記第1駆動部は、前記第2フィルター部を回転させ、
前記第2フィルター部が、第1回転方向に回転した場合に、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合し、前記第1フィルター部及び前記第2フィルター部が前記第2状態で回転し、
前記第2フィルター部が、前記第1回転方向と逆の第2回転方向に回転した場合に、前記第1係合部と前記第3係合部とが係合し、前記第1フィルター部及び前記第2フィルター部が前記第1状態で回転する、請求項
2に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記空気が前記複数のフィルター部を通過するように、気流を発生するファンと、
前記液体である水が収容される水槽と
を更に備え、
前記複数のフィルター部の各々の一部が前記水に浸漬されて、前記水が前記複数のフィルター部の各々に含浸される、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空気に水分を供給する加湿装置が普及している。例えば、特許文献1に記載された加湿装置は、送風ファン及び加湿フィルターを備える。送風ファンは、加湿フィルターに向けて空気を送出する。加湿フィルターは、全面に含浸部を有する。含浸部には、水が含浸されている。その結果、加湿フィルターは、水分を空気中に放出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された加湿装置では、加湿フィルターを通過する全ての空気は、含浸部を必ず通過する。その結果、加湿フィルターを通過する全ての空気には、水のような物質が均一に含有される。よって、空気中に含有される物質の量は一定であった。換言すれば、空気中に含有される物質の量を調整できなかった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、空気中に含有される物質の量を調整できる空気調和機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る空気調和機は、筐体と、複数のフィルター部とを備える。前記筐体は、空気が流通する流通路を有する。前記複数のフィルター部は、各々が前記流通路に配置され、前記空気が通過する。前記複数のフィルター部の各々は、液体が含浸される含浸部を含む。前記複数のフィルター部の各々の位置に応じて、含浸領域の大きさが異なる。前記含浸領域は、前記流通路を前記空気の流通方向からみたときに、前記複数のフィルター部の前記含浸部が占める領域を示す。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る空気調和機によれば、空気中に含有される物質の量を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る加湿装置の構成の一例を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る第1状態の加湿ユニット及びモータを示す後面図である。
【
図3】第1実施形態に係る第2状態の加湿ユニット及びモータを示す後面図である。
【
図4】(a)は、第2実施形態に係る第1状態の加湿ユニットを示す後面図である。(b)は、第2状態の一例の加湿ユニットを示す後面図である。(c)は、第2状態の他の一例の加湿ユニットを示す後面図である。(d)は、第2状態の更に他の一例の加湿ユニットを示す後面図である。
【
図5】第3実施形態に係る加湿ユニットを示す後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
<第1実施形態>
まず、
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る加湿装置100の構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る加湿装置100の構成の一例を示す断面図である。また、第1実施形態では、図中に、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を示す。Z軸は鉛直方向に平行であり、X軸及びY軸は水平方向に平行である。X軸の正方向は、加湿装置100の前面側を示す。
【0011】
図1に示すように、加湿装置100は、筐体10、加湿ユニット3、水槽4、モータ5及び送風機6を備える。加湿装置100は、空気調和機の一例である。モータ5は、第1駆動部の一例である。
【0012】
筐体10は、天板26と、底板27と、側板29と、前面パネル28と、後面パネル24とを備える。前面パネル28と後面パネル24と側板29との各々は、天板26と底板27との間に配置されている。
【0013】
後面パネル24は、前面パネル28と対向して配置される。そして、後面パネル24は、筐体10のX軸の負方向側に配置される。本明細書において、X軸の正方向は、後面パネル24から前面パネル28に向かう第1方向D1を示す。また、X軸の負方向は、第1方向D1と逆の第2方向D2を示す。後面パネル24は、複数の吸込口25を有する。複数の吸込口25の各々は、開口である。
【0014】
天板26は、底板27と対向して配置される。そして、筐体10の上方側に配置される。天板26は、複数の送気口16を有する。複数の送気口16の各々は、開口である。
【0015】
筐体10は、吸込室12と、吐出室13と、隔壁11とを更に備える。隔壁11は、吸込室12と吐出室13とを仕切る。吸込室12は、吐出室13の第2方向D2側に配置される。
【0016】
筐体10は、流通路RAを有する。具体的には、吸込室12は、複数の吸込口25を介して筐体10の外部に連通する。吐出室13は、複数の送気口16を介して筐体10の外部に連通する。吸込室12と吐出室13とは、隔壁11の下部に設けた開口11aを経て相互に連通する。吸込口25と吸込室12と開口11aと吐出室13と送気口16とが、流通路RAに相当する。
【0017】
まず、吸込室12について詳細に説明する。吸込室12は、加湿ユニット3と、水槽4と、モータ5とを収容する。また、吸込室12は、集塵フィルター22と、脱臭フィルター23とを備える。
【0018】
脱臭フィルター23は、後面パネル24に対して第1方向D1側に配置される。脱臭フィルター23は、空気中に含有される臭い成分を吸着する。脱臭フィルター23は、例えば、活性炭を保持させた不織布である。
【0019】
集塵フィルター22は、脱臭フィルター23に対して第1方向D1側に配置される。集塵フィルター22は、脱臭フィルター23に積層される。集塵フィルター22は、空気中に含有される塵埃を捕集する。集塵フィルター22は、例えば、HEPAフィルター(High Efficiency Particulate Air Filter)である。
【0020】
仕切部材21は、集塵フィルター22に対して第1方向D1側に配置される。仕切部材21は、複数の開口211を有する。
【0021】
次に、吐出室13について詳細に説明する。吐出室13は、送風機6を収容する。送風機6は、開口11aに対向配置される。
【0022】
送風機6は、ファン60と、モータ61とを有する。モータ61は、ファン60を回転させる。詳細には、ファン60の中心は、モータ61の回転軸に連結される。
【0023】
ファン60は、空気が加湿ユニット3を通過するように、気流を発生する。具体的には、モータ61の駆動によりファン60が回転する。そして、ファン60は、加湿ユニット3を介して空気を吸引し、第1方向D1側へ空気を送出する。
【0024】
更に詳細には、流通路RAには、空気が流通する。具体的には、ファン60の回転によって、方向Dで示すように、加湿装置100の外部から後面パネル24の吸込口25を経て吸込室12へ空気が流入する。方向Dは、空気の流れの方向を示す。流入した空気は、吸込室12の内部を第1方向D1へ流れる。そして、開口11aを経由して、空気はファン60に吸引される。ファン60によって、空気の進行方向は上方向に変えられる。そして、空気は、送気口16を経由して加湿装置100の外部へ排出される。
【0025】
水槽4は、液体が収容される。液体は、例えば、水である。水槽4の形状は、矩形の箱状を有する。水槽4の上面は開口している。そして、水槽4は、加湿ユニット3の下方に配置される。
【0026】
水槽4は、2個の支持ローラ41を有する。具体的には、2個の支持ローラ41の各々は、水槽4の内部に設けられている。2個の支持ローラ41の各々は、第1方向D1を回転軸として回転する。また、2個の支持ローラ41は、第1方向と交差する方向、かつ、鉛直方向と交差する方向に沿って、所定距離を空けて配置されている。
【0027】
続けて、
図2及び
図3を参照して、第1実施形態に係る加湿ユニット3及びモータ5について説明する。
図2は、第1状態の加湿ユニット3を示す後面図である。
図3は、第2状態の加湿ユニット3を示す後面図である。なお、加湿ユニット3は、第1状態及び第2状態のいずれかの状態となる。
【0028】
図2及び
図3に示すように、加湿ユニット3は、複数のフィルター部を備える。複数のフィルター部は、例えば、第1フィルター部3aと、第2フィルター部3bとを含む。
【0029】
複数のフィルター部の各々は、流通路RAに配置される。具体的には、第1フィルター部3a及び第2フィルター部3bは、開口11aに対向配置される。その結果、第1フィルター部3a及び第2フィルター部3bには、空気が通過する。
【0030】
まず、第1フィルター部3aについて説明する。第1フィルター部3aは、保持枠30aと、含浸部31aと、非含浸部35aと、リングギヤ32aとを有する。保持枠30aの形状は、円筒状を有する。保持枠30aの内部には、含浸部31aと非含浸部35aとが収納されている。
【0031】
含浸部31aは、液体が含浸される。例えば、含浸部31aは、半円板状のシートである。シートは、吸水性と通気性とを有する材料で形成される。シートは、例えば、レーヨンで形成される。
【0032】
一方、非含浸部35aは、液体が含浸されない。非含浸部35aは、例えば、半円板状の開口である。そして、非含浸部35aは、保持枠30aの内部のうち、含浸部31a以外の領域である。
【0033】
保持枠30aが2個の支持ローラ41上に載置されることにより、第1フィルター部3aは流通路RAに配置される。第1フィルター部3aの下部は、水槽4の内部に位置するとともに、第1フィルター部3aの上部は、水槽4の外部に位置する。第1フィルター部3aの下部は、水槽4内の水に浸漬される。
【0034】
リングギヤ32aは、保持枠30aの外周面に形成される。具体的には、リングギヤ32aは、保持枠30aの外周面の全周にわたって形成された歯である。
【0035】
モータ5は、第1フィルター部3aを回転軸線の回りに回転させる。モータ5は、仕切部材21に固定されており、第1フィルター部3aよりも上側に配置される。モータ5には、伝動歯車が連結されており、伝動歯車には、駆動歯車が噛合される。
【0036】
2個の支持ローラ41上に保持枠30aが載置されたときに、駆動歯車とリングギヤ部32aとは、噛合する。すなわち、第1フィルター部3aは、2個の支持ローラ41と、駆動歯車とにより、周方向の異なる位置で3点支持された状態となる。その結果、モータ5が回転駆動することによって、伝動歯車を介して駆動歯車が回転する。そして、駆動歯車の回転がリングギヤ32aを介して保持枠30aに伝わり、第1フィルター部3aが第1方向D1を回転軸として回転する。
【0037】
第1フィルター部3aが回転駆動されて、含浸部31aが水槽4の内部に位置し、非含浸部35aが水槽4の外部に位置したときに、水が含浸部31aに含浸される。更に、第1フィルター部3aが回転駆動されて、含浸部31aが水槽4の外部に位置し、非含浸部35aが水槽4の内部に位置したときに、含浸部31a及び非含浸部35aは吸水しない。
【0038】
また、第1フィルター部3aが回転駆動されて、含浸部31aが第1フィルター部3aの上部に位置し、非含浸部35aが第1フィルター部3aの下部に位置したときに、流通路RAを流通する空気は、含浸部31aを通過する。空気が含浸部31aを通過する際に、含浸部31aに含浸された水が気化し、空気は気化した水分を含んだ空気となる。その結果、水分を含んだ空気は、送気口16から加湿装置100の外部へ排出される。
【0039】
更に、第1フィルター部3aが回転駆動されて、含浸部31aが第1フィルター部3aの下部に位置し、非含浸部35aが第1フィルター部3aの上部に位置したときに、流通路RAを流通する空気は、非含浸部35aを通過する。その結果、水分を含まない空気が、送気口16から加湿装置100の外部へ排出される。
【0040】
続けて、第2フィルター部3bについて説明する。第2フィルター部3bは、保持枠30bと、含浸部31bと、非含浸部35bとを有する。保持枠30bの形状は、円筒状を有する。保持枠30bの内部には、含浸部31bと非含浸部35bとが収納されている。
【0041】
含浸部31bは、液体が含浸される。例えば、含浸部31bは、半円板状のシートである。シートは、吸水性と通気性とを有する材料で形成される。シートは、例えば、レーヨンで形成される。
【0042】
一方、非含浸部35bは、液体が含浸されない。非含浸部35bは、例えば、半円板状の開口である。そして、非含浸部35bは、保持枠30bの内部のうち、含浸部31b以外の領域である。
【0043】
保持枠30bは、2個の支持ローラ41上に載置されることにより、第2フィルター部3bは、流通路RAに配置される。第2フィルター部3bは、第1フィルター部3aの第1方向D1側に配置される。第2フィルター部3bの下部は、水槽4の内部に位置するとともに、第2フィルター部3bの上部は、水槽4の外部に位置する。第2フィルター部3bの下部は、水槽4内の水に浸漬される。
【0044】
支持ローラ42は、隔壁11に取り付けられており、第2フィルター部3bよりも上側に配置される。支持ローラ42は、第1方向D1を回転軸として回転する。
【0045】
2個の支持ローラ41上に保持枠30bが載置されたときに、支持ローラ42と保持枠30bとは、接触する。すなわち、第2フィルター部3bは、2個の支持ローラ41と、支持ローラ42とにより、周方向の異なる位置で3点支持された状態となる。その結果、第2フィルター部3bは、第1方向D1を回転軸として回転可能である。
【0046】
第2フィルター部3bが回転駆動されて、含浸部31bが水槽4の内部に位置し、非含浸部35bが水槽4の外部に位置したときに、水が含浸部31bに含浸される。更に、第2フィルター部3bが回転駆動されて、含浸部31bが水槽4の外部に位置し、非含浸部35bが水槽4の内部に位置したときに、含浸部31b及び非含浸部35bは吸水しない。
【0047】
また、第2フィルター部3bが回転駆動されて、含浸部31bが第2フィルター部3bの上部に位置し、非含浸部35bが第2フィルター部3bの下部に位置したときに、流通路RAを流通する空気は、含浸部31bを通過する。空気が含浸部31bを通過する際に、含浸部31bに含浸された水が気化し、空気は気化した水分を含んだ空気となる。その結果、水分を含んだ空気は、送気口16から加湿装置100の外部へ排出される。
【0048】
更に、第2フィルター部3bが回転駆動されて、含浸部31bが第2フィルター部3bの下部に位置し、非含浸部35bが第2フィルター部3bの上部に位置したときに、流通路RAを流通する空気は、非含浸部35bを通過する。その結果、水分を含まない空気が、送気口16から加湿装置100の外部へ排出される。
【0049】
ここで、第1フィルター部3aと第2フィルター部3bとの位置関係について説明する。加湿装置100では、複数のフィルター部の各々の位置に応じて、含浸領域の大きさが異なる。含浸領域は、流通路RAを空気の流通方向からみたときに、複数のフィルター部の含浸部31が占める領域を示す。
【0050】
詳細には、加湿装置100では、複数のフィルター部が第1状態であるときと、第2状態であるときとで、含浸領域の大きさが異なる。第1状態は、流通路RAにおいて空気の流通方向に、複数のフィルター部の含浸部31が重ならない状態を示す。一方、第2状態は、流通路RAにおいて空気の流通方向に、複数のフィルター部の含浸部31のうち、少なくとも2個の含浸部31が重なった状態を示す。
【0051】
具体的には、第1フィルター部3aと第2フィルター部3bとが第1状態であるときには、流通路RAにおいて空気の流通方向に、含浸部31aと含浸部31bとは重ならない。例えば、含浸部31aが下部に位置するときに、含浸部31bが上部に位置する。すなわち、含浸領域は、含浸部31aの大きさと含浸部31bの大きさとの合計である。流通路RAを流通する空気は、加湿ユニット3を通過する際に、含浸部31aの大きさと含浸部31bの大きさとの合計に応じた水分量を含んだ空気となる。なお、空気の流通方向において流通路RAの全面に含浸部31が配置されるため、流通路RAを流通する空気の量を少なくすることもできる。
【0052】
一方、第1フィルター部3aと第2フィルター部3bとが第2状態であるときには、流通路RAにおいて空気の流通方向に、含浸部31aと含浸部31bとは重なる。例えば、含浸部31aが上部に位置するときに、含浸部31bが上部に位置する。すなわち、含浸領域は、含浸部31aの大きさである。流通路RAを流通する空気は、加湿ユニット3を通過する際に、含浸部31aの大きさに応じた水分量を含んだ空気となる。なお、空気の流通方向において流通路RAの一部のみに含浸部31が配置されるため、流通路RAを流通する空気の量を多くすることもできる。
【0053】
以上、
図1~
図3を参照して説明したように、加湿装置100によれば、含浸領域の大きさを異ならせることができるため、空気中に含有される物質の量を調整できる。
また、加湿装置100によれば、第1フィルター部3a又は第2フィルター部3bを回転させることで、含浸部31が重ならない状態と、含浸部31が重なった状態とにすることができるため、簡易な駆動部を用いることができる。駆動部は、例えば、モータ5と、伝動歯車と、駆動歯車とを含む。
【0054】
そして、加湿装置100によれば、第1状態では、多い水分量を含んだ空気を、少ない風量で送風でき、一方、第2状態では、少ない水分量を含んだ空気を、多い風量で送風できる。
そして、加湿装置100によれば、運転を停止させたときに、第1フィルター部3aの非含浸部35a及び第2フィルター部3bの非含浸部35bを水槽4の内部に位置させることができる。その結果、第1フィルター部3a及び第2フィルター部3bが吸水しないため、第1フィルター部3a及び第2フィルター部3bに水垢が発生することを防止できる。
【0055】
次に、第1フィルター部3aと第2フィルター部3bとの移動方法について説明する。加湿装置100では、モータ5は、第1フィルター部3aを回転させる。第1フィルター部3aが、第1回転方向R1に回転した場合に、第1フィルター部3a及び第2フィルター部3bが第1状態で回転する。一方、第1フィルター部3aが、第2回転方向R2に回転した場合に、第1フィルター部3a及び第2フィルター部3bが第2状態で回転する。第2回転方向は、第1回転方向と逆の回転方向である。
【0056】
詳細には、第1フィルター部3aは、第1係合部33aを更に有する。例えば、第1係合部33aは、第1方向D1側に突出する円柱形状の突出部である。第1係合部33aは、保持枠30aの第1方向D1側の面に形成されている。また、第1係合部33aは、含浸部31aと非含浸部35aとの間に配置される。
【0057】
そして、第2フィルター部3bは、第2係合部33bと、第2係合部33bと異なる位置に配置された第3係合部34bとを更に有する。例えば、第2係合部33b及び第3係合部34bの各々は、第2方向D2側に突出する円柱形状の突出部である。第2係合部33b及び第3係合部34bの各々は、保持枠30aの第2方向D2側の面に形成されている。また、第2係合部33bは、含浸部31bと非含浸部35bとの間に配置される。また、第3係合部34bは、第2係合部33bと対向する含浸部31bと非含浸部35bとの間に配置される。
【0058】
第1フィルター部3aは、モータ5によって第1回転方向R1に回転した場合に、第1係合部33aと第2係合部33bとが所定時点で係合する。含浸部31aの位置と含浸部31bの位置とがずれて、第1フィルター部3aと第2フィルター部3bとは、第1状態になる。更に、第1フィルター部3aが、モータ5によって第1回転方向R1に回転したときに、第2フィルター部3bは、係合によって第1回転方向R1に回転する。その結果、第1フィルター部3a及び第2フィルター部3bが第1状態で回転する。
【0059】
一方、第1フィルター部3aは、モータ5によって第2回転方向R2に回転した場合に、第1係合部33aと第3係合部34bとが所定時点で係合する。含浸部31aの位置と含浸部31bの位置とが一致して、第1フィルター部3aと第2フィルター部3bとは第2状態になる。更に、第1フィルター部3aが、モータ5によって第2回転方向R2に回転したときに、第2フィルター部3bは、係合によって第2回転方向R2に回転する。その結果、第1フィルター部3a及び第2フィルター部3bが第2状態で回転する。
【0060】
従って、第1フィルター部3aが第1回転方向R1に回転した場合と、第1フィルター部3aが第2回転方向R2に回転した場合とで、含浸領域の大きさを異ならせて、回転させることができる。その結果、調整された水分量を含んだ空気を、長時間、送風できる。
【0061】
<第2実施形態>
図4を参照して、本発明の第2実施形態に係る加湿装置100の構成について説明する。
図4(a)は、第1状態の加湿ユニット103を示す後面図である。
図4(b)は、第2状態の一例の加湿ユニット103を示す後面図である。
図4(c)は、第2状態の他の一例の加湿ユニット103を示す後面図である。
図4(d)は、第2状態の更に他の一例の加湿ユニット103を示す後面図である。
【0062】
第1実施形態に係る加湿装置100では、加湿ユニット3は、第1フィルター部3aと第2フィルター部3bとを含むのに対して、第2実施形態に係る加湿装置100では、加湿ユニット103は、4個のフィルター部を含む点で相違している。以下の説明では、4個のフィルター部について主に説明する。
【0063】
4個のフィルター部の各々の含浸部131a~131dは、扇形状のシートであり、例えば、1/4の円板状のシートである。4個のフィルター部は、第1方向D1に並べられて配置されている。
【0064】
ここで、4個のフィルター部の位置関係について説明する。加湿装置100では、4個のフィルター部の各々の位置に応じて、含浸領域の大きさが異なる。
【0065】
図4(a)に示す状態は、流通路RAにおいて空気の流通方向に、4個のフィルター部の含浸部131a~131dが重ならない状態を示す。すなわち、含浸領域は、含浸部131aの大きさと含浸部131bの大きさと含浸部131cの大きさと含浸部131dの大きさとの合計である。
【0066】
図4(b)に示す状態は、流通路RAにおいて空気の流通方向に、含浸領域は、含浸部131aと含浸部131dとが重なった状態を示す。すなわち、含浸領域は、含浸部131aの大きさと含浸部131bの大きさと含浸部131cの大きさとの合計である。
【0067】
図4(c)に示す状態は、流通路RAにおいて空気の流通方向に、含浸領域は、含浸部131aと含浸部131cと含浸部131dとが重なった状態を示す。すなわち、含浸領域は、含浸部131aの大きさと含浸部131bの大きさとの合計である。
【0068】
図4(d)に示す状態は、流通路RAにおいて空気の流通方向に、含浸部131aと含浸部131bと含浸部131cと含浸部131dとが重なった状態を示す。すなわち、含浸領域は、含浸部131aの大きさである。
【0069】
以上、
図4を参照して説明したように、加湿装置100によれば、含浸領域の大きさを4段階で異ならせることができるため、4段階で物質の量を調整できる。
【0070】
<第3実施形態>
図5を参照して、本発明の第3実施形態に係る加湿装置100の構成について説明する。
図5は、加湿ユニット203を示す後面図である。第1実施形態に係る加湿装置100では、第1フィルター部3aを回転させるモータ5を備えたのに対して、第3実施形態に係る加湿装置100では、第1フィルター部203aを水平方向に移動させる第2駆動部205aと、第2フィルター部203bを水平方向に移動させる第2駆動部205bとを備える点で相違している。以下の説明では、加湿ユニット203及び第2駆動部205について主に説明する。
【0071】
加湿ユニット203は、第1フィルター部203aと、第2フィルター部203bとを含む。まず、第1フィルター部203aについて説明する。第1フィルター部203aは、保持枠230aと、含浸部231aと、非含浸部235aとを有する。保持枠230aの形状は、四角筒状を有する。保持枠230aの内部には、含浸部231aと非含浸部235aとが収納されている。
【0072】
含浸部231aは、液体が含浸される。例えば、含浸部231aは、2個の長方形状のシートである。2個の長方形状のシートは、間隔を空けて配置されている。
【0073】
一方、非含浸部235aは、液体が含浸されない。例えば、非含浸部235aは、2個の長方形状の開口である。そして、非含浸部235aは、保持枠230aの内部のうち、含浸部231a以外の領域である。
【0074】
次に、第2フィルター部203bについて説明する。第2フィルター部203bは、保持枠230bと、含浸部231bと、非含浸部235bとを有する。保持枠230bの形状は、四角筒状を有する。保持枠230bの内部には、含浸部231bと非含浸部235bとが収納されている。
【0075】
含浸部231bは、液体が含浸される。例えば、含浸部231bは、2個の長方形状のシートである。2個の長方形状のシートは、間隔を空けて配置されている。
【0076】
一方、非含浸部235bは、液体が含浸されない。例えば、非含浸部235bは、2個の長方形状の開口である。そして、非含浸部235bは、保持枠230bの内部のうち、含浸部231b以外の領域である。
【0077】
第2駆動部205は、第2駆動部205aと、第2駆動部205bとを含む。第2駆動部205aは、第1フィルター部203aを水平方向に第1位置及び第2位置のいずれかの位置に移動させる。第1位置は、流通路111内の位置を示す。また、第2位置は、流通路111外の位置を示す。
【0078】
第2駆動部205bは、第2フィルター部203bを水平方向に第1位置及び第2位置のいずれかの位置に移動させる。
【0079】
よって、第3実施形態に係る加湿装置100では、第1フィルター部203a及び第2フィルター部203bが第1位置にある状態と、第1フィルター部203aが第1位置にあり、第2フィルター部203bが第2位置にある状態と、第1フィルター部203aが第2位置にあり、第2フィルター部203bが第1位置にある状態と、第1フィルター部203a及び第2フィルター部203bが第2位置にある状態とで、含浸領域の大きさが異なる。
【0080】
以上、
図5を参照して説明したように、加湿装置100によれば、第1フィルター部203a及び第2フィルター部203bで含浸領域の大きさを4段階で異ならせることができるため、4段階で物質の量を調整できる。
【0081】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0082】
(1)
図1~
図3を参照して説明したように、第1実施形態では、第1フィルター部3aを回転させるモータ5を備えたが、本発明はこれに限定されない。第1フィルター部3aではなく、第2フィルター部3bを回転させるモータ5を備えてもよい。また、第1フィルター部3aを回転させるモータ5と、第2フィルター部3bを回転させるモータ5とを備えてもよい。
【0083】
(2)
図1~
図3を参照して説明したように、第1実施形態では、第1フィルター部3a及び第2フィルター部3bは、同じ水槽4内の液体に浸漬されたが、本発明はこれに限定されない。第1フィルター部3a及び第2フィルター部3bは、異なる水槽4内の液体に浸漬されてもよい。また、第1フィルター部3aは第1液体に浸漬され、第2フィルター部3bは、第1液体と異なる種類の第2液体に浸漬されてもよい。第1液体と第2液体とを混合することで、流通路RAで反応させてもよい。液体は、薬剤を含んでもよい。薬剤は、例えば、アロマ成分を含む。
【0084】
(3)
図1~
図5を参照して説明したように、本実施形態では、空気調和機が加湿装置100であるが、本発明はこれに限定されない。空気調和機が、空気が流通する流通路を有すればよい。空気調和機が、例えば、ドライヤーでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、空気調和機を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0086】
3 加湿ユニット
3a 第1フィルター部
3b 第2フィルター部
4 水槽
5 モータ
6 送風機
10 筐体
16 送気口
25 吸込口
26 天板
31 含浸部
31a 含浸部
33a 第1係合部
33b 第2係合部
34b 第3係合部
100 加湿装置