(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】捕虫装置
(51)【国際特許分類】
A01M 1/00 20060101AFI20230327BHJP
A01M 1/14 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
A01M1/00 Q
A01M1/14 E
A01M1/14 S
(21)【出願番号】P 2019096265
(22)【出願日】2019-05-22
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】松原 嘉彦
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-304788(JP,A)
【文献】特開2006-280287(JP,A)
【文献】国際公開第2017/208491(WO,A1)
【文献】特開2001-061394(JP,A)
【文献】特開2001-045945(JP,A)
【文献】特開2012-161269(JP,A)
【文献】特開2003-168181(JP,A)
【文献】米国特許第06161327(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0075776(US,A1)
【文献】特開2003-169584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00
A01M 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
虫を捕捉する捕捉部を有する捕虫部材と、
前記捕捉部を移動可能に支持する支持部と、
前記捕捉部が配置された環境を示す物理量に基づいて、前記捕捉部を移動させるか否かを判定する判定部と
、
前記捕捉部に対向して配置された送風機と
を備え
、
前記物理量は、前記送風機による空気の送出量又は送出期間を含む、捕虫装置。
【請求項2】
前記捕捉部は、粘着面、又は、網状部である、請求項1に記載の捕虫装置。
【請求項3】
前記物理量は、温度、湿度、埃量、又は、前記虫の発生量の指数を
更に含む、請求項1
又は請求項
2に記載の捕虫装置。
【請求項4】
前記物理量の大きさに応じて消耗値が割り当てられ、
前記判定部は、前記消耗値の積算値と閾値とを比較して、比較結果に基づいて前記捕捉部を移動させるか否かを判定し、
前記消耗値は、前記捕捉部の捕虫力の消耗を示す、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の捕虫装置。
【請求項5】
前記判定部が前記捕捉部を移動させると判定した場合に、前記捕捉部の移動時期を報知する報知部を更に備える、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の捕虫装置。
【請求項6】
前記支持部を駆動する駆動部と、
前記判定部が前記捕捉部を移動させると判定した場合に、前記支持部が駆動するように、前記駆動部を制御する駆動制御部を更に備える、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の捕虫装置。
【請求項7】
前記捕虫部材は、捕虫シートであり、
前記支持部は、
前記捕虫シートの一端部を回転可能に支持して、前記捕虫シートを巻き取る第1巻取ローラーと、
前記捕虫シートの他端部を回転可能に支持して、前記捕虫シートを送り出す第2巻取ローラーと
を有する、請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の捕虫装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捕虫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された送風装置は、流入口及び吹出口を有する本体筐体と、捕虫シートとを備える。捕虫シートは、虫を捕獲する。捕虫シートは、粘着面を有する。粘着面は、流入口に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使用者は、例えば1週間のような使用期限が経過した後に捕虫シートのような捕虫部材を、新たな捕虫部材に交換している。しかしながら、或る環境によっては、使用期限よりも長い期間で、捕虫部材を使用できる場合があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、捕虫部材を効率よく使用できる捕虫装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る捕虫装置は、捕虫部材と、支持部と、判定部とを備える。前記捕虫部材は、虫を捕捉する捕捉部を有する。前記支持部は、前記捕捉部を移動させる。前記判定部は、前記捕捉部が配置された環境を示す物理量に基づいて、前記捕捉部を移動させるか否かを判定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る捕虫装置によれば、捕虫部材を効率よく使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る送風装置の構成の一例を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る送風装置の構成の一例を示す断面図である。
【
図3】第1実施形態に係るカバー部材を示す前面図である。
【
図4】第1実施形態に係る送風装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】第1実施形態に係る制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】第2実施形態に係る制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。本実施形態では、図中に、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を示す。Z軸は鉛直方向に平行であり、X軸及びY軸は水平方向に平行である。X軸の正方向は、送風装置1の前面側を示す。
【0010】
<第1実施形態>
まず、
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る送風装置1の構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る送風装置1の構成の一例を示す斜視図である。
図2は、送風装置1の構成の一例を示す断面図である。
【0011】
図1に示すように、送風装置1は、筐体2、カバー部材3及び捕虫シート51を備える。送風装置1は、捕虫装置の一例である。捕虫シート51は、捕虫部材の一例である。送風装置1は、居室内の虫を捕獲する。送風装置1は、例えば、居室内の床面に設置される。虫は、例えば、害虫であり、具体的には、蚊、ハエ、ゴキブリ、ダニ、ノミ、アリ、ハチ、クモ、シラミ又はムカデである。
【0012】
筐体2は、天板部12と、底板部14と、側板15とを備える。側板15は、天板部12と底板部14との間に配置されている。側板15の水平断面形状は、例えば、略楕円形を呈する。
【0013】
図2に示すように、側板15は、後面パネル15aと、前面パネル15bとを有する。後面パネル15aは、前面パネル15bと対向して配置される。そして、後面パネル15aは、筐体2のX軸の負方向側に配置される。本明細書において、X軸の正方向は、後面パネル15aから前面パネル15bに向かう第1方向D1を示す。また、X軸の負方向は、第1方向D1と逆の第2方向D2を示す。後面パネル15aは、流入口20を有する。流入口20は、開口である。
【0014】
カバー部材3の水平断面形状は、例えば、略半楕円形を呈する。カバー部材3は、複数の吸込口4を有する。複数の吸込口4の各々は、開口である。
【0015】
そして、カバー部材3は、後面パネル15aに着脱可能である。例えば、カバー部材3は、係合爪を更に有する。係合爪は、筐体2に設けられた係合孔に係合する。カバー部材3が後面パネル15aに装着されたときに、カバー部材3と後面パネル15aとの間には、吸込口4と流入口20とを連通させる捕虫空間25が形成される。
【0016】
天板部12は、底板部14と対向して配置される。そして、天板部12は、筐体2の上方側に配置される。天板部12は、操作表示部6と、吹出口5とを有する。吹出口5は、開口である。以下、本明細書にいて、「上」は、例えば、底板部14から天板部12に向かう方向を示す。また、「下」は、例えば、天板部12から底板部14に向かう方向を示す。
【0017】
操作表示部6は、複数のボタンと、表示灯とを有する。そして、操作表示部6は、使用者の操作によって、送風装置1の動作設定を行う。具体的には、操作表示部6は、各ボタンの操作によって送風装置1の駆動オンオフ、及び、送風機10の風量の変更を指示する。
【0018】
筐体2は、吸込室7と、吐出室13と、隔壁11とを更に備える。隔壁11は、吸込室7と吐出室13とを仕切る。吸込室7は、吐出室13の第2方向D2側に配置される。
【0019】
筐体2は、流通路RAを有する。具体的には、吸込室7は、流入口20を介して筐体2の外部に連通する。吐出室13は、吹出口5を介して筐体2の外部に連通する。吸込室7と吐出室13とは、隔壁11の下部に設けた開口11aを経て相互に連通する。流入口20と吸込室7と開口11aと吐出室13と吹出口5とが、流通路RAに相当する。
【0020】
まず、吸込室7について詳細に説明する。吸込室7は、プレフィルター8と、集塵フィルター9とを備える。
【0021】
プレフィルター8は、後面パネル15aに対して第1方向D1側に配置される。プレフィルター8は、矩形の枠8aと、メッシュ8bとを有する。枠8aは、複数の開口を有し、例えば、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)等の合成樹脂で形成されている。メッシュ8bは、例えば、ポリプロピレンで形成され、枠8aに溶着されている。メッシュ8bの目の大きさは、例えば、蚊又はハエのような虫が通過できない大きさである。なお、
図2中では、プレフィルター8は、黒色で塗りつぶされて示されている。
【0022】
集塵フィルター9は、空気中に含有される塵埃を捕集する。集塵フィルター9は、例えば、HEPAフィルター(High Efficiency Particulate Air Filter)である。
【0023】
次に、吐出室13について詳細に説明する。吐出室13は、送風機10を収容する。送風機10は、捕虫シート51に対向して配置される。
【0024】
送風機10は、ファン10bと、モータ10aとを有する。モータ10aは、ファン10bを回転させる。詳細には、ファン10bの中心は、モータ10aの回転軸に連結される。
【0025】
ファン10bは、空気が流通路RAを通過するように、気流を発生する。詳細には、ファン10bの回転によって、方向Dで示すように、送風装置1の外部からカバー部材3の吸込口4を経て捕虫空間25へ空気が流入する。方向Dは、空気の流れの方向を示す。更に、空気は、後面パネル15aの流入口20を経て吸込室7へ空気が流入する。流入した空気は、吸込室7の内部を第1方向D1へ流れる。そして、開口11aを経由して、空気はファン10bに吸引される。ファン10bによって、空気の進行方向は上方向に変えられる。そして、空気は、吹出口5を経由して送風装置1の外部へ排出される。
【0026】
筐体2は、突出部28を更に備える。突出部28は、後面パネル15aの第2方向D2側の面の上部に配置されている。突出部28は、誘引光源21を有する。誘引光源21は、例えば、虫を誘引する約365nmの紫外線を出射する紫外線発光ダイオードである。
【0027】
捕虫シート51は、粘着面51cを有する。粘着面51cは、捕捉部の一例である。粘着面51cには、例えば、アクリル酸系の粘着剤が塗布されている。捕虫シート51は、カバー部材3で覆われる。詳細には、粘着面51cは、流入口20に対向して配置されている。その結果、吸込口4から進入した虫が、吸込気流により流入口20に向かって運ばれる際に、捕虫シート51に捕虫される。
【0028】
図3を参照して、カバー部材3について説明する。
図3は、第1実施形態に係るカバー部材を示す前面図である。
図3に示すように、カバー部材3は、支持部40と、ニオイ発生部71とを更に備える。
【0029】
ニオイ発生部71は、カバー部材3の第1方向D1側の面の上部に配置されている。ニオイ発生部71は、虫を誘引する臭気物質を発生する。臭気物質は、例えば、乳酸である。
【0030】
支持部40は、粘着面51cを移動可能に支持する。支持部40は、例えば、第1巻取ローラー41と、第2巻取ローラー42とを有する。第1巻取ローラー41及び第2巻取ローラー42の各々は、回転軸線AXの回りに回転する。回転軸線AXは、第1方向D1と交差する方向、かつ、鉛直方向と交差する方向に沿っている。
【0031】
第1巻取ローラー41は、カバー部材3の第1方向D1側の面の上部に配置されている。第1巻取ローラー41は、捕虫シート51の一端部を回転可能に支持して、捕虫シート51を巻取方向A1に巻き取る。
【0032】
第1巻取ローラー41には、ハンドル43が連結される。ハンドル43は、カバー部材3の開口部3aを介してカバー部材3の外側に配される。ハンドル43の回転駆動によって第1巻取ローラー41が回転し、捕虫シート51を巻き取ることができる。詳細には、虫が付着した粘着面51cが、第1巻取ローラー41に巻き取られる。
【0033】
第2巻取ローラー42は、カバー部材3の第1方向D1側の面の下部に配置されている。第2巻取ローラー42は、捕虫シート51の他端部を回転可能に支持して、捕虫シート51を巻取方向A1に送り出す。詳細には、粘着面51cに虫が付着した捕虫シート51が、第1巻取ローラー41に巻き取られると、新しい粘着面51cが、プレフィルター8に対向して配置される。
【0034】
次に、
図4を参照して、送風装置1の構成について説明する。
図4は、送風装置1の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、送風装置1は、制御部60を更に備える。
【0035】
制御部60は、処理部65と、記憶部70とを備える。記憶部70は、各種のデータ及びコンピュータープログラムを記憶する。記憶部70は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び/又はソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)によって構成される。記憶部70は、外部メモリーを含んでもよい。外部メモリーは、リムーバブルメディアである。記憶部70は、外部メモリーとして、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリー及び/又はSD(Secure Digital)カードを含んでもよい。
【0036】
処理部65は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。処理部65は、判定部61、送風機制御部62及び報知部63を含む。そして、処理部65は、記憶部70に記憶されたコンピュータープログラムを実行することによって、判定部61、送風機制御部62及び報知部63として機能する。
【0037】
送風機制御部62は、送風機10を制御する。詳細には、送風機制御部62は、操作表示部6のボタンからの入力信号に基づいて、「強」、「中」及び「弱」のうちのいずれかの風量で空気を送風するように、送風機10を制御する。
【0038】
判定部61は、捕虫シート51が配置された環境を示す物理量に基づいて、粘着面51cを移動させるか否かを判定する。物理量は、例えば、送風機10による空気の送出量又は送出期間を含む。空気の送出量は、例えば、風量を含む。
【0039】
例えば、風量「強」で空気を送風するように、送風機10が制御されたときには、判定部61は、粘着面51cを移動させると判定する。詳細には、送風装置1の外部から捕虫空間25へ、風量「強」で空気が流入するため、多数の虫が捕虫空間25へ流入する。その結果、粘着面51cに多数の虫が付着する。よって、粘着面51cの捕虫力が減少したと判定部61は判定する。
【0040】
一方、風量「弱」で空気を送風するように、送風機10が制御されたときには、判定部61は、粘着面51cを移動させないと判定する。詳細には、送風装置1の外部から捕虫空間25へ、風量「弱」で空気が流入するため、少数の虫が捕虫空間25へ流入する。その結果、粘着面51cに少数の虫が付着する。よって、粘着面51cの捕虫力が維持されていると判定部61は判定する。
【0041】
報知部63は、判定部61が粘着面51cを移動させると判定した場合に、粘着面51cの移動時期を報知する。例えば、報知部63は、判定部61が粘着面51cを移動させると判定した場合に、操作表示部6の表示灯を点滅させる。その結果、使用者は、粘着面51cの移動時期を確認できる。
【0042】
従って、物理量の大きさに応じて、粘着面51cを移動させるか否かが判定される。その結果、物理量が小さい場合に、粘着面51cが移動しない。よって、捕虫力が残っている粘着面51cを必要以上に移動させることを抑制できる。その結果、使用期限よりも長い期間で、捕虫シート51を使用できる。よって、捕虫シート51を効率よく使用できる。一方、物理量が大きい場合に、使用期限よりも短い期間で捕虫シート51の捕虫力が低下するが、新たな粘着面51cが露出するため、虫を容易に捕獲できる。
【0043】
更に、空気の送出量又は送出期間の大きさに応じて、粘着面51cを移動させるか否かが判定される。その結果、捕虫力が残っている粘着面51cを必要以上に移動させることを抑制できる。よって、捕虫シート51を、より効率よく使用できる。
【0044】
ここで、判定部61が、粘着面51cを移動させるか否かを判定する方法について更に説明する。第1実施形態では、物理量の大きさに応じて消耗値が割り当てられている。消耗値は、粘着面51cの捕虫力の消耗を示す。記憶部70は、割当表と、閾値TTとを記憶する。閾値TTは、粘着面51cを移動させる値を示し、例えば、100である。
【0045】
割当表は、例えば、風量の大きさと消耗値との関係を示す。割当表は、例えば、風量「強」には、消耗値PAが割り当てられている。消耗値PAは、例えば、10である。風量「中」には、消耗値PBが割り当てられている。消耗値PBは、例えば、5である。風量「弱」には、消耗値PCが割り当てられている。消耗値PCは、例えば、1である。
【0046】
判定部61は、消耗値の積算値TPと閾値TTとを比較して、比較結果に基づいて粘着面51cを移動させるか否かを判定する。例えば、風量「強」で空気を送風するように、送風機10が制御されたときには、判定部61は、消耗値の積算値TPに消耗値PAを加算して、新たな積算値TPを算出する。そして、新たな積算値TPが閾値TT以上であるときには、判定部61は、粘着面51cを移動させると判定する。
【0047】
一方、新たな積算値TPが閾値TT未満であるときには、判定部61は、粘着面51cを移動させないと判定する。その後、風量「中」で空気を送風するように、送風機10が制御されたときには、判定部61は、新たな積算値TPに消耗値PBを加算して、更に新たな積算値TPを算出する。そして、更に新たな積算値TPが閾値TT以上であるときには、判定部61は、粘着面51cを移動させると判定する。
【0048】
従って、積算値TPの大きさに応じて、粘着面51cを移動させるか否かが判定される。その結果、捕虫力が残っている粘着面51cを必要以上に移動させることを抑制できる。よって、捕虫シート51を、より効率よく使用できる。
【0049】
次に、
図5を参照して、第1実施形態に係る制御部60の処理について説明する。
図5は、制御部60の処理の一例を示すフローチャートである。
【0050】
図5に示すように、まず、ステップS101において、判定部61は、積算値TPを0とする。
【0051】
次に、ステップS102において、判定部61は、風量が「強」であるか否かを判定する。風量が「強」であると判定部61が判定した場合(ステップS102でYES)には、処理がステップS105に進む。
【0052】
次に、ステップS105において、判定部61は、消耗値の積算値TPに消耗値PAを加算して、新たな積算値TPを算出する。
【0053】
一方、風量が「強」でないと判定部61が判定した場合(ステップS102でNO)には、処理がステップS103に進む。
【0054】
次に、ステップS103において、判定部61は、風量が「中」であるか否かを判定する。風量が「中」であると判定部61が判定した場合(ステップS103でYES)には、処理がステップS106に進む。
【0055】
次に、ステップS106において、判定部61は、消耗値の積算値TPに消耗値PBを加算して、新たな積算値TPを算出する。
【0056】
一方、風量が「中」でないと判定部61が判定した場合(ステップS103でNO)には、処理がステップS104に進む。
【0057】
次に、ステップS104において、判定部61は、送風装置1の運転が停止されたか否かを判定する。停止されていないと判定部61が判定した場合(ステップS104でNO)には、処理がステップS107に進む。
【0058】
次に、ステップS107において、判定部61は、消耗値の積算値TPに消耗値PCを加算して、新たな積算値TPを算出する。
【0059】
一方、送風装置1の運転が停止されたと判定部61が判定した場合(ステップS104でYES)には、処理がステップS108に進む。
【0060】
次に、ステップS108において、判定部61は、積算値TPが閾値TT以上であるか否かを判定する。積算値TPが閾値TT以上でないと判定部61が判定した場合(ステップS108でNO)には、処理がステップS102に戻る。
【0061】
一方、積算値TPが閾値TT以上であると判定部61が判定した場合(ステップS108でYES)には、処理がステップS109に進む。
【0062】
次に、ステップS109において、判定部61は、捕虫シート51に新たな粘着面51cがあるか否かを判定する。新たな粘着面51cがあると判定部61が判定した場合(ステップS109でYES)には、処理がステップS110に進む。
【0063】
次に、ステップS110において、報知部63は、粘着面51cの移動時期を報知する。処理がステップS101に戻る。
【0064】
一方、新たな粘着面51cがないと判定部61が判定した場合(ステップS109でNO)には、処理がステップS111に進む。
【0065】
次に、ステップS111において、捕虫シート51の交換時期を報知する。処理がステップS112に進む。
【0066】
次に、ステップS112において、新たな捕虫シート51と交換されたか否かを判定する。新たな捕虫シート51と交換されていないと判定した場合(ステップS112でNO)には、処理がステップS112に戻る。
【0067】
一方、新たな捕虫シート51と交換されたと判定した場合(ステップS112でYES)には、処理がステップS101に戻る。
【0068】
<第2実施形態>
図6を参照して、本発明の第2実施形態に係る送風装置1の構成について説明する。第2実施形態に係る送風装置1では、閾値TTは固定値であるのに対して、第2実施形態に係る送風装置1では、閾値TTは変更可能である点で相違している。
【0069】
報知部63は、変更機能がある場合に、判定部61が粘着面51cを移動させると判定したときに、閾値TTを変更するかを報知する。変更機能は、閾値TTを変更する機能を示す。例えば、報知部63は、判定部61が粘着面51cを移動させると判定した場合に、閾値TTを変更するか否かを示す情報を操作表示部6に表示させる。その結果、使用者は、操作表示部6の操作によって新たな閾値TTに変更する。
【0070】
次に、
図6を参照して、第2実施形態に係る制御部60の処理について説明する。
図6は、制御部60の処理の一例を示すフローチャートである。
【0071】
図6に示すように、まず、ステップS201において、報知部63は、判定部61が粘着面51cを移動させると判定した場合に、変更機能があるか否かを判定する。変更機能がないと報知部63が判定した場合(ステップS201でNO)には、処理が終了する。
【0072】
一方、変更機能があると報知部63が判定した場合(ステップS201でYES)には、処理がステップS202に進む。
【0073】
次に、ステップS202において、新たな閾値TTが入力されたか否かを報知部63は判定する。新たな閾値TTが入力されていないと報知部63が判定した場合(ステップS202でNO)には、処理が終了する。
【0074】
一方、新たな閾値TTが入力されたと報知部63が判定した場合(ステップS201でYES)には、処理がステップS203に進む。
【0075】
次に、ステップS203において、報知部63は入力内容を判定する。閾値TTが大きくなるように、閾値TTが変更されたと報知部63が判定した場合(ステップS203で大)には、処理がステップS204に進む。次に、ステップS204において、報知部63は閾値TTを大きくする。
【0076】
また、閾値TTが小さくなるように、閾値TTが変更されたと報知部63が判定した場合(ステップS203で小)には、処理がステップS205に進む。次に、ステップS205において、報知部63は閾値TTを小さくする。
【0077】
更に、閾値TTが変更されていないと報知部63が判定した場合(ステップS203で変更無)には、処理が終了する。
【0078】
従って、使用者は、粘着面51cの変更時期が適切な時期となるように、閾値TTを変更できる。
【0079】
<第3実施形態>
図4を参照して、本発明の第3実施形態に係る送風装置1の構成について説明する。第3実施形態に係る送風装置1では、報知部63が粘着面51cの移動時期を報知するのに対して、第3実施形態に係る送風装置1では、制御部60が粘着面51cを移動させる点で相違している。
【0080】
図4に示すように、送風装置1は、モータ44を更に備える。モータ44は、駆動部の一例である。モータ44は、筐体2に配置されている。モータ44は、第1巻取ローラー41を駆動する。モータ44の回転軸を形成するシャフトは、前後方向に延び、シャフトの一端部には傘歯車が形成される。第1巻取ローラー41の一端部には、傘歯車が取り付けられる。そして、カバー部材3を筐体2に取り付けることにより、第1巻取ローラー41の傘歯車と、モータ44の傘歯車とが噛合する。モータ44の回転が第1巻取ローラー41に伝えられる。
【0081】
制御部60は、駆動制御部64を更に含む。駆動制御部64は、判定部61が粘着面51cを移動させると判定した場合に、第1巻取ローラー41が駆動するように、モータ44を制御する。
【0082】
従って、粘着面51cを移動させると判定した場合に、モータ44が駆動される。その結果、捕虫シート51が第1巻取ローラー41に巻き取られるとともに第2巻取ローラー42から送り出される。よって、手間がかからずに、捕虫シート51を効率よく使用できる。
【0083】
<第4実施形態>
図4を参照して、本発明の第4実施形態に係る送風装置1の構成について説明する。第1実施形態に係る送風装置1では、判定部61は、風量に基づいて、粘着面51cを移動させるか否かを判定するのに対して、第3実施形態に係る送風装置1では、判定部61は、温度、湿度又は埃量に基づいて、粘着面51cを移動させるか否かを判定する点で相違している。
【0084】
図4に示すように、送風装置1は、温度センサー81と、湿度センサー82と、塵埃センサー83とを更に備える。温度センサー81と、湿度センサー82と、塵埃センサー83とは、筐体2に配置されている。
【0085】
温度センサー81は、捕虫空間25の温度を検知する。湿度センサー82は、捕虫空間25の湿度を検知する。塵埃センサー83は、捕虫空間25の塵埃を検知する。
【0086】
第4実施形態では、物理量は、例えば、温度、湿度又は埃量を含む。そして、例えば、温度の大きさに応じて消耗値が割り当てられている。記憶部70は、割当表と、閾値TTとを記憶する。
【0087】
割当表は、例えば、温度の大きさと消耗値との関係を示す。割当表は、例えば、温度「30度以上」には、消耗値PDが割り当てられている。消耗値PDは、例えば、10である。温度「25度以上30度未満」には、消耗値PEが割り当てられている。消耗値PEは、例えば、5である。温度「25度未満」には、消耗値PFが割り当てられている。消耗値PFは、例えば、1である。
【0088】
判定部61は、消耗値の積算値TPと閾値TTとを比較して、比較結果に基づいて粘着面51cを移動させるか否かを判定する。例えば、判定部61は、温度センサー81から温度と、湿度センサー82から湿度と、塵埃センサー83から埃量とを取得する。その結果、判定部61は、温度が「30度以上」であるときには、判定部61は、消耗値の積算値TPに消耗値PDを加算して、新たな積算値TPを算出する。そして、新たな積算値TPが閾値TT以上であるときには、判定部61は、粘着面51cを移動させると判定する。一方、新たな積算値TPが閾値TT未満であるときには、判定部61は、粘着面51cを移動させないと判定する。
【0089】
従って、積算値TPの大きさに応じて、粘着面51cを移動させるか否かが判定される。その結果、温度、湿度又は埃量の積算値TPが小さい場合に、粘着面51cが移動しない。よって、捕虫力が残っている粘着面51cを必要以上に移動させることを抑制できる。その結果、捕虫シート51の無駄を防止できる。一方、温度、湿度又は埃量の積算値TPが大きい場合に、新たな粘着面51cが露出するため、虫を容易に捕獲できる。よって、捕虫シート51を効率よく使用できる。
【0090】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0091】
(1)
図1~
図6を参照して説明したように、第1実施形態~第3実施形態では、第1巻取ローラー41及び第2巻取ローラー42の回転軸線AXは、第1方向D1と交差する方向、かつ、鉛直方向と交差する方向に沿っていたが、本発明はこれに限定されない。第1巻取ローラー41及び第2巻取ローラー42の回転軸線は、第1方向D1と交差する方向、かつ、水平方向と交差する方向に沿っていてもよい。
【0092】
(2)
図1~
図6を参照して説明したように、第1実施形態~第3実施形態では、判定部61は、風量に基づいて、粘着面51cを移動させるか否かを判定したが、本発明はこれに限定されない。判定部61は、空気の送出期間に基づいて、粘着面51cを移動させるか否かを判定してもよい。
【0093】
(3)
図1~
図6を参照して説明したように、第4実施形態では、判定部61は、温度センサー81から温度と、湿度センサー82から湿度とを取得したが、本発明はこれに限定されない。判定部61は、インターネットのような通信部から、地域情報として温度及び湿度を取得してもよい。
【0094】
(4)
図1~
図6を参照して説明したように、第3実施形態では、風量、第4実施形態では、温度、湿度、埃量で説明したが、これらを組み合わせて複合的に消耗値PB、閾値TTを設定してもよい。また、地域情報として蚊のような虫の発生量の指数を取得してもよい。虫の発生量の指数は、例えば、「多」、「中」又は「少」を示す。
【0095】
(5)
図1~
図6を参照して説明したように、第3実施形態において粘着面51cを捕虫空間25から移動させる領域は、使用済み領域の全面であってもよく、使用済み領域の一部分であってもよい。
【0096】
(6)
図1~
図6を参照して説明したように、第1実施形態~第4実施形態では、捕捉部は、粘着面51cであったが、本発明はこれに限定されない。捕捉部は、網状部であってもよい。網状部は、例えば、蚊又はハエのような虫が絡み取られる形状である。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、捕虫装置を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0098】
1 送風装置
3 カバー部材
10 送風機
40 支持部
41 第1巻取ローラー
42 第2巻取ローラー
51 捕虫シート
51c 粘着面
61 判定部
63 報知部