(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】送風装置、空気調和機の室内機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0007 20190101AFI20230327BHJP
F24F 1/0022 20190101ALI20230327BHJP
【FI】
F24F1/0007 321
F24F1/0022
(21)【出願番号】P 2019133880
(22)【出願日】2019-07-19
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】山崎 良信
(72)【発明者】
【氏名】尾関 宏隆
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/087421(WO,A1)
【文献】特開2013-142502(JP,A)
【文献】特開平08-145395(JP,A)
【文献】特開2012-097930(JP,A)
【文献】特開平06-272883(JP,A)
【文献】特開2008-107046(JP,A)
【文献】実開昭57-093065(JP,U)
【文献】特開平04-297730(JP,A)
【文献】特開2018-197626(JP,A)
【文献】実開昭57-011422(JP,U)
【文献】実開昭59-062414(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0140831(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風装置であって、
キャビネットと、該キャビネットに対して脱着可能な、モータ、該モータの駆動力を伝える回転軸および該回転軸に軸止された送風ファンを連結してなるファン連結物と、
前記回転軸に取り付けられる軸受部と、
前記キャビネットに設けられ、前記軸受部が固定される固定部と、を備え、
前記軸受部は、
前記回転軸を回転自在に軸支する軸受部材と、
前記軸受部材を支持すると共に係合固定片を有する支持部材と、を備え、
前記固定部は、
前記軸受部が前記送風装置の下方から挿入される挿入部と、
前記挿入部に前記軸受部が挿入された状態で前記係合固定片と係合する係合受部と、を備え、
前記ファン連結物は、前記係合固定片が前記係合受部に係合することで前記キャビネットに固定されることを特徴とする送風装置。
【請求項2】
前記係合固定片と前記係合受部との係合はスナップフィットであることを特徴とする請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記係合固定片と前記係合受部とは、平面視にて前記回転軸を挟んで対向する2箇所に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記支持部材の下端側に、前記係合固定片と前記係合受部との係合を解除する操作部が設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の送風装置。
【請求項5】
前記操作部は、前記ファン連結物を脱着時に送風装置の下方より視認可能であることを特徴とする請求項4に記載の送風装置。
【請求項6】
前記送風ファンはシロッコファンであり、
前記ファン連結物は複数のシロッコファンを備えることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の送風装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の送風装置を備えることを特徴とする空気調和機の室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置、および送風装置を備えた空気調和機の室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
送風装置において、送風ファンとファンモータとは回転軸にて連結されており、メンテナンスを行う場合、送風ファン、ファンモータおよび回転軸が連結された状態で脱着される。以下、送風ファン、ファンモータおよび回転軸が連結されているものをファン連結物と称する。
【0003】
例えば、特許文献1には、送風装置を備えた空気調和機において、ファン連結物の着脱作業を容易に行うために、回転軸に取り付けられた軸受具を、キャビネット側に取り付けられた支持具に仮固定する構成が記載されている。これによれば、軸受具の軸受を支持する支持板の下端にL字状の係止爪が設けられ、支持具の支持部に該係止爪を係止させる係止孔が設けられる。軸受具の支持板を支持具の支持部に形成された挿入孔に上方から挿入すると共に、係止爪を係止孔に係止させることで軸受具を支持具に仮固定する。その後、螺子孔を合せて軸受具と支持具とを螺子締結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ファン連結物を送風装置の上方から脱着させる構成は、天井設置型であれば天井裏での作業が必要となる。また、壁設置型では、空気調和機の上面と天井との間にファン連結物の取り出しを可能にする空間が必要となる。天井近くに設置されている場合、取り出しが困難になる。
【0006】
また、送風装置の側方から脱着させる構成は、天井設置型であれば上方から脱着と同様に天井裏での作業が必要となる。壁設置型では、側板を開放する側にファン連結物の取り出しを可能にする空間が必要となる。側方に天井の梁等が近接していたりすると、取り出しが困難になる。また、側方からの脱着は、クロスフローファン等を用いたファンモータに送風ファンが1つ連結されている構成であれば可能である。しかしながら、シロッコファン等の複数の送風ファンをファンモータに連結している構成では、送風ファン毎に設けられるケーシングが障害となって脱着自体が不可能となる。
【0007】
これに対し、壁設置型、天井設置型に限らず、送風装置の下方は開放された空間となっている。そのため、下方から脱着させる構成とすることで、天井裏での作業が必要なく、また、天井との間や側方に十分な空間が存在しなくても脱着が可能になる。
【0008】
しかしながら、下方から脱着は、ファン連結物を支えるものが何もないため、作業者が1人で作業する場合、軸受具を支持具に位置合わせした状態のファン連結物を片方の手で保持しつつ、もう片方の手で螺子締結する必要があり、非常にし辛い作業となる。
【0009】
なお、特許文献1に記載された構成は、ファン連結物を送風装置の上方から脱着する構成を前提としているため、ファン連結物を送風装置の下方から鉛直方向に脱着する構成に適用した場合、ファン連結物の重みで係止爪が係止孔から抜け落ちる恐れがある。
【0010】
本発明の一態様は、送風装置の下方からファン連結物を容易に脱着可能な送風装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る送風装置は、送風装置であって、キャビネットと、該キャビネットに対して脱着可能な、モータ、該モータの駆動力を伝える回転軸および該回転軸に軸止された送風ファンを連結してなるファン連結物と、前記回転軸に取り付けられる軸受部と、前記キャビネットに設けられ、前記軸受部が固定される固定部と、を備え、前記軸受部は、前記回転軸を回転自在に軸支する軸受部材と、前記軸受部材を支持すると共に係合固定片を有する支持部材と、を備え、前記固定部は、前記軸受部が前記送風装置の下方から挿入される挿入部と、前記挿入部に前記軸受部が挿入された状態で前記係合固定片と係合する係合受部と、を備え、前記ファン連結物は、前記係合固定片が前記係合受部に係合することで前記キャビネットに固定されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、送風装置の下方からファン連結物を容易に脱着可能な送風装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る送風装置の斜視図であり、吹出開口を有する前面側を前に向けている。る。
【
図2】上記送風装置より下面側の部品を取り外した状態を示す斜視図であり、吹出開口を有する前面側を上に向けている。
【
図3】上記送風装置から取り外したファン連結物の前面図である。
【
図5】上記ファン連結物の回転軸の端部に取り付けられる軸受部の斜視図である。
【
図6】上記軸受部がキャビネットに設けられた固定部に装着されている状態を示す説明図である。
【
図7】上記軸受部がキャビネットに設けられた固定部に装着されている部分を下面側より見た斜視図である。
【
図8】上記軸受部がキャビネットに設けられた固定部に装着されている状態を示す縦断面図である。
【
図9】上記ファン連結物の回転軸の端部に取り付けられる変形例の軸受部の斜視図である。
【
図10】変形例の上記軸受部がキャビネットに設けられた固定部に装着されている状態を示す説明図である。
【
図11】実施の形態2に係る空気調和機の室内機の斜視図である。
【
図12】上記室内機の内部構造を示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の一形態について、詳細に説明する。本実施の形態では、空気調和機の室内機に搭載される送風装置を例示する。
【0015】
(送風装置1の構造)
図1は、実施の形態1に係る送風装置1の斜視図であり、吹出開口53を有する前面側を前に向けている。
図2は、上記送風装置1より下面側の部品を取り外した状態を示す斜視図であり、吹出開口53を有する前面側を上に向けている。なお、
図2は、吹出開口53を有する前面側を上に向けている。
図3は、上記送風装置1から取り外したファン連結物2の前面図である。
図4は、上記送風装置1の縦断面図である。
【0016】
図1、
図2に示すように、送風装置1は、キャビネット10と、該キャビネット10内に長手方向に沿って配された、4つの送風ファン4および1つのファンモータ(モータ)3を有する。ファンモータ3は両軸モータであり、4つ並んで配置された送風ファン4の中央に位置し、片方のモータ軸3aに送風ファン4が2つずつ接続されている。
【0017】
図2に示すように、送風ファン4は、2台の羽根車4aを1枚の共通のディスク壁4bで接続した構成の所謂シロッコファンである。ディスク壁4bの中心には、送風ファン4を回転軸に固定するためのジョイント部材5が両側に突出するように設けられている。4つの送風ファンとファンモータ3とは、ジョイント部材5と回転軸を構成する軸部材6,7を介して連結(一体化)され、ファン連結物2を構成している。
【0018】
図3に示すように、ファンモータ3の両側のモータ軸3aが、ファンモータ3の隣に位置する2つの送風ファン4のファンモータ3側のジョイント部材5に接続されている。該2つの送風ファン4のファンモータ3側とは反対側の反ファンモータ3側のジョイント部材5に軸部材6の一端側が接続され、該軸部材6の他端側に各々の隣に位置する送風ファン4のファンモータ3側のジョイント部材5が接続されている。そして、該隣に位置する2つの送風ファン4の反ファンモータ3側のジョイント部材5には軸部材7の一端側が接続されている。
【0019】
モータ軸3aおよび軸部材6,7と送風ファン4のジョイント部材5との接続は、モータ軸3aおよび軸部材6,7の端部をジョイント部材5の内部に挿入した状態で螺子締結されている。螺子締結にて堅固に連結することで、ファンモータ3の回転力を芯ズレさせることなく複数の送風ファン4に伝えることができる。以下、モータ軸3a、軸部材6,7および複数のジョイント部材5で構成される一本の軸を回転軸8と称する。回転軸8はファンモータ3の駆動力を伝えるものである。
【0020】
回転軸8の両端部に相当する各軸部材7の他端側には軸受部20が取り付けられている。軸受部20は、回転軸8の端部を回転可能に受けると共に、ファン連結物2を送風装置1のキャビネット10に取り付けを可能にする。軸受部20は、後述するように、キャビネット10に設けられた固定部30に対して脱着可能に取り付けられる。
【0021】
また、
図1、
図3に示すように、各送風ファン4は、ファン毎に設けられたケーシング11内に収容されている。ケーシング11は、円筒形をなす送風ファン4の軸方向両側に円形状の吸込口11aを備え、突出形成されたベルマウス11bの先端部に矩形状の吹出口11cを開口している。吹出口11cは、吹出開口53に接続されている。
【0022】
本実施の形態では、
図1に示すように、ケーシング11は、送風ファン4の上半分を覆うケーシング上11-1と送風ファン4の下半分を覆うケーシング下11-2とに分かれている。また、ファンモータ3を固定するモータカバー12も、ファンモータ3の上半分を覆うモータカバー上12-1とファンモータ3の下半分モータを覆うモータカバー下12-2とに分かれている。
【0023】
そして、これらのうち、4つのケーシング上11-1とモータカバー上12-1とがキャビネット10と一体成形されている。換言すると、4つのケーシング上11-1とモータカバー上12-1とキャビネット10とは、同じ樹脂材料よりなり、1つの型に樹脂材料を流して成型加工されている。さらに、ケーシング下11-2には、送風装置1の外郭をなす外郭部品13の一部が一体に設けられている。
【0024】
(軸受部20および固定部30の構成)
図5は、上記ファン連結物2の回転軸8の端部に取り付けられる軸受部20の斜視図である。なお、
図5は、回転軸8の端部が挿入されるファンモータ3側の面を示している。
図5に示すように、軸受部20は、回転軸8を回転自在に支持する軸受部材21と、該軸受部材21を支持する支持部材22と、軸受部材21と支持部材22との間に配された振動吸収用のゴム部23とを有する。軸受部材21は、回転軸8が摺動する低摩擦かつ低摩耗の摺動面を有している。
【0025】
支持部材22は、回転軸8と直交する面にて、ファンモータ3側の第1支持部材24と反ファンモータ側の第2支持部材25とに分割されている。これら第1支持部材24と第2支持部材25とは、ヒンジ26で開閉可能に接続されている。軸受部材21は、ゴム部23に周囲が覆われた状態で、第1支持部材24と第2支持部材25との間に挟持されている。第1支持部材24および第2支持部材25の内側面には、ゴム部23の外形に対応する嵌合部(図示せず)が形成されている。
【0026】
また、支持部材22は、キャビネット10に対してファン連結物2を取り付ける際の取り付け方向前側に相当する頭部に凸部22aを有する。凸部22aの下端は前後に丸みを帯びて傾斜した傾斜曲面22bをなし、前面22cおよび後面22dに繋がる。そして、前面22cおよび後面22dに、支持部材22から離れる方向である外側に突き出るように、軸受部20をキャビネット10に仮固定するための仮固定用フック27が形成されている。
【0027】
仮固定用フック27には、支持部材22から離れる方向である外側に突き出る係合固定片27aが形成されている。係合固定片27aは、爪状に形成され、キャビネット10側の固定部30に軸受部20が挿入された状態で、固定部30に形成された後述する係合受部33にスナップフィットにて係合する。換言すると、係合固定片27aと係合受部33とは、平面視にて回転軸8を挟んで対向する2箇所に設けられている。
【0028】
仮固定用フック27における係合固定片27aの下側は、係合固定片27aと係合受部33との係合を解除する際に用いる操作部27bがとなっている。支持部材22の前面22cおよび後面22dのそれぞれに形成された仮固定用フック27の操作部27bに指を掛けて握ることで、各係合固定片27aを支持部材22に近づける方向である内側に移動させて係合を解除する。
【0029】
図6は、軸受部20がキャビネット10に設けられた固定部30に装着されている状態を示す説明図である。
図7は、軸受部20がキャビネット10に設けられた固定部30に装着されている部分を下面側より見た斜視図である。
図8は、軸受部20がキャビネット10に設けられた固定部30に装着されている状態を示す縦断面図である。
【0030】
図6に示すように、キャビネット10における長手方向の端部10aには、軸受部20を固定する固定部30が設けられている。固定部30は、キャビネット10における長手方向の両端部10aに設けられている。
【0031】
図7、
図8に示すように、固定部30は、軸受部20が送風装置1の下方から挿入される挿入部31と、挿入部31に軸受部20が挿入された状態で係合固定片27aと係合する係合受部33とを備える。挿入部31は、下面側が解放された穴形状を有し、係合受部33は挿入部31内部の前後の穴壁に設けられている。
【0032】
挿入部31の内部は軸受部20の外形に対応した形状を有している。軸受部20の凸部22aが凹部31aに収容される。軸受部20の前後の傾斜曲面22bとこれらと繋がる前面22cおよび後面22dが、前後方向の中央に凹部31aを有するU字状壁部31cに収容される。なお、図示してはいないが、挿入部31には、回転軸8と直交する方向に、軸受部20の回転軸8の軸方向に沿った移動を規制する壁部が設けられている。
【0033】
挿入部31内部におけるU字状壁部31cの下部における軸受部20に形成された仮固定用フック27と対応する位置に、係合固定片27aが係合する係合受部33が設けられている。係合受部33は、爪状の係合固定片27aが入り込む穴部として形成され、鉛直方向上向きの係合面33aにて係合固定片27aの下端面を受けるようになっている。
【0034】
係合固定片27aは、係合受部33に入り込んだ状態で、係合受部33の奥側に入り込む方向に付勢されており、これにより、ファン連結物2は手を離しても落下しない状態で固定される。
【0035】
そして、
図7に示すように、軸受部20が下端部側を残して挿入部31内に挿入された状態で、仮固定用フック27の下部側の操作部27bが視認可能となっている。また、視認可能な部分に、軸受部20を固定部30に下面側より螺子締結するための螺子穴29が形成されており、固定部30における軸受部20の螺子穴29に対応する位置には、螺子穴35(
図6参照)が形成されている。
【0036】
(ファン連結物2の脱着)
次に、
図1、
図2、
図6~
図8を用いて、キャビネット10に対するファン連結物2の脱着について説明する。まずは、ファン連結物2の取り外しについて説明する。
【0037】
ファン連結物2を取り外す際、最初に、送風装置1の下面側に位置する、4つのケーシング下11-2、1つのモータカバー下12-2、および外郭部品13等の下面側の部品(
図1参照)を外して、
図2に示すような、ファン連結物2を脱着可能な状態とする。なお、外郭部品13の一部はケーシング下11-2と一体に設けられているので、ケーシング下11-2を外すことで一緒に外すことができる。
【0038】
次に、ファン連結物2の両端部において、軸受部20とキャビネット10側の固定部30とを螺合している螺子(図示せず)を外す。この状態で、仮固定用フック27の係合固定片27aが固定部30の係合受部33に係合して仮固定されている。したがって、ファン連結物2の両側の螺子締結を解除しても、ファン連結物2がその自重で落下するようなことは起こらず、作業者の手を添える必要はない。
【0039】
特に、上記構成では、係合固定片27aおよび係合受部33は、平面視にて回転軸8を挟んで対向する2箇所(前後2箇所)に設けられている。したがって、係合固定片27aおよび係合受部33に係る荷重を、係合固定片27aおよび係合受部33が1箇所のみ設けられている構成よりも小さくすることができる。
【0040】
次に、片方の手で片側の軸受部20の仮固定用フック27の前後の操作部27bに指を掛けて内側に撓ませて係合固定片27aと係合受部33との係合を解除し、もう片方の手でも同様にもう片側の係合固定片27aと係合受部33との係合を解除する。そして、係合を解除した状態で、軸受部20を固定部30の挿入部31から抜き出す。
【0041】
操作部27bが設けられていることで、係合固定片27aと係合受部33との係合を解除する操作が容易に行える。また、軸受部20が挿入部31内に挿入された状態で、操作部27bが視認可能となっているので、作業者は取り外しに際して操作部27bを容易に認識することができる。これにより、ファン連結物2を送風装置1の下方から一人で簡単に取り外すことができる。
【0042】
一方、取り付け時は、まず、ファン連結物2の両端部を把持して、凸部22aを有する頭部側から軸受部20を固定部30の挿入部31に挿入する。このとき、軸受部20の係合固定片27aが固定部30の係合受部33に入り込んで係合して「カチッ」という音が発生するまで、軸受部20を挿入部31の奥へと差し込む。係合固定片27aと係合受部33との係合をスナップフィットとしているので、軸受部20を固定部30の挿入部31に挿入するだけで係合が完了する。
【0043】
係合固定片27aと係合受部33との係合が確認された後、軸受部20の螺子穴29と固定部30の螺子穴35とを合せて軸受部20を固定部30に螺子締結する。これにより、ファン連結物2を送風装置1の下方から一人で簡単に取り付けることができる。
【0044】
その後は、送風装置1の下面側に、4つのケーシング下11-2、1つのモータカバー下12-2、外郭部品13等の下面側の部品(
図1参照)を取り付ける。外郭部品13の一部はケーシング下11-2と一体に設けられているので、ケーシング下11-2を取り付けることで一緒に取り付けることができる。
【0045】
(変形例)
上記実施の形態の送風装置1において、ファン連結物2は、係合固定片27aが係合受部33に係合することで、キャビネット10に対して、ファン連結物2から手を離しても落下しない状態で仮固定される。そして、その後、螺子穴35および螺子穴29を用いて軸受部20が固定部30に螺子締結されることで本固定される。そのため、係合固定片27aと係合受部33との係合による固定を仮固定と称している。しかしながら、軸受部20を固定部30に別途螺子締結せずとも、ファン連結物2の回転時の振動による係合解除が阻止でき、かつ、該振動によるガタツキを吸収し得るのであれば、係合固定片27aと係合受部33との係合による固定を本固定としてもよい。
【0046】
また、係合固定片27aと係合受部33との係合をスナップフィットとしている。したがって、軸受部20を固定部30の挿入部31に挿入するだけで係合させることができる。しかしながら、スナップフィットに限るものではなない。
【0047】
また、係合固定片27aと係合受部33とを、平面視にて回転軸8を挟んで対向する2箇所(前後2箇所)に設ける構成を例示している。一方、
図9、
図10に示すように、係合固定片27aと係合受部33とを、平面視にて回転軸8と重なる位置に箇所に設ける構成としてもよい。
【0048】
図9は、上記ファン連結物2の回転軸8の端部に取り付けられる変形例の軸受部20Aの斜視図である。なお、
図9は、反ファンモータ3側の面を示している。
図9に示すように、軸受部20Aでは、支持部材22Aにおける、固定部30Aに固定された状態で反ファンモータ3側を向く面に、片持ち梁型のフック37が形成され、その先端に相当する上部に係合固定片27aが形成されている。
【0049】
図10に示すように、キャビネット10の端部10aに設けられた固定部30Aには、挿入部31Aに挿入された軸受部20Aの係合固定片27aが係合する係合受部33が形成されている。
【0050】
このような構成では、取り外し時は、片持ち梁型のフック37を付勢力に抗って閉じるようにして係合固定片27aと係合受部33との係合を解除し、軸受部20Aを挿入部31Aから抜き出す。取り付け時も同様に片持ち梁型のフック37を付勢力に抗って閉じるようにして軸受部20Aを挿入部31Aに挿入し、係合固定片27aが係合受部33に入り込んで係合による音が発生するまで奥へと差し込む。
【0051】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0052】
本実施の形態では、実施の形態1に記載の送風装置1を備える空気調和機の室内機について説明する。
図11は、実施の形態2に係る空気調和機の室内機50の斜視図である。
図12は、上記室内機50の内部構造を示す断面斜視図である。
【0053】
図11、
図12に示すように、室内機50は、前述した送風装置1を構成するキャビネット10およびファン連結物2を有し、ファン連結物2の前側に熱交換器51を有している。キャビネット10の上面には吸込開口52が設けられており、吸込開口52にはフィルタ54が設置されている。
【0054】
キャビネット10の前面の開口部は、吹出開口53となっている。複数の送風ファン4に対応する複数のケーシング11の吹出口11cが吹出開口53に接続されている。熱交換器51は、吹出口11cと吹出開口53との間に配置されている。
【0055】
熱交換器51は、上部が下部よりも前方位置となる傾斜状態に配置され、下部は送風ファン4と近接した状態に配置されている。熱交換器51は、傾斜状態に配置されることにより、鉛直状態に配置される場合と比較して、室内機50の高さを抑制しながら表面積を広くできるようにしている。熱交換器51の下には、熱交換器51での熱交換によって生じた水(ドレン水)を受けるドレンパン55が設けられている。
【0056】
また、キャビネット10の前面には、吹出開口53を開閉するメインパネル56が設けられている。メインパネル56は、上縁部と下縁部との間が緩やかに湾曲した板形状に形成されている。メインパネル56の湾曲の方向は、前面から見て凹状となる方向である。メインパネル56は、例えばメインパネル56を支持する左右2個所のアームおよびモータを有する駆動機構(図示せず)により駆動される。メインパネル56は、室内機50の停止時には吹出開口53を閉じ、運転時に開く。
【0057】
また、図中、参照符号57で示す部材はサブパネルであり、サブパネル57も運転中に開いた状態となる。なお、メインパネル56は、冷房時には通常、下端側を回動軸として上側が開いた状態(
図1,
図2の状態)となり、暖房時には通常、上端側を回動軸として下側が開いた状態となる。
【0058】
なお、前記実施形態1,2では、送風装置1の送風ファンとして、シロッコファンの例について説明したが、これに限定されるものではなく、クロスフローファンであっても、本発明を適用することができる。
【0059】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る送風装置1は、送風装置1であって、キャビネット10と、該キャビネット10に対して脱着可能な、モータ(ファンモータ3)、該モータの駆動力を伝える回転軸8および該回転軸8に軸止された送風ファン4を連結してなるファン連結物2と、前記回転軸8に取り付けられる軸受部20と、前記キャビネット10に設けられ、前記軸受部20が固定される固定部30と、を備え、前記軸受部20は、前記回転軸8を回転自在に軸支する軸受部材21と、前記軸受部材21を支持すると共に係合固定片27aを有する支持部材22と、を備え、前記固定部30は、前記軸受部20が前記送風装置1の下方から挿入される挿入部31と、前記挿入部31に前記軸受部20が挿入された状態で前記係合固定片27aと係合する係合受部33と、を備え、前記ファン連結物2は、前記係合固定片27aが前記係合受部33に係合することで前記キャビネット10に固定されることを特徴とする。
【0060】
本発明の態様2に係る送風装置1は、態様1において、さらに、前記係合固定片27aと前記係合受部33との係合はスナップフィットである構成とすることもできる。
【0061】
本発明の態様3に係る送風装置1は、態様1又は2において、さらに、前記係合固定片27aと前記係合受部33とは、平面視にて前記回転軸8を挟んで対向する2箇所に設けられている構成とすることもできる。
【0062】
本発明の態様4に係る送風装置1は、態様1から3の何れかにおいて、さらに、前記支持部材22の下端側に、前記係合固定片27aと前記係合受部33との係合を解除する操作部27bが設けられている構成とすることもできる。
【0063】
本発明の態様5に係る送風装置1は、態様4において、さらに、前記操作部27bは、前記ファン連結物2を脱着時に送風装置1の下方より視認可能である構成とすることもできる。
【0064】
本発明の態様6に係る送風装置1は、態様1から5の何れかにおいて、さらに、前記送風ファン4はシロッコファンであり、前記ファン連結物2は複数のシロッコファンを備える構成とすることもできる。
【0065】
本発明の態様7に係る空気調和機の室内機50は、態様1から6の何れかに記載の送風装置1を備えることを特徴とする。
【0066】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 送風装置
2 ファン連結物
3 ファンモータ(モータ)
3a モータ軸
4 送風ファン
8 回転軸
10 キャビネット
10a 端部
11 ケーシング
20、20A 軸受部
21 軸受部材
22 支持部材
23 ゴム部
27 仮固定用フック
27a 係合固定片
27b 操作部
30、30A 固定部
31、31A 挿入部
33 係合受部
33a 係合面
50 室内機
51 熱交換器
52 吸込開口
53 吹出開口