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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】硬貨処理システムおよび硬貨処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 5/02 20060101AFI20230327BHJP
   G07D 9/00 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
G07D5/02 104
G07D9/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019150032
(22)【出願日】2019-08-19
(65)【公開番号】P2021033433
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】木村 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 聡子
【審査官】平野 貴也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-228021(JP,A)
【文献】特開2016-009212(JP,A)
【文献】特開2008-225964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00 - 5/10、
9/00 - 13/00
G07F 19/00
G07G 1/00 - 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の硬貨を載置可能な載置領域と、
前記載置領域を撮像する撮像部と、
前記載置領域に載置された硬貨の画像を記憶する記憶部と、
前記撮像部により撮像された前記載置領域全体を含む全体画像に基づいて前記記憶部に前記硬貨の画像を記憶させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記全体画像から1枚ごとの前記硬貨の切出画像を自動で抽出して前記記憶部に記憶させる第1処理と、
前記切出画像の自動抽出以外の処理により前記硬貨の画像を前記記憶部に記憶させる第2処理と、を選択的に実行する、
ことを特徴とする硬貨処理システム。
【請求項2】
前記第2処理は、前記全体画像において前記硬貨に対する切出領域の設定を受け付け、設定された切出領域から前記硬貨の画像を切出して前記記憶部に記憶させる処理を含む、請求項1に記載の硬貨処理システム。
【請求項3】
前記第2処理は、前記全体画像を前記記憶部に記憶させる処理を含む、請求項1に記載の硬貨処理システム。
【請求項4】
前記第2処理は、前記硬貨を前記載置領域に1つだけ載置して前記撮像部に撮像させ、撮像された画像を前記記憶部に記憶させる処理を含む、請求項1に記載の硬貨処理システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1処理と前記第2処理の何れか一方を選択するための入力を受け付け、受け付けた方の処理を実行する、請求項1ないし4の何れか一項に記載の硬貨処理システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第1処理を優先的に実行し、
前記第1処理において前記載置領域上の全ての前記硬貨に対して前記切出画像を適正に抽出できたか否かを判定し、
何れかの前記硬貨に対して前記切出画像の抽出が適正に行われなかった場合に前記第2処理を実行する、請求項1ないし4の何れか一項に記載の硬貨処理システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記各切出画像に対し、当該切出画像が抽出された前記硬貨の金種に関する情報を対応付けて前記記憶部に記憶させる、請求項1ないし6の何れか一項に記載の硬貨処理システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記第2処理を実行する場合、前記第2処理により取得された前記画像に当該画像に含まれる前記硬貨の金種に関する情報を対応付けて前記記憶部に記憶させる、請求項1ないし6の何れか一項に記載の硬貨処理システム。
【請求項9】
複数の硬貨を載置可能な載置領域と、
前記載置領域を撮像する撮像部と、
前記載置領域に載置された硬貨の画像を記憶する記憶部と、
前記撮像部により撮像された前記載置領域全体を含む全体画像に基づいて前記記憶部に前記硬貨の画像を記憶させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記全体画像から1枚ごとの前記硬貨の切出画像を自動で抽出して前記切出画像を前記記憶部に記憶させる第1処理と、
前記切出画像の自動抽出以外の処理により前記硬貨の画像を前記記憶部に記憶させる第2処理と、を選択的に実行する、
ことを特徴とする硬貨処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の硬貨を一括して処理する硬貨処理システムおよび硬貨処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、損貨(変形硬貨、汚損硬貨)や記念貨、旧貨等の、市場流通に適さない特殊な硬貨を取り扱う硬貨処理装置が知られている。たとえば、このような硬貨処理装置の一例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の硬貨処理装置では、入金口を介して筐体内部にある入金位置に一枚の硬貨が載置される。載置された硬貨は、入金位置においてカメラで撮像される。この画像は、硬貨の種類および金種に関する候補とともに表示部に表示される。操作者は、硬貨の画像を見ながら、その硬貨の種類および金種を複数の候補の中から選択する。硬貨の種類および金種が選択されると、これら情報が画像に紐付けられて記憶部に記憶される。その後、硬貨は、損貨であるか記念貨であるかに応じて、損貨箱または記念貨箱に振り分けて収納される。
【0004】
また、以下の特許文献2には、複数の硬貨が載置される載置部を撮像し、撮像した画像に基づいて、載置部に載置された硬貨の金種および枚数を検出する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-018304号公報
【文献】特開2014-126987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の構成では、入金位置に1枚ずつ硬貨が載置されて撮像される。これに対し、特許文献2に記載のように、載置部に複数の硬貨を載置して1度に処理可能とすることにより、装置の処理能力を飛躍的に高めることができる。この場合、載置部全体の撮像画像から各硬貨の画像を自動で切り出して記憶部に記憶させる構成が用いられ得る。
【0007】
しかしながら、このように載置部に載置された複数の硬貨の画像を撮像画像から切出して処理する場合、処理対象の硬貨に変形等が生じていると、撮像画像から硬貨の画像を適正に切出せないことが起こり得る。このため、このような場合には、処理対象の一部の硬貨の画像を記憶部に円滑に記憶させることが困難となる。
【0008】
かかる課題に鑑み、本発明は、複数の硬貨を一括して処理する場合に、処理対象の硬貨の画像をより円滑に記憶部に記憶させることが可能な硬貨処理システムおよび硬貨処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、硬貨処理システムに関する。この態様に係る硬貨処理システムは、複数の硬貨を載置可能な載置領域と、前記載置領域を撮像する撮像部と、前記載置領域に載置された硬貨の画像を記憶する記憶部と、前記撮像部により撮像された前記載置領域全体を含む全体画像に基づいて前記記憶部に前記硬貨の画像を記憶させる制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記全体画像から1枚ごとの前記硬貨の切出画像を自動で抽出して前記記憶部に記憶させる第1処理と、前記切出画像の自動抽出以外の処理により前記硬貨の画像を前記記憶部に記憶させる第2処理と、を選択的に実行する。
【0010】
本態様に係る硬貨処理システムによれば、処理対象の硬貨の画像を記憶部に記憶させる処理として、処理内容が互いに異なる第1処理および第2処理が予め準備されているため、これらの処理が相補的に用いられることにより、処理対象の硬貨の画像を円滑に記憶部に記憶させることができる。
【0011】
本態様に係る硬貨処理システムにおいて、前記第2処理は、前記全体画像において前記硬貨に対する切出領域の設定を受け付け、設定された切出領域から前記硬貨の画像を切出して前記記憶部に記憶させる処理を含み得る。
【0012】
この構成によれば、操作者が手動で硬貨の切出領域を設定できる。よって、第1処理によって切出しを自動で適正に行い得ない硬貨の画像に対しても、適正に切出領域を設定して硬貨の画像を取得できる。よって、変形等が生じている硬貨に対しても、第2処理により、硬貨ごとの画像を円滑に記憶部に記憶させることができる。
【0013】
本態様に係る硬貨処理システムにおいて、前記第2処理は、前記全体画像を前記記憶部に記憶させる処理を含み得る。
【0014】
この構成によれば、第1処理によって切出しを適正に行い得ない硬貨の画像が含まれていても、第2処理により、当該硬貨の画像を含む全体画像が、記憶部に記憶され得る。よって、変形等が生じている硬貨に対しても、第2処理により、処理対象の硬貨の画像を円滑に記憶部に記憶させることができる。
【0015】
本態様に係る硬貨処理システムにおいて、前記第2処理は、前記硬貨を前記載置領域に1つだけ載置して前記撮像部に撮像させ、撮像された画像を前記記憶部に記憶させる処理を含み得る。
【0016】
この構成によれば、第1処理によって切出しを適正に行い得ない硬貨の画像が含まれていても、第2処理により、硬貨ごとの画像が取得されて記憶部に記憶され得る。よって、変形等が生じている硬貨に対しても、第2処理により、処理対象の硬貨ごとの画像を円滑に記憶部に記憶させることができる。
【0017】
本態様に係る硬貨処理システムにおいて、前記制御部は、前記第1処理と前記第2処理の何れか一方を選択するための入力を受け付け、受け付けた方の処理を実行するよう構成され得る。
【0018】
この構成によれば、操作者は、たとえば処理対象の硬貨の損傷具合に応じて、第1処理と第2処理のうち当該硬貨に適する処理を選択できる。よって、操作者は、硬貨に対する処理を円滑に進めることができる。
【0019】
本態様に係る硬貨処理システムにおいて、前記制御部は、前記第1処理を優先的に実行し、前記第1処理において前記載置領域上の全ての前記硬貨に対して前記切出画像を適正に抽出できたか否かを判定し、何れかの前記硬貨に対して前記切出画像の抽出が適正に行われなかった場合に前記第2処理を実行するよう構成され得る。
【0020】
この構成によれば、第1処理が優先されるため、処理対象の硬貨ごとの画像を簡便に記憶部に記憶させることができる。また、全ての硬貨に対して第1処理を適正に実行できない場合に、第2処理が実行される。これにより、円滑かつ確実に、処理対象の硬貨の画像を記憶部に記憶させることができる。
【0021】
本態様に係る硬貨処理システムにおいて、前記制御部は、前記各切出画像に対し、当該切出画像が抽出された前記硬貨の金種に関する情報を対応付けて前記記憶部に記憶させるよう構成され得る。
【0022】
この構成によれば、操作者は、処理された硬貨ごとの画像と当該画像に対応付けられた金種とを互いに対応させて確認できる。よって、操作者は、入金処理に違算が生じたか否かを円滑に確認できる。
【0023】
本態様に係る硬貨処理システムにおいて、前記制御部は、前記第2処理を実行する場合、前記第2処理により取得された前記画像に、当該画像に含まれる前記硬貨の金種に関する情報を対応付けて前記記憶部に記憶させるよう構成され得る。
【0024】
この構成によれば、操作者は、処理された硬貨の画像と当該画像に含まれる硬貨の金種とを互いに対応させて確認できる。よって、操作者は、処理金額に違算が生じたか否かを円滑に確認できる。
【0025】
本発明の第の態様は、硬貨処理装置に関する。この態様に係る硬貨処理装置は、複数の硬貨を載置可能な載置領域と、前記載置領域を撮像する撮像部と、前記載置領域に載置された硬貨の画像を記憶する記憶部と、前記撮像部により撮像された前記載置領域全体を含む全体画像に基づいて前記記憶部に前記硬貨の画像を記憶させる制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記全体画像から1枚ごとの前記硬貨の切出画像を自動で抽出して前記切出画像を前記記憶部に記憶させる第1処理と、前記切出画像の自動抽出以外の処理により前記硬貨の画像を前記記憶部に記憶させる第2処理と、を選択的に実行する。
【0026】
本態様に係る硬貨処理装置によれば、上記第1の態様に係る硬貨処理システムと同様の効果が奏され得る。
【発明の効果】
【0027】
上記のように、本発明によれば、複数の硬貨を一括して処理する場合に、処理対象の硬貨の画像をより円滑に記憶部に記憶させることが可能な硬貨処理システムおよび硬貨処理装置を提供することができる。
【0028】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、実施形態1に係る貨幣処理システムの外観を示す正面図である。
図2図2(a)、(b)は、実施形態1に係る、特殊硬貨処理装置の構成を示す斜視図である。
図3図3(a)、(b)は、実施形態1に係る、特殊硬貨処理装置の構成および動作を模式的に示す断面図である。
図4図4(a)、(b)は、実施形態1に係る、特殊硬貨処理装置の具体的構成を示す斜視図である。
図5図5(a)、(b)は、実施形態1に係る、載置部材の載置面に形成された模様を模式的に示す図である。
図6図6は、実施形態1に係る、特殊硬貨処理装置および操作端末の構成を示すブロック図である。
図7図7は、実施形態1に係る、特殊硬貨の入金処理を示すフローチャートである。
図8図8(a)~(c)は、それぞれ、実施形態1に係る、特殊硬貨の入金処理の際に操作端末において表示される画面を示す図である。
図9図9(a)~(c)は、それぞれ、実施形態1に係る、特殊硬貨の入金処理の際に操作端末において表示される画面を示す図である。
図10図10(a)、(b)は、実施形態1に係る、硬貨の画像に対して金種を設定するための操作を模式的に示す図である。
図11図11は、実施形態1に係る、全体画像の撮像方法を模式的に示す図である。
図12図12(a)は、実施形態1に係る、フル報知を行うための処理を示すフローチャートである。図12(b)は、実施形態1に係る、残留報知を行うための処理を示すフローチャートである。
図13図13は、実施形態2に係る、特殊硬貨の入金処理を示すフローチャートである。
図14図14(a)~(c)は、それぞれ、実施形態2に係る、特殊硬貨の入金処理の際に操作端末において表示される画面を示す図である。
図15図15は、実施形態3に係る、特殊硬貨の入金処理を示すフローチャートである。
図16図16(a)~(c)は、それぞれ、実施形態3に係る、特殊硬貨の入金処理の際に操作端末において表示される画面を示す図である。
図17図17は、変更例に係る、バラ硬貨処理装置、特殊硬貨処理装置および操作端末の構成を示すブロック図である。
図18図18は、他の変更例に係る、特殊硬貨処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0031】
本実施形態においては、特殊硬貨処理装置7が、特許請求の範囲に記載の「硬貨処理装置」に対応し、特殊硬貨処理装置7と操作端末8との組み合わせが、特許請求の範囲に記載の「硬貨処理システム」に対応する。また、カメラ51が、特許請求の範囲に記載の「撮像部」に対応する。
【0032】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0033】
図1は、本実施形態に係る、貨幣処理システム1の外観を示す正面図である。
【0034】
貨幣処理システム1は、束紙幣処理装置2と、バラ紙幣処理装置3と、バラ硬貨処理装置4と、包装硬貨処理装置5と、有価媒体処理装置6と、特殊硬貨処理装置7と、操作端末8と、貨幣保管装置9と、を備える。
【0035】
束紙幣処理装置2は、所定枚数(たとえば、100枚)のバラ紙幣を結束して束紙幣(帯封紙幣)を形成する束紙幣形成部と、束紙幣を収納する束紙幣収納部とを有する。バラ紙幣処理装置3は、バラ紙幣を金種別に収納できる紙幣収納部を有し、バラ紙幣を紙幣収納部へ入金する入金処理や紙幣収納部からバラ紙幣を出金する出金処理を行う。束紙幣処理装置2は、バラ紙幣処理装置3と接続されており、バラ紙幣処理装置3から送られてきたバラ紙幣をもとに束紙幣形成部で束紙幣を生成して外部に投出し、あるいは、生成した束紙幣を束紙幣収納部に収納する。
【0036】
バラ硬貨処理装置4は、バラ硬貨を金種別に収納できる硬貨収納部を有し、バラ硬貨を硬貨収納部へ入金する入金処理や硬貨収納部からバラ硬貨を出金する出金処理を行う。包装硬貨処理装置5は、所定枚数(たとえば、50枚)のバラ硬貨を包装して包装硬貨を形成する包装硬貨形成部と、包装硬貨を収納する包装硬貨収納部とを有する。包装硬貨処理装置5は、バラ硬貨処理装置4と接続されており、バラ硬貨処理装置4から送られてきたバラ硬貨をもとに包装硬貨形成部で包装硬貨に生成して外部に投出し、あるいは、生成した包装硬貨を包装硬貨収納部に収納する。
【0037】
有価媒体処理装置6は、束紙幣処理装置2およびバラ紙幣処理装置3で取り扱われない有価媒体の処理を行う。具体的には、有価媒体処理装置6は、損券収納部、有価証券収納部を有し、現在発行されていない紙幣である旧券、市場流通に適さない損券および汚れや破れによってバラ紙幣処理装置3で処理できない損傷券を損券収納部に対して入出金する処理、および、小切手や手形などの特定の有価証券を有価証券収納部に対して入出金する処理を行う。また、有価媒体処理装置6は、新券収納部を有し、未使用の紙幣である新券を新券収納部から出金する処理を行う。
【0038】
特殊硬貨処理装置7は、損貨(変形貨幣、汚損貨幣)、記念貨、旧貨等の市場流通に適さない特殊な硬貨を取り扱う。これら特殊な硬貨は、バラ硬貨処理装置4では、取り扱うことができない。
【0039】
操作端末8は、操作表示部301と、プリンタ302とを備える。ユーザは、操作端末8を用いて、束紙幣処理装置2、バラ紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5、有価媒体処理装置6、特殊硬貨処理装置7および貨幣保管装置9に対する入金処理のための操作や出金処理のための操作を行う。
【0040】
貨幣保管装置9は、損貨(変形貨幣、汚損貨幣)、記念貨、旧貨等の市場の流通に適さない特殊な硬貨等の保管に用いられる。また、貨幣保管装置9は、束紙幣処理装置2に収納しきれない束紙幣や包装硬貨処理装置5に収納しきれない包装硬貨の保管に用いられる。
【0041】
図2(a)(b)は、特殊硬貨処理装置7の構成を示す斜視図である。
【0042】
特殊硬貨処理装置7は、直方体形状の筐体10により、外郭が形成される。筐体10の上部前側に開口11が形成されている。この開口11が、シャッター12により開閉される。図2(a)には、開口11がシャッター12により閉じられた状態が示され、図2(b)には、開口11が開放された状態が示されている。シャッター12は、筐体10の左右の内側面に形成されたガイド溝13に沿って、前後方向に移動可能に筐体10に支持されている。
【0043】
シャッター12が開放されると、左右に並ぶ第1載置領域21と第2載置領域22とが、外部に露出する。第1載置領域21と第2載置領域22とは、仕切り23によって仕切られている。第1載置領域21の直下に、第1載置領域21に載置された硬貨を収納するための第1収納庫31が前方に引き出し可能に設置されている。また、第2載置領域22の直下に、第2載置領域22に載置された硬貨を収納するための第2収納庫32が前方に引き出し可能に設置されている。すなわち、第1載置領域21と第2載置領域22とにそれぞれ対応付けられて、第1収納庫31と第2収納庫32とが設けられている。
【0044】
第1載置領域21および第2載置領域22に載置されるべき硬貨の種類は、任意に設定可能である。各載置領域に載置されるべき硬貨の種類は、たとえば、所定の設定画面を用いて設定される。設定された各載置領域の硬貨の種類は、操作端末8内の記憶部に記憶される。ラベル33、34は設定に応じて付設される。ここでは、第1載置領域21が損貨用の載置領域に設定され、第2載置領域22が記念貨用の載置領域に設定されている。
【0045】
図3(a)、(b)は、特殊硬貨処理装置7の構成および動作を模式的に示す断面図である。図3(a)、(b)には、それぞれ、図2(a)のA-A’断面図が示されている。図2(a)は、第1載置領域21と第2載置領域22に対象の硬貨が載置された後、シャッター12が閉じられた直後の状態が示され、図2(b)には、その後、収納動作が開始された状態が示されている。
【0046】
図2(a)、(b)に示すように、第1載置領域21は、枠部材24と載置部材25とで構成されている。枠部材24の内側面は、仕切り23の側面とともに、第1載置領域21の内側面を構成し、載置部材25の上面は、第1載置領域21の底面、すなわち、第1載置領域21における硬貨の載置面を構成する。枠部材24は、筐体10内部に固定され、載置部材25は、前後に移動可能に、支持フレーム41に支持されている。支持フレーム41には、枠部材24の内側面と第1収納庫31とを連通させる開口41aが設けられている。第2載置領域22も、図2(a)、(b)と同様の構成である。
【0047】
なお、枠部材24は、第1載置領域21および第2載置領域22の両方に共通な1つの部材であってもよく、第1載置領域21および第2載置領域22ごとに個別に設けられてもよい。また、載置部材25は、第1載置領域21および第2載置領域22の両方に共通な1つの部材であってもよく、第1載置領域21および第2載置領域22ごとに個別に設けられてもよい。
【0048】
シャッター12の上部内側面には、第1載置領域21および第2載置領域22の両方を画角に含むカメラ51が設置されている。すなわち、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨は、全て、1つのカメラ51で同時に撮像される。この他、筐体10の内部には、第1載置領域21および第2載置領域22を照明するための発光ユニットが設置されている。
【0049】
図3(a)の状態から、載置部材25が図示しない駆動機構により後方に移動されると、第1載置領域21の底面が徐々に開放される。これにより、図3(b)に示すように、硬貨C1が、開放された底面から開口41aを介して第1収納庫31の内部に落下する。載置部材25は、前端が枠部材24の後端側の内側面の位置まで移動する。これにより、第1載置領域21に載置された全ての硬貨C1が、第1収納庫31の内部に落下して、第1収納庫31に収納される。第2載置領域22に載置された硬貨も、同様の動作により、第2収納庫32に収納される。
【0050】
図3(b)に示した硬貨の収納動作は、図3(a)の状態において、カメラ51で撮像された硬貨の画像に対し、操作者が、所定の金種を割り当てた後、確定操作を行うことにより実行される。割り当てられた金種は、硬貨の画像に紐付けられて、操作端末8の記憶部に記憶される。硬貨の画像および金種を記憶部に記憶させる処理については、追って、図7を参照して説明する。
【0051】
図4(a)、(b)は、特殊硬貨処理装置7の具体的構成を示す斜視図である。
【0052】
図4(a)、(b)において、載置部材131が図3(a)、(b)の載置部材25に対応し、仕切り141が図2(b)の仕切り23に対応し、壁板111、121および側板101a、101bが図3(a)、(b)の枠部材24に対応する。
【0053】
図4(a)、(b)には、筐体10内に収容された構造体の構成が示されている。図4(a)は、載置部材132が最も前方に移動した状態を示し、図4(b)は、載置部材132が最も後方に移動した状態を示している。
【0054】
特殊硬貨処理装置7は、支持フレーム101と、壁板111、121と、硬貨載置ユニット130と、仕切り141と、駆動機構150とを備えている。
【0055】
支持フレーム101は、金属材料から構成され、底板の左右両端から側板101a、101bが立ち上がった形状を有する。支持フレーム101の上部に、壁板111、121が前後に並ぶように設置されている。これら壁板111、121に仕切り141が設置されている。壁板111の上端111a、111bは、それぞれ、載置部材131、132の上面に沿った形状を有し、載置部材131、132の上面よりも上方に突出している。壁板121の下端121a、121bは、それぞれ、載置部材131、132の上面に沿った形状を有し、載置部材131、132の上面よりも上方に僅かに後退している。
【0056】
支持フレーム101の後端から前方に延びるようにガイド部材102が設置されている。また、支持フレーム101の左右の側板101a、101bの内側面に、それぞれ、前後に延びるガイド部材103が設置されている。ガイド部材102、103によって、硬貨載置ユニット130が、前後に移動可能に、支持フレーム101に支持されている。
【0057】
硬貨載置ユニット130は、載置部材131、132と、ベース部材133と、ラックギア134と、を備える。ベース部材133の上面前方に載置部材131、132が、左右に並ぶように設置されている。また、ベース部材133の上面後方にラックギア134が前後に延びるように設置されている。ベース部材133の前側には、左右方向の中央位置に、前後に延びる切欠き135が設けられている。
【0058】
ベース部材133は、平面視において長方形の形状を有する。ベース部材133の外縁は、全周に亘って立ち上げられている。ベース部材133の左右の側面に、それぞれ、ローラが2つずつ設けられている。
【0059】
硬貨載置ユニット130は、左右のローラがそれぞれ、左右に並ぶ一対のガイド部材103に嵌められることにより、支持フレーム101に支持される。このとき、仕切り141の下端がベース部材133の切欠き135に嵌まる。また、ラックギア134が、駆動機構150のギア152に噛み合う。こうして、図4(a)の構造体が構成される。
【0060】
載置部材131には、硬貨を載置するための載置面131aが形成されている。載置面131aは、平面であり、左側が右側よりも高くなるように、所定の角度(数度程度)で傾いている。載置部材132には、硬貨を載置するための載置面132aが形成されている。載置面132aは、平面であり、右側が左側よりも高くなるように、所定の角度(数度程度)で傾いている。水平面に対する載置面131a、132aの傾き角は、互いに同じである。このように載置面131a、132aが傾くことにより、載置面131a、132aに載置された硬貨がカメラ51の方向を向き易くなる。これにより、カメラ51で撮像された硬貨の画像に歪みが生じにくくなる。
【0061】
駆動機構150は、モータ151とギア152を備える。駆動機構150は、支持フレーム101とは別の部材に固定されている。モータ151の駆動に応じてギア152が駆動される。これにより、駆動力がギア152からラックギア134に伝達されて、硬貨載置ユニット130が前後に移動される。
【0062】
図4(a)において、第1載置領域21は、壁板111、121と、側板101aと、仕切り141と、載置部材131とで構成される。壁板111、121の内側面と、側板101aの内側面と、仕切り141の左側面とによって、第1載置領域21の内側面が構成され、載置部材131の上面、すなわち、載置面131aによって第1載置領域21の底面が構成される。
【0063】
また、第2載置領域22は、壁板111、121と、側板101bと、仕切り141と、載置部材132とで構成される。壁板111、121の内側面と、側板101bの内側面と、仕切り141の右側面とによって、第2載置領域22の内側面が構成され、載置部材132の上面、すなわち、載置面132aによって第2載置領域22の底面が構成される。
【0064】
図4(a)の状態から、モータ151が駆動されて、硬貨載置ユニット130が図4(b)の位置に移動すると、第1載置領域21および第2載置領域22の底を構成する載置部材131、132が後方に退避し、第1載置領域21および第2載置領域22に、第1収納庫31および第2収納庫32に繋がる開口101c、101dが生じる。このとき、載置部材131、132に載置されていた硬貨は、壁板121によって移動を制限される。これにより、載置部材131、132に載置されていた硬貨は、開口101c、101dを介して、第1収納庫31および第2収納庫32に落下する。こうして、これら硬貨が、第1収納庫31および第2収納庫32に収容される。本実施形態では、第1載置領域21に載置された損貨が第1収納庫31に収容され、第2載置領域22に載置された記念貨が第2収納庫32に収容される。
【0065】
なお、本実施形態では、第1収納庫31および第2収納庫32の内側面に、それぞれ、線状のマーカM1、M2が形成されている。マーカM1、M2は、水平方向に旋回するように形成されている。マーカM1、M2は、第1収納庫31および第2収納庫32が硬貨によってフルになったことを示すための標識である。すなわち、マーカM1、M2の高さまで第1収納庫31および第2収納庫32に硬貨が収納されると、第1収納庫31および第2収納庫32が硬貨で満たされたことになる。
【0066】
マーカM1、M2は、開口101c、101dを介してカメラ51によって撮像される。カメラ51の撮像画像を処理することにより、マーカM1、M2と硬貨の収納範囲の高さとの関係が確認される。これによって、第1収納庫31および第2収納庫32が硬貨で満たされたか否かが判別される。マーカM1、M2は、たとえば、赤色等の塗料で第1収納庫31および第2収納庫32の内側面に線を描くことにより形成される。
【0067】
また、側板101a、101bの上部外側に、それぞれ、発光ユニットL1、L2が配置される。発光ユニットL1、L2は、前後に延びる線状の光源である。たとえば、複数のLEDを前後に並べることにより発光ユニットL1、L2が構成される。発光ユニットL1、L2は、第1載置領域21および第2載置領域22の上方に向かって光を投射する。投射された光は、シャッター12の上部内側面で反射されて、第1載置領域21および第2載置領域22に導かれる。発光ユニットL1から投射された光は、第1載置領域21および第2載置領域22の両方に導かれ、発光ユニットL2から投射された光は、第1載置領域21および第2載置領域22の両方に導かれる。これにより、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨が照明される。
【0068】
図5(a)は、載置部材131、132の載置面131a、132aに形成された模様を模式的に示す図である。
【0069】
図5(a)に示すように、載置面131a、132aには、カメラ51によって撮像された硬貨の画像の歪みを補正するための模様が形成されている。ここでは、縦横方向に伸び互いに交差する複数の直線からなる格子状の模様が、載置面131a、132aに形成されている。たとえば、白地に黒の直線を描くことにより、格子状の模様が形成される。線の色は黒に限られるものではない。黒地に白の線を描くことにより、格子状の模様が形成されてもよい。この模様を用いて、硬貨の画像の歪みが補正される。
【0070】
すなわち、カメラ51は、仕切り141の中央位置の上方に配置されるため、載置面131a、132aの撮像画像は、載置面131a、132a上の位置がカメラ51から離れるほど歪む。このため、載置面131a、132aに載置された硬貨の画像も、カメラ51から硬貨の位置が離れるほど歪む。ここで、硬貨が載置されていない状態の載置面131a、132aをカメラ51で撮像した場合、撮像された格子パターンは、カメラ51との位置関係に応じて歪む。したがって、たとえば、撮像された格子パターンの交点が所定のピッチで縦横に直線状に並ぶように、撮像画像に歪み補正を施すことにより、歪みのない画像が得られる。この歪み補正を、硬貨が載置された載置面131a、132aの撮像画像に対して適用することにより、歪みのない硬貨の画像を取得できる。
【0071】
歪み補正のための撮像画像(硬貨が載置されていない状態の載置面131a、132aの撮像画像)の撮像は、たとえば、特殊硬貨処理装置7に電源が投入されたタイミングで行われる。ただし、当該画像の撮像は、必ずしも、このタイミングで行われずともよく、載置面131a、132aに硬貨が載置されていない状態にあれば、他のタイミングであってもよい。
【0072】
これらのタイミングで取得された撮像画像から、画像処理により、載置面131a、132aの模様が正規の状態(格子の交点が直線上に並んだ状態)になるように、撮像画像の位置ごとに、歪み補正の補正係数が算出される。こうして算出された補正係数が、その後に取得された硬貨の画像を含む撮像画像に適用され、硬貨の画像に対する歪み補正が行われる。
【0073】
なお、歪み補正のための模様は、格子に限らず、図5(b)に示すような市松模様であってもよい。この場合も、市松模様の角の交点が所定のピッチで縦横に直線状に並ぶように、撮像画像に歪み補正を施すことにより、歪みのない画像が得られる。また、歪み補正のための模様が、縦横に所定のピッチで多数の水玉が並ぶ水玉模様であってもよい。この場合も、水玉模様の交点が所定のピッチで縦横に直線状に並ぶように、撮像画像に歪み補正を施すことにより、歪みのない画像が得られる。
【0074】
図6は、特殊硬貨処理装置7および操作端末8の構成を示すブロック図である。
【0075】
特殊硬貨処理装置7は、撮像処理部201と、シャッター駆動部202と、ユニット駆動部203と、発光駆動部204と、通信部205と、制御部206と、記憶部207と、を備える。
【0076】
撮像処理部201は、制御部206からの制御によりカメラ51を駆動するとともに、カメラ51からの画像データを処理して制御部206に送信する。シャッター駆動部202は、シャッター12を駆動するためのモータおよび駆動回路を備え、制御部206からの制御により、シャッター12を開閉する。ユニット駆動部203は、図4(a)、(b)に示した載置部材25を駆動するモータとその駆動回路を備え、制御部206からの制御により、載置部材25を駆動する。発光駆動部204は、制御部206からの制御により、発光ユニットL1、L2を駆動する。通信部205は、制御部206からの制御により、操作端末8の通信部304との間で無線方式あるいは有線方式による通信を行う。
【0077】
制御部206は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備え、記憶部207に記憶されたプログラムに従って、撮像処理部201、シャッター駆動部202、ユニット駆動部203、発光駆動部204および通信部205を制御する。記憶部207は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部206の制御プログラムを記憶し、また、制御部206の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0078】
操作端末8は、上述した操作表示部301およびプリンタ302の他、カードリーダ303、通信部304、制御部305および記憶部306を備える。
【0079】
操作表示部301は、ディスプレイ301aとタッチセンサ301bとを備えたタッチパネルで構成される。ディスプレイ301aは、各種情報を表示する。タッチセンサ301bは、ディスプレイ301aに対するユーザのタッチ操作を検出する。プリンタ302は、束紙幣処理装置2、バラ紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5、有価媒体処理装置6、特殊硬貨処理装置7および貨幣保管装置9に対する入金処理、出金処理等の各種処理の結果を、ジャーナルとして用紙に印字し出力する。
【0080】
カードリーダ303は、IDカードを読み取り、読み取ったデータを制御部305に出力する。通信部304は、特殊硬貨処理装置7の通信部205との間で無線方式あるいは有線方式による通信を行う。この他、通信部304は、束紙幣処理装置2、バラ紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5、有価媒体処理装置6および貨幣保管装置9の各通信部との間で無線方式あるいは有線方式による通信を行う。
【0081】
制御部305は、CPU等の演算回路を備え、記憶部306に記憶されたプログラムに従って、操作表示部301、プリンタ302、カードリーダ303、通信部304を制御する。さらに、制御部305は、通信部304を介して、束紙幣処理装置2、バラ紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5、有価媒体処理装置6、特殊硬貨処理装置7および貨幣保管装置9との間で各種の指令や情報のやり取りを行って、これら装置の動作を制御する。
【0082】
記憶部306は、ROM、RAMやハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部305の制御プログラムを記憶し、また、制御部305の制御処理の際にワーク領域として利用される。さらに、記憶部306は、損貨および記念貨の参照画像と金種とを対応付けた硬貨画像データベース306aを保持している。硬貨画像データベース306aは、硬貨の種類(損貨/記念貨)ごとに準備されている。硬貨画像データベース306aは、カメラ51により撮像された硬貨の画像の金種を判定する際に、制御部305により参照される。
【0083】
次に、特殊硬貨処理装置7へ特殊な硬貨である損貨および記念貨を入金するための処理について説明する。
【0084】
図7は、損貨等の特殊硬貨の入金処理を示すフローチャートである。図8(a)~(c)および図9(a)~(c)は、それぞれ、特殊硬貨の入金処理の際に操作端末8の操作表示部301において表示される画面を示す図である。図7のフローチャートは、操作端末8の制御部305において実行される。
【0085】
特殊硬貨の入金処理において、操作者は、まず、図8(a)に示すメニュー画面410を操作する。メニュー画面410には、処理項目の選択候補を表示する領域411が含まれている。操作者は、領域411中の“特殊硬貨”の処理項目を選択する。これにより、領域412に含まれた貨幣の種類のうち、処理対象とされる損貨/旧貨および記念貨の項目がハイライト表示される。さらに、領域413に、当該硬貨の入金を行うための特殊硬貨処理装置7の画像413aが表示される。操作者は、画像413aを参照することにより、どの装置に対して入金を行えばよいかを円滑に把握できる。その後、操作者は、ボタン414を操作する。これにより、メニュー画面410の領域412、413が図8(b)の領域415、416に切り替わる。
【0086】
領域415には、硬貨の処理モードを選択するための2つのチェックボックス415a、415bが含まれている。チェックボックス415aは、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された複数の硬貨を同時に撮像して処理する撮像モード(複数枚読み取りモード)である。チェックボックス415bは、第1載置領域21または第2載置領域22に1枚ずつ載置された硬貨を撮像して処理する撮像モード(1枚読み取りモード)である。
【0087】
領域416には、領域415に含まれる2つの処理モードの何れかを選択することを操作者に促すメッセージ416aと、ボタン417とが含まれている。複数枚読み取りモードを選択する場合、操作者は、チェックボックス415aを選択し、ボタン417を操作する。これにより、図7に示す処理が開始される。
【0088】
制御部305は、特殊硬貨処理装置7の制御部206に対して、シャッター12を開放させる指示を送信する(S101)。これにより、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が開放される。また、制御部305は、操作表示部301にセット要求画面420を表示させる(S102)。これにより、操作表示部301の画面が、図8(b)のメニュー画面410から図8(c)のセット要求画面420に切り替わる。
【0089】
図8(c)を参照して、領域421には、図8(a)、(b)の領域411と同様の画像が含まれる。領域422には、特殊硬貨処理装置7の硬貨載置領域における硬貨の種類の割り当て形態を示す画像422aが表示される。ここでは、左側の硬貨載置領域(第1載置領域21)が損貨を載置するための領域に割り当てられ、右側の硬貨載置領域(第2載置領域22)が記念貨を載置するための領域に割り当てられている。操作者は、画像422aを参照することにより、各載置領域に載置すべき硬貨の種類を的確に把握できる。
【0090】
領域423には、特殊硬貨処理装置7に処理対象の硬貨をセットすること、および、セット完了後にボタン424を操作することを促すメッセージ423aが含まれる。操作者は、メッセージ423aを参照して、特殊硬貨処理装置7の第1載置領域21および第2載置領域22に、それぞれ、処理対象の損貨および記念貨を載置する。処理対象の全ての損貨および記念貨をセットすると、操作者は、ボタン424を操作する。これにより、図7のステップS103の判定がYESとなる。
【0091】
こうして、ステップS103の判定がYESとなると、制御部305は、特殊硬貨処理装置7の制御部206に対して、シャッター12を閉塞させる指示を送信する(S104)。これにより、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が閉塞される。さらに、制御部305は、特殊硬貨処理装置7の制御部206に対して、硬貨を撮像させる指示を送信する(S105)。これにより、特殊硬貨処理装置7において、発光ユニットL1、L2が点灯され、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨が、カメラ51により撮像される。こうして撮像された画像のデータが、通信部205、304を介して、特殊硬貨処理装置7から操作端末8に送信される。制御部305は、受信したデータを、記憶部306に記憶させる。
【0092】
次に、制御部305は、受信した画像のデータを処理して、当該画像に含まれる各硬貨の画像を切り出す(S106)。たとえば、制御部305は、画像の明暗により硬貨の領域を特定し、特定した硬貨の領域が内接する方形状の領域を硬貨の画像の領域として切り出す。ただし、硬貨の画像の切出し方法は、これに限られるものではない。そして、制御部305は、切り出した各硬貨の画像に対して、図5(a)、(b)を参照して説明した歪み補正を行い、真円に近い各硬貨の画像を取得する。さらに、制御部305は、歪み補正後の各硬貨の画像と、硬貨画像データベース306aに保持された基準画像とを照合して、各硬貨の画像の金種を識別する(S107)。
【0093】
具体的には、制御部305は、各硬貨の画像について、マッチング度合いが所定の閾値以上で且つ最高の基準画像を硬貨画像データベース306aから抽出し、この基準画像に対応付けられた金種を、当該硬貨の画像に割り当てる。このとき、制御部305は、各硬貨の画像に割り当てられた基準画像が、損貨と記念貨の何れの種類に属するかを示す区分を、各硬貨の画像にさらに割り当てる。また、マッチング度合いが閾値以上の基準画像がない硬貨の画像については、金種が不明との識別結果が割り当てられる。
【0094】
こうして各硬貨の画像について金種を識別した後、制御部305は、ステップS106における硬貨の切り出しおよび抽出の適否を確認するための抽出確認画面430を操作表示部301に表示させる(S108)。
【0095】
図9(a)に示すように、抽出確認画面430には、全体画像431と、メッセージ432と、ボタン433~435が含まれている。全体画像431は、第1載置領域21および第2載置領域22の全体をカメラ51で撮像した撮像画像であり、各載置領域に載置された硬貨の画像(硬貨画像)431aを含んでいる。また、全体画像431には、図7のステップS107で切り出された切出領域431bを示す四角形の枠が重ねて表示される。切出領域431bの枠は、赤色や黄色等、視覚的に識別しやすい形態で表示される。
【0096】
メッセージ432は、切出領域の確認および修正を促す報知文を含んでいる。操作者は、メッセージ432を参照して、適宜、切出領域431bを修正する。図9(a)の例では、損貨の領域の右上の硬貨画像431aに過剰に切出領域431bが割り当てられており、また、損貨の領域の左下の硬貨画像431aには、切出領域が割り当てられていない。
【0097】
この場合、操作者は、たとえば、右上の硬貨画像431aに割り当てられている2つの切出領域431bにタッチした後、ボタン433を操作する。これにより、これら2つの切出領域431bが削除される。その後、操作者は、右上の硬貨画像431aにタッチした後、ボタン434を操作する。これにより、右上の硬貨画像431aに切出領域431bが割り当てられる。
【0098】
このとき割り当てられる切出領域431bは、たとえば、載置可能な金種の硬貨のうち最大の金種の硬貨に対応するサイズに設定される。この切出領域431bのサイズが調整可能であってもよい。
【0099】
たとえば、操作者は、新たに割り当てられた切出領域431bの対角付近に2指をタッチした後、2指を接近方向に移動させる。これにより、切出領域431bが、2指の移動に応じて縮小される。2指を離間方向に移動させると、切出領域431bが拡大する。こうして、切出領域431bを所望のサイズに調整した後、操作者は、2指を画面から離す。これにより、当該硬貨画像431aに、所定サイズの切出領域431bが割り当てられる。操作者は、損貨の領域の左下の硬貨画像431aに対しても、同様の操作により、切出領域431bを割り当てる。
【0100】
こうして、図9(b)のように、全ての硬貨画像431aに対して適正に、切出領域431bが割り当てられる。操作者は、全ての硬貨画像431aに対して切出領域431bが適正に割り当てられたことを確認した後、ボタン435を操作する。これにより、抽出確認画面430における操作が完了する。
【0101】
なお、抽出確認画面430が最初に表示された際に、全ての硬貨画像431aに対して適正に切出領域431bが割り当てられている場合、操作者は、そのままボタン435を操作する。これにより、抽出確認画面430における操作が完了する。
【0102】
図7に戻り、制御部305は、ステップS106における硬貨画像431aの切出しが適正であったか否かを判定する(S109)。具体的には、制御部305は、図9(a)の抽出確認画面430に対して、操作者から、切出領域431bの削除または追加の操作を受け付けたか否かを判定する。これらの操作を受け付けなかった場合、制御部305は、ステップS106における切出しが適正であったと判定して(S109:YES)、金種受付処理(S113)へと進む第1処理を実行する。他方、これらの操作を受け付けた場合、制御部305は、ステップS106における切出しが適正でなかったと判定して(S109:NO)、切出変更受付処理(S110)へと進む第2処理を実行する。
【0103】
ステップS110において、制御部305は、図9(a)を参照して説明した切出領域431bの削除および追加の操作を受け付ける。その後、制御部305は、この操作の完了を待つ(S111)。この操作が終了し、操作者がボタン435を操作すると(S111:YES)、制御部305は、新たに割り当てられた切出領域431bに対して硬貨画像431aの切出しを行う(S112)。その後、制御部305は、処理をステップS113に進める。
【0104】
ステップS113において、制御部305は、図9(c)に示す入金処理画面440を、操作表示部301に表示させる。
【0105】
図9(c)を参照して、入金処理画面440は、領域441、442と、ボタン443とを含んでいる。領域441には、硬貨の入金結果441a、441bが金種ごとに表示される。領域442には、撮像画像から切り出された各硬貨の画像442cが表示される。画像442cには、図7のステップS106において自動で切り出された硬貨画像の他、図7のステップS112において切り出された硬貨画像も含まれる。表示される各硬貨の画像442cは、上述の歪み補正後の画像である。
【0106】
領域442は、損貨の画像を表示させるためのタブ442aと、記念貨の画像を表示させるためのタブ442bとを備えている。すなわち、第1載置領域21および第2載置領域22に対して、それぞれ、タブ442aおよびタブ442bが割り当てられている。タブ442aが選択されると、第1載置領域21にセットされた損貨の各画像が表示され、タブ442bが選択されると、第2載置領域22にセットされた記念貨の各画像が表示される。
【0107】
硬貨の各画像442cの直下の位置に、各画像の金種を示す項目442dが表示される。入金処理画面440の表示開始時には、図7のステップS107で識別された各硬貨の画像442cの金種が項目442dに表示される。ステップS107で金種が不明と判定された硬貨の画像442cおよびステップS112で切り出された硬貨の画像442cには、“?”の記号が項目442dに表示される。“?”の記号が付された画像442c以外の画像442cについて、金種ごとに枚数が計数され、計数結果が、入金結果441a、441bとして、領域441に表示される。領域442には、画像442cをスクロールさせるためのスクロールバー442eが設けられている。
【0108】
なお、金種を示す項目442dは、必ずしも、各画像442cの直下に配置されなくてもよく、画像442cに対応付けられた形態であれば、他の位置に配置されてもよい。たとえば、画像442cの一部に重なるように項目442dが配置されてもよい。
【0109】
操作者は、項目442dに対する操作により、各硬貨の画像442cの金種を設定できる。
【0110】
図10(a)、(b)は、硬貨の画像442cに対して金種を設定するための操作を模式的に示す図である。
【0111】
たとえば、金種が不明と識別された画像442cに対して金種を設定する場合、操作者は、まず、当該画像442cを参照して、当該画像442cの硬貨の金種を目視により確認する。次に、操作者は、図10(a)に示すように、当該画像442cに対応付けられた項目442dに指でタッチし、そのまま指を下方にドラッグさせる。これにより、ドラッグの距離に応じて項目442dに表示される金種が変化する。
【0112】
たとえば、指を所定距離だけドラッグさせると、項目442dの金種が1円となり、さらに指を所定距離だけドラッグさせると、項目442dの金種が5円となる。その後、同様に、指を所定距離だけドラッグさせるごとに、項目442dの金種が、10円、50円、…と変化する。指を逆方向(上方)にドラッグさせると、金種の変化が反転する。
【0113】
こうして、操作者は、画像442cに対応する金種が項目442dに表示されるまで、指をドラッグさせる。そして、画像442cに対応する金種が項目442dに表示されると、操作者は、指を画面から離す。これにより、図10(b)のように、項目442dに金種が設定される。このとき、操作者により金種が設定された項目442dは、図7のステップS107で金種が識別された項目442dと区別可能な形態で表示される。たとえば、操作者により金種が設定された項目442dは、他の項目442dとは異なる色が付されて表示される。
【0114】
操作者は、金種が不明と識別された他の画像442cについても、同様の操作により金種を設定する。また、操作者は、図7のステップS107で金種が識別された項目442dについても、適宜、上記と同様の操作により、金種を修正する。こうして、各画像442cの金種が操作者により設定されると、これに応じて、領域441に表示される各金種の入金結果441a、441bが更新される。
【0115】
なお、図10(a)、(b)に示した例では、指をドラッグさせることにより金種の候補が変更されたが、金種の候補を変化させる方法は、これに限られるものではない。たとえば、項目442dをタップするごとに金種の候補が変化する構成であってもよい。
【0116】
操作者は、図9(c)の入金処理画面440において、全ての硬貨の画像442cに対して金種を設定した後、処理を確定させるボタン443を操作する。これにより、制御部305は、図7のステップS113の処理を終了させ、入金確定処理を実行する(S114)。入金確定処理において、制御部305は、各硬貨の画像442cと項目442dに設定された金種とを対応付けて、記憶部306に記憶させる。このとき同時に、制御部305は、領域441に示された入金結果441a、441bを記憶部306に記憶させる。なお、図9(a)の抽出確認画面430において切出領域431bが手動で設定された硬貨の画像431aについては、その旨がさらに取引ログに記憶されてもよい。
【0117】
こうして、各種情報の記憶処理を完了すると、制御部305は、通信部304を介して、処理の完了を示す通知を特殊硬貨処理装置7に送信する。これに応じて、特殊硬貨処理装置7の制御部206は、ユニット駆動部203を制御して、載置部材25を最後方位置へと移送させる。これにより、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨が、それぞれ、第1収納庫31および第2収納庫32に落下して収納される。その後、制御部206は、載置部材25を最前方位置(初期位置)へと移送させる。これにより、硬貨の入金処理が終了する。
【0118】
<全体画像の撮像>
なお、本実施形態では、図7のステップS105において、金種識別用の全体画像と表示用の全体画像の2種類の全体画像が、カメラ51により撮像される。
【0119】
すなわち、全体画像から硬貨画像を切り出して金種判別を行う場合は、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨に斜め方向から光が照射されて、各硬貨のエッジが強調されていることが好ましい。他方、全体画像中の硬貨画像を表示する場合は、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨に正面方向から光が照射されて、硬貨の表面が明るく照明されることが好ましい。
【0120】
このような観点から、図7のステップS105においては、硬貨に斜め方向から光を照射した状態の金種識別用の全体画像と、硬貨に正面方向から光を照射した状態の表示用の全体画像との2種類の全体画像を撮像することが好ましい。
【0121】
ここで、図4(b)のように、2つの発光ユニットL1、L2からの光を、シャッター12の上部内側面で反射させて、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨に照射する構成の場合、各載置領域に近い方の発光ユニットを点灯させると当該載置領域に載置された硬貨に正面方向から光が照射され、各載置領域に遠い方の発光ユニットを点灯させると当該載置領域に載置された硬貨に斜め方向から光が照射される。この場合、各載置領域に対して正面方向と斜め方向に光を照射するためには、通常、載置領域ごとに、発光ユニットL1、L2を交互に点灯させる必要があり、合計4回の点灯の切り替えを行いながら、撮像を行う必要がある。しかしながら、このような撮像処理は、制御が煩雑で、且つ、時間が掛かってしまう。
【0122】
そこで、本実施形態では、簡易な制御で、且つ、迅速に、金種識別用の全体画像と表示用の全体画像とを取得する処理が行われる。
【0123】
すなわち、特殊硬貨処理装置7は、第1載置領域21および第2載置領域22の側方にそれぞれ配置された2つの発光ユニットL1、L2と、第1載置領域21および第2載置領域22の上方に配置され発光ユニットL1、L2から投射された光を反射して第1載置領域21および第2載置領域22に照射する反射面(シャッター12の上部内側面)と、第1載置領域21および第2載置領域22を撮像するカメラ51と、発光ユニットL1、L2とカメラ51とを制御して金種識別用の全体画像と表示用の全体画像を取得する制御部206と、を備え、制御部206は、発光ユニットL1、L2のうち第1載置領域21に近い方の発光ユニットを点灯させた状態でカメラ51により第1全体画像を撮像させ、発光ユニットL1、L2のうち第1載置領域21から遠い方の発光ユニットを点灯させた状態でカメラ51により第2全体画像を撮像させ、第1全体画像中の第2載置領域22に対応する領域の画像と第2全体画像中の第1載置領域21に対応する領域の画像とを合成して金種識別用の全体画像を取得し、第1全体画像中の第1載置領域21に対応する領域の画像と第2全体画像中の第2載置領域22に対応する領域の画像とを合成して表示用の全体画像を取得する。
【0124】
図11は、図7のステップS105において実行される全体画像の撮像方法を模式的に示す図である。
【0125】
図11の上段左側の図に示すように、制御部206は、まず、第1載置領域21側の発光ユニットL1を点灯させて、第1載置領域21および第2載置領域22の両方を含む全体画像をカメラ51に撮像させる。次に、制御部206は、図11の上段右側に示すように、第2載置領域22側の発光ユニットL2を点灯させて、第1載置領域21および第2載置領域22の両方を含む全体画像をカメラ51に撮像させる。各撮像における発光ユニットL1、L2の発光量は、互いに同じに設定される。
【0126】
そして、制御部206は、図11の下段左側に示すように、発光ユニットL2を点灯させた状態で撮像された第1載置領域21の画像P21(静止画像)と、発光ユニットL1を点灯させた状態で撮像された第2載置領域22の画像P12(静止画像)とを合成して、金種識別用の全体画像を構成する。また、制御部206は、図11の下段右側に示すように、発光ユニットL1を点灯させた状態で撮像された第1載置領域21の画像P11(静止画像)と、発光ユニットL2を点灯させた状態で撮像された第2載置領域22の画像P22(静止画像)とを合成して、表示用の全体画像を構成する。
【0127】
ここで、第1載置領域21から遠い方の発光ユニットL2が点灯すると、発光ユニットL2から投射された光は、シャッター12の上部内側面で反射して、斜め方向に第1載置領域21に入射する。また、第2載置領域22から遠い方の発光ユニットL1が点灯すると、発光ユニットL1から投射された光は、シャッター12の上部内側面で反射して、斜め方向に第2載置領域22に入射する。このため、図11の下段左側の金種識別用の全体画像は、光がそれぞれ斜め方向に入射した状態で第1載置領域21および第2載置領域22が撮像された全体画像となる。
【0128】
また、第1載置領域21に近い方の発光ユニットL1が点灯すると、発光ユニットL1から投射された光は、シャッター12の上部内側面で反射して、正面方向から第1載置領域21に入射する。また、第2載置領域22に近い方の発光ユニットL2が点灯すると、発光ユニットL2から投射された光は、シャッター12の上部内側面で反射して、正面方向から第2載置領域22に入射する。このため、図11の下段右側の表示用の全体画像は、光がそれぞれ正面方向から入射した状態で第1載置領域21および第2載置領域22が撮像された全体画像となる。
【0129】
このように、金種識別用の全体画像と表示用の全体画像を構成すると、金種識別用の全体画像では光が斜めに入射した状態であるため、硬貨のエッジが強調され、輪郭がクリアな硬貨画像が得られる。このため、硬貨の画像領域をより適正に抽出でき、その結果、制御部305において、硬貨の金種をより正確に判別できる。また、表示用の全体画像では光が正面から入射した状態であるため、硬貨の表面が明るく照明された硬貨画像が得られる。このため、硬貨画像の視認性が高まり、操作者は、表示された硬貨画像に基づき硬貨の金種をより正確に識別できる。
【0130】
また、図11の撮像処理によれば、発光ユニットL1、L2をそれぞれ1回ずつ点灯させるだけで、金種識別用の全体画像と表示用の全体画像を取得できる。よって、処理の簡素化を図ることができる。
【0131】
制御部305は、図7のステップS105で撮像された金種識別用の全体画像と表示用の全体画像に対してそれぞれステップS106の切出し処理を行って、硬貨画像を切り出す。このとき、各全体画像に対する切出し位置に基づいて、各全体画像から切り出された硬貨画像のうち同一硬貨に対応する硬貨画像が互いにペアリングされる。
【0132】
そして、制御部305は、各全体画像から切り出した硬貨画像に対し、それぞれ、ステップS107において、歪み補正を行う。さらに、制御部305は、ステップS107において、金種識別用の全体画像から切り出した硬貨画像に基づいて、各硬貨画像に対する金種識別を行う。そして、制御部305は、表示用の全体画像を用いて、ステップS108において、抽出確認画面430を表示させる。ステップS113においても、制御部305は、表示用の全体画像から切り出された硬貨画像を用いて、入金処理画面440を表示させる。その後、ステップS114において、制御部305は、表示用の全体画像から切り出した硬貨画像を金種情報とともに、記憶部306に記憶させる。このとき、さらに、金種識別用の全体画像から切り出された硬貨画像がペアリングされて記憶部306に記憶されてもよい。
【0133】
<フル報知>
上記構成の特殊硬貨処理装置7では、第1載置領域21および第2載置領域22にそれぞれ載置可能な枚数の硬貨が、一度に、第1収納庫31および第2収納庫32にそれぞれ収納され得る。このため、各回の入金処理によって、第1収納庫31および第2収納庫32の硬貨収納量が一気に増加して、第1収納庫31および第2収納庫32がフル状態になることが起こり得る。第1収納庫31および第2収納庫32に過剰に硬貨が収納されると、第1収納庫31および第2収納庫32の抜き取りが困難となり、硬貨の回収を円滑に行い得ない場合がある。
【0134】
かかる課題に鑑み、本実施形態では、図4(b)に示したマーカM1、M2を用いて、第1収納庫31および第2収納庫32が硬貨で満たされた状態(フル状態)になったか否かの判定がなされる。そして、第1収納庫31および第2収納庫32がフル状態になった場合、その旨の報知(フル報知)が行われる。
【0135】
ここで、マーカM1、M2は、これらマーカM1、M2の位置に硬貨の収納範囲の上端がある状態において、第1載置領域21および第2載置領域22にそれぞれ載置可能な最大枚数の硬貨が第1収納庫31および第2収納庫32にそれぞれ収納された場合に、第1収納庫31および第2収納庫32がフル状態になるように配置される。フル状態とは、たとえば、第1収納庫31および第2収納庫32の取り外しを許容可能な硬貨の収納状態の限界付近として定義され得る。フル状態が、この限界付近よりもやや少ない状態であってもよい。
【0136】
図12(a)は、フル報知を行うための処理を示すフローチャートである。
【0137】
特殊硬貨処理装置7側の制御部206は、図7のステップS114の処理に応じて、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨を、それぞれ、第1収納庫31および第2収納庫32に収納させるための収納処理を開始する(S201:YES)。これにより、制御部206は、載置部材131、132を後方に移動させて、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨を第1収納庫31および第2収納庫32に落下させる。その後、載置部材131、132が後端まで移動し、図4(b)に示すように第1載置領域21および第2載置領域22が全開放されると(S202:YES)、制御部206は、第1収納庫31および第2収納庫32の内部をカメラ51に撮像させる(S203)。撮像された第1収納庫31および第2収納庫32の内部の撮像画像(以下、「収納庫内部画像」という)を操作端末8側の制御部305に送信する。
【0138】
操作端末8側の制御部305は、受信した収納庫内部画像を処理して、第1収納庫31および第2収納庫32における硬貨の収納範囲の上端が、それぞれ、マーカM1、M2に到達したか否かを判定する(S204)。ここで、何れの収納範囲の上端もマーカM1、M2に到達していない場合(S204:NO)、制御部305は、処理を終了する。
【0139】
他方、第1収納庫31における硬貨の収納範囲の上端がマーカM1に到達していると(S204:YES)、制御部305は、そのことを報知するための報知処理を行う(S205)。同様に、第2収納庫32における硬貨の収納範囲の上端がマーカM2に到達していると(S204:YES)、制御部305は、そのことを報知するための報知処理を行う(S205)。
【0140】
ステップS205の報知処理において、制御部305は、たとえば、第1収納庫31または第2収納庫32がフル状態になっていることを報知し、さらに、フル状態になっている収納庫から硬貨を回収することを促すための画像を、操作表示部301を表示させる。あるいは、操作表示部301が音声出力機能を有する場合、制御部305は、ステップS205の報知処理において、上記画像の表示とともに、上記画像に対応する音声を操作表示部301から出力させてもよい。
【0141】
この報知処理により、操作者は、フル状態になっている収納庫を特殊硬貨処理装置7から抜き取って、収納されている全ての硬貨を回収し、その後、空になった収納庫を特殊硬貨処理装置7に再装着する。これにより、当該収納庫に対する硬貨の収納が可能となる。
【0142】
このように、制御部206は、第1収納庫31および第2収納庫32を開放させた状態でカメラ51に収納庫内部画像を撮像させる。そして、制御部305は、撮像した収納庫内部画像に基づいて、第1収納庫31および第2収納庫32がフル状態になったか否かを判定する。より詳細には、制御部305は、収納庫内部画像におけるマーカM1、M2と第1収納庫31および第2収納庫32の硬貨収納量との関係に基づいて、第1収納庫31および第2収納庫32がフル状態になったか否かを判定する。このように、マーカM1、M2と硬貨収納量との間の実際の関係に基づいてフル状態が検出されるため、第1収納庫31および第2収納庫32がフル状態になったことを正確に検出できる。
【0143】
また、第1載置領域21および第2載置領域22を撮像するためのカメラ51が第1収納庫31および第2収納庫32のフル状態の検出に共用されるため、簡素な構成により、第1収納庫31および第2収納庫32のフル状態を検出できる。
【0144】
さらに、制御部305は、フル状態になったことを操作者に報知するための報知処理を実行するため、操作者は、第1収納庫31および第2収納庫32がフル状態になったことを確実に把握でき、第1収納庫31および第2収納庫32に対する硬貨の回収を円滑に進めることができる。
【0145】
なお、図12(a)のフローチャートでは、ステップS201~S203の処理が特殊硬貨処理装置7において自発的に行われたが、これらの処理が、操作端末8側の制御部305からの指示により受動的に行われてもよい。また、ステップS201~S203の処理とともに、ステップS204、S205の処理が特殊硬貨処理装置7において自発的に行われてもよい。この場合、ステップS205では、報知を行わせるための情報(フル状態になった収納庫を特定する情報等)が、特殊硬貨処理装置7の制御部206から操作端末8側の制御部305に送信され、操作端末8側において上記と同様の報知が行われる。
【0146】
なお、本実施形態では、第1収納庫31および第2収納庫32にそれぞれマーカM1、M2を形成することにより、第1収納庫31および第2収納庫32のフル状態が検出されたが、マーカM1、M2を用いない方法により、第1収納庫31および第2収納庫32のフル状態が検出されてもよい。たとえば、第1収納庫31および第2収納庫32に対する硬貨の収納が進むほど、収納庫内部画像に含まれる硬貨の画像が大きくなる。したがって、収納庫内部画像に含まれる所定金種の硬貨の画像の大きさ(面積や直径等)が所定の閾値を超えるか否かによって、第1収納庫31および第2収納庫32のフル状態が検出されてもよい。
【0147】
また、本実施形態では、収納庫内部画像を用いて第1収納庫31および第2収納庫32のフル状態が検出されたが、収納庫内部画像を用いない方法により、第1収納庫31および第2収納庫32のフル状態が検出されてもよい。たとえば、制御部305は、第1収納庫31および第2収納庫32に収納されている硬貨の枚数と各硬貨のサイズ(たとえば、硬貨画像の切出しサイズ)とを、随時、記憶部306に保持させておき、収納されている硬貨の枚数と各硬貨のサイズとに基づいて、第1収納庫31および第2収納庫32における硬貨の収納状態を示す指標値を算出してもよい。そして、制御部305は、算出した指標値が、予め設定した閾値を超える場合に、第1収納庫31および第2収納庫32がフル状態になったことを判定してもよい。
【0148】
この判定処理によれば、カメラ51によって収納庫内部画像を撮像する処理が不要となるため、処理の簡素化を図ることができる。しかしながら、この判定処理は、硬貨の枚数と各硬貨のサイズとに基づいて第1収納庫31および第2収納庫32における硬貨の収納状態を推測するものであるため、直接、第1収納庫31および第2収納庫32の収納状態を撮像して評価する図12(a)の判定処理に比べて、フル状態の判定精度が低下することが想定され得る。よって、より正確に、第1収納庫31および第2収納庫32のフル状態を検出するためには、図12(a)の判定処理を用いるのが良いと言える。
【0149】
また、第1載置領域21および第2載置領域22にそれぞれ載置された硬貨画像から得られた各硬貨のサイズと、第1収納庫31および第2収納庫32における硬貨の収納状態とに基づいて、第1載置領域21および第2載置領域22にそれぞれ載置された硬貨が収納可能かどうかを判定し、硬貨の収納が可能でない場合に、これら硬貨に対する入金処理を行わないようにしてもよい。
【0150】
この処理によれば、収納処理の際に第1載置領域21および第2載置領域22にそれぞれ載置された硬貨が第1収納庫31および第2収納庫32に入りきらずに収納できない状態が発生することを防ぐことができる。
【0151】
<残留報知>
本実施形態では、さらに、硬貨回収後の第1収納庫31および第2収納庫32に、回収漏れによる硬貨の残留がないか否かが判定される。そして、硬貨の残留が判定された場合は、操作者に、その旨の報知(残留報知)が行われる。
【0152】
図12(b)は、残留報知を行うための処理を示すフローチャートである。
【0153】
硬貨の回収後に第1収納庫31または第2収納庫32が特殊硬貨処理装置7に再装着されると(S301:YES)、特殊硬貨処理装置7の制御部206は、載置部材131、132を後方に移動させて、第1載置領域21および第2載置領域22を開放し(S302)、第1収納庫31および第2収納庫32の内部をカメラ51に撮像させる(S303)。これにより、収納庫内部画像が取得される。制御部206は、取得した収納庫内部画像を、操作端末8側の制御部305に送信し、その後、載置部材131、132を前方に移動させて、第1載置領域21および第2載置領域22を閉塞する。
【0154】
操作端末8側の制御部305は、受信した収納庫内部画像を処理して、第1収納庫31および第2収納庫32における硬貨の残留の有無を判定する(S304)。具体的には、制御部305は、収納庫内部画像に硬貨の画像が含まれるか否かにより、第1収納庫31および第2収納庫32における硬貨の残留の有無を判定する。
【0155】
ここで、ステップS304における判定をより円滑に行うために、第1収納庫31および第2収納庫32の底面に、格子模様やドット模様等の残留検知用の模様が形成されてもよい。こうすると、制御部305において、硬貨の残留が無い状態の第1収納庫31および第2収納庫32の底面画像(収納庫内部画像)と、残留検知処理時に撮像された第1収納庫31および第2収納庫32の底面画像(収納庫内部画像)とを対比することにより、硬貨残留の有無を正確かつ円滑に判定できる。硬貨の残留が無い状態の第1収納庫31および第2収納庫32の底面画像(収納庫内部画像)は、特殊硬貨処理装置7の設置時や、特殊硬貨処理装置7の起動時等、第1収納庫31および第2収納庫32に硬貨や異物が残留していないことが確実なタイミングにおいて取得されればよい。
【0156】
第1収納庫31および第2収納庫32の何れにも硬貨の残留がない場合(S304:NO)、制御部305は、処理を終了する。他方、第1収納庫31に硬貨が残留していると(S304:YES)、制御部305は、そのことを報知するための報知処理を行う(S305)。同様に、第2収納庫32に硬貨が残留していると(S304:YES)、制御部305は、そのことを報知するための報知処理を行う(S305)。
【0157】
ステップS305の報知処理において、制御部305は、所定の報知画像を操作表示部301に表示させる。この報知画像は、たとえば、収納庫に硬貨が残留していることのメッセージと、当該収納庫から硬貨を回収することを促すメッセージとを含み得る。操作表示部301が音声出力機能を有する場合、制御部305は、上記画像の表示とともに、当該画像に含まれるメッセージと同様の内容の音声を操作表示部301から出力させてもよい。
【0158】
この報知処理により、操作者は、硬貨が残留している収納庫を特殊硬貨処理装置7から抜き取って、残留している硬貨を回収し、その後、当該収納庫を特殊硬貨処理装置7に再装着する。
【0159】
このように、制御部206は、第1収納庫31および第2収納庫32を開放させた状態でカメラ51に収納庫内部画像を撮像させる。そして、制御部305は、収納庫内部画像に基づいて、第1収納庫31または第2収納庫32に硬貨が残留しているか否かを判定する。このように、実際の収納庫内部画像に基づいて硬貨残留の有無が検出されるため、第1収納庫31および第2収納庫32における硬貨の残留を正確に検出できる。
【0160】
また、第1載置領域21および第2載置領域22を撮像するためのカメラ51が第1収納庫31および第2収納庫32における硬貨残留の検出に共用されるため、簡素な構成により、第1収納庫31および第2収納庫32における硬貨の残留を検出できる。
【0161】
さらに、制御部305は、硬貨の残留を操作者に報知するための報知処理を実行するため、操作者は、第1収納庫31および第2収納庫32における硬貨の残留を確実に把握でき、第1収納庫31および第2収納庫32に対する残留硬貨の回収を円滑に進めることができる。
【0162】
なお、図12(b)のフローチャートでは、ステップS301~S303の処理が特殊硬貨処理装置7において自発的に行われたが、これらの処理が、操作端末8側の制御部305からの指示により受動的に行われてもよい。また、ステップS301~S303の処理とともに、ステップS304、S305の処理が特殊硬貨処理装置7において自発的に行われてもよい。この場合、ステップS305では、報知を行わせるための情報(硬貨の残留が検出された収納庫を特定する情報等)が、特殊硬貨処理装置7の制御部206から操作端末8側の制御部305に送信され、操作端末8側において上記と同様の報知が行われる。
【0163】
<コントラスト調整>
上記構成により記憶部306に記憶された硬貨画像は、後日、違算等が生じた場合において、操作者により参照され確認される。このため、記憶部306に記憶される硬貨画像は、なるべく明瞭であることが好ましい。
【0164】
この観点から、上記構成では、各硬貨画像の明るさおよびコントラストを、記憶部306に記憶する前に、個別に調整する構成が用いられ得る。たとえば、図9(c)の入金処理画面440において、硬貨の画像442cの1つにタッチすると、当該画像442cの拡大図と、明るさおよびコントラストをそれぞれ調整するための2つの調整バーとを含むポップアップ画面が表示される。
【0165】
操作者は、ポップアップ画面に含まれる画像442cを参照しながら、各調整バーを操作して、画像442cの明るさおよびコントラストを調整する。そして、操作者は、画像442cが最も明瞭になった状態において、ポップアップ画面に含まれている確定ボタンを操作する。これにより、ポップアップ画面が消失し、入金処理画面440中の当該硬貨の画像442cが調整後の画像に置き換わる。操作者は、他の硬貨の画像442cに対しても、適宜、同様の調整操作を行う。その後、操作者は、ボタン443を操作し、入金処理画面440に対する操作を確定させる。
【0166】
この場合、図7のステップ114では、調整後の画像442cが記憶部306に記憶される。このとき、調整前の画像442cと、明るさおよびコントラストの調整値とが、記憶部306に記憶されてもよい。
【0167】
この構成によれば、操作者は、違算等が生じた場合に、より明瞭な画像442cを参照して、入金された硬貨を確認できる。よって、操作者は、各硬貨の確認を、より円滑かつ適正に行うことができる。
【0168】
なお、上記では、記憶部306に硬貨の画像442cが記憶される前に、画像442cの明るさおよびコントラストが調整されたが、後日、硬貨の画像442cを確認する際に、画像442cの明るさおよびコントラストを上記と同様の方法で調整可能に、確認画面を構成してもよい。また、上記では、硬貨の画像442の明瞭性を向上させるパラメータとして、明るさとコントラストが用いられたが、明瞭性を向上させるパラメータはこれに限られるものではない。たとえば、明るさとコントラストの一方のみが調整されてもよく、あるいは、色彩等、他の調整パラメータが用いられてもよい。
【0169】
<モードの選択>
図7のフローチャートは、図8(b)のメニュー画面410において、複数枚読み取りモードが選択された場合の処理であったが、操作者は、メニュー画面410においてチェックボックス415bを選択することにより、1枚読み取りモードを実行させることもできる。1枚読み取りモードは、第1載置領域21および第2載置領域22の何れか一方に1枚だけ硬貨を載置して処理を行うモードである。
【0170】
1枚読み取りモードにおいて、操作端末8の制御部305は、全体画像に対して、硬貨の自動切出しおよび金種の自動判別を行わず、当該硬貨を含む全体画像を、記憶部306に記憶させる。金種の設定は、操作者が全体画像を参照して手入力により行う。制御部305は、設定された金種を、硬貨を含む全体画像に対応付けて、記憶部306に記憶させる。すなわち、1枚読み取りモードでは、図7のステップS106~S112の処理が省略される。
【0171】
たとえば、処理対象の硬貨の損傷が激しい場合や、ケース入りの記念貨の場合、当該硬貨を他の処理対象の硬貨に含めて複数枚読み取りモードを実行すると、当該硬貨の画像に切出しに失敗する可能性が高い。このような場合に、操作者は、予め損傷の激しい硬貨を処理対象から外して、他の硬貨のみで複数枚読み取りモードを実行する。この場合、操作者は、損傷の激しい当該硬貨に対して1枚読み取りモードを適用する。これにより、操作者は、複数枚読み取りモードを円滑に進めることができ、且つ、損傷が激しい硬貨やケース入りの記念貨に対しても、1枚読み取りモードによって円滑に、画像および金種の記憶を行わせることができる。
【0172】
なお、1枚読み取りモードにおいても、全体画像に対して手動で切出領域が設定され、硬貨画像が切り出されてもよい。この場合、切出領域の設定操作として、たとえば、図9(a)に示した切出領域431bの追加操作を用いることができる。これにより、1枚読み取りモードにおいても、硬貨ごとの画像を、記憶部306に記憶させることができる。
【0173】
<実施形態1の効果>
本実施形態1によれば、以下の効果が奏され得る。
【0174】
処理対象の硬貨の画像を記憶部306に記憶させる処理として、処理内容が互いに異なる第1処理および第2処理が予め準備されている。ここで、第1処理および第2処理は、ステップS109からステップS113へと移行する処理と、ステップS109、S110、S111、S112からステップS113へと移行する処理がそれぞれ対応する。あるいは、第1処理および第2処理は、たとえば、図8(b)のメニュー画面410で選択可能な複数枚読み取りモードと1枚読み取りモードがそれぞれ対応する。このため、これらの処理が相補的に用いられることにより、処理対象の硬貨の画像を円滑に記憶部306に記憶させることができる。
【0175】
また、上記第2処理は、図7のステップS110、S111および図9(a)の抽出確認画面430を参照して説明したとおり、全体画像において硬貨に対する切出領域431bの設定を受け付け、設定された切出領域431bから硬貨の画像431aを切出して記憶部306に記憶させる処理を含んでいる。この構成により、操作者は、手動で硬貨の切出領域431bを設定できる。よって、上記第1処理によって切出しを自動で適正に行い得ない硬貨の画像431aに対しても、適正に切出領域431bを設定して硬貨の画像431aを取得できる。よって、変形等が生じている硬貨に対しても、当該第2処理により、硬貨ごとの画像431aを円滑に記憶部306に記憶させることができる。
【0176】
また、複数枚読み取りモードにおいて、制御部305は、全体画像から1枚ごとの硬貨の画像431aを自動で抽出して記憶部306に記憶させる第1処理を優先的に実行し、第1処理において第1載置領域21および第2載置領域22上の全ての硬貨に対して切出画像を適正に抽出できたか否かを判定し(図7のステップS109)、何れかの硬貨に対して切出画像の抽出が適正に行われなかった場合に(S109:NO)、ステップS110~S112の第2処理を実行する。この構成によれば、第1処理が優先されるため、処理対象の硬貨ごとの画像431aを簡便に記憶部306に記憶させることができる。また、全ての硬貨に対して第1処理を適正に実行できない場合に、第2処理が実行されるため、円滑かつ確実に、処理対象の硬貨の画像431aを記憶部306に記憶させることができる。
【0177】
また、制御部305は、切り出された各硬貨の画像431aに対し当該画像が抽出された硬貨の金種に関する情報を対応付けて記憶部306に記憶させる。これにより、操作者は、処理された硬貨ごとの画像431aと当該画像に対応付けられた金種とを互いに対応させて確認できる。よって、操作者は、入金処理に違算が生じたか否かを円滑に確認できる。
【0178】
また、上記モード選択の項で説明したように、制御部305は、図8(b)のメニュー画面410において、第1処理(複数枚読み取りモード)と第2処理(1枚読み取りモード)の何れか一方を選択するための入力を受け付け、受け付けた方の処理を実行する。これにより、操作者は、たとえば、処理対象の硬貨の損傷具合に応じて、第1処理と第2処理のうち当該硬貨に適する処理を選択できる。よって、操作者は、硬貨に対する処理を円滑に進めることができる。
【0179】
<実施形態2>
上記実施形態1では、硬貨画像の自動切出しが適正に行われなかった場合、操作者により手動で切出領域が設定され、硬貨画像が切り出された。これに対し、実施形態2では、硬貨画像の自動切出しが適正に行われなかった場合、全体画像が記憶部306に記憶される。
【0180】
図13は、実施形態2に係る、損貨等の特殊硬貨の入金処理を示すフローチャートである。図14(a)~(c)は、実施形態2に係る、特殊硬貨の入金処理の際に操作端末8の操作表示部301において表示される画面を示す図である。図13のフローチャートは、操作端末8の制御部305において実行される。
【0181】
図13のステップS101~S107の処理は、図7のステップS101~S107の処理と同様である。実施形態2では、ステップS108において、図14(a)に示す抽出確認画面450が操作端末8の操作表示部301に表示される。
【0182】
抽出確認画面450は、全体画像451と、メッセージ452と、ボタン453、454を含んでいる。全体画像451は、第1載置領域21および第2載置領域22の全体をカメラ51で撮像した撮像画像であり、各載置領域に載置された硬貨の画像(硬貨画像)451aを含んでいる。また、全体画像451には、図7のステップS107で切り出された切出領域451bを示す四角形の枠が重ねて表示される。
【0183】
メッセージ452は、硬貨画像451aの切出しが全て適正であるか否かを操作者に問い合わせる問合せ文を含んでいる。操作者は、メッセージ452を参照して、ボタン453、454の何れかを操作する。硬貨画像451aの切出しが全て適正である場合、操作者は、ボタン453を操作する。これにより、制御部305は、図13のステップS109の判定をYESとし、ステップS113、S114の処理を実行する。この場合のステップS113、S114の処理は、図7のフローチャートの場合と同様である。
【0184】
他方、全体画像451に重ねて表示された切出領域451bが不適正である場合、操作者は、ボタン454を操作する。図14(a)の例では、損貨領域の右上の硬貨画像451aに過剰に切出領域451bが割り当てられており、また、損貨領域の左下の硬貨画像451aには、切出領域が割り当てられていない。よって、この例の場合、操作者は、ボタン454を操作する。これにより、制御部305は、図13のステップS109の判定をNOとし、ステップS121~S123の処理を実行する。
【0185】
この場合、制御部305は、ステップS107において取得した金種の識別結果を全て消去し(S121)、入金情報受付処理を実行する(S122)。入金情報受付処理において、制御部305は、図14(b)の入金情報受付画面460を操作表示部301に表示させ、操作者からの入金情報の入力を受け付ける。
【0186】
入金情報受付画面460は、画像表示領域461と、メッセージ462と、表示欄463、464と、テンキー465と、ボタン466、467とを含んでいる。画像表示領域461には、第1載置領域21および第2載置領域22の何れか一方の画像が全体画像から切り出されて表示される。図14(a)の抽出確認画面450においてボタン454が操作されると、図14(b)に示すように、まず、第1載置領域21の画像が画像表示領域461に表示される。
【0187】
メッセージ462には、入金情報の入力を操作者に促す報知文を含んでいる。操作者は、メッセージ462を参照して、画像表示領域461に表示される硬貨の画像461aから、第1載置領域21に載置されている硬貨の合計金額と合計枚数を確認し、確認した合計金額と合計枚数を入金情報として入力する。具体的には、操作者は、表示欄463にタッチして表示欄463を有効化し、テンキー465を操作して合計金額の入力を行う。また、操作者は、表示欄464にタッチして表示欄464を有効化し、テンキー465を操作して合計枚数の入力を行う。入力が間違った場合、操作者は、入力が間違った表示欄にタッチして、ボタン466を操作する。これにより、当該表示欄に対する入力がクリアされる。
【0188】
こうして入力を行った後、操作者は、ボタン467を操作する。これにより、制御部305は、入金情報受付画面460を、図14(c)の入金情報確認画面470に変更する。
【0189】
入金情報確認画面470は、画像表示領域471と、硬貨仕分け欄472と、表示欄473、474と、ボタン475、476とを含んでいる。画像表示領域471には、図14(b)の入金情報受付画面460の画像表示領域471と同様の画像が表示される。制御部305は、入金情報受付画面460において入力された合計金額および合計枚数に基づいて、入金対象の硬貨の金種と、金種ごとの枚数および合計金額を算出し、算出結果を、硬貨仕分け欄472中の各金種の欄に表示させる。また、制御部305は、入金情報受付画面460において入力された合計金額および合計枚数を、そのまま、表示欄473、474に表示させる。
【0190】
操作者は、入金情報確認画面470の画像表示領域471に表示された画像を参照し、当該画像に含まれる各金種の硬貨の枚数と各金種の合計金額が、硬貨仕分け欄472の表示内容に整合するか否かを確認する。両者が整合しない場合、操作者は、ボタン475を操作する。これにより、入金情報確認画面470が、図14(b)の入金情報受付画面460に切り替わる。操作者は、入金情報受付画面460に対して、入金情報の入力をやり直す。
【0191】
他方、画像表示領域471に表示された画像に含まれる各金種の硬貨の枚数と各金種の合計金額が、硬貨仕分け欄472の表示内容に整合する場合、操作者は、ボタン476を操作する。これにより、第1載置領域21に載置された硬貨に対する入金情報(金種ごとの枚数と合計金額、入金処理された硬貨の合計金額と合計枚数)の入力が確定する。
【0192】
こうして、第1載置領域21に載置された硬貨に対する入金情報が確定すると、制御部305は、第2載置領域22に対する入金情報受付画面460を操作表示部301に表示させる。この場合、画像表示領域461には、第2載置領域22の撮像画像が表示される。操作者は、上記と同様の手順で、第2載置領域22の撮像画像に含まれる硬貨の入金情報を入力する。そして、操作者は、第2載置領域22の撮像画像に対する入金情報確認画面470を確認した後、ボタン476を操作する。これにより、第2載置領域22に載置された硬貨に対する入金情報の入力が確定する。
【0193】
図13に戻り、以上の操作により、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨に対する入金情報の入力が確定すると、制御部305は、処理をステップS123に進める。ステップS123において、制御部305は、全体画像と、ステップS122で受け付けた入金情報(金種ごとの合計枚数および合計金額、全ての硬貨の合計枚数および合計金額)とを互いに対応付けて、記憶部306に記憶させる。このとき、全体画像は、第1載置領域21と第2載置領域22とに分割して記憶されてもよく、また、入金情報は、第1載置領域21の入金情報と第2載置領域22の入金情報とに区分して記憶されてもよい。こうして、制御部305は、図13の処理を終了する。
【0194】
<実施形態2の効果>
実施形態2においても、処理対象の硬貨の画像を記憶部306に記憶させる処理として、処理内容が互いに異なる第1処理(ステップS113、S114)および第2処理(ステップS121~123)が予め準備されている。このため、これらの処理が相補的に用いられることにより、処理対象の硬貨の画像を円滑に記憶部306に記憶させることができる。
【0195】
また、実施形態2では、第2処理として、全体画像を記憶部306に記憶させる処理が実行される。これにより、第1処理によって切出しを適正に行い得ない硬貨の画像が含まれていても、第2処理により、当該硬貨の画像を含む全体画像が、記憶部306に記憶される。よって、変形等が生じている硬貨に対しても、第2処理により、処理対象の硬貨の画像を円滑に記憶部306に記憶させることができる。
【0196】
<実施形態3>
上記実施形態1では、硬貨画像の自動切出しが適正に行われなかった場合、操作者により手動で切出領域が設定され、硬貨画像が切り出された。これに対し、実施形態3では、硬貨画像の自動切出しが適正に行われなかった場合、自動切出しを行えなかった硬貨を操作者に取り出させ、取り出した硬貨に対して1枚読み取りモードが実行される。
【0197】
図15は、実施形態3に係る、損貨等の特殊硬貨の入金処理を示すフローチャートである。図16(a)~(c)は、実施形態3に係る、特殊硬貨の入金処理の際に操作端末8の操作表示部301において表示される画面を示す図である。図15のフローチャートは、操作端末8の制御部305において実行される。
【0198】
図15のステップS101~S107の処理は、実施形態1に係る図7のステップS101~S107の処理と同様である。また、図15のステップS108、S109、S113、S114の処理は、実施形態2に係る図13のステップS108、S109、S113、S114の処理と同様である。
【0199】
すなわち、実施形態3においても、ステップS108において、図14(a)に示す抽出確認画面450が操作端末8の操作表示部301に表示される。この抽出確認画面450において、操作者が、ボタン453を操作すると、制御部305は、ステップS109の判定をYESとして、ステップS113、S114の処理を実行する。ステップS113、S114の処理は、上記実施形態1、2と同様である。
【0200】
図14(a)の抽出確認画面450において、操作者が、ボタン454を操作すると、制御部305は、ステップS109の判定をNOとして、ステップS131に処理を進める。ステップS131において、制御部305は、図16(a)の取出報知画面480を操作表示部301に表示させる。
【0201】
取出報知画面480は、全体画像481と、メッセージ482と、ボタン483を含んでいる。全体画像481は、第1載置領域21および第2載置領域22の全体をカメラ51で撮像した撮像画像であり、各載置領域に載置された硬貨の画像(硬貨画像)481aを含んでいる。また、全体画像481には、図7のステップS107で切り出された切出領域481bを示す四角形の枠が重ねて表示される。
【0202】
メッセージ482は、硬貨画像481aの切出しが適正に行われなかった硬貨を取り出すことを操作者に促す報知文を含んでいる。操作者は、メッセージ482の内容を把握した上で、全体画像481を参照し、全体画像481に重ねて表示されている切出領域481bが適正に設定されていない硬貨の画像481aを確認する。図16(a)の例では、操作者は、第1載置領域21(損貨の領域)の右上の硬貨と左下の硬貨の画像が適正に切り出されなかったことを確認する。
【0203】
その後、操作者は、ボタン483を操作する。これにより、制御部305は、特殊硬貨処理装置7の制御部206に対し、シャッター12を開放させる指示を送信する。これによりシャッター12が開放されると、操作者は、第1載置領域21および第2載置領域22から、硬貨の画像が適正に切り出されなかった硬貨を取り出す。その後、操作者は、ボタン483の操作に応じて操作表示部301に表示される画面に含まれている取出完了ボタンを操作する。
【0204】
こうして取出完了ボタンが操作されると、制御部305は、ステップS132の判定をYESとし、第1載置領域21および第2載置領域22に載置されている硬貨に対して、再度、複数枚読み取りモードを実行する(S133)。ここでは、図15のステップS105以降の処理が行われる。この場合、硬貨の画像が適正に切り出されなかった硬貨は取り除かれているため、通常は、ステップS109の判定がYESとなる。こうして、第1載置領域21および第2載置領域22に載置されている全ての硬貨について、全体画像から硬貨の画像が自動で適正に切り出され、切り出された硬貨の画像が、金種に対応付けられて、記憶部306に記憶される。
【0205】
ステップS133の複数枚読み取りモードが終了すると、制御部305は、1枚読み取りモードを実行する(S134)。この制御において、制御部305は、特殊硬貨処理装置7側の制御部206にシャッター12を開放させる指示を送信し、さらに、図16(b)に示す報知画面490を操作表示部301に表示させる。
【0206】
報知画面490は、メッセージ491と、ボタン492、493とを含んでいる、メッセージ491は、取り除いた硬貨を1枚読み取りモードで処理することを報知し、且つ、取り除いた硬貨を1枚ずつ対象種別の載置領域に置くことを促す報知文を含んでいる。操作者は、メッセージ491を参照して、図15のステップS131において取り出した硬貨の1枚を、当該硬貨の種別(損貨/記念貨)に対応する載置領域に置く。その後、操作者は、報知画面490のボタン492を操作する。
【0207】
こうして、ボタン492が操作されると、制御部305は、特殊硬貨処理装置7側の制御部206に全体画像を撮像させ、図16(c)の金種受付画面500を操作表示部301に表示させる。金種受付画面500は、画像表示領域501と、メッセージ502と、金種選択ボタン503と、確定ボタン504とを含んでいる。画像表示領域501には、第1載置領域21と第2載置領域22の何れか一方の画像が全体画像から切り出されて表示される。操作者は、タブ501a、501bを操作することにより、第1載置領域21の画像と第2載置領域22の画像を交互に切り替えることができる。
【0208】
操作者は、画像表示領域501に表示されている硬貨の画像を参照して当該硬貨の金種を確認し、当該硬貨に対応する金種を金種選択ボタン503から選択する。その後、操作者は、確定ボタン504を操作する。
【0209】
図15に戻り、こうして確定ボタン504が操作されると、制御部305は、当該硬貨に対して入金処理を実行する(S135)。すなわち、制御部305は、当該硬貨を対応する金種の収納庫に収納させる指示を特殊硬貨処理装置7側の制御部206に送信し、さらに、1枚読み取りモードで撮像した全体画像と、図16(c)の金種選択画面で設定された金種とを対応付けて、記憶部306に記憶させる。
【0210】
その後、制御部305は、1枚読み取りモードを終了させるか否かを問い合わせる問合せ画面を操作表示部301に表示させ、1枚読み取りモードの終了の可否を判定する(S136)。操作者は、ステップS131の処理に伴い取り出した硬貨が残っている場合、当該問合せ画面に対して1枚読み取りモードを続行させる操作を行う。これにより、制御部305は、ステップS136の判定をNOとして、処理をステップS134に戻して、再度、1枚読み取りモードを同様に実行する。これにより、図16(b)の報知画面490が操作表示部301に表示される。
【0211】
こうして、取り出した全ての硬貨に対する処理が終了すると、操作者は、問合せ画面に対して1枚読み取りモードを終了させる操作を行う。これにより、制御部305は、ステップS136の判定をYESとして、処理を終了する。
【0212】
<実施形態3の効果>
実施形態3においても、処理対象の硬貨の画像を記憶部306に記憶させる処理として、処理内容が互いに異なる第1処理(ステップS113、S114)および第2処理(ステップS131~136)が予め準備されている。このため、これらの処理が相補的に用いられることにより、処理対象の硬貨の画像を円滑に記憶部306に記憶させることができる。
【0213】
また、実施形態3では、第2処理として、硬貨を第1載置領域21または第2載置領域22に1つだけ載置してカメラ51に撮像させ、撮像された画像を記憶部306に記憶させる処理が実行される。これにより、第1処理によって切出しを適正に行い得ない硬貨の画像が含まれていても、第2処理により、当該硬貨の画像を含む全体画像が、記憶部306に記憶される。よって、変形等が生じている硬貨に対しても、第2処理により、処理対象の硬貨の画像を円滑に記憶部306に記憶させることができる。
【0214】
なお、上記では、1枚読み取りモードにおいて、全体画像と金種とを対応づけて記憶部306に記憶させたが、第1載置領域21の画像と第2載置領域22の画像のうち、硬貨が載置されている方の載置領域の画像と当該硬貨の金種とを互いに対応づけて記憶部306に記憶させてもよい。
【0215】
<変更例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0216】
たとえば、上記実施形態1~3では、特殊硬貨処理装置7の制御部206と操作端末8の制御部305とが通信を行う構成であったが、特殊硬貨処理装置7と操作端末8との通信形態は、これに限られるものではない。
【0217】
図17は、変更例に係る、バラ硬貨処理装置4、特殊硬貨処理装置7および操作端末8の構成を示すブロック図である。
【0218】
図17の構成では、操作端末8の制御部305と特殊硬貨処理装置7のカメラ51とがUSBケーブル等の通信ケーブルで接続されている。また、操作端末8の制御部305とバラ硬貨処理装置4の制御部603とがUSBケーブル等の通信ケーブルで接続されている。そして、バラ硬貨処理装置4の通信部602と特殊硬貨処理装置7の通信部205とがシリアル通信ケーブル等の通信ケーブルで接続されている。バラ硬貨処理装置4の制御部603は、操作端末305からの制御指令に応じて、硬貨処理部601を駆動する。
【0219】
この構成において、操作端末8の制御部305は、特殊硬貨処理装置7のカメラ51を直接制御し、また、カメラ51で撮像された撮像画像をカメラ51から直接取得する。すなわち、制御部305は、図7図13および図15のステップS105の処理を、特殊硬貨処理装置7を介することなく、カメラ51を直接制御して実行する。
【0220】
また、この構成において、制御部305は、バラ硬貨処理装置4の制御部603を介して、特殊硬貨処理装置7のシャッター駆動部202、ユニット駆動部203および発光駆動部204を駆動する。具体的には、これら駆動部を制御するための制御指令が、制御部305からバラ硬貨処理装置4の制御部603に送信される。制御部603は、受信した制御指令に応じた制御指令を、通信部602を介して特殊硬貨処理装置7の制御部206に送信する。制御部206は、受信した制御指令に応じて、シャッター駆動部202、ユニット駆動部203および発光駆動部204を駆動する。したがって、この構成において、制御部305は、図7図13および図15のステップS101、S104の処理を、バラ硬貨処理装置4の制御部603を介して特殊硬貨処理装置7を制御することにより実行する。
【0221】
この構成では、バラ硬貨処理装置4と、特殊硬貨処理装置7と、操作端末8との組み合わせが、特許請求の範囲に記載の「硬貨処理システム」に対応する。この構成によっても、上記実施形態1~3と同様の効果が奏され得る。
【0222】
また、上記実施形態1~3では、操作表示部301が特殊硬貨処理装置7と別体であったが、操作表示部301が特殊硬貨処理装置7に一体的に設けられてもよい。この構成においては、さらに、図7図12(a)、(b)、図13および図15の処理の全てが、特殊硬貨処理装置7側の制御部206によって行われてもよい。
【0223】
この場合、特殊硬貨処理装置7は、たとえば、図18のように構成される。特殊硬貨処理装置7は、ディスプレイ208aおよびタッチセンサ208bからなる操作表示部208を備える。記憶部207は、図6に示した硬貨画像データベース306aと同様の硬貨画像データベース207aを保持する。
【0224】
制御部206は、図8(a)~(c)および図9(a)~(c)の各画面を操作表示部208に表示させながら、図7の処理を実行する。処理結果に基づく情報は、記憶部207に記憶されてもよく、あるいは、操作端末8側に送信されて、操作端末8側の記憶部306に記憶されてもよい。実施形態2、3における図13および図15の処理も、制御部206により実行され、図14(a)~(c)および図16(a)~(c)の画面も操作表示部208に表示される。図12(a)、(b)におけるステップS205、S305の報知も、操作表示部208を介して行われる。
【0225】
また、上記実施形態1~3の構成において、図7図13および図15の処理が、特殊硬貨処理装置7側の制御部206によって行われてもよい。この場合、操作端末8の操作表示部301は、単に、画面の表示および操作入力の受け付けのために用いられる。この場合も、特殊硬貨処理装置7の記憶部207には、図18の場合と同様、硬貨画像データベース207aが保持される。この他、図7図13および図15の処理が、特殊硬貨処理装置7側の制御部206と操作端末8側の制御部305との共同動作により行われてもよい。
【0226】
また、図5(a)、(b)に示した模様を用いて、第1載置領域21および第2載置領域22における硬貨の有無が判定されてもよい。すなわち、硬貨が載置されていない状態の基準の全体画像を記憶部207または記憶部306に記憶させておき、この基準の全体画像と、実動作時の全体画像とを制御部206または制御部305において比較して、第1載置領域21および第2載置領域22における硬貨の有無が判定されてもよい。
【0227】
また、全体画像撮像時の発光ユニットL1、L2の制御方法は、図11に示した制御方法に限られるものではなく、硬貨の画像を適正に切り出して金種判別でき、且つ明瞭な硬貨の画像を表示できる限りにおいて、他の制御方法であってもよい。たとえば、発光ユニットL1、L2を同時に点灯させてカメラ51に全体画像を撮像させてもよい。
【0228】
また、上記実施形態1、2では、シャッター12を開閉して硬貨の着脱が行われたが、たとえば、シャッター12を省略し、筐体10を水平方向に出入りするトレーを用いて、硬貨を筐体10の内部に搬入する構成であってもよい。この場合、硬貨を載置するための載置領域がトレー上面に設けられる。
【0229】
また、このようにトレーが設けられる場合、カメラ51に代えて、トレーの出入り口の上方に、載置領域に跨がるようにラインセンサを設け、このラインセンサによって、載置領域の全体画像を撮像させてもよい。この場合、トレーが搬入される期間においてラインセンサを動作させることにより、載置領域全体の全体画像を撮像することができる。
【0230】
また、図7のステップS107により取得される金種識別結果に基づいて、第1載置領域21および第2載置領域22に対する硬貨の置き間違いが、さらに検出されてもよい。たとえば、損貨の載置領域に記念貨が載置された場合に、その旨が報知されてもよい。
【0231】
また、上記実施形態1、2では、たとえば、図3(a)、(b)に示すように、載置部材25を後方に移動させることにより、硬貨C1を第1収納庫31に収納させたが、収納庫に対して硬貨を収納させる構成は、これに限られるものではない。たとえば、収納庫の開口が載置部材よりも後方向に長い場合、枠部材24を後方に移動させて開口の後部に硬貨を落下させ、硬貨を収納庫の内部に収納させる構成であってもよい。あるいは、載置部材を下方に回動させて、収納庫内部に硬貨を落下させる構成であってもよい。
【0232】
また、載置領域の数は、必ずしも2つに限られるものではなく、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。載置面は、必ずしも1つの平面でなくてもよく、最大硬貨の幅ごとに段差が設けられていてもよい。
【0233】
また、第1処理と第2処理は、上記実施形態1、2に示した処理に限られず、硬貨の画像を相補的に取得できる限りにおいて、他の処理であってもよい。
【0234】
また、特殊硬貨処理装置7が、タブレット端末やスマートフォンとの通信機能を有し、タブレット端末等の表示機能、操作機能を用いて、特殊硬貨処理装置7への特殊な硬貨の入金処理が行われてもよい。
【0235】
さらに、上記実施形態において、特殊硬貨処理装置7に、特殊な硬貨として、外国硬貨および旧貨を入金できてもよい。また、特殊硬貨に限らず、通常の硬貨を処理する硬貨処理装置に本発明が適用されてもよい。
【0236】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0237】
7 特殊硬貨処理ユニット(硬貨処理装置)
8 操作端末
21 第1載置領域
22 第2載置領域
51 カメラ(撮像部)
206、305 制御部
208、301 操作表示部
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