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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】炭水化物系ポリマー材料
(51)【国際特許分類】
   C08L 3/00 20060101AFI20230327BHJP
   C08L 23/02 20060101ALI20230327BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20230327BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20230327BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20230327BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20230327BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
C08L3/00
C08L23/02
C08L23/06
C08L101/00
C08K5/053
C08K5/09
C08J5/18 CEP
C08J5/18 CES
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019535385
(86)(22)【出願日】2017-12-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 US2017068492
(87)【国際公開番号】W WO2018125897
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】62/440,399
(32)【優先日】2016-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/442,432
(32)【優先日】2017-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/481,806
(32)【優先日】2017-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/481,823
(32)【優先日】2017-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/483,219
(32)【優先日】2017-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/691,588
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/836,555
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/610,615
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/610,618
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517456602
【氏名又は名称】バイオロジック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BIOLOGIQ,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ラプライ、ブラッドフォード
(72)【発明者】
【氏名】クアン、ウェンジ
(72)【発明者】
【氏名】アレン、ドナルド アール.
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-150305(JP,A)
【文献】特開2009-185305(JP,A)
【文献】特開平04-202567(JP,A)
【文献】特開2003-073539(JP,A)
【文献】特開2013-147609(JP,A)
【文献】炊飯せずにアルファ化米 製造装置の開発に成功,山形大学プレス発表資料,2013年08月06日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品であって、
ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、またはタピオカデンプンのうちの1つ以上を含む1つ以上のデンプンおよびグリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、多価アルコール可塑剤、糖アルコールの無水物、脂肪酸、フタル酸エステル、コハク酸ジメチルもしくはジエチル、グリセロールトリアセテート、グリセロールモノまたはジアセテート、グリセロールモノ、ジまたはトリプロピオネート、乳酸エステル、クエン酸エステル、アジピン酸エステル、ステアリン酸エステル、またはオレイン酸エステルのうちの1つ以上を含む可塑剤から形成される、実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料であって、20%以下の結晶化度を有し、結晶構造には戻らず、水分含有量が2重量%以下である前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料と、
前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料とブレンドされた他のポリマー材料であって、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ABS、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)、またはポリカーボネートのうちの1つ以上を含む前記他のポリマー材料と、を含み、
前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料および前記他のポリマー材料は一緒にブレンドされて前記物品を形成するとき海島構造を示さず、
前記物品の破断点引張伸び値が、前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料を用いずに前記他のポリマー材料のみから作られた場合に物品が有するであろう値よりも大きく、かつ、前記物品のダーツ衝撃強度が、前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料を含まずに、前記他のポリマー材料のみから製造された場合に前記物品が有するであろうダーツ衝撃強度よりも少なくとも5%大きいこと、または
ASTM D-5511またはASTM D-5338下で5年以内に生分解する前記物品の量が、前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料の量よりも多いこと、のうちの少なくとも1つである、物品。
【請求項2】
前記他のポリマー材料が、ポリオレフィンを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料が、20%未満、好ましくは15%未満、より好ましくは10%未満の結晶化度を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料が、70℃超、75℃超、80℃超、70℃~100℃、または80℃~100℃のガラス転移温度、熱変形温度、またはビカット軟化温度を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料が、少なくとも1.0GPaのヤング率を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記他のポリマー材料が、ポリエチレンを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記物品が、フィルムを含み、前記フィルムが、前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料とポリエチレンとのブレンドから形成されている、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記他のポリマー材料が、ポリプロピレンまたはPBATのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料と前記他のポリマー材料とのブレンドが、少なくとも1重量%の前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記物品が、フィルムを含み、前記フィルムが、0.0025mm(0.1ミル)~0.25mm(10ミル)の厚さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記物品の前記ダーツ衝撃強度が、前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料を含まずに、前記他のポリマー材料のみから製造された場合に前記物品が有するであろうダーツ衝撃強度よりも少なくとも10%大きい、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
前記他のポリマー材料が、再生可能なポリマー材料を含み、前記物品のポリマー含有量の少なくとも90%が、再生可能な供給源から供給される、請求項1に記載の物品。
【請求項13】
前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料と前記他のポリマー材料との前記ブレンドが、以下の化学構造:
【化1】
を有する追加の成分をさらに含む、請求項1に記載の物品。
【請求項14】
プラスチック物品に増大された再生可能性を提供すると同時に、前記プラスチック物品に増加したダーツ衝撃強度かつ増加した破断点引張伸び値、または、生分解性のうちの少なくとも1つも提供する方法であって、前記方法が、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ABS、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)、またはポリカーボネートのうちの1つ以上を含むポリマー材料を提供することと、
ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、またはタピオカデンプンのうちの1つ以上を含む1つ以上のデンプンおよびグリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、多価アルコール可塑剤、糖アルコールの無水物、脂肪酸、フタル酸エステル、コハク酸ジメチルもしくはジエチル、グリセロールトリアセテート、グリセロールモノまたはジアセテート、グリセロールモノ、ジまたはトリプロピオネート、乳酸エステル、クエン酸エステル、アジピン酸エステル、ステアリン酸エステル、またはオレイン酸エステルのうちの1つ以上を含む可塑剤から形成された実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料と、前記ポリマー材料とを混合することであって、前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料は、20%以下の結晶化度を有し、結晶構造には戻らず、水分含有量が2重量%以下であって、前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料および前記ポリマー材料は、一緒にブレンドされて前記プラスチック物品を形成するとき海島構造を示さない、前記混合することと、
前記ポリマー材料を前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料と溶融混合するように、前記ポリマー材料と前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料との混合物を120℃~180℃の範囲の温度に加熱することと、
前記ポリマー材料と前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料とのブレンドからプラスチック物品を形成することと、を含み、
前記物品の破断点引張伸び値が、前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料を用いずに前記他のポリマー材料のみから作られた場合に物品が有するであろう値よりも大きく、かつ、前記物品のダーツ衝撃強度が、前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料を含まずに、前記ポリマー材料のみから製造された場合に前記物品が有するであろうダーツ衝撃強度よりも少なくとも5%大きいこと、または
ASTM D-5511またはASTM D-5338下で5年以内に生分解する前記物品の量が、前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料の量よりも多いこと、のうちの少なくとも1つである、方法。
【請求項15】
前記プラスチック物品を形成することが、プラスチックフィルムをフィルム吹込み成形装置で吹込み成形することを含み、前記フィルムが、前記ポリマー材料と前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料との前記ブレンドから吹込み成形され、
(A)前記フィルム吹込み成形装置が、プラスチックフィルムを吹込み成形するとき、少なくとも2.0の高いブローアップ比で作動し、前記高いブローアップ比が、前記吹込み成形されたプラスチックフィルムに増加したダーツ衝撃強度を与え、および/または
(B)前記フィルム吹込み成形装置のダイギャップが、500マイクロメートル以下の狭いダイギャップであるように選択され、前記狭いダイギャップが、吹込み成形されたプラスチックフィルムに増加したダーツ衝撃強度を与える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記他のポリマー材料が、ポリプロピレンを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項17】
前記他のポリマー材料が、ポリスチレンを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項18】
前記他のポリマー材料が、PBATを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項19】
物品であって、
ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、またはタピオカデンプンのうちの1つ以上を含む1つ以上のデンプンおよびグリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、多価アルコール可塑剤、糖アルコールの無水物、脂肪酸、フタル酸エステル、コハク酸ジメチルもしくはジエチル、グリセロールトリアセテート、グリセロールモノまたはジアセテート、グリセロールモノ、ジまたはトリプロピオネート、乳酸エステル、クエン酸エステル、アジピン酸エステル、ステアリン酸エステル、またはオレイン酸エステルのうちの1つ以上を含む可塑剤から形成される、実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料であって、20%以下の結晶化度を有し、結晶構造には戻らず、水分含有量が2重量%以下である前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料と、
前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料とブレンドされた他のポリマー材料であって、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ABS、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)、またはポリカーボネートのうちの1つ以上を含む前記他のポリマー材料と、を含み、
前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料および前記他のポリマー材料は一緒にブレンドされて前記物品を形成するとき海島構造を示さず、
前記物品の破断点引張伸び値が、前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料を用いずに前記他のポリマー材料のみから作られた場合に物品が有するであろう値よりも大きく、かつ、前記物品のダーツ衝撃強度が、前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料を含まずに、前記他のポリマー材料のみから製造された場合に前記物品が有するであろうダーツ衝撃強度よりも少なくとも5%大きい、物品。
【請求項20】
物品であって、
ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、またはタピオカデンプンのうちの1つ以上を含む1つ以上のデンプンおよびグリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、多価アルコール可塑剤、糖アルコールの無水物、脂肪酸、フタル酸エステル、コハク酸ジメチルもしくはジエチル、グリセロールトリアセテート、グリセロールモノまたはジアセテート、グリセロールモノ、ジまたはトリプロピオネート、乳酸エステル、クエン酸エステル、アジピン酸エステル、ステアリン酸エステル、またはオレイン酸エステルのうちの1つ以上を含む可塑剤から形成される、実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料であって、20%以下の結晶化度を有し、結晶構造には戻らず、水分含有量が2重量%以下である前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料と、
前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料とブレンドされた他のポリマー材料であって、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ABS、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)、またはポリカーボネートのうちの1つ以上を含む前記他のポリマー材料と、を含み、
前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料および前記他のポリマー材料は一緒にブレンドされて前記物品を形成するとき海島構造を示さず、
ASTM D-5511またはASTM D-5338下で5年以内に生分解する前記物品の量が、前記実質的に非晶質のデンプン系ポリマー材料の量よりも多い、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年4月7日に出願された米国特許出願第15/481,806号(21132.1)、2017年4月7日に出願された米国特許出願第15/481,823号(21132.2)、2017年8月30日に出願された米国特許出願第15/691,588号(21132.7)、2017年12月8日に出願された米国特許出願第15/836,555号(21132.4.1)、2017年12月27日に出願された米国特許出願第62/610,615号(21132.9)、2017年12月27日に出願された米国特許出願第62/610,618号(21132.12)、2016年12月29日に出願された米国出願第62/440,399号(21132.10)、および2017年1月4日に出願された米国出願第62/442,432号(21132.11)、ならびに2017年4月7日に出願された米国特許出願第62/483,219号(21132.4)の利益を主張する。前述のそれぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。また、2015年9月14日に出願された米国特許出願第14/853,725号(21132.6)、2015年9月14日に出願された米国特許出願第14/853,780号(21132.8)、および2015年6月30日に出願された米国仮特許出願第62/187,231号のそれぞれの全内容も、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
伝統的な石油化学系のプラスチックは、強く、軽量で、かつ耐久性があるように配合されている。しかしながら、これらのプラスチックは典型的には生分解性ではなく、その結果として、何億トンものプラスチックが埋立地または海の浮遊物の中に存在する。プラスチック廃棄物の量を減らすことを試みる際に、石油化学系プラスチックを用いて典型的に製造されるいくつかの物品は、生分解性材料を用いて製造されている。
【0003】
大量のポリエチレンおよびポリプロピレンなどの石油化学系のプラスチック材料、ならびに多数の他のプラスチック(ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリスチレン、ABS、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ナイロンなど)は、典型的には容易に生分解性ではない。石油化学原料ではなく、再生可能または持続可能な供給源から供給されることがある、そのような材料のいわゆる「グリーン」なプラスチックの場合でさえも、通常そうである。
【0004】
ごく最近では、UVおよび/またはOXO添加剤(例えば、Willow Ridge PlasticsからのPDQ-M、PDQ-H、BDA、およびOxoTerra(商標)、LifeLineからのOX1014など)、もしくは有機添加剤(EnsoによるRestore(登録商標)、Bio-Tec EnvironmentalによるEcoPure(登録商標)、ECM BiofilmsによるECM Masterbatch Pellets1M、またはBioSphere(登録商標))の添加によってそのようなプラスチック材料をますます分解性にする試みがあるが、このような添加剤の使用は、一般にプラスチック業界団体(例えば、SPC、APR、FPA、および/またはBPI)が難色を示しており、なぜなら、生分解性の程度および生分解速度が、あまりに遅いことが多く、OXO添加剤は、通常、単純な構造の断片化または分解を開始し、このことが、プラスチックから二酸化炭素(CO)、水(HO)、およびメタン(CH)などの天然材料への所望の実際の変換ではなく、このようなプラスチック材料の物理的劣化を加速して基礎となるベースプラスチックの小さい断片にするからである。
【0005】
例えば、このような材料は、(太陽光線からの)紫外線への暴露および/または酸素への暴露によるプラスチック物品自体のマクロ構造の崩壊を促進するように単に作用する。このような特殊プラスチックは、与えられた時間枠(例えば、5年、3年、または1年)内にかなりの程度まで実際には生分解しない場合があるが、単に強度を失い、ひび割れ、かつ細かく砕け得る。その結果、UVまたは/またはOXO添加剤の添加によりボトル、フィルム、または他の物品が時間とともに物理的に劣化するが、他のベースプラスチック材料は実質的に同じままであり、実際の生分解は実際には生じないので、ポリエチレンまたは他のベースプラスチック材料の堆積または小片が生じる。物品が脆くなり、ひび割れ、かつ細かく砕かれ、ポリエチレンまたは他のベースプラスチック材料の多くの小さな破片が残るので、劣化は単に物理的なものである。このようなプラスチック材料への「生分解性」という用語の適用は、ポリマー材料自体の完全な生分解が実際には生じない可能性があるので(例えば、プラスチックのかなりの割合がCO、CH、HOなどに分解される場合)、誤称である。
【0006】
加えて、今日使用されているほとんどのプラスチックは、再生可能または持続可能な資源(例えば、約100年以内に再生され得る出発原料)から形成されていない。再生可能および持続可能という用語は、本明細書では互換的に使用される。むしろ、ボトル、バッグ、および他の包装に大量に使用されるポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、および他の典型的なプラスチックは、再生可能または持続可能ではない石油製品出発原料から製造される。
【0007】
持続可能性を高めるための努力において、最近、サトウキビ、トウモロコシ、または他の植物性産物などの再生可能な資源からこのようなプラスチック材料を製造するためのプロセスを開発するためのいくつかの努力がある。例えば、このような再生可能材料は、さらに反応させて重合することができるモノマーを製造することができるエタノール、エチレングリコール、または他の化学的構成要素材料を製造するために使用することができる。このような努力は、そのような「グリーン」なプラスチック樹脂を従来の石油化学系樹脂とブレンドすることができる(例えば、材料の一部(例えば、30%)が持続可能である、ボトルまたは他の包装を製造するために)。事実、現在では、一部の製品は、100%の「グリーン」なプラスチック樹脂で製造され得る。
【0008】
このような「グリーン」な材料と従来の石油化学プラスチックとのブレンドが利用可能になり始めてはいるが、加工、コスト、および他の考慮事項における課題に関して、残りの従来の石油化学プラスチック材料を全ての持続可能な材料と置き換えることには実際上困難がある。
【0009】
加えて、材料に一部を持続可能なプラスチック材料で置き換えることによって従来の非持続可能なプラスチック材料の使用を削減しながらも、得られるプラスチック包装は未だ生分解性ではない。例えば、100%の「グリーン」なプラスチックから製造されるか、または「グリーン」なPEまたはグリーンな「PET」の一部を含むプラスチックパッケージでさえも生分解性ではない。このような生分解性の欠如は、絶大な継続する問題を提起している。生分解性である物品を提供することができれば、それは当該技術分野における著しい進歩であろう。強度を増すこともまた望ましいであろう。このような物品が完全に(またはほぼ完全に)持続可能な材料から形成されているならば、それはさらなる進歩であろう。
【0010】
さらに、最近では、このような再生不可能な石油化学系プラスチック材料の使用を減らすための努力がなされてきた。このような努力の中には、サトウキビまたは他の植物性産物などの再生可能資源からプラスチック材料を製造するための樹脂を調達することを試みたものがある。ある程度入手可能であるが、このような再生可能な資源から調達されたプラスチックは、それらの石油化学に基づく再生不可能な対応物よりも製造するのにはるかに高価である。
【0011】
加えて、プラスチック材料は、プラスチックフィルムまたは他の材料を形成するのに使用される特定の材料(複数可)、およびフィルムまたは他の物品自体の物理的特性に応じて、それに関連する特定の強度特性を有する。例えば、プラスチックフィルムを形成する場合、より薄いフィルムを形成することによって再生不可能な石油化学系プラスチック樹脂材料の使用を減らすことができるが、材料使用のこのような減少は、より弱いフィルムをもたらす。
【0012】
例として、LeufgensのWO2014/0190395号(特許文献1)は、ポリエチレンと熱可塑性デンプンとのブレンドからのフィルムの形成(特にCardia BL-F)を記載しているが、ポリエチレン単独から形成される匹敵するフィルムより弱く、従来の熱可塑性デンプンを含むブレンドの加工が困難なため、その中で製造されるフィルムは非常に厚い(例えば、3ミル)ものである必要がある。このような非常に厚いフィルムは、実際には薄いフィルム形成が不可能であるため、および/またはこのような熱可塑性デンプンの含有がフィルム全体を弱めて、その結果、厚いフィルムが所望のレベルの強度を維持するために必要であるため、石油化学系プラスチック樹脂材料の使用における実際の減少をもたらさない。
【0013】
例えば、再生可能な資源から調達されるプラスチック材料を使用する場合、製造中に使用される製造パラメータを調整することによって、任意の所与のフィルム厚さについて強度を増加させることができるフィルムおよび関連する製造方法を提供することは有利であろう。このような方法は、強度が増した所与の厚さでフィルムを製造すること、またはより薄い厚さであるが同じ強度でフィルムを製造することを可能にする。このような方法は同時に、その一部が再生可能な資源から調達されたプラスチック材料で置換され、全体の厚さを増加させる必要がないので、使用される石油化学プラスチック材料の量の実際の減少をもたらす。
【0014】
さらに、石油化学材料の一部をデンプンまたはデンプン系材料で置き換えることは、持続可能性の増加に関していくらかの見込みがあることを示しているが、このようなデンプンまたはデンプン系材料の添加に関する1つの問題は、プラスチック組成物中のかなりの割合のデンプンまたはデンプン系材料の包含が、このようなブレンドから形成された物品中にこのようなものが含まれることに関連する顕著な臭いを生じ得ることである。例えば、この材料は、わずかに焦げたデンプン臭、ポップコーンのような臭い、またはキャラメルコーンの種類の臭いを帯びていることがある。ある人は臭いが心地よい、またはさらに望ましいと感じることがあるが、他の人はデンプンまたはデンプン系材料なしに形成された(例えば、ポリエチレンまたは別のポリマー樹脂単独で形成された)プラスチックの場合のように、このような臭いが存在しないことを好むであろう。
【0015】
上記を踏まえると、当技術分野において対処されるべき多くの問題が残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】国際公開第2014/0190395号
【発明の概要】
【0017】
本開示は、物品製造および/または製造方法において実施することができる様々な概念を目的とする。一実施形態では、本開示は、増加した強度および/または生分解性を示す物品に目的とする。場合によっては、物品は、1つ以上のポリマー材料(例えば、合成、例えば石油化学系、ないしは別の方法で)と、1つ以上の、低い結晶化度(すなわち、これらは実質的に非晶質である)、ガラス転移温度、熱変形温度、ビカット軟化温度などを有する炭水化物系ポリマー材料との混合物から製造され得る。特定の例では、1つ以上の炭水化物系ポリマー材料は、1つ以上のデンプン系ポリマー材料を含み得る。例として、炭水化物系ポリマー材料は、20%以下の結晶化度を有して、実質的に非晶質であり得、これは、少なくとも1.0GPaのヤング率を有し得、および/またはこれは、70℃~100℃のガラス転移または熱変形温度もしくはビカット軟化温度を有し得る。炭水化物系材料の他の特徴は、本明細書でさらに説明される。
【0018】
物品を製造するプロセスは、1つ以上のポリマー材料および1つ以上の実質的に非晶質の炭水化物系ポリマー材料を提供することを含み得る。1つ以上のポリマー材料および1つ以上の炭水化物系ポリマー材料は、混合および加熱することができる。得られた混合物は、射出成形機、吹込み成形機、熱成形機などのようなプラスチック加工装置を用いて多数のプラスチック製品に押出することができる。ガスを押出し混合物に注入してフィルムを形成することができる。このようなフィルムは、バッグまたは他の種類の物品に加工することができる。他の物品は、押出プラスチック製品、射出成形プラスチック製品、吹込み成形プラスチック製品、押出もしくは鋳造シートまたはフィルム、熱成形プラスチック製品などであり得る。
【0019】
物品は、増加した強度および/または生分解性を示し得る。例えば、一実施形態では、実質的に非晶質の炭水化物系ポリマー材料を他のポリマー材料と混合することは、他のポリマー材料がそれ自体が単独で別の方法で生分解性ではない場合でも、他のポリマー材料に生分解性を付与する。例えば、ポリエチレンは、それ自体では生分解性ではないことで有名である。出願人は、ポリエチレンなどのプラスチック材料に生分解性を付与する能力を実証したが、これらの材料は別の方法では生分解性ではない。このようなものの他の例としては、ポリプロピレン、他のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリスチレン、ABS、ポリ塩化ビニル、ナイロン、およびポリカーボネートが挙げられるが、これらに限定されない。例として、模擬処分条件下(例えば模擬埋立地条件下)で5年以内または別の所与の期間内に生分解する物品の量は、物品に含まれる炭水化物系ポリマー材料の量より多くてもよい。このような模擬処分条件として、模擬埋立地条件(例えば、限定されるものではないが、D-5511および/またはD-5526などの任意の典型的なASTM規格の下)、模擬産業用堆肥条件(ASTM D-5338など)、または模擬海洋条件(ASTM D-6691など)を挙げることができる。言い換えれば、別の方法では生分解性でないポリマー材料のいくつかは、今や何らかの形で生分解性であり、ならびに炭水化物系材料の生分解性でもある。例えば、物品が25%の炭水化物系ポリマー材料を含むブレンドから形成される場合、このような条件下で生分解する物品の量は25%を超える(すなわち、他のポリマー材料の一部もまた分解しており、たとえこのような他のポリマー材料がそれ自体で同様の条件下で劣化し得ない場合もそうである)。
【0020】
出願人によって得られた第三者試験の結果は、このような劣化が比較的急速に、例えば、5年以内とは対照的に、約180日以内(6ヶ月以内)、約1年以内、約2年以内、または約3年以内に起こり得ることを示している。
【0021】
生分解性に加えてまたはその代わりに、物品および方法は、物品が、炭水化物系ポリマー材料を含まずに他のポリマー材料のみから製造された場合に物品が有するであろう強度と比較して、増加した強度(例えば、ダーツ強度または他の強度特性の少なくとも5%の増加)をもたらし得る。
【0022】
本開示の別の態様は、再生可能または持続可能な「グリーン」なプラスチック材料および炭水化物系(例えば、デンプン系)のポリマー材料で形成された物品を目的とする。例えば、一実施形態では、他のポリマー材料はまた、持続可能な供給源(例えば、サトウキビ、トウモロコシなどの植物)から供給される持続可能な「グリーン」なポリマー材料であり得る。一実施形態では、持続可能なポリマー材料は、他の点では石油化学系ポリマーと同一ではないが類似の特性を示すポリマー(例えば、「グリーン」なポリエチレン、「グリーン」なポリプロピレン、「グリーン」なポリエチレンテレフタレート(PET)など)に加工することができる。このような「グリーン」なポリマーは、石油化学原料から形成された同じポリマー(例えば、ポリエチレン)と比較して、同一ではないにしても類似の化学的および物理的特性を有し得る。炭水化物ベースのポリマー材料は、それがブレンドされるか、ないしは別の方法で形成される持続可能なポリマー材料に実際に生分解性特性を与えることができ、このような持続可能なポリマー材料は、そうでなければ、このような生分解性の特性を示すことができない(またはこのような特性は、持続可能なポリマー材料が、既にいくらかの生分解性を示す場合に増強され得る)。
【0023】
生分解性に加えてまたはその代わりに、このような物品は、他の点では類似した物品と比較して増加した強度を示し得るが、炭水化物系ポリマー材料の包含の範囲内で形成される。例えば、一実施形態は、1つ以上の炭水化物系ポリマー材料(例えば上記のものなど)と、持続可能な植物源から供給される1つ以上の持続可能なポリマー材料とを含む物品に関し、物品の強度は、炭水化物系ポリマー材料を含まずに製造された場合に物品が有するであろう強度より少なくとも5%大きい。例えば、出願人は、このような炭水化物系ポリマー材料を物品に(例えば、2つのポリマー材料のブレンドとして)含ませることによって、持続可能なポリマー材料単独で提供されるものと比べて強度を高めることができることを見出した。
【0024】
本開示の別の態様は、炭水化物系ポリマー材料と別のポリマー材料とのこのようなブレンドから製造されるフィルムの強度を高めるためにフィルム製造中に使用されるブローアップ比および/またはダイギャップを操作する方法に関する。特に、出願人は、様々な樹脂材料(例えば、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンなど)から吹込み成形されたほとんどのプラスチックフィルムの強度はブローアップ比の変化によって影響を受けないが、本明細書に記載の特定の非晶質特性、特定のガラス転移温度特性、ビカット軟化温度特性、または熱変形温度特性、および/または特定の弾性率特性を有する、再生可能な炭水化物系(例えば、デンプン系)ポリマー材料が、それからフィルムが吹込み成形される樹脂ブレンド中に含まれると、その強度がブローアップ比および/またはダイギャップに依存するようになり、かつ極めて狭いゲージのフィルムを吹込み成形することが可能であることを発見した。出願人は、実際には0.1ミルほどの薄さで、かなりの強度を有するフィルムを吹込み成形したが、このようなフィルム吹込み成形は、これまで既知の樹脂または製造方法では可能であったとは考えられない。
【0025】
ブローアップ比は、吹込みフィルムの最大直径をフィルム吹込み成形装置のダイの直径で割ったものを指す。典型的には、溶融樹脂材料がダイから出て、樹脂材料がもはや溶融していないが凝固した吹込みフィルムのバブルの部分に向かって「フロストライン」を通って上方に移動し始めるにつれて直径がいくらか増加する。凝固および結晶化は、典型的にはフロストラインで起こり、フロストラインは、吹込みバブルフィルムにおいて不透明度または「フロスティ外観」が見え始める場所である。出願人は本明細書に記載されているこのような特定の再生可能な炭水化物系ポリマー材料を使用すると、他の点では類似のプラスチックフィルムを吹込み成形するとき(ただし、炭水化物系ポリマー材料なし)で達成される強度を超えて強度の増加が得られることを観察した。このような増加は、高いブローアップ比および/または狭いダイギャップを選択することによって達成される。このようなことは、炭水化物系ポリマー材料の分子構造の整列、配向および/または延伸をもたらすと考えられ、これはそれからフィルムが形成される樹脂ブレンド全体に均一に分布している。フィルム内の非晶質再生可能炭水化物系ポリマー材料のこのような整列および配向は、観察される強度の増加に少なくとも部分的に関与すると考えられる。
【0026】
言い換えれば、本明細書に記載されているように、特定の再生可能な炭水化物系ポリマー材料を特定の記載された加工条件と共に使用して、所与のフィルムの強度を向上させることができ、フィルムの他のポリマー含有量の一部を、再生可能な炭水化物系ポリマー材料と置き換えることに関連する持続可能性の効果は言うまでもない。
【0027】
特に、典型的な既存のフィルムは、約1.5の膨張比で吹込み成形されている。出願人は、NuPlastiQまたはEco Starch Resin「ESR」などの再生可能な炭水化物系ポリマー材料(出願人から入手可能)が、それからフィルムが形成される樹脂ブレンド中に含まれる場合、ブローアップ比を少なくとも2.0、例えば2.2~2.8(例えば、約2.5)に増加させることによって、より高いブローアップ比ではフィルム強度が著しく増加することを発見した。例えば、NuPlastiQまたはESRと典型的なポリマー樹脂(例えば、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレン)とのブレンドは、1.5のブローアップ比で、他の点では同一であるが、NuPlastiQまたはESRを含まないフィルムの強度と実質的に同じである強度特性を示すことができる。
【0028】
このようなフィルム(NuPlastiQまたはESRなし)は、ブローアップ比が増加したときに強度のいかなる有意な増加も示さないので、このようなフィルムを吹込み成形するときにこの値を操作する理由はない。出願人は、樹脂ブレンド中にNuPlastiQまたはESRを含む場合、上記のように、高いブローアップ比(例えば、少なくとも2.0)を使用すると、強度が著しく増加することを発見した。
【0029】
さらに、NuPlastiQまたはESRは、比較的薄いフィルム(例えば、2ミル以下、典型的には1.5ミル以下、例えば0.1ミル~1.5ミル)の形成に使用されるそれらの能力を阻害する代替の熱可塑性デンプン材料の多くの問題を被らない。このような発見の組み合わせは、同じ材料で形成されているが、NuPlastiQまたはESRを含まない(または相溶化剤を含まない-すなわち他のポリマー材料、例えばポリエチレンのみから形成されている)フィルムと比較して、増加した強度を示す、所与の厚さのフィルムを形成することを出願人は可能にした。このような発見はまた、ブレンド中にNuPlastiQまたはESRを使用するとき、同じ強度であるが減少した厚さを有するフィルムの製造を可能にする。このような結果は驚くべきかつ有利であり、かなりの割合の再生可能樹脂を含むフィルムの製造を可能にし、同時に強度を増大させる。このようなことは、ブローアップ比および/またはダイギャップを操作することによって達成される。出願人はまた、フィルム吹込み成形装置に使用されるダイギャップが比較的狭いことを確実にすることによって、強度を増加させることも可能であることを発見した。やはり、Leufgens(使用されたダイギャップが1.6~1.8mmであった)によって証明されるように、狭いダイギャップは実際問題として多くの従来の熱可塑性デンプンブレンドでは可能ではない。本発明は、1000マイクロメートル以下、より典型的には500マイクロメートル以下のダイギャップを使用することができる。したがって、ブローアップ比および/またはダイギャップを本方法に従って使用して、フィルム強度を高めることができる。
【0030】
例として、一実施形態は、吹込みプラスチックフィルムに増加した強度を提供するための方法に関し、本方法は、フィルム吹込み成形装置を使用してプラスチックフィルムを吹込み成形することを含み、フィルムは、第1のポリマー材料(例えば、ポリエチレン、別のポリオレフィン、または他の従来のポリマー材料)と、再生可能な炭水化物系ポリマー材料戸を含むブレンドから吹込み成形される。再生可能な炭水化物系ポリマー材料は、20%以下の結晶化度を有して、実質的に非晶質であり得、これは、少なくとも1.0GPaのヤング率を有し得、および/またはこれは、70℃~100℃のガラス転移温度、ビカット軟化温度、もしくは熱変形温度を有し得る。フィルム吹込み成形装置は、高いブローアップ比および/または狭いダイギャップ、例えばプラスチックフィルムを吹込み成形するときの少なくとも2.0のブローアップ比で操作することができ、またはダイギャップは500マイクロメートル以下であり得る。高いブローアップ比および/または狭いダイギャップは、(例えば、他の全てと同じであるが、より低いブローアップ比および/またはより大きいダイギャップのものと比較して)増加した強度を有する吹込みプラスチックフィルムを提供し得る。
【0031】
別の実施形態は、ブローアップを操作することによって、吹込みプラスチックフィルムの強度を増加させる方法に関し、本方法は、フィルム吹込み成形装置を使用してプラスチックフィルムを吹込み成形することを含み、フィルムは、第1のポリマー材料と、再生可能な炭水化物系ポリマー材料を含む第2のポリマー材料とを含むブレンドから吹込み成形される。再生可能な炭水化物系ポリマー材料は、20%以下の結晶化度を有して、実質的に非晶質であり得、少なくとも1GPaのヤング率を有し得、および/またはこれは、70℃~100℃のガラス転移温度、ビカット軟化温度、もしくは熱変形温度を有し得る。方法は、フィルムの強度を増加させるために(例えば、他の全てと同じであるが、より低いブローアップ比を有するものと比べて)、少なくとも2.0の高いブローアップ比を選択するようにフィルムブロー装置のブローアップ比を操作することをさらに含み得る。ブローアップ比を操作することに加えて、またはその代わりに、方法は、500マイクロメートル以下の狭いダイギャップを選択するようにフィルム吹込み成形装置のダイギャップを操作する(すなわち、具体的に選択する)ことを含み得、これにより、狭いダイギャップおよび/または高いブローアップ比は、フィルムの強度を増加させる(例えば、他の全てが同じであるが、より高いダイギャップおよび/またはより低いブローアップ比であるものと比較して)。
【0032】
本開示の別の態様は、デンプン系ポリマー材料、または他の炭水化物系ポリマー材料を含むことに起因する特徴的な臭気を低減する方法、ならびにそのような臭気が低減された物品を目的とする。本明細書に記載の炭水化物系ポリマー材料、ならびに他の類似の炭水化物系ポリマー材料は、特徴的なわずかに焦げたデンプン、ポップコーン、またはキャラメルコーンの種類の臭気を示す。通常は圧倒的ではないが、炭水化物系ポリマー材料を含む材料のブレンドから形成されるいくつかの物品では、特に完成品の幾何学形状が比較的「閉じた」物であり得る場合(例えば、カップ内など)で、あるいは、容積が2つ、3つ、またはそれ以上の側でプラスチック材料によって囲まれている他の密閉構造で通常、顕著である。このような特有の臭気は、消費者または他の用途に気付かれるように(例えば、ユーザがこのようなカップに鼻をつけて、および匂いを嗅ぐ場合)、このような密閉容積内に蓄積する傾向があり得る。
【0033】
出願人は、このような特徴的な臭気を除去または最小化することを望むために、物品が代わりに標準の(例えば、石油化学系の)ポリマー材料から形成された場合に存在する臭気と類似または同一となるようにする。例えば、本発明による物品は、上記および本明細書の他の箇所に記載されているように、このような標準的な「他のポリマー材料」と炭水化物系ポリマー材料とのブレンドから形成することができる。出願人は、非常に少量の臭気低減剤、特に有機臭気低減剤を添加することによって、特徴的な臭気を実質的に除去または最小化することができることを発見した。
【0034】
例えばWO2009/058426号に記載されているように、蒸留粕乾燥穀物(DDG)材料から生じる臭気を低減するために他の者によって以前にいくつかの試みがなされた可能性があるが、このような処理は、比較的高い割合の活性化された炭素または蒸気活性化された無煙炭材料の添加を必要とした。おそらくある程度効果的であるが、必要とされるこのような材料の濃度は高く、このような材料のコストは法外なものであり、そのためこのような実施形態の商業的応用は特に実現可能ではない。さらに、特定の条件下で顔料として作用してプラスチック材料を着色する傾向があるため、濃色の活性炭または活性無煙炭材料を高割合で添加することは望ましくない可能性がある。高透明フィルム、淡色の物品、または他の類似の物品が望まれる場合、これは特に問題となり得る。
【0035】
したがって、本発明の一実施形態は、炭水化物系ポリマー材料、上記のような他のポリマー材料を含むが、臭気低減剤も含む、持続可能なプラスチック材料に目的とする。臭気低減剤が存在しない場合、炭水化物系ポリマー材料は、持続可能なプラスチック材料に特徴的な焦げた炭水化物臭を与えるであろう。一実施形態では、臭気低減剤は、有機物であってもよく、ベンズアルデヒド化合物、ベンジルケトン化合物、または他のベンゼン誘導体などの芳香族化合物(例えば、ベンゼン環を含む)を含む。一実施形態では、有機臭気低減剤は、バニリンなどの果物または野菜からの凍結乾燥物または他の抽出物を含むことができる。有機臭気低減剤は、実際にはこのような果物、野菜、または他の植物から抽出することができ、あるいはこのような抽出物中に典型的に見出されるが合成的に製造された芳香族化合物(例えば、合成バニリンまたは別の合成芳香族化合物が好適であり得る)を含み得る。バニリンは、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒドとしても知られる芳香族ベンズアルデヒド化合物である。
【0036】
出願人は、驚くべきことに、このような芳香性臭気低減剤のごくわずかな割合が、そうでなければ持続可能なプラスチック材料を構成するブレンド中に含まれる炭水化物系ポリマー材料に起因する特徴的な臭気を、実質的に除去するのに十分であることを見出した。例えば、臭気を実質的に除去するための炭水化物系ポリマー材料に対する臭気低減剤の重量比は、1:1000以下のオーダーの臭気低減剤である。例えば、100ppm、50ppm、またはさらには20ppm以下のように少ない量でも、特有の臭気の全ての実用的な兆候を除去するのに十分である。
【0037】
臭気を除去するのに必要な臭気低減剤がほんの少しだけであることを考えると、これは特に驚くべきことである。ほんの少ししか必要とされず、かつ臭気が典型的には臭気低減剤によって、提供されるいかなる臭気によっても置換または遮蔽されるようには思われないので、作用のメカニズムは特徴的な炭水化物の臭気の単純な遮蔽ではあり得ないと考えられる。このようなメカニズムはおそらく完全には理解されていないが、このような芳香族または他の有機臭気低減剤と、その溶融および熱可塑性ブレンドの所望の物品への成形中に炭水化物系ポリマー材料を加熱すると発生する特有の臭気化合物との間の化学的相互作用があり得る。
【0038】
臭気低減剤を、炭水化物系ポリマー材料と共に、例えばそのマスターバッチ内で含めることができる。したがって、一実施形態は、炭水化物系ポリマー材料と予めブレンドされた有機臭気低減剤を含む、このような臭気の少ない持続可能な熱可塑性炭水化物系ポリマー材料を目的とすることができる。有機臭気低減剤の炭水化物系ポリマー材料に対する重量比は、1:1000以下(すなわち、臭気低減剤の量と比較して少なくとも1000倍多い炭水化物系ポリマー材料)であり得る。一実施形態では、炭水化物系ポリマー材料に対する臭気低減剤の比は、はるかに希薄、例えば1:50,000などであり得る。
【0039】
本開示は、関連する方法、例えば、炭水化物系ポリマー材料を含む材料ブレンドの特徴的な臭気を、例えば少量の有機臭気低減剤をブレンド内に含めることによって低減する方法も含むことが明らかであろう。炭水化物系ポリマー材料がマスターバッチとして提供される場合、臭気低減剤は既に炭水化物系ポリマー材料とブレンドされたマスターバッチ内に提供されてもよい。このように、マスターバッチがポリマー樹脂材料(例えば、PE、PP、他のポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、PBAT、ポリカーボネート、または他のものなどの多数の様々なプラスチック樹脂のいずれか)と次いでブレンドされるとき、ブレンドされた材料はまた、この時には、その中にブレンドされている臭気低減剤を含む。
【0040】
(請求され得る例示的概念の要約)
1.物品であって、20%未満、10%未満の結晶化度、特定のガラス転移温度、熱変形温度、ビカット軟化温度、特定のヤング率および/またはNuPlastiQまたはESRの他の物理的特性を有する1つ以上の実質的に非晶質の炭水化物系ポリマー材料(例えばデンプン系ポリマー材料)と、1つ以上のポリオレフィン系ポリマー材料を含み、物品が、厚さ1ミル当たり少なくとも約140gのダーツ落下衝撃試験値を有する、物品。
【0041】
2.1つ以上のデンプン系ポリマー材料が、1つ以上のデンプンおよび1つ以上の可塑剤から形成される、請求項1に記載の物品。
3.デンプンが、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、またはタピオカデンプンのうちの1つ以上を含み、可塑剤が、グリセリンを含む、請求項2に記載の物品。
【0042】
4.1つ以上のポリオレフィン系ポリマー材料が、ポリエチレンを含む、請求項1に記載の物品。
5.物品が、約0.01mm~約0.1mmの厚さを有するバッグであり、バッグが、約1L~約100Lの容積を有する空洞を含む、請求項1に記載の物品。
【0043】
6.1つ以上のデンプン系ポリマー材料が、物品の約20重量%~約40重量%を構成し、1つ以上のポリオレフィン系ポリマー材料が、物品の約60重量%~80重量%を構成し、物品が、約0.02mm~約0.05mmの厚さを有し、物品が、厚さ1ミル当たり約265g~約330gのダーツ落下衝撃試験値を有する、請求項1に記載の物品。
【0044】
7.物品の8重量%以下の量で存在する相溶化剤をさらに含む、請求項1に記載の物品。
8.物品であって、第1の量の第1のデンプンと第2の量の第2のデンプンとの混合物から形成される、20%未満、10%未満の結晶化度、特定のガラス転移温度、熱変形温度、ビカット軟化温度、特定のヤング率および/またはNuPlastiQまたはESRの他の物理的特性を有する1つ以上の実質的に非晶質の炭水化物系ポリマー材料(例えばデンプン系ポリマー材料)と、ポリオレフィン系ポリマー材料とを含み、物品が、(i)ポリオレフィン系ポリマー材料と、第1のデンプンからなる単一のデンプンから形成された第1のデンプン系ポリマー材料とを含む第1の物品の第1のダーツ落下衝撃試験値と、(ii)ポリオレフィン系ポリマー材料と、第2のデンプンからなる単一のデンプンから形成された第2のデンプン系ポリマー材料とを含む第2の物品の第2のダーツ落下衝撃試験値とよりも大きいダーツ落下衝撃試験値を有する、物品。
【0045】
9.デンプン系ポリマー材料が、1つ以上の可塑剤から形成される、請求項8に記載の物品。
10.第1のデンプンが、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、またはタピオカデンプンのうちの1つを含むか、またはこれらに由来し、第2のデンプンが、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、またはタピオカデンプンのうちの異なる1つを含むか、またはこれらに由来する、請求項8に記載の物品。
【0046】
11.デンプン系ポリマー材料が、物品の約20重量%~約30重量%の量で存在し、ポリオレフィン系ポリマー材料が、物品の約65重量%~約75重量%量で存在する、請求項8に記載の物品。
【0047】
12.第1のデンプンが、それからデンプン系ポリマー材料がそれから形成されるデンプンの混合物の約10重量%~約50重量%を構成し、第2のデンプンが、デンプン系ポリマー材料がそれから形成されるデンプンの混合物の約50重量%~90重量%を構成する、請求項11に記載の物品。
【0048】
13.デンプン系ポリマー材料がそれから形成されるデンプンの混合物が、第3のデンプンを含み、第3のデンプンが、デンプンベースのポリマー材料がそれから形成されるデンプンの混合物の約10重量%~約35重量%を構成し、物品のダーツ落下衝撃試験値が、ポリオレフィン系ポリマー材料と第3のデンプンからなる単一のデンプンから形成された第3のデンプン系ポリマー材料とを含む第3の物品の第3のダーツ落下衝撃試験値より大きい、請求項12に記載の物品。
【0049】
14.物品が、デンプン系ポリマー材料を含まないポリオレフィン系ポリマー材料から形成された追加の物品の縦方向の破断点引張伸び値よりも大きい、縦方向の破断点引張伸び値を有する、請求項8に記載の物品。
【0050】
15.物品の8重量%以下の量で存在する相溶化剤をさらに含む、請求項9に記載の物品。
16.プロセスであって、1つ以上の石油化学系ポリマー材料を提供することと、20%未満、10%未満の結晶化度、特定のガラス転移温度、ビカット軟化温度または熱変形温度、特定のヤング率および/またはNuPlastiQまたはESRの他の物理的特性を有する1つ以上の実質的に非晶質の炭水化物系ポリマー材料を提供することと、1つ以上の石油化学系ポリマー材料と1つ以上の炭水化物系ポリマー材料とを混合して、材料の混合物を製造することと、材料の混合物を約120℃~約180℃の範囲の温度に加熱することと、材料の混合物を使用してフィルムを製造し、フィルムが、1ミルの厚さ当たり約250g~約350gのダーツ落下衝撃試験値を有する、フィルムを製造することと、を含む、プロセス。
【0051】
17.材料の混合物を用いてフィルムを製造することが、材料の混合物を押出して、押出物体を製造することと、押出物体にガスを注入することと、を含む、請求項16に記載のプロセス。
【0052】
18.1つ以上の炭水化物系ポリマー材料が、第1のデンプンおよび第2のデンプンから形成され、フィルムが、(i)1つ以上の石油化学系ポリマー材料と、第1のデンプンからなる単一のデンプンから形成された第1の炭水化物系ポリマー材料とを含む第1の物品の第1のダーツ落下衝撃試験値と、(ii)1つ以上の石油化学系ポリマー材料と、第2のデンプンからなる単一のデンプンから形成された第2の炭水化物系ポリマー材料とを含む第2の物品の第2のダーツ落下衝撃試験値とよりも大きいダーツ落下衝撃試験値を有する、請求項16に記載のプロセス。
【0053】
19.材料の混合物が1つ以上の相溶化剤をさらに含み、材料の混合物が、約10重量%~約40重量%の1つ以上の炭水化物系ポリマー材料、約60重量%~約89重量%の1つ以上の石油化学系ポリマー材料、および約1重量%~8重量%以下の1つ以上の相溶化剤を含む、請求項16に記載のプロセス。
【0054】
20.物品が、約0.02mm~約0.05mmの厚さを有するフィルムを含む、請求項16に記載のプロセス。
1.物品であって、
ポリマー含有物であって、少なくとも第1のデンプンから形成された、20%未満、10%未満の結晶化度、特定のガラス転移温度、ビカット軟化温度または熱変形温度、特定のヤング率および/またはNuPlastiQまたはESRの他の物理的特性を有する実質的に非晶質の炭水化物系ポリマー材料(例えば、デンプン系ポリマー材料)を含むポリマー含有物と、
別のポリマー材料と、を含み、
91日後に生分解するポリマー含有物の量が、約55重量%の水と約45重量%の有機固形分とを有する接種材料を用いて、約52℃の温度で行われたバイオメタンポテンシャル試験の結果に基づいて、デンプン系ポリマー材料の量より多い、物品。
【0055】
2.約55重量%の水と約45重量%の有機固形分とを有する接種材料を用いて、約52℃の温度で行われたバイオメタンポテンシャル試験に従って測定するとき、デンプン系ポリマー材料の実質的に全てが91日後に生分解する、請求項1に記載の物品。
【0056】
3.物品が、約0.5重量%~約2.5重量%の量で存在する生分解促進添加剤をさらに含む、請求項1に記載の物品。
4.物品が、生分解促進添加剤を実質的に含まない、請求項1に記載の物品。
【0057】
5.物品が、約55重量%の水と、約45重量%の有機固形分とを有する接種材料を用いて、約52℃の温度で行われたバイオメタンポテンシャル試験の結果に基づいて、デンプン系ポリマー材料の量より約5%~約60%多い、91日後の物品の生分解の量を有する、請求項4に記載の物品。
【0058】
6.デンプン系ポリマー材料が、1つ以上の可塑剤を含む材料から形成される、請求項1に記載の物品。
7.デンプン系ポリマー材料が、第1のデンプンと、第2のデンプンとから形成され、第1のデンプンが、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、またはタピオカデンプンのうちの1つを含むか、またはこれらに由来し、第2のデンプンが、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、またはタピオカデンプンのうちの異なる1つを含むか、またはこれらに由来する、請求項1に記載の物品。
【0059】
8.第1のデンプンの第1の量が、デンプン系ポリマー材料がそれから形成されるデンプンの混合物の約10重量%~約50重量%を構成し、第2のデンプンの第2の量が、デンプン系ポリマー材料がそれから形成されるデンプンの混合物の約50重量%~90重量%を構成する、請求項7に記載の物品。
【0060】
9.物品の最大8重量%の量で存在する相溶化剤をさらに含む、請求項1に記載の物品。
10.物品であって、
ポリマー含有物であって、1つ以上の炭水化物から形成された、20%未満、10%未満の結晶化度、特定のガラス転移温度、ビカット軟化温度または熱変形温度、特定のヤング率および/またはNuPlastiQまたはESRの他の物理的特性を有する1つ以上の実質的に非晶質の炭水化物系ポリマー材料(例えば、デンプン系ポリマー材料)を含むポリマー含有物と、
1つ以上の石油化学系ポリマー材料と、を含み、
91日後に生分解するポリマー含有物の量が、約50重量%の水~約60重量%の水と約40重量%有機固形分~約50重量%の有機固形分とを有する接種材料を用いて、約40℃~約50℃の温度行われたバイオメタンポテンシャル試験の結果に基づいて、1つ以上の炭水化物系ポリマー材料の量より多い、物品。
【0061】
11.物品が、約20重量%~約40重量%の1つ以上の炭水化物系ポリマー材料と、約65重量%~約85重量%の1つ以上の石油化学系ポリマー材料とを含む、請求項10に記載の物品。
【0062】
12.91日後に生分解するポリマー含有物の量が、約55重量%の水と約45重量%の有機固形分とを有する接種材料を用いて、約52℃の温度で行われたバイオメタンポテンシャル試験の結果に基づいて、約30%~約50%である、請求項11に記載の物品。
【0063】
13.62日後に生分解するポリマー内容物の量が、約55重量%の水と約45重量%の有機固形分とを有する接種材料を用いて、約52℃の温度で行われたバイオメタンポテンシャル試験の結果に基づいて、約25%~約35%である、請求項10に記載の物品。
【0064】
14.1つ以上の石油化学系ポリマー材料が、第1の石油化学系ポリマー材料と、第2の石油化学系ポリマー材料とを含み、第2の石油化学系ポリマー材料が、ASTM D-6400規格に従って堆肥化可能である、請求項10に記載の物品。
【0065】
15.プロセスであって、
1つ以上の石油化学系ポリマー材料を提供することと、
1つ以上の炭水化物から形成された、20%未満、10%未満の結晶化度、特定のガラス転移温度、ビカット軟化温度または熱変形温度、特定のヤング率および/またはNuPlastiQまたはESRの他の物理的特性を有する1つ以上の実質的に非晶質の炭水化物系ポリマー材料(例えば、デンプン系ポリマー材料)を提供することと、
1つ以上の石油化学系ポリマー材料と1つ以上の炭水化物系ポリマー材料とを混合して、材料の混合物を生成することと、
材料の混合物を、約120℃~約180℃の範囲内に含まれる温度で加熱することと、
材料の混合物を用いてフィルムを製造することと、を含み
フィルムが、1つ以上の石油化学系ポリマー材料と、1つ以上の炭水化物系ポリマー材料とから構成されるポリマー含有物を含み、
91日後に生分解するポリマー含有物の量が、約55重量%の水と約45重量%の有機固形分とを有する接種材料を用いて、約52℃の温度で行われたバイオメタンポテンシャル試験の結果に基づいて、1つ以上の炭水化物系ポリマー材料の量より多い、プロセス。
【0066】
16.1つ以上の炭水化物系ポリマー材料が、
第1のデンプンおよび第2のデンプンから形成され、
約55重量%の水と約45重量%の有機固形分とを有する接種材料を用いて、約52℃の温度で行われたバイオメタンポテンシャル試験の結果に基づき、炭水化物系ポリマー材料の実質的に全てが91日後に生分解する、請求項15に記載のプロセス。
【0067】
17.材料の混合物が、
最大8重量%の1つ以上の相溶化剤と、
約10重量%~約40重量%の1つ以上の炭水化物系ポリマー材料と、
約60重量%~約90重量%の1つ以上の石油化学系ポリマー材料と、を含む、請求項15に記載のプロセス。
【0068】
18.フィルムからバッグを製造することをさらに含む、請求項15に記載のプロセス。
19.バッグが、約0.02mm~約0.05mmの厚さを有し、バッグが、約5L~約20Lの容積を有する空洞を含む、請求項15に記載のプロセス。
【0069】
20.材料の混合物が、
押出機の複数のチャンバ内で加熱され、
押出機の第1のチャンバが、第1の温度で設定され、
押出機の第2のチャンバが、第1の温度とは異なる第2の温度で設定される、請求項15に記載のプロセス。
【0070】
21.物品であって、
ポリマー含有物であって、少なくとも第1のデンプンから形成された、20%未満、10%未満の結晶化度、特定のガラス転移温度、ビカット軟化温度または熱変形温度、特定のヤング率および/またはNuPlastiQまたはESRの他の物理的特性を有する実質的に非晶質の炭水化物系ポリマー材料(例えば、デンプン系ポリマー材料)を含むポリマー含有物と、
合成ポリマー材料と、を含み、
模擬埋立地条件、模擬堆肥条件、または模擬海洋条件下で約1年後に生分解するポリマー含有物の量が、デンプン系ポリマー材料の量よりも多い、物品。
【0071】
22.合成ポリマー材料の少なくとも25%が、約3年以内に生分解する、請求項21に記載の物品。
23.デンプン系ポリマー材料が、第1のデンプンと、第2のデンプンとから形成され、第1のデンプンが、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、またはタピオカデンプンのうちの1つを含むか、またはこれらに由来し、第2のデンプンが、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、またはタピオカデンプンのうちの異なる1つを含むか、またはこれらに由来する、請求項21に記載の物品。
【0072】
24.第1のデンプンの第1の量が、それからデンプン系ポリマー材料がそれから形成されるデンプンの混合物の約10重量%~約50重量%を構成し、第2のデンプンの第2の量が、デンプン系ポリマー材料がそれから形成されるデンプンの混合物の約50重量%~90重量%を構成する、請求項23に記載の物品。
【0073】
25.相溶化剤をさらに含む、請求項21に記載の物品。
1.物品であって、
物品の他の材料に生分解性をもたらすように構成された、20%未満、10%未満の結晶化度、特定のガラス転移温度、ビカット軟化温度または熱変形温度、特定のヤング率および/またはNuPlastiQまたはESRの他の物理的特性を有する実質的に非晶質の炭水化物系ポリマー材料(例えば、デンプン系ポリマー材料)と、
持続可能な植物源から調達された持続可能なポリマー材料と、を含み、
模擬埋立地条件下で5年以内に生分解する物品の量が、炭水化物系ポリマー材料の量よりも多い、物品。
【0074】
2.炭水化物系ポリマー材料が、デンプン系ポリマー材料を含む、1に記載の物品。
3.持続可能なポリマー材料が、持続可能な植物源から形成されたポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレートのうちの1つ以上を含む、1に記載の物品。
【0075】
4.持続可能なポリマー材料が、サトウキビまたはトウモロコシのうちの1つ以上から形成される、3に記載の物品。
5.デンプン系ポリマー材料が、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、またはタピオカデンプンのうちの1つ以上を含む1つ以上のデンプンから形成される、2に記載の物品。
【0076】
6.デンプン系ポリマー材料が、2つ以上のデンプンから形成され、第1のデンプンが、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、またはタピオカデンプンのうちの1つを含み、第2のデンプンが、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、またはタピオカデンプンの別のものの1つ以上を含む、5に記載の物品。
【0077】
7.第1のデンプンの量が、
第1のデンプンと第2のデンプンの合計重量に対して約50重量%~約90重量%を構成し、第2のデンプンの量が、第1のデンプンと第2のデンプンの合計重量に対して約10重量%~約50重量%を構成し、
炭水化物系ポリマー材料の量が、炭水化物系ポリマー材料と持続可能なポリマー材料との合計重量の約10重量%~約40重量%を構成し、持続可能なポリマー材料の量が、炭水化物系ポリマー材料の量が、炭水化物系ポリマー材料と持続可能なポリマー材料との合計重量の約60重量%~約90重量%を構成する、6に記載の物品。
【0078】
8.物品の強度が、炭水化物系ポリマー材料を含まずに、持続可能なポリマー材料のみから製造された場合に物品が有するであろう強度よりも少なくとも約5%大きい、7に記載の物品。
【0079】
9.物品のポリマー含有量の少なくとも90%が、持続可能な供給源から調達される、1に記載の物品。
10.物品が、フィルムを含む、1に記載の物品。
【0080】
11.物品が、ボトルまたはシートのうちの少なくとも1つを含む、1に記載の物品。
12.物品であって、
物品の他の材料に生分解性をもたらすように構成された、20%未満、10%未満の結晶化度、特定のガラス転移温度、ビカット軟化温度または熱変形温度、特定のヤング率および/またはNuPlastiQまたはESRの他の物理的特性を有する1つ以上の実質的に非晶質の炭水化物系ポリマー材料(例えば、デンプン系ポリマー材料)と、
持続可能な植物源から調達された1つ以上の持続可能なポリマー材料と、を含み、
物品の強度が、炭水化物系ポリマー材料を含まずに、持続可能なポリマー材料のみから製造された場合に物品が有するであろう強度よりも少なくとも約5%大きい、物品。
【0081】
13.物品がフィルムを含み、少なくとも約100g/ミルの厚さのダーツ落下衝撃強度を有する、12に記載の物品。
14.持続可能なポリマー材料が、持続可能な植物源から形成されたポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレートのうちの1つ以上を含む、12に記載の物品。
【0082】
15.持続可能なポリマー材料が、サトウキビまたはトウモロコシのうちの1つ以上から形成される、14に記載の物品。
16.炭水化物系ポリマー材料が、デンプン系ポリマー材料を含む、12に記載の物品。
【0083】
17.デンプン系ポリマー材料が、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、またはタピオカデンプンのうちの1つ以上を含む1つ以上のデンプンから形成される、16に記載の物品。
【0084】
18.デンプン系ポリマー材料が、2つ以上のデンプンから形成され、第1のデンプンが、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、またはタピオカデンプンのうちの1つを含み、第2のデンプンが、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、またはタピオカデンプンの別のものの1つ以上を含む、17に記載の物品。
【0085】
19.第1のデンプンの量が、
第1のデンプンと第2のデンプンの合計重量に対して約50重量%~約90重量%を構成し、第2のデンプンの量が、第1のデンプンと第2のデンプンの合計重量に対して約10重量%~約50重量%を構成し、
炭水化物系ポリマー材料の量が、炭水化物系ポリマー材料と持続可能なポリマー材料との合計重量の約10重量%~約40重量%を構成し、持続可能なポリマー材料の量が、炭水化物系ポリマー材料の量が、炭水化物系ポリマー材料と持続可能なポリマー材料との合計重量の約60重量%~約90重量%を構成する、18に記載の物品。
【0086】
20.物品の強度が、炭水化物系ポリマー材料を含まずに、持続可能なポリマー材料のみから製造された場合に物品が有するであろう強度よりも少なくとも10%大きい、12に記載の物品。
【0087】
21.物品のポリマー含有量の少なくとも90%が、持続可能な供給源から原料調達される、12に記載の物品。
22.物品が、フィルムを含む、12に記載の物品。
【0088】
23.物品が、ボトルまたはシートのうちの少なくとも1つを含む、12に記載の物品。
1.それ自体が他の方法では生分解性ではないプラスチック材料に生分解性を付与する方法であって、
それ自体では生分解性ではないプラスチック材料を提供することと、
20%未満、10%未満の結晶化度、特定のガラス転移温度、ビカット軟化温度または熱変形温度、特定のヤング率および/またはNuPlastiQまたはESRの他の物理的特性を有する1つ以上の実質的に非晶質の炭水化物系ポリマー材料を抵抗することであって、1つ以上の炭水化物系ポリマー材料が、それ自体では生分解性ではないプラスチック材料に生分解性を付与する能力に関して選択される、1つ以上の炭水化物系ポリマー材料を提供することと、
炭水化物系ポリマー材料をプラスチック材料とブレンドすることと、を含む、方法。
【0089】
2.1つ以上の炭水化物系ポリマー材料が、1つ以上のデンプン系ポリマー材料を含む、請求項1に記載の方法。
3.1つ以上のデンプン系ポリマー材料が、1つ以上のデンプンと1つ以上の可塑剤とから形成される、請求項2に記載の方法。
【0090】
4.1つ以上のデンプンが、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、またはタピオカデンプンのうちの1つ以上を含み、可塑剤が、グリセリンを含む、請求項3に記載の方法。
【0091】
5.デンプン系ポリマー材料が、少なくとも2つの異なるデンプンのブレンドから形成される、請求項3に記載の方法。
6.デンプン系ポリマー材料が形成される2つの異なるデンプンが、(i)ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、またはタピオカデンプンのうちの1つと、(ii)ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、またはタピオカデンプンのうちの別のものであって、(ii)が(i)とは異なるように選択される、(ii)とを含む、請求項5に記載の方法。
【0092】
7.デンプン系ポリマー材料が形成される2つの異なるデンプンが、以下の表の列のうちの1つから選択される、
【0093】
【表1】
請求項6に記載の方法。
【0094】
8.プラスチック材料が、ポリオレフィンを含む、請求項1に記載の方法。
9.プラスチック材料が、ポリエチレンを含む、請求項1に記載の方法。
10.プラスチック材料が、ポリエチレンフィルムを含み、フィルムが、炭水化物系ポリマー材料とポリエチレンとのブレンドから形成されている、請求項9に記載の方法。
【0095】
11.プラスチック材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリスチレン、ABS、ナイロン、ポリ塩化ビニル、またはポリカーボネートのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【0096】
12.5重量%以上の炭水化物系ポリマー材料を、プラスチック材料とブレンドすることが、プラスチック材料を生分解性にするのに十分である、請求項1に記載の方法。
13.炭水化物系ポリマー材料とプラスチック材料とのブレンドが、少なくとも5重量%の炭水化物系ポリマー材料を含む、請求項1に記載の方法。
【0097】
14.炭水化物系ポリマー材料とプラスチック材料とのブレンドが、5%~50重量%の炭水化物系ポリマー材料を含む、請求項1に記載の方法。
15.炭水化物系ポリマー材料とプラスチック材料とのブレンドが、10%~50重量%の炭水化物系ポリマー材料を含む、請求項1に記載の方法。
【0098】
16.炭水化物系ポリマー材料とプラスチック材料とのブレンドが、20%~40重量%の炭水化物系ポリマー材料を含む、請求項1に記載の方法。
17.炭水化物系ポリマー材料とプラスチック材料とのブレンドが、相溶化剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【0099】
18.相溶化剤が、ブレンドの10重量%以下を構成する、請求項17に記載の方法。
19.それ自体が他の方法では生分解性ではないプラスチック材料に生分解性を付与する方法であって、
それ自体では生分解性ではないプラスチック材料を提供することと、
20%未満、10%未満の結晶化度、特定のガラス転移温度、ビカット軟化温度または熱変形温度、特定のヤング率および/またはNuPlastiQまたはESRの他の物理的特性を有する1つ以上の実質的に非晶質の炭水化物系ポリマー材料を抵抗することであって、1つ以上の炭水化物系ポリマー材料が、それ自体では生分解性ではないプラスチック材料に生分解性を付与する能力に関して選択される、1つ以上の炭水化物系ポリマー材料を提供することと、
炭水化物系ポリマー材料をプラスチック材料とブレンドすることであって、炭水化物系ポリマー材料が、プラスチック材料を生分解性にする、ブレンドすることと、を含む、方法。
【0100】
1.吹込み成形フィルムの強度を高める方法であって、
プラスチックフィルムをフィルム吹込み成形装置で吹込み成形することであって、フィルムが、第1のポリマー材料と再生可能なデンプン系ポリマー材料とを含むブレンドから吹込み成形され、再生可能なデンプン系ポリマー材料が、(i)20%以下の結晶化度有して、実質的に非晶質であり、(ii)少なくとも1.0GPaのヤング率を有し、および/または(iii)70℃~100℃のガラス転移温度、ビカット軟化温度、または熱変形温度を有する、プラスチックフィルムを吹込み成形することを含み、
ここで:
(A)フィルム吹込み成形装置が、プラスチックフィルムを吹込み成形するとき、少なくとも2.0の高いブローアップ比で作動し、高いブローアップ比が、吹込み成形されたプラスチックフィルムに増加した強度を与え、および/または
(B)フィルム吹込み成形装置のダイギャップが、500マイクロメートル以下の狭いダイギャップであるように選択され、狭いダイギャップが、吹込み成形されたプラスチックフィルムに増加した強度を与える、方法。
【0101】
2.第1のポリマー材料が、ポリオレフィンを含む、請求項1に記載の方法。
3.第1のポリマー材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリスチレン、ABS、ナイロン、ポリ塩化ビニル、またはポリカーボネートのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【0102】
4.第1のポリマー材料が、ポリエチレンまたはポリプロピレンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
5.吹込プラスチックフィルムが、0.1ミル~10ミルの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【0103】
6.ブローアップ比が、2.2~2.8である、請求項1に記載の方法。
7.ブローアップ比が、約2.5である、請求項1に記載の方法。
8.再生可能なデンプン系ポリマー材料が、少なくとも2つの異なるデンプンのブレンドから形成される、請求項1に記載の方法。
【0104】
9.ブローアップ比を操作することによって、吹込み成形されたプラスチックフィルムの強度を増加させるための方法であって、
プラスチックフィルムをフィルム吹込み成形装置で吹込み成形することであって、フィルムが、再生可能なデンプン系ポリマー材料を含む第1のポリマー材料と第2のポリマー材料とを含むブレンドから吹込み成形され、再生可能なデンプン系ポリマー材料が、(i)20%以下の結晶化度有して、実質的に非晶質であり、(ii)少なくとも1.0GPaのヤング率を有し、および(iii)70℃~100℃のガラス転移温度、ビカット軟化温度、または熱変形温度を有する、プラスチックフィルムを吹込み成形することと、
吹込み成形フィルムの強度を高めるために、フィルム吹込み成形装置のブローアップ比を、少なくとも2.0の高いブローアップ比を選択するように操作することと、を含む、方法。
【0105】
10.強度が、高いブローアップ比を選択することによって、少なくとも1%増加する、請求項9に記載の方法。
11.強度が、高いブローアップ比を選択することによって、少なくとも10%増加する、請求項9に記載の方法。
【0106】
12.ブローアップ比が、2.2~2.8である、請求項9に記載の方法。
13.ブローアップ比が、約2.5である、請求項9に記載の方法。
14.吹込プラスチックフィルムが、0.1ミル~10ミルの厚さを有する、請求項9に記載の方法。
【0107】
15.ブローアップ比およびダイギャップを操作することによって、吹込み成形されたプラスチックフィルムの強度を増加させるための方法であって、
プラスチックフィルムをフィルム吹込み成形装置で吹込み成形することであって、フィルムが、再生可能なデンプン系ポリマー材料を含む第1のポリマー材料と第2のポリマー材料とを含むブレンドから吹込み成形され、再生可能なデンプン系ポリマー材料が、(i)20%以下の結晶化度有して、実質的に非晶質であり、(ii)少なくとも1.0GPaのヤング率を有し、および/または(iii)70℃~100℃のガラス転移温度、ビカット軟化温度、または熱変形温度を有する、プラスチックフィルムを吹込み成形することと、
500マイクロメートル以下の狭いダイギャップを選択するように、フィルム吹込み成形装置のダイギャップを操作することと、
プラスチックフィルムを吹込み成形するとき、ブローアップ比を少なくとも2.0の値で操作することであって、高いブローアップ比および/または狭いダイギャップが、吹込み成形されたプラスチックフィルムに増加した強度を提供する、ブローアップ比を操作することと、を含む、方法。
【0108】
16.ブローアップ比が、少なくとも2.0である、請求項15に記載の方法。
17.ブローアップ比が、2.2~2.8である、請求項15に記載の方法。
18.ブローアップ比が、約2.5である、請求項15に記載の方法。
【0109】
19.ダイギャップが、250マイクロメートル~500マイクロメートルである、請求項15に記載の方法。
20.吹込プラスチックフィルムが、0.1ミル~10ミルの厚さを有する、請求項15に記載の方法。
【0110】
1.低減された臭気を示す持続可能なプラスチック材料であって、
ポリマー樹脂と、
有機臭気低減剤と、
炭化水素系ポリマー材料と、を含み、臭気低減剤が存在しない場合、炭水化物系ポリマー材料が、持続可能なプラスチック材料に特徴的な焦げた炭水化物臭を与える、材料。
【0111】
2.有機臭気低減剤が、凍結乾燥粉末を含む、請求項1に記載の材料。
3.有機臭気低減剤が、バニラ抽出物を含む、請求項1に記載の材料。
4.有機臭気低減剤が、バニリンを含む、請求項1に記載の材料。
【0112】
5.有機臭気低減剤が、以下の化学構造:
【0113】
【化1】
を有する、請求項1に記載の材料。
【0114】
6.有機臭気低減剤が、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒドから本質的になる、請求項1に記載の材料。
7.有機臭気低減剤が、プラスチック材料の1%以下を構成する、請求項1に記載の材料。
【0115】
8.有機臭気低減剤が、プラスチック材料の0.1%以下を構成する、請求項1に記載の材料。
9.有機臭気低減剤が、プラスチック材料の0.01%以下を構成する、請求項1に記載の材料。
【0116】
10.有機臭気低減剤が、プラスチック材料の1000ppm以下を構成する、請求項1に記載の材料。
11.有機臭気低減剤が、プラスチック材料の100ppm以下を構成する、請求項1に記載の材料。
【0117】
12.有機臭気低減剤が、プラスチック材料の50ppm以下を構成する、請求項1に記載の材料。
13.有機臭気低減剤が、プラスチック材料の20ppm以下を構成する、請求項1に記載の材料。
【0118】
14.有機臭気低減剤が、炭水化物系ポリマー材料に対して1:1000~1:100,000の比で存在する、請求項1に記載の材料。
15.有機臭気低減剤が、炭水化物系ポリマー材料に対して1:25,000~1:75,000の比で存在する、請求項1に記載の材料。
【0119】
16.有機臭気低減剤が、果実抽出物を含む、請求項1に記載の材料。
17.有機臭気低減剤が、バニラ、イチゴ、ブルーベリー、バナナ、リンゴ、モモ、ナシ、キウイ、マンゴー、パッションフルーツ、ラズベリー、またはこれらの組み合わせの抽出物から選択される凍結乾燥有機果実抽出物を含む、請求項16に記載の材料。
【0120】
18.凍結乾燥有機果実抽出物が、炭水化物系ポリマー材料に対して1:1000以下の比でプラスチック材料中に存在する、請求項16に記載の材料。
19.炭水化物系ポリマー材料が、デンプン系ポリマー材料である、請求項1に記載の材料。
【0121】
20.低減された臭気を示す持続可能な熱可塑性炭水化物系ポリマー材料であって、
有機臭気低減剤と、
炭水化物系ポリマー材料と、を含み、
有機臭気低減剤の炭水化物系ポリマー材料に対する重量比が、臭気低減剤よりも少なくとも1000倍多い炭水化物系ポリマー材料が存在するように、1:1000以下である、材料。
【0122】
21.持続可能な熱可塑性炭水化物系のポリマー材料とブレンドされた熱可塑性ポリマー高分子樹脂をさらに含み、持続可能な熱可塑性炭水化物系ポリマー材料と熱可塑性ポリマー樹脂とのホットブレンド時に、焦げた炭水化物臭が存在するが、有機臭気低減剤の存在によるものである、請求項20に記載の材料。
【0123】
22.熱可塑性ポリマー樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリスチレン、ABS、ナイロン、ポリ塩化ビニル、またはポリカーボネートのうちの1つ以上を含む、請求項21に記載の材料。
【0124】
23.炭水化物系ポリマー材料と熱可塑性プラスチックポリマー樹脂とのブレンドが、5%~50重量%の炭水化物系ポリマー材料を含む、請求項22に記載の材料。
1.プロセスであって、
1つ以上の他のポリマー(例えば、石油化学系ポリマー材料)を提供することと、
1つ以上の炭水化物系ポリマー材料を提供することと、
1つ以上の他のポリマー材料と1つ以上の炭水化物系ポリマー材料とを混合して、混合物を生成することと、
混合物を、約120℃~約180℃の範囲の温度で加熱することと、
混合物を使用してフィルムを製造することと、を含み、フィルムが、約1~約6マイクロメートルの厚さ、および約40g~約100gのダーツ落下衝撃試験値を有する、プロセス。
【0125】
1.プロセスであって、
1つ以上の炭水化物系ポリマー材料を提供することと、
1つ以上の他のポリマー(例えば、PBAT、またはバイオPE)を提供することと、
1つ以上の他のポリマー材料と1つ以上の炭水化物系ポリマー材料とを混合して、混合物を生成することと、
混合物を、約120℃~約180℃の範囲の温度で加熱することと、
混合物を使用してフィルムを製造することと、を含み、フィルムが、約10~約100マイクロメートルの厚さ、および約200g~約600gのダーツ落下衝撃試験値を有する、プロセス。
【0126】
本発明のこれらおよび他の利点ならびに特徴は、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになり、または以下に記載されるような本発明の実施によって習得され得る。
【0127】
本開示の上に列挙され、かつ他の利点および特色が得られ得る方式を説明するために、上で簡潔に説明された実施形態のより具体的な説明は、添付図面に示されているその特定の実施形態を参照することによって提供されるであろう。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解されたく、本発明は、添付の図面(複数可)の使用を通して、追加の特異性および詳細と共に記載および説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0128】
図1】本開示による物品を形成する例示的なプロセスの流れ図。
図1A】ブローアップ比を操作することによって吹込み成形されたプラスチックフィルムの強度を増加させるための例示的なプロセスの流れ図。
図1B】炭水化物系ポリマー材料および別のポリマー材料を含む材料のブレンド中に臭気低減剤を含めるための例示的なプロセスの流れ図。
図1C】炭水化物系ポリマー材料の特有の臭気を打ち消す臭気低減剤を含む炭水化物系ポリマー材料を形成し、次いで炭水化物系ポリマー材料を臭気低減剤と共に使用して、物品を製造するための例示的なプロセスの流れ図。
図2A】本開示による物品を製造するための例示的製造システムの構成要素を示す図。
図2B図2Aのフィルム吹込み成形装置の拡大概略図を図示しており、ダイ、ダイギャップ、高いブローアップ比を有する吹込み成形フィルムバブル、およびバブルのフロストラインを示す図。
図2C】狭いダイギャップを示す図2Bのダイの一部を通る拡大概略断面図。
図3】通常は生分解性でも堆肥化性でもない様々な石油化学プラスチック(標準プラスチックと表示)、ならびに1つ以上の態様においてより「環境に優しい」様々なプラスチックの弾性率および破断点伸びデータを示す図。
図4】BiologiQから市販されている例示的なNuPlastiQまたは「ESR」炭水化物系のポリマー材料の、NuPlastiQまたはESRを形成するために使用される天然のトウモロコシデンプンおよび天然のジャガイモデンプンのブレンドのものと比較した、X線回折パターンを示す図。
図5】は、フィルム中の炭水化物系ポリマー材料の割合に基づく、異なる厚さのフィルムのダーツ強度を示す図。
図6】100%のPEフィルムと比較した25%の炭水化物系高分子材料、約5%の相溶化剤、および約70%のPEのブレンドから形成された厚さの異なるフィルム(約0.1ミルから最大2ミル)のダーツ強度を示し、また既存の農産物用バッグ、持ち運び用バッグ、およびジャガイモ用バッグについての比較も示す図。
図7】NuPlastiQやESRを含む様々なブレンドフィルム、ならびに未使用または再生材料から形成された比較フィルムの厚さの異なるフィルムについてのダーツ強度を示す図。
図8A】本開示により形成された3つの試料についてASTM D-5511の下で行われた試験に従って349日間にわたって測定された生分解率を示す図。
図8B】本開示により形成された3つの試料についてASTM D-5511の下で行われた試験に従って349日間にわたって測定された生分解率を示す図。
図9】模擬埋立地条件下で25%のNuPlastiQまたはESR、70%のPE、および5%の相溶化剤で製造されたジャガイモ用バッグについて、ASTM D-5526に基づいて実施された試験に従って843日間にわたって測定された生分解率を示す図。
図10A】本開示により作製された様々な試料についてASTM D-5338の下で行われた試験に従って370日間にわたって測定された生分解率を示す図。
図10B】本開示により作製された様々な試料についてASTM D-5338の下で行われた試験に従って370日間にわたって測定された生分解率を示す図。
図11】本開示により作製された様々な試料について、ならびに比較対照について、海洋条件を意味するASTM D-6691に従って205日間にわたって測定された生分解率を示す図。
図12A】NuPlastiQまたはESR炭水化物系ポリマー材料とバイオポリエチレンまたは「グリーン」なPEのブレンドで作製されたフィルムについてのダーツ強度を示す図。ダーツ強度は、様々な厚さのフィルムについて、NuPlastiQまたはESRの割合の関数として表示されている。
図12B図12Aと同様のデータを提示するが、様々な割合のNuPlastiQまたはESRを含むブレンドについて、ダーツ強度をフィルム厚さの関数として示す図。
図13】完全にポリエチレンから形成されたフィルム(このポリエチレンフィルムが、ブローアップ比に依存する強度を示さない)についてのダーツ強度と比較して、2.5のブローアップ比で、25%のNuPlastiQまたはESR材料と共に相溶化剤およびポリエチレンである残部含むブレンドから形成されたフィルムのダーツ強度を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0129】
I.定義
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願は、上記または下記を問わず、あたかも各個々の刊行物、特許または特許出願が具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示されるのと同程度にその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0130】
「含む(including)」、「含有する(containing)」、または「によって特徴付けられる(characterized by)」と同義である「含む(comprising)」という用語は、包含的または非限定的であり、列挙されていない追加の要素または方法工程を排除するものではない。
【0131】
「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、特許請求の範囲を特定の材料またはステップ「および特許請求された発明の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないもの」に限定する。
【0132】
本明細書で使用される「からなる(consisting of)」という用語は、特許請求の範囲で特定されていない任意の要素、工程、または成分を除外する。
本発明の特徴を説明する文脈において(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)使用される用語「a」、「an」、「the」および類似の指示対象は、特に断らない限り、または文脈によって明らかに否定されない限り、単数および複数の両方を網羅すると解釈される。したがって、例えば、「デンプン」への言及は、1、2またはそれ以上のデンプンを含み得る。
【0133】
本明細書で使用される「フィルム」は、領域または容積を分離するため、アイテムを保持するため、バリアとして、および/または印刷可能表面として作用するために使用することができる1つ以上のポリマー材料を含む薄い連続物品を指す。
【0134】
本明細書で使用される「バッグ」は、商品を収容および/または輸送するために使用することができる比較的薄い可撓性のフィルムから作製された容器を指す。
本明細書で使用される「ボトル」は、現在開示されているプラスチックから作製することができ、典型的にはフィルムより厚い厚さのものであり、典型的には開口部に隣接する比較的狭い首を含む容器を指す。このようなボトルは、多種多様な製品(例えば、飲料、シャンプー、コンディショナー、ローション、石鹸、洗剤などのパーソナルケア製品)を保持するために使用され得る。
【0135】
特に明記しない限り、本明細書中で使用され、記載された全ての百分率、比率、部、および量は重量による。
本明細書に記載されている数、百分率、比率、または他の値は、当業者によって理解されるように、その値、およびほぼもしくは記載された値である他の値も含み得る。したがって、記載された値は、所望の機能を実行するか、または所望の結果を達成するために少なくとも表示値に十分に近い値、および/または記載された値に丸められる値を包含するのに十分に広く解釈されるべきである。記載された値は、典型的な製造プロセスにおいて予想される少なくとも変動を含み、記載された値の25%以内、15%以内、10%以内、5%以内、1%以内などである値を含んでもよい。さらに、本明細書で使用される「実質的(substantially)に」、「同様(similarly)に」、「約(about)」または「およそ(approximately)」という用語は、依然として所望の機能を果たすか、または所望の結果を達成する、記載の量または状態に近い量または状態を表す。例えば、「実質的に」「約」または「およそ」という用語は、記載の量または値の25%以内、15%以内、10%以内、5%以内、または1%以内の量を指すことができる。
【0136】
いくつかの範囲が本明細書に開示されている。追加の範囲を、特定のパラメータの例示として本明細書に開示されている任意の値の間に定義してもよい。このような範囲は全て企図されており、かつ本開示の範囲内である。さらに、本明細書における値の範囲の列挙は、その範囲内に含まれる各別々の値を個々に指す簡潔な方法として役立つことを意図している。本明細書で別途記載のない限り、各個別の値は、あたかも個別に本明細書に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0137】
本明細書および特許請求の範囲で使用される成分、構成成分、条件などの量を表す全ての数字は、全ての場合において用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。本発明の広い範囲を説明する数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載されている数値は可能な限り正確に報告されている。しかしながら、いずれの数値も、それらのそれぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
【0138】
本明細書で使用される「含まない(free of)」または類似の句は、組成物が記載の成分を0%含む、すなわちその成分が組成物に意図的に添加されていないことを意味する。しかしながら、このような構成要素は適切な状況下で偶然に形成されることがあり、別の含まれる構成要素内に、例えば、偶発的な汚染物質などとして偶然に存在することがあることが理解されよう。
【0139】
本明細書で使用される「実質的に含まない(substantially free of)」という句または類似の句は、組成物が記載の成分を好ましくは0%含むことを意味し、例えば、偶発的な形成、偶発的な汚染、またはさらには意図的な添加によっても、非常に低い濃度で存在する可能性があることを理解されたい。このような成分は、仮にあったとしても、1%未満、0.5%未満、0.25%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.005%未満、0.001%未満、または0.0001%未満の量で存在し得る。
【0140】
II.序論
本開示は、とりわけ、再生可能または持続可能な炭水化物系ポリマー材料を、別のポリマー材料と組み合わせて含むブレンドから形成される物品を目的とする。持続可能性の増加に加えて、このような物品は、生分解性、および/または強度の増加を示し得る。1つ以上の炭水化物系ポリマー材料と1つ以上の他のポリマー材料(例えば、このようなプラスチック樹脂の石油化学系または「グリーン」な持続可能ポリマーバージョン)を混合し、混合物を加熱し、それから物品を形成することによって、例えば、押出し、射出成形、吹込み成形(blow molding)、吹込み成形(blow forming)などによって、物品を形成することができる。様々な実施形態では、炭水化物系ポリマー材料は、実質的に非晶質であり、および/または本明細書に記載されるように、ガラス転移温度、熱変形温度、ビカット軟化温度、ヤング率、低結晶化度などに関連する他の特定の特性を示すデンプン系ポリマー材料を含むことができる。
【0141】
本明細書に記載の物品は、ボトル、箱、他の容器、カップ、プレート、調理用具、シート、フィルム、バッグなどを含むがこれらに限定されない任意の考えられる構造の形態で製造することができる。バッグおよびフィルムラップ(例えば、製品の周囲または上にラップするための)のための薄いフィルムは、吹込みフィルム成形装置を使用して容易に製造することができる。物品形成に使用され得る他のプロセスは、射出成形、吹込み成形、熱成形、および他のプラスチック製造プロセスを含み得るが、これらに限定されない。
【0142】
このような物品を形成するのに使用するのに適した炭水化物系またはデンプン系ポリマー材料の例は、BiologiQからNuPlastiQまたはESR(「Eco Starch Resin」)の商品名で入手可能である。具体例としては、GS-270、GS-300、およびGS-330が挙げられるが、これらに限定されない。そのようなNuPlastiQまたはESR材料の特定の特徴は、本明細書においてさらに詳細に記載されるであろう。同様の特性を示す他の炭水化物系またはデンプン系ポリマー材料も使用に適している可能性があるため、BiologiQから入手可能なNuPlastiQまたはESRは、適切な炭水化物系またはデンプン系ポリマー材料の単なる非限定例である。
【0143】
一実施形態では、(炭水化物系ポリマー材料以外の)ブレンドに含まれる「他の」ポリマー材料は、例えば植物または他の再生可能資源(細菌産物)から形成された持続可能なポリマー材料であり得る。したがって、物品のポリマー含有物の全て、または実質的に全て(例えば、90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上)は、植物由来のポリマーか、または他の再生可能資源から形成することができる。このような特徴は、持続可能性の観点から特に有利である。本明細書に記載されるように、「他の」ポリマー樹脂材料と炭水化物系ポリマー材料との間の相溶性を高めるために、ポリマー含有物に加えて少量の相溶化剤が存在してもよい。いくつかの実施形態では、このような相溶化剤は、持続可能な供給源から調達されていないか、またはそれに由来しない唯一の成分であり得る。他の実施形態では、このような相溶化剤は持続可能であり得、その結果、物品の100%が潜在的に持続可能に調達され得る。
【0144】
望ましい持続可能性特性に加えて、炭水化物系ポリマー材料は、生分解性を有する、それがブレンドされる材料(「グリーン」なPE(またはバイオポリエチレン)、「グリーン」なPP、またはバイオPETなどの「グリーン」な持続可能ポリマー材料)を提供するように構成され得る。言い換えれば、「グリーン」な持続可能ポリマー材料が、それ自体だけでは生分解性ではない場合でも、炭水化物系ポリマー材料も含む物品に含まれると、実際に生分解性になる可能性がある。このような結果もまた非常に有利である。
【0145】
加えて、多くの物品(例えば、特に薄いフィルム)は、従来のプラスチック材料(例えば、石油化学系ポリマー材料)から形成された場合、特に良好な強度を有さず、そのため所与の厚さでの強度の増加が望ましいであろう。「グリーン」なプラスチック材料は、それらの対応する従来の石油化学系同類物と同様の物理的特性を示すので、このような「グリーン」なプラスチック材料もまた、特に良好な強度を有さず、物品の厚さを増さずに強度を増すための手段が望ましいであろう。本明細書に記載のように、炭水化物系ポリマー材料とブレンドすると、このような強度の増加の結果が達成可能である。例えば、ポリエチレンフィルム(例えば、バイオポリエチレン(「グリーン」なPE)またはメタロセン石油化学系PEのいずれか)は、1ミル厚のフィルムに対して約150gのダーツ衝撃強度を有することができるが、フィルム暑さを増加させることなく、強度を増加させることが可能であるならば有利であろう。本実施形態は、このような強度の増加をもたらすことができる。例えば、本明細書に記載されるような炭水化物系ポリマー材料とブレンドすると、強度は少なくとも5%まで増加し得る。いくつかの実施形態の典型的な結果は、20%またはさらにはそれ以上の強度の増加をもたらし得る。
【0146】
物品は、炭水化物系ポリマー材料と持続可能なポリマー材料とを混合し、混合物を加熱し、混合物を成形(例えば射出成形)し、混合物を押出成形し、混合物を吹込み成形し、混合物を吹込み成形(blow forming)し、混合物を熱成形することなどによって製造することができる。本開示に照らして、他の様々なプラスチック製造プロセスが当業者には明らかであろう。
【0147】
生分解性に関して、本方法および物品は、本明細書に記載されるように、このようなプラスチック材料を低結晶化度を含む特定の特徴を有する炭水化物系(例えば、デンプン系)ポリマー材料とブレンドすることによって、それ自体は生分解性ではないプラスチック材料に有用な生分解性を与え得る。このような実施形態は、それらがポリマーの安定した状態で無期限に存在し続けるのではなく、投げ捨てられた多数のプラスチック品目を埋め立て地または同様の環境で容易に生分解させることができるという点で特に有益である。
【0148】
さらに、出願人は、物品が典型的な貯蔵および使用環境で貯蔵される(例えば、家庭、オフィス、倉庫などに貯蔵される)場合、このような物品の生分解は容易には起こらないが、物品が埋立地、堆肥または他の典型的な処分条件を模擬しているか、またはその環境にある場合にのみ、生分解が一般的に開始することを観察した。例えば、このような条件には、多くの場合、(i)通常の周囲の「使用」または「貯蔵」温度よりいくらか高い温度、(ii)高い水分レベルへの曝露、および(iii)埋立地または堆肥および類似の処分環境に無関係な特定の種類の微生物への曝露が含まれる。必要な微生物も存在しない限り、高温および湿気は、このような物品の劣化を引き起こさないであろう。このような条件の組み合わせは、このような材料のブレンドから形成された物品を生分解させ始める。本明細書に記載の第三者試験は、炭水化物系ポリマー材料が生分解性であるだけでなく、そうでなければ生分解性ではないプラスチック材料も実際には同様に生分解性でもあることを確認している。
【0149】
炭水化物系ポリマー材料とブレンドしたときにそのような生分解が可能になるメカニズムは完全には理解され得ないが、2つのプラスチック材料を一緒にブレンドすることは、炭水化物系ポリマー材料のおそらく特定の特徴と相まって非生分解性プラスチック材料に関連した吸湿性障壁をいくらか破壊し、炭水化物系ポリマー材料を生分解するであろう微生物が炭水化物系ポリマー材料を生分解するだけでなく、隣接するプラスチック分子も同様に生分解することを可能にすると考えられる。炭素結合は破壊されており、生分解は排出ガスである二酸化炭素とメタンとを捕獲して測定する第三者試験に基づいて確認されている。このような結果は驚くべきことであり、予想外であり、かつ特に有利なものである。
【0150】
本開示の別の態様は、少なくともいくつかの実施形態では、ブローアップ比および/またはダイギャップを操作することによって、吹込み成形プラスチックフィルムに増加した強度を提供するための方法を目的とする。このような方法は、フィルム吹込み成形装置を用いてプラスチックフィルムを吹込み成形することを含むことができ、このフィルムは、ポリマー材料(例えば、ポリエチレンなど)および本明細書に記載される再生可能な炭水化物系(例えば、デンプン系)ポリマー材料を含むブレンドから吹込み成形され、この再生可能な炭水化物系ポリマー材料は実質的に非晶質であり、例えば、20%以下の結晶化度を有し、および/または他の特定の特徴を含む。例えば、再生可能な炭水化物系ポリマー材料は、少なくとも1.0GPaのヤング率を有してもよく、および/またはこれは70℃~100℃のガラス転移温度、ビカット軟化温度、または熱変形温度を有してもよい。フィルム吹込み成形装置は、プラスチックフィルムを吹込み成形するときには、少なくとも2.0の高いブローアップ比で、および/または狭いダイギャップ(例えば、500マイクロメートル以下)を用いて具体的に操作される。炭水化物系ポリマー材料を使用するとき、このような特徴は、より低い、より典型的なブローアップ比(例えば1.5)で提供されるであろう強度、またはより広いダイギャップと比較して、驚くほどプラスチックフィルムに増加した強度を提供する。強度の増加を示すこのような比較は、ブローアップ比またはダイギャップのいずれかを単に変更しながら、同じ材料を用いてもよい。このような強度の増加は、NuPlastiQまたはESRまたは本明細書に識別されるような特定の特徴を有する他の再生可能な炭水化物系ポリマー材料なしで、「他の」ポリマー材料(例えば、ポリエチレン)のみを用いてフィルムを吹込み成形するときに与えられる強度と比較して示され得る。PEを単独で吹込み成形するとき、ブローアップ比とダイギャップは強度に大きな影響を与えない。
【0151】
このような方法は、ブローアップ比を操作することが考えられる他の目的(例えば、おそらくは、得られるフィルムのレイフラット幅を操作するため)とは対照的に、得られる吹込み成形フィルムの強度を高めるために、高いブローアップ比および/または狭いダイギャップを具体的に選択する工程を含み得る。
【0152】
例えば、出願人は、ポリエチレンなどの「他の」ポリマー材料のみからフィルムを吹込み成形するとき、ブローアップ比が操作されるとき、強度に大きな影響がないことを発見した。さらに、出願人は、NuPlastiQまたはESRなどの再生可能な炭水化物系ポリマー材料を、それからフィルムが吹込み成形されるブレンドに添加する場合、吹込み成形フィルムに通常使用されるものと同じ、典型的な1.5ブローアップ比で吹込み成形されるとき、100%のポリエチレンまたは他のポリマー材料フィルムと比較して、このようなブレンドフィルムの強度に有意な減少はないことを見出した。しかしながら、出願人はさらに、NuPlastiQまたはESRなどの再生可能な炭水化物系ポリマー材料を含むブレンドフィルムを吹込み成形する場合に、ブローアップ比を、例えば、少なくとも2.0、好ましくは2.2~2.8(例えば、2.5)に増加させることによって、強度の増加が実際に達成できることを発見した。
【0153】
「他の」ポリマー材料のみから形成されたフィルムでは強度に対するそのような影響が生じないため、なぜより高い膨張比で強度が増加するのか完全には理解されていないが、ブローアップ比が増加されると、ブレンドの分子の非晶質または他の構造のある種の整列配向、延伸、または規則的な配置が存在する可能性があり、強度の増加をもたらすと考えられる。いずれにせよ、おそらく完全には理解されていないが、出願人は本明細書に記載された条件および方法の下で強度の増加を観察かつ測定した。
【0154】
再生可能な炭水化物系ポリマー材料を他のポリマー材料(例えば、ポリエチレンなどのポリオレフィン、または他のプラスチック)と混合し、混合物を加熱し、溶融混合物をフィルム吹込み成形装置に供給することによって物品を製造することができ、このフィルム吹込み成形装置は、高いブローアップ比および/または狭いダイギャップで具体的に操作され、この選択(複数可)は、得られるフィルムの増加した強度を提供する目的で具体的に行われる。吹込み成形フィルムは、プラスチックバッグ、フィルムラップなどを含むがこれらに限定されない、多種多様な考えられる構造にさらに加工することができる。
【0155】
本開示の別の態様は、プラスチック材料の典型的な加熱および成形または他の成形の間に生じる焦げた炭水化物特有の臭気が、ごくわずかな割合の臭気低減剤、好ましくは有機臭気低減剤を含めることによって打ち消される実施形態に目的とする。一実施形態では、臭気低減剤は、炭水化物系ポリマー材料と共に(例えば、炭水化物系ポリマー材料のマスターバッチの一部として)含まれてもよい。
【0156】
一実施形態では、炭水化物系ポリマー材料は、臭気低減剤よりはるかに高い割合で存在してもよい。例えば、炭水化物系ポリマー材料は、臭気低減剤よりも少なくとも1000倍、10,000倍、または50,000倍多くてもよい。非常に低い濃度(例えば、50,000部の炭水化物系ポリマー材料に対して1部の臭気低減剤)でさえも、ポップコーン、キャラメルコーン、またはわずかに焦げたデンプン臭気の効果的な制御(すなわち、実質的に完全な除去)が達成され得る。このような少量の臭気低減剤がこのような結果を達成するのに十分であることは驚くべきことである。
【0157】
臭気制御剤および炭水化物系ポリマー材料を含むマスターバッチは、実用的に考えられる任意のポリマー樹脂材料とブレンドすることができ、所望のプラスチック物品を製造するために使用することができる。例えば、物品は、炭水化物系ポリマー材料(臭気低減剤を含む)をポリマー樹脂と混合し、混合物を加熱して、混合物を成形(例えば射出成形)し、混合物を押出成形し、混合物を吹込み成形(blow molding)し、混合物を吹込み成形し(blow-forming)(例えば、吹込み成形フィルムを形成する)、混合物を熱成形するなどによって製造することができる。プラスチック製造プロセスの前述のリストは、当然のことながら、網羅的なものではなく、他の様々なプラスチック製造プロセスは当業者には明らかであろう。
【0158】
少量の臭気低減剤を炭水化物系ポリマー材料内に含ませ、炭水化物系ポリマー材料がブレンドされているポリマー樹脂と一緒に導入するか、ないしは別の方法でブレンドに導入することができる。一実施形態では、炭水化物系ポリマー材料のマスターバッチは、その中に既に含まれている臭気低減剤と共に提供されてもよい。別の実施形態では、臭気低減剤は、炭水化物系ポリマー材料とは別に、および/または物品を形成するブレンドに含まれるポリマー樹脂とは別に添加することができる。BiologiQから入手可能なNuPlastiQまたはESRに加えて、他の炭水化物系またはデンプン系ポリマー材料もまた、本明細書に記載されるような少量の臭気低減剤の添加から利益を得ることができることは明らかであろう。
【0159】
III.例示的な物品および方法
図1は、本発明による例示的な「基本」プロセス100を示す。「他の」ポリマー材料が持続可能な樹脂自体(例えば、「グリーン」なPE、バイオPETなど)を含むことを条件として、臭気低減剤を含めること、またはブローアップ比および/またはダイギャップに関する、フィルムを吹込み成形するときの特定の選択などの様々な詳細が追加され得ることは、本開示から明らかであろう。102において、プロセス100は、1つ以上の「他の」ポリマー材料、例えば、典型的には、必ずではないが、非生分解性材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、他のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリスチレン、ABS、ポリ塩化ビニル、ナイロン、またはポリカーボネートが挙げられるが、これらに限定されない)を提供することを含み得る。104において、プロセス100は、実質的に非晶質であり、20%以下(例えば、より典型的には10%未満)の結晶化度を示す、1つ以上の炭水化物系ポリマー材料を提供することを含み得る。他の特徴が代替的にまたは追加的に存在してもよい(例えば、1.0GPa以上のヤング率、少なくとも70℃、少なくとも80℃、または80℃~100℃のガラス転移温度、ビカット軟化温度または熱変形温度)。1つ以上の炭水化物系ポリマー材料は、デンプン系ポリマー材料を含み得る。炭水化物系ポリマー材料および他のポリマー材料は、ペレット、粉末、ナードル、スラリー、および/または液体などの所望の形態で提供することができる。特定の実施形態では、材料は、ペレットの形態であり得る。本方法は、他のポリマー材料を炭水化物系ポリマー材料とブレンドすることをさらに含む。
【0160】
このようなブレンドは、製造中に任意の考えられるプロセスにより所望の物品に成形されてもよい。このような例は、押出プロセスであろう。例えば、他のポリマー材料および炭水化物系ポリマー材料を押出機に(例えば、その1つ以上のホッパーに)供給することができる。異なる材料は、同じチャンバに、異なるチャンバに、ほぼ同時に(例えば、同じホッパーを介して)、または異なる時間に(例えば、異なるホッパーを介して、一方が他方より早くスクリューに沿って押出機に導入される)など、供給され得る。多数の可能性が可能であることは明らかであろう。
【0161】
場合によっては、他のポリマー材料は、ポリオレフィンを含むことができる。例えば、このようなプラスチックまたはポリマー材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、他のポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ABS、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリカーボネートなどを挙げることができるが、これらに限定されない。このようなプラスチック材料は、石油化学供給源、またはいわゆる「グリーン」な、または持続可能な供給源(例えば、「グリーン」なPE、バイオPETなど)から調達されてもよい。
【0162】
場合によっては、「他の」ポリマー材料自体が、持続可能であり得る(例えば、持続可能なポリオレフィン)。例えば、このような持続可能なポリマー材料としては、「グリーン」なポリエチレン(バイオPE)、「グリーン」なポリプロピレン(バイオPP)、バイオPET、または持続可能な植物源から形成することができる他のプラスチック材料を挙げることができるが、これらに限定されない。非限定的な例として、「グリーン」なPEは、サトウキビ、他の糖科作物(例えば、テンサイ)または穀物(例えば、トウモロコシ、小麦など)から形成され得るエタノールに由来し得る。「グリーン」なPE(「バイオPE」とも呼ばれることもある)は、石油化学原料から形成されたPEと類似の化学構造を有するが、その中のエタノール、または重合に使用されるエチレンモノマーは石油化学原料ではなく、持続可能な原料に由来する。「グリーン」なPPは、サトウキビ、他の糖科作物、または穀物(例えば、トウモロコシ)に由来するプロパノール(またはおそらくイソプロパノール)に由来し得るプロピレンから同様に形成され得る。「グリーン」な持続可能なポリマー材料の別の例は、例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)(例えば、典型的にはエチレングリコールおよびテレフタル酸)を形成するのに用いられるモノマーが、同様にサトウキビ、他の糖科作物、または穀類などの植物源に由来し得るバイオPETである。PETは、ポリエステル系の最も一般的な熱可塑性樹脂である。持続可能な植物源から同様に形成することができる別のポリエステルは、ポリブチレートアジペートテレフタレート(バイオPBAT)である。PBATは、アジピン酸、1,4ブタンジオールおよびジメチルテレフタレートのコポリエステルとして形成することができる。このような出発原料のうちの1つ以上は、持続可能な植物源に由来し得る。使用され得る別の可能な「グリーン」なポリマー樹脂材料は、ポリ(乳酸)である。当業者には理解されるように、PLAは、典型的には乳酸および/またはラクチドエステルのモノマーから製造される。PLA産生のための1つ以上の出発原料は、持続可能な植物源に由来し得る。使用され得る当業者によく知られているであろう他の可能な「グリーンポリマー」には、PBS(ポリブチレンサクシネート)またはPCL(ポリカプロラクトン)が挙げられる。
【0163】
当業者は、そのようなポリマーを合成するための方法に精通しているであろう。このようなポリマーの製造に使用される成分のうちの1つ以上は、適切な再生可能植物または他の再生可能生物源(例えば、細菌発生)に由来し得る。「グリーン」なPEは、Braskemから入手可能であり、バイオPETは、Coca Cola(商標)のPlant Bottle(商標)から入手可能であり、他のプラスチック製造業者からも同様に入手可能である。PE、PP、PETおよびPBATは、持続可能な植物源由来の材料から形成され得る「グリーン」バイオプラスチックの例であるが、それらが持続可能な材料(例えば、植物源)から少なくとも一部が形成され得る限りにおいて、他の多数の「グリーン」なプラスチックもまた使用に適し得ることが理解されよう。加えて、サトウキビ、他の糖科作物、トウモロコシ、小麦および他の穀物は、このような「グリーン」なポリマー材料が由来し得る植物材料の例示的で非限定的な例であり得るが、他の多数の植物および材料もまた好適に使用されてもよいことが理解されよう。
【0164】
炭水化物系ポリマー材料は、1つ以上のデンプンを含む複数の材料(例えば、混合物)から形成することができる。例えば、トウモロコシデンプン、タピオカデンプン、キャッサバデンプン、コムギデンプン、ジャガイモデンプン、コメデンプン、ソルガムデンプンなどの1つ以上の植物から1つ以上のデンプンを製造することができる。いくつかの実施形態では、出願人が強度の相乗的な増加をもたらすことを見出した、異なる種類のデンプンの混合物が使用されてもよい。可塑剤も、それから炭水化物系ポリマー材料が形成される成分の混合物中に存在する。水もまた、炭水化物系ポリマー材料の形成において使用されてもよいが、完成炭水化物系ポリマー材料中にはごく少量からごくわずかな量の水しか存在しない。
【0165】
したがって、いくつかの実施形態では、物品の全ポリマー含有物(または実質的に全ポリマー含有物)が植物材料に由来し得ることが理解されよう。「グリーン」なポリマー材料は、典型的には、所望の植物材料から形成されたエタノール(または同様のもの)に由来得る重合性モノマーまたは他の小分子重合性成分を使用するが、炭水化物系(またはデンプン系)ポリマー材料は、このようなデンプンまたは他の植物材料を加工してより小さな重合性モノマーを形成するのではなく、デンプン(およびグリセリンまたは他の可塑剤)から形成され得る。したがって、デンプン系ポリマー材料を製造するのに使用されるデンプンの分子量は、「グリーン」な持続可能なポリマー材料を製造するのに使用するために製造される比較的小分子のモノマーの分子量よりも通常桁違いに大きい場合がある。例えば、「グリーン」な持続可能なポリマー材料を製造するのに使用される植物由来のモノマーまたは他の重合性成分は、典型的には、約500ダルトン未満、400ダルトン未満、300ダルトン未満、200ダルトン未満、または100ダルトン未満であってもよく、一方、デンプン系ポリマー材料を製造するのに使用されるデンプン(複数可)の分子量は、典型的にはかなり高く、しばしば500ダルトンを超え、しばしば数千、数万、またはさらにはそれ以上で測定される(例えば500ダルトンを超え、少なくとも1000ダルトン、少なくとも10,000ダルトン、少なくとも25,000ダルトン、少なくとも40,000ダルトンなど)。言い換えれば、デンプン系材料を形成するのに使用されるデンプン材料(例えば、天然デンプン)は、典型的には、「グリーン」な持続可能ポリマー材料を製造するのに使用されるモノマーまたは他の重合性成分よりも複雑な分子である。例えば、トウモロコシデンプンは、約693ダルトンの分子量を有し得る。ジャガイモデンプンは、例えば約20,000ダルトン~約400,000,000ダルトンの範囲で広く変動し得る分子量を有し得る(例えば、アミロースは約20,000ダルトン~約2,000,000ダルトンの範囲であり得るが、一方、アミロペクチンは、約65,000ダルトン~約400,000,000ダルトンの範囲であり得る)。タピオカデンプンは、約40,000ダルトン~約340,000ダルトンの範囲の分子量を有し得る。デンプン系ポリマー材料を形成するのに使用されるグリセリンもまた、持続可能な供給源に由来し得る。グリセリンも、当然のことながら、92ダルトンの分子量を有する。
【0166】
炭水化物系ポリマー材料の特徴に戻ると、1つ以上の炭水化物系ポリマー材料は、ほとんどデンプンから形成することができる。例えば、炭水化物系ポリマー材料の少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、または少なくとも80重量%は、1つ以上のデンプンに起因し得る。一実施形態では、完成炭水化物系ポリマー材料の65重量%~90重量%は、1つ以上のデンプンに起因し得る。無視できる程度の水分含有量以外に、完成した炭水化物系ポリマー材料の残部は、可塑剤(例えばグリセリン)に起因し得る。上記の百分率は、炭水化物系ポリマー材料が形成される出発材料、または可塑剤に由来もしくは起因する完成炭水化物系ポリマー材料の割合に対するデンプンの百分率を表すことができる(例えば、炭水化物系ポリマー材料の少なくとも65%が、出発材料としてのデンプン(複数可)に起因する(それから形成される)可能性がある)。炭水化物系ポリマー材料を形成するのにいくらかの水を使用してもよいが、実質的に炭水化物系ポリマー材料の残部は、グリセリンまたは他の可塑剤に起因し得る。ごくわずかな残留水(例えば、2%未満、典型的には約1%以下)が、完成炭水化物系ポリマー材料中に存在してもよい。
【0167】
例えば、1つ以上の炭水化物系ポリマー材料が形成される材料は、少なくとも12%、少なくとも15%、少なくとも18%、少なくとも20%、少なくとも22%、35%以下、32%以下、30%以下、28%以下、または25%以下の可塑剤を含み得る。このような百分率は、可塑剤に由来するか、または起因する完成炭水化物系ポリマー材料の割合を表することができる(例えば、炭水化物系ポリマー材料の少なくとも12%が、出発材料としての可塑剤に起因する(それから形成される)可能性がある)。
【0168】
例示的な可塑剤としては、グリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、多価アルコール可塑剤、水酸基を有さない水素結合形成性有機化合物、糖アルコールの無水物、動物性タンパク質、植物性タンパク質、脂肪酸、フタル酸エステル、コハク酸ジメチルおよびジエチルおよび関連するエステル、グリセロールトリアセテート、グリセロールモノアセテートおよびジアセテート、モノ、ジ、およびトリプロピオネート、ブタン酸グリセロール、テアレート、乳酸エステル、クエン酸エステル、アジピン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル、他の酸エステル、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。グリセリンが好ましい可能性がある。
【0169】
完成炭水化物系ポリマー材料は、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1.5%以下、1.4%以下、1.3%以下、1.2重量%以下、1.1重量%以下、または1重量%以下の水を含み得る。BiologiQから入手可能なNuPlastiQまたはESR材料は、このような完成炭水化物系ポリマー材料の例であるが、他の場所で(例えば、将来的に)入手可能な他の材料もまた使用に好適で得ることも理解されよう。
【0170】
いくつかの実施形態では、炭水化物系ポリマー材料を形成する際に異なるデンプンの混合物が使用されてもよい。異なるデンプンのそのような混合物(例えば、異なる植物由来のもの)の使用は、驚くべきことに、そのような炭水化物系ポリマー材料を含む物品における相乗的な強度の増加に関連することがわかった。このようなデンプン混合物において、デンプンは、混合物中に、複数のデンプンの合計重量に対して、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも重量40%、95%重量以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下、または10重量%~50重量%の量で存在し得る。いくつかの非限定的な例示的混合物は、90%の第1のデンプンと10%の第2のデンプン、または30%の第1のデンプンと70%の第2のデンプン、または50%の第1のデンプンと50%の第2のデンプンを含み得る。2つより多いデンプンの混合物(例えば、3つまたは4つの異なるデンプンを使用する)もまた使用することができる。
【0171】
フィルムおよび他の物品の形成で使用するために好適な炭水化物系(例えば、デンプン系)ポリマー材料の例は、アイダホ州アイダホフォールズにあるBiologiQからNuPlastiQまたはESR(「Eco Starch Resin」)の商品名で入手可能である。具体例としては、GS-270、GS-300、およびGS-330が挙げられるが、これらに限定されない。NuPlastiQまたはESRは、ペレットの形で提供されてもよい。GS-270およびGS-300の物理的特性は、以下の表1に示されている。
【0172】
【表2】
GS-270およびGS-300について示された上記の特徴は、値がいくらか変動し得るが、BiologiQから入手可能な他のNuPlastiQまたはESR製品の例である。例えば、BiologiQからのNuPlastiQまたはESR製品は、一般に、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、最高200℃、最高150℃、最高125℃、最高110℃、または約70℃~約100℃、もしくは80℃~100℃の範囲であるガラス転移温度、ビカット軟化温度または熱変形温度を有し得る。当業者であれば、ガラス転移温度、ビカット軟化温度および熱変形温度が結晶化度の指標となり得ることを理解するであろう。融解温度範囲、密度、ヤング率、および含水量についての値は、上記表1に示したものと同一または類似であり得る。いくつかの特徴は、同様に、GS-270およびGS-300について示された値からいくらか(例えば、±25%、または±10%)変動し得る。NuPlastiQまたはESRは、非晶質構造(例えば、典型的な生デンプンよりも非晶質)を有する。例えば、典型的な生デンプン粉末はほとんど結晶構造(例えば、50%超)を有し、一方NuPlastiQまたはESRはほとんど非晶質構造(例えば、10%未満の結晶)を有する。ガラス転移温度、熱変形温度、ビカット軟化温度または他の任意の物理的特性を測定するために、任意の適切な標準を使用することができる。例として、ガラス転移温度は、ASTM D-3418、ASTM D-648による熱変形温度、およびASTM D-1525によるビカット軟化温度に従って決定することができる。
【0173】
NuPlastiQまたはESRは、記載したように、非常に低い水分含量を有する。NuPlastiQまたはESRは、湿気を吸収するので、それは塑性挙動を示して、可撓性になる。湿った環境から取り出されると、材料は乾燥して再び硬くなる(例えば、やはり約1%未満の含水量を示す)。NuPlastiQまたはESR中に(例えばペレット形態で)存在する水分は、図1に示すような加工中に蒸気の形態で放出される可能性がある。結果として、非生分解性プラスチック材料は典型的には水を全く含まないか、または無視できる程度に含み、NuPlastiQまたはESR中の水は、通常、所望の物品の製造中に放出され得るので、非生分解性プラスチック材料とブレンドされたNuPlastiQまたはESRなどのデンプン系ポリマー材料から製造されるフィルムまたは他の物品は、さらに低い含水量を示し得る。
【0174】
特に物品が薄いフィルムの形成を必要とする場合、含水量が多いと非生分解性プラスチック材料との不適合性が生じる可能性があるため、炭水化物系ポリマー材料中の低含水量は重要であり得る。例えば、水が蒸発するにつれて、これはフィルムまたは他の物品内にボイドを生じさせ、ならびに他の問題を生じさせる可能性がある。薄いフィルムを吹込み成形するとき、使用される炭水化物系ポリマー材料は、好ましくは約1%以下の水を含み得る。
【0175】
比較的低い含水量を含み得るいくつかの従来のTPS材料において一般的であるように、低い含水量は、エステル化によってNuPlastiQまたはESR材料において達成されない。そのようなエステル化は高価であり、かつ実施するのが複雑であり得る。エーテル化についても同様である。さらに、本明細書で使用可能な炭水化物系ポリマー材料の例であるNuPlastiQまたはESR材料はまた、NuPlastiQまたはESRまたは他の炭水化物の出発材料が、化学的に反応および/または変化されているために、典型的には、それら自体実際には任意の識別可能なデンプン、または識別可能なグリセリンを含まない。下記(例えば、図4に示す)のような例示的な炭水化物系ポリマー材料のX線回折パターンは、このような化学的変化を証明し、完成したポリマー材料が、このような識別可能な天然形態のデンプンを実質的に含み得ないことを示す。言い換えれば、炭水化物系ポリマー材料は、デンプンとグリセリンとを含む混合物として単に認識されていない。炭水化物系ポリマー材料において達成可能な低い含水量は、少なくとも部分的には天然デンプンのように水を保持しない熱可塑性ポリマー、または従来の熱可塑性デンプンへのデンプンおよび可塑剤材料の化学的変化によるものと考えられる。
【0176】
図1に戻ると、比較的高い温度で加工すると、揮発したグリセリンがいくらか放出されることがある(例えば、煙として見える)。必要であれば(例えば、貯蔵されたペレットが追加の水を吸収した可能性がある場合)、ペレットの乾燥は、温かい乾燥空気を例えば60℃で1~4時間導入すること(これは、いかなる吸収された水も追い払うのに十分なものである)によって行うことができる。特にフィルムを形成する場合、ペレットは加工前に水分含有量が約1%未満になるまで乾燥させるべきである。NuPlastiQまたはESRペレットは、吸湿性を最小限に抑えて、望ましくない劣化を防ぐために、乾燥した場所に乾燥剤を入れた密閉容器内に簡単に保管することができる。
【0177】
NuPlastiQまたはESRが熱可塑性であることに加えて、NuPlastiQまたはESRは揺変性でもあり、これは、材料が周囲温度で固体であるが、熱、圧力および/または摩擦運動が加えられると液体として流れることを意味する。好都合なことに、NuPlastiQまたはESRのペレットは、標準的なプラスチック製造プロセスにおいて石油化学系のペレット(任意の典型的な非生分解性プラスチック樹脂ペレット)と同じように使用することができる。NuPlastiQまたはESR材料およびそれから製造された製品は、ガスバリア特性を示すことがある。このようなNuPlastiQまたはESRペレットを使用して製造された製品(例えば、フィルム)は、酸素ガスバリア特性を示す(例えば、参照により既に組み込まれている、出願人の以前の出願の実施例を参照)。NuPlastiQまたはESRの材料は、全て食用の原材料を使用して製造された、非毒性かつ食用のものであり得る。NuPlastiQまたはESRおよびそれらから製造された製品は、耐水性であるが水溶性であり得る。例えば、NuPlastiQまたはESRは、湿った加熱条件下でそのペレット(例えば3~4mmのサイズ)が5分以内に沸騰水に完全に溶解しない程度に膨潤に抵抗し得るが、ペレットは、約10分以内に口中で溶解する。NuPlastiQまたはESRは、他の多くの熱可塑性デンプン材料とは特性が異なる比較的高い湿度条件下に放置したとしても、いかなる有意な老化も示さない可能性があるという点で安定し得る。当然のことながら、NuPlastiQまたはESRで製造された製品も、このような特性を示すことがある。NuPlastiQまたはESRが湿気のある状態で保管されている場合は、吸収された過剰な水分を簡単に蒸発させることができ、水分含有量が約1%以下になれば、フィルムまたは他の物品の形成に使用することができる。
【0178】
特定の必要な微生物を含む埋立地、堆肥または同様の処分環境に典型的な他の条件が存在しないとき、NuPlastiQまたはESR材料はまた、典型的には比較的湿気の多い条件においても典型的な保管条件下で生分解を受けない。当然のことながら、このような条件が存在する場合、NuPlastiQまたはESRは生分解するだけでなく、それ以外にそれとブレンドされた非生分解性プラスチック材料も驚くほど生分解する。このような驚くべき結果の証拠は、本明細書に含まれる実施例のセクションに含まれる。
【0179】
NuPlastiQまたはESRはコスト競争力があり得、伝統的なポリエチレンプラスチック樹脂と競合するコストで製造される。NuPlastiQまたはESRは、PE、PP、PET、ポリエステル、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル、ナイロンなどが挙げられるが、これらに限定されない他のポリマーと混合することができる。上記の非生分解性ポリマーは、NuPlastiQまたはESRとブレンドすることによって生分解性にすることができるが、NuPlastiQまたはESRは、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、他のいわゆる熱可塑性デンプン、ならびに様々な他のものなどの既に生分解性および/または堆肥化可能なポリマーとブレンドすることもできることが理解されよう。PBS、PCL、およびPHAは、ポリエステルである。EcoFLEX(商標)は、NuPlastiQまたはESR炭水化物系ポリマー材料とブレンドすることができるプラスチック材料の別の例である。例えば、本方法は炭水化物系ポリマー材料(例えばNuPlastiQまたはESR)を非生分解性プラスチック材料のみとブレンドすることに限定されず、生分解性プラスチック(NuPlastiQまたはESR以外の)も、必要ならば、ブレンドに組み込むことができることも理解されよう。
【0180】
さらなる説明として、PLAは堆肥化可能であり、これは高温条件下(すなわち、堆肥化条件下)で分解する可能性があることを意味するが、技術的には「生分解性」ではない。PBS、PCL、およびPHAなどの上記の材料のいくつかは、生分解性および堆肥化可能の両方であり得る。EcoFLEX(商標)は、堆肥化可能として認定されている。FTCグリーンガイドラインは、「慣習的廃棄後」(ごく最近では5年以内と定義されている)に「合理的に短い期間」以内に分解しない限り、プラスチックが「分解性」であると無条件に主張することはできないと明記している。
【0181】
いくつかの実施形態では、NuPlastiQまたはESRは、上記のような炭水化物系ポリマー材料、およびある量の1つ以上の相溶化剤を含み得るマスターバッチ配合物で提供され得る。マスターバッチはまた、1つ以上の非生分解性プラスチック材料を含んでもよい。このようなマスターバッチ配合物ペレットは、加工時に非生分解性プラスチック材料のペレットと混合することができる。完成品中のNuPlastiQもしくはESRおよび/または相溶化剤および/または従来の非生分解性プラスチック材料の所望の比率に応じて、このような異なるペレットを混合する際に任意の考えられる割合を使用することができる。
【0182】
NuPlastiQまたはESRは、非常に低い水分含量を含む。例えば、生デンプン(例えば、ESRの形成に使用される)は、典型的には約13重量%の水を含み得るが、BiologiQから入手可能な完成NuPlastiQまたはESRペレットは、約1%未満の水を含む。NuPlastiQまたはESR材料は生分解性であり、本明細書に記載されるように、デンプン系のNuPlastiQまたはESR材料は生分解性であるだけでなく、非生分解性PE、PP、PET、ポリエステル、ポリスチレン、ABS、ポリ塩化ビニル、ナイロン、および他の非生分解性プラスチック材料などの他のポリマーとブレンドしたときに、ブレンドされた材料は、実質的に完全に生分解性になる。このような結果は、実に驚くべきことであり、特に有利である。本明細書の実施例は、このような驚くべき結果の証拠を提供する。典型的な熱可塑性デンプン材料は、他のプラスチック材料とブレンドしたときに、このような特性を主張することもまたは示すこともしない。
【0183】
NuPlastiQまたはESR材料はある程度の弾性を示すことがあるが、その弾性は他の多くのポリマー(例、特に石油化学系ポリマー同類を模した「グリーン」な持続可能なポリマー)よりも小さい場合がある。フィルムおよび他の物品は、NuPlastiQまたはESRと任意の所望の他のポリマー(複数可)とのブレンドから形成されてもよく、他のポリマー単独と比較して所与の物品厚で、増加した強度を示す弾性結果を提供する。強度が以上に重要であることが多い、明細書の実施例ではフィルムが記載され、しばしば使用されているが、フィルム以外の物品(例えばボトル、シート、箱、カップ、プレート、調理用具、または他の形態)でも増加した強度を提供することができることも明らかであろう。以下の表2は、比較のために、様々な標準プラスチック(「SP」)材料、様々な「環境に優しい」プラスチック材料、およびNuPlastiQまたはESRについての破断点伸びおよび弾性率値を示す。「環境に優しい」とは、材料が少なくとも部分的に持続可能な材料から得られること、堆肥化可能であること、および/または生分解性であることなど、1つ以上の環境上望ましい特性を有し得ることである。表2のNuPlastiQまたはESRは、40MPaの引張強度を有していた。
【0184】
【表3】
図3は、表2と同様のデータをチャート形式で示している。当然のことながら、表に記載され、図3に示されている標準プラスチックとして記載されている製品のうちのいくつかは、限定されないが、BioPET、「グリーン」なPP、「グリーン」なPE、およびbioPBATなどの持続可能な供給源に由来し得る「グリーン」な同類を有する。PLAは堆肥化可能であり、これは高温条件下(すなわち、堆肥化条件下)で分解する可能性があることを意味するが、技術的には「生分解性」ではない。EcoFlex、PBS、PCL、PHAなどの上記他の例示的な材料は、生分解性および堆肥化可能の両方であり得る。FTCグリーンガイドラインは、「慣習的廃棄後」(ごく最近では5年以内と定義されている)に「合理的に短い期間」以内に分解しない限り、プラスチックが「分解性」であると無条件に主張することはできないと明記している。
【0185】
炭水化物系(例えば、デンプン系)ポリマー材料として本明細書で使用するのに好適と記載されているNuPlastiQまたはESR材料は、実質的に非晶質である。例えば、生デンプン粉末(例えば、NuPlastiQまたはESRおよび他の様々な熱可塑性デンプン材料の製造に使用されるものなど)は、約50%の結晶構造を有する。BiologiQから入手可能なNuPlastiQまたはESR材料は、結晶性対非晶質特性において他の多くの市販の熱可塑性デンプン(TPS)材料とは異なる。例えば、Kris Frost(2010年9月)による「Thermoplastic Starch Composites and Blends」博士論文のp.62~63は、「TPSにおいて特に関心があることは、加工中のゼラチン化の完全性、およびその後の劣化へ向かういかなる傾向もV型アミロース結晶を形成することである」と述べている。Frostは、「ゼラチン化は、水と一緒に加熱することによる、多くの場合、他の可塑剤または変性ポリマーを含むことによる、粒状構造および結晶構造の損失を伴う」とさらに続けている。劣化は、アミロース螺旋コイルの巻き直しによるものである。ゼラチン化中に破壊されたデンプン分子は、それらの本来の螺旋配置またはV型として知られる新しい単一の螺旋立体配座にゆっくりと巻き直して、TPSフィルムを急速に脆くして、光学的透明度を失うことになる。したがって、従来のTPSは、生デンプンからTPSを製造するために使用されるゼラチン化プロセスの後に結晶構造を再形成する傾向がある。それとは反対に、BiologiQから入手可能なNuPlastiQまたはESR材料は、ほとんど結晶構造には戻らない。加えて、それは、比較的光学的に透明なフィルムを形成するのに有用であるように(例えば、特に、ポリエチレンまたは他のポリオレフィン層の間にNuPlastiQまたはESR含有層を挟むことによって)、安定で比較的高度の光学的透明性を維持し得る。
【0186】
典型的なTPS材料とは対照的に、本出願に記載される物品を形成するのに使用するためのデンプン系ポリマー材料の適切な例であるNuPlastiQまたはESR材料は、非晶質微細構造および表1に示すような物理的特性を有する。従来のTPSとNuPlastiQまたはESR材料との間の分子構造の違いは、本明細書に記載のNuPlastiQまたはESR材料が、図4に示すX線回折によって示されるように従来の熱可塑性デンプン系材料より結晶性がはるかに低いことによって証明され、BiologiQから入手可能なNuPlastiQまたはESR材料(試料1)についての回折パターンの結果を、図4のNuPlastiQまたはESRが形成される天然の生のトウモロコシデンプンおよび天然の生のジャガイモデンプンのブレンドと比べて比較する。図4に見られるようなNuPlastiQまたはESRの回折パターンは、天然デンプンブレンドのもの(約50%の結晶化度)よりもはるかに結晶性が低い(例えば、約10%未満の結晶化度)。回折パターンの違いは、天然デンプンからNuPlastiQまたはESRへの加工により、材料に実質的な化学変化が生じたことを証明している。例えば、天然デンプンでは20~25°の間に顕著な回折ピークがあるが、このようなピークはNuPlastiQまたはESRには見られない。天然デンプンは、約45°(0.5~0.6の強度)で強いピークをさらに示し、このピークは、NuPlastiQまたはESRにおいて大幅に減少する(約0.25~0.3のみ)。示されるように、約18°~約22°を除いて、ほぼ全スペクトルにわたって、回折強度は、NuPlastiQまたはESRよりも天然デンプンの方が高い。広いスペクトルにわたって見られる高い回折強度は、NuPlastiQまたはESRと比較して、天然デンプンのより大きい結晶化度を示す。示されるように、他にも多数の違いも存在する。
【0187】
例として、本開示によるフィルムの製造に使用される炭水化物系(例えばデンプン系)ポリマー材料は、約40%未満、約35%未満、約30%未満の結晶化度を有し得る。約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約8%未満、約6%未満、約5%未満、または約3%未満の結晶化度を有し得る。結晶化度を決定するための任意の好適な試験機構を使用することができ、例えば、FTIR分析、X線回折法、ならびに対称反射および透過技術が挙げられるが、これらに限定されない。種々の好適な試験方法は、当業者に明らかであろう。
【0188】
出発原料、フィルム、ボトル、シート、使い捨て調理用具、プレート、カップ、または炭水化物系ポリマー材料を含むブレンドから製造された他の物品と比較した完成NuPlastiQまたはESRの微細構造における違いに加えて、他の点では類似しているが、従来のTPSおよびデンプン粉末、または非生分解性プラスチック材料のみを使用して形成された物品とは違いがある。例えば、本明細書に記載のNuPlastiQまたはESRなどの炭水化物系ポリマー材料を非生分解性プラスチック材料とブレンドすることによって形成された物品は、従来のTPS材料をポリエチレンなどのポリマー材料とブレンドするときに一般的な「海島」特徴を有さない。異なるフィルムの特性は、既に参照により組み込まれている、出願人の米国特許出願第15/481,806号の実施例5の表11に示されるように、フィルムの物理的特性を比較することによって見ることができる。特に、この表は、PE(Cardia BL-F)とブレンドされた従来のTPSに対して、本明細書で企図される炭水化物系ポリマー材料を非生分解性ポリエチレンとブレンドすることによって製造されたフィルムの物理的特性を比較する。出願人の米国特許出願第15/481,806号の実施例5の表11に見られる特性の違いに加えて、PEとブレンドされたCardia BL-Fのような従来のTPS材料に基づくフィルムは生分解性ではなく、かつ堆肥化できない。
【0189】
本明細書に記載されるように、本明細書に記載される炭水化物系ポリマー材料と非生分解性プラスチック材料とのブレンドは、炭水化物系材料が生分解性であるだけでなく、非生分解性プラスチック材料が、実際に生分解性プラスチック材料になる(非生分解性プラスチック材料だけでは生分解性でない場合でも)。このような結果は、典型的なTPS材料とブレンドしたときには起こらない。生分解性のこのような違いは、複合材料構造体全体(すなわち、フィルムまたは他の構造体)が今や、以下の様々例に示されるように生分解されることができるので、得られるフィルムおよび他の物品に有意な構造的および/または化学的違いがあることを明確に例証する。
【0190】
いかなる特定の理論にも縛られるものではないが、炭水化物系ポリマー樹脂は、水およびバクテリアが、炭水化物系ポリマー樹脂材料と一緒のブレンドの他の点では非生分解性のプラスチックの配置および結合を劣化させることを可能にする方法で、ブレンド製品の結晶化度を低下させ、ポリエチレンまたは他の非生分解性プラスチック材料の結晶化度および/または吸湿性バリア特性を妨げる可能性があると考えられている。言い換えれば、ポリエチレンまたは他の非生分解性プラスチック材料の長いポリマー鎖は、本明細書で企図されるように炭水化物系ポリマー材料とブレンドされると、細菌および微生物が豊富な環境に存在する化学的および機械的力によってより容易に破壊される。続いて、処分環境(例えば、埋立地)に天然に存在する微生物は、残りのより小さな分子を消費することができ、その結果、それらは天然の成分(例えばCO、CH、およびHO)に変換される。
【0191】
例えば、真に生分解性のプラスチックは、微生物の同化作用(例えば、プラスチック分子に対する微生物の酵素作用)を介して、二酸化炭素、メタン、水、無機化合物、またはバイオマスなどの自然構成要素または化合物に分解する。プラスチックの生分解は、最初に化学的または機械的作用のいずれかによってポリマー鎖を分解することによって可能になるが、微生物の同化による分子の分解によってのみ完全に達成され得る。
【0192】
石油化学原料から製造された、または植物源から得られたプラスチックは、モノマー(例えば、他の小分子と化学的に反応することができる単一の小分子)として生まれ変わる。モノマーが一緒に結合されると、それらはプラスチックとして知られるポリマー(「多くの部分」)になる。一緒に結合される前には、多くのモノマーは容易に生分解可能であるが、重合によって一緒に連結された後には、分子は非常に大きくなり、そのような配置および連結で結合されるので、微生物による微生物の同化は合理的な時間枠内では実用的ではない。
【0193】
ポリマーは、結晶質(規則的に充填された)構造および非晶質(ランダムに配置された)構造の両方を用いて形成される。多くのポリマーは、ポリマー構造全体にわたってランダムに配置されかつ絡み合ったいくつかの非晶質領域を有する高度の結晶化度を含有する。
【0194】
BiologiQから入手可能なNuPlastiQまたはESR材料は、高度に結晶性であるが、完成したNuPlastiQまたはESRプラスチック樹脂材料が低い結晶化度(実質的に非晶質)を示す出発デンプン材料から形成される。このようなデンプン系ポリマー材料は、本明細書に記載されるような物品の製造における出発原料として使用される。したがって、NuPlastiQまたはESRはデンプンから製造されるプラスチックである。NuPlastiQまたはESRで製造されたプラスチックの分子(サイズおよびリンク)は、その天然のデンプン系の起源および慎重に管理された連結タイプのため、本明細書に含まれる実験的試験結果によって証明されるように、湿度(水)および細菌または他の微生物の導入から引き起こされる酵素反応による生分解に非常に敏感である。
【0195】
硬質形態のポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィンは高度の結晶化度を有し、モノマー分子(石油由来であるか、またはエタノールもしくは植物源由来の他の小さいビルディングブロック分子由来であるかにかかわらず)を長鎖ポリマーに変換することによって製造される。モノマーを連結して長いポリマー鎖を形成するときに生じる結合は、強く、かつ破壊するのが難しい。このようなポリマー材料から形成されたフィルムおよび他の物品は、生分解性ではない。所与の物品が従来の非生分解性プラスチック材料と従来のTPSとのブレンドから形成されたとしても、それは通常突然に生分解性特性を獲得しないであろう(時には生分解する可能性があるブレンドのデンプン部分を除く)。
【0196】
出願人は、このようなプラスチック材料を低い結晶化度を有する炭水化物系ポリマー材料(例えば、NuPlastiQまたはESR)とブレンドすることによって、生分解性を他の非生分解性プラスチック材料に与えるための方法を開発した。典型的には、非生分解性プラスチック材料は、より高い結晶化度を有する(例えば、特にPEまたはPPの場合)。
【0197】
生分解性に加えて、得られるブレンドは、追加的または代替的に、ポリエチレンまたは他の非生分解性プラスチック材料よりも高い弾性率(剛性、または強度)を有することができ、純粋なポリエチレンまたは他の純粋な非生分解性プラスチック材料で製造された同じ物品よりも強いプラスチックフィルムまたは他の物品を製造するために使用することができる。このような強度増加特性は、参照により本明細書に既に組み込まれている米国特許出願第15/481,806号に記載されている。
【0198】
図1に戻ると、106において、プロセス100は、1つ以上の他のポリマー材料と1つ以上の炭水化物系ポリマー材料とを混合して、材料の混合物を生成することを含む。場合によっては、1つ以上の他のポリマー材料と1以上の炭水化物系材料との混合は、1つ以上の混合装置を使用して実施することができる。特定の実装例では、機械的混合装置を使用して、1つ以上の他のポリマー材料と1つ以上の炭水化物系ポリマー材料とを混合することができる。一実装例では、材料の混合物の成分の少なくとも一部を、押出機、射出成形機などのような装置内で組み合わせることができる。他の実装例では、材料の混合物の成分の少なくとも一部を、装置に供給する前に混合することができる。
【0199】
1つ以上の炭水化物系ポリマー材料は、所望の特性に応じて多種多様な範囲にわたって材料の混合物中に存在することができる。一実施形態では、このような包含は、ブレンドに含まれる他の非生分解性の「他の」ポリマー材料に生分解性を与え、強度を所望の程度まで高めるために、所与のレベルの「持続可能な」含有量を提供するために、または別の目的のために十分なものであり得る。例として、炭水化物系ポリマー材料は、材料の混合物の少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、99%以下、95%以下、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、2%~98%、20%~40%、10%~40%、20%~30%、50%~80%、または40%~60重量%の量で含まれてもよい。必要に応じて、2つ以上の炭水化物系ポリマー材料、および/または2つ以上の他のプラスチック材料を、ブレンド中に含めることができる。
【0200】
他のポリマー材料は、材料の混合物の少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、99%以下、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、2%~98%、50%~90%、65%~75%、20%~50%、または40%~60重量%の量で材料の混合物中に存在することができる。
【0201】
相溶化剤は、材料の混合物中に存在してもよい。相溶化剤は、他のポリマー材料、炭水化物系ポリマー材料と混合することができ、これらの両方と混合することができ、または別々に提供することができる。多くの場合、相溶化剤は、例えばマスターバッチ配合物に含まれる少なくとも1つのポリマー材料と共に提供されてもよい。相溶化剤は、変性ポリオレフィンまたは他の変性プラスチック、例えば無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト化ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト化ポリブテン、またはこれらの組み合わせであり得る。相溶化剤は、アクリレート系コポリマーも含むことができる。例えば、相溶化剤は、エチレンメチルアクリレートコポリマー、エチレンブチル-アクリレートコポリマー、またはエチレンエチルアクリレートコポリマーを含むことができる。さらに、相溶化剤は、ポリ(酢酸ビニル)系相溶化剤を含むことができる。一実施形態では、相溶化剤は、他のポリマー材料のグラフト化バージョン(例えば、他のポリマー材料がポリエチレンである場合は、無水マレイン酸グラフト化ポリエチレン)またはブロックのうちの1つが他のポリマー材料のものと同じモノマー同じであるコポリマー(例えばブロックコポリマー)(例えば、他のポリマー材料がポリスチレンまたはABSであるスチレンコポリマー)であってもよい。
【0202】
材料の混合物は、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、9%以下、8以下%、7%以下、6%以下、0.5重量%~12%、2~7重量%、または4%~6重量%の相溶化剤を含んでもよい。
【0203】
確かに必須ではないが、少なくともいくつかの実施形態では、このような包含を避けることが最善であろうが、様々なUVおよびOXO分解性添加剤のいずれか、例えば、Willow Ridge PlasticsからのPDQ-M、PDQ-H、BDA、およびOxoTerra(商標)、LifeLineからのOX1014、EnsoによるRestore(登録商標)、またはBio-Tec EnvironmentalによるEcoPure(登録商標)、ECM BiofilmsによるECM Masterbatch Pellets1M、もしくはBiodegradable201および/またはBiodegradable302BioSphere(登録商標)などの有機添加剤を含むことは、本発明の範囲内である。例えば、強度を高めるための他の添加剤(例えば、DupontからのBiomax(登録商標)Strong)、または他の添加剤が含まれてもよい。
【0204】
1つ以上の添加剤は、混合物の少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも2.5%、少なくとも3%、少なくとも4%、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、0.2%~12%、1%~10%、0.5%~4%、または2重量%~6重量%の量で、材料の混合物中に含まれ得る。
【0205】
一緒に溶融して所望のブレンドを形成することができる熱可塑性材料の混合物に関して主に説明したが、いくつかの実施形態では、炭水化物系ポリマー材料を熱可塑性ではない別のポリマー材料(例えば、これは熱硬化性であり、例えばシリコーンの場合のような)とブレンドすることが可能であり得る。例えば、このような非熱可塑性の「他の」ポリマー材料の前駆体である樹脂成分を、炭水化物系ポリマー材料とブレンドすることができ、非熱可塑性の「他の」ポリマー材料の重合または他の形成が、炭水化物系ポリマー材料の存在下で起こり得、その結果、炭水化物系ポリマー材料と熱硬化性樹脂または他の非熱可塑性プラスチック材料とのブレンドである完成品が得られる。炭水化物系ポリマー材料は、本明細書に記載されるような非熱可塑性材料に、これら2つを一緒にブレンドする際に、同じ利点(例えば、持続可能性の向上、生分解性、強度の増加など)のいずれかを与え得る。
【0206】
図1を参照すると、108において、特に材料が熱可塑性である場合、プロセス100は材料の混合物を加熱することを含み得る。一実装例では、材料の混合物を少なくとも100℃、少なくとも110℃、少なくとも115℃、少なくとも120℃、少なくとも125℃、少なくとも130℃、少なくとも135℃、少なくとも140℃、200℃以下、190℃以下、180℃以下、175℃以下、170℃以下、165℃以下、160℃以下、155℃以下、150℃以下、95℃~205℃、120℃~180℃、または125℃~165℃の温度に加熱することができる。
【0207】
他のポリマー材料および炭水化物系ポリマー材料を含む材料の混合物は、押出機の一つ以上のチャンバ内で加熱することができる。場合によっては、押出機の1つ以上のチャンバを異なる温度で加熱することができる。押出機の1つ以上のスクリューの速度は、任意の所望の速度であり得る。
【0208】
110において、材料の混合物を用いて物品が製造される。場合によっては、物品はフィルムを含むことができる。他の場合では、物品はフィルムから形成することができる。他の実施形態では、物品は、金型などのデザインに基づく形状(射出成形された)を有することができる。例えばフィルム、バッグ、ボトル、キャップ、蓋、シート、箱、プレート、カップ、調理用具などを含むがこれらに限定されない、プラスチックで形成された任意の考えられる物品を混合物から形成することができる。物品がフィルムである場合、フィルムを形成するために加熱された材料の混合物にガスを注入する(すなわち、フィルムを吹込み成形する)ことによって、ダイを使用してフィルムを形成することができる。フィルムは、バッグまたは他の物品の形態になるようにシールおよび/または別の方法で修正することができる。
【0209】
物品がフィルムである場合、フィルムは単層または多層から構成することができる。フィルムまたは任意の個々の層は、少なくとも0.001mm、少なくとも0.002mm、少なくとも0.004mm、少なくとも0.01mm、少なくとも0.02mm、少なくとも0.03mm、少なくとも0.05mm、少なくとも0.07mm、少なくとも0.10mm、2mm以下、1mm以下、0.5mm以下、0.1mm以下、約0.05mm~約0.5mm、または0.02mm~0.05mmの厚さを有することができる。いくつかの特定の例は、0.005mm未満、例えば0.002mm~0.004mm、または0.0025mm(0.1ミル)~0.25mm(10ミル)のフィルムを含み得る。フィルムおよびシート物品の厚さ値にはある程度の重複があり得るが、当然のことながら、任意の所望のプラスチック製造プロセスによって製造された、このようなフィルム値よりも厚いシート材料が提供されてもよいことが理解されよう。
【0210】
0.0025mm(0.1ミル)の非常に薄いフィルムを吹込み成形する能力は、本明細書に記載されているようなブレンドを使用して出願人によって実証されており、このような非常に薄いフィルムは、大きな強度を示す(例えば、このように非常に薄いフィルムに対して、40g~110g、または40g~100gのダーツ強度などの、0.1ミルフィルムに対する、ダーツ落下衝撃試験において少なくとも40g)。本明細書に記載されるようなブレンドおよび他のパラメータ(例えば、ブローアップ比、ダイギャップなど)を使用すると、このような非常に薄いフィルムを吹込み成形する能力さえも、おそらく出願人に特有であると考えられる。
【0211】
フィルムまたは他の物品は、ダーツ落下衝撃試験(ASTM D-1709)、破断点引張強さ試験(ASTM D-882)、破断点引張伸び試験(ASTM D-882)、割線係数試験(ASTM D-882)、および/またはエルメンドルフ引裂試験(ASTM D-1922)などの試験を通して特徴付けられる強度特性を有することができる。フィルムは、少なくとも150g、少なくとも175g、少なくとも200g、少なくとも225g、少なくとも250g、少なくとも275g、少なくとも300g、400g以下、375g以下、350g以下、または325g以下、140g~425g、200g~400g、250g~350g、265g~330gのダーツ落下衝撃試験値を有することができる。一実装例では、このような値は、フィルムの厚さがどんなものであってもよい。別の実装例では、このような値は、材料の混合物から形成された1ミルの厚さのフィルムの場合であり得る。
【0212】
この物品は、少なくとも3.5kpsi、少なくとも3.7kpsi、少なくとも3.9kpsi、少なくとも4.1kpsi、少なくとも4.3kpsi、または少なくとも4.5kpsi、5.5kpsi以下、5.3kpsi以下、5.1kpsi以下、4.9kpsi以下、または4.7kpsi以下、3.5kpsi~5.5kpsi、または4.1kpsi~4.9kpsiの縦方向の破断点引張強さ試験値を有することができる。
【0213】
この物品は、少なくとも3.2kpsi、少なくとも3.4kpsi、少なくとも3.6kpsi、少なくとも3.8kpsi、少なくとも4.0kpsi、少なくとも4.2kpsi、5.7kps以下、5.5kpsi以下、5.3kpsi以下、5.1kpsi以下、4.9kpsi以下、4.7kpsi以下、4.5kpsi以下、3.2kpsi~5.7kpsi、または3.6kpsi~5.0kpsiの横方向の破断点引張強さ試験値を有することができる。
【0214】
この物品は、少なくとも550%、少なくとも560%、少なくとも570%、少なくとも580%、少なくとも590%、少なくとも600%、少なくとも610%、少なくとも620%、725%以下、710%以下、700%以下、680%以下、665%以下、650%以下、635%以下、550%~750%、または600%~660%の縦方向の破断点引張伸び試験値を有することができる。
【0215】
この物品は、少なくとも575%、少なくとも590%、少なくとも600%、少なくとも615%、少なくとも630%、または少なくとも645%、770%以下、755%以下、740%以下、725%以下、710%以下、695%以下、680%以下、575%~775%、または625%~700%の横方向の破断点引張伸び試験値を有することができる。
【0216】
該当する場合、この物品は、少なくとも280g/ミル、少なくとも300g/ミル、少なくとも320g/ミル、少なくとも340g/ミル、または少なくとも360g/ミル、450g/ミル以下、430g/ミル以下、410g/ミル以下、390g/ミル以下、または370g/ミル以下、275g/ミル~475g/ミル、または325g/ミル~410g/ミルの縦方向のエルメンドルフ引裂力試験値を有することができる。
【0217】
該当する場合、この物品は、少なくとも475g/ミル、少なくとも490g/ミル、少なくとも500g/ミル、少なくとも525g/ミル、少なくとも540g/ミル、または少なくとも550g/ミル、700g/ミル以下、680g/ミル以下、650g/ミル以下、625g/ミル以下、600g/ミル以下、580g/ミル以下、または570g/ミル以下、475g/ミル~725g/ミル、または490g/ミル~640g/ミルの横方向のエルメンドルフ引裂力試験値を有することができる。
【0218】
該当する場合、この物品は、少なくとも20kpsi、少なくとも22kpsi、少なくとも24kpsi、少なくとも26kpsi、少なくとも28kpsi、または少なくとも30kpsi、40kpsi以下、38kpsi以下、36kpsi以下、34kpsi以下、または32kpsi以下、20kpsi~40kpsi、または25kpsi~35kpsiの縦方向の割線弾性係数試験値を有することができる。
【0219】
該当する場合、この物品は、少なくとも20kpsi、少なくとも22kpsi、少なくとも24kpsi、少なくとも26kpsi、少なくとも28kpsi、または少なくとも30kpsi、40kpsi以下、38kpsi以下、36kpsi以下、34kpsi以下、または32kpsi以下、20kpsi~40kpsi、または25kpsi~35kpsiの横方向の割線弾性係数試験値を有することができる。
【0220】
場合によっては、2つ以上のデンプンの混合物から形成された炭水化物系ポリマー材料を含む物品は、単一のデンプンから形成された炭水化物系ポリマー材料を含む物品よりも大きい強度特性値を有する。例えば、2つ以上のデンプンの混合物から形成された炭水化物系ポリマー材料を含む物品は、炭水化物系ポリマー材料が単一のデンプンから形成されている部品よりも少なくとも約5%大きい、または10%大きいダーツ落下衝撃試験値(グラムまたはg/ミルの厚さで)を有することができ、同じ物品であるが、単一のデンプンから形成された炭水化物系ポリマー材料を含む物品よりも少なくとも約25%大きい、少なくとも約50%大きい、少なくとも約75%大きい、10%大きい~150%大きい、または60%大きい~120%大きいダーツ落下衝撃試験値を有することができる。このような強度の増加の詳細は、本明細書の実施例、ならびに参照により既に組み込まれている米国特許出願第14/853,725号および同第15/481,806号に見られる。
【0221】
図1A、1B、および1Cは、本開示によるプロセスの特定の例をさらに示す。したがって、これらの図は、図1のより一般的なステップ、およびそれと共に提供される説明によって一般的に包含され、それは一般的に適用される。例えば、図1Aは、同様のステップ102、104、106、および108を示すが、110’において、製造された物品は特に吹込みフィルムであり、フィルム吹込み成形装置は、ブローアップ比が少なくとも2.0、および/またはダイギャップが500マイクロメートル以下であるように操作される。言い換えれば、図1Aは、再生可能な炭水化物系ポリマー材料がプラスチックフィルムが吹込み成形されるブレンドに含まれることを確実にすることによって、および高いブローアップ比および/または狭いダイギャップを具体的に選択することによって、吹込み成形されたプラスチックフィルムの強度を高めるために使用され得る例示的なプロセス100’を示す。102において、プロセス100は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、他のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ナイロン、ポリスチレン、ABS、ポリ塩化ビニルなどの、フィルムに吹込み成形することができる任意のプラスチック樹脂を含む、1つ以上の「他の」ポリマー材料を提供することを含み得る。「他の」ポリマー材料は、石油化学系ポリマー材料であり得る。それはまた、このような石油化学系ポリマー材料の「グリーン」なバージョン(例えば、Braskeemから入手可能な「グリーン」なポリエチレンなど)であり得る。多種多様なポリマーが「他の」ポリマー材料としての使用に適している可能性があることは明らかであろう。
【0222】
104において、プロセス100は、例えば、高いブローアップ比でおよび/または狭いダイギャップで吹込み成形されたときに強度を増加させるその認識された能力のためにブレンドに含めるように具体的に選択され得る、1つ以上の炭水化物系ポリマー材料を提供することを含み得る。再生可能な炭水化物系ポリマー材料は実質的に非晶質であり得、20%以下の結晶化度を有する。弾性率(すなわち、ヤング率)、ガラス転移温度、熱変形温度、ビカット軟化温度、または他の特性に関する様々な他の特性が、本明細書に記載されているBiologiQから入手可能な例示的なNuPlastiQまたはESR材料に関して記載されるように追加的にまたは代替的に存在し得る。106において、材料は106で一緒に混合され得、材料のブレンドを形成する。108において、フィルムを吹込み成形するための調製において、それらを加熱する(例えば、熱可塑性材料の場合は、溶融させる)ことができる。110’において、材料の混合物を使用するフィルム吹込み成形装置を用いて、プラスチックフィルムが吹込み成形される。このようなフィルム吹込み成形の間、使用されるブローアップ比は、少なくとも2.0であり得る。本明細書に記載されるように、出願人は、特に狭いダイギャップも伴う場合、ブレンド中に炭水化物系ポリマー材料を含めることと、2.0以上のブローアップ比を使用することとの組み合わせによって、強度が大幅に向上することを発見した。
【0223】
Cardia BL-FとPEとのブレンドから形成された多層フィルムは、LeufgensのWO2014/0190395号(特許文献1)に記載されており、これは、使用されるTPS材料が異なるため、ならびに特定のブローアップ比の選択のため比率および/または選択されるダイギャップ特性のために、本発明に記載されるフィルムよりも大幅に弱い。例えば、Leufgensの吹込みフィルムは、80マイクロメートル(すなわち、3ミル以上)の厚さであり、実際には100%PEフィルムの強度よりも小さい強度を示す。対照的に、本明細書に記載の特定の選択は、100%の「他のポリマー材料」(例えば、PE)対照と比較して、任意の所与の厚さでの強度を実際に増加させることを可能にする。さらに、本方法は、はるかに薄い厚さで所望のレベルの強度を有するフィルムの製造を可能にする。著しく薄い厚さで所望のレベルの強度を達成するこのような能力はまた、フィルム層に使用されている材料の量を減少させ、さらなるコスト削減、およびより大きな持続可能性の向上をもたらす。
【0224】
本明細書に記載のように、本明細書に記載の特定の炭水化物系ポリマー材料を別のポリマー材料とブレンドし、次いで材料の混合物を用いて少なくとも2.0のブローアップ比でおよび/または狭いダイギャップ(例えば、500マイクロメートル以下)で、プラスチックフィルムをフィルム吹込み成形装置で吹込み成形することは、第1のポリマー材料(例えば、PE)だけで吹込み成形された、他の点では類似のフィルムより大きな強度を示す薄いフィルム(例えば、2ミル未満、例えば、0.1~1.5ミル)を提供することが出願人によって見出された。
【0225】
いかなる特定の理論にも縛られるものではないが、このような高いブローアップ比および/または狭いダイギャップで吹込み成形されたときに実質的に非晶質である特定の再生可能な炭水化物系ポリマー樹脂は、得られたブレンドされたプラスチックフィルムの強度を増加させる方法で、ブレンドの異なるポリマー分子の望ましい整列、配向および/または延伸を促進すると考えられる。
【0226】
例えば、ポリマーは、結晶質(規則的に充填された)構造および非晶質(ランダムに配置された)構造の両方を用いて形成される。多くのポリマー(ポリエチレンなど)は、高度の結晶化度を含有するが、これらは、ポリマー構造全体にわたってランダムに配置されかつ絡み合ったいくつかの非晶質領域を含み得る。使用される特定の再生可能な炭水化物系ポリマー材料は、高度に結晶質ではなく、実質的に非晶質である。特定の理論に縛られるものではないが、結晶質の第1のポリマー材料と非晶質の再生可能な炭水化物系ポリマー材料との組み合わせは、ブレンドの成分が互いに均一にブレンドされるが、強度の増加をもたらす方法で配向整列かつ延伸されることを可能のする方法で、配向、整列、および延伸を受けると考えられる。このような増加は、縦方向(MD)および横方向(TD)の両方で観察され得、その結果、観察される現象は、ある方向の強度と別の方向の強度とを単純にトレードオフするものではない。このようなことは、両方向の強度を説明するダーツ落下衝撃データで明らかである。
【0227】
特定の非晶質炭水化物系材料の選択、および高いブローアップ比の選択、例えば、および/または狭いダイギャップの使用によるこのような強度の増加は、薄いフィルム内で、しばしばCardia BL-Fなどの他のTPS含有ブレンドで達成可能なものよりも薄い、強度の増加を有利にもたらす。場合によっては、本明細書に記載されるように、フィルムは、第1のポリマー材料を単独で吹込み成形するときと同程度に薄く、またはそれよりもさらに薄く吹込み成形することさえ可能である。例えば、出願人は、ポリエチレン単独で吹込み成形することができる最も薄いフィルムと同じくらい薄い、またはさらに薄い、ポリエチレンと再生可能な炭水化物系ポリマー材料とのブレンドからフィルムを吹込み成形する能力(例えば、0.1ミルを下回るフィルムを吹込み成形する能力)を観察した。
【0228】
本明細書に記載されているように、本明細書に記載されている低結晶化度および/または他の特性を有する炭水化物系ポリマー材料、および記載された高いブローアップ比および/または狭いダイギャップで形成された他のポリマー材料を含む物品は、「他の」ポリマー材料のみから形成された物品よりも大きい強度特性値を有することができる。このような強度の増加は、例えば、最新技術と比較して、有利かつ驚くべきことである。例えば、Leufgensは、デンプン系ポリマー材料(Cardia BL-F)とポリエチレンとのブレンドから吹込み成形されたフィルムを記載しているが、得られたフィルムは、ポリエチレン単独から形成された他の点では同様のフィルムと比較すると、より低い引張強度(Leufgensの図2)およびより低いダーツ落下衝撃強度を示す(Leufgensの図5)。これは、Cardia BL-Fとポリエチレンのブレンドが3:1のブローアップ比で吹込み成形された場合でも同じである。このようなことは、少なくともLeufgensで使用された少なくとも特定の条件では(これもまた1.6~1.8mmの比較的広いダイギャップを含む)、再生可能な炭水化物系ポリマー材料だけでは強度の増加が生じない可能性があるという証拠である。実施例が示すように、低い結晶化度および/またはNuPlastiQまたはESRに関連する他の特定の特性を有する本再生可能炭水化物系ポリマー材料を使用すると、強度の増加が生じる。
【0229】
強度の増加(例えば、引張強度、ダーツ落下衝撃強度、または他の強度測定値)は、「他の」ポリマー材料単独から形成されているが、他の点で同一である物品(すなわち、再生可能な炭水化物系ポリマー材料または相溶化剤なしの物品)と比較して、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、1%~50%、1%~40%、または10%~40%であり得る。
【0230】
図1Bおよび1Cは、ブレンド中に炭水化物系ポリマー材料を含めることによって提供される特有の臭気に対抗するための特定の方法を示す。当業者には明らかであるように、本明細書に記載の方法のいずれも一緒に使用することができる(例えば、臭気低減剤も含みながら、高いブローアップ比および/または狭いダイギャップでフィルムを吹込み成形する)。図1Bは、炭水化物系ポリマー材料、有機臭気低減剤、およびポリマー樹脂を含む物品を製造するための本発明による例示的方法100”を示す。102において、プロセス100は、1つ以上の「他の」ポリマー樹脂を提供することを含み得る。このような樹脂は、本明細書に記載されるように、プラスチック製造において伝統的に使用されている膨大な数のうちのいずれであってもよい。それぞれ103および104において、プロセス100は、有機臭気低減剤および炭水化物系ポリマー材料を提供することを含む。
【0231】
一実施形態では、臭気低減剤を炭水化物系ポリマー材料と共に含めることができる(例えば、そのマスターバッチに含める)。他の実施形態では、臭気低減剤は、例えば、ポリマー樹脂および炭水化物系ポリマーなどの両方とは別に、別の経路を介して、ポリマー樹脂と共に添加することができる。このような添加のための様々な経路が企図され、かつ可能であることは明らかであろう。臭気低減剤は、炭水化物系ポリマー材料によって他の方法で完成品に与えられる臭気を打ち消すその能力のために、ブレンド中に含めるために特に選択される。例えば、炭水化物系ポリマー材料は、そうでなければ、ブレンドの熱処理中(例えば、射出成形中、吹込み成形中、フィルム吹込み成形中など)に発生するわずかに焦げた炭水化物臭(例えば、わずかに焦げたデンプン臭、ポップコーンまたはキャラメルコーン様臭)を与えることがあり、ここで、102、103、および104における成分の混合物は一緒に溶融され、加熱された状態にある間に形成される。
【0232】
103における臭気低減剤は、任意のこのような所望の形態(例えば、ペレット、粉末、ナードル、スラリーおよび/または液体)であり得る。一実施形態では、臭気低減剤は、炭水化物系ポリマー材料の製造中または製造後に炭水化物系ポリマー材料のマスターバッチに混合することができる凍結乾燥粉末を最初に含んでもよい例えば、炭水化物系ポリマー材料がデンプン粉末(複数可)、グリセリン、および水の混合物から形成される場合、臭気低減剤(例えば、凍結乾燥粉末として)は、デンプン粉末(複数可)の混合物に、または水に、または可塑剤(例えば、グリセリン)に、およびこれらの混合物に単に添加され得る。次いで、炭水化物系ポリマー材料は、通常製造されるのと同じプロセスによって製造することができ、臭気低減剤を炭水化物系ポリマー材料に、その中の分散成分として(例えば、その中に均一に分散されて)組み込むことができる。
【0233】
別の実施形態では、粉末化または他の臭気低減剤は、溶融されてマスターバッチに含まれる他の成分(例えば、相溶化剤)との組み合わせのために調製されるので、炭水化物系ポリマーと単に混合され得る。炭水化物系ポリマー材料と他のポリマー樹脂とのブレンドからプラスチック物品を形成することになる成分のいずれかに臭気低減剤を添加するための多数の可能性が存在することは、当業者に明らかであろう。有機臭気低減剤を組み込むための様々なこのような代替経路も使用に適している場合がある。
【0234】
臭気低減剤をブレンドに導入するために選択された経路がどうであれ、102、103、および104での成分のブレンドは、上記および本明細書の他の箇所にあるような任意の考えられるプロセスを通して形成することができる。
【0235】
臭気低減剤は有機物であり得る。化学分野の当業者は、有機化合物が炭素系であるが、炭化物、炭酸塩、炭素酸化物(例えば、COおよびCO)、およびシアン化物などの単純な炭素化合物を除外することを理解するであろう。一実施形態では、有機臭気低減剤は、芳香族化合物であるベンジル基を含むことができる。ベンズアルデヒドおよび/またはベンジルケトンなどのベンゼンの種々の芳香族誘導体が使用に適している可能性がある。一実施形態では、有機臭気低減剤は、炭素原子、酸素原子、および水素原子のみを含む(例えば、ヘテロ原子を含まない)化合物であり得る。他の実施形態では、1つ以上のヘテロ原子を含む化合物が使用に適していることを証明することができる。特に効果的であることが証明された実施形態では、臭気低減剤は、ベンズアルデヒド化合物、例えば4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒドを含む。このような芳香族化合物はバニリンとしても知られており、以下に示す化学構造を有する。
【0236】
【化2】
ごく少量の有機臭気低減剤が、炭水化物系ポリマー材料に関連する臭気を中和するのに十分であることがわかっている。ほんの少しの臭気低減剤しか必要とされないという事実に加えて、有機成分(炭水化物系ポリマー材料)の添加に関連する問題がさらに多くの有機成分の添加によって解決され得ることも驚くべきことである。例えば、当業者は、そのような臭気を低減または実質的に排除するのではなく、熱処理時にブレンドによって放出される臭気を増大させるために、そのような追加の有機成分、特に芳香族化学構造を有するものを含めることを期待し得る。
【0237】
一実施形態では、無機または他の臭気低減剤は組成物中に含まれない。例えば、一実施形態では、活性炭、ゼオライト、または臭気性揮発性分子を結合することができる活性部位を含むことが知られている他の成分は、組成物中に含まれない。例えば、活性部位での結合に依存するメカニズムに作用するそのような臭気低減剤を含めることは、ベンズアルデヒドまたは他の有機臭気低減剤がその意図された機能を果たす能力を何らかの形で阻害する可能性がある(例えば、そのような活性部位は、単にベンズアルデヒドまたは他の有機臭気低減剤を結合するのに役立つ)。
【0238】
臭気低減剤は、1%以下、0.5%以下、0.25%以下、0.1%以下、0.05%以下、0.01%以下、1000ppm以下、500ppm以下、250ppm以下、100ppm以下、50ppm以下、または20ppm以下の、その中に提供された臭気低減剤を含む、いずれかのブレンドプラスチック材料、または炭水化物系ポリマー材料を含み得る(例えば、別のポリマー材料とブレンドするためのマスターバッチとして)。このような炭水化物系ポリマー材料を別のポリマー樹脂とブレンドすると、臭気低減剤の濃度は、当然のことながら、さらに希釈されてもよい。例えば、プラスチックブレンド物品中のこのような臭気低減剤の濃度は、15ppm以下、10ppm以下、5ppm以下、さらには1ppmであってもよい。このような小さい割合は、驚くべきことに、炭水化物系ポリマー材料を含むプラスチックに特有の臭気を打消し、かつ実質的に除去するのに有効であることが、出願人により見出された。
【0239】
バニリンに加えて、様々な果物および/または野菜からの他の抽出物も有機臭気低減剤としての使用に適している可能性がある。非限定的な可能な例としては、バニラ、イチゴ、ブルーベリー、バナナ、リンゴ、モモ、ナシ、キウイ、マンゴー、パッションフルーツ、またはラズベリーからの凍結乾燥抽出物が挙げられる。組み合わせも使用に好適であり得る。
【0240】
上記のように、一実施形態では、炭水化物系ポリマー材料を形成するために使用される水および/またはグリセリン(例えば、その中に溶解または分散された)に臭気低減剤を添加することができ、これは、完成した炭水化物系ポリマー材料全体の非常に小さい割合の臭気低減剤の均一な混合を確実にすることで特に有益であり得る。例えば、粉末臭気低減剤は、炭水化物系ポリマー材料を製造することになる他の粉末材料(例えば、デンプン(複数可))に添加することができるが、臭気低減剤の添加量があまりに少量であるため(例えば、マスターバッチ中20ppm)、それを固体粉末(複数可)と一緒にするよりも液体成分(複数可)と混合することによって、臭気低減剤の均一な分布を確実にすることがより容易であり得る。
【0241】
炭水化物系ポリマー材料への臭気低減剤の添加は、炭水化物系ポリマー材料と別の熱可塑性ポリマー樹脂とのブレンドの他の特徴的なキャラメルコーンまたはポップコーンタイプの臭気を示す傾向を実質的に除去することによって臭気特性を変化させるが、このような包含は、本明細書に記載されるように、NuPlastiQまたはESR材料の物理的または他の特性のいずれも実質的に変化させない。上述のように、臭気低減剤は、炭水化物系ポリマーNuPlastiQまたは「ESR」材料中に、1000ppm以下、500ppm以下、250pp以下、200ppm以下、100ppm以下、50ppm以下、40ppm以下、30ppm以下、25ppm以下、20ppm以下、5ppm~50ppm、10ppm~50ppm、または15ppm~25ppm野範囲で存在し得る。出願人は、NuPlastiQまたはESR材料中に20ppmのレベルが特に有効であることを見出した。ポリマー樹脂材料で希釈する際に、そのようなブレンドから形成される物品中の臭気低減剤の濃度はさらに低い(例えば、NuPlastiQまたはESRマスターバッチ中の20ppmレベルが、完成品では、わずか10ppm、わずか5ppm、またはわずか1ppmまで低下し得る)ことは明らかであろう。
【0242】
いくつかの実施形態では、NuPlastiQまたはESRは、上記のような炭水化物系ポリマー材料、臭気低減剤、およびある量の1つ以上の相溶化剤を含み得るマスターバッチ配合物で提供され得る。マスターバッチはまた、その中に既に含まれている1つ以上の「他の」ポリマー樹脂(例えば、炭水化物系ポリマー樹脂がブレンドされて目的の物品を形成するのと同じポリマー樹脂)を含んでもよい。このようなマスターバッチ配合物ペレットは、加工時に「他の」ポリマー樹脂材料のペレットと混合することができる。完成品中のNuPlastiQもしくはESRおよび/または相溶化剤および/または従来のポリマー樹脂の所望の比率に応じて、このような異なるペレットを混合する際に任意の考えられる割合を使用することができる。
【0243】
上記のように、臭気低減剤は、典型的には、1%以下、0.1%以下、0.01%以下、1000ppm以下、100ppm以下、50ppm以下、または20ppm以下などの非常に低いレベルで、炭水化物系ポリマー材料中に存在し得る。臭気低減剤を含む炭水化物系ポリマー材料をポリマー樹脂と混合すると、得られるブレンドプラスチック物品中の臭気低減剤のレベルは、炭水化物系ポリマー材料のポリマー樹脂材料に対する混合比に応じて低下する。本明細書で述べたように、多種多様の混合比が好適である。例として、1:1の混合比で、炭水化物系ポリマー材料マスターバッチ中の臭気低減剤の初期レベルが20ppmである場合、ブレンドから形成された完成プラスチック物品中では、それは今やわずか10ppmに低下している。炭水化物系ポリマー材料25%とポリマー樹脂材料75%との混合比では、臭気低減剤の初期20ppmレベルは今や5ppmに低下している。
【0244】
臭気低減剤の濃度は減少しているが、炭水化物系ポリマー材料に対する臭気低減剤の比は、このような混合に起因しては変化しないままであることは明らかであろう。例えば、臭気低減剤の炭水化物系ポリマーに対する重量比は、1:1000、またはさらにより希薄であり得る。例えば、この比は、1:1000、1:2000、1:5000、1:10,000、1:15,000、1:20,000、1:25,000、1:30,000、1:35,000、1:40,000、1:45,000、1:50,000、1:60,000、1:70,000、1:80,000、1:90,000、または1:100,000であってもよい。この比は、任意のこのような2つの値の間の範囲内(例えば、1:1000~1:100,000、または1:10,000~1:80,000、または約1:50,000)であってもよい。炭水化物系ポリマー材料中の臭気低減剤についての20ppmのレベルは、約1:50,000の比と同等であり得る。ポリマー樹脂材料と混合する際にも、ポリマー樹脂材料の添加がブレンド中の臭気低減剤または炭水化物系ポリマー材料の量を変化させないので、この比は実質的に一定のままであり得る。
【0245】
臭気低減剤は有機物であってもよいが、この成分が揮発性ではないことが重要であり得るので、(炭水化物系ポリマー材料中の残留含水量として)物品の熱加工中にそれが単に追い出されることはないことも明らかであろう。例えば、臭気低減剤は、周囲温度(例えば、25℃)および周囲圧力(例えば、1気圧)で液体ではなく固体であり得る。液体の場合、臭気低減剤は、水の揮発性よりも低い揮発性を示し得る(例えば、所与の温度および圧力での蒸気圧に対して測定されるように(例えば、上述のようにSTP))。一実施形態では、臭気低減剤は、108および110”における加工に関連する任意の温度より高い沸点を有し得る。臭気低減剤は、108および/または110”における加工に関連する温度より低い融点を有し得る。例えば、臭気低減剤は、周囲温度(例えば、25℃)では固体であり得るが、加工が行われる高温(例えば、125℃~165℃)では液体であり得る。4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒドは、このような臭気低減剤の一例である。
【0246】
例えば、臭気低減剤は、少なくとも30℃、少なくとも50℃、200℃未満、190℃未満、180℃未満、175℃未満、170℃未満、165℃未満、160℃未満、150℃未満、145℃未満、140℃未満、135℃未満、130℃未満、125℃未満、120℃未満、115℃未満、120℃未満、115℃未満、110℃未満、100℃未満、50℃~180℃、50℃~150℃、または60℃~100℃の融点を有することができる。臭気低減剤は、150℃超、160℃超、170℃超、180℃超、200℃超、225℃超、250℃超、150℃~500℃、200℃~400℃、または250℃~300℃の沸点を有することができる。例として、バニリンは81℃から83℃で融解し、285℃で沸騰する。
【0247】
図1Bは、ポリマー樹脂(102)、臭気低減剤(103)、および炭水化物系ポリマー材料(104)から物品を製造する方法を示しているが、図1Cは、それにより臭気低減剤を炭水化物系ポリマー材料に組み込むことができるプロセス100”’を示している。例えば、臭気低減剤は103で提供されてもよく、炭水化物系ポリマー材料は104で提供され、それらは106”で一緒に混合される。例として、これは、マスターバッチを配合するときに有機臭気低減剤が炭水化物系ポリマー材料に混合される場合(例えば、相溶化剤またはマスターバッチに含まれる他の成分も添加するときに、臭気低減剤が炭水化物系ポリマー材料に添加される場合)に起こり得る。別の実施形態では、臭気低減剤は、炭水化物系ポリマー材料が形成される出発原料(複数可)と混合されてもよい(例えば、臭気低減剤を、炭水化物系ポリマー材料がそれから形成される水、グリセリン、またはデンプン成分のうちの1つ以上に混合することによって)。いずれにせよ、選択された方法は、その中に分散された臭気低減剤を含む炭水化物系ポリマー材料をもたらす。その濃度は、本明細書に記載されるように、非常に低くてもよい(例えば、20ppm)。110’’’において、このような炭水化物系ポリマー材料(臭気低減剤を含む)を用いてポリマー樹脂とブレンドすることにより(例えば、典型的には、熱可塑性樹脂を溶融および一緒にブレンドするために、熱を加えることを伴う)物品を製造することができる。
【0248】
本明細書に記載される実施形態のいずれにも適用され得る標準的な特徴に戻ると、生分解試験(例えば、バイオメタンポテンシャル試験、またはASTM D-5511、ASTM D-5526、ASTM D-5338、またはASTM D-6691などの任意の適用可能なASTM規格)に供することを特徴とし得る。このような試験の下で、かつ与えられた期間(例えば、30日、60日、90日、180日、365日(1年)、2年、3年、4年、または5年)内に、本物品は、全ポリマー含有量および/または任意の非生分解性「他の」ポリマー含有量(炭水化物系ポリマー含有量とは別に)の実質的生分解を示し得る。バイオメタンポテンシャル試験は通常30日から60日かけて行われるが、時には90日もの期間行われることもある。より長期間の試験は、より典型的には、上述のASTM規格のいずれかの下で行われる。例えば、生分解促進添加剤を含まないか、または実質的に含まないであろう物品は、その炭水化物系ポリマー材料含有量よりも大きい生分解を示し得、他のプラスチック材料(複数可)もまた生分解性であること(またはバイオメタンポテンシャル試験下で生分解する可能性を示すこと)を示す。
【0249】
特に、物品を埋立地または他の処分および/または分解条件(例えば、堆肥化条件、または海洋条件)下の試験模擬生分解に180日間、200日間、365日間(1年間)、2年間、3年間、または5年間に供する場合、生分解は物品内の炭水化物系ポリマー材料の重量パーセントよりも大きくなり得る。言い換えれば、記載された炭水化物系ポリマー材料の包含は、そうでなければ非生分解性の「他の」ポリマー材料の少なくともいくらかの生分解をもたらし得る。
【0250】
例えば、炭水化物系のポリマー材料とPEとのブレンドから形成される物品は、フィルム中の炭水化物系ポリマー材料の重量分率よりも大きいこのような期間の後に生分解を示す可能性があり、PE(これまでは生分解性ではないと考えられていた)が、実際には炭水化物系ポリマー材料で生分解されていることを示している。このような結果は驚くべきことであり、かつ特に有利である。
【0251】
バイオメタンポテンシャル試験は、メタン生成に基づく嫌気的生分解の可能性を総メタン生成可能性のパーセントとして決定する。バイオメタンポテンシャル試験は、ASTM D-5511規格に従って試験試料の生分解性を予測するために使用することができ、バイオメタンポテンシャル試験は、ASTM D-5511規格からの1つ以上の条件を使用して実施することができる。例えば、バイオメタンポテンシャル試験は、約52℃の温度で行うことができる。さらに、バイオメタンポテンシャル試験は、例えば試験を加速して典型的な30日間、60日間、または時には90日間もの期間内に完了するように、ASTM D-5511のものと異なるいくつかの条件を有することができる。バイオメタンポテンシャル試験は、50重量%~60重量%の水と、40重量%~50重量%の有機固形分を有する接種材料を使用することができる。例えば、バイオメタンポテンシャル試験で使用される接種材料は、55重量%の水と、45重量%の有機固形分を有することができる。35℃~55℃または40℃~50℃などの他の温度でも、バイオメタンポテンシャル試験を行うことができる。
【0252】
生分解試験に供されると、約2重量%以下の生分解促進添加剤を有し(または好ましくはそれを含まない)、本明細書に記載の量の炭水化物系ポリマー材料および「他の」ポリマー材料を有する物品は、炭水化物系ポリマー材料の物品への導入の結果としての増大した分解を呈することができる。例えば、非炭水化物系ポリマー材料(例えば、「他の」ポリマー材料)の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、さらには少なくとも95%は、埋め立て、堆肥化、および/または海洋条件(もしくはそのような条件を疑似した条件)に曝されたときに、少なくとも約1年間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、または少なくとも約5年間にわたって生分解し得る。このような生分解は、特に注目に値し、かつ有利である。したがって、炭水化物系ポリマー材料が生分解するだけでなく、このような材料がそれ以外ではそれ自体で生分解性ではない場合でも、「他の」ポリマー材料も同様に生分解する。
【0253】
実施例は、時間の経過とともに生分解の量が非常に多くなり得、その結果、少なくともいくつかの実装例では、実質的に物品全体が生分解することを示す(例えば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%の180日以内、200日以内、または365日以内(1年以内)、2年以内、3年以内、5年以内、または他の期間内の生分解)。
【0254】
図2Aは、本開示による物品を製造するための例示的製造システム200の構成要素を示す。場合によっては、製造システム200は、図1のプロセス100、または図1A図1Cのプロセス100のいずれかにおいて使用することができる。例示的な例では、製造システム200は、一軸押出機または二軸押出機などの押出機である。
【0255】
一実装例では、1つ以上の非生分解性プラスチック材料および1つ以上の炭水化物系ポリマー材料が、第1のホッパー202および第2のホッパー204を介して提供される。相溶化剤は、一方または両方の材料に(例えば、そのマスターバッチ中に)含まれていてもよい。
【0256】
1つ以上の炭水化物系ポリマー材料および1つ以上の非生分解性プラスチック材料は、第1のチャンバ206内で混合され、材料の混合物を製造することができる。場合によっては、材料の混合物は、5重量%~40重量%の1つ以上の炭水化物系ポリマー材料、60重量%~94重量%の1つ以上の非生分解性プラスチック材料、および1重量%~9重量%の1つ以上の相溶化剤を含むことができる。本明細書に記載されるように、少量の臭気低減剤も存在し得る。当然のことながら、所望の特性に応じて、範囲は上記の範囲外で変動してもよい。
【0257】
図2Aに示す例示的実装例では、材料の混合物は、第1のチャンバ206、第2のチャンバ208、第3のチャンバ210、第4のチャンバ212、第5のチャンバ214、および任意選択の第6のチャンバ216などの多数のチャンバを通過することができる。材料の混合物は、チャンバ206、208、210、212、214、216内で加熱することができる。場合によっては、1つのチャンバの温度は、チャンバの別の1つのチャンバの温度とは異なり得る。例示的な例では、第1のチャンバ206は、120℃から140℃の温度に加熱され、第2のチャンバ208は、130℃から160℃の温度に加熱され、第3のチャンバ210は、135℃から165℃の温度に加熱され、第4のチャンバ212は、140℃から170℃の温度に加熱され、第5のチャンバ214は145℃から180℃の温度に加熱され、任意選択の第6のチャンバ216は、145℃から180℃の温度に加熱される。
【0258】
次いで、加熱された混合物をダイ218を用いて押出して、フィルム、シートなどの押出成形物を形成することができる。射出成形、熱成形、または他のプラスチック製造プロセスを使用して、調理用具、プレート、カップ、ボトル、それらのキャップまたは蓋などのような様々な物品を製造することができる。フィルム吹込み成形では、ガスを押出成形物に注入して、105bar~140barの圧力でそれを膨張させることができる。得られたチューブ220をローラー222を通して整列させて、典型的には0.02mm(約0.8ミル)~0.05mm(約2ミル)の厚さのフィルム224を作り出すことができる。本明細書に記載のブレンドを使用して、例えば0.1ミル(0.0025mm)程度の厚さを有する、さらに薄いフィルムを製造することができる。当然のことながら、2ミルを超える厚さもまた達成され得る。場合によっては、フィルム224は、単一層から構成することができる。他の場合では、フィルム224は、多層から構成することができる。複数の層が存在する場合、層のうちの少なくとも1つは、炭水化物系ポリマー材料を含み得る。いくつかの実施形態では、炭水化物系ポリマー材料は、1つ以上の外層に存在してもよい。別の実施形態では、炭水化物系ポリマー材料は、内層に存在してもよい。炭水化物系ポリマー材料が外層(複数可)に含まれていない場合、外層の生分解は起こらない可能性がある。
【0259】
図2Bおよび図2Cは、図2の吹込みフィルム装置に関するさらなる詳細を示し、特にブローアップ比およびダイギャップの特性が強度の増加のために特にどのように選択され得るかを示す、ダイ218、およびバブル220の形成を概略的に例示する。図2Bおよび図2Cに示すように、ダイ218は外側部材218aと内側部材218bとを含み得、それらの間にダイギャップ226が画定されている。本明細書に記載されるように、ダイ218は、狭いダイギャップ、例えば1000マイクロメートル未満、900マイクロメートル未満、800マイクロメートル未満、700マイクロメートル未満、600マイクロメートル未満、または500マイクロメートル未満(例えば、200~500マイクロメートル)を提供するように特に構成され得る。この狭いダイギャップは、他の熱可塑性デンプン成分を含むフィルムを吹込み成形するときに最新技術で使用されている(および恐らくは必要である)広いダイギャップとは著しく対照的である。例えば、Leufgensは、1.6~1.8mm(すなわち、1600~1800マイクロメートル)のダイギャップを記載している。高いブローアップ比であっても、このような大きなダイギャップを使用すると、本明細書に記載の強度の増加を達成することが不可能になる場合がある。
【0260】
図2Bは、比較的高いブローアップ比をさらに示しており、これはバブルの最大直径(D)をダイギャップの直径(D)で割った比として定義される。言い換えれば、フィルムのレイフラット幅に関して、ブローアップ比は0.637*(レイフラット幅)/Dに等しい。フロストライン228は図2Bにも示されており、フロストライン228におけるそのような結晶化領域の上により透明な外観を有するように、前に溶融したバブル材料が結晶化し始める点である。本明細書に記載されるように、ブローアップ比は少なくとも2.0、例えば2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、2.2~2.8、または約2.5である。出願人は、例えば1.5の典型的な吹込み成形ブローアップ比から2.5などの少なくとも2の値まで、ブローアップ比を単純に増加させることによって、フィルムの強度の増加を観察した。強度は、最大約3までの値で増加することが観察され、その後、強度の有意なさらなる増加は観察されず、そのため、2~3、2.2~2.8、または約2.5の値が特に適切である。本明細書に記載されるように、特に記載された再生可能な炭水化物系ポリマー材料を含むブレンドを吹込み成形するとき、ダイギャップは狭い値に維持され得、記載された強度の増加にも寄与することができる。
【0261】
例として、500マイクロメートル未満のダイギャップおよび少なくとも2(例えば、2.2~2.8、または約2.5)のブローアップ比は、最大1.5ミル(例えば、0.1ミル~1.5ミル)の厚さを有するこのようなブレンドからフィルムを吹込み成形するために特によく適している。より厚いフィルム(より厚いフィルムが必要とされる場合)を吹込み成形するためには、それを通る溶融材料の流れに適応するようにダイギャップを増加させる必要があり得る。例えば、10ミル、またはさらには5ミルの非常に厚いフィルムを吹込み成形するためには、ダイギャップをいくらか大きくする必要があり得る(ただし、その値は依然として1000マイクロメートル未満、またはさらには500マイクロメートル未満であり得る)。
【0262】
本明細書に記載の概念は、以下の実施例においてさらに説明されるであろう。
【実施例
【0263】
実施例1
11個のデンプン系ポリマーを、27%の牛脂グリセリン(99%の純粋なグリセリン)および73%のデンプン(水を除く)から形成した。完成した各デンプン系ポリマーを、約1%未満の水を示し、LLDPEおよび無水物変性LLDPEと、それぞれ25重量%、70重量%、および5重量%の割合で混合した。次いで、得られた混合物を押出し、フィルムに吹込み成形した。各フィルムの70%がLLDPEであり、25%がデンプン系ポリマーであり、各フィルムの5%が無水物変性LLDPEであった。次いで、ASTM D-1709に従って落下ダーツ衝撃試験を用いてフィルムを試験した。試験したデンプンと強度試験の結果(グラム)の組み合わせを、表3に示す。表3の結果は、デンプンの混合物から形成された試料が、単一のデンプンから形成された試料のダーツ落下衝撃試験値よりも大きいダーツ落下衝撃試験値を有することを示す。
【0264】
【表4】
図5は、フィルム中のデンプン系NuPlastiQまたは「ESR」の百分率に基づく、異なる厚さのフィルム(0.5ミル、1ミル、1.5ミル、2.0ミル)についての衝撃試験強度をチャートにしている。図5に示す形成されたフィルムに使用されたNuPlastiQまたはESRは、90%のトウモロコシデンプンおよび10%のジャガイモデンプンを含むデンプンのブレンドから形成された。図5は、約20%~約25%のNuPlastiQまたはESRで最大強度まで、NuPlastiQまたはESRの割合が増加するにつれてフィルムの強度がどのように増加するかを示す。ブレンドの残部は、本明細書に記載されるように、ポリエチレンおよび適切な相溶化剤を含んでいた。
【0265】
図6Aは、25%炭水化物系ポリマー材料を含み、残部が本明細書に記載されるように極めて少量(例えば、約5%)の相溶化剤と、PE(約70%)戸を含む、フィルムについての異なる厚さのフィルム(約0.1ミルから最大2ミルまで)に対するダーツ衝撃試験強度を示す。図6はまた、100%PEフィルムについての比較強度を示しており、それは全ての点において本開示によるブレンドについてよりも低い。図6は、農産物用バッグ(例えば、スーパーマーケットの農産物部門において、農産物を保持するために消費者に提供されるバッグ)についての、様々な「持ち運び」バッグ(例えば、運搬用に提供される食料品および他のプラスチックバッグ)についての、およびジャガイモ用バッグ(スーパーマーケットの農産物部門で典型的に5、10、または20ポンドのジャガイモを保持するのに使用されるプラスチックバッグ)についての他の様々な試験基準点をさらに示す。実施例8も同様であるが、「他の」ポリマー材料が石油源から誘導された合成LLDPEではなくバイオポリエチレンであるブレンドについての結果を示す。
【0266】
図7は、本開示による様々なブレンドフィルム、ならびに比較フィルム(例えば、100%LLDPE、100%リサイクルLLDPE(rLLDPE))についての、異なる厚さのフィルム(0.5ミル未満から最大約2ミルまで)についてのダーツ衝撃試験強度をチャートにしている。未使用材料(25%NuPlastiQまたはESR、70%LLDPE、5%相溶化剤(25%NuPlastiQまたはESR/75%LLDPEと表示))から形成されたフィルムについての強度特性を示すことに加えて、図7は、このようなリサイクル材料(rLDESR)を未使用材料と次いでブレンドする(25%NuPlastiQまたはESR/25%rLDESR/50%LLDPEと表示)場合、またはブレンド中にリサイクルLLDPE(rLLDPE)が使用されている(25%NuPlastiQまたはESR/25%rLLDPE/50%LLDPEと表示)場合に生じる強度も示す。示されているように、再生可能性および生分解性の増加という前述の特徴に加えて、強度の結果は、PEポリマー材料の使用と比較して改善されている。
【0267】
実施例2
3つの試料を349日間試験して、ASTM D-5511に従って生分解性の特徴を決定した。この試験は、本格的な嫌気性消化装置(埋め立て地)の条件を再現することを意図していた。3つの試料(1342、1343、および1344と称される)の結果を図8A~8Bおよび表4に示す。図8Aは、対照と比較した場合の、試料1343、1343、および1344の全てについての結果を示す。図8Bは、対照と比較した、試料1344単独の結果を示す。試料1342は、30%NuPlastiQまたはESR(10%未満の結晶化度を有する実質的に非晶質の炭水化物系ポリマー材料)、67%のPBAT、および3%の相溶化剤から形成され、1.1ミルの厚さを有した。試料1343は、27.5%のNuPlastiQまたはESR、70%のPBATおよび2.5%の相溶化剤から形成され、1.0ミルの厚さを有していた。試料1344は、40%NuPlastiQまたはESR、56%LLDPEおよび4%相溶化剤から形成され、1.0ミルの厚さを有していた。
【0268】
【表5】
図8A~8Bは、204日後、陰性対照が2.5%の分解を示し、陽性対照が86.5%の分解を示し、試料1342が43.3%の分解を示し、試料1343が53.9%の分解を示し、試料1344が77.2%の分解を示すことを示している。349日における分解値は、表4に示す通りである。
【0269】
349日後の生分解は、特に優れている。例えば、PBATを含む試料(1342および1343)は非常に良好な生分解を示し、生分解率はフィルムに含まれる炭水化物系ポリマー材料の割合よりはるかに大きいが、試料1344(図8B参照)はさらに驚くほど高く、非生分解性プラスチック材料がポリエチレンである場合、ほぼ96%の生分解(陽性対照よりさらに高い)を示し、これは通常の状況下では、当然のことながら、生分解性ではない(例えば、100%のポリエチレンであった表4の陰性対照参照を参照されたい)。このような生分解の結果は、注目に値し、かつ特に有利である。
【0270】
実施例3
25%NuPlastiQまたはESR、70%LLDPEおよび5%相溶化剤のブレンドで製造されたジャガイモ用包装袋を、ASTM D-5526に従って、60日、107日、202日、317日、439日、573日、および834日後に嫌気性生分解について試験した。この試験は、本格的な嫌気性消化装置(埋め立て地)の条件を再現することを意図していた。試験を様々な条件下で行い、接種材料は約35%、45%、および60%の有機固形分を有し、残部は水であった。35%の有機固形物(および65%の水)を含む接種材料についての結果を、図9および表5Aに示す。表5Bは、他の接種材料の値および他の試料についての結果を示す。ジャガイモ用バッグは、1.35ミルの厚さを有していた。これらのバッグを、試料1072と称する。
【0271】
【表6】
25%のNuPlastiQまたはESR、および70%のLLDPEで製造されたジャガイモ用バッグは、模擬埋立地条件下で834日間にわたって、注目すべき81%の生分解を示した。NuPlastiQまたはESRはポリエチレンと均一にブレンドされており、有利にはポリエチレンの長い炭素鎖が分解され、炭水化物系ポリマーNuPlastiQまたはESR材料を消費するのと同じ微生物によって消化される結果を有利にもたらす。このような結果は、ポリエチレンを含むバッグ全体が二酸化炭素、メタン、および水に生分解されていることを示している。このような結果は驚くべきことであり、かつ特に有利である。
【0272】
45%の有機固形分および60%の有機固形分で行われた試験もまた、生分解率がジャガイモ用バッグに含まれるNuPlastiQまたはESRの割合を超える結果を示した。1%の生分解促進添加剤を含む同様のジャガイモ用バッグ(試料1073)、およびEcoFLEX(商標)堆肥化可能樹脂、およびメタロセンLLDPEを含む他の同様なジャガイモ用バッグ(試料1075)を用いての試験も行った。
【0273】
【表7】
実施例4
NuPlastiQまたはESRとLLDPEとのブレンドを用いて製造したフィルムを、ASTM D-5338に従って201日後および370日後に嫌気性生物分解について試験した。条件は、好気性消化および/または工業用堆肥条件を模擬することを意図していた。試験したフィルムは、表6および図10A図10Bにおいて1345および1346と表示されており、これらは370日後の結果を示している。201日目に、試料1345および1346はそれぞれ、74.2%および72.4%の調整された生分解率値を示したが、陰性対照は-3.3%を示し、陽性対照は100%を示した。図10A~10Bは、実際の生分解率をプロットする。試料1345は、25%のNuPlastiQまたはESR、72.5%のLLDPE、および2.5%の相溶化剤を含んでいた。試料1346は、40%のNuPlastiQまたはESR、56%のLLDPE、および4%の相溶化剤を含んでいた。両方のフィルムは、1.0ミルの厚さを有していた。
【0274】
【表8】
特に試料1345における370日後の生分解は、特に優れている。この試料(図10B参照)は、非生分解性プラスチック材料がポリエチレンである場合、97%を超える生分解を示し、これは通常の状況下では、当然のことながら、生分解性ではない(例えば、100%のポリエチレンであった表6の陰性対照を参照されたい)。このような生分解の結果は、注目に値し、かつ特に有利である。
【0275】
実施例5
NuPlastiQまたはESRとPBATとのブレンドを用いて製造したフィルムを、海洋条件を模擬することを意味する、ASTM D-6691に従って205日後に嫌気性生物分解について試験した。試験されたフィルムは、表7および図11において1439および1440と表示されている。205日目に、試料1439および1440はそれぞれ、49.6%および53.6%の調整された生分解率値を示した。試料1439は、30%のNuPlastiQまたはESR、67%のPBAT、および3%の相溶化剤を含んでいた。試料1440は、27%のNuPlastiQまたはESR、70%のPBAT、および2.5%の相溶化剤を含んでいた。試料フィルム1439は1.1ミルの厚さを有し、試料フィルム1440は1.0ミルの厚さを有していた。
【0276】
【表9】
実施例6
追加の製造フィルムを、生分解性について試験した。以下の表8は、このような試験の結果を要約したものであり、そのいくつかは上に詳細に記載されている。このような試験は、様々な模擬条件下(例えば、埋立地、堆肥化、海洋環境)で、炭水化物系ポリマー材料、および様々なポリマー材料の広い範囲の割合にわたって優れた生分解性の結果を示す。
【0277】
【表10】
実施例7
本発明に従って、炭水化物系ポリマー材料の異なる添加量レベルについて生分解性を評価するために追加の試験を実施した。試験は、ASTM D5511に従った。試験試料中の炭水化物系ポリマー材料のレベルは、ブレンドの0重量%(対照)、1重量%、5重量%、10重量%、および20重量%であった。以下の表9は、このような試験の結果を要約する。1%添加量でも、65日後の生分解率(2.7%)は、添加量(1%のみ)よりも大きく、ブレンドに含まれるポリエチレンもまた分解されていることを示している。この傾向は、生分解率が増加し続ける95日目におけるデータでも続いている(例えば、95日目で5%)。炭水化物系ポリマー材料の5%、10%、および20%のより高い添加量では、さらに加速された結果が見られる。生分解性を与える炭水化物系ポリマー材料を充填した全ての試料において、非生分解性プラスチック含有量全体が、例えば妥当な期間内(例えば、1年、2年、3年、4年、または5年以内)に、このような処分条件下で分解されることが予想される。
【0278】
【表11】
実施例8
フィルムを、バイオポリエチレン(Braskemから供給)、NuPlastiQまたはESR、およびBynel(登録商標)相溶化剤のブレンドから製造した。一旦形成されたら、得られたフィルムをダーツ強度について試験した(例えば、ASTM D-1709に従って)。フィルムは、0.5ミルから最大2ミルまでの様々な厚さで、および0重量%から35重量%に及ぶデンプン系ポリマー材料(NuPlastiQまたはESR)の範囲の様々な割合で吹込み成形した。結果を図12Aおよび図12Bに示す。
【0279】
図12Aから明らかなように、バイオポリエチレン単独(NuPlastiqまたはESRなし)は、0.5ミルの厚さで約120gのダーツ強度、1ミルの厚さで約155gのダート強度、1.5ミルの厚さに対して約200g、2ミルの厚さに対して約270gのダーツ強度を提供する。おおよそのダーツ強度を、表10Aに示す。表10Bは、純粋なバイオポリエチレンフィルムと比較したときの強度増加の百分率を示す。フィルム内の全ての厚さ、および試験した全てのNuPlastiQまたはESRの百分率で増加があることは容易に明らかである。強度の増加は、フィルムが厚くなるにつれて特に大きくなる(すなわち、増加率は、より薄いフィルムと比較してより厚いフィルムではさらに劇的である)。
【0280】
【表12】
【0281】
【表13】
このようなフィルムの形成および試験において、出願人は、強度の増加の結果が、合成石油化学ポリエチレンを使用して見られる結果と概してよく一致することを観察した。上記のように、ブレンド中にバイオポリエチレン材料を使用すると、厚さが増すにつれて強度の向上がより急速に増大することが観察された(すなわち、増加率は、より薄いフィルムと比較してより厚いフィルムで最も劇的である)。
【0282】
バイオポリエチレンを用いたデンプン系NuPlastiQまたはESRのためのスイートスポットは、石油化学原料ポリエチレンを用いて観察された約25%ではなく、約15%であり得ることもまた観察された。それにもかかわらず、NuPlastiQまたはESRをいずれかのベース樹脂とブレンドすると、強度の増加が同様に観察された。
【0283】
最後に、実施例8に従って形成されたフィルムは40%をはるかに超える生物原料含有量を含み、ベース樹脂(例えば、本明細書に記載されるもののような任意の「グリーン」な持続可能なポリマー材料)および炭水化物系またはデンプン系のNuPlastiQまたはESR材料は、持続可能な材料に由来する。生物原料含有量としてカウントされなかったフィルム中の唯一の成分は、相溶化剤である(また利用可能であれば、持続可能な相溶化剤を使用することができる)。したがって、生物原料含有量は、フィルムまたは他の製品の少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、またはさらには少なくとも95重量%であり得る。実施例8のフィルムは、それらが90重量%を超える生物原料含有量を含むように、Bynel(登録商標)相溶化剤以外の生物原料含有量からなっていた。
【0284】
最後に、実施例8のフィルムは、上記の実施例で試験した他の様々な試験ポリエチレンについて記載したのと同様の方法で、実質的に完全に生分解性である。したがって、本発明は、持続可能であるだけでなく生分解性でもある、非常に高い生物原料含有量のポリマーフィルムおよび他の製品を提供する。
【0285】
実施例9
この実施例は、ブローアップ比および/またはダイギャップの効果を例示している。ダーツ衝撃試験強度は、ポリエチレン単独から形成されたフィルム、ならびにNuPlastiQまたはESR、ポリエチレン、および相溶化剤のブレンドから形成されたフィルムを含む、様々なフィルムについて測定される。ブレンドから形成されたフィルムは、25%の再生可能な炭水化物系ポリマー材料、5%の相溶化剤、および70%のポリエチレンを含む。全てのフィルムは、約2.5のブローアップ比で吹込み成形される。出願人は、ブレンドを用いて増大したブローアップ比でフィルムを吹込み成形すると、強度の増加が観察されるが、ポリエチレンのみからフィルムを吹込み成形する場合には、ブローアップ比が強度にいかなる有意な影響も及ぼさないことを観察した。言い換えれば、ポリエチレン単独では、ブローアップ比が1.5、3、またはその間のどこであっても、強度は実質的に同じである。以下の表11は、対照と比較した本発明の様々な厚さのフィルムについてのおおよそのダーツ衝撃強度値(gでの)、ならびに対照と比較したときの様々なブレンドについての強度増加率を示す。
【0286】
【表14】
図13は、ポリエチレンと25%NuPlastiQまたはESR再生可能炭水化物系ポリマー材料とのブレンドから、例えば、約2.5のブローアップ比で形成されたフィルムと比較した、様々なフィルム厚さにおける100%ポリエチレンフィルムの追加の比較ダーツ衝撃強度データを示す。図13は、わずか0.1ミルの厚さを有するフィルムを製造する能力を示す。本明細書に記載されるように、ポリエチレン材料単独からこのような薄フィルムを形成することは、かなり困難であり得る。図13によって示されるように、100%ポリエチレンフィルムの強度は、ブローアップ比と実質的に無関係である(すなわち、強度は、1.5のブローアップ比、または2.0、または2.5もしくは3.0のブローアップ比で実質的に同じである)。全ての点で、25%NuPlastiQまたはESR再生可能炭水化物系ポリマー材料ブレンドから形成されたフィルムの強度は、ポリエチレン単独から形成されたフィルムの強度よりも大きい。
【0287】
実施例10
実施例10~14は、臭気低減剤の添加の例示である。実施例10は、比較例である。試料は、炭水化物系ポリマー材料と別のポリマー樹脂(ポリエチレンとして選択される)のブレンド、ならびに無水マレイン酸変性PE相溶化剤から調製される。相溶化剤は5重量%の量で含まれる。炭水化物系ポリマー材料の量は5重量%から最大50重量%まで変化し、残部はポリエチレンポリマー樹脂である。これらの試料は、いかなる臭気低減剤も含まず、炭水化物系ポリマー材料に特有のわずかな臭いを示し、これはポップコーン様の臭い、キャラメルコーン様の臭い、またはわずかに焦げたデンプン臭として説明され得る。物品の幾何学的形状が比較的開いた状態であるとき(例えば、材料の平面シートまたはフィルム)、臭気はほとんど観察できないが、幾何学的形状が比較的閉じられた状態であるとき(例えば、カップ状、またはフィルムがロールに巻かれている場合)、臭気はより顕著になる。
【0288】
実施例11
実施例10のものと同一であるが、臭気低減剤として少量の4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)を含む試料を調製する。臭気低減剤は粉末として、例えば、凍結乾燥粉末として提供される。粉末を、炭水化物系ポリマー材料を製造するために使用される液体成分(例えば、水および/またはグリセリン)と混合して、その中に臭気低減剤の均一な分散液を得る。その後、実施例10(および実施例1)と同様にして、水、グリセリン、およびデンプンから炭水化物系ポリマー材料を形成するので、完成した炭水化物系ポリマー材料は、重量で20ppm(0.002%)のレベルでその中に分散したレベルの臭気低減剤を含む。各試料において、炭水化物系ポリマー材料の臭気低減剤に対する比(NuPlastiQまたはESR対ORAの比)は、50,000:1である。
【0289】
試料の特性は、表12に示す通りである。
【0290】
【表15】
実施例10の他の点では同一の試料とは対照的に、これらの試料は、実施例10に記載されたわずかな特徴的な臭気をもはや示さない。臭気の違いは、ブレンドがカップの形態に成形されている場合など、比較的閉じた形状で特に顕著である。比較として、表12に示すようなブレンドから形成されたカップは、100%ポリエチレンから形成されたカップと同様に、認識可能な臭気を全く示さない。炭水化物系ポリマー含有量に典型的に付随する他の特徴的な臭気を打ち消すためには、ごく少量の臭気低減剤で十分であることは驚くべきことである。
【0291】
実施例12
実施例10のものと同一であるが、臭気低減剤として少量の凍結乾燥イチゴ粉末を含む試料を調製する。粉末臭気低減剤は、重量で20ppm(0.002%)のレベルで炭水化物系ポリマー材料中に分散している。
【0292】
物品は実施例10と同じ方法で形成されるが、その中に分散された少量の臭気低減剤を含む。
【0293】
【表16】
実施例10の他の点では同一の試料とは対照的に、これらの試料は、実施例10に記載されたわずかな特徴的な臭気をもはや示さない。臭気の違いは、ブレンドがカップの形に成形されている場合など、比較的閉じた形状で特に顕著である。比較として、表13に示すようなブレンドから形成されたカップは、100%ポリエチレンから形成されたカップと同様に、認識可能な臭気を全く示さない。炭水化物系ポリマー含有量に典型的に付随する他の特徴的な臭気を打ち消すためには、ごく少量の臭気低減剤で十分であることは驚くべきことである。
【0294】
実施例13
実施例10のものと同一であるが、臭気低減剤として少量の凍結乾燥ブルーベリー粉末を含む試料を調製する。粉末臭気低減剤は、重量で20ppm(0.002%)のレベルで炭水化物系ポリマー材料中に分散している。
【0295】
物品は実施例10と同じ方法で形成されるが、その中に分散された少量の臭気低減剤を含む。
【0296】
【表17】
実施例10の他の点では同一の試料とは対照的に、これらの試料は、実施例10に記載されたわずかな特徴的な臭気をもはや示さない。臭気の違いは、ブレンドがカップの形に成形されている場合など、比較的閉じた形状で特に顕著である。比較として、表14に示すようなブレンドから形成されたカップは、100%ポリエチレンから形成されたカップと同様に、認識可能な臭気を全く示さない。炭水化物系ポリマー含有量に典型的に付随する他の特徴的な臭気を打ち消すためには、ごく少量の臭気低減剤で十分であることは驚くべきことである。
【0297】
実施例14
実施例10のものと同一であるが、臭気低減剤としてごく少量の凍結乾燥ブバニリン粉末を含む試料を調製する。粉末臭気低減剤は、重量で5ppm(0.0005%)~100ppm(0.01%)のレベルで炭水化物系ポリマー材料中に分散している。
物品は実施例10と同じ方法で形成されるが、その中に分散された少量の臭気低減剤を含む。
【0298】
【表18】
実施例10の他の点では同一の試料とは対照的に、これらの試料は、実施例10に記載されたわずかな特徴的な臭気をもはや示さない。臭気の違いは、ブレンドがカップの形に成形されている場合など、比較的閉じた形状で特に顕著である。比較として、表15に示すようなブレンドから形成されたカップは、100%ポリエチレンから形成されたカップと同様に、認識可能な臭気を全く示さない。炭水化物系ポリマー含有量に典型的に付随する他の特徴的な臭気を打ち消すためには、ごく少量の臭気低減剤で十分であることは驚くべきことである。比較的高いレベルのバニリン(例えば、100ppm以上)は、特徴的な好ましいバニラ臭を含み始める可能性がある。
【0299】
IV.結論
最後に、様々な実装例は構造的特徴および/または方法論的行為に特有の言語で説明されているが、添付の表現で定義された主題は必ずしも説明された特定の特徴または行為に限定されないことが理解されるものとする。そうではなく、特定の特徴および動作は、特許請求の範囲に記載の主題を実施する例示的な形態として開示されている。
【0300】
最後に、本明細書に開示された本発明の特徴の実施形態は、本発明の特徴の原理の例示であることを理解されたい。採用され得る他の修正は、本発明の特徴の範囲内である。したがって、限定ではなく例として、本発明の特徴の代替構成を本明細書の教示に従って利用することができる。したがって、本発明の特徴は、図示および説明されたものに厳密に限定されない。
【0301】
本開示の範囲は、任意の請求項を他の任意の請求項に従属するように書き換えること、他の請求項の任意の組み合わせから複数の従属関係を含むこと、および/または複数の請求項を組み合わせることに及ぶことが理解されよう。このようなことは、発明の概要の節に記載されているように「請求され得る例示的概念の要約」にも及ぶ。本開示の範囲はまた、別の請求項への挿入のための、任意の請求項からの任意の組み合わせの特徴の挿入および/または除去、または任意の他の請求項からのそのような機能の任意の組み合わせを含む新しい請求項の起草に及ぶ。
図1
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13