(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】可溶性平面区画を有する液体および粉末材料用の袋、その方法および使用、ならびに可溶性平面区画の使用
(51)【国際特許分類】
B65D 30/02 20060101AFI20230327BHJP
B65D 65/46 20060101ALI20230327BHJP
B65D 75/58 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
B65D30/02
B65D65/46
B65D75/58
(21)【出願番号】P 2019553024
(86)(22)【出願日】2018-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2018057242
(87)【国際公開番号】W WO2018177859
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-22
(32)【優先日】2017-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503343336
【氏名又は名称】コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.-Albert-Frank-Strasse 32, D-83308 Trostberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン バウマイスター
(72)【発明者】
【氏名】マーク ツィンテル
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ボッセ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ゼムリンガー
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン エレンリーダー
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー マレク
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-258845(JP,A)
【文献】特開平03-124562(JP,A)
【文献】米国特許第05492410(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/02-30/16
B65D 65/46
B65D 75/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ポリマー製の平面区画(F)
の部分と、非水溶性紙および/または非水溶性ポリマーからの部分
と、を有し、前記平面区画(F)が、袋の表面を5%以上35%以下占め、前記平面区画(F)が袋の充填物と直接的に接触している、液体または粉末材料用の袋であり、前記水溶性ポリマーの溶解後に、前記袋を空にすることが可能な開口部が生じることを特徴とする、前記袋。
【請求項2】
前記袋が直立しており、かつこれを水平に見た場合に、前記平面区画(F)が、前記袋の高さに対して、前記袋の上半分または下半分に完全に位置していることを特徴とする、請求項1記載の袋。
【請求項3】
前記袋が直立しており、かつこれを水平に見た場合に、前記平面区画(F)が、前記袋の高さに対して、前記袋の上四分の一または下四分の一に完全に位置していることを特徴とする、請求項1または2記載の袋。
【請求項4】
前記平面区画(F)が、前記袋の上側または底部平面に位置していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の袋。
【請求項5】
前記袋の底部平面が、非水溶性紙および/または非水溶性ポリマーと前記平面区画(F)とから成り、ここで前記平面区画(F)が、袋の底部平面を、11.5%超かつ75%以下占めることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の袋。
【請求項6】
前記水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコールのホモポリマーまたはコポリマーおよび部分鹸化ポリビニルアルコールのホモポリマーまたはコポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の袋。
【請求項7】
前記非水溶性紙が、再生紙またはクラフト紙から選択され、前記非水溶性ポリマーが、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンから選択されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の袋。
【請求項8】
前記平面区画(F)が、40μm超~200μmのフィルム厚を有するフィルムから成ることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の袋。
【請求項9】
前記平面区画(F)が、取り外し可能なカバーシートに完全に覆われていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の袋。
【請求項10】
前記袋が、前記平面区画(F)および前記取り外し可能なカバーシートを除いて、同じ素材を含むか、または同じ素材から成ることを特徴とする、請求項9記載の袋。
【請求項11】
前記袋が液体または粉末材料を含むことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の袋。
【請求項12】
請求項11記載の袋から液体または粉末材料を取り出す方法であって、以下の工程:
a) カバーシートが存在する場合、前記平面区画(F)を任意で少なくとも部分的に取る工程、
b) 前記平面区画(F)が、少なくとも部分的に水位線より下に位置するように、水を含む容器に前記袋を入れる工程、
c) 前記平面区画(F)が少なくとも部分的に溶解するまで待つ工程、
d) 前記容器から前記袋を取り出す工程、ここで、前記平面区画(F)の少なくとも部分的な溶解の後に生じた開口部は、取り出しの間に、少なくとも部分的に水位線よりも下に位置している
を記載の順序で含む、前記方法。
【請求項13】
非水溶性紙または非水溶性ポリマーの平面を水溶性ポリマーの平面に結合することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の袋の製造方法。
【請求項14】
液体または粉末材料を包装するための、請求項1から10までのいずれか1項記載の袋の使用。
【請求項15】
空気中への不快な臭いおよび/または健康を害する物質の放出を低減するための、殊に肺胞に到達する粉塵の放出を低減するための、
水溶性ポリマー製の平面区画(F)
の部分と、非水溶性紙および/または非水溶性ポリマーからの部分
と、を有し、前記平面区画(F)が、袋の表面を5%以上35%以下占め、前記平面区画(F)が充填物と直接的に接触している、液体または粉末材料用の袋の一部としての水溶性ポリマー製の平面区画(F)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体および粉末材料用のまたは液体および粉末材料を含む袋、このような袋から液体または粉末材料を取り出す方法、このような袋の製造方法、ならびに液体または粉末材料を包装するための袋の使用に関する。本発明はさらに、空気中への不快な臭いおよび/または健康を害する物質の放出を低減するための、液体または粉末材料用の袋の一部としての水溶性ポリマー製の平面区画の使用に関する。
【0002】
セメント、珪砂などの鉱物系建材や、植物保護剤および肥料などの別の材料も、さらに加工される前に、しばしば水に溶解または分散させられる。これらの材料は、しばしば袋などに包装される。液体および粉末材料のどちらの場合でも、これらの材料は、袋の内容物が水に投入される際に、例えば蒸気または(肺胞に到達する)粉塵としてしばしば大気中に放出される。人への暴露を防止するためには、相応する保護具が必要であろう。多数の人が同時に作業する工事現場では、これを実装することが難しい。というのも、しばしば多量の建材を用いて作業が行われ、常に粉塵への暴露が生じるからであり、言い換えれば、保護具を常に着用する必要があるからである。植物保護剤および肥料についても同様のことが言え、これらは、場合によっては相応するガレージ内で相応する農業機械に注がれなくてはならず、ガレージの比較的長い換気が必要となるだろう。
【0003】
しかしながら、先に挙げた例にとどまるなら、肥料、植物保護剤および鉱物系の粉塵、例えばセメント粉塵、石英粉塵などは、特に先に挙げた状況における支配的な濃度を原因として、しばしば健康を害する。材料次第では、例えば気泡コンクリート用のアルミニウム粉末においても、相応する粉塵が放出された場合、粉塵暴露が起こり得る(今のところこれは、例えば、油、グリコールエーテルなどにおいて懸濁することにより回避する必要がある)。
【0004】
健康保護および作業保護、殊に暴露限界値に対する法的規制は、近年ますます厳しくなっており、将来的にさらに厳しくなっていくことが見込まれる。基本的には、より少ない揮発性成分が含有されるように配合を相応して変えることが考えられ、例えば粉末の場合、圧縮してペレットにすることが理論上の選択肢である。しかしながら、すべての粉末を、比較的長い輸送およびそれに伴う振動後に粉塵を形成しない安定したペレットに圧縮できるわけではない。さらに、いずれの場合にも、少なくともコストを著しく上げないことには、配合面での調整が可能にならない。
【0005】
別の選択肢は、蒸気または粉塵の生成を最小限に抑えるまたは回避する新たな包装材を提供することである。
【0006】
水溶性ポリマー、例えばポリビニルアルコール製の包装材は、洗剤において知られている。ここでは、洗濯一回分の洗剤量を、相応して小さな水溶性ポリマー製の袋に詰めて、それからこの容器を洗濯に入れる。その後、この容器は完全に溶解し、洗剤を放出する。
【0007】
欧州特許出願公開第0406170号明細書および特開2001097392号公報から、その底部開口部が水溶性ポリマー、例えばポリビニルアルコール製の縫製部または封止部により閉鎖された包装材が公知である。
【0008】
特に先に挙げた建材、植物保護剤、肥料などの場合、しばしば比較的大きなコンテナ(25kgまで、場合によってはそれ以上)が必要とされる。ここで水溶性ポリマー、例えばポリビニルアルコール製の相応する袋は、機械的安定性を理由に、溶解時間が比較的長くなる厚さを有する必要があったが、これは望ましくはない。代替的には、重ね包装(Umverpackung)をして機械的安定性をもたらすことも考えられる。しかしながら、相応する二層の袋を製造するには、従来の手法でも、または製袋充填(form fill seal)(FFS)法でも、著しくより高い設備コスト、したがって金銭面でのコストが必要である。FFS法の場合、例えば2台の直列式に接続された機械が必要であろう。
【0009】
結果として、本発明の課題は、重量が比較的大きい場合に適しており、空気中への不快な臭いおよび/または健康を害する物質の放出を回避するかまたは少なくとも最低限に抑え、かつ同時に既存の機械を用いてより少ない修正または修正なしで製造可能な包装材を提供することである。
【0010】
よって、本発明は、非水溶性紙および/または非水溶性ポリマーと水溶性ポリマー製の平面区画(F)とからの部分を有し、平面区画(F)が袋の充填物と直接的に接触している液体または粉末材料用の袋において、水溶性ポリマーの溶解後に、袋を空にすることが可能な開口部が生じることを特徴とする袋を提供する。
【0011】
平面区画(F)が溶解し、それにより袋が部分的または完全に開口して空になるように、水を有する容器に本発明による袋を浸漬することができる。すなわち、袋中にある材料は、まず水と接触し、それにより、粉塵、殊に肺胞に到達する粉塵および蒸気(液体の場合)の形成が回避されるか、またはできるだけ最小限に抑えられる。それに加えて、この袋は、これらの機械をわずかに修正するだけで、またはこれらの機械を修正せずに、あらゆる一般的な方法で製造可能である。手間がかかるか、または場合によっては不可能でさえある、袋に包装された材料の配合の調整は、結果として必要ではなくなる。
【0012】
本発明において、「平面区画」とは、袋の平面の一部を意味する。結果として、「平面区画」という用語は、袋全体が水溶性ポリマーから成ることを除外する。
【0013】
本発明において、「充填物と直接的に接触」とは、平面区画(F)が非水溶性紙および/または非水溶性ポリマーのない袋の区画を覆い、それにより、平面区画(F)の水溶性ポリマーが充填物を周囲から直接的に区切っていることを意味する。したがって、本発明において、非水溶性紙および/または非水溶性ポリマーの互いに隣接したまたは互いに重なった部分をシーリングするためのシール材、接着剤または縫製材として平面区画(F)が使用される解決策は、明らかに除外される。
【0014】
袋が直立しており、かつこれを水平に見た場合に、平面区画(F)が、袋の高さに対して、袋の上半分または下半分に完全に位置していると好ましく、袋が直立しており、かつこれを水平に見た場合に、平面区画(F)が、袋の高さに対して、袋の上四分の一または下四分の一に完全に位置しているとより好ましく、平面区画(F)が、袋の上側または底部平面に位置しているとさらにより好ましい。
【0015】
幾つかの袋は、スタンドボトムおよびいわゆるバルブボトムを有し、このバルブボトムを通して袋が充填される。例えばセメントまたはドライモルタル混合物用の従来の袋は、例示的にはスタンドボトムを有していてもよく、袋の上側が開口されて内容物がバケツまたはコンクリートミキサーに移される間、このスタンドボトム上で袋が地面に立つ。
【0016】
本発明において、袋は、同様にスタンドボトムおよびバルブボトムを有していてもよく、ここでバルブボトムまたはスタンドボトムは、平面区画(F)を含むか、または平面区画(F)から成る。そのために、例えば平面区画を袋の充填前にバルブボトムまたはスタンドボトムに施与して、または平面区画を袋の側面に配置して、それにより袋を従来的に接合しても、または畳んでもよい。
【0017】
本発明の代替的な変形形態において、袋は、同様にスタンドボトムおよびバルブボトムを有していてもよく、ここで袋が直立しており、かつこれを水平に見た場合に、平面区画(F)が、袋の高さに対して、バルブボトムも含む袋の上半分に完全に位置していると好ましく、袋が直立しており、かつこれを水平に見た場合に、平面区画(F)が、袋の高さに対して、バルブボトムも含む袋の上四分の一に完全に位置しているとさらに好ましく、バルブボトムが平面区画(F)を含むと殊に好ましく、平面区画(F)がバルブボトム中に完全に位置しているとさらにより好ましい。
【0018】
本発明の好ましい変形形態において、袋は、同様にスタンドボトムおよびバルブボトムを有していてもよく、ここで袋が直立しており、かつこれを水平に見た場合に、平面区画(F)が、袋の高さに対して、スタンドボトムも含む袋の下半分に完全に位置していると好ましく、袋が直立しており、かつこれを水平に見た場合に、平面区画(F)が、袋の高さに対して、スタンドボトムも含む袋の下四分の一に完全に位置しているとさらに好ましく、スタンドボトムが平面区画(F)を含むと殊に好ましく、平面区画(F)がスタンドボトム中に完全に位置しているとさらにより好ましい。この変形形態が殊に好ましい。結果として、このような袋の従来的な作製方法は、それ自体は変更する必要はなく、使用される素材のみを相応して調整すればよい。通常、スタンドボトムは別個のボトムシートを用いて作製されるため、従来的な手法での製造を行うことができる。平面区画(F)がスタンドボトム中に完全に位置している限り、例えばボトムシートのみを交換すればよい。
【0019】
スタンドボトムは、完全には平面区画(F)から成らないことが好ましい。その理由は、完全に平面区画(F)から成るスタンドボトムを有する袋は、従来的な紙袋製造機を用いて機械的に作製することができないことである。
【0020】
スタンドボトムを有する袋の場合、袋の底部平面が、非水溶性紙および/または非水溶性ポリマーと平面区画(F)とから成ることが好ましい。
【0021】
この実施形態において、平面区画(F)は、袋の底部平面を、好ましくは11.5%超かつ90%以下占める。平面区画(F)は、袋の底部平面を、より好ましくは15%以上かつ75%以下、さらにより好ましくは20%以上かつ55%以下、最も好ましくは30%以上かつ45%以下占める。
【0022】
平面区画(F)が底部平面を11.5%以下占める場合、生じる袋の開口部は小さすぎて、袋を迅速かつ完全に空にすることが保証されない。
【0023】
平面区画(F)が底部平面を90%超占める場合、袋の安定性を保証することができない。
【0024】
袋はキャリングハンドルを有していてもよい。例えば先に説明したように、袋がバルブおよびスタンドボトムおよびキャリングハンドルを有する際は、袋が直立しており、かつこれを水平に見た場合に、キャリングハンドルが、袋に対して上に位置していると好ましく、袋が直立しており、かつこれを水平に見た場合に、袋が先に記載のようにキャリングハンドルを含み、平面区画(F)が、袋の高さに対して、スタンドボトムも含む袋の下半分に完全に位置していると殊に好ましく、袋が直立しており、かつこれを水平に見た場合に、平面区画(F)が、袋の高さに対して、スタンドボトムも含む袋の下四分の一に完全に位置しているとより好ましく、スタンドボトムが平面区画(F)を含むと殊に好ましく、平面区画(F)がスタンドボトム中に完全に位置しているとさらにより好ましい。
【0025】
代替的には、袋は、ブロックボトム袋、ブロックボトムバッグ、クロスボトム袋、バルブ側部折り畳み式袋、ピンチボトム袋(Falzbodensack)、ミニシール袋または縁密封バッグ(Siegelrandbeutel)であってもよい。
【0026】
平面区画(F)は、好ましくは袋の表面を35%以下占め、より好ましくは袋の表面を25%以下占め、さらにより好ましくは袋の表面を15%以下占める。平面区画(F)が、袋の表面を少なくとも2%、より好ましくは袋の表面を少なくとも5%、さらにより好ましくは袋の表面を少なくとも7.5%占めることがさらに好ましい。
【0027】
平面区画(F)も形成する素材は、袋のさらなる素材(複数可)と重なっていてもよく、または平面区画(F)も形成する素材の部分平面は、素材が被覆箇所において溶解しないように、もしくは遅延して溶解するように被覆されていてもよい。後者は例えば、従来のバルブボトム袋において、縁が被覆された水溶性ポリマー製フィルム、例えばLDPEにより縁が被覆されたフィルムがボトムシートとして使用される場合に当てはまるだろう。場合によっては、LDPE被覆により、袋の別の素材との結合が容易になり、ここで、袋が作製されている別の素材との重なりおよび被覆は、同一である必要はない。
【0028】
ここで平面区画(F)の平面は、水溶性ポリマーの溶解後に生じる開口部の平面に関連する(
図1も参照)。
【0029】
基本的に、本発明は、あらゆる大きさの袋に適用可能である。しかしながら、少量(500ml未満)の場合、純粋に水溶性ポリマー製の包装材(例えば洗剤の場合)を使用することがより容易であろう。よって、本発明の袋は、体積が、好ましくは少なくとも500ml、より好ましくは少なくとも1.00L、さらにより好ましくは少なくとも5.00Lである。通常、袋の体積は、70.0L以下であり、30.0L以下であることが好ましい。
【0030】
平面区画(F)は、一層の水溶性ポリマー、または複数層の水溶性ポリマー、通常二層以下の水溶性ポリマーを含み得る。しかしながら、平面区画(F)が一層のみの水溶性ポリマーを有すると好ましい。
【0031】
水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコールのホモポリマーまたはコポリマーおよび部分鹸化ポリビニルアルコールのホモポリマーまたはコポリマーから選択されることが好ましい。
【0032】
特に好ましい水溶性ポリマーは、その分子量が、10,000~1,000,000g/mol、好ましくは20,000~500,000g/mol、特に好ましくは30,000~100,000g/mol、殊に40,000~80,000g/molの範囲にあるポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールコポリマーに基づくことが好ましい。
【0033】
ポリビニルアルコールの製造は、直接の合成経路が可能ではないため、通常ポリ酢酸ビニルの加水分解により行われる。相応してポリ酢酸ビニルコポリマーから生成されるポリビニルアルコールコポリマーについても同様のことが言える。少なくとも1つの層の平面区画(F)が、その加水分解度が70~100Mol%、好ましくは80~90Mol%、特に好ましくは81~89Mol%、殊に82~88Mol%を占めるポリビニルアルコールを含むと好ましい。平面区画(F)が複数層の水溶性ポリマーを有する場合、すべての層が、その加水分解度が70~100Mol%、好ましくは80~90Mol%、特に好ましくは81~89Mol%、殊に82~88Mol%を占めるポリビニルアルコールを含むことが殊に好ましい。
【0034】
平面区画(F)に、アクリル酸含有ポリマー、ポリアクリルアミド、オキサゾリンポリマー、ポリスチレンスルホネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ乳酸または前述のポリマーの混合物を含む群より選択されるさらなるポリマーが添加されていてもよい。存在する場合、平面区画(F)におけるこのポリマーの割合は、15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
【0035】
ポリビニルアルコールコポリマーは、ビニルアルコールの他に、ジカルボン酸、例えば、イタコン酸、マロン酸、コハク酸およびそれらの混合物をさらなるモノマーとして含んでいてもよく、ここでイタコン酸が好ましい。
【0036】
ポリビニルアルコールコポリマーは、ビニルアルコールの他に、エチレン性不飽和カルボン酸、その塩またはそのエステル、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルまたはそれらの混合物を含んでいてもよい。
【0037】
適切な水溶性ポリマーまたはフィルムは、例えば、Solublonシリーズのフィルム(Aicello Chemicals)、殊にKCタイプ、Sekisui社のSelvol製品シリーズ、およびNippon Gohsei社のHi-Selonシリーズである。
【0038】
平面区画(F)は、40μm超~200μmのフィルム厚を有する、より好ましくは45μm~175μm、さらにより好ましくは50μm~150μm、最も好ましくは55μm~100μmのフィルム厚を有するフィルムから成ることが好ましい。ここでフィルムは、先に記載のように、1つ以上の層の水溶性ポリマーを含んでいても、または1つ以上の層の水溶性ポリマーから成っていてもよい。
【0039】
袋は、平面区画(F)を除いて、非水溶性紙および/または非水溶性ポリマーを含むか、または非水溶性紙および/または非水溶性ポリマーから成ることが好ましい。非水溶性紙が、再生紙またはクラフト紙から、さらにより好ましくはクラフト紙から選択され、非水溶性ポリマーが、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン、殊にポリエチレン、例えばLDPEまたはHDPEから選択されることが殊に好ましい。また、非水溶性紙および非水溶性ポリマーは、複数層であってもよい。例えば、非水溶性紙は、ポリマー、例えば、内部フィルムで被覆されていてもよい。
【0040】
袋は例えば、本発明による平面区画(F)を有する紙袋またはプラスチック袋であってもよい。
【0041】
紙袋は通常、二層または三層の素材を有し、ポリエチレン製の内部層を任意でさらに含むか、またはこれらから成る。
【0042】
プラスチック袋は、例えば(複合)フィルム袋または織られた袋であってもよい。織られた袋の場合、通常、本発明の平面区画(F)を有するポリエチレン製のインライナが使用される。
【0043】
(複合)フィルム袋は、通常1つ以上のポリマー層を有する。
【0044】
袋の素材への平面区画(F)の結合は、従来技術において知られている。例えば、平面区画(F)は、非水溶性紙および/または非水溶性ポリマーと冷間接合されるか、拡散接着(しばしば同義的に使用される)するか、例えばテトラヒドロフランにより溶剤接合(quellverschweisst)するか、またはデンプン接着剤、分散接着剤もしくはホットメルト接着剤により接着することが可能である。代替的には、平面区画(F)の結合は、機械的な噛合いまたは圧縮により行うことが可能である。
【0045】
一実施形態において、袋は、非水溶性紙、非水溶性ポリマーおよび平面区画(F)からの区画を含んでいてもよい。
【0046】
特に好ましい実施形態において、袋は、紙袋、好ましくは、水溶性ポリマー、殊にポリエチレン、例えばLDPEまたはHDPEと、ポリビニルアルコールのホモポリマーまたはコポリマーおよび部分鹸化ポリビニルアルコールのホモポリマーまたはコポリマーから選択される平面区画(F)との部分から成る底部平面を有するクラフト紙製の紙袋である。この実施形態において、平面区画(F)は、袋の底部平面を、好ましくは11.5%超かつ90%以下、より好ましくは15%以上かつ75%以下、さらにより好ましくは20%以上かつ55%以下、最も好ましくは30%以上かつ45%以下占める。
【0047】
この特に好ましい実施形態において、底部平面は、好ましくはすべての辺で面全体にわたり、おそらく袋の紙の角にある折り目は除いて、袋の紙平面と結合される。結合は、冷間接着、分散接着、例えばテトラヒドロフランによる溶剤接合、デンプン接着剤、分散接着剤もしくはホットメルト接着剤による接着、機械的な噛合い、縫製または圧縮により行うことが可能である。
【0048】
袋の平面区画(F)は、平面区画から取り外し可能なカバーシートにより完全に覆われていてもよい。このようなカバーシートにより、必要に応じて、平面区画(F)を機械的な損傷または水分との接触から保護することができる。
【0049】
基本的に、カバーシートを固定および除去するためには、袋の閉鎖および開口で用いられるすべての方法が用いられる。よって、本発明において、袋は直接開口されるのではなく、その代わりに、その下にある平面区画(F)が外される。
【0050】
例示的には、例えば欧州特許第2132103号明細書に記載の開口補助部を使用することができ、この開口補助部は、開封帯(Aufreissband)または開封紐(Aufreissfaden)であってもよく、かつ紙袋の一端にある内部パネル(Innenriegel)の少なくとも一方の平面端部においてこれから突き出している。開封紐により容易な開口が可能になり、この場合、場合によって存在するカバーシートの水溶性平面区画F)を道具なしで容易に取ることが可能になる。
【0051】
カバーシートは、接着されていても、または縫製されていてもよい。
【0052】
袋は、平面区画(F)および取り外し可能なカバーシートを除いて、同じ素材を含むか、または同じ素材から成ることがさらに好ましい。
【0053】
好ましい実施形態において、袋は、平面区画(F)を除いて、非水溶性紙、殊にクラフト紙を含むか、またはこれから成り、水溶性ポリマーは、本発明によるポリビニルアルコールのホモポリマーまたはコポリマーおよび部分鹸化ポリビニルアルコールのホモポリマーまたはコポリマーから選択されることが好ましい。
【0054】
好ましい実施形態において、袋は、平面区画(F)を除いて、非水溶性ポリマー、殊にポリエチレン、例えばLDPEまたはHDPEを含むか、またはこれから成り、水溶性ポリマーは、本発明によるポリビニルアルコールのホモポリマーまたはコポリマーおよび部分鹸化ポリビニルアルコールのホモポリマーまたはコポリマーから選択されることが好ましい。
【0055】
袋は、液体または粉末材料を含むことが好ましく、
- 液体材料は、殺虫剤、例えば植物保護剤または殺生物剤から選択されることが好ましく、
- 粉末材料は、有機、無機および鉱物系の粉末製品、例えば、ドライモルタル混合物、セメント、珪砂、殊にセメントから選択されることが好ましい。
【0056】
本発明はさらに、液体または粉末材料を含む袋から液体または粉末材料を取り出す方法であって、以下の工程:
a) カバーシートが存在する場合、平面区画(F)を任意で少なくとも部分的に取る工程、
b) 平面区画(F)が、少なくとも部分的に、好ましくは完全に水位線より下に位置するように、水を含む容器に袋を入れる工程、
c) 平面区画(F)が少なくとも部分的に溶解するまで待つ工程、
d) 容器から袋を取り出す工程、ここで、平面区画(F)の少なくとも部分的な溶解の後に生じた開口部は、取り出しの間に、少なくとも部分的に、好ましくは完全に水位線よりも下に位置している
を記載の順序で含む方法に関する。
【0057】
取り外し可能なカバーシートは、存在する場合、完全には袋から分離される必要はない。本発明を実施するためには、平面区画(F)が部分的に取られていれば十分である。当然のことながら、空になるのが速くなるため、完全に取ることが好ましい。取り外し可能なカバーシートを袋から完全に分離することも同様に必要ではない。例えば、基本的には、(ほぼ)長方形のカバーシートが片側で袋と結合していれば十分である。これにより、より少ない個別部品が存在するため、空袋の処理も容易になる。
【0058】
工程c)、殊に好ましくは工程a)~d)は、0℃超の温度で実施されることが好ましい。より低い温度での水溶性ポリマーの溶解は、場合によってはより長い時間がかかり得る。
【0059】
工程c)は、通常15秒~5分かかる。
【0060】
本発明はさらに、非水溶性紙または非水溶性ポリマーの平面を水溶性ポリマーの平面に結合することを特徴とする、本発明による袋の製造方法を対象とする。先に説明したように、袋は、例えば、バルブボトム袋、ブロックボトム袋、ブロックボトムバッグ、クロスボトム袋、バルブ側部折り畳み袋、ピンチボトム袋、ミニシール袋または縁密封バッグであってもよい。
【0061】
従来の袋およびその製造方法は、例えば、独国実用新案第202008003172号明細書、国際公開第2010/099902号、欧州特許出願公開第0243750号明細書および国際公開第2000/043272号に記載されている。これらの方法は、基本的に本発明による袋の製造にも適用可能である。
【0062】
本発明の袋の好ましい特徴は、本発明の方法の好ましい特徴でもある。
【0063】
本発明はさらに、液体または粉末材料を包装するための本発明による袋の使用を対象としており、
- 液体材料は、殺虫剤、例えば植物保護剤または殺生物剤から選択されることが好ましく、
- 粉末材料は、有機、無機および鉱物系の粉末製品、例えば、セメント、珪砂、殊にセメントから選択されることが好ましい。
【0064】
本発明はさらに、空気中への不快な臭いおよび/または健康を害する物質の放出を低減するための、殊に肺胞に到達する粉塵の放出を低減するための、非水溶性紙および/または非水溶性ポリマーと水溶性ポリマー製の平面区画(F)とからの部分を有し、平面区画(F)が充填物と直接的に接触している液体または粉末材料用の袋の一部としての水溶性ポリマー製の平面区画(F)の使用を対象としている。
【0065】
本発明の袋の好ましい特徴は、本発明の使用の好ましい特徴でもある。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】
図1は、本発明による袋の一部としての修正されたバルブボトムシート(1)についての例を示し、ここで平面区画(F)(2)は、袋の底に位置しており、ポリビニルアルコールフィルムから成る。
【0067】
袋の一部としての修正されたバルブボトムシート(1)自体は、例えば紙、殊にクラフト紙またはポリエチレン、殊にLDPEから成っていてもよい。袋自体は、例えば紙またはLDPEから成っていてもよい。