(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】複数の手動相互作用の検出
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0354 20130101AFI20230327BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
G06F3/0354 453
G06F3/041 520
G06F3/041 602
(21)【出願番号】P 2019556870
(86)(22)【出願日】2018-04-17
(86)【国際出願番号】 GB2018000068
(87)【国際公開番号】W WO2018193221
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-03-26
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519104503
【氏名又は名称】ペラテック ホールドコ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145883
【氏名又は名称】新池 義明
(72)【発明者】
【氏名】ギャレット, マイケル ロバート
(72)【発明者】
【氏名】メテルス, ジョエル エリック クリストファー
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-026465(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2011-0070097(KR,A)
【文献】特開2013-206349(JP,A)
【文献】特開昭53-124921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0354
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の手動相互作用を受けるタッチパッド;
複数の走査線と交差する複数の駆動線、ここで、駆動線と走査線の間の各交差が可変抵抗の素子を含む;及び
前記駆動線に通電し、前記走査線を監視する走査プロセッサ
を有し、当該走査プロセッサが、
前記走査線を順次監視し、第1の走査オペレーションの間に残りの非監視走査線を接地し、そして、
第2の走査オペレーションの間に前記非監視走査線に高い非導電性インピーダンスを印加するように構成され:
前記走査プロセッサは更に、
前記第1の走査オペレーション及び前記第2の走査オペレーションを実行することによって手動相互作用の位置を特定する;
前記第1の走査オペレーションを第1の圧力分解能で実行する;
前記第2の走査オペレーションを第2の圧力分解能で実行する、ここで、前記第1の圧力分解能が前記第2の圧力分解能より低い;
前記第1の圧力分解能によって特定されない位置を除去する;
エラーの可能性のある位置を識別するために特定された位置を検証する;
エラーとして特定された位置を除去する;そして
前記除去された位置が正しく特定された位置に直接隣接していないとき、除去された位置を再導入する
ように構成されていることを特徴とする、複数の手動相互作用を検出する装置。
【請求項2】
前記走査プロセッサは、前記駆動線及び前記走査線が並列伝送路を生成することによるエラーの位置を特定する請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記走査プロセッサが、除去されていない特定された位置への電流に基づいて圧力値を決定するように構成されている請求項1又は請求項2記載の装置。
【請求項4】
タッチパッド上の複数の手動相互作用の位置を検出する方法であって、
複数の駆動線に順次通電し;
エラーの位置を含む可能性のある相互作用の位置を特定するために複数の交差する走査線を監視し、ここで、第1の走査オペレーションの間に残りの非監視走査線が接地され、第2の走査オペレーションの間に前記非監視走査線に高い非導電性インピーダンスが印加され;
前記エラーの位置で除去する候補を特定するために検証し、並列伝送路の導入によって特定されたエラーの位置を除去し;そして
当該除去されたエラーの位置が正しく特定された位置に直接隣接していないとき、それらを再導入する:ここで、
前記第1の走査オペレーションが第1の圧力分解能で実行され;
前記第2の走査オペレーションが第2の圧力分解能で実行され、前記第1の圧力分解能が前記第2の圧力分解能よりも低く;そして
前記第1の圧力分解能で特定されなかった位置が前記第2の
圧力分解能で特定された位置の組から除去候補として特定される
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
前記エラーの位置は、前記駆動線及び前記走査線が並列伝送路を生成するために特定される請求項4記載の方法。
【請求項6】
ユーザがタッチパッド上に複数の指を適用する装置であって、
配列を規定するために複数の走査線と交差する複数の駆動線;
機械的圧力の作用に応答して可変導電性経路を提供する前記配列の各交差点における可変抵抗素子、ここで、すべての非走査中の走査線が
第1の走査オペレーションの各実行中に各々の入力を電気的にアースされ、そして、すべての非走査中の走査線が第2の走査オペレーションの各実行中に各々の入力を実質的に非導電性である; 及び
走査プロセッサ
を含み、該走査プロセッサは、
前記各駆動線に順次通電し;
第1の圧力分解能で第1の走査オペレーションを実行して、真の加圧位置を特定し;
前記第1の圧力分解能よりも高い第2の圧力分解能で第2の走査オペレーションを実行し;そして
前記それぞれの第1の走査オペレーションによって特定されなかった位置で前記第2の走査オペレーションによる圧力測定を拒否し;
拒否されていない圧力測定に基づいて出力信号を生成し;そして
真の加圧位置として正しく特定された位置に直接隣接していない位置で拒否された圧力測定による測定値を導入する
ように構成されている、ユーザからのデータ入力を受信する装置。
【請求項7】
前記走査プロセッサが前記駆動線及び前記走査線が並列伝送路を生成することによるエラーの圧力測定値を特定する請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記走査プロセッサが拒否されていない特定された位置の電流に基づいて圧力測定値を決定するように構成されている請求項6記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年4月21日に出願された英国特許出願第1706362.9号に基づく優先権を主張するものであり、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[発明の背景]
本発明は、複数の手動相互作用を受信するタッチパッドを含むタイプの、複数の手動相互作用を検出する装置に関する。
本発明は、複数の駆動線に順次通電し、交差する複数の走査線を監視して、誤った位置を含む相互作用の位置を特定するステップを含むタイプの、タッチパッド上の複数の手動相互作用の位置を検出する方法にも関する。
本発明は、ユーザからのデータ入力を受信する装置にも関し、ユーザは、配列を定義する複数の走査線と交差する複数の駆動線を含むタイプのタッチパッドに複数の指を適用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複数の駆動線が複数の走査線と交差して配列を規定し、可変抵抗素子が配列の各交差点に設けられ、機械的圧力が加えられるまで各交差点で高い抵抗を示し、抵抗が大幅に減少することで導電性になる、タッチパッドが知られている。
その上で複数の指を作動させることができ、それによって複数の位置を識別し、身振り動作を実行することができる、このタイプのタッチパッドがますます必要になっている。複数の相互作用のために設計された抵抗配列の問題は、配列自体に追加の望ましくない導電経路が導入される可能性があることであり、それによって相互作用が存在しない場所で相互作用が発生したことを示唆するデータが作成されることである。これは、次に、入力データの誤った解釈をもたらす可能性があり、実際には存在しない別の指が相互作用を引き起こしたように見える。この状況は「ゴーストフィンガー」として知られるようになっている。
【0004】
ゴーストフィンガーに関連する問題を減少させる公知のアプローチとしては、センサ配列内の追加の電流経路を根絶することがある。順次走査される検出線が提供される。したがって、検知されていない各線を接地して、配列内の平行な導電パスを除去することができる。ただし、このアプローチに関連する問題は、導電性の接地パスにより、配列内に存在する総電流値が低下するため、圧力値の検出に使用することができる電流量が減少することである。その結果、圧力評価の分解能が大幅に制限され、通常、Z方向と呼ばれる圧力測定に対するセンサの全体的な応答な感度が低下する。
したがって、ゴーストフィンガーの問題の存在を低減しようとすると、Z次元の配列全体の感度が逆に低下するであろうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[発明の簡単な説明]
本発明の第1の観点によれば、複数の手動相互作用を受けるタッチパッド;
複数の走査線と交差する複数の駆動線、ここで、駆動線と走査線の間の各交差が可変抵抗の素子を含む;及び前記駆動線に通電し、前記走査線を監視する走査プロセッサを有し、当該走査プロセッサが、前記走査線を順次監視し、第1の走査オペレーションの間に残りの非監視走査線を接地し、そして、第2の走査オペレーションの間に前記非監視走査線に高い非導電性インピーダンスを印加するように構成され:前記走査プロセッサは更に、前記第1の走査オペレーション及び前記第2の走査オペレーションを実行することによって手動相互作用の位置を特定する;前記第1の走査オペレーションを第1の圧力分解能で実行する;前記第2の走査オペレーションを第2の圧力分解能で実行する、ここで、前記第1の圧力分解能が前記第2の圧力分解能より低い;前記第1の圧力分解能によって特定されない位置を除去する;エラーの可能性のある位置を識別するために特定された位置を検証する;エラーとして特定された位置を除去する;そして前記除去された位置が正しく特定された位置に直接隣接していないとき、除去された位置を再導入するように構成されていることを特徴とする、複数の手動相互作用を検出する装置複数を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、出力制御信号を生成する装置を示し;
【
図2】
図2は、
図1に示す装置の基板に取り付けられたセンサ素子を示し;
【
図5】
図5は、単一のポイントセンサの代替実施態様を示し;
【
図7】
図7は、マイクロコントローラを含む、
図2に示す回路を詳細に示し;
【
図10】
図10は、複数の手動相互作用を検出する装置の一例を示し;
【
図14】
図14は、高分解能で
特定された位置の一例の詳細を示し;
【
図15】
図15は、低分解能で
特定された位置の一例の詳細を示し;そして
【
図16】
図16は、誤っていると考えられる位置を除去した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態は、単なる例として、添付の図面を参照して説明される。詳細な実施形態は、発明者に知られている最良の形態を示しており、特許請求の範囲に記載されている発明をサポートしている。しかしながら、それらは例示にすぎず、特許請求の範囲を解釈又は制限するために使用されるべきではない。それらの目的は、当業者に教示を提供することである。
「第1」や「第2」などの順序句で区別されるコンポーネント及びプロセスは、必ずしもいかなる種類の順序や序列を規定していない。
【0008】
[例示的な実施形態の詳細な説明]
(
図1)
図1は、この説明の目的のために、テレビ受信機102を制御する出力制御信号を生成する装置101を示す。装置101は、ユーザが実行する操作によって機械的圧力を受ける相互作用面104を画定するハウジング103を含む。
【0009】
(
図2)
装置101は、基板201上に取り付けられた複数の検出素子を
含む。これらは、相互作用面104に機械的に近接して配置される。各センサ素子は、機械的相互作用が発生する前には実質的に非導電性であり、相互作用のレベルが高くなるにつれて導電性が高くなる。
基板201は、マイクロコントローラ202に接続される。マイクロコントローラ202は、センサ素子に駆動電圧を供給し、これらのセンサ素子から検知電流を受けとるように構成されている。
【0010】
この装置は、相互作用表面上でのユーザの親指の動きのような手動操作に応答する。さらに、複数の接触点を作成し、身振り操作を解釈することが可能であり、これによって、制御機能を実行するために使用することができるユーザ対話として利用可能なメニューを拡張することができる。
図2に示す例では、センサ素子は相互作用面104の背後に配列として配置されている。この特別な例では、配列は、その長さに沿って14個のセンサ素子と、その幅を横切って5個のセンサ素子があり、全部で70個の個々のセンサ素子を含む。しかしながら、本発明の態様による利益を得つつ、さらに他の構成とすることが可能であることを理解されたい。
【0011】
(
図3)
図3は、個々のセンサ素子を示し、現在の出願人によって商標QTCのもとに販売されている材料を含むセンサの形をとることがある。このタイプの材料は、量子トンネル化合物の指定によっても識別される。
センサ素子301などのQTCセンサ素子は、力の作用後に予測可能な方法で抵抗を変化させる感圧膜スイッチである。ここに開示する回路では、センサは分圧器回路を使用して電子システム内に実装することができる可変抵抗器と見ることができる。
【0012】
(
図4)
図4は、
図3に示した単一のポイントセンサを、可変抵抗器401としてモデル化して示す。これは、モデル化された抵抗R
sを有する。これは、参照抵抗R
refを有する固定抵抗器402と直列に接続されている。
マイクロコントローラ403は、アナログ出力線404に入力電圧V
inを供給する。抵抗器401と抵抗器402の直列接続から、出力電圧V
outが入力線405を介してマイクロコントローラ403に供給され、そこでアナログからデジタルへのコンバータに受信される。
406に示すように、センサの抵抗R
sは、入力電圧V
inを出力電圧V
outで除算し、1を減算し、これに抵抗器402の参照電圧R
refを乗算することにより計算できる。
【0013】
(
図5)
図3に示すタイプの単一のセンサ501が、平面502に加えられた力の結果としてz軸のたわみを決定することが可能である。したがって、センサ素子501の両端の電圧を測定することにより、平面502に加えられた力を決定することができる。
【0014】
(
図6)
単一のマイクロコントローラが相当数のセンサ素子からの入力データを考慮するために、
図6に示すように、多重化回路でデバイスを構成することができる。
図6の構成では、複数の列導電体601が複数の行導電体602の上に配置されている。各列導電体と各行導電体との交差点にセンサ素子が設けられている。したがって、各交差点で、それぞれのセンサ素子にエネルギーを与えることによって圧力を検出することができる。
【0015】
多重化オペレーションを達成するために、マイクロコントローラは、各列導電体601への電気接続に加えて、各行導電体602への電気接続を用意する。マイクロコントローラ603によって実行された命令は、複数のスイッチ604で示した多重化オペレーションを実行する。したがって、スイッチ604は引き続き起動するので、行導電体602のうちの1つだけが駆動電圧604に接続される。同様に、複数のスイッチ606は、列導電体601の1つだけが分圧器を規定する参照抵抗器607と任意の瞬間に連続して接続されることが保証される。この分圧器からのタップ電圧は、アナログからデジタルへの変換器608に印加されるので、再び、任意の瞬間に、列導電体601の1つからの電流のみが、アナログからデジタルへの変換器608に印加される測定可能な電圧の印加を生じさせる。
【0016】
運転時、マルチプレクサ605の第1スイッチが起動する。したがって、スイッチ609が起動すると見なすことができる。起動する間、入力マルチプレクサスイッチは、それぞれ順番に起動する。したがって、第1スイッチ610が閉じられると、検出器位置611で測定が行われる。次に、スイッチ612が閉じられると、検出器位置613で測定が行われる。このように、このプロセスは第1行614にわたって続く。
行614にわたる各位置をサンプリングすると、次の行615が選択され、そのプロセスが繰り返される。このようにして、行602の出力線は検出器配列を駆動し、列線601は検出器配列の値を検出する。その後、マイクロコントローラ603によって実行される更なる命令により、結果として生じる経時的な信号を空間的な描写に変換して戻すことができ、これにより、空間的な相互作用と動きを複数の独立した場所から検出することができる。
【0017】
(
図7)
図11は、
図6に関して説明したタイプの多重化方式を実装する、
図2で説明したタイプの制御回路の実施形態を詳述する。マイクロコントローラ701は、PIC16LF1513デバイスとして実装することができる。一部の標準入力/出力ピンは、オンチップのデジタルからアナログへのコンバータからアナログ出力電圧を提供するように構成されているが、他のピンは、適切なデジタルからアナログへのコンバータによってデジタル信号に変換されるアナログ入力として構成されている。
【0018】
図2の装置は、1
4×5配列の70個の個々のセンサ素子のを規定する。これらは、1
4本の駆動線702によって通電され、マトリックスが完成するために5本の検出線703によって検出される。さらに、入力コネクタ704が外部デバイスから入力信号を受信し、出力ピン705が外部デバイスに出力信号を供給する。したがって、
図1に示した実装では、出力ピン705は、例えば、赤外線送信機に信号を供給することができる。
マイクロコントローラ701の入力ピンは、割り込み線706に接続されている。各検出線は、それぞれの参照抵抗器607~611に接続されている。一実施形態では、これらの参照抵抗器は4700オームの抵抗を持つ。
【0019】
割り込み機能を実現するために、閾値抵抗器712が存在する。一実施形態では、閾値抵抗器は4700オームの抵抗を持つ。したがって、装置は、出力制御信号を生成するように構成され、
図1に示すように、ユーザによる操作に起因する機械的圧力を受け取るための相互作用表面を含むハウジングを備えている。 相互作用表面に機械的に近接している70個のセンサ素子が用意されており、これらはそれぞれ、機械的相互作用が発生する前には実質的に非導電性であり、相互作用のレベル(圧力又は力)が増加すると導電性が高くなる。
【0020】
マイクロコントローラ701は、最小電力消費状態、オペレーション状態、及び割り込み電圧を受けるための割り込み入力706を有し、十分な割り込み電圧の受信に応答して、処理デバイスがその最小電力消費状態から遮断されてオペレーション状態になる。マイクロコントローラは、線702上の駆動電圧をセンサ素子に供給し、センサ素子から検出線703上の検出電流を受けとるように構成されている。閾値抵抗器712と直列の参照抵抗器707から711によって提供される分圧器は、検出電流から割り込み電圧をつくる。分圧器は、機械的な力が所定のレベルを超えたならば、割り込み電圧がプロセッサを遮断するためにのみ十分であるように構成されている。
【0021】
本実施形態では、所定のレベルは、参照抵抗器712によって設定される。したがって、抵抗器712の抵抗を下げることにより、デバイスの感度が高められるであろう。代わりに、システムを目覚めさせるのにより強い力が必要であるならば、抵抗器712はより高い抵抗の抵抗器に置き換えられる。代替実施形態として、抵抗器712は可変デバイスに置き換えることができる。
【0022】
(
図8)
図8は、タッチパッド配列の概略図を示す。電圧が各駆動線801から806に連続して印加される。したがって、線801が通電し、続いて線802、次に線803他が通電する。
配列は、検出線811、812、813、814及び815も含む。したがって、線801の通電中に、検出線811が検知され、検出線812、検出線813、検出線814が続き、そして、検出線815が続く。この検知サイクルは、次に、駆動線802が通電するとき、そして再び駆動線803が通電するときなどに繰り返される。したがって、検知又はサンプリングは、その駆動よりも速い速度で生じる。
各交差点ではその交差点のセンサ素子に加えられた圧力が感知され、検出される。したがって、圧力値は、交差点821、続いて交差点822、続いて交差点823、続いて交差点824、続いて交差点825について決定される。このプロセスは、駆動線802について繰り返され、これにより交差点831での圧力決定から開始する。
【0023】
(
図9)
図9は、「ゴーストフィンガー」問題を説明するために、
図8に示した配列の拡大版を詳細に示す。この例では、ユーザの指との相互作用により加えられる圧力を円901、902、903で示す。したがって、走査プロセスの後に、交差点822、823、833で正しい相互作用が識別されるであろう。
駆動線831の駆動及び走査線812の走査中、交差点833での相互作用により、矢印904で示すように電流を交差点823に流すことができる。交差点823に圧力902が適用されると、矢印905の方向に電流を流すことができる。同様に、交差点822での相互作用901は、電流を矢印906の方向に流すことができる。その結果、駆動線831を駆動するとき、走査線813で見られる出力に加えて、走査線812上に出力が見られる。これは、交差点832で指の押下が発生したが、そのような指は実際には存在しないことを示唆する。したがって、相互作用901、相互作用902、及び相互作用903により、交差点832でゴースト相互作用を生成する結果となる。
【0024】
(
図10)
図10は、本発明の一態様を具体化する複数の手動相互作用を検出する装置の例を示す。
図2に示したものと同様のタッチパッド1001は、複数の手動相互作用を受ける。複数の駆動線1002は、複数の走査線1003と交差する。さらに、駆動線と走査線の間の各交差点は、可変抵抗の素子を含む。
【0025】
走査プロセッサ1004が駆動線1002に通電し、走査線1003を監視すると、ステップ1005に示すように、プロセッサが手動相互作用の位置を特定する。しかしながら、ステップ1005で特定される位置は、並列伝送路によるエラーを含む場合がある。
ステップ1006に示すように、エラーの位置を除去しながら正しく特定された位置を検証するために、更なるプロセスが実行される。したがって、ステップ1006で、識別された位置は真であると検証され得るが、他の位置は疑わしいとラベル付けされ、そして、更なる注意を必要とする。
【0026】
ステップ1007で、各疑わしい位置が分析され、エラーを表わすと考えられる位置が除去される。その後、ステップ1008で、圧力測定値を参照して位置データを処理することができる。その後、ステップ1009で、更なる位置データが必要か否かについて質問され、答えが肯定
的にであると、走査プロセッサ1004によって更なる走査オペレーションが実行される。又は、答えが否定
的であると、プロセスはステップ1010で終了する。
したがって、一実施形態では、
図9に示したように、走査プロセッサ1004は、駆動線及び
並列伝送路を生成する走査線に起因するエラーの位置を
特定する。
【0027】
(
図11)
図11は、位置を
特定するためのステップ1005の一例を詳述する。本実施形態では、走査プロセッサ1004は、第1の走査オペレーション及び第2の走査オペレーションを実行することにより位置を
特定するように構成されている。ここで、第2の走査オペレーションは、第1の走査オペレーションとは異なる条件で実行される。このようにして、第1の走査オペレーションの結果と第2の走査オペレーションの結果を比較して、検証プロセス1006を促進することができる。
一実施形態では、走査プロセッサ1004は、第1の圧力分解能で第1の走査オペレーションを実行する。 次に、第2の圧力分解能で第2の走査オペレーションを実行する。ここで、第1の圧力分解能は第2の圧力分解能よりも低い。その後、第1の(より低い)圧力分解能によって
特定されない位置は除去するように考慮される。
【0028】
図11に示す実施形態では、ステップ1101で遊休検出線が接地される。したがって、
図9を参照して説明した例では、走査オペレーションが走査線812で実行されている間、遊休線である
図9の線811及び813は接地されているため、これらの接地線に供給される電流は、配列内の他の場所での導電には利用できない。したがって、線802が駆動しているとき、交差点833に加えられた圧力は、走査線813への導電を可能にする。しかしながら、この線を接地することにより、電流はもはや交差点823を通って導電することができず、したがって、駆動線801に伝えることができない。その結果、矢印904、905、906で示した電流は存在しなくなるであろう。
したがって、遊休走査線が接地されると、ゴーストフィンガーは交差点832に現れない。しかし、駆動線821の通電に応答して、走査線812に現れるはずの電流は、交差点823での相互作用により、ある割合で大地に散逸し、矢印911で示したように、電流が大地に供給される。
【0029】
ステップ1102に示したように、ステップ1101での遊休検出線の接地により、ステップ1102でZ次元の低分解能圧力走査が実行される。これには、誤ったゴーストフィンガーの位置を生成しないという利点があるが、2つの明確な欠点が生じる。第1に、電流の散逸によって分解能が失われる。したがって、センサ配列の全体的な感度と精度が低下している。第2に、正しい相互作用の位置がいくつか失われるであろう;その結果、センサ特性が全体的に劣化するであろう。したがって、この実施形態では、低分解能相互作用の位置はステップ1103で保存されるが、圧力値は保存されない。
ステップ1104で、走査オペレーションが繰り返される。ただし、この場合、遊休状態の検出線は、走査プロセッサでの高インピーダンスにより、開回路のままである;次に、ステップ1105で高分解能走査が実行される。その後、ステップ1106で、相互作用の位置が保存され、さらに、各相互作用についての圧力値も保存される。
【0030】
したがって、異なるオペレーション条件下で2つの走査を実行することによって、実際の相互作用が行われなければならない位置を特定する第1のデータセットが保持される。しかしながら、この走査サイクルは、圧力を測定するための有用なデータを生成していないことが理解できる。その後、第2の同様の走査が実行される。これは、誤ったデータを含み得るが、進行中のデータ操作を容易にするための正確な圧力測定値を有する。したがって、このようにして、ステップ1006で特定された位置のいくつかが良好であると検証されることが可能であり、その後、エラーの位置がステップ1007で除去され得る。
【0031】
(
図12)
図12は、特定された位置を検証する手順1006の例を詳述する。この手順は、タッチパッドで複数の手動相互作用の位置を検出する方法を提供する。この方法は、複数の駆動線に順次通電し、交差する複数の走査線を監視して、エラーの位置を含む可能性のある相互作用の位置を特定するステップを含む。
図12に示す手順により、検証オペレーションを実行して、エラーの位置を除去できる。
本実施形態では、ステップ1105で高分解能走査を実行することによって、位置を表わすデータ及び適用された圧力の測定値が提供される;通常、Z次元の測定値と呼ばれる。したがって、ステップ1201で、高分解能の位置が読み取られ、次に、ステップ1202で、
低分解能の走査操作が実行されたときステップ1102で生成されたデータに対して同様の位置が存在するか否かについて質問される
。
【0032】
ステップ1202の質問に対する答えが肯定的であるならば、ステップ1203で位置が確認され、圧力値が保存される。したがって、高分解能と低分解能の両方で位置データが存在するならば、正しいと想定され、対象の圧力値は高分解能で決定されたものとなる。代わりに、ステップ1202の質問に対する答えが否定的であるならば、ステップ1205で位置は疑わしいとして記録される;ただし、この段階ではデータセットから実際に除去されない。
ステップ1204で、ステップ1203に続いて別の高分解能位置を考慮するか否かについて質問され、ステップ1205の後のステップ1206で同様の質問がされる。このようにして、ステップ1201で次の高分解能位置が選択され、再び、位置は、ステップ203で正しいと検証されるか、又は、ステップ1205で疑わしいとして記録される。最終的に、すべての高分解能位置が考慮され、制御はステップ1007に移行する。
【0033】
(
図13)
図13は、エラーの位置を除去する手順1007を詳述する。ステップ1205に続いて、疑わしい位置が記録されているため、ステップ1301で最初の疑わしい位置が選択される。本実施形態では、エラー除去プロセスは、疑わしいと
特定された位置のすべてを考慮する。したがって、上述のように、高分解能では位置が存在するが低分解能では存在しないとき、疑わしい位置が
特定される。この疑わしい位置が他の実際の相互作用の近くにあるならば、疑わしい位置がゴースト効果であり、除去されるであろうエラーを表わすと想定される。しかしながら、疑わしい位置が他の相互作用から大きくずれているならば、エラーではないと想定され、単に相互作用が発生したが圧力レベルは比較的低い位置を表わす。
【0034】
本実施形態では、疑わしい位置が正しく特定された位置に直接隣接しているならば、エラーとして特定される。したがって、ステップ1302で、疑わしい位置から直接上にある位置が特定されたか否かについて質問される。その後、ステップ1303で否定的であれば、ステップ1304で疑わしい位置のすぐ下に位置が存在するか否かについて同様な質問がされる。そして、再び答えが否定的であれば、ステップ304で右に位置が存在するか否かについて質問され、答えが否定的であれば、ステップ1305で位置が左に存在するか否かについて質問される。したがって、ステップ1302から1305で問われた質問の答えのいずれかが肯定的であれば、疑わしい位置はエラーと見なされ、1308でデータセットから除去される。
【0035】
質問1302から1305のすべてについて否定的に回答されたならば、疑わしい位置は以前に検証された位置に近くないため、ステップ1306で疑わしい位置自体が検証され、その圧力値が保存される。その後、ステップ1307で、別の疑わしい位置が存在するか否かについて質問され、答えが肯定的ならば、ステップ1301で次の疑わしい位置が選択される。
同様に、ステップ1308でエラーの位置が除去されたならば、ステップ1309で別の疑わしい位置が存在するか否かについて質問され、答えが肯定的ならば、ステップ1301で次の疑わしい位置が選択される。
ステップ1307の質問又はステップ1309の質問の答えが否定的なことに応答して、制御は位置データを処理するステップ1008に移動する。
【0036】
(
図14)
一実施形態では、ユーザからのデータ入力を受信するための装置が提供され、その中で、ユーザがタッチパッド1401上の位置1401、1402、1403及び1404によって指示されたところに複数の指を当てる。
図10を参照して説明したように 駆動線は走査線と交差して配列を規定する。可変抵抗素子が配列の各交差点に設けられ、それにより機械的圧力の適用に応答して可変の導電性経路を提供する。したがって、配列1401は、素子1405及び素子1406などの抵抗素子を含む。
【0037】
プロセッサは、真
に圧力が適用された位置を特定するために、第1の圧力分解能を有する第1の走査オペレーションを実行する。これは、ステップ1102で実行される低分解能走査である。第2の走査オペレーションが、第1の圧力分解能よりも高い第2の圧力分解能で実行
されるので、第2の走査オペレーション
はエラーの
位置を特定しやすい。したがって、これは、ステップ1105で実行
される高分解能走査であり
得る。その後、第2の走査オペレーションでの圧力測定は、第1の走査オペレーション
で特定されなかった位置では拒否される。
この例では、
図9を参照して説明したゴースト効果のために、ステップ1105で実行した高分解能走査によって位置1407も特定されている。
【0038】
(
図15)
図15は、ステップ1102で実行された低分解能走査の結果として
特定された検出位置を示す。この低分解能走査は、位置1401、1402及び1403を
特定した。しかしながら、位置1407を
特定しなかった、そして、位置1404を
特定しなかった。この結果として、ステップ1201で位置1407及び1404が選択されるであろう。しかしながら、選択されると、ステップ1202の質問には、これらの位置が低分解能データに存在しないため、答えは否定的であろう。その結果、これらはステップ1205で疑わしいものとして保存される。
【0039】
ステップ1301で疑わしい位置1407が選択される。ステップ1302で特定された位置が1つ上の交差点にも、そしてこの位置として存在するか否かについて質問され、答えは否定的であろう。しかし、ステップ1303で、特定された位置が1つ下の交差点に存在するか否かについて質問され、そして、この場合には、以前に特定された位置1403が見つかるであろう;その結果、ステップ1303の質問の答えは肯定的であろう。もし実行されたならば、ステップ1305の質問にも答えは肯定的であろうが、1303での質問の答えが肯定的なので、ステップ1308でその場所がエラーとして除去されることもわかる。
ステップ1301で疑わしい位置1404が選択される。しかしながら、この場合、位置1404は他の場所に取り囲まれていない。その結果、ステップ1302から1305のすべての質問に対する答えは否定的であり、ステップ1306で位置が検証され、高分解能圧力測定値が保存されるであろう。
【0040】
(
図16)
図16は、処理ステップ1008に転送されるデータを表わす。比較的低い圧力の遠隔位置1404が保持され、その重要性は処理手順1008によって決定される。これは、ユーザが誤って指をタッチパッドに置いたことによって引き起こされたエラーを表わすことがある。しかし、本発明の目的にとって、接触は有効であり、ゴーストフィンガー効果によって作成されたものではない。
この例では、ゴーストフィンガー効果により位置1407が特定された。これは、ステップ1102で低分解能走査中に検出されなかったため除去されていたが、ステップ1105で高分解能走査によって検出され、この不一致により、ステップ1205で疑わしい位置として
特定された。さらに、手順1302から1305では、検出された別の位置に近接していることが確認されたため、エラーの位置として除去された。