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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】建物の施解錠システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 63/14 20060101AFI20230327BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20230327BHJP
   E05B 17/22 20060101ALI20230327BHJP
   E05B 45/06 20060101ALN20230327BHJP
【FI】
E05B63/14 A
E05B47/00 Z
E05B17/22 Z
E05B45/06 B
E05B45/06 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020041393
(22)【出願日】2020-03-10
(65)【公開番号】P2021143484
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】坂尾 英樹
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-159029(JP,A)
【文献】特開2003-148014(JP,A)
【文献】特開2019-073918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の出入口を開閉する開閉体と、前記開閉体を施錠する第1の施錠装置及び第2の施錠装置を備えた建物に適用され、
前記各施錠装置の施解錠を制御する制御手段と、
前記各施錠装置の施解錠を検知する施解錠検知手段と、
前記開閉体の屋内側において人の存在を検知する人検知手段と、
を備え、
前記人検知手段が屋内側にユーザを検知し、かつ前記施解錠検知手段により前記第1の施錠装置の解錠が検知された状態において、前記制御手段は、前記第1の施錠装置の解錠を検知してから所定の第1待機時間を経過するまでに前記施解錠検知手段により前記第2の施錠装置の解錠が検知されなった場合、前記第1の施錠装置が施錠するように制御し、
前記人検知手段が屋内側にユーザを検知せず、かつ前記施解錠検知手段により前記第1の施錠装置の解錠が検知された状態において、前記制御手段は、前記第1待機時間の経過を待たずに前記第1の施錠装置が施錠するように制御することを特徴とする、建物の施解錠システム。
【請求項2】
前記人検知手段が屋内側にユーザを検知せず、かつ前記施解錠検知手段により前記第1の施錠装置の解錠が検知された状態において、前記制御手段は、前記第1の施錠装置の解錠を検知してから前記第1待機時間より短い第2待機時間を経過するまでに前記施解錠検知手段により前記第2の施錠装置の解錠が検知されなかった場合、前記第1の施錠装置が施錠するように制御する、請求項1に記載の建物の施解錠システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の施解錠システムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等のドアに設けられる電気錠には、鍵による開閉が可能なシリンダを有するものがある。上記の電気錠は、電源供給が停止した場合であっても鍵やサムターンによる機械的な解錠が可能であり、締め出しを防止できる。しかし、外部からのピッキングにより不正に解錠されるおそれがあり防犯上の課題がある。
【0003】
上記の課題を解決するために、1つのドアに2つの電気錠が設けられた1ドア2ロック方式の施解錠システムが存在する。
【0004】
そして、上記の1ドア2ロック方式の施解錠システムには、一方の電気錠のみが手動により解錠された場合に、解錠された電気錠を一定時間後に自動で施錠する施錠復帰機能を有するものがある。
【0005】
例えば、特許文献1の発明では、一方の電気錠が手動で解錠されてから、所定の時間内に他方の電気錠が解錠されないとき、解錠された電気錠を自動で施錠する。かかる発明によれば、ピッキングに対する防犯性を向上させることができる。また、解錠された施錠装置を自動で施錠するまでの時間については、ユーザによる正規の利用時における利便性も考慮して、30秒から1分程度が好ましいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-148014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記技術では、ユーザの利便性を考慮した待機時間としたことで、ピッキング等による不正解錠に対しても時間的猶予を与えており、防犯性において改善の余地がある。
【0008】
一方で、防犯性を高めるために待機時間を短くすると、ユーザによる正規の利用が妨げられる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ユーザの利便性を損なうことなく、防犯性の更なる向上を図ることができる建物の施解錠システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明の施解錠システムは、
建物の出入口を開閉する開閉体と、前記開閉体を施錠する第1の施錠装置及び第2の施錠装置を備えた建物に適用され、
前記各施錠装置の施解錠を制御する制御手段と、
前記各施錠装置の施解錠を検知する施解錠検知手段と、
前記開閉体の屋内側において人の存在を検知する人検知手段と、
を備え、
前記人検知手段が屋内側にユーザを検知し、かつ前記施解錠検知手段により前記第1の施錠装置の解錠が検知された状態において、前記制御手段は、前記第1の施錠装置の解錠を検知してから所定の第1待機時間を経過するまでに前記施解錠検知手段により前記第2の施錠装置の解錠が検知されなった場合、前記第1の施錠装置が施錠するように制御し、
前記人検知手段が屋内側にユーザを検知せず、かつ前記施解錠検知手段により前記第1の施錠装置の解錠が検知された状態において、前記制御手段は、前記第1待機時間の経過を待たずに前記第1の施錠装置が施錠するように制御することを特徴とする。
【0011】
第1の発明によれば、人検知手段が屋内側で人を検知する場合には、解錠された第1施錠装置は、所定の第1待機時間が経過するまで施錠しない。したがって、ユーザが屋内側から正規の解錠を行う場合には、第1の施錠装置を解錠してから第1待機時間が経過するまでに、第2の施錠装置を解錠すればよい。すなわち、屋外からのピッキングによる不正な解錠に対しては、ユーザが屋内側から解錠しようとしている場合に与えられている待機時間よりも短い時間で施錠をするか、待機時間をなくして即座に施錠するようにしている。この場合、ピッキングにより全ての施錠装置を解錠することが困難となり防犯上好ましい。このようにして、ユーザの利便性を損なうことなく、防犯性を向上させることができる。
【0012】
第2の発明の建物の施解錠システムは、第1の発明において、
前記人検知手段が屋内側にユーザを検知せず、かつ前記施解錠検知手段により前記第1の施錠装置の解錠が検知された状態において、前記制御手段は、前記第1の施錠装置の解錠を検知してから前記第1待機時間より短い第2待機時間を経過するまでに前記施解錠検知手段により前記第2の施錠装置の解錠が検知されなかった場合、前記第1の施錠装置が施錠するように制御する。
【0013】
第2の発明によれば、第1待機時間をユーザによる屋内側からの解錠を妨げない長さに設定する一方で、第2待機時間については、屋外側からのピッキングに対する防犯性の向上を図るべく、第1待機時間よりも短く設定する。このため、ユーザの利便性を損なうことなく、防犯性を向上させることができる。そして、第2の発明の制御プログラムは、既存の施錠復帰機能に関する制御プログラムを活用することで容易に作成することができるため、新規の制御プログラムを構築するコストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】玄関周辺を示す平面図
図2】玄関周辺を示す側面図
図3】施解錠システムの電気的構成を示す図
図4】制御処理の流れを示すフローチャート
図5】別例における制御処理の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の施解錠システムを具体化した一実施の形態を図1及び図2に基づいて説明する。
【0016】
図1に示すように、建物10には屋内スペースとして、玄関部11、廊下12、居室13等が設けられている。玄関部11には、出入口としての玄関口15が設けられている。この玄関口15を通じて建物10への出入りが可能となっている、また、玄関口15には、開閉体としての玄関ドア16が設けられている。玄関ドア16は、例えば回動式の開き戸からなる。
【0017】
図2に示すように、玄関ドア16には、電気シリンダ錠よりなる第1の施錠装置21a及び第2の施錠装置21bが上下に並べて設けられている。施錠装置は、2つをまとめて称する場合は施錠装置21a、21bと称し、個々に称する場合は第1の施錠装置21a、第2の施錠装置21bと称する。第1の施錠装置21aと第2の施錠装置21bとは同様の構成を有し、それぞれ独立して作動する。
【0018】
施錠装置21a、21bには、第1のデッドボルト22a及び第2のデッドボルト22b(以下、「デッドボルト22a、22b」とまとめて称する場合がある。)が設けられており、デッドボルト22a、22bが突出状態になることで施錠装置21a、21bが施錠状態となる。また、突出状態のデッドボルト22a、22bが没入状態に移行することで施錠装置21a、21bが解錠状態となる。このため、施錠装置21a、21bに設けられたデッドボルト22a、22bのうち、少なくとも一方が突出状態であれば玄関ドア16は施錠され、デッドボルト22a、22bの両方が没入状態であれば玄関ドア16は解錠されている。
【0019】
本施解錠システムのユーザである建物10の居住者は、電子キー41により施錠装置21a、21bを施解錠することができる。玄関ドア16付近の屋外側(玄関ドア16の屋外側の面でも可)には通信装置45が設けられている。通信装置45は、電子キー41と無線通信が可能な通信エリアCAを有している。当該通信エリアCA内において、居住者は電子キー41による施錠装置21a、21bの施解錠が可能である。なお、電子キー41により施解錠する場合には、施錠装置21a、21bは2つ同時に施錠又は解錠される。
【0020】
また、施錠装置21a、21bには、玄関ドア16の前面(屋外側の面)に露出して、第1のシリンダ部23a、第2のシリンダ部23b(以下、「シリンダ部23a、23b」とまとめて称する場合もある。)がそれぞれ設けられている。また、施錠装置21a、21bには、玄関ドア16の後面(屋内側の面)に露出して、第1のサムターン部24a、第2のサムターン部24b(以下、「サムターン部24a、24b」とまとめて称する場合もある。)がそれぞれ設けられている。本施解錠システムでは、前述の電子キー41による施解錠だけでなく、これらのシリンダ部23a、23b又はサムターン部24a、24bでの手動による施解錠が可能となっている。すなわち、施錠装置21a、21bは、鍵(図示略)をそれぞれのシリンダ部23a、23bに差し込んで回動動作することや、サムターン部24a、24bのつまみをそれぞれ回動動作することによっても、デッドボルト22a、22bをそれぞれ操作することが可能である。これにより、施錠装置21a、21bを施錠又は解錠のいずれかの状態とすることができる。
【0021】
玄関口15より屋内側(例えば、玄関口15の設けられた壁の屋内側の面の上部)には、人検知手段としての人感センサ31が設けられている。人感センサ31は、玄関口15付近における人の存在を検知するように構成されており、玄関ドア16の閉鎖時においては建物10の内側を検知エリアDAとする。このため、居住者が外出するために玄関部11へ入った場合には、人感センサ31の検知エリアDAに進入することになる。人感センサ31としては、例えば、人体からの赤外線を検知する赤外線センサが用いられる。超音波を出力し、人体によって反射された超音波を受信して、人体を検知する超音波センサ等を用いてもよい。
【0022】
続いて、施解錠システムの電気的構成について、図3に基づいて説明する。
【0023】
施解錠システムは、制御手段としてのコントローラ50を備える。コントローラ50は、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを備えて構成され、例えば玄関部11の壁面に設けられている。コントローラ50は、少なくとも、施解錠を制御する制御部51と、電子キー認証のためのID情報や各種センサ類からの検知結果等を記憶する記憶部52と、時間を計測する場合に用いられるタイマ53とを有している。
【0024】
施錠装置21a、21bには、施錠装置21a、21bの状態が施錠又は解錠のいずれであるかを検知するための施解錠検知手段として、第1の施解錠検知センサ27a及び第2の施解錠検知センサ27b(以下、「施解錠検知センサ27a、27b」とまとめて称する場合もある。)がそれぞれ設けられている。施解錠検知センサ27a、27bはそれぞれコントローラ50に接続されている。コントローラ50には、施解錠検知センサ27a、27bから逐次検知結果が入力される。コントローラ50は、施解錠検知センサ27a、27bからの検知結果に基づいて、施錠装置21a、21bの状態がそれぞれ施錠又は解錠であるかを判定する。
【0025】
コントローラ50には、通信装置45が接続されている。通信装置45は、居住者が携帯する電子キー41と無線通信が可能とされている。コントローラ50は、通信装置45を介して、電子キー41から送信される施錠又は解錠用の操作信号を受信して、施錠装置21a、21bを施解錠することができる。なお、電子キー41は、メモリ(図示略)を有しており、電子キー41毎に固有のID情報を記憶する。そして、通信装置45の通信エリアCA内において、通信装置45に当該ID情報を送信する。コントローラ50は、通信装置45を介して当該ID情報を受信する。当該ID情報を受信すると、その記憶部52に記憶されたID情報との一致判定を行い、正規のキーであるか否かの認証を行う。こうして電子キー41が正規認証されると、コントローラ50は、電子キー41からの操作信号に基づいて、施錠装置21a、21bの施解錠を制御する。
【0026】
コントローラ50には、人感センサ31が接続されている。コントローラ50には、人感センサ31から逐次検知結果が入力される。コントローラ50は、人感センサ31からの検知結果に基づいて、人感センサ31の検知エリアDAにおける人の存在の有無を判定する。
【0027】
次に、コントローラ50の制御部51により実行される制御処理の内容について図4に基づいて説明する。
【0028】
ステップS11では、第1の施解錠検知センサ27aからの検知結果に基づいて、第1の施錠装置21aが解錠されたか否かを判定する。第1の施錠装置21aが解錠された場合にはステップS12に進む。第1の施錠装置21aが解錠されていない場合には本処理を終了する。ここで、ステップS11では、例えば電子キー41からの操作信号等によってコントローラ50が第1の施錠装置21aを解錠したものは除外され、コントローラ50による施解錠制御を行っていない状態における第1の施解錠検知センサ27aからの検知結果を利用する。すなわち、手動により第1の施錠装置21aが解錠されたか否かを判定している。
【0029】
ステップS12では、第2の施解錠検知センサ27bからの検知結果に基づいて、第2の施錠装置21bが施錠状態であるか否かを判定する。第2の施錠装置21bが施錠状態である場合にはステップS13に進む。第2の施錠装置21bが施錠状態でない場合、すなわち解錠状態である場合には、本処理を終了する。
【0030】
ステップS13では、タイマ53をセットし、タイマ53による計時を開始する。続いてステップS14に進む。
【0031】
ステップS14では、人感センサ31が、玄関ドア16付近の屋内側に人の存在を検知した否かを判定する。判定がYESの場合には、ステップS15に進む。判定がNOの場合にはステップS21に進む。ステップS14では、第1の施錠装置21aで検知された解錠が、正規のものであるか否かの判定を行う。つまり、人感センサ31が検知を行っている場合には、正規の解錠、すなわち居住者が退出等のためにサムターン部24a,24bによる解錠を行っているものと判定し、人感センサ31が検知を行っていない場合には、不正な解錠、すなわち屋外側からのピッキングと判定する。
【0032】
ステップS15及びS16は、正規の解錠と判定された場合の制御処理である。まず、ステップS15では、第2の施錠装置21bが解錠されたか否かを判定する。判定がNOの場合、すなわち第2の施錠装置21bが施錠されたままの場合は、ステップS16に進む。一方、判定がYESの場合は本処理を終了する。つまり、施錠装置21a、21bの両方が解錠状態となると施錠復帰機能は動作しないため、施錠復帰機能による締め出しを防止できる。ここで、ステップS15では、例えば電子キー41からの操作信号等によってコントローラ50が第2の施錠装置21bを解錠したものは除外され、コントローラ50による施解錠制御を行っていない状態における第2の施解錠検知センサ27bからの検知結果を利用する。すなわち、手動により第2の施錠装置21bが解錠されたか否かを判定している。
【0033】
ステップS16では、タイマ53による計時開始からの経過時間が、所定の第1待機時間T1を経過したか否かを判定する。第1待機時間T1は、居住者がサムターン部24a、24bによる解錠を十分完了できる長さに設定され、例えば20秒に設定される。ここで、第1待機時間T1が経過している場合にはステップS17に進む。第1待機時間T1が経過していない場合にはステップS15に戻り、第1待機時間T1が経過するまで処理を繰り返す。
【0034】
つまり、正規の解錠の場合には、第1待機時間T1が経過するまで施錠復帰機能は動作しないため、居住者が正規の解錠を行う場合には、第1待機時間T1の時間的猶予が与えられることになる。このため、居住者の退出等に伴う正規の解錠が、施錠復帰機能によって妨げられることを抑制できる。また、施錠装置21a、21bの両方が解錠状態となると、施錠復帰機能は動作しないため、居住者がゴミ出し等の雑事で屋外に出るときに電子キー41を所持していなくても締め出されてしまうことはない。
【0035】
ステップS17では、第1の施錠装置21aの施錠を行う。第1の施錠装置21aに施錠信号を送信すると、第1の施錠装置21aは、第1のデッドボルト22aを電気的に駆動し、没入状態から突出状態へと移行させる。これにより、玄関ドア16は開閉できない状態となり、本処理を終了する。
【0036】
また、ステップS21及びS22は、不正な解錠と判定された場合の制御処理である。まず、ステップS21では、第2の施錠装置21bが解錠されたか否かを判定する。第2の施錠装置21bの解錠を検知しない場合、すなわち第2の施錠装置21bが施錠されたままの場合は、ステップS22に進む。第2の施錠装置21bの解錠を検知する場合は、本処理を終了する。なお、本実施形態の制御プログラムは、施錠復帰機能に関する既存の制御プログラムに、不正な解錠と判定された場合の制御処理を加えることで作成できる。このため、新たに制御プログラムを構築するコストを削減できる。
【0037】
ステップS22では、タイマ53による計時開始からの経過時間が、所定の第2待機時間T2を経過したか否かを判定する。ここで、第2待機時間T2は、ピッキング等に対する防犯性を高めるため、第1待機時間T1よりも短く設定され、例えば1秒に設定される。第2待機時間T2が経過している場合にはステップS17に進み、第1の施錠装置21aが施錠され本処理を終了する。第2待機時間T2が経過していない場合にはステップS21に戻り、第2待機時間T2が経過するまで各処理を繰り返す。
【0038】
ここまで第1の施錠装置21aから第2の施錠装置21bの順に解錠を行う場合について説明した。第2の施錠装置21bから第1の施錠装置21aの順で解錠を行う場合についても同様の制御処理が実行されるが、重複説明になるため説明を省略する。
【0039】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0040】
本実施形態では、人感センサ31が屋内側で人を検知する場合には、居住者の退出等に伴う正規の解錠処理と判断する。この場合、サムターン部24a、24bによる解錠処理を行うのに十分な時間を、第1待機時間T1として設定し、利便性を確保することができる。一方、人感センサ31が屋内側で人を検知しない場合には、屋外からのピッキングによる不正な解錠と判断する。この場合、第1待機時間T1よりも短い第2待機時間T2を設定し、シリンダ部23a、23bへのピッキングに対して、時間的猶予を与えることを抑制できる。このようにして、居住者の利便性を損なうことなく、防犯性の更なる向上を図ることができる。
【0041】
本実施形態では、人感センサ31を屋内側に設けている。そして、屋内側に人を検知するとき正規な解錠と判断する。ここで、仮に人感センサ31を屋外側に設け、屋外側に人を検知する場合に不正解錠と判断する構成とした場合を検討する。このような構成において、居住者が来客等の対応のために、サムターン部24a、24bを操作して、屋内側から玄関ドア16の解錠を行う場合を想定する。この場合、人感センサ31は屋外側で来客等を検知するため、当該解錠操作は不正と判断されることになる。つまり、当該解錠操作は正規のものであるにもかかわらず、実施を妨げられてしまう。しかし、本実施形態においては、このような不具合が生じることはなく、より適切に施解錠が正規なものであるか否かを判断できる。
【0042】
本実施形態における制御プログラムは、施錠復帰機能に関する既存の制御プログラムに、不正な解錠と判定された場合の制御処理を追加することで作成できる。追加に際しては、待機時間を変更するだけで済む。このため、新たに制御プログラムを構築するコストを削減できる。
【0043】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0044】
上記実施形態では、人感センサ31が屋内側で人を検知しない場合に、第1の施錠装置21aが解錠してから、第2待機時間T2の経過後に施錠状態に復帰することとしていた。しかし、人感センサ31が人を検知しない場合に、待機時間を設けることを必ずしも要しない。つまり、第1の施錠装置21aが解錠されると即座に施錠状態に復帰するように施解錠システムの制御を行ってもよい。
【0045】
本別例において、コントローラ50の制御部51により実行される制御処理の内容について図5に示す。図5は、図4に対応したフローチャートである。同一の処理については同一符号を付して、原則説明を省略する。
【0046】
本別例では、ステップS12の判定がYES判定の場合は、ステップS14へと進む。
【0047】
ステップS14では、上記実施形態と同様、人感センサ31が玄関ドア16付近の屋内側に人の存在を検知した否かを判定する。ただし、ここでの判定がNOの場合には、第1の施錠装置21aは即座に施錠状態に復帰するように制御される。すなわち、人感センサ31が検知しない場合には、施錠状態に復帰するまでの待機時間は設けられていない。このため、外部からのピッキングに対しては時間的猶予を与えないため、防犯性に優れる。一方で、判定がYESの場合にはステップS13へと進み、タイマ53による計時を開始する。
【0048】
なお、本別例においては、ステップS13及びステップS14が実行される順序は、上記実施形態と逆になっている。上記実施形態では、ステップS14の判定がいずれであっても、第1待機時間T1及び第2待機時間T2の計測のため、タイマ53の起動は必要となる。しかし、本別例では、ステップS14でNO判定の場合には、即座に施錠するためタイマ53による計測は不要である。このため、ステップS13とステップS14の順序を逆にして、ステップS14での判定がYESの場合に限りステップS13を実行するように制御することで、タイマ53の無駄な起動を抑制している。
【0049】
本別例の構成によれば、人感センサ31が屋内側で人を検知しない場合には、第1の施錠装置21aの施錠は即座に実行される。このため、シリンダ部23a、23bへのピッキングに対して時間的猶予を与えることはなく、防犯性の面で優れる。一方で、屋内側で人感センサ31が人を検知する場合、すなわち居住者による正規の解錠操作と判定される場合には、居住者がサムターン部24a、24bで解錠を行うにあたり、十分な待機時間(例えば20秒)を設定することができる。このため、居住者の利便性を損なうことなく、より一層の防犯性の向上を図ることができる。
【0050】
本別例では、ステップS14での判定がNOの場合、すなわち人感センサ31が屋内側に人を検知せず、かつ施錠装置21a、21bの両方が解錠された場合には、制御処理を終了することとしたが、処理を終了する前に、後述する通報システムが動作するように制御する構成としてもよい。当該通報システムは、外部への通報が可能な通報装置を有し、コントローラ50は、人感センサ31が屋内側に人を検知せず、かつ施錠装置21a、21bの両方で解錠を検知した場合、不正解錠がなされた旨の信号を通報装置に出力する。通報装置は、当該信号を受信すると、外出中の居住者や警備会社等に通報を行う。このように、施錠装置21a,21bの両方が不正に解錠された場合において、防犯対策を講じることができるため、防犯性の更なる向上を図ることができる。なお、通報システム以外にも、例えば、警報装置を有し、警告音を発して侵入者を威嚇する警報システムを導入してもよい。また、上記実施形態においても同様に、図4のステップS21でYES判定となった場合に、通報システム等が動作するように制御する構成とすることができる。
【0051】
上記実施形態では、施錠装置は2つとしたが、施錠装置は3つ以上備えられていてもよい。
【0052】
上記実施形態では住宅用である建物10を対象とする施解錠システムについて説明したが、本発明の施解錠システムの適用対象は、住宅用の建物10に限定されず、例えば総合ビルや倉庫でもよい。
【符号の説明】
【0053】
10…建物、15…出入口としての玄関口、16…開閉体としての玄関ドア、21a…第1の施錠装置、21b…第2の施錠装置、27a…施解錠検知手段としての第1の施解錠検知センサ、27b…施解錠検知手段としての第2の施解錠検知センサ、31…人検知手段としての人感センサ、50…制御手段としてのコントローラ、T1…第1待機時間。
図1
図2
図3
図4
図5