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特許7250749作業内容および機能内容変更判定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】作業内容および機能内容変更判定システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20230327BHJP
【FI】
G06Q50/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020207024
(22)【出願日】2020-12-14
(65)【公開番号】P2022094162
(43)【公開日】2022-06-24
【審査請求日】2021-11-05
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 裕保
(72)【発明者】
【氏名】森木 秀一
(72)【発明者】
【氏名】井村 進也
【審査官】緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-127174(JP,A)
【文献】特開2006-331341(JP,A)
【文献】特開2010-157206(JP,A)
【文献】特開2012-014283(JP,A)
【文献】特開2004-196202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土木建設現場における作業内容および機能内容の変更の可否を判定する作業内容および機能内容変更判定システムであって、
第1端末および第2端末に情報通信可能に接続される判定装置を備え、
前記判定装置は、前記第1端末から前記作業内容および機能内容の変更申請の申請内容の情報を受信し、前記変更申請の申請内容の情報を用いて前記変更申請の承認権限を有する権利者を特定し、前記第2端末に対して前記変更申請の申請内容の情報と前記特定された権利者の権利者情報を送信して、前記作業内容および機能内容の変更の可否の問い合わせを行い、前記特定された権利者が有する前記第2端末から前記変更申請を許可する判定結果の情報を受信した場合に、前記申請内容に基づき前記作業内容および機能内容を変更し、前記第1端末に対して前記変更申請により変更された前記作業内容および機能内容を送信するものであり、
前記第1端末から前記作業内容および機能内容の変更申請を行う申請者に関する情報を受信し、前記申請者に関する情報に基づいて前記申請者が前記申請内容について前記変更申請の申請権限を有するか否かを前記変更申請の申請内容毎に判別し、前記申請権限を有すると判断した場合に、前記第2端末に対して前記問い合わせを行い、
前記第2端末によって特定された権利者と、前記判定装置において特定された前記権利者とが一致していない場合、前記権利者の特定を再度行い、前記第2端末に対して前記変更申請の申請内容の情報と前記再度特定された権利者の権利者情報を送信し、前記権利者に対する前記作業内容および機能内容の変更の可否の問い合わせを行うことを特徴とする作業内容および機能内容変更判定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の作業内容および機能内容変更判定システムにおいて、
前記判定装置は、前記変更申請を許可する判定結果の情報を前記第2端末から受信した場合に、該変更申請を許可する判定結果の情報を前記第1端末に送信し、
前記第1端末によって前記変更申請を許可する判定結果の情報が確認された場合に、その確認済みの情報を前記第1端末から受信し、
前記確認済みの情報を前記第1端末から受信した場合に、前記作業内容および機能内容を変更することを特徴とする作業内容および機能内容変更判定システム。
【請求項3】
請求項2に記載の作業内容および機能内容変更判定システムにおいて、
前記第1端末をさらに備え、前記第1端末は、前記判定装置から受信した前記変更申請の判定結果が許可であった場合に、前記変更申請時に前記申請者の本人認証を実施した認証装置を用いて再度本人認証を実施し、本人であることが認証された後に前記変更申請の判定結果を受理することを特徴とする作業内容および機能内容変更判定システム。
【請求項4】
請求項3に記載の作業内容および機能内容変更判定システムにおいて、
前記判定装置は、安全性に関わらない作業支援機能については前記第2端末から許可の判定結果を得ることなく、前記第1端末からの変更申請により作業内容および機能内容の変更を可能とすることを特徴とする作業内容および機能内容変更判定システム。
【請求項5】
請求項4に記載の作業内容および機能内容変更判定システムにおいて、
前記判定装置は、同一機械から作業支援機能の変更および安全支援機能の変更が同時に申請された場合、双方の承認権限は上位権利者の前記第2端末のみに通知し、下位施工管理者の前記第2端末には送信しないことを特徴とする作業内容および機能内容変更判定システム。
【請求項6】
請求項1に記載の作業内容および機能内容変更判定システムにおいて、
前記判定装置は、過去の申請内容と過去の判定内容を記録し、前記第2端末からの要求に応じて該記録されている過去の申請内容と過去の判定内容を前記第2端末に送信することを特徴とする作業内容および機能内容変更判定システム。
【請求項7】
請求項1に記載の作業内容および機能内容変更判定システムにおいて、
前記判定装置は、前記申請者による施工現場ルールの承認有無の情報を前記第1端末から受信し、前記申請者による前記施工現場ルールの承認済みでかつ前記申請権限を有すると判断した場合に、前記第2端末に対する前記問い合わせを行うことを特徴とする作業内容および機能内容変更判定システム。
【請求項8】
請求項1に記載の作業内容および機能内容変更判定システムにおいて、
前記第1端末をさらに備え、前記第1端末は、前記変更申請により変更された前記作業内容および機能内容を出力する際、もしくは、前記判定装置に対して確認済みの情報を送信する際に、前記作業内容および前記機能内容を変更することにより発生するリスクの情報を出力することを特徴とする作業内容および機能内容変更判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業内容および機能内容の変更可否を判定する作業内容および機能内容変更判定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ショベル等の作業機械の周辺の所定の監視対象(例えば、人)が検知されると、警報を出力したり、作業機械の動作を制限したりする周辺監視装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の周囲監視装置は、作業機械の高さ方向で所定の第1範囲内に存在する監視対象が検知された場合に、警報を出力、又は、作業機械の動作制限を実施し、また、責任者の判断に応じて機能を解除するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2019/111859 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、例えば制御機能や作業内容が複数存在する場合、制約解除に伴うリスクが高い制御内容や作業内容に関して適切な判断を下すことができる責任者を特定していないため、責任者を特定したり、その判断を作業機械や作業員へ適用したりすることが困難な場合があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、作業内容や機能内容を変更する場合において、責任を有する者にタイムリーに判断を委ねることができる作業内容および機能内容変更判定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の作業内容および機能内容変更判定システムは、土木建設現場における作業内容および機能内容の変更の可否を判定する作業内容および機能内容変更判定システムであって、第1端末および第2端末に情報通信可能に接続される判定装置を備え、前記判定装置は、前記第1端末から前記作業内容および機能内容の変更申請の申請内容の情報を受信し、前記変更申請の申請内容の情報を用いて前記変更申請の承認権限を有する権利者を特定し、前記第2端末に対して前記変更申請の申請内容の情報を送信して、前記作業内容および機能内容の変更の可否の問い合わせを行い、前記第2端末から前記変更申請を許可する判定結果の情報を受信した場合に、前記申請内容に基づき前記作業内容および機能内容を変更し、前記第1端末に対して前記変更申請により変更された前記作業内容および機能内容を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、作業内容や機能内容が複数存在する場合、制約解除に伴うリスクが高い作業内容や機能内容に関して、適切な判断を下すことができる責任者を特定し、責任者が承認した場合のみ、作業内容や機能内容の変更可能とすることにより、責任を有する者にタイムリーに判断を委ねることができる。
【0008】
本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】作業機械の一例である油圧ショベルの概略図。
図2】実施例1の作業内容および機能内容変更判定システムの機能ブロック図。
図3】実施例1の作業内容および機能内容変更判定システムの概要図。
図4】実施例1の作業内容および機能内容変更判定システムのフローチャート。
図5】実施例2の作業内容および機能内容変更判定システムの機能ブロック図。
図6】実施例3の作業内容および機能内容変更判定システムの機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による作業内容および機能内容変更判定システムの実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
<実施例1>
まず図1を用いて油圧ショベル1の構造について説明する。図1は従来の油圧ショベル1の概略図を示したものである。油圧ショベル1の下部走行体13に旋回機構16を介して上部旋回体14が搭載されている。旋回機構16は油圧モータを含み、上部旋回体14を時計回り、または反時計回りに旋回させる。油圧ショベル1の姿勢検出部は、旋回機構16の旋回角度とその変動を検出し、制御装置20に送信する。上部旋回体14には、ブーム8が取り付けられている。ブーム8は、油圧駆動されるブームシリンダ5により、上部旋回体14に対して上下方向に揺動する。ブーム8の先端に、アーム9が取り付けられている。アーム9は、油圧駆動されるアームシリンダ6により、ブーム8に対して前後方向に揺動する。アーム9の先端にはバケット10が取り付けられている。バケット10は、油圧駆動されるバケットシリンダ7により、アーム9に対して揺動する。上部旋回体14には、さらにオペレータ52を収容するキャブ2が搭載されている。本明細書において、ブーム8、アーム9、及びバケット10をまとめてアタッチメント18とする。アタッチメント18は、上部旋回体14と共に、旋回中心17を中心として旋回する。また、旋回中心17からアタッチメント18の先端までの距離は、ブーム8、アーム9、バケット10を揺動させることにより変動する。ここで、上部旋回体14は、旋回中心17を中心として旋回し、上部旋回体14にアタッチメント18が取り付けられている。
【0012】
ブーム8が、y軸に平行な揺動中心22を中心として、上下に揺動する。ブーム8の先端にアーム9が取り付けられており、アーム9の先端にバケット10が取り付けられている。ブーム8の基部、ブーム8とアーム9との接続部、及びアーム9とバケット10との接続部に、それぞれ姿勢センサ19A、19B、19Cが取り付けられている。姿勢センサ19Aは、ブーム8の長手方向と、xy面とのなす角度β1を測定し、制御装置20へ送信する。姿勢センサ19Bは、ブーム8の長手方向とアーム9の長手方向とのなす角度β2を測定し、制御装置20へ送信する。姿勢センサ19Cは、アーム9の長手方向とバケット10の長手方向とのなす角度β3を測定し、制御装置20へ送信する。ここで、ブーム8の長手方向とは、揺動中心22にxz面内において、揺動中心22、及びブーム8とアーム9との接続部を通過する直線の方向を意味する。アーム9の長手方向とは、xz面内において、ブーム8とアーム9との接続部、及びアーム9とバケット10との接続部を通過する直線の方向を意味する。バケット10の長手方向とは、xz面内において、アーム9とバケット10との接続部、及びバケット10の先端を通過する直線の方向を意味する。
【0013】
なお、揺動中心22は、旋回中心17から外れた位置に配置されている。なお、旋回中心17と揺動中心22とが交差するような構造としてもよい。また、姿勢検出部にはIMUのようにブーム8、アーム9、バケット10の角度データを取得する姿勢センサ19A~19Cが用いられる。
【0014】
図2に、実施例1の作業内容および機能内容変更判定システム35の機能ブロック図を示す。
【0015】
作業内容および機能内容変更判定システム35は、土木建設現場における作業内容および機能内容の変更の可否を判定するシステムであって、サーバに設けられる判定装置34により構成され、この判定装置34には、申請者端末(第1端末)47と、権利者端末(第2端末)33とが、情報通信可能に接続される。申請者端末47は、土木建設現場において作業内容および機能内容の変更を申請する申請者によって操作される端末であり、権利者端末33は、変更申請の承認権限を有する権利者によって操作される端末である。判定装置34は、CPU、メモリ、入出力装置などのコンピュータのハードウエアと、ハードウエアにインストールされて実行されるソフトウエアプログラムとの協働により構成される。なお、申請者端末(第1端末)47と権利者端末(第2端末)33と判定装置34とで判定システム35を構成しても良い。
【0016】
作業内容および機能内容変更判定システム35では、申請者端末47から判定装置34に対して、作業内容および機能内容の変更申請の申請内容の情報が送信される。判定装置34は、申請者端末47から作業内容および機能内容の変更申請の申請内容の情報を受信すると、変更申請の申請内容の情報を用いて変更申請の承認権限を有する権利者を特定し、特定された権利者が有する権利者端末33に対して変更申請の申請内容の情報を送信し、権利者に対する作業内容および機能内容の変更の可否の問い合わせを行う。
【0017】
権利者端末33では、権利者による承認判定の判定結果の情報の入力を受け付け、権利者により判定結果の情報が入力された場合に、その判定結果の情報を判定装置34に送信する。判定装置34は、判定結果の情報を申請者端末47に送信し、申請者端末47は、作業内容および機能内容変更の可否の判定結果を出力する。
【0018】
判定装置34は、作業内容および機能内容変更を許可する判定結果の情報を権利者端末33から受信した場合に、変更申請の申請内容に基づき作業内容および機能内容を変更し、申請者端末47に対して変更申請により変更された作業内容および機能内容を送信する。判定装置34によって変更された作業内容および機能内容は、申請者端末47において出力される。
【0019】
申請者端末47は、作業/機能内容変更申請部24を有しており、権利者端末33は、許可判定部29を有している。そして、判定装置34は、作業/機能変更内容判別部25、権利者特定部26、申請内容問い合わせ部27、および作業/機能内容変更部28を有している。
【0020】
申請者端末47の作業/機能内容変更申請部24は、申請者によって申請者端末47から入力された申請者が変更を希望する作業内容もしくは機能内容を選択し、判定装置34に対して作業内容もしくは機能内容の変更申請の申請内容の情報を送信する。また、作業/機能内容変更申請部24は、変更申請を行う申請者に関する情報を判定装置34に送信する。申請者に関する情報には、申請者が有する資格、免許、役職、スキルなどの情報が含まれる。
【0021】
判定装置34の作業/機能変更内容判別部25は、申請者端末47から作業内容および機能内容の変更申請を行う申請者に関する情報を受信すると、その申請者に関する情報を用いて申請者が申請内容について変更申請の申請権限を有するか否かを判別する。作業/機能変更内容判別部25は、作業/機能内容変更申請部24から受信した少なくとも一つ以上の申請者端末47からの複数の申請内容を判定し、各申請内容についてそれぞれの申請者が申請可能な申請内容か否かを判別し、申請者が申請可能な申請内容の場合は、判別結果とともに申請者の情報および申請内容の情報を権利者特定部26へ送信する。
【0022】
判定装置34の権利者特定部26では、作業/機能変更内容判別部25の判別結果に応じてあらかじめ登録された1人以上の権利者60の中から、申請内容について判定可能な権利者、つまり申請内容について承認権限を有する1人以上の権利者を特定する。そして、変更する作業内容および機能内容と紐づいた権利者情報を、申請内容問い合わせ部27および作業/機能内容変更部28へ送信する。
【0023】
判定装置34の申請内容問い合わせ部27は、作業/機能変更内容判別部25により申請者が申請内容について変更申請の申請権限を有すると判断された場合に、権利者特定部26により特定された承認権限を有する権利者の権利者端末33に対して問い合わせを行う。申請内容問い合わせ部27は、権利者特定部26で特定した権利者が有する権利者端末33に対して、変更を申請する作業内容及び機能内容を送信する。
【0024】
権利者端末33の許可判定部29は、申請内容問い合わせ部27より受信した申請内容を基に権利者60によって判定された判定結果を取得し、その承認判定の判定結果を作業/機能内容変更部28へ送信する。
【0025】
判定装置34の作業/機能内容変更部28は、権利者特定部26から得た変更する作業内容および機能内容と紐づいた権利者情報と、許可判定部29より得た変更可否の承認判定の判定結果を基に、許可(承認)であれば作業内容および機能内容を変更し、不可(否認)であれば作業内容および機能内容を変更しない。判定装置34は、許可判定部29より得た変更可否の承認判定の判定結果の情報に基づいて作業/機能内容変更部28において作業内容および機能内容が変更されたか否かの情報を申請者端末47に送信する。
【0026】
申請者端末47は、変更申請に基づいて作業内容および機能内容が変更されたか否かの情報と、変更された場合には、変更後の作業内容および機能内容を出力して、申請者端末47の表示部に表示する。申請者端末47では、作業/機能内容変更部28において作業内容および機能内容が変更された場合には、変更後の作業内容および機能内容が申請者端末47の表示部に表示される。本実施例では、表示部は、申請者端末47と権利者端末33の両方に設けられており、変更後の作業内容および機能内容を、申請者と権利者の両方が見ることができるようになっている。
【0027】
次に、図3図4を用いて本発明による実施例1の作業内容および機能内容変更判定システム35で作業内容および機能内容を変更する判定方法について説明する。まず、図3を用いて施工現場(土木建築現場)における油圧ショベル1またはホイールローダ30等のオペレータ52および作業員51等の申請者50が所持する申請者端末47と、権利者61、62が操作する権利者端末33と、判定装置34との関係について説明する。
【0028】
まず、作業員51もしくはオペレータ52等の申請者50がそれぞれの作業内容もしくは機能内容の変更を申請する場合、スマートフォン、スマートウォッチまたはタブレット等のネットワーク接続が可能な認証装置である申請者端末47を用い、パスワード入力、もしくは端末認証を実施し、申請者50の本人認証を実施する。なお、本人認証の方法は、指紋、静脈、顔認証等の生体認証で代用することも可能である。これらの方法を用いて本人認証を実施後、各申請者50は、申請者端末47を操作して、変更する作業内容および機能内容を選択し、判定装置34に対して変更依頼と共に申請者に関する情報を送信する。申請者端末47は、申請者50の操作に基づき、申請者50に関する情報と、申請者50によって選択された、変更する作業内容および機能内容の情報とを、判定装置34に送信する。なお、申請者50に関する情報は、判定装置34のデータベースに予め記憶しておき、申請者端末47から送信される本人認証等の情報に基づいて抽出してもよい。
【0029】
変更申請の依頼を受信した判定装置34は、まず申請者50の情報と変更内容とを照らし合わせ、その申請者が、自ら申請した作業内容もしくは機能内容の変更を依頼可能な人物であるかを判別する。つまり、その申請者が、その依頼を申請可能な申請権限を有する人物であるかを判別する。
【0030】
例えば、申請者50が、作業歴の浅い作業員51や、操作歴の浅いオペレータ52の場合、または、事故の履歴がある申請者50の場合は、作業内容および機能内容を変更することにより、安全性が損なわれる可能性があるため、特定の作業あるいは機能を固定、または限定する必要がある。判定装置34は、申請者50が申請者端末47から内容変更を申請した段階で、申請者50の行動が特定の作業あるいは機能に固定または限定されているか否かを申請者の情報に基づいて自動的に判定することが可能である。
【0031】
次に、判定装置34は、申請内容に応じて判断可能な役職に就く権利者60を特定し、申請内容と申請者に関する情報をまとめて作業/機能内容変更依頼38として権利者60の権利者端末33へ送信する。権利者端末33は、作業/機能内容変更依頼38を受け取ると、権利者60にその旨を通知する。
【0032】
権利者端末33は、無線を含む電子認証または生体認証を用いて権利者を特定し、権利者と判定装置34において特定した権利者とが一致するか否かを判断する。そして、一致する場合には、権利者による承認判定の判定結果の情報を判定装置34に送信し、一致しない場合には、不一致の情報を判定装置34に送信する。判定装置34では、権利者特定部26において権利者の特定を再度行い、再度特定した権利者が有する権利者端末33に対して変更申請の申請内容の情報を送信し、権利者に対する作業内容および機能内容の変更の可否の問い合わせを行う。
【0033】
権利者60は、スマートフォン、スマートウォッチまたはタブレット等のネットワーク接続が可能な認証装置を権利者端末33として用い、権利者端末33は、パスワード入力、もしくは端末認証を実施し、権利者60の本人認証を実施する。なお、本人認証の方法は、指紋、静脈、顔認証等の生体認証で代用することも可能である。許可判定部29は、権利者特定部26において特定された権利者と、権利者端末33によって無線を含む電子認証や生体認証を用いて特定された権利者とが一致した場合のみ、作業内容および機能内容の変更を許可することもできる。
【0034】
権利者は、これらの方法を用いて権利者60の本人認証を実施後、変更内容に対する承認可否の判定を実施し、その判定結果を権利者端末33に入力する。権利者端末33は、判定装置34に対して、承認可否の判定結果と共に、権利者情報をまとめて作業/機能内容変更判定結果39として送信する。なお、権利者60が1人以上存在した場合(図3に示す例では権利者61と権利者62)、各権利者端末33から判定装置34に対して、判定したすべての権利者60の情報とすべての判定結果が送信される。
【0035】
権利者端末33から判定結果および権利者60の情報を受け取った判定装置34は、事前に特定した権利者60と、判定を実施した権利者60とが一致しているかを確認し、一致している場合のみ、作業/機能内容変更部28において作業内容および機能内容を変更するか否かの判断を行い、その判断結果である作業内容変更依頼結果40を申請者50の申請者端末47に送信する処理を行う。例えば、申請者50が図3に示す作業員51であった場合には、作業員51の申請者端末47に対して作業内容変更依頼結果40を送信し、申請者50が図3に示すオペレータ52であった場合には、オペレータ52の申請者端末47に対して機能内容変更依頼結果41を送信する。なお、事前に特定した権利者60と判定を実施した権利者60とが一致していない場合、再度特定した権利者60の権利者端末33に申請内容及び申請者50の情報を送信する。また、一定時間内に権利者端末33から判定結果を受信できない場合は、申請者端末47に対して内容変更不許可を送信する。作業内容および機能内容変更依頼結果は、判定装置34内のデータベースに記憶され、他の作業員51やオペレータ52による確認依頼があった場合に参照できる。また、同じ作業を行っている作業員51やオペレータ52の端末に対して、作業内容および機能内容変更依頼結果41の情報を配信してもよい。
【0036】
なお、権利者60が複数存在し、複数の権利者60の判定結果が同一の場合、判定装置34は、申請者端末47に対して内容変更結果を送信する。一方、権利者60が複数存在し、判定結果が不同の場合は、業務効率を優先し、多数決による決定を実施する手法と、安全性を優先し、全員の判定結果が同一でない場合は機能変更を許可しない手法の2パターンが存在する。権利者60が複数存在し、同一申請内容に対して複数の権利者60の判定結果が不同(異なる場合)であっても、判定装置34では、より上位の、例えば役職上位の権利者60の判定結果を優先することも可能である。なお、権利者60はあらかじめ登録可能で、役職に応じて登録する場合もあれば、チームごと(会社ごとや車体ごと)などに細かく設定可能とする。また、権利者60が複数存在した場合において、必ずしもすべての権利者60が許可判定を実施する必要はない。
【0037】
申請者端末47によって作業内容変更依頼結果40を受信した作業員51は、作業内容変更依頼結果40に応じて作業内容を変更することが可能となる。受信結果が「許可」であった場合、申請時に本人認証を実施した認証装置である申請者端末47を用いて再度本人認証を実施し、受信結果を「受理」することによって作業内容を変更することができる。作業員51の作業内容変更としては、作業範囲の変更や協働する掘削機械、運搬機械、締固め機械等の建設機械の変更、作業内容の変更などが挙げられる。
【0038】
また、申請者端末47によって機能内容変更依頼結果41を受信したオペレータ52は、機能内容変更依頼結果41に応じて機能内容を変更することが可能となる。受信結果が「許可」であった場合、申請時に本人認証を実施した認証装置である申請者端末47を用いて再度本人認証を実施し、受信結果を「受理」することによって機能内容を変更することができる。
【0039】
なお、「受理」方法については、オペレータ52の音声認識、ジェスチャー等の合図、ボタンやロックレバー等の物理的なスイッチ等で代用することも可能である。建設機械の機能内容としては、設計面に沿うように作業機を動作させるマシンコントロール機能や部分的もしくは完全に自動で作業機を動作させる自律運転機能等の作業支援機能と、作業員51をはじめとする障害物等との衝突を軽減する衝突軽減機能、および車体の転倒を防止する転倒防止機能等の安全支援機能が挙げられる。
【0040】
なお、安全性に関わらないマシンコントロール機能等の作業支援機能は必ずしも権利者60の承認を得る必要はない。作業/機能内容変更部28は、安全性に関わらない作業支援機能については許可判定部29の許可判定を得ることなく、作業/機能内容変更申請部24からの申請により機能変更可能である。例えば、安全性に関わらない作業支援機能について予め登録しておき、申請者端末47から申請された申請内容が、登録済みの内容に合致する場合には、許可判定部29の許可判定を得ることなく、作業/機能内容変更部28は、作業内容および機能内容の変更を可能とする。
【0041】
なお、施工管理者の役職に応じて承認可能な機能が異なる。例えば、施工効率向上を実現する作業支援機能は現場監督等の下位施工管理者が権利者60を担当し、施工現場の安全性に関わる安全支援機能の変更は所長等の上位権利者が権利者60を担当する。例えば、同一機械から作業支援機能の変更および安全支援機能の変更が同時に申請された場合、判定装置34は、双方の承認権限を上位権利者のみに通知し、下位権利者には送信しない。なお、施工現場によっては、上位権利者が存在しない場合があるため、その場合はすべての承認権限を単一役職の施工権利者に集約することも可能である。更に、上位権利者は下位権利者に対して、上位権利者向けの承認権限を下位権利者へ譲渡することも可能である。その場合、すべての上位権利者の承認を得ることが望ましい。
【0042】
次に、図4を用いて、実施例1の処理フローを説明する。まず、S101において申請者50によって申請者端末47が操作されて、申請者端末47から判定装置34に対して作業および機能内容の変更の申請が行われると、S102では、申請者50の情報に基づいて当該申請者50が当該変更の申請をする権限があるか否かが判定装置34において判定される。そして、判定装置34において申請者50が申請する権限があると判断された場合に、S103へ進む。判定装置34において申請者50が申請する権限がないと判断された場合には、S109へ進み、判定装置34は、申請を否認し、申請者端末47を介して申請権限のない申請者50へ否認理由通知を送信し、「申請権限なし」の通告を行い、エンドへ進む。
【0043】
S103では、S101で申請された内容を承認する権利を有する権利者60を特定し、S104にて権利者60に申請内容を問い合わせる処理が行われる。S103とS104の処理は、判定装置34の権利者特定部26と申請内容問い合わせ部27によって実行される。S105においては、権利者端末33において権利者60による申請内容の判定有無を確認し、判定結果が出た場合はS106へ進み、判定結果が出ていない場合はS104へ戻る。
【0044】
S106では、作業/機能内容変更部28において、S103にて特定した権利者60とS105で判定した権利者60とが同一人物か否かを判定し、同一人物であると確認できた場合のみS107へ進む。一方、S103にて特定した権利者60とS105で判定した権利者60とが同一人物でない場合はS104へ戻り、申請内容問い合わせ部27によって、再度該当する権利者60への問い合わせが行われる。
【0045】
S107では、作業/機能内容変更部28において、権利者60による判定結果の判別が行われ、権利者60により作業内容および機能内容の変更が承認されている場合のみS108へ進む。一方、権利者60により作業内容および機能内容の変更が否認されている場合はS109へ進み、否認した権利者60の名前、役職、所属等の情報とともに、場合によっては権利者60の否認理由等のコメントの情報が申請者端末47に送信され、申請者端末47において出力されることで申請者50に通知され、エンドへ進む。S108では、申請者端末47において申請者50による判定内容の確認有無の判定操作が実施され、申請者50により判定内容を確認する操作がなされた場合のみS110へ進み、確認する操作がなされていない場合は、確認操作がされるまで判定を実施し続ける。申請者端末47は、変更申請を許可する判定結果の情報が申請者によって確認された場合に、判定装置34に対して確認済みの情報を送信する。S110では、判定装置34において、作業内容および機能内容の変更を実施する。判定装置34は、確認済の情報を申請者端末47から受信した場合に、作業内容および機能内容を変更する。
【0046】
本実施例の作業内容および機能内容変更判定システムによれば、申請者50の申請者端末47から作業および機能内容の変更の申請がなされると、申請者50に申請権限があるか否かが判定装置34にて判定される。そして、申請者50に申請内容を申請する申請権限があると判定された場合に、申請内容を承認する権利を有する権利者60が特定され、権利者端末33を介してその権利者60に対して申請内容の問い合わせが行われる。そして、承認する権限を有する権利者60が申請内容を承認するか否かを判定した結果、承認する場合には、申請者50に作業内容および機能内容の変更の実施を許可する通知がなされる。一方、承認権限を有する権利者60が承認しなかった場合には、申請が否認されたことが申請者端末47を介して申請者に通知される。したがって、制御機能や作業内容が複数存在する場合、制約解除に伴うリスクが高い制御内容や作業内容に関して、適切な判断を下すことができる権利者60を特定し、権限を有する権利者60が承認した場合のみ、制御内容や作業内容の変更可能とすることにより、責任を有する権利者60にタイムリーに判断を委ねることができる。
【0047】
<実施例2>
図5を用いて本発明による実施例2の作業内容および機能内容変更判定システム35を説明する。なお、図5において図1図4と同一の符号は同一部品を示すため、再度の説明は省略する。実施例1では、権利者60は各申請者50が申請した作業内容及び機能内容変更可否をリアルタイムデータのみで判断していたが、実施例2では、判定装置34が各申請者50の過去の申請内容を記録する申請内容記録部42と、各権利者60の過去の判定内容を記録する判定内容記録部43とを備えた点が、実施例1との相違点である。判定装置34は、過去の申請内容と過去の判定内容を記録し、権利者端末33からの要求に応じて、その記録されている過去の申請内容と過去の判定内容を権利者端末33に送信する。
【0048】
図5に実施例2における作業内容および機能内容変更判定システム35の機能ブロック図を示す。申請内容記録部42は、過去に各申請者50が申請者端末47から申請した変更内容を時系列でリスト化し、記録し、権利者端末33からの要求に応じて、承認権限を持つ権利者60の権利者端末33へ送信することで、権利者60は各申請者50の過去の作業内容または機能内容の変更履歴を参照することができる。すなわち、施工現場ルールから逸脱しようとしている頻度を判別可能なため、権利者60は、過去の申請内容をもとに申請者50である作業員51またはオペレータ52を信頼して作業内容または機能内容を変更するべきかを判断する補足材料とすることができる。
【0049】
また、判定内容記録部43は、過去に各申請者50が申請した内容に応じて各権利者60が判断した変更内容を時系列でリスト化し、記録し、承認権限を持つ権利者60の権利者端末33へ送信することで、権利者60は各権利者60の過去の判断履歴を参照することができる。すなわち、権利者60が判断に迷った場合において、過去の判断履歴を参照することによって、過去に他の権利者60が作業員51またはオペレータ52を信頼して作業内容または機能内容を変更していたかを把握することができ、権利者60が作業員51またはオペレータ52を信頼して作業内容または機能内容を変更するべきかを判断する補足材料とすることができる。
【0050】
また、申請内容と判断内容のログを記録することで、万が一事故が発生した場合、事故の原因となった可能性のある作業内容の変更もしくは機能内容の変更を上位権利者が判定することが可能となり、事故事例を分析するにあたり、活用することができる。
【0051】
<実施例3>
図6を用いて本発明による実施例3の作業内容および機能内容変更判定システム35を説明する。なお、図6において図1図5と同一の符号は同一部品を示すため、再度の説明は省略する。実施例2では、生体情報や端末情報を用いて申請者50および権利者60の本人確認を実施し、申請者50もしくは権利者60が作業内容もしくは機能内容の変更を申請もしくは判断する権限があるかを判定していたが、実施例3では、申請者50および権利者60の本人認証に加えて、申請者50および権利者60があらかじめ規定された施工現場ルールを承認済みか否かを判定する機能を備えた点が実施例1との相違点である。判定装置34は、申請者50による施工現場ルールの承認済みでかつその申請者50が申請権限を有すると判断した場合に、権利者端末33に対する問い合わせを行う。
【0052】
図6に実施例3における作業内容および機能内容変更判定システム35の機能ブロック図を示す。図6に示すように、施工現場ルール承認部44は、申請者端末47に設けられており、申請者50の施工現場ルールの承認有無を判定装置34に送信する。承認内容確認部45は、判定装置34内に設けられており、申請者端末47から入力される情報に含まれる各申請者50が個別に承認した施工現場ルールの内容を確認し、各申請者50の情報とともに施工現場ルールの承認有無を作業/機能変更内容判別部25に送信する。作業/機能変更内容判別部25では、申請者の情報に紐づいた作業内容変更もしくは機能内容変更依頼37に加えて、施工ルールの承認有無の確認を実施する。作業/機能変更内容判別部25は、申請者50に作業内容もしくは機能内容変更を申請する権限があり、かつ事前に施工現場ルールを承認した承認済みの場合にのみ、申請者の情報および申請内容の情報を権利者特定部26へ送信し、申請内容問い合わせ部27から権利者端末33に対する問い合わせを行う。
【0053】
日々、作業内容や作業員51、オペレータ52、施工管理者を含む作業業者が変更される可能性が高い施工現場では、施工現場ルールを日々更新し、また、最新の施工現場ルールおよび施工現場ルールからの逸脱によって想定されるリスクを、該当する作業員51、オペレータ52および施工管理者に周知する必要がある。そのため、施工管理者は作業前にあらかじめ作業員51、オペレータ52およびその他施工管理者を含む作業業者に対して電子メールや申請者端末47のアプリケーション上で施工現場ルールと、施工現場ルールからの逸脱によって想定されるリスクとを周知させ、各作業業者に施工現場ルールを承認させる。そのため、各作業業者が作業内容および機能内容の変更を申請または承認する場合、あらかじめ変更に伴うリスクを周知することが可能となり、安易に作業内容および機能内容を変更させることを低減する。例えば、申請者端末47や権利者端末33の表示部に、申請者と権利者がそれぞれ事前に施工現場ルールの承認有無を確認するための表示を行う。
【0054】
また、申請時に作業内容および機能内容を変更することにより発生するリスクをリスト化し、申請者50が本人認証した申請者端末47の表示部に表示させたうえで、確認を取ってもよい。また、権利者60においても同様に、作業内容および機能内容の変更を承認することによって発生するリスクをリスト化し、権利者60が本人認証した権利者端末33の表示部に表示させたうえで、確認を取ってもよい。例えば申請者端末47は、変更申請により作業/機能内容変更部28によって変更された作業内容および機能内容を出力する際、もしくは、判定装置34に対して確認済みの情報を送信する際に、作業内容および機能内容を変更することにより発生するリスクの情報を出力する構成を有する。
【0055】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、前記の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0056】
24・・・作業/機能内容変更申請部、25・・・作業/機能変更内容判別部、26・・・権利者特定部、27・・・申請内容問い合わせ部、28・・・作業/機能内容変更部、29・・・許可判定部、33・・・権利者端末、34・・・判定装置、35・・・作業内容および機能内容変更判定システム、47・・・申請者端末、50・・・申請者、51・・・作業員(申請者)、52・・・オペレータ(申請者)、60・・・権利者
図1
図2
図3
図4
図5
図6