(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】逐次的ラテラルフローデバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 33/543 20060101AFI20230327BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
G01N33/543 515D
G01N33/543 521
C12M1/00 A
(21)【出願番号】P 2020504338
(86)(22)【出願日】2018-07-27
(86)【国際出願番号】 US2018044123
(87)【国際公開番号】W WO2019023597
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-07-26
(32)【優先日】2017-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503389781
【氏名又は名称】ベラックス バイオメディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バレイホウ, イリー レモ
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス, グレゴリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ルサラリアン, アダム ピー.
(72)【発明者】
【氏名】シャインフェルド, リサ
【審査官】白形 優依
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2000/025135(WO,A1)
【文献】国際公開第90/008322(WO,A1)
【文献】特表2003-517586(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0011185(US,A1)
【文献】特開2011-179865(JP,A)
【文献】国際公開第2007/069673(WO,A1)
【文献】米国特許第08003407(US,B2)
【文献】国際公開第2008/073222(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/055995(WO,A1)
【文献】国際公開第02/044729(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0164193(US,A1)
【文献】LAVERDA, D. et al.,Improved Detection of Gram-Negative Platelet Isolates With Next-Generation Platelet PGD Test,the AABB Annual Meeting,2015年10月,[online],[令和4年6月23日検索],インターネット<URL:https://www.veraxbiomedical.com/wp-content/uploads/2020/02/Improved-Detection-AABB-Poster.1.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 - 33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラテラルフローデバイスを使用して液体サンプル中の複数
個の標的分析物を検出するための方法であって、該方法は、
(a)該液体サンプルと、該ラテラルフローデバイスにおける固体支持体上に配置された複数の捕捉剤および複数の結合剤とを、少なくとも1個のサンドイッチ複合体の形成を可能にする条件下で接触させる工程であって、該少なくとも1個のサンドイッチ複合体は、該複数の結合剤のうちの1もしくはこれより多く、該標的分析物のうちの1もしくはこれより多く、および該捕捉剤のうちの1もしくはこれより多くを含み、ここで該複数の結合剤の各々は、結合体対の一方のメンバーでタグ化され、該複数の結合剤および該複数の捕捉剤は、ポリクローナル抗体を含み、該複数の結合剤および/または該複数の捕捉剤は、該標的分析物のうちの少なくとも部分セットに共通する少なくとも1種の抗原に結合し得る、工程;
(b)検出複合体を形成するために、該サンドイッチ複合体と非酵素シグナル生成剤とを、該シグナル生成剤が該サンドイッチ複合体の結合剤に結合することを可能にする条件下で接触させる工程であって、ここで該シグナル生成剤は、該結合体対の第2のメンバーでタグ化され、該サンドイッチ複合体の結合剤への該シグナル生成剤の結合は、該液体サンプル中の該複数
個の標的分析物のうちの1またはこれより多くの存在を示し、該ラテラルフローデバイスは、該サンドイッチ複合体の形成前に、該シグナル生成剤が該複数の結合剤と接触することから阻害するように適合される、工程;ならびに
(c)該複数
個の標的分析物の存在を決定するために、該検出複合体の形成によって生成されるシグナルを検出
する工程、
を包含
し、該ラテラルフローデバイスは、該液体サンプルを該ラテラルフローデバイスへと導入するためのサンプル受容ゾーンにおけるサンプル受容パッドと、前記固体支持体におけるキャピラリーフローベッドとの間に配置された実質的に不透過性のバッキングを含み、該固体支持体が、該キャピラリーフローベッドの第1の領域から該キャピラリーフローベッドの第2の領域へと該液体サンプルの流れを促進し、該不透過性のバッキングが、該サンプル受容ゾーンにおいて、該液体サンプルと、該キャピラリーフローベッドとの間の接触を阻害する、方法。
【請求項2】
前記工程(a)における接触させる工程は、
前記液体サンプルと前記複数の結合剤とを、前記標的分析物のうちの少なくともいくつかと前記結合剤のうちの少なくともいくつかとの間での第1の複合体の形成を可能にする条件下で接触させること;および
前記サンドイッチ複合体を形成するために、該第1の複合体と前記複数の捕捉剤とを、前記液体サンプルが、該第1の複合体の形成後にのみ、該複数の捕捉剤と接触するように接触させること、
を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程(a)における接触させる工程は、
前記液体サンプルと前記複数の捕捉剤とを、前記標的分析物のうちの少なくともいくつかと該捕捉剤のうちの少なくともいくつかとの間での複合体の形成を可能にする条件下で接触させること;および
前記サンドイッチ複合体を形成するために、該複合体と前記複数の結合剤とを、該結合剤が、該複合体の形成後にのみ、該標的分析物と接触するように接触させること、
を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数個の標的分析物は、複数の部分セットまたはタイプの標的分析物を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の捕捉剤は、捕捉剤のうちの1またはこれより多くのタイプを含み、各々は、前記液体サンプル中の標的分析物のうちの少なくとも前記部分セットの共通抗原に特異的に結合するように適合されている、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の捕捉剤は、グラム陽性細菌抗原および/またはグラム陰性細菌抗原に結合する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の捕捉剤は、前記固体支持体上に1またはこれより多くの捕捉剤分類群を含み、該分類群は、互いから空間的に分離されており、各分類群は、異なる標的分析物に結合する抗体を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の結合剤は、結合剤のうちの1またはこれより多くのタイプを含み、各々は、前記液体サンプル中の標的分析物のうちの少なくとも前記部分セットの共通抗原に特異的に結合するように適合されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の結合剤は、グラム陽性細菌抗原および/またはグラム陰性細菌抗原に結合する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記結合剤のうちの少なくともいくつかは、前記捕捉剤のうちの少なくともいくつかと同じタイプの抗体であ
り、該同じタイプの抗体はモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記結合剤のうちの少なくともいくつかは
モノクローナル抗体であり、かつ前記捕捉剤のうちの少なくともいくつか
はポリクローナル抗体であるか、または前記結合剤のうちの少なくともいくつかはポリクローナル抗体であり、かつ前記捕捉剤のうちの少なくともいくつかはモノクローナル抗体である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ラテラルフローデバイスは、ハウジングユニットを含み、ここで該ハウジングユニットの上側の内表面は、前記サンプル受容パッドの収容力を超過して液体を含むように一連のリブを含み、それによって、
前記サンプル受容パッドの収容力を超過した流体が該サンプル受容パッドからあふれ出るのを阻害する、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の結合剤の各々は、結合体対の第1のメンバーで標識され、前記シグナル生成剤は、該結合体対の第2のメンバーで標識される、請求項1~
12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記結合体対は、ビオチンおよびビオチン結合タンパク質を含み、前記複数の結合剤の各々または前記複数のシグナル生成剤の各々のいずれかは、ビオチンで標識される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ビオチン結合タンパク質は、アビジン、ニュートラアビジン、抗ビオチン抗体、ストレプトアビジン、および他のビオチン結合タンパク質からなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記シグナル生成剤は、金属粒子、蛍光色素、およびラテックス粒子からなる群より選択される、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記サンプルは、塩基による分解、続いて中和を使用して予備処理される、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記予備処理したサンプルは
、複数の結合剤と混合される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記複数
個の標的分析物は、細菌抗原、ウイルス抗原、および/または真菌抗原を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
液体サンプル中の複数
個の標的分析物を検出するためのラテラルフローデバイスであって、該デバイスは、
ハウジングユニットであって、該ハウジングユニットの中に空洞を規定する内表面を含む、ハウジングユニット;
該空洞にあるキャピラリーフローベッ
ド;
緩衝液受容パッド(P
B)および結合体パッド(P
C)を含む緩衝液受容ゾーンであって、該結合体パッドは、検出可能なシグナルを提供するためのシグナル生成剤を含む、緩衝液受容ゾーン;
複数の固定化した捕捉剤を含む捕捉ゾーン(C);
該緩衝液受容ゾーンと該捕捉ゾーンとの間に配置されたサンプル受容ゾーンであって、該サンプル受容ゾーンは、サンプル受容パッド(P
S)、移送パッド(P
T)、および該サンプル受容ゾーンと該キャピラリーフローベッドとの間に配置されかつ該サンプル受容パッドおよび該移送パッドの下に少なくとも部分的に延びる実質的に不透過性のバッキングを含み、該移送パッドは、複数
個の標的分析物に特異的に結合する複数の結合剤を含む、サンプル受容ゾーン;
レザバパッド(R);
該液体サンプルを該サンプル受容パッドへと導入するための該ハウジングにおける第1の入り口(I
1)であって、ここで該不透過性のバッキングは、該サンプル受容ゾーンにおいて、該液体サンプルと該キャピラリーフローベッドとの間の接触を阻
害する、第1の入り口;
緩衝液を該緩衝液受容パッドへと導入するための該ハウジングにおける第2の入り口(I
2)であって、ここで該緩衝液は、該シグナル生成剤を動員して、動員したシグナル生成剤を得る、第2の入り口;ならびに
該標的分析物の存在下で該結合剤と該シグナル生成剤との相互作用によって生成される検出可能なシグナルを観察するための、該捕捉ゾーンを超えて該ハウジングユニットにおいて規定されるリーディングウインドウ;
を含み、
該キャピラリーフローベッドは、該キャピラリーフローベッドの第1の領域に配置された該サンプル受容ゾーンから、該キャピラリーフローベッドの第2の領域に配置された該レザバパッドに前記サンプルを移送するように構成され、
該レザバパッドは、該液体サンプルおよび該動員したシグナル生成剤を
該サンプル受容パッドおよび該緩衝液受容パッドから該レザバパッドに引っ張るように適合され、そして該デバイスは、該動員したシグナル生成剤が該捕捉ゾーンへと流れる前に、該サンプルが該キャピラリーフローベッドに沿って該捕捉ゾーンへと流れるように構成される、ラテラルフローデバイス。
【請求項21】
前記サンプル受容ゾーン、前記緩衝液受容ゾーン、前記捕捉ゾーン、および前記レザバパッドは、
第1の領域から
第2の領域へと以下のとおり配列される、請求項20に記載のラテラルフローデバイス:
【化2】
【請求項22】
前記ハウジングユニットの内表面は、超過流体を保持するように適合させるために一連のリブを含み、それによって、該超過流体が前記サンプル受容パッドまたは前記緩衝液受容パッドからあふれ出るのを阻害する、請求項20または21に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項23】
前記一連のリブは、前記ハウジングユニットの上側の内表面上で前記サンプル受容パッドの上に配置される、請求項22に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項24】
前記一連のリブは、前記ハウジングユニットの上側の内表面上で前記緩衝液受容パッドの上に配置される、請求項23に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項25】
前記ハウジングユニットの内表面は、前記緩衝液受容パッドを前記結合体パッドへと押しつけて、該緩衝液が該緩衝液受容パッドから該結合体パッドへと流れるフローパスを作る少なくとも1つのピンチ点を含む、請求項20~24のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項26】
前記ハウジングユニットの内表面は、前記サンプル受容パッドを前記移送パッドへと押しつけて、前記サンプルが該サンプル受容パッドから該移送パッドへと流れるフローパスを作る少なくとも1つのピンチ点を含む、請求項20~24のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項27】
前記ハウジングユニットの内表面は、前記移送パッドを前記
キャピラリーフローベッドへと押しつけて、前記サンプルが該移送パッドから前記キャピラリーフローベッドへと流れるフローパスを作る少なくとも1つのピンチ点を含む、請求項20~26のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項28】
前記キャピラリーフローベッドは、毛細管現象を促進し、あふれを最小限にするためにわずかに弯曲している、請求項20~27のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項29】
前記捕捉ゾーンにおける複数の捕捉剤は、捕捉剤のうちの1またはこれより多くのタイプを含み、各々、前記液体サンプル中の標的分析物のうちの少なくとも部分セットの共通抗原に適合されている、請求項20~28のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項30】
前記複数の捕捉剤は、グラム陽性細菌抗原および/またはグラム陰性細菌抗原に結合する、請求項20~29のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項31】
前記複数の捕捉剤は、抗体を含む、請求項20~30のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項32】
前記複数の捕捉剤は、ポリクローナル抗体および/またはモノクローナル抗体のうちの1またはこれより多くを含む、請求項20~31のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項33】
前記複数の捕捉剤は、前記キャピラリーフローベッド上に1またはこれより多くの捕捉剤分類群を含み、該分類群は、互いから空間的に分離されており、各分類群は、異なる標的または分析物に結合する抗体を含む、請求項20~32のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項34】
前記複数の結合剤は、グラム陽性細菌抗原および/またはグラム陰性細菌抗原に結合する、請求項20~33のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項35】
前記複数の結合剤は、抗体を含む、請求項20~34のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項36】
前記複数の結合剤は、ポリクローナル抗体および/またはモノクローナル抗体のうちの1またはこれより多くから選択される、請求項20~34のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項37】
前記複数の結合剤の各々は、結合体対の第1のメンバーで標識され、前記シグナル生成剤は、該結合体対の第2のメンバーで標識される、請求項20~36のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項38】
前記結合体対は、ビオチンおよびビオチン結合タンパク質を含み、前記結合剤または前記シグナル生成剤のうちのいずれかは、ビオチンで標識される、請求項37に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項39】
前記ビオチン結合タンパク質は、アビジン、ニュートラアビジン、抗ビオチン抗体、ストレプトアビジン、および他のビオチン結合タンパク質からなる群より選択される、請求項38に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項40】
前記シグナル生成剤は、金属粒子、蛍光色素、およびラテックス粒子からなる群より選択される、請求項20~39のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項41】
前記キャピラリーフローベッドは、ニトロセルロースを含む、請求項20~40のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項42】
前記サンプル受容パッド、前記緩衝液受容パッド、前記レザバパッド、および前記結合体パッドは各々、吸収性の高い材料を含む、請求項20~40のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項43】
前記吸収性の高い材料は、多孔性紙、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ガラス繊維、セルロースブレンド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項42に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項44】
前記液体サンプルは、塩基による分解、続いて中和を使用して予備処理される、請求項20~43のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項45】
前記予備処理した液体サンプルは
、複数の結合剤と混合される、請求項44に記載のラテラルフローデバイス、
【請求項46】
前記複数
個の標的分析物は、細菌抗原、ウイルス抗原、または真菌抗原を含む、請求項20~45のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項47】
請求項20~46のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイスを使用して、液体サンプル中の複数
個の標的分析物を検出するための方法。
【請求項48】
前記検出する工程は、
(a)前記液体サンプルを、前記ラテラルフローデバイスへと前記第1の入り口を通って導入する工程であって、ここで該液体サンプルは、前記サンプル受容パッドから前記移送パッドへと流れ、そして該液体サンプルは、該移送パッ
ドと接触する前に、前記バッキングによって前記キャピラリーフローベッドと接触することから妨げられること;
(b)
前記標的分析物が前記サンプル中に存在する場合、前記移送パッドにおける前記結合剤のうちの少なくともいくつかと
、前記標的分析物のうちの少なくともいくつかとの間で第1の複合体を形成することであって、ここで該第1の複合体は、前記捕捉ゾーンに向かって該キャピラリーフローベッドを通って、該キャピラリーフローベッドの
第2の領域に配置された前記レザバパッドによって生成した毛細管力によって引っ張られること;
(c)該ラテラルフローデバイスの第2の入り口へと緩衝液を導入することであって、該サンプルが該捕捉ゾーンを超えて前記
リーディングウインドウを通り過ぎて流れた後に、前記動員されるシグナル生成剤が該捕捉ゾーンへと流れるように、該液体サンプルを導入した後に該シグナル生成剤を動員すること;ならびに
(d)該リーディングウインドウを通じて該捕捉ゾーンにおいて生成された検出可能なシグナルを読み取ること、
を包含する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
請求項1~19のいずれか1項に記載の複数
個の標的分析物を検出するための方法を行う、請求項20~46のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイス。
【請求項50】
請求項20~46のいずれか1項に記載のラテラルフローデバイスを含む、液体サンプル中の1またはこれより多くの標的分析物を検出するためのキット。
【請求項51】
緩衝溶液もしくは緩衝溶液を調製するための緩衝塩、および/または前記液体サンプルを予備処理するための1もしくはこれより多くの試薬をさらに含む、請求項50に記載のキット。
【請求項52】
前記キットは、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法を行うために使用される、請求項50または51に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国仮出願第62/537,701号(2017年7月27日)の利益を主張しており、その教示全体が本明細書に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
背景
ラテラルフローイムノアッセイ(LFI)は、毒性および疾患に関する化学マーカーおよび生化学マーカーを迅速に検出するための方法である。LFIは、3つのタイプに分類され得る:(1)競合アッセイ(例えば、乱用薬物および治療薬物の低分子薬物を検出するために使用されるもの);(2)タンパク質、糖タンパク質、およびリポポリサッカリドのような大分子のためのイムノメトリックアッセイ(「サンドイッチ」アッセイともいわれる);ならびに(3)生物学的サンプル中の特定の抗原に対する抗体を検出する血清学的アッセイである。本開示は、イムノメトリックアッセイに焦点を絞り、このアッセイに関して、用語「サンドイッチ(sandwich)」アッセイは、参照のために交換可能に使用される。
【0003】
サンドイッチLFI(またはイムノメトリックLFI)は概して、吸収性の高いフローパスを含み、そのフローパス上に捕捉抗体およびシグナル生成薬剤に付着される動員可能な検出抗体が固定化される。そのシグナル生成薬剤は、代表的には、検出可能な有色粒子および/もしくは蛍光粒子、色素、ならびに/または酵素から選択される。上記シグナル生成薬剤が上記検出抗体に直接結合体化される場合、用語「直接アッセイ(direct assay)」が使用される。
【0004】
いくつかの特許および出願が、いわゆる逐次的LFIを記載している。これらの出願において、マルチポートデバイスが、代表的には、特別な試薬を収容するために必要として記載される。いくつかの特許および出願(例えば、米国特許第4,981,786号、EP 1 044 372 B1、US 2013/0164193)では、さらなるポートに関する主な用途は、検出抗体に付着された酵素の色素生成基質および/または蛍光生成基質試薬を別個にかつ逐次的して導入することである。他の出願は、洗浄緩衝液の導入を可能にするために第2のポートを使用することを記載する(例えば、米国特許第4,981,786号)。これらのアッセイは、操作の順序において逐次的であるが、そのシグナル生成薬剤(例えば、酵素)がその検出抗体に直接結合体化されるという点で、なお直接アッセイである。
【0005】
1980年代におけるその初期の概念から今日までのLFIの歴史を調べるにあたって、検出抗体上のシグナル生成部分としての酵素の使用は減少しており、シグナル生成粒子に直接結合体化された検出抗体によって取って代わられている。金コロイドならびに有色および/または蛍光ラテックスは、普及しかつ使用しやすいことが見出された。基質の添加は、検出抗体に直接結合体化されたこのようなシグナル生成粒子が使用される場合に回避される。
【0006】
マルチ分析物イムノメトリックLFIを開発して最適化する過程において、本発明者らは、より多くの標的分析物が、1工程試験ストリップ上での測定を介する検出のために存在する場合、シグナル生成粒子に直接結合体化された検出抗体を使用するイムノメトリックアッセイには、感度が低下するという欠点があることを見出した。例えば、サンドイッチLFI試験ストリップが、3種の異なる標的分析物を検出するとすると、各分析物に特異的な検出限界(LoD)が得られる。しかし、そのLoDは、さらなる3種の標的分析物がサンプルミックス中に存在するとすると(合計6種の標的分析物)、低下する。別の3種の標的分析物が、その6種の標的分析物に加えて(検出に関して合計9種の標的分析物)存在するとすると、各標的分析物のLoDは、さらに悪化し、最終的には有用性がなくなるという点まで悪化する。
これらの限界は、一部は、シグナル生成粒子の表面積限界および粒子表面上の制限された結合体化能力に起因する。現行の方法およびデバイスのこれらおよび他の特徴は、それらの適用を制限する。本開示は、とりわけ、現行のアプローチの制限に対処する改善された方法およびデバイスを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第4981786号明細書
【文献】欧州特許第1044372号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0164193号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
要旨
一局面において、本開示は、複数の標的分析物(例えば、細菌、ウイルス、および/または真菌抗原)を、迅速、単純、高感度、およびマルチ分析物様式で検出するための改善された方法およびデバイスを提供する。その開示される方法および/またはデバイスは、十分に制御された逐次的工程および革新的デバイス特徴を使用して、結合アッセイを行うことを可能にすることによって、従来のラテラルフローデバイスおよび/または方法の難題および制限のうちのいくつかを克服する。さらに、本開示の方法およびデバイスは、複数の結合剤(例えば、多くの標的結合部位に対する抗体(例えば、ポリクローナル抗体)の1もしくは1より多くのタイプまたはイディオタイプ)を使用する1つのアッセイにおいて、多数の標的分析物(例えば、細菌、真菌、および/またはウイルス抗原)の検出に特に十分に適合されている。上記結合剤としてポリクローナル抗体を使用して、複雑なサンプル中で多数の抗原が検出されているこのような状況では、アッセイ感度は、特に重大である。
【0009】
一局面において、本開示は、マルチ分析物検出法、例えば、いくつかの実施に従うサンドイッチLFI試験ストリップおよび/またはいくつかの実施形態に従うラテラルフローデバイスを使用し、液体サンプル中で30種、40種、または可能な限りより多くの標的分析物を検出し得るアッセイを提供する。例えば、本開示は、標的分析物の多数の種および株(例えば、患者への治療的および/または防御的輸液が意図された血小板調製物に潜在的に感染し得る細菌抗原)を検出するためのマルチ分析物検出アッセイを記載する。本開示はまた、迅速なアッセイおよび/または試験(例えば、LFI(例えば、サンドイッチLFI))を提供し、これは、培養物試験が輸液の1~3日前に試験の開始を要する一方で、上記開示されるアッセイまたは試験は輸液の直前に行われ得ることから、確立された培養物ベースの試験を超える安全性の手段としての改善と考えられる。
【0010】
従来の方法および/またはデバイスにおいて使用される単一のLFI試験ストリップは、粒子結合体(または検出抗体-シグナル生成粒子結合体)の制限に起因して、臨床上関連するLoDにおいてその種々の夾雑する細菌の種および株を検出するその能力、マルチ分析物(特に40またはこれを超える標的分析物)検出の能力に、非常に難題がある。
【0011】
一局面において、上記結合剤(例えば、複数の抗体(例えば、ポリクローナル抗体の1種または1種より多くのタイプ)を上記シグナル生成剤(例えば、シグナル生成粒子)から上記LFI試験手順の開始時に分離し、上記液体サンプル中の複数の標的分析物が、上記シグナル生成剤の放出前に上記捕捉ゾーンにおいてサンドイッチ複合体を先ず形成することを可能にすることによって、上記検出する粒子の表面上の結合剤の数の制限によって課される感度の制約は、顕著に克服される。、この逐次的様式では、LoDは、類似の多重化非逐次的直接アッセイと比較して、多重化アッセイにおいて2倍から2log倍数程度まで改善され得る。
【0012】
1つのアプローチでは、上記捕捉ゾーンでのサンドイッチ複合体(例えば、上記結合剤と、標的分析物、固定化した捕捉剤との間の複合体)の形成が、上記結合剤または分析物が上記シグナル生成剤と接触する前に起こる限りにおいて。いくつかの実施において、上記液体サンプルは、ラテラルフローデバイスへと導入される前に、検出抗体と必要に応じて混合される。この手順は、上記検出抗体のうちのいくつかが、上記フローパスに入る前に上記標的分析物のうちのいくつかに結合することを可能にする。さらに、要求されるシグナル生成粒子の数は、実際のサンドイッチ複合体を標識するために十分な数のみに低減され得る。上記標的分析物が、上記フローパス上に固定化された捕捉剤によって捕捉されるにつれて、上記標的分析物を検出抗体で標識する効率は、上記標的分析物と上記検出抗体との間の反応がもはや拡散に制限されないことから、大いに増大する。上記検出抗体の超過は、結合のために上記フローパス上の捕捉された標的分析物を流れ去り得る。上記アッセイの感度は、従って、結合剤-シグナル生成剤結合体または上記標的分析物に結合されかつ上記捕捉ゾーンにおいて捕捉されたシグナル生成剤の数ではなく、上記結合剤(例えば、検出抗体)と上記捕捉された標的分析物との間の効果的な結合事象の数によって駆動される。上記結合剤は、結合剤-シグナル生成剤結合体または分析物に結合される結合体よりサイズが非常に小さいので、結合剤のより高い局所濃度が、所定の処理されたサンプル容積において達成され得る;いくつかの場合では、これは、上記ストリップが代表的には収容するシグナル生成粒子の最大数と比較して、log倍率過剰にある。さらに、非逐次的アッセイでは、結合剤-シグナル生成剤結合体のうちの大きなパーセンテージが、上記標的分析物に結合する事象なしに、上記捕捉ゾーンで捕捉され、干渉を引き起こし、検出感度を低下させる。
【0013】
いくつかの実施において、上記結合剤(例えば、検出抗体)を上記シグナル生成剤(例えば、シグナル生成粒子)から分離することによって、上記結合剤および超過量にある上記シグナル生成剤は、制御された様式で上記捕捉ゾーンにわたって逐次的に適用され得るかまたは流れ得る。このようにして、感度の顕著な改善が達成され得、例えば、所望のLoDにおいて単一LFIストリップを使用して、標的分析物のより大きな多様性が検出されることを可能にする。従って、多数のサンドイッチ複合体が結合剤の局所濃度の増大とともに形成され得、これはその後、シグナル生成剤で「標識」される。
【0014】
さらに、上記開示される方法およびデバイスは、時間に縛りがある様式で、例えば、数時間未満(例えば、4時間未満、3時間未満、2時間未満、および/または1時間未満)で細菌夾雑を試験して、改善された感度とともに臨床上顕著なレベルで複数の標的分析物を検出し得る。これは、例えば、栄養培地中での細菌および/またはウイルスの加速した増殖(これは、1日から数日かかり得る)の必要性なしに、輸液前に血液および/または血液製剤の試験を容易にする。
【0015】
いくつか局面において、本開示は、液体サンプル(例えば、血液または血液製剤)中で複数の標的分析物の検出/決定のために、逐次的マルチ工程様式でアッセイ(例えば、逐次的工程を伴うイムノアッセイ)を行うための方法およびデバイスを提供する。例示的実施において、上記開示される方法は、それら自体が複合体である結合剤(例えば、ポリクローナル抗体の1種または1種より多くのタイプ)を使用して、マルチ分析物を検出する。
【0016】
一局面において、本開示は、ラテラルフローデバイスを使用して、液体サンプル中で複数の標的分析物を検出するための方法を提供する。上記方法は、上記液体サンプルと、上記ラテラルフローデバイスにおける固体支持体上に配置された複数の捕捉剤および複数の結合剤とを、少なくとも1個のサンドイッチ複合体の形成を可能にする条件下で先ず接触させる工程であって、上記少なくとも1個のサンドイッチ複合体は、上記複数の結合剤のうちの1もしくはこれより多く、上記標的分析物のうちの1もしくはこれより多く、および上記捕捉剤のうちの1もしくはこれより多くを含む工程を包含する。上記結合剤の各々は、結合体対の一方のメンバーでタグ化される。いくつかの実施において、上記複数の結合剤および上記複数の捕捉剤は、抗体である。いくつかの実施において、上記複数の結合剤および上記複数の捕捉剤は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、および/またはこれらの混合物である。いくつかの実施において、上記複数の結合剤および上記複数の捕捉剤は、ポリクローナル抗体である。いくつかの実施において、上記複数の結合剤および/または上記複数の捕捉剤は、上記標的分析物のうちの少なくとも部分セットに共通する少なくとも1種の抗原に結合し得る。いくつかの実施において、上記複数の標的分析物は、標的分析物(例えば、細菌(例えば、グラム陽性および/またはグラム陰性細菌)、ウイルス、および/または真菌)のマルチ部分セットまたはタイプを含み得る。上記標的分析物のうちの各タイプまたは部分セットは、サブタイプまたは異なる属をさらに含み得る。標的分析物のうちの各部分セットまたはタイプ(またはサブタイプもしくは属)の中には、上記結合剤または捕捉剤が結合し得る共通抗原が存在し得る。例えば、上記複数の標的分析物は、グラム陽性細菌の少なくとも部分セットおよび/もしくはグラム陰性細菌の部分セット、ならびに/またはこれらのサブタイプを含み得る。上記結合剤および/または捕捉剤の各々は、グラム陽性細菌のうちの少なくとも部分セットもしくはそのサブタイプに共通する抗原に結合し得る、および/またはグラム陰性細菌のうちの少なくとも部分セットもしくはそのサブタイプに共通する抗原に結合し得る。種の間での抗原性の多様性に起因して、結合剤の多数のタイプが使用され得る。上記サンドイッチ複合体の形成後に、シグナル生成剤(例えば、非酵素シグナル生成剤)は、上記シグナル生成剤が、上記サンドイッチ複合体の結合剤に結合して、(例えば、上記結合体対の相互作用を通じて)検出複合体を形成することを可能にする条件下で、上記デバイスに導入され、上記サンドイッチ複合体と接触される。上記検出複合体の形成は、上記複数の標的分析物のうちの1またはこれより多くの存在を示す。なぜなら上記シグナル生成剤は、上記検出複合体が上記デバイスにおいて形成される場所で検出可能なシグナルを生成するからである。上記ラテラルフローデバイスは、上記サンドイッチ複合体を形成する前に、上記シグナル生成剤が上記複数の結合剤と接触することから阻害するように適合される。上記検出複合体の形成によって生成されたシグナルは、上記標的分析物の存在を決定するために検出される。一局面において、上記シグナル生成剤は、非酵素薬剤であり、これは、増幅技術(例えば、PCR増幅または触媒酵素反応の生成物に基づく増幅)に頼ることなく、シグナルの直接検出を可能にする。このようにして、上記開示される方法またはデバイスは、操作および/または製造のコストを低減して、単純化した検出工程を包含する。以前のLFIは、試薬のある程度の逐次的処理を組み込んでいる可能性はあるが、この逐次的処理は、インサイチュでシグナルを生成するために酵素アッセイの使用によって強制された(例えば、酵素によるシグナル生成剤)。さらに、酵素アッセイは、温度および酵素/基質濃度のような要因によって影響を及ぼされ得、上記標的分析物の決定に直接的には関連しない任意のインヒビターまたはアクチベーターの存在によって干渉され得る。従って、シグナル生成剤(例えば、シグナル生成粒子)を使用して上記サンドイッチ複合体を直接検出する工程は、これらの潜在的課題を巧みに回避し得、検出工程における偽陽性結果の可能性または種々の潜在的干渉要因を低減し得る。
【0017】
いくつかの実施において、上記ラテラルフローデバイスは、上記液体サンプルを上記ラテラルフローデバイスへと導入するための上記サンプル受容ゾーンにおけるサンプル受容パッドと、上記液体サンプルの流れを促進する上記固体支持体におけるキャピラリーフローベッドとの間に配置された実質的に不透過性のバッキングを含む。よって、上記ラテラルフローデバイスの近位方向への上記液体サンプルの逆流が低減されるかまたは最小限にされる。いくつかの実施において、上記ラテラルフローデバイスは、ハウジングユニットを含み、ここで上記ハウジングユニットの上側の内表面は、上記サンプル受容パッドの収容力を超過して液体を含むように一連のリブを含み、それによって、上記超過流体が上記サンプル受容パッドからあふれ出るのを阻害する。
【0018】
いくつかの実施において、上記サンドイッチ複合体は、上記液体サンプルおよび上記複数の結合剤の混合物を、上記捕捉ゾーンを通って流して、上記捕捉剤と接触させることによって、1工程で形成され得る。適切な条件下では、サンドイッチ複合体は、上記複数の結合剤のうちの1またはこれより多くと、上記標的分析物のうちの1またはこれより多く、上記捕捉剤のうちの1またはこれより多くとの間で形成され得る。いくつかの実施によれば、上記捕捉ゾーンを通って、上記アッセイストリップの遠位末端へのサンプルおよび試薬の逐次的フローは、上記液体サンプルおよび複数の結合剤(例えば、検出抗体)(これは、シグナル生成剤に結合体化されない)を先ず流し、続いて、その後の工程での上記サンドイッチ複合体の結合剤に付着し得るシグナル生成剤(例えば、シグナル生成粒子)の別個の放出およびフローによって達成され得る。そのようにすることによって、改善された感度を達成するのを助けるために、2つの逐次的流体フローの混合はほとんどまたは全く存在しない。
【0019】
いくつかの実施において、上記サンドイッチ複合体の形成は、2工程で達成され得る。その第1の工程は、上記標的分析物のうちの少なくともいくつかと上記結合剤のうちの少なくともいくつかとの間で第1の複合体を形成するために、上記液体サンプルと複数の結合剤とを接触させる工程を包含する。その第2の工程は、上記サンドイッチ複合体を形成するために、上記第1の複合体と固体支持体上に固定化した複数の捕捉剤とを、上記複数の捕捉剤が上記第1の複合体に結合することを可能にする条件下で接触させる工程を包含する。いくつかの実施において、第1の複合体は、上記液体サンプルおよび試験管の中の複数の結合剤を含む溶液を、人が単に混合することによって;および/または上記液体サンプルを、上記複数の結合剤が予め装填されたラテラルフローデバイスおよび/または試験ストリップのような、上記液体サンプルが上記デバイス内部で上記複数の結合剤と混合されるデバイス(例えば、本明細書で記載されるデバイスのうちのいずれか)に添加することによって、形成され得る。
【0020】
いくつかの実施において、上記液体サンプルと複数の結合剤とを混合する工程は、室温においておよび/またはわずかに加熱しておよび/または撹拌して、緩衝溶液中で行われ得る。上記標的分析物と上記結合剤との間の結合が、可能な限り完全であり得るように、十分な時間が与えられるべきである。いくつかの実施において、上記複数の結合剤は、3種またはこれより多くの標的分析物(例えば、5種、10種、20種、30種、および40種、またはこれより多くの標的分析物)を検出するように選択され得る。上記開示される方法は、逐次的フロー機構を使用することによって、その試験の感度を損なうことなく、より多数の標的分析部物を検出し得る。
【0021】
いくつかの実施において、上記第1の複合体の形成後に、サンドイッチ複合体は、上記第1の複合体を含む緩衝溶液を、上記固体支持体上の固定化した捕捉剤を超えて流すことによって、形成され得る。1つの実施において、上記固体支持体は、ラテラルフローデバイス(例えば、本明細書で記載されるデバイス)におけるラテラルフローベッドである。上記捕捉剤とともに上記サンドイッチ複合体を形成しない超過量の上記第1の複合体は、例えば、上記固体支持体を緩衝溶液で洗浄することによって除去され得る。あるいは、上記結合していない第1の複合体は、上記固定化した捕捉剤がラテラルフローデバイス(例えば、本明細書で記載されるデバイス)におけるレザバに向かう場所を通り過ぎて流れ得る。適切な条件が、例えば、緩衝溶液を使用して、上記固体支持体をわずかに加熱して、または適切なpHレベルを調節して、上記サンドイッチ複合体の形成を促進するために適用され得る。
【0022】
上記サンドイッチ複合体の形成はまた、上記液体サンプルと上記複数の固定化した捕捉剤とを接触させて、上記標的分析物のうちの少なくともいくつかおよび上記捕捉剤のうちの少なくともいくつかを含む複合体を先ず形成し、次いで、これに続いて複数の結合剤と上記複合体とを接触させることによって、達成され得る。いくつかの実施において、上記複数の標的分析物を含む液体サンプルの全てが、上記捕捉剤と接触させられ得る。よって、上記標的分析物および上記捕捉剤が近接していると、相互作用のために両方の局所濃度が効果的に増大する。
【0023】
上記複数の結合剤(例えば、検出抗体)の各々は、結合体対の一方のメンバーである低分子(例えば、約1000 MW未満の低分子)でタグ化され得、上記シグナル生成剤(例えば、シグナル生成粒子)は、上記結合体対の他方のメンバーでタグ化され得る。例えば、ビオチンは、上記結合剤(例えば、検出抗体)に共有結合により付着され得、アビジンアナログ(例えば、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、抗ビオチン抗体など)は、上記シグナル生成粒子の表面上にコーティングされ得る(またはその逆も然り)。このようにして、上記サンドイッチ複合体が、例えば、試験ストリップの上記捕捉ゾーンにおいて形成された後にのみ、上記シグナル生成粒子は、上記検出抗体に付着し得る。いくつかの実施において、上記複数の結合剤(例えば、ビオチンで標識される検出抗体)は、約100nm 粒子-検出抗体結合体のサイズの約1/10である。
【0024】
上記結合剤は、標的分析物の数およびタイプに依存して、結合剤の1種または1種より多くのタイプ(結合剤の例えば、2種、3種、4種、5種、10種、15種、20種、30種、40種、またはこれより多くの異なるタイプ)を含み得る。いくつかの実施において、上記結合剤は、抗体、例えば、モノクローナル抗体および/またはポリクローナル抗体)(例えば、標的分析物のうちの少なくとも部分セット(例えば、上記液体サンプル中の複数のグラム陰性および/またはグラム陽性細菌)の共通抗原に特異的に結合する抗体を含む。上記標的分析物は、分析物の多数のタイプまたは部分セットを含み得、各タイプまたは部分セットの中には、多数のサブタイプが存在し得る。上記タイプまたは部分セットもしくはそのサブタイプの各々は、上記結合剤が特異的に結合し得る上記タイプまたは部分セットもしくはそのサブタイプ内の分析物に共通する抗原があり得る。上記結合剤は、ポリクローナル抗体(例えば、ポリクローナル抗体の1種または1種より多くのタイプ)であり得る。いくつかの実施において、上記結合剤は、グラム陽性および/もしくはグラム陰性細菌のうちの少なくとも部分セットまたは前述の中のサブタイプに共通する少なくとも1種の抗原に特異的に結合する。いくつかの実施において、上記結合剤は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体のうちの1種または1種より多くのタイプから選択される。上記結合剤の各々は、結合体対(例えば、ビオチンおよびビオチン結合タンパク質対)の第1のメンバーと会合され得る。上記ビオチン結合タンパク質は、アビジン、ニュートラアビジン、抗ビオチン抗体、ストレプトアビジン、および他のビオチン結合タンパク質からなる群より選択され得る。
【0025】
いくつかの実施において、上記捕捉剤は、捕捉剤の1種または1種より多くのタイプ(例えば、ポリクローナル抗体の1種または1種より多くのタイプ)を含む。例えば、上記捕捉剤は、標的分析物の数およびタイプに依存して、捕捉剤の2種、3種、4種、5種、10種、15種、20種、30種、40種、またはこれより多くのタイプを含み得る。いくつかの実施において、上記捕捉剤は、上記液体サンプル中の標的分析物のうちの少なくとも部分セットまたはそのサブタイプに共通する少なくとも1種の抗原に特異的に結合するように適合される。いくつかの実施において、上記複数の捕捉剤は、ポリクローナル抗体および/またはモノクローナル抗体のうちの1種または1種より多くのタイプから選択される。いくつかの実施において、上記複数の捕捉剤は、上記固体支持体上の1種またはこれより多くの捕捉分類群を含み、上記分類群は、互いから空間的に分離されており、各分類群は、標的分析物のうちの少なくとも部分セットの種々の共通抗原に特異的に結合する少なくとも1種の捕捉剤(例えば、異なる標的分析物に特異的に結合する1つの抗体)を含む。いくつかの実施において、上記結合剤のうちの少なくともいくつかは、上記捕捉剤のうちの少なくともいくつかとは異なるタイプの抗体である。いくつかの実施において、上記結合剤のうちの少なくともいくつかは、上記捕捉剤のうちの少なくともいくつかと同じタイプの抗体である。
【0026】
上記開示される方法はまた、上記液体サンプル中での複数の標的分析物の存在を示すために、読み取り可能なシグナルを提供するための検出複合体を形成する工程を包含する。上記検出複合体の形成は、上記サンドイッチ複合体とシグナル生成剤とを、上記シグナル生成剤が上記サンドイッチ複合体の結合剤に結合することを可能にする条件下で接触させることによって達成され、このことによって、上記複数の標的分析物のうちの1またはこれより多くの存在が示される。上記検出複合体を形成する際に上記シグナル生成剤によって生成されるシグナルは、上記複数の標的分析物の存在を決定するために使用される。上記シグナル生成剤は、上記結合体対(例えば、ビオチンおよびビオチン結合タンパク質対)の第2のメンバーでタグ化される。いくつかの実施において、上記結合体対は、ビオチンおよびビオチン結合タンパク質を含み、上記結合剤または上記シグナル生成剤のうちのいずれかが、ビオチンで標識される。いくつかの実施において、上記ビオチン結合タンパク質は、アビジン、ニュートラアビジン、抗ビオチン抗体、ストレプトアビジン、および他のビオチン結合タンパク質からなる群より選択される。いくつかの実施において、上記複数の結合剤の各々は、アビジンおよび/またはストレプトアビジンと会合される。いくつかの実施において、上記シグナル生成剤は、金属粒子、蛍光色素、およびラテックス粒子からなる群より選択される。上記サンドイッチ複合体の結合剤への上記シグナル生成剤の結合は、上記液体サンプル中の上記複数の標的分析物の存在を示す。
【0027】
上記サンドイッチ複合体の形成後に上記シグナル生成剤を導入することによって、上記方法の感度は、上記サンドイッチ複合体の増大しつつある数が、上記結合剤と上記標的分析物との間の増大した結合事象の結果として、シグナル検出の前に形成された場合に増大される。従来の方法において使用されるように、上記結合剤-シグナル生成剤結合体の大きなサイズおよび制限された結合体化密度によって課される制限は、除去されており、それによって、上記標的分析物のより多くが上記結合剤と結合して、検出のために上記サンドイッチ複合体のより多くを潜在的に生成することを可能にする。上記検出複合体の形成によって生成されるシグナルは、上記複数の標的分析物の存在を決定するために検出される。上記方法において使用されるシグナル生成剤の性質に依存して、上記シグナル生成剤は、検出可能なシグナル(例えば、視覚的シグナル、化学的に検出可能なシグナル、電気シグナル、ならびに/または機器によっておよび/もしくは第3の複合体の形成を報告する人によって検出可能なシグナル)を生成し得る。いくつかの実施において、上記検出は、裸眼によっておよび/または光学機器によって、いずれかで光学的シグナルを測定することによる。いくつかの実施において、上記検出は、上記第3の複合体の存在下で、緩衝溶液中の電極を使用して電気シグナルを測定することを通じたものである。いくつかの実施において、本明細書で記載される方法の工程は、例えば、デバイス(例えば、本明細書で記載されるデバイス)が使用される場合に自動化され、各工程は、自動化され得、人は、上記液体サンプルを上記デバイスへと入り口を介して適用する。これらの状況では、緩衝溶液はまた、上記結合剤および/または上記シグナル生成剤を動員するために、上記デバイスへと同時におよび/または逐次的に、上記デバイスへと第2の入り口を介して適用される。
【0028】
いくつかの実施において、本明細書で記載される方法は、上記複数の捕捉剤が固定化される試験ストリップ(例えば、本明細書で記載されるラテラルフローデバイスにおけるラテラルフローベッド/パスに類似の試験ストリップ)とともに行われ得る。上記試験ストリップは、上記液体サンプルおよび/または緩衝液が、毛細管力の下で上記ストリップに沿って中を流れる吸収性の高い材料を含み得る。複数の標的分析物が、ある種の検出閾値(例えば、臨床上関連する閾値)を上回って上記液体サンプル中に存在する場合、検出複合体が形成され得、陽性結果を示す検出可能なシグナルを提供し得る。上記液体サンプル中に標的分析物が存在しないか、または上記複数の標的分析物の濃度がある種の検出可能閾値を下回る状況では、集められるおよび/または観察される検出可能なシグナルはなく、これは、陰性結果を示す。
【0029】
いくつかの実施において、上記方法は、液体サンプル(例えば、血液および/または血小板サンプル、例えば、輸液に潜在的に適している以前に貯蔵した血液および/または血小板のバッグからのサンプル)を得る工程を包含し得る。いくつかの実施において、上記サンプルは、方法に適用されるおよび/または本開示のデバイスへと導入される前に、さらに処理され得る。デバイス(本明細書で記載されるとおり)は、液体サンプル中の細菌、ウイルスおよび/または真菌の夾雑の存在を識別するために使用され得る。いくつかの実施において、上記検出および/または方法は、輸液において血液および/または血液製剤を使用する前に行われ得、それによって、患者に、夾雑した血液製剤を輸液するリスクが低減される。いくつかの実施において、上記サンプルは、塩基による分解、続いて中和を使用して、予備処理される。いくつかの実施において、上記予備処理した液体サンプルは、必要に応じて、アッセイの前または上記デバイスに導入される前に、複数の結合剤と混合される。いくつかの実施において、上記複数の標的分析物は、細菌抗原、ウイルス抗原、および/または真菌抗原を含む。
【0030】
いくつかの局面において、本開示は、逐次的ラテラルフローデバイス、例えば、本明細書で記載される方法を行うためのデバイスを提供する。上記逐次的ラテラルフローデバイスは、複数の標的分析物を検出するために、先の段落に記載されるものを含む、本明細書で記載される方法のうちのいずれかを実施するために使用され得る。
【0031】
いくつかの実施において、上記逐次的ラテラルフローデバイスは、ハウジングユニットを含み、上記ハウジングユニットは、その中に空洞を規定する内表面を含む。いくつかの実施において、上記逐次的ラテラルフローデバイスは、上記空洞にキャピラリーフローベッドを含み、ここで上記キャピラリーフローベッドは、上記キャピラリーフローベッドの近位領域から上記キャピラリーフローベッドの遠位領域へと上記サンプルを輸送するように構成されている。いくつかの実施において、上記逐次的ラテラルフローデバイスは、緩衝液受容パッド(PB)および結合体パッド(PC)を含む緩衝液受容ゾーンを含む。上記結合体パッドは、検出可能なシグナルを提供するためのシグナル生成剤を含む。いくつかの実施において、上記逐次的ラテラルフローデバイスは、複数の固定化した捕捉剤を含む捕捉ゾーン(C)を含む。いくつかの実施において、上記逐次的ラテラルフローデバイスは、上記緩衝液受容ゾーンと上記捕捉ゾーンとの間に配置されたサンプル受容ゾーンを含み、上記サンプル受容ゾーンは、サンプル受容パッド(PS)、移送パッド(PT)、ならびに上記サンプル受容ゾーンと上記キャピラリーフローベッドとの間に配置されかつ上記サンプル受容パッドおよび上記移送パッドの下に少なくとも部分的に延びる、実質的に不透過性のバッキングを含む。いくつかの実施において、上記移送パッドは、複数の標的分析物に特異的に結合する複数の結合剤を含む。いくつかの実施において、上記逐次的ラテラルフローデバイスは、上記キャピラリーフローベッドの遠位領域に配置されたレザバパッド(R)を含む。いくつかの実施において、上記逐次的ラテラルフローデバイスは、上記サンプルを上記サンプル受容パッドへと導入するための上記ハウジングにおける第1の入り口(I1)を含む。いくつかの実施において、上記不透過性のバッキングは、上記サンプル受容ゾーンにおいて、上記サンプルと上記キャピラリーフローベッドとの間の接触を阻害し、それによって、近位方向への上記液体サンプルの逆流を低減する。いくつかの実施において、上記逐次的ラテラルフローデバイスは、緩衝液を上記緩衝液受容パッドへと導入するための上記ハウジングにおける第2の入り口(I2)を含む。いくつかの実施において、上記緩衝液は、上記シグナル生成剤を動員して、動員したシグナル生成剤を得る。いくつかの実施において、上記逐次的ラテラルフローデバイスは、上記標的分析物の存在下で上記複数の結合剤と上記シグナル生成剤との相互作用によって生成される検出可能なシグナルを観察するための、上記捕捉ゾーンを超えて上記ハウジングユニットにおいて規定されるリーディングウインドウを含む。いくつかの実施において、上記レザバパッドは、上記液体サンプルおよび上記動員したシグナル生成剤を遠位フロー方向に引っ張るように適合される。いくつかの実施において、上記デバイスは、上記動員したシグナル生成剤が上記捕捉ゾーンへと流れる前に、上記サンプルが該キャピラリーフローベッドに沿って上記捕捉ゾーンへと流れるように構成される。
【0032】
いくつかの実施において、上記サンプル受容ゾーン、上記緩衝液受容ゾーン、上記捕捉ゾーン、および上記レザバパッドは、上記キャピラリーフローベッド上に近位領域から遠位領域へと以下のとおり配列される:
【化1】
【0033】
いくつかの実施において、上記ハウジングユニットの内表面は、超過流体を保持するように適合させた一連のリブを含み、それによって、上記超過流体が上記サンプル受容パッド、上記緩衝液受容パッド、および/または上記キャピラリーフローベッドからあふれ出るのを阻害する。例えば、このような実施において、上記デバイスのユーザーが、上記緩衝液受容パッドの収容力を超過する、超過量の上記緩衝液試薬を上記第2のポートにおいて添加する場合、上記ハウジングにおけるリブは、上記超過液体を含むようにデザインされる。同じことが、上記サンプル受容パッドおよび移送パッドにもあてはまる。
【0034】
いくつかの実施において、上記一連のリブは、上記ハウジングユニットの上側の内表面上で上記サンプル受容パッドの上に配置される。
【0035】
いくつかの実施において、上記一連のリブは、上記ハウジングユニットの上側の内表面上で上記緩衝液受容パッドの上に配置される。
【0036】
いくつかの実施において、上記ハウジングユニットの内表面は、上記緩衝液受容パッドを上記結合体パッドへと押しつけて、上記緩衝液が上記緩衝液受容パッドから上記結合体パッドへと流れるフローパスを作る少なくとも1つのピンチ点を含む。
【0037】
いくつかの実施において、上記ハウジングユニットの内表面は、上記サンプル受容パッドを上記移送パッドへと押しつけて、上記サンプルが上記サンプル受容パッドから上記移送パッドへと流れるフローパスを作る少なくとも1つのピンチ点を含む。
【0038】
いくつかの実施において、上記ハウジングユニットの内表面は、上記移送パッドを上記フローパスベッドへと押しつけて、上記サンプルが上記移送パッドから上記キャピラリーフローベッドへのフローパスを作る少なくとも1つのピンチ点を含む。
【0039】
いくつかの実施において、上記キャピラリーフローベッドは、毛細管現象を促進し、あふれを最小限にするためにわずかに弯曲している。
【0040】
いくつかの実施において、上記捕捉ゾーンにおける複数の捕捉剤は、捕捉剤のうちの1種または1種より多くのタイプを含み、各々、上記液体サンプル中の標的分析物のうちの少なくとも部分セットの共通抗原に特異的に結合するように適合されている。
【0041】
いくつかの実施において、上記複数の捕捉剤は、グラム陽性細菌抗原および/またはグラム陰性細菌抗原に結合する。
【0042】
いくつかの実施において、複数の上記捕捉剤は、抗体(例えば、ポリクローナル抗体、例えば、多価ポリクローナル抗体)を含む。
【0043】
いくつかの実施において、上記複数の捕捉剤は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体のうちの1種または1種より多くのタイプから選択される。
【0044】
いくつかの実施において、上記複数の捕捉剤は、上記ャピラリーフローベッド上に1またはこれより多くの捕捉剤分類群を含み、上記分類群は、互いから空間的に分離されており、各分類群は、標的分析物のうちの少なくとも部分セットの異なる共通抗原に特異的に結合する抗体を含む。
【0045】
いくつかの実施において、上記複数の結合剤は、グラム陽性細菌抗原および/またはグラム陰性細菌抗原に結合し得る。
【0046】
いくつかの実施において、上記複数の結合剤は、抗体を含む。いくつかの実施において、上記抗体は、ポリクローナル抗体および/またはモノクローナル抗体のうちの1種またはこれより多くから選択される。
【0047】
いくつかの実施において、上記複数の結合剤の各々は、結合体対の第1のメンバーと会合され、上記シグナル生成剤は、上記結合体対の第2のメンバーで標識される。
【0048】
いくつかの実施において、上記結合体対は、ビオチンおよびビオチン結合タンパク質であり、上記複数の結合剤の各々または上記複数のシグナル生成剤の各々のいずれかが、ビオチンで標識される。
【0049】
いくつかの実施において、上記シグナル生成剤は、金属粒子、蛍光色素、およびラテックス粒子からなる群より選択される。
【0050】
いくつかの実施において、上記ビオチン結合タンパク質は、アビジン、ニュートラアビジン、抗ビオチン抗体、ストレプトアビジン、および他のビオチン結合タンパク質からなる群より選択される。
【0051】
いくつかの実施において、上記キャピラリーフローベッドは、ニトロセルロースを含む。
【0052】
いくつかの実施において、上記サンプル受容パッド、上記緩衝液受容パッド、上記レザバパッド、および上記結合体パッドは各々、吸収性の高い材料を含む。
【0053】
いくつかの実施において、上記吸収性の高い材料は、多孔性紙、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ガラス繊維、セルロースブレンド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0054】
いくつかの実施において、上記サンプルは、塩基による分解、続いて中和を使用して予備処理される。
【0055】
いくつかの実施において、上記複数の標的分析物は、細菌抗原、ウイルス抗原、および/または真菌抗原を含む。
【0056】
いくつかの局面において、本開示は、本明細書で記載される任意のラテラルフローデバイスを使用して、液体サンプル中で複数の標的分析物を検出するための方法を提供する。
【0057】
いくつかの実施において、本明細書で記載される任意のラテラルフローデバイスを使用して液体サンプル中で複数の標的分析物を検出する工程は、以下の工程を包含する:
(a)上記液体サンプルを、上記ラテラルフローデバイスへと上記第1の入り口を通って導入し得る。上記液体サンプルは、上記サンプル受容パッドから上記移送パッドへと流れ、そして上記液体サンプルは、上記移送パッドの遠位部分と接触する前に、上記バッキングによって上記キャピラリーフローベッドと接触することから妨げられる。
(b)上記複数の標的分析物は、上記サンプル中に存在するのであれば、上記移送パッドにおいて複数の結合剤と第1の複合体を形成する。上記第1の複合体は、上記捕捉ゾーンに向かって上記キャピラリーフローベッドを通って、上記キャピラリーフローベッドの遠位領域に配置された上記レザバパッドによって生じた毛細管力によって引っ張られる。
(c)上記ラテラルフローデバイスの第2の入り口へと緩衝液を導入して、上記動員されるシグナル生成剤が、上記サンプルが上記捕捉ゾーンを超えて視認ウインドウを通り過ぎて流れた後に、上記捕捉ゾーンへと流れるように、上記液体サンプルを導入した後に上記シグナル生成剤を動員し得る。
(d)上記捕捉ゾーンにおいて生じた検出可能なシグナルを、上記リーディングウインドウを通じて読み取り得る。
【0058】
いくつかの実施において、上記サンプルは、固定された所定の容積/上記サンプル受容パッドの収容力に対して較正された収容力を有するドロッパーを使用して、上記サンプル受容パッドへと添加され得る。いくつかの実施において、上記液体サンプルの固定量(例えば、45μL~50μLの液体サンプル)が、上記ドロッパーを使用して、上記サンプル受容パッドへと添加され得、上記固定量は、上記サンプル受容パッドの飽和収容力より大きい。
【0059】
本開示は、前述の局面、実施形態、および実施のうちのいずれかの、互いとの組み合わせ、ならびに本明細書で示される特徴のうちのいずれか1またはこれより多くとの組み合わせを企図する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
この特許出願は、カラー仕上げの少なくとも1枚の図面を含む。カラー図面付きのこの特許出願公報の写しは、請求し、必要な料金を支払えば、当局によって提供される。
【0061】
前述のおよび他の目的および利点は、添付の図面と合わせて、以下の詳細な説明を考慮すれば明らかである。図面の中で類似の参照文字は、全体を通して類似の部材に言及する。
【0062】
【
図1】
図1は、いくつかの実施に従う、液体サンプル中で複数の標的分析物を検出するための方法における工程の順番のフローチャートを示す。
【0063】
【
図2】
図2は、いくつかの実施に従う、2工程経路を介するサンドイッチ複合体の形成を示す。
【0064】
【
図3】
図3は、いくつかの実施に従う、逐次的ラテラルフローデバイスの上面の模式図を示す。
【0065】
【
図4】
図4は、いくつかの実施に従う、ハウジングユニットの空洞の内部にあるキャピラリーフローベッドの模式図を示す。
【0066】
【
図5A-5B】
図5Aは、いくつかの実施に従う、キャピラリーフローベッドの模式図を示す。
図5Bは、いくつかの実施に従う、キャピラリーフローベッドを参照して基準点の位置付けを示す模式図を示す。
【0067】
【
図6】
図6は、いくつかの実施に従う、サンプル受容ゾーンの構成の模式図を示す。
【0068】
【
図7】
図7は、いくつかの実施に従う、サンプル受容ゾーンの側面の模式図を示す。
【0069】
【
図8A-8C】
図8Aは、いくつかの実施に従う、摩擦フィットピン(friction-fit pin)のハウジングアラインメント特徴の切り取り図を示す。
図8Bは、いくつかの実施に従う、アセンブリの間に、上記デバイスのオーバークロージャー(over-closure)を防止するハードストップ形状(hard stop figure)を有する摩擦フィットピンの各々を示す。
図8Cは、いくつかの実施に従う、上記摩擦フィットピンの各々がカセットの底に完全に据えられていることを示す。
【0070】
【
図9A-9C】
図9Aは、いくつかの実施に従う、上記キャピラリーフローベッドおよび上記レザバパッド(末端芯材)基準のためのガイドの模式図を示す。
図9Bは、いくつかの実施に従う、ハウジング特徴に対する上記キャピラリーフローベッドの位置を維持するアラインメントタブの模式図を示す。
図9Cは、いくつかの実施に従う、アラインメントタブが上記キャピラリーフローベッドから離れて傾き、アセンブリを補助しかつあふれを妨げることを示す模式図を示す。
【0071】
【
図10】
図10は、いくつかの実施に従う、上記ハウジングユニットの上側部分の内部で液体レザバとして働く液体格納リブの模式図を示す。
【0072】
【
図11】
図11は、いくつかの実施に従う、上記ハウジングユニットの空洞の内部にキャピラリーフローベッドの弯曲を示す写真を示す。
【0073】
【
図12A-12C】
図12Aは、いくつかの実施に従う、上記結合体パッドを圧縮して、上記キャピラリーフローパスへと液体の流れを方向付ける、上記ハウジングユニットの内部にある広いピンチ接触点の模式図を示す。
図12Bは、
図12Cにおいて広いピンチ点の断面図の位置を示す模式図を示す。
図12Cは、上記広いピンチ点の断面図を示し、上記ピンチ点において上記ハウジングプラスチックは、いくつかの実施に従う、上記キャピラリーフローベッドとの接触点から離れて傾く。
図12Dは、いくつかの実施に従う、上記サンプル受容ゾーンを参照して、上記広いピンチ点の断面図の模式図を示す。
【
図12D】
図12Aは、いくつかの実施に従う、上記結合体パッドを圧縮して、上記キャピラリーフローパスへと液体の流れを方向付ける、上記ハウジングユニットの内部にある広いピンチ接触点の模式図を示す。
図12Bは、
図12Cにおいて広いピンチ点の断面図の位置を示す模式図を示す。
図12Cは、上記広いピンチ点の断面図を示し、上記ピンチ点において上記ハウジングプラスチックは、いくつかの実施に従う、上記キャピラリーフローベッドとの接触点から離れて傾く。
図12Dは、いくつかの実施に従う、上記サンプル受容ゾーンを参照して、上記広いピンチ点の断面図の模式図を示す。
【0074】
【
図13】
図13は、いくつかの実施に従う、上記キャピラリーフローベッドに対するピンチ点の位置の模式図を示す。
【0075】
【
図14】
図14は、いくつかの実施に従う、非逐次的ラテラルフローデバイス(直接法) 対 逐次的ラテラルフローデバイスを使用して、種々の希釈においてPa 27853を検出するための検出シグナルの定量的比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0076】
詳細な説明
本明細書で別段定義されなければ、本出願において使用される科学用語および技術用語は、当業者によって通常理解される意味を有するものとする。本明細書で記載または言及される技術および手順は、十分に理解されており、当該分野で周知でありかつ一般に使用される従来の方法論を使用して一般に使用される。
【0077】
本出願において言及される全ての刊行物、特許および公開特許出願は、本明細書に参考として具体的に援用される。
【0078】
本明細書で記載される開示の各実施は、単独でおよび/または本開示の1もしくはこれより多くの他の実施との組み合わせにおいて採用され得る。
【0079】
別段特定されなければ、以下の定義は、上記の記載された説明の中で使用される特定の用語に関して提供される。
【0080】
本開示全体を通じて、語句「含む、包含する(comprise)」ならびに/または「含む、包含する(comprises)」および「含む、包含する(comprising)」のようなバリエーションは、述べられる整数(または構成要素および/もしくは工程)または整数(または構成要素および/もしくは工程)の群の包含を意味するが、いかなる他の整数(または構成要素および/もしくは工程)または整数(および/もしくは構成要素工程)の群の排除を意味しないことは、理解される。
【0081】
単数形「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」、および「上記、この、その(the)」は、状況が別段明らかに規定しなければ、複数形を包含する。「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」はまた、「1またはこれより多く(one or more)」または「少なくとも1(at least one)」を意味する。
【0082】
「含む、包含する(including)」、「有する(having)」、「含む、含有する(containing)」、「関わる、要する(involving)」、「から構成される(composed of)」などのような移行句は、制限がないことが理解されるべきであり、「が挙げられるが、これらに限定されない(including but not limited to)」を意味するために使用される。「が挙げられる(including)」および「が挙げられるが、これらに限定されない」は、交換可能に使用される。
【0083】
本明細書で使用される場合、結合剤は、細菌、ウイルス、および/または真菌の1より多くの属を結合し得る薬剤である。結合剤は、本開示の方法およびデバイスにおいて使用される場合に、細菌、ウイルス、および/または真菌の1より多くの属(例えば、細菌、ウイルス、および/または真菌の2もしくはこれより多く、3もしくはこれより多く、4もしくはこれより多く、5もしくはこれより多く、6もしくはこれより多く、7もしくはこれより多く、8もしくはこれより多く、9もしくはこれより多く、10もしくはこれより多く、11もしくはこれより多く、12もしくはこれより多く、13もしくはこれより多く、14もしくはこれより多く、15もしくはこれより多く、16もしくはこれより多く、17もしくはこれより多く、18もしくはこれより多く、19もしくはこれより多く、または20もしくはこれより多くの属)の共通抗原に結合し得る。いくつかの実施において、上記結合剤は抗体である。いくつかの実施において、複数の結合剤は、本明細書で記載される方法およびデバイスにおいて使用される。その複数の結合剤は、結合剤の1種または1種より多くのタイプ(例えば、抗体の1またはこれより多くのタイプ)であり得、各々、標的分析物のうちの少なくとも部分セットの共通抗原に特異的に結合するように適合され、上記標的分析物は、分析物の多数の部分セットまたはタイプを含み得、各部分セットまたはタイプは、その部分セット内の共通抗原を有する。いくつかの実施において、結合剤は、細菌、ウイルス、および/または真菌のうちの1より多くの属における共通抗原に特異的に結合する。非限定的例によれば、グラム陰性細菌のうちの2またはこれより多くの属のリポポリサッカリドに特異的に結合する抗体は、結合剤である。同様に、グラム陽性細菌のうちの2またはこれより多くの属のリポテイコ酸(LTA)に特異的に結合する抗体は、結合剤である。このような結合剤は、ポリクローナル抗体および/またはモノクローナル抗体であり得る。いくつかの実施において、結合剤は、混合物が細菌、ウイルス、および/または真菌のうちの1より多くの属に結合するように、その混合物において種々の特異性を有する抗体を含む。他の非抗体分子は、それらが細菌、ウイルス、および/または真菌の構成要素に結合する能力を有する場合に、結合剤として働き得る(例えば、ポリミキシンのような抗生物質は、グラム陰性細菌の多数の属のリポポリサッカリドに結合し、バンコマイシンは、グラム陽性細菌の細胞壁の構成要素に結合し得る)。これらの分子は、適切なリンカーとともに、結合剤として使用され得る。
【0084】
本明細書で使用される場合、「抗原(antigen)」(例えば、グラム陰性細菌抗原および/またはグラム陽性細菌抗原)は、結合剤によって特異的に結合され得る任意の構造的コンホメーションにある任意の分子を意味するために使用される。結合剤によって結合されるその抗原上の部位は、「結合部位(binding site)」といわれる。抗原は、タンパク質、糖タンパク質、炭水化物、および/または脂質であり得るが、これらに限定されない。
【0085】
本明細書で使用される場合、「分析物(analyte)」または「分析物(analytes)」とは、サンプル中で検出されるおよび/または定量的に分析されるべき種、物質、および/または化合物をいう。分析物としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:毒素、タンパク質、ペプチド、ウイルス、細菌および/または細菌の抗原、核酸、炭水化物、真菌、ステロイド、ホルモン、ポリサッカリド、炭水化物、汚染物質、代謝生成物、抗体、ならびに/またはヒトおよび/もしくは非ヒト供給源に由来する任意の検出可能な物質(例えば、血液、組織、水、土壌、汚水、飲料)。本開示のいくつかの実施において、分析物は、結合剤に結合し、第1の複合体を形成し、次いで、その第1の複合体は、その捕捉ゾーンにおけるキャピラリーフローベッド上に固定化した捕捉剤に結合し、その第1の複合体とその捕捉剤との間でサンドイッチ複合体を形成する。ある種のこのような実施において、そのサンドイッチ複合体は、シグナル生成剤にさらに結合して、検出複合体を形成する。各複合体の形成は、別個のものでありかつ逐次的である。
【0086】
本明細書で使用される場合、「結合体化対(conjugation pair)」または「結合体対(conjugate pair)」とは、その第1のおよび第2の分子/メンバーが、共有結合、親和性、および/または物理的手段を通じて互いに結合される2種の異なる分子/メンバーをいう。その結合体化対のメンバー間の結合または相互作用は、そのメンバーが、それらの結合パートナーを、アッセイの他の構成要素および/または周りの物質に由来する種々の相互作用および/または親和性から区別し得るように、特異的かつ特有である。いくつかの実施において、結合体化対は、レセプターおよびリガンド(例えば、抗体および抗原)であり得る。他の実施において、結合体化対としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ビオチンおよびアビジン、炭水化物およびレクチン、相補的ヌクレオチド配列、相補的ペプチド配列、エフェクターおよびレセプター分子、酵素補因子および酵素、酵素インヒビターおよび酵素、ペプチド配列およびその配列もしくはタンパク質全体に特異的な抗体、ポリマー酸および塩基、色素およびタンパク質結合剤、ペプチドおよび特異的タンパク質結合剤(例えば、リボヌクレアーゼ、S-ペプチド、およびリボヌクレアーゼS-プロテイン)、金属およびそれらのキレート化剤など。さらに、特異的結合体対は、元の特異的結合メンバーのアナログおよび/または誘導体であるメンバー(例えば、他方の結合メンバーに類似の結合特性をなお維持する、化学的改変、組換え技術、および/または分子操作によって作製された特異的結合メンバー)を含み得る。いくつかの実施において、結合体化対の第1のメンバーは、ビオチンであり、結合体化対の第2のメンバーは、アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン、および/または任意の抗ビオチン抗体から選択される。
【0087】
本開示は、液体サンプル中で1またはこれより多くの標的分析物を検出するための方法、逐次的ラテラルフローデバイス、およびキットを提供する。本開示はまた、その開示されるデバイスおよび/またはキットを使用する方法を提供する。本開示が本明細書で示される実施に限定されないことは理解されるべきである。本開示の実施が説明目的で意図され、限定として見做されるべきでないことも、理解されるべきである。
【0088】
いくつかの実施において、本開示は、既存の方法、デバイス、およびキットより広い反応性および高い感度を有する方法、デバイスおよびキットを提供する。いくつかの実施において、上記方法、デバイス、およびキットは、より広い範囲の標的分析物(例えば、既存の方法およびデバイスより広い範囲の細菌の属、種、および/または細菌株)を検出し得る。例えば、その方法、デバイス、および/またはキットは、少なくとも20種、40種、60種、80種、100種、150種、200種、250種、300種、350種、400種、450種、または500種の異なる細菌、ウイルス、または真菌を検出し得る。いくつかの実施において、本開示は、1×107、1×106、1×105、1×104、1×103、または1×102を超えるコロニー形成単位(CFU)/mLの細菌および/または細菌のそのレベルから得られる抗原の等しい濃度を検出し得る複数の抗体を含む方法、デバイス、および/またはキットを提供し、これら抗体の各々は、上記標的分析物のうちの少なくとも部分セットの共通抗原に結合し得る。
【0089】
本開示のデバイス、キット、および方法に適切なある種の実施の詳細な説明は、以下のように考察されるが、これらに限定されない:
【0090】
図1は、いくつかの実施に従って、液体サンプル中で複数の標的分析物を検出するための例証的方法(100)を示す。工程(a)では、その液体サンプルは、複数の結合剤およびラテラルフローデバイスにおける固体支持体上の複数の捕捉剤と、少なくとも1種のサンドイッチ複合体の形成を可能にする条件下で接触される。そのサンドイッチ複合体は、その複数の結合剤のうちの1種またはこれより多くと、その標的分析物のうちの1種またはこれより多く、その捕捉剤のうちの1種またはこれより多くとの間で形成される。そのサンドイッチ複合体は、段階的様式で形成され得る(例えば、その標的分析物は、その捕捉剤と結合する前に先ずその結合剤に結合し得るか、またはその標的分析物は、その結合剤と結合する前に先ずその捕捉剤に結合し得る)。いくつかの事象において、その標的分析物、結合剤、およびその捕捉剤は一緒になって、そのサンドイッチ複合体を1工程で形成し得る。いくつかの実施において、その複数の結合剤およびその複数の捕捉剤は、抗体である。いくつかの実施において、その複数の結合剤およびその複数の捕捉剤は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、および/またはその混合物である。いくつかの実施において、その複数の結合剤およびその複数の捕捉剤は、ポリクローナル抗体である。そのサンドイッチ複合体は、少なくとも1種の標的分析物(中央において)、その捕捉剤のうちの1種またはこれより多く(固体支持体に固定化される底部において)、およびその複数の結合剤のうちの1種またはこれより多く(頂部に)を含む。結合していない試薬、標的分析物、および/または結合剤は必要に応じて、次の工程の前に、例えば、その固体支持体を緩衝溶液で洗浄するおよび/またはその固体支持体を遠心分離して乾燥させることによって、洗い流され得るおよび/または除去され得る。上記方法がデバイス(例えば、本明細書で記載されるラテラルフローデバイス)で行われる場合、結合されていない試薬は、毛細管力を介してその捕捉剤から離れて運ばれ得る。
【0091】
いくつかの実施において、その複数の結合剤および/またはその複数の捕捉剤は、抗体(例えば、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体)である。いくつかの実施において、このような抗体は、グラム陽性細菌および/またはグラム陰性細菌のうちの少なくとも部分セットならびに/または少なくともそのサブタイプの共通抗原に特異的に結合し得る。ある種の実施において、その複数の結合剤またはその複数の捕捉剤は、ポリクローナル抗体(例えば、多価ポリクローナル抗体)、モノクローナル抗体、および/またはその前述のものの混合物であり得る。いくつかの実施において、その複数の結合剤の各々は、結合体対(例えば、ビオチンおよびビオチン結合タンパク質(例えば、アビジン、ニュートラアビジン、抗ビオチン抗体、ストレプトアビジン、および/または他のビオチン結合タンパク質)の結合体対)の一方のメンバーでタグ化される。従来の方法において使用される結合剤-シグナル生成粒子結合体とは異なり、本発明の方法における結合剤は、いくつかの実施に従って、結合体対の第1のメンバー(例えば、ビオチンのような低分子)でタグ化される。よって、その結合剤のサイズは、その結合剤-シグナル生成粒子結合体より遙かに小さい。その同じ反応空間内で、結合剤の局所濃度は、大きく増大され得、それによって、次の工程のために、および最終的には検出のために、その第1の複合体のより多くの数を生成するように増大した結合事象を生じる。いくつかの実施において、その結合剤は、ビオチンで標識される。いくつかの実施において、その結合剤は、ビオチン結合タンパク質で標識される。そのサンドイッチ複合体の形成を促進し得る適切な条件としては、室温において、必要に応じて、撹拌および/またはわずかに加熱しながら、緩衝溶液(例えば、ホスフェート緩衝液)中で反応を行うことが挙げられる。必要に応じて、結合されていない標的分析物または結合剤は、次の工程の前に除去され得る。
【0092】
いくつかの実施において、その複数の捕捉剤は、捕捉剤のうちの1種またはこれより多くのタイプであり得、各々、その液体サンプル中の標的分析物のうちの少なくとも部分セットの共通抗原に特異的に結合されるように適合される。例えば、いくつかの実施において、その捕捉剤は、グラム陽性細菌および/もしくはグラム陰性細菌のうちの少なくとも部分セットならびに/または少なくともそのサブタイプの共通抗原に特異的に結合し得る。いくつかの実施において、その捕捉剤は抗体、例えば、ポリクローナル抗体(例えば、多価ポリクローナル抗体)、モノクローナル抗体、および/または前述のものの混合物である。いくつかの実施において、その捕捉剤のうちの少なくともいくつかは、その結合剤のうちの少なくともいくつかと同じタイプである。いくつかの実施において、その捕捉剤のうちの少なくともいくつかは、その結合剤のうちの少なくともいくつかとは異なるタイプである。いくつかの実施において、その複数の捕捉剤は共有結合による化学的結合を通じておよび/または物理的吸収を通じて、固体支持体(例えば、本明細書で記載されるデバイスの試験ストリップおよび/またはキャピラリーフローベッド)上の分類群(group)に固定化される。その分類群は、互いから空間的に分離されていてもよく、各分類群は、異なる標的分析物に特異的に結合する抗体を含む。
【0093】
そのプロセスは、工程(b)へ続き、シグナル生成剤(例えば、非酵素的なもの)は、そのシグナル生成剤がそのサンドイッチ複合体の結合剤に結合することを可能にする条件下で、そのサンドイッチ複合体と接触して、検出複合体が形成される。そのシグナル生成剤は、その結合体対の第2のメンバーでタグ化され、そのサンドイッチ複合体の結合剤へのそのシグナル生成剤の結合は、その液体サンプル中の複数の標的分析物のうちの1種またはこれより多くの存在を示す。よって、その検出複合体はまた、その捕捉剤が存在するその固体支持体上で固定化される。そのラテラルフローデバイスは、そのシグナル生成剤を、そのサンドイッチ複合体の形成の前に、その複数の結合剤と接触することから阻害するように適合される。いくつかの実施において、そのラテラルフローデバイスは、その液体サンプルをそのラテラルフローデバイスへと導入するためのサンプル受容ゾーンにおけるサンプル受容パッドと、その液体サンプルの流れを促進するその固体支持体におけるキャピラリーフローベッドとの間に配置された実質的に不透過性のバッキングを含み、それによって、そのラテラルフローデバイスの近位方向へのその液体サンプルの逆流を低減する。いくつかの実施において、その液体サンプルは、固定された容積/そのサンプル受容パッドの飽和収容力に較正された収容力を有するドロッパーを使用して、そのサンプル受容パッドへと添加され得る。いくつかの実施において、そのドロッパーを使用することによって添加される液体サンプルの量は、そのサンプル受容パッドが飽和していない状態であり得るように、そのサンプル受容パッドの完全飽和収容力より小さい。
【0094】
そのシグナル生成剤は、その検出複合体が、液体サンプル中でその複数の標的分析物のうちの1種またはこれより多くの存在を示すために、その固体支持体上で形成される検出可能なシグナルを提供する。いくつかの実施において、そのシグナル生成剤は、有色素粒子、ラテックス粒子、金属粒子(例えば、金、銀、白金のナノ粒子)、蛍光粒子、または磁性粒子である。いくつかの実施において、そのシグナル生成剤は、有色色素および/または蛍光色素である。いくつかの実施において、そのシグナル生成剤は、触媒酵素である。いくつかの実施において、そのシグナル生成剤は、粒子(例えば、金ナノ粒子(例えば、40nm、60nm、または80nmの金ナノ粒子)である。ある種のこのような実施において、その金ナノ粒子は、その結合体対の第2のメンバーでタグ化され、そのサンドイッチ複合体の結合剤への(例えば、その結合体対を介する)そのシグナル生成剤の結合は、その液体サンプル中の複数の標的分析物のうちの1種またはこれより多くの存在を示す。ある種のこのような実施において、そのシグナル生成剤は、ビオチン-結合分子(例えば、アビジンおよび/またはストレプトアビジン)でタグ化される金ナノ粒子である。超過シグナル生成剤は、干渉を最小限にするために、シグナル検出前に、洗い流され得るおよび/または除去され得る。
【0095】
そのプロセスは、工程(c)へ続き、ここでその検出複合体の形成によって生成されるシグナルは、その液体サンプル中の複数の標的分析物のうちの1種またはこれより多くの存在を決定するために検出される。そのシグナルは、適切な手段(例えば、視覚的、電気的、および/または光学的検出)を使用して検出され得る。その1種またはこれより多くの標的分析物が液体中に存在し、その検出複合体が十分な量で形成される場合、シグナルは、例えば、その捕捉剤が固定化された固体支持体上で検出され、陽性結果を生じる。しかし、その1種またはこれより多くの標的分析物の非存在下では、またはその1種またはこれより多くの標的分析物が臨床上関連するレベルで存在しない場合には、その第1の複合体も、サンドイッチ複合体も、検出複合体も、十分量で形成されないので、検出可能なシグナルは見出されず、それによって、陰性結果を生じる。
【0096】
図2は、サンドイッチ複合体を形成する2つの経路を示す。各経路は、いくつかの実施に従う2つの工程を有する。第1の経路(200)では、その液体サンプルは、その複数の結合剤と、その標的分析物のうちの少なくともいくつかとその結合剤のうちの少なくともいくつかとの間で第1の複合体の形成を可能にする条件下で接触される。その後、その第1の複合体は、その液体サンプルがその第1の複合体の形成後にその複数の捕捉剤と接触するように、その複数の捕捉剤と接触されて、そのサンドイッチ複合体を形成する。操作において、その液体サンプルは、本明細書で記載されるデバイスを通って流れる前に、試験管中でその複数の結合剤と単純に混合され得る。その第1の複合体を含む溶液はまた、その固体支持体(その固体支持体上で、その捕捉剤がその固体支持体を十分な時間量にわたってその溶液中に浸すことによって固定化される)に接触され得る。あるいは、その液体サンプルは、引張り力(例えば、毛細管現象)によって推進されるその複数の結合剤で予め装填された、デバイス(例えば、ラテラルフローデバイス(例えば、本明細書で記載されるデバイス))を通じておよび/または試験ストリップ(例えば、本明細書で記載されるデバイスにおいて使用されるラテラルフローベッド/パス)上を流れ得る。そのデバイスまたはストリップは、その液体サンプルが、その捕捉ゾーンにおいて複数の捕捉剤と接触する前に、複数の結合剤と接触した状態になるように構成される。適切な条件は、その標的分析物とその結合剤および/またはその捕捉剤との間の複合体形成を担保するために適用され得る。例えば、第1の経路(200)では、この第1の工程は、そのサンドイッチ複合体の形成が可能な限り完全であり得るように、十分な時間によって、その第1の複合体ならびに/または結合していない標的分析物および結合剤がその複数の捕捉剤と相互作用することが可能になるという条件で、室温において、および/または必要に応じて、わずかに加熱しながら、行われる。
【0097】
第2の経路(300)では、その液体サンプルは、ラテラルフローデバイスまたは試験ストリップにおける固体支持体上に配置された複数の捕捉剤と、1種の標的分析物と1種の捕捉剤との間の少なくとも1種の複合体の形成を可能にする条件下で接触され、その後、液体サンプルをその複数の結合剤と接触させて、そのサンドイッチ複合体を形成する。実際には、その液体サンプルは、そのラテラルフローデバイスを通って先ず流れ得、その後、その複数の結合剤を含む緩衝液の別個の流れが続き得る。
【0098】
一局面によれば、本開示の逐次的ラテラルフローデバイスは、ハウジングユニットを含み、そのハウジングユニットは、その中に空洞を規定する内表面を有する。
【0099】
図3および
図4は、それぞれ、いくつかの実施に従う逐次的ラテラルフローデバイスの上面図および内面図を示す。
図3に示されるように、そのハウジングユニットは、その空洞を形成するために、下側部分(11)(
図4)と一緒にフィットし得る上側部分(10)を含み得る。そのハウジングユニットの上側部分は、第1の入り口(20)(その入り口のうちの一部は、赤色で示され、
図3において「1」および赤色の輪郭で表示される)、第2の入り口(21)(その入り口のうちの一部は、白色で示され、
図3において「2」で表示される)、およびリーディングウインドウ(22)を含み得る。液体サンプルは、その第1の入り口(20)を通ってそのデバイスへと導入され得る一方で、試薬緩衝液は、その第2の入り口(21)を通ってそのデバイスへと導入され得る。
【0100】
図4は、いくつかの実施に従って、そのハウジングユニットの空洞の内部にあるキャピラリーフローベッド(30)を示す。いくつかの実施において、そのキャピラリーフローベッドは、近位領域および遠位領域を有する。いくつかの実施において、そのキャピラリーフローベッドは、そのハウジングユニット下側部分(11)に固定され、それは、
図4に示されるように、そのキャピラリーフローベッドとの制限された接触点を(例えば、そのキャピラリーフローベッドの下の不連続かつ分離した支持体を通じて)有する。
【0101】
いくつかの実施において、そのハウジングユニットは、そのキャピラリーフローベッドを、そのハウジングユニットの内部に、例えば、そのハウジングユニットの下側部分に、適切に整列されかつ内部に固定されて維持するように、基準およびアラインメントタブのような特徴をさらに含み得る。いくつかの実施において、そのハウジングユニットは、そのキャピラリーフローベッドを通って、例えば、逐次的様式で通過する液体の流れを制御するために、リブ、不連続支持体、および/またはピンチ点のような特徴を内部にさらに含み得る。一局面において、そのキャピラリーフローベッドは、液体(例えば、サンプルおよび試薬緩衝液)を、そのキャピラリーフローベッドの近位領域から遠位領域へと、毛細管現象を通じて輸送するように構成される。そのキャピラリーフローベッドのさらなる特徴は、いくつかの実施に従って、
図4に示されるとおりの類似の番号を使用して、本明細書で示される。
【0102】
図5aは、いくつかの実施に従って、キャピラリーフローベッドおよびそのベッド上の種々の構成要素を示す。いくつかの実施において、そのキャピラリーフローベッドは、以下のゾーンを含み得る:緩衝液受容ゾーン、サンプル受容ゾーン、および捕捉ゾーン。その緩衝液受容ゾーンは、そのキャピラリーフローベッド上に配置され、緩衝液受容パッド(P
B, 40)および結合体パッド(P
C, 41)を含む。その結合体パッドは、検出可能なシグナルを提供するために、その結合体パッドに配置された(例えば、その結合体パッドに付着されるおよび/またはその結合体パッドと会合されるように)シグナル生成剤(例えば、ビオチン結合タンパク質で標識された金ナノ粒子)を含む。そのシグナル生成剤は、その結合体パッド(41)の内部に放出可能に乾燥され得る。試薬緩衝液は、その結合体パッドに保持されたシグナル生成剤を動員して、そのキャピラリーベッドを通ってその捕捉ゾーンへと流すために、その緩衝液受容パッドへと、その第2の入り口(I2, 21)を通って導入され得る。その捕捉ゾーン(C, 44)は、複数の捕捉剤(例えば、捕捉剤のうちの1種または1種より多くのタイプの複数の捕捉剤)(例えば、そのキャピラリーフローベッド上に(例えば、1種または1種より多くの分類群において)固定化された、その複数の標的分析物のうちの部分セットの共通抗原に特異的に結合する抗体)を含む。いくつかの実施において、その逐次的ラテラルフローデバイスは、そのキャピラリーフローベッド(30)の遠位領域に配置されたレザバパッド(R, 45)をさらに含み得る。そのレザバパッドは、そのサンプルおよび緩衝液を引っ張り、その動員されたシグナル生成剤を遠位フロー方向へと運ぶように適合される。いくつかの実施において、そのサンプル受容ゾーンは、その緩衝液受容ゾーンとその捕捉ゾーンとの間に配置される。そのサンプル受容ゾーンは、サンプル受容パッド(Ps, 42)および移送パッド(Pt, 43)を含む。いくつかの実施によれば、そのサンプル受容ゾーンはまた、不透過性のバッキング(60)を含む。
図5bは、そのキャピラリーフローベッドを参照して、基準点の位置を示す。
【0103】
いくつかの実施において、本開示のデバイスは、キャピラリーフローベッド(例えば、
図5aおよび
図5bに示されるもののような)を含む。
図5aは、いくつかの実施に従って、そのベッド上に種々の構成要素を有するキャピラリーフローベッドを示す。ある種のこのような実施において、サンプル受容ゾーン(サンプル受容パッド(42)および移送パッド(43)を含む)、緩衝液受容ゾーン(緩衝液受容パッド(40)および結合体パッド(41))、ならびにレザバパッド(45)は、そのキャピラリーフローベッド(30)上に配置される。
【0104】
いくつかの実施において、そのキャピラリーフローベッド(30)、および/またはそのサンプル受容パッド(42)、および/またはその移送パッド(43)、および/またはその緩衝液受容パッド(40)、および/またはその結合体パッド(41)は、吸収性の高い材料(例えば、ニトロセルロース膜)から作製され得る。本開示の吸収性の高い材料は、孔を有する多孔性材料であって、毛細管力に応じてその膜を通して液体を輸送し得るものである。その吸収性の高い材料は、平行して一緒に引っ張られ、開放芯材を形成する一連の繊維を含む。その繊維間の空間は、チャネルを形成して、液体を毛細管現象を通じて引っ張る。
【0105】
概して、吸収性の高い材料は、性質が親水性である。適切な吸収性の高い材料としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:親水性無機粉末(例えば、シリカゲル、アルミナ、珪藻土など)、スポンジ物質、ガラス繊維、粘土質の物質、布、親水性の天然ポリマー材料、特に、セルロース材料、類似のセルロースビーズ、および特に繊維含有紙(例えば、濾紙および/またはクロマトグラフィー用の紙)、合成および/または改変された天然に存在するポリマー(例えば、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルクロリド、ポリアクリルアミド、ポリエチレン、ガラス繊維、ポリアクリレート、ポリウレタン、架橋デキストラン、アガロース、ならびに他のこのような架橋されたおよび架橋されていない水不溶性親水性ポリマー)。本開示の適切な吸収性の高い材料は、表面上で官能化され得例えば、抗体および/またはレセプターと共有結合を形成し得る。
【0106】
いくつかの実施において、その吸収性の高い材料は、パッド、シート、および/または圧縮繊維の形態にあり得る。いくつかの実施において、その吸収性の高い材料は、ニトロセルロース(例えば、約0.4ミクロン~約15ミクロンの孔サイズを有するニトロセルロース)である。
【0107】
いくつかの実施において、そのキャピラリーフローベッドは、水不溶性、非多孔性、可撓性のプラスチックストリップ(例えば、ポリエステルストリップ)を含む、固体支持体(例えば、実質的に不透過性の支持体)上に配置される。概して、その固体支持体は、そのキャピラリーフローベッドと同じまたはわずかに異なる寸法のものである。その固体支持体に適切な材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ナイロン、ガラス、セラミック、金属、ポリウレタン、ネオプレン、ラテックス、シリコーンゴム、ポリエステル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルブチレート)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
いくつかの実施において、そのキャピラリーフローベッドは、
図5aおよび
図5bに示されるように、少なくとも1つの捕捉ゾーン(44)を含み得る。捕捉ゾーンは、化学的手段および/または物理的手段を介してそのキャピラリーフローベッド上に固定化される1種または1種より多くの捕捉剤を含む。
【0109】
いくつかの実施において、その液体サンプルがそのサンプル受容パッド(42)に添加される場合、そのサンプルは、毛細管力の下でその移送パッド(43)へと流れ、その複数の結合剤と混合して、その結合剤のうちの少なくともいくつかとその標的分析物のうちのいくつかとの間で第1の複合体を形成する。第1の複合体を有するそのサンプルは、そのキャピラリーフローベッドを介してその捕捉ゾーンを通って、流れ続ける。次いで、その複数の捕捉剤は、その標的分析物に結合し、その捕捉剤と、標的分析物、その結合剤との間でサンドイッチ複合体を形成する。その後、そのシグナル生成剤を有する緩衝液は、その捕捉ゾーンを通って流れるにつれて、そのシグナル生成剤は、そのサンドイッチ複合体の結合剤に、その結合体化対を通じて結合し、そのシグナル生成剤と、その結合剤、その分析物、とその捕捉剤との間で検出複合体を形成する。いくつかの実施において、その第1の複合体は、その液体サンプルがその第1の複合体の形成後にのみその複数の捕捉剤と接触するように、その複数の捕捉剤と接触して、そのサンドイッチ複合体を形成する。それによって保持されたシグナル生成剤は、検出可能なシグナルを提供し、これは、そのサンプル中の複数の標的分析物のうちの1種または1種より多くの存在を示す。よって、液体の流れは、逐次的様式で厳密に制御され、本開示のデバイスは、そのキャピラリーベッドを通る液体の逐次的かつ段階的な流れを担保するために、このようにしてデザインされる。
【0110】
いくつかの局面において、本明細書で記載されるキャピラリーフローベッドの種々の特徴は、そのキャピラリーフローベッド(30)を横切って、その捕捉ゾーン(44)における固定化された捕捉剤を通る流体の逐次的フローを担保し、それらの界面における流体の混合を最小限にするように組み込まれ得る。本開示のデバイスの感度は、本明細書で考察される要因の組み合わせ、特に、流体の逐次的フローおよび最小限にされた液体の混合から生じ得る。本開示では、その液体は、(1)複数の結合剤(例えば、抗体(例えば、ポリクローナル抗体))と混合された液体サンプル;または(2)シグナル生成剤(例えば、ストレプトアビジン標識金ナノ粒子)を有する緩衝液に言及している。
【0111】
いくつかの実施において、そのキャピラリーフローベッドは、制御ゾーンを含み、ここではそのシグナル生成薬剤は、そのデバイスの適切な機能性を示すおよび/または行われる方法の有効性を確認する手段として、その分析物の非存在下ですら、捕捉および保持されている。いくつかの実施において、その制御ゾーンは、その結合体化対の固定化されたメンバー(例えば、ビオチン)を含み、このメンバーは、そのシグナル生成剤(例えば、ストレプトアビジン標識金ナノ粒子)に結合し得る。いくつかの実施において、その制御ゾーンは、その遠位領域にあるキャピラリーフロー上の捕捉ゾーンの後ろに、しかしそのレザバパッドの前に配置され得る。
【0112】
いくつかの実施において、
図5aおよび
図5bに示されるように、そのキャピラリーフローベッドは、2つの流体添加ゾーン、すなわち、サンプル受容ゾーンおよび緩衝液受容ゾーンを含む。いくつかの実施において、そのサンプル受容ゾーンは、サンプル受容パッド(42)および移送パッド(43)を含む。いくつかの実施において、その緩衝液受容ゾーンは、緩衝液受容パッド(40)よび結合体パッド(41)を含む。
【0113】
図5aおよび
図5bに示されるように、そのサンプル受容ゾーンは、いくつかの実施に従って、その緩衝液受容ゾーンとその捕捉ゾーン(45)との間のそのキャピラリーフローベッドの中央に(例えば、そのキャピラリーベッドの下側1/3の中央に)配置される。
【0114】
図6は、いくつかの実施に従って、サンプル受容パッド(P
S, 42)および移送パッド(P
T, 43)を含むサンプル受容ゾーンの例を示す。
図6のサンプル受容ゾーンは、本明細書で開示されるデバイスおよび/または方法のうちのいずれかにおいて使用され得る。
図6に示されるように、実質的に不透過性のバッキング(60)は、そのサンプル受容ゾーンとそのキャピラリーフローベッドとの間に配置され、そのサンプル受容パッドおよびその移送パッドの下になくとも部分的に延びている。いくつかの実施において、そのサンプルが、その第1の入り口(I
1, 20)を通ってそのサンプル受容パッドへと導入される場合、その不透過性のバッキング(60)は、そのサンプルとそのサンプル受容ゾーンにおけるキャピラリーフローベッドとの間の接触を阻害し、それによって、近位方向へのそのサンプルの逆流を低減する。いくつかの実施において、その複数の結合剤(例えば、抗体(例えば、ビオチン標識ポリクローナル抗体))は、その移送パッドの内部に配置され得る。いくつかの実施において、その結合剤は、その移送パッドの内部で乾燥され得、標的分析物のうちの少なくとも部分セットの共通抗原に結合し得る。いくつかの実施において、その結合剤は、そのサンプル受容パッド内に含まれる。
【0115】
いくつかの実施において、その逐次的ラテラルフローデバイスは、その液体サンプルが、その動員されるシグナル生成剤がその捕捉ゾーン(45)へと流れる前に、そのキャピラリーフローベッド(30)に沿ってその捕捉ゾーン(45)へと流れるように構成され、そしてその使用法が行われる。いくつかの実施において、作動時に、その逐次的ラテラルフローデバイスのリーディングウインドウ(22)は、その標的分析物の存在下で、その結合剤とそのシグナル生成剤との相互作用によって生じた検出可能なシグナルを観察するために、その捕捉ゾーン(44)の上に配置される。そのサンプル受容ゾーンの構築は、その結合剤(例えば、抗体、例えば、ビオチン化抗体)と混合されたサンプルの後方への流れを制御しかつ最小限にするために最適化されている。いくつかの実施において、その移送パッド(43)は、そのサンプルをそのサンプル受容パッドへと第1の入り口(20)を通して添加する際に、再構成されかつ動員される乾燥された結合剤(例えば、抗体)を含む。いくつかの実施において、そのサンプルおよび/またはそのサンプルとその結合剤との間の第1の複合体の後方への流れを最小限にしかつ制御するために、そのサンプルパッドは、実質的に不透過性であるプラスチックバッキング(60)上に留まっており、その移送パッドの大部分と下にあるそのキャピラリーフローベッドとの間の障壁として作用する(そのキャピラリーフローベッドは、ニトロセルロースパッドを含む)。その移送パッドがそのキャピラリーフローベッドと有する唯一の接触は、その移送パッドの前方リップを介するものである。任意の流体がその移送パッドからそのキャピラリーフローベッド上へと流れるのは、この接触を通じたものが唯一である。
【0116】
図7は、いくつかの実施に従って、そのハウジングユニットの内部のサンプル受容ゾーンの側面の模式図を示す。
図7に示されるように、その移送パッドは、いくつかの実施に従って、下にある不透過性のバッキング(60)に起因して、そのキャピラリーフローベッドと接触するように、前方先端部において弯曲され得る。
【0117】
いくつかの実施において、そのサンプルを添加する際に、その流体は、そのサンプル受容パッドからその移送パッドを通って、そのキャピラリーフローベッド上へと流れる。この流体は、次いで、その捕捉ゾーンに向かって前方に、およびその結合体パッドに向かって後方に流れる。
【0118】
いくつかの実施において、その緩衝液受容ゾーンは、
図4aおよび
図4bに示されるように、緩衝液受容パッド(40)および結合体パッド(41)を含む。その緩衝液受容パッドおよびその結合体パッドは各々、同じ種類または異なる種類の吸収性の高い材料を含む。本開示において使用されるべき適切な緩衝溶液としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アセテート緩衝液、緩衝化生理食塩水、シトレート緩衝液、バルビタール緩衝液、ホスフェート緩衝液、またはトリス(ヒドロキシル-メチル)アミノメタン(TRIS)、N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、3-モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸(TES)、2,4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニルエタンスルホン酸(HEPES)、3,4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニルプロパンスルホン酸(EPPS)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン(トリシン)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン(ビシン)、N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸(CHES)、N-シクロヘキシル-3-アミノプロパンスルホン酸(CAPS)で調製される緩衝液、および/またはK
2HPO
4、KH
2PO
4、Na
2HPO
4、NaH
2PO
4、NaHCO
3、NaBO
4、(NH4)
2CO
3から選択される1種もしくは1種より多くの緩衝塩を含む緩衝液。
【0119】
その液体サンプルが第1の入り口(20)を通って添加された後、その試薬緩衝液(例えば、chase緩衝液、例えば、ホスフェート緩衝液)は、そのデバイスへとその第2の入り口(21)を通って、およびそのキャピラリーフローベッドの遠位上流末端にある緩衝液受容パッド(40)上へと導入され得る。結合剤(例えば、ビオチン化抗体)が、それらの流体界面でのわずかな量を超えてそのシグナル生成剤(例えば、ストレプトアビジン結合体化金ナノ粒子)と遭遇しかつ結合体化する状況を回避するために、およびサンプル流体がその結合体パッドへと逆流するのを防止するために、その緩衝液は、そのサンプル流体の前部が、その捕捉ゾーンを超えてその確認ウインドウを通り過ぎて流れたら直ぐに添加され得る。その緩衝液を添加するタイミングは、後方に流れるサンプル混合物に対する前方の流体の対抗する流れが存在することを担保する。結果として、これら2種の流体は、そのキャピラリーフローベッドのニトロセルロースパッドの孔サイズによって規定される非常に小さな容積で出会う。よって、これら2種の流体間では、ほとんど混合は発生しない。
【0120】
そのサンプルの前方への流れは、そのレザバパッド(45)に達し、これは、流体をそのレザバパッド自体に引っ張る液溜め(sump)として作用する。この前方の流れがレザバパッドによって課される限りにおいて、その2種の流体間のそれらの界面での混合はほとんどなく、それらの逐次的流れが維持される。いくつかの実施において、およそ5~7分間で、そのサンプル流体の流れは完了し、そのシグナル生成剤を含む液体の流れの前部は、そのリーディングウインドウに出現し始めるはずである。
【0121】
いくつかの実施において、本開示のデバイスは、レザバパッド(45)を含む。いくつかの実施において、そのレザバパッドは、そのキャピラリーフローベッドの遠位領域に、例えば、そのキャピラリーフローベッドの遠位領域の端部に配置される。いくつかの実施において、そのレザバパッドはまた、吸収性の高い材料(例えば、ニトロセルロースパッド)を含み、それは、液体シンクとして働き、そのキャピラリーフローベッド、サンプル受容ゾーン、および緩衝液受容ゾーンを組み合わせた合計の収容力を超過する液体吸収収容力を有する。このようにして、その方法を行うプロセスの間に、そのキャピラリーフローベッドを横切って、近位領域から遠位領域へと連続の毛細管力が生成される。この連続の毛細管力は、その流れを一方向に維持し、逆流および/または流体混合のリスクを低下させるために重要である。
【0122】
いくつかの局面において、ハウジングユニットをデザインするためには、多くの考慮事項が存在する(そのデバイスの製造性、その構成要素の公差、構成要素のサイズ(例えば、構成要素のアセンブリおよび配置)、そのアッセイの機能性(例えば、そのアッセイがどのようにしてユーザー関連の要因に起因して実施されるかの変動性)、および全体的な美学を含む)。いくつかの実施において、そのデバイス構成要素は、そのデバイスの種々の構成要素が、入り口(または液体試薬ウェル)およびリーディングウインドウに対して適切に整列されるように、そのハウジングユニットに固定され得る。例えば、
図2および
図3に示されるように、その捕捉ゾーンは、リーディングウインドウに提供され、そのハウジングユニットは、本明細書で開示される方法を使用する試験を妨げないおよび/または試験結果を質変化させない。種々のデバイス構成要素としては、検出方法を可能にするために、キャピラリーフローベッド、緩衝液受容ゾーン、捕捉ゾーン、サンプル受容ゾーン、およびレザバパッドが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施において、そのハウジングユニットは、液体(例えば、サンプルおよび試薬緩衝液)の制御および逐次的流れを促進するために特徴を含み得る。
【0123】
いくつかの実施において、そのハウジングの寸法は、そのデバイスが、必要に応じて、既成の(off-the-shelf)ラテラルフローアッセイ(LFA)リーダーによって読み取られ得るという要件によって、一部規定される。このようなLFAリーダー(例えば、Qiagen ESEQuant LR3)は、ある種のサイズ(例えば、長さ約110mm、幅約50mmおよび高さ約12.5mmより小さいサイズ)であるように、そのデバイスハウジングを規定し得る。LFAリーダーの考慮事項に加えて、そのデバイスの種々の構成要素を有するキャピラリーフローベッドの構造はまた、全体的なハウジング寸法に影響を及ぼす。いくつかの実施において、そのキャピラリーフローベッドの長さは、液体の逐次的流れを促進し、そのデバイスの他の構成要素全てに沿って液体容積を適応させるために、少なくとも約80mm、少なくとも約90mm、少なくとも約100mm、または少なくとも約110mmであるべきである。いくつかの実施において、そのキャピラリーフローベッドの長さは、約50mm~約200mm、約55mm~約180mm、約60mm~約160mm、約75mm~約140mm、または約80mm~約100mmの範囲にあり得る。いくつかの実施において、そのキャピラリーフローベッドは、約85mmの長さを有する。しかし、そのハウジングは、自動化アッセイリーダーと適合性でないサイズを含め、任意の適切な形状および/またはサイズであり得る。
【0124】
図3および
図4は、いくつかの実施に従って、そのハウジングユニットの上面図および内面図を示す。いくつかの実施において、そのハウジングユニットは、下側部分(11)と対になった上側部分(10)を含む。ある種のこのような実施において、そのハウジングユニットの上側部分は、リーディングウインドウ(22)を含む。いくつかの実施において、そのハウジングユニットの上側部分は、第1の入り口(20)、例えば、そのサンプルをサンプル受容パッド(42)へと導入するための第1の入り口をさらに含む。いくつかの実施において、そのハウジングユニットの上側部分は、第2の入り口(21)、例えば、緩衝液を緩衝液受容パッド(40)へと導入するための第2の入り口をさらに含む。
【0125】
いくつかの実施において、ユーザーが試験結果を正確に解釈し得るように、他の捕捉ゾーンからの制御ラインを明確に区別するために、そのリーディングウインドウは、その制御ラインを他の捕捉ゾーンから明確に識別しかつ分離するようにデザインおよび配置される。
【0126】
図3は、いくつかの実施に従って、そのリーディングウインドウが遠位端部において(例えば、制御ラインの位置において)狭くなっていることを示す。ある種のこのような実施において、そのリーディングウインドウは、約5mmから約3mmへと狭くなっていることがある。狭くすると、その制御ラインが他の捕捉ラインから区別されることをユーザーに直感的に警告する、物理的および視覚的な区別が与えられる。いくつかの実施において、そのリードウインドウは、陽性結果を適切に可視化することをより困難にし得る影の投影を最小限にするために、ストリップ表面から離れて側壁に傾きを有する。
【0127】
いくつかの実施において、そのリーディングウインドウは、約10~50mm、約20~40mm、または約20mm、約30mm、約40mm、もしくは約50mmの長さを有する。ある種のこのような実施において、そのリーディングウインドウは、約23mmの長さを有する。
【0128】
いくつかの実施において、そのリーディングウインドウの幅は、そのキャピラリーフローベッドの幅より小さい。ある種のこのような実施において、そのリーディングウインドウの幅は、約2mm~10mm、約4mm~8mm、約5mm~6mm、または約3mm、約4mm、約5mm、もしくは約6mmである。いくつかの実施において、そのリーディングウインドウの幅は、約4.7mmである。他の実施において、そのリーディングウインドウの幅は、約2.6mmである。
【0129】
図3は、いくつかの実施に従って、そのハウジング(10)の上側部分が、ラベルを貼るために、例えば、バーコードステッカーを貼るために、頂部表面の平らな領域を有することを示す。いくつかの実施において、そのハウジングユニットの上側部分は、どこにサンプルおよび試薬が添加されるべきかを識別するために、その頂部表面に印を付けることを含む。いくつかの実施において、そのハウジングユニットの上側部分は、液体レザバを形成するために、その第1の入り口および第2の入り口の周りに窪んだ表面を有し、その液体レザバは、使い捨てピペットおよびドロッパーボトルでの液体の移送を容易にする。
【0130】
いくつかの実施において、そのハウジングユニットは、製造しやすいようにデザインされる。例えば、そのハウジングユニットの上側および下側の端部は、その上側部分およびその下側部分の自動化した仕分けおよびアラインメントを支援するために、短い部分に対して平行にされ得る。さらに、そのハウジングユニットの上側部分は、標準的なローラークロージャー(roller-closure)がそのデバイスをアセンブリするために利用され得るように、改変される。
【0131】
いくつかの実施において、そのハウジングユニットの上側部分は、その内表面に少なくとも1つの摩擦フィットピンを含む。
図8a~8cは、いくつかの実施に従って、アラインメントガイド要素を有する摩擦フィットピンを示す。ある種のこのような実施において、その摩擦フィットピンの下の領域は、デバイス閉鎖にとって重要なピンに対する均一な圧力を可能にするために実質的に平坦にされている。いくつかの実施において、
図8aに示されるように、その摩擦フィットピンは、そのハウジングユニットの上側部分および下側部分が、おおよそ整列され得、対形成の間に「突き進められ(honed in)」得るように、円錐形状である。いくつかの実施において、そのハウジングユニットの上側部分は、1個または1個より多くの摩擦フィットピン(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個の摩擦フィットピン)を含む。
【0132】
図8bおよび
図8cは、いくつかの実施に従って、アラインメント特徴をその摩擦フィットピンへと組み込むことに加えて、その摩擦フィットピンの各々が、アセンブリの間にそのデバイスのオーバークロージャーを防止するハードストップ特徴をさらに有することを示し、そのハードストップ特徴は、そのキャピラリーフローベッドを潜在的に損傷し得る。
【0133】
そのプレスフィット特徴のデザインに関するストラテジーは、構造上の参照点から容易に明らかではない多くの他の特徴の考慮事項をさらに要求する、1つのこのような考慮事項は、射出成形したハウジングユニットを作り出すために使用される容易に入手可能な工具メーカーの制限である。その工具メーカーは、「鋼にとって安全な(steel-safe)」部品として公知であるものを作るために、その型を合理的に再加工(rework)できないという制限を有し得る。いくつかの状況では、射出成形部品のその産業をリードする迅速なプロトタイプ作製のために選択されたその工具メーカーは、0.003インチ未満の公差にまでその工具を再加工できない。この制限が原因で、その工具メーカーは、スナップフィットおよび/またはプレスフィット特徴を保証できない。この制限に対処するために、いくつかの実施において、その摩擦フィット特徴は、閉鎖の際に変形するピンを組み込む。他の実施において、その部品のメス側の構成要素はまた、そのピンを収容するために変形し得る。変形可能な要素としてそのプレスフィット特徴をデザインすることによって、受容可能な締まりばめの公差は、約0.005インチに増大し、その従来の販売業者の工具作製能力の公差内にある。
【0134】
そのハウジングデザインの一局面は、そのキャピラリーフローベッドおよび各構成要素を、そのハウジングの頂部に、その所望の位置へと適切に固定する必要性である。
図9a~9cは、いくつかの実施に従って、アラインメントタブおよび基準ならびにそのハウジングユニットの内表面におけるそれらの位置付けを示す。
図9aは、いくつかの実施に従って、そのキャピラリーフローベッドおよびそのハウジングユニットが、そのキャピラリーフローベッドの遠位領域に位置した(例えば、そのキャピラリーフローベッドのレザバパッド(または末端芯材)端部に位置した)共通する基準を参照し得ることを示す。ある種のこのような実施において、そのキャピラリーフローベッドおよびそのハウジングユニットの公差が導かれることは、この共通の基準からである。いくつかの実施において、そのハウジングユニットの基準は、そのキャピラリーフローベッドの遠位領域が突き押されるタブである。
【0135】
図9bは、いくつかの実施に従って、そのキャピラリーフローベッドの位置を維持するために、そのハウジングユニットの内表面におけるアラインメントタブを示す。ある種のこのような実施において、そのハウジングユニットにおける末端芯材基準点タブ(terminal-wick-datum-point-tab)の他に、本開示のデバイスは、そのキャピラリーフローベッドをそのハウジングユニットの適切な特徴に対して整列させる一連のアラインメントタブ(例えば、2個またはこれより多くのアラインメントタブ、例えば、2個、4個、6個、または8個のアラインメントタブ)をさらに含む。これらのアラインメントタブは、そのキャピラリーフローベッドを、その第1のおよび第2の入り口(すなわち、サンプルおよび緩衝液ウェル)ならびにそのハウジングユニットとそのキャピラリーフローベッドとの間の界面にある重要なピンチ点とを集めて維持する。
【0136】
図9cは、いくつかの実施に従って、アラインメントタブがアセンブリを補助し、あふれを防止するために、そのキャピラリーフローベッドから離れて傾くことを示す。ある種のこのような実施において、そのキャピラリーフローベッドおよびその上の構成要素は、手動でおよび/または自動化によって、いずれにしても適切に配置され得る。この仕事をより容易にするために、そのアラインメントタブは、そのキャピラリーフローベッドを適切な位置へとガイドする助けになるように傾けられる。場合によっては、そのハウジングは、潜在的な濡れ点を提供し得、そのハウジングユニットの内部および/または空洞から意図せずあふれ出すこともある。いくつかの実施において、意図しないあふれのような状況を回避するために、そのアラインメントタブは、その液体試薬がそのパッドの境界およびそのハウジングユニットの特徴の内部に含まれるように、そのキャピラリーフローベッドの表面から積極的に離れて傾き得る。
【0137】
いくつかの局面において、本開示の方法およびデバイスは、多数の標的分析物(例えば、非常に種々の細菌種および株に由来する細菌抗原)を検出するようにデザインされる。いくつかの実施において、本開示の方法およびデバイスは、非常に多くの複雑な抗体混合物を使用し得る。いくつかの実施において、抗体の多数の捕捉ゾーンは、本開示のデバイスにおけるキャピラリーフローベッド(例えば、ニトロセルロースパッド)上に固定化され得る。抗原標的の広いバリエーションは、検出を容易にするために、その検出抗体が、等しく多様でありかつ検出可能なシグナルを生成するために十分な抗原を標識するために十分な量で存在しなければならないことを意味する。本開示のデバイスを使用するというより良好な性能は、標識された抗体を含め、そのサンプルをその捕捉ゾーンを横断するように、次いで、その検出構成要素(例えば、シグナル生成剤(例えば、ストレプトアビジン結合体化コロイド性金粒子))を逐次的に流し流すことによって達成されることが決定される。そのサンプルおよび試薬(例えば、緩衝溶液)を制御された再現可能かつ強い様式で、そのデバイスを通して逐次的に流す具体的な必要性は、そのデバイスデザインに特有の難題を提示する。
【0138】
多くの特徴が、いくつかの実施に従って、液体の閉じ込めおよび制御された放出を担保するために、その逐次的ラテラルフローデバイスの中に組み込まれ得る。例えば、本開示のデバイスのハウジングユニットは、使用の間のそのデバイス内の液体の取り扱いに関与し得る。いくつかの実施において、液体(例えば、サンプルおよび試薬緩衝液)の逐次的送達を促進するために、液体のだいたいのおよび変動性の量が含まれ、かつ後にレザバおよび/または閉じ込めの領域から放出されなければならない。いくつかの実施において、実際には、ユーザーは、サンプルをその第1の入り口(例えば、サンプルウェル)を通して添加する。いくつかの実施において、そのサンプルは、そのサンプル受容パッドをぬらし、次いで、結合剤(例えば、抗体)を含む移送パッドをぬらす。
【0139】
いくつかの局面において、そのサンプル受容パッドおよびその移送パッドは、液体サンプルを完全に含む収容力を有しない。しかし、その液体サンプルは、なお制御されおよび/または引き留められて、そのキャピラリーベッド上のフローパスからのあふれを防止しなければならない。なぜならそのあふれは、捕捉剤(例えば、捕捉抗体)を含むキャピラリーフローベッドのニトロセルロースパッドの孔を経る代わりに、サンプル液体の素通りを生じるからである。さらに、その液体サンプルおよび/または緩衝液が、適切に含まれていない場合、そのサンプルおよび緩衝液は、望ましいフローパスを離れ得、かつそのハウジングユニットの内部および/または空洞を素通りし得る。いずれの状況でも、その検出は、損なわれる。各液体の逐次的送達を独立して支援するために、そのデバイスの中で液体を保持および放出すること、ならびにそのフローパス(例えば、ニトロセルロースフローパス)への任意の液体の流れを所望の時点で制御することは、難題である。その同じ難題が、緩衝液および緩衝液受容パッド、ならびに結合体パッドにもあてはまる。
【0140】
いくつかの実施において、そのハウジングユニットは、そのパッドと相互作用し得、そのキャピラリーフローベッド(そのニトロセルロースパッド)へのその液体サンプルおよび緩衝液の閉じ込めおよび放出を逐次的様式で促進し得る。
図10は、いくつかの実施に従って、一連のリブを有するハウジングユニット(例えば、上側部分)の内表面の模式図を示す。ある種のこのような実施において、一連のリブは、液体サンプルおよび緩衝液の逐次的フローを促進するために、そのハウジングユニットへと(例えば、そのハウジングユニットの上側部分の内表面に)組み込まれる。いくつかの実施において、そのリブは、そのキャピラリーフローベッド(例えば、ニトロセルロースフローパス)に対しておよそ垂直および/またはおよそ平行である。
【0141】
図10は、いくつかの実施に従って、そのリブが、そのハウジングユニットの上側部分の内表面で(例えば、そのサンプル受容パッドの上におよび/またはその緩衝液受容パッドの上に)配置され得ることを示す。
【0142】
いくつかの実施において、そのハウジングユニットは、プラスチック材料を含み得る。なぜならそのプラスチック材料の表面エネルギーおよび/またはぬれ性は、その液体閉じ込めおよび/または放出に寄与し得るからである。例えば、プラスチック材料は、キャピラリーフローベッドの吸収性の高い材料より液体を留める能力があまり高くない可能性がある。よって、プラスチック材料は、液体を毛細管飽和点(point of capillary saturation)までキャピラリーフローベッド(例えば、ニトロセルロース)へと容易に放出することを促進する必要性に起因して、ハウジングユニットに特に適切であり得る。液体は、そのキャピラリーフローベッドを通ってそのレザバパッド(例えば、末端芯材)へと動くにつれて、そのハウジングユニットに含まれる流体は、そのサンプル受容パッドを通って、そのキャピラリーフローベッドへと、そしてそのレザバパッド(例えば、末端芯材)に向かって流れるように逐次的に放出される。いくつかの実施において、そのリブは、そのキャピラリーフローベッド(例えば、ニトロセルロース)が徐々に飽和でなくなっていくまで、その場にその液体を保持し得る。この点では、次いで、より多くの液体が、その移送パッドへと、ぬれたハウジング特徴が保持する液体によって飽和したままであるサンプル受容パッドから移送される。そのリブのサイズおよび間隔は、どの程度超過した液体がそのデバイスの中に含まれ得るかを決定する。
【0143】
興味深いことに、いくつかの実施によれば、その液体サンプルおよび/またはその緩衝液が、飽和でなくなっている点まで一旦枯渇されると、そのデバイスの入り口(例えば、そのサンプルおよび/または緩衝液ウェル)からの超過した液体が、そのキャピラリーフローベッドへと利用可能になる。ある種のこのような実施において、このプロセスは、そのキャピラリーフローベッドの吸収性の高い材料(例えば、ニトロセルロースパッド)が徐々に飽和でなくなり、従って、毛細管現象の供給源になり、液体が飽和した結合体パッドから液体を引っ張ることから、継続する。そのサンプル受容パッドおよび移送パッドの関して同様に記載されるように、その過剰飽和した緩衝液受容パッドは、次に、結合体パッドを飽和させる。その緩衝液受容パッドは、いくつかの実施に従って、その第2の入り口(すなわち、緩衝液ウェル)の直ぐ下にあるそのハウジングユニットの上側部分の内表面上のリブによってその場に保持された緩衝液を引っ張ることによって、過剰飽和状態で維持される。
【0144】
いくつかの実施において、その開示されるデバイスでアッセイを実行するために、その液体サンプルおよび緩衝液は、そのパッドのうちのいずれかが、必要とされる容積を十分に吸収する収容力を超過して、そのデバイスに添加される。いくつかの実施において、超過液体は、そのデバイスに導入される。なぜならそのパッドは、そのキャピラリーフローベッドのニトロセルロースへのその液体を「あきらめ」なければならないからである。この過剰飽和状態は、その液体がそのデバイス内で流れ出るおよび/または方法の失敗を防止するために十分に含まれない傾向を必然的にもたらす。そのハウジングユニットにおける潜在的あふれを防止するために、多くの構造的特徴が、いくつかの実施に従って、デバイスの中に(例えば、ハウジングユニットにおいて)組み込まれ得る。
【0145】
そのキャピラリーフローベッドおよびそのレザバパッドは、そのデバイスにおいて主要液体フローパス路を含む。その第1の入り口および第2の入り口にそれぞれ端を発する液体サンプルおよび試薬緩衝液が、この主要フローパス路に供給されている。これらの液体がそのデバイスにいったん導入されると、その液体は、それぞれ、サンプル受容パッドおよび緩衝液受容パッドを飽和させ、任意のぬれ性のある表面上にプールされ始める。この状況は、その液体のうちの一部がそのキャピラリーフローベッドの表面を超えて流れ、そのキャピラリーフローベッドの孔(例えば、ニトロセルロースの孔)内の捕捉ゾーンとの接触を有しない動力学を生じる。
【0146】
図11は、いくつかの実施に従って、オーバーフローを防止するために、そのキャピラリーフローベッドは、液体がそのキャピラリーフローベッドの孔の構造(例えば、ニトロセルロースの孔)へと入るように、弯曲され得ることを示す。基本的には、そのキャピラリーフローベッドにおける弯曲は、その液体をそのキャピラリーフローベッドのニトロセルロース孔の構造へと毛細管現象を介して入らせる。
【0147】
図11はまた、いくつかの実施に従って、液体がそのベッドの表面を超えて流れることを防止するために、そのキャピラリーフローベッドを弯曲させることを示す。ある種のこのような実施において、そのキャピラリーフローベッドは、その移送パッドの接触点が1またはこれより多くの隣接するフローベッド支持体より約0.02mm~約1mm低いあたりにあるように、弯曲される。これは(およそ)、約0.05°~約10°の弯曲角になる。その弯曲は、毛細管現象フローを促進し、キャピラリーベッド表面を超えるフローを軽減し、その結果、ウェルに添加される超過試薬およびそのキャピラリーフローベッド上の何らかの液体が、液体レザバに隣接する位置にプールされ、それによって、そのレザバからの流体の逐次的送達を減少させる局所的なあふれを低減する。
【0148】
図12a~12dは、いくつかの実施に従って、そのハウジングユニットの下側に組み込まれた広いピンチ点を示す。ある種のこのような実施において、広い接触領域が、結合体パッドに圧力をかけるためにそのハウジングユニットに(そのハウジングユニットの上側部分に)組み込まれ、それによって、再構成された結合体をそのキャピラリーベッドのニトロセルロースの孔へと流すように方向付ける。この広い領域の接触は、広いピンチ点として作用して、そのデバイスを通る結合体のより密集しかつ不連続のフローを容易にし得ることが決定された。
【0149】
理論的には、そのキャピラリーフローベッドがそのハウジングユニットと接触するあらゆる点は、毛細管現象を作り出し得る位置になり得る。これは、液体がプラスチック材料の表面をぬらし得、いったんぬれると、その接触点が内部あふれの点になることから起こる。いくつかの実施において、そのキャピラリーフローベッドと接触するハウジングユニットの特徴は、毛細管現象が、液体が追随する望ましくないおよび/またはさもなければ制御されない経路を作り出すことから防止するために組み込まれ得る。
【0150】
図4は、いくつかの実施に従って、ハウジングユニットの下側部分に固定されたキャピラリーフローベッドを有する逐次的ラテラルフローデバイスの開放図(open view)を示す。いくつかの実施において、そのハウジングユニット(例えば、そのハウジングユニットの下側部分)はまた、そのキャピラリーフローベッドの他の部分から分離されたキャピラリーフローベッドの制限された接触部分を表す特徴を組み込み得る。ある種のこのような実施において、そのハウジングユニットの下側部分は、
図4に示されるように、別個のかつ不連続の支持ブロックを含み得る。ある種のこのような実施において、その支持ブロックは、そのサンプル受容パッドに相当する位置において、そのキャピラリーフローベッドの下に配置される。他の実施において、その支持ブロックは、その緩衝液受容パッドに相当する位置において、例えば、その第2の入り口に整列されて、そのキャピラリーフローベッドの下に配置される。いくつかの実施において、その支持ブロックは、そのレザバパッド相当する位置において、そのキャピラリーフローベッドの下に配置される。
【0151】
いくつかの実施において、その第1の入り口の下の支持ブロックは、そのキャピラリーパッド、その第1の入り口、および関連するピンチ点のための支持体を提供するに十分長いだけである。いくつかの実施において、その第2の入り口の下の支持ブロックは、そのキャピラリーパッド、その第2の入り口、および関連するピンチ点のための支持体を提供するに十分長いだけである。
【0152】
図13は、いくつかの実施に従って、そのキャピラリーフローベッドを参照して、そのハウジングユニットにおけるピンチ点の位置を示す。ある種のこのような実施において、そのハウジングユニットは、そのハウジングユニットにおいて(例えば、そのハウジングユニットの内表面において)1または1より多くのピンチ点を含み得る。ピンチ点の目的は、キャピラリーフローベッド上の種々の構成要素(例えば、サンプル受容パッド、緩衝液受容パッド、レザバ、結合体パッド、および移送パッド)が、信頼性のあるかつ再現可能なフローパスがそのデバイスの中に確立されるように、隣接する構成要素と接触した状態にあることを保証することである。いくつかの実施において、ピンチ点は、その緩衝液受容パッドをその結合体パッドへと圧力をかけ、それによって、その緩衝液がその結合体パッドへと流れるフローパスを作り出す。いくつかの実施において、ピンチ点は、その結合体パッドをそのキャピラリーフローベッド(ニトロセルロース)へと押しつけ、それによって、そのサンプルおよびその分析物-結合剤がそのキャピラリーフローベッドへと流れるフローパスを作り出す。いくつかの実施において、ピンチ点は、そのサンプル受容パッドをその移送パッドへと押しつけて、そのサンプルがそのサンプル受容パッドからその移送パッドへと流れるフローパスを作り出す。いくつかの実施において、ピンチ点は、その移送パッドをそのキャピラリーフローベッドへと押しつけて、そのサンプルがその移送パッドからそのキャピラリーフローベッドへと流れるフローパスを作り出す。いくつかの実施において、そのピンチ点は、適合性である材料(例えば、キャピラリーフローベッド)の中で再現可能な液体フローパスを容易にするために十分な圧力を発揮する。例えば、そのピンチ点は、いくつかの実施に従って、連続流路を保証するために十分な力を発揮し得るが、そのデバイスの個々の構成要素を制限しないおよび/または損傷を与えない。
【0153】
本開示の方法における使用に適した逐次的ラテラルフローデバイスは、上記でおよび/または下記で記載される逐次的ラテラルフローデバイスおよび/またはキットの実施のうちのいずれかから選択され得る。
【0154】
本開示の方法、デバイス、および/またはキットにおける使用に適した試薬としては、以下が挙げられるが、以下に限定されない。
【0155】
いくつかの実施において、本開示の方法およびデバイスは、シグナル生成剤を含む。そのシグナル生成剤は、検出可能なシグナル(例えば、視覚的に検出可能なシグナル、化学的に検出可能なシグナル、電磁的に検出可能なシグナル、および/または試験サンプルにおける分析物の存在を報告する機器によって検出可能なシグナル)を生成し得る。本開示の方法および/またはデバイスにおける使用に適した種々のシグナル生成剤としては、化学的および/または物理的手段を通じてシグナルを生成する薬剤が挙げられる。例えば、そのシグナル生成剤は、粒子(例えば、有色素粒子、ラテックス粒子、金属粒子(例えば、金、銀、白金のナノ粒子、および/またはコロイド性金属粒子)、蛍光粒子、磁性粒子、化学発光粒子、非金属コロイド性粒子、および/または発光粒子)であり得る。他の適切なシグナル生成剤としては、リポソーム、プラスチック粒子および/またはポリマー粒子、染色した微生物、細胞、酵素基質および/もしくは酵素(例えば、触媒酵素)、特異的結合物質、ならびに/または目に見える物質を含む任意の小胞などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0156】
いくつかの実施において、そのシグナル生成剤が粒子である場合、その粒度は、直径約30nm~約120nm、または直径約40nm~約100nm、または直径約50nm~約90nm、または直径約60nm~約80nmの範囲にあり得る。いくつかの実施において、その粒度は、直径約40nm、約60nm、または約80nmである。いくつかの実施において、その粒度は、直径約40nmである。
【0157】
いくつかの実施において、そのシグナル生成剤は、検出可能なシグナル(例えば、その結合剤が結合した分析物が、その捕捉剤によって捕捉されるデバイスの捕捉ゾーンにおいて検出可能なシグナル)を提供する。
【0158】
いくつかの実施において、そのシグナル生成剤(例えば、シグナル生成粒子)は、結合体化パッド内で乾燥される。
【0159】
いくつかの実施において、そのシグナル生成剤は、結合体化対の第1のもしくは第2のメンバーに付着されるおよび/またはこれらで標識される。ある種のこのような実施において、そのシグナル生成剤は、結合体化対の第1のまたは第2のメンバーと会合されるおよび/またはこれらで標識され、その結合剤は、結合体化対の第2のもしくは第1のメンバーに付着されるおよび/またはこれらで標識される。
【0160】
いくつかの実施において、そのシグナル生成剤は、結合体化対の第1のメンバー(例えば、アビジン、ストレプトアビジン、ならびに/または他のビオチン結合タンパク質および/もしくは抗体)で標識された金ナノ粒子(例えば、約40nm、約60nm、または約80nmの金ナノ粒子)を含む一方で、その結合剤は、その結合体化対の第2のメンバー(例えば、ビオチンおよび/または任意のアビジン結合部分)へと標識され得る。
【0161】
いくつかの実施において、本開示の方法およびデバイスは、複数の結合剤を含み得る。ある種のこのような実施において、その複数の結合剤の各々は、結合体対の第1のまたは第2のメンバー(例えば、ビオチンならびに/または任意のアビジン結合部分および/もしくは分子)で標識され得る。いくつかの実施において、その結合剤は、移送パッドに(例えば、移送パッドにおいて乾燥形態で)存在し得る。いくつかの実施において、その結合剤は、そのサンプル受容パッドに含まれ得る。
【0162】
いくつかの実施において、本開示の複数の結合剤は、抗体および/またはその機能的フラグメント(例えば、複数のグラム陰性細菌のうちの少なくとも部分セットの共通抗原に特異的に結合する抗体および/またはグラム陽性細菌のうちの少なくとも部分セットの共通抗原に特異的に結合する抗体)である。いくつかの実施において、その結合剤は、ポリクローナル抗体(例えば、多価ポリクローナル抗体のうちの1種または1種より多くのタイプ)である。他の実施において、その結合剤は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施において、その複数の結合剤は、抗体のうちの1種もしくは1種より多くのタイプまたは抗体のうちの2種もしくは2種より多くのタイプを含み、ここで各抗体は、液体サンプル中の細菌の部分セットの共通抗原に特異的に結合する。
【0163】
いくつかの実施において、そのポリクローナル抗体は、リポテイコ酸(LTA)に結合する。いくつかの実施において、そのポリクローナル抗体は、細菌のリポポリサッカリド構造(LPS)に結合する。いくつかの実施において、その複数の結合剤のうちの少なくとも1種のタイプは、グラム陽性細菌抗原に特異的に結合し、その結合剤のうちの少なくとも1種のタイプは、グラム陰性細菌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施において、その複数の結合剤は、1種または1種より多くの(例えば、2種またはこれより多くの、3種またはこれより多くの、4種またはこれより多くの)細菌の属に結合し得る。
【0164】
いくつかの実施において、その抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体とモノクローナル抗体との組み合わせから選択される。いくつかの実施において、その抗体は、ポリクローナルであり、複数の細菌の共通抗原に結合する。いくつかの実施において、その抗体は、ポリクローナルであり、複数のグラム陽性細菌および/または複数のグラム陰性細菌、および/または両方の共通抗原に結合する。いくつかの実施において、少なくとも1種の抗体は、モノクローナル抗体であり、少なくとも1種の抗体は、ポリクローナル抗体である。いくつかの実施において、少なくとも1種の抗体は、グラム陽性細菌の共通抗原に特異的に結合し、少なくとも1種の抗体は、グラム陰性細菌の共通抗原に特異的に結合する。いくつかの実施において、その抗体は、1種または1種より多くの(例えば、2種またはこれより多くの、3種またはこれより多くの、4種またはこれより多くの)細菌の属に結合し得る。
【0165】
いくつかの実施において、このような結合剤は、生理学的条件下で、グラム陰性細菌のリポポリサッカリド(LPS)構造および/またはグラム陽性細菌のリポテイコ酸(LTA)構造の抗原含有エピトープに結合する抗体を含む。
【0166】
本開示の方法およびデバイスにおいて有用な抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、1本鎖抗体、合成抗体、組換え抗体、キメラ抗体、および/または上記の任意の抗原結合フラグメント(F(ab)、F(ab’)、F(ab’)2、scFvフラグメントおよび組換えフラグメントが挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。その抗体は、種でない(non-species)もの(例えば、ニワトリ抗体)、および/または哺乳動物種に由来するものであり得、その哺乳動物種としては、ウサギ、齧歯類(マウス、ラット、およびモルモットが挙げられる)、ヤギ、ブタ、ヒツジ、ラクダおよびヒトが挙げられるが、これらに限定されない。その抗体はまた、ヒト化および/またはキメラ抗体であり得る。
【0167】
当業者は、標準的な当該分野で認識される技術を使用して、任意のこのような抗体誘導体を作製することが可能である。例えば、Jones et al. (Nature 321: 522-525 (1986))は、ヒト抗体のCDRをマウス抗体に由来するものに置き換えることを開示する。Marx (Science 229: 455-456 (1985))は、マウス可変領域およびヒト定常領域を有するキメラ抗体を考察する。Rodwell (Nature 342: 99-100 (1989))は、抗体CDR情報から得られるより低分子量の認識要素を考察する。Clackson (Br. J. Rheumatol. 3052: 36-39 (1991))は、遺伝的に操作したモノクローナル抗体(Fvフラグメント誘導体、1本鎖抗体、融合タンパク質、キメラ抗体およびヒト化齧歯類抗体が挙げられる)を考察する。Reichman et al. (Nature 332: 323-327 (1988))は、ラット超可変領域がグラフト化されているヒト抗体を開示する。Verhoeyen et al. (Science 239: 1534-1536 (1988))は、ヒト抗体上へのマウス抗原結合部位のグラフト化を教示する。
【0168】
好ましくは、本開示の抗体は、ポリクローナル抗体および/またはモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の生成は、生物学分野の当業者の十分に知識の範囲内である(例えば、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y., 1994を参照のこと)。多くの手順が、所望の特有の標的抗原に対する抗体を生成するに当たって有用である。旧来の免疫技術および採取技術は、標的細菌種の共通する決定基(LPSおよびLTAのような決定基が挙げられる)に対して指向されるポリクローナル抗体の作製を生じる。さらに、細胞のハイブリダイゼーション技術は、その標的種に対する特異的モノクローナル抗体を生成する不死化ハイブリドーマ細胞株を生成するために利用され得る。
【0169】
グラム陽性細菌を広く検出するための潜在的有用性を有する抗体としては、以下に記載されるものが挙げられる:Fisher et al., PCT公開番号WO98/57994; Jackson, D. E. et al., Infection and Immunity 43: 800 (1984); Hamada, S. et al, Microbiol. Immunol. 28: 1009 (1984); Aasjord, P. et al., Acta Path. Microbiol. Immunol. Scand. Sect. C, 93: 245 (1985); McDaniel, L. S. et al., Microbial Pathogenesis 3: 249 (1987); Tadler, M. B. et al., Journal of Clinical Laboratory Analysis 3: 21 (1989);およびStuertz, K et al., Journal of Clinical Microbiology 36: 2346 (1998)。
【0170】
グラム陰性細菌を広く検出するための潜在的な有用性を有する抗体としては、以下に記載されるものが挙げられる:Nelles, M. J. et al, Infect. Immun. 46: 677 (1984); Teng, N. N. H. et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 1790 (1985); Dunn, D. L. et al., Surgery 98: 283 (1985); De Jongh-Leuvenink, J. et al, Eur. J. Clin. Microbiol. 5: 148 (1986); Bogard, W. C. et al., Infect. Immun. 55: 899 (1987); Pollack, M. et al., Bacterial Endotoxins: Pathophysiological Effects, Clinical Significance, and Pharmacological Control. pp. 327-338 Alan R. Liss, Inc. (1988); Priest, B. P. et al., Surgery 106: 147 (1989); Tyler, J. W. et al., Journal of Immunological Methods 129: 221 (1990); Siegel, S. A. et al., Infect. Immun. 61: 512 (1993); Shelburne, C. E. et al., J. Periodont. Res. 28: 1 (1993); Di Pardova, F. E. et al., Infect. Immun. 61: 3863 (1993);およびDe Kievit, T. R. and Lam, J. S. J. Bacteriol. 176: 7129 (1994)。
【0171】
使用される抗体は、古典的な技術を使用して選択され得る。抗体特異性、結合程度および速度論は、経験的な様式で各抗体を経験的に試験することによって特徴づけられ得る。マイクロタイタースクリーニング形式は、任意の所定のイムノアッセイ形式において特異的抗体応答を特徴づけることを補助するために、文献中で十分に記録されている。同様に、検出可能に標識された抗体の活性は、種々の化学的結合体化技術を実施し、その最適な性能パラメーターに関して得られる生成物をスクリーニングすることによって、特徴づけられ得る。その捕捉抗体および検出可能に標識された抗体は、最終生成物実施形態に可能な限り近い最終アッセイ性能に匹敵させるために、保持された血小板または赤血球サンプルからの細菌の臨床分離株に対してスクリーニングされ得る。この実験法は、以下で記載される種々のアッセイ形式における適用のために抗体試薬の選択および最適化をもたらす。
【0172】
細菌細胞表面上の属間交差標的(cross-genus target)に対して特異性を有するモノクローナル抗体は、本開示の方法において利用され得る。いくつかの実施において、モノクローナル抗体のブレンドが利用され得る。ポリクローナル抗体(ポリクローナル抗血清ならびに/または異なるグラム陰性種およびグラム陽性種にわたって広い特異性を有するモノクローナル抗体および/もしくはポリクローナル抗体をブレンドすることによって作製されるポリクローナル混合物を含む)は、本開示の方法およびデバイスにおいて有用である。
【0173】
いくつかの実施において、本明細書で開示される抗体は、有用な薬剤を生成するために必要である程度に記載および/または改変されるとおりに利用され得る。
【0174】
いくつかの実施において、本開示の方法およびデバイスは、複数の捕捉剤を含み得る。その複数の捕捉剤は、固体支持体上に固定化(例えば、化学的結合を介して共有結合によりキャピラリーフローベッド上に固定化)され得る、および/またはその複数の捕捉剤は、いくつかの実施に従って、吸収を介して固定化され得る。
【0175】
いくつかの実施において、その複数の捕捉剤は、抗体および/またはその機能的フラグメント(例えば、本開示で記載される抗体のうちのいずれか)である。いくつかの実施において、その捕捉剤は、その複数の結合剤と同じタイプの抗体を含む。他の実施において、その捕捉剤は、その複数の結合剤からの異なるタイプの抗体を含む。いくつかの実施において、その複数の捕捉抗体は、固体支持体上の(例えば、キャピラリーフローベッド)上の1種または1種より多くの位置において分類群(group)で(例えば、その固体支持体上の1または1より多くの位置(例えば、キャピラリーフローベッドの捕捉ゾーン内の1または1より多くの位置)で固定化される。いくつかの実施において、その捕捉剤は、キャピラリーフローベッドの捕捉ゾーン内の1または1より多くの位置で固定化される。いくつかの実施において、その複数の捕捉剤は、その固体支持体上に1種または1種より多くの捕捉剤分類群を含み、その分類群は互いから空間的に分離されており、各分類群は、その標的分析物のうちの少なくとも部分セットの異なる共通抗原に特異的に結合する抗体を含む。
【0176】
一局面において、本開示は、液体サンプル中の複数の標的分析物(例えば、細菌、ウイルス、および/または真菌)を検出および/またはスクリーニングするためのキットを提供する。そのキットは、本開示のデバイスのうちのいずれか1つ、サンプル受容パッドの収容力に対する固定された容積較正を有するドロッパー、緩衝溶液および/または緩衝溶液を調製するための緩衝化塩、ならびにその液体サンプルを予備処理するための1種または1種より多くの試薬を含み得る。そのキットは、そのデバイスを使用するための手順的工程を提供するための説明書ならびに/または陽性および/もしくは陰性コントロールとしてのコントロール試薬をさらに含む。いくつかの実施において、そのキットは、本開示の任意の方法を行うために使用され得る。いくつかの実施において、複数の標的分析物を検出する工程および/またはスクリーニングする工程は、複数の標的分析物(例えば、臨床上関連のある量の標的分析物)の存在を検出する工程を包含する。
【0177】
バリエーションおよび改変は、本開示を検討した後に、当業者に想起される。その開示される特徴は、本明細書で記載される1またはこれより多くの他の特徴との任意の組み合わせおよび部分組み合わせ(多数の組み合わせおよび部分組み合わせを含む)において実施され得る。上記で記載されるおよび/または例証される種々の特徴は、これらのうちのいずれかの構成要素を含め、他のシステムにおいて組み合わされ得るおよび/または他のシステムの中に組み込まれ得る。さらに、ある種の特徴は、省略されてもよいおよび/または実施されなくてもよい。
【0178】
種々の例示的実施において示されるとおりの特徴および/またはそれらの構成要素の構築および配列は、例証に過ぎないことを注記することは重要である。ごくわずかな実施が本開示で詳細に記載されてきたが、本開示を検討する当業者は、開示される主題の教示および利点から本質的に逸脱することなく、多くの改変が可能である(例えば、種々の要素のサイズ、寸法、構造、形状および調和におけるバリエーション、パラメーターの値、取り付けの配列、材料の使用、色、配向など)ことを容易に認識する。例えば、一体的に形成されるように示される要素は、多数の部品および/または要素から構築され得、その要素の位置は、逆にされてもよくおよび/またはさもなければ変動してもよく、別個の要素および/または位置の性質および/または数は、質変化してもよいおよび/または変動してもよい。任意のプロセスおよび/または方法工程の順序および/または順番は、代替の実施に従って変動してもよいおよび/または再度順番が決められてもよい。他の置換、改変、変更および省略はまた、本開示の範囲から逸脱することなく、その種々の例示的実施のデザイン、作動条件および配列において行われ得る。
【0179】
種々の実施が本明細書で記載され例証されてきたが、当業者は、機能を果たすならびに/あるいは結果および/または本明細書で記載される利点のうちの1もしくはこれより多くを得るための種々の他の機構および/または構造を容易に思い浮かべ、このようなバリエーションおよび/または改変の各々は、本明細書で記載される実施の範囲内であると見做される。より一般には、当業者は、別段注記されなければ、本明細書で記載される任意のパラメーター、寸法、材料、および構成が、例示であることが意味され、実際のパラメーター、寸法、材料、および/または構成がその教示が使用される特定の適用に依存することを容易に認識する。当業者は、単に慣用的な実験法を使用して、本明細書で記載される具体的実施に対する多くの均等物を認識および/または確認し得る。従って、前述の実施が例示によってのみ、ならびに添付の請求項およびその均等物の範囲内で示されること、実施は、具体的に記載され、請求項に記載されるものとは別の方法で行われ得ることは、理解されるべきである。本開示の実施は、本明細書で記載される各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法に関する。さらに、2またはこれより多くのこのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせは、このような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が互いに矛盾するのでなければ、本開示の発明の範囲内に包含される。
【0180】
本開示において、サンプルは、細菌、ウイルス、および/または真菌を含むと疑われる任意の液体サンプルであり得る。いくつかの実施において、そのサンプルは、生物学的流体(尿、喀痰、髄液、腹水、血液および血液製剤が挙げられる)、例えば、血液および/または血液製剤である。いくつかの実施において、その血液および/または血液製剤は、全血、白血球、造血幹細胞、血小板、赤血球、血漿、骨髄および血清からなる群より選択される。
【0181】
いくつかの実施において、本開示は、血小板貯蔵サンプル中の細菌の細菌属、種、および/または株の広い範囲を検出するためのデバイス、キット、および方法を提供する。血小板(platelet)および/または血小板(thrombocyte)は、凝固および創傷治癒を担う血液構成要素である。血小板は、低血小板数を有する患者(例えば、白血病患者、化学療法および/または放射線処置を受けているがん患者、自己免疫疾患を有する患者、手術中のならびに/または外傷および/もしくは感染を有する患者)に補充するために輸液される。一般に、長期間の使用のために血小板を保存および/または貯蔵することは困難である。なぜなら血小板は、5日間という短い貯蔵寿命を有し、室温において貯蔵されなければならないからである(冷却した血小板は、肝臓によって迅速に除去される)。それによって、血小板は、ドナーの皮膚細菌叢に由来する、貯蔵間の細菌の夾雑に敏感である。夾雑した血小板単位の輸液は、患者において敗血症を引き起こし得、罹患および/または死亡を生じ得る;従って、血小板貯蔵中におよび輸液前に細菌夾雑を検出することは、極めて重要である。
【0182】
輸液のための血小板の安全性を決定することにおける現行の実務は、収集の24時間後のサンプル貯蔵バッグおよび細菌検出のための培養増殖法を使用することに依存する。その培養ベースの試験は、細菌増殖の対数増殖期早期(early lag phase)における極めて低いCFUの不十分なサンプリングに起因する偽陰性を排除できない。さらに、輸液から数時間以内に使用される場合、その培養ベースの試験は、結果のために最小限の時間数がなお必要であり得る。
【0183】
いくつかの実施において、その血液および/または血液製剤(例えば、血小板)は、レシピエントへの輸液のためのドナー由来のものである。いくつかの実施において、そのサンプルは透析サンプル(例えば、血液透析流体および腹膜透析流体から選択される透析サンプル)である。いくつかの実施において、そのサンプルは、レシピエントへの移植のためのドナー由来の組織のような組織が貯蔵されている流体である。ある種のこのような実施において、その組織は、血球培養物、幹細胞培養物、皮膚および骨および軟骨の移植片材料からなる群より選択される。いくつかの実施において、そのサンプルは、肺、気管支肺胞、腹腔および/または関節鏡の洗浄液に由来する。他の実施において、そのサンプルは、環境サンプル(例えば、水および土壌)である。いくつかの実施において、そのサンプルは、食品および/または飲料である。当業者は、そのサンプル供給源が固体形態にある場合(例えば、土壌および/または固体食品)、そのサンプルが、その固体形態の液体抽出物および/またはその固体形態と接触した状態にあった液体であり得ることを認識する。いくつかの実施において、そのサンプルは、生物学的サンプル(例えば、尿、涙液、喀痰および/または脳脊髄液)である。
【0184】
いくつかの実施において、本開示のサンプルは、化学的および/または機械的手段を介して予備処理される。例えば、いくつかの実施において、適切な容積の液体サンプルは、細胞壁構造の断片がそのサンプルになるように、予備処理試薬と混合される。この処理は、その標的分析物の結合部位の曝露(例えば、細菌の抗原および/または抗原性構成要素の曝露)を生じる。その適切な予備処理試薬は、大分子構造を分解し、天然の抗原性構造を曝露する化学物質(例えば、界面活性剤、キレート化剤、および/または酵素)であり得る。その処理はまた、機械的手段によって、機械的断片化(例えば、超音波処理)および/または運動エネルギー(例えば、沸騰)を使用して、その細胞壁をその部分構成要素へと破壊し、それによって、結合剤の結合部位を抗原性構成要素上に曝露するものであり得る。他の実施において、そのサンプルは、塩基ショックが与えられ(based-shocked)、続いて、中和剤によって中和される。例えば、そのサンプルは、細胞壁を破壊するための溶解溶液として作用する塩基溶液(例えば、NaOH溶液)と混合され、続いて、中和剤で中和される。このようなサンプル予備処理はまた、ドナーに由来する内因性抗体および結合因子に結合され得る細菌および細菌断片を解離するように働く。
【0185】
いくつかの実施において、その予備処理したサンプルは、複数の結合剤と混合される。ある種のこのような実施において、その複数の結合剤は、抗体、例えば、検出抗体(例えば、ポリクローナル抗体または多価ポリクローナル抗体)を含む。いくつかのこのような実施において、その結合剤は、中和剤を含む溶液中にある。
【0186】
いくつかの実施において、そのサンプルは、そのサンプルと抗体とを接触させる前に処理されるかまたはその接触と同時に処理される。いくつかの実施において、その抗体は、その標的分析物のうちの少なくとも部分セットの共通抗原に結合し得る。例えば、その抗体は、細菌のリポテイコ酸(LTA)または細菌のリポポリサッカリド構造(LPS)に結合し得る。いくつかの実施において、その抗体は、細菌、ウイルス、および/または真菌の1より多くの属に結合し得る抗体であり得る。例えば、その処理は、その抗体に関するグラム陰性細菌抗原および/またはグラム陽性細菌抗原上の結合部位を曝露する。細菌抗原上の結合部位は、例えば、その細菌の細胞壁および/または細胞パッドから抗原を切断し、それによって、その結合部位を曝露する;その細菌を誘導して、その抗原を分泌させ、それによって、その結合部位を曝露する;その細菌を溶解し、それによって、細胞内細菌抗原を放出し、従って、その抗原上の結合部位を曝露することによって;および/またはその細菌抗原上のコンホメーション変化を誘導して、それによってその結合部位を曝露することによって、曝露され得る。このような処理は、物理的手段(超音波処理、沸騰、および/またはホモジナイゼーションが挙げられるが、これらに限定されない)による、例えば、Dounceホモジナイザーを使用する、そのサンプル中の細菌細胞の機械的破壊を含む。その処理はまた、化合物および/または組成物(例えば、界面活性剤)、塩基性溶液(アルカリ溶解のための)、酸性溶液(酸溶解のための)、EDTA、EGTA、金属イオン、アニオン、カチオン、界面活性剤、キレート化剤、および/または酵素(例えば、リゾスタフィン、リゾチーム、ムタノリシン(mutanolysin)、ラビアーゼ(labiase)、アクロモペプチダーゼ、トリプシン、プロテイナーゼK、または自己溶解素、バクテリオファージによってコードされる溶解酵素、およびこれらの組み合わせ)での化学的手段による、そのサンプルの処理であり得る。その処理は、グラム陰性細菌抗原および/またはグラム陽性細菌抗原上のその抗体に関する結合部位を曝露する。その処理はまた、内因性抗体および結合因子に結合される細菌または細菌抗原を解離する。
【0187】
本明細書で考察される種々の実施が組み合わせ可能であり、実際に、本発明の範囲から逸脱することなく、システム、デバイス、または方法の任意の特定の実施と組み合わされ得ることは、理解される。
【実施例】
【0188】
1.血液サンプル中の種々の細菌を、非逐次的ラテラルフローデバイスでの検出(直接アッセイ)と比較して、逐次的ラテラルフローデバイスを使用して検出する。
【表1】
【0189】
2.細菌検出のための本開示の逐次的ラテラルフローデバイスの使用
この実験の目的は、試験ストリップを介して、サンプルおよび試薬の逐次的および非逐次的送達においてアッセイを行うことによって、細菌抗原を検出する能力を比較することであった。そのサンプルは、Pseudomonas aeruginosa ATCC 27853の10倍希釈物から調製した。細菌抗原の検出を、固定化した捕捉抗体のストライプにしたバンド内での免疫学的アッセイを介して、ニトロセルロース上に固定化したコロイド性金粒子から生成したシグナルをスキャンすることによって促進した。固定化したコロイド性金の定量を、LFStudioソフトウェアver. 3.6.0と30単位に設定したベースラインとを利用して、Qiagen ESEQuant LR3リーダーでスキャンすることによって容易にした。Pseudomonas aeruginosa ATCC 27853細菌の定量を、希釈プレートカウント(DPC)法を使用して行った。これは、微生物学者によって使用される代表的方法であり、当業者に公知である。
【0190】
この希釈プレートカウント法では、Pa 27853を含む100μLの血小板サンプルを、新鮮な血小板サンプルで段階的に10倍希釈した。36時間のインキュベーション時間後に、そのコロニー形成単位(CFU)をカウントして、その最初のサンプル中に含まれる細菌数を決定した。これらの10倍希釈したサンプルを、次いで、その試験ストリップへのサンプルおよび試薬の逐次的または非逐次的送達いずれかを利用するアッセイで実行した。逐次的実施と非逐次的実施とを直接比較するために、その調製したサンプルを含む全ての構成要素は、同一であった。この実験の結果を、
図14に示す。
【0191】
バリエーションおよび改変は、本開示を検討した後に当業者に想起される。その開示される特徴は、本明細書で記載される1またはこれより多くの他の特徴との任意の組み合わせおよび部分組み合わせ(多数の従属項の組み合わせおよび部分的組み合わせを含む)において、実施され得る。上記で記載および/または例証される種々の特徴は、それらの任意の構成要素を含め、他のシステムにおいて組み合わせおよび/または組み込まれ得る。変更、置換、および質変化の例は、当業者によって確認可能であり、本明細書で開示される情報の範囲から逸脱することなく行われ得る。さらに、ある種の特徴は、省略されてもよいおよび/または実施されなくてもよい。引用される全ての参考文献は、それらの全体において本明細書に参考として援用され、本出願の一部にされ得る。