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特許7250762非常に低いアニリン含有量を有するロイコインジゴ塩溶液を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】非常に低いアニリン含有量を有するロイコインジゴ塩溶液を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C09B 7/02 20060101AFI20230327BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20230327BHJP
   C09B 67/44 20060101ALI20230327BHJP
   D06P 1/32 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
C09B7/02
C09B67/20 A
C09B67/44 A
D06P1/32
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020507661
(86)(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-22
(86)【国際出願番号】 EP2018071800
(87)【国際公開番号】W WO2019030396
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-04-23
(31)【優先権主張番号】17185980.4
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17185971.3
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17185976.2
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18173343.7
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515225895
【氏名又は名称】アルフローマ アイピー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】エルウィン ルチチ
(72)【発明者】
【氏名】イェルク ヒューブナー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ハイエット
(72)【発明者】
【氏名】ミヘーレ キャサリン クリスチアンヌ ヤンセン
(72)【発明者】
【氏名】カリン ヘンドリカ マリーア ベッセンビンデル
(72)【発明者】
【氏名】ピエール エル.ウェステンボルクス
(72)【発明者】
【氏名】マリヌス ペトルス ウィルヘルムス マリーア レイケルス
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/024826(WO,A2)
【文献】特表2002-520469(JP,A)
【文献】特開平07-157684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 1/00-69/10
D06P 1/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製されたロイコインジゴ溶液を得るために、アニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンの形態の芳香族アミンを、前記芳香族アミンを含む水性ロイコインジゴ溶液から取り除く方法であって、ここで、前記ロイコインジゴはアルカリ金属塩の形態で存在し、その方法は、以下のステップ(A1):
(A1)水性ロイコインジゴ溶液を蒸留に供すること、
を含み、ここで、ステップ(A1)が、以下のステップ(B1)、(C1)または(D1):
(B1)ステップ(A1)による蒸留の前に水性ロイコインジゴ溶液に水を加えること;
(C1)ステップ(A1)による蒸留と同時に水性ロイコインジゴ溶液に水を加えること;
(D1)ステップ(A1)による蒸留の後に水性ロイコインジゴ溶液に水を加え、そして、得られる溶液を再蒸留すること、
のうちの1つをさらに含み、ここで、ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量と少なくとも等しい重量の水が留去され
ステップ(A1)に使用される溶液中のロイコインジゴ塩の濃度が、その溶液の総重量に基づいて5~65重量%の範囲内にあり、
精製された溶液中のロイコインジゴ塩の濃度がその溶液の総重量に基づいて45~65重量%の範囲内にあるように、加えられる水と留去される水の重量が選択される、方法。
【請求項2】
アニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンを含む水性ロイコインジゴ溶液から、ISO 14362‐1:2017(E)に従ってアニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンの濃度を測定した場合にアニリン不含またはアニリン不含かつN‐メチルアニリン不含の水性ロイコインジゴ溶液を製造する方法であって、ここで、前記ロイコインジゴがアルカリ金属塩の形態で存在し、その方法が以下のステップ(A1):
(A1)水性ロイコインジゴ溶液を蒸留に供すること、
を含み、ここで、ステップ(A1)が、以下のステップ(B1)、(C1)または(D1):
(B1)ステップ(A1)による蒸留の前に水性ロイコインジゴ溶液に水を加えること;
(C1)ステップ(A1)による蒸留と同時に水性ロイコインジゴ溶液に水を加えること;
(D1)ステップ(A1)による蒸留の後に水性ロイコインジゴ溶液に水を加え、そして、得られる溶液を再蒸留すること、
のうちの1つをさらに含み、ここで、ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量と少なくとも等しい重量の水が留去され
ステップ(A1)に使用される溶液中のロイコインジゴ塩の濃度が、その溶液の総重量に基づいて5~65重量%の範囲内にあり、
精製された溶液中のロイコインジゴ塩の濃度がその溶液の総重量に基づいて45~65重量%の範囲内にあるように、加えられる水と留去される水の重量が選択される、方法。
【請求項3】
ステップ(A1)が、以下のステップ(A2):
(A2)ステップ(A1)で得られる水性ロイコインジゴ溶液を蒸留に供すること、
をさらに含み、ここで、ステップ(A2)が、以下のステップ(B2)、(C2)または(D2):
(B2)ステップ(A2)による蒸留の前に水性ロイコインジゴ溶液に水を加えること;
(C2)ステップ(A2)による蒸留と同時に水性ロイコインジゴ溶液に水を加えること;
(D2)ステップ(A2)による蒸留の後に水性ロイコインジゴ溶液に水を加え、そして、得られる溶液を再蒸留すること、
のうちの1つをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量の少なくとも1.5倍である重量の水を留去可能にするのに十分な重量の水が加えられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量の少なくとも2倍である重量の水を留去可能にするのに十分な重量の水が加えられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記蒸留が、不活性ガス流の下で実施される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(A1)に使用される溶液中の前記芳香族アミンの濃度が、前記ステップ(A)に使用される溶液の総重量に基づいて2,000ppm~10,000ppmの範囲内にある、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(A1)に使用される溶液中のアニリンの濃度が1,000ppm~3,000ppmの範囲内にあり、かつ、N‐メチルアニリンの濃度が500~2,000ppmの範囲内にある、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記精製中の前記ロイコインジゴ塩の濃度が、必要であれば水の添加によって、10~45重量%の範囲に調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(B1)、(C1)および(D1)、または(B1)、(C1)および(D1)ならびに(B2)、(C2)および(D2)のうちのいずれか1つが、以下の:
(α)(単数もしくは複数の)前記アミンを含む前記水性ロイコインジゴ溶液を含む液体流を準備し;
(β)水流を準備し;
(γ)前記液体流を前記水流と接触させること、
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(γ)が、以下のステップ(γ1)および(γ2):
前記液体流を前記水性流と接触させるように構成された蒸留カラム内に、
(γ1)前記液体流を注入し;および
(γ2)前記水流を注入すること、
を含み、かつ、ステップ(A1)またはステップ(A1)および(A2)が、以下のステップ(δ)および(ε):
(δ)デバイスから、アニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンを含む水を放出し;および
(ε)デバイスから、アニリン不含またはアニリン不含かつN‐メチルアニリン不含のロイコインジゴ溶液を放出すること、
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記(γ1)の液体流および前記(γ2)の水流が、カラムの側壁の入口を介してカラム内に注入され、前記(δ)のアニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンを含む水が、カラムの頂上部にて放出され、かつ、(ε)のアニリン不含またはアニリン不含かつN‐メチルアニリン不含の水性ロイコインジゴ溶液が、カラムの底部にて放出される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記蒸留カラムが、トレイまたは充填材を伴って提供されるカラムである、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
アニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンの形態で芳香族アミンを含む安定した水性ロイコインジゴ溶液であって、前記ロイコインジゴがアルカリ金属塩の形態で存在し;
芳香族アミンの濃度はISO 14362‐1:2017(E)に従って測定した場合に40ppm未満であり;
ロイコインジゴ塩の濃度が、その溶液の総重量に基づいて10~45重量%の濃度範囲内にあり、かつ、その溶液の安定性が23℃の温度にて計測されるか;または
ここで、ロイコインジゴ塩の濃度が、その溶液の総重量に基づいて45~65重量%の濃度範囲内にあり、かつ、ここで、その溶液の安定性が60℃の温度にて計測され、前記アルカリ金属塩が混合されたナトリウム塩とカリウム塩との混合形態にあり、ナトリウム及びカリウムが2.33:1~1:2.33又は3:1超~10:1のモル比で存在する、安定した水性ロイコインジゴ溶液。
【請求項15】
芳香族アミンの濃度が30ppm未満、20ppm未満または5ppm未満である、請求項14に記載の安定した水性ロイコインジゴ溶液。
【請求項16】
請求項1または9に記載の方法、あるいは請求項1または9によっては請求項1013のいずれか一項に記載の方法によって入手可能な、請求項14または15に記載の安定した水性ロイコインジゴ溶液。
【請求項17】
以下のステップ(D):
(D)請求項1416のいずれか一項に記載の水性ロイコインジゴ溶液を酸化させること、
を含む、インジゴを製造する方法。
【請求項18】
ステップ(D)の前に以下のステップ(C):
(C)請求項1416のいずれか一項に記載のロイコインジゴ溶液で織物を処理すること、
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
以下のステップ(I)および(III):
(I)請求項1~13のいずれか一項、あるいは請求項1または9によっては請求項1013のいずれか一項に記載の方法を実施し;
(III)ステップ(I)で得られるロイコインジゴ溶液を酸化させること、
を含む、インジゴを製造する方法。
【請求項20】
ステップ(III)の前に以下のステップ(II):
(II)ステップ(I)で得られるロイコインジゴ溶液で織物を処理すること、
を含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、アニリン不含ロイコインジゴ塩溶液およびそこから得られるインジゴの分野にある。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
インジゴは、セルロース含有繊維材料を染色するのに使用される建染め染料である。
【0003】
繊維材料に対する適用のために、インジゴは還元を受け、ここで、水可溶性ロイコインジゴ塩が形成される。次に、この塩は、水溶液の状態で繊維材料に適用される。ロイコインジゴ塩の酸化がインジゴの形成をもたらし、ここで、染色された繊維材料が得られる。
【0004】
合成により生産されたインジゴは、一般的に使用される生産プロセスに起因する芳香族アミンに基づく不純物、特にアニリンおよび/またはN‐メチルアニリンを含有している。例えば、合成により生産されたインジゴは、最高6,000ppmのアニリンと最高4,000ppmのN‐メチルアニリンを含有し得る。芳香族アミン、例えばアニリンおよびN‐メチルアニリンなどは、織物適用で望ましくない。よって、これらの不純物を、繊維材料に対する適用前に、それぞれロイコインジゴ塩がそこから製造したインジゴからできるだけ取り除かなければならない。
【0005】
DE4336032A1では、実施例1において、酸素を排除した条件下、不活性溶媒で水性ロイコインジゴナトリウム塩溶液を抽出し、そして、インジゴを酸化によって慣習的に再生することを含む、インジゴを精製するプロセスを開示する。得られるインジゴは、アニリンおよびN‐メチルアニリンを含んでいない。
【0006】
WO2004/024826A2では、蒸留、水蒸気蒸留、抽出によって、または不活性ガスを用いたストリッピングによって水性ロイコインジゴ塩溶液の段階で芳香族アミン不純物を取り除くことを示唆している。この従来技術は、そこに規定された精製方法を適用することで、芳香族アミンの濃度が200ppm未満の含有量に低減され得ることを開示する。次に、精製したロイコインジゴ塩溶液は、もしあれば、前記の少量の芳香族アミンを含有するインジゴを得るために酸化に供されてもよい。精製されたロイコインジゴは、酸化前に繊維材料上に存在し得る。
【0007】
WO2004/024826A2の実施例1では、常圧下での蒸留によって23%の塩含有量を有する未精製ロイコインジゴ塩溶液から得られる、混合されたナトリウム塩とカリウム塩の形態で55重量%のロイコインジゴを含有する溶液を開示し、ここで、精製された溶液中、アニリンの含有量は200ppm未満であり、かつ、N‐メチルアニリンの含有量は20ppm未満である。
【0008】
実施例2では、三重抽出によって未精製ロイコインジゴ塩溶液から得られる、ナトリウム塩およびカリウム塩の形態で23重量%のロイコインジゴを含有する溶液を開示し、ここで、精製された溶液中、アニリンの含有量は147ppmである。N‐メチルアニリンはもはや検出不可能である。
【0009】
実施例3では、窒素を用いたストリッピングによって未精製ロイコインジゴ塩溶液から得られる、ナトリウム塩およびカリウム塩の形態で23重量%のロイコインジゴを含有する溶液を開示し、ここで、精製された溶液中、アニリンの含有量は113ppmである。N‐メチルアニリンはもはや検出不可能である。
【0010】
実施例4では、未精製ロイコインジゴ塩溶液の水蒸気蒸留によって得られる、ナトリウム塩およびカリウム塩の形態でのロイコインジゴ溶液を開示する。アニリンおよびN‐メチルアニリンはもはや検出不可能である。その溶液は、7重量%のロイコインジゴ濃度を有する。この低濃度溶液は、中程度または深い色合いを得るために適用できない。その結果、斯かるロイコインジゴ溶液は、工業規模での適用に関して興味をそそらないであろう。
【0011】
輸送および適用のために、水性ロイコインジゴ塩溶液は、望ましくない塩の結晶化および/または沈殿を予防するために、できるだけ安定していなければならないことが、さらに知られている。これは、ロイコインジゴ塩が相対的に高濃度で水性媒質中に存在する場合に特に重要である。濃縮したロイコインジゴ塩溶液は、還元廃水による汚染のため建染め(vat dying)プロセスに有利である。
【0012】
これに関して、WO00/04100では、ナトリウム塩およびカリウム塩の形態で水性ロイコインジゴ溶液を提供することを示唆しているが、ここで、ナトリウムのモル‐%は70~30の範囲内にあり、カリウムのモル‐%は30~70の範囲に相当する。これは、2.33:1~1:2.33の範囲内のナトリウム対カリウムのモル比に相当する。前記範囲内では、25~40重量%のロイコインジゴ塩の相対的な高濃度にもかかわらず、前記溶存態ロイコインジゴ塩の溶液は室温にて安定であるか、または50~55重量%の濃度の場合に、40~60℃の範囲内の高い温度にて安定している、すなわち、該塩は結晶化または沈殿の傾向がない。この従来技術は、3:1~1:3の範囲内のナトリウム対カリウムのモル比をさらに開示しており、そしてそれは、75~25のナトリウムおよび25~75のカリウムのモル‐%範囲に相当する。
【0013】
WO00/04100では、室温にて、ナトリウム塩の形態のロイコインジゴの溶液が20重量%の濃度まで安定しているWO94/23114に関してさらに開示している。
【0014】
WO00/04100では、希釈したロイコインジゴ溶液から、それらを濃縮するために水が留去され得ることをさらに開示する。例えば、25重量%のロイコインジゴの濃度を有する溶液から、最高45重量%までその溶液を濃縮するために約44重量%の水が留去され得る(実施例4)。
【0015】
WO00/04100の実施例5では、20重量%のロイコインジゴを含む水溶液から、45重量%までその溶液を濃縮するために、約34%の水が留去されることを開示する。
【0016】
WO00/04100では、アニリンおよびメチルアニリン濃度に関して言及していない。
本発明の目的
【0017】
その中の前記芳香族アミンの含有量ができるだけ低い濃縮ロイコインジゴ塩溶液を提供することに関して、今もなおその必要性が産業界には存在している。よって、本発明によって解決すべき課題は、200ppmを大きく下回る、すなわち、少なくとも100ppm未満、そして特に少なくとも40ppm未満または30ppm、好ましくは20未満または10ppm、あるいは、5ppm未満または0ppmのアニリン含有量を有する、精製した濃縮ロイコインジゴ塩溶液およびそこから製造されるインジゴを提供することである。
【発明の概要】
【0018】
本発明の概要
発明者は、ロイコインジゴ塩溶液から留去される水の量がそのロイコインジゴ溶液中の芳香族アミンの残留量に重大な影響を及ぼすことを発見した。発明者は、芳香族アミン、例えばアニリンやN‐メチルアニリンなどの非常に低い含有量を有する水性ロイコインジゴ溶液の調製が、希釈したロイコインジゴ溶液を得るために産業で一般的に使用される、前記アミンを含んでいる未精製ロイコインジゴ溶液に水が追加され、それに続いて、水の添加前の前記水性ロイコインジゴ溶液の重量と少なくとも等しい重量の水が留去される場合に、なされ得ることを発見した。より多くの水が加えられ、それに続いて留去されるほど、芳香族アミンの含有量は低くなる。これにより、得られる濃縮溶液は、40ppm未満、好ましくは30ppm未満、10ppm未満または5ppm未満の芳香族アミンを含有する。好ましい実施形態において、その中で前記芳香族アミンがもはや検出不可能である溶液が調製され得る。斯かる溶液は、アニリン不含とも呼ばれ得る。従って、「100ppm未満、および特に40ppm未満、30ppm未満、20ppm未満または10ppm未満」という用語は、ISO14362‐1:2017(E)に従って、芳香族アミンがもはや検出不可能である限界、すなわち0ppmを下限として包含する。
【0019】
本発明による方法のさらなる特定の利点は、濃縮溶液が、例えば、10~65重量%、例えば、15~60重量%、20~55重量%または25~50重量%などの範囲内で調製され得、そしてそれは、中程度および深い色合いに関して、染色要件を満たしており、かつ、アニリン不含である点である。また、染色工場における還元廃水における汚染の要件も満たし得る。
【0020】
従って、本発明は、以下の項目に関する:
1.
精製されたロイコインジゴ溶液を得るために、アニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンの形態の芳香族アミンを、前記芳香族アミンを含む水性ロイコインジゴ溶液から取り除く方法であって、ここで、前記ロイコインジゴはアルカリ金属塩の形態で存在し、その方法は、以下のステップ(A1):
(A1)水性ロイコインジゴ溶液を蒸留に供すること、
を含み、ここで、ステップ(A1)が、以下のステップ(B1)、(C1)または(D1):
(B1)ステップ(A1)による蒸留の前に水性ロイコインジゴ溶液に水を加えること;
(C1)ステップ(A1)による蒸留と同時に水性ロイコインジゴ溶液に水を加えること;
(D1)ステップ(A1)による蒸留の後に水性ロイコインジゴ溶液に水を加え、そして、得られる溶液を再蒸留すること、
のうちの1つをさらに含み、ここで、ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量と少なくとも等しい重量の水が留去される方法。
2.
アニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンを含む水性ロイコインジゴ溶液から、ISO 14362‐1:2017(E)に従ってアニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンの濃度を測定した場合にアニリン不含またはアニリン不含かつN‐メチルアニリン不含の水性ロイコインジゴ溶液を製造する方法であって、ここで、前記ロイコインジゴがアルカリ金属塩の形態で存在し、その方法が以下のステップ(A1):
(A1)水性ロイコインジゴ溶液を蒸留に供すること、
を含み、ここで、ステップ(A1)が、以下のステップ(B1)、(C1)または(D1):
(B1)ステップ(A1)による蒸留の前に水性ロイコインジゴ溶液に水を加えること;
(C1)ステップ(A1)による蒸留と同時に水性ロイコインジゴ溶液に水を加えること;
(D1)ステップ(A1)による蒸留の後に水性ロイコインジゴ溶液に水を加え、そして、得られる溶液を再蒸留すること、
のうちの1つをさらに含み、ここで、ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量と少なくとも等しい重量の水が留去される方法。
3.
ステップ(A1)が、以下のステップ(A2):
(A2)ステップ(A1)で得られる水性ロイコインジゴ溶液を蒸留に供すること、
をさらに含み、ここで、ステップ(A2)が、以下のステップ(B2)、(C2)または(D2):
(B2)ステップ(A2)による蒸留の前に水性ロイコインジゴ溶液に水を加えること;
(C2)ステップ(A2)による蒸留と同時に水性ロイコインジゴ溶液に水を加えること;
(D2)ステップ(A2)による蒸留の後に水性ロイコインジゴ溶液に水を加え、そして、得られる溶液を再蒸留すること、
のうちの1つをさらに含む、項目1または2に記載の方法。
4.
ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量の少なくとも1.5倍である重量の水を留去可能にするのに十分な重量の水が加えられる、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
5.
ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量の少なくとも2倍である重量の水を留去可能にするのに十分な重量の水が加えられる、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
6.
前記蒸留が、不活性ガス流の下で実施される、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
7.
ステップ(A1)に使用される溶液中のロイコインジゴ塩の濃度が、その溶液の総重量に基づいて5~65重量%の範囲内にある、項目1~6のいずれか一項に記載の方法。
8.
ステップ(A1)に使用される溶液中の前記芳香族アミンの濃度が、前記ステップ(A)に使用される溶液の総重量に基づいて2,000ppm~10,000ppmの範囲内にある、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
9.
ステップ(A1)に使用される溶液中のアニリンの濃度が1,000ppm~3,000ppmの範囲内にあり、かつ、N‐メチルアニリンの濃度が500~2,000ppmの範囲内にある、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
10.
精製された溶液中のロイコインジゴ塩の濃度がその溶液の総重量に基づいて45~65重量%の範囲内にあるように、加えられる水と留去される水の重量が選択される、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
11.
前記濃度が、必要であれば水の添加によって、10~45重量%の範囲に調整される、項目9に記載の方法。
12.
ステップ(B1)、(C1)および(D1)、または(B2)、(C2)および(D2)のうちのいずれか1つが、以下の:
(α)(単数もしくは複数の)前記アミンを含む前記水性ロイコインジゴ溶液を含む液体流を準備し;
(β)水流を準備し;
(γ)前記液体流を前記水流と接触させること、
を含む、項目1~11のいずれか一項に記載の方法。
13.
ステップ(γ)が、以下のステップ(γ1)および(γ2):
前記液体流を前記水性流と接触させるように構成された蒸留カラム内に、
(γ1)前記液体流を注入し;および
(γ2)前記水流を注入すること、
を含み、かつ、ステップ(A1)または(A2)のうちのどちらか一方が、以下のステップ(δ)および(ε):
(δ)デバイスから、アニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンを含む水を放出し;および
(ε)デバイスから、アニリン不含またはアニリン不含かつN‐メチルアニリン不含のロイコインジゴ溶液を放出すること、
を含む、項目12に記載の方法。
14.
前記(γ1)の液体流および前記(γ2)の水流が、カラムの側壁の入口を介してカラム内に注入され、前記(δ)のアニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンを含む水が、カラムの頂上部にて放出され、かつ、(ε)のアニリン不含またはアニリン不含かつN‐メチルアニリン不含の水性ロイコインジゴ溶液が、カラムの底部にて放出される、項目12または13に記載の方法。
15.
前記蒸留カラムが、トレイまたは充填材を伴って提供されるカラムである、項目13または14に記載の方法。
16.
アニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンの形態で芳香族アミンを含む安定した水性ロイコインジゴ溶液であって、ここで、前記ロイコインジゴがアルカリ金属塩の形態で存在し;
ここで、芳香族アミンの濃度はISO 14362‐1:2017(E)に従って測定した場合に40ppm未満であり;
ここで、ロイコインジゴ塩の濃度が、その溶液の総重量に基づいて10~45重量%の濃度範囲内にあり、かつ、ここで、その溶液の安定性が23℃の温度にて計測されるか;または
ここで、ロイコインジゴ塩の濃度が、その溶液の総重量に基づいて45~65重量%の濃度範囲内にあり、かつ、ここで、その溶液の安定性が60℃の温度にて計測される、安定した水性ロイコインジゴ溶液。
17.
芳香族アミンの濃度が30ppm未満、20ppm未満または5ppm未満である、項目16に記載の安定した水性ロイコインジゴ溶液。
18.
項目10または11に記載の方法、あるいは項目10または11によっては項目12~15のいずれか一項に記載の方法によって入手可能な、項目16または17に記載の安定した水性ロイコインジゴ溶液。
19.
以下のステップ(D):
(D)項目16~18のいずれか一項に記載の水性ロイコインジゴ溶液を酸化させること、
を含む、インジゴを製造する方法。
20.
ステップ(D)の前に以下のステップ(C):
(C)項目16~18のいずれか一項に記載のロイコインジゴ溶液で織物を処理すること、
を含む、項目19に記載の方法。
21.
以下のステップ(I)および(III):
(I)項目1~15のいずれか一項、好ましくは項目10または11、あるいは項目10または11によっては項目12~15のいずれか一項に記載の方法を実施し;
(III)ステップ(I)で得られるロイコインジゴ溶液を酸化させること、
を含む、インジゴを製造する方法。
22.
ステップ(III)の前に以下のステップ(II):
(II)ステップ(I)で得られるロイコインジゴ溶液で織物を処理すること、
を含む、項目21に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
この開示で使用される「アニリン不含」という用語は、ISO 14362‐1:2017(E)に従って測定した濃度である、200ppm未満、100ppm未満、好ましくは80ppm未満、より好ましくは60ppm未満、より一層好ましくは40ppm未満、特に30ppm未満または20ppm未満、そして特に好ましくは10ppm未満または5ppm未満のアニリン濃度をその最も広い意味で包含する。
【0022】
この開示で使用される「アニリン不含かつN‐メチルアニリン不含」という用語は、ISO 14362‐1:2017(E)に従って濃度を測定した濃度である、200ppmまたは100ppm未満、好ましくは80ppm未満、より好ましくは60ppm未満、より一層好ましくは40ppm未満、特に30ppm未満または20ppm未満、および特に好ましくは10ppm未満または5ppm未満のアニリン濃度およびN‐メチルアニリン濃度を規定する。
【0023】
本発明による方法
【0024】
第一の態様によると、本発明は、精製されたロイコインジゴ溶液を得るために、アニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンの形態の芳香族アミンを、前記芳香族アミンを含む水性ロイコインジゴ溶液から取り除く方法であって、ここで、前記ロイコインジゴはアルカリ金属塩の形態で存在し、その方法は、以下のステップ(A1):
(A1)水性ロイコインジゴ溶液を蒸留に供すること、
を含み、ここで、ステップ(A1)が、以下のステップ(B1)、(C1)または(D1):
(B1)ステップ(A1)による蒸留の前に水性ロイコインジゴ溶液に水を加えること;
(C1)ステップ(A1)による蒸留と同時に水性ロイコインジゴ溶液に水を加えること;
(D1)ステップ(A1)による蒸留の後に水性ロイコインジゴ溶液に水を加え、そして、得られる溶液を再蒸留すること、
のうちの1つをさらに含み、ここで、ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量と少なくとも等しい重量の水が留去される方法に関する。
【0025】
必要であれば、その方法は繰り返されてもよい。従って、一実施形態において、ステップ(A1)が、以下のステップ(A2):
(A2)ステップ(A1)で得られる水性ロイコインジゴ溶液を蒸留に供すること、
をさらに含み、ここで、ステップ(A2)が、以下のステップ(B2)、(C2)または(D2):
(B2)ステップ(A2)による蒸留の前に水性ロイコインジゴ溶液に水を加えること;
(C2)ステップ(A2)による蒸留と同時に水性ロイコインジゴ溶液に水を加えること;
(D2)ステップ(A2)による蒸留の後に水性ロイコインジゴ溶液に水を加え、そして、得られる溶液を再蒸留すること、
のうちの1つをさらに含む。
【0026】
第二の態様によると、本発明は、アニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンを含む水性ロイコインジゴ溶液から、ISO 14362‐1:2017(E)に従ってアニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンの濃度を測定した場合にアニリン不含またはアニリン不含かつN‐メチルアニリン不含の水性ロイコインジゴ溶液を製造する方法であって、ここで、前記ロイコインジゴがアルカリ金属塩の形態で存在し、その方法が以下のステップ(A1):
(A1)水性ロイコインジゴ溶液を蒸留に供すること、
を含み、ここで、ステップ(A1)が、以下のステップ(B1)、(C1)または(D1):
(B1)ステップ(A1)による蒸留の前に水性ロイコインジゴ溶液に水を加えること;
(C1)ステップ(A1)による蒸留と同時に水性ロイコインジゴ溶液に水を加えること;
(D1)ステップ(A1)による蒸留の後に水性ロイコインジゴ溶液に水を加え、そして、得られる溶液を再蒸留すること、
のうちの1つをさらに含み、ここで、ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量と少なくとも等しい重量の水が留去される方法に関する。
【0027】
必要であれば、その方法は繰り返されてもよい。従って、一実施形態において、ステップ(A1)が、以下のステップ(A2):
(A2)ステップ(A1)で得られる水性ロイコインジゴ溶液を蒸留に供すること、
をさらに含み、ここで、ステップ(A2)が、以下のステップ(B2)、(C2)または(D2):
(B2)ステップ(A2)による蒸留の前に水性ロイコインジゴ溶液に水を加えること;
(C2)ステップ(A2)による蒸留と同時に水性ロイコインジゴ溶液に水を加えること;
(D2)ステップ(A2)による蒸留の後に水性ロイコインジゴ溶液に水を加え、そして、得られる溶液を再蒸留すること、
のうちの1つをさらに含む。
【0028】
第一の態様および第二の態様に規定される本発明による方法で使用されるロイコインジゴ溶液は、当該技術分野で知られている方法、すなわち、インジゴを含む水性組成物を、アルカリ金属水酸化物の存在下での還元ステップに供することによって調製される。
【0029】
従って、その方法は、本発明による方法で実施されるステップ(A1)の前に以下のステップ(O):
(O)アニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンの形態で芳香族アミンを含有するインジゴを含む水性組成物を、前記芳香族アミンを含む水性ロイコインジゴ溶液を作り出すためにアルカリ金属水酸化物の存在下、還元に供すること、
を含み、ここで、前記ロイコインジゴがアルカリ金属塩の形態で存在する。
【0030】
好ましくは、還元が水素化として実施される。水素化は、当該技術分野で知られている方法で実施され得る。
【0031】
好ましい還元は、触媒としてラネー‐ニッケルを使用する水素化である。
【0032】
他の公知の方法は、例えば、亜ジチオン酸ナトリウムを使用した還元、電解による還元、例えば、媒介物として鉄のトリエタノールアミン錯体を使用した間接的電解など、あるいは、インドキシルまたはヒドロキシアセトンを使用した還元である。還元が言及した還元方法に限定されないことを理解すべきである。
【0033】
本発明によると、前記ロイコインジゴは、アルカリ金属塩の形態で存在する。
【0034】
「アルカリ金属」という用語は、リチウム、ナトリウムおよびカリウム、ならびにそのうちの2つまたは3つの組み合わせを包含する。
【0035】
従って、一実施形態において、アルカリ金属は、リチウム、ナトリウムまたはカリウムであり得る。
【0036】
別の実施形態において、アルカリ金属は、リチウムとナトリウム、またはリチウムとカリウム、またはナトリウムとカリウムであり得る。
【0037】
別の実施形態において、アルカリ金属は、リチウム、ナトリウムおよびカリウムである。
【0038】
「リチウム、ナトリウム、およびカリウム」という用語は、それぞれのその陽イオンを意味する。
【0039】
ロイコインジゴ塩中のアルカリ金属の量は、実質的に、ロイコインジゴ塩の完全な形成に必要な量に化学量論的に相当する量に相当する。好ましくは、塩および/または溶液は、ロイコインジゴ1moleあたり1.5~2.5moleのアルカリ、より好ましくは2.0~2.5moleのアルカリ、より一層好ましくは2.1~2.5moleのアルカリを含む。
【0040】
一実施形態において、その塩は、ナトリウム塩、例えば、WO94/23114に規定された塩である。
【0041】
一実施形態において、その塩は、混合されたアルカリ金属塩、例えば、混合されたナトリウム塩やカリウム塩などの形態で存在する。
【0042】
一実施形態において、ナトリウムとカリウムは、WO00/004100に規定されたモル比、例えば、2.33:1~1:2.33のモル比で存在する。
【0043】
別の実施形態において、ナトリウムとカリウムは、3:1超~10:1、例えば、4:1~8:1または5:1~7:1などのモル比で存在する。
【0044】
当業者は、未精製ロイコインジゴ溶液から製造されたそれぞれの精製されたロイコインジゴ溶液が使用されるモル比に依存して安定している、好適な濃度範囲を選択することができる。
【0045】
よって、対処されたナトリウム対カリウムのモル範囲内で、安定して濃縮溶液が調製され得る。
【0046】
好ましい実施形態において、ロイコインジゴ塩は、混合されたアルカリ金属塩、好ましくは混合されたナトリウム塩およびカリウム塩の形態で、より好ましくは2.33:1~1:2.33の範囲のナトリウム対カリウムのモル比で提供される。
【0047】
必要な量のアルカリ金属水酸化物を、水素化前に一度に、あるいは、水素化中または水素化前とその最中に分割して、提供することが可能である。必要であれば、追加のアルカリはまた、水素化後に加えられてもよい。
【0048】
ステップ(O)で得られるか、またはステップ(A1)に使用する塩の濃度は、幅広い境界内から選択され、かつ、特定の要件に制限されない。
【0049】
一実施形態において、ステップ(O)で得られるか、またはステップ(A1)に使用する溶液中のロイコインジゴ塩の濃度は、ステップ(O)で得られるか、またはステップ(A1)に使用する溶液の総重量に基づいて、5~65重量%の範囲内にあり、例えば、10~60重量%、15~55重量%または20~50重量%などの範囲内にある。
【0050】
別の実施形態において、ステップ(O)で得られるか、またはステップ(A1)に使用する溶液中のロイコインジゴ塩の濃度は、ステップ(O)で得られるか、またはステップ(A1)に使用する溶液の総重量に基づいて、10~35重量%の範囲内にある。
【0051】
背景技術の項で考察されるように、インジゴの還元によって得られるロイコインジゴ塩溶液は、一般的に使用されるインジゴの生産プロセスに起因するアニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンの形態の芳香族アミンを含む。
【0052】
一実施形態において、ステップ(O)で得られるか、または精製前にステップ(A1)に使用する溶液中の前記芳香族アミンの濃度は、2,000ppm~10,000ppmの範囲内にある。
【0053】
一実施形態において、アニリンの濃度は1,000ppm~3,000ppmの範囲内にあり、N‐メチルアニリンの濃度は500~2,000ppmの範囲内にある。
【0054】
本発明によると、ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量と少なくとも等しい重量の水を留去可能にするのに十分な重量の水が、ステップ(B1)、(C1)および(D1)ならびに(B2)、(C2)および(D2)で加えられる。このことは、蒸留後でもまだ水溶液、すなわち、少なくとも蒸留温度にて、まだ水を含んでいて、溶液を形成する組成物が得られることを意味することに他ならない。
【0055】
ステップ(B1)による方法は、バッチプロセスとして好ましくは実施される。
【0056】
ステップ(C1)による方法は、連続プロセスとして好ましくは実施される。
【0057】
ステップ(D1)による方法は、バッチプロセスとして好ましくは実施される。
【0058】
ステップ(A1)[および(A2)]による蒸留中、前記芳香族アミンは、共沸混合物として水と一緒に、または水と(単数もしくは複数の)アミンを含む混合物として取り除かれる。
【0059】
さらなる好ましい実施形態において、ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量の少なくとも1.5倍の重量の水を留去可能にするのに十分な重量の水が、ステップ(B1)~(D1)または(B1)~(D1)および(B2)~(D2)のいずれか一つにより加えられる。
【0060】
特定の好ましい実施形態において、ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量の少なくとも2倍の重量の水を留去可能にするのに十分な重量の水が、ステップ(B1)~(D1)または(B1)~(D1)および(B2)~(D2)のいずれか一つにより加えられる。
【0061】
別の実施形態において、ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量の少なくとも3倍の重量の水を留去可能にするのに十分な重量の水が、ステップ(B1)~(D1)または(B1)~(D1)および(B2)~(D2)のいずれか一つにより加えられる。
【0062】
より一層別の実施形態において、ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量の4倍超の重量の水を留去可能にするのに十分な重量の水が、ステップ(B1)~(D1)または(B1)~(D1)および(B2)~(D2)のいずれか一つにより加えられる。
【0063】
さらなる好ましい実施形態において、ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量と少なくとも等しく、かつ、ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量の4倍以下の重量の水を留去可能にするのに十分な重量の水が、ステップ(B1)~(D1)または(B1)~(D1)および(B2)~(D2)のいずれか一つにより加えられる。
【0064】
さらなる好ましい実施形態において、ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量の少なくとも1.5倍であり、かつ、ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量の4倍以下の重量の水を留去可能にするのに十分な重量の水が、ステップ(B1)~(D1)または(B1)~(D1)および(B2)~(D2)のいずれか一つにより加えられる。
【0065】
特定の好ましい実施形態において、ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量の少なくとも2倍であり、かつ、ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量の4倍以下の重量の水を留去可能にするのに十分な重量の水が、ステップ(B1)~(D1)または(B1)~(D1)および(B2)~(D2)のいずれか一つにより加えられる。
【0066】
別の実施形態において、ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量の少なくとも3倍であり、かつ、ステップ(A1)に使用される前記水性ロイコインジゴ溶液の重量の4倍以下の重量の水を留去可能にするのに十分な重量の水が、ステップ(B1)~(D1)または(B1)~(D1)および(B2)~(D2)のいずれか一つにより加えられる。
【0067】
蒸留は、当該技術分野で知られている方法によって実施され得る。
【0068】
一実施形態において、蒸留は減圧下で実施され得る。
【0069】
一実施形態において、蒸留は加圧下で実施され得る。
【0070】
好ましい実施形態において、蒸留は常圧下で実施される。
【0071】
ロイコインジゴのインジゴへの早過ぎる酸化を避けるために、蒸留中に酸素の存在を排除する排除することが好ましい。そのため、一実施形態において、蒸留は、窒素などの不活性ガス下で実施しなければならない。
【0072】
一実施形態において、ステップ(A1)およびステップ(A2)が採用される場合には、(A2)による蒸留は、不活性ガス流の存在下で実施される、すなわち、蒸留に供される水溶液は同時にストリッピングされる。
【0073】
好適な不活性ガスまたはストリッピングガスは窒素である。
【0074】
好ましい実施形態において、ステップ(A1)またはステップ(A1)およびステップ(A2)による蒸留は、蒸留カラムを使用して実施される。
【0075】
蒸留カラムを使用したステップ(A1)またはステップ(A1)およびステップ(A2)による蒸留
【0076】
本明細書中で使用される「蒸留カラム」という用語は、例えば、「蒸留塔」、「精留カラム」または「精留塔」、「分留カラム」または「分留塔」などの用語と同義的に使用される。
【0077】
「カラム」という用語は、本明細書中で使用される場合、その最も広い意味では、垂直な円筒上のカラムを包含する。
【0078】
「カラム」という用語は、空洞構造要素に、好ましくは空洞の円筒要素をさらに包含し、ここで、その長さは直径を上回る。直径も長さも制限されない。一実施形態において、カラムの長さと直径または長さ対直径の比は、自由に選択されても、または達成すべき結果を考慮して最適化されてもよい。
【0079】
好ましいカラムは、0.1~4メートル、例えば、0.30メートル~3メートルなどの直径および約1メートル~50メートル、例えば、1~30メートルなどの範囲に及ぶ長さを有する。
【0080】
一実施形態において、直径は0.1~4メートルの範囲内にあり、長さは1~30メートルの範囲内にある。
【0081】
一実施形態において、蒸留カラムを使用した蒸留は、バッチ方式で実施される。
【0082】
別の実施形態において、蒸留カラムを使用した蒸留は、連続方式で実施される。
【0083】
本発明によると、両方式は、本発明によるステップ(A1)および(B1)、(C1)もしくは(D1)または(A2)および(B2)、(C2)もしくは(D2)、すなわち、(希釈ステップで利用された前記水性ロイコインジゴ溶液の重量と少なくとも等しい重量の水が留去されるような、ステップ(A1)またはステップ(A1)および(A2)による蒸留に供される)ステップ(B1)、(C1)もしくは(D1)または(B2)、(C2)もしくは(D2)による希釈したロイコインジゴ溶液を得るために水性ロイコインジゴ溶液に水が加えられること、を必要とする。
【0084】
典型的には、精製されたロイコインジゴ溶液は、蒸留カラムの底部にてまたは底部から得られ、それに対して、(単数もしくは複数の)アミンを含む水は、カラムの頂上部にてまたは頂上部から得られる。
【0085】
一実施形態において、水の添加ステップおよび蒸留ステップは相次いで実施される、すなわち、ステップ(B1)に従って希釈した水性ロイコインジゴ溶液がまず調製され、その後、それはステップ(A1)に従って蒸留される。
【0086】
一実施形態において、ステップ(B1)は蒸留カラムの外側で実施される。
【0087】
従って、一実施形態において、ステップ(B1)に従って得られる希釈したロイコインジゴ溶液は、蒸留カラムに注入され、そして、ステップ(A1)に従って蒸留される。
【0088】
一実施形態において、その方法がバッチ方式で実施されるとき、ステップ(B1)で得られる希釈したロイコインジゴ溶液は、カラムの底部へ注入され得、そこで次に、それが、蒸留に供される。ステップ(B1)に使用される水性ロイコインジゴ溶液の重量と少なくとも等しい重量の水が留去されるとすぐに、蒸留を終了させてもよい。次に、精製されたロイコインジゴ溶液である、それぞれ生産されたロイコインジゴ溶液は、カラムの底部から放出され得る。
【0089】
別の実施形態において、その方法が連続方式で実施されるとき、ステップ(B1)により得られる希釈したロイコインジゴ溶液がカラムに注入され得、ここで、同時に、水[(単数もしくは複数の)アミンを含む]が留去され、かつ、ここで、さらに同時に、精製されたロイコインジゴ溶液である、それぞれ生産されたロイコインジゴ溶液は、カラムの底部から放出され得る。
【0090】
別の実施形態において、ステップ(B1)はカラム内で実施されてもよい。
【0091】
それに続いて、ステップ(B1)により得られる希釈したロイコインジゴ溶液は、バッチ方式でステップ(A1)に従って蒸留され得る。
【0092】
別の実施形態において、その方法が連続方式で実施されるとき、精製されるロイコインジゴ溶液がカラムに供給され、ここで、同時に、水もまたステップ(C1)を実施するためにカラムに注入され、ここで、さらに同時に、水[(単数もしくは複数の)アミンを含む]がステップ(A1)に従って留去され、およびここで、さらに同時に、精製されたロイコインジゴ溶液である、それぞれ生産されたロイコインジゴ溶液は、カラムの底部にてまたは底部から放出される。
【0093】
カラムの内側では、下方に流れる還流液体が、上方に流れる蒸気の冷却および凝結をもたらし、その結果、カラムの効果を高める。還流がより多いほど、高沸点の物質からの低沸点の物質のカラムによる分離がより良好になる。
【0094】
蒸留中、(単数もしくは複数の)前記芳香族アミンは、カラムの上部、すなわち、オーバーヘッドにてまたはその付近にて水と一緒に取り除かれ、ここで、アミンと水または蒸気は、典型的には凝結させ、回収される。
【0095】
一実施形態において、カラムの頂上部にて凝縮し、回収された水および(単数もしくは複数の)アミンの一部がカラムの頂上部にてカラム内に再注入され、ここで、それは液滴および任意選択で固形物のノックダウンに使用され、そしてそれが、カラムを出ることになる。そのノックダウンは、好ましくは棚段区画、あるいは、また規則充填区画を使用して実施できる。
【0096】
復水は、水とアニリンを含む水相に分離され得る。
【0097】
一実施形態において、蒸留カラムの底部にて底部から得られた、前記精製されたロイコインジゴ溶液は、カラムに再注入され、水で希釈され、そして、ステップ(D1)に従って再蒸留される。
【0098】
一実施形態において、カラムは連続した定常状態で操作される。注入、熱、周囲温度、または凝結における変化によって乱されない限り、添加される注入量は、通常、取り除かれる生成物量と等しい。
【0099】
好ましい実施形態において、注入と共にカラムに導入される熱量は、それがオーバーヘッド画分によっておよび生成物と共に取り除かれた熱量と等しくなるように調整される。慎重な調節によって、発泡、浸出、飛末同伴、または溢汪(flooding)が予防され得るか、または許容できるレベルまでに少なくとも低減され得る。
【0100】
一実施形態において、ステップ(B1)(C1)および(D1)または(B2)、(C2)および(D2)のうちのいずか一つが、以下のステップ(α)~(γ):
(α)(単数もしくは複数の)前記アミンを含む前記水性ロイコインジゴ溶液を含む液体流を準備し;
(β)水流を準備し;
(γ)前記液体流を前記水流と接触させること、
を含む。
【0101】
別の実施形態において、ステップ(A1)または(A1)および(A2)のうちのいずれか一方が、以下のステップ(δ)および(ε):
(δ)蒸留カラムから、アニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンを含む水を放出し;および
(ε)蒸留カラムから、アニリン不含またはアニリン不含かつN‐メチルアニリン不含の水性ロイコインジゴ溶液を放出すること、
を含む。
【0102】
一実施形態において、本発明は、精製されたロイコインジゴ溶液を得るために、アニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンの形態の芳香族アミンを、前記芳香族アミンを含む水性ロイコインジゴ溶液から取り除く方法に関するか、ここで、前記ロイコインジゴがアルカリ金属塩の形態で存在し、または
【0103】
アニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンを含む水性ロイコインジゴ溶液から、ISO 14362‐1:2017(E)に従ってアニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンの濃度を測定した場合にアニリン不含またはアニリン不含かつN‐メチルアニリン不含の水性ロイコインジゴ溶液を製造する方法に関し、ここで、前記ロイコインジゴがアルカリ金属塩の形態で存在し、
【0104】
その方法は、ステップ(A1)および(B1)、(C1)または(D1)をそれぞれ含み、ここで、前記ステップ(B1)、(C1)または(D1)は、以下のステップ(α)(β)(γ1)および(γ2):
(α)(単数もしくは複数の)前記アミンを含む前記水性ロイコインジゴ溶液を含む液体流を準備し;
(β)水流を準備し;
前記液体流を前記水流と接触させるように構成された蒸留カラムに、
(γ1)前記液体流を注入し;および
(γ2)前記水流を注入すること、
をそれぞれ含み、さらに、ステップ(A1)またはステップ(A1)および(A2)は、以下のステップ(δ)および(ε):
(δ)蒸留カラムから、アニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンを含む水を放出し;および
(ε)蒸留カラムから、アニリン不含またはアニリン不含かつN‐メチルアニリン不含の水性ロイコインジゴ溶液を放出すること、
をそれぞれ含む。
【0105】
本発明によると、ステップ(α)は、(単数もしくは複数の)前記アミンを含む前記水性ロイコインジゴ溶液を含む液体流を準備することを必要とする。前記準備は、それぞれの貯蔵コンテナ、またはその中でロイコインジゴ塩溶液がインジゴの還元によって製造される還元デバイスから直接的に、ロイコインジゴ塩溶液を送り出すことによって好ましくは実施される。送り出された溶液は、例えば、圧力、重力またはポンプの影響下にあって、流れている状態にあり、これにより、流れを形成する。好ましくは、溶液の流れは、パイプによってステップ(γ1)に使用される蒸留カラムへと導かれる。
【0106】
さらに本発明によると、ステップ(β)は、水流を準備することを必要とする。前記準備は、それぞれの貯蔵コンテナまたはリザーバから水流を送り出すことによって好ましくは実施される。送り出された水は、例えば、圧力、重力またはポンプの影響下にあって、流れている状態にあり、これにより流れを形成する。好ましくは、水の流れは、パイプによってステップ(γ2)に使用される蒸留カラムへと導かれる。
【0107】
ステップ(β)で準備される「水流」という用語は、前記(単数もしくは複数の)アミンを含むロイコインジゴ溶液中のアニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンを取り除くか、または少なくともその含有量を低減するのに好適である水を含むあらゆる水流を示し、ここで、前記ロイコインジゴは塩の形態で存在する。
【0108】
一実施形態において、ステップ(γ2)に従って注入される水流から作り出される蒸留カラムに投入される熱量、およびステップ(γ1)に従って液体流と共に投入される熱は、蒸留カラムへの熱の過剰であるかまたは不十分な添加が発泡または溢汪につながる可能性があるので、それがステップ(δ)および(ε)において取り除かれた熱量と等しくなるように制御される。従って、その方法は、断熱状態で達成するように実施される。
【0109】
別の実施形態において、ステップ(ε)に従って蒸留カラムから送り出された前記液体流の加熱部分から作り出される蒸留カラムに投入される熱量、およびステップ(γ1)に従って液体流と共に投入される熱は、蒸留カラムへの熱の過剰であるかまたは不十分な添加が発泡または溢汪につながる可能性があるので、それがステップ(δ)および(ε)において取り除かれた熱量と等しくなるように制御される。従って、その方法は、断熱状態で達成するように実施される。
【0110】
さらに本発明によると、ステップ(γ1)および(γ2)は、前記液体流と前記水流が接触するように構成された蒸留カラムに前記液体流および前記水流が注入されることを必要とする。
【0111】
一実施形態において、前記蒸留カラムは、液体流を注入するための単数もしくは複数の液体流入口、および水流を注入するための単数もしくは複数の水流入口を含む。
【0112】
その入口は、カラムのどんな位置にでも提供され得る、すなわち、その入口は、蒸留カラムの底部もしくは頂上部、または側壁に提供され得る。
【0113】
一実施形態において、(単数もしくは複数の)液体流入口は、蒸留カラムの底部に提供され、かつ(単数もしくは複数の)水流入口は、頂上部に提供され、逆もまた同様である。
【0114】
別の実施形態において、(単数もしくは複数の)液体流入口は、蒸留カラムの側壁に提供され、かつ、(単数もしくは複数の)水流入口は、蒸留カラムの底部もしくは頂上部に提供される。
【0115】
別の実施形態において、(単数もしくは複数の)水流入口は、蒸留カラムの側壁に提供され、かつ、(単数もしくは複数の)液体流入口は、蒸留カラムの底部もしくは頂上部に提供される。
【0116】
好ましい実施形態において、前記(γ1)液体流および前記(γ2)水流が、カラムの側壁の入口を介してカラムに注入され、前記(δ)アニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンを含む水が、カラムの頂上部にて放出され、および(ε)アニリン不含またはアニリン不含かつN‐メチルアニリン不含の水性ロイコインジゴ溶液が、カラムの底部にて放出される。
【0117】
好ましくは、(単数もしくは複数の)水流入口および/または(単数もしくは複数の)液体流入口は、単数もしくは複数のスパージャーの形態で設計される。精製流入口および/または液体流入口としての有孔シートの使用もまた、可能である。
【0118】
一実施形態において、接触させることは、蒸留カラムが、液体流に由来する液体で部分的にまたは完全に満たされ、かつ、(単数もしくは複数の)水流入口が、注入された水流が必ず液体を流れ抜けるか、または流体に流れ込まなければならないように配置されるようにして実施される。
【0119】
別の実施形態において、(単数もしくは複数の)液体流お入口よび水流入口は、その流れが互いに交差するように配置される。
【0120】
別の実施形態において、流れを接触させることは、対向流様式で実施され得る。
【0121】
別の実施形態において、流れを接触させることは、例えば、(単数もしくは複数の)液体および水の入口が同一であるとき、すなわち、その流れが(単数もしくは複数の)共有の入口によって注入されるとき、並流様式で実施され得る。
【0122】
別の実施形態において、その蒸留カラムは、液体流および水流を、それらが互いに接触するように誘導する手段を含んでいる。斯かる手段は当該技術分野で知られている。プレートおよび充填材料、例えばラッシヒリングなどが、例示的に言及されている。
【0123】
「プレート」という用語は、本明細書中で使用される場合、「トレイ」という用語と同義的に使用される。
【0124】
「充填材料(filling material)」という用語は、本明細書中で使用される場合、「充填物(packing)」という用語と同義的に使用される。
【0125】
本発明によると、ステップ(δ)は、アニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンを含む水が蒸留カラムから放出される必要がある。
【0126】
本発明による方法の結果として、ステップ(ε)に従って蒸留カラムから送り出された液体流のアニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンの濃度は、(単数もしくは複数の)液体流入口を介してステップ(γ1)に従って蒸留カラムへ注入された液体流のアニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンの濃度より低い。
【0127】
好ましい実施形態において、ステップ(α)~(ε)は、同時に実施される、すなわち、プロセスは連続プロセスである。
【0128】
別の実施形態において、プロセスは不連続的に、すなわち、バッチプロセスとして、実施されてもよい。一実施形態において、デバイスは、ステップ(γ1)に従って液体流によって提供される液体で満たされる。それに続いて、ステップ(γ2)および(δ)が実施される。ステップ(δ)による接触に続いて、精製ロイコインジゴ溶液が、ステップ(ε)に従ってデバイスから送り出される。その方法は繰り返されてもよい。
【0129】
本発明の方法に使用される蒸留カラムは、理論段を含む。「理論段」という用語は、本明細書中で使用される場合、その中で2つの相、例えば、液体流に由来する液相と本明細書中に規定される精製流に由来する精製相、例えば、気相などとがカラム内で互いに平衡状態を確立する仮想領域または段を包含する。斯かる平衡段はまた、平衡段または理想段とも呼ばれ得る。
【0130】
本発明による方法で必要とされる理論段数は、使用されるカラムの特定のタイプに依存し得る。(単数もしくは複数の)出力画分中の、すなわち、ステップ(δ)および(ε)で得られる、アニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンの所望の分離度合いを考慮して、当該技術分野で既知の方法に従って決定され得る。それはまた、使用される還流の量にも依存し得る。
【0131】
そのとき、産業実現において適用されるべき段数の最終的な設計選択は、追加段のコストとより高い還流レートを使用するコストとの間の経済収支に基づいて選択され得る。
【0132】
一実施形態において、そのカラムは、5~50の理論段を有してもよい。
【0133】
別の実施形態において、そのカラムは、10~40の理論段を有してもよい。
【0134】
一実施形態において、そのカラムは、減圧下で操作され得る。
【0135】
別の実施形態において、そのカラムは、実質的に大気圧と等しい圧力下で操作され得る。
【0136】
さらに別の実施形態において、そのカラムは、大気圧より高い圧力下で操作され得る。
【0137】
一実施形態において、そのカラムは、減圧下で、例えば、0.1105Pa(絶対圧)(0.10bara)~0.95105 Pa(絶対圧)(0.95bara)の範囲内などの圧力下で動作し得る。斯かる条件において、カラムの温度は40℃~95℃の範囲に設定され得る。
【0138】
別の実施形態において、そのカラムは、実質的に大気圧と等しい圧力下で、すなわち、さまざまな0.95105Pa(絶対圧)(0.95bara)~1.2105Pa(絶対圧)(1.2bara)の範囲内で動作し得る。斯かる条件において、カラムの温度は95℃~110℃の範囲内に典型的には設定される。
【0139】
さらなる実施形態において、そのカラムは、大気圧を上回る圧力下で、任意選択で、1.2105Pa(絶対圧)(1.2bara)~11105Pa(絶対圧)(11bara)の圧力下で、例えば、7105Pa(絶対圧)(7bara)にて作動させ得る。そのとき、カラムの温度は、110℃~190℃の範囲内、例えば、160℃~170℃の範囲内に設定され得る。
【0140】
引用される温度は、カラムの底部にて計測され、そして、カラムの頂上部に残る蒸気の量に依存している。
【0141】
加熱のために、一実施形態において、スペースヒーターが使用される。「スペースヒーター」という用語は、本明細書中で使用される場合、単一、かつ、狭い領域、例えば、カラムの底部の領域、を加熱するのに使用されるデバイスを包含する。従って、前記スペースヒーターは、カラムの底部に、または底部付近に好ましくは配置される。
【0142】
別の実施形態において、蒸留カラムの上部領域が加熱される。
【0143】
別の実施形態において、蒸留カラムの底部および上部領域が加熱される。
【0144】
そのデバイスは、好ましくは使用されるカラムの下部に、必要であれば全体に、導入された消泡手段、例えば、バッフルなどを伴って提供されてもよい。
【0145】
別の実施形態において、消泡は、精製されるロイコインジゴ溶液に消泡剤を加えることによって支援され得る。あるいは、異種の消泡剤、例えば、シリコーン油などが使用され得るが、ロイコインジゴ溶液中に溶解される均質の消泡剤を使用し、そしてそれは、精製したロイコインジゴのインジゴへのその後の酸化にマイナスの影響を及ぼさないことが好ましい。
【0146】
具体的には、本発明によると、ステップ(γ1)および(γ2)で使用される蒸留カラムは、プレートカラム、充填カラム、または前記カラムのうちの任意の2つ以上から成る群から選択される。
【0147】
「プレートカラム」という用語は、本明細書中で使用される場合、「棚段カラム」または「トレイカラム」という用語と同義的に使用される。
【0148】
プレートカラムおよび充填カラムは、当該技術分野で知られている。
【0149】
一実施形態において、そのカラムは、その方法をさらに最適化するために、プレートカラムとして設計される単数もしくは複数のシーケンスを含むか、または充填カラムとして設計される単数もしくは複数のシーケンスを含む。
【0150】
別の実施形態において、そのカラムは、その方法をさらに最適化するように、プレートカラムとして設計された単数もしくは複数のシーケンス、および充填カラムとして設計された単数もしくは複数のシーケンスを含有する。
【0151】
別の実施形態において、それぞれ複数のプレートカラムまたは充填カラムが、その方法をさらに最適化するために連続的に接続される。
【0152】
別の実施形態において、プレートカラムは、その方法をさらに最適化するために、充填カラムに接続される。
【0153】
別の実施形態において、プレートカラムは、その方法をさらに最適化するために、充填カラムおよび気泡カラムに接続される。
【0154】
さらに別の実施形態において、従来技術で開示されるように、予備精製が実施され、ここで、最終的な精製は本発明による方法で実施される。
【0155】
「予備精製」という用語は、本明細書中で使用される場合、それぞれのロイコインジゴ塩溶液からの水の留去、好適な有機溶媒を用いた抽出、水蒸気蒸留または窒素を用いたストリッピング、あるいはそのうちの二つ以上を包含する。
【0156】
当然のことながら、本発明による方法において、酸素の存在は、ロイコインジゴのインジゴへの早過ぎる酸化を予防するために、排除されなければならない。
【0157】
本発明による方法で使用される蒸留カラムは、以降でさらに詳細に考察される。
【0158】
プレートカラム
【0159】
一実施形態において、その蒸留カラムはプレートカラムである。
【0160】
好ましい実施形態において、そのプレートカラムは、塔の形態に配置される、すなわち、それは垂直様式で配置される。
【0161】
一実施形態において、そのカラムの高さは、5メートル超であり、好ましくは5~50メートルであり、そして10~40メートルがより好ましい。
【0162】
プレートカラムに関して、理論段はまた、理論トレイまたは理論プレートとも呼ばれる。
【0163】
一実施形態において、カラムの内側で上方に流れる蒸気と下方に流れる液体との良好な接触を提供するために、当該技術分野で既知のバブルキャップ「トレイ」または「プレート」がカラムの内側に提供される。
【0164】
そのトレイまたはプレートは、好ましくは円形鋼板から加工されたものであり、そして、カラムの最後部まで約60~75cm間隔でカラムの内側に通常導入される。
【0165】
一実施形態において、そのトレイは、バブルキャップトレイまたはバルブキャップトレイである。
【0166】
「バブルキャップトレイ」という用語は、本明細書中で使用される場合、中心ライザー上のスロットキャップを包含し、ここで、ガスはライザーを通って上方に流れ、逆流は、キャップ内にあって、ライザーとキャップの間の環状部分を下向きに通過し、そして、最終的にキャップの下側の一連の開口部またはスロットを通り抜けて液体内に入る。
【0167】
「バルブキャップトレイ」という用語は、本明細書中で使用される場合、昇降キャップによって覆われた、穿孔を有するトレイを包含する。蒸気流がキャップを持ち上げ、それにより、蒸気の通過のための流量範囲を自ら作り出す。リフティングキャップは、蒸気が液体中に水平に流れ込むように誘導する。
【0168】
一実施形態において、そのトレイは、有孔トレイ、すなわち、シーブトレイである。「シーブトレイ」という用語は、穿孔を通って上向きに流れる蒸気が、穿孔を通って下向きに流れる液体と接触するので、蒸気と液体との間の所望の接触が起こるトレイを包含する。
【0169】
一実施形態において、接触は、各穿孔にバブルキャップまたはバルブキャップを導入して、各トレイ上の堰によって維持された液体の薄層を通過して流れる蒸気泡の形成を促進することによって達成される。
【0170】
従って、一実施形態において、そのトレイは、有孔トレイ、バブルキャップトレイもしくはバルブキャップトレイ、またはそのうちの2つもしくは3つ、から選択され得る。
【0171】
有孔トレイ、バブルキャップトレイまたはバルブキャップトレイは、当該技術分野で知られている。
【0172】
一実施形態において、プレートカラムへの注入は、ステップ(γ1)および(γ2)に従ってカラム内に注入される、ステップ(α)に従って準備される液体流およびステップ(β)に従って準備される水流を含むか、またはそれらである。精製されたロイコインジゴ溶液はカラムの底部で回収され、それに対して、(単数もしくは複数の)アミンを含む水は頂上部で回収される。頂上部および底部にて生じた液体および蒸気は、再循環させてもよい。
【0173】
ステップ(δ)に従って頂上部にて回収された蒸気は、ロイコインジゴ溶液から取り除かれたアニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンを含有している。
【0174】
ステップ(ε)に従って底部にて回収された液体は、精製されたロイコインジゴ溶液を含有している。
【0175】
充填カラム
【0176】
一実施形態において、先に開示したプレートカラムのプレートは、充填区画によって、すなわち、充填材料を含む区画によって置換される。従って、精製に使用されるデバイスは、そのとき充填カラムである。
【0177】
従って、特に、減圧下で操作するときのように、カラムじゅうでの低圧落下が求められるときに、充填材がトレイの代わりにカラムで使用され得る。この充填材は、不規則投入充填物、例えば、当該技術分野で既知のラッシヒリングまたは規則シートメタルなどのいずれかであり得る。
【0178】
一実施形態において、充填物は、通常の外形、例えば、積み重ねられた環、格子、独自の構造の環、またはサドルなどを有していてもよい。
【0179】
環状は、例えば、ラッシヒリングまたはポールリングである。
【0180】
サドルは、例えば、Intalox(登録商標)サドルであってもよい。
【0181】
一実施形態において、充填物は、歪んだ形状を有していてもよい。
【0182】
その充填物は、カラム内に不規則に配置されていてもよく、ここで、環、サドル、および独自のシェードがカラム内に投げ込まれ、そして、不規則に配置されている。
【0183】
別の実施形態において、充填物は、カラム内に一定の間隔で配置されていてもよい。
【0184】
環、サドルまたは独自の構造のシェードは、さまざまな材料、例えば、セラミック、金属、プラスチック、および炭素などから作られていてもよい。
【0185】
一実施形態において、成形充填物、例えば、ワイヤーメッシュまたは有孔シートなどの使用もまた可能である。
【0186】
充填物の必要な高さは、当該技術分野で知られている方法に従って決定され得る。
【0187】
一実施形態において、充填カラムへの注入は、ステップ(γ1)および(γ2)に従ってカラム内に注入される、ステップ(α)に従って準備される液体流およびステップ(β)に従って準備される精製流、例えば、蒸気流などを含むか、またはそれらである。液体は充填カラムの底部で回収され、それに対して、蒸気は頂上部で回収される。頂上部および底部にて生じた液体および蒸気は、再循環させてもよい。
【0188】
ステップ(δ)に従って頂上部にて回収された蒸気は、ロイコインジゴ溶液から取り除かれたアニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンを含有している。
【0189】
ステップ(ε)に従って底部にて回収された液体は、精製されたロイコインジゴ溶液を含有している。
【0190】
一実施形態において、ステップ(A1)で実施される蒸留前に、ステップ(B1)、(C1)または(D1)に使用される水性組成物中の芳香族アミンを含有するインジゴの濃度は、前記ロイコインジゴ塩がステップ(B1)、(C1)または(D1)において25重量%未満の濃度で得られるように選択される。
【0191】
従って、一実施形態において、ステップ(A1)に使用されるロイコインジゴ塩溶液の濃度もまた、25重量%未満である。
【0192】
蒸留中、水と(単数もしくは複数の)前記芳香族アミンが留去され、これにより、ロイコインジゴ塩溶液が精製され、そして同時に、その溶液が濃縮されるので、25重量%未満の濃度が有利であり得、ここで、安定した、かつ、精製された濃縮ロイコインジゴ塩溶液が入手され得る。これにより、水とアミンの蒸留のために、ステップ(A1)またはステップ(A2)で得られる溶液は、ステップ(A1)またはステップ(A2)で使用される溶液に対して濃縮されてもよい。
【0193】
一実施形態において、ステップ(B1)および(D1)またはステップ(B2)および(D2)は濃縮された溶液をもたらす。
【0194】
一実施形態において、ステップ(C1)またはステップ(C2)は、加えられるより多くの水が留去されるように実施される。その結果、溶液は濃縮されもする。
【0195】
別の実施形態において、ステップ(C1)またはステップ(C2)は、留去された水と同じ量で水が加えられるように実施される。その結果、蒸留された溶液は、ステップ(A1)またはステップ(A2)に使用される溶液と同じ濃度を有する。
【0196】
別の実施形態において、ステップ(C1)またはステップ(C2)は、留去されるより多くの水が加えられるように実施される。その結果、蒸留された溶液は、ステップ(A1)またはステップ(A2)に使用される溶液に対して希釈される。
【0197】
一実施形態において、精製された溶液において得られるロイコインジゴ塩の濃度は、溶液の総重量に基づいて45~65重量%の範囲内にある。
【0198】
一実施形態において、ステップ(O)で得られるか、またはステップ(A1)で使用される溶液中のロイコインジゴ塩の濃度は、ステップ(O)で得られるか、またはステップ(A1)で使用される溶液の総重量に基づいて5~65重量%、例えば、10~60重量%、15~55重量%または20~50重量%の範囲内にあり、かつ、精製された溶液中のロイコインジゴ塩の濃度は、その溶液の総重量に基づいて45~65重量%の範囲内にある。
【0199】
よって、一実施形態において、加えられる水の重量および留去される水は、精製された溶液中のロイコインジゴ塩の濃度がその溶液の総重量に基づいて45~65重量%の範囲内にあるように選択される。
【0200】
これにより、得られる濃縮溶液は、40ppm未満または30ppm未満、好ましくは20ppm未満、10ppm未満または5ppm未満の芳香族アミンを含有する。
【0201】
必要であれば、精製後に得られる溶液は、適用または安定性要件に適合させた濃度範囲内に希釈され得る。
【0202】
一実施形態において、濃度は、必要であれば水の添加によって、10~45重量%、例えば15~45重量%などの範囲に調整される。他の好適な濃度範囲内は、例えば、20~45重量%または25~45重量%である。
【0203】
希釈のときに、芳香族アミンの含有量がさらに減少するのは、当然のことである。
【0204】
好ましい実施形態において、前記芳香族アミンは、もはや検出不可能である。斯かる溶液はアニリン不含と呼ばれ得る。
【0205】
一実施形態において、ロイコインジゴ塩の濃度は、安定したインジゴ塩溶液を提供するために、溶液の総重量に基づいて10~45重量%、例えば、15~45重量%、20~45重量%または25~45重量%の濃度範囲内に調整され、そしてここで、その溶液の安定性が23℃の温度にて計測される。
【0206】
「溶液の安定性」という用語は、特定の温度にて結晶化または沈殿の傾向がない溶液を指す。
【0207】
一実施形態において、ロイコインジゴ塩の濃度は、溶液の総重量に基づいて45~65重量%の濃度範囲内に調整され、そしてここで、溶液の安定性は60℃の温度にて計測される。
【0208】
第三の態様によると、本発明は、アニリンまたはアニリンとN‐メチルアニリンの形態で芳香族アミンを含む安定した水性ロイコインジゴ溶液に関し、ここで、前記ロイコインジゴがアルカリ金属塩の形態で存在し;
ここで、芳香族アミンの濃度はISO 14362‐1:2017(E)に従って測定した場合に100ppm未満であり;および
ここで、ロイコインジゴ塩の濃度は、その溶液の総重量に基づいて10~45重量%、例えば、15~45重量%、20~45重量%または25~45重量%などの濃度範囲内にあり、かつ、ここで、その溶液の安定性は23℃の温度にて計測されるか、あるいは
ここで、ロイコインジゴ塩の濃度が、その溶液の総重量に基づいて45~65重量%、例えば、45~60重量%などの濃度範囲内にあり、かつ、ここで、その溶液の安定性が60℃の温度にて計測される。
【0209】
好ましい実施形態において、芳香族アミンの濃度は40ppm未満である。
【0210】
さらなる好ましい実施形態において、芳香族アミンの濃度は30ppm未満である。
【0211】
別の好ましい実施形態において、芳香族アミンの濃度は20ppm未満である。
【0212】
別の好ましい実施形態において、芳香族アミンの濃度は10ppm未満である。
【0213】
別の好ましい実施形態において、芳香族アミンの濃度は5ppm未満である。
【0214】
別の好ましい実施形態において、芳香族アミンの濃度は、もはや検出不可能である。
【0215】
さらなる好ましい実施形態において、芳香族アミンの濃度は、20ppm未満、10ppm未満または5ppm未満である。
【0216】
一実施形態において、水性ロイコインジゴ溶液は、第一の態様または第二の態様で規定される方法によって入手可能である。
【0217】
第三の態様で規定されるロイコインジゴ塩は、インジゴに変換されてもよいし、または織物を染めるための建染めプロセスに使用されてもよい。
【0218】
従って、第四の態様において、本発明は、以下のステップ(D):
(D)第三の態様で規定される水性ロイコインジゴ溶液を酸化させること、
を含む、インジゴを製造する方法に関する。
【0219】
一実施形態において、その方法は、ステップ(D)の前に以下のステップ(C):
(C)第三の態様で規定されるロイコインジゴ溶液で織物を処理すること、
を含む。
【0220】
別の実施形態において、本発明は、以下のステップ(I)および(III)
(I)第一の態様または第二の態様で規定される方法を実施し;
(III)ステップ(I)で得られるロイコインジゴ溶液を酸化させること、
を含む、インジゴを製造する方法に関する。
【0221】
一実施形態において、その方法は、ステップ(III)の前に以下のステップ(II):
(II)ステップ(I)で得られるロイコインジゴ溶液で織物を処理すること、
を含む。
【実施例
【0222】
実施例1(比較)
1,000gの30重量%のロイコインジゴ溶液(6.5重量%のアルカリ金属、2,495ppmのアニリンおよび1,480ppmのN‐メチルアニリンを含有)を、環境気圧にて蒸留に供した。470mlの水が留去される後に、57重量%の溶液を得た。ISO 14362‐1:2017(E)に従って測定した、得られた濃縮溶液中のアニリンの含有量は173ppmであり、N‐メチルアミン濃度は9ppmであった。
実施例2
【0223】
1,000gの水を、2,000gの30重量%のロイコインジゴ溶液(6.5重量%のアルカリ金属、2,356ppmのアニリンおよび1,258ppmのN‐メチルアニリンを含有)に加えた。それに続いて、その組成物を環境気圧にて蒸留に供した。2,000mlの水を留去した後に、60重量%の溶液を得た。ISO 14362‐1:2017(E)に従って測定した場合に、得られた濃縮溶液中のアニリンの含有量は38ppmであり、そして、N‐メチルアミン濃度は2.0ppmであった。
実施例3
【0224】
2,000gの水を、2,000gの30重量%のロイコインジゴ溶液(6.5重量%のアルカリ金属、2,350ppmのアニリンおよび1,335ppmのN‐メチルアニリンを含有)に加えた。それに続いて、その組成物を環境気圧にて蒸留に供した。3,000mlの水を留去した後に、60重量%の溶液を得た。ISO 14362‐1:2017(E)に従って測定した、得られた濃縮溶液中のアニリンの含有量は16ppmであり、そして、N‐メチルアミン濃度は0.3ppmであった。
実施例4
【0225】
3,000gの水を、2,000gの30重量%のロイコインジゴ溶液(6.5重量%のアルカリ金属、2,164ppmのアニリンおよび1,170ppmのN‐メチルアニリンを含有)に加えた。それに続いて、その組成物を環境気圧にて蒸留に供した。4,000mlの水を留去した後に、60重量%の溶液を得た。ISO 14362‐1:2017(E)に従って測定した、得られた濃縮溶液中のアニリンの含有量は5ppmであった。N‐メチルアミンは検出できなかった。
実施例5
【0226】
実施例4で得られる1,000gのロイコインジゴ溶液を、500gの水で希釈して、40重量%の溶液を得た。ISO 14362‐1:2017(E)に従って測定して、この溶液は5ppm未満のアニリン含有量を有していた。その溶液を、建染めに使用し、そして、深い色合いをもたらした。
実施例6
【0227】
2,000gの30重量%のロイコインジゴ溶液(6.5重量%のアルカリ金属、2,164ppmのアニリンおよび1,170ppmのN‐メチルアニリンを含有)を環境気圧にて蒸留に供した。
蒸留と同時に、3,000mlの水はゆっくり加えた。4,000mlの水を留去した後に、60重量%の溶液を得た。ISO 14362‐1:2017(E)に従って測定した、得られた濃縮溶液中のアニリンの含有量は4ppmであった。N‐メチルアミンは検出できなかった。