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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】TG02の多形形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 498/08 20060101AFI20230327BHJP
   A61K 31/529 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
C07D498/08
A61K31/529
A61P35/00
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020508985
(86)(22)【出願日】2018-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 US2018000264
(87)【国際公開番号】W WO2019035985
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2021-08-17
(31)【優先権主張番号】62/547,157
(32)【優先日】2017-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519426047
【氏名又は名称】コセラ バイオサイエンス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】マンスフィールド ロバート ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】パロット トレイシー
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0150378(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
15.2、15.5、21.7、22.1、23.0、26.2、および29.9度2θにピークを有する粉末X線回折パターンを有することを特徴とする、(16E)-14-メチル-20-オキサ-5,7,14,26-テトラアザテトラシクロ[19.3.1.1(2,6).1(8,12)]ヘプタコサ-1(25),2(26),3,5,8(27),9,11,16,21,23-デカエンのクエン酸塩の多形形態(TG02形態X(クエン酸塩))。
【請求項2】
約10μm以下の平均粒径分布を有する、請求項1記載のTG02形態X(クエン酸塩)。
【請求項3】
約1μm以下の平均粒径分布を有する、請求項2記載のTG02形態X(クエン酸塩)。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項記載のTG02形態X(クエン酸塩)と、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物。
【請求項5】
(a)約7重量%~約70重量%のTG02形態X(クエン酸塩);
(b)約20重量%~約83重量%の充填剤;
(c)約1重量%~約10重量%の崩壊剤;
(d)約1重量%~約10重量%の結合剤;および
(e)約0.1重量%~約1重量%の潤滑剤
を含む、請求項4記載の薬学的組成物。
【請求項6】
治療有効量の請求項1~3のいずれか一項記載のTG02形態X(クエン酸塩)を含む、がんを有する患者を治療するための薬学的組成物。
【請求項7】
MYCの過剰発現、MCL1の過剰発現、またはMYCおよびMCL1の過剰発現が、別の表現型状態の対象と比較して、前記患者において差次的に存在する、請求項6記載の薬学的組成物。
【請求項8】
治療有効量の第2の治療薬と組み合わせて患者に投与される、請求項6または7記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記がんが固形腫瘍である、請求項6~8のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記がんが血液悪性腫瘍である、請求項6~8のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記がんが、下記:
がんのいずれかである、請求項6~8のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記がんが、多発性骨髄腫、肝細胞がん、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、頭頸部がん、前立腺がん、黒色腫、結腸直腸がん、およびびまん性橋神経膠腫からなる群より選択される、請求項11記載の薬学的組成物。
【請求項13】
前記がんが、従来の治療に対して抵抗性になっている、請求項6~12のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項14】
がんの治療のための薬剤の製造のための、請求項1~3のいずれか一項記載のTG02形態X(クエン酸塩)の使用。
【請求項15】
がんを治療することにおける使用のための、請求項4または5記載の薬学的組成物。
【請求項16】
請求項1~3のいずれか一項記載のTG02形態X(クエン酸塩)と、がんを有する患者にTG02多形形態を投与するための指示書とを含む、キット。
【請求項17】
免疫チェックポイント阻害剤またはアルキル化剤をさらに含む、請求項16記載のキット。
【請求項18】
請求項4記載の薬学的組成物を作製する方法であって、TG02形態X(クエン酸塩)と、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤とを混合することを含む、方法。
【請求項19】
請求項1記載のTG02形態X(クエン酸塩)を作製する方法であって、
(a)TG02遊離塩基およびDMSO/エタノールの混合物を70℃で加熱して、DMSO/エタノール中のTG02遊離塩基の溶液を生成すること;
(b)エタノール中のクエン酸の溶液と前記(a)の溶液とを組み合わせること;
(c)前記(b)の溶液を約70℃で少なくとも約15分間加熱して、TG02クエン酸塩を含む溶液を得ること;
(d)TG02クエン酸塩を含む前記(c)の溶液を約5℃に冷却して、結晶性固体を得ること;および
(e)前記(d)の結晶性固体を単離して、TG02形態X(クエン酸塩)を得ること
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
TG02は、JAK2およびFLT3と共にCDK 1、2、5、7、および9を阻害するピリミジンベースのマルチキナーゼ阻害剤である。TG02は、CDKを主要標的として、がん細胞中のCDK、JAK2およびFLT3の下流のシグナル伝達経路を用量依存的に阻害する。TG02は、広範囲の腫瘍細胞株において抗増殖性であり、G1細胞周期停止およびアポトーシスを誘導する。急性骨髄性白血病(AML)および真性赤血球増加症の患者由来の前駆細胞の初代培養物は、TG02に対して非常に感受性が高い。TG02の主要な標的の1つだけをブロックする参照阻害剤との比較は、細胞株および初代細胞におけるCDKとJAK2/FLT3とを組み合わせた阻害の利点を示す。Goh et al., Leukemia 26:236-43(2012)(非特許文献1)参照。TG02は、SB 1317としても、およびその化学名:(16E)-14-メチル-20-オキサ-5,7,14,26-テトラアザテトラシクロ[19.3.1.1(2,6).1(8,12)]ヘプタコサ-1(25),2(26),3,5,8(27),9,11,16,21,23-デカエンによっても知られる。
【0002】
米国特許第8,143,255号(特許文献1)は、化合物1としてTG02を開示する。米国特許第9,120,815号(特許文献2)は、クエン酸塩パターン1、クエン酸塩パターン2、およびクエン酸塩パターン3と称されるTG02クエン酸塩多形体を含む、TG02の様々な塩および結晶形態を開示する。TG02クエン酸塩パターン1、クエン酸塩パターン2、およびクエン酸塩パターン3の粉末X線回折(PXRDまたはXRPD)パターンを図1および2に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第8,143,255号
【文献】米国特許第9,120,815号
【非特許文献】
【0004】
【文献】Goh et al., Leukemia 26:236-43(2012)
【発明の概要】
【0005】
一局面では、本開示は、TG02遊離塩基の結晶多形形態およびTG02酸付加塩の結晶多形形態(集合的に「TG02多形形態」と称する)を提供する。
【0006】
別の局面では、本開示は、TG02多形形態を作製する方法を提供する。
【0007】
別の局面では、本開示は、TG02多形形態と1つまたは複数の賦形剤とを含む薬学的組成物を提供する。
【0008】
別の局面では、本開示は、TG02多形形態と1つまたは複数の賦形剤とを含む薬学的組成物を製造する方法を提供する。
【0009】
別の局面では、本開示は、がんを有する患者を治療する治療方法を提供し、この方法は、治療有効量のTG02多形形態、またはその薬学的組成物を患者に投与することを含む。
【0010】
別の局面では、本開示は、がんを有する患者を治療する治療方法を提供し、この方法は、治療有効量のTG02多形形態、またはその薬学的組成物、および1つもしくは複数のさらなる治療薬を患者に投与することを含む。
【0011】
別の局面では、本開示は、TG02多形形態を含むキットを提供する。
[本発明1001]
15.2、15.5、21.7、22.1、23.0、26.2、および29.9度2θにピークを有する粉末X線回折パターンを有することを特徴とする、(16E)-14-メチル-20-オキサ-5,7,14,26-テトラアザテトラシクロ[19.3.1.1(2,6).1(8,12)]ヘプタコサ-1(25),2(26),3,5,8(27),9,11,16,21,23-デカエンのクエン酸塩の多形形態(TG02形態X(クエン酸塩))。
[本発明1002]
約10μm以下の平均粒径分布を有する、本発明1001のTG02形態X(クエン酸塩)。
[本発明1003]
約1μm以下の平均粒径分布を有する、本発明1002のTG02形態X(クエン酸塩)。
[本発明1004]
本発明1001~1003のいずれかのTG02形態X(クエン酸塩)と、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物。
[本発明1005]
(a)約7重量%~約70重量%のTG02形態X(クエン酸塩);
(b)約20重量%~約83重量%の充填剤;
(c)約1重量%~約10重量%の崩壊剤;
(d)約1重量%~約10重量%の結合剤;および
(e)約0.1重量%~約1重量%の潤滑剤
を含む、本発明1004の薬学的組成物。
[本発明1006]
がんを有する患者を治療する方法であって、治療有効量の本発明1001~1003のいずれかのTG02形態X(クエン酸塩)を該患者に投与することを含む、方法。
[本発明1007]
MYCの過剰発現、MCL1の過剰発現、またはMYCおよびMCL1の過剰発現が、別の表現型状態の対象と比較して、前記患者において差次的に存在する、本発明1006の方法。
[本発明1008]
治療有効量の第2の治療薬を前記患者に投与することをさらに含む、本発明1006または1007の方法。
[本発明1009]
前記がんが固形腫瘍である、本発明1006~1008のいずれかの方法。
[本発明1010]
前記がんが血液悪性腫瘍である、本発明1006~1008のいずれかの方法。
[本発明1011]
前記がんが、表2のがんのいずれか1つまたは複数である、本発明1006~1008のいずれかの方法。
[本発明1012]
前記がんが、多発性骨髄腫、肝細胞がん、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、頭頸部がん、前立腺がん、黒色腫、結腸直腸がん、およびびまん性橋神経膠腫からなる群より選択される、本発明1011の方法。
[本発明1013]
前記がんが、従来の治療に対して抵抗性になっている、本発明1006~1012のいずれかの方法。
[本発明1014]
がんの治療における使用のための、本発明1001~1003のいずれかのTG02形態X(クエン酸塩)。
[本発明1015]
がんの治療のための薬剤の製造のための、本発明1001~1003のいずれかのTG02形態X(クエン酸塩)の使用。
[本発明1016]
がんを治療することにおける使用のための、本発明1004または1005の薬学的組成物。
[本発明1017]
本発明1001~1003のいずれかのTG02形態X(クエン酸塩)と、がんを有する患者にTG02多形形態を投与するための指示書とを含む、キット。
[本発明1018]
免疫チェックポイント阻害剤またはアルキル化剤をさらに含む、本発明1017のキット。
[本発明1019]
本発明1004の薬学的組成物を作製する方法であって、TG02形態X(クエン酸塩)と、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤とを混合することを含む、方法。
[本発明1020]
本発明1001のTG02形態X(クエン酸塩)を作製する方法であって、
(a)エタノール中のクエン酸の溶液とDMSO/エタノール中のTG02遊離塩基の溶液とを組み合わせること;
(b)(a)の溶液を約70℃で少なくとも約15分間加熱して、TG02クエン酸塩を含む溶液を得ること;
(c)TG02クエン酸塩を含む(b)の溶液を約5℃に冷却して、結晶性固体を得ること;および
(d)(c)の結晶性固体を単離して、TG02形態X(クエン酸塩)を得ること
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、米国特許第9,120,815号のクエン酸塩パターン1のPXRDである。
図2図2は、米国特許第9,120,815号のクエン酸塩パターン1、2、および3のPXRDである。
図3図3は、TG02 FB形態IのPXRDである。
図4図4は、TG02 FB形態IIのPXRDである。
図5図5は、TG02 FB形態IIIのPXRDである。
図6図6は、TG02 FB形態IVのPXRDである。
図7図7は、TG02 FB形態VのPXRDである。
図8図8は、TG02 HCl形態VIのPXRDである。
図9図9は、TG02 HCl形態VIIのPXRDである。
図10図10は、TG02 HCl形態VIIIのPXRDである。
図11図11は、TG02クエン酸塩形態XのPXRDである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
TG02遊離塩基の多形形態
一態様では、本開示は、TG02遊離塩基(FB)の結晶多形形態を提供する。
【0014】
別の態様では、本開示は、形態I(FB)、形態II(FB)、形態III(FB)、形態IV(FB)、または形態V(FB)、またはそれらの混合物を提供する。
【0015】
TG02形態I(FB)
別の態様では、本開示は、6.077、17.675、17.994、18.475、19.135、および19.727度2θにピークを有する粉末X線回折(PXRD)パターンを有することを特徴とする形態I(FB)を提供する。
【0016】
別の態様では、形態I(FB)は、6.077、14.628、17.675、17.994、18.475、19.135、19.727、19.913、21.698、25.456、26.209、および26.527度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0017】
別の態様では、形態I(FB)は、6.077、8.840、10.404、13.368、14.031、14.628、17.675、17.994、18.475、19.135、19.727、19.913、21.698、22.460、24.749、25.456、25.833、26.209、26.527、26.882、28.004、28.625、28.857、29.725、30.305、31.009、31.689、32.160、33.741、34.293、および35.029度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0018】
別の態様では、形態I(FB)は、図3と本質的に同じであるPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0019】
別の態様では、本開示は、実質的に純粋な形態I(FB)、例えば約10重量%以下のTG02の任意の他の物理的形態を含むことを特徴とする形態I(FB)を提供する。
【0020】
別の態様では、本開示は、純粋なTG02形態I(FB)、例えば約1重量%以下のTG02の任意の他の物理的形態を含むことを特徴とするTG02形態I(FB)を提供する。
【0021】
TG02形態II(FB)
別の態様では、本開示は、8.238、11.607、16.683、17.153、および19.073度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする形態II(FB)を提供する。
【0022】
別の態様では、形態II(FB)は、6.954、8.238、11.607、16.683、17.153、18.546、19.073、21.294、22.342、および25.204度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0023】
別の態様では、形態II(FB)は、6.025、6.954、8.238、10.036、11.607、14.563、15.299、16.683、17.153、18.064、18.546、19.073、21.013、21.294、22.342、23.516、24.029、24.518、25.204、26.225、26.509、26.954、27.212、27.755、28.047、29.133、31.644、32.026、33.634、および38.906度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0024】
別の態様では、形態II(FB)は、図4と本質的に同じであるPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0025】
別の態様では、本開示は、実質的に純粋な形態II(FB)を提供する。
【0026】
別の態様では、本開示は、純粋な形態II(FB)を提供する。
【0027】
TG02形態III(FB)
別の態様では、本開示は、6.236、17.674、17.769、19.056、19.082、21.631、および25.596度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする形態III(FB)を提供する。
【0028】
別の態様では、形態III(FB)は、6.236、15.486、15.599、17.674、17.769、18.649、18.726、19.056、19.082、19.619、21.536、21.594、21.631、24.800、および25.596度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0029】
別の態様では、形態III(FB)は、6.236、10.734、12.791、13.957、14.987、15.053、15.486、15.599、16.650、17.674、17.769、18.162、18.649、18.726、19.056、19.082、19.676、19.619、21.718、21.000、21.536、21.594、21.631、23.109、24.800、25.596、26.589、27.675、27.857、27.981、29.046、および29.288度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0030】
別の態様では、形態III(FB)は、図5と本質的に同じであるPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0031】
別の態様では、本開示は、実質的に純粋な形態III(FB)を提供する。
【0032】
別の態様では、本開示は、純粋な形態III(FB)を提供する。
【0033】
TG02形態IV(FB)
別の態様では、本開示は、8.484、17.409、18.807、19.299、および22.616度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする形態IV(FB)を提供する。
【0034】
別の態様では、形態IV(FB)は、7.143、7.184、8.484、11.850、17.169、17.409、17.573、18.807、19.299、21.337、21.519、22.616、24.791、および27.180度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0035】
別の態様では、形態IV(FB)は、7.143、7.184、8.484、11.850、14.826、15.597、15.933、16.957、17.169、17.409、17.573、18.311、18.807、19.299、19.773、21.337、21.519、22.616、23.749、24.791、25.126、25.448、26.468、26.729、27.180、27.970、29.384、30.310、31.344、31.867、および38.475度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0036】
別の態様では、形態IV(FB)は、図6と本質的に同じであるPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0037】
別の態様では、本開示は、実質的に純粋な形態IV(FB)を提供する。
【0038】
別の態様では、本開示は、純粋な形態IV(FB)を提供する。
【0039】
TG02形態V(FB)
別の態様では、本開示は、7.151、14.299、19.114、19.185、および21.495度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする形態V(FB)を提供する。
【0040】
別の態様では、形態V(FB)は、7.087、7.151、8.271、8.416、11.739、14.299、16.858、17.336、19.114、19.185、21.495、および26.345度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0041】
別の態様では、形態V(FB)は、7.087、7.151、8.271、8.416、10.245、11.657、11.739、14.053、14.299、15.478、16.858、17.163、17.336、18.751、19.114、19.185、21.259、21.495、21.867、22.414、23.607、24.185、24.711、25.351、26.345、26.558、27.092、27.334、29.159、31.202、36.149、および36.238度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0042】
別の態様では、形態V(FB)は、図7と本質的に同じであるPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0043】
別の態様では、本開示は、実質的に純粋な形態V(FB)を提供する。
【0044】
別の態様では、本開示は、純粋な形態V(FB)を提供する。
【0045】
TG02酸付加塩の多形形態
別の態様では、本開示は、TG02酸付加塩の結晶多形形態を提供する。
【0046】
別の態様では、本開示は、塩酸(HCl)とのTG02酸付加塩の結晶多形形態を提供する。別の態様では、本開示は、形態VI(HCl)、形態VII(HCl)、または形態VIII(HCl)、またはそれらの混合物を提供する。
【0047】
TG02形態VI(HCl)
別の態様では、本開示は、8.055、12.695、15.868、16.664、18.460、19.392、22.103、24.552、および25.604度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする形態VI(HCl)を提供する。
【0048】
別の態様では、形態VI(HCl)は、8.055、9.300、9.527、10.843、12.695、14.505、15.868、15.979、16.664、18.460、および19.392度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0049】
別の態様では、形態VI(HCl)は、6.593、8.055、8.309、9.300、9.527、10.843、12.695、12.917、13.594、14.505、14.799、15.868、15.979、16.289、16.491、16.664、17.409、17.845、18.460、19.392、20.553、22.103、22.290、22.832、23.197、23.565、24.552、24.796、25.353、25.604、および26.981度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0050】
別の態様では、形態VI(HCl)は、図8と本質的に同じであるPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0051】
別の態様では、本開示は、実質的に純粋な形態VI(HCl)を提供する。
【0052】
別の態様では、本開示は、純粋な形態VI(HCl)を提供する。
【0053】
TG02形態VII(HCl)
別の態様では、本開示は、6.601、12.691,13.364、21.785、23.554、および27.007度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする形態VII(HCl)を提供する。
【0054】
別の態様では、形態VII(HCl)は、6.601、12.691、13.364、14.802、16.061、18.809、21.785、23.554、24.135、24.914、26.904、27.007、27.792、および28.179度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0055】
別の態様では、形態VII(HCl)は、6.601、9.152、12.691、13.364、13.598、14.802、14.952、16.061、17.457、18.555、18.809、19.548、20.191、20.549、21.259、21.025、21.785、22.084、23.554、24.135、24.914、25.287、26.904、27.007、27.792、28.179、30.091、31.007、31.632、および33.498度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0056】
別の態様では、形態VII(HCl)は、図9と本質的に同じであるPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0057】
別の態様では、本開示は、実質的に純粋な形態VII(HCl)を提供する。
【0058】
別の態様では、本開示は、純粋な形態VII(HCl)を提供する。
【0059】
TG02形態VIII(HCl)
別の態様では、本開示は、12.994、16.147、22.211、23.305、および24.586度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする形態VIII(HCl)を提供する。
【0060】
別の態様では、形態VIII(HCl)は、12.994、16.147、17.977、19.441、20.933、22.152、22.211、23.305、24.586、24.679、および25.513度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0061】
別の態様では、形態VIII(HCl)は、8.351、9.402、12.994、16.147、16.386、16.807、17.977、18.624、19.441、20.933、22.152、22.211、23.190、23.305、24.305、24.317、24.586、24.679、25.407、25.513、27.804、および33.775度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0062】
別の態様では、形態VIII(HCl)は、図10と本質的に同じPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0063】
別の態様では、本開示は、実質的に純粋な形態VIII(HCl)を提供する。
【0064】
別の態様では、本開示は、純粋な形態VIII(HCl)を提供する。
【0065】
TG02形態X(クエン酸塩)
別の態様では、本開示は、15.2、15.5、21.7、22.1、23.0、26.2、および29.9度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする形態X(クエン酸塩)を提供する。
【0066】
別の態様では、形態X(クエン酸塩)は、8.6、9.4、11.9、15.2、15.5、17.0、17.4、19.6、21.7、22.1、23.0、26.2、および29.9度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0067】
別の態様では、形態X(クエン酸塩)は、8.6、9.4、11.9、12.5、14.3、15.2、15.5、16.1、16.4、17.0、17.4、17.9、19.0、19.6、20.3、20.6、21.2、21.7、22.1、23.0、23.5、23.9、24.2、24.8、26.2、27.3、28.0、および29.9度2θにピークを有するPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0068】
別の態様では、形態X(クエン酸塩)は、図11と本質的に同じPXRDパターンを有することを特徴とする。
【0069】
別の態様では、本開示は、実質的に純粋な形態X(クエン酸塩)を提供する。
【0070】
別の態様では、本開示は、純粋な形態X(クエン酸塩)を提供する。
【0071】
別の局面では、本開示は、微粉化されたTG02多形形態を提供する。一態様では、微粉化TG02多形形態の平均粒径分布は、例えばレーザー回折分光法によって決定されるように、約20μm以下、例えば約19μm、約18μm、約17μm、約16μm、約15μm、約14μm、約13μm、約12μm、または約11μm以下である。別の態様では、平均粒径分布は、約10μm以下、例えば約9μm、約8μm、約7μm、約6μm、または約5μm以下である。別の態様では、平均粒径分布は、約5μm以下、例えば約4μm、約3μm、約2μm、または約1μm以下である。別の態様では、平均粒径分布は、約1μm以下、例えば約0.9μm、約0.8μm、約0.7μm、約0.6μm、約0.5μm、約0.4μm、約0.3μm、約0.2μm、約0.1μm、約0.09μm、約0.08μm、約0.07μm、約0.06μm、約0.05μm、約0.04μm、約0.03μm、約0.02μm、または約0.01μm以下である。
【0072】
別の態様では、本開示は、TG02多形形態を作製する方法を提供する。TG02多形形態を作製する方法は、本明細書において以下に提供される実施例に記載されている。
【0073】
別の態様では、本開示は、対象における疾患、障害、損傷、または状態を治療することにおける使用のためのTG02多形形態、またはその組成物を提供する。
【0074】
別の態様では、本開示は、対象における疾患、障害、損傷、または状態を治療するための薬剤の製造における使用のためのTG02多形形態、またはその組成物を提供する。
【0075】
別の態様では、本開示は、がんを有する患者を治療する治療方法であって、治療有効量のTG02多形形態を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0076】
別の態様では、本開示は、がんを有する患者を治療する治療方法であって、治療有効量のTG02多形形態を患者に投与することを含む方法を提供し、ここで、以下の表1に列挙する遺伝子の1つまたは複数が、別の表現型状態の対象から得られた生物学的試料と比較して、患者から得られた生物学的試料中に差次的に存在する。別の態様では、MYCの過剰発現が、患者から得られた試料中に差次的に存在する。別の態様では、MCL1の過剰発現が、患者から得られた試料中に差次的に存在する。
【0077】
別の態様では、本開示は、がんを有する患者を治療する治療方法であって、治療有効量のTG02多形形態および第2の治療薬、例えば免疫チェックポイント阻害剤を患者に投与することを含む方法を提供し、ここで、以下の表1に列挙する遺伝子の1つまたは複数が、別の表現型状態の対象から得られた生物学的試料と比較して、患者から得られた生物学的試料中に差次的に存在する。別の態様では、MYCの過剰発現が、患者から得られた試料中に差次的に存在する。別の態様では、MCL1の過剰発現が、患者から得られた試料中に差次的に存在する。別の態様では、TG02多形形態を第2の治療薬の前に患者に投与する。別の態様では、TG02多形形態を第2の治療薬の後に患者に投与する。別の態様では、TG02多形形態を第2の治療薬と同時に患者に投与する。
【0078】
別の態様では、本開示は、がんを有する患者を治療する治療方法であって、治療有効量のTG02多形形態および第2の治療薬、例えば免疫チェックポイント阻害剤を患者に投与することを含む方法を提供する。別の態様では、TG02多形形態を第2の治療薬の前に患者に投与する。別の態様では、TG02多形形態を第2の治療薬の後に患者に投与する。別の態様では、TG02多形形態を免疫チェックポイント阻害剤と同時に患者に投与する。
【0079】
別の態様では、本開示は、TG02多形形態および第2の治療薬、例えば免疫チェックポイント阻害剤と、がんを有する患者にTG02多形形態および第2の治療薬を投与するための指示書とを含むキットを提供する。
【0080】
別の態様では、キットは、本開示の方法を実施するためのその使用を容易にする方法で包装される。
【0081】
別の態様では、キットは、密閉されたビンまたはうつわなどの容器に包装されたTG02多形形態(またはTG02多形形態を含む組成物)を、本開示の方法を実施するためのTG02多形形態または組成物の使用を説明する、容器に貼付されるかまたはキットに含まれるラベルと共に含む。一態様では、TG02多形形態は単位剤形で包装される。キットは、意図される投与経路に従って組成物を投与するのに適した装置をさらに含むことができる。
【0082】
本開示は、その必要がある患者においてTG02多形形態を用いてがんを治療するための、様々な治療方法、キット、および組成物を提供する。一態様では、がんは固形腫瘍である。別の態様では、がんは血液悪性腫瘍である。別の態様では、がんは、表2のがんのいずれか1つまたは複数から選択される。
【0083】
(表2)
【0084】
別の態様では、がんは、頭頸部の扁平上皮がん、食道の腺がんおよび扁平上皮がん、胃の腺がん、結腸の腺がん、肝細胞がん、胆道系の胆管がん、胆嚢の腺がん、膵臓の腺がん、乳房の腺管上皮内がん、乳房の腺がん、肺の腺がん、肺の扁平上皮がん、膀胱の移行上皮がん、膀胱の扁平上皮がん、子宮頸部の扁平上皮がん、子宮頸部の腺がん、子宮内膜がん、陰茎扁平上皮がんおよび皮膚の扁平上皮がんからなる群より選択される。
【0085】
別の態様では、がんは、多発性骨髄腫、肝細胞がん、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、頭頸部がん、前立腺がん、黒色腫、結腸直腸がん、およびびまん性橋神経膠腫からなる群より選択される。
【0086】
別の態様では、がんはびまん性橋神経膠腫である。
【0087】
別の態様では、前がん性腫瘍は、頭頸部の白斑症、バレット食道、胃の化生、結腸の腺腫、慢性肝炎、胆管過形成、膵上皮内腫瘍性病変、肺の異型腺腫様増殖、膀胱形成異常、子宮頸部上皮内腫瘍、陰茎上皮内腫瘍および皮膚の光線性角化症からなる群より選択される。
【0088】
別の態様では、患者は、MYC、MCL1またはその両方を過剰発現する腫瘍を有する。腫瘍は、当技術分野において公知の方法によってMYC、MCL1、またはその両方を過剰発現することが決定され得る。
【0089】
別の態様では、がんは、肝細胞がん、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、頭頸部がん、前立腺がん、黒色腫および結腸直腸がんからなる群より選択される。
【0090】
別の態様では、がんは、従来のがん治療に対して抵抗性になっている。本明細書で使用される「従来のがん治療」という用語は、米国食品医薬品局、欧州医薬品庁または同様の規制当局によってヒトにおける治療的使用に関して試験および/または承認されている任意の抗がん剤もしくは生物学的製剤もしくは放射線療法、または抗がん剤および/もしくは生物学的製剤および/もしくは放射線療法の組み合わせを指す。
【0091】
別の態様では、患者は、以前にTG02なしで免疫チェックポイント阻害剤によって治療されたことがある。例えば、以前の免疫チェックポイント治療法は、抗PD-1療法であり得る。
【0092】
別の態様では、本開示は、がんを有する患者を治療する治療方法であって、治療有効量のTG02多形形態を患者に投与することを含む方法を提供し、ここで、患者の表現型状態は、MYCの過剰発現、MCL1の過剰発現、またはMYCおよびMCL1の過剰発現である。別の態様では、がんは、肝細胞がん、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、頭頸部がん、前立腺がん、黒色腫および結腸直腸がんからなる群より選択される。
【0093】
別の態様では、本開示は、がんを有する患者を治療する治療方法であって、治療有効量のTG02多形形態および第2の治療薬を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0094】
一態様では、第2の治療薬は、テモゾロミド、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン、シスプラチン、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、レナリドミド、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、および放射線療法からなる群より選択される。
【0095】
別の態様では、第2の治療薬は免疫チェックポイント阻害剤である。別の態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤である。別の態様では、PD-1阻害剤は抗PD-1抗体である。別の態様では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、およびSTI-1110からなる群より選択される。別の態様では、PD-L1阻害剤は抗PD-L1抗体である。別の態様では、抗PD-L1抗体は、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、およびSTI-1014からなる群より選択される。
【0096】
別の態様では、本開示は、がんを有する患者を治療する治療方法であって、治療有効量のTG02多形形態、免疫チェックポイント阻害剤、および第3の治療薬を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0097】
別の態様では、本開示は、がん患者のための個別化医療を提供し、個々のがん患者の成功を収める結果の可能性が最も高い治療選択肢の選択を包含する。別の局面では、本開示はがんを有する患者における治療結果、例えば良好な応答または治療成功の可能性を予測するためのアッセイの使用に関する。
【0098】
別の態様では、本開示は、TG02多形形態および、任意で、第2の治療薬、例えば免疫チェックポイント阻害剤によるがんの治療のための患者、例えばヒト対象を選択する方法であって、患者から生物学的試料、例えば血液細胞を得ること、患者からの生物学的試料をバイオマーカー、例えばMYCの過剰発現、MCL1の過剰発現またはその両方の存在に関して試験すること、ならびに生物学的試料がそのバイオマーカーを含む場合は患者を治療のために選択することを含む方法を提供する。別の態様では、この方法は、生物学的試料がバイオマーカーを含む場合、治療有効量のTG02多形形態および、任意で、免疫チェックポイント阻害剤を患者に投与することをさらに含む。がんバイオマーカーの例を表1に示す。別の態様では、がんは固形腫瘍である。別の態様では、がんは血液悪性腫瘍である。別の態様では、がんは、肝細胞がん、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、頭頸部がん、前立腺がん、黒色腫および結腸直腸がんからなる群より選択される。
【0099】
別の態様では、本開示は、がんを有する患者における治療結果を予測する方法であって、患者から生物学的試料を得ること、患者からの生物学的試料をバイオマーカー、例えばMYCの過剰発現、MCL1の過剰発現、またはその両方の存在に関して試験することを含む方法を提供し、ここで、バイオマーカーの検出は、患者が治療有効量のTG02多形形態および、任意で、第2の治療薬の投与に対して良好に応答するであろうことを示す。良好な応答には、腫瘍サイズの縮小および無増悪生存期間または全体的生存期間の延長が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0100】
別の態様では、本開示は、がんを治療する方法であって、患者の細胞がバイオマーカーを含むがんを有する患者、例えばヒト対象に、治療有効量のTG02多形形態および、任意で、第2の治療薬、例えば免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含む方法を提供する。別の態様では、患者は、患者の細胞がMYCの過剰発現を含むと決定された後、TG02多形形態および、任意で、免疫チェックポイント阻害剤による治療のために選択される。別の態様では、患者は、患者の細胞がMCL1の過剰発現を含むと決定された後、TG02多形形態および、任意で、免疫チェックポイント阻害剤による治療のために選択される。別の態様では、患者は、患者の細胞がMYCの過剰発現およびMCL1の過剰発現を含むと決定された後、TG02多形形態および、任意で、免疫チェックポイント阻害剤による治療のために選択される。
【0101】
別の態様では、がんを有する患者を治療する方法は、患者から生物学的試料を得ること、生物学的試料がバイオマーカー、例えばMYCの過剰発現、MCL1の過剰発現、またはその両方を含むかどうかを決定すること、ならびに生物学的試料がバイオマーカーを含む場合は、治療有効量のTG02多形形態および、任意で、免疫チェックポイント阻害剤を患者に投与することを含む。別の態様では、本明細書で提供される方法は、患者の細胞がMYCの過剰発現を含むかどうかを決定することを含む。別の態様では、本明細書で提供される方法は、患者の細胞がMCL1の過剰発現を含むかどうかを決定することを含む。別の態様では、本明細書で提供される方法は、患者の細胞がMYCおよびMCL1の過剰発現を含むかどうかを決定することを含む。
【0102】
別の態様では、本開示は、がんを有する対象を治療する方法であって、対象から生物学的試料を得ること、生物学的試料中のMYC、MCL1またはその両方の発現レベルを測定すること、ならびに生物学的試料がMYC、MCL1またはその両方の過剰発現を示す場合は、治療有効量のTG02多形形態および第2の治療薬、例えばテモゾロミド、カルフィルゾミブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、ボルテゾミブ、ドキソルビシン、シスプラチン、レナリドミド、デキサメタゾン、またはAra-Cを対象に投与することを含む方法を提供する。
【0103】
I. 任意の治療薬
本開示のいくつかの治療方法では、第2の治療薬をTG02多形形態と組み合わせてがん患者に投与する。
【0104】
本開示のいくつかの治療方法では、第2の治療薬および第3の治療薬をTG02多形形態と組み合わせてがん患者に投与する。
【0105】
本開示のいくつかの治療方法では、第2の治療薬、第3の治療薬、および第4の治療薬をTG02多形形態と組み合わせてがん患者に投与する。
【0106】
本開示の治療方法に使用される第2、第3、および第4の治療薬を「任意の治療薬」と称する。がん患者の治療において有用なそのような任意の治療薬は、当技術分野で公知である。一態様では、TG02多形形態と組み合わせる任意の治療薬は抗がん剤である。任意の治療薬には、テモゾロミド、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン、シスプラチン、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、レナリドミド、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、放射線療法、免疫チェックポイント阻害剤、例えばPD-1またはPD-L1阻害剤、例えば抗PD-1または抗PD-L1抗体、例えばニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、STI-1110、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、およびSTI-1014が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0107】
任意の治療薬は、それらの所望の治療効果を提供する量で投与される。それぞれの任意の治療薬の有効用量範囲は当技術分野において公知であり、任意の治療薬は、そのような確立された範囲内でそれを必要とする個体に投与される。
【0108】
TG02多形形態および任意の治療薬は、単回単位用量として一緒に、または複数回単位用量として別々に、任意の順序で、例えば、TG02多形形態を任意の治療薬の前に投与するか、またはその逆で投与することができる。TG02多形形態および任意の治療薬の1つまたは複数の用量を患者に投与することができる。
【0109】
免疫チェックポイント阻害剤は、免疫系の阻害性チェックポイントをブロックする治療法である。本開示のいくつかの治療方法では、免疫チェックポイント阻害剤をTG02多形形態と組み合わせてがん患者に投与する。
【0110】
免疫チェックポイントは刺激性または阻害性であり得る。阻害性免疫チェックポイントの遮断は、免疫系の機能を活性化し、がん免疫療法に使用することができる。Pardoll, Nature Reviews.Cancer 12:252-64(2012)。腫瘍細胞は、特定のT細胞受容体に結合すると、活性化されたT細胞をオフにする。免疫チェックポイント阻害剤は、腫瘍細胞がT細胞に付着するのを防止し、その結果、T細胞は活性化されたままである。実際に、細胞成分と可溶性成分による協調作用は、病原体およびがんによる損傷に対抗する。免疫系経路の調節は、経路の少なくとも1つの成分の発現または機能的活性を変化させて、次いで、免疫系による応答を調節することを含み得る。米国特許出願公開第2015/0250853号。免疫チェックポイント阻害剤の例には、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG3阻害剤、TIM3阻害剤、cd47阻害剤およびB7-H1阻害剤が含まれる。したがって、一態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG3阻害剤、TIM3阻害剤およびcd47阻害剤からなる群より選択される。
【0111】
別の態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、プログラム細胞死(PD-1)阻害剤である。PD-1は、腫瘍細胞が宿主の免疫系を回避する能力において極めて重要な役割を果たすT細胞共阻害性受容体である。PD-1と、PD-1のリガンドであるPD-L1との間の相互作用の遮断は、免疫機能を増強し、抗腫瘍活性を媒介する。PD-1阻害剤の例には、PD-1に特異的に結合する抗体が含まれる。特定の抗PD-1抗体には、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、STI-1014およびピディリズマブが含まれるが、これらに限定されるわけではない。抗PD-1抗体の入手可能性、作製方法、作用機序および臨床試験の一般的な考察については、米国特許出願公開第2013/0309250号、米国特許第6,808,710号、同第7,595,048号、同第8,008,449号、同第8,728,474号、同第8,779,105号、同第8,952,136号、同第8,900,587号、同第9,073,994号、同第9,084,776号およびNaido et al., British Journal of Cancer 111:2214-19(2014)参照。
【0112】
別の態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1(B7-H1またはCD274としても知られる)阻害剤である。PD-L1阻害剤の例には、PD-L1に特異的に結合する抗体が含まれる。特定の抗PD-L1抗体には、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブおよびBMS-936559が含まれるが、これらに限定されるわけではない。入手可能性、作製方法、作用機序および臨床試験の一般的な考察については、米国特許第8,217,149号、米国特許出願公開第2014/0341917号、米国特許出願公開第2013/0071403号、国際公開公報第2015036499号およびNaido et al., British Journal of Cancer 111:2214-19(2014)参照。
【0113】
別の態様では、免疫チェックポイント阻害剤はCTLA-4阻害剤である。細胞傷害性Tリンパ球抗原4としても知られるCTLA-4は、免疫系を下方調節するタンパク質受容体である。CTLA-4は、抗原提示細胞上の共刺激分子に結合する「ブレーキ」として特徴付けられ、T細胞上のCD28との相互作用を妨げ、またT細胞活性化を抑制する明らかな阻害性シグナルを生成する。CTLA-4阻害剤の例には、CTLA-4に特異的に結合する抗体が含まれる。特定の抗CTLA-4抗体には、イピリムマブおよびトレメリムマブが含まれるが、これらに限定されるわけではない。入手可能性、作製方法、作用機序および臨床試験の一般的な考察については、米国特許第6,984,720号、米国特許第6,207,156号およびNaido et al., British Journal of Cancer 111:2214-19(2014)参照。
【0114】
別の態様では、免疫チェックポイント阻害剤はLAG3阻害剤である。LAG3、すなわちリンパ球活性化遺伝子3は、T細胞のホメオスタシス、増殖および活性化を調節する負の共刺激受容体である。さらに、LAG3は、制御性T細胞(Treg)抑制機能に関与することが報告されている。LAG3分子の大部分は、微小管形成中心に近い細胞内に保持されており、抗原特異的T細胞活性化後にのみ誘導される。米国特許出願公開第2014/0286935号。LAG3阻害剤の例には、LAG3に特異的に結合する抗体が含まれる。特定の抗LAG3抗体には、GSK2831781が含まれるが、これに限定されるわけではない。入手可能性、作製方法、作用機序および試験の一般的な考察については、米国特許出願公開第2011/0150892号、米国特許出願公開第2014/0093511号、米国特許出願公開第20150259420号およびHuang et al., Immunity 21:503-13(2004)参照。
【0115】
別の態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、TIM3阻害剤である。TIM3、すなわちT細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン3は、TH1およびTc1 T細胞応答の持続期間および大きさを制限するように機能する免疫チェックポイント受容体である。TIM3経路は、腫瘍組織における免疫抑制を構成する2つの報告された免疫細胞集団である機能不全のCD8T細胞およびTreg上でのその発現により、抗がん免疫療法の標的と考えられている。Anderson,Cancer Immunology Research 2:393-98(2014)。TIM3阻害剤の例には、TIM3に特異的に結合する抗体が含まれる。TIM3阻害剤の入手可能性、作製方法、作用機序および研究の一般的な考察については、米国特許出願公開第20150225457号、米国特許出願公開第20130022623号、米国特許第8,522,156号、Ngiow et al., Cancer Res 71:6567-71(2011)、Ngiow,et al., Cancer Res 71:3540-51(2011)およびAnderson,Cancer Immunology Res 2:393-98(2014)参照。
【0116】
別の態様では、免疫チェックポイント阻害剤はcd47阻害剤である。Unanue,E.R., PNAS 110:10886-87(2013)参照。
【0117】
「抗体」という用語は、無傷のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの無傷の抗体から形成される多重特異性抗体および、抗体断片が所望の生物学的活性を示す限り、抗体断片を含むことが意図されている。別の態様では、「抗体」は、抗体のFc部分を保有しない可溶性受容体を含むことが意図されている。一態様では、抗体は、組換え遺伝子工学によって作製されたヒト化モノクローナル抗体およびその断片である。
【0118】
免疫チェックポイント阻害剤の別のクラスには、阻害シグナル伝達を誘発することなくT細胞上のPD-1受容体に結合し、これを遮断するポリペプチドが含まれる。そのようなペプチドには、米国特許第8,114,845号に開示されているように、B7-DCポリペプチド、B7-H1ポリペプチド、B7-1ポリペプチドおよびB7-2ポリペプチド、ならびにそれらの可溶性断片が含まれる。
【0119】
免疫チェックポイント阻害剤の別のクラスには、PD-1シグナル伝達を阻害するペプチド部分を有する化合物が含まれる。そのような化合物の例は、米国特許第8,907,053号に開示されており、構造
を有するかまたはその薬学的に許容される塩であり、ここで、化合物は、PD-1シグナル伝達経路を阻害することができる治療薬として有用な少なくとも5個のアミノ酸を含む。
【0120】
免疫チェックポイント阻害剤の別のクラスには、骨髄性細胞および腫瘍細胞に浸潤することによって発現される、インドールアミン2,3ジオキシゲナーゼ(IDO)などの特定の代謝酵素の阻害剤が含まれる。IDO酵素は、T細胞における同化機能に必要なアミノ酸を枯渇させることによって、またはリンパ球機能を改変することができるサイトゾル受容体の特定の天然リガンドの合成を介して、免疫応答を阻害する。Pardoll, Nature Reviews.Cancer 12:252-64(2012);Lob,Cancer Immunol Immunother 58:153-57(2009)。特定のIDO遮断剤には、レボ-1-メチルトリプトファン(L-1MT)および1-メチル-トリプトファン(1MT)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。Qian et al., Cancer Res 69:5498-504(2009);およびLob et al., Cancer Immunol Immunother 58:153-7(2009)。
【0121】
別の態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、STI-1110、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、STI-1014、イピリムマブ、トレメリムマブ、GSK2831781、BMS-936559またはMED14736である。
【0122】
別の態様では、任意の治療薬はエピジェネティック薬である。本明細書で使用される場合、「エピジェネティック薬」という用語は、エピジェネティック制御因子を標的とする治療薬を指す。エピジェネティック制御因子の例には、ヒストンリジンメチルトランスフェラーゼ、ヒストンアルギニンメチルトランスフェラーゼ、ヒストンデメチラーゼ、ヒストンデアセチラーゼ、ヒストンアセチラーゼおよびDNAメチルトランスフェラーゼが含まれる。ヒストンデアセチラーゼ阻害剤にはボリノスタットが含まれるが、これに限定されるわけではない。
【0123】
別の態様では、任意の治療薬は、がんを治療するために、TG02多形形態と組み合わせて投与することができる化学療法剤または他の抗増殖剤である。TG02多形形態と組み合わせて使用することができる療法および抗がん剤の例には、手術、放射線療法(例えばγ線、中性子線放射線療法、電子線放射線療法、陽子線療法、近接照射療法および全身放射性同位体)、内分泌療法、生物学的応答調節剤(例えばインターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子(TNF)、温熱療法および寒冷療法、いずれかの有害作用を減弱させる剤(例えば制吐剤)、ならびに任意の他の認可された化学療法剤)が含まれる。
【0124】
非限定的な例示的抗増殖性化合物には、アロマターゼ阻害剤;抗エストロゲン;抗アンドロゲン;ゴナドレリンアゴニスト;トポイソメラーゼI阻害剤;トポイソメラーゼII阻害剤;微小管活性剤;アルキル化剤、例えばテモゾロミド;レチノイド、カロテノイドもしくはトコフェロール;シクロオキシゲナーゼ阻害剤;MMP阻害剤;mTOR阻害剤;代謝拮抗物質;プラチン化合物;メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤;ビスホスホネート;抗増殖性抗体;ヘパラナーゼ阻害剤;Ras発がん性アイソフォームの阻害剤;テロメラーゼ阻害剤;プロテアソーム阻害剤;血液悪性腫瘍の治療に使用される化合物;Flt-3阻害剤;Hsp90阻害剤;キネシン紡錘体タンパク質阻害剤;MEK阻害剤;抗腫瘍性抗生物質;ニトロソ尿素;タンパク質もしくは脂質キナーゼ活性を標的とする/低下させる化合物、タンパク質もしくは脂質ホスファターゼ活性を標的とする/低下させる化合物、または任意のさらなる抗血管新生化合物が含まれる。
【0125】
非限定的な例示的アロマターゼ阻害剤には、アタメスタン、エキセメスタンおよびホルメスタンなどのステロイド剤、ならびにアミノグルテチミド、ログレチミド、ピリドグルテチミド、トリロスタン、テストラクトン、ケトコナゾール、ボロゾール、ファドロゾール、アナストロゾールおよびレトロゾールなどの非ステロイド剤が含まれる。
【0126】
非限定的な抗エストロゲンには、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェンおよび塩酸ラロキシフェンが含まれる。抗アンドロゲンにはビカルタミドが含まれるが、これに限定されるわけではない。ゴナドレリンアゴニストには、アバレリクス、ゴセレリンおよび酢酸ゴセレリンが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0127】
非限定的な例示的トポイソメラーゼI阻害剤には、トポテカン、ギマテカン、イリノテカン、カンプトテシンおよびその類似体、9-ニトロカンプトテシンおよび高分子カンプトテシンコンジュゲートPNU-166148が含まれる。トポイソメラーゼII阻害剤には、アントラサイクリン、例えばドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシシンおよびネモルビシン;アントラキノン、例えばミトキサントロンおよびロソキサントロン;ならびにポドフィロトキシン、例えばエトポシドおよびテニポシドが含まれる。
【0128】
微小管活性剤には、タキサン類、例えばパクリタキセルおよびドセタキセル;ビンカアルカロイド類、例えばビンブラスチン、ビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチンおよびビンクリスチン硫酸塩、およびビノレルビン;ディスコデルモライド;コルヒチンおよびエポチロンならびにそれらの誘導体を含むが、これらに限定されるわけではない、微小管安定化化合物、微小管不安定化化合物およびミクロチューブリン重合阻害剤が含まれる。
【0129】
非限定的な例示的アルキル化剤には、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファランおよびニトロソ尿素、例えばカルムスチンおよびロムスチンが含まれる。
【0130】
非限定的な例示的マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤(「MMP阻害剤」)には、コラーゲンペプチドミメティックおよび非ペプチドミメティック阻害剤、テトラサイクリン誘導体、バチマスタット、マリマスタット、プリノマスタット、メタスタット、BMS-279251、BAY 12-9566、TAA211、MMI270BおよびAAJ996が含まれる。
【0131】
非限定的な例示的mTOR阻害剤には、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)を阻害し、抗増殖活性を有する化合物、例えばシロリムス、エベロリムス、CCI-779およびABT578が含まれる。
【0132】
非限定的な例示的代謝拮抗物質には、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン、ゲムシタビン、DNA脱メチル化化合物、例えば5-アザシチジンおよびデシタビン、メトトレキサートおよびエダトレキサート、ならびに葉酸アンタゴニスト、例えばペメトレキセドが含まれる。
【0133】
非限定的な例示的白金化合物には、カルボプラチン、シスプラチン、シスプラチナムおよびオキサリプラチンが含まれる。
【0134】
非限定的な例示的メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤には、ベンガミドまたはその誘導体およびPPI-2458が含まれる。
【0135】
非限定的な例示的ビスホスホネートには、エチドロン酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸、リセドロン酸およびゾレドロン酸が含まれる。
【0136】
非限定的な例示的ヘパラナーゼ阻害剤には、PI-88およびOGT2115などの、ヘパリン硫酸分解を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物が含まれる。
【0137】
Rasの発がん活性を標的とする、低下させるまたは阻害する非限定的な例示的化合物には、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばL-744832、DK8G557、チピファルニブおよびロナファルニブが含まれる。
【0138】
非限定的な例示的テロメラーゼ阻害剤には、テロメラーゼの活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物、例えばテロメスタチンなどの、テロメラーゼ受容体を阻害する化合物が含まれる。
【0139】
非限定的な例示的プロテアソーム阻害剤には、ボルテゾミブを含むがこれに限定されるわけではない、プロテアソームの活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物が含まれる。いくつかの態様では、プロテアソーム阻害剤はカルフィルゾミブである。
【0140】
FMS様チロシンキナーゼ受容体(Flt-3R)の活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物であるFMS様チロシンキナーゼ阻害剤の非限定的な例には、インターフェロン、I-β-D-アラビノフラノシルシトシン(ara-c)およびビスルファン;ならびに未分化リンパ腫キナーゼを標的とする、低下させるまたは阻害する化合物であるALK阻害剤が含まれる。
【0141】
非限定的な例示的Flt-3阻害剤には、PKC412、ミドスタウリン、スタウロスポリン誘導体、SU11248およびMLN518が含まれる。
【0142】
非限定的な例示的HSP90阻害剤には、HSP90の内因性ATPアーゼ活性を標的とする、低下させるもしくは阻害する化合物;またはユビキチンプロテオソーム経路を介してHSP90クライアントタンパク質を分解する、標的とする、低下させるもしくは阻害する化合物が含まれる。HSP90の内因性ATPアーゼ活性を標的とする、低下させる、または阻害する化合物は、特に、HSP90のATPアーゼ活性を阻害する化合物、タンパク質または抗体、例えば17-アリルアミノ、17-デメトキシゲルダナマイシン(17AAG)、ゲルダナマイシン誘導体;他のゲルダナマイシン関連化合物;ラディシコールおよびHDAC阻害剤である。
【0143】
非限定的な例示的タンパク質チロシンキナーゼならびに/またはセリンおよび/もしくはトレオニンキナーゼ阻害剤または脂質キナーゼ阻害剤には、以下のものが含まれる:a)血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)の活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物、例えばPDGFRの活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物、例えばN-フェニル-2-ピリミジン-アミン誘導体、例えばイマチニブ、SU101、SU6668およびGFB-111;b)線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物;c)インスリン様増殖因子受容体I(IGF-IR)の活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物、例えばIGF-IRの活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物;d)Trk受容体チロシンキナーゼファミリーの活性を標的とする、低下させるもしくは阻害する化合物、またはエフリンB4阻害剤;e)Axl受容体チロシンキナーゼファミリーの活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物;f)Ret受容体チロシンキナーゼの活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物;g)Kit/SCFR受容体チロシンキナーゼの活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物、例えばイマチニブ;h)c-Kit受容体チロシンキナーゼの活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物、例えばイマチニブ;i)c-Ablファミリーのメンバー、それらの遺伝子融合産物(例えばBcr-Ablキナーゼ)および変異体の活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物、例えばN-フェニル-2-ピリミジン-アミン誘導体、例えばイマチニブまたはニロチニブ;PD180970;AG957;NSC 680410;PD173955;またはダサチニブ;j)プロテインキナーゼC(PKC)およびセリン/トレオニンキナーゼのRafファミリーのメンバー、MEK、SRC、JAK、FAK、PDK1、PKB/Aktのメンバー、およびRas/MAPKファミリーのメンバー、ならびに/またはサイクリン依存性キナーゼファミリー(CDK)のメンバーの活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物、例えば、米国特許第5,093,330号に開示されているスタウロスポリン誘導体、例えばミドスタウリン;さらなる化合物の例には、UCN-01、サフィンゴール、BAY 43-9006、ブリオスタチン1、ペリホシン;イルモホシン;RO 318220およびRO 320432;GO 6976;Isis 3521;LY333531/LY379196;イソキノリン化合物;ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤;PD184352もしくはQAN697、またはAT7519が含まれる;k)タンパク質チロシンキナーゼの活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物、例えばメシル酸イマチニブまたはチルホスチン、例えばチルホスチンA23/RG-50810;AG99;チルホスチンAG213;チルホスチンAG1748;チルホスチンAG490;チルホスチンB44;チルホスチンB44(+)鏡像異性体;チルホスチンAG555;AG494;チルホスチンAG556、AG957およびアダホスチン(4-{[(2,5-ジヒドロキシフェニル)メチル]アミノ}-安息香酸アダマンチルエステル;NSC 680410、アダホスチン);l)受容体チロシンキナーゼの上皮増殖因子ファミリー(ホモまたはヘテロ二量体としてのEGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4)およびそれらの変異体の活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物、例えばCP 358774、ZD 1839、ZM105180;トラスツズマブ、セツキシマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、OSI-774、CI-1033、EKB-569、GW-2016、抗体E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3またはE7.6.3、および7H-ピロロ-[2,3-d]ピリミジン誘導体;ならびにm)c-Met受容体の活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物。
【0144】
タンパク質または脂質ホスファターゼの活性を標的とする、低下させるまたは阻害する非限定的な例示的化合物には、ホスファターゼ1、ホスファターゼ2AまたはCDC25の阻害剤、例えばオカダ酸またはその誘導体が含まれる。
【0145】
さらなる抗血管新生化合物には、タンパク質または脂質キナーゼ阻害とは無関係のそれらの活性のための別の機構を有する化合物、例えばサリドマイドおよびTNP-470が含まれる。
【0146】
その1つまたは複数をTG02またはその薬学的に許容される塩と組み合わせて使用し得るさらなる非限定的な例示的化学療法化合物には、以下のものが含まれる:アバスチン、ダウノルビシン、アドリアマイシン、Ara-C、VP-16、テニポシド、ミトキサントロン、イダルビシン、カルボプラチン、PKC412、6-メルカプトプリン(6-MP)、フルダラビンリン酸塩、オクトレオチド、SOM230、FTY720、6-チオグアニン、クラドリビン、6-メルカプトプリン、ペントスタチン、ヒドロキシ尿素、2-ヒドロキシ-1H-イソインドール-1,3-ジオン誘導体、1-(4-クロロアニリノ)-4-(4-ピリジルメチル)フタラジンまたはその薬学的に許容される塩、1-(4-クロロアニリノ)-4-(4-ピリジルメチル)フタラジンコハク酸塩、アンギオスタチン、エンドスタチン、アントラニル酸アミド、ZD4190、ZD6474、SU5416、SU6668、ベバシズマブ、rhuMAb、rhuFab、マキュゲン;FLT-4阻害剤、FLT-3阻害剤、VEGFR-2 IgGI抗体、RPI 4610、ベバシズマブ、ポルフィマーナトリウム、アネコルタブ、トリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、11-a-エピヒドロコチゾール、コルテキソロン、17a-ヒドロキシプロゲステロン、コルチコステロン、デスオキシコルチコステロン、テストステロン、エストロン、デキサメタゾン、フルオシノロン、植物アルカロイド、ホルモン化合物および/またはアンタゴニスト、生物学的応答調節剤、例えばリンホカインまたはインターフェロン、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体、shRNA、ならびにsiRNA。
【0147】
いくつかの適切な任意の治療薬、例えば抗がん剤が、本明細書で提供される治療方法における使用のために企図される。実際に、本明細書で提供される方法は、以下のような数多くの任意の治療薬の投与を含み得るが、これらに限定されわけではない:アポトーシスを誘導する作用物質;ポリヌクレオチド(例えばアンチセンス、リボザイム、siRNA);ポリペプチド(例えば酵素および抗体);生物学的ミメティック(例えばゴシポールまたはBH3ミメティック); Baxなどの、Bcl-2ファミリータンパク質と結合する(例えばオリゴマー化するまたは複合体化する)作用物質;アルカロイド;アルキル化剤;抗腫瘍性抗生物質;代謝拮抗物質;ホルモン;白金化合物;モノクローナルまたはポリクローナル抗体(例えば抗がん剤、毒素、デフェンシンと結合した抗体)、毒素;放射性核種;生物学的応答調節剤(例えばインターフェロン(例えばIFN-α)およびインターロイキン(例えばIL-2));養子免疫療法剤;造血因子;腫瘍細胞分化を誘導する作用物質(例えばオールトランス型レチノイン酸);遺伝子治療試薬(例えばアンチセンス療法試薬およびヌクレオチド);腫瘍ワクチン;血管新生阻害剤;プロテオソーム阻害剤;NF-κBモジュレータ;抗CDK化合物;HDAC阻害剤等。開示される化合物と同時投与するのに適した化学療法化合物および抗がん治療などの任意の治療薬の数多くのライブラリの例は、当業者に公知である。
【0148】
特定の態様では、抗がん剤は、アポトーシスを誘導または刺激する作用物質を含む。アポトーシスを誘導または刺激する作用物質には、例えばDNAをインターカレートする、架橋する、アルキル化する、またはさもなければ損傷もしくは化学的に修飾することによって、DNAと相互作用するまたはDNAを改変する作用物質が含まれる。アポトーシスを誘発する作用物質には、放射線(例えばX線、γ線、紫外線);腫瘍壊死因子(TNF)関連因子(例えばTNFファミリー受容体タンパク質、TNFファミリーリガンド、TRAIL、TRAIL-R1またはTRAIL-R2に対する抗体);キナーゼ阻害剤(例えば上皮増殖因子受容体(EGFR)キナーゼ阻害剤)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。さらなる抗がん剤には、以下のものが含まれる:血管成長因子受容体(VGFR)キナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)キナーゼ阻害剤、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)キナーゼ阻害剤およびBcr-Ablキナーゼ阻害剤(例えばGLEEVEC));アンチセンス分子;抗体(例えばHERCEPTIN、RITUXAN、ZEVALINおよびAVASTIN);抗エストロゲン(例えばラロキシフェンおよびタモキシフェン);抗アンドロゲン(例えばフルタミド、ビカルタミド、フィナステリド、アミノグルテタミド、ケトコナゾールおよびコルチコステロイド);シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)阻害剤(例えばセレコキシブ、メロキシカム、NS-398および非ステロイド系抗炎症薬(NSAID));抗炎症薬(例えばブタゾリジン、DECADRON、DELTASONE、デキサメタゾン、デキサメタゾンインテンソール、DEXONE、HEXADROL、ヒドロキシクロロキン、METICORTEN、ORADEXON、ORASONE、オキシフェンブタゾン、PEDIAPRED、フェニルブタゾン、PLAQUENIL、プレドニゾロン、プレドニゾン、PRELONEおよびTANDEARIL);ならびにがん化学療法剤(例えばイリノテカン(CAMPTOSAR)、CPT-11、フルダラビン(FLUDARA)、ダカルバジン(DTIC)、デキサメタゾン、ミトキサントロン、MYLOTARG、VP-16、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、5-FU、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ボルテゾミブ、ゲフィチニブ、ベバシズマブ、TAXOTEREまたはTAXOL);細胞シグナル伝達分子;セラミドおよびサイトカイン;スタウロスポリン等。
【0149】
さらに他の態様では、本明細書で提供される治療方法は、がん患者に、治療有効量のTG02多形形態と、アルキル化剤、代謝拮抗物質および天然産物(例えばハーブおよび他の植物および/または動物由来の化合物)から選択される少なくとも1つのさらなる抗過剰増殖剤または抗腫瘍剤とを投与することを含む。
【0150】
本方法における使用に適したアルキル化剤には、1)ナイトロジェンマスタード(例えばメクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン);およびクロラムブシル);2)エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えばヘキサメチルメラミンおよびチオテパ);3)スルホン酸アルキル(例えばブスルファン);4)ニトロソ尿素(例えばカルムスチン(BCNU);ロムスチン(CCNU);セムスチン(メチル-CCNU);およびストレプトゾシン(ストレプトゾトシン));ならびに5)トリアゼン(例えばダカルバジン(DTIC;ジメチルトリアゼノイミダゾールカルボキサミド)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0151】
いくつかの態様では、本発明の方法における使用に適した代謝拮抗剤には、1)葉酸類似体(例えばメトトレキサート(アメトプテリン));2)ピリミジン類似体(例えばフルオロウラシル(5-フルオロウラシル;5-FU)、フロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン;FudR)およびシタラビン(シトシンアラビノシド));ならびに3)プリン類似体(例えばメルカプトプリン(6-メルカプトプリン;6-MP)、チオグアニン(6-チオグアニン;TG)およびペントスタチン(2'-デオキシコホルマイシン))が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0152】
さらに別の態様では、本開示の方法における使用に適した化学療法剤には、以下のものが含まれるが、これらに限定されるわけではない:1)ビンカアルカロイド(例えばビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン);2)エピポドフィロトキシン(例えばエトポシドおよびテニポシド);3)抗生物質(例えばダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン;ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)およびマイトマイシン(マイトマイシンC));4)酵素(例えばL-アスパラギナーゼ);5)生物学的応答調節剤(例えばインターフェロンα);6)白金配位錯体(例えばシスプラチン(cis-DDP)およびカルボプラチン);7)アントラセンジオン(例えばミトキサントロン);8)置換尿素(例えばヒドロキシ尿素);9)メチルヒドラジン誘導体(例えばプロカルバジン(N-メチルヒドラジン;MIH));10)副腎皮質抑制剤(例えばミトタン(o,p'-DDD)およびアミノグルテチミド);11)アドレノコルチコステロイド(例えばプレドニゾン);12)プロゲスチン(例えばカプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロンおよび酢酸メゲストロール);13)エストロゲン(例えばジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオール);14)抗エストロゲン(例えばタモキシフェン);15)アンドロゲン(例えばプロピオン酸テストステロンおよびフルオキシメステロン);16)抗アンドロゲン(例えばフルタミド);ならびに17)性腺刺激ホルモン放出ホルモン類似体(例えばロイプロリド)。
【0153】
がん治療の状況において慣用的に使用される任意の腫瘍溶解剤が、本開示の治療方法において使用できる。例えば、米国食品医薬品局(FDA)は、米国での使用が認可されている腫瘍溶解剤の処方集を保持する。FDAに相当する国際機関も同様の処方集を保持する。当業者は、すべての米国で認可された化学療法薬に要求される「製品ラベル」には、例示的な剤について承認された適応症、投薬情報、毒性データなどが記載されることを理解するであろう。
【0154】
抗がん剤は、抗がん活性を有することが同定されている化合物をさらに含む。例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない:3-AP、12-O-テトラデカノイルホルボール-13-アセテート、17AAG、852A、ABI-007、ABR-217620、ABT-751、ADI-PEG 20、AE-941、AG-013736、AGRO100、アラノシン、AMG 706、抗体G250、アンチネオプラストン、AP23573、アパジクオン、APC8015、アチプリモド、ATN-161、アトラセンテン、アザシチジン、BB-10901、BCX-1777、ベバシズマブ、BG00001、ビカルタミド、BMS 247550、ボルテゾミブ、ブリオスタチン-1、ブセレリン、カルシトリオール、CCI-779、CDB-2914、セフィキシム、セツキシマブ、CG0070、シレンギチド、クロファラビン、コンブレタスタチンA4ホスフェート、CP-675,206、CP-724,714、CpG 7909、クルクミン、デシタビン、DENSPM、ドキセルカルシフェロール、E7070、E7389、エクテイナシジン743、エファプロキシラル、エフロルニチン、EKB-569、エンザスタウリン、エルロチニブ、エキシスリンド、フェンレチニド、フラボピリドール、フルダラビン、フルタミド、フォテムスチン、FR901228、G17DT、ガリキシマブ、ゲフィチニブ、ゲニステイン、グルフォスファミド、GTI-2040、ヒストレリン、HKI-272、ホモハリングトニン、HSPPC-96、hul4.18-インターロイキン-2融合タンパク質、HuMax-CD4、イロプロスト、イミキモド、インフリキシマブ、インターロイキン12、IPI-504、イロフルベン、イクサベピロン、ラパチニブ、レナリドミド、レスタウルチニブ、ロイプロリド、LMB-9免疫毒素、ロナファルニブ、ルニリキシマブ、マフォスファミド、MB07133、MDX-010、MLN2704、モノクローナル抗体3F8、モノクローナル抗体J591、モテキサフィン、MS-275、MVA-MUC1-IL2、ニルタミド、ニトロカンプトテシン、ノラトレキセド二塩酸塩、ノルバデックス、NS-9、O6-ベンジルグアニン、オブリメルセンナトリウム、ONYX-015、オレゴボマブ、OSI-774、パニツムマブ、パラプラチン、PD-0325901、ペメトレキセド、PHY906、ピオグリタゾン、ピルフェニドン、ピキサントロン、PS-341、PSC 833、PXD101、ピラゾロアクリジン、R115777、RAD001、ランピルナーゼ、レベッカマイシン類似体、rhuアンギオスタチンタンパク質、rhuMab 2C4、ロシグリタゾン、ルビテカン、S-1、S-8184、サトラプラチン、SB-715992、SGN-0010、SGN-40、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、SR31747A、ST1571、SU011248、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、スラミン、タラボスタット、タランパネル、タリキダル、テムシロリムス、TGFa-PE38免疫毒素、サリドマイド、チマルファシン、チピファルニブ、チラパザミン、TLK286、トラベクテジン、グルクロン酸トリメトレキサート、TroVax、UCN-1、バルプロ酸、ビンフルニン、VNP40101M、ボロシキシマブ、ボリノスタット、VX-680、ZD1839、ZD6474、ジロイトンおよびゾスキダル三塩酸塩。
【0155】
抗がん剤および他の任意の治療薬のより詳細な説明については、当業者は、Physician's Desk ReferenceおよびGoodman and Gilman's "Pharmaceutical Basis of Therapeutics" tenth edition,Eds.Hardman et al., 2002を含むが、これらに限定されるわけではない様々な指示マニュアルを参照されたい。
【0156】
いくつかの態様では、本明細書で提供される方法は、がん患者に、放射線療法と組み合わせてTG02多形形態を投与することを含む。本明細書で提供される方法は、治療線量の放射線を患者に送達するために使用される種類、量または送達システムおよび投与システムによって制限されない。例えば、患者は、光子放射線療法、粒子ビーム放射線療法、他の種類の放射線療法およびそれらの組み合わせを受けることができる。いくつかの態様では、放射線は線形加速器を使用して患者に送達される。さらに他の態様では、放射線はガンマナイフを用いて送達される。
【0157】
放射線源は、患者の外部または内部であり得る。外部放射線療法が最も一般的であり、例えば線形加速器を用いて、皮膚を介して腫瘍部位に高エネルギー放射線のビームを誘導することを含む。放射線のビームは腫瘍部位に限局されるが、正常な健康組織の曝露を回避することはほとんど不可能である。しかし、通常、外部放射線は患者に十分に耐容される。内部放射線療法は、がん細胞を特異的に標的とする送達システムの使用(例えばがん細胞結合リガンドに付着させた粒子の使用)を含む、腫瘍部位またはその付近の体内に、ビーズ、ワイヤ、ペレット、カプセル、粒子等の放射線放出源を埋め込むことを含む。そのようなインプラントは、治療後に除去することができ、または体内に不活性のまま残すことができる。内部放射線療法の種類には、近接照射療法、組織内照射、腔内照射、放射線免疫療法等が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0158】
患者は、任意で、放射線増感剤(例えばメトロニダゾール、ミソニダゾール、動脈内Budr、静脈内ヨードデオキシウリジン(IudR)、ニトロイミダゾール、5-置換-4-ニトロイミダゾール、2H-イソインドールジオン、[[(2-ブロモエチル)-アミノ]メチル]-ニトロ-1H-イミダゾール-1-エタノール、ニトロアニリン誘導体、DNA親和性低酸素選択的細胞毒、ハロゲン化DNAリガンド、1,2,4ベンゾトリアジンオキシド、2-ニトロイミダゾール誘導体、フッ素含有ニトロアゾール誘導体、ベンズアミド、ニコチンアミド、アクリジン-インターカレーター、5-チオトレトラゾール誘導体、3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール、4,5-ジニトロイミダゾール誘導体、ヒドロキシル化テキサフィリン、シスプラチン、マイトマイシン、チリパザミン、ニトロソ尿素、メルカプトプリン、メトトレキサート、フルオロウラシル、ブレオマイシン、ビンクリスチン、カルボプラチン、エピルビシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンデシン、エトポシド、パクリタキセル、熱(温熱療法)等)、放射線防護剤(例えばシステアミン、アミノアルキル二水素ホスホロチオエート、アミホスチン(WR 2721)、IL-1、IL-6等)を摂取し得る。放射線増感剤は、腫瘍細胞の死滅を促進する。放射線防護剤は、健康な組織を放射線の有害な影響から保護する。
【0159】
放射線の線量が、許容できない負の副作用を伴わずに患者によって耐容される限り、任意の種類の放射線を患者に照射することができる。適切な種類の放射線療法には、例えば、電離(電磁)放射線療法(例えばX線もしくはγ線)または粒子ビーム放射線療法(例えば高線形エネルギー放射線)が含まれる。電離放射線は、イオン化、すなわち電子の獲得または喪失を生じさせるのに十分なエネルギーを有する粒子または光子を含む放射線と定義される(例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,770,581号に記載されているように)。放射線の影響は、臨床医によって少なくとも部分的に制御され得る。一態様では、標的細胞曝露を最大にし、毒性を減少させるために放射線の線量を分割する。
【0160】
一態様では、患者に照射される放射線の総線量は、約0.01グレイ(Gy)~約100Gyである。別の態様では、約10Gy~約65Gy(例えば約15Gy、20Gy、25Gy、30Gy、35Gy、40Gy、45Gy、50Gy、55Gyまたは60Gy)を治療過程にわたって照射する。いくつかの態様では、放射線の全線量を1日にわたって照射することができるが、理想的には総線量を分割し、数日間かけて照射する。望ましくは、放射線療法は、少なくとも約3日間、例えば少なくとも5、7、10、14、17、21、25、28、32、35、38、42、46、52または56日間(約1~8週間)の過程にわたって照射される。したがって、放射線の1日線量は、約1~5Gy(例えば約1Gy、1.5Gy、1.8Gy、2Gy、2.5Gy、2.8Gy、3Gy、3.2Gy、3.5Gy、3.8Gy、4Gy、4.2Gyもしくは4.5Gy)または1~2Gy(例えば1.5~2Gy)を含む。放射線の1日用量は、標的細胞の破壊を誘導するのに十分であるべきである。一定期間にわたる場合、一態様では、放射線を毎日照射せず、それによって動物を休息させ、治療の効果を実現することを可能にする。例えば、放射線を、望ましくは、治療の各週について、連続5日間照射し、2日間は照射せず、それによって1週間につき2日間の休息が可能になる。しかし、放射線は、動物の応答性およびいずれかの潜在的な副作用に依存して、1日/週、2日/週、3日/週、4日/週、5日/週、6日/週または全7日/週、照射することができる。放射線療法は、治療期間中いずれの時点でも開始することができる。一態様では、放射線を第1週または第2週に開始し、治療期間の残りの期間にわたって照射する。例えば固形腫瘍を治療するためには、例えば、6週間で構成される治療期間の第1~6週または第2~6週に放射線を照射する。あるいは、5週間の治療期間の第1~5週または第2~5週に放射線を照射する。しかし、これらの例示的な放射線療法照射スケジュールは、本明細書で提供される方法を限定することを意図しない。
【0161】
II. 治療方法
本明細書で提供される治療方法では、TG02多形形態および任意の治療薬、例えば抗がん剤は、以下の1つまたは複数の条件下でがん患者に投与され得る:異なる周期性、異なる期間、異なる濃度、異なる投与経路等。
【0162】
いくつかの態様では、TG02多形形態は、任意の治療薬の前に、例えば任意の治療薬の0.5、1、2、3、4、5、10、12もしくは18時間前、または1、2、3、4、5もしくは6日前、または1、2、3もしくは4週間前に投与される。
【0163】
いくつかの態様では、TG02多形形態は、任意の治療薬の後に、例えば任意の治療薬の0.5、1、2、3、4、5、10、12もしくは18時間後、または1、2、3、4、5もしくは6日後、または1、2、3もしくは4週間後に投与される。
【0164】
いくつかの態様では、TG02多形形態および任意の治療薬は、同時であるが異なるスケジュールで投与され、例えばTG02多形形態は毎日投与され、一方免疫チェックポイント阻害剤は週に1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回または4週間ごとに1回投与される。他の態様では、TG02多形形態は1日1回投与され、一方免疫チェックポイント阻害剤および/または任意の治療薬は週に1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回または4週間ごとに1回投与される。
【0165】
本明細書で提供される治療方法は、その意図される目的を達成するのに有効な量でTG02多形形態をがん患者に投与することを含む。個々の必要性は様々であるが、各成分の有効量の最適範囲の決定は当技術分野の技術範囲内である。典型的には、TG02多形形態は、約1mg/kg~約500mg/kg、約1mg/kg~約100mg/kg、または約1mg/kg~約50mg/kgの量で投与され得る。組成物の投与量は、30~600mg/日を含むが、これに限定されるわけではない任意の投与量であり得る。特定の用量には、50、100、200、250、300、400、500および600mg/日が含まれる。一態様では、TG02多形形態を、免疫チェックポイント阻害剤の投与の前に3~7日間連続して1日1回投与する。別の態様では、250mg/日のTG02多形形態を投与する。別の態様では、250mg/日のTG02多形形態を週に2回投与する。別の態様では、TG02多形形態の投与を免疫チェックポイント阻害剤の日にも継続し、疾患の進行までまたはTG02多形形態の投与がもはや有益でなくなるまで、さらに数日間継続する。これらの投与量は平均的な場合の例示であるが、より高い投与量またはより低い投与量が適切である個々の場合があり得、そのような投与量は本開示の範囲内である。実際には、医師は、個々の患者に最も適した実際の投薬レジメンを決定し、これは、個々の患者の年齢、体重および応答によって異なり得る。
【0166】
TG02多形形態の単位経口用量は、約0.01~約1000mg、例えば約10~約500mgのTG02多形形態を含み得る。一態様では、TG02多形形態の単位経口用量は、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mgまたは300mgである。単位用量は、1日に1回または複数回、例えば1つまたは複数の錠剤またはカプセルとして投与され得る。
【0167】
TG02多形形態を未加工化学物質として投与することに加えて、TG02多形形態を、薬学的製剤または組成物の一部として投与することができる。いくつかの態様では、薬学的製剤または組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体、賦形剤および/または助剤を含むことができる。いくつかの態様では、1つまたは複数の担体、賦形剤および/または助剤は、TG02多形形態を薬学的に使用できる製剤または組成物に加工することを容易にする。製剤、特に、経口または局所投与することができ、および1つの種類の投与に使用することができる製剤、例えば錠剤、糖衣錠、徐放性ロゼンジおよびカプセル剤、マウスリンスおよびマウスウォッシュ、ゲル、液体懸濁剤、ヘアリンス、ヘアジェル、シャンプー、ならびにまた、坐剤などの直腸投与することができる製剤、ならびに静脈内注入、注射、局所または経口による投与のための適切な溶液は、1つまたは複数の担体、賦形剤および/または助剤と共に、約0.01~99%、一態様では約0.25~75%の活性化合物を含む。
【0168】
本明細書で提供される薬学的組成物は、TG02多形形態の有益な効果を経験し得る任意の患者に投与され得る。そのような患者の中で主要なのは、哺乳動物、例えばヒトであるが、本明細書で提供される方法および組成物は、そのように限定されることを意図しない。他の患者には、獣医学的動物(ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ等)が含まれる。
【0169】
本明細書で提供される薬学的組成物は、従来の混合、顆粒化、糖衣錠製造、溶解または凍結乾燥工程によって製造される。したがって、経口使用のための薬学的製剤は、錠剤または糖衣錠コアを得るために、活性化合物を固体賦形剤と混合し、所望する場合または必要な場合には、適切な助剤を添加した後、任意で、得られた混合物を粉砕し、顆粒の混合物を処理することによって得ることができる。
【0170】
本明細書で使用される「賦形剤」という用語は、TG02多形形態以外の組成物中の任意の成分を指す。賦形剤は、典型的には、TG02多形形態の処理、取り扱い、投与などを容易にするために組成物に添加される不活性物質である。有用な賦形剤には、アジュバント、付着防止剤、結合剤、担体、崩壊剤、充填剤、香味料、着色剤、希釈剤、潤滑剤、流動促進剤、防腐剤、吸着剤、溶媒、界面活性剤、および甘味料が含まれるが、これらに限定されるわけではない。一態様では、組成物は、ケイ化微結晶セルロース、ヒプロメロース2910、クロスポビドン、およびステアリン酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1つの賦形剤を含む。一態様では、組成物はケイ化微結晶セルロースを含む。
【0171】
従来の薬学的賦形剤は当業者に周知である。特に、当業者は、Handbook of Pharmaceutical Excipients, Pharmaceutical Press 4th Ed.(2003)およびRemington:The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams&Wilkins, 21st ed.(2005)に列挙されているものを含む、多種多様な薬学的に許容される賦形剤をTG02の結晶多形形態と混合して使用できることを認識する。
【0172】
適切な賦形剤は、特に、充填剤、例えば糖類、例えばラクトースまたはスクロース、マンニトールまたはソルビトール、セルロース製剤および/またはリン酸カルシウム、例えばリン酸三カルシウムまたはリン酸水素カルシウム、ならびに結合剤、例えばトウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプンを使用するデンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドンである。所望する場合は、崩壊剤、例えば上記のデンプンおよびまたカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムを添加してもよい。助剤は、適切な流動調節剤および潤滑剤であり得る。適切な助剤には、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸もしくはその塩、例えばステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウム、および/またはポリエチレングリコールが含まれる。糖衣錠コアは、所望する場合は、胃液に耐性のある適切なコーティングと共に提供される。この目的のために、濃縮糖溶液を使用してもよく、これは、任意で、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含んでもよい。胃液に耐性のあるコーティングを生成するために、アセチルセルロースフタレートまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどの適切なセルロース製剤の溶液を使用する。例えば同定のためまたは活性化合物用量の組み合わせを特徴付けるために、色素または顔料を錠剤または糖衣錠コーティングに添加してもよい。
【0173】
経口的に使用できる他の薬学的製剤には、ゼラチン製のプッシュフィットカプセル、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤でできた密封軟カプセルが含まれる。プッシュフィットカプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および、任意で、安定剤と混合し得る顆粒の形態の活性化合物を含むことができる。軟カプセルにおいて、活性化合物は、一態様では、脂肪油または流動パラフィンなどの適切な液体に溶解または懸濁される。さらに、安定剤を添加してもよい。
【0174】
経直腸的に使用できる可能性のある薬学的製剤には、例えば、1つまたは複数の活性化合物と坐薬基剤との組み合わせからなる坐剤が含まれる。適切な坐剤基剤は、例えば天然もしくは合成トリグリセリドまたはパラフィン炭化水素である。さらに、活性化合物と基剤の組み合わせからなるゼラチン直腸カプセルを使用することも可能である。可能な基剤材料には、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコールまたはパラフィン炭化水素が含まれる。
【0175】
非経口投与のための適切な製剤には、水溶性形態の活性化合物、例えば水溶性塩の水溶液およびアルカリ性溶液が含まれる。さらに、適切な油性注射懸濁液としての活性化合物の懸濁液を投与し得る。適切な親油性溶媒またはビヒクルには、脂肪油、例えばゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチル、またはトリグリセリドまたはポリエチレングリコール400が含まれる。水性注射懸濁液は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランを含む、懸濁液の粘度を高める物質を含み得る。任意で、懸濁液はまた、安定剤を含んでもよい。
【0176】
標準的な薬学的慣行に従って製剤された治療有効量のTG02多形形態および/または免疫チェックポイント阻害剤および/または任意の治療薬は、それを必要とするヒト患者に投与される。そのような治療が適応されるかどうかは、個々の症例に依存し、存在する徴候、症状および/または機能不全、特定の徴候、症状および/または機能不全を発症する危険性、ならびに他の要因を考慮に入れた医学的評価(診断)に従う。
【0177】
TG02多形形態、免疫チェックポイント阻害剤、および/または任意の治療薬は、任意の適切な経路によって、例えば経口、口腔、吸入、舌下、直腸、膣、腰椎穿刺を介した槽内または髄腔内、経尿道、鼻、経皮、すなわち皮膚を通して、または非経口(静脈内、筋肉内、皮下、冠動脈内、皮内、乳房内、腹腔内、関節内、くも膜下腔内、眼球後、肺内注射および/または特定部位での外科的移植を含む)投与によって投与することができる。非経口投与は、針および注射器を使用して、または高圧技術を使用して達成することができる。
【0178】
薬学的組成物には、TG02多形形態、免疫チェックポイント阻害剤、および/または任意の治療薬が、その意図された目的を達成するのに有効な量で投与されるものが含まれる。正確な製剤、投与経路および投与量は、診断された状態または疾患を考慮して個々の医師によって決定される。投与量および間隔は、治療効果を維持するのに十分なTG02、免疫チェックポイント阻害剤、COX-2阻害剤および/または任意の治療薬のレベルを提供するように個別に調整することができる。
【0179】
TG02、免疫チェックポイント阻害剤、および/または任意の治療薬の毒性および治療効能は、例えば、患者において毒性を引き起こさない最高用量と定義される、化合物の最大耐量(MTD)を決定するために、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定することができる。最大耐量と治療効果(例えば腫瘍増殖の阻害)との間の用量比が治療指数である。投与量は、使用される剤形および利用される投与経路に依存して、この範囲内で変化し得る。治療有効量の決定は、特に本明細書で提供される詳細な開示を考慮して、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0180】
治療法における使用に必要とされるTG02多形形態、免疫チェックポイント阻害剤、および/または任意の治療薬の治療有効量は、治療される状態の性質、活性が所望される時間の長さ、ならびに患者の年齢および状態によって異なり、最終的には担当医師によって決定される。例えば、投与量および間隔は、所望の治療効果を維持するのに十分なTG02および免疫チェックポイント阻害剤の血漿レベルを提供するように個別に調整することができる。所望の用量は、単回用量で、または適切な間隔で投与される複数回用量として、例えば1日当たり1、2、3、4またはそれ以上の分割用量として好都合に投与することができる。多くの場合、複数回の投与が望ましいまたは必要である。例えば、TG02多形形態および免疫チェックポイント阻害剤は、以下の頻度で投与することができる:1日1回投与;4日ごと1回投与として送達される4回投与(q4d×4);3日ごと1回投与として送達される4回投与(q3d×4);5日の間隔で1日当たりに送達される1回投与(qd×5);3週間にわたる週に1回の投与(qwk3);1日5回投与し、2日間休止し、さらなる1日5回投与(5/2/5);または状況に適切であると決定された任意の投薬レジメン。
【0181】
免疫チェックポイント阻害剤は治療有効量で投与される。免疫チェックポイント阻害剤がモノクローナル抗体である場合、1~20mg/kgを2~4週間ごとに静脈内注入として投与する。例えば、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mgおよび2000mgの抗体を投与し得る。
【0182】
例えば、免疫チェックポイント阻害剤が抗PD-1抗体ニボルマブである場合、3mg/kgを2週間ごとに60分間にわたる静脈内注入によって投与し得る。免疫チェックポイント阻害剤が抗PD-1抗体ペムブロリズマブである場合、2mg/kgを2または3週間ごとに30分間にわたる静脈内注入によって投与し得る。免疫チェックポイント阻害剤が抗PD-L1抗体であるアベルマブである場合、10mg/kgを2週間ごとの頻度で静脈内注入によって投与し得る。Disis et al., J. Clin Oncol.33(2015)(suppl; abstr 5509)。免疫チェックポイント阻害剤が抗PD-L1抗体MPDL3280Aである場合、20mg/kgを3週間ごとに静脈内注入によって投与し得る。Herbst et al., Nature 515:563-80(2014)。免疫チェックポイント阻害剤が抗CTLA-4抗体イピリムマブである場合、3mg/kgを3週間ごとに90分間にわたる静脈内注入によって投与し得る。免疫チェックポイント阻害剤が抗CTLA-4抗体トレメリムマブである場合、15mg/kgを12週間ごとに静脈内注入によって投与し得る。Naido et al., British Journal of Cancer 111:2214-19(2014); Drugs R D, 10:123-32(2010)。免疫チェックポイント阻害剤が抗LAG3抗体GSK2831781である場合、1.5~5mg/kgを2~4週間ごとに120分間にわたる静脈内注入によって投与し得る。免疫チェックポイント阻害剤が抗TIM3抗体である場合、1~5mg/kgを2~4週間ごとに30~90分間にわたる静脈内注入によって投与し得る。インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)経路の阻害剤が、テモゾロミドと組み合わせた阻害剤インドキシモドである場合は、5日ごとに200mg/m2のテモゾロミドと、18.5mg/kg/用量BIDを27.7mg/kg/用量BIDに漸増するインドキシモド。
【0183】
一態様では、免疫チェックポイント阻害剤は抗体であり、1~20mg/kgを2~4週間ごとに静脈内注入によって投与する。別の態様では、50~2000mgの抗体を2~4週間ごとに静脈内注入によって投与する。別の態様では、TG02を抗体の投与の前に投与する。別の態様では、TG02を抗体の投与日の3~7日前に投与する。別の態様では、抗体を投与する日にTG02も投与し、その後、疾患の進行までまたはTG02の投与がもはや有益でなくなるまで連日TG02を投与する。
【0184】
一態様では、がん患者は、バイオマーカー、例えばMYCおよび/またはMCL1の過剰発現を有する腫瘍を有し、2mg/kgのペムブロリズマブを3週間ごとに静脈内注入によって投与され、ならびに30~600mgのTG02をペムブロリズマブの投与前3~7日間、ペムブロリズマブの投与日、およびその後疾患の進行までまたは治療上の利益がなくなるまで投与される。
【0185】
別の態様では、がん患者は、バイオマーカー、例えばMYCおよび/またはMCL1の過剰発現を有する腫瘍を有し、3mg/kgのニボルムマブを2週間ごとに静脈内注入によって投与され、ならびに30~600mgのTG02をニボルムマブの投与前3~7日間、ニボルムマブの投与日、およびその後疾患の進行までまたは治療上の利益がなくなるまで投与される。
【0186】
別の態様では、がん患者は、バイオマーカー、例えばMYCおよび/またはMCL1の過剰発現を有する腫瘍を有し、3mg/kgのニボルマブを2週間ごとに静脈内注入によって投与され、ならびに30~600mgのTG02をニボルムマブの投与前に週に2回、ニボルムマブの投与日、およびその後疾患の進行までまたは治療上の利益がなくなるまで経口投与される。
【0187】
別の態様では、免疫チェックポイント阻害剤およびTG02多形形態を用いたがん患者の治療は、免疫チェックポイント阻害剤を単独で投与する場合よりも迅速に抗増殖応答を誘導する。
【0188】
別の態様では、COX-2阻害剤およびTG02多形形態を用いたがん患者の治療は、COX-2阻害剤を単独で投与する場合よりも迅速に抗増殖応答を誘導する。
【0189】
本開示はまた、TG02形態X(クエン酸塩)と薬学的に許容される賦形剤とを含む薬学的組成物に関して以下の特定の態様を提供する。
【0190】
態様1. (a)約7重量%~約70重量%のTG02形態X(クエン酸塩);
(b)約20重量%~約83重量%の充填剤;
(c)約1重量%~約10重量%の崩壊剤;
(d)約1重量%~約10重量%の結合剤;および
(e)約0.1重量%~約1重量%の潤滑剤
を含む、薬学的組成物。
【0191】
態様2. 約60重量%~約65重量%のTG02形態X(クエン酸塩)を含む、態様1の薬学的組成物。
【0192】
態様3. 約25重量%~約30重量%の充填剤を含む、態様1または2の薬学的組成物。
【0193】
態様4. 約35重量%~約40重量%のTG02形態X(クエン酸塩)を含む、態様1の薬学的組成物。
【0194】
態様5. 約50重量%~約55重量%の充填剤を含む、態様1または4の薬学的組成物。
【0195】
態様6. 約5重量%~約10重量%のTG02形態X(クエン酸塩)を含む、態様1の薬学的組成物。
【0196】
態様7. 約80重量%~約85重量%の充填剤を含む、態様1または4の薬学的組成物。
【0197】
態様8. 約5重量%の崩壊剤を含む、態様1~7のいずれか1つの薬学的組成物。
【0198】
態様9. 約5重量%の結合剤を含む、態様1~8のいずれか1つの薬学的組成物。
【0199】
態様10. 約0.5重量%の潤滑剤を含む、態様1~9のいずれか1つの薬学的組成物。
【0200】
態様11. 充填剤が、微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロース、ラクトース一水和物、およびマンニトールからなる群より選択される、態様1~10のいずれか1つの薬学的組成物。
【0201】
態様12. 充填剤がケイ化微結晶セルロースである、態様11の薬学的組成物。
【0202】
態様13. 崩壊剤が、クロスポビドンおよびデンプングリコール酸ナトリウムからなる群より選択される、態様1~12のいずれか1つの薬学的組成物。
【0203】
態様14. 崩壊剤がクロスポビドンである、態様13の薬学的組成物。
【0204】
態様15. 結合剤がヒドロキシプロピルメチルセルロースである、態様1~14のいずれか1つの薬学的組成物。
【0205】
態様16. 滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウムおよびフマル酸ステアリルナトリウムからなる群より選択される、態様1~15のいずれか1つの薬学的組成物。
【0206】
態様17. 潤滑剤がステアリン酸マグネシウムである、態様1~15のいずれか1つの薬学的組成物。
【0207】
態様18. (a)約36.3重量%のTG02形態X(クエン酸塩);(b)約53.2重量%のケイ化微結晶セルロース;(c)約5重量%のクロスポビドン;(d)約5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース;および(e)約0.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、請求項1の薬学的組成物。
【0208】
態様19. (a)約63.5重量%のTG02形態X(クエン酸塩);(b)約26重量%のケイ化微結晶セルロース;(c)約5重量%のクロスポビドン;(d)約5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース;および(e)約0.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、請求項1の薬学的組成物。
【0209】
態様20. (a)約7.5重量%のTG02形態X(クエン酸塩);(b)約82重量%のケイ化微結晶セルロース;(c)約5重量%のクロスポビドン;(d)約5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース;および(e)約0.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、請求項1の薬学的組成物。
【0210】
態様21. 態様1~20のいずれか1つの薬学的組成物であって、それを必要とする対象への経口投与のための薬学的組成物。
【0211】
態様22. カプセルでの経口投与のための、請求項22の薬学的組成物。
【0212】
態様23. 約225mg~約230mgのTG02形態X(クエン酸塩)をカプセル中の単位用量として提供する、請求項1~3または8~22のいずれか1つの薬学的組成物。
【0213】
態様24. 約75mg~約80mgのTG02形態X(クエン酸塩)をカプセル中の単位用量として提供する、請求項1、4、5、または8~22のいずれか1つの薬学的組成物。
【0214】
態様25. 約13mg~約18mgのTG02形態X(クエン酸塩)をカプセル中の単位用量として提供する、請求項1または6~22のいずれか1つの薬学的組成物。
【0215】
III. バイオマーカー
本明細書で使用される「バイオマーカー」という用語は、インビボでがん患者においてまたはがん患者から得られた生物学的試料中で検出および/または定量化され得る遺伝子、タンパク質、タンパク質の断片、ペプチド、ポリペプチド、核酸等のような任意の生物学的化合物を指す。バイオマーカーは、無傷の分子全体であり得るか、またはその一部もしくは断片であり得る。一態様では、バイオマーカーの発現レベルを測定する。バイオマーカーの発現レベルは、例えばタンパク質またはRNA、例えばmRNA、バイオマーカーのレベルを検出することによって測定することができる。いくつかの態様では、例えば抗体または他の特異的結合剤によって、バイオマーカーの一部または断片を検出または測定することができる。いくつかの態様では、バイオマーカーの測定可能な局面は、がんの特定の病期などの、患者の所与の状態に関連する。タンパク質レベルまたはRNAレベルで検出されるバイオマーカーについて、そのような測定可能な局面には、例えば、がん患者またはがん患者から得られた生物学的試料におけるバイオマーカーの存在、不在または濃度、すなわち発現レベルが含まれ得る。核酸レベルで検出されるバイオマーカーについて、そのような測定可能な局面には、例えば、バイオマーカーの対立遺伝子バージョン、またはバイオマーカーの突然変異の種類、率および/もしくは、本明細書では突然変異状態とも称する、突然変異度が含まれ得る。
【0216】
タンパク質またはRNAの発現レベルに基づいて検出されるバイオマーカーについて、異なる表現型状態の間で測定される発現レベルは、例えば異なる群のバイオマーカーの平均または中央値発現レベルが統計的に有意であると計算される場合、異なるとみなすことができる。統計的有意性に関する一般的な検定には、とりわけ、t検定、ANOVA、クラスカル-ウォリス、ウィルコクソン、マン-ホイットニー、マイクロアレイの有意性解析、オッズ比等が含まれる。バイオマーカーは、単独でまたは組み合わせて、対象が、ある表現型状態または別の表現型状態に属する相対尤度の尺度を提供する。したがって、それらは、とりわけ、疾患のマーカーとして、および特定の治療処置レジメンが有益な患者転帰をもたらす可能性があることの指標として有用である。
【0217】
バイオマーカーには、表1に列挙される遺伝子が含まれるが、これらに限定されるわけではない。一態様では、バイオマーカーの測定可能な局面は、その発現状態である。一態様では、バイオマーカーの測定可能な局面は、その突然変異状態である。
【0218】
(表1)
【0219】
一態様では、バイオマーカーはMYCである。一態様では、MYCの測定可能な局面は、その発現状態である。一態様では、バイオマーカーはMYCの過剰発現である。
【0220】
したがって、本開示の特定の局面では、バイオマーカーは、ある表現型状態の対象、例えばがんを有する患者、例えば肝細胞がん(HCC)、神経膠芽腫(GBM)、肺がん、乳がん、頭頸部がん、前立腺がん、黒色腫または結腸直腸がんを有する患者において、別の表現型状態、例えば疾患のない正常な対象またはMYCの過剰発現を伴わないがんを有する患者と比較して、差次的に存在するMYCである。
【0221】
一態様では、バイオマーカーはMCL1である。一態様では、MCL1の測定可能な局面は、その発現状態である。一態様では、バイオマーカーはMCL1の過剰発現である。
【0222】
バイオマーカーの平均または中央値発現レベルまたは突然変異レベルが群間で異なる、すなわちより高いまたはより低いと計算される場合、バイオマーカーは、異なる表現型状態群の間で差次的に存在する。したがって、バイオマーカーは、対象、例えばがん患者が、ある表現型状態または別の表現型状態に属することの指標を提供する。
【0223】
したがって、本開示の特定の局面では、バイオマーカーは、ある表現型状態の対象、例えばがんを有する患者、例えば肝細胞がん(HCC)、神経膠芽腫(GBM)、肺がん、乳がん、頭頸部がん、前立腺がん、黒色腫、結腸直腸がん、髄芽腫または一般的な脳腫瘍を有する患者において、別の表現型状態、例えば疾患のない患者またはMCL1を過剰発現していないがん患者と比較して、差次的に存在するMCL1である。
【0224】
個々の生物学的化合物、例えばMYCまたはMCL1に加えて、本明細書で使用される「バイオマーカー」という用語は、複数の生物学的化合物の群、セットまたはアレイを含むことが意図されている。例えば、MYCとMCL1との組み合わせはバイオマーカーを構成し得る。「バイオマーカー」という用語は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30またはそれ以上の生物学的化合物を含み得る。
【0225】
患者におけるバイオマーカーの発現レベルまたは突然変異状態の測定は、当技術分野で公知の多くの方法のいずれかを用いて行うことができる。患者または生物学的試料中の特定のタンパク質を定量するならびに/またはMYCおよび/もしくはMCL1発現を検出する、または任意の他のバイオマーカーの発現もしくは突然変異レベルを検出するための当技術分野で公知の任意の方法を本開示の方法において使用し得る。例としては、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)またはRT-PCR、ノーザンブロット法、ウェスタンブロット法、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、RIA(放射免疫測定法)、RNA発現の遺伝子チップ分析、免疫組織化学または免疫蛍光法が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。例えば、Slagle et al., Cancer 83:1401(1998)参照。本開示の特定の態様は、バイオマーカーRNA発現(転写)を測定する方法を含む。本開示の他の態様は、生物学的試料中のタンパク質発現を測定する方法を含む。例えば、Harlow et al., Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY,(1988)およびAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,New York 3rd Edition,(1995)参照。ノーザンブロット法またはRT-PCR分析のために、RNアーゼフリー技術を用いて腫瘍組織試料からRNAを単離する。そのような技術は当技術分野において一般的に公知である。
【0226】
本開示の一態様では、生物学的試料を患者から得、生検における細胞をバイオマーカー発現または変異状態の測定のために検定する。
【0227】
本開示の一態様では、PETイメージングを用いてバイオマーカー発現を測定する。
【0228】
本開示の別の態様では、腫瘍細胞試料におけるバイオマーカー転写のノーザンブロット分析を実施する。ノーザン分析は、試料中のmRNAレベルの検出および/または定量のための標準的な方法である。最初に、ノーザンブロット分析を用いて検定する試料からRNAを単離する。分析では、RNA試料を、最初に変性条件下でアガロースゲルでの電気泳動によってサイズごとに分離する。次いで、RNAを膜に転写し、架橋させ、標識プローブとハイブリダイズさせる。典型的には、ノーザンハイブリダイゼーションは、インビトロでの放射性標識または非同位体標識DNAの重合、またはハイブリダイゼーションプローブとしてのオリゴヌクレオチドの作製を含む。典型的には、RNA試料を保持する膜は、プローブが膜を被覆するのを防ぐため、したがって非特異的バックグラウンドシグナルを低減するために、プローブハイブリダイゼーションの前にプレハイブリダイズするかまたはブロックする。ハイブリダイゼーション後、典型的には、緩衝液を数回交換して洗浄することによってハイブリダイズしていないプローブを除去する。洗浄およびハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーは、任意の当業者によって設計、選択および実行され得る。検出は、検出可能に標識されたプローブおよび適切な検出方法を用いて達成される。放射性標識および非放射性標識プローブならびにそれらの使用は、当技術分野において周知である。検定されるバイオマーカーの存在および/または相対的発現レベルは、例えばデンシトメトリーを用いて定量化することができる。
【0229】
本開示の別の態様では、RT-PCRを用いてバイオマーカー発現および/または変異状態を測定する。RT-PCRは、標的遺伝子のPCR増幅の進行をリアルタイムで検出することを可能にする。本開示のバイオマーカーの発現および/または変異状態を検出するのに必要とされるプライマーおよびプローブの設計は、当業者の技術範囲内である。RT-PCRを用いて、腫瘍組織試料中の本開示のバイオマーカーをコードするRNAのレベルを測定することができる。本開示の一態様では、生物学的試料からのRNAを、逆転写酵素での処理によってDNAに変換するよりも、RNアーゼフリー条件下で単離する。RNAのDNAへの逆転写酵素変換の方法は、当技術分野において周知である。PCRの説明は、以下の参考文献:Mullis et al., Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.51:263(1986);EP 50,424;EP 84,796;EP 258,017;EP 237,362;EP 201,184;米国特許第4,683,202号;同第4,582,788号;同第4,683,194号で提供されている。
【0230】
RT-PCRプローブは、標的アンプリコン(バイオマーカー遺伝子)にハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドを加水分解するためにPCRに使用されるDNAポリメラーゼの5'-3'ヌクレアーゼ活性に依存する。RT-PCRプローブは、5'末端に結合した蛍光レポーター色素および3'末端に結合した消光部分(またはその逆)を有するオリゴヌクレオチドである。これらのプローブは、PCR産物の内部領域にハイブリダイズするように設計される。ハイブリダイズしていない状態では、蛍光分子と消光分子の近接が、プローブからの蛍光シグナルの検出を妨げる。PCR増幅の間に、ポリメラーゼが、RT-PCRプローブが結合している鋳型を複製する場合、ポリメラーゼの5'-3'ヌクレアーゼ活性はプローブを切断する。これにより、蛍光色素と消光色素が分離され、FRETはもはや発生しなくなる。したがって、蛍光は、プローブ切断の量に比例して各サイクルで増加する。反応から放出された蛍光シグナルは、日常的な従来の技術を用いて、市販の装置を使用して経時的に測定または追跡することができる。
【0231】
本開示の別の態様では、バイオマーカーによってコードされるタンパク質の発現をウェスタンブロット分析によって検出する。ウェスタンブロット法(免疫ブロット法としても知られる)は、組織ホモジネートまたは抽出物の所与の試料におけるタンパク質検出のための方法である。ゲル電気泳動を用いて、変性タンパク質を質量によって分離する。次いで、タンパク質をゲルから膜(例えばニトロセルロースまたはポリフッ化ビニリデン(PVDF))上に移し、タンパク質に特異的に結合する一次抗体を用いて検出する。次に、結合した抗体を、検出可能な標識(例えばビオチン、ホースラディッシュペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)と結合した二次抗体によって検出することができる。二次標識シグナルの検出はタンパク質の存在を示す。
【0232】
本開示の別の態様では、バイオマーカーによってコードされるタンパク質の発現を酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって検出する。本開示の一態様では、「サンドイッチELISA」は、プレートを捕捉抗体で被覆する工程;試料を添加し、試料中に存在する任意の抗原が捕捉抗体に結合する工程;抗原にも結合する検出抗体を添加する工程;検出抗体に結合する酵素結合二次抗体を添加する工程;および二次抗体上の酵素によって検出可能な形態に変換される基質を添加する工程を含む。二次抗体からのシグナルの検出は、バイオマーカー抗原タンパク質の存在を示す。
【0233】
本開示の別の態様では、バイオマーカーの発現を遺伝子チップまたはマイクロアレイを使用して評価する。そのような技術は当業者の通常技術の範囲内である。
【0234】
本開示はまた、バイオマーカーに関して以下の特定の態様を提供する:
【0235】
態様I. 治療有効量のTG02多形形態を患者に投与することを含む、がんを有する患者を治療する方法であって、ここで、表1に列挙される遺伝子の1つまたは複数が、別の表現型状態の対象から得られた生物学的試料と比較して、患者から得られた生物学的試料中に差次的に存在する、方法。
【0236】
態様II. MYCの過剰発現が患者から得られた試料中に存在する、態様Iの方法。
【0237】
態様III. MCL1の過剰発現が患者から得られた試料中に存在する、態様IまたはIIの方法。
【0238】
態様IV. 治療有効量の免疫チェックポイント阻害剤を患者に投与することをさらに含む、態様I~IIIのいずれか1つの方法。
【0239】
態様V. TG02多形形態が、免疫チェックポイント阻害剤の前に患者に投与される、態様IVの方法。
【0240】
態様VI. TG02多形形態が、免疫チェックポイント阻害剤の後に患者に投与される、態様IVの方法。
【0241】
態様VII. TG02多形形態が、免疫チェックポイント阻害剤と同時に患者に投与される、態様IVの方法。
【0242】
態様VIII. 免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG3阻害剤、TIM3阻害剤、およびcd47阻害剤からなる群より選択される、態様IV~VIIのいずれか1つの方法。
【0243】
態様IX. 免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤である、態様VIIIの方法。
【0244】
態様X. PD-1阻害剤が抗PD-1抗体である、態様IXの方法。
【0245】
態様XI. 抗PD-1抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、およびSTI-1110からなる群より選択される、態様Xの方法。
【0246】
態様XII. 免疫チェックポイント阻害剤がPD-L1阻害剤である、態様VIIIの方法。
【0247】
態様XIII. PD-L1阻害剤が抗PD-L1抗体である、態様XIIの方法。
【0248】
態様XIV. 抗PD-L1抗体が、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、およびSTI-1014からなる群より選択される、態様XIIの方法。
【0249】
態様XV. 免疫チェックポイント阻害剤が抗CTLA-4阻害剤である、態様VIIIの方法。
【0250】
態様XVI. CTLA-4阻害剤が抗CTLA-4抗体である、態様XVの方法。
【0251】
態様XVII. 抗CTLA-4抗体が、イピリムマブおよびトレメリムマブからなる群より選択される、態様XVIの方法。
【0252】
態様XVIII. 免疫チェックポイント阻害剤がLAG3阻害剤である、態様VIIIの方法。
【0253】
態様XIX. LAG3阻害剤が抗LAG3抗体である、態様XVIIの方法。
【0254】
態様XX. 抗LAG3抗体がGSK2831781である、態様XIXの方法。
【0255】
態様XXI. 免疫チェックポイント阻害剤がTIM3阻害剤である、態様XXの方法。
【0256】
態様XXII. TIM3阻害剤が抗TIM3抗体である、態様XXIの方法。
【0257】
態様XXIII. 治療有効量のアルキル化剤を患者に投与することをさらに含む、態様I~IIIのいずれか1つの方法。
【0258】
態様XXIV. TG02多形形態が、アルキル化剤の前に患者に投与される、態様XXIIIの方法。
【0259】
態様XXV. TG02多形形態が、アルキル化剤の後に患者に投与される、態様XXIIIの方法。
【0260】
態様XXVI. 治療有効量のTG02多形形態が、アルキル化剤と同時に患者に投与される、態様XXIIIの方法。
【0261】
態様XXVII. アルキル化剤がテモゾロミドである、態様XXIII~XXVIのいずれか1つの方法。
【0262】
態様XXVIII. 治療有効量のプロテインキナーゼ阻害剤を患者に投与することをさらに含む、態様I~IIIのいずれか1つの方法。
【0263】
態様XXIX. TG02多形形態が、プロテインキナーゼ阻害剤の前に患者に投与される、態様XXVIIIの方法。
【0264】
態様XXX. TG02多形形態が、プロテインキナーゼ阻害剤の後に患者に投与される、態様XXVIIIの方法。
【0265】
態様XXXI. 治療有効量のTG02が、プロテインキナーゼ阻害剤と同時に患者に投与される、態様XXVIIIの方法。
【0266】
態様XXXII. プロテインキナーゼ阻害剤がソラフェニブである、態様XXVIII~XXXIのいずれか1つの方法。
【0267】
態様XXXIII. 治療有効量のプロテアソーム阻害剤を患者に投与することをさらに含む、態様I~IIIのいずれか1つの方法。
【0268】
態様XXXIV. TG02多形形態が、プロテアソーム阻害剤の前に患者に投与される、態様XXXIIIの方法。
【0269】
態様XXXV. TG02多形形態が、プロテアソーム阻害剤の後に患者に投与される、態様XXXIIIの方法。
【0270】
態様XXXVI. 治療有効量のTG02多形形態が、プロテアソーム阻害剤と同時に患者に投与される、態様XXXIIIの方法。
【0271】
態様XXXVII. プロテアソーム阻害剤がボルテゾミブである、態様XXXIII~XXXVIのいずれか1つの方法。
【0272】
態様XXXVIII. プロテアソーム阻害剤がカルフィリゾミブである、態様XXXIII~XXXVIのいずれか1つの方法。
【0273】
態様XXXIX. 治療有効量のトポイソメラーゼII阻害剤を患者に投与することをさらに含む、態様I~IIIのいずれか1つの方法。
【0274】
態様XL. TG02多形形態が、トポイソメラーゼII阻害剤の前に患者に投与される、態様XXXIXの方法。
【0275】
態様XLI. TG02多形形態が、トポイソメラーゼII阻害剤の後に患者に投与される、態様XXXIXの方法。
【0276】
態様XLII. 治療有効量のTG02多形形態が、トポイソメラーゼII阻害剤と同時に患者に投与される、態様XXXIXの方法。
【0277】
態様XLIII. トポイソメラーゼII阻害剤がドキソルビシンである、態様XXXIX~XLIIのいずれか1つの方法。
【0278】
態様XLIV. 治療有効量の白金配位錯体を患者に投与することをさらに含む、態様I~IIIのいずれか1つの方法。
【0279】
態様XLV. TG02多形形態が、白金配位錯体の前に患者に投与される、態様XLIVの方法。
【0280】
態様XLVI. TG02多形形態が、白金配位錯体の後に患者に投与される、態様XLIVの方法。
【0281】
態様XLVII. 治療有効量のTG02多形形態が、白金配位錯体と同時に患者に投与される、態様XLIVの方法。
【0282】
態様XLVIII. 白金配位錯体がシスプラチンである、態様XLIV~XLVIIのいずれか1つの方法。
【0283】
態様XLIX. 治療有効量のレナリドミドを患者に投与することをさらに含む、態様I~IIIのいずれか1つの方法。
【0284】
態様L. TG02多形形態が、レナリドミドの前に患者に投与される、態様XLIXの方法。
【0285】
態様LI. TG02多形形態が、レナリドミドの後に患者に投与される、態様XLIXの方法。
【0286】
態様LII. 治療有効量のTG02多形形態が、レナリドミドと同時に患者に投与される、態様XLIXの方法。
【0287】
態様LIII. 治療有効量の放射線療法を患者に施すことをさらに含む、態様I~IIIのいずれか1つの方法。
【0288】
態様LIV. TG02多形形態が、放射線療法の前に患者に投与される、態様LIIIの方法。
【0289】
態様LV. TG02多形形態が、放射線療法の後に患者に投与される、態様LIIIの方法。
【0290】
態様LVI. 治療有効量のTG02多形形態が、放射線療法と同時に患者に投与される、態様LIIIの方法。
【0291】
態様LVII. 治療有効量のTG02多形形態および免疫チェックポイント阻害剤を患者に投与することを含む、がんを有する患者を治療する方法。
【0292】
態様LVIII. TG02多形形態が、免疫チェックポイント阻害剤の前に患者に投与される、態様LVIIの方法。
【0293】
態様LIX. TG02多形形態が、免疫チェックポイント阻害剤の後に患者に投与される、態様LVIIの方法。
【0294】
態様LX. TG02多形形態が、免疫チェックポイント阻害剤と同時に患者に投与される、態様LVIIの方法。
【0295】
態様LXI. 免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG3阻害剤、およびTIM3阻害剤からなる群より選択される、態様LVII~LXのいずれか1つの方法。
【0296】
態様LXII. 免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤である、態様LXIの方法。
【0297】
態様LXIII. PD-1阻害剤が抗PD-1抗体である、態様LXIIの方法。
【0298】
態様LXIV. 抗PD-1抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、およびSTI-1110からなる群より選択される、態様LXIIIの方法。
【0299】
態様LXV. 免疫チェックポイント阻害剤がPD-L1阻害剤である、態様LXIの方法。
【0300】
態様LXVI. PD-L1阻害剤が抗PD-L1抗体である、態様LXVの方法。
【0301】
態様LXVII. 抗PD-L1抗体が、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、およびSTI-1014からなる群より選択される、態様LXVIの方法。
【0302】
態様LXVIII. 免疫チェックポイント阻害剤が抗CTLA-4阻害剤である、態様LXIの方法。
【0303】
態様LXIX. CTLA-4阻害剤が抗CTLA-4抗体である、態様LXVIIIの方法。
【0304】
態様LXX.抗CTLA-4抗体が、イピリムマブおよびトレメリムマブからなる群より選択される、態様LXIXの方法。
【0305】
態様LXXI. 免疫チェックポイント阻害剤がLAG3阻害剤である、態様LXIの方法。
【0306】
態様LXXII. LAG3阻害剤が抗LAG3抗体である、態様LXXIの方法。
【0307】
態様LXXIII. 抗LAG3抗体がGSK2831781である、態様LXXIIの方法。
【0308】
態様LXXIV. 免疫チェックポイント阻害剤がTIM3阻害剤である、態様LXIの方法。
【0309】
態様LXXV. TIM3阻害剤が抗TIM3抗体である、態様LXXIVの方法。
【0310】
態様LXXVI. 治療有効量のTG02多形形態およびアルキル化剤を患者に投与することを含む、がんを有する患者を治療する方法。
【0311】
態様LXXVII. TG02多形形態が、アルキル化剤の前に患者に投与される、態様LXXVIの方法。
【0312】
態様LXXVIII. TG02多形形態が、アルキル化剤の後に患者に投与される、態様LXXVIの方法。
【0313】
態様LXXIX. TG02多形形態が、アルキル化剤と同時に患者に投与される、態様LXXVIの方法。
【0314】
態様LXXX. アルキル化剤がテモゾロミドである、態様LXXVI~LXXIXのいずれか1つの方法。
【0315】
態様LXXXI. 治療有効量のTG02多形形態およびプロテインキナーゼ阻害剤を患者に投与することを含む、がんを有する患者を治療する方法。
【0316】
態様LXXXII. TG02多形形態が、プロテインキナーゼ阻害剤の前に患者に投与される、態様LXXXIの方法。
【0317】
態様LXXXIII. TG02多形形態が、プロテインキナーゼ阻害剤の後に患者に投与される、態様LXXXの方法。
【0318】
態様LXXXIV. 治療有効量のTG02多形形態が、プロテインキナーゼ阻害剤と同時に患者に投与される、態様LXXXの方法。
【0319】
態様LXXXV. プロテインキナーゼ阻害剤がソラフェニブである、態様LXXXI~LXXXIVのいずれか1つの方法。
【0320】
態様LXXXVI. 治療有効量のTG02多形形態およびプロテアソーム阻害剤を患者に投与することを含む、がんを有する患者を治療する方法。
【0321】
態様LXXXVII. TG02多形形態が、プロテアソーム阻害剤の前に患者に投与される、態様LXXXVIの方法。
【0322】
態様LXXXVIII. TG02多形形態が、プロテアソーム阻害剤の後に患者に投与される、態様LXXXVIの方法。
【0323】
態様LXXXIX. 治療有効量のTG02多形形態が、プロテアソーム阻害剤と同時に患者に投与される、態様LXXXVIの方法。
【0324】
態様XC. プロテアソーム阻害剤がボルテゾミブである、態様LXXXVI~LXXXIXのいずれか1つの方法。
【0325】
態様XCI. プロテアソーム阻害剤がカルフィリゾミブである、態様LXXXVI~LXXXIXのいずれか1つの方法。
【0326】
態様XCII. 治療有効量のTG02多形形態およびトポイソメラーゼII阻害剤を患者に投与することを含む、がんを有する患者を治療する方法。
【0327】
態様XCIII. TG02多形形態が、トポイソメラーゼII阻害剤の前に患者に投与される、態様XCIIの方法。
【0328】
態様XCIV. TG02多形形態が、トポイソメラーゼII阻害剤の後に患者に投与される、態様XCIIの方法。
【0329】
態様XCV. 治療有効量のTG02多形形態が、トポイソメラーゼII阻害剤と同時に患者に投与される、態様XCIIの方法。
【0330】
態様XCVI. トポイソメラーゼII阻害剤がドキソルビシンである、態様XCII~XCVのいずれか1つの方法。
【0331】
態様XCVII. 治療有効量のTG02多形形態および白金配位錯体を患者に投与することを含む、がんを有する患者を治療する方法。
【0332】
態様XCVIII. TG02多形形態が、白金配位錯体の前に患者に投与される、態様XCVIIの方法。
【0333】
態様XCIX. TG02多形形態が、白金配位錯体の後に患者に投与される、態様XCVIIの方法。
【0334】
態様C. 治療有効量のTG02多形形態が、白金配位錯体と同時に患者に投与される、態様XCVIIの方法。
【0335】
態様CI. 白金配位錯体がシスプラチンである、態様XCVII~Cのいずれか1つの方法。
【0336】
態様CII. 治療有効量のTG02多形形態およびレナリドミドを患者に投与することを含む、がんを有する患者を治療する方法。
【0337】
態様CIII. TG02多形形態が、レナリドミドの前に患者に投与される、態様CIIの方法。
【0338】
態様CIV. TG02多形形態が、レナリドミドの後に患者に投与される、態様CIIの方法。
【0339】
態様CV. 治療有効量のTG02多形形態が、レナリドミドと同時に患者に投与される、態様CIIの方法。
【0340】
態様CVI. 治療有効量のTG02多形形態および放射線療法を患者に施すことを含む、がんを有する患者を治療する方法。
【0341】
態様CVII. TG02多形形態が、放射線療法の前に患者に投与される、態様CVIの方法。
【0342】
態様CVIII. TG02多形形態が、放射線療法の後に患者に投与される、態様CVIの方法。
【0343】
態様CIX. 治療有効量のTG02多形形態が、放射線療法と同時に患者に投与される、態様CVIの方法。
【0344】
態様CX. がんが固形腫瘍である、態様I~CIXのいずれか1つの方法。
【0345】
態様CXI. がんが血液悪性腫瘍である、態様I~CIXのいずれか1つの方法。
【0346】
態様CXII. がんが、表2のがんのいずれか1つまたは複数である、態様I~CIXのいずれか1つの方法。
【0347】
態様CXIII. がんが、肝細胞がん、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、頭頸部がん、前立腺がん、黒色腫および結腸直腸がんからなる群より選択される、態様CXIIの方法。
【0348】
態様CXIV. がんが多発性骨髄腫である、態様CXIIの方法。
【0349】
態様CXV. がんが、従来の治療に対して抵抗性になっている、態様I~CXIVのいずれか1つの方法。
【0350】
態様CXVI. TG02多形形態および免疫チェックポイント阻害剤、アルキル化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、白金配位錯体、またはレナリドミドと、がんを有する患者にTG02多形形態および免疫チェックポイント阻害剤、アルキル化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、白金配位錯体、またはレナリドミドを投与するための指示書とを含む、キット。
【0351】
態様CXVII: 治療有効量のTG02多形形態を患者に投与することを含む、がんを有する患者を治療する方法であって、ここで、患者の細胞はバイオマーカーを含み、バイオマーカーはMCL-1の過剰発現、MYCの過剰発現、またはMCL-1とMYCとの同時過剰発現である、方法。
【0352】
態様CXVIII: がんを有する患者を治療する方法であって、
(a)患者からの生物学的試料中のMCL-1、MYC、またはMCL-1およびMYCの発現レベルを決定すること、ならびに発現レベルが、対照試料、例えば正常な非疾患患者またはMCL-1、MYC、もしくはMCL-1およびMYCの過剰発現がないがんを有する患者からの試料の発現レベルよりも高いと決定された場合、
(b)治療有効量のTG02多形形態を患者に投与すること
を含む方法。
【0353】
態様CXIX: 患者において、MCL-1、MYC、またはMCL-1およびMYCを過剰発現するがんを治療する方法であって、治療有効量のTG02多形形態を患者に投与することを含む方法。
【0354】
態様CXX: がんを有するヒト患者を治療する方法であって、
(a)患者から生物学的試料を得ること;
(b)生物学的試料がMCL-1とMYCとを同時過剰発現するかどうかを決定すること;および
(c)生物学的試料がMCL-1とMYCとの同時過剰発現を示す場合、治療有効量のTG02多形形態を患者に投与すること
を含む方法。
【0355】
態様CXXI: がんを有するヒト患者を治療する方法であって、
(a)TG02多形形態を対象に投与する前に、患者から得られた生物学的試料中のMCL-1発現レベルを測定すること;
(b)MCL-1発現レベルが所定の閾値基準よりも高いかどうかを決定すること;ならびに
(c)MCL-1発現レベルが所定の閾値標準よりも高い場合、治療有効量のTG02多形形態および、任意で、MCL-1阻害剤を患者に投与すること
を含む方法。
【0356】
態様CXXII: がんを有するヒト患者を治療する方法であって、
(a)TG02多形形態を対象に投与する前に、患者から得られた生物学的試料中のMYC発現レベルを測定すること;
(b)MYC発現レベルが所定の閾値基準よりも高いかどうかを決定すること;ならびに
(c)MYC発現レベルが所定の閾値標準よりも高い場合、治療有効量のTG02多形形態および、任意で、MYC阻害剤を患者に投与すること
を含む方法。
【0357】
態様CXXIII: 少なくとも1つのさらなる抗がん剤を患者に投与する、態様CXVII~CXXIIのいずれか1つの方法。
【0358】
態様CXXIV: 少なくとも1つのさらなる抗がん剤が抗PD-1抗体である、態様CXXIIIの方法。
【0359】
態様CXXV: 少なくとも1つのさらなる抗がん剤が放射線である、態様CXXIIIの方法。
【0360】
態様CXXVI: 少なくとも1つのさらなる抗がん剤がテモゾロミドである、態様CXXIIIの方法。
【0361】
態様CXXVII: がんが、神経膠芽腫、肝細胞がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、およびトリプルネガティブ乳がんからなる群より選択される、態様CXVII~CXXVIのいずれか1つの方法。
【0362】
態様CXXVIII: 神経膠芽腫を有するヒト患者を治療する方法であって、治療有効量のTG02多形形態および抗PD-1抗体を患者に投与することを含む方法。
【0363】
態様CXXIX: 神経膠芽腫を有するヒト患者を治療する方法であって、治療有効量のTG02多形形態および放射線を患者に投与することを含む方法。
【0364】
態様CXXX: 神経膠芽腫を有するヒト患者を治療する方法であって、治療有効量のTG02多形形態およびテモゾロミドを患者に投与することを含む方法。
【0365】
態様CXXXI: 肝細胞がんを有するヒト患者を治療する方法であって、治療有効量のTG02多形形態およびソラフェニブまたはレゴラフェニブを患者に投与することを含む方法。
【0366】
態様CXXXII: 多発性骨髄腫を有するヒト患者を治療する方法であって、治療有効量のTG02多形形態およびボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、またはレナリドミドを患者に投与することを含む方法。
【0367】
態様CXXXIII: 慢性リンパ性白血病を有するヒト患者を治療する方法であって、治療有効量のTG02多形形態およびイブルチニブまたはイデラリシブを患者に投与することを含む方法。
【0368】
態様CXXXIV: 急性骨髄性白血病を有するヒト患者を治療する方法であって、治療有効量のTG02多形形態およびシタラビン(Ara-C)を患者に投与することを含む方法。
【0369】
態様CXXXV: トリプルネガティブ乳がんを有するヒト患者を治療する方法であって、治療有効量のTG02多形形態およびドキソルビシンを患者に投与することを含む方法。
【0370】
態様CXXXVI: 小細胞肺がんを有するヒト患者を治療する方法であって、治療有効量のTG02多形形態およびシプラチンを患者に投与することを含む方法。
【0371】
態様CXXXVII: がんを有するヒト患者を治療する方法であって、有効量のTG02多形形態を患者に治療的に投与することを含む方法。
【0372】
態様CXXXVIII: 急性白血病、多発性骨髄腫、神経膠芽腫、肝細胞がん、非小細胞がん、小細胞肺がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、またはトリプルネガティブ乳がんを有するヒト患者を治療する方法であって、有効量のTG02多形形態を患者に治療的に投与することを含む方法。
【0373】
態様CXXXVIX: TG02多形形態がTG02形態X(クエン酸塩)である、態様I~CXXXVIIIのいずれか1つの方法。
【0374】
本開示はまた、以下の特定の態様も対象とする。
【0375】
態様1. 以下からなる群より選択されるTG02多形形態:
15.2、15.5、21.7、22.1、23.0、26.2、および29.9度2θにピークを有する粉末X線回折パターンを有することを特徴とする形態X(クエン酸塩);
6.077、17.675、17.994、18.475、19.135、および19.727度2θにピークを有する粉末X線回折パターンを有することを特徴とする形態I(FB);
8.238、11.607、16.683、17.153、および19.073度2θにピークを有する粉末X線回折パターンを有することを特徴とする形態II(FB);
6.236、17.674、17.769、19.056、19.082、21.631、および25.596度2θにピークを有する粉末X線回折パターンを有することを特徴とする形態III(FB);
8.484、17.409、18.807、19.299、および22.616度2θにピークを有する粉末X線回折パターンを有することを特徴とする形態IV(FB);
7.151、14.299、19.114、19.185、および21.495度2θにピークを有する粉末X線回折パターンを有することを特徴とする形態V(FB);
8.055、12.695、15.868、16.664、18.460、19.392、22.103、24.552、25.604度2θにピークを有する粉末X線回折パターンを有することを特徴とする形態VI(HCl);
6.601、12.691、13.364、21.785、23.554、および27.007度2θにピークを有する粉末X線回折パターンを有することを特徴とする形態VII(HCl);ならびに
12.994、16.147、22.211、23.305、および24.586度2θにピークを有する粉末X線回折パターンを有することを特徴とする形態VIII(HCl)。
【0376】
態様2. 形態X(クエン酸塩)である、態様1のTG02多形形態。
【0377】
態様3. 約10μm以下の平均粒径分布を有する、態様1または2のTG02多形形態。
【0378】
態様4. 約1μm以下の平均粒径分布を有する、態様3のTG02多形形態。
【0379】
態様5. 態様1~4のいずれか1つのTG02多形形態と、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物。
【0380】
態様6. 1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤の少なくとも1つが、ケイ化微結晶セルロース、ヒプロメロース2910、クロスピビドン、およびステアリン酸マグネシウムからなる群より選択される、態様5の組成物。
【0381】
態様7. 1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤の少なくとも1つがケイ化微結晶セルロースである、態様6の組成物。
【0382】
態様8. がんを有する患者を治療する方法であって、治療有効量の態様1~4のいずれか1つのTG02多形形態を患者に投与することを含む方法。
【0383】
態様9. 治療有効量の態様1~4のいずれか1つのTG02多形形態を患者に投与することを含む、がんを有する患者を治療する方法であって、ここで、MYCの過剰発現、MCL1の過剰発現、またはMYCおよびMCL1の過剰発現が、別の表現型状態の対象と比較して、患者において差次的に存在する、方法。
【0384】
態様10. MYCの過剰発現が、患者から得られた試料中に差次的に存在する、態様9の方法。
【0385】
態様11. MCL1の過剰発現が、患者から得られた試料中に差次的に存在する、態様9の方法。
【0386】
態様12. MYCおよびMCL1の過剰発現が、患者から得られた生物学的試料中に差次的に存在する、態様9の方法。
【0387】
態様13. 治療有効量の第2の治療薬を患者に投与することをさらに含む、態様8~12のいずれか1つの方法。
【0388】
態様14. 第2の治療薬が、テモゾロミド、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン、シスプラチン、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、レナリドミド、ソラフェニブ、および放射線療法からなる群より選択される、態様13の方法。
【0389】
態様15. 第2の治療薬が免疫チェックポイント阻害剤である、態様13の方法。
【0390】
態様16. 免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤である、態様15の方法。
【0391】
態様17. PD-1阻害剤が抗PD-1抗体である、態様16の方法。
【0392】
態様18. 抗PD-1抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、およびSTI-1110からなる群より選択される、態様17の方法。
【0393】
態様19. PD-L1阻害剤が抗PD-L1抗体である、態様16の方法。
【0394】
態様20. 抗PD-L1抗体が、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、およびSTI-1014からなる群より選択される、態様19の方法。
【0395】
態様21. がんが固形腫瘍である、態様8~20のいずれか1つの方法。
【0396】
態様22. がんが血液悪性腫瘍である、態様8~20のいずれか1つの方法。
【0397】
態様23. がんが、表2のがんのいずれか1つまたは複数である、態様8~20のいずれか1つの方法。
【0398】
態様24. がんが、多発性骨髄腫、肝細胞がん、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、頭頸部がん、前立腺がん、黒色腫、および結腸直腸がんからなる群より選択される、態様23の方法。
【0399】
態様25. がんが、従来の治療に対して抵抗性になっている、態様8~24のいずれか1つの方法。
【0400】
態様26. がんの治療における使用のための、態様1~4のいずれか1つのTG02多形形態。
【0401】
態様27. がんが固形腫瘍である、態様26の使用のためのTG02多形形態。
【0402】
態様28. がんが血液悪性腫瘍である、態様26の使用のためのTG02多形形態。
【0403】
態様29. がんが、表2のがんのいずれか1つまたは複数である、態様26の使用のためのTG02多形形態。
【0404】
態様30. がんが、多発性骨髄腫、肝細胞がん、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、頭頸部がん、前立腺がん、黒色腫、および結腸直腸がんからなる群より選択される、態様26の使用のためのTG02多形形態。
【0405】
態様31. がんの治療のための薬剤の製造のための、態様1~4のいずれか1つのTG02多形形態の使用。
【0406】
態様32. がんが固形腫瘍である、態様31のTG02多形形態の使用。
【0407】
態様33. がんが血液悪性腫瘍である、態様31のTG02多形形態の使用。
【0408】
態様34. がんが、表2のがんのいずれか1つまたは複数である、態様31のTG02多形形態の使用。
【0409】
態様35. がんが、多発性骨髄腫、肝細胞がん、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、頭頸部がん、前立腺がん、黒色腫、および結腸直腸がんからなる群より選択される、態様31のTG02多形形態の使用。
【0410】
態様36. がんを治療することにおける使用のための、態様4の薬学的組成物。
【0411】
態様37. がんが固形腫瘍である、態様36の薬学的組成物。
【0412】
態様38. がんが血液悪性腫瘍である、態様36の薬学的組成物。
【0413】
態様39. がんが、表2のがんのいずれか1つまたは複数である、態様36の薬学的組成物。
【0414】
態様40. がんが、多発性骨髄腫、肝細胞がん、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、頭頸部がん、前立腺がん、黒色腫、および結腸直腸がんからなる群より選択される、態様36の薬学的組成物。
【0415】
態様41. 態様1~4のいずれか1つのTG02多形形態と、がんを有する患者にTG02多形形態を投与するための指示書とを含む、キット。
【0416】
態様42. 免疫チェックポイント阻害剤またはアルキル化剤をさらに含む、態様41のキット。
【0417】
態様43. 免疫チェックポイント阻害剤またはアルキル化剤を患者に投与するための指示書をさらに含む、態様42のキット。
【0418】
態様44. 態様5の組成物を作製する方法であって、TG02多形形態と、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤とを混合することを含む方法。
【0419】
態様45. TG02多形形態が形態X(クエン酸塩)である、態様44の方法。
【0420】
態様46. 態様2のTG02形態X(クエン酸塩)を作製する方法であって、
(a)エタノール中のクエン酸の溶液とDMSO/エタノール中のTG02遊離塩基の溶液とを組み合わせること;
(b)(a)の溶液を約70℃で少なくとも約15分間加熱して、TG02クエン酸塩を含む溶液を得ること;
(c)TG02クエン酸塩を含む(b)の溶液を約5℃に冷却して、結晶性固体を得ること;および
(d)(c)の結晶性固体を単離して、TG02形態X(クエン酸塩)を得ること
を含む方法。
【0421】
態様47. 第2の治療薬がレゴラフェニブである、態様13の方法。
【0422】
V. 定義
本明細書で使用される「TG02」という用語は、(16E)-14-メチル-20-オキサ-5,7,14,26-テトラアザテトラシクロ[19.3.1.1(2,6).1(8,12)]ヘプタコサ-1(25),2(26),3,5,8(27),9,11,16,21,23-デカエンを指す。
【0423】
「TG02遊離塩基」または「TG02 FB」という用語は、(16E)-14-メチル-20-オキサ-5,7,14,26-テトラアザテトラシクロ[19.3.1.1(2,6).1(8,12)]ヘプタコサ-1(25),2(26),3,5,8(27),9,11,16,21,23-デカエンの遊離塩基を指す。
【0424】
「TG02酸付加塩」または「TG02塩」という用語は、(16E)-14-メチル-20-オキサ-5,7,14,26-テトラアザテトラシクロ[19.3.1.1(2,6).1(8,12)]ヘプタコサ-1(25),2(26),3,5,8(27),9,11,16,21,23-デカエンの薬学的に許容される酸付加塩を指す。薬学的に許容される酸付加塩を形成するために使用できる酸の例には、硝酸、ホウ酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸などの無機酸、ならびにシュウ酸、マレイン酸、コハク酸およびクエン酸などの有機酸が含まれる。TG02の塩の非限定的な例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ギ酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、アスコルビン酸塩、イセチオン酸塩、サリチル酸塩、メタンスルホン酸塩、メシチレンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩およびp-トルエンスルホン酸塩が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0425】
「TG02クエン酸塩」または「TG02 CA」という用語は、(16E)-14-メチル-20-オキサ-5,7,14,26-テトラアザテトラシクロ[19.3.1.1(2,6).1(8,12)]ヘプタコサ-1(25),2(26),3,5,8(27),9,11,16,21,23-デカエンのクエン酸塩を指す。これは、(16E)-14-メチル-20-オキサ-5,7,14,26-テトラアザテトラシクロ[19.3.1.1(2,6).1(8,12)]ヘプタコサ-1(25),2(26),3,5,8(27),9,11,16,21,23-デカエン-クエン酸としても公知である。
【0426】
「TG02 HCl」という用語は、(16E)-14-メチル-20-オキサ-5,7,14,26-テトラアザテトラシクロ[19.3.1.1(2,6).1(8,12)]ヘプタコサ-1(25),2(26),3,5,8(27),9,11,16,21,23-デカエンの塩酸塩を指す。これは、(16E)-14-メチル-20-オキサ-5,7,14,26-テトラアザテトラシクロ[19.3.1.1(2,6).1(8,12)]ヘプタコサ-1(25),2(26),3,5,8(27),9,11,16,21,23-デカエン-塩酸としても公知である。
【0427】
本明細書で使用される「TG02多形形態」という用語は、TG02遊離塩基の結晶多形形態およびTG02酸付加塩の結晶多形形態を指す。TG02多形形態には、TG02形態I(FB)、TG02形態II(FB)、TG02形態III(FB)、TG02形態IV(FB)、TG02形態V(FB)、TG02形態VI(HCl)、TG02形態VII(HCl)、TG02形態VIII(HCl)、またはTG02形態X(クエン酸塩)のいずれか1つまたは複数が含まれるが、これらに限定されるわけではない。一態様では、TG02多形形態はTG02形態X(クエン酸塩)である。
【0428】
本明細書で使用される「生物学的試料」という用語は、MYCおよび/またはMCL1発現状態などのバイオマーカーを検出するのに適した、患者由来の任意の組織または体液を指す。有用な生物学的試料の例には、生検組織および/または細胞、例えば固形腫瘍、リンパ腺、炎症組織、状態または疾患に関与する組織および/または細胞、血液、血漿、漿液、脳脊髄液、唾液、尿、リンパ、脳脊髄液などが含まれるが、これらに限定されるわけではない。他の適切な生物学的試料は、関連技術分野の当業者にはよく知られているであろう。生物学的試料は、当技術分野で公知の任意の技術を用いて、バイオマーカー発現および/または突然変異について分析することができ、十分に臨床医療従事者の通常の知識の範囲内にある技術を用いて得ることができる。本開示の一態様では、生物学的試料は血球を含む。
【0429】
本開示を説明する文脈において(特に特許請求の範囲の文脈において)「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」および同様の指示対象は、別段の指示がない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書での値の範囲の列挙は、本明細書中で別段の指示がない限り、単に、範囲内に含まれる各々別個の値を個々に言及することの簡略方法としての役割を果たすことが意図されており、各別個の値は、本明細書で個々に列挙されているかのごとくに本明細書に組み入れられる。本明細書で提供されるありとあらゆる例または例示的な言語、例えば「など」の使用は、本開示をより良く説明することが意図されており、別段の特許請求がない限り、本開示の範囲を限定するものではない。本明細書におけるいかなる言語も、本開示の実施に必須であると特許請求されていない要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0430】
本明細書で使用される「約」という用語は、記載される数±10%を含む。したがって、「約10」は9~11を意味する。
【0431】
本明細書で使用される場合、特定のTG02多形形態に関して「実質的に純粋な」という用語は、多形形態が、約10重量%以下、例えば約9重量%、約8重量%、約7重量%、約6重量%、約5重量%、約4重量%、約3重量%、約2重量%、または約1重量%以下のTG02の任意の他の物理的、例えば結晶および/または非晶質形態を含むことを意味する。
【0432】
本明細書で使用される場合、特定のTG02多形形態に関して「純粋な」という用語は、多形形態が、約1重量%以下、例えば約0.9重量%、約0.8重量%、約0.7重量%、約0.6重量%、約0.5重量%、約0.4重量%、約0.3重量%、約0.2重量%、または約0.1重量%以下のTG02の任意の他の物理的形態を含むことを意味する。一態様では、「純粋な」多形形態は、PXRDで検出可能な量のTG02の他の物理的形態を含まない。
【0433】
本明細書で使用される場合、「非晶質」という用語は、結晶に特有の長距離秩序を欠くTG02の固体形態を指し、すなわち固体は非結晶性である。
【0434】
本明細書で使用される場合、PXRDピーク位置および相対強度に関して「本質的に同じ」という用語は、PXRD回折図を比較する場合にピーク位置および強度のばらつきを考慮することを意味する。PXRDのピーク位置は、±0.2°程度の装置間変動を示し、「本質的に同じ」である。相対ピーク強度も、結晶化度、配向、調製された試料の表面、および当業者に公知の他の因子による装置間の変動を示すことがあり、定性的手段としてのみ解釈されるべきである。
【0435】
本明細書で使用される場合、「微粉化」という用語は、粒子の集団のサイズを、典型的にはミクロン規模に減少させる工程または方法を指す。
【0436】
本明細書で使用される場合、「ミクロン」または「μm」という用語、1×10-6メートルである「マイクロメートル」を指す。
【0437】
本明細書で使用される「平均粒径分布」または「D50」という用語は、Malvern Master Sizer Microplus機器またはその等価物を使用したレーザー回折によって決定されるように、粒子の50質量%がより大きな相当直径を有し、他の50質量%がより小さな相当直径を有する直径である。
【0438】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、「治療」などの用語は、疾患または状態、および/またはそれに関連する症状を排除する、軽減するまたは改善することを指す。除外されるわけではないが、疾患または状態を治療することは、疾患、状態、またはそれに関連する症状が完全に排除されることを必要としない。しかし、一態様では、TG02多形形態および/または免疫チェックポイント阻害剤の投与は、がんの完全な寛解をもたらす。
【0439】
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、障害の1つもしくは複数の症状の改善をもたらす、または障害の進行を防止する、または障害の後退を生じさせるのに十分な治療薬の量を指す。例えば、がんの治療に関して、一態様では、治療有効量は、治療応答、例えば、血球数の正常化、腫瘍成長速度の減少、腫瘍量の減少、転移数の減少、腫瘍進行までの時間の増加、および/または患者の生存時間を少なくとも約2%増加させる治療薬の量を指す。他の態様では、治療有効量は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%、またはそれ以上の治療応答を生じさせる治療薬の量を指す。
【0440】
「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容されるビヒクル」という用語は、標準的な薬学的担体、溶媒、界面活性剤またはビヒクルのいずれも包含する。適切な薬学的に許容されるビヒクルには、水性ビヒクルおよび非水性ビヒクルが含まれる。標準的な薬学的担体およびその製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA, 19th ed. 1995に記載されている。
【0441】
「容器」という用語は、医薬品の貯蔵、配送、分配および/または取り扱いに適した任意の容器およびそのための密閉手段を意味する。
【0442】
「添付文書」という用語は、医師、薬剤師および患者が製品の使用に関する情報に基づく決定を下すために必要な安全性および有効性データと共に、製品の投与方法の説明を提供する、医薬品に添付される情報を意味する。添付文書は、一般に医薬品の「ラベル」とみなされる。
【0443】
「併用投与」、「組み合わせて投与される」、「同時投与」および同様の語句は、2つまたはそれ以上の剤が、治療される対象に同時に投与されることを意味する。「同時に」とは、各々の剤が、同時にまたは異なる時点で任意の順序で連続的に投与されることを意味する。しかし、同時に投与されない場合は、剤が、所望の治療効果を提供し、協調的に作用するように一連の十分に近接した時間に個体に投与されることを意味する。例えば、TG02多形形態は、免疫チェックポイント阻害剤および/または任意の治療薬と同時に、または異なる時点で任意の順序で連続的に投与することができる。TG02多形形態および免疫チェックポイント阻害剤および/または任意の治療薬は、任意の適切な形態で、任意の適切な経路によって別々に投与することができる。TG02多形形態および免疫チェックポイント阻害剤および/または任意の治療薬を同時に投与しない場合は、それらを必要とする患者に任意の順序で投与できることが理解される。例えば、TG02多形形態は、免疫チェックポイント阻害剤の前に(例えば5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間または12週間前に)、免疫チェックポイント阻害剤と同時に、またはその後に(例えば5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間または12週間後に)、それを必要とする個体に投与することができる。様々な態様では、TG02多形形態および免疫チェックポイント阻害剤は、1分間隔、10分間隔、30分間隔、1時間未満の間隔、1時間間隔、1時間~2時間間隔、2時間~3時間間隔、3時間~4時間間隔、4時間~5時間間隔、5時間~6時間間隔、6時間~7時間間隔、7時間~8時間間隔、8時間~9時間間隔、9時間~10時間間隔、10時間~11時間間隔、11時間~12時間間隔、24時間以内の間隔または48時間以内の間隔で投与される。一態様では、併用療法の成分は、約1分~約24時間の間隔で投与される。一態様では、TG02多形形態は、免疫チェックポイント阻害剤が投与される日の3~7日前に投与される。別の態様では、TG02多形形態はまた、免疫チェックポイント阻害剤が投与される日にも投与され、疾患の進行まで、またはTG02療法がもはや有益でなくなるまで継続して投与される。
【実施例
【0444】
一般的な機器および方法の詳細
X線粉末回折
X線粉末回折(XRPDまたはPXRD)の回折図を、Cu Kα放射線を使用してBruker AXS C2 GADDS、Bruker AXS DB Advance、PANalytical Empyrean、または同様の回折計で収集した。
【0445】
Bruker AXS C2 GADDS回折計
XRPD回折図を、Cu Kα放射線(40kV、40mA)、自動XYZステージ、自動試料ポジショニングのためのレーザービデオ顕微鏡およびVantec-500二次元面積検出器を使用して、Bruker AXS C2 GADDS回折計で収集した。X線光学系は、0.3 mmのピンホールコリメータに接続された単一のGobel多層鏡からなる。
【0446】
ビーム拡散、すなわち試料に対するX線ビームの有効サイズは約4mmであった。1.5°~32.5°の有効2θ範囲を与える試料-検出器距離20ecmでθ-θ連続走査モードを使用した。典型的には、試料を120秒間X線ビームに曝露した。データの収集および分析に使用したソフトウェアは、それぞれWin7/XPのGADDSおよびDiffrac Plus EVAであった。
【0447】
周囲条件下で検査される試料は、粉砕せずに取得したままの粉末を使用して平板標本として調製した。スライドガラスまたはガラスフリット上で試料を調製し、分析した。試料をスライドガラスに軽く押し付けて、分析用の平らな表面を得た。ガラスフリットフィルタブロックを使用して、少量の懸濁液をガラスフリットに直接添加することによって懸濁液から固体を単離し、分析した後、軽度真空下で濾過した。
【0448】
可変温度(VT)実験のために、周囲条件で試料をAnton Paar DHS 900ホットステージに載せた。次に、試料を20℃/分で適切な温度まで加熱し、その後、データ収集を開始する前に1分間等温に保持した。熱伝導性化合物を使用してホットステージに取り付けたシリコンウエハー上で試料を調製し、分析した。
【0449】
Bruker AXS DB Advance回折計
XRPD回折図を、Cu Kα放射線(40kV、40mA)およびGeモノクロメータを取り付けた8-28ゴニオメータを使用して、Bruker D8回折計で収集した。入射ビームは、2.0mmの発散スリットを通過し、続いて0.2 mmの散乱防止スリットとナイフエッジを通過する。回折されたビームは、2.5°ソーラースリットと8.0mmの受光スリットを通過した後、Lynxeye検出器を通る。データの収集および分析に使用したソフトウェアは、それぞれDiffrac Plus XRD CommanderおよびDiffrac Plus EVAであった。
【0450】
試料を、取得したままの粉末を使用して平板標本として周囲条件下で検査した。試料は、研磨されたゼロバックグラウンド(510)シリコンウエハー上で、平らな表面に静かに押し付けることによって調製するか、またはカットキャビティに充填した。試料を、それ自体の平面で回転させた。
【0451】
標準的なデータ収集方法の詳細は次のとおりである:角度範囲:2~42°2θ;ステップサイズ:0.05°2θ;および収集時間:0.5秒/ステップ(合計収集時間:6.40分)。
【0452】
PANalytical Empyrean回折計
XRPD回折図を、透過ジオメトリでCu Kα放射線(45kV、40mA)を使用して、PANalytical Empyrean回折計で収集した。0.5°スリット、4mmマスクおよび0.04ラドのソーラースリットを集束鏡と共に入射ビームに使用した。回折ビーム上に配置されたPIXcel3D検出器に受光スリットと0.04ラドのソーラースリットを取り付けた。データ収集に使用したソフトウェアは、X’Pert Operator Interfaceを使用するX’Pert Data Collectorであった。Diffrac Plus EVAまたはHighScore Plusを使用してデータを分析し、提示した。
【0453】
透過モードで金属またはミリポア96ウェルプレートで試料を調製し、分析した。金属ウェルプレートの金属シートの間にX線透過性フィルムを使用し、粉末(約1~2mg)を受け取ったままで使用した。ミリポアプレートを使用して、少量の懸濁液をプレートに直接添加することによって懸濁液から固体を単離し、分析した後、軽度真空下で濾過した。
【0454】
金属プレートの走査モードではゴニックスキャン軸を使用し、ミリポアプレートには28スキャンを使用した。
【0455】
標準的なスクリーニングデータ収集方法の詳細は次のとおりである:角度範囲:2.5~32.0°2θ;ステップサイズ:0.0130°2θ;および収集時間:12.75秒/ステップ(合計収集時間2.07分)。
【0456】
データ収集に使用したソフトウェアはX’Pert Data Collectorであり、データは、Diffrac Plus EVAまたはHighscore Plusを使用して分析し、提示した。
【0457】
Anton Paarクロムメッキ試料ホルダーで試料を調製し、分析した。
【0458】
核磁気共鳴(NMR)
1H NMRスペクトルを、オートサンプラーを備え、DRX400コンソールによって制御されるBruker 400MHz機器で収集した。特に明記しない限り、試料はDMSO-d6溶媒中で調製した。自動化実験は、標準Bruker負荷実験(1H、13C{1H}、DEPT135)を用いて、Topspinソフトウェア内のICON-NMRコンフィギュレーションを使用して取得した。ACD Spectrus Processorを使用してオフライン分析を実施した。
【0459】
示差走査熱量測定(DSC)
DSCデータを、50ポジションのオートサンプラーを装備したTA Instruments Q2000で収集した。典型的には、ピンホール付きアルミニウムパンで、0.5~1.5mgの各試料を2℃/分または10℃/分で25℃から250℃に加熱した。50ml/分の乾燥窒素のパージを試料上で維持した。機器制御ソフトウェアは、Q SeriesのAdvantageおよびThermal Advantageであり、Universal AnalysisまたはTRIOSを使用してデータを分析した。
【0460】
熱重量分析(TGA)
TGAデータを、16ポジションのオートサンプラーを装備したTA Instruments Q500 TGAで収集した。典型的には、3~6mgの各試料を、予め風袋重量を計量したアルミニウムDSCパンに充填し、10℃/分で周囲温度から350℃に加熱した。60ml/分の窒素パージを試料上で維持した。
【0461】
機器制御ソフトウェアは、Q SeriesのAdvantageおよびThermal Advantageであり、Universal AnalysisまたはTRIOSを使用してデータを分析した。
【0462】
偏光顕微鏡法(PLM)
試料を、画像取得用のデジタルビデオカメラを備えたLeica LM/DM偏光顕微鏡で分析した。少量の各試料を、浸漬油を用いてまたは浸漬油なしで、スライドガラス上に置き、スリップガラスで覆った。試料を、適切な倍率で、λ偽色フィルタに接続した部分偏光で観察した。StudioCaptureまたはImage ProPlusソフトウェアを使用して画像を取得した。
【0463】
重量蒸気収着(GVS)
DVS Intrinsic Controlソフトウェアによって制御されるSMS DVS Intrinsic水分収着分析器を使用して、収着等温線を得た。機器の制御によって試料の温度を25℃に維持した。湿度を、200ml/分の合計流量で、乾燥窒素流と湿った窒素流とを混合することによって制御した。相対湿度は、試料の近くにある較正済みのRotronicプローブ(1.0~100%RHのダイナミックレンジ)によって測定した。%RHの関数としての試料の重量変化(質量緩和)を、微量天秤(精度±0.005mg)によって常に監視した。
【0464】
典型的には、5~30mgの試料を、周囲条件下で、風袋重量を計量したメッシュステンレス鋼のバスケットに入れた。40%RHおよび25℃(典型的な室内条件)で試料を充填し、取り出した。以下に概説するように、水分収着等温線測定を実施した(完全なサイクルごとに2回のスキャン)。標準的な等温線測定を、0~90%RHの範囲にわたって10%RH間隔で、25℃で実施した。典型的には、ダブルサイクル(4回のスキャン)を実施した。データ分析は、DVS Analysis Suiteを使用してMicrosoft Excel内で実施した。
【0465】
等温線測定の完了後に試料を回収し、XRPDによって再分析した。
【0466】
カールフィッシャー滴定(KF)による水分量測定
各試料の含水量を、Hydranal Coulomat AGオーブン試薬と窒素パージを使用して、851 Titrano Coulometerを備える150℃のMetrohm 874 Oven Sample Processorで測定した。計量された固体試料を、密封された試料バイアルに入れた。滴定ごとに約10mgの試料を使用し、二重の測定を行った。特に明記しない限り、これらの結果の平均を提示する。データの収集および分析は、Tiamoソフトウェアを使用して実施した。
【0467】
熱力学的水溶解度
十分な化合物を適切な媒質に懸濁して、化合物の親遊離形態の10mg/ml以上の最大最終濃度を得ることによって水溶解度を決定した。懸濁液を、750rpmに設定したHeidolphプレートシェーカーで、25℃で24時間平衡化した。次に、飽和溶液のpHを測定し、懸濁液をガラス繊維Cフィルタ(粒子保持1.2μm)で濾過し、適切に希釈した。DMSO中約0.15mg/mlの標準溶液を参照して、HPLCによる定量を行った。様々な容量の標準希釈および未希釈の試料溶液を注入した。標準注入の主要ピークと同じ保持時間で認められたピークの積分によって決定されたピーク面積を使用して、溶解度を計算した。
【0468】
光安定性試験
Atlas CPS+ライトボックスを使用して、固体および液体試料を加速ストレス条件に曝露した。試料を、液体試料の場合は蓋を閉じた透明なガラスバイアル、固体試料の場合は開放バイアルで、分析用に2つ組で調製した。バイアルのうちの2つを光条件に曝露し、その他のバイアルを、参照物質として機能するようにアルミ箔で包んだ。固体試料の試料厚さは約3mm以下であった。
【0469】
光への曝露は、単一の石英ガラスフィルタと2つの窓ガラスフィルタの組み合わせによって行い、試験試料に対するUV光の影響を低減した。試料への温度の影響は、チラーユニットをライトボックスに取り付けることによって低減した。試料の分析は、HPLCによって実施した。
【0470】
実施例1
TG02遊離塩基多形形態の調製
形態I(FB)
調製:NaHCO3(水溶液)をTG02・2HClとDCMを含む混合物に添加し、pHを8に調整した。分離した有機層をほぼ乾燥するまで濃縮して、TG02形態I(FB)を得た。
【0471】
特性決定:TG02形態I(FB)のPXRDを図3に示す。表3に、TG02形態I(FB)のピーク位置、d値、および相対ピーク強度を示す。
【0472】
(表3)
【0473】
形態II(FB)
調製:K2CO3(水溶液)をTG02・HClとMeOHを含む溶液に40~60℃で添加し、pHを8~9に調整した。生成物を濾過し、乾燥させてTG02形態II(FB)を得た。
【0474】
特性決定:TG02形態II(FB)のPXRDを図4に示す。表4に、TG02形態II(FB)のピーク位置、d値、および相対ピーク強度を示す。
【0475】
(表4)
【0476】
形態III(FB)
調製:DCM中のTG02遊離塩基の溶液をトルエンと交換した。20~30℃に冷却した後、生成物を濾過し、乾燥させてTG02形態III(FB)を得た。
【0477】
特性決定:TG02形態III(FB)のPXRDを図5に示す。表5に、TG02形態III(FB)のピーク位置、d値、および相対ピーク強度を示す。
【0478】
(表5)
【0479】
形態IV(FB)
調製:TG02遊離塩基とDMFを含む温溶液を20~30℃に冷却した。生成物を濾過し、乾燥させてTG02形態IV(FB)を得た。
【0480】
特性決定:TG02形態IV(FB)のPXRDを図6に示す。表6に、TG02形態IV(FB)のピーク位置、d値、および相対ピーク強度を示す。
【0481】
(表6)
【0482】
形態V(FB)
調製:TG02遊離塩基とDMSO/アセトンまたはNMP/アセトンまたはDMF/EtOAcを含む温溶液を20~30℃に冷却した。生成物を濾過し、乾燥させてTG02形態V(FB)を得た。
【0483】
特性決定:TG02形態V(FB)のPXRDを図7に示す。表7に、TG02形態V(FB)のピーク位置、d値、および相対ピーク強度を示す。
【0484】
(表7)
【0485】
実施例2
TG02 HCl多形形態の調製
形態VI(HCl)
調製:TG02・HCl(10g)、EtOH(184mL)および水(16mL)を含む溶液を1時間加熱還流した。混合物を0~5℃に冷却し、1時間撹拌した。混合物を濾過し、フィルタケーキを90%EtOH(水溶液)で洗浄し、乾燥させてTG02形態VI(HCl)を得た。
【0486】
特性決定:TG02形態VI(HCl)のPXRDを図8に示す。表8に、TG02形態VI(HCl)のピーク位置、d値、および相対ピーク強度を示す。
【0487】
(表8)
【0488】
形態VII(HCl)
調製方法A:TG02・2HCl(20g)、ピリジン(60mL)およびH2O(120mL)を含む溶液を80℃で1~3時間加熱した。混合物を20~30℃に冷却し、2時間撹拌した。混合物を濾過し、フィルタケーキをH2Oで洗浄し、乾燥させてTG02形態VII(HCl)を得た。
【0489】
調製方法B:TG02・2HCl(50g)、ピリジン(150mL)およびEtOAc(300mL)を含む溶液を80℃で2~3時間加熱した。混合物を20~30℃に冷却し、2時間撹拌した。混合物を濾過し、フィルタケーキをH2Oで洗浄し、乾燥させてTG02形態VII(HCl)を得た。
【0490】
調製方法C:TG02・HCl(5.7g)、EtOH(74.5mL)およびH2O(8mL)を含む溶液を1時間加熱還流した。混合物を0~5℃に冷却し、1時間撹拌した。混合物を濾過し、フィルタケーキをEtOHで洗浄し、乾燥させてTG02形態VII(HCl)を得た。
【0491】
調製方法D:TG02・HCl(9.3g)、EtOH(284mL)およびH2O(22mL)を含む溶液を1時間加熱還流した。混合物を0~5℃に冷却し、2時間撹拌した。混合物を濾過し、フィルタケーキをEtOHで洗浄し、乾燥させてTG02形態VII(HCl)を得た。
【0492】
特性決定:TG02形態VII(HCl)のPXRDを図9に示す。表9に、TG02形態VII(HCl)のピーク位置、d値、および相対ピーク強度を示す。
【0493】
(表9)
【0494】
形態VIII(HCl)
調製:TG02・HCl(77.1g)、EtOH(2340mL)およびH2O(185mL)を含む溶液を0.5時間加熱還流した。混合物を0~5℃に冷却し、2時間撹拌した。混合物を濾過し、フィルタケーキをEtOHで洗浄し、乾燥させてTG02形態VIII(HCl)を得た。TG02形態VIII(HCl)は、経時的に徐々にTG02形態VI(HCl)に変換された。
【0495】
特性決定:TG02 HCl形態VIIIのPXRDを図10に示す。表10に、TG02形態VII(HCl)のピーク位置、d値、および相対ピーク強度を示す。
【0496】
(表10)
【0497】
実施例3
TG02形態X(クエン酸塩)の調製
調製:方法A:TG02遊離塩基の12.2%w/v溶液を、DMSO/エタノール(94/6v/v)中で約70℃に加熱してTG02遊離塩基を溶解することによって調製した。TG02遊離塩基に対して2%モル過剰のクエン酸を含むエタノール(10%w/v)中のクエン酸の別の溶液を調製した。クエン酸/エタノール溶液の体積は、TG02遊離塩基溶液に対して約64%であった。クエン酸/エタノール溶液(約70℃)をTG02遊離塩基溶液に移してTG02クエン酸塩を形成し、溶液を少なくとも30分間撹拌した。温エタノール(先のクエン酸/TG02遊離塩基溶液の1.5体積当量)を添加し、溶液を約70℃で少なくとも1時間撹拌した。溶液を約5℃に冷却した。冷却するとTG02クエン酸塩が結晶化した。濾過によってTG02クエン酸塩を収集し、エタノールで洗浄し、乾燥させて、88~93%の収率でTG02形態X(クエン酸塩)を得た。
【0498】
方法B:TG02形態X(クエン酸塩)、米国特許第9,120,815号のTG02クエン酸塩パターン1、および米国特許第9,120,815号のTG02クエン酸塩パターン2の均一な混合物を溶媒(20体積)で処理し、異なる温度(5℃、25℃、および50℃)で4日間撹拌した。回収した固体を風乾し、XRPDによって分析した。表11にまとめているように、いくつかの溶媒はTG02形態X(クエン酸塩)の回収をもたらした。
【0499】
(表11)
1 パターン2の説明については、実施例4を参照のこと。
【0500】
特性決定:形態X(クエン酸塩)は、TG02クエン酸塩の、溶媒和されていない非吸湿性の結晶形態であり、28日後、高温および高い相対湿度レベル(40℃/75%RH、25℃/97%RHおよび60℃/周囲RH)での保存後もXRPDで変化がなかった。プロトンNMRは提案された構造と一致した。しかし、クエン酸のメチレンプロトンがD6-DMSO基準ピークと重複したため、クエン酸の化学量論的当量はわずかに相殺される。熱重量分析は、おそらく塩の解離のために、190~230℃で試料が29.8%w/w失われることを明らかにした。示差走査熱量測定の熱事象には、204.5℃での単一の幅広い吸熱(366.9J/g)が含まれた。2つの異なる加熱速度(2℃および10℃)で監視した熱事象の分析は、溶融温度とエンタルピーの両方の有意な変化(192.1℃、336.2J/gおよび205.3℃、378.2J/g)を明らかにした。この所見は、観察された吸熱が純粋な融解(熱力学的)だけでなく、おそらくクエン酸塩の解離である動力学的成分からなることも示唆する。HPLC純度分析の結果は、純度97.6%の測定値となった。GVS分析は、物質が非吸湿性であり、取り込みが0~90%RHで0.13%、最大差が40~60%RHで0.04%のヒステリシスであることを示した。試料は、GVS分析後のXRPDで変化がなかった。熱力学的溶解度の測定で、水性媒質への溶解度0.64mg/mlの測定値を得た。
【0501】
形態X(クエン酸塩)のXRPDを図11に示す。表12に、TG02形態X(クエン酸塩)のピーク位置、d値、および相対ピーク強度を示す。
【0502】
(表12)
【0503】
実施例4
米国特許第9,120,815号のTG02クエン酸塩パターン
米国特許第9,120,815号のTG02クエン酸塩パターン1(「パターン1」)は、TG02クエン酸塩の、溶媒和されていない、わずかに吸湿性の結晶形態であり、高温および高い相対湿度(40℃/75%RH、25℃/97%RHおよび60℃/周辺RH)での28日間の保存後にXRPDで変化がなかった。プロトンNMR分析は提案された構造と一致したが、クエン酸塩のメチレンプロトンとD6-DMSO基準ピークの重複があった。熱重量分析は、おそらくクエン酸塩の損失のために、180~240℃で29.6%w/wの重量損失を示した。示差走査熱量測定は、196.6℃での単一の吸熱事象(327.7J/g)を明らかにした。2つの異なる加熱速度(2℃および10℃)での物質のDSCプロフィールの比較は、開始温度とエンタルピーの大きな差を示した。この観察は、吸熱が物質の融解(熱力学的)とクエン酸塩の損失(動力学的)の両方による可能性が高いことを示唆する。HPLC純度分析の結果は、純度97.7%の測定値となった。GVS分析は、物質がわずかに吸湿性であり、取り込みが0~90%RHで1.0%、最大ヒステリシスが40~50%RHで0.2%であることを示した。試料は、GVS分析後のXRPDで変化がなかった。熱力学的溶解度の測定で、水性媒質への溶解度0.33mg/mlの測定値を得た。熱力学的溶解度分析後のXRPDは、TG02クエン酸塩パターン1からTG02クエン酸塩パターン2(どちらも米国特許第9,120,815号)への形態変化を明らかにした。パターン1のXRPDを図1に示す。
【0504】
米国特許第9,120,815号のTG02クエン酸塩パターン2(「パターン2」)は、TG02クエン酸塩の、水和された、吸湿性の結晶形態として定義され、高温および高い相対湿度(40℃/75%RHおよび25℃/97%RH)での28日間の保存後にXRPDで変化がなかった。しかし、60℃/周囲RHでの保存は、7日後にXRPD回折図に存在する追加のピークをもたらした。これらの追加のピークは、28日間の保存期間を通して残存した。これは、水和物の脱水に起因する可能性がある。プロトンNMR分析は提案された構造と一致したが、クエン酸塩のメチレンプロトンとD6-DMSO基準ピークの重複があった。熱重量分析は、2つの重量損失:おそらく水の損失による25~115℃での3.1%w/wの重量損失と、それに続く、おそらくクエン酸塩の解離による180~240℃での29.5%w/wの重量損失を示した。示差走査熱量測定は、25~115℃での幅広い非対称吸熱(70.2J/g)と、それに続く、おそらく試料の融解と塩の溶解による186.0℃での大きな吸熱(313.4J/g)で構成された。HPLC純度分析の結果は、純度97.7%の測定値となった。GVS分析は、物質が吸湿性であり、取り込みが0~90%RHで3.84%、最大ヒステリシスが10~30%RHで1.4%であることを示した。試料は、GVS分析後のXRPDで変化がなかった。含水量は、カールフィッシャー分析によって、1モル当量の水に相当する3.3%と決定された。熱力学的溶解度の測定で、水性媒質への溶解度0.23mg/mlの測定値を得、XRPDで変化がなかった。パターン2のXRPDを図2に示す。
【0505】
実施例5
光安定性
米国特許第9,120,815号のパターン1およびパターン2、ならびに形態X(クエン酸塩)の光安定性を検討して、光曝露が物質の変化をもたらすかどうかを決定した。
【0506】
パターン1、パターン2、および形態X(クエン酸塩)の薄層(3mm以下)を透明なガラスHPLCバイアルに入れた。これらの試料を2つ組で調製し、1セットは暗所で保存し(アルミホイルで包んで)、他は光に曝露した。露光の前後にHPLCバイアルの画像を撮影した。試料を6.9時間、照射(765W/m2)に曝露し、これはマイアミの1週間の日光に相当した。
【0507】
各試料の外観、XRPD、または純度の視覚的な変化は認められなかった。
【0508】
実施例6
薬学的組成物
ゼラチンカプセルで使用するTG02形態X(クエン酸塩)の賦形剤を選択するために、適合性実験を実施した。賦形剤とTG02形態X(クエン酸塩)の2成分混合物(1:1)を調製し、混合し、開閉式容器内で40°/75%RHで4週間保存した。開いた形状と閉じた形状の両方で4週間保存した後に得られた混合物の外観およびHPLC試験結果(クロマトグラフィ純度とアッセイ)を初期結果と比較した(表13および表14)。試験期間中に有意な外観の変化は認められなかった。適合性の賦形剤および非適合性の賦形剤のリストを表15に示す。
【0509】
(表13)賦形剤の適合性結果、40℃/75%RH、開いた形状
【0510】
(表14)賦形剤の適合性結果、40℃/75%RH、閉じた形状
【0511】
(表15)TG02形態X(クエン酸塩)の賦形剤適合性の結果のまとめ
【0512】
代表的なTG02形態X(クエン酸塩)製剤組成物を表16に示す。カプセルは、50mgおよび150mgの2つの含量(strength)で提供される即時放出剤形である。カプセル充填物は、TG02形態X(クエン酸塩)と賦形剤との乾燥粉末製剤混合物である。TG02形態X(クエン酸塩)カプセルのラベル表示含量はTG02塩基に関するものであり、バッチ処方はTG02形態X(クエン酸塩)塩に関するものである。例えば、50mg含量のTG02形態X(クエン酸塩)カプセルは、原薬総量のクエン酸含有量に相当する約76mgのTG02形態X(クエン酸塩)を含有する。さらなる組成物を表17に示す。
【0513】
(表16)TG02形態X(クエン酸塩)カプセルの製剤組成物
【0514】
(表17)TG02形態X(クエン酸塩)カプセルの製剤組成物
【0515】
本明細書で方法、化合物および組成物を十分に説明したが、当業者には、それらが、本明細書で提供される方法、化合物および組成物の範囲またはその任意の態様に影響を及ぼすことなく、条件、製剤および他のパラメータの幅広い等価範囲内で実施できることが理解されるであろう。本明細書で引用したすべての特許、特許出願および刊行物は、その全体が参照により本明細書に完全に組み入れられる。
図1
図2
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図4
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図10
図11