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▶ クロスローズ エクストリミティ システムズ リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】付加的な関節安定化の構造体
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20230327BHJP
   A61B 17/86 20060101ALI20230327BHJP
   A61B 17/88 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
A61B17/04
A61B17/86
A61B17/88
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020529708
(86)(22)【出願日】2017-12-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 US2017064178
(87)【国際公開番号】W WO2019108224
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】516183819
【氏名又は名称】クロスローズ エクストリミティ システムズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ティー.ウェイド フォーリン
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン テイバー
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-517605(JP,A)
【文献】特表2011-516795(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0157124(US,A1)
【文献】特表2013-509257(JP,A)
【文献】特表2009-529368(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0262185(US,A1)
【文献】米国特許第05702397(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56 - 17/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨折安定化ならびに軟組織の修復および補強のための、結び目なしで内部に受け入れた可撓性合成ストランドを外部に戻してロックするシステムであって、
近位端、遠位端を備えかつ長手方向軸を定義する本体を有する、戻してロックするアンカーであって、前記本体は、内側通路および戻し特徴を形成し、前記内側通路は、前記本体の前記近位端に設置されかつ近位部、中位部、および遠位部を含む全体にねじ山が設けられるねじ山付き受けを有し、前記戻し特徴は、前記ねじ山付き受けに対し遠位に設置されいる、戻してロックするアンカーと、
近位部、中位部、および遠位部を有するねじ山付きセットスクリューであって、前記ねじ山付きセットスクリューは、前記ねじ山付き受けの中への回転挿入のために構成されて、前記ねじ山付き受けおよび前記ねじ山付きセットスクリューの前記近位部、前記中位部、および前記遠位部同士が位置合わせされた際に、前記ねじ山付き受けおよび前記ねじ山付きセットスクリューの前記近位部と前記中位部との間を通過する前記可撓性合成ストランドのまわりで締まりばめを徐々に増加させること、ならびに前記ねじ山付き受けおよび前記ねじ山付きセットスクリューの前記中位部と前記遠位部との間を通過する前記可撓性合成ストランドのまわりで締まりばめを徐々に減少させることを達成し、締まりばめを前記徐々に増加させることと、締まりばめを前記徐々に減少させることとが組み合わさって、前記可撓性合成ストランドを前記戻してロックするアンカーに対して可逆的に固着するロック特徴を提供する、ねじ山付きセットスクリューとを含み、
前記戻し特徴は、前記本体に設けられた2つの横穴である第1の遠位穴と第2の近位穴とからなり、前記第2の近位穴が前記本体の外面および前記内側通路と連通し、前記第1の遠位穴が、前記本体の反対側面に対向した開口を形成し、前記内側通路とは連通せず、前記第1の遠位穴のエッジに記可撓性合成ストランドが配線可能なへりを画定している、結び目なしで内部に受け入れた可撓性合成ストランドを外部に戻してロックするシステム。
【請求項2】
前記可撓性合成ストランドは、前記本体の前記近位端で前記内側通路を通って前記戻してロックするアンカーに入り、前記へりを囲んでルート決めし、前記本体の前記近位端で前記内側通路を通って前記戻してロックするアンカーを退出する請求項1に記載の結び目なしで内部に受け入れた可撓性合成ストランドを外部に戻してロックするシステム。
【請求項3】
記第2の近位穴記本体の反対側面に対向した開口を形成しており、
前記可撓性合成ストランドが前記本体の前記近位端で前記内側通路を通って前記戻してロックするアンカーに入った後、前記可撓性合成ストランドは、前記本体の前記近位端で前記内側通路を通って退出する前に、前記第2の近位穴の前記対向した開口のうちの1つを退出し、前記第1の遠位穴を通って通過し、前記第2の近位穴の前記対向した開口のうちの別の1つに入り、その結果、前記可撓性合成ストランドが前記へりを囲んでルート決めされる請求項2に記載の結び目なしで内部に受け入れた可撓性合成ストランドを外部に戻してロックするシステム。
【請求項4】
前記戻してロックするアンカーの前記本体は、前記長手方向軸のまわりに中心合わせされた長手方向本体を有しかつ前記戻してロックするアンカーの前記本体の前記遠位端から前記内側通路の中への挿入のためにサイズ決めされた、取り外し可能な戻しインサートをさらに含み、前記第1の遠位穴および前記へりは、前記取り外し可能な戻しインサートの中に組み込まれる、請求項3に記載の結び目なしで内部に受け入れた可撓性合成ストランドを外部に戻してロックするシステム。
【請求項5】
前記可撓性合成ストランドは、前記本体の前記近位端で前記内側通路を通って前記戻してロックするアンカーに入り、前記へりを囲んだ後、前記本体の前記近位端に対し遠位の場所で前記本体の側壁を通って前記戻してロックするアンカーを退出する請求項1に記載の結び目なしで内部に受け入れた可撓性合成ストランドを外部に戻してロックするシステム。
【請求項6】
前記本体は、前記本体の前記側壁を通る前記第1の遠位穴の近位エッジを含む請求項5に記載の結び目なしで内部に受け入れた可撓性合成ストランドを外部に戻してロックするシステム。
【請求項7】
前記ねじ山付きセットスクリューの前記近位部は、近位セットスクリュー角度でテーパーを付け、前記ねじ山付き受けの前記近位部は、対向する近位受け角度でテーパーを付け、前記近位セットスクリュー角度は、前記対向する近位受け角度とは相違し、
前記ねじ山付きセットスクリューの前記中位部は、中位セットスクリュー角度でテーパーを付け、前記ねじ山付き受けの前記中位部は、対向する中位受け角度でテーパーを付け、前記中位セットスクリュー角度は、前記対向する中位受け角度と近似し、
前記ねじ山付きセットスクリューの前記遠位部は、遠位セットスクリュー角度でテーパーを付け、前記ねじ山付き受けの前記遠位部は、対向する遠位受け角度でテーパーを付け、前記遠位セットスクリュー角度は、前記対向する遠位受け角度とは相違し、その結果、前記ねじ山付きセットスクリューが前記ねじ山付き受けの中へと回転的に挿入されるとき、前記可撓性合成ストランドに適用される圧迫力が、前記ねじ山付きセットスクリューの前記中位部と前記ねじ山付き受けの前記中位部との間の位置合わせの領域へと近位側に導きながら段階的に増加し、前記位置合わせの領域から遠位側に導きながら段階的に減少する、請求項1に記載の結び目なしで内部に受け入れた可撓性合成ストランドを外部に戻してロクするシステム。
【請求項8】
前記ねじ山付き受けおよび前記ねじ山付きセットスクリューは、各々ナックルねじ山を含む請求項1に記載の結び目なしで内部に受け入れた可撓性合成ストランドを外部に戻してロックするシステム。
【請求項9】
戻してロックするアンカーを、骨の中へと回転的に駆動するための逆トルクドライバ、をさらに含み、
前記戻してロックするアンカーは、ライバ特徴を有し、前記ドライバ特徴は、前記戻してロックするアンカーの前記近位端に形成された2つの対向するスロットを含み、前記逆トルクドライバは、
近位端から遠位端に延在しかつ長手方向軸を定義する長手方向本体であって、前記長手方向本体の前記長手方向軸に沿って前記長手方向本体の前記近位端から前記長手方向本体の前記遠位端に延在する軸貫通穴を含む、長手方向本体と、
前記長手方向本体の前記遠位端から延在する2つの対向するタブであって、前記長手方向本体の前記長手方向軸のまわりに中心合わせされ、前記戻してロックするアンカーの前記近位端に形成された前記2つの対向するスロットと係合するように構成された、2つの対向するタブと、を含み、
前記逆トルクドライバの前記2つの対向するタブが前記戻してロックするアンカーの前記2つの対向するスロットと係合され、前記逆トルクドライバが回転されるとき、前記戻してロックするアンカーは、前記骨の中へと回転的に駆動され、
前記逆トルクドライバの前記2つの対向するタブが前記戻してロックするアンカーの前記2つの対向するスロットと係合され、前記逆トルクドライバが静止して保持されるとき、前記タブの各々は、遠位に面する支え面を提供して、前記戻してロックするアンカーの中へと前記逆トルクドライバの前記軸貫通穴を通って挿入される前記ねじ山付きセットスクリューへの回転入力を介して前記可撓性合成ストランドに張力をかけるときに生成されるねじれ力に抵抗し、それによって、前記ねじれ力に逆らって、前記戻してロックするアンカーの元の挿入位置合わせを前記骨内に維持する、請求項1に記載の結び目なしで内部に受け入れた可撓性合成ストランドを外部に戻してロックするシステム
【請求項10】
前記逆トルクドライバの前記長手方向本体の前記近位端は、ハンドルを含む請求項9に記載の結び目なしで内部に受け入れた可撓性合成ストランドを外部に戻してロックするシステム。
【請求項11】
前記軸貫通穴は、カニューレを含む請求項9に記載の結び目なしで内部に受け入れた可撓性合成ストランドを外部に戻してロックするシステム。
【請求項12】
前記逆トルクドライバは、前記2つの対向するタブに対し近位に配された2つの対向する脚をさらに含み、前記2つの対向する脚は、前記長手方向本体の前記長手方向軸のまわりに中心合わせされ、前記逆トルクドライバの前記遠位端と前記戻してロックするアンカーの前記近位端との間に、前記戻してロックするアンカーの中への、および外への前記可撓性合成ストランドの経路のための隙間を提供するように構成された2つの対向する隙間スロットを定義する請求項9に記載の結び目なしで内部に受け入れた可撓性合成ストランドを外部に戻してロックするシステム。
【請求項13】
セットスクリュードライバが前記逆トルクドライバの前記長手方向本体の前記軸貫通穴を通って前進させられて、前記ねじ山付きセットスクリューへの前記回転入力を介して前記ねじれ力を適用する請求項9に記載の結び目なしで内部に受け入れた可撓性合成ストランドを外部に戻してロックするシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
靭帯は、骨格系の骨を相互接続し、骨格関節の安定化および運動学に関与している。損なわれた靭帯機能および/または骨折をもたらす、さまざまな負傷が起こり得る。そのような負傷は、たとえば、靭帯が骨に付着しているところでの骨の部分的および全面的な裂傷ならびに剥離を含む。そのような負傷は、骨格系の全体を通して起こる。
【0002】
例として、図1に示されるように、人の骨盤2100は、複数の骨および軟組織の複雑な接合部である。寛骨の対2104、2105が骨盤の側方および前方の側の境界となる状態で、仙骨2102が、骨盤の後方の側の境界となる。各寛骨は、腸骨2106、2107、坐骨2108、2109、および恥骨2110、2111を含む、3つの部位から組み立てられている。仙骨は、仙腸関節2112、2113で、強力な靭帯によって各寛骨2104、2105につなぎ合わせられている。寛骨2104、2105は、軟骨質の恥骨結合2114で前方につなぎ合わせられている。
【0003】
さまざまな条件が、骨盤が不安定になるのを引き起こすことがある。たとえば、出産および外傷性負傷は、仙腸関節2112、2113および/または恥骨結合2114で、不安定性をもたらすことがある。たとえば、外傷性前後圧迫骨折は、図1に示されるように恥骨結合2114で寛骨間の分離2116を、および骨盤不安定性につながる仙腸関節2112、2113の弛緩をもたらすことがある。
【0004】
別の例において、図2図4に示されるように、人の足首100は、複数の骨および軟組織の複雑な接合部である。足首は、脛骨102と、腓骨104と、距骨106との間の関節を含む。脛骨102と腓骨104との間の関節は、靭帯結合またはわずかに可動する関節であり、ここで骨は、結合組織によって一緒につなぎ合わせられている。脛骨と腓骨との間の靭帯結合は、前下脛腓靱帯(AITFL)110と、後下脛腓靱帯(PITFL)112と、骨間靭帯(IOL)114(図4)とを含む。靭帯結合の靭帯は、高位の足首捻挫においてしばしば負傷する。足首関節の他の負傷しやすい靭帯は、中でも特に、前距腓靭帯(ATFL)120、後距腓靭帯(PTFL)122、ならびに浅い、および深い三角靭帯を含む三角靭帯複合体124を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
必要とされるのは、骨折を安定させる、および/または靭帯を補強するための、改善されたインプラント、器具、および方法である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本概要は、詳細な説明において下でさらに説明される概念の選択を、簡略化された形態で導入するために提供される。本概要は、特許請求される主題の主要な態様または必須の態様を特定することは意図されていない。その上、本概要は、特許請求される主題の範囲を決定する際の手助けとしての使用のために意図されていない。
【0007】
一実施形態は、骨折安定化ならびに軟組織の修復および補強のための、結び目なしの戻してロックするシステム(returning and locking system)を提供する。システムは、近位端、遠位端を備えかつ長手方向軸を定義する本体を有する、戻してロックするアンカーを含み、本体は、内側通路および戻し特徴を形成し、内側通路は、本体の近位端に設置されかつ近位部、中位部、および遠位部を含むねじ山付き受けを有し、戻し特徴は、ねじ山付き受けに対し遠位に設置され、内側通路と連通している。システムはまた、近位部、中位部、および遠位部を有するねじ山付きセットスクリューを含み、ねじ山付きセットスクリューは、ねじ山付き受けの中への回転挿入のために構成されて、ねじ山付き受けおよびねじ山付きセットスクリューの近位部と中位部との間を通過する可撓性合成ストランドのまわりで締まりばめを徐々に増加させること、ならびにねじ山付き受けおよびねじ山付きセットスクリューの中位部と遠位部との間を通過する可撓性合成ストランドのまわりで締まりばめを徐々に減少させることを達成する。締まりばめを徐々に増加させることと、締まりばめを徐々に減少させることとが組み合わさって、可撓性合成ストランドを戻してロックするアンカーに対して可逆的に固着するロック特徴を提供する。
【0008】
別の実施形態は、アンカーを骨の中へと回転的に駆動するための逆トルクドライバを提供し、アンカーは、近位端、遠位端、およびドライバ特徴を有し、ドライバ特徴は、アンカーの近位端に形成された2つの対向するスロットを含む。逆トルクドライバは、近位端から遠位端に延在しかつ長手方向軸を定義する長手方向本体を含み、長手方向本体は、長手方向軸に沿って近位端から遠位端に延在する軸貫通穴を含む。逆トルクドライバはまた、本体の遠位端から延在する2つの対向するタブを含み、2つのタブは、長手方向軸のまわりに中心合わせされ、アンカーの近位端に形成された2つの対向するスロットと係合するように構成される。ドライバの2つの対向するタブがアンカーの2つの対向するスロットと係合され、ドライバが回転されるとき、縫合糸アンカーは、骨の中へと回転的に駆動される。ドライバの2つの対向するタブがアンカーの2つの対向するスロットと係合され、ドライバが静止して保持されるとき、タブの各々は、遠位に面する支え面を提供して、アンカーの中へとドライバの軸貫通穴を通って挿入されるセットスクリューへの回転入力を介して可撓性合成ストランドに張力をかけるときに生成されるねじれ力に抵抗し、それによって、ねじれ力に逆らって、アンカーの元の挿入位置合わせを骨内に維持する。
【0009】
さらに別の実施形態は、関節を安定させるための外側構造体を提供する。構造体は、
第1および第2の対向する端を有する可撓性合成ストランドと、可撓性合成ストランドの第1の端で固着される第1の固定と、可撓性合成ストランドの第2の端で固着される第2の固定とを含む。第2の固定は、骨部の中に挿入された、戻してロックするアンカーを含み、戻してロックするアンカーは、近位端、遠位端を備えた本体を有し、長手方向軸を定義し、本体は、近位端に設置されたねじ山付き受けを有する内側通路と、ねじ山付き受けに対し遠位に設置され、内側通路と連通している戻し特徴とを形成し、ここで、(1)可撓性合成ストランドの第2の端は、本体の近位端で軸通路を通って、戻してロックするアンカーに入り、戻し特徴を囲んでルート決めし、本体の近位端で軸通路を通って、戻してロックするアンカーを退出し、(2)可撓性合成ストランドは、第1の固定と第2の固定との間で張力をかけられ、(3)可撓性合成ストランドの第2の端は、ねじ山付き受けの中へと回転的に挿入されたねじ山付きセットスクリューを介して、戻してロックするアンカーに対してロックされ、第1の固定と第2の固定との間で関節にわたって外側に延在する可撓性合成ストランドの連続的な切れ目のない長さをもたらす。
【0010】
本技術の追加の目的、利点、および新規な特徴は、部分的には、続く説明において明記されることになり、部分的には、以下の検討の際に当業者により明らかとなる、または本技術の実践から習得されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
好ましい実施形態を含む、本発明の非限定的かつ非包括的な実施形態が、以下の図を参照して説明され、その中では別段指定されない限り、同様の参照番号は、さまざまな図の全体を通して同様の部材を指す。本発明の例証となる実施形態は、図面において例示されている。
【0012】
図1】前後圧迫骨折を有する人の骨盤の前面図である。
図2】人の足首関節の右面図である。
図3】人の足首関節の正面図である。
図4】人の足首関節の背面図である。
図5】戻してロックするアンカーの一実施形態の上面図である。
図6】戻してロックするアンカーの一実施形態の正面図である。
図7】戻してロックするアンカーの一実施形態の横断面図である。
図8図5図7の縫合糸を戻してロックするアンカー(suture returning and locking anchor)の縫合糸ロック特徴の受けの横断面図である。
図9】縫合糸と受けとセットスクリューとの間に締まりばめを形成するために、その中に挿入されたセットスクリューを有する図8の受けの横断面図である。
図10】ねじ切りなしの、図9のセットスクリューの正面図である。
図11】ねじ切りなしの、図9のセットスクリューおよび受けの横断面図である。
図12】縫合糸を戻してロックするアンカーの別の実施形態の分解図である。
図13】縫合糸を戻してロックするアンカーの別の実施形態の正面図である。
図14】縫合糸を戻してロックするアンカーの別の実施形態の横断面図である。
図15図5図7の戻してロックするアンカーと係合するアンカードライバの一実施形態の側面図である。
図16図5図7の戻してロックするアンカーと係合するアンカードライバの一実施形態の透視分解図である。
図17図5図7の戻してロックするアンカーと係合するアンカードライバの一実施形態の横断面図である。
図18図5図7の戻してロックするアンカーと係合するアンカードライバの一実施形態の横断面図である。
図19図1の骨盤の部分断面前面図を示し、開示されたデバイスの実施形態を使用して図1の圧迫骨折を安定させるための操作順序のステップを例示する図である。
図20図1の骨盤の部分断面前面図を示し、開示されたデバイスの実施形態を使用して図1の圧迫骨折を安定させるための操作順序のステップを例示する図である。
図21図1の骨盤の部分断面前面図を示し、開示されたデバイスの実施形態を使用して図1の圧迫骨折を安定させるための操作順序のステップを例示する図である。
図22図1の骨盤の部分断面前面図を示し、開示されたデバイスの実施形態を使用して図1の圧迫骨折を安定させるための操作順序のステップを例示する図である。
図23図19図22によって例示された操作順序を詳述する流れ図である。
図24】開示されたデバイスの実施形態による、三角靭帯複合体および後下脛腓靱帯(PITFL)/前下脛腓靱帯(AITFL)のための典型的な補強構造体を例示する図である。
図25】開示されたデバイスの実施形態による、2つの分離した靭帯を補強するために、単一の縫合糸を戻してロックするアンカーを使用する靭帯補強構造体の一実施形態を例示する図である。
図26】開示されたデバイスの実施形態による、軟組織の修復または腱再付着のための付着構造体の一実施形態を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態は、当業者が本システムおよび方法を実践することを可能にするのに十分な詳細においてさらに完全に下で説明される。しかしながら、実施形態は、多くの異なる形態で実装されてもよく、本明細書に明記された実施形態に限定されるように解釈されるべきではない。以下の詳細な説明は、したがって、限定する意味において取られるべきではない。
【0014】
本明細書で議論される技術は、靭帯補強および骨折修復の構造体を準備するための装置および対応する使用の方法に関する。実施形態は、本明細書で説明されるデバイスおよび器具を用いた操作方法を介して構築される、いくつかの縫合糸を戻してロックするアンカー、アンカードライバ、ならびに付加的な関節靭帯補強および/または骨折修復の構造体を含む。
【0015】
組み合わされた、縫合糸を戻してロックするアンカー
図5図7は、縫合糸を戻してロックするアンカー400の一実施形態の上面図、正面図、および横断面分解図を例示する。図5図7において、アンカー400は、近位端404、遠位端406を有しかつ長手方向軸408を定義するアンカー本体402を含む。外側骨ねじ山410は、ねじ山が遠位から近位端へとなくなる近位側、およびねじ山がテーパー状の先端411でなくなる遠位側を除いて、本体402の大部分を囲んで延在する。骨ねじ山410は、遠位端で、セルフタッピングフルート412を含む。セットスクリュー416は、下で図8図11に関してさらに詳述されるように、回転挿入および近位端404内でロックするために構成される。
【0016】
アンカー400は、縫合糸戻し特徴413を含む。より詳細において、およびこの実施形態において、本体402は、本体402の反対側面に対向した開口を形成する第1の横穴438を含み、そこを通って、縫合糸は、縫合糸戻しを提供するように通されてよい。外側骨ねじ山410が骨に係合している間、たとえば、縫合糸、縫合テープ、ケーブル、または別の好適な可撓性合成ストランドなどの可撓性合成ストランド(これ以降、「可撓性ストランド」、「可撓性合成ストランド」、または「縫合糸」)は、穴438の近位へり440に反して引かれてよく、縫合糸が張力をかけられるのを可能にする。本体は、遠位端406に向かって、近位端404で開口から延在する軸穴または通路441をさらに含む。第2の横穴444は、本体402を通って延在して、本体402の反対側面に対向した開口を形成する。第2の横穴444は、第1の横穴438から近位側でオフセットされ、軸穴441と連通している。
【0017】
使用において、縫合糸は、近位端404から軸穴441の中に通されてよく、第2の横穴444の開口のうちの1つを出て、第1の横穴438を通って、第2の横穴444の開口うちの他の1つに入り、軸穴441を出て、その結果、縫合糸が本体402の近位部内の近位へり440のまわりでルート決めされる。
【0018】
アンカー本体402は、本体402の各側面で第1および第2の横穴438、444の開口を接続する逃し溝446をさらに収容することができる。逃し溝446は、縫合糸が、本体402の側面からあまり突き出ていない、または全く突き出ていない間、軸穴441から第1の横穴438へと通過するのを可能にして、縫合糸を摩耗から保護し、それがルート決めされて、張力をかけられている間、縫合糸がより容易に摺動するのを可能にする。この実施形態において、本体402は、骨の中への管状の延長部を提供して、骨からの摩耗から縫合糸を保護し、および縫合糸からの摩耗または切削から骨を保護する。
【0019】
アンカー400はまた、図8図11の例において詳述される縫合糸ロック特徴を含む。図8は、本体402の近位部403の内側特徴の拡大図を提供し、図9は、セットスクリュー416の受け入れにおける本体402の近位部403の横断面図を提供する。この実施形態において、本体402の近位部403は、テーパー状の受けねじ山432を有する受け430を含み、セットスクリュー416は、テーパー状の外側ねじ山434を有する。受けねじ山432およびセットスクリューねじ山434の両方は、丸みをつけられたナックルねじ山である。加えて、受け430/受けねじ山432、およびセットスクリュー416/セットスクリューねじ山434は、近位側から遠位側に推移する複数の個別のテーパー角度を特徴として、縫合糸418を徐々に把持すること、および解放することを提供して、縫合糸の損傷または切断のリスクを削減しながら、縫合糸に対する強力な把持を提供する。
【0020】
テーパー角度をより詳細に扱うために、図10図11は、セットスクリュー416および受け430を、それらのナックルねじ切りなしで例示して、それらのテーパーの段階的な推移をよりよく例示する。この実施形態において、セットスクリュー416は、近位部450では円柱状であり、その中位部452上では比較的小さな角度にされたテーパーを有し、その遠位部454上では、丸みをつけられた先端464において終端する比較的大きな角度にされたテーパーを有する。受け430は、近位部456では比較的大きな角度にされたテーパーを有し、その中位部458上では比較的小さな角度にされたテーパーを有し、その遠位部460では円柱状である。セットスクリュー416および受け430がはめ合わせられるとき、それらは、アンカー400の近位端からそれらの中位部へと、それらの間に徐々に小さくなる隙間を提供し、それらの中位部から遠位側にセットスクリュー416の端へと、それらの間に徐々に大きくなる隙間を提供する。
【0021】
受け430に対するセットスクリュー416のこの対向するテーパー状の構成は、コンポーネントをはめ合わせるためのモールステーパーの原理を組み込んでいる。すなわち、セットスクリュー416および受け430の対向する円錐形状は、それらの中位部452、458で角度において緊密に一致し、締まりばめへと近位側に導き、締まりばめから遠位側に導く段階的な推移によって、セットスクリュー416および受け430のそれぞれの表面に、セットスクリュー416および受け430の中位部452、458上の縫合糸418のまわりで締まりばめを達成させる。セットスクリュー416と受け430との間に配された縫合糸418に適用される圧迫力のこの段階的な推移は、縫合糸の固定/ロック強度における強化につながり、同時に、圧迫力の推移がより大きな規模になるにつれて存在する、縫合糸418の切断のリスクを削減する。
【0022】
一実施形態において、セットスクリュー416および受け430の中位部452、458は、同じ長さであり、位置合わせされる。この実施形態において、セットスクリュー416と受け430との間には、近位側での比較的大きな分量の隙間から、それらの中位上での比較的小さな分量の隙間を経て、遠位側での比較的大きな分量の隙間までの3つのステップにおいて進行する、隙間の3つのゾーンまたは分量が存在する。
【0023】
あるいは、および図8図11の例において示されるように、セットスクリュー416は、図11に示されるように、その中位部452の始まりが、受け中位部458の始まりの遠位に位置付けられ、セットスクリュー中位部452の終わりが、受け中位部458の終わりの近位に位置付けられるように駆動されてもよい。この配置は、縫合糸418の把持および解放のより一層の段階的な進行のための、5つの隙間ゾーン440、442、444、446、および448をもたらす。任意の数のテーパー角度ステップが、セットスクリュー416および受け430上で提供されてよく、縫合糸418の把持なしから、最大把持を経て、把持なしまで近位側から遠位側に推移するように、重なり合いまたは半径が混合する任意の配置が、任意の数の徐々に進行する隙間ステップを生み出すために提供されてよく、縫合糸418に置かれる応力の段階的な増加および減少を通じて縫合糸を保護する。
【0024】
図11を参照すると、第1のゾーン440は、最も大きな隙間を近位側に提供し、隙間は、セットスクリュー416の円柱状近位部450と、受け430の近位部456の比較的大きな角度との角度差で、遠位側に減少する。第2のゾーン442の隙間は、セットスクリュー416の円柱状近位部450と、受け430の中位部458の比較的小さな角度との角度差で、遠位側に減少する。第3のゾーン444は、最も小さな隙間を提供し、セットスクリュー416および受け430の中位部452、458が合致するところに対応する。第4のゾーン446の隙間は、受け430の中位部458の比較的小さな角度と、セットスクリュー316の遠位部454の比較的大きな角度との角度差で、遠位側に増加する。第5のゾーン348は、最も大きな隙間を遠位側に提供し、隙間は、セットスクリュー316の遠位部454の比較的大きな角度と、受け330の円柱部460との角度差で、遠位側に増加する。
【0025】
図8図11の例証となる例において、セットスクリュー416のテーパーは、第1の近位部450において円柱状であり、第2の中位部452において片面につき10度、および遠位部454において片面につき20度である。受け430のテーパーは、第1の近位部456において片面につき40度、第2の中位部458において片面につき10度、および第3の遠位部460で円柱状である。図11において例示される5つのゾーン440、442、444、446、448に対応する結果として生じる逃しテーパーは、近位側から遠位側に、20度、10度、0度、10度、および20度である。この実施形態において、受け430およびセットスクリュー416の近位端461、463は面取りされ、セットスクリュー416の遠位端464は丸みをつけられて、いかなる鋭いエッジもさらに排除して、縫合糸の経路をさらに滑らかにし、より容易なスクリューの始動を提供する。
【0026】
図8図11の縫合糸ロック特徴の実施形態は、セットスクリュー416および受け430上の対向するテーパーを特徴とするが、本発明は、近位側から遠位側に、セットスクリュー416と受け430との間で縫合糸418の締まりばめに適用される圧迫力の段階的な増加および減少を提供する、任意の適切なテーパー構成を企図することが理解されるべきである。たとえば、セットスクリュー416は、受け430の上で説明された構成を維持しながら、その近位部、中位部、および遠位部を通じて全体に円柱状であってもよい。別の例において、受け430の近位部、中位部、および遠位部456、458、460を円柱状のままにしながら、セットスクリュー416の近位部、中位部、および遠位部450、452、454が、卵型またはフットボール形状を形成するように角度をつけられてもよい。
【0027】
図8図11に関して議論されたロック特徴は、戻してロックするアンカー400に対して縫合糸418をロックアウトするために、結び目なしと可逆機構との両方を提供する。縫合糸418と、セットスクリュー416と、受け430との間の締まりばめが、アンカー400に対する張力において縫合糸418を固着するために必要な圧迫力を提供するので、ロック特徴は、結び目なしの固定を提供し、それによって、結び目のある固定によってしばしば引き起こされる、骨ならびに/または組織の摩耗および/もしくは悪化の確率を削減する。その上、ロック機構が上で議論された縫合糸418に置かれる応力の段階的な増加および減少を通じて縫合糸の完全性を保護するので、結び目なしの固定は、縫合糸418を損傷することなく、および/または、その構造的な完全性をリスクにさらすことなく、アンカー400に対して縫合糸418をロックアウトするようにセットスクリュー416が回転的に挿入されてよいという点で、真に可逆的である。結果として、外科医は、最終的な結び目なしの固定の品質における信頼を維持しながら、最適な固定を達成するために、アンカー400に対して縫合糸418を複数回ロックし、ロック解除することができる。
【0028】
縫合糸を戻してロックするアンカー400の本体402は、図15~18に関して下でさらに議論されるように、受け430がセットスクリュー416を受け入れるのをアンカードライバが妨げないようにアンカードライバを受け入れるための、およびセットスクリュー416の挿入中にセットスクリュードライバが本体402を軸方向にシフトさせないように逆トルク安定化を提供するためのドライバ特徴458を、本体402の近位壁に形成された対向するスロット462(図16)の形態でさらに含む。
【0029】
図12図14は、アンカー400に類似した、別の例の縫合糸を戻してロックするアンカー500の分解図、正面図、および横断面図を例示する。しかしながら、図12図14のアンカー500は、アンカー500の本体502の全体を通じて延在する軸貫通穴541を有する2ピースアンカーである。
【0030】
この実施形態において、アンカー500は、近位端504、遠位端506を有しかつ長手方向軸508を定義するアンカー本体502を含む。外側骨ねじ山510は、ねじ山がなくなる近位側を除いて、本体502の大部分を囲んで延在する。骨ねじ山510は、遠位端で、セルフタッピングフルート512を含む。セットスクリュー516は、図8図11に関して上で議論されたロック配置に従って、回転挿入およびロックするために構成される。
【0031】
アンカー500は、内側または外側のいずれかで、縫合糸戻し機能を提供することができる。内側構成において、アンカー500は、取り外し可能な縫合糸戻しインサート550を組み込むことができる。縫合糸戻しインサート550は、長手方向軸508のまわりに中心合わせされ、かつアンカー本体502を通って延在する軸穴541内にプレスばめするようにサイズ決めされた、長手方向本体552を含む。縫合糸戻しインサート550は、近位端554と、閉じた遠位端556と、近位端554から遠位側に延在する軸穴または通路558とを有する。第1の横穴560は、インサート本体552の反対側面に対向した開口を形成する。第1の横穴560は、インサート本体552の軸穴558と連通しており、その結果、インサート500の近位端554がアンカー本体502の遠位端506の中に挿入されるとき、インサート本体552内の第1の横穴560がアンカー本体502内の第2の横穴538の遠位部と位置合わせして、図13に示されるように内側縫合糸戻し特徴513を形成し、これは、図5図7のアンカー400に関して上で議論された戻し特徴413に類似する。
【0032】
内側構成での使用において、縫合糸は、近位端からアンカー500の軸穴541の中に通されてよく、アンカー本体502における第2の横穴538の開口のうちの1つを出て、インサート550における第1の横穴560を通って、第2の横穴538の開口のうちの他の1つに入り、アンカー本体402およびインサート本体552の連通する軸穴441、558を出て、その結果、縫合糸がアンカー500の近位部内でルート決めされる。インサート550がアンカー本体502内に配されるとき、インサート本体552は、アンカー500の各側面で第1および第2の横穴560、538の開口を接続する逃し溝562をさらに収容することができる。逃し溝562は、縫合糸が、アンカー本体502の側面からあまり突き出ていない、または全く突き出ていない間、軸穴541、558から第1の横穴560へと通過するのを可能にして、縫合糸を摩耗から保護し、それがルート決めされて、張力をかけられている間、縫合糸がより容易に摺動するのを可能にする。
【0033】
外側構成において、戻しインサート550は除かれ、縫合糸戻しは、第2の横穴538またはアンカー本体502の遠位端506のいずれかによって形成される。外側戻し構成での使用において、縫合糸は、アンカー500の近位端504で軸穴541に入り、アンカー本体502の外面の戻し縫合糸経路により、第2の横穴538またはアンカー500の遠位端のいずれかで軸穴541を退出する。さまざまな実施形態において、戻し縫合糸経路は、骨トンネルから半径方向に突き出る骨における逃し溝を通って、アンカー本体の外壁に形成されたノッチまたは凹みを通って通過する。あるいは、縫合糸は、アンカーの遠位端506を退出し、別の固定ポイントへの直接的な経路を続行する(たとえば、戻しなしに、別のロックするアンカーへと骨トンネル内で、長手方向軸508に沿って続行する)ことができる。
【0034】
逆トルクアンカードライバ
図15図18は、たとえば、図5図7のアンカー400と共に使用するためのアンカードライバ570の例を例示する。アンカードライバは、近位端574から遠位端576に延在しかつ長手方向軸578を定義する、縦長の本体572を含む。ドライバの遠位端576は、遠位側に開き、かつ間隔を介したドライバ脚584、586を定義する、対向した隙間スロット580、582を含む。ドライバ脚584、586の遠位端は、アンカー400の対向したスロット462を係合する対向するタブ588を形成する。タブ588がアンカーのスロット462の中に完全に係合された状態で、ドライバスロット580、582が、ドライバ570とアンカー400との間に縫合糸418のための隙間592、594を提供するように、ドライバタブ588、およびドライバスロット580、582は、サイズ決めされる。
【0035】
各タブ588の部分は、アンカー400の近位端に当接し、遠位に面する支え面を提供して、セットスクリュードライバ(図示せず)からセットスクリュー416への回転入力を介して縫合糸418に張力をかけるときに生成される力(たとえば、ねじれ力)に抵抗して、図8図11に関して上で議論されたロック機構を係合する。アンカードライバ570は、軸貫通穴596を含んで、縫合糸418をロックするためのセットスクリュー416およびセットスクリュードライバ(図示せず)の通過を可能にする。
【0036】
使用において、たとえば、図18に示されるように、アンカー400は、アンカードライバ570のタブ588をアンカーにおけるスロット462と係合することによって骨の中へと駆動され、アンカードライバ570を回転させている。アンカードライバ570がまだ取り外されていない場合、縫合糸418は、アンカー400に通され、ドライバ570の外面で隙間592、594を通って通過する。縫合糸は、張力をかけられ、次いでセットスクリュー416がアンカー400の中に駆動されて、縫合糸をロックする。アンカードライバ570がなおもアンカー400と係合されている場合、セットスクリュー416は、アンカードライバ570における軸貫通穴596を通って挿入されてよい。スロット462とのアンカードライバ570の係合によって提供されるねじれ力抵抗は、セットスクリュー416を介して縫合糸をロックする際に適用される力が、アンカー400の元の挿入位置合わせに影響しないこと、または元の挿入位置合わせを変更しないことを確実にする。
【0037】
構造体および操作順序
図19図26は、靭帯および/または骨折を安定させる、もしくは補強するための使用において、開示されたデバイスの実施形態のいくつかの例を例示する。図19図22の例において、前後圧迫骨折2116の後で骨盤2100を安定させるために、恥骨結合2114を補強する安定化構造体での使用における典型的なデバイスおよび方法が示されている。
【0038】
図19および図20を参照すると、第1のアンカー2120が、上位から下位へと、第1の寛骨2104の恥骨2110の中に挿入されている。可撓性ストランド2122は、第1のアンカー2120に接続され、第1のアンカーの後縁端から延在する。本明細書で開示される実施形態において、可撓性ストランドは、縫合糸、縫合テープ、ケーブル、または別の好適な合成可撓性ストランドであってよい。図19図22の例において、可撓性ストランド2122は、より合わされた高い強度の縫合テープである。
【0039】
たとえば、図5図13に関して上で議論されたアンカー400または500などの第2のアンカー2124が、上位から下位へと、第2の寛骨2105の恥骨2111の中に挿入されている。第2のアンカー2124の位置は、第2のアンカー2124が横断面で示されている図20の破断面図を介して示されている。縫合糸通し器または渡し器2126は、第2のアンカー2124の近位端または後縁端の中へと延在し、戻し特徴2128を囲んで、第2のアンカー2124の近位端または後縁端を出る。可撓性ストランド2122は次いで、渡し器2126のループに通される。
【0040】
図21を参照すると、渡し器2126は、第2のアンカー2124の近位端から引っ込められて、可撓性ストランド2122の端を、第2のアンカー2124の後縁端または近位端の中へと通過させ、戻し特徴2128を囲んで、第2のアンカー2124の後縁端を出る。アンカー2120と2124との間に延在する可撓性ストランド2122の部分に張力をかけるために可撓性ストランド2122を引っ張り、恥骨結合を整復するために、次いで張力器具が使用されてもよい。可撓性ストランド2122は次いで、任意の適切なやり方で整復を維持するために、第2のアンカー2124に対してロックされてよい。この点において、可撓性ストランド2122を第2のアンカーに対して所望される張力でロックするために、セットスクリュードライバが張力器具における中央カニュレーションを通って前進させられ、かつセットスクリューを第2のアンカー2124において形成された内側ねじ山へと通すために使用される前に、セットスクリューが、張力器具における中央カニュレーションを通って前進させられてもよい。張力器具は次いで、解放され、取り外されてよい。一旦可撓性ストランドがロックされると、図22に示されるように、可撓性ストランド2122の余分な長さは切り取られてもよい。
【0041】
本発明の例による新規な修復構造体が、上位張力帯を作成するために、恥骨の上位部の中に挿入されたアンカーと共に示されてきた。しかしながら、アンカーは、他の配向に、および他の場所で挿入されてもよいことが理解されるであろう。たとえば、アンカーは、恥骨の上位部に挿入され、しかし前方から後方に、または上下と前後との間のなんらかの角度で向けられてもよい。同様に、アンカーは、恥骨の上位側と下位側との途中に前方張力帯を作成するために、図19図22の例証となる例に示された位置よりも下位に挿入されてもよい。複数の帯が、安定性を達成するために、必要に応じてさまざまなレベルで適用されてよい。仙腸関節の補強/修復は、前方補強と組み合わされてもよい。
【0042】
図19図22は骨折修復構造体を形成するための典型的な方法および関連付けられたデバイスを詳述しているが、類似した方法およびデバイスが、たとえば、上で図2図4において詳述された人の足首100内などで、靭帯補強構造体を形成するために使用されてもよい。
【0043】
別の典型的な方法において、および図23を参照して、関節を整復すること、または安定させることのうちの少なくとも1つの方法が提供されてよい。方法は、可撓性ストランドを第1のアンカーに接続すること2202を含むことができる。方法は、第1のアンカーを第1の骨の中に挿入すること2204を含むことができる。方法は、第2のアンカーを、その間に関節がある、第1の骨に近接した第2の骨の中に挿入すること2206を含むことができる。方法は、可撓性ストランドを、第2のアンカーの近位端で内側通路の中へ、および戻し特徴を囲んでルート決めすること2208を含むことができる。方法は、関節を整復する、または安定させるために、可撓性ストランドに張力をかけること2210を含むことができる。方法は、縫合糸を可撓性ストランドにロックすること2212を含むことができる。実施形態において、可撓性ストランドを、第2のアンカーの近位端で内側通路の中へ、および戻し特徴を囲んでルート決めすることは、可撓性ストランドを、内側通路から第2のアンカーの近位端の外へ退出させることを含むことができる。別の実施形態において、可撓性ストランドを、第2のアンカーの近位端で内側通路の中へ、および戻し特徴を囲んでルート決めすることは、可撓性ストランドを、内側通路から第2のアンカーを通じて形成された側孔の外へ退出させることを含むことができる。別の実施形態において、可撓性ストランドを、第2のアンカーの近位端で内側通路の中へ、および戻し特徴を囲んでルート決めすることは、可撓性ストランドを、内側通路から第2のアンカーの遠位端の外へ退出させることを含むことができる。縫合糸を可撓性ストランドにロックすることは、可撓性ストランドを第2のアンカーに対してロック解除することをさらに可能にするために、可逆構成を含むことができる。縫合糸を可撓性ストランドにロックすることは、スクリューを適用することを含むことができる。
【0044】
図24は、三角靭帯複合体124(図3)を補強するための第1の靭帯補強構造体2300を例示する。この構造体の実施形態において、後縁縫合糸2306を伴う縫合糸アンカー2304が、距骨106に置かれている。たとえば、図5図13に関して上で議論されたアンカー400または500のうちの1つなどの、第2の縫合糸を戻してロックするアンカー2308が、脛骨102の内果に置かれている。この例において、アンカー2304から後に引く縫合糸2306は、第2のアンカー2308に通され、たとえば、手作業で、または張力器具を使用して張力をかけられ、図8図11に関して上で議論されたようにセットスクリューを用いてロックされる、または取り付けられる。図24はまた、たとえば、後下脛腓靱帯(PITFL)112または前下脛腓靱帯(AITFL)110(図2図4)の補強のための、別々の、および同様の靭帯補強構造体2312を示す。
【0045】
図25は、たとえば、前距腓靭帯(ATFL)120、後距腓靭帯(PTFL)122、または他の靭帯を補強するための別の補強構造体2400を例示する。図25の例において、2つの縫合糸アンカー2402、2404は、2つの別々の靭帯を補強するために縫合糸2406を伴って置かれているが、たとえば、図5図13に関して上で議論されたアンカー400または500などの、単一の縫合糸を戻してロックするアンカー2408は、両方の靭帯を共通の付着ポイントまたは固定ポイントに固着するために、腓骨104に置かれている。
【0046】
上で議論された補強および修復構造体を越えて、上で議論された戻してロックするアンカーの実施形態からの縫合糸の端は、他の柔らかな、人または同種移植片の組織を付着するために使用されてもよい。図26は、たとえば、図5図13に関して上で議論されたアンカー400または500のうちの1つなどの、縫合糸を戻してロックするアンカー2504が軟組織の修復または腱再付着の目的のために用いられている、典型的な付着構造体2500を例示する。この実施形態において、縫合糸2502などの可撓性ストランドは、適切な骨2508を用いて取り付けられたアンカー2500に通される前に、腱2506(たとえば、アキレス腱、回旋腱板腱、その他)、同種移植片、または他の軟組織を通って通過し、上で議論されたように、張力をかけられ、ロックされる。
【0047】
とりわけ、1対1または多対1の関係による多様な構造体を生み出すために、通常の縫合糸アンカー、縫合糸を戻すアンカー、縫合糸をロックするアンカー、縫合糸を戻してロックするアンカーの任意の組合せ、およびアンカーごとに任意の数の縫合糸が組み合わされてよい。
【0048】
上の実施形態は、一定の構造、要素、構成物、および方法論的ステップに特定の言語において説明されてきたが、添付の特許請求の範囲において定義される技術は、説明された特定の構造、要素、構成物、および/またはステップに必ずしも限定されないことが理解されるべきである。むしろ、特定の態様およびステップは、特許請求される技術を実装する形態として説明されている。本技術の多くの実施形態が本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく実践され得ることから、本発明は、これ以降添付される特許請求の範囲に属する。
図1
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