IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パンディオン・セラピューティクス・インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-IL-2ムテインおよびその使用 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】IL-2ムテインおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/26 20060101AFI20230327BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20230327BHJP
   C07K 14/55 20060101ALI20230327BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20230327BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230327BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230327BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230327BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230327BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230327BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20230327BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230327BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
C12N15/26 ZNA
A61K38/20
A61P1/04
A61P1/16
A61P3/10
A61P9/00
A61P9/10 101
A61P11/00
A61P11/02
A61P11/06
A61P13/12
A61P15/00
A61P17/00
A61P17/06
A61P17/14
A61P19/02
A61P19/08
A61P21/00
A61P21/04
A61P25/00
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P35/00
A61P37/02
A61P37/06
A61P37/08
C07K14/55
C07K16/00
C07K19/00
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
【請求項の数】 91
(21)【出願番号】P 2020530653
(86)(22)【出願日】2018-11-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 US2018062808
(87)【国際公開番号】W WO2019112854
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-11-26
(31)【優先権主張番号】62/595,357
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/675,972
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/109,875
(32)【優先日】2018-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/109,897
(32)【優先日】2018-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/721,644
(32)【優先日】2018-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519333273
【氏名又は名称】パンディオン・オペレーションズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン・ヒギンソン-スコット
(72)【発明者】
【氏名】ジョアン・エル・ヴィニー
(72)【発明者】
【氏名】ジョスナ・ビシュウェシュワライア
(72)【発明者】
【氏名】エリク・ロバート・サンプソン
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・ルイス・オティポビー
【審査官】木原 啓一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-518823(JP,A)
【文献】特表2016-514161(JP,A)
【文献】国際公開第2005/007121(WO,A2)
【文献】特表2020-521452(JP,A)
【文献】特表2021-505156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K
CAplus/REGISTRY(STN)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号27のアミノ酸配列を含むT制御性細胞を活性化するペプチド。
【請求項2】
配列番号7の配列を有するN末端リーダーペプチドをさらに含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
C末端にリンカーペプチドをさらに含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
リンカーペプチドは、(GGGGS)n(式中、nは1、2、3、または4である)の配列を含む、請求項3に記載のペプチド。
【請求項5】
nは1である、請求項4に記載のペプチド。
【請求項6】
nは2である、請求項4に記載のペプチド。
【請求項7】
nは3である、請求項4に記載のペプチド。
【請求項8】
nは4である、請求項4に記載のペプチド。
【請求項9】
Fcペプチドをさらに含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項10】
Fcペプチドは、配列番号8または配列番号15の配列を含む、請求項9に記載のペプチド。
【請求項11】
N末端に配列番号7の配列を有するリーダーペプチドをさらに含む、請求項9に記載のペプチド。
【請求項12】
FcペプチドはC末端にある、請求項9に記載のペプチド。
【請求項13】
FcペプチドはN末端にある、請求項9に記載のペプチド。
【請求項14】
配列番号27のペプチドおよびFcペプチドを連結するリンカーペプチドをさらに含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項15】
N末端に配列番号7の配列を有するリーダーペプチドをさらに含む、請求項14に記載のペプチド。
【請求項16】
リンカーペプチドは、(GGGGS)n(nは1、2、3、または4である)である、請求項14に記載のペプチド。
【請求項17】
nは4である、請求項16に記載のペプチド。
【請求項18】
Fcペプチドは、配列番号8または配列番号15の配列を含む、請求項14に記載のペプチド。
【請求項19】
FcペプチドはC末端にある、請求項14に記載のペプチド。
【請求項20】
FcペプチドはN末端にある、請求項14に記載のペプチド。
【請求項21】
配列番号40の配列を含むペプチドを含む、請求項14に記載のペプチド。
【請求項22】
請求項1に記載のペプチドを含む医薬組成物。
【請求項23】
請求項14に記載のペプチドを含む医薬組成物。
【請求項24】
請求項19に記載のペプチドを含む医薬組成物。
【請求項25】
請求項21に記載のペプチドを含む医薬組成物。
【請求項26】
配列番号26のアミノ酸配列を含むT制御性細胞を活性化するペプチド。
【請求項27】
配列番号7の配列を有するN末端リーダーペプチドをさらに含む、請求項16に記載のペプチド。
【請求項28】
C末端にリンカーペプチドをさらに含む、請求項26に記載のペプチド。
【請求項29】
リンカーペプチドは、(GGGGS)n(式中、nは1、2、3、または4である)の配列を含む、請求項28に記載のペプチド。
【請求項30】
nは1である、請求項29に記載のペプチド。
【請求項31】
nは2である、請求項29に記載のペプチド。
【請求項32】
nは3である、請求項29に記載のペプチド。
【請求項33】
nは4である、請求項29に記載のペプチド。
【請求項34】
Fcペプチドをさらに含む、請求項26に記載のペプチド。
【請求項35】
Fcペプチドは、配列番号8または配列番号15の配列を含む、請求項34に記載のペプチド。
【請求項36】
N末端に配列番号7の配列を有するリーダーペプチドをさらに含む、請求項34に記載のペプチド。
【請求項37】
FcペプチドはC末端にある、請求項34に記載のペプチド。
【請求項38】
FcペプチドはN末端にある、請求項34に記載のペプチド。
【請求項39】
配列番号26のペプチドおよびFcペプチドを連結するリンカーペプチドをさらに含む、請求項26に記載のペプチド。
【請求項40】
N末端に配列番号7の配列を有するリーダーペプチドをさらに含む、請求項39に記載のペプチド。
【請求項41】
リンカーペプチドは、(GGGGS)n(nは1、2、3、または4である)である、請求項39に記載のペプチド。
【請求項42】
nは4である、請求項41に記載のペプチド。
【請求項43】
Fcペプチドは、配列番号8または配列番号15の配列を含む、請求項39に記載のペプチド。
【請求項44】
FcペプチドはC末端にある、請求項39に記載のペプチド。
【請求項45】
FcペプチドはN末端にある、請求項39に記載のペプチド。
【請求項46】
配列番号39の配列を含むペプチドを含む、請求項39に記載のペプチド。
【請求項47】
請求項26に記載のペプチドを含む医薬組成物。
【請求項48】
請求項39に記載のペプチドを含む医薬組成物。
【請求項49】
請求項43に記載のペプチドを含む医薬組成物。
【請求項50】
請求項46に記載のペプチドを含む医薬組成物。
【請求項51】
T制御性細胞を活性化するインビトロの方法であって、T制御性細胞を請求項1~21および26~46のいずれか1項に記載のペプチドまたは請求項22~25および47~50のいずれか1項に記載の医薬組成物と接触させる工程を含む前記方法。
【請求項52】
対象における炎症性障害を処置する方法で使用するための、請求項22~25および47~50のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、前記方法は、それを必要とする対象に、前記医薬組成物の治療的に有効な量を投与する工程を含む、前記医薬組成物。
【請求項53】
炎症性障害は、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、乾癬、ループス、移植片対宿主病(GVHD)、炎症、自己免疫疾患、アトピー性疾患、腫瘍随伴性自己免疫疾患、軟骨炎症、関節炎、関節リウマチ、若年性関節炎、若年性関節リウマチ、小関節型若年性関節リウマチ、多関節型若年性関節リウマチ、全身型若年性関節リウマチ、若年性強
直性脊椎炎、若年性腸炎性関節炎、若年性反応性関節炎、若年性ライター症候群、SEA症候群(血清陰性、腱付着部症、関節症症候群)、若年性皮膚筋炎、若年性乾癬性関節炎、若年性強皮症、若年性全身性エリテマトーデス、若年性血管炎、小関節型関節リウマチ、多関節型関節リウマチ、全身型関節リウマチ、強直性脊椎炎、腸炎性関節炎、反応性関節炎、ライター症候群、SEA症候群(血清陰性、腱付着部症、関節症症候群)、皮膚筋炎、乾癬性関節炎、強皮症、血管炎、筋炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、結節性多発動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、サルコイドーシス、硬化症、原発性胆汁性硬化症、硬化性胆管炎、シェーグレン症候群、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、皮膚炎、アテローム性動脈硬化症、スチル病、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、多発性硬化症(MS)、喘息、COPD、副鼻腔炎、ポリープを伴う副鼻腔炎、好酸球性食道炎、好酸球性気管支炎、ギランバレー病、I型糖尿病、甲状腺炎(例えば、グレーブス病)、アジソン病、レイノー現象、自己免疫性肝炎、ステロイド抵抗性慢性移植片対宿主病、移植拒絶反応、腎臓損傷、C型肝炎誘発性血管炎、自然妊娠喪失、脱毛症、白斑、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、微小変化群、膜性腎症、ANCA関連糸球体腎症、膜性増殖性糸球体腎症、IgA腎症、ループス腎炎である、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項54】
T制御性細胞におけるSTAT5リン酸化を促進または刺激する方法で使用するための、請求項22~25および47~50のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、前記方法は、それを必要とする対象に、前記医薬組成物の治療的に有効な量を投与する工程を含む、前記医薬組成物。
【請求項55】
炎症性障害の処置のための医薬品の製造における、請求項1~21および26~46のいずれか1項に記載のペプチドまたは請求項22~25および47~50のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項56】
炎症性障害は、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、乾癬、ループス、移植片対宿主病(GVHD)、炎症、自己免疫疾患、アトピー性疾患、腫瘍随伴性自己免疫疾患、軟骨炎症、関節炎、関節リウマチ、若年性関節炎、若年性関節リウマチ、小関節型若年性関節リウマチ、多関節型若年性関節リウマチ、全身型若年性関節リウマチ、若年性強直性脊椎炎、若年性腸炎性関節炎、若年性反応性関節炎、若年性ライター症候群、SEA症候群(血清陰性、腱付着部症、関節症症候群)、若年性皮膚筋炎、若年性乾癬性関節炎、若年性強皮症、若年性全身性エリテマトーデス、若年性血管炎、小関節型関節リウマチ、多関節型関節リウマチ、全身型関節リウマチ、強直性脊椎炎、腸炎性関節炎、反応性関節炎、ライター症候群、SEA症候群(血清陰性、腱付着部症、関節症症候群)、皮膚筋炎、乾癬性関節炎、強皮症、血管炎、筋炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、結節性多発動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、サルコイドーシス、硬化症、原発性胆汁性硬化症、硬化性胆管炎、シェーグレン症候群、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、皮膚炎、アテローム性動脈硬化症、スチル病、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、多発性硬化症(MS)、喘息、COPD、副鼻腔炎、ポリープを伴う副鼻腔炎、好酸球性食道炎、好酸球性気管支炎、ギランバレー病、I型糖尿病、甲状腺炎(例えば、グレーブス病)、アジソン病、レイノー現象、自己免疫性肝炎、ステロイド抵抗性慢性移植片対宿主病、移植拒絶反応、腎臓損傷、C型肝炎誘発性血管炎、自然妊娠喪失、脱毛症、白斑、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、微小変化群、膜性腎症、ANCA関連糸球体腎症、膜性増殖性糸球体腎症、IgA腎症、ループス腎炎である、請求項55に記載の使用。
【請求項57】
請求項1~21および請求項26~46のいずれか1項に記載のペプチドをコードする
核酸分子。
【請求項58】
請求項57に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項59】
請求項57に記載の核酸分子を含むプラスミド。
【請求項60】
請求項57に記載の核酸分子を含む細胞。
【請求項61】
請求項59に記載のプラスミドを含む細胞。
【請求項62】
請求項58に記載のベクターを含む細胞。
【請求項63】
請求項1~21および請求項26~46のいずれか1項に記載のペプチドを含むまたは発現する細胞。
【請求項64】
炎症性障害は、円形脱毛症である、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項65】
炎症性障害は、アトピー性皮膚炎である、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項66】
炎症性障害は、全身性エリテマトーデス(SLE)である、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項67】
炎症性障害は、潰瘍性大腸炎である、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項68】
炎症性障害は、白斑である、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項69】
炎症性障害は、乾癬である、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項70】
炎症性障害は、ループスである、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項71】
炎症性障害は、関節リウマチである、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項72】
炎症性障害は、若年性全身性エリテマトーデスである、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項73】
炎症性障害は、強直性脊椎炎である、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項74】
炎症性障害は、乾癬性関節炎である、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項75】
炎症性障害は、シェーグレン症候群である、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項76】
炎症性障害は、クローン病である、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項77】
炎症性障害は、ループス腎炎である、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項78】
炎症性障害は、円形脱毛症である、請求項55に記載の使用。
【請求項79】
炎症性障害は、アトピー性皮膚炎である、請求項55に記載の使用。
【請求項80】
炎症性障害は、全身性エリテマトーデス(SLE)である、請求項55に記載の使用
【請求項81】
炎症性障害は、潰瘍性大腸炎である、請求項55に記載の使用。
【請求項82】
炎症性障害は、白斑である、請求項55に記載の使用。
【請求項83】
炎症性障害は、乾癬である、請求項55に記載の使用。
【請求項84】
炎症性障害は、ループスである、請求項55に記載の使用。
【請求項85】
炎症性障害は、関節リウマチである、請求項55に記載の使用。
【請求項86】
炎症性障害は、若年性全身性エリテマトーデスである、請求項55に記載の使用。
【請求項87】
炎症性障害は、強直性脊椎炎である、請求項55に記載の使用。
【請求項88】
炎症性障害は、乾癬性関節炎である、請求項55に記載の使用。
【請求項89】
炎症性障害は、シェーグレン症候群である、請求項55に記載の使用。
【請求項90】
炎症性障害は、クローン病である、請求項55に記載の使用。
【請求項91】
炎症性障害は、ループス腎炎である、請求項55に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年8月23日に出願された米国仮出願第62/721,644号、2018年5月24日に出願された米国仮出願第62/675,972号、2017年12月6日に出願された米国仮出願第62/595,357号、2018年8月23日に出願された米国本出願第16/109,875号、および2018年8月23日に出願された米国本出願第16/109,897号の優先権を主張するものであり、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本明細書に提供される実施形態は、IL-2ムテインと呼ばれるタンパク質、これを含む組成物、およびこれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
IL-2は、3つの膜貫通受容体サブユニット、すなわち、IL-2が結合すると細胞内シグナル伝達事象を共に活性化するIL-2RβおよびIL-2Rγ、ならびに他の2つの受容体サブユニットにIL-2を提示する役目をするCD25(IL-2Rα)に結合する。IL-2Rβγによって伝達されるシグナルには、PI3キナーゼ、Ras-MAPキナーゼ、およびSTAT5経路のシグナルが含まれる。
【0004】
T細胞は、典型的には組織に存在する低濃度のIL-2に応答するのにCD25の発現を必要とする。CD25を発現するT細胞には、自己免疫性炎症の抑制に不可欠なCD4FOXP3制御性T細胞(Treg細胞)、およびCD25を発現するように活性化されたFOXP3T細胞の両方が含まれる。FOXP3CD4Tエフェクター細胞(Teff)は、CD4またはCD8細胞のどちらかであり得、その両方が炎症促進性であり得、ならびに自己免疫疾患、および対象の免疫系が臓器または他の組織を攻撃する他の疾患に寄与し得る。IL-2刺激STAT5シグナル伝達は、正常なTreg細胞増殖および生存ならびに高FOXP3発現に極めて重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
IL-2が3つのIL-2R鎖のそれぞれに対して持つ親和性が低いため、IL-2RβおよびIL-2Rγに対する親和性のさらなる低下は、CD25に対する親和性の増加によって相殺される可能性がある。IL-2の変異改変体が生成されている。これらのIL-2変異体は、IL-2ムテインと呼ばれる場合があり、様々な疾患の処置において有用であることが見出されている。しかし、様々な用途および組成物において使用することができる追加のIL-2ムテインに対するニーズが依然としてある。本実施形態は、これらのニーズおよび他のニーズを満足させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態において、73、76、100、または138位に変異を含む、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドが提供される。
【0007】
いくつかの実施形態において、53、56、80、または118位に変異を含む、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドが提供される。
【0008】
いくつかの実施形態において、X、X、およびXおよびXの少なくとも1つがIであり、ならびに残りがLまたはIである、配列番号43のアミノ酸配列を含むペプチドが提供される。
【0009】
また、該ペプチドおよび本明細書に記載されたタンパク質をコードする核酸分子を含む医薬組成物が提供される。また、本明細書で本明細書に記載されたタンパク質をコードする核酸分子を含むベクターが提供される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたタンパク質をコードする核酸を含むプラスミドが提供される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたタンパク質をコードする核酸分子、ベクター、またはプラスミドを含む細胞が提供される。
【0010】
いくつかの実施形態において、T制御性細胞を活性化する方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、T制御性細胞を本明細書に記載されたペプチドまたは本明細書に記載された医薬組成物と接触させることを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、対象における炎症性障害を治療する方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、以下に限定されるものではないが、それを必要とする対象を含む対象にペプチド(例えば、ペプチドの治療的に有効な量)を投与することを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、T制御性細胞におけるSTAT5リン酸化を促進または刺激する方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、対象にペプチド(例えば、ペプチドの治療的に有効な量)を投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本明細書に提供されるIL-2ムテインの非限定的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に記載されるのは、Treg細胞増殖、生存、活性化および/または機能を調節する(例えば増加させる)ことができる治療薬である。いくつかの実施形態において、調節はTreg細胞に対して選択的または特異的である。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「選択的」は、Treg細胞において活性を調節するが、非制御性T細胞では活性を促進する能力が限定されるまたは欠如している治療薬またはタンパク質を指す。
【0016】
いくつかの実施形態において、治療薬はIL-2の変異体である。IL-2の変異体は、IL-2ムテインと呼ばれてもよい。IL-2は、2つの異なる形態、未成熟形態および成熟形態で存在し得る。成熟形態はリーダー配列が除去されている。これは翻訳後プロセス中に行われる。未成熟IL-2の野生型配列は次の通りである:
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGINNYKNPKLTRMLTFKFYMPKKATELKHLQCLEEELKPLEEVLNLAQSKNFHLRPRDLISNINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFCQSIISTLT(配列番号1)
成熟IL-2の野生型配列は次の通りである:
APTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGINNYKNPKLTRMLTFKFYMPKKATELKHLQCLEEELKPLEEVLNLAQSKNFHLRPRDLISNINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFCQSIISTLT(成熟IL-2配列)(配列番号2)
【0017】
IL-2ムテイン分子は、IL-2の残基の1つまたは複数を変異させることによって製造することができる。IL-2ムテインの非限定的な例は、WO2016/164937、US9580486、US7105653、US9616105、US9428567、US2017/0051029、US2014/0286898A1、WO2014153111A2、WO2010/085495、WO2016014428A2、WO2016025385A1、およびUS20060269515に見出すことができ、これらの各々は、その全体が参照により組み入れられる。
【0018】
いくつかの実施形態において、上記の配列(配列番号2)の1位のアラニンが欠失される。いくつかの実施形態において、IL-2ムテイン分子は、成熟IL-2配列の125位のシステインに対して置換されたセリンを含む。IL-2ムテイン分子である変異および置換の他の組み合わせはUS20060269515に記載されており、その全体が参照により組み入れられる。いくつかの実施形態において、125位のシステインはバリンまたはアラニンでも置換される。いくつかの実施形態において、IL-2ムテイン分子はV91K置換を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテイン分子はN88D置換を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテイン分子はN88R置換を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテイン分子は、H16E、D84K、V91N、N88D、V91K、またはV91R、それらの任意の組み合わせの置換を含む。いくつかの実施形態において、これらのIL-2ムテイン分子は、本明細書に記載されている125位の置換も含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテイン分子は、T3N、T3A、L12G、L12K、L12Q、L12S、Q13G、E15A、E15G、E15S、H16A、H16D、H16G、H16K、H16M、H16N、H16R、H16S、H16T、H16V、H16Y、L19A、L19D、L19E、L19G、L19N、L19R、L19S、L19T、L19V、D20A、D20E、D20H、D20I、D20Y、D20F、D20G、D20T、D20W、M23R、R81A、R81G、R81S、R81T、D84A、D84E、D84G、D84I、D84M、D84Q D84R、D84S、D84T、S87R、N88A、N88D、N88E、N88I、N88F、N88G、N88M、N88R、N88S、N88V、N88W、V91D、V91E、V91G、V91S、I92K、I92R、E95G、およびQ126からなる群から選択される1つまたは複数の置換を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテイン分子のアミノ酸配列は、C125AまたはC125S置換、ならびにT3N、T3A、L12G、L12K、L12Q L12S、Q13G、E15A、E15G、E15S、H16A、H16D、H16G、H16K、H16M、H16N、H16R、H16S、H16T、H16V、H16Y、L19A、L19D、L19E、L19G、L19N、L19R、L19S、L19T、L19V、D20A、D20E、D20F、D20G、D20T、D20W、M23R、R81A、R81G、R81S、R81T、D84A、D84E、D84G、D84I、D84M、D84Q、D84R、D84S、D84T、S87R、N88A、N88D、N88E、N88F、N88I、N88G、N88M、N88R、N88S、N88V、N88W、V91D、V91E、V91G、V91S、I92K、I92R、E95G、Q126I、Q126L、およびQ126Fから選択される1個の置換により、成熟IL-2配列に記載されたアミノ酸配列とは異なる。いくつかの実施形態において、IL-2ムテイン分子は、C125AまたはC125S置換、ならびにD20H、D20I、D20Y、D20E、D20G、D20W、D84A、D84S、H16D、H16G、H16K、H16R、H16T、H16V、I92K、I92R、L12K、L19D、L19N、L19T、N88D、N88R、N88S、V91D、V91G、V91K、およびV91Sから選択される1個の置換により、成熟IL-2配列に記載されたアミノ酸配列とは異なる。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインはN88Rおよび/またはD20H変異を含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、IL-2ムテイン分子は、アミノ酸30、アミノ酸31、アミノ酸35、アミノ酸69、およびアミノ酸74からなる群から選択される位置にポリペプチド配列の変異を含む。いくつかの実施形態において、30位の変異はN30Sである。いくつかの実施形態において31位の変異はY31Hである。いくつかの実施形態において、35位の変異はK35Rである。いくつかの実施形態において、69位の変異はV69Aである。いくつかの実施形態において、74位の変異はQ74Pである。いくつかの実施形態において、ムテインは30、31、および/または35位に変異を含まない。
【0020】
いくつかの実施形態において、IL-2ムテイン分子は、上記に提供された成熟ヒトIL-2配列と比べてN88R、N88I、N88G、D20H、D109C、Q126L、Q126F、D84G、またはD84Iからなる群から選択される置換を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテイン分子は、D109Cの置換ならびにN88R置換およびC125S置換の一方または両方を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテイン分子の109位にあるシステインは、約5~約40kDaの分子量を有するポリエチレングリコール部分に連結される。いくつかの実施形態において、ムテインは109、126、または84位に変異を含まない。
【0021】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された置換のいずれかが125位の置換と組み合わされる。置換は、C125S、C125A、またはC125V置換であってもよい。いくつかの実施形態において、ムテインは125位に変異を含まない。
【0022】
本明細書で言及されるナンバリングは、IL-2ムテインに関して特に指示がない限り成熟配列を指す。配列または位置が配列番号1を指すならば、これは未成熟配列である。しかし、未成熟配列(配列番号1)から成熟配列(配列番号2)に位置を置き換えるために行う必要があるのは、配列番号1の言及された位置から20を引いて配列番号2の対応する位置を得ることだけである。
【0023】
本明細書に記載された置換または変異に加えて、いくつかの実施形態においてIL-2ムテインは、配列番号1に対応する73、76、100、または138位の1つもしくは複数において、または配列番号2に対応する53、56、80、もしくは118位の1つもしくは複数の位置に置換/変異を有する。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号1に対応する73および76;73および100;73および138;76および100;76および138;100および138;73、76、および100;73、76、および138;73、100、および138;76、100および138位;または73、76、100、および138位の各々に変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号2に対応する53および56;53および80;53および118;56および80;56および118;80および118;53、56、および80;53、56、および118;53、80、および118;56、80および118位;または53、56、80、および118位の各々に変異を含む。IL-2は他のタンパク質に融合またはテザリングできることから、本明細書で使用される場合、配列番号6または15を参照する用語は、NCBIウェブサイトを用いて使用され得る、アライメントソフトウェアのデフォルト設定で配列がどうアライメントされるかを指す。いくつかの実施形態において、変異はロイシンからイソロイシンである。故に、IL-2ムテインは、配列番号1に対応する73、76、100、もしくは138位において、または配列番号2に対応する53、56、80、もしくは118位の1つもしくは複数の位置に1つまたは複数のイソロイシンを含み得る。いくつかの実施形態において、ムテインは、配列番号2に対応するL53に変異を含む。いくつかの実施形態において、ムテインは、配列番号2に対応するL56に変異を含む。いくつかの実施形態において、ムテインは、配列番号2に対応するL80に変異を含む。いくつかの実施形態において、ムテインは、配列番号2に対応するL118に変異を含む。いくつかの実施形態において、変異はロイシンからイソロイシンである。いくつかの実施形態において、ムテインは、配列番号2に対応する69、74、88、125位の変異、またはこれらのムテインにおけるそれらの任意の組み合わせも含む。いくつかの実施形態において、変異はV69A変異である。いくつかの実施形態において、変異はQ74P変異である。いくつかの実施形態において、変異はN88DまたはN88R変異である。いくつかの実施形態において、変異はC125AまたはC125S変異である。
【0024】
いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号1に対応する49、51、55、57、68、89、91、94、108、および145位の1つもしくは複数、または配列番号2に対応する29、31、35、37、48、69、71、74、88、および125位の1つもしくは複数に変異を含む。置換は、単独でまたは互いに組み合わせて使用されてもよい。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、49、51、55、57、68、89、91、94、108、および145位の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または各々に置換を含む。そのような組み合わせの非限定的な例には、49、51、55、57、68、89、91、94、108、および145位;49、51、55、57、68、89、91、94、および108位;49、51、55、57、68、89、91、および94位;49、51、55、57、68、89、および91位;49、51、55、57、68、および89位;49、51、55、57、および68位;49、51、55、および57位;49、51、および55位;49および51位;51、55、57、68、89、91、94、108、および145位;51、55、57、68、89、91、94、および108位;51、55、57、68、89、91、および94位;51、55、57、68、89、および91位;51、55、57、68、および89位;55、57、および68位;55および57位;55、57、68、89、91、94、108、および145位;55、57、68、89、91、94、および108位;55、57、68、89、91、および94位;55、57、68、89、91、および94位;55、57、68、89、および91位;55、57、68、および89位;55、57、および68位;55および57位;57、68、89、91、94、108、および145位;57、68、89、91、94、および108位;57、68、89、91、および94位;57、68、89、および91位;57、68、および89位;57および68位;68、89、91、94、108、および145位;68、89、91、94、および108位;68、89、91、および94位;68、89、および91位;68および89位;89、91、94、108、および145位;89、91、94、および108位;89、91、および94位;89および91位;91、94、108、および145位;91、94、および108位;91、および94位;または94および108位の変異が含まれるが、これらに限定されない。各変異は互いに組み合わされてもよい。同じ置換が配列番号2でなされ得るが、ナンバリングは、本開示から明らかなように適切に調整されることになる(配列番号1のナンバリングより20少ないナンバリングが配列番号2における位置に対応する)。
【0025】
いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号1に対応する35、36、42、104、115、もしくは146位、または配列番号2の同等の位置(例えば15、16、22、84、95、および126位)の1つまたは複数の位置に変異を含む。これらの変異は、本明細書に記載された他のロイシンからイソロイシンへの変異、または配列番号1に対応する73、76、100、もしくは138位、または配列番号2に対応する53、56、80、もしくは118位の1つもしくは複数における変異と組み合わされてもよい。いくつかの実施形態において、変異は、E35Q、H36N、Q42E、D104N、E115Q、もしくはQ146E、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、これらの置換の1つまたは複数は野生型である。いくつかの実施形態において、ムテインは、配列番号1に対応する35、36、42、104、115、もしくは146位、または配列番号2の同等の位置(例えば15、16、22、84、95、または126位)の1つまたは複数に野生型残基を含む。
【0026】
これらの位置における変異は、本明細書および上記に記載された配列番号1に対応する73、76、100、もしくは138位における、または配列番号2に対応する53、56、80、もしくは118位の1つもしくは複数の位置での置換を含むがこれらに限定されない、本明細書に記載された他の変異のいずれかと組み合わされてもよい。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号1に対応するN49S変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号1に対応するY51SまたはY51H変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号1に対応するK55R変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号1に対応するT57A変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号1に対応するK68E変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号1に対応するV89A変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号1に対応するN91R変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号1に対応するQ94P変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号1に対応するN108DまたはN108R変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号1に対応するC145AまたはC145S変異を含む。
【0027】
これらの置換は、単独でまたは互いに組み合わせて使用されてもよい。いくつかの実施形態において、ムテインはこれらの置換の各々を含む。いくつかの実施形態において、ムテインはこれらの変異の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つを含む。いくつかの実施形態において、ムテインは、配列番号1に対応する35、36、42、104、115、もしくは146位、または配列番号2の同等の位置(例えば15、16、22、84、95、126、および126位)の1つまたは複数に野生型残基を含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号2に対応するN29S変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号2に対応するY31SまたはY31H変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号2に対応するK35R変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号2に対応するT37A変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号2に対応するK48E変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号2に対応するV69A変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号2に対応するN71R変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号2に対応するQ74P変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号2に対応するN88DまたはN88R変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列番号2に対応するC125AまたはC125S変異を含む。これらの置換は、単独でまたは互いに組み合わせて使用されてもよい。いくつかの実施形態において、ムテインはこれらの変異の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つを含む。いくつかの実施形態において、ムテインはこれらの置換の各々を含む。いくつかの実施形態において、ムテインは、配列番号1に対応する35、36、42、104、115、もしくは146位、または配列番号2の同等の位置(例えば15、16、22、84、95、および126位)の1つまたは複数に野生型残基を含む。
【0029】
本明細書に記載されたIL-2ムテインのいずれについても、いくつかの実施形態において、配列番号1に対応する35、36、42、104、115、もしくは146位、または配列番号2の同等の位置(例えば15、16、22、84、95、および126位)の1つまたは複数は野生型である(例えば、配列番号1または2に示されている通りである)。いくつかの実施形態において、配列番号1に対応する35、36、42、104、115、もしくは146位、または配列番号2の同等の位置(例えば15、16、22、84、95、および126位)の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または各々は野生型である。
【0030】
いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列:
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGISNHKNPRLARMLTFKFYMPEKATEIKHLQCLEEELKPLEEALRLAPSKNFHLRPRDLISDINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFSQSIISTLT(配列番号3)
を含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列:
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGISNHKNPRLARMLTFKFYMPEKATELKHIQCLEEELKPLEEALRLAPSKNFHLRPRDLISDINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFSQSIISTLT(配列番号4)
を含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列:
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGISNHKNPRLARMLTFKFYMPEKATELKHLQCLEEELKPLEEALRLAPSKNFHIRPRDLISDINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFSQSIISTLT(配列番号5)
を含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、配列:
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGISNHKNPRLARMLTFKFYMPEKATELKHLQCLEEELKPLEEALRLAPSKNFHLRPRDLISDINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFINRWITFSQSIISTLT(配列番号6)
を含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたIL-2ムテイン配列はIL-2リーダー配列を含まない。IL-2リーダー配列は、MYRMQLLSCIALSLALVTNS(配列番号7)の配列によって表すことができる。したがって、いくつかの実施形態において、上記に例示された配列は、リーダー配列のないペプチドを包含することもできる。配列番号1に対応する73、76、100、もしくは138位の1つに、または配列番号2に対応する53、56、80、もしくは118位の1つもしくは複数の位置に唯一の変異を有する配列番号3~6が例示されているが、ペプチドは、これらの位置に1つ、2つ、3つ、または4つの変異を含むことができる。いくつかの実施形態において、各々の位置の置換は、イソロイシンまたは他のタイプの保存的アミノ酸置換である。いくつかの実施形態において、列挙された位置のロイシンは、独立に、イソロイシン、バリン、メチオニン、またはグリシン、アラニン、グルタミンまたはグルタミン酸で置換される。
【0035】
いくつかの実施形態において、配列番号2のIL-2タンパク質は、以下の変異:V69A、Q74P、N88D、およびC125SまたはC125A、ならびにL53I、L56I、L80I、およびL118Iからなる群から選択される1つの変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2タンパク質は、L53I、L56I、L80I、およびL118Iからなる群から選択される2つの変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2タンパク質は、L53I、L56I、L80I、およびL118Iからなる群から選択される3つまたは各々の変異を含む。いくつかの実施形態において、IL-2タンパク質は、L53IおよびL56I、L53IおよびL80I、L53IおよびL118I、L56IおよびL80I、L56IおよびL118I、L80IおよびL118I、L53I、L56I、およびL80I、L53I、L56I、およびL118I、L56I、L80I、およびL118IまたはL53I、L56I、L80I、およびL118Iを含む。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、L53I、L56I、L80I、またはL118I変異を含まない。いくつかの実施形態において、IL-2ムテインはT3A変異を含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、配列番号2のIL-2タンパク質は、以下の変異:V69A、Q74P、N88D、およびC125SまたはC125A、ならびに配列番号2の45~55、50~60、52~57、75~85、100~130、115~125の領域の、以下に限定されるものではないが保存的置換などの1つまたは複数の変異を含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、IL-2ムテイン分子は、本明細書に記載されているFc領域または他のリンカー領域に融合される。そのような融合タンパク質の例は、US9580486、US7105653、US9616105、US 9428567、US2017/0051029、WO2016/164937、US2014/0286898A1、WO2014153111A2、WO2010/085495、WO2016014428A2、WO2016025385A1、US2017/0037102、およびUS2006/0269515に見出すことができ、これらの各々は、その全体が参照により組み入れられる。
【0038】
いくつかの実施形態において、Fc領域はLALA変異として知られるものを含む。いくつかの実施形態において、Fc領域はL234AおよびL235A変異(EUナンバリング)を含む。いくつかの実施形態において、Fc領域はG237A(EUナンバリング)を含む。いくつかの実施形態において、Fc領域はG237位(EUナンバリング)に変異を含まない。Kabatナンバリングを使用すると、これはL247A、L248A、および/またはG250Aに対応する。いくつかの実施形態において、EUナンバリングシステムを使用するとFc領域は、L234A変異、L235A変異、および/またはG237A変異を含む。使用されるナンバリングシステムに関係なく、いくつかの実施形態において、Fc部分はこれらの残基の1つまたは複数に対応する変異を含み得る。いくつかの実施形態において、Fc領域は、N297GまたはN297A(kabatナンバリング)変異を含む。Kabatナンバリングは完全長配列に基づくが、Fc領域について当業者によって使用される伝統的アライメントに基づく断片で使用されることになる(例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Kabatら(「Sequence of proteins of immunological interest」、US Public Health Services、NIH Bethesda、MD、Publication No. 91参照)。いくつかの実施形態において、Fc領域は、配列:
DKTHTCPPCPAPEAAGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号8)
を含む。
いくつかの実施形態において、Fc領域は、配列:
DKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号15)
を含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、IL-2ムテインはFc領域に連結される。リンカーの非限定的な例は、グリシン/セリンリンカーである。例えば、グリシン/セリンリンカーは、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号9)の配列であっても、もしくはこれを含んでもよく、またはGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号16)の配列であっても、もしくはこれを含んでもよい。これは単に非限定的な例であり、リンカーは様々な数のGGGGS(配列番号10)リピートを有することができる。いくつかの実施形態において、リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のGGGGS(配列番号10)リピートを含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、柔軟、剛性または切断可能なリンカーを使用してFc領域に連結される。リンカーは、本明細書に記載されている通り、または以下の表に例示されている通りであってもよい。
【0041】
【表1】
【0042】
故に、IL-2/Fc融合は、ZIL-2M-Lgs-ZFcの式(式中、ZIL-2Mは、本明細書に記載されているIL-2ムテインであり、Lgsは、本明細書に記載されているリンカー配列であり(例えばグリシン/セリンリンカー)、およびZFcは、本明細書に記載されたまたは当業者に公知のFc領域である)によって表すことができる。いくつかの実施形態において、式は逆配向ZFc-Lgs-ZIL-2Mであってもよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、IL-2/Fc融合は、配列:
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGISNHKNPRLARMLTFKFYMPEKATEIKHLQCLEEELKPLEEALRLAPSKNFHLRPRDLISDINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFSQSIISTLTGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPEAAGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号11)
を含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、IL-2/Fc融合は、配列:
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGISNHKNPRLARMLTFKFYMPEKATELKHIQCLEEELKPLEEALRLAPSKNFHLRPRDLISDINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFSQSIISTLTGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPEAAGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号12)
を含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、IL-2/Fc融合は、配列:
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGISNHKNPRLARMLTFKFYMPEKATELKHLQCLEEELKPLEEALRLAPSKNFHIRPRDLISDINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFSQSIISTLTGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPEAAGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号13)
を含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、IL-2/Fc融合は、配列:
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGISNHKNPRLARMLTFKFYMPEKATELKHLQCLEEELKPLEEALRLAPSKNFHLRPRDLISDINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFINRWITFSQSIISTLTGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPEAAGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号14)
を含む。
【0047】
いくつかの実施形態において、配列番号8のFc領域は、配列番号15と置き換えられる。
【0048】
本明細書に記載されたタンパク質は、抗体または他のタイプの治療的分子などの別のタンパク質に融合することもできる。
【0049】
いくつかの実施形態において、IL-2ムテインまたはIL-2/Fc融合の配列は、以下の表に示される通りである:
【0050】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0051】
該タンパク質の各々もまた、本明細書に提供されるC125SおよびLALAおよび/またはG237A変異を有すると考えることができる。C125置換はまた、本出願全体を通して記載されるC125Aでもあってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、表に示されているまたは本出願全体を通して配列は、L53、L56、L80、およびL118位に対応する1つまたは複数の変異を含む、または含まない。いくつかの実施形態において、表に示されているまたは本出願全体を通して配列は、L59I、L63I、I24L、L94I、L96IもしくはL132I位または同じ位置での他の置換に対応する1つまたは複数の変異を含む、または含まない。いくつかの実施形態において、変異はロイシンからイソロイシンである。いくつかの実施形態において、ムテインは、本明細書に示されまたは記載されている以外の別の変異を含まない。いくつかの実施形態において、ペプチドは、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、または配列番号43の配列を含む。
【0053】
いくつかの実施形態において、融合のFc部分は含まれない。いくつかの実施形態において、ペプチドは、本明細書に提供されたIL-2ムテインから基本的になる。いくつかの実施形態において、タンパク質はFc部分がない。
【0054】
いくつかの実施形態において、配列番号43(ここで、X、X、X、およびXの少なくとも1つはIであり、残りはLまたはIである)を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態において、X、X、およびXはLであり、XはIである。いくつかの実施形態において、X、X、およびXはLであり、XはIである。いくつかの実施形態において、X、X、およびXはLであり、XはIである。いくつかの実施形態において、X、X、およびXはLであり、XはIである。いくつかの実施形態において、XおよびXはLであり、XおよびXはIである。いくつかの実施形態において、XおよびXはLであり、XおよびXはIである。いくつかの実施形態において、XおよびXはLであり、XおよびXはIである。いくつかの実施形態において、XおよびXはLであり、XおよびXはIである。いくつかの実施形態において、XおよびXはLであり、XおよびXはIである。いくつかの実施形態において、XおよびXはLであり、XおよびXはIである。いくつかの実施形態において、X、X、およびXはLであり、XはIである。いくつかの実施形態において、X、X、およびXはLであり、XはIである。いくつかの実施形態において、X、X、およびXはLであり、XはIである。いくつかの実施形態において、X、X、およびXはLであり、XはIである。
【0055】
いくつかの実施形態において、IL-2ムテインは、図1に例示されるフォーマットであってもよい。しかし、本明細書に記載されているように、IL-2ムテインはいくつかの実施形態においてFcドメインなしで使用されてもよく、またはFcドメインは、IL-2ムテインのC末端に連結されるFcドメインとは対照的にIL-2ムテインのN末端に連結される。本明細書に記載されたポリペプチドはまた、記載されたペプチドの改変体も包含する。いくつかの実施形態において、IL-2改変体は、本明細書に提供された配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%実質的に類似するアミノ酸の配列を含む。改変体には、本明細書および上記に記載された様々な置換を有する本明細書に記載されたものが含まれる。いくつかの実施形態において、改変体は、1、2、3、4、または5個の追加の置換を有する。いくつかの実施形態において、置換は、GからA、LからI、GからS、KからRへの、または他のタイプの保存的置換である。いくつかの実施形態において、保存的置換は、以下の表に基づき選択される:
【0056】
【表7】
【0057】
【表8】
【0058】
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性パーセントは、目視検査および数理計算によって決定することができ、または例えば、コンピュータプログラムを使用して配列情報を比較することによって比較が行われる。例示的なコンピュータプログラムは、Genetics Computer Group(GCG;Madison、Wis.)Wisconsinパッケージバージョン10.0プログラム、GAP(Devereuxら(1984)、Nucleic Acids Res. 12:387~95頁)である。GAPプログラムの好ましいデフォルトパラメーターには、(1)ヌクレオチドに関する単項比較マトリックス(同一には1、および非同一には0の値を含有する)のGCG実装、ならびにAtlas of Polypeptide Sequence and Structure、SchwartzおよびDayhoff編、National Biomedical Research Foundation、353~358頁(1979)に記載されているGribskovおよびBurgessの加重アミノ酸比較マトリックス((1986)Nucleic Acids Res. 14:6745頁)、または他の同等の比較マトリックス;(2)アミノ酸配列については各ギャップに対してペナルティ8および各ギャップ中の各記号に対して追加のペナルティ2、またはヌクレオチド配列については各ギャップに対してペナルティ50および各ギャップ中の各記号に対して追加のペナルティ3;(3)エンドギャップに対するペナルティなし;ならびに(4)長いギャップに対する最大ペナルティなしが含まれる。当業者によって使用される配列比較の他のプログラムも使用することができる。
【0059】
いくつかの実施形態において、本明細書に提供されたIL-2ムテインには、IL-2Rを介して野生型IL-2によって活性化される特定の経路を通じたシグナル伝達を変更し、Tregの優先的な増殖/生存/活性化をもたらすタンパク質が含まれる。
【0060】
本明細書に提供されたIL-2ムテインは、参照により本明細書に組み入れられる、IL-2改変体の作製に関する米国特許第6,955,807号に記載されているものを含む、当技術分野で公知の任意の適切な方法を使用して作製することができる。そのような方法は、IL-2改変体をコードするDNA配列を構築する工程、および適切に形質転換された、宿主細胞などの宿主においてそれらの配列を発現させる工程を含む。これらの方法の利用により、本明細書に提供される組換えタンパク質が作製される。タンパク質はまた、合成により作製することもでき、または合成断片、および細胞中で組換えにより作製した断片を組み合わせて目的とするタンパク質全体を作製することもできる。
【0061】
いくつかの実施形態において、核酸分子(例えばDNAまたはRNA)は、目的とするタンパク質をコードする核酸分子を単離または合成して製造される。あるいは、IL-2の野生型配列は、部位特異的変異誘発などの日常的手法を使用して単離および変異させることができる。
【0062】
IL-2改変体をコードするDNA配列を構築する別の方法は、化学合成であろう。これには例えば、本明細書に記載された特性を示すIL-2改変体をコードするタンパク質配列の化学的手段によるペプチドの直接合成が含まれる。この方法は、天然および非天然アミノ酸の両方を様々な位置に組み込み得る。あるいは、所望のタンパク質をコードする核酸分子が、オリゴヌクレオチド合成機を使用して化学的手段によって合成され得る。オリゴヌクレオチドは、組換え改変体が作製される細胞において好都合なコドンを使用することによって選択することもできる、所望のタンパク質のアミノ酸配列に基づき設計される。遺伝コードは縮重していること、つまり、1つのアミノ酸は1つを超えるコドンによってコードされ得ることが十分に認識される。したがって、特定のIL-2タンパク質をコードする所与のDNA配列に対して、そのIL-2改変体をコードする多くのDNA縮重配列があることが理解されよう。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたタンパク質をコードする核酸分子が提供される。核酸分子は、DNAまたはRNAであってもよい。
【0063】
いくつかの実施形態において、核酸分子はシグナル配列をコードするであろう。シグナル配列は、該配列が発現されることになる細胞に基づき選択することもできる。いくつかの実施形態において、宿主細胞が原核生物であれば、核酸分子はシグナル配列を含まない。いくつかの実施形態において、宿主細胞が真核細胞であれば、シグナル配列が使用され得る。いくつかの実施形態において、シグナル配列はIL-2シグナル配列である。
【0064】
核酸分子またはその相補体がタンパク質をコードするコドンを含むならば、核酸分子は、本明細書で意味するように該タンパク質を「コードする」。
【0065】
「組換え」は、ポリペプチドまたはタンパク質に適用される場合、タンパク質の作製は、タンパク質をコードし得るまたはし得ない核酸が、これらが天然には見出されない細胞に導入される少なくとも1つの工程に依存することを意味する。
【0066】
様々な宿主(動物または細胞系)は、本明細書に記載されたタンパク質を産生するのに使用され得る。適切な宿主細胞の例には、細菌、真菌(酵母を含む)、植物、昆虫、哺乳動物、または他の適当な動物細胞もしくは細胞株、およびトランスジェニック動物または植物が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、これらの宿主には、周知の真核生物および原核生物宿主、例えば、大腸菌、シュードモナス、桿菌、ストレプトマイセス、真菌、酵母、昆虫(スポドプテラ・フルギペルダ(Sf9)など)細胞、動物細胞(チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞およびNS/Oなどのマウス細胞、COS 1、COS 7、BSC 1、BSC 40、およびBNT 10などのアフリカミドリザル細胞、ならびにヒト細胞など)、および組織培養下の植物細胞の株などが含まれ得る。動物細胞発現に関して、培養下のCHO細胞およびCOS 7細胞、特にCHO細胞株CHO(DHFR-)またはHKB株が使用され得る。
【0067】
当然ながら、全てのベクターおよび発現制御配列が、同じように十分に機能して本明細書に記載されたDNA配列を発現するわけではないことが理解されるべきである。また、全ての宿主も、同じ発現系を用いて同じように十分に機能するわけではない。しかし、当業者は、必要以上の実験をせずに、これらのベクター、発現制御配列および宿主の中で選択することができる。例えば、ベクターの選択において、ベクターは宿主中で複製しなければならないため、宿主が考慮されなければならない。ベクターコピー数、そのコピー数を制御する能力、およびベクターにコードされる、抗生物質マーカーなどの任意の他のタンパク質の発現も考慮されるべきである。例えば、本発明において使用するための好ましいベクターには、IL-2改変体をコードするDNAがコピー数増幅されることを可能にするものが含まれる。そのような増幅可能なベクターは、当技術分野で周知である。
【0068】
ベクターおよび宿主細胞
したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたタンパク質をコードするベクター、およびそのようなベクターで形質転換された宿主細胞が提供される。本明細書に記載されたタンパク質をコードする任意の核酸はベクターに含有されてもよく、ベクターは、例えば、宿主における増殖のための選択可能なマーカーおよび複製起点を含み得る。いくつかの実施形態において、ベクターは、タンパク質をコードする核酸分子に作動可能に連結された、哺乳動物、微生物、ウイルス、または昆虫遺伝子に由来するものなどの適切な転写または翻訳制御配列をさらに含む。そのような制御配列の例には、転写プロモーター、オペレーター、またはエンハンサー、mRNAリボソーム結合部位、ならびに転写および翻訳を制御する適当な配列が含まれる。ヌクレオチド配列は、制御配列が標的タンパク質をコードするDNAと機能的に関連する場合、作動可能に連結されている。故に、プロモーターヌクレオチド配列が核酸分子の転写を指示するならば、プロモーターヌクレオチド配列は、核酸分子に作動可能に連結されている。
【0069】
本明細書に記載された本明細書で使用することができる宿主細胞
【0070】
医薬組成物
別の態様において、本実施形態は、薬学的に許容される担体と一緒に製剤化される、本明細書に記載された治療的化合物(IL-2ムテイン)を含む組成物、例えば、薬学的に許容される組成物を提供する。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」には、生理的に適合性のあらゆる溶媒、分散媒、等張剤および吸収遅延剤等が含まれる。担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、直腸、局部、局所、脊髄または皮膚投与(例えば、注射または点滴による)に適していてもよい。
【0071】
本発明の組成物は、様々な形態であってもよい。これらには、液体溶液(例えば、注射可能および点滴可能な溶液)、分散液または懸濁液、リポソームおよび坐剤などの例えば、液体、半固体および固体剤形が含まれる。好ましい形態は、意図する投与様式および治療用途に依存する。典型的な組成物は、注射可能または点滴可能な溶液の形態である。一実施形態において投与様式は、非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。一実施形態において、治療的分子は、静脈内点滴または注射によって投与される。別の実施形態において、治療的分子は、筋肉内または皮下注射によって投与される。別の実施形態において、治療的分子は、局部的に、例えば注射、または局所適用によって標的部位に投与される。
【0072】
句「非経口投与」および「非経口的に投与される」は、本明細書で使用される場合、通常は注射による、腸内および局所投与以外の投与様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内注射および点滴を含むが、これらに限定されない。
【0073】
治療的組成物は、典型的には、製造および貯蔵の条件下で滅菌および安定であるべきである。組成物は、高い治療的分子濃度に適した溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポソーム、または他の秩序構造として製剤化され得る。滅菌注射可能溶液は、活性化合物(すなわち、治療的分子)を、必要に応じて上記に列挙された成分の1つまたは組み合わせと共に適当な溶媒に必要量で組み込み、その後濾過滅菌して製造することができる。一般に、分散液は、活性化合物を、塩基性分散媒、および上記に列挙されたものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込んで製造される。滅菌注射可能溶液の製造のための滅菌粉末の場合、製造の好ましい方法は、活性成分プラス任意の追加の所望の成分の粉末を、前もって滅菌濾過されたその溶液からもたらす真空乾燥および凍結乾燥である。溶液の適切な流動性は、レシチンなどのコーティング剤の使用、分散液の場合は必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用によって維持することができる。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物に含めることによってもたらされ得る。
【0074】
当業者に理解されるように、投与経路および/または様式は所望の結果に応じて変わるであろう。特定の実施形態において、活性化合物は、インプラント、経費パッチ、およびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤などの、急速な放出に対して化合物を保護する担体と共に製造されてもよい。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーが使用され得る。そのような製剤の製造のための多くの方法が特許取得され、または当業者に一般に公知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems、J. R. Robinson編、Marcel Dekker、Inc.、New York、1978参照。
【0075】
特定の実施形態において、治療的化合物は、例えば、不活性希釈剤または吸収可能な可食担体と共に経口投与されてもよい。化合物(および所望であれば他の成分)は、ハードまたはソフトシェルゼラチンカプセルに封入する、錠剤に圧縮する、または対象の食事に直接組み込むこともできる。経口治療投与に関して、化合物は、賦形剤と共に組み込まれ、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウエハース等の形態で使用され得る。本発明の化合物を非経口投与以外によって投与するために、不活性化を防ぐ材料で化合物をコーティングする、または不活性化を防ぐ材料と化合物を共投与することが必要となる場合がある。治療的組成物は、当技術分野で公知の医療機器を用いて投与することもできる。
【0076】
投与レジメンは、最適な所望の応答(例えば、治療応答)を提供するように調整される。例えば、単回ボーラスが投与されてもよく、いくつかの分割用量が経時的に投与されてもよく、または治療状況の緊急性によって示される通りに用量が比例的に低減または増加されてもよい。投与のしやすさおよび投与量の均一性のために、投与単位形態で非経口組成物を製剤化することが特に有利である。本明細書で使用される場合、投与単位形態は、処置される対象のための単一投与量として適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要な薬学的担体と共同して所望の治療効果を生むように計算された所定量の活性化合物を含有する。本発明の投与単位形態の仕様は、(a)活性化合物の特有の特徴および達成されるべき特定の治療効果、ならびに(b)個体における感受性の処置のためにそのような活性化合物を配合する技術分野につきものの制限によって決定づけられ、直接左右される。
【0077】
治療的化合物の治療または予防有効量の例示的、非限定的な範囲は、0.1~30mg/kg、より好ましくは1~25mg/kgである。治療的化合物の投与量および処置レジメンは、当業者によって決定され得る。特定の実施形態において、治療的化合物は、注射(例えば、皮下または静脈内)によって、約1~40mg/kg、例えば、1~30mg/kg、例えば、約5~25mg/kg、約10~20mg/kg、約1~5mg/kg、1~10mg/kg、5~15mg/kg、10~20mg/kg、15~25mg/kg、または約3mg/kgの用量で投与される。投与スケジュールは、例えば、週1回から2、3、もしくは4週間に1回まで変わってもよく、または、いくつかの実施形態において、投与スケジュールは、1カ月に1回、2カ月に1回、3カ月に1回、もしくは6カ月に1回であってもよい。1つの実施形態において、治療的化合物は、1週間おきに用量約10~20mg/kgで投与される。治療的化合物は、約35~440mg/m2、典型的には約70~310mg/m2、およびより典型的には、約110~130mg/m2の用量に達するように、20mg/分を超える、例えば、20~40mg/分、および典型的には40mg/分以上の速度で静脈内点滴によって投与されてもよい。実施形態において、約110~130mg/m2の点滴速度は、約3mg/kgのレベルを達成する。他の実施形態において、治療的化合物は、約1~100mg/m2、例えば、約5~50mg/m2、約7~25mg/m2、または、約10mg/m2の用量に達するように、10mg/分未満、例えば、5mg/分以下の速度で静脈内点滴によって投与されてもよい。いくつかの実施形態において、治療的化合物は、約30分間にわたり点滴される。投与量値は、軽減される状態のタイプおよび重症度により変わり得ることが留意されるべきである。任意の特定の対象に対して、個体のニーズ、および組成物の投与を管理または監督する者の専門家としての判断に従って、特定の投与レジメンが経時的に調整されるべきであること、ならびに本明細書に記載された投与量範囲は例示のみであり、特許請求される組成物の範囲または実践を限定することを意図するものではないことがさらに理解されるべきである。
【0078】
医薬本発明の組成物は、本発明の治療的分子の「治療的に有効な量」または「予防的に有効な量」を含み得る。「治療的に有効な量」は、所望の治療結果を達成するための、必要な投与量でのおよび必要な期間にわたる有効な量を指す。治療的分子の治療的に有効な量は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重などの要因、ならびに個体において所望の応答を誘発する治療的化合物の能力に従って変わり得る。治療的に有効な量はまた、治療的分子の任意の毒性または有害効果を、治療的に有益な効果が上回るものでもある。「治療的に有効な投与量」は、好ましくは、測定可能なパラメーター、例えば、免疫攻撃を、未処置の対象と比べて少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは少なくとも約60%、およびさらにより好ましくは少なくとも約80%阻害する。測定可能なパラメーター、例えば、免疫攻撃を阻害する化合物の能力は、移植片拒絶反応または自己免疫障害における効能を予測する動物モデル系で評価されてもよい。あるいは、組成物のこの特性は、当業者に公知のアッセイによるインビトロでのそのような阻害、阻害する化合物の能力を調べることによって評価することができる。
【0079】
「予防的に有効な量」は、所望の予防結果を達成するための、必要な投与量でのおよび必要な期間にわたる有効な量を指す。典型的には、予防的用量は、疾患の前またはより初期段階に対象において使用されるため、予防的に有効な量は治療的に有効な量より少ないであろう。
【0080】
本明細書に記載された治療的化合物を含むキットもまた、本発明の範囲内である。キットは、使用説明書;他の試薬、例えば、標識、治療剤、または治療的分子をキレートする、もしくはさもなければ標識もしくは他の治療剤にカップリングするのに有用な薬剤、または放射線保護組成物;投与用の治療的分子を製造するための装置または他の材料;薬学的に許容される担体;および対象に投与するための装置または他の材料を含む、1つまたは複数の他の要素を含んでもよい。
【0081】
組み合わせ
本明細書に記載されたタンパク質は、患者が患っている状態を処置するのに有用な他の薬剤と併用して投与することもできる。そのような薬剤の例には、タンパク質性および非タンパク質性の両方の薬物が含まれる。複数の治療薬が共投与される場合、投与量は、関連する技術分野で認識されているように適宜調整され得る。「共投与」および併用療法は同時投与に限定されないが、患者への少なくとも1つの他の治療剤の投与を含む処置過程中に、Treg選択的IL-2タンパク質が少なくとも1回投与される治療レジメンも含む。
【0082】
いくつかの実施形態において、Treg選択的IL-2タンパク質は、PI3-K/AKT/mTOR経路の阻害剤、例えば、ラパマイシン(ラパミューン、シロリムス)と組み合わせて投与される。IL-2と組み合わせたこの経路の阻害剤は、Treg濃縮に有利に働く。いくつかの実施形態において、IL-2タンパク質は、IL-2タンパク質に直接融合または結合されない別の治療薬なしで投与される。
【0083】
治療的方法
本明細書で言及される任意の疾患の「処置(treatment)」は、疾患の少なくとも1つの症状の軽減、疾患の重症度の低下、または、場合によっては疾患もしくは少なくとも1つの他の疾患に伴って起こり得るより重篤な症状への疾患進行の遅延もしくは予防を包含する。処置は、疾患が完全に治癒されることを意味する必要はない。有用な治療剤は、疾患の重症度を低下させ、疾患もしくはその処置に伴う症状の重症度を低下させ、または状態処置後に一定の頻度で生じ得るより重篤な症状もしくはより重篤な疾患の発症を遅延させる必要があるのみである。例えば、疾患が炎症性腸疾患であれば、治療剤は、腸内の明白な炎症部位の数、罹患した腸の総範囲を低減し、疼痛および/もしくは腫脹を低減し、下痢、便秘、または嘔吐などの症状を低減し、ならびに/または腸の穿孔を予防し得る。患者の状態は、バリウム注腸もしくは高位浣腸後に行われるx線、内視鏡検査、結腸内視鏡検査、および/または生検などの標準的な手法によって評価することができる。適切な手技は、患者の状態および症状に従って異なる。
【0084】
いくつかの実施形態において、タンパク質は炎症性障害を処置するのに使用される。いくつかの実施形態において、炎症性障害は、炎症、自己免疫疾患、アトピー性疾患、腫瘍随伴性自己免疫疾患、軟骨炎症、関節炎、関節リウマチ(例えば活動性)、若年性関節炎、若年性関節リウマチ、小関節型若年性関節リウマチ、多関節型若年性関節リウマチ、全身型若年性関節リウマチ、若年性強直性脊椎炎、若年性腸炎性関節炎、若年性反応性関節炎、若年性ライター症候群、SEA症候群(血清陰性、腱付着部症、関節症症候群)、若年性皮膚筋炎、若年性乾癬性関節炎、若年性強皮症、若年性全身性エリテマトーデス、若年性血管炎、小関節型関節リウマチ、多関節型関節リウマチ、全身型関節リウマチ、強直性脊椎炎、腸炎性関節炎、反応性関節炎、ライター症候群、SEA症候群(血清陰性、腱付着部症、関節症症候群)、皮膚筋炎、乾癬性関節炎、強皮症、血管炎、筋炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、結節性多発動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、サルコイドーシス、硬化症、原発性胆汁性硬化症、硬化性胆管炎、シェーグレン症候群、乾癬、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、ベーチェット病(皮膚に対する影響を含むが、これに限定されない)、脱毛症、円形脱毛症、全頭脱毛症、アテローム性動脈硬化症、ループス、スチル病、全身性エリテマトーデス(SLE)(例えば活動性)、重症筋無力症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、多発性硬化症(MS)、喘息、COPD、副鼻腔炎、ポリープを伴う副鼻腔炎、好酸球性食道炎、好酸球性気管支炎、ギランバレー病、I型糖尿病、甲状腺炎(例えば、グレーブス病)、アジソン病、レイノー現象、自己免疫性肝炎、移植片対宿主病、ステロイド抵抗性慢性移植片対宿主病、移植拒絶反応(例えば、腎臓、肺、心臓、皮膚等)、腎臓損傷、C型肝炎誘発性血管炎、自然妊娠喪失、脱毛症、白斑、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、微小変化群、膜性腎症、ANCA関連糸球体腎症(ANCA Associated Glomerulonephropathy)、膜性増殖性糸球体腎症、IgA腎症、ループス腎炎等である。いくつかの実施形態において、タンパク質は、ステロイド抵抗性慢性移植片対宿主病を処置するのに使用される。いくつかの実施形態において、タンパク質は、活動性全身性エリテマトーデスを処置するのに使用される。いくつかの実施形態において、タンパク質は、活動性関節リウマチを処置するのに使用される。
【0085】
いくつかの実施形態において、方法は、本明細書に記載されたタンパク質を含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、対象はそれを必要とする対象である。いかなる上記の治療的タンパク質も、本明細書に記載されている組成物(例えば、医薬組成物)の形態で投与することができる。例えば、組成物は、本明細書に記載されているIL-2タンパク質プラス緩衝剤、アスコルビン酸などの抗酸化剤、低分子量ポリペプチド(10個未満のアミノ酸を有するものなど)、タンパク質、アミノ酸、炭水化物、例えばグルコース、スクロース、またはデキストリンなど、EDTAなどのキレート剤、グルタチオン、ならびに/または他の安定剤、賦形剤、および/もしくは保存料を含んでもよい。組成物は、液体または凍結乾燥物として製剤化されてもよい。医薬製剤で使用され得る成分のさらなる例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、16.sup.th Ed.、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、(1980)および本明細書に記載されている他の文献に示されている。
【0086】
目的とする疾患を処置するために、本明細書に記載された治療的分子を含む組成物は、非経口、局所、経口、経鼻、膣、直腸、または肺(吸入による)投与を含むが、これらに限定されない任意の適当な方法によって投与されてもよい。注射される場合、組成物は、ボーラス注射または持続点滴によって関節内、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、または皮下投与されてもよい。局所投与(すなわち、疾患部位での)は、経皮送達および留置剤、皮膚パッチ、または坐剤からの徐放として企図される。吸入による送達には、例えば、経鼻または経口吸入、噴霧器の使用、エアロゾル形態での吸入等が含まれる。体腔に挿入される坐剤による投与は、例えば、選択された体腔に固形の組成物を挿入し、これを溶解させることによって達成することができる。他の代替物には、点眼薬、経口用剤、例えばピル、トローチ、シロップ、およびチューインガムなど、ならびにローション、ゲル、スプレー、および軟膏などの局所用剤が含まれる。ほとんどの場合、ポリペプチドである治療的分子は、局所または注射もしくは吸入によって投与され得る。
【0087】
処置方法の実行において、上記の治療的分子は、本明細書および上記に記載されているように投与することができる。例えば、組成物は、処置下の状態を処置するために有効であり得る任意の投与量、頻度、および期間で投与されてもよい。投与量は、治療的分子の分子の性質および処置下の障害の性質に依存する。処置は、所望の結果を得るために必要な限り継続されてもよい。本発明の治療的分子は、単回投与量として、または可能性のある投与レジメンの中でも特に、1日数回、1日1回、1日おき、週2回、週3回、週1回、1週間おき、および月1回の投与量を含む、定期的に与えられる一連の投与量として投与されてもよい。処置の周期性は、処置期間を通じて一定であってもよく、または一定でなくてもよい。例えば、処置は、最初は1週間間隔で生じ、その後1週間おきに生じる。数日、数週間、数カ月、または数年の期間を有する処置は、本発明によって包含される。処置は中止され、次いで再開されてもよい。維持用量は、初期処置後に投与されてもよく、またはされなくてもよい。
【0088】
投与量は、体重1キログラムあたりのミリグラム(mg/kg)として、または皮膚表面1平方メートルあたりのミリグラム(mg/m)として、または身長もしくは体重に関係なく固定用量として測定されてもよい。これらの全ては、当技術分野の標準的な投与量単位である。人の皮膚表面積は、標準的な式を使用して身長および体重から計算される。
【0089】
また、T制御性細胞におけるSTAT5リン酸化を促進または刺激する方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載されたペプチドまたはこれを含む医薬組成物の治療的に有効な量を投与する工程を含む。
【0090】
本明細書で使用される場合、句「それを必要とする」は、対象(動物または哺乳動物)が特定の方法または処置を必要とするとして同定されたことを意味する。いくつかの実施形態において、同定は診断のいかなる手段によってもよい。本明細書に記載された方法および処置のいずれにおいても、動物または哺乳動物はそれを必要としている可能性がある。いくつかの実施形態において、動物または哺乳動物は、特定の疾患、障害、もしくは状態が広まっている環境にあるか、または該環境に移動する。
【0091】
特に定義されない限り、全ての技術的および科学的用語は、開示された実施形態が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0092】
本明細書で使用される場合、用語「a」または「an」は、文脈が特に明確に指示しない限り、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数」を意味する。
【0093】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、数値がおおよそであり、小さな変動は開示された実施形態の実践に重大な影響を与えないことを意味する。数値限定が使用される場合、特に文脈よる指示がない限り、「約」は、数値が±10%変動し、開示された実施形態の範囲内にとどまり得ることを意味する。
【0094】
本明細書で使用される場合、互換的に使用される用語「個体」または「対象」または「患者」は、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、またはヒトなどの霊長類などの哺乳動物を含む任意の動物を意味する。
【0095】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprising)」(ならびに含むの任意の形態、例えば「comprise」、「comprises」、および「comprised」など)、「有する(having)」(および有するの任意の形態、例えば「have」および「has」)、「含む(including)」(および含むの任意の形態、例えば「includes」および「include」)、または「含有する(containing)」(および含有するの任意の形態、例えば「contains」および「contain」)は、包括的または非限定的であり、追加の列挙されない要素または方法工程を排除しない。「comprise」または「comprising」の移行句を使用する任意の工程または組成物は、「からなる(consisting of)」または「なる(consists)」の移行句に対して同じことを記載すると言うこともできる。
【0096】
本明細書で使用される場合、用語「接触させる(contacting)」は、インビトロ系またはインビボ系で2つの要素を結び付けることを意味する。例えば、本明細書に記載されたペプチドまたは組成物を、Treg細胞または個体もしくは患者もしくは細胞と「接触させる」ことは、ヒトなどの個体または患者への化合物の投与、ならびに、例えば、Treg細胞を含有する細胞調製物または精製調製物を含有する試料に化合物を導入することを含む。
【0097】
本明細書で使用される場合、異なるドメインまたは異種配列を有するタンパク質に関して使用されるときの用語「融合された(fused)」または「連結された(linked)」は、ペプチド結合または他の共有結合のどちらかにより互いに結合されたタンパク質ドメインが、同じペプチド鎖の一部であることを意味する。ドメインまたはセクションは、互いに直接連結もしくは融合されてもよく、または別のドメインもしくはペプチド配列が2つのドメインもしくは配列間にあってもよく、そのような配列は、互いに融合または連結されていると依然として見なされることになる。いくつかの実施形態において、本明細書に提供された様々なドメインまたはタンパク質は互いに直接連結もしくは融合され、または本明細書に記載されたグリシン/セリン配列などのリンカー配列が2つのドメインを結び付ける。
【0098】
いくつかの実施形態において、本明細書に提供される実施形態は以下も含むが、これらに限定されない:
1. 73、76、100、または138位に変異を含む、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド。
2. 変異が73、76、100、または138位のLからIへの変異である、実施形態1に記載のペプチド。
3. 49、51、55、57、68、89、91、94、108、および145位の1つまたは複数に変異をさらに含む、実施形態1に記載のペプチド。
4. E35、H36、Q42、D104、E115、もしくはQ146位の1つもしくは複数に変異をさらに含む、またはE35、H36、Q42、D104、E115、もしくはQ146の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは各々が野生型である、実施形態1に記載のペプチド。
5. 変異がE35Q、H36N、Q42E、D104N、E115Q、またはQ146Eの1つまたは複数である、実施形態4のペプチド。
6. N49S変異を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載のペプチド。
7. Y51SまたはY51H変異を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載のペプチド。
8. K55R変異を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載のペプチド。
9. T57A変異を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載のペプチド。
10. K68E変異を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載のペプチド。
11. V89A変異を含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載のペプチド。
12. N91R変異を含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載のペプチド。
13. Q94P変異を含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載のペプチド。
14. N108DまたはN108R変異を含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載のペプチド。
15. C145AまたはC145S変異を含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載のペプチド。
15.1. V89A、Q94P、N108RまたはN108D、およびL73I、L76I、L100I、L118I変異の1つまたは複数、および場合によりC145AまたはC145S変異を含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載のペプチド。
16. 53、56、80、または118位に変異を含む、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチド。
17. 変異が53、56、80、または118位のLからIへの変異である、実施形態16のペプチド。
18. 29、31、35、37、48、69、71、74、88、および125位の1つまたは複数にさらに変異を含む、実施形態16または17に記載のペプチド。
19. E15、H16、Q22、D84、E95、もしくはQ126位の1つもしくは複数に変異をさらに含む、またはE15、H16、Q22、D84、E95、もしくはQ126位の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは各々が野生型である、実施形態16に記載のペプチド。
20. 変異がE15Q、H16N、Q22E、D84N、E95Q、またはQ126Eの1つまたは複数である、実施形態19に記載のペプチド。
21. N29S変異を含む、実施形態16~20のいずれか1つに記載のペプチド。
22. Y31SまたはY51H変異を含む、実施形態16~21のいずれか1つに記載のペプチド。
23. K35R変異を含む、実施形態16~22のいずれか1つに記載のペプチド。
24. T37A変異を含む、実施形態16~23のいずれか1つに記載のペプチド。
25. K48E変異を含む、実施形態16~24のいずれか1つに記載のペプチド。
26. V69A変異を含む、実施形態16~25のいずれか1つに記載のペプチド。
27. N71R変異を含む、実施形態16~26のいずれか1つに記載のペプチド。
28. Q74P変異を含む、実施形態16~27のいずれか1つに記載のペプチド。
29. N88DまたはN88R変異を含む、実施形態16~28のいずれか1つに記載のペプチド。
30. C125AまたはC125S変異を含む、実施形態16~29のいずれか1つに
記載のペプチド。
31. V69A、Q74P、N88RまたはN88D、およびL53I、L56I、L80I、L118I変異の1つまたは複数、および場合によりC125AまたはC125S変異を含む、実施形態16~30のいずれか1つに記載のペプチド。
32. 30、31、および/または35位に対応する変異を含まない、実施形態1~31のいずれか1つに記載のペプチド。
33. Fcペプチドをさらに含む、実施形態1~32のいずれか1つに記載のペプチド。
33A. Fcペプチドが、Kabatナンバリングを使用するとL247、L248、およびG250位に、またはEUナンバリングを使用するとL234、L235、およびG237位に変異を含む、実施形態33に記載のペプチド。
33B. Fcペプチドが、以下の変異:L247A、L248A、およびG250A(Kabatナンバリング)またはL234A L235A、およびG237A(EUナンバリング)を含む、実施形態33に記載のペプチド。
34. Fcペプチドが、配列番号8または配列番号15の配列を含む、実施形態33に記載のペプチド。
35. 配列番号1または配列番号2のペプチドおよびFcペプチドを連結するリンカーペプチドをさらに含む、実施形態1~34のいずれか1つに記載のペプチド。
36. リンカーが、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号9)またはGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号16)の配列を含む、実施形態35のペプチド。
37. 配列番号17~43の配列を含む、実施形態1~36のいずれか1つに記載のペプチド。
38. 配列番号27のアミノ酸配列を含むペプチド。
39. 配列番号7の配列を有するN末端リーダーペプチドをさらに含む、実施形態38に記載のペプチド。
40. C末端にリンカーペプチドをさらに含む、実施形態1に記載のペプチド。
41. リンカーペプチドが、(GGGGS)(配列番号10)(式中、nは1、2、3、または4である)の配列を含む、実施形態40のペプチド。
42. nが1である、実施形態41のペプチド。
43. nが2である、実施形態41のペプチド。
44. nが3である、実施形態41のペプチド。
45. nが4である、実施形態41のペプチド。
46. Fcペプチドをさらに含む、実施形態48~45のいずれか1つに記載のペプチド。
47. Fcペプチドが、配列番号8または配列番号15の配列を含む、実施形態46のペプチド。
48. N末端に配列番号7の配列を有するリーダーペプチドをさらに含む、実施形態47のペプチド。
49. Fcペプチドが、配列番号27を含むペプチドのC末端にある、実施形態46のペプチド。
50. Fcペプチドが、配列番号27を含むペプチドのN末端にある、実施形態46のペプチド。
51. 配列番号27のペプチドおよびFcペプチドを連結するリンカーペプチドをさらに含む、実施形態1に記載のペプチド。
52. リンカーペプチドが、(GGGGS)(配列番号10)(nは1、2、3、または4である)である、実施形態51に記載のペプチド。
53. nが4である、実施形態52に記載のペプチド。
54. Fcペプチドが、配列番号8または配列番号15の配列を含む、実施形態51~53に記載のペプチド。
55. Fcペプチドが、配列番号27を含むペプチドのC末端にある、実施形態51~54に記載のペプチド。
56. Fcペプチドが、配列番号27を含むペプチドのN末端にある、実施形態51~54に記載のペプチド。
57. 配列番号37、38、39、または40の配列を含むペプチドを含む、実施形態14に記載のペプチド。
58. 実施形態1~57のいずれか1つに記載のペプチドを含む医薬組成物。
59. T制御性細胞を活性化する方法であって、T制御性細胞を実施形態1~57のいずれか1つに記載のペプチドまたは実施形態58に記載の医薬組成物と接触させる工程を含む前記方法。
60. 対象における炎症性障害を処置する方法であって、それを必要とする対象に、実施形態1~57のいずれか1つに記載のペプチドまたは実施形態58に記載の医薬組成物の治療的に有効な量を投与する工程を含む前記方法。
61. 炎症性障害が、炎症、自己免疫疾患、アトピー性疾患、腫瘍随伴性自己免疫疾患、軟骨炎症、関節炎、関節リウマチ、若年性関節炎、若年性関節リウマチ、小関節型若年性関節リウマチ、多関節型若年性関節リウマチ、全身型若年性関節リウマチ、若年性強直性脊椎炎、若年性腸炎性関節炎、若年性反応性関節炎、若年性ライター症候群、SEA症候群(血清陰性、腱付着部症、関節症症候群)、若年性皮膚筋炎、若年性乾癬性関節炎、若年性強皮症、若年性全身性エリテマトーデス、若年性血管炎、小関節型関節リウマチ、多関節型関節リウマチ、全身型関節リウマチ、強直性脊椎炎、腸炎性関節炎、反応性関節炎、ライター症候群、SEA症候群(血清陰性、腱付着部症、関節症症候群)、皮膚筋炎、乾癬性関節炎、強皮症、血管炎、筋炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、結節性多発動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、サルコイドーシス、硬化症、原発性胆汁性硬化症、硬化性胆管炎、シェーグレン症候群、乾癬、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、アテローム性動脈硬化症、ループス、スチル病、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、多発性硬化症(MS)、喘息、COPD、副鼻腔炎、ポリープを伴う副鼻腔炎、好酸球性食道炎、好酸球性気管支炎、ギランバレー病、I型糖尿病、甲状腺炎(例えば、グレーブス病)、アジソン病、レイノー現象、自己免疫性肝炎、移植片対宿主病(GVHD)、ステロイド抵抗性慢性移植片対宿主病、移植拒絶反応(例えば腎臓、肺、心臓、皮膚、等)、腎臓損傷、C型肝炎誘発性血管炎、自然妊娠喪失、脱毛症、白斑、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、微小変化群、膜性腎症、ANCA関連糸球体腎症、膜性増殖性糸球体腎症、IgA腎症、ループス腎炎等である、実施形態60に記載の方法。
62. T制御性細胞におけるSTAT5リン酸化を促進または刺激する方法であって、それを必要とする対象に、実施形態1~57のいずれか1つに記載のペプチドまたは実施形態58に記載の医薬組成物の治療的に有効な量を投与する前記方法。
63. 炎症性障害の処置のための医薬品の製造における、実施形態1~57のいずれか1つに記載のペプチドまたは実施形態58に記載の医薬組成物の使用。
64. 炎症性障害が、炎症、自己免疫疾患、アトピー性疾患、腫瘍随伴性自己免疫疾患、軟骨炎症、関節炎、関節リウマチ、若年性関節炎、若年性関節リウマチ、小関節型若年性関節リウマチ、多関節型若年性関節リウマチ、全身型若年性関節リウマチ、若年性強直性脊椎炎、若年性腸炎性関節炎、若年性反応性関節炎、若年性ライター症候群、SEA症候群(血清陰性、腱付着部症、関節症症候群)、若年性皮膚筋炎、若年性乾癬性関節炎、若年性強皮症、若年性全身性エリテマトーデス、若年性血管炎、小関節型関節リウマチ、多関節型関節リウマチ、全身型関節リウマチ、強直性脊椎炎、腸炎性関節炎、反応性関節炎、ライター症候群、SEA症候群(血清陰性、腱付着部症、関節症症候群)、皮膚筋炎、乾癬性関節炎、強皮症、血管炎、筋炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、結節性多発動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、サルコイドーシス、硬化症、原発性胆汁性硬化症、硬化性胆管炎、シェーグレン症候群、乾癬、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾
癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、アテローム性動脈硬化症、ループス、スチル病、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、多発性硬化症(MS)、喘息、COPD、副鼻腔炎、ポリープを伴う副鼻腔炎、好酸球性食道炎、好酸球性気管支炎、ギランバレー病、I型糖尿病、甲状腺炎(例えば、グレーブス病)、アジソン病、レイノー現象、自己免疫性肝炎、移植片対宿主病(GVHD)、ステロイド抵抗性慢性移植片対宿主病、移植拒絶反応(例えば腎臓、肺、心臓、皮膚、等)、腎臓損傷、C型肝炎誘発性血管炎、自然妊娠喪失、脱毛症、白斑、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、微小変化群、膜性腎症、ANCA関連糸球体腎症、膜性増殖性糸球体腎症、IgA腎症、ループス腎炎等である、実施形態63に記載の使用。
65. 実施形態1~57のいずれか1つに記載のペプチドをコードする核酸分子。
66. 実施形態65の核酸分子を含むベクター。
67. 実施形態65の核酸分子を含むプラスミド。
68. 実施形態65の核酸分子を含む細胞。
69. 実施形態67のプラスミドを含む細胞。
70. 実施形態66のベクターを含む細胞。
71. 実施形態1~57のいずれか1つに記載のペプチドまたは本明細書に記載されているペプチドを含むまたは発現する細胞。
【実施例
【0099】
以下の例は、本明細書に記載された化合物、組成物および方法の例示であるが、限定するものではない。当業者に公知の他の適切な修正および応用は、以下の実施形態の範囲内である。
【実施例1】
【0100】
配列番号11、12、13、または14のタンパク質を含む治療的組成物を、IBDに罹患している対象に投与した。対象の免疫系が下方制御され、IBDの症状が軽減される。
【実施例2】
【0101】
リーダー配列を含むまたは含まない配列番号3、4、5、または6のタンパク質を含む治療的組成物を、IBDに罹患している対象に投与した。対象の免疫系が下方制御されIBDの症状が軽減される。
【実施例3】
【0102】
IL-ムテインの生成
ヒトIgG1 FcドメインにN末端(配列番号40)またはC末端(配列番号41)融合したヒトIL-2Mポリペプチドをコードする単一遺伝子を含有するpTT5ベクターを、HEK293 Expi細胞にトランスフェクトした。5~7日後、IL-2Mを発現する細胞培養上清を採取し、遠心分離によって清澄化し、0.22um濾過装置を通して濾過した。IL-2MをプロテインA樹脂に捕捉した。樹脂をPBS pH7.4で洗浄し、10分の1容量の1M Tris pH8.0を使用して中和しながら、0.25%酢酸、pH3.5を使用して捕捉タンパク質を溶出した。タンパク質を30mM HEPES 150mM NaCl pH7に緩衝液交換し、Superdex 200 3.2/300カラムでサイズ排除クロマトグラフィーによって分析した。Bis-Tris 4-12%ゲルで還元および非還元SDS-PAGEによる精製材料5ugの分析を行った。IL-2Mは、サイズ排除クロマトグラフィーおよび還元/非還元SDS-PAGEによって示されたように、精製後に10mg/L以上で発現し、95%以上単分散した。
【実施例4】
【0103】
IL-2M分子はCD25に結合することができる
免疫吸着プレートを、PBS pH7.4中、濃度0.5μg/mL、75ul/ウェルのCD25でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。ウェルを、0.05% Tween-20を含有するPBS pH7.4(洗浄緩衝液)で3回洗浄し、次いでPBS pH7.4中200ul/ウェル1% BSA(ブロック緩衝液)を用いて室温で2時間ブロックした。洗浄緩衝液で3回洗浄後、IL-2M分子を、1% BSAおよび0.05% Tween-20を含有するPBS(アッセイ緩衝液)中、最高濃度2nMで12倍連続希釈に希釈した。希釈材料を、室温で1時間、75ul/ウェルでCD25コートプレートに添加した。洗浄緩衝液で3回洗浄後、アッセイ緩衝液中0.05μg/mLに希釈したヤギビオチン化抗IL-2ポリクローナル抗体を、室温で1時間、75ul/ウェルでプレートに添加した。洗浄緩衝液で3回洗浄後、アッセイ緩衝液中1:5000で希釈したストレプトアビジンHRPを、室温で15分間、75ul/ウェルでプレートに添加した。洗浄緩衝液で3回、および洗浄緩衝液(tween-20なし)で1回洗浄後、アッセイをTMBで展開し、1N HCLで停止した。OD450nmを測定した。実験には、CD25の非存在下、プレート/ブロックへのIL-2M分子の非特異的結合に関する適当な対照、およびCD25に結合することができない陰性対照分子が含まれた。
【0104】
結果は、2nM~1.9pMの濃度で、IL-2M分子はナノモル以下のEC50でCD25に結合できることを示した。さらに、CD25がプレート表面に存在しなかった場合、テストした任意の濃度ではいかなる化合物も検出されず、テスト化合物がプレート表面と非特異的に相互作用していないことを示した(データ不図示)。
【実施例5】
【0105】
IL-2M分子の効力および選択性を決定するためのインビトロP-STAT5アッセイ
末梢血単核細胞(PBMC)を、単離したばかりのヘパリン化ヒト全血からFICOLL-PAQUE PremiumおよびSepmateチューブを使用して製造した。野生型IL-2または実施例12のIL-2Mの存在下、PBMCを10%ウシ胎児血清RPMI培地で20分間培養し、次いでBD Cytofixで10分間固定した。
【0106】
固定した細胞を、BD Perm IIIおよび次いでBioLegend FOXP3透過処理緩衝液で連続的に透過処理した。ヒト血清を用いて10分間ブロックした後、細胞をホスホ-STAT5 FITC、CD25 PE、FOXP3 AF647およびCD4 PerCP Cy5.5に対する抗体で30分間染色し、次いでプレートリーダーを備えたAttune NXTで取得を行った。配列番号23のIL-2Mは、TregにおけるSTAT5リン酸化を強力および選択的に誘導したが、Teffではそのような誘導は生じなかった。
【実施例6】
【0107】
IL-2ムテインの免疫原性
IL-2ムテイン変異体配列を、www「ドット」cbs 「ドット」dtu「ドット」dk/services/NetMHCIIpan/で見出すことができるNetMHCIIPan 3.2ソフトウェアを使用して分析した。人工ニューラルネットワークを使用してMHCクラスII対立遺伝子に対するペプチド親和性を決定した。その分析の中で、MHCクラスII分子との直接相互作用を有する可能性がある9残基ペプチドを結合コアとして認識した。結合に間接的に影響を与える可能性を有する、結合コアに隣接する残基もマスキング残基として調べた。MHCクラスII分子に対する予測KDが50nMより低い場合、結合コアおよびマスキング残基の両方を含むペプチドを強いバインダーとしてマークした。強いバインダーは、T細胞免疫原性を導入する可能性がより高まる。
【0108】
北米および欧州で高度に示される合計9つのMHCII対立遺伝子を、コンピュータによる解析に含めた。テストしたIL-2M(IL-2ムテイン)分子のパネルは、L53I、L56I、L80I、またはL118I変異を有するIL-2ムテインを含んだ。MHCII対立遺伝子DRB1_1101、DRB1_1501、DRB1_0701、およびDRB1_0101のみが、評価した分子のいずれかでヒットを生じた。DRB_1501に対するペプチドヒットは、C125S変異を有する野生型IL-2を含むテストした全ての構築物間で同じであった。L80Iの付加により、DRB1_0101[ALNLAPSKNFHLRPR(配列番号60)]に対する1個のT細胞エピトープが除去され、2個の他のT細胞エピトープ[EEALNLAPSKNFHLR(配列番号61)およびEALNLAPSKNFHLRP(配列番号62)]の親和性はやや低下した。MHCII対立遺伝子DRB1_0701に関して、L80Iは1個のT細胞エピトープ[EEALNLAPSKNFHLR(配列番号63)]を除去した。したがって、データは、L80I変異を含むIL-2ムテインは免疫原性が低いはずであることを示した。これは、コンピュータによる解析からの驚くべきおよび予想外の結果であった。
【実施例7】
【0109】
追加のIL-2ムテインの生成
ヒトIL-2MまたはヒトIgG1 FcドメインのN末端に融合したIL-2Mを有する単一IL-2M(IL-2ムテイン)配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40(およびIL-2M対照;配列番号34)ポリペプチドをコードする単一遺伝子を含有するpTT5ベクターを、HEK293 Expi細胞にトランスフェクトした。5~7日後、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40(およびIL-2M対照;配列番号34)を発現する細胞培養上清を採取し、遠心分離によって清澄化し、0.22um濾過装置を通して濾過した。配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40(およびIL-2M対照;配列番号34)をプロテインA樹脂に捕捉した。樹脂をPBS pH7.4で洗浄し、10分の1容量の1M Tris pH8.0を使用して中和しながら、0.25%酢酸、pH3.5を使用して捕捉タンパク質を溶出した。タンパク質を30mM HEPES 150mM NaCl pH7に緩衝液交換し、Superdex 200 3.2/300カラムでサイズ排除クロマトグラフィーによって分析した。Bis-Tris 4~12%ゲルで還元および非還元SDS-PAGEによる精製材料5ugの分析を行った。
【0110】
IL-2M配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40(およびIL-2M対照;配列番号34)は、サイズ排除クロマトグラフィーおよび還元/非還元SDS-PAGEによって示されたように、精製後に45mg/L以上で発現し、95%以上単分散した。
【実施例8】
【0111】
IL-2MはCD25に結合することができる
免疫吸着プレートを、PBS pH7.4中、濃度0.5μg/mL、75ul/ウェルのCD25でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。ウェルを、0.05% Tween-20を含有するPBS pH7.4(洗浄緩衝液)で3回洗浄し、次いでPBS pH7.4中200ul/ウェル1% BSA(ブロック緩衝液)を用いて室温で2時間ブロックした。洗浄緩衝液で3回洗浄後、IL-2M配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40を、1% BSAおよび0.05% Tween-20を含有するPBS(アッセイ緩衝液)中、最高濃度2nMで12倍連続希釈に希釈した。希釈材料を、室温で1時間、75ul/ウェルでCD25コートプレートに添加した。洗浄緩衝液で3回洗浄後、アッセイ緩衝液中0.05μg/mLに希釈したヤギビオチン化抗IL-2ポリクローナル抗体を、室温で1時間、75ul/ウェルでプレートに添加した。洗浄緩衝液で3回洗浄後、アッセイ緩衝液中1:5000で希釈した高感受性ストレプトアビジンHRPを、室温で15分間、75ul/ウェルでプレートに添加した。洗浄緩衝液で3回、および洗浄緩衝液(tween-20なし)で1回洗浄後、アッセイをTMBで展開し、1N HCLで停止した。OD450nmを測定した。実験には、CD25の非存在下、プレート/ブロックへの分子の非特異的結合に関する適当な対照を含めた。結果は、2nM~1.9pMで、実施例7のムテインはナノモル以下のEC50でCD25に結合できたことを示した。さらに、CD25がプレート表面に存在しなかった場合、テストした任意の濃度ではいかなる化合物も検出されず、テスト化合物がプレート表面と非特異的に相互作用していないことを示した。故に、実施例7のムテインは、CD25に結合することができる。
【実施例9】
【0112】
実施例7のIL-2ムテインは強力および選択的である
末梢血単核細胞(PBMC)を、単離したばかりのヘパリン化ヒト全血からFICOLL-PAQUE PremiumおよびSepmateチューブを使用して製造した。野生型IL-2または実施例7のムテインの存在下、PBMCを10%ウシ胎児血清RPMI培地で20分間培養し、次いでBD Cytofixで10分間固定した。固定した細胞を、BD Perm IIIおよび次いでBioLegend FOXP3透過処理緩衝液で連続的に透過処理した。ヒト血清を用いて10分間ブロックした後、細胞をホスホ-STAT5 FITC(CST)、CD25 PE、FOXP3 AF647およびCD4 PerCP Cy5.5(全てBD)対する抗体で30分間染色し、次いでプレートリーダーを備えたAttune NXTで取得を行った。実施例7のIL-2ムテインは、強力であり、Teffと比べてTregに対して選択性を有することが見出された。L118I変異を有するムテインは、他のムテインと比較して活性および選択性を増加させることが見出された。
【実施例10】
【0113】
IL-2ムテインはヒト化マウスにおいてTregを拡大する
ヒトCD34+ 造血幹細胞によりヒト化したNSGマウスをJackson Labsから購入した。0および7日目に、1ug IL-2ムテイン配列番号34または他のIL-2ムテイン配列番号37、配列番号38、配列番号39、もしくは配列番号40をマウスに皮下投与した。7日目にマウスを安楽死させ、全血および脾臓を回収した。全血を96ウェルのディープウェルプレートに等分し、BD Fix Lyseを使用して10分間固定した。70umフィルター(BD)を使用して脾細胞を単離し、BioLegend製RBC溶解緩衝液を使用して赤血球を溶解した。2%ウシ胎児血清PBSで洗浄後、脾細胞を近赤外線生死染色(Invitrogen)で20分間標識し、次いでBioLegend固定化緩衝液を使用して20分間固定した。全血細胞および脾細胞の両方を、次いで、BioLegend FOXP3透過処理緩衝液を使用して透過処理し、ヒト血清でブロックし、ヒトCD8a FITC(BL)、ヒトCD25 PE(BD)、ヒトFOXP3 AF647(BD)、CD4 PerCP Cy5.5(BD)、ヒトSiglec-8 PE Cy7(BL)、ヒトCD3 BV421(BL)、ヒトCD45 BV605(BL)、ヒトCD56 BV785(BL)およびマウスCD45(BV711)に対する抗体で30分間染色し、プレートリーダーを備えたAttune NXTで取得を行った。
【0114】
ビヒクル対照と比べて、IL-2M配列番号37および配列番号38および配列番号39および配列番号40は、ヒト化マウスのマウス脾臓および全血においてヒトTregを選択的に誘導した。ヒトCD56pos NK細胞、CD3pos T細胞、CD8pos細胞傷害性Tリンパ球、CD4posヘルパーT細胞またはCD25lo/FOXP3neg Tエフェクターの頻度に有意な変化はなかった。これらの結果は、IL-2ムテインが制御性T細胞の頻度を増加させることを示している。
【実施例11】
【0115】
IL-2ムテインによって誘導されたシグナル伝達の永続性
末梢血単核細胞(PBMC)を、単離したばかりのヘパリン化ヒト全血からFICOLL-PAQUE PremiumおよびSepmateチューブを使用して製造した。IL-2Mの存在下、PBMCを10%ウシ胎児血清RPMI培地で60分間培養した。細胞を次いで3回洗浄し、さらに3時間インキュベートした。細胞を、次いでBD Cytofixで10分間固定した。固定した細胞を、BD Perm IIIおよび次いでBioLegend FOXP3透過処理緩衝液で連続的に透過処理した。ヒト血清を用いて10分間ブロックした後、細胞をホスホ-STAT5 FITC、CD25 PE、FOXP3 AF647およびCD4 PerCP Cy5.5に対する抗体で30分間染色し、次いでプレートリーダーを備えたAttune NXTで取得を行った。実施例19の4つのIL-2ムテイン全てが、対照と比較してTregにおいて永続的なシグナル伝達を誘導したが、Teffでは誘導しなかった。配列番号40は、配列番号39、配列番号38または配列番号37より優れていた。これらの結果は、インビボでのより大きなTreg拡大をもたらし、低頻度投与を可能にしてTreg拡大を達成するはずの永続的および選択的なシグナル伝達を、IL-2がTregにおいて誘導し得ることを示している。
【0116】
本明細書に提供された例は、IL-2ムテインがTeffよりTregを選択的および強力に活性化するように機能し得るという驚くべきおよび予想外の結果を示している。これは、該分子が、本明細書に記載された状態を処置または改善するのに使用できることを示すものである。本明細書に提供されるIL-2ムテインは、本明細書に提供されるFcドメインまたはリンカーに融合した状態または融合しない状態でも生成および使用することができる。
【0117】
実施形態は、特定の例を参照して記載されてきた。これらの例は、いかなる形でも実施形態を限定することを意味するものではない。本開示の目的のために、本開示の十分に範囲内である様々な変更および修正がなされ得ることが理解される。当業者に容易に思い浮かぶ、および本明細書に開示され、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の趣旨に包含される数多くの他の変更がなされ得る。
【実施例12】
【0118】
ムテインは全般的POIおよびより低い凝集を示す
本明細書に提供されるL234A、L235A、およびG237A変異を含むFc領域に連結したV69A、Q74P、N88D、およびC125Sの変異、ならびに以下の変異L53I、L56I、L80I、またはL118Iの1つを有するIL-2ムテインを、HEK293 Expi細胞にpTT5ベクターをトランスフェクトして該ベクターで発現させた。IL-2ムテインを4GGGGS(配列番号10)リピートを有するFc領
域のN末端に連結した。5~7日後、異なるIL-2ムテインを発現する細胞培養上清を採取し、遠心分離によって清澄化し、0.22um濾過装置を通して濾過した。IL-2ムテインをプロテインA樹脂に捕捉した。樹脂をPBS pH7.4で洗浄し、10分の1容量の1M Tris pH8.0を使用して中和しながら、0.25%酢酸、pH3.5を使用して捕捉タンパク質を溶出した。タンパク質を30mM HEPES 150mM NaCl pH7に緩衝液交換し、目的とするピーク(POI)パーセントについてAdvanceBio SECカラムでサイズ排除クロマトグラフィーによって分析した。結果は、種々のムテインが60mg/L以上で発現したことを示している。しかし、サイズ排除クロマトグラフィーによって示されたように、L80IまたはL118I変異を有するムテインは90%超が単分散したが、L53IまたはL56I変異を有するムテインではそうならなかったことが、驚くべきことに見出された。故に、L80IまたはL118I置換を有するムテインは凝集が少なかった。4つの分子(L80I、L118I、L53I、およびL56Iを含むIL-2ムテイン)の間の凝集の差は、作製されている変異のタイプのために意外であった。したがって、L80IまたはL118I変異を有するムテインは、他のムテインほど凝集しないという点で他のムテインと比べて驚くべき利点を有する。
【実施例13】
【0119】
IL-2ムテインは効力が予想外に増加する
実施例12に記載したムテインを、効力についてインビトロアッセイで分析した。簡単には、PBMCをヘパリン化ヒト全血から単離し、37℃で30分間、一定濃度の種々のムテインを用いて刺激した。固定化によって刺激を停止した。透過処理後、細胞内FoxP3およびホスホ-STAT5レベルならびに表面CD4およびCD25発現についてPBMCを染色し、フローサイトメトリーによって分析した。制御性T細胞(Treg)およびエフェクターT細胞(Teff)を、それぞれCD4+CD25hiFoxP3+またはCD4+CD25loFoxP3-としてゲーティングした。ホスホ-STAT5について陽性染色した細胞の割合を示した。このアッセイは、Teffを刺激することなくTregを特異的に刺激するムテインの能力を測定した。各テスト物質の最適用量反応曲線を使用してEC50値を計算した。
【0120】
驚くべきことに、L118I、L80I、L56I、またはL53Iの変異を有するムテインは、これらの変異のいずれも有さないIL-2ムテインと比較して、(Tregを刺激する)効力を増加させた。L118I、L80I、L56I、またはL53Iの変異を有するが、V69A、Q74P、およびN88D変異を持たないIL-2ムテインは、約51pMであった。L118I、L80I、L56I、またはL53Iの1つを含むムテインの各EC50は、それぞれ約30、40、41、および45のEC50を有した。Treg刺激(Teff刺激の変化なし)に関するEC50の差は驚くべきものであり、この例に記載された変異の1つを有するムテインについては予測されていなかったであろう。データはまた、L118I、L80I、L56I、またはL53I変異の1つも含むムテインに対する親IL-2ムテイン(V69A、Q74P、N88D、およびC125Sを含む)の比を比較して評価することもできた。この比を使用して、異なる実験に使用される異なる細胞集団を正規化した。この比を使用するとL118Iは、親対照と比較して約25%多い効力(平均0.16の標準誤差)の平均増加を有したのに対し、他の変異は、この比を使用すると親対照と比較して活性が減少した。
【0121】
L118I、L80I、L56I、またはL53I変異の1つを有するムテインについて、インビトロデータをインビボで確認した。L118Iは、L118I変異がないムテインより強力であることがインビボで見出された。簡単には、ヒトCD34+ 造血幹細胞で再構成したNod-Scid-IL-2Rガンマ欠損(NSG)マウスに、示されたテスト物質またはビヒクル1マイクログラムを0および7日目に皮下注射した。11日目に、マウスを殺処分し、ヘパリンを含有するチューブへの心臓穿刺により血液を回収した。末梢血白血球(PBL)を赤血球の溶解によって単離し、ヒトマーカーCD45、CD3、CD8、CD4、FoxP3、CD25およびCD56に反応する抗体で染色した。ヒト制御性T細胞(Treg、CD45+CD3+CD4+CD25+FoxP3+)、活性化エフェクターT細胞(act Teff、CD45+CD3+CD4+CD25+FoxP3-)およびNK細胞(CD45+CD56+)の割合をフローサイトメトリーによって決定した。全CD45+、全CD4+および全CD8+細胞の頻度は変わらなかった。同様の結果がマウスの脾臓で観察された。L80I変異を有するIL-2ムテインのこのアッセイで測定した場合のインビボでの効力は、L80I変異がないムテインと比較してわずかに増加し、L56IまたはL53I変異のどちらかを有するムテインのこのアッセイで測定した場合のインビボでの効力は、変異がないムテインとほぼ同じであった。ムテインは、20アミノ酸(GGGGS)(配列番号9)リンカーにより、本明細書に記載されているFc領域にN末端で連結させた。すなわち、リンカーは、IL-2ムテインのC末端をFc領域のN末端に連結した。
【実施例14】
【0122】
20アミノ酸リンカーを有するN末端Fc配向がTreg刺激に最も有効である。
V69A、Q74P、およびN88Dを有するIL-2ムテインを、異なる長さのGGGGS(配列番号10)リピートを使用してL234A、L235AおよびG237A変
異の変異を含むFc領域に融合させた。3および4つのGGGGS(配列番号10)リピートを含むリンカーによりムテインのc末端を介してヒトIgG1 Fcのn末端に融合されたIL2-ムテイン分子をテストして、リンカーの長さがIL-2ムテインの効力に影響を与えるかどうかを決定した。単一GGGGS(配列番号10)リピートによりムテインのn末端を介してヒトIgG1 Fcのc末端に融合されたムテインもテストした。簡単には、ヒトCD34+ 造血幹細胞で再構成したNod-Scid-IL-2Rガンマ欠損(NSG)マウスに、リンカー長が異なる種々のIL-2ムテインまたはビヒクル1マイクログラムを0日目に皮下注射した。7日目に、マウスを殺処分し、ヘパリンを含有するチューブへの心臓穿刺により血液を回収した。末梢血白血球(PBL)を赤血球の溶解によって単離し、ヒトマーカーCD45、CD3、CD8、CD4、FoxP3、CD25およびCD56に反応する抗体で染色した。ヒト制御性T細胞(Treg、CD45+CD3+CD4+CD25+FoxP3+)、活性化エフェクターT細胞(act Teff、CD45+CD3+CD4+CD25+FoxP3-)およびNK細胞(CD45+CD56+)の割合をフローサイトメトリーによって決定した。全CD45+、全CD4+および全CD8+細胞の頻度は変わらなかった。同様の結果がマウスの脾臓で観察された。
【0123】
3つのGGGGS(配列番号10)リピートしか持たないリンカーによるムテイン、または単一GGGGS(配列番号10)リピートによりヒトIgG1 Fcのc末端で融合されたムテインと比較して、4つのGGGGS(配列番号10)リピートを含むリンカーによりヒトIgG1 FcのN末端で融合されたムテインが最も強力であることが見出された。さらに、4つのGGGGS(配列番号10)リピートを有するタンパク質はTreg拡大に、より有効であったが、この構成はCD56+ NK細胞拡大のいかなる差ももたらさなかった。より長いリンカーによるN末端Fc融合ムテインを含むタンパク質が最も強力であり、また、CD56+ NK細胞拡大のいかなる差ももたらさないことを予測することはできなかった。
【実施例15】
【0124】
活動性関節リウマチ患者の処置
配列番号37、38、39、または40の配列を含むIL-2ムテインタンパク質を含む医薬組成物を、活動性関節リウマチ患者に投与した。IL-2ムテインは、患者における活動性関節リウマチを処置する上で有効であることが見出された。
【実施例16】
【0125】
活動性全身性エリテマトーデス患者の処置
配列番号37、38、39、または40の配列を含むIL-2ムテインタンパク質を含む医薬組成物を、活動性全身性エリテマトーデス患者に投与した。IL-2ムテインは、活動性全身性エリテマトーデスを処置する上で有効であることが見出された。
【実施例17】
【0126】
ステロイド抵抗性慢性移植片対宿主病患者の処置
配列番号37、38、39、または40の配列を含むIL-2ムテインタンパク質を含む医薬組成物を、ステロイド抵抗性慢性移植片対宿主病患者に投与した。IL-2ムテインは、ステロイド抵抗性慢性移植片対宿主病を処置する上で有効であることが見出された。
【実施例18】
【0127】
IL-2ムテインはヒトTregにおけるpSTAT5を誘導する
6名の健康なドナー由来のヘパリン化全血からの精製PBMCを、配列番号39または40の配列を含むIL-2ムテインタンパク質の連続希釈物を用いて37℃で30分間処置した。細胞を固定し、洗浄し、透過処理し、洗浄した。表面マーカーおよび細胞内/核マーカー(pSTAT5およびFOXP3)の両方を検出する抗体で細胞を染色した。データをAttune NxTサイトメーターで回収した。Tregを、単核、シングレット、CD3pos、CD4pos、CD25hi、FoxP3posとしてゲーティングした。リン酸化STAT5を発現するゲーティングしたTregの割合を測定した。最適曲線をpSTAT5の用量反応にフィットさせ、EC50値を決定した。6名の全ドナーの平均EC50値を、配列番号39のIL-2(37.26±7.30;n=16)および配列番号40のIL-2(23.11±5.35;n=15)について決定した。データは、IL-2ムテインがヒトTregにおいてpSTAT5を誘導できることを示した。配列番号40の配列を含むIL-2は配列番号39を含むIL-2配列より強力であったが、両方とも細胞の複数の集団にわたって活性であった。
【実施例19】
【0128】
IL-2ムテインはインビトロでサルPBMCにおけるpSTAT5を誘導する
3匹の健康なサル由来のヘパリン化全血からの精製PBMCを、配列番号39または40の配列を含むIL-2ムテインタンパク質の連続希釈物を用いて37℃で30分間処置した。蛍光色素コンジュゲート抗CD25および抗CD4を、IL-2ムテイン処置の最後の30分間に添加した。細胞を固定し、洗浄し、透過処理し、洗浄した。表面マーカーおよび細胞内/核マーカー(pSTAT5およびFOXP3)の両方を検出する残りの抗体で細胞を染色した。データをAttune NxTサイトメーターで回収した。Tregを単核、シングレット、CD4pos、CD25hi、FoxP3posとしてゲーティングした。リン酸化STAT5を発現するゲーティングしたTregの割合を測定した。IL-2ムテインは、サルにおいてpSTAT5を誘導することが見出された。
【実施例20】
【0129】
IL-2ムテインはインビボでTreg細胞を拡大し、Treg増殖を誘導する
静脈全血をサル(カニクイザル)から、配列番号39または40のIL-2ムテインを投与する前(2時点/匹、5匹)、および配列番号39(5時点/匹、2匹)または配列番号40(5時点/匹、3匹)のどちらかを投与した後でK2EDTAチューブに回収した。試料を2つに分け、2つのFACSパネルについて別々に染色した。1つは「Tregパネル」であり、1つは一般的な免疫表現型検査パネルであった。RBCを溶解し、固定化および透過処理後に表面および細胞内マーカーについて細胞を染色した。FAC分析のために、全細胞/ulの数をADVIAによって決定した。所与の下位集団/ulの細胞数を、次いで総数/ulおよび全細胞に対する割合で計算した。「投与前からの倍数変化」が決定されるように、サルごとに2回の投与前採血の所与の細胞タイプ/ulの平均数を平均し、投与後採血を正規化するのに使用した。血清サイトカインおよびケモカインを分析するために、K2EDTA全血からの血漿を試験の終了まで凍結した。ケモカインおよびサイトカイン量を、基準対照の連続希釈物を使用してマルチプレックスMSDアッセイによって定量化した。MCP-1およびIP-10の平均および範囲を投与前採血で決定した。両方のムテインが、サルにおいてTregを拡大し、Treg増殖を誘導することが見出された。これらの結果は、ヒトと類似したインビボ動物モデルでIL-2ムテインが機能することを示している。また、どちらの分子も、サル(非ヒト霊長類)においてTconv細胞、CD4細胞(Tnaive)またはCD8細胞(細胞傷害性T)、NK細胞を有意に拡大しないことも見出された。また、どちらの分子も、血清ケモカインを有意に誘導しないことも見出された。このデータは、IL-2ムテインが、他の経路を不要に拡大または活性化することなくTreg細胞を拡大し、Treg細胞増殖を誘導できることを示している。故に、IL-2ムテインは、Treg拡大および増殖に関して驚くほど強力であり、有効であり、選択的である。
【0130】
まとめると、本明細書に提供された実施形態および例は、本明細書に記載された疾患および状態を処置するために、IL-2ムテインが意図されたように機能し、使用され得ることを示している。
【0131】
本明細書は、特許、特許出願、および刊行物の数多くの引用を含有する。各々は、全ての目的で参照により本明細書に組み入れられる。
図1
【配列表】
0007250790000001.app