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特許7250796熱可塑性素材の容器を製造するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】熱可塑性素材の容器を製造するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B67C 7/00 20060101AFI20230327BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20230327BHJP
   B29C 49/28 20060101ALI20230327BHJP
   B65B 55/08 20060101ALI20230327BHJP
   B65B 3/02 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
B67C7/00
B29C49/04
B29C49/28
B65B55/08 A
B65B3/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020532890
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-08
(86)【国際出願番号】 IB2018060232
(87)【国際公開番号】W WO2019123235
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】102017000145554
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】503308405
【氏名又は名称】エス.アイ.ピー.エイ.ソシエタ’インダストリアリザッジオーネ プロゲッタジオーネ エ オートマジオーネ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】ゾッパス マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】グリバウド エンリコ
(72)【発明者】
【氏名】ル ブルン レナート
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-528077(JP,A)
【文献】特開2016-141400(JP,A)
【文献】特表2001-524913(JP,A)
【文献】特開2017-023613(JP,A)
【文献】特開平10-167226(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01357081(EP,A1)
【文献】特開2003-072719(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03187324(EP,A1)
【文献】特開平08-164925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67C 7/00
B29C 49/04
B29C 49/28
B65B 55/08
B65B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック容器の製造システム(1)であって、連続して
押出成形機(10)と、
プリフォームを製造する成形装置(20)と、
前記プリフォームを熱的に調整する熱調整装置(30)と、
前記プリフォームから容器(5)を製造するブロー成形装置(40)と、
パルス光照射装置(50、55、60、70)と、
前記容器を充填し蓋付けする無菌の充填及び蓋付け装置(80)と、を備え
前記パルス光照射装置(50、55、60、70)は、
ボトル(5)を移動するように適合された少なくとも二つの車輪(50、60)であって、連続して配置され、第1の車輪(50)が前記ボトル(5)を第2の車輪(60)へと移動させるように適合される、少なくとも二つの車輪(50、60)と、
前記第1の車輪(50)及び前記第2の車輪(60)の上に配置される少なくとも一つの第1のパルス光照射装置(55)と、を有し、
少なくとも一つの前記第1のパルス光照射装置(55)は、長軸(X)を規定する少なくとも一つのランプを含み、前記第1の車輪(50)のピッチ円(51)及び前記第2の車輪(60)のピッチ円(61)は接線で接し、これにより前記ピッチ円(51)及び前記ピッチ円(61)に接する直線の接線(R)が規定され、前記長軸(X)は、前記直線の接線(R)と0~15度の角度(α)を形成する、システム(1)。
【請求項2】
前記第1の車輪(50)及び前記第2の車輪(60)は、互いに反対の方向に回転するように構成され、これにより前記ボトル(5)は、前記第1の車輪(50)の前記ピッチ円(51)及び前記第2の車輪(60)の前記ピッチ円(61)の間の接点と一致する変曲点を含む前記第1の車輪(50)及び前記第2の車輪(60)の回転の間の路を辿る、請求項に記載のシステム(1)。
【請求項3】
前記パルス光照射装置(50、55、60、70)は、前記第2の車輪(60)の下流に配置され、パルス光を照射するように適合された複数のランプが設けられた第2のパルス光照射装置(70)を含み、それぞれのランプは、前記ボトル(5)のそれぞれに挿入されるように構成される、請求項1又は2に記載のシステム(1)。
【請求項4】
前記第2のパルス光照射装置(70)は、それぞれの前記ボトル(5)の首を受け入れるように適合された上部チャンバと、前記ボトルの支持環の下のそれぞれの前記ボトル(5)の部分を受け入れるように適合された下部チャンバと、を含む、請求項に記載のシステム(1)。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載のシステムによって実行されるプラスチック容器の製造方法であって、
前記成形装置(20)によってプリフォームを製造する工程a)と、
熱調整装置(30)によって前記プリフォームを熱的に調整する工程b)と、
ブロー成形装置(40)によって前記プリフォームから容器(5)を製造する工程c)と、
パルス光照射装置(50、55、60、70)により、前記容器(5)に放射線を照射する工程d)と、
無菌の充填及び蓋付け装置(80)によって、前記容器(5)に液体を充填し、蓋付けを行う工程e)と、を含む方法。
【請求項6】
前記工程d)は、少なくとも前記容器(5)の首に、少なくとも一つの第1のパルス光照射装置(55)によって放射線が照射される工程d1)を含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記工程d1)では、少なくとも一つの前記容器(5)の前記首に、0.1~1ミリ秒続く少なくとも一つの光によって放射線が照射される、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記工程d1)の後、それぞれの前記容器(5)の内部にそれぞれのランプによって放射線を照射する工程d2)が設けられ、前記ランプは、パルス光をそれぞれの前記容器(5)に照射する、請求項又はに記載の方法。
【請求項9】
それぞれの前記容器(5)の前記内部は、0.1~1ミリ秒続く少なくとも一つの光によって放射線が照射される、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性素材の容器、例えば特に無菌環境で包装された繊細な製品のためのボトルを製造するシステムに関する。また、そのような容器を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装の分野では、容器の無菌性、例えば無菌の環境で包装された繊細な製品のためのボトルは、重大な側面である。そのような製品の例としては、食品や、薬剤、化粧品等である。
【0003】
熱可塑性素材で製造される容器、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)は、典型的に過酸化水素(H)又はペルオキシ酢酸(PAA)の溶液によって殺菌される。
【0004】
これらが一般に使用されているとは言え、そのような殺菌方法は、化学的化合物の残留物が存在したり、相対的に工程に長い時間がかかったり、殺菌装置の制御が難しかったり、特にHやPAAのような相対的に高いコストの消費財を使用する等の一連の不利な条件を有する。
【0005】
さらに、或るシステムは、システム自体の無菌状態を維持するために用いられる特定のシステムを使用することを含む。しかしながら、そのようなシステムは高価であり、製造するのが困難であり、高価なメンテナンスも必要になる。
【0006】
食品に用いられる熱可塑性容器を工業的に殺菌する方法を改善したいという要請が感じられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば食品や、薬剤、化粧品等のためのボトル、例えば無菌の充填が必要とされる繊細な製品を収容するPETボトルのような熱可塑性素材の容器の消毒、衛生化又は殺菌を最適化できるシステムを提供することが本発明の目的である。
【0008】
消毒、衛生化又は殺菌の作業が、先行技術に対して単純でより効率的、そして手頃な方法で行うことができるようなシステムのタイプを提供することは、本発明の他の目的である。
【0009】
上述のシステムによって実行できる方法を提供することは、本発明の他の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、そのような目的の少なくとも一つ、及び、プラスチック容器を製造するシステムを提供することにより、本明細書から明らかになることを達成する。プラスチック容器は、順に押出成形機と、プリフォームを製造するための成形装置と、前記プリフォームを熱的に調整する熱調整装置と、前記プリフォームから容器を製造するブロー成形装置と、パルス光照射装置と、容器に充填して蓋をする無菌の充填及び蓋付け装置と、を含む。有利にも、押出成形機及び上述の装置は、同じシステムの一部であり、一つの製造ラインを規定する。特に、押出成形機及び上述の装置は、例えば同じ倉庫や工業ビルのような同じ環境に配置される。言い換えれば、上記のシステムは実質的に一つのシステムである。
【0011】
容器を移動させる手段、例えば一以上の輸送車輪が、一以上の装置の間に提供されることは除外されないということが理解されるべきである。好ましくは、しかし非独占的に、容器、すなわちプリフォーム及び/又はボトルの輸送手段のみが、一以上の装置の間に提供される。
【0012】
パルス光の照射装置は、好ましくは、ブロー成形装置と無菌の充填及び蓋付け装置との間に配置される。
【0013】
特に、好ましくは、光、すなわちパルス光を照射する手段は、プリフォームに照射するように提供されない。特に、好ましくは、パルス光照射手段は、ブロー成形装置の上流には配置されない。
【0014】
一つの側面によれば、システムは有利にも、プリフォームから始まってブローされたばかりのボトルのパルス光により、殺菌を行うように構成される。プリフォームは、押し出し、噴射、圧縮、熱的な調節及びブローの工程を連続して、好ましくは直に連続して行う一連の装置による、同じシステムで製造される。殺菌の次に、ボトルは無菌の充填が成され、蓋をされる。上記のそれぞれの工程は、典型的にはそれぞれのモジュールで実行される。言い換えれば、それぞれの装置で実行される。そのような装置は、同じシステムの一部である。そのような装置は、好ましくは互いに接続されており、好ましくは直接的に接続されている。一つの側面によれば、発明はまたプラスチック容器を製造する方法を提供する。その方法は、上記規定されたシステムで実行され、次の工程を含む。a)成形装置によりプリフォームを製造することと、b)熱調整装置によりプリフォームを熱的に調整することと、c)ブロー成形装置によりプリフォームから容器を製造することと、d)パルス光照射装置により、容器に照射することと、e)無菌の充填及び蓋付け装置により、容器に液体を充填し、蓋をすること。
【0015】
有利にも、パルス光の照射によれば、容器又は容器の一部の消毒、衛生化又は殺菌が可能になる。この目的のため、広域スペクトルの光が好ましく用いられる。その光は、例えば一以上のキセノンランプのような、好ましくは高輝度放電(HID)タイプの一以上の照明器具からの閃光により生成される。
【0016】
システムの配置によって、パルス光の照射は、効率的かつ効果的に消毒、衛生化、又は殺菌に用いることができる。
【0017】
特に、パルス光照射装置の上流に押し出し成形機、成形装置、熱調整装置及びブロー装置を提供することで、パルス光の照射を受けたボトルの汚染レベルは、すでに低い。実際、押し出し成形機及び成形装置内のプラスチックに届く温度のために、プラスチックの汚染のレベルは、とても低い。そして、さらなるプリフォームの殺菌手段は必要なく、プリフォームの汚染を避ける障壁も必要ない。実際、特に押し出し成形機に届く温度のために、プリフォームの汚染のレベルは、適切な低さである。
【0018】
例えば食用可能な液体の食品用容器に要求される必要な衛生レベルは、容器のパルス光の照射によって達成される。さらに、無菌の充填及び蓋付け装置がパルス光照射装置の下流、好ましくは照射装置のすぐ下流に配置されていることは、有利である。これにより、ボトルは、パルス光にさらされたことで得る利益を失わない。
【0019】
パルス光照射装置は、好ましくは隣り合って配置される二つの移動車輪を含み、それらはそれぞれのピッチ円を規定する。第1の車輪は、第2の車輪へボトルを移動させる。ボトルが追従する路は、変曲点を含む。そのような変曲点は、二つの車輪のピッチ円の接点である。二つのピッチ円の接点の近く、より具体的には、変曲点の近くにおけるボトルが辿る路の延び(ストレッチ)は、大体実質的に直線的な延びである。言い換えれば、ボトルは大体直線に沿って、その路の延びに沿って並ぶ。そのような直線は、選択的に数ミリを除いて、好ましくは、ピッチの直径における接線に対して臨界角を形成する。有利には、パルス光照射装置は、接線に対して上述の臨界角を有して配置される。パルス光照射装置は、好ましくは直線的な形状を有する少なくとも一つのランプを有する。パルス光照射装置は、好ましくは上記の二つの移動車輪の上に配置される。そのランプの長軸は、二つの車輪のピッチ円に沿うボトルの路の直線に最も近くなるように、二つの車輪のピッチ円における接線に対して、臨界角を有するように配置される。
【0020】
そのような配置の有利な点は、照射装置は、おもに直線的な要素で光のビームを生成するという事実を考慮して理解されてよい。このように、接線に近いボトルは、最適で、実質的に均質な方法でパルス光に曝される。照射を受けるボトルの一部は、典型的には、少なくともボトルの首、特に首の外側の部分を含む。
【0021】
パルス光照射装置、特に少なくともその一つのランプは、好ましくはボトルの首に面し、好ましくはボトルの首のみに面する。
【0022】
パルス光照射装置は、第2照射装置とも呼ばれ、好ましくは第2の車輪の下流に設けられる。そのような機械は、好ましくはボトルの内側部分に放射線を照射するようにボトルに挿入される寸法に特に構成される複数のパルス光ランプを含む。そのような機械は、好ましくはボトルの首が配置される殺菌された上部チャンバと、首の輪の下のボトルの部分が配置される殺菌されていない下部チャンバと、を含む。殺菌されたチャンバと清潔なチャンバの間が分されることで、ボトルの首が隔離されるので、首及び容器の内側の部分を殺菌するだけで、無菌の包装が達成される。
【0023】
従属クレームは、発明の特定の実施形態について述べる。
【0024】
本発明のさらなる特徴及び効果が、特に、しかし限定的ではない、熱可塑性の素材の容器の製造システムの実施形態の、詳細な説明に照らして明らかになるだろう。システムのそのような型により実現される例示の方法もまた記載される。
【0025】
説明は、添付の図面を参照しながら、非限定的な例を通じて提供され、非限定的な例示の方法で与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明におけるシステムのレイアウトの図による平面図を示す。
図2図2は、図1の詳細の図を示す。
図3図3は、本発明におけるシステムの実施形態の図による平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図中における同じ符号の番号は、同じ要素又は構成要素を特定する。
【0028】
図面を参照して、熱可塑性の素材、たとえばPETで製造される容器を製造するシステム1が示される。システム1は、連続して押出成形機10と、プリフォームを製造するための成形装置20と、プリフォームを熱的に調整する熱調整装置30と、プリフォームからボトル5を製造するブロー成形装置40と、ボトル5を照射するためのパルス光照射装置50、55、60、70と、無菌の充填及び蓋付け装置80と、を含む。
【0029】
特に、押出成形機10及び上記の装置は、次々に連続して配置され、製造ラインを規定する。
【0030】
押出成形機10は、それ自体が公知の型であってよく、このため、これ以上は説明しない。
【0031】
成形装置20は、押し出し、圧縮、又は押し出し-圧縮型であってよい。好ましい成形装置20は、回転型である。
【0032】
成形装置20は、好ましくは押し出し-圧縮回転型である。成形装置20内のプラスチックは、好ましくは250度~300度の間、例えば約280の温度である。ボトルのプリフォームは、成形装置20によって作られる。
【0033】
熱調整装置30は、成形装置20の下流に配置され、プリフォームを熱的に調整するために用いられる。プリフォームは、好ましくは熱調整装置30、加熱手段によって、好ましくは90度から150度の間、例えば130度に熱せられる。熱調整装置30は、好ましくは回転タイプである。成形装置20から熱調整装置30までプリフォームを移動させる一以上の移動手段、例えば一以上の移動車輪が、好ましくは成形装置20と熱調整装置30の間に設けられる。
【0034】
ブロー装置40は、熱調整装置30の下流に配置され、プリフォームからボトルを製造するために用いられる。プリフォームは、典型的には、延伸ブロー工程にかけられる。
【0035】
ブロー装置40に入るときのプリフォームの汚染レベルは、典型的には、しかし限定的でなく、殺菌されていないプリフォームの1ppmよりも少ない。
【0036】
熱調整装置30からブロー装置40までプリフォームを移動させる一以上の移動手段、例えば一以上の移動車輪は、好ましくは熱調整装置30及びブロー装置40の間に配置される。
【0037】
ブロー装置40を離れるプリフォームの汚染レベルは、典型的には、しかし限定的でなく、殺菌されていないボトルの100ppm~1000ppmの間であり、例えば、殺菌されていないボトルの約1000ppmである。
【0038】
パルス光照射装置50、55、60、70は、ブロー装置40の下流に配置される。パルス光照射装置50、55、60、70は、好ましくはブロー装置40の直下の下流に配置され、その間の中間的な加工装置はない。選択的に、ブロー装置とパルス光照射装置の間に移動手段があるのみである。
【0039】
パルス光照射装置50、55、60、70は、ボトル5(図2に図示されるように)を消毒し、衛生的にし、殺菌するために用いられる。
【0040】
パルス光照射装置は、ボトル5(図2参照)を移動させるために適合され、連続して配置される好ましくは、二つの車輪50、60、又は星型を含む。
【0041】
車輪50、60は、ブロー装置40に近い第1の車輪50が、ボトル5を、ブロー装置から遠い第2の車輪60へ移動させるように適合されている。第1の車輪50及び第2の車輪60は、それぞれピッチ円51、61を規定する。ピッチ円51、61は、好ましくは同じ長さの直径、特にピッチ円直径を有する。第1の車輪50のピッチ円51及び第2の車輪60のピッチ円61は、第1の車輪50から第2の車輪60へ容器が渡される点における接線である。理想的な直線Rは、ピッチ円51、61、すなわち、そのような円のピッチ円直径に対する接線である。特に、直線Rは、ピッチ円51、61の間の接点を通過する。
【0042】
第1の車輪50及び第2の車輪60は、特に、二つの車輪の動きのピッチ円直径の間を相互に回転する法則によって、お互いに反対の方向に回転するように構成されている。例えば、第1の車輪50は、時計回り方向に回転するように構成され、第2の車輪60は半時計周り方向に回転するように構成される。車輪50、60には、その縁に、それぞれボトル5を保持するための複数の保持手段が設けられる。これによりボトル5は、それぞれの車輪とともに回転することができる。ボトル5は、好ましくはその首がそれぞれの車輪の上面の上に配置される。ボトル5が続く路は、ピッチ円直径51、61の間の接線に対応する変曲点を含む。変曲点の近くのボトル5が辿る路の延びは、大体、実質的に直線的な延びである。一定数の第1の車輪50によって移動されるボトル5及び一定数の第2の車輪60によって移送されるボトル5は、数ミリを除いて、直線Rに対して最適化された角度の直線の上に並べられる。変曲点を含むそのような路の延びは、第1の車輪50及び第2の車輪60の一部によって規定される。
【0043】
パルス光照射装置55は、第1の照射装置とも呼ばれ、二つの車輪50、60の上に設けられ、特に二つの車輪の間の移動領域の上に設けられる。パルス光照射装置55は、少なくとも一つのランプを含む。パルス光照射装置55、特に少なくとも一つのランプは、直線的な形状を有し、すなわち直線的な長軸を規定する。パルス光照射装置55は、ボトル5の首が最適化される方法で放射線を照射されるように、二つの車輪50、60の上に配置される。
【0044】
例示にすぎないが、一以上の管状のランプを含むパルス光照射装置55は、好ましはキセノンランプであり、好ましくは20kVの電気インパルスを好ましくは0.3ミリ秒の間照射するように構成される。パルス光照射装置55は、典型的には少なくとも一つの高輝度放電タイプ(HID)のランプを含み、好ましくは、一以上のキセノンランプ、一以上の反射面又は反射体を含む。好ましくは、二つのランプがある。ランプは、好ましくは円筒形で、大きな寸法で、好ましくは他の二つよりはるかに大きな寸法で、それぞれが長軸を規定する。ランプの長軸は、互いに平行である。
【0045】
パルス光照射装置55は、好ましくは第1の車輪50の縁の一部及び第2の車輪60の縁の一部の上にあるように好ましくは配置される。
【0046】
パルス光照射装置55は、好ましくはランプ又は複数のランプの長軸X(図2)が、ボトルの路からできるだけ逸れないように上述の直線Rに対して最適な角度を有するように配置される。長軸Xは、実質的にパルス光照射装置55の長軸と一致するか、又は平行である。
【0047】
好ましくは、長軸Xは、直線Rに対して角度α(アルファ)を形成する。角度αは、ピッチ円51、61に内接され、長軸Xに沿ってランプの長さの半分に等しい辺を有する多角形の中心における角度の半分と等しい。
【0048】
以下は、多角形の式から得られる。
α=arcsin(ランプ長さ/(4×車輪半径))
「車輪半径」とは、ピッチ円51、61の半径であり、同じ長さのピッチ半径を有する。
【0049】
式は、ランプが正多角形と互換しない長さを有する場合も有効である。
【0050】
ランプの長さは、ボトルの軌道からの長軸の偏向が、接点に対する角度で回転したボトル(それを移動させている車輪の軸の周りでの回転)に起こる最大の偏向よりも少ない偏向まで、上記開示された計算の理論上の長さに関して選択的に延長してよい。そのような偏向は、辺心距離と上述の内接する多角形の間の違いに等しい。
【0051】
好ましい角度は0度~15度の間で、つまり0<α<15、又は0<α<15°、例えば8度と等しいか略等しい。
【0052】
本説明に照らして、二つの車輪50、60の回転方向によってどのようにパルス光照射装置55を配置するかを、当業者は理解できるであろう。
【0053】
例えば、車輪50が時計回りに回転するように構成され、車輪60が反時計回りに回転するように構成されている場合、長軸の角度係数は、好ましくはマイナスである。反対に、車輪50が反時計回りに回転するように構成され、車輪60が時計回りに回転するように構成されている場合、長軸の角度係数は、好ましくはプラスである。
【0054】
非限定的な例として、ランプの長さは、約254mmに等しい。
【0055】
ランプは車輪50、60に向き合い、そして特にボトル5に向かって、好ましくはボトルの首に向かっている。パルス光照射装置55は、好ましくはランプが1~20Hzの光る周波数で、200ナノメートルから1000ナノメートルの間の波長を有する光を放射するように構成される。
【0056】
好ましくは、パルス光照射装置55は、ランプが収容され、反射体が設けられた支持的な構造も有する。
【0057】
パルス光照射装置55は、好ましくは、ランプと放射線が照射されるボトル5との間の距離が50mm未満となるように配置される。
【0058】
一般に、二つの車輪50、60及びパルス光照射装置55は、好ましくは、特にボトル5の首を殺菌するために殺菌位置(sterilization station)の一部を規定するか、又はいずれにしても形成する。
【0059】
パルス光照射装置50、55、60、70は、好ましくは、しかし非限定的に、第2照射装置とも呼ばれて第2の車輪60の下流に配置されるパルス光照射機70をも含む。パルス光照射機70は、ボトル5の内側の面に放射線を照射するように構成される。一以上の移動手段、例えば一以上の移動車輪が、好ましくは第2の車輪60とパルス光照射機70との間に設けられ、ボトルを第2の車輪60からパルス光照射機70へ移動させる。パルス光照射機70は、好ましくは回転する型である。
【0060】
パルス光照射機70には、好ましくはパルス光を照射するように適合された複数のランプ、例えばキセノンランプが設けられる。それぞれのランプは、それぞれのボトルに挿入されるように構成される。例えば、それぞれのランプは管状の形状を有する。ボトル5の消毒、衛生化、殺菌がパルス光照射機70によって得られる。
【0061】
パルス光照射機70は、好ましくは上部チャンバ及び下部チャンバの二つのチャンバを含む。下部チャンバ及び上部チャンバは、開口が設けられたバッフルによって互いに離されている。好ましくは上部チャンバは、殺菌チャンバであり、5から40Paの超過気圧に、例えば、周囲の環境に対して約20Paに等しく保たれる。好ましくは下部チャンバは、非殺菌チャンバであり、超過気圧は0~30Pa、例えば約10Paに等しく生成される。そのような超過気圧は、例えば、フィルタ、例えばHEPAフィルタによって生成される殺菌空気の加圧モジュールによって生成される。
【0062】
バッフルの二つの側部の間、つまり二つのチャンバの間の気圧の違いは、上述の開口を通じて通過する上部チャンバから下部チャンバへの殺菌空気の流れを生成する。そのような殺菌空気の流れは、低い気圧のチャンバ、つまり下部チャンバからの起こり得る汚染から上部チャンバを保護する力強い障壁を生成する。
【0063】
パルス光照射機70は、ボトル5が上部チャンバ内に首が、下部チャンバ内にその他の本体が配置されるように構成される。ボトルを支持するシステムは、機械が停止しているとき及び機械がボトルを移動させるために回転しているときの両方で、上部チャンバ及び下部チャンバの間の分離バッフルの一体の部分となるような形状及び配置を有している。
【0064】
機械70の有利な点の一つは、機械70のカバーの上の非殺菌の領域から、殺菌チャンバの下へ、移動されたランプの部分をパルス光が殺菌するように用いられてよく、これにより殺菌性を維持する。
【0065】
有利にも、パルス光照射装置50、55、60、70の下流のボトル5は、汚染されたボトルの1ppmよりも低い汚染レベルを有する。無菌の充填及び蓋付け装置80は、それ自体周知であるが、パルス光照射装置50、55、60、70の下流に配置される。特に、パルス光照射機70が設けられたとき、無菌の充填及び蓋付け装置80は、そのような機械70の下流に配置される。無菌の充填及び蓋付け装置80において、ボトルに好ましくは殺菌された製品が充填される。
【0066】
一以上の移動手段、例えば一以上の移動車輪は、パルス光照射機70と無菌の充填及び蓋付け装置80の間に設けられ、パルス光照射機70から無菌の充填及び蓋付け装置80へボトルを移動させる。
【0067】
上述のシステム1は、本発明の方法を実施するために適したシステムの例示である。その変形例を含み、その方法が以下に説明される。
【0068】
総じて、発明は、a)押出成形機10及び成形装置20により、プリフォームを製造する工程と、b)と熱調整装置30により、プリフォームを熱的に調整する工程と、c)ボトル5をブロー装置40によってプリフォームから製造する工程と、d)パルス光照射装置50、55、60、70によってボトル5に放射線を照射する工程と、e)無菌の充填及び蓋付け装置80により、ボトル5に液体又は流体を充填し、蓋をする工程と、を含む方法を提供する。
【0069】
好ましくは、工程d)は、ボトル5の少なくとも一つの首が、パルス光照射装置55によって放射線が照射される工程d1)と、そして選択的に工程d1)に続いて、パルス光を照射し、それぞれのボトル5内に挿入されるように適合されたそれぞれのランプによって、それぞれのボトル5の内側に、放射線が照射される工程d2)と、を含む。
【0070】
工程d1)では、ボトル5の少なくとも首が好ましくは0.1ミリ秒から3ミリ秒、例えば0.3ミリ秒の間続く少なくとも一つの光によって放射線が照射される。そして工程d2)では、それぞれのボトル5の内側に、0.1ミリ秒から3ミリ秒、例えば0.3ミリ秒の間続く少なくとも一つの光によって、放射線が照射される。工程b)では、プリフォームは好ましくは100°から150度、例えば130度の温度にされる。
図1
図2
図3