(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】塩沈殿下のトランスアミナーゼ反応によりカルボニル化合物からアミンを調製する方法
(51)【国際特許分類】
C12P 13/00 20060101AFI20230327BHJP
C12P 7/40 20060101ALI20230327BHJP
C07C 53/132 20060101ALI20230327BHJP
C07C 57/30 20060101ALI20230327BHJP
C07C 63/08 20060101ALI20230327BHJP
C07C 63/04 20060101ALI20230327BHJP
C12N 15/54 20060101ALN20230327BHJP
C12N 9/10 20060101ALN20230327BHJP
【FI】
C12P13/00 ZNA
C12P7/40
C07C53/132
C07C57/30
C07C63/08
C07C63/04
C12N15/54
C12N9/10
(21)【出願番号】P 2020545446
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2018081517
(87)【国際公開番号】W WO2019096973
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-09-24
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520168686
【氏名又は名称】エンザイミカルズ アーゲー
(73)【特許権者】
【識別番号】516135302
【氏名又は名称】ウニベルジテート ロストック
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォン ランゲルマン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュルスヴェーデ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】テンツラー,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】メンイェス,ウルフ
(72)【発明者】
【氏名】シュス,フィリップ
【審査官】幸田 俊希
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-537656(JP,A)
【文献】特表2013-530713(JP,A)
【文献】特表2013-507145(JP,A)
【文献】Evelyn M. Buque-Taboada et al.,In situ product recovery (ISPR) by crystallization: basic principles, design, and potential applications in whole-cell biocatalysis.,Appl. Microbiol. Biotechnol.,2006年04月11日,Vol.71, No.1,p.1-12,doi: 10.1001/s00253-006-0378-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 13/00
C12N 9/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ塩化合物を調製する方法であって、
i)一般式(I)
【化1】
[式中、
R
1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており
、残基R
1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
1aを有し; 及び
R
2は、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C5~C10-アリール、C6~C10-アルキルアリール、及びC6~C10-アリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており
、残基R
2は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
2aを有し; 又は
R
1、R
2は、一緒になって、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルを形成し、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルは
、水素原子、C1~C5-アルキル、C1~C4-ヘテロアルキル、及びC1~C5-アルキル-R
yからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
xを有し、R
yは、ヒドロキシル又はチオールである]
のカルボニル化合物を提供するステップ、
ii)(i)により提供されたカルボニル化合物を、トランスアミナーゼの存在下で、
ii-a)少なくとも1つの第一級アミン; 及び
ii-b)少なくとも1つのカルボン酸
と反応させ; それにより、
- 一般式(II)
【化2】
[式中、R
1及びR
2は、一般式(I)について定義される通りである]
のカチオン、及び
- (ii-b)により添加された少なくとも1つのカルボン酸に基づくカルボキシレートアニオン
を含む、少なくとも部分的に結晶化されたアミノ塩化合物を含む混合物を得るステップ
を含
み、
(ii-b)による少なくとも1つのカルボン酸が、一般式(III)
【化3】
[式中、nは、ゼロ又は1であり; 残基R
3
及びR
4
は、両方ともフェニルであるか、又は一緒になってフェニル環を形成し、フェニル環は、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはクロロ、及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有し; 及び残基R
5
は、水素原子又はメチルであるか、又はR
3
及びR
4
が一緒になってフェニル環を形成する場合は存在しない]
のカルボン酸である、方法。
【請求項2】
(ii)により得られたアミノ塩化合物が、(ii-a)により添加された少なくとも1つの第一級アミンの水への溶解度よりも小さいpH7における水への溶解度、好ましくは、≦30mmol/l、好ましくは≦25mmol/l、より好ましくは≦10mmol/lのpH7における水への溶解度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
残基R
1が、分岐又は非分岐C2~C10-アルキル、C5~C10-シクロアルキル、及びC5~C20-アリールからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており
、残基R
1は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
1aを有し; R
1は、好ましくは、メチル、イソ-プロピル、シクロヘキシル、及びフェニルからなる群から選択され、フェニルは、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはフルオロ若しくはクロロ、並びにメトキシ、好ましくはメタ-若しくはパラ-メトキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
1aを有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
残基R
2が、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキルからなる群から選択され
、残基R
2は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
2aを有し、残基R
2は、好ましくは、分岐又は非分岐C1~C3-アルキルの群から選択され、R
2は、好ましくはメチルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
(ii)によるトランスアミナーゼが、トランスアミナーゼの群から、好ましくはアミントランスアミナーゼの群から、より好ましくは、配列番号1に記載のアスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigates)由来のアミントランスアミナーゼ(AfATA)、配列番号2に記載のジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)由来のアミントランスアミナーゼ(GzATA)、配列番号3に記載のネオサルトリア・フィシェリ(Neosartorya fischeri)由来のアミントランスアミナーゼ(NfATA)、配列番号4に記載のアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来のアミントランスアミナーゼ(AoATA)、配列番号5に記載のアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)由来のアミントランスアミナーゼ(AtATA)、配列番号6に記載のマイコバクテリウム・バンバアレニイ(Mycobacterium vanbaalenii)由来のアミントランスアミナーゼ(MvATA)、配列番号7に記載のサイリシバクター・ポメロイ(Silicibacter pomeroyi)由来のアミントランスアミナーゼ(SpATA)、及び配列番号1~7のいずれか1つと少なくとも65%の配列同一性を有し、且つ配列番号1~7のアミントランスアミナーゼと同じ機能を有するホモログ酵素からなる群から選択され、より好ましくは、配列番号6に記載のマイコバクテリウム・バンバアレニイ(Mycobacterium vanbaalenii)由来のアミントランスアミナーゼ(MvATA)、配列番号7に記載のサイリシバクター・ポメロイ(Silicibacter pomeroyi)由来のアミントランスアミナーゼ(SpATA)、並びに配列番号6若しくは7のいずれか1つと少なくとも65%の配列同一性を有し、且つ配列番号6若しくは7のアミントランスアミナーゼと同じ機能を有するホモログ酵素からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
(ii-a)による少なくとも1つの第一級アミンが、1~10個の炭素原子を有するモノアミン及びジアミンの群から、好ましくは、1,5-ジアミノ-ペンタン(カダベリン)、アラニン、2-アミノ-ブタン(sec-ブチルアミン)、及び2-アミノ-プロパンからなる群から選択され、好ましくは、その非プロトン化又はプロトン化形態における2-アミノ-プロパン(イソ-プロピルアミン)であり、プロトン化形態は、適切なアニオンと組み合わせて存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
(ii-b)による少なくとも1つのカルボン酸が、ジフェニル酢酸(DPAA)、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)、3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、3,4-ジクロロ-安息香酸(34CA)、3,4-ジニトロ-安息香酸(34NA)、及び4-クロロ-3-ニトロ-安息香酸(43CNA)からなる群から、より好ましくは、ジフェニル酢酸(DPAA)、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)、及び3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、より好ましくは、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)又は3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、より好ましくは少なくとも3DPPAからなる群から選択されるカルボン酸である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
(ii-a)による少なくとも1つの第一級アミン及び(ii-b)による少なくとも1つのカルボン酸が、少なくとも1つの第一級アミンのプロトン化形態及び少なくとも1つのカルボン酸の脱プロトン化形態を含む1つ以上の塩として、好ましくは、少なくとも1つの第一級アミンのプロトン化形態及び少なくとも1つのカルボン酸の脱プロトン化形態を含む1つの塩として、より好ましくは、イソプロピルアンモニウム3,3-ジフェニルプロピオネートとして使用される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(ii)により得られたアミノ塩化合物が、一般式(II)
【化4】
[式中、R
1及びR
2は、一般式(I)について定義される通りである]
のカチオン、及び一般式(IIIa)
【化5】
[式中、
nは、ゼロ又は1であり;
残基R
3及びR
4は、両方ともフェニルであるか、又は一緒になってフェニル環を形成し
、フェニル環は、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはクロロ、及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有し、及び残基R
5は、水素原子又はメチルであるか、又はR
3及びR
4が一緒になってフェニル環を形成する場合は存在しない]
のアニオンである、少なくとも1つのカルボン酸に基づくアニオンを含み、一般式(IIIa)のアニオンは、好ましくは、ジフェニルアセテート、2,2-ジフェニルプロピオネート、3,3-ジフェニルプロピオネート、3,4-ジクロロ-ベンゾエート、3,4-ジニトロ-ベンゾエート、及び4-クロロ-3-ニトロ-ベンゾエートからなる群から、より好ましくは、ジフェニルアセテート、2,2-ジフェニルプロピオネート、3,3-ジフェニルプロピオネート、より好ましくは2,2-ジフェニルプロピオネート又は3,3-ジフェニルプロピオネート、より好ましくは3,3-ジフェニルプロピオネートからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
iii)混合物から(ii)により得られた少なくとも部分的に結晶化されたアミン塩化合物を分離し、それにより、結晶化されたアミン塩化合物を得るステップ
をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
- 一般式(II)
【化6】
[式中、
R
1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており
、残基R
1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
1aを有し; 及び
R
2は、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C5~C10-アリール、C6~C10-アルキルアリール、及びC6~C10-アリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており
、残基R
2は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
2aを有し; 又は
R
1、R
2は、一緒になって、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルを形成し、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルは
、水素原子、C1~C5-アルキル、C1~C4-ヘテロアルキル、及びC1~C5-アルキル-R
yからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
xを有し、R
yは、ヒドロキシル又はチオールである]
のカチオン; 及び
- 一般式(IIIa)
【化7】
[式中、
nは、ゼロ又は1であり;
残基R
3及びR
4は、両方ともフェニルであるか、又は一緒になってフェニル環を形成し
、フェニル環は、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはクロロ、及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有し、及び残基R
5は、水素原子又はメチルであるか、又はR
3及びR
4が一緒になってフェニル環を形成する場合は存在しない]
のアニオン
を含
み、
一般式(II)のカチオン及び一般式(IIIa)のアニオンが、難溶性塩を形成する、アミノ塩化合物。
【請求項12】
a)一般式(IIa)
【化8】
[式中、
R
1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており
、残基R
1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
1aを有し; 及び
R
2は、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C5~C10-アリール、C6~C10-アルキルアリール、及びC6~C10-アリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており
、残基R
2は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
2aを有し; 又は
R
1、R
2は、一緒になって、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルを形成し、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルは
、水素原子、C1~C5-アルキル、C1~C4-ヘテロアルキル、及びC1~C5-アルキル-R
yからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
xを有し、R
yは、ヒドロキシル又はチオールである]
のアミン; 及び
b)一般式(III)
【化9】
[式中、
nは、ゼロ又は1であり;
残基R
3及びR
4は、両方ともフェニルであるか、又は一緒になってフェニル環を形成し
、フェニル環は、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはクロロ、及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有し; 及び残基R
5は、水素原子又はメチルであるか、又はR
3及びR
4が一緒になってフェニル環を形成する場合は存在しない]
の少なくとも1つのカルボン酸であって、そのプロトン化形態において、又は適切な対イオンを有するカルボキシレートとして存在する、少なくとも1つのカルボン酸
を含
み、
一般式(IIa)のアミン及び一般式(III)の少なくとも1つのカルボン酸が、難溶性塩を形成する、組成物。
【請求項13】
(a)によるアミンを、90~99.9重量%の範囲の量、好ましくは95~99.9重量%の範囲の量、より好ましくは98~99.9重量%の範囲の量で含む、請求項
12に記載の組成物。
【請求項14】
(b)による少なくとも1つのカルボン酸を、少なくとも0.003重量%の量、好ましくは0.003~5重量%の範囲の量、より好ましくは0.003~3重量%の範囲の量で含む、請求項
12又は
13に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ塩化合物を調製する方法であって、i)カルボニル化合物を提供するステップ; ii)(i)により提供されたカルボニル化合物を、トランスアミナーゼの存在下で、ii-a)少なくとも1つの第一級アミン; 及びii-b)少なくとも1つのカルボン酸と反応させ; それにより、アミノカチオン、及び(ii-b)により添加された少なくとも1つのカルボン酸に基づくカルボキシレートアニオンを含む少なくとも部分的に結晶化されたアミノ塩化合物を含む混合物を得るステップを含む、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオトランスフォーメーションは、過去数十年にわたって、実験室規模及び工業規模での貴重な化合物の合成のための強力な技術になった。本明細書では、ピリドキサール5'-リン酸(PLP)依存性トランスアミナーゼ(TA)、とりわけアミントランスアミナーゼ(ATA)は、様々な農薬及び医薬品有効成分、例えばシタグリプチン(sitagliptin)のための貴重なビルディングブロックである、光学的に純粋なアミンの合成に近年大きな影響を与えている。これらの酵素は、基本的に、アルデヒド又はケトン(アミンアクセプター)のアミノ化と同時に、第一級アミン(アミンドナー)の脱アミノ化を触媒する。アミノ基転移反応は、ラセミ体アミンの速度論的分割、又はそれぞれのプロキラルケトンからの不斉合成として行うことができる。100%の最大収率のため、とりわけ、高い鏡像選択性を有する触媒が使用される場合、不斉合成が理論的に好ましい。残念ながら、熱力学的制限及び特定の生成物阻害は、不斉合成におけるトランスアミナーゼの適用性を制限する傾向があり、これは合成目的のために克服する必要がある。経済的ではない過剰なアミンドナーの使用は別として、例えば酵素カスケード、膜プロセス及び非触媒副反応などの複雑な(副)生成物除去技術が、現在、検討されている。そのような技術は、残念ながら常に(一般に)バイオ触媒反応系の全体的な複雑さを増加させ、追加の又は特製の補助基質を必要とし、さらなる副生成物を生成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、上記の欠点を克服する、とりわけトランスアミナーゼを使用した、バイオトランスフォーメーションによる所望の生成物アミンの調製方法の提供であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、アミノ塩化合物を調製する方法であって、
i)一般式(I)
【0005】
【化1】
[式中、
R
1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R
1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
1aを有し; 及び
R
2は、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C5~C10-アリール、C6~C10-アルキルアリール、及びC6~C10-アリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R
2は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
2aを有し; 又は
R
1、R
2は、一緒になって、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルを形成し、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルは、それぞれ、水素原子、C1~C5-アルキル、C1~C4-ヘテロアルキル、及びC1~C5-アルキル-R
yからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
xを有し、R
yは、ヒドロキシル又はチオールである]
のカルボニル化合物を提供するステップ、
ii)(i)により提供されたカルボニル化合物を、トランスアミナーゼの存在下で、
ii-a)少なくとも1つの第一級アミン; 及び
ii-b)少なくとも1つのカルボン酸
と反応させ; それにより、
- 一般式(II)
【0006】
【化2】
[式中、R
1及びR
2は、一般式(I)について定義される通りである]
のカチオン、及び
- (ii-b)により添加された少なくとも1つのカルボン酸に基づくカルボキシレートアニオン
を含む、少なくとも部分的に結晶化されたアミノ塩化合物を含む混合物を得るステップ
を含む、方法によって解決された。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】選択されたアミントランスアミナーゼに対する43CNA、DPAA、及び3DPPAの効果; 条件: 200mMリン酸塩緩衝液pH7.5、10mMアセトフェノン1、500mM(43CNA及びDPAA)又は250mM(3DDPA)イソプロピルアミン、5mg・mL
-1凍結乾燥細胞抽出物、30℃、22時間; 2の得られた濃度は、望ましくないin situ生成物結晶化を防ぐために、意図的に生成物塩6の溶解限度未満に保持された; 同定された安息香酸誘導体の代表として43CNAが選ばれた;
【
図2】in situ生成物結晶化(ISPC)有り又は無しの、(S)-1-フェニルエチル-アミンのSpTA触媒された形成の時間進行曲線; 125mM 3DPPA有りの□-全細胞又は■-細胞抽出物、3DPPA無しの〇-全細胞又は●-細胞抽出物; 条件: 200mMリン酸塩緩衝液pH7.5、100mMアセトフェノン、250mMイソプロピルアミン、15mg・mL
-1凍結乾燥細胞抽出物又は全細胞、30℃;
【
図3】(S)-4-クロロ-1-フェニルエチルアミン塩の沈殿の例示的結果。
【発明を実施するための形態】
【0008】
「アミノ塩化合物」という表現は、上記のカチオン及びアニオンを含む。アミノ塩化合物は、純粋な塩化合物(非溶媒和、無水)又は溶媒和物又は水和物又はそれらの混合物として存在することができ、水和物は、半水和物、一水和物、及び多水和物を含み、溶媒和物は、半溶媒和物、一溶媒和物、及び多溶媒和物を含む。「少なくとも部分的に結晶化された」とは、アミン塩化合物の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%が、結晶形態で沈殿することを意味する。
【0009】
「ヘテロ」という言い回しは、別段の指示がない限り、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子(複数可)が存在することを意味する。ヘテロ原子(複数可)は、それぞれの鎖又は環構造のメンバーとして存在する。
【0010】
残基R1a、2aは、上に定義される通りである。R1aもR2aも、電荷を含む置換基ではなく、すなわち、電荷を有する置換基は、R1a及びR2aとして除外されることに留意しなければならない。例えば、R1a及びまたR2aは、カルボキシル/カルボキシレート、ホスフェート、スルホネートではない。
【0011】
好ましい実施形態では、ペルフルオロ化アルキルであるR1、R1aの組み合わせは、除外される。同じことがR2及びR2aにも当てはまり、すなわち、ペルフルオロ化アルキルであるR2及びR2aの組み合わせも同様に除外される。言い換えれば、R1及びR1aの組み合わせも、R2及びR2aの組み合わせも、ペルフルオロ化アルキルではない。
【0012】
R1及びR2が一緒になってC3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルを形成する実施形態に関して、示されるC原子の数は、R1とR2の間に位置するカルボニルC原子を含む。
【0013】
上記のこの方法を用いて、本発明者らは、ここで、トランスアミナーゼ触媒反応からの所望の生成物アミンを直接取り出すための結晶化に基づくアプローチを提示する。スキーム1は、例示的な生成物アミンである1-フェニルエチルアミンに基づく方法を示す。生成物アミン2は、本明細書では、難溶性アミン塩6として溶液から選択的に結晶化され、一方、他の全ての反応物、とりわけ、適用されたドナーアミン(イソプロピルアミン、3)は、溶液中に残る。このin situ生成物結晶化(ISPC)は、溶液から所望の生成物アミンを連続的に取り出し、したがって、生成物への平衡移動をもたらす。対イオン(ここではカルボキシレートと示される)は、反応溶液に直接添加され、形成された固体塩から再利用のために単離することができる。適用されたアミンと比較してカルボキシレートを化学量論的に使用することは、必要ではない(下記参照)。
【0014】
【0015】
第一に、この構想の主な要件は、特定の対イオン、すなわち、特定のカルボン酸を選択することであり、該対イオンは、その結晶化のために標的アミンと難溶性塩を生成し、一方、ドナーアミン塩は結晶化されない。残念ながら、最も一般に使用されているアミン塩、とりわけアミンハライド塩は、水溶液への非常に高い溶解度を示し、したがって、このようなISPC構想には適用できない。したがって、方法の好ましい実施形態は、(ii)により得られたアミノ塩化合物が、(ii-a)により添加された少なくとも1つの第一級アミンの水への溶解度よりも小さいpH7における水への溶解度を有することである。方法のさらに好ましい実施形態は、(ii)により得られたアミノ塩化合物が、≦30mmol/l、好ましくは≦25mmol/l、より好ましくは≦10mmol/lのpH7における水への溶解度を有することである。
【0016】
好ましい実施形態によれば、第一級アミンの塩の溶解度と、アミノ塩化合物の溶解度の間の溶解度差(デルタSol.)は、少なくとも10mmol/lである。上で説明されるように、第一級アミンの塩の溶解度(sol.第一級アミン塩)は、アミノ塩化合物の溶解度(sol.アミノ塩化合物)より高い(すなわち、sol.第一級アミン塩>sol.アミノ塩化合物)。
【0017】
第二に、使用されるトランスアミナーゼは、選択された化合物の必要とされる濃度に耐性を示さなければならない。第三に、形成された塩は、プロセス条件下で安定でなければならず、反応混合物から容易に回収されるべきである。
【0018】
カルボン酸
ステップ(ii)に従って、(i)により提供されたカルボニル化合物を、トランスアミナーゼの存在下で、ii-a)少なくとも1つの第一級アミン; 及びii-b)少なくとも1つのカルボン酸と反応させる。
【0019】
(ii-b)に使用すべきカルボン酸に関して、商業的に容易に利用可能な脂肪族、芳香族、及びヘテロ芳香族カルボン酸(R-COOH)が選択され、トランスアミナーゼ触媒反応から一般的なアミンを得るために、それらのそれぞれのカルボキシレート塩としてスクリーニングされた。1-フェニルエチルアミン及びその置換誘導体2a-fは、モデル生成物アミンとして機能し、イソプロピルアミン3、ラセミ体2-ブチルアミン、DL-アラニン、及びL-アラニンなどの典型的なドナーアミンと比較された(さらなる詳細については、実施例セクションを参照)。ここで、ドナーアミンが依然として過剰に適用されるため、生成物アミンの塩は、そのドナーアミン塩対応物よりも顕著に低い溶解度を示す必要がある。
【0020】
好ましくは、(ii-b)による少なくとも1つのカルボン酸は、そのプロトン化形態、又は適切な対カチオンを有する脱プロトン化形態において使用される。上記の単純なスクリーニングアプローチは、(ii-b)による少なくとも1つのカルボン酸が、好ましくは、一般式(III)
【0021】
【化4】
[式中、
nは、ゼロ又は1であり;
残基R
3及びR
4は、両方ともフェニルであるか、又は一緒になってフェニル環を形成し、各フェニル環は、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはクロロ、及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有し; 及び残基R
5は、水素原子又はメチルであるか、又はR
3及びR
4が一緒になってフェニル環を形成する場合は存在しない]
のカルボン酸であるという知見をもたらした。単純なスクリーニングアプローチは、とりわけ、(pH7.5においてそれぞれのカルボキシレートイオンとして)上記の基準に見合う2個のベンジルベンゼンに基づく酸及び3個の安息香酸誘導体をもたらした(スキーム2)。
【0022】
【0023】
さらに、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)は、適切なカルボン酸と同定された。したがって、方法の好ましい実施形態は、ジフェニル酢酸(DPAA)、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)、3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、3,4-ジクロロ-安息香酸(34CA)、3,4-ジニトロ-安息香酸(34NA)、及び4-クロロ-3-ニトロ-安息香酸(43CNA)からなる群から選択されるカルボン酸である、(ii-b)による少なくとも1つのカルボン酸に関する。より好ましくは、(ii-b)による少なくとも1つのカルボン酸は、ジフェニル酢酸(DPAA)、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)、及び3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、より好ましくは2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)又は3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、より好ましくは少なくとも3DPPAからなる群から選択される。
【0024】
カルボニル化合物
ステップ(i)に従って、一般式(I)のカルボニル化合物が提供される。好ましくは、
R1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有し; 及び
R2は、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C5~C10-アリール、C6~C10-アルキルアリール、及びC6~C10-アリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R2は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R2aを有する。
【0025】
より好ましくは、残基R1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキル中のヘテロ原子(複数可)は、酸素又は硫黄であり、及びC2~C20-ヘテロアルキル及びC3~C20-環状ヘテロアルキル中のヘテロ原子(複数可)は、酸素、硫黄、及び窒素から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有する。
【0026】
方法の好ましい実施形態によれば、残基R1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキルからなる群から選択され、ヘテロ原子(複数可)は、酸素、硫黄、及び窒素から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有する。方法のさらに好ましい実施形態によれば、残基R1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、及びC5~C20-アリールからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有する。方法のより好ましい実施形態によれば、残基R1は、分岐又は非分岐C2~C10-アルキル、C5~C10-シクロアルキル、及びC5~C20-アリールからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有し; R1は、好ましくは、メチル、イソ-プロピル、シクロヘキシル、及びフェニルからなる群から選択され、フェニルは、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはフルオロ若しく
はクロロ、並びにメトキシ、好ましくはメタ-若しくはパラ-メトキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有する。
【0027】
分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、又は分岐又は非分岐C2~C20-アルケニルであるR1について、好ましい実施形態は、分岐又は非分岐C4~C20-アルキル、又は分岐又は非分岐C4~C20-アルケニルであるR1に関する。
【0028】
方法の好ましい実施形態によれば、残基R2は、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキルからなる群から選択され、各残基R2は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R2aを有する。方法のさらに好ましい実施形態によれば、残基R2は、分岐又は非分岐C1~C3-アルキルの群から選択され、R2は、好ましくはメチルである。
【0029】
トランスアミナーゼ
ステップ(ii)に従って、(i)により提供されたカルボニル化合物を、トランスアミナーゼの存在下で反応させる。好ましくは、(ii)によるトランスアミナーゼは、トランスアミナーゼの群から、好ましくはアミントランスアミナーゼの群から、より好ましくは、配列番号1に記載のアスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigates)由来のアミントランスアミナーゼ(AfATA)、配列番号2に記載のジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)由来のアミントランスアミナーゼ(GzATA)、配列番号3に記載のネオサルトリア・フィシェリ(Neosartorya fischeri)由来のアミントランスアミナーゼ(NfATA)、配列番号4に記載のアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来のアミントランスアミナーゼ(AoATA)、配列番号5に記載のアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)由来のアミントランスアミナーゼ(AtATA)、配列番号6に記載のマイコバクテリウム・バンバアレニイ(Mycobacterium vanbaalenii)由来のアミントランスアミナーゼ(MvATA)、配列番号7に記載のサイリシバクター・ポメロイ(Silicibacter pomeroyi)由来のアミントランスアミナーゼ(SpATA)、及び配列番号1~7のいずれか1つと少なくとも65%の配列同一性を有し、且つ配列番号1~7のアミントランスアミナーゼと同じ機能を有するホモログ酵素からなる群から選択され、より好ましくは、配列番号6に記載のマイコバクテリウム・バンバアレニイ(Mycobacterium vanbaalenii)由来のアミントランスアミナーゼ(MvATA)、配列番号7に記載のサイリシバクター・ポメロイ(Silicibacter pomeroyi)由来のアミントランスアミナーゼ(SpATA)、並びに配列番号6若しくは7のいずれか1つと少なくとも65%の配列同一性を有し、且つ配列番号6若しくは7のアミントランスアミナーゼと同じ機能を有するホモログ酵素からなる群から選択される。表1は、好ましいアミントランスアミナーゼの概要を示す:
【0030】
【0031】
「配列番号1~7のいずれか1つのアミントランスアミナーゼと同じ機能を有する」という表現は、ホモログ酵素が、配列番号1~7のいずれか1つのトランスアミナーゼの少なくとも90%の有効性でアミントランスアミナーゼ反応を触媒することを意味する。好ましくは、ホモログ酵素は、配列番号1~7のいずれか1つと少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有し、且つ配列番号1~7のアミントランスアミナーゼと同じ機能を有する。
【0032】
第一級アミン
ステップ(ii)に従って、(i)により提供されたカルボニル化合物を、トランスアミナーゼの存在下で、ii-a)少なくとも1つの第一級アミン; 及びii-b)少なくとも1つのカルボン酸と反応させる。好ましくは、(ii-a)による少なくとも1つの第一級アミンは、非プロトン化形態、又は適切な対アニオンを有するプロトン化形態において使用される。
【0033】
方法の好ましい実施形態によれば、(ii-a)による少なくとも1つの第一級アミンは、1~10個の炭素原子を有するモノアミン及びジアミンの群から、好ましくは、1,5-ジアミノ-ペンタン(カダベリン)、アラニン、2-アミノ-ブタン(sec-ブチルアミン)、及び2-アミノ-プロパンからなる群から選択され、好ましくは、その非プロトン化又はプロトン化形態における2-アミノ-プロパン(イソ-プロピルアミン)であり、プロトン化形態は、適切なアニオンと組み合わせて存在する。
【0034】
方法のより好ましい実施形態によれば、(ii-a)による少なくとも1つの第一級アミン及び(ii-b)による少なくとも1つのカルボン酸は、少なくとも1つの第一級アミンのプロトン化形態及び少なくとも1つのカルボン酸の脱プロトン化形態を含む1つ以上の塩として、好ましくは、少なくとも1つの第一級アミンのプロトン化形態及び少なくとも1つのカルボン酸の脱プロトン化形態を含む1つの塩として、より好ましくは、イソプロピルアンモニウム3,3-ジフェニルプロピオネートとして使用される。
【0035】
アミノ塩化合物
ステップ(ii)に従って、アミノ塩化合物が得られる。好ましくは、(ii)により得られたアミノ塩化合物は、一般式(II)
【0036】
【化6】
[式中、R
1及びR
2は、一般式(I)について定義される通りである]
のカチオン、及び好ましくは一般式(IIIa)
【0037】
【化7】
[式中、
nは、ゼロ又は1であり;
残基R
3及びR
4は、両方ともフェニルであるか、又は一緒になってフェニル環を形成し、各フェニル環は、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはクロロ、及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有し、及び残基R
5は、水素原子又はメチルであるか、又はR
3及びR
4が一緒になってフェニル環を形成する場合は存在しない]
のアニオンである、少なくとも1つのカルボン酸に基づくアニオンを含み、一般式(IIIa)のアニオンは、好ましくは、ジフェニルアセテート、2,2-ジフェニルプロピオネート、3,3-ジフェニルプロピオネート、3,4-ジクロロ-ベンゾエート、3,4-ジニトロ-ベンゾエート、及び4-クロロ-3-ニトロ-ベンゾエートからなる群から、より好ましくは、ジフェニルアセテート、2,2-ジフェニルプロピオネート、3,3-ジフェニルプロピオネート、より好ましくは2,2-ジフェニルプロピオネート又は3,3-ジフェニルプロピオネート、より好ましくは3,3-ジフェニルプロピオネートからなる群から選択される。
【0038】
さらなる反応条件
方法の好ましい実施形態によれば、(ii)による反応は、水溶液中で実施され、該水溶液は、好ましくは、水溶液の全重量に基づいて少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも98重量%の水を含む。水溶液は、好ましくは緩衝剤を含み、該緩衝剤は、好ましくは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝剤(トリス緩衝剤)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸緩衝剤(MOPS緩衝剤)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸緩衝剤(BES緩衝剤)、N-(トリス(ヒドロキシメチル)メチル)グリシン緩衝剤(トリシン緩衝剤)、炭酸塩緩衝剤、N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸緩衝剤(CHES緩衝剤)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸緩衝剤(HEPES緩衝剤)、及びリン酸塩緩衝剤、より好ましくは少なくともリン酸塩緩衝剤の群から選択される。
【0039】
方法のさらに好ましい実施形態によれば、(ii)による反応は、6.0~9.5の範囲、より好ましくは6.5~9.0の範囲、より好ましくは7.0~8.0の範囲のpH値で実施される。方法のさらに好ましい実施形態によれば、(ii)による反応は、少なくとも1時間の期間、より好ましくは1~1,000時間の範囲、より好ましくは5~500時間の範囲、より好ましくは10~200時間の範囲の時間、実施される。方法のさらに好ましい実施形態によれば、(ii)による反応は、10~50℃の範囲、より好ましくは15~45℃の範囲、より好ましくは20~40℃の範囲、より好ましくは25~35℃の範囲の温度で実施される。
【0040】
方法の別の好ましい実施形態によれば、一般式(III)[式中、残基R3及びR4は、一緒になって、フェニル環を形成する]によるカルボン酸、好ましくは、3,4-ジクロロ-安息香酸(34CA)、3,4-ジニトロ-安息香酸(34NA)、及び4-クロロ-3-ニトロ-安息香酸(43CNA)からなる群から選択されるカルボン酸である少なくとも1つのカルボン酸について、少なくとも1つのカルボン酸の濃度は、ステップ(ii)の間、0.001~50mMの範囲、好ましくは1~45mMの範囲、より好ましくは5~40mMの範囲に保持される。方法の別の好ましい実施形態によれば、一般式(III)[式中、残基R3及びR4は、それぞれフェニル環である]によるカルボン酸、好ましくは、ジフェニル酢酸(DPAA)、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)、及び3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)からなる群から選択されるカルボン酸である少なくとも1つのカルボン酸について、少なくとも1つのカルボン酸の濃度は、ステップ(ii)の間、≦50mMである。
【0041】
さらなる反応ステップ
上記のように、本方法は、反応ステップ(i)及び(ii)を含む。好ましい実施形態によれば、本方法は、
iii)混合物から(ii)により得られた少なくとも部分的に結晶化されたアミン塩化合物を分離し、それにより、結晶化されたアミン塩化合物を得るステップ
をさらに含む。
【0042】
好ましくは、混合物からの(iii)による結晶化されたアミン塩化合物の分離は、沈降、遠心分離、又は濾過により、好ましくは濾過により行われる。
【0043】
さらに好ましい実施形態によれば、本方法は、好ましくは(i)、(ii)、及び(iii)に加えて、
(iv)場合により、(iii)により得られた分離された結晶化アミノ塩化合物を、好ましくは水又は有機溶媒又はそれらの混合物で、より好ましくは水又はメチルtert-ブチルエーテル又はそれらの混合物で洗浄し、それにより、洗浄された結晶化アミノ塩化合物を得るステップ;
(v)(iii)により得られた結晶化アミノ塩化合物又は場合により(iv)により得られた洗浄された結晶化アミノ塩化合物を、少なくとも1つの塩基、好ましくは水酸化物イオンを含む塩基を含む10~14の範囲のpH値を有する水溶液中に溶解し、それにより、一般式(IIa)
【0044】
【化8】
[式中、R
1及びR
2は、一般式(I)について定義される通りである]
のアミンを含む水溶液を得るステップ;
(vi)(v)により得られた水溶液を、水非混和性有機溶媒で少なくとも1回抽出し、一般式(IIa)のアミンの少なくとも部分を含む有機相; 及び一般式(IIIa)
【0045】
【化9】
[式中、nは、ゼロ又は1であり; 及び残基R
3及びR
4は、両方ともフェニルであるか、又は一緒になってフェニル環を形成し、各フェニル環は、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはクロロ、及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有し、及び残基R
5は、水素原子又はメチルであるか、又はR
3及びR
4が一緒になってフェニル環を形成する場合は存在しない]
のアニオンの少なくとも部分を含む水相を得るステップ
をさらに含み; 一般式(IIIa)のアニオンは、好ましくは、ジフェニルアセテート、2,2-ジフェニルプロピオネート、3,3-ジフェニルプロピオネート、3,4-ジクロロ-ベンゾエート、3,4-ジニトロ-ベンゾエート、及び4-クロロ-3-ニトロ-ベンゾエートからなる群から、より好ましくは、ジフェニルアセテート、2,2-ジフェニルプロピオネート、3,3-ジフェニルプロピオネート、より好ましくは2,2-ジフェニルプロピオネート又は3,3-ジフェニルプロピオネート、より好ましくは3,3-ジフェニルプロピオネートからなる群から選択される。
【0046】
(vi)による水非混和性有機溶媒は、好ましくは、少なくとも0.5、より好ましくは少なくとも0.6、より好ましくは少なくとも0.7、より好ましくは少なくとも0.8のKOW値を有する。好ましい実施形態によれば、(vi)による水非混和性有機溶媒は、エーテルの群から、より好ましくは脂肪族エーテルの群、より好ましくはMTBE(メチル-tert-ブチルエーテル)から選択される。
【0047】
さらに好ましい実施形態によれば、本方法は、好ましくは(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、及び(vi)に加えて、
(vii-a)(vi)で得られた有機相から水非混和性有機溶媒を除去し、それにより、一般式(IIa)
【0048】
【化10】
[式中、R
1及びR
2は、一般式(I)について定義される通りである]
のアミンを得るステップ
をさらに含む。
【0049】
代替の好ましい実施形態によれば、本方法は、好ましくは(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、及び(vi)に加えて、
(vii-b)(vi)により得られた有機相に少なくとも1つの酸HX、好ましくはHClを添加し、それにより、一般式(IV)
【0050】
【化11】
[式中、R
1及びR
2は、一般式(I)及び(II)について定義される通りであり、及びXは、少なくとも1つの酸HXに基づくイオン、好ましくはClである]
の塩を得るステップ
をさらに含む。
【0051】
代替の好ましい実施形態によれば、本方法は、好ましくは(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、及び(vii-a)に加えて、又は(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、及び(vii-b)に加えて、
(viii)場合により、一般式(III)
【0052】
【0053】
[式中、
nは、ゼロ又は1であり;
残基R3及びR4は、両方ともフェニルであるか、又は一緒になってフェニル環を形成し、各フェニル環は、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはクロロ、及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有し、及び残基R5は、水素原子又はメチルであるか、又はR3及びR4が一緒になってフェニル環を形成する場合は存在しない]
の少なくとも1つのカルボン酸; 好ましくは、ジフェニル酢酸(DPAA)、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)、3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、3,4-ジクロロ-安息香酸(34CA)、3,4-ジニトロ-安息香酸(34NA)、及び4-クロロ-3-ニトロ-安息香酸(43CNA)からなる群から、より好ましくは、ジフェニル酢酸(DPAA)、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)、及び3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、より好ましくは、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)又は3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、より好ましくは少なくとも3DPPAからなる群から選択される少なくとも1つのカルボン酸を、(vi)により得られた水相から、好ましくはHClの添加により、pHを0~6の範囲の値に調整することによって、沈殿させるステップ、及び
(ix)場合により、(viii)により沈殿した少なくとも1つのカルボン酸を、プロセスに、好ましくはステップ(ii)に再利用するステップ
をさらに含む。
【0054】
本発明はまた、上記の方法により得られる又は入手可能なアミノ塩化合物に関する。
【0055】
別の態様では、本発明は、
- 一般式(II)
【0056】
【化13】
[式中、
R
1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R
1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
1aを有し; 及び
R
2は、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C5~C10-アリール、C6~C10-アルキルアリール、及びC6~C10-アリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R
2は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
2aを有し; 又は
R
1、R
2は、一緒になって、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルを形成し、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルは、それぞれ、水素原子、C1~C5-アルキル、C1~C4-ヘテロアルキル、及びC1~C5-アルキル-R
yからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
xを有し、R
yは、ヒドロキシル又はチオールである]
のカチオン; 及び
- 一般式(IIIa)
【0057】
【化14】
[式中、
nは、ゼロ又は1であり;
残基R
3及びR
4は、両方ともフェニルであるか、又は一緒になってフェニル環を形成し、各フェニル環は、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはクロロ、及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有し、及び残基R
5は、水素原子又はメチルであるか、又はR
3及びR
4が一緒になってフェニル環を形成する場合は存在しない]
のアニオン
を含む、アミノ塩化合物に関する。
【0058】
好ましくは、アミン塩化合物の一般式(IIIa)のアニオンは、ジフェニルアセテート、2,2-ジフェニルプロピオネート、3,3-ジフェニルプロピオネート、3,4-ジクロロ-ベンゾエート、3,4-ジニトロ-ベンゾエート、及び4-クロロ-3-ニトロ-ベンゾエートからなる群から、より好ましくは、ジフェニルアセテート、2,2-ジフェニルプロピオネート、3,3-ジフェニルプロピオネート、より好ましくは2,2-ジフェニルプロピオネート又は3,3-ジフェニルプロピオネート、より好ましくは3,3-ジフェニルプロピオネートからなる群から選択される。
【0059】
アミノ塩化合物の好ましい実施形態によれば、
R1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有し; 及び
R2は、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C5~C10-アリール、C6~C10-アルキルアリール、及びC6~C10-アリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R2は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R2aを有する。
【0060】
より好ましくは、残基R1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキル中のヘテロ原子(複数可)は、酸素又は硫黄であり、及びC2~C20-ヘテロアルキル及びC3~C20-環状ヘテロアルキル中のヘテロ原子(複数可)は、酸素、硫黄、及び窒素から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有する。アミノ塩化合物のさらに好ましい実施形態によれば、残基R1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキルからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有する。アミノ塩化合物のさらに好ましい実施形態によれば、残基R1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリールからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有する。アミノ塩化合物のさらに好ましい実施形態によれば、残基R1は、分岐又は非分岐C2~C10-アルキル、C5~C10-シクロアルキル、及びC5~C20-アリールからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有し; R1は、好ましくは、メチル、イソ-プロピル、シクロヘキシル、及びフェニルからなる群から選択され、フェニルは、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはフルオロ若しくはクロロ、並びにメトキシ、好ましくはメタ-若しくはパラ-メトキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する。
【0061】
分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、又は分岐又は非分岐C2~C20-アルケニルであるR1について、好ましい実施形態は、分岐又は非分岐C4~C20-アルキル、又は分岐又は非分岐C4~C20-アルケニルであるR1に関する。
【0062】
アミノ塩化合物の好ましい実施形態によれば、残基R2は、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキルからなる群から選択され、各残基R2は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R2aを有する。好ましくは、残基R2は、分岐又は非分岐C1~C3-アルキルからなる群から選択され、R2は、好ましくはメチルである。
【0063】
好ましい実施形態では、ペルフルオロ化アルキルであるR1、R1aの組み合わせは、除外される。同じことがR2及びR2aにも当てはまり、すなわち、ペルフルオロ化アルキルであるR2及びR2aの組み合わせも同様に除外される。言い換えれば、R1及びR1aの組み合わせも、R2及びR2aの組み合わせも、ペルフルオロ化アルキルではない。
【0064】
R1及びR2が一緒になってC3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルを形成する実施形態に関して、示されるC原子の数は、R1とR2の間に位置するカルボニルC原子を含む。
【0065】
本発明は、別の態様において、
a)一般式(IIa)
【0066】
【化15】
[式中、
R
1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R
1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
1aを有し; 及び
R
2は、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C5~C10-アリール、C6~C10-アルキルアリール、及びC6~C10-アリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R
2は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
2aを有し; 又は
R
1、R
2は、一緒になって、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルを形成し、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルは、それぞれ、水素原子、C1~C5-アルキル、C1~C4-ヘテロアルキル、及びC1~C5-アルキル-R
yからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
xを有し、R
yは、ヒドロキシル又はチオールである]
のアミン; 及び
b)一般式(III)
【0067】
【化16】
[式中、
nは、ゼロ又は1であり;
残基R
3及びR
4は、両方ともフェニルであるか、又は一緒になってフェニル環を形成し、各フェニル環は、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはクロロ、及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有し; 及び残基R
5は、水素原子又はメチルであるか、又はR
3及びR
4が一緒になってフェニル環を形成する場合は存在しない]
の少なくとも1つのカルボン酸であって、そのプロトン化形態において、又は適切な対イオンを有するカルボキシレートとして存在する、少なくとも1つのカルボン酸
を含む、組成物に関する。
【0068】
組成物の好ましい実施形態によれば、
R1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有し; 及び
R2は、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C5~C10-アリール、C6~C10-アルキルアリール、及びC6~C10-アリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R2は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R2aを有する。
【0069】
より好ましくは、(b)による少なくとも1つのカルボン酸は、ジフェニル酢酸(DPAA)、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)、3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、3,4-ジクロロ-安息香酸(34CA)、3,4-ジニトロ-安息香酸(34NA)、及び4-クロロ-3-ニトロ-安息香酸(43CNA)からなる群から、より好ましくは、ジフェニル酢酸(DPAA)、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)、及び3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、より好ましくは2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)又は3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、より好ましくは少なくとも3DPPAからなる群から選択されるカルボン酸である。
【0070】
組成物のさらに好ましい実施形態によれば、(a)によるアミンの残基R1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキル中のヘテロ原子(複数可)は、酸素又は硫黄であり、及びC2~C20-ヘテロアルキル及びC3~C20-環状ヘテロアルキル中のヘテロ原子(複数可)は、酸素、硫黄、及び窒素から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有する。好ましくは、(a)によるアミンの残基R1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキルからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有する。より好ましくは、(a)によるアミンの残基R1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、及びC5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリールからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有する。より好ましくは、(a)によるアミンの残基R1は、分岐又は非分岐C2~C10-アルキル、C5~C10-シクロアルキル、及びC5~C20-アリールからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有し; R1は、好ましくは、メチル、イソ-プロピル、シクロヘキシル、及びフェニルからなる群から選択され、フェニルは、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはフルオロ若しくはクロロ、並びにメトキシ、好ましくはメタ-若しくはパラ-メトキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する。
【0071】
分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、又は分岐又は非分岐C2~C20-アルケニルであるR1について、好ましい実施形態は、分岐又は非分岐C4~C20-アルキル、又は分岐又は非分岐C4~C20-アルケニルであるR1に関する。
【0072】
組成物のさらに好ましい実施形態によれば、(a)によるアミンの残基R2は、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキルからなる群から選択され、各残基R2は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R2aを有する。
【0073】
好ましくは、(a)によるアミンの残基R2は、分岐又は非分岐C1~C3-アルキルからなる群から選択され、R2は、好ましくはメチルである。
【0074】
組成物の好ましい実施形態では、ペルフルオロ化アルキルであるR1、R1aの組み合わせは、除外される。同じことがR2及びR2aにも当てはまり、すなわち、ペルフルオロ化アルキルであるR2及びR2aの組み合わせも同様に除外される。言い換えれば、R1及びR1aの組み合わせも、R2及びR2aの組み合わせも、ペルフルオロ化アルキルではない。
【0075】
R1及びR2が一緒になってC3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルを形成する、組成物の実施形態に関して、示されるC原子の数は、R1とR2の間に位置するカルボニルC原子を含む。
【0076】
組成物の好ましい実施形態によれば、組成物は、(a)によるアミンを、90~99.9重量%の範囲の量、好ましくは95~99.9重量%の範囲の量、より好ましくは98~99.9重量%の範囲の量で含む。組成物のさらに好ましい実施形態によれば、組成物は、(b)による少なくとも1つのカルボン酸(プロトン化形態、又は適切な対イオンを有するカルボキシレート)を、少なくとも0.003重量%の量、好ましくは0.003~5重量%の範囲の量、より好ましくは0.003~3重量%の範囲の量で含む。
【0077】
以下に、本発明者らが実施した調査をより詳しく記載する:
【0078】
上記のように、商業的に容易に利用可能な脂肪族、芳香族、及びヘテロ芳香族カルボン酸(R-COOH)が選択され、トランスアミナーゼ触媒反応から一般的なアミンを得るために、それらのそれぞれのカルボキシレート塩としてスクリーニングされた。1-フェニルエチルアミン及びその置換誘導体2a-fは、モデル生成物アミンとして機能し、イソプロピルアミン3、ラセミ体2-ブチルアミン、DL-アラニン、及びL-アラニンなどの典型的なドナーアミンと比較された。単純なスクリーニングアプローチは、とりわけ、必要な基準に見合う2個のベンジルベンゼンに基づく酸及び3個の安息香酸誘導体: DPAA、3DPPA、34CA、34NA、及び43CNAの同定をもたらした。さらに、2DPPAは、適切なカルボン酸と同定された。
【0079】
例えば、4-クロロ-3-ニトロ安息香酸(43CNA)5のイソプロピルアミン塩は、993mmol・l-1の非常に高い溶解度を示し、一方、43CNA 6aの1-フェニルエチルアミン塩は、22mmol・l-1の相当に低い溶解度を示す。ルシャトリエの原理により述べられているように、超化学量論的量のカルボキシレートが母液に添加される場合、アミン塩の溶解度がさらに低減する可能性があり、これは、解離形態(溶液中に存在する)からその非解離固体塩形態への平衡を押し進める。
【0080】
一般的な溶解度の違いは別として、これらの3つの酸(43CNA、DPAA、及び3DPPA)の適用性を、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigates)(AfATA)、ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)(GzATA)、ネオサルトリア・フィシェリ(Neosartorya fischeri)(NfATA)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)(AoATA)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)(AtATA)、マイコバクテリウム・バンバアレニイ(Mycobacterium vanbaalenii)(MvATA)、及びサイリシバクター・ポメロイ(Silicibacter pomeroyi)(SpATA)由来の7個の例示的アミントランスアミナーゼで試験した(
図1)。結果は、調査したほとんど全てのアミントランスアミナーゼが、50mMのより溶解度の高い酸43CNA及びDPAAによってすでに強く阻害されることを示す。本明細書では、MvATA及びSpATAが、最も安定した酵素と同定された。これらの結果からの注目すべき例外は、酸3DPPAであり、これは緩衝液にわずかにしか溶けない。これは、温度及びpHに応じて、水溶液中のカルボキシレート濃度を最大≦25mMに効果的に制限し、一方、過剰な固体3DPPAは、反応混合物中に残る。この低い3DPPA濃度はまた、調査したATAを顕著に阻害しない。幸いなことに、調査した3DPPA塩は、生成物アミン塩6の最も低い溶解度を示し、これは、上記のISPC要件に完全に適合する(実施例セクション、表4及び5を参照)。その結果、3DPPAは、アミントランスアミナーゼ触媒反応からのアミン2の、結晶化に基づくin situ生成物除去(ISPR)における適用のための最も価値のある酸と同定された。
【0081】
100mMアセトフェノン1aの(S)-1-フェニルエチルアミンへの例示的なSpATA触媒変換と組み合わせて3DPPAを使用すると、酸に基づくISPCの合成上の利点が明らかに示される(
図2)。わずか250mMのイソプロピルアミンの低いドナーアミン濃度を用いる古典的な反応アプローチは、19%の不十分な変換をもたらす。1.25eq.の固体3DPPAの単純な添加は、全細胞バイオ触媒又は部分的に精製された細胞抽出物としての使用に関わらず、全体的な変換を直接約75%まで改善した。生成物2の大部分は、その後、固体塩6として存在し、これは、反応混合物を0℃まで冷却した後、濾過によりほぼ定量的に回収することができる。その結果、より少ないドナーアミンが必要とされ、単純化された下流処理アプローチが促進されるため、3DPPAを用いたこのISPC構想は、より原子効率の高い合成に至る(下記参照)。注目すべきことに、水溶液からの3DPPAの不断の除去は、3DPPAの同時溶解(過剰な固体3DPPAから)によってその元の溶解限度まで継続的に補われるため、3DPPAの低い溶解度は、生成物アミン塩の結晶化を制限しない。
【0082】
酸3DPPAを用いた、示されたISPC構想は、選択されたアセトフェノン誘導体1b-g及びさらに非芳香族基質1h-kのSpATA触媒変換にも首尾よく使用された(表2)。
【0083】
表2: キラルアミンの、ISPCにより支持されるSpATA触媒合成
【0084】
【0085】
【0086】
予想通り、全ての基質について、250mMイソプロピルアミンの少ない(しかし依然として超化学量論的)使用のため、ISPC無しで、低い変換が得られた。3DPPAの単純な添加は、調査したほとんど全ての基質について、生成物形成を顕著に増加させる。改善は2~8.1倍の範囲であり、1kについて最大96%の収率であり、一方、生成物はその3DPPA塩として選択的に結晶化される。過剰なイソプロピルアミンを含む残りの母液は、トランスアミナーゼ触媒反応の原子効率のさらなる増加のため、直接再使用することができる。さらに高いドナーアミン濃度は、変換のさらなる増加をもたらすが、ドナーアミン塩の望ましくない結晶化のリスクを伴い、これは次いで最終的に、生成物形成の減少をもたらす。
【0087】
生成物アミン2の単離は、生成物塩6を高pHの水溶液に溶解し、その後、抽出、及び溶媒、
例えばMTBEの蒸発によって容易に実現される。あるいは、濃HClを注意深く添加することによって、それぞれの塩酸塩を、エーテル相から直接結晶化することができる。さらに、使用した酸3DPPAはまた、低pHにおけるその低い溶解度のため、濃HClを用いた酸性化によって、残りの水相から沈殿させることができる。
【0088】
要約すると、選択された酸/カルボキシレートの添加によるトランスアミナーゼ触媒反応からのアミンの、提示されたin situ生成物結晶化は、特製のドナーアミン及び複雑なカスケード反応系の使用に対する強力な合成代替手段を提示する。このISPCの主な利点は、古典的で安価なドナーアミンのより原子効率の高い使用、及び単純な濾過による単純化された下流処理アプローチである。標的生成物アミンは、その後、その塩から抽出することができ、適用された3DPPA酸は、容易に再利用することができる。
【0089】
本発明は、それぞれの従属関係及び後方参照によって示されるように、以下の実施形態及び実施形態の組み合わせによってさらに説明される。特に、例えば、「実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法」などの用語の文脈において、実施形態の範囲が言及されるそれぞれの場合において、この範囲の全ての実施形態は、当業者のために明示的に開示されていることが意図され、すなわち、この用語の言い回しは、「実施形態1、2、3、及び4のいずれか1つに記載の方法」と同義であると当業者によって理解されるべきであることが留意される。
【0090】
1. アミノ塩化合物を調製する方法であって、
i)一般式(I)
【0091】
【化18】
[式中、
R
1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R
1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
1aを有し; 及び
R
2は、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C5~C10-アリール、C6~C10-アルキルアリール、及びC6~C10-アリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R
2は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
2aを有し; 又は
R
1、R
2は、一緒になって、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルを形成し、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルは、それぞれ、水素原子、C1~C5-アルキル、C1~C4-ヘテロアルキル、及びC1~C5-アルキル-R
yからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
xを有し、R
yは、ヒドロキシル又はチオールである]
のカルボニル化合物を提供するステップ、
ii)(i)により提供されたカルボニル化合物を、トランスアミナーゼの存在下で、
ii-a)少なくとも1つの第一級アミン; 及び
ii-b)少なくとも1つのカルボン酸
と反応させ; それにより、
- 一般式(II)
【0092】
【化19】
[式中、R
1及びR
2は、一般式(I)について定義される通りである]
のカチオン、及び
- (ii-b)により添加された少なくとも1つのカルボン酸に基づくカルボキシレートアニオン
を含む、少なくとも部分的に結晶化されたアミノ塩化合物を含む混合物を得るステップ
を含む、方法。
【0093】
2. (ii)により得られたアミノ塩化合物が、(ii-a)により添加された少なくとも1つの第一級アミンの水への溶解度よりも小さいpH7における水への溶解度を有する、実施形態1に記載の方法。
【0094】
3. (ii)により得られたアミノ塩化合物が、≦30mmol/l、好ましくは≦25mmol/l、より好ましくは≦10mmol/lのpH7における水への溶解度を有する、実施形態1又は2に記載の方法。
【0095】
4. 残基R1が、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキル中のヘテロ原子(複数可)は、酸素又は硫黄であり、及びC2~C20-ヘテロアルキル及びC3~C20-環状ヘテロアルキル中のヘテロ原子(複数可)は、酸素、硫黄、及び窒素から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有する、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
5. 残基R1が、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキルからなる群から選択され、ヘテロ原子(複数可)は、酸素、硫黄、及び窒素から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有する、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
6. 残基R1が、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、及びC5~C20-アリールからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有する、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
7. 残基R1が、分岐又は非分岐C2~C10-アルキル、C5~C10-シクロアルキル、及びC5~C20-アリールからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有し; R1は、好ましくは、メチル、イソ-プロピル、シクロヘキシル、及びフェニルからなる群から選択され、フェニルは、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはフルオロ若しくはクロロ、並びにメトキシ、好ましくはメタ-若しくはパラ-メトキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有する、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
8. 残基R2が、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキルからなる群から選択され、各残基R2は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R2aを有する、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
9. 残基R2が、分岐又は非分岐C1~C3-アルキルの群から選択され、R2は、好ましくはメチルである、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
10. (ii)によるトランスアミナーゼが、トランスアミナーゼの群から、好ましくはアミントランスアミナーゼの群から、より好ましくは、配列番号1に記載のアスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigates)由来のアミントランスアミナーゼ(AfATA)、配列番号2に記載のジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)由来のアミントランスアミナーゼ(GzATA)、配列番号3に記載のネオサルトリア・フィシェリ(Neosartorya fischeri)由来のアミントランスアミナーゼ(NfATA)、配列番号4に記載のアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来のアミントランスアミナーゼ(AoATA)、配列番号5に記載のアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)由来のアミントランスアミナーゼ(AtATA)、配列番号6に記載のマイコバクテリウム・バンバアレニイ(Mycobacterium vanbaalenii)由来のアミントランスアミナーゼ(MvATA)、配列番号7に記載のサイリシバクター・ポメロイ(Silicibacter pomeroyi)由来のアミントランスアミナーゼ(SpATA)、及び配列番号1~7のいずれか1つと少なくとも65%の配列同一性を有し、且つ配列番号1~7のアミントランスアミナーゼと同じ機能を有するホモログ酵素からなる群から選択され、より好ましくは、配列番号6に記載のマイコバクテリウム・バンバアレニイ(Mycobacterium vanbaalenii)由来のアミントランスアミナーゼ(MvATA)、配列番号7に記載のサイリシバクター・ポメロイ(Silicibacter pomeroyi)由来のアミントランスアミナーゼ(SpATA)、並びに配列番号6若しくは7のいずれか1つと少なくとも65%の配列同一性を有し、且つ配列番号6若しくは7のアミントランスアミナーゼと同じ機能を有するホモログ酵素からなる群から選択される、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
11. ホモログ酵素が、配列番号1~7のいずれか1つと少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有し、且つ配列番号1~7のアミントランスアミナーゼと同じ機能を有する、実施形態10に記載の方法。
【0103】
12. (ii-a)による少なくとも1つの第一級アミンが、非プロトン化形態、又は適切な対アニオンを有するプロトン化形態において使用される、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
13. (ii-a)による少なくとも1つの第一級アミンが、1~10個の炭素原子を有するモノアミン及びジアミンの群から、好ましくは、1,5-ジアミノ-ペンタン(カダベリン)、アラニン、2-アミノ-ブタン(sec-ブチルアミン)、及び2-アミノ-プロパンからなる群から選択され、好ましくは、その非プロトン化又はプロトン化形態における2-アミノ-プロパン(イソ-プロピルアミン)であり、プロトン化形態は、適切なアニオンと組み合わせて存在する、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
14. (ii-b)による少なくとも1つのカルボン酸が、そのプロトン化形態、又は適切な対カチオンを有する脱プロトン化形態において使用される、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0106】
13. (ii-b)による少なくとも1つのカルボン酸が、一般式(III)
【0107】
【化20】
[式中、
nは、ゼロ又は1であり;
残基R
3及びR
4は、両方ともフェニルであるか、又は一緒になってフェニル環を形成し、各フェニル環は、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはクロロ、及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有し; 及び残基R
5は、水素原子又はメチルであるか、又はR
3及びR
4が一緒になってフェニル環を形成する場合は存在しない]
のカルボン酸であり; 好ましくは、(ii-b)による少なくとも1つのカルボン酸が、ジフェニル酢酸(DPAA)、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)、3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、3,4-ジクロロ-安息香酸(34CA)、3,4-ジニトロ-安息香酸(34NA)、及び4-クロロ-3-ニトロ-安息香酸(43CNA)からなる群から、より好ましくは、ジフェニル酢酸(DPAA)、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)、及び3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、より好ましくは、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)又は3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、より好ましくは少なくとも3DPPAからなる群から選択されるカルボン酸である、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
16. (ii-a)による少なくとも1つの第一級アミン及び(ii-b)による少なくとも1つのカルボン酸が、少なくとも1つの第一級アミンのプロトン化形態及び少なくとも1つのカルボン酸の脱プロトン化形態を含む1つ以上の塩として、好ましくは、少なくとも1つの第一級アミンのプロトン化形態及び少なくとも1つのカルボン酸の脱プロトン化形態を含む1つの塩として、より好ましくは、イソプロピルアンモニウム3,3-ジフェニルプロピオネートとして使用される、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
17. (ii)により得られたアミノ塩化合物が、一般式(II)
【0110】
【化21】
[式中、R
1及びR
2は、一般式(I)について定義される通りである]
のカチオン、及び好ましくは一般式(IIIa)
【0111】
【化22】
[式中、
nは、ゼロ又は1であり;
残基R
3及びR
4は、両方ともフェニルであるか、又は一緒になってフェニル環を形成し、各フェニル環は、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはクロロ、及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有し、及び残基R
5は、水素原子又はメチルであるか、又はR
3及びR
4が一緒になってフェニル環を形成する場合は存在しない]
のアニオンである、少なくとも1つのカルボン酸に基づくアニオン
を含み、一般式(IIIa)のアニオンは、好ましくは、ジフェニルアセテート、2,2-ジフェニルプロピオネート、3,3-ジフェニルプロピオネート、3,4-ジクロロ-ベンゾエート、3,4-ジニトロ-ベンゾエート、及び4-クロロ-3-ニトロ-ベンゾエートからなる群から、より好ましくは、ジフェニルアセテート、2,2-ジフェニルプロピオネート、3,3-ジフェニルプロピオネート、より好ましくは2,2-ジフェニルプロピオネート又は3,3-ジフェニルプロピオネート、より好ましくは3,3-ジフェニルプロピオネートからなる群から選択される、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
18. (ii)による反応が、水溶液中で実施され、該水溶液は、好ましくは、水溶液の全重量に基づいて少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも98重量%の水を含む、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
19. 水溶液が、緩衝剤を含み、該緩衝剤は、好ましくは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝剤(トリス緩衝剤)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸緩衝剤(MOPS緩衝剤)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸緩衝剤(BES緩衝剤)、N-(トリス(ヒドロキシメチル)メチル)グリシン緩衝剤(トリシン緩衝剤)、炭酸塩緩衝剤、N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸緩衝剤(CHES緩衝剤)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸緩衝剤(HEPES緩衝剤)、及びリン酸塩緩衝剤、より好ましくは少なくともリン酸塩緩衝剤の群から選択される、実施形態18に記載の方法。
【0114】
20. (ii)による反応が、6.0~9.5の範囲、好ましくは6.5~9.0の範囲、より好ましくは7.0~8.0の範囲のpH値で実施される、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
21. (ii)による反応が、少なくとも1時間の期間、好ましくは1~1,000時間の範囲、より好ましくは5~500時間の範囲、より好ましくは10~200時間の範囲の時間、実施される、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
22. (ii)による反応が、10~50℃の範囲、好ましくは15~45℃の範囲、より好ましくは20~40℃の範囲、より好ましくは25~35℃の範囲の温度で実施される、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
23. 一般式(III)[式中、残基R3及びR4は、一緒になって、フェニル環を形成する]によるカルボン酸、好ましくは、3,4-ジクロロ-安息香酸(34CA)、3,4-ジニトロ-安息香酸(34NA)、及び4-クロロ-3-ニトロ-安息香酸(43CNA)からなる群から選択されるカルボン酸である少なくとも1つのカルボン酸について、少なくとも1つのカルボン酸の濃度が、ステップ(ii)の間、0.001~50mMの範囲、好ましくは1~45mMの範囲、より好ましくは5~40mMの範囲に保持される、実施形態1~22のいずれか1つに記載の方法。
【0118】
24. 一般式(III)[式中、残基R3及びR4は、それぞれフェニル環である]によるカルボン酸、好ましくは、ジフェニル酢酸(DPAA)、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)、及び3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)からなる群から選択されるカルボン酸である少なくとも1つのカルボン酸について、少なくとも1つのカルボン酸の濃度が、ステップ(ii)の間、≦50mMである、実施形態1~22のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
25. iii)混合物から(ii)により得られた少なくとも部分的に結晶化されたアミン塩化合物を分離し、それにより、結晶化されたアミン塩化合物を得るステップ
をさらに含む、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0120】
26. 混合物からの(iii)による結晶化されたアミン塩化合物の分離が、沈降、遠心分離、又は濾過により、好ましくは濾過により行われる、実施形態26に記載の方法。
【0121】
27. 前記方法が、
(iv)場合により、(iii)により得られた分離された結晶化アミノ塩化合物を、好ましくは水又は有機溶媒又はそれらの混合物で、より好ましくは水又はメチルtert-ブチルエーテル又はそれらの混合物で洗浄し、それにより、洗浄された結晶化アミノ塩化合物を得るステップ;
(v)(iii)により得られた結晶化アミノ塩化合物又は場合により(iv)により得られた洗浄された結晶化アミノ塩化合物を、少なくとも1つの塩基、好ましくは水酸化物イオンを含む塩基を含む10~14の範囲のpH値を有する水溶液中に溶解し、それにより、一般式(IIa)
【0122】
【化23】
[式中、R
1及びR
2は、一般式(I)について定義される通りである]
のアミンを含む水溶液を得るステップ;
(vi)(v)により得られた水溶液を、水非混和性有機溶媒で少なくとも1回抽出し、一般式(IIa)のアミンの少なくとも部分を含む有機相;
及び一般式(IIIa)
【0123】
【化24】
[式中、nは、ゼロ又は1であり; 及び残基R
3及びR
4は、両方ともフェニルであるか、又は一緒になってフェニル環を形成し、各フェニル環は、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはクロロ、及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有し、及び残基R
5は、水素原子又はメチルであるか、又はR
3及びR
4が一緒になってフェニル環を形成する場合は存在しない]
のアニオンの少なくとも部分を含む水相を得るステップ
をさらに含み; 一般式(IIIa)のアニオンは、好ましくは、ジフェニルアセテート、2,2-ジフェニルプロピオネート、3,3-ジフェニルプロピオネート、3,4-ジクロロ-ベンゾエート、3,4-ジニトロ-ベンゾエート、及び4-クロロ-3-ニトロ-ベンゾエートからなる群から、より好ましくは、ジフェニルアセテート、2,2-ジフェニルプロピオネート、3,3-ジフェニルプロピオネート、より好ましくは2,2-ジフェニルプロピオネート又は3,3-ジフェニルプロピオネート、より好ましくは3,3-ジフェニルプロピオネートからなる群から選択される、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0124】
28. (vii-a)(vi)で得られた有機相から水非混和性有機溶媒を除去し、それにより、一般式(IIa)
【0125】
【化25】
[式中、R
1及びR
2は、一般式(I)について定義される通りである]
のアミンを得るステップ
をさらに含む、実施形態27に記載の方法。
【0126】
29. (vii-b)(vi)により得られた有機相に少なくとも1つの酸HX、好ましくはHClを添加し、それにより、一般式(IV)
【0127】
【化26】
[式中、R
1及びR
2は、一般式(I)及び(II)について定義される通りであり、及びXは、少なくとも1つの酸HXに基づくイオン、好ましくはClである]
の塩を得るステップ
をさらに含む、実施形態27に記載の方法。
【0128】
30. (vi)による水非混和性有機溶媒が、少なくとも0.5、より好ましくは少なくとも0.6、より好ましくは少なくとも0.7、より好ましくは少なくとも0.8のKOW値を有する、実施形態27又は28に記載の方法。
【0129】
31. (viii)場合により、一般式(III)
【0130】
【化27】
[式中、
nは、ゼロ又は1であり;
残基R
3及びR
4は、両方ともフェニルであるか、又は一緒になってフェニル環を形成し、各フェニル環は、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはクロロ、及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有し、及び残基R
5は、水素原子又はメチルであるか、又はR
3及びR
4が一緒になってフェニル環を形成する場合は存在しない]
の少なくとも1つのカルボン酸; 好ましくは、ジフェニル酢酸(DPAA)、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)、3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、3,4-ジクロロ-安息香酸(34CA)、3,4-ジニトロ-安息香酸(34NA)、及び4-クロロ-3-ニトロ-安息香酸(43CNA)からなる群から、より好ましくは、ジフェニル酢酸(DPAA)、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)、及び3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、より好ましくは、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)又は3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、より好ましくは少なくとも3DPPAからなる群から選択される少なくとも1つのカルボン酸を、(vi)により得られた水相から、好ましくはHClの添加により、pHを0~6の範囲の値に調整することによって、沈殿させるステップ、及び
(ix)場合により、(viii)により沈殿した少なくとも1つのカルボン酸を、プロセスに、好ましくはステップ(ii)に再利用するステップ
をさらに含む、実施形態27~30のいずれか1つに記載の方法。
【0131】
32. 実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法により得られる又は入手可能なアミノ塩化合物。
【0132】
33. - 一般式(II)
【0133】
【化28】
[式中、
R
1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R
1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
1aを有し; 及び
R
2は、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C5~C10-アリール、C6~C10-アルキルアリール、及びC6~C10-アリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R
2は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
2aを有し; 又は
R
1、R
2は、一緒になって、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルを形成し、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルは、それぞれ、水素原子、C1~C5-アルキル、C1~C4-ヘテロアルキル、及びC1~C5-アルキル-R
yからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
xを有し、R
yは、ヒドロキシル又はチオールである]
のカチオン; 及び
- 一般式(IIIa)
【0134】
【化29】
[式中、
nは、ゼロ又は1であり;
残基R
3及びR
4は、両方ともフェニルであるか、又は一緒になってフェニル環を形成し、各フェニル環は、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはクロロ、及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有し、及び残基R
5は、水素原子又はメチルであるか、又はR
3及びR
4が一緒になってフェニル環を形成する場合は存在しない]
のアニオン
を含む、アミノ塩化合物。
【0135】
34. 一般式(IIIa)のアニオンが、好ましくは、ジフェニルアセテート、2,2-ジフェニルプロピオネート、3,3-ジフェニルプロピオネート、3,4-ジクロロ-ベンゾエート、3,4-ジニトロ-ベンゾエート、及び4-クロロ-3-ニトロ-ベンゾエートからなる群から、より好ましくは、ジフェニルアセテート、2,2-ジフェニルプロピオネート、3,3-ジフェニルプロピオネート、より好ましくは、2,2-ジフェニルプロピオネート又は3,3-ジフェニルプロピオネート、より好ましくは3,3-ジフェニルプロピオネートからなる群から選択される、実施形態33に記載のアミノ塩化合物。
【0136】
35. 残基R1が、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキル中のヘテロ原子(複数可)は、酸素又は硫黄であり、及びC2~C20-ヘテロアルキル及びC3~C20-環状ヘテロアルキル中のヘテロ原子(複数可)は、酸素、硫黄、及び窒素から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有する、実施形態33又は34に記載のアミノ塩化合物。
【0137】
36. 残基R1が、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキルからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有する、実施形態33~35のいずれか1つに記載のアミノ塩化合物。
【0138】
37. 残基R1が、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリールからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有する、実施形態33~36のいずれか1つに記載のアミノ塩化合物。
【0139】
38. 残基R1が、分岐又は非分岐C2~C10-アルキル、C5~C10-シクロアルキル、及びC5~C20-アリールからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有し; R1は、好ましくは、メチル、イソ-プロピル、シクロヘキシル、及びフェニルからなる群から選択され、フェニルは、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはフルオロ若しくはクロロ、並びにメトキシ、好ましくはメタ-若しくはパラ-メトキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する、実施形態33~37のいずれか1つに記載のアミノ塩化合物。
【0140】
39. 残基R2が、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキルからなる群から選択され、各残基R2は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R2aを有する、実施形態33~38のいずれか1つに記載のアミノ塩化合物。
【0141】
40. 残基R2が、分岐又は非分岐C1~C3-アルキルからなる群から選択され、R2は、好ましくはメチルである、実施形態33~39のいずれか1つに記載のアミノ塩化合物。
【0142】
41. a)一般式(IIa)
【0143】
【化30】
[式中、
R
1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R
1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
1aを有し; 及び
R
2は、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C5~C10-アリール、C6~C10-アルキルアリール、及びC6~C10-アリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R
2は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
2aを有し; 又は
R
1、R
2は、一緒になって、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルを形成し、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルは、それぞれ、水素原子、C1~C5-アルキル、C1~C4-ヘテロアルキル、及びC1~C5-アルキル-R
yからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
xを有し、R
yは、ヒドロキシル又はチオールである]
のアミン; 及び
b)一般式(III)
【0144】
【化31】
[式中、
nは、ゼロ又は1であり;
残基R
3及びR
4は、両方ともフェニルであるか、又は一緒になってフェニル環を形成し、各フェニル環は、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはクロロ、及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有し; 及び残基R
5は、水素原子又はメチルであるか、又はR
3及びR
4が一緒になってフェニル環を形成する場合は存在しない]
の少なくとも1つのカルボン酸であって、そのプロトン化形態において、又は適切な対イオンを有するカルボキシレートとして存在する、少なくとも1つのカルボン酸
を含む、組成物。
【0145】
42. (b)による少なくとも1つのカルボン酸が、ジフェニル酢酸(DPAA)、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)、3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、3,4-ジクロロ-安息香酸(34CA)、3,4-ジニトロ-安息香酸(34NA)、及び4-クロロ-3-ニトロ-安息香酸(43CNA)からなる群から、より好ましくは、ジフェニル酢酸(DPAA)、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)、及び3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、より好ましくは2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)又は3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、より好ましくは少なくとも3DPPAからなる群から選択されるカルボン酸である、実施形態41に記載の組成物。
【0146】
43. (a)によるアミンの残基R1が、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキル中のヘテロ原子(複数可)は、酸素又は硫黄であり、及びC2~C20-ヘテロアルキル及びC3~C20-環状ヘテロアルキル中のヘテロ原子(複数可)は、酸素、硫黄、及び窒素から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有する、実施形態41又は42に記載の組成物。
【0147】
44. (a)によるアミンの残基R1が、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキルからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有する、実施形態41~43のいずれか1つに記載の組成物。
【0148】
45. (a)によるアミンの残基R1が、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、及びC5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリールからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有する、実施形態41~44のいずれか1つに記載の組成物。
【0149】
46. (a)によるアミンの残基R1が、分岐又は非分岐C2~C10-アルキル、C5~C10-シクロアルキル、及びC5~C20-アリールからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R1は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R1aを有し; R1は、好ましくは、メチル、イソ-プロピル、シクロヘキシル、及びフェニルからなる群から選択され、フェニルは、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはフルオロ若しくはクロロ、並びにメトキシ、好ましくはメタ-若しくはパラ-メトキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する、実施形態41~45のいずれか1つに記載の組成物。
【0150】
47. (a)によるアミンの残基R2が、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキルからなる群から選択され、各残基R2は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R2aを有する、実施形態41~46のいずれか1つに記載の組成物。
【0151】
48. (a)によるアミンの残基R2が、分岐又は非分岐C1~C3-アルキルからなる群から選択され、R2は、好ましくはメチルである、実施形態41~47のいずれか1つに記載の組成物。
【0152】
49. (a)によるアミンを、90~99.9重量%の範囲の量、好ましくは95~99.9重量%の範囲の量、より好ましくは98~99.9重量%の範囲の量で含む、実施形態41~48のいずれか1つに記載の組成物。
【0153】
50. (b)による少なくとも1つのカルボン酸(プロトン化形態、又は適切な対イオンを有するカルボキシレート)を、少なくとも0.003重量%の量、好ましくは0.003~5重量%の範囲の量、より好ましくは0.003~3重量%の範囲の量で含む、実施形態41~49のいずれか1つに記載の組成物。
【実施例】
【0154】
実験セクション
1. 一般情報
材料: 全ての化学物質は、商業供給者から得て、受け取ったまま使用した。脱イオン水を、この研究を通じて使用した。調査した酵素(生抽出物(raw extract)及び全細胞)は、Enzymicals AG(Greifswald、Germany)から凍結乾燥物として受け取った; ECS-ATA01(アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigates)由来のTA、配列番号1)、ECS-ATA02(ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)由来のTA、配列番号2)、ECS-ATA03(ネオサルトリア・フィシェリ(Neosartorya fischeri)由来のTA、配列番号3)、ECS-ATA04(アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来のTA、配列番号4)、ECS-ATA05(アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)由来のTA、配列番号5)、ECS-ATA07(マイコバクテリウム・バンバアレニイ(Mycobacterium vanbaalenii)由来のTA、配列番号6)及びECS-ATA08(サイリシバクター・ポメロイ(Silicibacter pomeroyi)由来のTA、配列番号7)。
【0155】
ガスクロマトグラフィー: 1300炎イオン化検出器及びChirasil-Dex-CBカラム(25m×0.25mm×0.25μm)を備えた、Thermo Scientific(Dreieich、Germany)によるTrace 1310ガスクロマトグラフで、変換を測定した。n-デカンを、全ての測定において内部標準として使用した。インジェクター及び検出器の温度を250℃に設定した。
【0156】
温度プログラム:
化合物1a/2a、1b/2b、及び1c/2c: 90℃で開始し、その後、114℃まで2K/分、及び150℃まで20K/分の加熱速度
化合物1d/2d、1e/2e、1f/2f、及び1g/2g: 90℃で開始し、その後、100℃まで2K/分、130℃まで20K/分、150℃まで2K/分、及び160℃まで20K/分の加熱速度
化合物1i/2i、1j/2j、1k/2k: 90℃で開始し、その後、96℃まで2K/分、及び110℃まで20K/分の加熱速度
【0157】
HPLC: ダイオードアレイ検出器を備え、Chiralcel OD-H(長さ250mm、内径4.6mm、粒径: 5μm)及び25℃で1mL/分の流量を用いた、Agilent(Santa Clara、California、United States)による1100シリーズHPLCで、鏡像体過剰率を測定した。それぞれのアミンについての溶離液組成: 2fについて99%n-ヘプタン/1%エタノール; 2b、2c、及び2gについて98%n-ヘプタン/2%エタノール; 2a、2d、及び2eについて95%n-ヘプタン/5%エタノール
【0158】
酵素活性アッセイ: Analytik Jena(Jena、Germany)からの分光光度計Specord 200を用いて、245nMの波長で、酵素活性を測定した。アセトフェノンの減衰係数: 11.852(mM・cm)-1。
【0159】
アッセイの構成: 250μLの緩衝液、250μLの10mM(S)-1-フェニルエチルアミン(緩衝液中)、250μLの10mMピルビン酸ナトリウム(緩衝液中)、及び250μLの酵素サンプル(0.1mMピリドキサールリン酸を有する緩衝液中)。全ての測定は、参照溶液に対して測定したが、酵素溶液を、200μLの緩衝液及び50μLの10mMピリドキサールリン酸(緩衝液中)で置き換えた。緩衝液: 0.25%DMSOを有する50mMリン酸塩緩衝液pH8。
【0160】
2. アミンのin situ生成物結晶化について調査した酸
関連のあるアミンのスクリーニング手順のために、合計79個の酸を選択した(表3)。選択は、主に、商業的な利用可能性及び水溶液中での安定性に基づく。
【0161】
【0162】
3. 適切な酸についての沈殿スクリーニング
適切な酸のスクリーニングを、モデル生成物アミンとして鏡像異性的に純粋な1-フェニルエチルアミン2a及び6個のその誘導体を50mMで用いて行った。典型的なドナーアミンとして、ラセミ体2-ブチルアミン、ラセミ体アラニン及びL-アラニン(100mMにて)、並びにイソプロピルアミン3及びラセミ体1-フェニルエチルアミンrac-2a(250mM及び1000mMにて)を選択した(スキーム3)。反対方向の平面偏光の回転を除いて、鏡像異性体は同一の物理化学的特性(溶解度を含む)を有するため、それぞれの生成物アミン鏡像異性体の選択は、溶解度スクリーニングには関連性がない。ラセミ体アミンを用いた結果は、顕著に異なり得る。
【0163】
【0164】
中和された酸溶液:
全ての79個の別個の400mM酸溶液(典型的には20mL)を、それぞれの酸を50mMリン酸塩緩衝液pH7.5に溶解することによって調製した。その後、得られた全ての溶液内で、pHを注意深く7.5に戻して調整した。低い水溶性を有する酸は、その以前のpH調整後の追加の溶解プロセスのため、複数のpH調整を必要とし得ることに留意されたい。残りの固体部分を有する酸溶液を濾過し、それらの得られた(未知の)濃度で使用した。
【0165】
中和されたアミン溶液:
選択された例示的な生成物アミンを、それぞれ100mMの濃度で、50mMリン酸塩緩衝液pH7.5に溶解し、pHを注意深く7.5に戻して調整した。同様に、ドナーアミンの溶液を調製した(ラセミ体2ブチルアミン、ラセミ体アラニン、及びL-アラニンについて200mM、並びにイソプロピルアミン及びラセミ体1-フェニルエチルアミンについて500mM及び2000mM)。
【0166】
沈殿スクリーニング手順
中和された酸溶液(合計79個)の200μlの部分を、それぞれ96ウェルプレートに入れ、それらの位置を記録した。その後、200μlの1つの中和されたアミン溶液を、各充填済みウェルに添加し、これにより、透明な溶液又はほぼ即座の沈殿が生じた。結果を、1時間及び24時間後に黒い背景に対する視覚的観察及び写真撮影によって記録した。
図3は、1時間後の(S)-4-クロロ-1-フェニルエチルアミン塩についての例示的結果を示す。全てのアミン溶液について手順を繰り返し、結果を互いに比較した(表4)。シェードコードで示される沈殿の強度は、塩の溶解度及びそれらの違いの定性的な近似として機能する。
【0167】
【0168】
表3の結果は、特定の酸が、調査した塩の間の溶解度における顕著な違いを許容することを明確に示す。このスクリーニングでは、とりわけ、生成物アミンと、一般に使用されるドナーアミンであるイソプロピルアミン/アラニンの間の違いを標的とした。この検討に基づいて、以下の酸が、最も適用可能と思われる: 34CA、34NA、43CNA、及び3DPPA。さらに、2DPPAは、適切な酸と同定された。あまり大きな違いがない酸は、PCPA、24CNA、25CNA、35DNOT、3NA、及び435CNBAであり、これらは他の生成物アミンに有用であり得る。PCPAは、特定の塩溶液の未知の分解反応(強い変色)のため、潜在的な酸のリストから後に除外した。
【0169】
4. in situ生成物結晶化と組み合わせた生成物アミンのトランスアミナーゼ触媒合成
3DPPAを介した生成物アミン6a-kのin situ生成物結晶化と組み合わせた、2a-kのアミントランスアミナーゼ触媒合成についての一般的なセミ分取手順(semi-preparative procedure): 25mlの200mMリン酸塩緩衝液pH7.5に、532μLのイソプロピルアミン(250mMに相当)及び707mgの3DPPA(125mMに相当)を入れ、得られた懸濁液を、H3PO4水溶液でpH7.5に調整した。その後、PLP、基質(100mMに相当)、及びバイオ触媒を添加し、得られた混合物を200rpmで振とうした。反応の完了後、得られた混合物を濾過して、形成された生成物アミン塩を得た(この固体は、残りのバイオ触媒及び過剰な3DPPAを含有する)。その後、固体部分を、10mLのMTBEで洗浄して、残りの基質及び過剰な3DPPAの部分を除去した。次いで、固体を5mLの水に入れ、0.5mlの濃NaOHを添加して、pHを増加させ、形成された生成物2を5mLのMTBEで抽出した。相分離後、濃HClをエーテル相にゆっくりと添加することにより、生成物をその塩酸塩として得た。例えば再利用のため、濃HClを添加することにより、残りの水溶液から3DPPAを沈殿させることができる(単離収率71%)。
【0170】
一般的な反応制御手順: サンプル(500μL)を定期的に採取し、50μlの濃NaOHとボルテックスミキサーにより完全に混合して、反応をクエンチし、pHを増加させた。その後、500μLのMTBEを添加し、ボルテックスミキサーにより再度混合し、遠心分離(2分、3000rpm)して、相分離を改善した。200μlを有機層から採取し、50μlの25mM n-デカン溶液(MTBE中)(内部標準)と組み合わせて、その後、ガスクロマトグラフィーによって分析した(カラム: Agilent、USAによるCP-Chirasil-Dex CB; 25m、0.25mm、0.25μm)。
(付記)
(付記1)
アミノ塩化合物を調製する方法であって、
i)一般式(I)
【化33】
[式中、
R
1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R
1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
1aを有し; 及び
R
2は、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C5~C10-アリール、C6~C10-アルキルアリール、及びC6~C10-アリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R
2は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
2aを有し; 又は
R
1、R
2は、一緒になって、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルを形成し、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルは、それぞれ、水素原子、C1~C5-アルキル、C1~C4-ヘテロアルキル、及びC1~C5-アルキル-R
yからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
xを有し、R
yは、ヒドロキシル又はチオールである]
のカルボニル化合物を提供するステップ、
ii)(i)により提供されたカルボニル化合物を、トランスアミナーゼの存在下で、
ii-a)少なくとも1つの第一級アミン; 及び
ii-b)少なくとも1つのカルボン酸
と反応させ; それにより、
- 一般式(II)
【化34】
[式中、R
1及びR
2は、一般式(I)について定義される通りである]
のカチオン、及び
- (ii-b)により添加された少なくとも1つのカルボン酸に基づくカルボキシレートアニオン
を含む、少なくとも部分的に結晶化されたアミノ塩化合物を含む混合物を得るステップ
を含む、方法。
(付記2)
(ii)により得られたアミノ塩化合物が、(ii-a)により添加された少なくとも1つの第一級アミンの水への溶解度よりも小さいpH7における水への溶解度、好ましくは、≦30mmol/l、好ましくは≦25mmol/l、より好ましくは≦10mmol/lのpH7における水への溶解度を有する、付記1に記載の方法。
(付記3)
残基R
1が、分岐又は非分岐C2~C10-アルキル、C5~C10-シクロアルキル、及びC5~C20-アリールからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R
1は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
1aを有し; R
1は、好ましくは、メチル、イソ-プロピル、シクロヘキシル、及びフェニルからなる群から選択され、フェニルは、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはフルオロ若しくはクロロ、並びにメトキシ、好ましくはメタ-若しくはパラ-メトキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
1aを有する、付記1又は2に記載の方法。
(付記4)
残基R
2が、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキルからなる群から選択され、各残基R
2は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
2aを有し、残基R
2は、好ましくは、分岐又は非分岐C1~C3-アルキルの群から選択され、R
2は、好ましくはメチルである、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記5)
(ii)によるトランスアミナーゼが、トランスアミナーゼの群から、好ましくはアミントランスアミナーゼの群から、より好ましくは、配列番号1に記載のアスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigates)由来のアミントランスアミナーゼ(AfATA)、配列番号2に記載のジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)由来のアミントランスアミナーゼ(GzATA)、配列番号3に記載のネオサルトリア・フィシェリ(Neosartorya fischeri)由来のアミントランスアミナーゼ(NfATA)、配列番号4に記載のアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来のアミントランスアミナーゼ(AoATA)、配列番号5に記載のアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)由来のアミントランスアミナーゼ(AtATA)、配列番号6に記載のマイコバクテリウム・バンバアレニイ(Mycobacterium vanbaalenii)由来のアミントランスアミナーゼ(MvATA)、配列番号7に記載のサイリシバクター・ポメロイ(Silicibacter pomeroyi)由来のアミントランスアミナーゼ(SpATA)、及び配列番号1~7のいずれか1つと少なくとも65%の配列同一性を有し、且つ配列番号1~7のアミントランスアミナーゼと同じ機能を有するホモログ酵素からなる群から選択され、より好ましくは、配列番号6に記載のマイコバクテリウム・バンバアレニイ(Mycobacterium vanbaalenii)由来のアミントランスアミナーゼ(MvATA)、配列番号7に記載のサイリシバクター・ポメロイ(Silicibacter pomeroyi)由来のアミントランスアミナーゼ(SpATA)、並びに配列番号6若しくは7のいずれか1つと少なくとも65%の配列同一性を有し、且つ配列番号6若しくは7のアミントランスアミナーゼと同じ機能を有するホモログ酵素からなる群から選択される、付記1~4のいずれか一項に記載の方法。
(付記6)
(ii-a)による少なくとも1つの第一級アミンが、1~10個の炭素原子を有するモノアミン及びジアミンの群から、好ましくは、1,5-ジアミノ-ペンタン(カダベリン)、アラニン、2-アミノ-ブタン(sec-ブチルアミン)、及び2-アミノ-プロパンからなる群から選択され、好ましくは、その非プロトン化又はプロトン化形態における2-アミノ-プロパン(イソ-プロピルアミン)であり、プロトン化形態は、適切なアニオンと組み合わせて存在する、付記1~5のいずれか一項に記載の方法。
(付記7)
(ii-b)による少なくとも1つのカルボン酸が、一般式(III)
【化35】
[式中、
nは、ゼロ又は1であり;
残基R
3及びR
4は、両方ともフェニルであるか、又は一緒になってフェニル環を形成し、各フェニル環は、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはクロロ、及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有し; 及び残基R
5は、水素原子又はメチルであるか、又はR
3及びR
4が一緒になってフェニル環を形成する場合は存在しない]
のカルボン酸であり; 好ましくは、(ii-b)による少なくとも1つのカルボン酸が、ジフェニル酢酸(DPAA)、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)、3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、3,4-ジクロロ-安息香酸(34CA)、3,4-ジニトロ-安息香酸(34NA)、及び4-クロロ-3-ニトロ-安息香酸(43CNA)からなる群から、より好ましくは、ジフェニル酢酸(DPAA)、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)、及び3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、より好ましくは、2,2-ジフェニルプロピオン酸(2DPPA)又は3,3-ジフェニルプロピオン酸(3DPPA)、より好ましくは少なくとも3DPPAからなる群から選択されるカルボン酸である、付記1~6のいずれか一項に記載の方法。
(付記8)
(ii-a)による少なくとも1つの第一級アミン及び(ii-b)による少なくとも1つのカルボン酸が、少なくとも1つの第一級アミンのプロトン化形態及び少なくとも1つのカルボン酸の脱プロトン化形態を含む1つ以上の塩として、好ましくは、少なくとも1つの第一級アミンのプロトン化形態及び少なくとも1つのカルボン酸の脱プロトン化形態を含む1つの塩として、より好ましくは、イソプロピルアンモニウム3,3-ジフェニルプロピオネートとして使用される、付記1~7のいずれか一項に記載の方法。
(付記9)
(ii)により得られたアミノ塩化合物が、一般式(II)
【化36】
[式中、R
1及びR
2は、一般式(I)について定義される通りである]
のカチオン、及び一般式(IIIa)
【化37】
[式中、
nは、ゼロ又は1であり;
残基R
3及びR
4は、両方ともフェニルであるか、又は一緒になってフェニル環を形成し、各フェニル環は、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはクロロ、及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有し、及び残基R
5は、水素原子又はメチルであるか、又はR
3及びR
4が一緒になってフェニル環を形成する場合は存在しない]
のアニオンである、少なくとも1つのカルボン酸に基づくアニオンを含み、一般式(IIIa)のアニオンは、好ましくは、ジフェニルアセテート、2,2-ジフェニルプロピオネート、3,3-ジフェニルプロピオネート、3,4-ジクロロ-ベンゾエート、3,4-ジニトロ-ベンゾエート、及び4-クロロ-3-ニトロ-ベンゾエートからなる群から、より好ましくは、ジフェニルアセテート、2,2-ジフェニルプロピオネート、3,3-ジフェニルプロピオネート、より好ましくは2,2-ジフェニルプロピオネート又は3,3-ジフェニルプロピオネート、より好ましくは3,3-ジフェニルプロピオネートからなる群から選択される、付記1~8のいずれか一項に記載の方法。
(付記10)
iii)混合物から(ii)により得られた少なくとも部分的に結晶化されたアミン塩化合物を分離し、それにより、結晶化されたアミン塩化合物を得るステップ
をさらに含む、付記1~9のいずれか一項に記載の方法。
(付記11)
付記1~10のいずれか一項に記載の方法により得られる又は入手可能なアミノ塩化合物。
(付記12)
- 一般式(II)
【化38】
[式中、
R
1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R
1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
1aを有し; 及び
R
2は、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C5~C10-アリール、C6~C10-アルキルアリール、及びC6~C10-アリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の脂肪族又は芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R
2は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
2aを有し; 又は
R
1、R
2は、一緒になって、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルを形成し、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルは、それぞれ、水素原子、C1~C5-アルキル、C1~C4-ヘテロアルキル、及びC1~C5-アルキル-R
yからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
xを有し、R
yは、ヒドロキシル又はチオールである]
のカチオン; 及び
- 一般式(IIIa)
【化39】
[式中、
nは、ゼロ又は1であり;
残基R
3及びR
4は、両方ともフェニルであるか、又は一緒になってフェニル環を形成し、各フェニル環は、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはクロロ、及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有し、及び残基R
5は、水素原子又はメチルであるか、又はR
3及びR
4が一緒になってフェニル環を形成する場合は存在しない]
のアニオン
を含む、アミノ塩化合物。
(付記13)
a)一般式(IIa)
【化40】
[式中、
R
1は、分岐又は非分岐C2~C20-アルキル、分岐又は非分岐C2~C20-アルケニル、分岐又は非分岐C2~C20-アルキニル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C4~C20-シクロアルキル、C5~C20-シクロアルケニル、C5~C20-シクロアルキニル、C5~C20-アリール、C6~C20-アルキルアリール、C6~C20-アリールアルキル、C2~C20-ヘテロアルキル、C3~C20-環状ヘテロアルキル、C4~C20-ヘテロアリール、C5~C20-アルキルヘテロアリール、及びC5~C20-ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の(ヘテロ)脂肪族又は(ヘテロ)芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R
1は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
1aを有し; 及び
R
2は、水素原子、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C5-アルキル-O-C1~C5-アルキル、分岐又は非分岐C1~C10-アルコキシ、C5~C10-アリール、C6~C10-アルキルアリール、及びC6~C10-アリールアルキルからなる群から選択され、2つ以上の芳香族環系の場合、環系は、縮合しているか又は分離しており、各残基R
2は、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、チオール、C1~C3チオエステル、C1~C3-チオエーテル、C1~C3-アルキル、及びC1~C3-アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
2aを有し; 又は
R
1、R
2は、一緒になって、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルを形成し、C3~C10-シクロアルキル又はC3~C10-シクロアルケニルは、それぞれ、水素原子、C1~C5-アルキル、C1~C4-ヘテロアルキル、及びC1~C5-アルキル-R
yからなる群から選択される少なくとも1つの置換基R
xを有し、R
yは、ヒドロキシル又はチオールである]
のアミン; 及び
b)一般式(III)
【化41】
[式中、
nは、ゼロ又は1であり;
残基R
3及びR
4は、両方ともフェニルであるか、又は一緒になってフェニル環を形成し、各フェニル環は、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはクロロ、及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有し; 及び残基R
5は、水素原子又はメチルであるか、又はR
3及びR
4が一緒になってフェニル環を形成する場合は存在しない]
の少なくとも1つのカルボン酸であって、そのプロトン化形態において、又は適切な対イオンを有するカルボキシレートとして存在する、少なくとも1つのカルボン酸
を含む、組成物。
(付記14)
(a)によるアミンを、90~99.9重量%の範囲の量、好ましくは95~99.9重量%の範囲の量、より好ましくは98~99.9重量%の範囲の量で含む、付記13に記載の組成物。
(付記15)
(b)による少なくとも1つのカルボン酸を、少なくとも0.003重量%の量、好ましくは0.003~5重量%の範囲の量、より好ましくは0.003~3重量%の範囲の量で含む、付記13又は14に記載の組成物。
【配列表】