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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】筋肉疾患の予防及び治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/522 20060101AFI20230327BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20230327BHJP
   A23L 33/15 20160101ALI20230327BHJP
   A23L 33/155 20160101ALI20230327BHJP
   A61K 31/015 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 31/07 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 31/122 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 31/135 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 31/164 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 31/197 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 31/355 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 31/4188 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 31/4415 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 31/455 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 31/51 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 31/525 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 31/59 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
A61K31/522
A23L33/10
A23L33/15
A23L33/155
A61K31/015
A61K31/07
A61K31/122
A61K31/135
A61K31/164
A61K31/197
A61K31/355
A61K31/375
A61K31/4188
A61K31/4415
A61K31/455
A61K31/51
A61K31/525
A61K31/59
A61P21/00
A61P43/00 121
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020547090
(86)(22)【出願日】2019-04-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 KR2019004631
(87)【国際公開番号】W WO2019208968
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-09-08
(31)【優先権主張番号】10-2018-0047957
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519289305
【氏名又は名称】オンコクロス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】キム イ-ラン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ ジン-ウー
【審査官】梅田 隆志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/218905(WO,A1)
【文献】特表2003-527394(JP,A)
【文献】特表2013-532661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/522
A23L 33/10
A23L 33/15
A23L 33/155
A61K 31/015
A61K 31/07
A61K 31/122
A61K 31/135
A61K 31/164
A61K 31/197
A61K 31/355
A61K 31/375
A61K 31/4188
A61K 31/4415
A61K 31/455
A61K 31/51
A61K 31/525
A61K 31/59
A61P 21/00
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジメンヒドリナート(Dimenhydrinate)とパントテン酸カルシウム(calcium pantothenate)の組み合わせ、及び薬学的に許容可能な担体を含有し、
ジメンヒドリナートは、下記[化1]で表されるものであり、且つ
パントテン酸カルシウムは、下記[化3]で表されるものであり、
アトニー症(atony)、筋萎縮症(muscular atrophy)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)、筋無力症(myasthenia)、悪液質(cachexia)及びサルコペニア(sarcopenia)からなる群から選択されるいずれか一つ以上の筋肉疾患の予防又は治療用薬学組成物。
【化1】
【化3】
【請求項2】
サルコペニアは、老化や癌によるものであることを特徴とする請求項に記載の筋肉疾患の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項3】
ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンH、ビタミンPP、もしくはプロ-ビタミンB5、又はこれらの混合物から選択された水溶性ビタミンをさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の筋肉疾患の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項4】
ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK1、もしくはカロテン、又はこれらの混合物から選択された脂溶性ビタミンをさらに含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の筋肉疾患の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項5】
ジメンヒドリナート、パントテン酸カルシウム、及び薬学的に許容可能な担体を含むことを特徴とする抗癌剤投与による筋肉及び脂肪減少の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項6】
ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンH、ビタミンPP、プロ-ビタミンB5、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK1、もしくはカロテン、又はこれらの混合物から選択されたビタミンをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の抗癌剤投与による筋肉及び脂肪減少の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項7】
ジメンヒドリナート、及びパントテン酸カルシウムを含むことを特徴とする、アトニー症、筋萎縮症、筋ジストロフィー、筋無力症、悪液質及びサルコペニアからなる群から選択されるいずれか一つ以上の筋肉疾患の予防又は改善用食品組成物。
【請求項8】
ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンH、ビタミンPP、プロ-ビタミンB5、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK1、もしくはカロテン、又はこれらの混合物から選択されたビタミンをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の筋肉疾患の予防又は改善用食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋肉疾患治療用薬学組成物に関連するものであって、ジメンヒドリナート、ハルモル及び/又はパントテン酸カルシウムを有効成分として含有する筋肉疾患の予防又は治療用薬学組成物に係るものである。
【背景技術】
【0002】
骨格筋は、人体の中で最も大きな部分を占める機関であって、総体重40~50%を占めており、エネルギー恒常性及び熱生成などをはじめとする体内複数の代謝機能にも重要な役割をする。ヒトの筋肉は40歳以降から毎年1%以上ずつ減少し、80歳になると最大筋肉量の50%レベルまで減少し、老年の筋肉減少は、全般的な身体機能を落とす最も重要な要素として認識されている。老化が進むにつれて筋肉と脂肪の含有量、骨格の歪みなど、体型が変化することを認知するようになるが、老年期、筋肉の減少による肥満の有病率は、全世界的に30%以上のレベルで持続的な増加傾向を見せている。インスリン分泌に異常があった場合、細胞にエネルギーを正常に供給することができず、筋肉発達障害を引き起こす恐れがあり、一般人よりも糖尿病患者にサルコペニアが増加する。さらに、筋肉の減少は、関節炎、腰痛、慢性の痛みを一層増加させる原因となり、腹部肥満による尿失禁症状も悪化させることができ、また、骨折による損傷は、老年のうつ病を増加させ、死亡に至らしめ得るため、老年のサルコペニアは、様々な疾患に関係して生活の質を落とす主な原因となる。
【0003】
サルコペニアは、骨格筋量及び機能が低下した状態をいう。サルコペニアは老化、ホルモン異常、栄養不足、身体活動不足、炎症及び退行性疾患などのさまざまな原因により発生するが、その中でも、癌、老化及び性ホルモン不足が主な原因となり得ることが知られている。医療技術の発展及び多様な治療剤の開発に伴い全世界的に平均寿命が伸びるにつれて、高齢化人口が増加している。これに伴い、サルコペニアの治療のニーズもまた持続的に増加すると予想されている。サルコペニアの患者から、筋芽細胞の幹細胞である衛星細胞の動員、活性又は増殖の障害により、筋芽細胞(myoblast)の個数が減少し、筋芽細胞の増殖及び分化が減少し、これに伴いサルコペニア患者の筋肉は組織学的レベルで筋線維のサイズ及び個数が減少し、筋肉機能が減少する症状が現れる。過去10余年間、米国と欧州を中心にサルコペニアの疫学に関する研究が活発に進められ、近来、サルコペニアの臨床的重要性への関心が急増している。初期の研究では、サルコペニアが全身衰弱、活動障害及び筋力低下によって生活の質の低下を誘発するという結果が主流であったが、最近発表された研究では、生活の質に加えて、骨粗しょう症性骨折のリスクが大幅に増加していることが報告された。また、サルコペニアの患者から糖尿病及びメタボリックシンドローム、肥満、慢性腎不全、慢性肝不全などの慢性疾患が誘発され、最終的には死亡率も増加するので、サルコペニアは、適切な治療を受けるべく疾患として関心が集中している。最近、米国では、サルコペニアの患者から身体障害が生ずる可能性が約1.5倍~約3.5倍増加したことにより、年間185億USDの社会的費用を引き起こすと報告されている。韓国では、国民健康栄養調査によると、サルコペニアの有病率は、60歳以上の男性の42.0%と、女性の42.7%と非常に一般的な疾患であり、特に、韓国は全世界でも高齢化の速度が最も速いため、今後重要な社会的問題になることが確実である。
【0004】
癌によって誘発されるサルコペニアは、栄養不良、運動不足及び癌から分泌されるサイトカインなどによって誘発され、筋肉量及び身体機能が著しく低下する。統計によれば、癌によるサルコペニアは、全癌患者の14~78.7%から発見され、消化器系の癌で50%以上と高く表れており、肺癌、肝臓癌などでも約40%から観察される。最近、欧州の癌センターの報告にて、食道癌の患者において、サルコペニアのある患者が、ない患者に比べて平均2年8ヶ月、余命が短縮するという所見と共に、癌術後の合併症が増加しているを示した。日本の癌センターの報告によれば、肝臓癌術後5年間、再発なしで生存した患者数がサルコペニアが存在しないときに、サルコペニアが存在するときより2倍以上多いことから、サルコペニアそのもので癌の再発に影響を与えることが確認された。サルコペニアの患者は、抗癌剤の中断及び容量を減量することが、同様にサルコペニアのない患者に比べて頻繁に起こり、全体の生存率に影響を及ぼす。これを総合してみると、サルコペニアが癌患者にとって全体の生存に大きな影響を与える、悪い因子であると考えられ、これに対する解決策が必要である。
【0005】
筋肉疾患に関連した脊髄神経、運動神経や骨格筋線維の退行によって誘発されるサルコペニアは、まだ発病の原因が究明されていない代表的な難治性疾患の一つである。これまでの研究によれば、骨格筋の収縮を誘導する運動神経の退行により骨格筋の収縮が行われない、又は骨格筋内で筋肉の収縮に関与するタンパク質の発現が減少したり、該タンパク質が変形して、正常な骨格筋の収縮が行われず、長期的には前記運動神経や骨格筋が線維性組織に変形するとして知られている。このようなサルコペニアの根本的な発症の原因は、まだ究明されておらず、運動神経や骨格筋の退行を防止したり、又は回復させることができる方法が開発されていないため、現在のところ前記サルコペニアの進行を鈍化させる方法を開発するための研究が活発に進められている。現在サルコペニアには、運動、蛋白質及びカロリーの補充が役立つと言われているが、サルコペニア患者の大部分を占める高齢者には、それほど手助けにはならないので、サルコペニア治療剤が切実に必要である。しかし、現在サルコペニアに使用される治療剤は、筋肉減少の改善及び筋肉量増進に直接的な効果を示す薬物はまだ臨床実験レベルの段階であり、現在最終的にFDAの承認を受けた薬剤はない状況である。そのためサルコペニアの治療のために、一部の選択的アンドロゲン受容体調節剤(selective androgen receptor modulator)、アクチビン受容体アンタゴニスト(activin receptor antagonist)、骨格筋速筋トロポニン阻害剤(fast skeletal muscle troponin inhibitor)などをサルコペニアの治療薬として開発しようとする努力はあるが、今のところ初期臨床を試みるレベルである。現在、前記サルコペニアの治療方法としては、主にサルコペニアの一種である筋細胞の退行又は進行性変異によって誘発される筋萎縮症を抑制する方法が使用されている。例えば、WO2007/088123には、ニトロキシ誘導体を有効成分として含む筋萎縮症治療剤が開示されており、WO2006/081997には、アトラリン酸又はその誘導体を有効成分として含む筋萎縮症治療剤が開示されている。しかし、化合物を有効成分として含むこれらの治療剤は、筋萎縮症が発病した骨格筋だけでなく、筋萎縮症と関連のない内臓筋又は心筋にまで作用するので、大小のさまざまな副作用が誘発し得るため、実質的な治療に使用することができずにいる。一方、ホルモン製剤は、化合物製剤よりも副作用が顕著に減少し、ホルモン製剤の特性上、生体に優しいので、ホルモン製剤を用いた筋萎縮症又はサルコペニアの治療薬の開発が加速化しているのが実情である。
【0006】
サルコペニア治療剤の動向に関するレポートによると、2010年の全世界的なサルコペニア治療剤市場は、約1000万ドル(US)であり、2018年に2000万ドル(US)の規模に成長すると予測されると報告された(「Sarcopenia Therapeutics-Pipeline Assessment and Market Forecasts to 2018 」、2011.11.17)。また、2013年にはEU傘下の民間保管協力団体であるInnovative Meticines Initiativeで、4大保険研究テーマの一つとして、高齢者のサルコペニア治療剤の開発に約5万ユーロを投資すると発表し、進行中にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、筋肉疾患の予防及び治療物質を確認していたところ、ジメンヒドリナート、ハルモル又はパントテン酸カルシウムが、筋肉疾患、特にサルコペニアの治療に効果を有し、これらの組み合わせが相乗作用をすることを確認したことで、本発明の完成に至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明は、ジメンヒドリナート(Dimenhydrinate)、ハルモル(Harmol)又はパントテン酸カルシウム(calcium pantothenate)を有効成分として含有する筋肉疾患の予防又は治療用薬学組成物を提供する。
【0009】
また、本発明は、ジメンヒドリナート又はパントテン酸カルシウムを有効成分として含む抗癌剤投与による筋肉及び脂肪減少の予防又は治療用薬学組成物を提供する。
【0010】
また、本発明は、ジメンヒドリナート、ハルモル又はパントテン酸カルシウムを含む筋肉疾患の予防又は改善用食品組成物を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のジメンヒドリナート、ハルモル及びパントテン酸カルシウムは、それぞれ単独で筋芽細胞の増殖及び分化を促進する効果があり、特に、これらを組み合わせることで、筋芽細胞の増殖及び分化が促進する効果が相乗作用により増加する効果があるので、これらをそれぞれ、又はいくつかの組み合わせにより、筋肉疾患の予防又は治療に有用に使用することができ、抗癌剤投与による筋肉及び脂肪減少の予防又は治療の目的としても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のジメンヒドリナート(OC-501)処理による筋芽細胞の増殖促進効果を確認した写真及びグラフである。
図2】本発明のジメンヒドリナート処理による筋芽細胞の分化促進効果を確認した写真である: 上:分化後、4X倍率の写真;及び 下:分化後、10X倍率の写真。
図3】筋細胞の分化マーカーであるミオゲニン(Myogenin)及びMHC(myosin heavy chain)の発現程度をウェスタンブロット法で確認した図である。
図4】本発明のハルモル(OC-503)処理による筋芽細胞の増殖促進効果を確認した写真及びグラフである。
図5】本発明のハルモル処理による筋芽細胞の分化促進効果を確認した写真である: 上:分化後、4X倍率の写真;及び 下:分化後、10X倍率の写真。
図6】筋細胞の分化マーカーであるミオゲニン(Myogenin)及びMHC(myosin heavy chain)の発現程度をウェスタンブロット法で確認した図である。
図7】本発明のパントテン酸カルシウム(OC-504)処理による筋芽細胞の増殖促進効果を確認した写真及びグラフである。
図8】本発明のパントテン酸カルシウム処理による筋芽細胞の分化促進効果を確認した写真である: 上:分化後、4X倍率の写真;及び 下:分化後、10X倍率の写真。
図9】筋細胞の分化マーカーであるミオゲニン(Myogenin)及びMHC(myosin heavy chain)の発現程度をウェスタンブロット法で確認した図である。
図10】ジメンヒドリナート、ハルモル及びパントテン酸カルシウムを組み合わせて処理したときの筋芽細胞の細胞毒性を確認した図である。
図11】ジメンヒドリナートとハルモル又はパントテン酸カルシウムを組み合わせて処理したときの筋芽細胞の増殖の増加効果を確認した図である。
図12】ジメンヒドリナートとハルモル又はパントテン酸カルシウムを組み合わせて処理したときの筋芽細胞の増殖の増加効果を確認した図である。
図13】ハルモル及びパントテン酸カルシウム、ジメンヒドリナート、ハルモル又はパントテン酸カルシウムを処理したときの筋芽細胞の増殖の増加効果を確認した図である。
図14】ジメンヒドリナート及びハルモル又はパントテン酸カルシウムを組み合わせて処理したときの筋芽細胞の分化効果を確認した図である: 上:分化後、4X倍率の写真;及び 下:分化後、10X倍率の写真。
図15】ジメンヒドリナートとハルモル又はパントテン酸カルシウムを組み合わせて処理した場合、筋芽細胞の分化の程度を筋細胞の分化マーカーであるミオゲニン及びMHCの発現程度を通じて確認した図である。
図16】パントテン酸カルシウム処理群及びジメンヒドリナートとパントテン酸カルシウムの組み合わせ処理による筋芽細胞の分化促進効果を顕微鏡及びウェスタンブロット法で確認した図である。
図17】ジメンヒドリナート及びパントテン酸カルシウムの組み合わせによる筋肉再生効果を確認した図である。
図18】ジメンヒドリナート及びパントテン酸カルシウムの組み合わせによる筋繊維の早期回復効果を確認した図である。
図19】癌に関連したサルコペニアを誘発する過程及びこれに対するジメンヒドリナート及びパントテン酸カルシウムの投与スケジュールを示した図である。
図20】ジメンヒドリナート及びパントテン酸カルシウムの組み合わせによる癌に関連した筋肉及び脂肪減少に対する効果を確認した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付された図面を参照して、本発明の実施例において本発明を詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明の例示として提示されるものであり、当業者に周知著名な技術又は構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にし得ると判断された場合には、その詳細な説明を省略することができ、これにより本発明が限定されるものではない。本発明は、後述する特許請求範囲の記載及びそれより解釈される均等範疇内で多様な変形及び応用が可能である。
【0014】
また、本明細書にて使用される用語(terminology)は、本発明の好ましい実施例を適切に表現するために用いられた用語であって、これは使用者、運用者の意図又は本発明が属する分野の慣例などによって変わり得る。したがって、これらの用語の定義は、本明細書全般にわたった内容に基づいて下されるべきである。明細書全体において、どの部分がどのような構成要素を「含む」としたとき、これは特に反する記載がない限り、もう一つの構成要素を除外するものではなく、もう一つの構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0015】
本発明にて使用されるすべての技術用語は、特に定義されていない以上、本発明の関連分野において通常の当業者が一般的に理解していることと同様の意味として使用される。また、本明細書には、好ましい方法や試料が記載されるが、これと類似又は同等のものも本発明の範疇に含まれる。本明細書に参考文献として記載されるすべての刊行物の内容は、本発明に導入される。
【0016】
一側面において、本発明は、ジメンヒドリナート(Dimenhydrinate)、ハルモル(Harmol)又はパントテン酸カルシウム(calcium pantothenate)を有効成分として含有する筋肉疾患の予防又は治療用薬学組成物に関連する。
【0017】
一実施例において、ジメンヒドリナートは、下記[化1]で表される分子化C2428ClN53及び分子量469.97g/molの化合物であることができる:
【化1】
【0018】
一実施例において、ハルモルは、下記[化2]で表される分子化C12102O及び分子量198.225g/molの化合物であることができる:
【化2】
【0019】
一実施例において、パントテン酸カルシウムは、水溶性ビタミンB5のカルシウム塩であって、下記[化3]で表される分子化C1832CaN210及び分子量476.536g/molの化合物であることができる:
【化3】
【0020】
一実施例において、パントテン酸カルシウムは、ビタミンを含むものであることができ、前記ビタミンは、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンH、ビタミンPP、もしくはプロ-ビタミンB5、又はこれらの混合物から選択された水溶性ビタミンであることができ、前記ビタミンは、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK1、もしくはカロテン、又はこれらの混合物から選択された脂溶性ビタミンであることができ、ビタミンB2(riboflavin、vit B2)であることがより好ましい。
【0021】
一実施例において、ジメンヒドリナート、ハルモル及びパントテン酸カルシウムは、それぞれ250nM~20μM含むことができ、ハルモルは、500nM~10μM、及びパントテン酸カルシウムは、500nM~20μM含むことがより好ましい。
【0022】
一実施例において、本発明の薬学組成物は、ジメンヒドリナート及びハルモル、ジメンヒドリナート及びパントテン酸カルシウム、ハルモル及びパントテン酸カルシウム、又はジメンヒドリナート、ハルモル及びパントテン酸カルシウムを有効成分として含むことができ、ジメンヒドリナート5μM+ハルモル250nM、ジメンヒドリナート5μM+ハルモル500nM、ジメンヒドリナート5μM+パントテン酸カルシウム5μM、ジメンヒドリナート5μM+パントテン酸カルシウム10μM、ジメンヒドリナート10μM+ハルモル250nM、ジメンヒドリナート10μM+ハルモル500nM、ジメンヒドリナート10μM+パントテン酸カルシウム5μM、ジメンヒドリナート10μM+パントテン酸カルシウム10μM、ハルモル250nM+パントテン酸カルシウム5μM、ハルモル250nM+パントテン酸カルシウム10μM、ハルモル500nM+パントテン酸カルシウム5μM、ハルモル500nM+パントテン酸カルシウム10μM、ジメンヒドリナート5μM+ハルモル250nM+パントテン酸カルシウム5μM、ジメンヒドリナート5μM+ハルモル250nM+パントテン酸カルシウム10μM、ジメンヒドリナート10μM+ハルモル250nM+パントテン酸カルシウム5μM、ジメンヒドリナート10μM+ハルモル250nM+パントテン酸カルシウム10μM、ジメンヒドリナート5μM+ハルモル500nM+パントテン酸カルシウム5μM、ジメンヒドリナート5μM+ハルモル500nM+パントテン酸カルシウム10μM、ジメンヒドリナート10μM+ハルモル500nM+パントテン酸カルシウム5μM及びジメンヒドリナート10μM+ハルモル500nM+パントテン酸カルシウム10μM含むことができ、ジメンヒドリナート10μM+パントテン酸カルシウム5μM、ジメンヒドリナート10μM+パントテン酸カルシウム10μM、ハルモル250nM+パントテン酸カルシウム5μM及びハルモル250nM+パントテン酸カルシウム10μM含むことがより好ましい。
【0023】
一実施例において、筋肉疾患は、筋機能低下、筋肉消耗又は筋肉退化による筋肉疾患であることができ、アトニー症(atony)、筋萎縮症(muscular atrophy)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)、筋無力症、悪液質(cachexia)及びサルコペニア(sarcopenia)からなる群から選択されるいずれか一つ以上であることができ、老化又は癌によるサルコペニアであることがより好ましい。
【0024】
一実施例において、本発明のジメンヒドリナート、ハルモル及び/又はパントテン酸カルシウムは、筋芽細胞の増殖及び分化促進を通じて筋肉量又は筋肉強度を増進させたり、筋機能を改善することができる。
【0025】
一実施例において、本発明のジメンヒドリナート、ハルモル及び/又はパントテン酸カルシウムは、抗癌療法による筋肉又は脂肪の減少を予防又は治療することができる。
【0026】
一実施例において、抗癌療法は、抗癌剤、化学療法剤、免疫療法剤、抗菌剤、放射線療法剤及び抗ウイルス剤及び光線力学的治療法からなる群から選択された一つ以上であることができ、抗癌剤は、5-FU(5-fluorouracil)であることができる。
【0027】
本発明は、[化1]~[化3]で表されるジメンヒドリナート、ハルモル及びパントテン酸カルシウムだけでなく、これらの薬学的に許容される塩、これらより製造することが可能な溶媒和物、水和物、ラセミ体又は立体異性体を全部含む。
【0028】
本発明の[化1]~[化3]で表されるジメンヒドリナート、ハルモル及びパントテン酸カルシウムは、薬学的に許容可能な塩の形態で使用することができ、塩としては、薬学的に許容可能な遊離酸にによって形成された酸付加塩が有用である。酸付加塩は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜硝酸又は亜リン酸のような無機酸類と脂肪族モノ及びジカルボキシレート、フェニルを置換したアルカノエート、ヒドロキシアルカノエート及びアルカンジオエート、芳香族酸類、脂肪族及び芳香族スルホン酸類のような無毒性有機酸から得られる。このような薬学的に無毒な塩類としては、スルファート、ピロスルファート、バイスルファート、スルフィット、バイスルフィット、ニトラート、ホスファート、モノハイドロゲンホスファート、ジハイドロゲンホスファート、メタホスファート、ピロホスファートクロライド、ブロマイド、アイオダイド、フルオライド、アセテート、プロピオネート、デカノエート、カプリレート、アクリレート、ホルマート、イソブチレート、カプレート、ヘプタノエート、プロピオレート、オキサレート、マロネート、スクシネート、スベラート、セバカート、フマラート、マレアート、ブチン-1,4-ジオエート、ヘキサン-1,6-ジオエート、ベンゾエート、クロロベンゾエート、メチルベンゾエート、ジニトロベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、メトキシベンゾエート、フタラート、テレフタラート、ベンゼンスルホナート、トルエンスルホナート、クロロベンゼンスルホナート、キシレンスルホナート、フェニルアセテート、フェニルプロピオネート、フェニルブチレート、シトレート、ラクテート、ヒドロキシブチレート、グリコラート、マラート、タルトラート、メタンスルホナート、プロパンスルホナート、ナフタレン-1-スルホナート、ナフタレン-2-スルホナート又はマンデルレートを含む。
【0029】
本発明に係る酸付加塩は、通常の方法、例えば、[化1]~[化3]で表されるジメンヒドリナート、ハルモル及びパントテン酸カルシウムを過剰量の酸水溶液中に溶解させ、この塩を水混和性有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、アセトン又はアセトニトリルを使用して沈殿させて製造することができる。また、この混合物から溶媒や過量の酸を蒸発させて乾燥又は析出した塩を吸引ろ過して製造することもできる。
【0030】
また、塩基を使用して薬学的に許容可能な金属塩を合成することができる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩は、例えば、化合物を過剰量のアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物溶液中に溶解し、非溶解化合物塩をろ過し、ろ液を蒸発、乾燥させて得る。このとき、金属塩としては、ナトリウム、カリウム又はカルシウム塩を製造するのが製薬上好適である。また、これに対応する銀塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩を適当な銀塩(例えば、硝酸銀)と反応させて得る。
【0031】
本発明の薬学的組成物は、有効成分としてジメンヒドリナート、ハルモル及びパントテン酸カルシウムに加えて、公知の筋肉疾患治療剤をさらに含むことができ、これら疾患の治療のために公知された他の治療と併用することができる。
【0032】
一側面において、本発明は、ジメンヒドリナート又はパントテン酸カルシウムを有効成分として含む抗癌剤投与による筋肉及び脂肪減少の予防又は治療用薬学組成物に関連するものである。
【0033】
本発明において、用語「予防」とは、本発明に係る薬学的組成物の投与により、筋肉疾患の発生、拡散、及び再発を抑制又は遅延させる全ての行為を意味し、「治療」とは、本発明のジメンヒドリナート、ハルモル及びパントテン酸カルシウムから選択される1つ以上、又は薬学的に許容可能なその塩、又はこれを含む組成物の投与により筋肉疾患の症状を好転させたり有益に変更させるすべての行為を意味する。本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、大韓医学協会などで提示された資料を参照して、本願の組成物が効果のある疾患の正確な基準を知り、改善、向上及び治療の程度を判断することができるはずである。
【0034】
本発明において有効成分と結合して使用された「治療学的に有効な量」という用語は、対象疾患を予防又は治療するのに有効な量を意味し、本発明の組成物における治療的に有効な量は、いくつかの要素、例えば、投与方法、目的部位に、患者の状態などによって変わり得る。したがって、人体に使用する際の投与量は、安全性及び効率性を合わせて考慮して適正量で決定されるべきである。動物実験を通じて決定された有効量からヒトに使用する量を推定することも可能である。有効な量を決定定する際に考慮しなければならないこれらの事項は、例えば、Hardman and Limbird、eds.、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics、10th ed.(2001)、Pergamon Press;と、EW Martin ed.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、18th ed.(1990)、Mack Publishing Co.に記述されている。
【0035】
本発明の薬学組成物は、薬学的に有効な量で投与する。本発明で使用される用語、「薬学的に有効な量」とは、医学的治療に適用可能な合理的な恩恵/リスク比で疾患を治療するのに十分であり、副作用を起こさない程度の量を意味し、有効容量レベルは、患者の健康状態、筋肉疾患の種類、筋肉疾患の発症原因、重症度、薬物の活性、薬物に対する感度、投与方法、投与時間、投与経路、及び排出比率、治療期間、配合又は同時に使用される薬物を含む要素及びその他の医学分野で広く知られている要素に応じて決定することができる。本発明の組成物は、個々の治療剤として投与したり、他の治療剤と併用して投与することができ、従来の治療剤と順次又は同時に投与することができ、単独又は複数投与することができる。前記した要素をすべて考慮して、副作用なしに最小限の量で最大の効果を得ることができる量を投与することが重要であり、これは当業者によって容易に決定することができる。
【0036】
本発明の薬学組成物は、生物学的製剤に通常使用される担体、希釈剤、賦形剤、又は2以上のこれらの組み合わせを含むことができる。本発明で使用される用語、「薬学的に許容可能な」とは、前記組成物に露出する細胞やヒトに毒性のない特性を示すことを意味する。前記担体は、組成物を生体内へ伝達するのに適したものであれば特に制限されず、例えば、Merck Index、13th ed.、Merck&Co.Inc.に記載された化合物、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール、及びこれらの成分のうち1成分以上を混合して利用することができ、必要に応じて抗酸化剤、緩衝液、静菌剤など他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び潤滑剤を付加的に添加して水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用製剤、丸薬、カプセル、顆粒又は錠剤に製剤化することができる。さらに、当分野における適正な方法として、又はRemington’s Pharmaceutical Science(Mack Publishing Company、Easton PA、18th、1990)に開示されている方法を用いて、各疾患に応じて、又は成分に応じて好ましく製剤化することができる。
【0037】
一実施例において、前記薬学組成物は、経口剤、外用剤、坐剤、滅菌注射溶液及び噴霧剤を含む群から選択される1つ以上の剤形であることができ、経口剤又は注射剤がより好ましい。
【0038】
本発明で使用される用語、「投与」とは、任意の適切な方法で、個体又は患者に所定の物質を提供することを意味し、目的とする方法によって非経口投与(例えば、静脈内、皮下、腹腔内又は局所に注射剤で適用)したり、経口投与することができ、投与量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率及び疾患の重症度などによってその範囲が多様である。本発明の組成物の経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内溶液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、一般的に使用される単純希釈剤である水、流動パラフィン以外に様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味料、芳香剤、保存剤などが一緒に含まれることができる。非経口投与のための製剤には、滅菌済みの水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤などが含まれる。本発明の薬学的組成物は、活性物質が標的細胞へ移動することができる任意の装置によって投与することもできる。好ましい投与方化及び製剤は、静脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤などである。注射剤は、生理食塩液、リンゲル液などの水性溶剤、植物油、高級脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルなど)、アルコール類(例えば、エタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、グリセリンなど)などの非水性溶剤などを用いて製造することができ、変質防止のための安定化剤(例えば、アスコルビン酸、亜硫酸塩水素ナトリウム、ピロ亜硫酸塩ナトリウム、BHA、トコフェロール、EDTAなど)、乳化剤、pH調整のための緩衝剤、微生物の発育を阻止するための保存剤(例えば、硝酸フェニル水銀、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、フェノール、クレソール、ベンジルアルコールなど)などの薬学的担体を含むことができる。
【0039】
本発明で使用される用語、「個体」とは、前記の筋肉疾患が発病したり、発病し得るヒトを含むサル、牛、馬、羊、豚、鶏、七面鳥、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、又はギニアピグを含むすべての動物を意味し、本発明の薬学的組成物を個体に投与することにより、前記の疾患を効果的に予防又は治療することができる。本発明の薬学的組成物は、従来の治療法と並行して投与することができる。
【0040】
本発明の薬学組成物は、薬剤学的に許容可能な添加剤をさらに含むことができ、この時、薬剤学的に許容可能な添加剤としては、デンプン、ゼラチン化デンプン、微結晶セルロース、乳糖、ポビドン、コロイダルシリコンジオキサイド、リン酸水素カルシウム、ラクトース、マンニトール、飴、アラビアゴム、アルファ化澱粉、とうもろこし澱粉、粉末セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、オパドライ、デンプングリコール酸ナトリウム、カルナウバロウ、合成ケイ酸アルミニウム、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、白糖、デキストロース、ソルビトール、及びタルクなどが使用されることができる。本発明に係る薬剤学的に許容可能な添加剤は、前記組成物に対して約0.1重量部~90重量部含まれることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0041】
一側面において、本発明は、ジメンヒドリナート又はパントテン酸カルシウムを有効成分として含む、抗癌剤投与による筋肉及び脂肪減少の予防又は治療用薬学組成物に関連するものである。
【0042】
一実施例において、パントテン酸カルシウムは、ビタミンを含むことができ、前記ビタミンは、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンH、ビタミンPP、もしくはプロ-ビタミンB5、又はこれらの混合物から選択された水溶性ビタミンであることができ、前記ビタミンは、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK1、もしくはカロテン、又はこれらの混合物から選択された脂溶性ビタミンであることができ、ビタミンB2(riboflavin、vit B2)であることがより好ましい。
【0043】
一側面において、本発明は、ジメンヒドリナート、ハルモル、又はパントテン酸カルシウムを含む筋肉疾患の予防又は改善用食品組成物に関するものである。
【0044】
一実施例において、パントテン酸カルシウムは、ビタミンを含むことができ、前記ビタミンは、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンH、ビタミンPP、もしくはプロ-ビタミンB5、又はこれらの混合物から選択された水溶性ビタミンであることができ、前記ビタミンは、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK1、もしくはカロテン、又はこれらの混合物から選択された脂溶性ビタミンであることができ、ビタミンB2(riboflavin、vit B2)であることがより好ましい。
【0045】
一実施例において、ジメンヒドリナート、ハルモル及びパントテン酸カルシウムは、それぞれ250nM~20μM含めることができ、ハルモルは、500nM~10μM、及びパントテン酸カルシウムは、500nM~20μM含まれることがより好ましい。
【0046】
一実施例において、本発明の薬学組成物は、ジメンヒドリナート及びハルモル、ジメンヒドリナート及びパントテン酸カルシウム、ハルモル及びパントテン酸カルシウム、又はジメンヒドリナート、ハルモル及びパントテン酸カルシウムを有効成分として含むことができ、ジメンヒドリナート5μM+ハルモル250nM、ジメンヒドリナート5μM+ハルモル500nM、ジメンヒドリナート5μM+パントテン酸カルシウム5μM、ジメンヒドリナート5μM+パントテン酸カルシウム10μM、ジメンヒドリナート10μM+ハルモル250nM、ジメンヒドリナート10μM+ハルモル500nM、ジメンヒドリナート10μM+パントテン酸カルシウム5μM、ジメンヒドリナート10μM+パントテン酸カルシウム10μM、ハルモル250nM+パントテン酸カルシウム5μM、ハルモル250nM+パントテン酸カルシウム10μM、ハルモル500nM+パントテン酸カルシウム5μM、ハルモル500nM+パントテン酸カルシウム10μM、ジメンヒドリナート5μM+ハルモル250nM+パントテン酸カルシウム5μM、ジメンヒドリナート5μM+ハルモル250nM+パントテン酸カルシウム10μM、ジメンヒドリナート10μM+ハルモル250nM+パントテン酸カルシウム5μM、ジメンヒドリナート10μM+ハルモル250nM+パントテン酸カルシウム10μM、ジメンヒドリナート5μM+ハルモル500nM+パントテン酸カルシウム5μM、ジメンヒドリナート5μM+ハルモル500nM+パントテン酸カルシウム10μM、ジメンヒドリナート10μM+ハルモル500nM+パントテン酸カルシウム5μM及びジメンヒドリナート10μM+ハルモル500nM+パントテン酸カルシウム10μM含むことができ、ジメンヒドリナート10μM+パントテン酸カルシウム5μM、ジメンヒドリナート10μM+パントテン酸カルシウム10μM、ハルモル250nM+パントテン酸カルシウム5μM及びハルモル250nM+パントテン酸カルシウム10μM含むことがより好ましい。一実施例において、本発明のジメンヒドリナート、ハルモル及びパントテン酸カルシウムは、単独で含むより、組み合わせて含んだとき、相乗効果が表れた。
【0047】
一実施例において、本発明のジメンヒドリナート、ハルモル及び/又はパントテン酸カルシウムは、筋芽細胞の増殖及び分化の促進を通じて筋肉量又は筋力強度を増進させることができる。
【0048】
一実施例において、筋肉疾患は筋機能低下、筋肉消耗又は筋肉退化による筋肉疾患であることができ、アトニー症、筋萎縮症、筋ジストロフィー、筋無力症、悪液質及びサルコペニアからなる群から選択されるいずれか一つ以上であることができ、老化や癌によるサルコペニアであることがより好ましい。
【0049】
本発明の組成物を食品組成物として使用する場合には、前記ジメンヒドリナート、ハルモル、又はパントテン酸カルシウムをそのまま添加したり他の食品又は食品成分と共に使用することができ、通常の方法に従って適宜に使用することができる。前記組成物は、有効成分の外に、食品学的に許容可能な食品補助添加剤を含むことができ、有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康又は治療的処置)に応じて適合に決定することができる。
【0050】
本発明で使用される用語「食品補助添加剤」とは、食品に補助的に添加することができる構成要素を意味し、各剤形の健康機能食品を製造するのに添加されるものであって、当業者が適宜選択して使用することができる。栄養補助添加剤の例としては、さまざまな栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び充填剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などが含まれるが、前記例により、本発明の食品補助添加剤の種類が制限されるものではない。
【0051】
本発明の食品組成物には、健康機能食品が含まれることができる。本発明で使用される用語「健康機能食品」とは、人体に有用な機能性を有する原料や成分を使用して錠剤、カプセル、粉末、顆粒、液体及び丸剤などの形態で製造及び加工した食品をいう。ここで「機能性」とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調整したり、生理学的作用などのような保健用途に有用な効果が得られることを意味する。本発明の健康機能食品は、通常の技術分野において通常使用される方法により製造することが可能であり、前記の製造時には、通常の技術分野において通常に添加する原料及び成分を添加して製造することができる。また、前記健康機能食品の剤形もまた、健康機能食品として認められる剤形であれば制限なく製造することができる。本発明の食品用組成物は、様々な形の剤形で製造することができ、一般的な薬品とは異なり、食品を原料とし、薬品の長期服用時に発生し得る副作用などがないという長所があり、携帯性に優れ、本発明の健康機能食品は、抗癌剤の効果を促進させるためのサプリメントとして摂取が可能である。
【0052】
また、本発明の組成物を使用することができる健康食品の種類には制限がない。合わせて、本発明のジメンヒドリナート、ハルモル又はパントテン酸カルシウムを活性成分として含む組成物は、当業者の選択に応じて、健康機能食品に含有することができる適切なその他の補助成分と公知の添加剤を混合して製造することができる。添加することができる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、飴類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料水、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン配合剤などがあり、本発明に係る抽出物を主成分とし、製造した汁、茶、ゼリー及びジュースなどに添加して製造することができる。
【実施例
【0053】
下記の実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。しかし、下記実施例は、本発明の内容を具体化するためのものであって、これにより本発明が限定されるものではない。
【0054】
実施例1. 単独効果の確認
1-1.ジメンヒドリナート(Dimenhydrinate)効果の確認
1-1-1.ジメンヒドリナートの筋芽細胞(myoblast)増殖促進効果の確認
マウス筋芽細胞株C2C12を96-ウェルプレートに1.5X103cells/wellで分注した後、10%牛胎児血清(FBS)を含むDMEM培地で37℃及び5%CO2の条件で、一日、低密度培養した。その後、培地を400nMのH22とジメンヒドリナート(OC-501)0nM、250nM、500nM、1μM、2.5μM、5μM、10μM、又は20μMが含まれたDMEM培地でそれぞれ交換した。交換16時間後、ウェルにMTT試薬を処理し、3時間暗いインキュベーター内でインキュベーションした。上澄み液を除去し、100μlのDMSOをウェルに処理した後、OD(optical density)を595nmで測定し、細胞を顕微鏡で確認した。
【0055】
その結果、ジメンヒドリナートが筋芽細胞の増殖を促進することが分かった(図1)。
【0056】
1-1-2.ジメンヒドリナートの筋芽細胞の分化促進効果の確認
マウス筋芽細胞株C2C12を12-ウェルプレートに0.7X105cells/wellで分注した後、細胞密度が70~80%になるように培養した。その後、細胞をPBSで洗浄した後、培地を2%ウマ血清(horse serum)、400μMのH22、及びジメンヒドリナート(OC-501)0nM(DMSO)、500nM、5μM、10μM又は20μM含まれたDMEM培地(分化培地)にそれぞれ交換した。前記培地は、一日置きに交換し、且つ5~7日間分化を誘導した。分化後、細胞を顕微鏡で確認し(4X及び10X倍率)、細胞を破砕して分化マーカーであるMyogenin及びMHC(myosin heavy chain)抗体を用いてウェスタンブロット法を行った。
【0057】
その結果、ジメンヒドリナートが筋芽細胞の分化を促進し(図2)、特に5μMで分化促進が増加したことが分かった(図3)。
【0058】
1-2.ハルモル(Harmol)効果の確認
1-2-1.ハルモルの筋芽細胞増殖促進効果の確認
マウス筋芽細胞株C2C12を96-ウェルプレートに1.5X103cells/wellで分注した後、10%牛胎児血清(FBS)を含むDMEM培地で、37℃及び5%CO2の条件で、一日、低密度培養した。その後、培地を400nMのH22とハルモル(OC-503)0nM、250nM、500nM、1μM、2.5μM、5μM、10μM、又は20μM含まれたDMEM培地でそれぞれ交換した。交換16時間後、ウェルにMTT試薬を処理して3時間暗いインキュベーター内でインキュベーションした。上澄み液を除去し、100μlのDMSOをウェルに処理した後、OD(optical density)を595nmで測定し、細胞を顕微鏡で確認した。
【0059】
その結果、ハルモルは筋芽細胞の増殖を、特に促進しないことが分かった(図4)。
【0060】
1-2-2.ハルモルの筋芽細胞分化促進効果の確認
マウス筋芽細胞株C2C12を12-ウェルプレートに0.7X105cells/wellで分注した後、細胞密度が70~80%になるように培養した。その後、細胞をPBSで洗浄した後、培地を2%ウマ血清(horse serum)、400μMのH22、及びハルモル(OC-503)0nM(DMSO)、500nM、1μM、2.5μM、5μM、又は10μM含まれたDMEM培地(分化培地)にそれぞれ交換した。前記培地は、一日置きに交換し、且つ5~7日間分化を誘導した。分化後、細胞を顕微鏡で確認し、細胞を破砕して分化マーカーであるMyogenin及びMHC(myosin heavy chain)抗体を用いてウェスタンブロット法を行った。
【0061】
その結果、ハルモルが筋芽細胞の分化を促進し(図5)、特に5μM及び10μMで分化促進がさらに増加したことが分かった(図6)。
【0062】
1-3.パントテン酸カルシウム(calcium pantothenate)効果の確認
1-3-1.パントテン酸カルシウムの筋芽細胞増殖促進効果の確認
マウス筋芽細胞株C2C12を96-ウェルプレートに1.5X103cells/wellで分注した後、10%牛胎児血清(FBS)が含まれたDMEM培地で、37℃及び5%CO2の条件で、一日、低密度培養した。その後、培地を400nMのH22とパントテン酸カルシウム(OC-504)0nM、250nM、500nM、1μM、2.5μM、5μM、10μM、又は20μMが含まれたDMEM培地でそれぞれ交換した。交換16時間後、ウェルにMTT試薬を処理し、3時間暗いインキュベーター内でインキュベーションした。上澄み液を除去し、100μlのDMSOをウェルに処理した後、OD(optical density)を595nmで測定し、細胞を顕微鏡で確認した。
【0063】
その結果、パントテン酸カルシウムは、筋芽細胞の増殖が特に促進されないことが分かった(図7)。
【0064】
1-3-2.パントテン酸カルシウムの筋芽細胞分化促進効果の確認
マウス筋芽細胞株C2C12を12-ウェルプレートに0.7X105cells/wellで分注した後、細胞密度が70~80%になるように培養した。その後、細胞をPBSで洗浄した後、培地を2%ウマ血清(horse serum)、400μMのH22、及びパントテン酸カルシウム(OC-504)0nM(DMSO)、500nM、2.5μM、5μM、10μM、又は20μMが含まれたDMEM培地(分化培地)にそれぞれ交換した。前記培地は、一日置きに交換し、且つ5~7日間分化を誘導した。分化後、細胞を顕微鏡で確認し(4X及び10X倍率)、細胞を破砕して分化マーカーであるMyogenin及びMHC(myosin heavy chain)抗体を用いてウェスタンブロット法を行った。
【0065】
その結果、パントテン酸カルシウムが筋芽細胞の分化を促進し(図8)、特に5μM及び10μMで分化促進が一層増加したことが分かった(図9)。
【0066】
実施例2.組み合わせによる効果の確認
2-1.細胞毒性の確認
C2C12細胞株を96-ウェルプレートに1.5X103cells/wellで分注した後、ジメンヒドリナート(OC-501)、ハルモル(OC-503)及びパントテン酸カルシウム(OC-504)を組み合わせて処理して(OC-501 5μM+OC-503 250nM、OC-5015μM+OC-503 500nM、OC-501 5μM+OC-504 5μM、OC-501 5μM+OC-504 10μM、OC-501 10μM+OC-503 250nM、OC-501 10μM+OC-503 500nM、OC-501 10μM+OC-504 5μM、OC-501 10μM+OC-504 10μM、OC-503 250nM+OC-504 5μM、OC-503 250nM+OC-504 10μM、OC-503 500nM+OC-504 5μM、OC-503 500nM+OC-504 10μM、OC-501 5μM+OC-503 250nM+OC-504 5μM、OC-501 5μM+OC-503 250nM+OC-504 10μM、OC-501 10μM+OC-503 250nM+OC-504 5μM、OC-501 10μM+OC-503 250nM+OC-504 10μM、OC-501 5μM+OC-503 500nM+OC-504 5μM、OC-501 5μM+OC-503 500nM+OC-504 10μM、OC-501 10μM+OC-503 500nM+OC-504 5μMとOC-501 10μM+OC-503 500nM+OC-504 10μM)、10%FBSが含まれたDMEM培地で培養した。処理24、48及び72時間後、細胞培養液にMTT溶液を処理し、3時間の間、暗いインキュベーターでインキュベーションした。上澄み液を除去した後、DMSOをウェル当り100μlずつ処理した。OD(optical density)を595nmで測定し、細胞毒性を確認した。前記の実験は、3反復行った。
【0067】
その結果、本発明のジメンヒドリナート(OC-501)、ハルモル(OC-503)及びパントテン酸カルシウム(OC-504)を組み合わせて処理時、細胞毒性がないことが分かった(図10)。
【0068】
2-2.増殖促進効果の確認
マウス筋芽細胞株C2C12を96-ウェルプレートに1.5X103cells/wellで分注した後、10%牛胎児血清(FBS)が含まれたDMEM培地で、37℃及び5%CO2の条件で、一日、低密度培養した。その後、培地を400μMのH22とジメンヒドリナート(OC-501)、ハルモル(OC-503)とパントテン酸カルシウム(OC-504)を組み合わせてOC-501 5μM+OC-503 250nM、OC-501 5μM+OC-503 500nM、OC-501 5μM+OC-504 5μM、OC-501 5μM+OC-504 10μM、OC-501 10μM+OC-503 250nM、OC-501 10μM+OC-503 500nM、OC-501 10μM+OC-504 5μM、OC-501 10μM+OC-504 10μM、OC-503 250nM+OC-504 5μM、OC-503 250nM+OC-504 10μM、OC-503 500nM+OC-504 5μM、OC-503 500nM+OC-504 10μM、OC-501 5μM+OC-503 250nM+OC-504 5μM、OC-501 5μM+OC-503 250nM+OC-504 10μM、OC-501 10μM+OC-503 250nM+OC-504 5μM、OC-501 10μM+OC-503 250nM+OC-504 10μM、OC-501 5μM+OC-503 500nM+OC-504 5μM、OC-501 5μM+OC-503 500nM+OC-504 10μM、OC- 501 10μM+OC-503 500nM+OC-504 5μM及びOC-50110μM+OC-503 500nM+OC-504 10μMで含むDMEM培地でそれぞれ交換した。交換16時間後、ウェルにMTT試薬を処理し、3時間暗いインキュベーター内でインキュベーションした。上澄み液を除去し、100μlのDMSOをウェルに処理した後、OD(optical density)を595nmで測定し、細胞を顕微鏡で確認した。
【0069】
その結果、ジメンヒドリナート(OC-501)10μM及びハルモル(OC-503)500nM、ジメンヒドリナート(OC-501)10μM、及びパントテン酸カルシウム(OC-504)5μM、ジメンヒドリナート(OC-501)10μM及びパントテン酸カルシウム(OC-504)10μM、ジメンヒドリナート(OC-501)5μM、ハルモル(OC-503)500nMとパントテン酸カルシウム(OC-504)10μM、ジメンヒドリナート(OC-501)10μM、ハルモル(OC-503)500nM及びパントテン酸カルシウム(OC-504)5μM、ジメンヒドリナート(OC-501)10μM、及びハルモル(OC-503)500nM及びパントテン酸カルシウム(OC-504)10μMで処理した群から筋芽細胞の増殖が顕著に増加したことが分かった(図11~13)。
【0070】
2-3.分化促進効果の確認
マウス筋芽細胞株C2C12を12-ウェルプレートに0.7X105cells/wellで分注した後、細胞密度が70~80%になるように培養した。その後、細胞をPBSで洗浄した後、培地を2%ウマ血清(horse serum)、400μMのH22、及びジメンヒドリナート(OC-501)、ハルモル(OC-503)及びパントテン酸カルシウム(OC-504)を組み合わせてOC-5015μM+OC-503 250nM、OC-50 15μM+OC-503 500nM、OC-501 5μM+OC-504 5μM、OC-501 5μM+OC-504 10μM、OC-501 10μM+OC-503 250nM、OC-501 10μM+OC-503 500nM、OC-501 10μM+OC-504 5μM、OC-501 10μM+OC-504 10μM、OC-503 250nM+OC-504 5μM、OC-503 250nM+OC-504 10μM、OC-503 500nM+OC-504 5μM、OC-503 500nM+OC-504 10μM、OC-501 5μM+OC-503 250nM+OC-504 5μM、OC-501 5μM+OC-503 250nM+OC-504 10μM、OC-501 10μM+OC-503 250nM+OC-504 5μM、OC-501 10μM+OC-503 250nM+OC-504 10μM、OC-501 5μM+OC-503 500nM+OC-504 5μM、OC-501 5μM+OC-503 500nM+OC-504 10μM、OC-501 10μM+OC-503 500nM+OC-504 5μM及びOC-501 10μM+OC-503 500nM+OC-504 10μM含むDMEM培地(分化培地)にそれぞれ交換した。前記培地は、一日置きに交換し、且つ5~7日間分化を誘導した。分化後、細胞を顕微鏡で確認し(4X及び10X倍率)、細胞を破砕して分化マーカーであるMyogenin及びMHC(myosin heavy chain)抗体を用いてウェスタンブロット法を行った。
【0071】
その結果、ジメンヒドリナートとパントテン酸カルシウム、またジメンヒドリナートとハルモルを組み合わせて処理する際に筋芽細胞の分化が促進された(図14)。特に、OC-501 10μM+OC-504 5μM、OC-501 10μM+OC-504 10μM、OC-503 250nM+OC-504 5μM及びOC-503 250nM+OC-504 10μMで分化促進がさらに顕著に増加したことが分かった(図15)。
【0072】
実施例3.ジメンヒドリナート及びパントテン酸カルシウムの組み合わせによる効果を確認
3-1.ジメンヒドリナート及びパントテン酸カルシウムの組み合わせによる筋芽細胞分化促進効果の確認
マウスの前脛骨筋(tibialis anterior muscle)にコブラ毒素(cobratoxin)を刺した後、3日目に中間葉幹細胞(mesenchymal stem cell)を分離し、分離2日後からジメンヒドリナート(OC-501)10μM、及びパントテン酸カルシウム(OC-504)5μMをそれぞれ又は組み合わせて投与しながら分化マーカーであるPAX7(paired box protein-7)及びMYF5(Myogenic factor 5)抗体を用いてウェスタンブロッド法を行い、分化した後、細胞を顕微鏡で確認した(4X及び10X倍率)。
【0073】
その結果、処理4日後、パントテン酸カルシウム処理群及びジメンヒドリナートとパントテン酸カルシウムの組み合わせ処理群からPAX7の発現が増加したことが分かった(図16)。
【0074】
3-2.ジメンヒドリナート及びパントテン酸カルシウムの組み合わせによる筋肉再生効果の確認
マウスの前脛骨筋(tibialis anterior muscle)にコブラ毒素(cobratoxin)を刺した後、3日目から3日間ジメンヒドリナート(OC-501)及びパントテン酸カルシウム(OC-504)を、それぞれ30mpk(mg/kg)ずつ、及び15又は30mpk(mg/kg)ずつ併用投与した後、その次の日、マウスを犠牲にして筋肉の再生の程度を確認した。
【0075】
その結果、対照群のマウスからは、筋芽細胞(濃い紫色)が今まさに分化を始めようとしているが、ジメンヒドリナート(OC-501)及びパントテン酸カルシウム(OC-504)併用投与群からは既に筋肉(ピンク色)の再生が終わったことを確認することができた(図17)。
【0076】
3-3.ジメンヒドリナート及びパントテン酸カルシウムの組み合わせによる筋繊維早期回復の確認
マウスの前脛骨筋にコブラ毒素ではない心臓毒素(cardiotoxin)を投与した後、ジメンヒドリナート(OC-501)及びパントテン酸カルシウム(OC-504)を、それぞれ30mpk(mg/kg)又はこれらを15又は30mpk(mg/kg)ずつ組み合わせて併用投与した後、筋繊維を確認した。
【0077】
その結果、対照群からは筋繊維が収縮され、ほとんどが200μm2以下の大きさを示したが、OC-501とOC-504単独投与した場合、及び併用投与した場合、全部筋繊維のサイズがうまくスパーリング(sparing)されていることを確認することができた(図18)。
【0078】
3-4.ジメンヒドリナート及びパントテン酸カルシウムの組み合わせによる癌関連筋肉及び脂肪減少効果の確認
大腸癌細胞CT26を移植したマウスに抗癌剤である5-FU(5-fluorouracil)を投与して癌関連サルコペニアを誘発させた。また、大腸癌細胞移植後からジメンヒドリナート(OC-501)及びパントテン酸カルシウム(OC-504)をそれぞれ単独又は併用処理し、1週間ごとにMRIを測定してOC-501、504単独群と併用群での筋肉と脂肪の変化を測定した(図19)。
【0079】
その結果、癌細胞のみを移植した対照群マウスからは、サルコペニアがほとんど誘発されなかったが、抗癌剤を投与したとき、筋肉が約40%、脂肪が95%ほど減少し、ジメンヒドリナート(OC-501)及びパントテン酸カルシウム(OC-504)をそれぞれ単独処理したり、併用投与した群からは全体的に筋肉量と脂肪量が増加した(図20)。特に、ジメンヒドリナート(OC-501)20mpk及びパントテン酸カルシウム(OC-504)40mpkを併用投与した群の場合、対照群と同様の程度にまで筋肉及び脂肪の量が回復していることがわかった。
図1
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