(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】新規GLP-1類似体
(51)【国際特許分類】
C07K 14/605 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
C07K14/605 ZNA
(21)【出願番号】P 2020553627
(86)(22)【出願日】2019-04-05
(86)【国際出願番号】 IB2019052835
(87)【国際公開番号】W WO2019193576
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-03-22
(31)【優先権主張番号】201821013109
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】201821040468
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】201821040474
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】503422000
【氏名又は名称】サン ファーマシューティカル インダストリーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUN PHARMACEUTICAL INDUSTRIES LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】テナッティ,ラジャマンナル
(72)【発明者】
【氏名】チャトゥルヴェーディー,ニシス
(72)【発明者】
【氏名】ブラーデ,ヴィノード・サンパトラオ
(72)【発明者】
【氏名】シャヒ,プラディープ・ディネシュ
(72)【発明者】
【氏名】ナタラジャン,ムツクマラン
(72)【発明者】
【氏名】ナガラジャ,ラビシャンカラ・マダバティ
(72)【発明者】
【氏名】ザラワディア,リシ・マンスクラル
(72)【発明者】
【氏名】パンディア,クナル
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ブリエッシュクマール
(72)【発明者】
【氏名】ジョシー,ディレン・ラメシュチャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ソニー,クルナル・ハリシュバイ
(72)【発明者】
【氏名】ティワーリー,アビシェーク
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ヴィプルクマール・シャンカルバイ
【審査官】山▲崎▼ 真奈
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/097537(WO,A2)
【文献】国際公開第2006/097538(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/178796(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、
H-X2-X3-X4-G-T-F-T-S-D-V-S-S-Y-L-X16-G-Q-A-A-X21-E-F-X24-A-W-L-V-R-G-R-G-X33-X34
式中、X2がSer、Ser(OMe)、D-Ser、D-Ser(OMe)、Ala、またはAibであり、
X3が存在しないか、またはGlnであり、
X4がGluであり、
X16がGluであり、
X24がIleであり、
X33がLeu、-D-Leu、D-Ile、またはIleであり、
X34が存在せず、
X21がLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基が以下の部分でアシル化されており、
【化1】
式中、QおよびTが存在せず、
Uが存在しないか、または-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-}であり、式中、}が基Wとの付着点であり、
Wが存在しないか、または-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-]、-C(O)-NH-(CH
2)
3-4-NH-]、-C(O)-C(CH
3)
2-NH-]、および
【化2】
からなる群から選択され、式中、]が基Yとの付着点であり、
Yが-C(O)-(CH
2)
2-CH(COOH)NH--であり、--が基Zとの付着点であり、
Zが-C(O)-(CH
2)
n-COOHまたは-C(O)-(CH
2)
n-CH
3であり、式中、nが14~20の整数である、ポリペプチド。
【請求項2】
X2がAibであり、
X3が存在せず、
X33がLeuであり、
Uが-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-}であり、
Wが-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-]であり、
Zが-C(O)-(CH
2)
n-COOHであり、式中、nが整数16である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
X2がAibであり、
X3が存在せず、
X33がLeuであり、
Uが-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-}であり、
Wが-C(O)-C(CH
3)
2-NH-]であり、
Zが-C(O)-(CH
2)
n-COOHであり、式中、nが整数16である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項4】
X2がAibであり、
X3が存在せず、
X33がLeuであり、
Uが-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-}であり、
Wが-C(O)-NH-(CH
2)
4-NH-]であり、
Zが-C(O)-(CH
2)
n-COOHであり、式中、nが整数16である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項5】
X2がAibであり、
X3が存在せず、
X33がLeuであり、
Uが-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-}であり、
Wが
【化3】
であり、
Zが-C(O)-(CH
2)
n-COOHであり、式中、nが整数16である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項6】
X2がAibであり、
X3が存在せず、
X33がLeuであり、
Uが-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-}であり、
Wが-C(O)-NH-(CH
2)
3-NH-]であり、
Zが-C(O)-(CH
2)
n-COOHであり、式中、nが整数16である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項7】
X2がSer、Ser(OMe)、D-Ser、D-Ser(OMe)であり、
X3が存在せず、
X33がLeuであり、
Uが-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-}であり、
Wが-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-]、-C(O)-NH-(CH
2)
3-4-NH-]、-C(O)-C(CH
3)
2-NH-]であり、
Zが-C(O)-(CH
2)
n-COOHまたは-C(O)-(CH
2)
n-CH
3であり、式中、nが14~20の整数である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項8】
Wが、-C(O)-NH-(CH
2)
3-4-NH-]、-C(O)-C(CH
3)
2-NH-]、および以下の式からなる群から選択される、請求項1に記載のポリペプチド。
【化4】
【請求項9】
X2がAlaであり、
X3が存在せず、
X33がLeuであり、
Wが存在せず、
Zが-C(O)-(CH
2)
n-CH
3であり、式中、nが整数14である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項10】
X2がAibであり、
X3が存在せず、
X33がLeuであり、
Wが存在せず、
Zが-C(O)-(CH
2)
n-CH
3であり、式中、nが整数14である、請求項1に記載のポリペプチド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、出願番号IN2018/21013109(2018年4月5日出願)、IN2018/21040468(2018年10月26日出願)、およびIN2018/21040474(2018年10月26日出願)を有する3つのインド仮出願の利益を主張するものであり、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、C末端にLeuまたはIleを有するアミノ酸配列を有する、新規グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)(7-38)類似体に関する。この新たな類似体は、有害効果が減少され、作用持続時間が改善された、強力なGLP-1アゴニストである。本開示はさらに、効力および作用持続時間がさらに改善され、かつ経口投与に適した、新たな類似体のアシル化誘導体に関する。本明細書に開示される類似体は、延長部分でアシル化され、これは化合物の活性持続時間を増加させる。本明細書に開示される類似体は、糖尿病および肥満の治療において有用であり得る。
【背景技術】
【0003】
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、主に腸の腸内分泌L細胞において産生され、脂肪、タンパク質加水分解物、および/またはグルコースを含有する食物が十二指腸に入ると血流中に分泌されるホルモンである。GLP-1は、プレプログルカゴン遺伝子の細胞特異的翻訳後プロセシングに由来する。当初、ペプチドGLP-1(1-37)はこのプロセシングから特定されたが、それは膵臓受容体を認識することが見出され、インビボで活性種であると決定された2つのN末端切断産物である、GLP-1(7-37)(配列番号1)およびGLP-1(7-36)アミドであった。GLP-1は、インスリン分泌を刺激し、それによって細胞によるグルコース取り込みおよび血清血糖値の減少を引き起こすことが見出されている。GLP-1アゴニストは、低血糖がなく、体重減少の良好な利益を有するため、好ましい薬物として2型糖尿病(T2DM)の治療に利用可能である。内因性物質であるGLP-1(7-37)およびGLP-1(7-36)アミドは、ペプチダーゼによって切断され、そのため非常に短い半減期を有する。半減期が改善されたGLP-1類似体を開発することによって性能を改善するための努力がなされた。2005年に承認された最初の薬剤は、用量レベル10mcgで1日2回投与するエキセナチド(Exenatide)であり、グルコース制御マーカーであるHbA1cにおいて有意な改善を示すことが見出された。さらに、Novo Nordiskが、1日あたり皮下注射で1.8mgを1日1回投与するリラグルチド(Liraglutide)(米国特許第6,268,343号)(配列番号2)を開発し、2010年に承認された。さらなる研究および開発により、GSKによって開発されたアルビグルチド(Albiglutide)、およびEli Lillyによって開発されたデュラグルチド(Dulaglutide)のような、週に1回投与する製品が製造された。最近では、GLP-1類似体であるセマグルチド(Semaglutide)(国際公開WO2006/097537(A2)号)が、USFDAによって承認された。セマグルチド(配列番号3)は、Ozempic(登録商標)のブランド名で市販されている。これは、皮下注射で週に1回投与される。
【0004】
効力および作用持続時間が改善されたGLP-1類似体を作製するための多くの試みが文献に報告されている。米国特許第7,291,594(B2)号(US‘594特許)は、アルギニンおよび/またはリジンのいくつかの残基をそのC末端に付加して、粘膜を介して高い生物学的利用能を提供する、GLP-1(7-35)誘導体を開示している。US‘594特許は、これらの誘導体が、そのGLP-1アミノ酸配列においてアミノ酸8をSerで置換することによってジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)に対する耐性を付与するか、またはアミノ酸26および34をそれぞれGlnおよびAsnで置換することによってトリプシンに対する耐性を付与することができることをさらに開示している。
米国特許第7,893,017(B2)号(US‘017特許)は、GLP-1類似体が、GLP-1(7-37)に対して位置7および8で少なくとも1つのアミノ酸残基を修飾することによってDPP-IVに対して安定であり、該アシル化が、該GLP-1類似体のC末端アミノ酸残基に直接付着している二酸である、アシル化GLP-1類似体を開示している。
【0005】
米国特許第8,951,959(B2)号(US‘959特許)は、配列GLP-1に対して位置8にトリフルオロメチル基を含有する非タンパク原性アミノ酸残基を有し、位置26のリジン残基に2つの酸性基を含む部分でアシル化された、DPP-IV耐性GLP-1(7-37)類似体を開示している。
【0006】
米国特許第7,084,243(B2)号(US‘243特許)は、DPP-IV耐性ペプチドとして、配列GLP-1(7-37)に対して位置8にValまたはGlyを有する、GLP-1(7-37)類似体を開示している。
【0007】
国際公開第WO2017/149070(A1)号(WO‘070)は、GLP-1(7-37)の位置8に対応する位置にTrpを有する、GLP-1類似体を開示しており、これらのTrp8化合物は、DPP-IVによる分解に対して非常に安定していることが示された。
【0008】
国際公開第WO2004/103390(A2)号(WO‘390)は、P’1位置(GLP-1(7-37)の場合の位置9に対応する)での修飾により、天然基質に対して酵素媒介性(例えば、DPP-IV)切断への感受性が大幅に減少されているがなお天然基質の生物活性を維持する、GLP-1類似体を生成することができることを開示している。WO‘390は、位置9に四置換Cβ炭素(例えば、tert-ロイシン)を有するアミノ酸を有する、GLP-1(7-37)類似体をさらに開示しており、DPP-IVによる分解に対して耐性のあるGLP類似体を提供する。
【0009】
国際公開第WO2015/086686(A2)号(WO‘686公開)は、GLP-1類似体の主鎖へのアルファ-メチル官能化アミノ酸の直接的な組み込みによって、プロテアーゼ耐性(DPP-IV耐性を含む)ペプチドが生成されることが決定されていることを開示している。
【0010】
様々な他のDPP-IV耐性GLP-1アゴニストが、国際公開第WO2007/030519(A2)号、同第WO2004/078777(A2)号、同第WO2007/039140(A1)号、同第WO2014/209886(A1)号、同第WO2012/016419(A1)号、同第WO2017/211922(A2)号、同第WO2016/198544(A1)号、および同第WO2013/051938(A2)号などの特許公開において開示されている。
【0011】
様々な特許出願が、安定性が増加し、かつより長い作用持続時間を有する、C末端伸長GLP-1類似体を開示している。例えば、米国特許第7,482,321(B2)号、同第9,498,534(B2)号、および同第7,897,566(B2)号である。
【0012】
様々な特許出願は、GLP-1類似体が任意選択的にリンカーを介して親油性置換基に付着して、より長い作用持続時間を提供する、アシル化GLP-1類似体を開示している。
【0013】
米国特許第8,603,972(B2)号(US‘972)は、GLP-1類似体の位置37または38においてLys残基がアシル化されている、GLP-1類似体のモノアシル化誘導体を開示している。
【0014】
米国特許第8,648,041(B2)号、同第9,758,560(B2)号、同第9,006,178(B2)号、同第9,266,940(B2)号、同第9,708,383(B2)号、および米国特許出願公開第US2015/0152157(A1)号、同第US2015/0133374(A1)号は、GLP-1類似体のジアシル化誘導体を開示している。
【0015】
米国特許出願公開第US2016/0200791(A1)号は、GLP-1類似体のトリアシル化誘導体を開示している。
【0016】
国際公開第WO2016/083499(A1)号、同第WO2016/097108(A1)号、および同第WO2014/202727(A1)号は、GLP-1類似体のLys残基が分岐状リンカーを介して2つの延長部分に付着している、アシル化GLP-1類似体を開示している。
【0017】
国際公開第WO2009/030771(A1)号および同第WO2018/083335(A1)号は、GLP-1類似体のLys残基に付着してより長い作用持続時間を提供することができる、様々なアシル化剤(側鎖)を開示している。
【0018】
国際公開第WO2013/186240(A2)号は、エキセンディン-4アミノ酸配列の位置2において、Gly、Serもしくは官能化Ser、例えば、Ser(OCH3)、D-Serもしくは官能化D-Ser、例えば、D-Ser(OCH3)、Aib、Ala、またはD-Alaを有する、エキセンディン-4ペプチド類似体を開示している。
【0019】
様々な他のGLP-1類似体が、国際公開第WO2005/027978(A2)号、同第WO1998/008871(A1)号、同第WO1999/043705(A1)号、同第WO1999/043706(A1)号、同第WO1999/043707(A1)号、同第WO1999/043708(A1)号、同第WO2000/034331(A2)号、同第WO2009/030771(A1)号、同第WO2011/080103(A1)号、同第WO2012/140117(A1)号、同第WO2012/062803(A1)号、同第WO2012/062804(A1)号、同第WO2013/037690(A1)号、同第WO2014/202727(A1)号、同第WO2015/000942(A1)号、同第WO2015/022400(A1)号、同第WO2016/083499(A1)号、同第WO2016/097108(A1)号、および同第WO2017/149070(A1)号などの特許出願において開示されている。
【0020】
依然として、安定性および作用持続時間に関して最適な望ましい特性を有するGLP-1類似体を開発する必要性がある。
【発明の概要】
【0021】
本開示の一態様は、以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、
H-X2-X3-X4-G-T-F-T-S-D-V-S-S-Y-L-X16-G-Q-A-A-X21-E-F-X24-A-W-L-V-R-G-R-G-X33-X34
式中、X2がSer、Ser(OMe)、D-Ser、D-Ser(OMe)、Ala、またはAibであり、
X3が存在しないか、またはGlnであり、
X4がGluであり、
X16がGluであり、
X24がIleであり、
X33がLeu、D-Leu、D-Ile、またはIleであり、
X34が存在せず、
X21がLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基が以下の部分でアシル化されており、
【化1】
式中、QおよびTが存在せず、
Uが存在しないか、または-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-}であり、式中、}が基Wとの付着点であり、
Wが存在しないか、または-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-]、-C(O)-NH-(CH
2)
3-4-NH-]、-C(O)-C(CH
3)
2-NH-]、および
【化2】
からなる群から選択され、式中、]が基Yとの付着点であり、
Yが-C(O)-(CH
2)
2-CH(COOH)NH--であり、式中、--が基Zとの付着点であり、
Zが-C(O)-(CH
2)
n-COOHまたは-C(O)-(CH
2)
n-CH
3であり、式中、nが14~20の整数である、ポリペプチドを提供する。
【0022】
本開示のポリペプチドは、有害効果がより少ない、強力なGLP-1アゴニストである。さらに、本開示のポリペプチドは、安定であり、長い作用持続時間を有し、かつ経口投与に適している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】部分A-OSu(中間体3)の調製を図示する。
【
図1B】部分A-OSu(中間体3)の調製を図示する。
【
図6A】ラット、単回注射、1mg/kgのグルコースAUC0~120分(
図6A=22時間後、
図6B=46時間後)での、化合物1の経口グルコース負荷試験(OGTT)の結果を図示する。
【
図6B】ラット、単回注射、1mg/kgのグルコースAUC0~120分(
図6A=22時間後、
図6B=46時間後)での、化合物1の経口グルコース負荷試験(OGTT)の結果を図示する。
【
図7】化合物1を用いた慢性治療後のdb/db2型糖尿病マウスにおける血糖値の減少を図示する。
【
図8】化合物1を用いた治療後のdb/dbマウスにおける食物摂取量の減少を図示する。
【
図9】db/dbマウスでの体重減少における化合物1の有効性を図示する。
【
図10】化合物1を用いた治療後のdb/dbマウスにおけるHb1Acの減少を図示する。
【0024】
略語
Aib:2-アミノイソ酪酸
ADO:8-アミノ-3,6-ジオキソ-オクタン酸
OGTT:経口グルコース負荷試験
DIPEA:N,N’-ジ-イソプロピルエチルアミン
HOBt:1-ヒドロキシベンズトリアゾール
DIPC:N,N’-ジ-イソプロピルカルボジイミド
HOSu:N-ヒドロキシスクシンイミド
IBCF:イソブチルクロロホルメート
NMM:N-メチルモルホリン
THF:テトラヒドロフラン
DCM:ジクロロメタン
DMAP:4-ジメチルアミノピリジン
DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMAc:ジメチルアセトアミド
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示は、頻繁な皮下投与を必要とせず、かつ経口投与にも適した、安定した長期作用GLP-1類似体を提供する。驚くべきことに、配列のC末端に余分のLeuを追加することによって、親ペプチドと比較した場合に有意に改善された効力および作用持続時間を有するポリペプチドを生成することが見出された。余分のIleを含むペプチドもまた、親ペプチドと比較した場合に、効力および作用持続時間の改善において同様の効果を示した。さらに、本開示は、本明細書において、GLP-1(7-37)の類似体であるペプチドにアシル化反応を介して付加されて、有意に改善された効力およびより長い作用持続時間を有する化合物を生成することができる、部分を実証する。開示される化合物の延長部分は、より安定した結合を有し、これは生物学的酵素による切断に対してより感受性が低い。したがって、本明細書に開示される化合物はより安定であり、かつより少ない頻度の投与を必要とし、患者の服薬順守を増す。したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、
H-X2-X3-X4-G-T-F-T-S-D-V-S-S-Y-L-X16-G-Q-A-A-X21-E-F-X24-A-W-L-V-R-G-R-G-X33-X34(配列番号4)
式中、X2がSer、Ser(OMe)、D-Ser、D-Ser(OMe)、Ala、またはAibであり、
X3が存在しないか、またはGlnであり、
X4がGluであり、
X16がGluであり、
X24がIleであり、
X33がLeu、D-Leu、D-Ile、またはIleであり、
X34が存在せず、
X21がLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基がアシル化されている、ポリペプチドを提供する。
【0026】
いくつかの実施形態では、X21は、米国特許第6,268,343号、同第8,951,959(B2)号、同第8,603,972(B2)号、同第8,648,041(B2)号、同第9,758,560(B2)号、同第9,006,178(B2)号、9,266,940(B2)号、同第9,708,383(B2)号、ならびに米国特許出願公開第US2015/0152157(A1)号、および同第US2015/0133374(A1)号;国際公開第WO2009/030771(A1)号、同第WO2006/097537(A2)号、および同第WO2018/083335(A1)号に報告されている延長部分でアシル化することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、X21Lysは、その側鎖アミノ(εアミノ)基において、脂肪酸基を含む部分でアシル化されている。脂肪酸基は、リンカーを介してX21Lysに付着し得る。したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、
H-X2-X3-X4-G-T-F-T-S-D-V-S-S-Y-L-X16-G-Q-A-A-X21-E-F-X24-A-W-L-V-R-G-R-G-X33-X34
式中、X2がSer、Ser(OMe)、D-Ser、D-Ser(OMe)、Ala、またはAibであり、
X3が存在しないか、またはGlnであり、
X4がGluであり、
X16がGluであり、
X24がIleであり、
X33がLeu、D-Leu、D-Ile、またはIleであり、
X34が存在せず、
X21がLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基が以下の部分でアシル化されており、
【化3】
式中、QおよびTが存在せず、
Uが存在しないか、または-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-}であり、式中、}が基Wとの付着点であり、
Wが存在しないか、または-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-]、-C(O)-NH-(CH
2)
3-4-NH-]、-C(O)-C(CH
3)
2-NH-]、および
【化4】
からなる群から選択され、式中、]が基Yとの付着点であり、
Yが-C(O)-(CH
2)
2-CH(COOH)NH--であり、式中、--が基Zとの付着点であり、
Zが-C(O)-(CH
2)
n-COOHまたは-C(O)-(CH
2)
n-CH
3であり、式中、nが14~20の整数である、ポリペプチドを提供する。
【0028】
いくつかの実施形態では、X2のアミノ酸は、Ser、Ser(OMe)、D-Ser、D-Ser(OMe)、Ala、またはAibから選択される。
【0029】
いくつかの実施形態では、X2はAibである。
【0030】
いくつかの実施形態では、X3は存在しない。
【0031】
いくつかの実施形態では、X33はLeuである。
【0032】
いくつかの実施形態では、X33はIleである。
【0033】
いくつかの実施形態では、X21はLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化されており、
【化5】
式中、Wは、-C(O)-NH-(CH
2)
3-4-NH-]、-C(O)-C(CH
3)
2-NH-]、および
【化6】
からなる群から選択される。
【0034】
いくつかの実施形態では、X21はLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化されており、
【化7】
式中、UおよびWは両方とも存在せず、Zは-C(O)-(CH
2)
n-CH
3であり、式中、nは整数14である。
【0035】
いくつかの実施形態では、X21はLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化されており、
【化8】
式中、Wは-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-]である。
【0036】
いくつかの実施形態では、X21はLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化されており、
【化9】
式中、WはC(O)-C(CH
3)
2-NH-]である。
【0037】
いくつかの実施形態では、X21はLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化されており、
【化10】
式中、Wは-C(O)-NH-(CH
2)
4-NH-]である。
【0038】
いくつかの実施形態では、X21はLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化されており、
【化11】
式中、Wは-C(O)-NH-(CH
2)
3-NH-]である。
【0039】
いくつかの実施形態では、X21はLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化されており、
【化12】
式中、Wは
【化13】
である。
【0040】
いくつかの実施形態では、X21はLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化されており、
【化14】
式中、Zは-C(O)-(CH
2)
n-COOHであり、式中、nは整数16である。
【0041】
いくつかの実施形態では、X21はLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化されており、
【化15】
式中、Zは-C(O)-(CH
2)
n-CH
3であり、式中、nは整数14である。
【0042】
いくつかの実施形態では、X2はAlaまたはAibであり、
X3が存在せず、
X33がLeuであり、
Uが存在せず、
Wが存在せず、
Yが-C(O)-(CH2)2-CH(COOH)NH--であり、式中、--が基Zとの付着点であり、
Zは-C(O)-(CH2)n-CH3であり、式中、nは整数14である。
【0043】
いくつかの実施形態では、本開示は、以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、
H-X2-X3-X4-G-T-F-T-S-D-V-S-S-Y-L-X16-G-Q-A-A-X21-E-F-X24-A-W-L-V-R-G-R-G-X33-X34
式中、X2がAibであり、
X3が存在せず、
X4がGluであり、
X16がGluであり、
X24がIleであり、
X33がLeuであり、
X34が存在せず、
X21がLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基が以下の部分でアシル化されており、
【化16】
式中、QおよびTが存在せず、
Uが-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-}であり、式中、}が基Wとの付着点であり、
Wが-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-]であり、式中、]が基Yの付着点であり、
Yが-C(O)-(CH
2)
2-CH(COOH)NH--であり、式中、--が基Zとの付着点であり、
Zが-C(O)-(CH
2)
n-COOHであり、式中、nが整数16である、ポリペプチドを提供する。
【0044】
いくつかの実施形態では、本開示は、以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、
H-X2-X3-X4-G-T-F-T-S-D-V-S-S-Y-L-X16-G-Q-A-A-X21-E-F-X24-A-W-L-V-R-G-R-G-X33-X34
式中、X2がAibであり、
X3が存在せず、
X4がGluであり、
X16がGluであり、
X24がIleであり、
X33がLeuであり、
X34が存在せず、
X21がLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基が以下の部分でアシル化されており、
【化17】
式中、QおよびTが存在せず、
Uが-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-}であり、式中、}が基Wとの付着点であり、
Wが-C(O)-(CH
3)
2-NH-]であり、式中、]が基Yとの付着点であり、
Yが-C(O)-(CH
2)
2-CH(COOH)NH--であり、式中、--が基Zとの付着点であり、
Zが-C(O)-(CH
2)
n-COOHであり、式中、nが整数16である、ポリペプチドを提供する。
【0045】
いくつかの実施形態では、本開示は、以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、
H-X2-X3-X4-G-T-F-T-S-D-V-S-S-Y-L-X16-G-Q-A-A-X21-E-F-X24-A-W-L-V-R-G-R-G-X33-X34
式中、X2がAibであり、
X3が存在せず、
X4がGluであり、
X16がGluであり、
X24がIleであり、
X33がLeuであり、
X34が存在せず、
X21がLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基が以下の部分でアシル化されており、
【化18】
式中、QおよびTが存在せず、
Uが-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-}であり、式中、}が基Wとの付着点であり、
Wが-C(O)-NH-(CH
2)
3-4-NH-]であり、式中、]が基Yとの付着点であり、
Yが-C(O)-(CH
2)
2-CH(COOH)NH--であり、式中、--が基Zとの付着点であり、
Zが-C(O)-(CH
2)
n-COOHであり、式中、nが整数16である、ポリペプチドを提供する。
【0046】
いくつかの実施形態では、X21はLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化されており、
【化19】
式中、Wは-C(O)-NH-(CH
2)
4-NH-]である。
【0047】
いくつかの実施形態では、X21はLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化されており、
【化20】
式中、Wは-C(O)-NH-(CH
2)
3-NH-]である。
【0048】
いくつかの実施形態では、本開示は、以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、
H-X2-X3-X4-G-T-F-T-S-D-V-S-S-Y-L-X16-G-Q-A-A-X21-E-F-X24-A-W-L-V-R-G-R-G-X33-X34
式中、X2がAibであり、
X3が存在せず、
X4がGluであり、
X16がGluであり、
X24がIleであり、
X33がLeuであり、
X34が存在せず、
X21がLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基が以下の部分でアシル化されており、
【化21】
式中、QおよびTが存在せず、
Uが-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-}であり、式中、}が基Wとの付着点であり、
Wが-C(O)-NH-(CH
2)
4-NH-]であり、式中、]が基Yの付着点であり、
Yが-C(O)-(CH
2)
2-CH(COOH)NH--であり、式中、--が基Zとの付着点であり、
Zが-C(O)-(CH
2)
n-COOHまたは-C(O)-(CH
2)
n-CH
3であり、式中、nが14~20の整数である、ポリペプチドを提供する。
【0049】
いくつかの実施形態では、X21はLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化されており、
【化22】
式中、Zは-C(O)-(CH
2)
n-COOHであり、式中、nは整数16である。
【0050】
いくつかの実施形態では、X21はLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化されており、
【化23】
式中、Zは-C(O)-(CH
2)
n-CH
3であり、式中、nは整数14である。
【0051】
いくつかの実施形態では、本開示は、以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、
H-X2-X3-X4-G-T-F-T-S-D-V-S-S-Y-L-X16-G-Q-A-A-X21-E-F-X24-A-W-L-V-R-G-R-G-X33-X34
式中、X2がAibであり、
X3が存在せず、
X4がGluであり、
X16がGluであり、
X24がIleであり、
X33がLeuであり、
X34が存在せず、
X21がLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基が以下の部分でアシル化されており、
【化24】
式中、QおよびTが存在せず、
Uが-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-}であり、式中、}が基Wとの付着点であり、
Wが
【化25】
であり、式中、]が基Yとの付着点であり、
Yが-C(O)-(CH
2)
2-CH(COOH)NH--であり、式中、--が基Zとの付着点であり、
Zが-C(O)-(CH
2)n-COOHであり、式中、nが整数16である、ポリペプチドを提供する。
【0052】
いくつかの実施形態では、本開示は、以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、
H-X2-X3-X4-G-T-F-T-S-D-V-S-S-Y-L-X16-G-Q-A-A-X21-E-F-X24-A-W-L-V-R-G-R-G-X33-X34
式中、X2がSer、Ser(OMe)、D-Ser、D-Ser(OMe)であり、
X3が存在せず、
X4がGluであり、
X16がGluであり、
X24がIleであり、
X33がLeuであり、
X34が存在せず、
X21がLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基が以下の部分でアシル化されており、
【化26】
式中、QおよびTが存在せず、
Uが-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH2)
2-NH-}であり、式中、}が基Wとの付着点であり、
Wが-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-、-C(O)-NH-(CH
2)
3-4-NH-]、-C(O)-C(CH
3)
2-NH-]から選択され、式中、]が基Yとの付着点であり、
Yが-C(O)-(CH
2)
2-CH(COOH)NH--であり、式中、--が基Zとの付着点であり、
Zが-C(O)-(CH
2)
n-COOHまたは-C(O)-(CH
2)
n-CH
3であり、式中、nが14~20の整数である、ポリペプチドを提供する。
【0053】
いくつかの実施形態では、X21はLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化されており、
【化27】
式中、Wは-C(O)-NH-(CH
2)
3-4-NH-]である。
【0054】
いくつかの実施形態では、X21はLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化されており、
【化28】
式中、Wは-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-である。
【0055】
いくつかの実施形態では、X21はLysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化されており、
【化29】
式中、Wは-C(O)-C(CH
3)
2-NH-]である。
【0056】
いくつかの実施形態では、X21は脂質修飾Lysであり、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は、
【化30】
表1に提供される部分によって表される部分でアシル化されている。
【表1】
【0057】
別の実施形態では、本開示は、表2に提供されるペプチドから選択される、先行する実施形態のいずれか1つに記載のポリペプチドを提供する。
【表2】
【0058】
特に明記しない限り、本開示は、配列中のアミノ酸のLおよびD異性体の両方を網羅することを意図する。
【0059】
本開示の本明細書に記載される場合、Ser(OMe)は、そのヒドロキシル基がメチル化され、以下の構造を有する、アミノ酸セリンである。
【化31】
【0060】
本開示で言及されるポリペプチド配列は、IUPACにより承認されたアミノ酸の単一文字コードによって表される。
【0061】
本開示の実施形態のアシル化部分を定義するために本明細書で使用される場合、Q、T、U、W、Y、およびZは、ポリペプチド配列を示すために使用されるアミノ酸の単一の文字コードとは異なる。
【0062】
本開示のポリペプチドは、驚くべきことに、SDラットにおける経口グルコース負荷試験(OGTT)に供された場合に、血糖の有意な減少を示した。経口グルコースで試験した場合、SDラットにおける血糖の減少率は、X33位置で追加のLeuまたはIleを欠いた対応するポリペプチドよりも有意に低かった。
【0063】
本発明を、以下の実施例を参照しながらさらに詳述する。実施例はあらゆる点において例示的なものとして見なされることが望ましく、特許請求される本発明の範囲を限定することを意図していない。
【実施例】
【0064】
一般的な調製方法:
本開示のポリペプチド化合物は、本明細書で以下に記載する方法によって調製することができる。プロセスには、親線形ペプチドの調製、およびそれに続く脂肪酸鎖の親ペプチドへの付着を含む、2つの工程が関与する。
【0065】
本明細書に記載のペプチドは、固相技法、例えば、G.BaranyおよびR.B.Merrifieldの「The Peptide:Analysis,Synthesis,Biology」第2巻「Special Methods in Peptide Synthesis,Part A」、3~284頁、E.GrossおよびJ.Meienhofer編、Academic Press,New York,1980、ならびにJ.M.StewartおよびJ.D.Youngの「Solid-Phase Peptide Synthesis」第2版、Pierce Chemical Co.,Rockford,Ill.,1984に記載されているものなどを使用した化学合成によって調製され得る。望ましい戦略は、アミノ酸側鎖の一時的保護のためのtert-ブチル(-tBu)、tert-ブチルオキシカルボニル(-Boc)、トリチル(-Trt)基などの保護基と組み合わせた、α-アミノ基の一時的保護のためのFmoc(9-フルオレニルメチル-オキシカルボニル)基に基づく(例えば、E.AthertonおよびR.C.Sheppardの「The Fluorenylmethoxycarbonyl Amino Protecting Group」、「The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology」第9巻「Special Methods in Peptide Synthesis,Part C」、1~38頁、S.UndenfriendおよびJ.Meienhofer編、Academic Press,San Diego,1987を参照)。
【0066】
ペプチドは、不溶性ポリマー支持体(「樹脂」とも称される)において、段階的に、ペプチドのC末端から開始して合成することができる。合成は、アミドまたはエステル結合の形成を通して、ペプチドのC末端アミノ酸を樹脂に添付することによって開始する。これにより、それぞれC末端アミドまたはカルボン酸として得られたペプチドの最終的な放出が可能となる。
【0067】
合成において使用されるC末端アミノ酸および他のすべてのアミノ酸は、α-アミノ保護基が合成中に選択的に除去され得るように、それらのα-アミノ基および側鎖官能基(存在する場合)を差次的に保護することを必要とする。アミノ酸の結合を、活性エステルとしてのそのカルボキシル基の活性化、および樹脂に添付されたN末端アミノ酸の非遮断α-アミノ基との反応によって実施する。α-アミノ基の脱保護およびカップリングの配列を、ペプチド配列全体が組み立てられるまで繰り返す。次いで、ペプチドを、通常適切なスカベンジャーの存在下で、側鎖官能基の同時脱保護を用いて樹脂から放出し、副反応を制限する。得られたペプチドを、逆相HPLCによって最終的に精製する。
【0068】
次いで、活性化脂肪酸鎖を親ペプチドと結合することによって、親ペプチドを脂肪酸鎖に結合することができる。脂肪酸鎖は、有機化学的に周知の方法によって作製され得る。例えば、脂肪酸鎖は、直鎖脂肪酸鎖の調製を可能にする固相合成方法を使用して作製することができる。
【0069】
合成された線形ペプチドを、以下に概説するとおり、分取HPLC手順によって生成した。
分取HPLC:WATERS 2555 Quaternary Gradient Module(最大合計流量:300mL/分、最大圧力:3000psi)
Shimadzu LC-8A(最大合計流量:150mL、最大圧力:20Mpa)
カラム:C18、10μ
流量:75mL/分
移動相:第1の精製の場合
移動相A:pH7.5のリン酸緩衝液
移動相B:アセトニトリル
勾配:300分で10~40%の移動相B
第2の精製の場合
移動相A:水中1%の酢酸
移動相B:アセトニトリル中1%の酢酸:n-プロパノール(50:50)
勾配:300分で15~45%の移動相B
【0070】
本開示の最終化合物を、以下に概説するとおり、分取HPLC手順によって精製した。
分取HPLC:WATERS 2555 Quaternary Gradient Module(最大合計流量:300mL/分、最大圧力:3000psi)
Shimadzu LC-8A(最大合計流量:150mL、最大圧力:20Mpa)
カラム:C18、10μ
流量:75mL/分
【表3】
【0071】
本開示の化合物の純度を、以下に概説するとおり、RP-HPLC法によって分析した。
HPLC法B1:
カラム:YMC Pack-Ph(4.6mm×150mm、3μ)
溶離液:移動相A:水中0.1%のトリフルオロ酢酸
移動相B:アセトニトリル中0.1%のトリフルオロ酢酸
流量:1.5mL/分
検出:210nmでのUV検出
カラム温度:50℃
実行時間:50分
【表4】
HPLC法B2:
カラム:YMC-Pack Pro C18(4mm×250mm、3μ)
溶離液:移動相A:緩衝液:アセトニトリル(900:100)
移動相B:緩衝液:アセトニトリル(300:700)
緩衝液:オルトリン酸でpHを3.0±0.1に調節した、水中のオルトリン酸二水素カリウム
流量:1.0mL/分
検出:210nmでのUV検出
カラム温度:50℃
試料トレー温度:8℃
【表5】
HPLC法B3:
カラム:Waters X-Select CSH-C18(150mm×4.6mm、2.5μ)
溶離液:移動相A:緩衝液:アセトニトリル(900:100)
移動相B:緩衝液:アセトニトリル(300:700)
緩衝液:オルトリン酸でpHを1.5±0.1に調節した、水中のオルトリン酸二水素カリウム
流量:0.9mL/分
検出:210nmでのUV検出
カラム温度:40℃
試料トレー温度:5℃
【表6】
【0072】
本開示の化合物を、以下に概説するとおり、LCMSによって分析した。
【0073】
質量スペクトルは、Waters Acquity(登録商標)QDa(登録商標)、Waters Micromass Quattro Micro API、またはThermo Scientific LCQ Fleet(商標)を使用して、LCMS上に記録した。試験溶液は、好適な量の分析物を、分析物のイオン化に応じて1μg/ml~50μg/mlの最終濃度で希釈液中に溶解することによって調製した。試験溶液を、毎分約10μl~50μlの速度でLCMSに1分間注入し、質量スペクトルは、エレクトロスプレーイオン化(ESI)正または負のモードで記録し、適切な質量範囲内であった。
【0074】
実施例1:活性化脂肪酸側鎖の調製:
1.18-[[(1S)-1-カルボキシ-4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-4-オキソ-ブチル]アミノ]-18-オキソ-オクタデカン酸(部分A-OSu、中間体3)の調製
活性化脂肪酸側鎖である部分A-OSuを、
図1Aに概略的に表されるように、2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用した固相合成によって調製した。2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸(中間体1)を、N,N’-ジ-イソプロピルエチルアミン(DIPEA)の存在下で2-クロロトリチルクロリド樹脂に付着させて、2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。中間体1は、2-[2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]酢酸のFmoc N-ヒドロキシスクシンイミドエステルとの結合によって調製することができる。あるいは、中間体1は市販されており、そのように調達することができる。Fmoc保護基を、ピペリジンを使用した2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂のアミノ基の選択的な脱遮断によって除去し、次いで、遊離アミノ基を、1-ヒドロキシベンズトリアゾール(HOBt)およびN,N’-ジ-イソプロピルカルボジイミド(DIPC)を使用して2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸と結合して、2-[2-[2-[[2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。次いで、Fmoc群を、ピペリジンを使用した2-[2-[2-[[2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂のアミノ基の選択的な脱遮断によって除去し、次いで、遊離アミノ基を、HOBtおよびDIPCを使用してFmoc-Glu-OtBuに結合して、2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-Fmoc-アミノ-5-tert-ブトキシ-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。得られた2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-Fmoc-アミノ-5-tert-ブトキシ-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を、ピペリジンを使用して選択的に脱遮断し、次いでオクタデカン二酸モノtert-ブチルエステルと結合して、中間体2、すなわち[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(18-tert-ブトキシ-18-オキソ-オクタデカノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸]-2-Cl-Trt-樹脂を得た。次いで、中間体2を、トリフルオロエタノール:DCM(1:1)を使用して2-Cl-Trt-樹脂から切断した。次いで、得られた化合物をイソブチルクロロホルメート(IBCF)およびN-メチルモルホリン(NMM)の存在下でN-ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)と反応させ、続いてトリフルオロ酢酸を用いて脱保護して、表題化合物(部分A-OSu、中間体3)を得た。全プロセスは、
図1Bに概略的に表されるように示すこともできる。
【0075】
2.N-パルミトイル-L-γ-グルタミルスクシンイミドエステル(部分B-OSu)の調製
【化32】
L-グルタミン酸アルファ-tert-ブチルエステル(H-Glu-OtBu)をIBCFおよびNMMの存在下でパルミチン酸と反応させて、CH
3-(CH
2)
14-C(O)-Glu-OtBuを得、次いでそれをIBCFおよびNMMの存在下でHOSuと反応させて、CH
3-(CH
2)
14-C(O)-Glu(OSu)-OtBuを得、次いでそれをトリフルオロ酢酸で脱保護して、部分B-OSuを得た。
【0076】
3.18-[[(1S)-1-カルボキシ-4-[4-[2-[2-[2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルカルバモイルアミノ]ブチルアミノ]-4-オキソ-ブチル]アミノ]-18-オキソ-オクタデカン酸(部分C-OSu)の調製
活性化脂肪酸側鎖である部分C-OSuを、
図2に概略的に表されるように、2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用した固相合成を使用して調製した。2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸を、DIPEAの存在下で2-クロロトリチルクロリド樹脂に付着させて、2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。Fmoc保護基を、ピペリジンを使用したアミノ基の選択的な脱遮断によって除去し、次いで、遊離アミノ基を、THFおよびDIPEA中のp-ニトロフェニルクロロホルメート使用して活性化し、続いてTHF:DMAcおよびDIPEA中のFmoc-アミノブチルアミン塩酸塩と反応させて、2-[2-[2-(4-Fmoc-アミノブチルカルバモイルアミノ)エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。Fmoc群を、ピペリジンを使用した選択的な脱遮断によって除去し、次いで、遊離アミノ基を、HOBtおよびDIPCを使用してFmoc-Glu-OtBuに結合し、2-[2-[2-[4-[[(4S)-4-Fmoc-アミノ-5-tert-ブトキシ-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]ブチルカルバモイルアミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。得られた2-[2-[2-[4-[[(4S)-4-Fmoc-アミノ-5-tert-ブトキシ-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]-ブチルカルバモイルアミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を、ピペリジンを使用して選択的に脱遮断し、次いでオクタデカン二酸モノtert-ブチルエステルと結合して、中間体2-[2-[2-[4-[[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(18-tert-ブトキシ-18-オキソ-オクタデカノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]ブチルカルバモイルアミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸]-2-Cl-Trt-樹脂を得た。次いで、中間体を、トリフルオロエタノール:DCM(1:1)を使用して2-Cl-Trt-樹脂から切断して、2-[2-[2-[4-[[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(18-tert-ブトキシ-18-オキソ-オクタデカノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]ブチルカルバモイルアミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸(LCMS=m/z:814.56(M+H
+))を得た。次いで、得られた化合物をジシクロへキシルカルボジイミド(DCC)の存在下でHOSuと反応させて、スクシンイミド保護中間体を得、これを、トリフルオロ酢酸を用いて脱保護して、表題化合物(部分C-OSu)を得た。
【0077】
4.18-[[(1S)-1-カルボキシ-4-[[2-[2-[2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-1,1-ジメチル-2-オキソ-エチル]アミノ]-4-オキソ-ブチル]アミノ]-18-オキソ-オクタデカン酸(部分D-OSu)の調製
脂肪酸側鎖を、
図3に概略的に表されるように、2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用した固相合成を使用して調製した。2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸を、DIPEAの存在下で2-クロロトリチルクロリド樹脂に付着させて、2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。Fmoc保護基を、ピペリジンを使用したアミノ基の選択的な脱遮断によって除去し、続いてDIPCおよびHOBtを使用してTHF:DMAc中のFmoc-Aib-OHと結合して、2-[2-[2-[(2-Fmoc-アミノ-2-メチル-プロパノイル)アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。Fmoc基を、ピペリジンを使用した選択的な脱遮断によって除去し、遊離アミノ基を、HOBtおよびDIPCを使用してFmoc-Glu-OtBuと結合して、2-[2-[2--[[2-[[(4S)-4-Fmoc-アミノ-5-tert-ブトキシ-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]-2-メチル-プロパノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。得られた化合物のFmoc基を、ピペリジンを使用して選択的に脱遮断し、次いで、遊離アミノ基を、オクタデカン二酸モノtertブチルエステルと結合して、2-[2-[2-[[2-[[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(18-tert-ブトキシ-18-オキソ-オクタデカノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]-2-メチル-プロパノイル]-アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。次いで、中間体を、トリフルオロエタノール:DCM(1:1)を使用して2-Cl-Trt-樹脂から切断して、2-[2-[2-[[2-[[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(18-tert-ブトキシ-18-オキソ-オクタデカノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]-2-メチル-プロパノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸(LCMS=m/z:786.39(M+H
+))を得た。次いで、得られた化合物をDCCの存在下でHOSuと反応させて、スクシンイミド保護中間体を得、これを、トリフルオロ酢酸を用いて脱保護して、表題化合物(部分D-OSu)を得た。
【0078】
5.18-[[(1S)-1-カルボキシ-4-[3-[2-[2-[2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルカルバモイルアミノ]プロピルアミノ]-4-オキソ-ブチル]アミノ]-18-オキソ-オクタデカン酸(部分E-OSu)の調製
脂肪酸側鎖を、
図4に概略的に表されるように、2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用した固相合成を使用して調製した。2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸を、DIPEAの存在下で2-クロロトリチルクロリド樹脂に付着させて、2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。Fmoc保護基を、ピペリジンを使用したアミノ基の選択的な脱遮断によって除去し、次いで、遊離アミノ基を、THFおよびDIPEA中のp-ニトロフェニルクロロホルメート使用して活性化し、続いてHOBtを使用してDIPEAの存在下でTHF:DMAc中の1,3-ジアミノプロパンと反応させて、NH
2-(CH
2)
3-NH-C(O)-{(2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ}-酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を形成した。次いで、遊離アミノ基を、HOBtおよびDIPCを使用してFmoc-Glu-OtBuと結合し、これにより2-[2-[2-[3-[[(4S)-4-Fmoc-アミノ-5-tert-ブトキシ-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]プロピルカルバモイルアミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。得られた2-[2-[2-[3-[[(4S)-4-Fmoc-アミノ-5-tert-ブトキシ-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]プロピルカルバモイルアミノ]エトキシ]-エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を、ピペリジンを使用して選択的に脱遮断し、次いでオクタデカン二酸モノtertブチルエステルと結合して、2-[2-[2-[3-[[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(18-tert-ブトキシ-18-オキソ-オクタデカノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]プロピルカルバモイルアミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸]-2-Cl-Trt-樹脂を得た。次いで、中間体を、トリフルオロエタノール:DCM(1:1)を使用して2-Cl-Trt-樹脂から切断して、2-[2-[2-[[3-[[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(18-tert-ブトキシ-18-オキソ-オクタデカノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]-プロピルカルバモイルアミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸(LCMS=m/z:801.41(M+H
+))を得た。次いで、得られた化合物をジシクロへキシルカルボジイミド(DCC)の存在下でHOSuと反応させて、スクシンイミド保護中間体を得、これを、トリフルオロ酢酸を用いて脱保護して、表題化合物(部分E-OSu)を得た。
【0079】
6.18-[[(1S)-1-カルボキシ-4-[4-[2-[2-[2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルカルバモイルアミノ]-1-ピペリジル]-4-オキソ-ブチル]アミノ]-18-オキソ-オクタデカン酸(部分F-OSu)の調製
脂肪酸側鎖を、
図5に概略的に表されるように、2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用した固相合成を使用して調製した。2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸を、DIPEAの存在下で2-クロロトリチルクロリド樹脂に付着させて、2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。Fmoc保護基を、ピペリジンを使用したアミノ基の選択的な脱遮断によって除去し、次いで、遊離アミノ基を、THFおよびDIPEA中のp-ニトロフェニルクロロホルメート使用して活性化し、続いてHOBtを使用してDIPEAの存在下でTHF:DMAc中の4-アミノ-Boc-ピペリジンと反応させて、(2-[2-[2-(4-Boc-ピペリジルカルバモイルアミノ)エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。トリフルオロ酢酸を使用した切断において得られた化合物は、2-[2-[2-(4-ピペリジルカルバモイルアミノ)エトキシ]エトキシ]酢酸をもたらし、これを、トリエチルアミン(TEA)の存在下でFmoc-OSuとさらに反応させることによって、2-[2-[2-(4-Fmoc-ピペリジルカルバモイルアミノ)エトキシ]エトキシ]酢酸を得た。次いで、得られた化合物を、DIPEAの存在下で2-クロロトリチルクロリド樹脂にさらに付着させて、2-[2-[2-(4-Fmoc-ピペリジルカルバモイルアミノ)エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。Fmoc基を、ピペリジンを使用した選択的な脱保護によって除去し、次いで、遊離アミノ基を、HOBtおよびDIPCを使用してFmoc-Glu-OtBuと結合して、2-[2-[2-[[1-[(4S)-4-アミノ-5-tert-ブトキシ-5-オキソ-ペンタノイル]-4-ピペリジル]カルバモイルアミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。得られた化合物を、ピペリジンを使用して選択的に脱遮断し、次いで、オクタデカン二酸モノtert-ブチルエステルと結合して、2-[2-[2-[[1-[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(18-tert-ブトキシ-18-オキソ-オクタデカノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]-4-ピペリジル]カルバモイルアミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。次いで、中間体を、トリフルオロエタノール:DCM(1:1)を使用して2-Cl-Trt-樹脂から切断して、2-[2-[2-[[1-[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(18-tert-ブトキシ-18-オキソ-オクタデカノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]-4-ピペリジル]カルバモイルアミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸(LCMS=m/z:827.40(M+H
+))を得た。次いで、得られた化合物をDCCの存在下でHOSuと反応させて、スクシンイミド保護中間体を得、これを、トリフルオロ酢酸を使用して脱保護して、表題化合物である部分F-OSuを得た。
【0080】
実施例2:化合物1:
N-ε26-[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-(17-カルボキシへプタデカノイルアミノ)-4(S)カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル][(Aib8、Arg34、Leu38GLP-1(7-38)ペプチドの合成
パートA.親線形ペプチドAib8、Arg34、Leu38GLP-1(7-38)の合成
親ペプチドを固相方法により合成した。合成に使用した開始樹脂はWang樹脂であった。Fmoc保護ロイシンをWang樹脂との結合に使用した。結合は、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下で、ジイソプロピルカルボジイミド、結合試薬としてN-ヒドロキシベンゾトリアゾール(DIC-HOBt)を使用することによって実施し、Fmoc-Leu-Wang樹脂を得た。ピペリジンを使用したFmoc-Leu-Wang樹脂のアミノ基の選択的な脱遮断に続いて、HOBtおよびDIPCを使用してFmoc-Gly-OHと結合することにより、Fmoc-Gly-Leu-Wang樹脂を得た。これにより、1サイクルが完了する。酢酸無水物およびジイソプロピルエチルアミン/ピリジンを使用して、各アミノ酸結合において未結合アミノ基を終結させた。
【0081】
上述の2つの工程、すなわち、樹脂に付着したアミノ酸のFmoc保護の選択的な脱遮断、および配列中隣のアミノ酸残基のFmoc保護アミノ基との結合を、残りの30個のアミノ酸残基に対して繰り返した。選択的な脱遮断、すなわち、Fmoc群の脱保護を、ピペリジンを使用して行い、隣のFmoc保護アミノ酸との結合をHOBt/DIPCを使用して行った。Fmoc保護アミノ酸の側鎖は直交して保護され、例えば、セリン、チロシン、またはスレオニンのヒドロキシル基は、tert-ブチル(-tBu)基で保護され、リジンおよびアルギニンのアミノおよびグアニド基は、それぞれtert-ブチルオキシカルボニル(-Boc)および2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル(-Pbf)基で保護され、ヒスチジンのイミダゾールは、トリチル(-Trt)で保護され、アスパラギン酸またはグルタミン酸のカルボン酸基は、tBu群で保護された。上述の2つの工程、すなわち、選択的な脱遮断、および次いで、隣のFmoc保護アミノ酸との結合を実施して、Fmoc-His(Trt)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Val-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Tyr(tBu)-Leu-Glu(OtBu)-Gly-Gln-Ala-Ala-Lys(Boc)-Glu(OtBu)-Phe-Ile-Ala-Trp-Leu-Val-Arg(Pbf)-Gly-Arg(Pbf)-Gly-Leu-樹脂を得た。
【0082】
ピペリジンを使用したFmoc-His(Trt)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Val-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Tyr(tBu)-Leu-Glu(OtBu)-Gly-Gln-Ala-Ala-Lys(Boc)-Glu(OtBu)-Phe-Ile-Ala-Trp-Leu-Val-Arg(Pbf)-Gly-Arg(Pbf)-Gly-Leu-樹脂の脱遮断、続いてトリフルオロ酢酸をエタン-1,2-ジチオールとともに使用した切断および脱保護により、粗H-His-Aib-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Val-Ser-Ser-Tyr-Leu-Glu-Gly-Gln-Ala-Ala-Lys-Glu-Phe-Ile-Ala-Trp-Leu-Val-Arg-Gly-Arg-Gly-Leu-OH(Aib8、Arg34、Leu38GLP-1(7-38)ペプチド)を得、これをHPLCにより精製した。
【0083】
パートB:
活性化脂肪酸鎖である部分A-OSuを、パートAで得られた精製(線形ペプチド)H-His-Aib-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Val-Ser-Ser-Tyr-Leu-Glu-Gly-Gln-Ala-Ala-Lys-Glu-Phe-Ile-Ala-Trp-Leu-Val-Arg-Gly-Arg-Gly-Leu-OH上に、pH約10のアセトニトリル中で移植することにより、粗表題ペプチドをもたらし、これを分取HPLCにより精製した。化合物の特性評価を表3に提供する。
【0084】
実施例3:化合物2、3、5、9、10、および12の調製
化合物2、3、5、9、10、および12の線形ペプチドを、実施例1のパートAに記載の類似プロセスによって固相方法により調製した。実施例1のパートBのプロセスに従って、活性化脂肪酸鎖である部分A-OSuをそれぞれの線形ペプチド上に移植することにより、化合物2、3、5、9、10、および12を得た。
【0085】
実施例4:化合物4および11の調製:
化合物4および11の線形ペプチドを、実施例2のパートAに記載の類似プロセスによって固相方法により調製したが、ただしここでは、Fmoc保護D-ロイシンを最初にWang樹脂と結合し、次いで順次他のアミノ酸を結合した。実施例2のパートBのプロセスに従って、活性化脂肪酸鎖である部分A-OSuをそれぞれの線形ペプチド上に移植することにより、化合物4および11を得た。
【0086】
実施例5:化合物8の調製
線形ペプチドを、実施例2のパートAに記載の類似プロセスによって固相方法により調製したが、ただしここでは、Fmoc保護イソロイシンを最初にWang樹脂と結合し、次いで順次他のアミノ酸を結合した。実施例2のパートBのプロセスに従って、活性化脂肪酸鎖である部分A-OSuを線形ペプチド上に移植することにより、化合物8を得た。
【0087】
実施例6:化合物6の調製
線形ペプチドを、実施例2のパートAに記載の類似プロセスによって固相方法により調製した。実施例2のパートBの類似プロセスに従って、活性化脂肪酸鎖である部分B-OSuを線形ペプチド上に移植することにより、化合物6を得た。
【0088】
実施例7:化合物7の調製
実施例2のパートBの類似プロセスに従って、活性化脂肪酸鎖である部分B-OSuを実施例2のパートAの線形ペプチド上に移植することにより、化合物7を得た。
【0089】
実施例8:化合物13の調製
実施例1のパートBの類似プロセスに従って、活性化脂肪酸鎖である部分C-OSuを実施例1のパートAの線形ペプチド上に移植することにより、化合物13を得た。
【0090】
実施例9:化合物14の調製
線形ペプチドを、実施例2のパートAに記載の類似プロセスによって固相方法により調製した。実施例2のパートBの類似プロセスに従って、活性化脂肪酸鎖である部分C-OSuを線形ペプチド上に移植することにより、化合物14を得た。
【0091】
実施例10:化合物15の調製
線形ペプチドを、実施例2のパートAに記載の類似プロセスによって固相方法により調製し、Fmoc保護イソロイシンを最初にWang樹脂と結合し、次いで順次他のアミノ酸を結合することによって開始した。実施例2のパートBの類似プロセスに従って、活性化脂肪酸鎖である部分C-OSuを線形ペプチド上に移植することにより、化合物15を得た。
【0092】
実施例11:化合物16の調製
実施例2のパートBの類似プロセスに従って、活性化脂肪酸鎖である部分D-OSuを実施例2のパートAの線形ペプチド上に移植することにより、化合物16を得た。
【0093】
実施例12:化合物17の調製
実施例2のパートBの類似プロセスに従って、活性化脂肪酸鎖である部分E-OSuを実施例2のパートAの線形ペプチド上に移植することにより、化合物17を得た。
【0094】
実施例13:化合物18の調製
実施例2のパートBの類似プロセスに従って、活性化脂肪酸鎖である部分F-OSuを実施例2のパートAの線形ペプチド上に移植することにより、化合物18を得た。
【0095】
本開示の合成化合物の特性評価データを、以下の表3に提供する。
【表7】
【0096】
実施例14:ラットにおける経口グルコース負荷試験(OGTT)、単回注射、1mg/kg
動物を3つの群(正常対照群、試験群、および第3のセマグルチド群)に分け、各群4匹とした。動物を、OGTTの開始前に12時間絶食させた。試験群動物に、化合物1を1mg/kg用量で皮下注射した。セマグルチド群に、1mg/kgの用量を皮下注射した。試験薬剤またはセマグルチドの皮下注射の22時間後、166時間後、および334時間後に、血糖値測定器を用いて血糖値を測定した(時間0測定値)。次いで、すべての動物に2g/kgのグルコース溶液を経口投与した。血糖値を、グルコース試験の20、40、60、90、および120分後に測定した。体重および食物摂取量を記録した。血糖データを、二元配置分散分析(Two Way ANOVA)を使用して分析し、続いてPRISM(Graph Padバージョン5.03)を使用してBonferroniの検定後補正を実施した。血糖AUC0~120分のデータを、t試験を使用して分析した。
【0097】
本開示のポリペプチドは、ラットにおける経口グルコース負荷試験(OGTT)で研究した場合、対照群と比較して有意なグルコース低下効果を示している。例えば、
図6は、化合物1を投与された試験群およびセマグルチド治療群における、22時間後および46時間後の時間0~120分の血糖値の変化を提供する。単回投与の22時間後、正常対照に対してp<0.001でのANOVAに続いて、Bonferroniの検定後補正を実施し、化合物1は血糖値の統計的に有意な減少を示した。化合物1のグルコース低下効果は、セマグルチドで観察されたグルコース低下効果に対して優れていた(
図6A参照)。皮下投与の46時間後でさえも、化合物1のグルコース低下効果の優越性が観察された(
図6B)。さらに、化合物1およびセマグルチドの両方が、2日目ならびに4日目に観察されたときの対照と比較して、食物摂取量の統計的に有意な減少を示した(表4および5参照)。4日目に化合物1によって示された食物摂取量の減少は、セマグルチドよりも大きかった(表5参照)。体重減少に関しては、試験化合物のみが4日目に体重の有意な減少を示した。
【表8】
【表9】
【0098】
驚くべきことに、LeuおよびIleとしてX33を有する化合物は、所与の研究において血糖の有意な減少を示し、一方でLeuおよびIle以外のアミノ酸を有する化合物は、血糖の低下において有意に少ない効果を有することを見出した。本開示のポリペプチドは、対照群と比較した場合、血糖の有意な減少を示している。また、X33位置にLeuおよびIle以外のアミノ酸を有する化合物も試験した。例えば、化合物1(配列番号05)の32番目の位置にあるLeuをLysおよびSerで置換し、それぞれ化合物標準1および標準2を得た。標準1および標準2は、血糖AUC
0~120分において約35%および15%のみの減少を示した(表6)。
【表10】
【0099】
同様に、32番目の位置に追加のLeuを有する点でリラグルチドとは異なる化合物6、および第2のアミノ酸AlaをAibで置換し、追加の32番目のアミノ酸としてLeuを有する点でリラグルチドとは異なる化合物7は、24時間で血糖低下効果を示し、これはリラグルチドよりも有意に高かった(表6)。
【0100】
化合物1が、グルコース減少、食物摂取量および体重減少に関して有意により良好であると決定されると、本発明の化合物の作用持続時間を決定するために実験を実施した。166時間(7日)後および334時間(14日)後の本発明の代表的化合物(化合物1、13、および16)の効果を研究し、セマグルチドの効果と比較した。化合物を、以下に提供する方法によって試験した。
【0101】
動物を3つの群(正常対照群、試験群、および第3のセマグルチド群)に分け、各群4匹とした。動物を、OGTTの開始前に12時間絶食させた。試験群動物に、化合物1、化合物13、および化合物16を、1mg/kg用量で皮下注射した。セマグルチド群に、1mg/kgの用量を皮下注射した。試験化合物またはセマグルチドの皮下注射の22時間後、166時間後、および334時間後に、血糖値測定器を用いて血糖値を測定した(時間0測定値)。次いで、すべての動物に2g/kgのグルコース溶液を経口投与した。血糖値を、グルコース試験後に20、40、60、90、および120分で測定した。体重および食物摂取量を記録した。血糖データを、二元配置分散分析(Two Way ANOVA)を使用して分析し、続いてPRISM(Graph Padバージョン5.03)を使用してBonferroniの検定後補正を実施した。血糖AUC0~120分のデータを、t試験を使用して分析した。
【0102】
表7は、本発明の代表的化合物(化合物1、13、および16)の血糖AUCの減少を、投与の1日後、7日後、および14日後の対照群と比較して提供する。
【表11】
【0103】
化合物1および13を研究してある実験(実験1)においてセマグルチドと比較し、化合物16を研究して別個の実験(実験2)においてセマグルチドと比較した。注射の168時間後、本発明の化合物1、13、および16は、時間ゼロ血糖値と比較した場合、血糖AUCの約60%の減少を示した。一方、セマグルチドは、時間ゼロ血糖値に対して血糖値の約25%の減少を示した。
【0104】
食物消費量および体重変化について同様の観察を行った。以下の表8に見られるように、代表的化合物(化合物1、13、および16)を投与された動物は、セマグルチドを投与された動物と比較した場合、有意に少ない食物を消費した。化合物16は、体重の実質的な低下を示し、肥満治療への潜在的な有用性を実証した。
【表12】
【0105】
実施例15:慢性治療後のdb/db2型糖尿病マウスにおけるHbA1cの減少
この研究を、糖尿病マウスモデルにおいて行った。動物を、糖尿病対照群、試験群、およびセマグルチド治療群の3つの治療群に分けた。本開示の化合物1を、0.3mg/kg用量で1日1回、3日間(qd×3)、続いて、0.1mg/kg用量を隔日で7用量(q2d*7)、続いて、0.1mg/kg用量を4日に1度、2用量サイクル(q4d×2)皮下注射した。同じ投与レジメンをセマグルチド治療群に投与した。血糖値および体重の測定を毎日行った。%HbA1cを、カラムクロマトグラフィーによって、0日目、7日目、14日目、および27日目に測定した。累積食物摂取量を27日目に計算した。%HbA1Cデータを、二元配置分散分析(Two Way ANOVA)によって分析し、続いてPRISM(Graph Padバージョン5.03)を使用してBonferroniの検定後補正を実施した。
【0106】
化合物1を投与された試験群の動物は、糖尿病対照群と比較して血糖値の統計的に有意な減少を示し(
図7参照)、効果は、研究後期におけるセマグルチド治療群よりも優れていた。化合物1を投与された試験群の動物は、
図8に提供される結果に見られるように、食物摂取量の有意な減少を示した。
図8は、対照および試験化合物で治療されたdb/dbマウスによる、0~27日目の累積食物摂取量を提供する。試験化合物およびセマグルチドの両方が、糖尿病対照群と比較して、食物摂取量の統計的に有意な減少を示した。さらに、試験化合物は、セマグルチドと比較して有意に低い食物摂取量を示した。同じ研究では、化合物1は、糖尿病対照群と比較した場合、体重の有意な減少も示している。
図9は、0日目~27日目の対照群および試験群の体重変化率%の結果を提供する。試験化合物1は、セマグルチド治療群で観察された場合の-8%と比較して、-16%の有意な減少を示した(
図9参照)。
【0107】
糖尿病において、より高い量のHbA1cは、血糖値のより不良な制御を示すものであり、心血管性疾患、腎症、神経障害、および網膜症に関連している。27日間の研究では、化合物1は、慢性治療後のdb/db2型糖尿病マウスにおけるHbA1cレベルの統計的に有意な減少を示した。以下の表9および
図10は、糖尿病対照群および化合物1を用いた慢性治療後の群における0~27日間でのHbA1cのレベルを提供する。効果は、セマグルチドと比較した場合でさえ統計的に有意であった。
【表13】
【0108】
別個の研究では、試験化合物1、13、および16を研究し、HbA1cおよびインスリンレベル、ならびに累積食物消費量、体重変化、および血糖AUCに対するそれらの効果についてセマグルチドと比較した。この研究を、糖尿病マウスモデルに対して上記と同様の様式で実施した。動物を、糖尿病対照群、試験群、およびセマグルチド治療群の3つの治療群に分けた。本開示の代表的化合物である、化合物1、化合物13、および化合物16を、3.04または6.078nM用量で皮下注射した(隔日で最長28日目まで、q2d×15)。同じ投与レジメンをセマグルチド治療群に投与した。血糖値および体重の測定を毎日行った。%Hba1c、インスリンを、0日目、14日目、および29日目に測定した。累積食物摂取量および体重変化を、14日目および29日目に計算した。%HbA1c、インスリンデータを、二元配置分散分析(Two Way ANOVA)によって分析し、続いてPRISM(Graph Padバージョン5.03)を使用してBonferroniの検定後補正を実施した。一方、血糖AUC、体重変化、および累積食物摂取量データを、一元配置分散分析(One Way ANOVA)によって分析し、続いてPRISM(Graph Padバージョン5.03)を使用してBonferroniの検定後補正を実施した。29日目から45日目まで、動物を回復期間に保ち、その間薬物治療は行わなかった。この期間中、血糖値および体重を測定した。45日目に、体重変化、%Hba1c、インスリンを測定した。
【0109】
結果を、以下の表10、11、および12に提供する。
【表14】
【表15】
【表16】
【0110】
約3nMおよび6nMの用量での本開示の代表的化合物(化合物1、13、および16)は、対照と比較した場合にHbA1c、血糖値、食物消費量、および体重において有意な減少を示した(表12)。減少は、約12nM用量でのセマグルチドによって示されるものと同等であった。さらに、効果は29日後でさえ見られ(表13および14)、頻繁な投与を必要とせず、ひいては患者の服薬順守を増す長期作用薬剤を開発するための、本発明の化合物の潜在能力を実証する。
【表17】
【表18】
【0111】
これらの結果は、本発明の化合物が、糖尿病および肥満の治療のための潜在的な使用を見出すことができることを実証する。
【配列表】