(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】腎神経調節治療の有効性を評価するシステム、デバイス、及び方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
A61N1/36
(21)【出願番号】P 2020560877
(86)(22)【出願日】2019-01-17
(86)【国際出願番号】 US2019014059
(87)【国際公開番号】W WO2019147474
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-13
(32)【優先日】2018-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507029764
【氏名又は名称】メドトロニック アーディアン ルクセンブルク ソシエテ ア レスポンサビリテ リミテ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】ヘットトリック,ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】グナセカラン,ベンマシ
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0095535(US,A1)
【文献】特表2017-536187(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0215794(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内に、ヒトの患者の腎血管内の標的部位(target site)に配置されるよう構成さ
れた、遠位部分を有する細長いシャフト、及び
前記シャフトの前記遠位部分に沿って間隔を置いて配置され、第1の電極及び第2の電極を含む複数の電極であって、神経調節(neuromodulation)エネルギーを前記標的部位
の、又は前記標的部位に隣接する標的腎神経に送達するよう構成される複数の電極
を具備する神経調節カテーテルと、
前記電極と通信可能に結合されるよう構成されるコントローラであって、さらに
所定の期間に亘って前記第1の電極と前記第2の電極との間の
複数のインピーダンス測定値を取得し、且つ
前記
複数のインピーダンス測定値に基づいて、前記標的部位の又は前記標的部位の近くの前記腎血管の直径を判定する、
よう構成されるコントローラと
を備え
、
前記患者の体外にあり、前記複数の電極及び前記コントローラに結合されたエネルギー発生器をさらに備え、前記コントローラは、前記腎血管の前記判定された直径に基づいて、前記エネルギー発生器に、前記第1の電極及び前記第2の電極を通して神経調節エネルギーを送達させるよう構成され
、
前記コントローラはさらに、
前記腎血管の前記直径が第1の値である場合、第1のパラメータセットを有する神経調節エネルギーを送達し、且つ
前記腎血管の前記直径が前記第1の値とは異なる第2の値である場合、第2のパラメータセットを有する神経調節エネルギーを送達する、
よう構成され、前記第2のパラメータセットの少なくとも1つのパラメータは、前記第1のパラメータセットの対応するパラメータとは異なる、システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのパラメータは、神経調節エネルギーの量である、請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのパラメータは、前記神経調節エネルギーの送達時間である、請求項
1に記載のシステム。
【請求項4】
前記インピーダンス測定値は、約5秒未満の時間にわたる平均測定値である、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2018年4月23日に出願された米国特許出願第15/960,333号、及び2018年1月24日に出願された米国仮特許出願第62/621,304号の利益を主張し、両出願の全体が本明細書に参照として組み入れられている。
【0002】
[0002]本技術は、神経調節に関する。詳細には、本技術の様々な実施形態は、血管の直径を測定し、測定された血管の直径に基づいて、血管内で実行される神経調節治療のパラメータを修正するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]交感神経系(SNS:sympathetic nervous system)は、主に、通常ストレス反応に関連する不随意の身体制御システムである。SNSの線維は、人体のほぼすべての器官系の組織を通って延在し、瞳孔径、腸の運動性、尿量などの特性に影響を与え得る。かかる調節は、恒常性を維持すること、又は身体に環境要因への迅速な反応の準備をさせることにおいて、適応的な有用性を有し得る。しかし、SNSの慢性的な過剰活性化は、多くの疾患状態の進行を促進し得る、よく見られる不適応な応答である。特に、腎SNSの過剰活性化は、不整脈、高血圧、容量過負荷の状態(たとえば心不全)、及び進行性腎疾患の複雑な病態生理の可能性が高い要因として、実験及びヒトで確認されている。
【0004】
[0004]腎臓の交感神経は、構造体の中でもとりわけ、腎血管、傍糸球体装置、及び腎尿細管で終わる。腎交感神経の刺激作用は、たとえばレニン放出の増加、ナトリウム再吸収の増加、及び腎血流の減少を引き起こす可能性がある。こうした腎機能の神経調節構成要素及び他の神経調節構成要素は、交感神経緊張が高まることを特徴とする疾患状態において、かなり刺激される。たとえば、腎交感神経遠心性刺激作用の結果としての腎血流及び糸球体濾過率の低下は、心腎症候群における、腎機能喪失(すなわち、慢性心不全の進行性合併症としての腎機能不全)の基となる可能性が高い。腎交感神経刺激作用の結果を阻止するための薬理学的戦略は、中枢作用性交感神経遮断薬、ベータブロッカ(たとえば、レニン放出を減少させるため)、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、及び受容体ブロッカ(たとえば、レニン放出に起因するアンジオテンシンII及びアルドステロン活性化の働きを妨げるため)、及び利尿薬(たとえば、腎交感神経性媒介ナトリウム(renal sympathetic mediated sodium)貯留及び水分貯留に対抗するため)を含む。ただし、こうした薬理学的戦略には、有効性の限界、服薬遵守の問題、副作用などを含む、かなりの制限がある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】[0005]本技術の実施形態による、ガイドワイヤの遠位部分がヒトの患者の血管内に配置された、神経調節システムの部分的な概略側面図である。
【
図1B】[0006]本技術の実施形態による、神経調節カテーテルの遠位部分がヒトの患者の血管内で第1の状態にある、
図1Aに示される神経調節システムの部分的な概略側面図である。
【
図1C】本技術の実施形態による、神経調節カテーテルの遠位部分がヒトの患者の血管内で第2の状態にある、
図1Aに示される神経調節システムの部分的な概略側面図である。
【
図2】[0007]本技術の実施形態にしたがって構成される距離センサを備える、
図1Cに示される神経調節システムの部分的な概略側面図である。
【
図3】[0008]ヒトの患者の血管の長手方向軸を近位方向に見通した状態の、
図1Cに示される神経調節カテーテルの正面図である。
【
図4】[0009]本技術の実施形態による、神経調節治療の予測される有効性を評価し、且つ/又は神経調節治療の1つ又は複数のパラメータを修正するプロセス又は方法の流れ図である。
【
図5】[0010]本技術の実施形態による、神経調節エネルギー送達プロファイルを示すグラフである。
【
図6】[0011]本技術の別の実施形態にしたがって構成される神経調節システムの、部分的な概略図である。
【
図7】[0012]本技術の実施形態による、
図6のシステムを用いた腎神経の調節及び/又は神経調節治療の評価を示す図である。
【
図8】[0013]交感神経系(SNS)、及び脳がSNSを介して身体と情報伝達するやり方の概念図である。
【
図9】[0014]左腎動脈を囲む腎神経叢を形成する、左腎臓を神経支配する神経の拡大解剖図である。
【
図10】[0015]脳と腎臓との間の神経の遠心性及び求心性伝達を示す、人体の解剖図である。
【
図11】脳と腎臓との間の神経の遠心性及び求心性伝達を示す、人体の概念図である。
【
図12】[0016]ヒトの動脈の脈管構造の解剖図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0017]本技術の実施形態によるシステム及び方法は、神経調節処置の予測される有効性を術中に評価するために、腎除神経処置などの神経調節処置の前に、腎血管の寸法に関連する測定値を取得することに関する。開示される技法は、たとえば、特定の患者が、送達された神経調節エネルギーから治療上の恩恵を得る可能性を評価するために使用され得る。
【0007】
[0018]最近の研究は、腎血管の直径が、その後にその血管で行われる腎除神経処置の有効性(たとえば、結果として生じる血圧降下、心血管疾患に関連するリスクの低減、心不全状態の改善、不整脈の減少など)と関係づけられ得ることを示唆している。より具体的には、腎除神経は、比較的小さな直径を有する腎血管で一層効果的であり得る。有効性が改善される理由は、任意の数の要因による可能性がある。たとえば、腎神経は、より大きな直径の腎血管では血管壁からより遠く、逆に、より小さな直径の腎血管では血管壁により近い傾向がある。さらに、血管がより小さいほど、神経調節カテーテルの一層大きな圧平する圧力(applanation pressure)を許容し、それにより、カテーテルの神経調節電極と血管壁との間の接触がより適切になる可能性がある。さらに、個々の神経調節電極による単一の損傷で影響を受ける血管周囲の正味の割合は、血管がより小さいほど一層大きくなり得る。有効性が改善される具体的な理由に関係なく、特定の血管で神経調節処置が行われる前に、腎血管の直径(又は関連する値)を測定することで、神経調節処置の成功の可能性(又は成功の可能性がないこと)に関する情報を術中に提供することが期待される。さらに、かかる情報は、電力、時間、位置、及び/又は神経調節処置の際に送達されるエネルギーの他の特性など、神経調節処置のパラメータを修正又は調節し、神経調節処置が成功する可能性を高めるために使用され得る。
【0008】
[0019]現在、神経調節処置を実行する施術者が、処置が成功する可能性が高いかどうか、且つ/又はどこを処置すると成功する可能性が高いかを知るために利用可能な手段は、わずかに限られている。さらに、腎血管の直径を測定するための現在の技法、たとえば、定量的な血管造影検査及び血管内超音波は、追加のデバイス及び処置を必要とし、遅く、コストが高く、且つ比較的不正確な場合がある。
【0009】
[0020]従来の技法とは対照的に、以下に説明されるいくつかの実施形態では、神経調節システムは、(i)血管内の標的部位の又は標的部位の近くの、腎血管の寸法に関連する1つ又は複数の測定値を検出し、且つ(ii)標的部位に治療的神経調節を送達するよう構成された神経調節カテーテルを備え得る。コントローラは、1つ又は複数の測定値を受信し、標的部位の又は標的部位の近くの腎血管の直径を正確に推定できる。少なくとも部分的に直径に基づいて、神経調節システム及び/又はコントローラの操作者は、(i)標的部位に治療的神経調節を送達することの予測される有効性を評価し、(ii)標的部位に送達されるべき治療的神経調節の1つ若しくは複数のパラメータを調節し、且つ/又は(iii)神経調節カテーテルを新しい標的部位に再配置できる。よって、本技術にしたがって構成されたシステムは、神経調節が実行される腎血管の、簡単な神経調節前の測定値を検出することにより、個別の従来の測定システムを使用する、コストが高く予期しない追加の測定を行う必要なしに、神経調節処置の有効性を改善することが期待される。
【0010】
[0021]本技術のいくつかの実施形態の具体的な詳細は、
図1A~
図13を参照して本明細書で説明される。実施形態の多くは、血管内腎神経調節用デバイス、システム、及び方法に関して説明されているが、本明細書で説明されているものに加えて、他の用途及び他の実施形態が本技術の範囲に入る。たとえば、本技術の少なくともいくつかの実施形態は、血管外神経調節、血管内非腎臓神経調節、及び/又は神経調節以外の治療での使用に有用であり得る。本明細書に開示されているものに加えて、他の実施形態も本技術の範囲に入ることに留意されたい。さらに、本技術の実施形態は、本明細書で図示された又は説明されたものとは異なる構成、構成要素、及び/又は処置を含んでもよい。さらに、本技術から逸脱することなく、本技術の実施形態が、本明細書で図示された又は説明されたものに追加して構成、構成要素、及び/又は処置を含んでもよいこと、そしてこうした実施形態及び他の実施形態が、本明細書で図示された又は説明された構成、構成要素、及び/又は処置のいくつかがなくてもよいことを、当業者は理解されよう。
【0011】
[0022]本明細書で使用される場合、用語「distal」及び「proximal」は、臨床医又は臨床医の制御デバイス(たとえば、神経調節カテーテルのハンドル)に対する場所又は方向を定義する。用語「distal」及び「distally」は、デバイスの長さに沿って、臨床医又は臨床医の制御デバイスから離れた場所、又は臨床医又は臨床医の制御デバイスから離れる方向を指す。用語「proximal」及び「proximally」は、デバイスの長さに沿って、臨床医又は臨床医の制御デバイスの近傍の場所、又は臨床医又は臨床医の制御デバイスに向かう方向を指す。本明細書で提供される見出しは、便宜上のものに過ぎず、開示された主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0012】
I. 神経調節カテーテル及びシステムの選択された実施形態
[0023]
図1A~
図1Cは、本技術の実施形態にしたがって構成され、ヒトの患者の血管V(たとえば、腎動脈)内の標的部位に配置される際の、相異なる配置構成で示される、神経調節システム100(「システム100」)の部分的な概略側面図である。システム100は、ガイドワイヤ101(
図1Aでのみ見える)及びガイドワイヤ101上を血管V内の標的部位まで進み得る神経調節カテーテル102を備える。他の実施形態では、神経調節カテーテル102は、他の方法によって(たとえば、ガイドカテーテルを通して、シースを引き込むことによって、プルワイヤを使って、など)、標的部位へ送達されるよう構成され得る。
【0013】
[0024]神経調節カテーテル102は、標的部位で神経調節治療を実行し、たとえば血管Vの壁に近接する神経を焼灼するよう構成される。以下でより詳細に論じられるように、神経調節カテーテル102はさらに、その後に標的部位で実行される神経調節治療の予測される有効性を評価するために、神経調節治療の前に、血管Vの寸法(たとえば、直径、断面積、円周、部分に分かれた容積など)に関連する1つ又は複数の測定値を検出するよう構成される。システム100は、有線又は無線通信リンクを介して神経調節カテーテル102に通信可能に結合された1つ又は複数のコントローラ104をさらに備える。
【0014】
[0025]
図1Aを参照して、ガイドワイヤ101は、血管V内の標的部位に配置されるよう構成された遠位部分103aと、患者の体外へ、操作者が所望の場所/向きに遠位部分103aを操作することを可能にするハンドル(図示されず)又は他の機構まで延出する近位部分(見えない)とを具備する、細長い部材103を備える。細長い部材103は、神経調節カテーテル102の管腔内に摺動可能に配置されるサイズに作られ得る。さらに、細長い部材103は、細長い部材の長さに沿って剛性が均一であってもよく、又は細長い部材の長さに沿って剛性が一様でなくてもよい。他の実施形態では、細長い部材103は、他の好適な構成要素及び/又は構造を備え得る。
【0015】
[0026]
図1Bに最も適切に示されるように、神経調節カテーテル102は、ガイドワイヤ101上を摺動可能に送達されるよう構成される細長いシャフト106を備える。細長いシャフト106は、血管内に、血管V内の標的部位に配置されるよう構成された遠位部分106aと、患者の体外へ、操作者が細長いシャフト106の遠位部分106aを操作することを可能にするハンドル(図示されず)又は他の機構まで延出する近位部分106bとを備える。
図1B及び
図1Cに示されるように、たとえば、神経調節カテーテル102は、細長いシャフト106の遠位部分106aが少なくともほぼまっすぐな低背の送達配置構成である第1の状態又は配置構成(
図1B)と、遠位部分106aが螺旋/弦巻き形状に変形されたか、又はさもなければ拡張された、第2の(たとえば、展開された、拡張された、など)状態又は配置構成(
図1C)との間で変形可能である。
【0016】
[0027]
図1B及び
図1Cを一緒に参照すると、神経調節カテーテル102は、細長いシャフト106の遠位部分106a及び遠位先端108(たとえば、非侵襲的な先端)に沿って、間隔をあけて配置された電極110などの複数のエネルギー送達要素を備える。図示された実施形態では、神経調節カテーテル102は、4つの電極110(それぞれ第1から第4の電極110a~110dとして個々に識別される)を備える。しかし、他の実施形態では、神経調節カテーテル102は、1つ、2つ、3つ、又は4つより多い電極110を備えてもよく、且つ/又は別のエネルギー送達要素を備えてもよい。電極110は、神経調節エネルギーを標的部位に送達し、標的部位に近接する神経(たとえば、腎神経)を調節又は焼灼するよう構成される。他の実施形態では、神経調節カテーテル102は、パルス式電気エネルギー、マイクロ波エネルギー、光エネルギー、超音波エネルギー(たとえば、血管内を送達される超音波及び/若しくは高密度焦点式超音波(HIFU:high-intensity focused ultrasound))、直接熱エネルギー、放射線(赤外線、可視光線、及び/若しくはガンマ放射線)、並びに/又は他の好適な種類のエネルギーなど、他の好適な神経調節様式を使用する、エネルギーを送達して神経を調節する電極、トランスデューサ、又は他の要素を備え得る。特定の実施形態では、神経調節カテーテル102は、冷凍治療による加療用に構成されてもよく、冷媒を用いて(たとえば、冷媒を循環させるバルーンカテーテルを使って)、血管Vに極低温冷却を施し得る。
【0017】
[0028]細長いシャフト106の遠位部分106a(たとえば、
図1Cに示される、第2の状態で螺旋/弦巻き形状を有する部分)の寸法(たとえば、外径及び長さ)は、遠位部分106aがその中を送達されるよう設計されている血管又は他の体腔に適応するよう選択され得る。たとえば、第2の状態にあるとき、細長いシャフト106の遠位部分106aの軸方向の長さは、患者の腎動脈(たとえば、典型的には7cm未満)より長くならないよう選択され、典型的な腎動脈の内径(たとえば、約2~10mm)に適応する直径を有し得る。他の実施形態では、細長いシャフト106の遠位部分106aは、その内部で遠位部分116が展開されるよう構成される体腔に応じた、他の寸法を有し得る。遠位部分106aの選択された寸法に関係なく、いくつかの実施形態では、神経調節カテーテル102を使って神経調節処置を実行する前に、遠位部分106aの1つ又は複数の寸法が既知である。以下でより詳細に説明されるように、いくつかの実施形態では、既知の寸法が、螺旋/弦巻き状の第2の状態での遠位部分106aの直径などの、遠位部分106aの他の(たとえば、可変の、未知の、一定でない、など)寸法を計算するために使用され得る。さらなる実施形態では、細長いシャフト106の遠位部分106aは、他の好適な形状(たとえば、半円形、湾曲、直線など)を有してもよく、且つ/又は神経調節カテーテル102は、1つ又は複数の電極110を担持するよう構成された複数の支持部材を備え得る。細長いシャフト106の遠位部分106aはまた、1つ又は複数の電極110を血管壁に接触させるために、螺旋/弦巻き状の第2の状態に拡張されると、血管に所望の径方向外向きの力を加えるよう設計され得る。
【0018】
[0029]いくつかの実施形態では、システム100は、コンソール(図示されず)を備える。コントローラ104は、コンソールから分離されていてもよく、又はコンソールと統合されてもよい。コントローラ104は、直接及び/又はコンソールを介して、神経調節カテーテル102の1つ又は複数の構成要素(たとえば、電極110)の動作を、開始、終了、及び/又は調節するよう構成され得る。たとえば、以下でより詳細に説明されるように、コントローラ104は、それぞれの電極110間のインピーダンスを、連続的又は断続的に監視するよう構成され得る。コンソールは、無線及び/又は有線通信リンクを介して、神経調節カテーテル102と通信するよう構成され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、コンソールは、神経調節カテーテル102との有線接続を受容するアクセスポートを備え得る。コンソールは、神経調節カテーテル102の動作を制御、監視、提供、及び/又はさもなければ補助するよう構成され得る。コンソールはさらに、電極110を通して標的部位の組織に送達するための、選択された形態及び/又は大きさのエネルギーを生成するよう構成され得る。したがって、コンソールは、神経調節カテーテル102の加療様式に応じて異なる構成を有し得る。たとえば、コンソールは、RFエネルギーを生成するよう構成されたエネルギー発生器(図示されず)を備え得る。さらに、コンソールは、神経調節処置の前、最中、及び/又は後に、操作者に、たとえば血管Vの判定された直径、及び/又は標的部位で実行される神経調節処置の予測される有効性などのフィードバックを提供するよう構成され得る。
【0019】
[0030]
図1A~
図1Cに示される神経調節カテーテル102の実施形態は、螺旋/弦巻き形状の構造を有するが、他の実施形態では、神経調節カテーテル102は、他の好適な形状、サイズ、及び/又は構造を有し得る。他の好適なデバイス及び技法は、たとえば、米国特許第8,777,942号、米国特許第9,084,610号、米国特許第9,060,755号、米国特許第8,998,894号、2011年10月25日に出願されたPCT出願第PCT/US2011/057754号、及び米国特許第8,888,773号に説明されている。前述の出願はすべて、参照によりその全体が本明細書に組み入れられている。デバイスの別の非限定的な例は、Symplicity Spyral(商標)多電極RF焼灼カテーテルを含む。
【0020】
II. 血管の寸法を判定する測定要素を備える神経調節カテーテルの、選択された実施形態
[0031]上記で説明されたように、神経調節治療は、直径がより小さい血管で、又は同じ血管の比較的小さい部分で実行されるほど、成功する又は効果的である(たとえば、標的神経の所望の程度の焼灼をもたらし、且つ/又は標的神経の十分な容積を焼灼する)可能性が一層高まると期待される。したがって、その血管内で実行される神経調節治療の予測される有効性を相関的に判断し、且つ/又は神経調節治療の1つ又は複数のパラメータを修正するために、患者の血管の寸法(たとえば、直径)を測定することは有利であり得る。以下で詳細に説明されるように、本技術のシステム100は、概して、神経調節エネルギーを送達する前に、血管の寸法に関連する1つ又は複数の測定値を検出する(たとえば、取得する、作成するなど)よう構成された、少なくとも1つの測定要素を備える。たとえば、いくつかの実施形態では、測定要素は、神経調節カテーテル102の細長いシャフト106の遠位部分106aに、1つ又は複数の電極110を備え得る。かかる実施形態では、システム100は、神経調節エネルギーが電極110を通って送達される前に、2つ以上の電極110間のインピーダンスを測定するよう構成され得る。検出されたインピーダンス測定値は、コントローラ104及び/又は患者の体外の別のデバイスに送信され得る。コントローラ104は、検出されたインピーダンス測定値を受信して記憶し、検出されたインピーダンス測定値の1つ又は複数に少なくとも部分的に基づいて、血管Vの寸法(たとえば、直径)を判定するよう構成され得る。
【0021】
[0032]より具体的には、いくつかの実施形態では、電極110間のインピーダンスを測定するために、信号(たとえば、低電力電気信号)が、1つ又は複数の電極110のペア間で送信され得る。特定の実施形態では、2つの相異なる電極の組合せ間のインピーダンスが測定され得る。たとえば、信号は、(i)第1の電極110aと第2の電極110bとの間、(ii)第1の電極110aと第3の電極110cとの間、(iii)第1の電極110aと第4の電極110dとの間、(iv)第2の電極110bと第3の電極110cとの間、(v)第2の電極110bと第4の電極110dとの間、並びに(vi)第3の電極110cと第4の電極110dとの間で送信され得る。いくつかの実施形態では、インピーダンス測定値は、電極110のペアのすべての組合せよりも少ない組合せについて取得されてもよい(たとえば、第1の電極110aと第4の電極110dとの間のただ1つのインピーダンス測定値)。
【0022】
[0033]インピーダンスを測定するために使用される電極110の組合せに関係なく、取得されたインピーダンス測定値は、コントローラ104に記憶され、電極110の近く(たとえば、標的部位の近く)の血管Vの寸法を判定するよう処理される。たとえば、いくつかの実施形態では、血管Vの寸法は、円柱方程式を使用して推定され得る。
【0023】
【0024】
[0034]当技術分野でよく知られているように、円柱方程式(1)は、一定の抵抗率ρの材料で満たされた比較的一定の直径の円柱の断面積Aが、距離Lにわたって測定されたインピーダンスRに比例することを提示している。血管V内の血液の抵抗率ρは、円柱方程式(1)に1つ又は複数の所定の補正係数を適用することによって、直接測定又は推定され得る。したがって、選択された電極110間の既知の長手方向の距離Lに基づいて、断面積A(したがって、血管Vの直径)が推定され得る。
【0025】
[0035]一般に、インピーダンス測定値及び/又は関連する値(たとえば、電極間の対応する長手方向の距離、対応する血管の直径など)は、平均化され、且つ/又はさもなければ組み合わされて、血管Vの直径又は別の寸法(たとえば、周長)の比較的正確な推定値を提供できる。特定の実施形態では、電極110で検出されたインピーダンス測定値は、血管Vの実際の(たとえば、絶対)寸法を判定するために使用され得るが、一方他の実施形態では、インピーダンス測定値は、血管Vの(たとえば、血管内の第1の位置から第2の位置までの)寸法の相対的な差異を判定するために、基準測定値と比較され得る。
【0026】
[0036]電極110を使用して血管Vの寸法に関連する測定値を検出することの1つの利点は、神経調節カテーテル102に物理的修正が行われる必要がないことである。すなわち、血管V内の血液の抵抗率が既知であるか又は推定され得る場合、標的血管Vの直径を判定するために、神経調節エネルギーを送達するのと同じ電極110が使用され得る。
【0027】
[0037]特定の実施形態では、システム100の測定要素は、神経調節カテーテル102の遠位部分に配置された別個の構成要素を備え得る。
図2は、たとえば、距離センサ(たとえば、近接センサ)を備える、
図1Cに示された(たとえば、第2の状態にある)神経調節システムの部分的な概略側面図である。距離センサは、遠位先端108などの神経調節カテーテル102の第1の部分と、神経調節カテーテル102のより近位にある第2の部分との間の距離を検出するよう構成され得る。たとえば、図示される実施形態では、距離センサは、遠位先端108上の第1の感知構成要素223と、神経調節カテーテル102の遠位部分上にあり、第4の電極110dの近位に配置される、第2の感知構成要素224とを備える。いくつかの実施形態では、距離センサは、第1の感知構成要素223と第2の感知構成要素224(「感知構成要素223、224」)との間の距離を測定するよう構成される、容量性距離センサ、ホール効果距離センサ、圧電距離センサ、磁気距離センサ、及び/又は別の種類の距離センサである。神経調節カテーテル102の既知の寸法に基づいて、血管Vの寸法(たとえば、直径)を判定するために、感知構成要素223と224との間の検出された距離が使用され得る。
【0028】
[0038]具体的には、感知構成要素223と224との間の検出された距離は、血管Vの直径を判定するために使用され得る。というのは、たとえば、感知構成要素間の長手方向の距離は、血液Vの直径にしたがって変わるものであるからである(たとえば、血管Vがより小さい直径を有し、神経調節カテーテル102の遠位部分が径方向に完全には拡張されていない場合、長手方向の距離はより長くなるであろう)。より具体的には、いくつかの実施形態では、神経調節カテーテル102が第2の(拡張)状態にあるときの神経調節カテーテル102の遠位部分の回転角を判定するために、感知構成要素223と224との間の長手方向の距離が使用され得る。神経調節カテーテル102の既知の寸法に基づいて、血管Vの内壁と並置する神経調節カテーテル102の遠位部分の直径を計算するために、回転角が使用され得る。したがって、判定された神経調節カテーテル102の遠位部分の直径は、血管Vの直径を推定するために使用され得る。
【0029】
[0039]他の実施形態では、感知構成要素223、224は、神経調節カテーテル102に対して別様に配置されてもよい。たとえば、第2の感知構成要素224は、神経調節カテーテル102に対してさらに遠位又は近位に(たとえば、電極110の1つに隣接して)配置されてもよく、且つ/又は第1の感知構成要素223は、遠位先端108の近位に配置されてもよい。図示される実施形態では、感知構成要素223、224は、神経調節カテーテル102の外部に配置されている。しかし、他の実施形態では、検知構成要素223、224は、神経調節カテーテル102内に(すなわち、内部に)、完全に又は部分的に配置されてもよい。特定の実施形態では、システム100は、2つ以上の距離センサを備えることができ、且つ/又は1つ若しくは複数の距離測定値が、平均化されるか若しくはさもなければ組み合わされ、血管Vの寸法を推定できる。さらに、感知構成要素223、224は、神経調節カテーテル102を通って延在する1本又は複数本のワイヤを介して、コントローラ104及び/又はシステム100の他の構成要素と結合されてもよく、又は感知構成要素223、224は、無線で、コントローラ104及び/又はシステム100の他の構成要素と結合されてもよい。
【0030】
[0040]
図3は、神経調節カテーテル102の遠位部分に配置された測定要素の、別の実施形態を示す。具体的には、
図3は、
図1Cに示される第2の状態における神経調節カテーテル102の遠位部分の、且つ血管Vの長手方向軸L(
図1Cに示される)を近位方向に見通した状態の、正面図である。
図3に示されるように、システム100は、神経調節カテーテルの遠位先端108に配置された距離センサ322を備え得る。他の実施形態では、距離センサ322は、神経調節カテーテル102の遠位部分の、どこか他の場所に配置されてもよい。距離センサ322は、神経調節カテーテル102の遠位部分が血管V内で回転されると、血管Vの周長(又は他の寸法)を測定するよう構成された、走行距離計型のセンサ(たとえば、ホイール、トラックボール、他の回転可能な構成要素など)であってもよい。たとえば、システム100は、距離センサ322が血管Vの周囲を完全に通過する(たとえば、1回転)ように、神経調節カテーテル102の遠位部分を矢印Cの方向に自動的に(たとえば、患者の体外にあるモータを使って)回転させるよう構成され得る。検出された血管Vの周長は、血管Vの直径を判定するために容易に使用され得る。
【0031】
[0041]他の実施形態では、システム100の測定要素は、血管Vの寸法に関連する測定値を検出するのに好適な、他の構成要素を備え得る。たとえば、いくつかの実施形態では、バルーン又は他の膨張可能な構成要素が、神経調節カテーテル102の遠位部分に、少なくとも部分的に配置され得る。たとえば、バルーンは、(i)神経調節カテーテル102の外側に配置され、(ii)少なくとも1つの固定寸法(たとえば、長手方向の固定長)を有し、且つ(iii)測定された(たとえば、既知の)容積又は膨張圧で膨張し得る。したがって、バルーンが血管Vの内壁と接触するよう膨張すると、血管Vの直径が推定され得る。いくつかの実施形態では、バルーンは、いつバルーンが血管Vの内壁と接触するかを検出するよう構成される、1つ又は複数の電極を備え得る。いくつかのかかる実施形態では、バルーン上の電極はまた、神経調節エネルギーを送達するよう構成され得る。他の実施形態では、いつバルーンが血管Vの内壁に接触するかを検出するために、バルーン内部の圧力が測定され、使用され得る。たとえば、バルーンの圧力の突然の増加は、バルーンが血管Vの内壁と並置されていることを示し得る。
【0032】
[0042]他の実施形態では、システム100の測定要素は、神経調節カテーテル102の遠位部分に配置され、電気要素がどれだけ曲げられたかに基づいて変化する可変抵抗を有する、1本又は複数本のワイヤ又は他の電気要素を備え得る。いくつかのかかる実施形態では、たとえば、神経調節カテーテル102の遠位部分の直径を判定するために、電気素子の抵抗値が使用され得る(たとえば、直径に関係づけられ得る)。具体的には、抵抗値の変化は、神経調節カテーテル102の曲率に直接関連づけられ得、上記で詳細に示されたように、血管Vの直径を判定するために使用され得る。したがって、電気素子の抵抗値に基づいて、血管Vの直径が推定され得る。
【0033】
[0043]さらに他の実施形態では、測定要素100は、たとえば、X線透視法、磁気共鳴画像法(MRI:magnetic resonance imaging)、血管内超音波(IVUS:intravascular ultrasound)などのよく知られた撮像技法で使用される、標準的な撮像システム及び/又は構成要素を備え得る。
【0034】
[0044]説明された各実施形態は、神経調節カテーテル102を使って、血管Vの寸法に関連する測定を容易にすることが期待される。かかる測定は、血管V内の標的部位の近くの血管Vの直径、及び相関的に、標的部位でその後に実行される神経調節治療の予測される有効性を判断又は推定するために使用され得る。したがって、本技術の実施形態は、標的血管の寸法を測定し、且つその同じ血管に隣接する標的神経に神経調節エネルギーを送達するために、同じデバイスが使用され得るので、神経調節治療の予測される有効性を迅速且つ低コストで判断することが期待される。以下でさらに詳細に説明されるように、本技術はまた、(i)神経調節エネルギー送達プロファイルのカスタマイズ、及び/又は(ii)改善された標的部位選択を可能にすることにより、神経調節治療の有効性を高めることも期待される。
【0035】
III. 神経調節治療の予測される有効性を評価し、且つ/又は神経調節治療の1つ又は複数のパラメータを修正する、選択された方法
[0045]
図4は、本技術の実施形態による、神経調節治療の予測される有効性を評価し、且つ/又は神経調節治療の1つ又は複数のパラメータを修正する方法又はプロセス400の流れ図である。方法400は、
図1A~
図3を参照して上記で説明されたシステム100を使用して、且つ/又は他の好適なシステムを使用して実施され得る。たとえば、方法400の様々なステップを実行するために、神経調節カテーテル102及び/又はコントローラ104が使用され得る。したがって、例示のために、方法400のいくつかの特徴が、
図1A~
図3に示される実施形態に関連して説明されることになる。
【0036】
[0046]方法400は、ブロック402で始まり、神経調節カテーテル102をヒトの患者の血管V内の標的部位に配置するステップを含む。いくつかの実施形態では、神経調節カテーテル102を配置するステップは、(i)標的部位に近接する血管Vの一部に沿ってガイドワイヤ101を配置するステップ(
図1A)、(ii)神経調節カテーテル102をガイドワイヤ101上で標的部位まで進めるステップ(
図1B)、及び(iii)神経調節カテーテル102の遠位部分を、電極110が血管Vの壁に接触する螺旋/弦巻き形状に変形させるか又はさもなければ拡張するステップ(
図1C)を含む。
【0037】
[0047]ブロック404において、方法400は、たとえば、神経調節カテーテル102の測定要素を使用することによって、標的部位の近くの血管Vの寸法(たとえば、直径、周長など)に関連する又は対応する1つ又は複数の測定値を取得するステップを含む。たとえば、上記で詳細に説明されたように、測定値は、2つ以上の電極110間のインピーダンス測定値、神経調節カテーテル102の離間された部分間の距離、2つ以上の電極110間の距離、神経調節カテーテル102の遠位部分の回転角、膨張可能なバルーンの容積などのうちの1つ又は複数を含み得る。より具体的には、測定要素が電極110を備える特定の実施形態では、コントローラ104は、(i)血管Vを通って伝搬する1つ又は複数の信号を生成及び検出するように電極110を制御し、且つ(ii)血管Vの寸法に関連する2つ以上の電極110間の1つ又は複数のインピーダンス値を判定するよう構成され得る。測定要素が距離センサを備える他の実施形態(
図2及び
図3)では、コントローラ104は、距離センサを制御して、血管Vの寸法に関連する距離測定値を取得するよう構成され得る。
【0038】
[0048]さらに、1つ又は複数の測定値は、単一の測定値、又はいくつかの相異なる測定値の複合若しくは平均であり得る。たとえば、測定値は、心周期の間の血管Vの寸法の変化を考慮するため(たとえば、収縮期及び拡張期の異なる血管の直径を考慮するため)、数秒間(たとえば、約0.5秒、約1秒、約2秒、約5秒未満など)にわたって取得された、いくつかの測定値の平均であり得る。いくつかの実施形態では、取得された測定値は、コントローラ104のメモリ及び/又はシステム100の別の構成要素に伝達され、記憶され得る。
【0039】
[0049]ブロック406で、方法400は、神経調節カテーテル102の測定要素を使って取得された1つ又は複数の測定値に基づいて、標的部位の又は標的部位の近くの血管Vの直径を判定するステップを含む。たとえば、上記で詳細に説明されたように、コントローラ104又はシステム100の別の構成要素は、1つ又は複数の測定値を処理して、血管Vの直径を(たとえば、神経調節カテーテル102の既知の性質に基づいて)判定できる。判定された血管Vの直径に基づいて、コントローラ104及び/又はシステム100の操作者は、たとえば、直径を、神経調節治療の予測される結果と関係づけることにより、標的部位で神経調節治療を実行することの予測される有効性(たとえば、腎除神経処置後のある時点での、期待される血圧の低下)を評価できる。たとえば、血管Vの直径が基準値よりも小さい場合、コントローラ104及び/又は操作者は、神経調節治療がより効果的となる可能性が高いと判断できる。いくつかの実施形態では、基準値は、同じ血管V内の異なる位置(たとえば、異なる標的部位)の直径の測定値、又は患者の体内の異なる血管の直径の測定値であり得る。特定の実施形態では、基準測定値は、(たとえば、同様の特徴を有する患者の)平均血管サイズ、又は患者固有ではない別の値であり得る。
【0040】
[0050]いくつかの実施形態では、ブロック408で、方法400は、神経調節カテーテル102を、たとえば、血管V内の異なる標的部位に再配置するステップを含み得る。たとえば、特定の実施形態では、神経調節カテーテル102の測定要素は、(たとえば、神経調節カテーテル102が血管V内を移動する際に)血管V内の複数の位置で血管Vの直径を推定し、血管Vの最小直径の部分を判断するために使用され得る。いくつかの実施形態では、血管Vの最小直径部分を識別するために、推定される直径が、システム100の操作者に対して(たとえば、コンソール上でリアルタイム又はほぼリアルタイムで)表示され得、操作者は、ディスプレイを見て、患者の体内の神経調節カテーテル102を操作できる。
【0041】
[0051]いくつかの実施形態では、ブロック410で、方法400は、標的部位に送達されるべき神経調節治療の1つ又は複数のパラメータを、調整するステップを含み得る。たとえば、
図5は、本技術の実施形態による、好適な神経調節エネルギー送達プロファイルを示すグラフである。
図5に示されるように、神経調節治療は、送達される神経調節エネルギーの電力が、時間T1にわたって電力P1まで上昇する初期電力ランプ段階を含み得る。次いで、送達される神経調節エネルギーの電力が、時間T3にわたって電力P2まで傾斜する第1ステップのランプ段階の前に、電力P1が時間T2にわたって維持され得る。次いで、送達される神経調節エネルギーの電力が、時間T5にわたって電力P5まで傾斜する第2ステップのランプ段階の前に、電力P2が時間T4にわたって維持され得る。次いで、電力は、(i)電力P4まで降下され、時間T6にわたって維持され、次いで、(ii)電力P3まで降下され、時間T7にわたって維持され得る。他の実施形態では、神経調節エネルギー送達プロファイルは、他の構成及び/又はパラメータを有し得る。
【0042】
[0052]いくつかの実施形態では、電力P1~P5及び/又は送達時間T1~T7は、推定される血管の直径に基づいて、システム100の操作者によって手動で、且つ/又はコントローラ104によって自動で調整され得る標準又は基準値である。すなわち、エネルギー送達プロファイルは、エネルギー送達プロファイルが固定電力出力(たとえば、固定最大値に維持された電力出力)を使った均一な焼灼の深さを目標とする従来のシステムとは対照的に、血管Vの壁からの深さが一様でない腎神経を標的とするために修正され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、血管の直径が比較的大きいと測定された場合、標的部位に近接する標的神経が、除神経されるのに十分な神経調節エネルギーを確実に受容するように、送達時間(たとえば、T1~T7のいずれか若しくはすべて)が増やされ得るか、且つ/又は送達される電力量(たとえば、P1~P5のいずれか若しくはすべて)が増やされ得る。したがって、本技術は、腎血管の直径に関係なく、標的とされる腎神経のより均一な神経調節加療を可能にし得る。
【0043】
[0053]特定の実施形態では、システム100のコンソール上のメニューは、それぞれが神経調節パラメータの異なる組合せを提示する、血管の直径の2つ以上の選択可能なオプションを含み得る。いくつかのかかる実施形態では、オプションは、たとえば、主血管オプション(たとえば、比較的大きな直径を有する血管についての)及び分岐オプション(たとえば、比較的小さな直径を有する血管についての)を含み得る。かかる実施形態は、分岐血管が、対応する主血管よりも比較的直径が小さいという仮定に基づいている。いくつかの実施形態では、メニューは、たとえば、周囲の脈管構造がより多い(たとえば、標的部位から離れる方向への熱伝達が増加する)分岐血管オプション、及び周囲の脈管構造がより少ない分岐血管オプションなど、より具体的なオプションを含み得る。特定の実施形態では、方法400は、神経調節エネルギー送達プロファイルのパラメータは調整される必要がないと判断でき、方法400は、直接ブロック412に進み得る。
【0044】
[0054]神経調節治療の好適な標的部位及びパラメータが選択されると、方法400はブロック412に進み、神経調節エネルギーが血管V内の標的部位に送達されて、血管Vの壁に近接する神経を焼灼する。たとえば、方法400は、RFエネルギー(たとえば、電極110を通して)、パルス式電気エネルギー、マイクロ波エネルギー、光エネルギー、超音波エネルギー(たとえば、血管内を送達される超音波及び/若しくはHIFU)、直接熱エネルギー、放射線、極低温冷却、化学物質ベースの加療、並びに/又は別の好適な種類の神経調節エネルギーを印加するステップを含み得る。
【0045】
[0055]上記で説明されたように、研究は、神経調節治療が実行される腎血管の直径と、神経調節処置の最終的な有効性(たとえば、血圧の最終的な降下)との間に強い相関があることを示唆している。したがって、神経調節エネルギーを送達する前に腎血管の直径を判定し、その後で、神経調節カテーテルの場所及び/又は送達されるべき神経調節エネルギーのパラメータを調整することは、神経調節処置の有効性を高めることが期待される。したがって、システム100は、効率的且つ効果的な神経調節加療を容易にし得る。
【0046】
IV. 神経調節デバイス及び関係するシステムの選択された例
[0056]
図6は、本技術の実施形態にしたがって構成される治療システム600(「システム600」)の部分的な概略図である。システム600は、
図1A~
図3を参照しながら上記で説明された神経調節システム100と同様の、様々な特徴を有し得る。加えて、システム600は、本明細書に記載される方法のうちのいずれをも実施するために使用され得る。
図6に示されるように、システム600は、神経調節カテーテル602、コンソール614、及びそれらの間を延在するケーブル606を備える。神経調節カテーテル602は、近位部分608b、遠位部分608aを具備する細長いシャフト608、及び近位部分608bで細長いシャフト608に動作可能に接続されたハンドル611を備え得る。細長いシャフト608は、外径0.7、1.0、1.3、1.7、2.0、若しくは2.3mm(2、3、4、5、6、若しくは7フレンチ)、又は別の好適なサイズであり得る。
図6に示されるように、1つ又は複数の電極610は、細長いシャフト608の遠位部分608aに沿って、間隔をあけて配置され得る。電極610は、患者の体内の血管若しくは血管に近接する標的部位に電気刺激(たとえば、無線周波数(RF:radio frequency)エネルギー)を与え、神経を一時的に機能不全にし、神経調節エネルギーを標的部位に送達し、且つ/又は血管インピーダンスを検出するよう構成され得る。様々な実施形態では、特定の電極610は、刺激の供給及び/又はインピーダンスの検出専用であってもよく、神経調節カテーテル602は、冷凍治療での冷却、超音波エネルギーなどのような、様々な様式を使用する神経調節治療を提供する、他の種類の治療要素を備え得る。
【0047】
[0057]コンソール614は、神経調節カテーテル602の動作を制御、監視、提供、及び/又はさもなければ補助するよう構成され得る。加えて、コンソール614は、評価/フィードバックアルゴリズム616によって、加療処置の前、最中、及び/又は後に、操作者にフィードバックを提供するように構成され得る。コンソール614はさらに、電極610を通して加療部位の組織に送達するための、選択された形態及び/又は大きさのエネルギーを生成するよう構成され得る。したがって、コンソール614は、神経調節カテーテル602の加療様式に応じて相異なる構成を有し得る。たとえば、神経調節カテーテル602が電極ベース、熱要素ベース、又はトランスデューサベースの加療用に構成されている場合、コンソール614は、RFエネルギー(たとえば、単極及び/若しくは双極RFエネルギー)、パルス式エネルギー、マイクロ波エネルギー、光エネルギー、超音波エネルギー(たとえば、血管内を送達される超音波及び/若しくは高密度焦点式超音波(HIFU))、直接熱エネルギー、放射線(たとえば、赤外線、可視光線、及び/若しくはガンマ放射線)、並びに/又は別の好適な種類のエネルギーを生成するよう構成される、エネルギー発生器670(模式的に図示される)を備え得る。この構成では、コンソール614はまた、電極610を制御するための評価/フィードバックアルゴリズム616を有し得る。選択された実施形態では、エネルギー発生器670は、1つ又は複数の電極610を通して単極電場を送達するよう構成され得る。かかる実施形態では、中性電極又は分散電極660が、エネルギー発生器670に電気的に結合され、患者の外面に取り付けられ得る。神経調節カテーテル602が冷凍治療による加療用に構成される場合、コンソール614は、冷媒貯留部(図示されず)を備えることができ、神経調節カテーテル602に冷媒を供給するよう構成され得る。同様に、神経調節カテーテル602が化学物質ベースの加療(たとえば薬剤注入)用に構成される場合、コンソール614は、化学物質貯留部(図示されず)を備えることができ、神経調節カテーテル602に1種又は複数種類の化学物質を供給するよう構成され得る。
【0048】
[0058]様々な実施形態では、システム600は、神経調節カテーテル602に通信可能に結合されたコントローラ604をさらに備え得る。コントローラ604は、直接及び/若しくはコンソール614を介して、且つ/又は有線若しくは無線通信リンクを介して、神経調節カテーテル602の1つ又は複数の構成要素(たとえば、電極610)の動作を、開始、終了、及び/又は調節するよう構成され得る。様々な実施形態では、システム600は、複数のコントローラを備え得る。他の実施形態では、神経調節カテーテル602は、単一のコンソール604と通信可能に結合され得る。コントローラ604は、患者の体外に配置され、システム600を操作するために使用されるコンソール614又はハンドル611と統合されてもよい。他の実施形態では、コントローラ604は、省略されるか、又は他の好適な位置(たとえば、ハンドル611内、ケーブル606に沿って、など)にあってもよい。コントローラ604は、直接及び/又はシステムの別の態様(たとえば、コンソール614及び/又はハンドル611)を介して、神経調節カテーテル602の1つ又は複数の構成要素の動作を開始、終了、及び/又は調節する、コンピュータで実施される命令を有し得る。たとえば、コントローラ604はさらに、神経調節カテーテル602に命令を与えて、加療部位に神経調節エネルギー(たとえば、電極610を通したRFエネルギー)を印加できる。コントローラ604は、自動制御アルゴリズムを実行し、且つ/又は操作者から制御命令を受信するよう構成され得る。さらに、コントローラ604は、コンソール、モニタ、及び/又は他のユーザインタフェースを介して、加療処置の前、最中、及び/又は後に操作者へフィードバックを提供できる、評価/フィードバックアルゴリズム616を有するか又は評価/フィードバックアルゴリズム616にリンクされ得る。
【0049】
[0059]
図7(
図6を追加で参照しながら)は、システム600の実施形態による腎神経の調節を示す。神経調節カテーテル602は、大腿動脈(図示)、上腕動脈、橈骨動脈、又は腋窩動脈の経皮的アクセス部位などの血管内経路Pを通って、それぞれの腎動脈RA内の標的加療部位へ、腎神経叢RPへのアクセスを可能にする。臨床医は、血管内経路Pの外側から細長いシャフト608の近位部分608bを操作することにより、時に曲がりくねっている血管内経路Pを通して細長いシャフト608を進め、細長いシャフト608の遠位部分608aを遠隔で操作できる。
図7に示される実施形態では、細長いシャフト608の遠位部分608aは、OTW技法においてガイドワイヤ601を使用して、血管内を加療部位まで送達される。神経調節カテーテル602の遠位端は、OTW又はRX技法のいずれかを使用して、神経調節カテーテル602を送達するためのガイドワイヤ601を受容する通路を画定できる。加療部位では、ガイドワイヤ601は、少なくとも部分的に引き抜かれるか又は取り除かれ得、神経調節カテーテル602の遠位部分は、神経活動を記録し、且つ/又は加療部位にエネルギーを送達するために、展開された配置構成に変形するか、又はさもなければ移動され得る。他の実施形態では、神経調節カテーテル602は、ガイドワイヤ601の使用の有無にかかわらず、ガイドシース(図示されず)内の加療部位に送達され得る。ガイドシースは、神経調節カテーテル602が標的部位にあるときに、少なくとも部分的に引き抜かれるか又は引っ込められ得、神経調節カテーテル602の遠位部分は、展開された配置構成に変形され得る。さらに他の実施形態では、細長いシャフト608は、それ自体が操縦可能であってもよく、それにより、神経調節カテーテル602は、ガイドワイヤ601及び/又はガイドシースの助けなしに、加療部位に送達され得る。
【0050】
[0060]画像誘導、たとえば、コンピュータ断層撮影(CT:computed tomography)、X線透視法、血管内超音波(IVUS:intravascular ultrasound)、光干渉断層撮影(OCT:optical coherence tomography)、心腔内心エコー法(ICE:intracardiac echocardiography)、若しくは別の好適な誘導様式、又はその組合せが、臨床医による神経調節カテーテル602の位置調整及び操作を支援するために使用され得る。たとえば、X線透視システム(たとえば、フラットパネル検出器、X線、又はCアームを備える)は、標的加療部位を正確に視覚化して識別するために回転し得る。他の実施形態では、加療部位は、IVUS、OCT、並びに/又は標的加療部位を、神経調節カテーテル602を送達する前に、識別可能な解剖学的構造体(たとえば、脊椎の特徴)及び/若しくは放射線不透過性定規(たとえば、患者の下又は上に配置される)と互いに関係づけ得る、他の好適な画像マッピング様式を使って判断され得る。さらに、いくつかの実施形態では、画像誘導構成要素(たとえば、IVUS、OCT)は、神経調節カテーテル602と統合され、且つ/又は神経調節カテーテル602と並行して稼働され、神経調節カテーテル602の位置調節の際の画像誘導を可能にし得る。たとえば、画像誘導構成要素(たとえば、IVUS又はOCT)は、神経調節カテーテル602に結合され、標的部位に近接する脈管構造の3次元画像を提示し、標的腎血管内での多電極組立体の位置調整又は展開を容易にし得る。
【0051】
[0061]次いで、電極610(
図6)及び/又は他のエネルギー送達要素からのエネルギーは、腎動脈RAの局所化された局部、及び腎動脈RAの外膜内に、外膜に隣接して、又は外膜に近接して密接に横たわる、腎神経叢RPの隣接する局部に対する、1つ又は複数の所望の除神経の作用を誘起するために、標的組織に印加され得る。意図的なエネルギーの印加が、腎神経叢RPのすべて又は少なくとも一部に沿った、神経調節を実現させ得る。神経調節の効果は、概して、少なくとも部分的に、電力、時間、エネルギー送達要素と血管壁との間の接触、及び血管を通る血流の関数である。神経調節の効果は、除神経、熱焼灼、及び/又は非焼灼的熱変化(non-ablative thermal alteration)若しくはダメージ(たとえば、持続的な加熱及び/又は抵抗加熱による)を含み得る。望ましい加熱の効果は、標的の神経線維の温度を所望の閾値より高くして非焼灼的熱変化を実現させること、又はより高温にして焼灼的熱変化を実現させることを含み得る。たとえば、目標温度は、体温(たとえば、約37℃)より高いが非焼灼的熱変化のため約45℃未満であってもよく、又は目標温度は、焼灼的熱変化のため約45℃以上であってもよい。望ましい非熱的神経調節の効果は、神経に伝えられる電気信号を変化させることを含み得る。
【0052】
V. 腎神経調節
[0062]腎神経調節とは、腎臓の神経(たとえば、腎臓内又は腎臓に密接に関連する構造体内で終端をなす神経)の、部分的又は完全な不能化又は他の効果的な破壊である。具体的には、腎神経調節は、腎臓の神経線維(たとえば、遠心性及び/又は求心性神経線維)に沿った神経伝達を阻害、低減、及び/又は遮断することを含み得る。かかる活動不能は、長期的(たとえば、永続的又は数カ月間、数年間、若しくは数十年間)又は短期的(たとえば、数分間、数時間、数日間、若しくは数週間)であり得る。腎神経調節は、交感神経の緊張又は駆動の全身的な低下に寄与し、且つ/又は交感神経によって神経支配される、少なくともいくつかの特定の器官及び/若しくは他の身体構造に、恩恵をもたらすことが期待される。したがって、腎神経調節は、全身性交感神経過剰活性又は活動亢進に関連する臨床状態、特に中枢交感神経の過剰刺激に関連する状態の加療に有用であると期待される。たとえば、腎神経調節は、状態の中でもとりわけ高血圧、心不全、急性心筋梗塞、代謝症候群、インスリン抵抗性、糖尿病、左心室肥大、慢性及び末期腎疾患、心不全における不適切な体液貯留、心腎症候群、多発性嚢胞腎疾患、多嚢胞性卵巣症候群、骨粗鬆症、勃起不全、及び突然死を、効果的に加療すると期待されている。
【0053】
[0063]腎神経調節は、加療処置中の1つ又は複数の好適な加療部位で、電気的に誘起されるか、熱的に誘起されるか、化学的に誘起されるか、又は別の好適な手法若しくは手法の組合せで誘起され得る。加療部位は、腎臓の管腔(たとえば、腎動脈、尿管、腎盂、大腎杯、小腎杯、又は別の好適な構造体)内又はさもなければ腎臓の管腔に近接し得る。加療される組織は、腎臓の管腔の壁に少なくとも近接する組織を含み得る。たとえば、腎動脈に関して、加療処置は、腎動脈の外膜内又は外膜に隣接して密接に横たわる腎神経叢内の神経を調節することを含み得る。
【0054】
[0064]腎神経調節は、単独で又は別の加療様式と組み合わせた、冷凍治療による加療様式を含み得る。冷凍治療による加療は、神経機能を調節する手法で、加療部位の組織を冷却することを含み得る。たとえば、交感腎神経の少なくとも一部を十分に冷却すると、神経信号の伝導を遅らせるか、又は場合によっては遮断し、腎交感神経活動の長期的又は永続的な低下を生じさせ得る。この効果は、たとえば、直接的な細胞傷害(たとえば、壊死)、血管又は管腔の傷害(たとえば、供給する血管にダメージを与えることにより、細胞を栄養素不足で餓死させる)、及び/又はその後にアポトーシスを伴う亜致死性低体温症を含み得る、冷凍治療した組織のダメージの結果として生じ得る。冷凍治療での冷却への曝露は、急性の細胞死(たとえば、曝露直後)及び/又は遅延型の細胞死(たとえば、組織の解凍及びその後の過灌流の間)を引き起こし得る。本技術の実施形態による冷凍治療での加療を使用する神経調節は、組織が、交感腎神経が存在する深さまで効果的に冷却されるように、体腔の壁の内面に近接する構造体を冷却することを含み得る。たとえば、いくつかの実施形態では、冷凍治療デバイスの冷却組立体は、治療上有効な極低温腎神経調節をもたらす程度まで冷却され得る。他の実施形態では、冷凍治療による加療様式は、神経調節をもたらすようには構成されていない冷却を含み得る。たとえば、冷却は、極低温又はそれを上回る温度であり得、別の加療様式によって神経調節を制御するために(たとえば、神経調節エネルギーから組織を保護するために)使用され得る。
【0055】
[0065]腎神経調節は、単独で又は別の加療様式と組み合わせた、電極ベース又はトランスデューサベースの加療様式を含み得る。電極ベース又はトランスデューサベースの加療は、神経機能を調節する手法で組織を刺激及び/又は加熱するために、加療位置で組織に電気及び/又は別の形態のエネルギーを送達することを含み得る。たとえば、交感腎神経の少なくとも一部を十分に刺激及び/又は加熱すると、神経信号の伝導を遅らせるか、又は場合によっては遮断し、腎交感神経活動の長期的又は永続的な低下を生じさせ得る。加療位置で組織を刺激及び/又は加熱するために、様々な好適な種類のエネルギーが使用され得る。たとえば、本技術の実施形態による神経調節は、RFエネルギー、パルス式エネルギー、マイクロ波エネルギー、光エネルギー、焦点式超音波エネルギー(たとえば、HIFUエネルギー)、又は別の好適な種類のエネルギーを、単独で又は組み合わせて送達することを含み得る。このエネルギーを送達するために使用される電極又はトランスデューサは、単独で、又は多電極アレイ若しくはマルチトランスデューサアレイ内の他の電極若しくは他のトランスデューサと共に使用され得る。さらに、エネルギーは、体内(たとえば、カテーテルベースのアプローチでの脈管構造又は他の体腔内)から、且つ/又は体外から(たとえば、体外に配置されたアプリケータによって)印加され得る。さらに、エネルギーは、非標的組織に隣接する標的組織が、神経調節のための冷却を施されたときに、非標的組織へのダメージを低減するために使用され得る。
【0056】
[0066]焦点式超音波エネルギー(たとえば、HIFUエネルギー)を使用する神経調節は、他の加療様式を使用する神経調節に比べて有益であり得る。焦点式超音波は、体外から送達され得る、トランスデューサベースの加療様式の一例である。焦点式超音波による加療は、撮像(たとえば、磁気共鳴、コンピュータ断層撮影、X線透視、光干渉断層撮影、又は別の好適な撮像様式)と密接に関連して実行され得る。たとえば、撮像は、加療位置の解剖学的場所を(たとえば、基準点に対する1組の座標として)識別するために使用され得る。次いで、座標は、座標に対応する位置に超音波焦点ゾーンを生成するために、電力、角度、位相、又は他の好適なパラメータを変更するよう構成された焦点式超音波デバイスに入力され得る。焦点ゾーンは、近くの構造体の潜在的に有害な破壊を部分的又は完全に回避しながら、加療位置で治療上有効な加熱を局所化できるほど小さくすることができる。焦点ゾーンを生成するために、超音波デバイスは、超音波エネルギーにレンズを通過させるよう構成されてもよく、且つ/又は超音波エネルギーは、湾曲したトランスデューサ又はフェーズドアレイの複数のトランスデューサ(湾曲した又はまっすぐな)によって生成されてもよい。
【0057】
[0067]電極ベース又はトランスデューサベースの加療での加熱効果は、焼灼及び/又は非焼灼的変化若しくはダメージ(たとえば、持続的な加熱及び/又は抵抗加熱による)を含み得る。たとえば、加療処置は、標的神経線維の温度を、非焼灼的変化を実現させるために第1の閾値を超える標的温度まで、又は焼灼を実現させるために第2のより高い閾値を超えるまで上昇させることを含み得る。標的温度は、ほぼ体温(たとえば、約37℃)より高く、非焼灼的変化では約45℃未満であり得る。標的温度は、焼灼では約45℃より高くなり得る。組織をほぼ体温と約45℃との間の温度に加熱すると、たとえば、標的神経線維又は標的神経線維を灌流する血管若しくは管腔構造体を適度に加熱することにより、非焼灼的変化を誘起できる。血管構造体が影響を受ける場合には、標的神経線維は灌流を拒まれ、神経組織の壊死をもたらし得る。組織を約45℃より高い(たとえば、約60℃より高い)標的温度に加熱すると、たとえば、標的神経線維又は標的線維を灌流する血管若しくは管腔構造体を十分に加熱することにより、焼灼を誘起できる。一部の患者では、標的神経線維、血管、又は管腔構造体を焼灼するのに十分であるが、約90℃未満(たとえば、約85℃未満、約80℃未満、又は約75℃未満)の温度に、組織を加熱することが望ましい場合がある。
【0058】
[0068]腎神経調節は、単独で又は別の加療様式と組み合わせた、化学物質ベースの加療様式を含み得る。化学物質ベースの加療を使用する神経調節は、神経機能を調節する手法で加療位置の組織に、1種又は複数種類の化学物質(たとえば、薬物又は他の薬剤)を送達することを含み得る。化学物質は、たとえば、加療位置に全体的に影響を与えるように、又は他の構造体よりも加療位置の一部の構造体に選択的に影響を与えるように選択され得る。化学物質は、たとえば、グアネチジン、エタノール、フェノール、神経毒、又は神経を変化させるか、ダメージを与えるか、若しくは破壊するよう選択された別の好適な薬剤であり得る。加療位置の組織に化学物質を送達するために、様々な好適な技法が使用され得る。たとえば、化学物質は、体外又は脈管構造若しくは他の体腔内から始まる1本又は複数本の針を通して送達され得る。血管内の例では、カテーテルは、展開前に引っ込められるか、又はさもなければ遮断され得る、複数の針(たとえば、マイクロニードル)を備える治療要素を、血管内に配置するために使用され得る。他の実施形態では、化学物質は、体腔壁を通した単純な拡散、電気泳動、又は別の好適なメカニズムによって、加療位置の組織に導入され得る。同様の技法は、神経調節をもたらすよう構成されていない化学物質を導入するが、むしろ別の加療様式による神経調節を促進するために使用され得る。
【0059】
VI. 関連する解剖学及び生理学
[0069]前述のように、交感神経系(SNS)は、腸神経系及び副交感神経系と共に自律神経系の枝である。交感神経系は常に基礎レベルで活性であり(交感神経の緊張と呼ばれる)、ストレス時により活性になる。神経系の他の部分と同様に、交感神経系は、一連の相互接続された神経細胞を通じて動作する。交感神経細胞は、末梢神経系(PNS:peripheral nervous system)の一部と見なされることが多いが、多くは中枢神経系(CNS:central nervous system)内にある。(CNSの一部である)脊髄の交感神経細胞は、一連の交感神経節を介して末梢交感神経細胞と情報伝達する。神経節内では、脊髄交感神経細胞は、シナプスを介して末梢交感神経細胞につながる。したがって、脊髄交感神経細胞はシナプス前(又は節前)神経細胞と呼ばれ、一方末梢交感神経細胞はシナプス後(又は節後)神経細胞と呼ばれる。
【0060】
[0070]交感神経節内のシナプスでは、節前交感神経細胞は、節後神経細胞のニコチン性アセチルコリン受容体に結合して活性化する化学的伝令である、アセチルコリンを放出する。この刺激に応答して、節後神経細胞は主にノルアドレナリン(ノルエピネフリン)を放出する。長時間の活性化は、副腎髄質からのアドレナリンの放出を誘発し得る。
【0061】
[0071]放出されると、ノルエピネフリン及びエピネフリンは、末梢組織のアドレナリン受容体に結合する。アドレナリン受容体への結合は、神経細胞及びホルモンの応答を引き起こす。生理学的症状は、瞳孔散大、心拍数増加、時折の嘔吐、及び血圧上昇を含む。汗腺のコリン作動性受容体の結合により、発汗の増加も見られる。
【0062】
[0072]交感神経系は、生物における多くの恒常性メカニズムの上方制御及び下方制御を担当する。SNSの線維は、ほぼすべての器官系の組織を神経支配し、瞳孔径、腸の運動性、尿量など、様々な生理学的特徴に少なくとも何がしかの調節機能を提供する。この反応はまた、副腎髄質で末端となる節前交感神経線維が(他のすべての交感神経線維も)、アセチルコリンを分泌し、アドレナリン(エピネフリン)の分泌を活性化し、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)がより少なくなる、身体の交感神経副腎反応としても知られている。したがって、主に心血管系に作用するこの反応は、交感神経系を通って送信されるインパルスによって直接的に伝達され、また副腎髄質から分泌されるカテコールアミンによって間接的に伝達される。
【0063】
[0073]科学は通常、SNSを、自動調整システム、すなわち意識的な思考の介入なしに動作するシステムとして見る。一部の進化論者は、交感神経系が、行動するため身体にプライミングを与えることを担当するので、交感神経系が初期の生物において、生存を維持するために作用したと示唆している。この準備刺激の一例は、起きる前の瞬間にあり、行動の準備で交感神経の流出が自発的に増加する。
【0064】
A. 交感神経鎖
[0074]
図8に示されるように、SNSは、脳の身体との情報伝達を可能にする神経のネットワークを提供する。交感神経は、脊柱の内側から発し、中間帯外側細胞柱(又は側角)の脊髄の中央に向かい、脊髄の第1胸節から始まって第2又は第3腰節に伸びると考えられている。その細胞は脊髄の胸部領域及び腰部領域で始まるので、SNSは胸腰椎流出があると言われる。こうした神経の軸索は、前根糸/根を通して脊髄を離れる。軸索は脊髄(感覚)神経節の近くを通過し、そこで脊髄神経の前枝に入る。しかし、体性神経支配とは異なり、軸索は、脊椎傍(脊柱の近くにある)又は脊髄前(大動脈分岐部の近くにある)神経節に接続し、脊柱に並んで延在する、白枝コネクタ(white rami connector)を通って素早く分離する。
【0065】
[0075]標的器官及び腺に到達するために、軸索は体内を長距離移動する必要があり、これを達成するために、多くの軸索は、シナプス伝達によってメッセージを第2の細胞まで中継する。軸索の末端は、空間、すなわちシナプスをわたって、第2の細胞の樹状突起につながる。第1の細胞(シナプス前細胞)は、神経伝達物質をシナプスの間隙をわたって送り、そこで第2の細胞(シナプス後細胞)を活性化する。次いで、メッセージは最終の宛先に伝えられる。
【0066】
[0076]SNS及び末梢神経系の他の構成要素では、こうしたシナプスは、上記で論じられた、神経節と呼ばれる部位で作られる。線維を送る細胞は節前細胞と呼ばれ、一方その線維が神経節を離れる細胞は節後細胞と呼ばれる。前述のように、SNSの節前細胞は、脊髄の第1の胸(T1)節と第3の腰(L3)節との間にある。節後細胞は、神経節にその細胞体があり、節後細胞の軸索を標的器官又は腺に送る。
【0067】
[0077]神経節は、交感神経幹だけでなく、交感神経線維を頭及び胸部器官に送る(上、中、及び下)頸神経節、並びに腹腔及び腸間膜神経節(交感神経線維を腸に送る)も含む。
【0068】
1. 腎臓の神経支配
[0078]
図9が示すように、腎臓は、腎動脈と密接に結合された腎神経叢(RP)によって神経支配されている。腎神経叢(RP)は、腎動脈を囲み、腎動脈の外膜内に埋め込まれた自律神経叢である。腎神経叢(RP)は、腎臓の実体に到達するまで腎動脈に沿って延在する。腎神経叢(RP)に寄与する線維は、腹腔神経節、上腸間膜神経節、大動脈腎神経節、及び大動脈神経叢から起始する。腎神経とも呼ばれる腎神経叢(RP)は、主に交感神経構成要素からなる。腎臓の副交感神経支配はない(又は少なくとも最小限)。
【0069】
[0079]節前神経細胞体は、脊髄の中間外側細胞柱内にある。節前軸索は、傍脊椎神経節を通過し(節前軸索は、シナプス形成しない)、より小さい内臓神経となり、最も小さい内臓神経となり、第1腰内臓神経、第2腰内臓神経となり、腹腔神経節、上腸間膜神経節、及び大動脈腎神経節まで進む。節後神経細胞体は、腹腔神経節、上腸間膜神経節、及び大動脈腎神経節から腎神経叢(RP)に出て、腎脈管構造に分配される。
【0070】
2. 腎交感神経活動
[0080]メッセージは、双方向の流れでSNSを介して移動する。遠心性メッセージは、身体の様々な部分の変化を同時にトリガできる。たとえば、交感神経系は、心拍数を加速させ、気管支を広げ、大腸の運動性(動き)を減少させ、血管を収縮させ、食道の蠕動を増加させ、瞳孔散大、立毛(鳥肌)、及び発汗(汗をかくこと)を引き起こし、且つ血圧を上昇させ得る。求心性メッセージは、体内の様々な器官及び感覚受容体から他の器官、及び特に脳に信号を伝搬する。
【0071】
[0081]高血圧、心不全、及び慢性腎疾患は、SNS、特に腎交感神経系の慢性活性化から生じる、多くの疾患状態のうちのいくつかである。SNSの慢性的な活性化は、こうした疾患状態の進行を促進する不適応な応答である。レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS:renin-angiotensin-aldosterone system)の医薬の取り扱いは、SNSの過剰活性を減らすための積年の、しかしやや効果の薄い手法であった。
【0072】
[0082]上記のように、腎交感神経系は、実験及びヒトの両方において、高血圧、容量過負荷の状態(心不全など)、及び進行性腎疾患の複雑な病態生理の主な要因として特定されている。腎臓から血漿へのノルエピネフリンのオーバフローを測定するために放射性トレーサ希釈法を使用する研究は、本態性高血圧症の患者、特に若い高血圧の被験者における腎ノルエピネフリン(NE:norepinephrine)漏出率の増加を明らかにしており、これは、心臓からのNE漏出の増加に呼応した、初期の高血圧に典型的に見られ、心拍数、心拍出量、及び腎血管抵抗の増加を特徴とする、血行力学的プロファイルと整合している。本態性高血圧は一般に神経原性であり、多くの場合、顕著な交感神経系の過剰活性を伴うことが現在知られている。
【0073】
[0083]この患者群における心臓及び腎臓から血漿へのNEオーバフローの過剰増加によって実証されているように、心腎交感神経活動の活性化は、心不全においてさらに顕著である。この概念と一致するのは、鬱血性心不全患者の全原因による死亡率及び心臓移植に関する、腎交感神経活性化の極めて悲観的な予測値についての最近の実証であり、これは、全体的な交感神経活動、糸球体濾過率、及び左心室駆出分画率とは無関係である。こうした調査結果は、腎交感神経刺激作用を減らすよう設計された加療方式が、心不全患者の生存率を向上させる可能性があるという概念を裏づけている。
【0074】
[0084]慢性腎疾患及び末期腎疾患はどちらも、交感神経の活性化が高まることを特徴とする。末期腎疾患の患者において、中央値を超えるノルエピネフリンの血漿レベルで、全原因による死亡及び心血管疾患による死亡の両方を予測できることが実証されている。これは、糖尿病又は造影剤腎症を罹患する患者にも当てはまる。罹患した腎臓から生じる感覚求心性信号が、この患者群での中心交感神経性流出増加(elevated central sympathetic outflow)開始及び持続の主な要因であることを示唆する説得力のある証拠があり、これは、高血圧、左心室肥大、心室性不整脈、心臓突然死、インスリン抵抗性、糖尿病、代謝症候群などの、慢性交感神経過剰活性のよく知られた有害な結果を生じやすくする。
【0075】
(i) 腎交感神経の遠心性活動
[0085]腎臓への交感神経は、血管、傍糸球体装置、及び腎尿細管で終わる。腎交感神経の刺激作用は、レニン放出の増加、ナトリウム(Na+)再吸収の増加、及び腎血流の減少を引き起こす。腎機能の神経調整のこうした構成要素は、交感神経緊張が高まることを特徴とする疾患状態でかなり刺激され、明らかに高血圧患者の血圧上昇の原因となる。腎交感神経性遠心性刺激作用の結果としての腎血流及び糸球体濾過率の低下は、通常、患者の臨床状態及び加療により変動する臨床的経過を伴う、慢性心不全の進行性合併症としての腎機能不全である心腎症候群での、腎機能喪失の基となる可能性が高い。腎遠心性交感神経刺激作用の結果を阻止するための薬理学的戦略は、中枢作用性交感神経遮断薬、ベータブロッカ(レニン放出を減少させることが意図された)、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、及び受容体ブロッカ(レニン放出に起因するアンジオテンシンII及びアルドステロン活性化の働きを妨げることが意図された)、及び利尿薬(腎交感神経性媒介ナトリウム貯留及び水分貯留に対抗することが意図された)を含む。ただし、現在の薬理学的戦略には、有効性の限界、服薬遵守の問題、副作用などを含む、かなりの制限がある。
【0076】
(ii) 腎感覚求心性神経活動
[0086]腎臓は、腎感覚求心性神経を介して中枢神経系の統合構造体と情報伝達する。「腎損傷」のいくつかの形態は、感覚求心性信号の活性化を誘発し得る。たとえば、腎虚血、1回の拍出量若しくは腎血流の減少、又は多量のアデノシン酵素は、求心性神経伝達の活性化をトリガし得る。
図10及び
図11に示されるように、この求心性伝達は、腎臓から脳への場合もあり、又は(中枢神経系を介した)一方の腎臓から他方の腎臓への場合もある。こうした求心性信号は、一元的に統合され、交感神経の流出の増加をもたらし得る。この交感神経ドライブは腎臓に向けられ、それによってRAASを活性化し、レニン分泌の増加、ナトリウム貯留、容積貯留、及び血管収縮を引き起こす。中心交感神経過剰活性はまた、心臓及び末梢脈管構造などの交感神経によって神経支配されている他の器官及び身体構造にも影響を及ぼし、その結果、交感神経活性化の前述の有害効果が生じ、有害効果のいくつかの側面も血圧上昇の一因となる。
【0077】
[0087]したがって、生理学は、(i)遠心性交感神経を含む組織の調節が、不適切なレニン放出、塩分貯留、及び腎血流の減少を低減するであろうこと、及び(ii)求心性感覚神経を含む組織の調節が、視床下部後部だけでなく対側腎への直接的な影響を通じて、中心交感神経緊張の増加に伴う高血圧及び他の疾患状態への全身的寄与を低減するであろうことを示唆している。求心性腎除神経の中心血圧降下の効果に加えて、心臓及び脈管構造などの、他の様々な交感神経支配された器官への中心交感神経性流出の望ましい減少が期待される。
【0078】
B. 腎除神経のさらなる臨床的利点
[0088]上記で提示されたように、腎除神経は、高血圧、代謝症候群、インスリン抵抗性、糖尿病、左心室肥大、慢性末期腎疾患、心不全での不適切な体液貯留、心腎症候群、及び突然死などの、全体的な、特に腎交感神経の活動増加を特徴とする、いくつかの臨床状態の加療において有益である可能性が高い。求心性神経信号の減少は、交感神経の緊張/ドライブの全身的な減少に寄与するので、腎除神経は、全身性交感神経活動亢進に関連する他の状態の加療にも役立ち得る。したがって、腎除神経はまた、
図8で特定されたものを含む、交感神経によって神経支配される他の器官及び身体構造にも恩恵をもたらし得る。たとえば、前に論じられたように、中心交感神経のドライブ低下は、代謝症候群及びII型糖尿病の人々を苦しめるインスリン抵抗性を低下させ得る。さらに、骨粗鬆症の患者はまた、交感神経を活性化されており、腎除神経に伴う交感神経ドライブの下方調節の恩恵も受け得る。
【0079】
C. 腎動脈への血管内アクセスの実現
[0089]本技術によれば、左及び/又は右腎動脈と密接に関連する左及び/又は右腎神経叢(RP)の神経調節は、血管内アクセスによって実現し得る。
図12が示すように、心臓の収縮によって移動した血液は、大動脈によって心臓の左心室から運ばれる。大動脈は胸部を通って下降し、左右の腎動脈に分岐する。腎動脈の下方で、大動脈は、左右の腸骨動脈に、二股に分かれる。左右の腸骨動脈は、それぞれ左右の脚を通って下降し、左右の大腿動脈につながる。
【0080】
[0090]
図13が示すように、血液は静脈に集まり、大腿静脈を通って腸骨静脈及び下大静脈へ入り、心臓に戻る。下大静脈は、左右の腎静脈に分岐する。腎静脈の上方へ、下大静脈が上昇し、血液を心臓の右心房に運ぶ。右心房から、血液は右心室を通って肺に送り込まれ、そこで酸素が加えられる。肺から、酸素が加えられた血液が左心房に運ばれる。左心房から、酸素が加えられた血液は、左心室によって大動脈に戻される。
【0081】
[0091]以下でより詳細に説明されるように、大腿動脈は、鼠径靭帯の中点よりわずかに下の大腿三角の底部でアクセスされ、カニューレが導入され得る。カテーテルは、このアクセス部位を介して大腿動脈に経皮的に挿入され、腸骨動脈及び大動脈を通過し、左腎動脈内又は右腎動脈内のいずれかに置かれ得る。これは、それぞれの腎動脈及び/又は他の腎血管への最小侵襲性アクセスを提供する、血管内経路を含む。
【0082】
[0092]手首、上腕、及び肩の領域は、動脈系へのカテーテル導入のための他の場所を提供する。たとえば、橈骨動脈、上腕動脈、又は腋窩動脈のいずれかのカテーテル治療は、特定の場合に利用され得る。これらのアクセス箇所を通って導入されたカテーテルは、標準的な血管造影法を使用して、左側の鎖骨下動脈を通過し(又は右側の鎖骨下動脈及び腕頭動脈を経由して)、大動脈弓を通過し、下行大動脈を下って、腎動脈に入り得る。
【0083】
D. 腎脈管構造の性質及び特性
[0093]左及び/又は右腎神経叢(RP)の神経調節は、血管内アクセスを経て、本技術にしたがって、実現できるので、腎脈管構造の性質及び特性は、かかる腎神経調節を実現させるための装置、システム、及び方法の設計に制約を課し、且つ/又は情報を与え得る。こうした性質及び特性のいくつかは、患者集団全体で、且つ/又は特定の患者の体内で時間によって、並びに高血圧、慢性腎疾患、血管疾患、末期腎疾患、インスリン抵抗性、糖尿病、代謝症候群などの疾患状態に応じて、異なり得る。本明細書で説明されているように、こうした性質及び特性は、処置の有効性及び血管内デバイスの特定の設計に関係し得る。対象となる性質は、たとえば、材料的/機械的、空間的、流体力学的/血行力学的、及び/又は熱力学的性質を含み得る。
【0084】
[0094]前に論じられたように、カテーテルは、最小侵襲的な血管内経路を通って、左腎動脈又は右腎動脈のいずれかに経皮的に進み得る。しかし、たとえば、カテーテルを使用して通常アクセスされる他のいくつかの動脈と比較して、腎動脈は非常に曲がりくねっていることが多く、比較的小径な場合があり、且つ/又は長さが比較的短い場合があるので、最小侵襲的な腎動脈へのアクセスは困難であり得る。さらに、腎動脈アテローム性動脈硬化症は、多くの患者、特に心血管疾患の患者によく見られる。腎動脈の解剖学的構造はまた、患者によっても大きく異なる場合があり、それが最小侵襲的なアクセスをさらに難しくする。たとえば、相対的な屈曲度、直径、長さ、及び/又はアテローム斑の負荷、並びに腎動脈が大動脈から分岐する箇所での分岐角度において、患者間でかなりのばらつきが見られ得る。血管内アクセスによって腎神経調節を実現させるための装置、システム、及び方法は、腎動脈に最小侵襲的にアクセスするときに、腎動脈の解剖学的構造のこうした側面及び他の側面、並びに患者集団全体での腎動脈の解剖学的構造のばらつきを考慮する必要がある。
【0085】
[0095]腎動脈のアクセスを難しくすることに加えて、腎臓の解剖学的構造の細部はまた、神経調節装置と腎動脈の管腔表面又は壁との間の安定した接触の確立を難しくする。たとえば、腎動脈内の狭い空間だけでなく動脈の屈曲によって、誘導が妨げられる場合がある。さらに、一貫した接触を確立することが、患者の動き、呼吸、及び/又は心周期のため困難である。というのは、これらの要因が大動脈に対する腎動脈の著しい動きを引き起こすことがあり、心周期が腎動脈を一時的に拡張させ得るからである(すなわち、動脈壁に脈動を引き起こす)。
【0086】
[0096]腎動脈にアクセスし、神経調節装置と動脈の管腔表面との間で安定した接触を円滑にした後でさえも、動脈の外膜内及び外膜の周りの神経は、神経調節装置によって安全に調節される必要がある。腎動脈内から効果的に熱による加療を施すことは、かかる加療に関連する、潜在的な臨床的合併症を考えると、重要なことである。たとえば、腎動脈の内膜及び中膜は、熱傷に対して非常に脆弱である。以下でより詳細に論じられるように、血管内腔を血管の外膜から分離する内膜-中膜の厚さは、標的腎神経が、動脈の内腔表面から数ミリメートル離れている場合があることを意味する。標的腎神経を調節するために、壁が凍結、乾燥、さもなければ望ましくないほど潜在的に影響を受ける程度まで、血管壁を過度に冷却又は加熱することなく、十分なエネルギーが標的腎神経に送達され、又は標的腎神経から熱が取り除かれる必要がある。過度の加熱に関連する潜在的な臨床的合併症は、動脈を流れる血液の凝固による血栓形成である。この血栓が腎臓梗塞を引き起こし、それにより腎臓に不可逆的なダメージをもたらす場合があることを考えると、腎動脈内からの熱による加療は慎重に適用される必要がある。したがって、腎動脈内からのエネルギー印加(たとえば、熱エネルギー加熱)及び/又は組織からの熱除去(たとえば、熱状態冷却)において、加療中に腎動脈に存在する複雑な流体力学及び熱力学的条件、特に加療部位での熱伝達ダイナミクスに影響を与える可能性がある条件は、重要であり得る。
【0087】
[0097]加療位置も臨床効果に影響を与え得るので、神経調節装置はまた、腎動脈内でのエネルギー送達要素の調整可能な位置決め及び再配置を可能にするよう構成される必要がある。たとえば、腎神経が腎動脈の周りに周方向に間隔をあけて配置され得ることを考えると、腎動脈内から全周方向への加療を施すことは魅力的であり得る。いくつかの状況では、連続する周方向の加療によっておそらく生じる周回する損傷が、腎動脈狭窄症に関係する可能性があり得る。したがって、腎動脈の長手方向の次元に沿ったより複雑な損傷の形成、及び/又は複数の加療位置への神経調節装置の再配置が望ましい場合がある。しかし、周方向の焼灼を作り出すことの利点は、腎動脈狭窄症の可能性よりも重要であり得るか、又は特定の実施形態若しくは特定の患者では減じられる可能性があり、周方向の焼灼を作り出すことが目標であり得ることに留意されたい。さらに、神経調節装置の可変的な位置決め及び再配置は、腎動脈が特に曲がりくねっている状況、又は腎動脈の主血管から離れた近位分岐血管があり、特定の位置での加療を難しくしている状況で、有用であると証明できる。腎動脈内のデバイスの操作はまた、腎動脈に接するデバイスによって負わされる機械的傷害も考慮する必要がある。たとえば、挿入すること、操作すること、屈曲部を通り抜けることなどによる動脈内のデバイスの動きは、切開、穿孔、内膜の露出、又は内弾性板の破壊の原因となり得る。
【0088】
[0098]腎動脈を通る血流は、合併症を最小限に抑えるか、又は合併症なしに、短時間一時的に閉塞され得る。しかし、虚血などの腎臓への危害を防ぐために、かなりの時間の閉塞は回避される必要がある。すべての閉塞を回避すること、又は閉塞が該実施形態にとって有益である場合、閉塞の持続時間を、たとえば2~5分に制限することは有益であり得る。
【0089】
[0099]上記の課題(1)腎動脈介入治療、(2)血管壁に対する加療要素の一貫して安定した配置、(3)血管壁を介する加療の効果的な適用、(4)複数の加療位置を可能にするための、加療装置の位置決め及び場合によっては再配置、並びに(5)血流閉塞を回避、又は血流閉塞の持続時間を制限することに基づいて、対象となり得る腎脈管構造の様々な独立した性質、及び依存する性質は、たとえば、(a)血管径、血管の長さ、内膜-中膜の厚さ、摩擦係数、及び屈曲度、(b)血管壁の伸張性、硬さ、及び弾性率、(c)収縮期最高血流速度、拡張終期血流速度だけでなく、平均収縮期-拡張期最高血流速度、及び平均/最大容積血流量、(d)血液及び/若しくは血管壁の比熱容量、血液及び/若しくは血管壁の熱伝導率、並びに/又は血管壁加療部位を通過する血流の熱伝達率及び/若しくは放射熱伝達、(e)呼吸、患者の動き、及び/又は血流の拍動によって誘発される、大動脈に対する腎動脈の動き、そして(f)大動脈に対する腎動脈の分岐角度、を含む。これらの性質は、腎動脈に関してより詳細に議論されることになる。しかし、腎神経調節を実現させるために利用される装置、システム、及び方法に依存して、腎動脈のかかる性質はまた、設計の特性を導き、且つ/又は制約し得る。
【0090】
[0100]上記のように、腎動脈内に位置決めされる装置は、動脈の幾何形状に適合する必要がある。腎動脈血管直径、DRAは、通常は約2~10mmの範囲内にあり、患者集団のほとんどは、DRAが約4mmから約8mmで、平均は約6mmである。大動脈/腎動脈接合部での腎動脈の小孔と腎動脈の遠位分岐部との間の腎動脈血管長、LRAは、通常約5~70mmの範囲内にあり、患者集団のかなりの部分は、約20~50mmの範囲内にある。標的腎神経叢は、腎動脈の外膜内に埋め込まれているので、複合した内膜-中膜の厚さ、IMT(Intima-Media Thickness、すなわち、動脈の管腔表面から標的神経構造体を含む外膜までの、径方向外側の距離)も注目すべきであり、通常約0.5~2.5mmの範囲内にあり、平均約1.5mmである。加療のある一定の深度は、標的神経線維に到達するために重要であるが、加療は、非標的組織及び腎静脈などの解剖学的構造体を回避するために、深すぎてはいけない(たとえば、腎動脈の内壁から>5mm)。
【0091】
[0101]対象となり得る腎動脈のさらなる性質は、呼吸及び/又は血流の拍動によって誘発される、大動脈に関連する腎臓の動きの程度である。腎動脈の遠位端にある患者の腎臓は、頭蓋のように呼吸可動域と共に、10.16センチメートル(4”)も動き得る。これは、大動脈と腎臓とを接続する腎動脈にかなりの動きを与える可能性があり、それにより神経調節装置には、呼吸周期の間、エネルギー送達要素と血管壁との間の接触を維持するための、剛性と柔軟性との独特のバランスが必要となる。さらに、腎動脈と大動脈との間の分岐角度は、患者間で大幅に異なることがあり、また、たとえば、腎臓の動きにより、一患者の中でも動的に変化することもある。分岐角度は、概して、約30°~135°の範囲内にあり得る。
【0092】
VII. 例
1.
血管内に、ヒトの患者の腎血管内の標的部位に配置されるよう構成された、遠位部分を有する細長いシャフト、及び
シャフトの遠位部分に沿って間隔を置いて配置され、第1の電極及び第2の電極を含む複数の電極であって、神経調節エネルギーを標的部位の、又は標的部位に隣接する標的腎神経に送達するよう構成される複数の電極
を具備する神経調節カテーテルと、
電極と通信可能に結合されるよう構成されるコントローラであって、さらに
第1の電極と第2の電極との間のインピーダンス測定値を取得し、且つ
インピーダンス測定値に基づいて、標的部位の又は標的部位の近くの腎血管の直径を判定する
よう構成されるコントローラと
を備えるシステム。
【0093】
2.
患者の体外にあり、複数の電極及びコントローラに結合されたエネルギー発生器をさらに備え、コントローラは、腎血管の判定された直径に基づいて、エネルギー発生器に、第1及び第2の電極を通して神経調節エネルギーを送達させるよう構成される、例1のシステム。
【0094】
3.
コントローラはさらに、
腎血管の直径が第1の値である場合、第1のパラメータセットを有する神経調節エネルギーを送達し、且つ
腎血管の直径が第1の値とは異なる第2の値である場合、第2のパラメータセットを有する神経調節エネルギーを送達する
よう構成され、第2のパラメータセットの少なくとも1つのパラメータは、第1のパラメータセットの対応するパラメータとは異なる、例2のシステム。
【0095】
4.
少なくとも1つのパラメータは、神経調節エネルギーの量である、例3のシステム。
【0096】
5.
少なくとも1つのパラメータは、神経調節エネルギーの送達時間である、例3のシステム。
【0097】
6.
インピーダンス測定値は、約5秒未満の時間にわたる平均測定値である、例1~5のいずれか1つのシステム。
【0098】
7.
血管内に、ヒトの患者の血管内の標的部位に配置されるよう構成された、遠位部分を有する細長いシャフトであって、遠位部分は、血管内の標的部位において、低背の送達配置構成及び拡張された加療配置構成の間で変形可能である細長いシャフト、
シャフトの遠位部分に沿って間隔を置いて配置された複数の電極であって、遠位部分が拡張された加療配置構成にあるとき、血管の内壁と並列に配置され、神経調節エネルギーを、標的部位の又は標的部位に隣接する標的神経に送達するよう構成される複数の電極、及び
細長いシャフトの遠位部分にあり、細長いシャフトの第1の部分及び細長いシャフトの第2の部分の間の距離に対応する、距離測定値を検出するよう構成された距離センサ
を具備する神経調節カテーテルと、
距離センサと通信可能に結合されるよう構成されたコントローラであって、さらに
距離センサから距離測定値を取得し、且つ
距離測定値に基づいて、標的部位の又は標的部位の近くの血管の直径を判定する
よう構成されたコントローラと
を備えるシステム。
【0099】
8.
患者の体外にあり、電極及びコントローラに動作可能に結合されたエネルギー発生器をさらに備え、コントローラは、
血管の直径が第1の値である場合、エネルギー発生器に、第1のパラメータセットを有する神経調節エネルギーを、電極を通して送達するように指示し、且つ
血管の直径が第2の値である場合、エネルギー発生器に、第2のパラメータセットを有する神経調節エネルギーを、電極を通して送達するように指示する
よう構成され、第1のパラメータセットの少なくとも1つのパラメータは、第2のパラメータセットの対応するパラメータとは異なる、例7のシステム。
【0100】
9.
少なくとも1つのパラメータは、神経調節エネルギーの量及び神経調節エネルギーの送達時間である、例8のシステム。
【0101】
10.
血管の直径を判定することは、少なくとも部分的に、神経調節カテーテルの既知の寸法に基づく、例7~9のいずれか1つのシステム。
【0102】
11.
1つ又は複数の電極を備える神経調節カテーテルを、ヒトの患者の腎血管内の標的部位に配置するステップと、
神経調節カテーテルを使って、腎血管の直径に関連する測定値を取得するステップと、
測定値に基づいて、標的部位の又は標的部位の近くの腎血管の直径を判定するステップと
を含む方法。
【0103】
12.
腎血管の直径に基づいて、標的部位で腎血管に送達されるべき神経調節エネルギーのパラメータを調整するステップをさらに含む、例11の方法。
【0104】
13.
神経調節カテーテルの1つ又は複数の電極を通して、標的部位の腎神経に神経調節エネルギーを送達するステップをさらに含む、例12の方法。
【0105】
14.
神経調節エネルギーのパラメータは、神経調節エネルギーの量及び神経調節エネルギーの送達時間のうちの少なくとも一方である、例12又は例13の方法。
【0106】
15.
腎血管の判定された直径を基準値と比較するステップと、
比較に基づいて、標的部位で腎血管に送達されるべき神経調節エネルギーの予測される有効性を評価するステップと
をさらに含む、例11~14のいずれか1つの方法。
【0107】
16.
腎血管の判定された直径を基準値と比較するステップと、
判定された直径が基準値よりも大きい場合、神経調節カテーテルを腎血管内の別の標的部位に再配置するステップと
をさらに含む、例11~15のいずれか1つの方法。
【0108】
17.
腎血管の寸法に関連する測定値を取得するステップは、神経調節カテーテルの1つ又は複数の電極のうちの少なくとも2つの電極間のインピーダンスを検出するステップを含む、例11~16のいずれか1つの方法。
【0109】
18.
腎血管の寸法に関連する測定値を取得するステップは、神経調節カテーテルの1つ又は複数の電極の各ペア間のインピーダンスを検出するステップを含む、例11~16のいずれか1つの方法。
【0110】
19.
腎血管の寸法に関連する測定値を取得するステップは、神経調節カテーテルの第1の部分と第2の部分との間の距離に対応する距離測定値を検出するステップを含む、例11~16のいずれか1つの方法。
【0111】
20.
腎血管の寸法に関連する測定値を取得するステップは、
神経調節カテーテルに連結されたバルーンを膨張させるステップと、
バルーンがいつ腎血管の内壁に接触するかを判定するステップと
を含む、例11~16のいずれか1つの方法。
【0112】
終わりに
[0102]本技術の実施形態の上記の詳細な説明では、網羅的であること、又は本技術を上記に開示された正確な形態に限定することは意図されていない。本技術の特定の実施形態及び本技術の例は、例示する目的で上記に説明されているが、当業者が認識するように、本技術の範囲内で様々な同等の修正が可能である。たとえば、ステップは所与の順序で提示されているが、代替の実施形態は、異なる順序でステップを実行できる。さらに、本明細書で説明される様々な実施形態はまた、さらなる実施形態を提供するために組み合わされてもよい。本明細書における「one embodiment」、「an embodiment」、又は同様の明確な記述への言及は、実施形態と共に説明される個々の特徴、構造、動作、又は特性が、本技術の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。したがって、本明細書におけるかかる語句又は明確な記述の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0113】
[0103]本技術の特定の態様は、コントローラ又は他のデータプロセッサによって実行されるルーチンを含む、コンピュータ実行可能命令の形をとり得る。いくつかの実施形態では、コントローラ又は他のデータプロセッサは、具体的には、こうしたコンピュータ実行可能命令のうちの1つ又は複数を実行するようプログラムされ、構成され、且つ/又は構築される。さらに、本技術のいくつかの態様は、磁気的又は光学的に可読の、且つ/又は取外し可能なコンピュータディスク、並びにネットワークを介して電子的に配布されるメディアを含む、コンピュータ可読媒体に記憶されるか又は配布されるデータ(たとえば、非一時的データ)の形をとり得る。したがって、本技術の態様に特有のデータ構造及びデータ伝送は、本技術の範囲内に包含される。本技術はまた、特定のステップを遂行するようコンピュータ可読媒体をプログラミングする方法、及び該ステップを実行する方法の両方を包含する。
【0114】
[0104]さらに、「or」という単語が、2つ以上の項目のリストに関して、他の項目とは排他的な単一の項目だけを意味すると明示的に限定されていない限り、かかるリストでの「or」の使用は、(a)リスト内の任意の単一の項目、(b)リスト内のすべての項目、又は(c)リスト内の項目の任意の組合せを含むものとして解釈されるべきである。文脈上可能である場合、単数又は複数の用語は、それぞれ複数又は単数の用語も含み得る。さらに、用語「comprising」は、任意のより多数の同じ特徴及び/又はさらなる種類の他の特徴が除外されないように、少なくとも列挙された特徴を有することを意味するために、全体にわたって使用される。方向を示す用語「upper」、「lower」、「front」、「back」、「vertical」、及び「horizontal」などは、本明細書では、様々な要素間の関係を表現し、且つ明確にするために使用され得る。かかる用語は、絶対的な方向を示すものではないことを理解されたい。さらに、本技術の特定の実施形態に関連する利点が、そうした実施形態の観点で説明されてきたが、他の実施形態もまたかかる利点を示すことがあり、すべての実施形態が、必ずしもかかる利点が本技術の範囲に入ることを示す必要はない。したがって、本開示及び関連する技術は、本明細書に明示的に図示されていないか又は説明されていない他の実施形態を包含できる。