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特許7250822クリティカルパスノードのための接続性の管理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】クリティカルパスノードのための接続性の管理
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/14 20090101AFI20230327BHJP
   H04W 48/14 20090101ALI20230327BHJP
   H04W 48/10 20090101ALI20230327BHJP
   H04W 84/22 20090101ALI20230327BHJP
【FI】
H04W40/14
H04W48/14
H04W48/10
H04W84/22
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020562705
(86)(22)【出願日】2019-04-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 US2019027798
(87)【国際公開番号】W WO2019217041
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】15/974,499
(32)【優先日】2018-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513113895
【氏名又は名称】ランディス・ギア イノベーションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LANDIS+GYR INNOVATIONS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・パトリック・ハンリー
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス・ハリス
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・スコット・ヘット
【審査官】桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-547266(JP,A)
【文献】特開2017-69818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノードをネットワークに加入させる方法であって、
第1のネットワーク及び中央システムの間におけるバックホール接続の状態を示す情報を含む第1のビーコンを上記第1のネットワークから受信することと、
上記第1のビーコンを分析して、上記第1のビーコンに関連付けられた第1のネットワークと上記中央システムとの間におけるバックホール接続が利用可能であるか否かを決定することと、
上記第1のビーコンに関連付けられた上記第1のネットワークのためのバックホール接続が利用可能でない場合、さらなるビーコンのリッスンを続けることと、
第2のネットワーク及び上記中央システムの間におけるバックホール接続の状態を示す情報を含む第2のビーコンを上記第2のネットワークから受信することと、
上記第2のビーコンを分析して、上記第2のビーコンに関連付けられた第2のネットワークと上記中央システムとの間におけるバックホール接続が利用可能であるか否かを決定することと、
上記第2のビーコンに関連付けられた上記第2のネットワークのためのバックホール接続が利用可能である場合、上記第2のビーコンに関連付けられた上記第2のネットワークに加入する第1のメッセージの送信と、上記ネットワークに加入した後、上記ノードが、上記第2のネットワーク及び上記中央システムの間におけるバックホール接続を必要とするクリティカルノードであることを示す第2のメッセージの送信とにより、上記第2のビーコンに関連付けられた上記第2のネットワークに加入することとを含む、
方法。
【請求項2】
ルートノードによって、上記第2のメッセージに対応する第3のメッセージであって、上記ノードと、上記第2のメッセージに対応するメッセージを転送した上記ルートノードとの間の各ノードの識別情報を含む第3のメッセージを受信することと、
上記ルートノードによって、上記第3のメッセージにおける上記識別情報を用いてクリティカルパスを識別することとをさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
第3のビーコンを受信することと、
上記第3のビーコンを分析して、上記第2のネットワークのためのバックホール接続が利用可能であるか否かを決定することと、
上記第2のネットワークのためのバックホール接続が利用不可能である場合、他の1つのネットワークを探索することとをさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
第4のビーコンを受信することと、
上記第4のビーコンを分析して、上記第4のビーコンに関連付けられたネットワークのためのバックホール接続が利用可能であるか否かを決定することと、
上記第4のビーコンに関連付けられたネットワークのためのバックホール接続が利用可能である場合、上記第2のネットワークから上記第4のビーコンに関連付けられたネットワークに切り換えることとをさらに含む、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
上記ノードが上記第4のビーコンに関連付けられたネットワークに切り換えたことを示すDAO(Destination Advertisement Object)メッセージを送信することをさらに含む、
請求項4記載の方法。
【請求項6】
上記第2のメッセージはDAO(Destination Advertisement Object)メッセージであり、上記ノードがクリティカルノードであることを示す情報はDAOフラグによって提供される、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
ネットワークに加入したノードによって実行される方法であって、
上記ネットワーク及び中央システムの間におけるバックホール接続が利用可能であることを示す情報を含むビーコンを送信することと、
第2のノードから、上記ネットワークを探索して加入するメッセージを受信することと、
上記第2のノードを、上記ノードに対する子ノードとして、上記ネットワークに加入させることと、
上記第2のノードが、上記ネットワーク及び上記中央システムの間におけるバックホール接続を必要とするクリティカルノードであること、又は、上記第2のノードが、上記ネットワーク及び上記中央システムの間におけるバックホール接続を必要とするクリティカルノードである第3のノードと、上記ネットワークのルートノードとの間におけるクリティカルパスに存在することを示す第2のメッセージを上記第2のノードから受信することと、
上記第2のメッセージの受信に応答して、上記ノードが上記クリティカルパスに存在すると決定することとを含む、
方法。
【請求項8】
上記ネットワークのためのバックホール接続が利用不可能であることを示す情報を含む第2のビーコンを受信することと、
他の1つのネットワークを探索することとをさらに含む、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
上記ネットワークのためのバックホール接続が利用不可能であることを示す情報を含む第2のビーコンを受信することと、
第2のネットワークのためのバックホール接続が利用可能であることを示す情報を含む第3のビーコンを受信することと、
上記ネットワークから上記第2のネットワークに切り換えることとをさらに含む、
請求項7記載の方法。
【請求項10】
上記第2のノードがもはや子ノードではないと決定することと、
上記第2のノードがもはや子ノードではないと決定したことに応答して、他の任意の子ノードがクリティカルノード又はクリティカルパスノードであるか否かを決定することと、
クリティカルノード又はクリティカルパスノードである他の子ノードが存在しない場合、上記ノードがもはやクリティカルパスに存在しないと決定することとをさらに含む、
請求項7記載の方法。
【請求項11】
上記第2のメッセージはDAO(Destination Advertisement Object)メッセージであり、上記第2のノードがクリティカルノードであることを示す情報はDAOフラグによって提供される、
請求項7記載の方法。
【請求項12】
上記第2のメッセージはIPv6メッセージであり、上記第2のノードがクリティカルノードであることを示す情報はホップごとの拡張ヘッダにおいて提供される、
請求項7記載の方法。
【請求項13】
ネットワークに加入したノードであって、
処理装置と、
ネットワークにおいて通信可能なネットワークインターフェースと、
クリティカルパスモジュールによって構成されたメモリとを備え、
上記クリティカルパスモジュールの実行にあたっては、上記ノードは、
第2のノードから、上記ネットワークを探索して加入するメッセージを受信し、
上記第2のノードを、上記ノードに対する子ノードとして、上記ネットワークに加入させ、
上記第2のノードが、上記ネットワーク及び中央システムの間におけるバックホール接続を必要とするクリティカルノードであること、又は、上記第2のノードが、上記ネットワーク及び上記中央システムの間におけるバックホール接続を必要とするクリティカルノードである第3のノードと、上記ネットワークのルートノードとの間におけるクリティカルパスに存在することを示す第2のメッセージを上記第2のノードから受信することと、
上記第2のメッセージの受信に応答して、上記ノードが上記クリティカルパスに存在すると決定するように構成される、
ノード。
【請求項14】
上記クリティカルパスモジュールの実行にあたっては、上記ノードは、
上記ネットワークのためのバックホール接続が利用不可能であることを示すビーコンを受信し、
第2のネットワークに関連付けられた第2のビーコンであって、上記第2のネットワークのためのバックホール接続が利用可能であることを示す第2のビーコンを受信し、
上記ネットワークから上記第2のネットワークに切り換えるようにさらに構成される、
請求項13記載のノード。
【請求項15】
上記第2のメッセージはレイヤ3メッセージである、
請求項13記載のノード。
【請求項16】
上記クリティカルパスモジュールの実行は、
上記第2のノードがもはや子ノードではないと決定し、
上記第2のノードがもはや子ノードではないと決定したことに応答して、他の任意の子ノードがクリティカルノードであるか否かを決定し、
クリティカルノードである他の子ノードが存在しない場合、上記ノードがもはやクリティカルパスに存在しないと決定するように上記ノードをさらに構成する、
請求項13記載のノード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッシュネットワークにおけるノードの管理に関し、特に、クリティカルパスノードのための接続性を管理することに関する。
【背景技術】
【0002】
PANアーキテクチャは、バックホール接続の一時的喪失のようなネットワークにおける一時的な混乱が存在する場合にスラッシングを防ぐために、ネットワークトポロジーにおけるヒステリシスを有することがある。しかしながら、一部のシステム及び装置は、バックホール接続の一時的喪失を許容することができず、いったんバックホール接続が利用不可能になるとPANを切り換える必要がある。
【0003】
概して、ルートノードは、バックホール接続の状態をPANにおける他のノードに日常的に伝達することはない。代わりに、各ノードは、上位層のメッセージを送信し、バックホールから応答を受信することで、バックホール接続の状態を決定する必要がある。ノードはPANに加入するまで上位層のメッセージを送信できないので、ノードは、加入前にバックホール接続の状態を決定することができない。バックホール接続を必要とするノードは、PANに加入し、その後、バックホール接続が利用不可能であると決定してもよい。
【0004】
その現在のPANのためのバックホール接続が利用不可能であると決定するノードは、PANを切り換える必要があると決定してもよい。しかしながら、ノードから他の1つのPANが直接的には見えない場合があり、このことは、異なるPANへの切り換えを遅延させる可能性がある。
【0005】
ノードがPANを切り換える場合、任意の子ノードは、新たな親ノードを発見することにより現在のPANにとどまるか、又は、現在のPANから脱退して新たなPANに加入することにより新たなPANに切り換える。この処理は、時間がかかり、子ノードが新たな親を位置決めするか脱退/加入処理を完了するまで、子ノードを利用不可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、メッシュネットワークにおけるノードを管理するためのシステム及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様は、ノードがバックホール接続の状態を決定して利用可能なバックホール接続を備えたPANに加入又は切り換える方法の改善を提供する。本発明の追加の態様は、ノードが子ノードを有する場合にPANを切り換えるための、より効率的な方法を提供する。ノードは、切り換えを行うときに、切り換えの理由にかかわらず、その子ノードを伴ってもよい。
【0008】
ノードは、PANに加入する前に、バックホール接続の状態を考慮してもよい。ノードは、利用可能なバックホール接続を必要とするクリティカルノードであってもよい。バックホール接続の状態は、ビーコンのようなレイヤ2メッセージに含まれてもよい。一例において、バックホール状態情報は、ビーコンにおける情報要素に含まれる。
【0009】
いったんクリティカルノードがPANに加入すると、クリティカルノードからPANのルートへのクリティカルパスが確立されてもよい。一例において、クリティカルパスを確立するために、DAOメッセージのようなレイヤ3メッセージが使用される。クリティカルパスに沿ったノードは、現在のPANのためのバックホール接続が利用不可能になったとき、新たなPANを探索して加入してもよい。
【0010】
ノードが新たなPANに切り換えるとき、当該ノードは、切り換えを、その子ノードと協調動作させてもよい。切り換えるノードは、新たなPANを識別し、新たなPANのためのタイミング同期情報を取得する。切り換えるノードは、その子ノードに、新たなPANのためのタイミング同期情報と、新たなPANに切り換える時刻とを送る。切り換えるノード及び子ノードは、現在のPAN及び新たなPANの両方のためのタイミング同期情報を保持する。切り換えの時刻において、切り換えるノード及びその子ノードは新たなPANに切り換える。切り換えが生じる場合は常に、ノードは、新たなPANへの切り換えを、その子ノードと協調動作させてもよい。協調動作は、バックホール接続の喪失に基づく切り換えに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の1つの態様に係る2つのPAN及び非加入のクリティカルノードを示す図である。
図2】本発明の1つの態様に係るPANに加入したクリティカルノードを示す図である。
図3】本発明の1つの態様に係るPANのためのバックホール接続の喪失を示す図である。
図4】本発明の1つの態様に係る異なるPANに切り換えるクリティカルノードを示す図である。
図5】本発明の1つの態様に係る異なるPANに切り換える親ノードを示す図である。
図6】本発明の1つの態様に係る異なるPANに切り換える親ノード及びその子ノードを示す図である。
図7】本発明の1つの態様に係る加入するノード及び2つのPANの間の通信を示す図である。
図8】本発明の1つの態様に係る例示的なノードを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
これらの例示的な態様及び特徴は、本発明を限定又は定義するためではなく、本願に開示された発明の概念についての理解を支援する実施例を提供するために言及される。本発明の他の態様、利点、及び特徴は、本願全体に目を通すことにより明らかになるであろう。
【0013】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明が添付の図面を参照して読まれるとき、さらに理解される。
【0014】
本発明は、メッシュネットワークにおいてノードを管理するためのシステム及び方法であって、クリティカルノードをPANに加入させることと、クリティカルパスを生成して保持することと、クリティカルパスノードによってPANの切り換えを行うことと、PANを切り換えるときに親/子関係を保持することとを含むシステム及び方法に関する。クリティカルノードは、PANに加入する前に、PANのためのバックホール接続の状態を考慮してもよい。いったん加入すると、クリティカルノードからルートまでのクリティカルパスが識別される。クリティカルノードを含むクリティカルパスに沿ったノードは、現在のPANのためのバックホール接続が利用不可能になる場合に、新たなPANに加入することを試みてもよい。PANのためのバックホール接続の状態は、ビーコンにおける情報要素(information element:IE)として伝達されてもよい。クリティカルパスノードが、1つ又は複数の子ノードを有する親ノードであり、PANを切り換える場合、クリティカルパスノード及び子ノードは、それらの親子関係を保持しながら、PANを切り換えてもよい。親ノードは、バックホール接続の喪失以外の理由でPANを切り換える場合、その子ノードとの親子関係を保持してもよい。
【0015】
クリティカルノード及びクリティカルパス.
図1は、2つのPAN、すなわちPAN A及びPAN Bを示す。ノード110はPAN Aのルートであり、ノード150はPAN Bのルートである。PAN AはノードA-1~A-6を含み、PAN BはノードB-1及びB-2を含む。バックホール接続104はPAN Aに中央システム102を接続し、バックホール接続106はPAN Bに中央システムを接続する。図1には図示しないが、PAN及び中央システム102の間に任意個数の介在する装置が存在してもよい。
【0016】
ノード110及びノード150は、それらの各バックホール接続の状態をモニタリングし、それらのビーコンにおいて、それらのバックホール接続の状態に関する情報を含む。一例において、それらは、NTPサーバに接続されているか否かを決定し、そうならば、それらのバックホール接続が利用可能であると決定する。他の実施例は、それらのバックホール接続が利用可能であるか、それとも利用不可能であるかを決定するための他のファクターであって、特定のシステム又はサーバへの接続、又は、時間ソースへの接続を含むが、これらに限定されないファクターを考慮してもよい。各ノードは、その各ビーコンにおけるIEにおいて、その現在のバックホール状態情報を含む。このIEは、新たなIEであってもよく、又は、既存のIEであってもよい。既存のIEが使用される場合、バックホール状態情報がIEに追加されてもよい。バックホール状態情報を含む任意のタイプのIEは、ここでは、バックホール状態IEと呼ばれる。バックホール状態情報は1ビットで伝送されてもよく、ここで、第1の値は、バックホール接続が利用可能であることを示し、第2の値は、バックホール接続が利用不可能又は未知であることを示す。いくつかの実施例では、バックホール状態情報は、バックホール接続がその現在の状態にあった時間長のような追加情報を含む。例えば、最後の状態変化の時刻を示すタイムスタンプが使用されてもよい。図1に示した実施例において、バックホール接続104は利用可能であり、バックホール接続106は利用不可能である。
【0017】
図1において、ノードNは、どちらのPANにも加入されないクリティカルノードである。クリティカルノードは、バックホール接続を必要とするノードである。それは、バックホール接続が利用可能になる場合、バックホール接続が再接続するまで待機できない可能性がある。クリティカルノードの一例は、ラインセンサ、スイッチ、及び再閉路装置のようなDA(Distribution Automation)機器に関連付けられたノードである。ノードは、設置時にクリティカルノードとして指定されてもよく、又は、設置後にクリティカルノードとして指定されてもよい。
【0018】
ノードNは、PAN AからビーコンAを受信し、PAN BからビーコンBを受信する。この例では、ビーコンAは、バックホール接続104が利用可能であることを示すバックホール状態IEを含み、ビーコンBは、バックホール接続106が利用不可能であることを示すバックホール状態IEを含む。ノードNはクリティカルノードであるので、それはPAN Aに加入する。クリティカルノードは、例えば、ランク、負荷などのような他のファクターがPANへの加入に好適であるかもしれなくても、利用不可能なバックホール接続を有するPANへの加入を避けるように構成されてもよい。
【0019】
図2は、ノードNが加入した後のPAN Aを示す。ノードNが加入した後、それは、ノードNをクリティカルノードとして識別するDAOメッセージを送信する。一例において、ノードNは、それがクリティカルノードであることを示すビットをDAOフラグフィールドに設定する。DAOメッセージに基づいて、PAN Aのためのルートであるノード110は、ノードNのためのクリティカルパスを決定し、ノードNのためのクリティカルパス、すなわち、ノードN、ノードA-5、ノードA-4、及びノードA-1を含むパスを記述する情報を格納する。ルートは、クリティカルパスが適所にあることを示すように設定されたビットを有するDAO-ACKメッセージをノードNに送信してもよい。
【0020】
いくつかの実施例では、ルート及びノードNの間の各ノードがDAO-ACKメッセージを受信するとき、ノードは、ビットをチェックし、それがクリティカルパスノードであると決定する。ノードがクリティカルパスノードをサポートしない場合、それは、メッセージを受信した後に、メッセージを転送しない。代わりに、それは、メッセージを廃棄してもよく、又は、エラーメッセージを送信してもよい。
【0021】
ノードNは、それがクリティカルノードであることを示すために、IPv6メッセージのホップごとの拡張ヘッダにおける表示を含むがそれに限定されない、他のタイプのメッセージ又は他のフィールドを使用してもよい。一例において、ノードNは、それがクリティカルノードでありクリティカルパスを要求していることを示すビットを、ホップごとの拡張ヘッダにおいて設定する。ノードA-5がクリティカルパスノードをサポートする場合、それは、メッセージを受信し、ビットをチェックし、前クリティカルパス状態に入り、メッセージを次のノードに転送する。この処理は、メッセージがPAN Aのルートに達するまで繰り返される。クリティカルパスが適所にあることを示すメッセージをルートがノードNに送信するとき、ルート及びノードNの間のノードは、メッセージを検査し、前クリティカルパス状態からクリティカルパス状態に遷移してもよい。
【0022】
PAN Aが無線メッシュネットワークかもしれないので、ノードNのためのクリティカルパスは変化しうる。クリティカルパスが変化する場合、ノードNのためのクリティカルパスは、追加のノード又は異なるノードを含んでもよい。ルートによって保持されたクリティカルパス情報と、変化の影響を受ける各ノードのクリティカルパス状態とは、クリティカルパスにおける変化を反映するように更新される。
【0023】
ノードNがPAN Aに加入した後、それは、バックホール状態IEを含むビーコンを生成して送信する。ノードNは、その親ノードA-5又はPAN Aにおける他のノードから受信するビーコンから、バックホール状態IEの情報を取得する。
【0024】
バックホール接続及びクリティカルパスの喪失.
図3は、PAN Aのバックホール接続が利用不可能になり、PAN Bのバックホール接続が利用可能であるシナリオを示す。ノード110が、そのバックホール接続が利用不可能であることを検出する場合、次いで、それは、バックホール状態IEにおいてバックホール状態情報を含むビーコン、すなわちビーコンAを発生してもよい。バックホール接続の状態に関する情報は、PAN Aのためのバックホール接続が利用不可能であることを示すバックホール状態IEを有するビーコンをノードNが受信するまで、ネットワークを介して伝搬される。ノードNはクリティカルノードであるので、それは、いったんその現在のPANのためのバックホール接続が利用不可能であると決定すると、加入するための新たなPANの探索を開始してもよい。ノードNが、PAN BからのビーコンBのような、異なるPANからのビーコンを受信する場合、それは、PANを切り換えるか否かを決定するときに、PAN Bのためのバックホール接続が利用可能であるか否かを考慮してもよい。それは、PANを切り換えると決定する場合、PAN Bに加入するために、図1及び図2に関して上述したものと同様の処理を行ってもよい。この例において、PAN Aに加入した他のノードは、図4に示すように、PAN Aに加入し続けてもよい。
【0025】
ノードNがPAN Bに加入する場合、その親ノード、すなわちノードA-5は、ノードNがもはや子ノードではないと決定する。一例において、ノードNは、PAN Bに加入する前にノードA-5に関連付け解除メッセージを送信することで、ノードA-5に切り換えを通知する。ノードNは、クリティカルノード又はクリティカルパスノードである他の任意の子ノードを有するか否かを決定する。それは、クリティカルノード又はクリティカルパスノードである他の任意の子ノードをもたない場合、それがもはやクリティカルパスには存在しないと決定し、それがもはやクリティカルパスノードではないことを示すDAOメッセージを送信する。同様に、ノードA-4は、クリティカルノード又はクリティカルパスノードである子ノードをもたない場合、それがもはやクリティカルパスノードではないことを示すDAOメッセージを送信する。ノードA-1は、クリティカルノード又はクリティカルパスノードである子ノードをもたない場合、その親ノード、すなわちノード110にDAOメッセージを送信し、ノード110は、ノードNのためのクリティカルパスを除去する。ノードA-5は、クリティカルノード又はクリティカルパスノードであるもう1つの子ノード、例えばノードA-6を有する場合、クリティカルパスノードのままであってもよい。この状況において、ノード110は、ノードA-6のクリティカルパス情報を格納する。いったん、ノード、例えばノードA-5がもはやクリティカルパスノードではなくなると、それは、その現在のPAN及び目標PANのためのバックホール接続の状態以外のファクターに基づいて、その現在のPANに加入し続けるか又は目標PANに切り換えてもよい。
【0026】
いくつかの例において、クリティカルノードは、他の1つのPANからビーコンをごくまれに受信することがある。現在のPANのためのバックホール接続が利用不可能である間に、いったん、クリティカルパスにおけるノードが、利用可能なバックホール接続を有する他の1つのPANからビーコンを受信すると、それはPANを切り換えてもよい。例えば、ノードA-5は、PAN Aのためのバックホール接続が利用不可能であることを示すバックホール状態IEを有するビーコンをノードA-4又はPAN Aにおける他の1つのノードから受信する場合、異なるPANを探索して加入してもよい。ノードA-5がクリティカルパスに存在するので、それは、それがクリティカルパスに存在しなかった場合よりも積極的に異なるPANを探索してもよい。いくつかの実施例では、ノードは、異なるPANをどのくらい積極的に探索するかを決定する際に、そのRPLレイヤを考慮する。例えば、レイヤ1ノードは、下位のレイヤのノードほど積極的でなくてもよい。
【0027】
ノードA-5が、PAN BからのビーコンBのような、異なるPANからのビーコンを受信する場合、それは、PAN Bのためのバックホール接続が利用可能かどうかに基づいて、PANを切り換えるか否かを決定してもよい。PAN Bのためのバックホール接続が利用可能である場合、図5に示すように、ノードA-5はPAN Bに加入する。図5は、ノードA-5がPAN Bに加入した後、その子ノード、すなわちノードA-6及びノードNが、PAN A及びPAN Bのいずれにも加入しない可能性があることを示す。図5では、ノードA-5は、クリティカルノードではなく、かつ、クリティカルノードである子ノードをもたないので、PAN Bに加入した後でそれ自体をクリティカルノード又はクリティカルパスノードとして識別しない。いくつかの実施例では、ノードA-6及びノードNはそれぞれ、別個の加入処理を実行する。各ノードは、新たな親ノードを発見することでPAN Aに再加入するか、ノードA-5(そのPAN Aの親ノード)を介してPAN Bに加入するか、異なる親ノードを発見することでPAN Bに加入してもよい。ノードNがクリティカルノードであり、PAN Aのためのバックホール接続が利用不可能であるので、ノードNはPAN Bに加入する。ノードNがノードA-5の子ノードとしてPAN Bに加入するシナリオにおいて、ノードNは、ノードNをクリティカルノードとして識別するDAOメッセージを送信する。クリティカルパスは、図2に関して上に議論したものと類似した方法で確立される。
【0028】
いくつかの実施例では、イーサネット又はセルラーのような2次的なバックホール接続が利用可能である可能性がある。そうであれば、クリティカルパスノードが、バックホール接続が利用不可能であることを示すバックホール状態IEを備えたビーコンを受信する場合、ノードは、現在のPANに残って2次バックホール接続を使用することを選択してもよい。
【0029】
バックホール状態IEが、バックホール接続が利用不可能であることを示し、また、バックホール接続が利用不可能であった時間長に関する情報を含む場合、クリティカルパスノードは、新たなPANにいつ切り換えるのかを決定するとき、バックホール接続が利用不可能であった時間長を考慮してもよい。
【0030】
上述の例は、クリティカルノードに関連したバックホール状態IEの使用について議論するが、バックホール状態IEは、バックホール状態情報が有用である場合には常に使用されてもよい。それは、クリティカルパスノードによる使用に限定されない。
【0031】
PANを切り換える際における親子関係の保持.
ノードは、新たなPANに切り換えるとき、既存の親子関係を保持してもよい。バックホール接続が失われるので、又は、他の任意の理由で、切り換えが生じてもよい。
【0032】
引き続き図3の例を参照すると、ノードA-5は、PAN Bに加入するとき、その子ノードを伴ってもよい。いったん、ノードA-5が、目標PANに切り換えようとしていると決定すると、ノードは、その現在のPAN、例えばPAN Aと、その目標PAN、例えばPAN Bとの両方のためのタイミング同期情報を保持する。ノードA-5は、目標PANにおけるビーコンから目標PANのためのタイミング同期情報を取得する。ノードA-5は、目標PANに切り換えるように計画された時刻とともに、目標PANのためのタイミング同期情報を、その子ノード、すなわちノードA-6及びノードNに伝達する。タイミング同期情報及び切り換え時刻は、ノードA-5からのビーコンにおいて伝達されてもよい。例えば、ビーコンにおけるIEは、現在、ネットワークに関する情報を提供し、絶対スロット番号、チャンネルホッピングシーケンス、及び時間スロットオフセット情報を含む。ビーコンにおけるIEは、PAN切り換えタイムスタンプを含むように変更されてもよい。ノードA-5をそれらの親ノードとして認識するノードのみが、タイミング同期情報及び切り換え時刻に基づいて動作してもよい。いったん、ノードA-6及びノードNが、タイミング同期情報及び切り換え時刻を有するビーコンを受信すると、これらのノードは、PAN A及びPAN Bの両方のためのタイミング同期情報を保持する。切り換え時刻において、ノードA-5と、その子ノード、すなわちノードA-6及びノードNとは、図3に示すようにPAN Aから、図6に示すようにPAN Bに切り換える。切り換えの後、ノードA-5は、DISメッセージをノードB-2に送信することで、ノードB-2からのDIOメッセージをトリガしてもよい。DIOメッセージに応答して、ノードA-5は、その子ノード、すなわちノードNがクリティカルノードであることと、ノードA-5がクリティカルパスに存在することとを示すDAOメッセージを送信してもよい。いったんノードA-5がDAO-ACKメッセージを受信すると、それは、その子ノードが新たなネットワークプリフィックスを取得しうるように、ユニキャスト、マルチキャスト、又はブロードキャスト方法を用いて、PAN Aから伴われたその子ノード、例えばノードA-6及びノードNにDIOメッセージを送信してもよい。
【0033】
ノードがPAN Bに切り換えた後、クリティカルパスは、ノードA-5、ノードB-2、ノードB-1、及びノード150を含む。ノードA-5、ノードA-6、及びノードNをともに目標PANに切り換えることによって、タイミング及びネットワーク接続性が保持され、子ノード、例えばノードA-6及びノードNの利用可能性が改善される。
【0034】
親ノードが任意の理由でターゲットPANに切り換えていると決定するとき、ノード間の親子関係が保持されてもよい。親ノードがクリティカルパスノードである場合又は切り換えがバックホール接続状態に基づく場合の状況には限定されない。
【0035】
クリティカルノード及びPANの間の通信.
図7は、PANを探索して加入するクリティカルノード704を示す。ノード704は、最初に、メッシュネットワーク702に対応するPANに加入するか否かを決定する。710において、ネットワーク702のためのバックホール接続が利用不可能になる。続いて、712において、ネットワーク702のための境界ルータ又はルートノードは、バックホール接続の喪失をネットワークに伝達する。一例において、境界ルータは、バックホール接続が利用不可能であることを示すバックホール状態IEを有するビーコンを送信する。クリティカルノード704は、加入するネットワークを発見するために、714において、ビーコンのリッスンを開始する。716において、ノード704は、ネットワーク702からビーコンを受信する。ビーコンは、ネットワーク702がそのバックホール接続を喪失したことを示すバックホール状態IEを含む。ノード704がクリティカルノードであるので、それは、利用可能なバックホール接続を有するネットワークを発見するために、さらなるビーコンのリッスンを続ける。
【0036】
720において、メッシュネットワーク706に対応するPANのためのバックホール接続が利用可能である。722において、ネットワーク706のための境界ルータは、バックホール接続が利用可能であることをネットワークに伝達する。一例において、境界ルータは、バックホール接続が利用可能であることを示すバックホール状態IEを有するビーコンを送信する。724において、ノード704は、ネットワーク706からビーコンを受信する。ネットワーク706からのビーコンが、バックホール接続が利用可能であることを示すので、ノード704は、それがネットワーク706に加入しようとすると決定する。ノード704及びネットワーク706は、レイヤ2におけるメッセージ交換726及び728を行う。メッセージ交換は、関連付け要求及び関連付け応答メッセージを含んでもよい。他のタイプのメッセージ交換も可能である。いったんレイヤ2において加入すると、ノード704及びネットワーク706は、レイヤ3においてもう1つのメッセージ交換を行う。例えば、ノード704は、それがクリティカルノードであることを示すDAOメッセージを送信してもよく、ネットワーク706内のノードは、DAO-ACKメッセージにより応答してもよい。
【0037】
734において、ネットワーク706のためのバックホール接続が利用不可能になる。続いて、736において、ネットワーク706のための境界ルータは、バックホール接続の喪失をネットワークに伝達する。738において、ネットワーク706からのビーコンは、ネットワーク706のためのバックホール接続が利用不可能であることを示す。ビーコンの受信に応答して、740において、ノード704は新たなPANの探索を開始する。
【0038】
図7はバックホール状態情報を伝達するためにビーコンを用いるが、他の実装では、他のタイプのレイヤ2メッセージ又は適正フレームを含むがこれらに限定されない、異なるタイプのメッセージを使用してもよい。
【0039】
例示的なノード.
図8は例示的なノード800を示す。ノードは、バス806を介して通信可能にそれぞれ接続された、プロセッサ802、メモリ804、及び送受信装置820を含んでもよい。ノード800の構成要素は、A/C電源によって、又は、バッテリー(図示せず)のような小エネルギー源によって、電力供給を受けてもよい。送受信装置820は、他のノードと通信するためのアンテナ808を含んでもよい(又は通信可能に接続されてもよい)。いくつかの実施例において、送受信装置は、信号を無線で送信及び受信する無線周波数(radio-frequency:「RF」)送受信機である。
【0040】
プロセッサは、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit:「ASIC」)、状態機械、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array:「FPGA」)、又は他の適切な計算装置を含んでもよい。プロセッサは、任意個数の計算装置を含んでもよく、メモリ804のようなコンピュータ可読媒体に通信可能に接続されてもよい。プロセッサは、ここで説明したような動作を実行するために、コンピュータ実行可能なプログラム命令を実行するか、又は、メモリに格納された情報にアクセスすることができる。命令は、任意の適切なコンピュータプログラミング言語で書かれたコードからコンパイラ及び/又はインタプリタによって生成されたプロセッサ固有の命令を含んでもよい。クリティカルパスモジュール814において提供されたような命令が実行されるとき、当該命令は、ここで説明した動作のうちの任意のものを実行するようにノードを構成してもよい。図8において、プロセッサ、メモリ、バス、及び送受信装置は、互いに通信する別個の構成要素として示すが、他の実装もまた可能である。ここに議論されたシステム及び構成要素は、任意の特定のハードウェアアーキテクチャ又は構成に限定されない。
【0041】
本願の要旨をその特定の態様に関して詳述したが、当業者は、上述したことを理解することにより、そのような態様の変更、変形、及び等価物を容易に作成しうることが認識されるであろう。従って、本開示が限定ではなく例示の目的で提示され、当業者に容易に明らかになるように、本願の要旨に係るそのような変更、変形、及び/又は追加を含むことを除外しないことは理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8