IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ルミレッズ ホールディング ベーフェーの特許一覧

<>
  • 特許-発光装置用の波長変換材料 図1
  • 特許-発光装置用の波長変換材料 図2
  • 特許-発光装置用の波長変換材料 図3
  • 特許-発光装置用の波長変換材料 図4
  • 特許-発光装置用の波長変換材料 図5
  • 特許-発光装置用の波長変換材料 図6
  • 特許-発光装置用の波長変換材料 図7
  • 特許-発光装置用の波長変換材料 図8
  • 特許-発光装置用の波長変換材料 図9
  • 特許-発光装置用の波長変換材料 図10
  • 特許-発光装置用の波長変換材料 図11
  • 特許-発光装置用の波長変換材料 図12
  • 特許-発光装置用の波長変換材料 図13
  • 特許-発光装置用の波長変換材料 図14
  • 特許-発光装置用の波長変換材料 図15
  • 特許-発光装置用の波長変換材料 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】発光装置用の波長変換材料
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20230327BHJP
   C09K 11/80 20060101ALI20230327BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20230327BHJP
   C09K 11/02 20060101ALI20230327BHJP
   C09K 11/64 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
H01L33/50
C09K11/80
C09K11/08 J
C09K11/02 Z
C09K11/64
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021110681
(22)【出願日】2021-07-02
(62)【分割の表示】P 2019529209の分割
【原出願日】2018-09-12
(65)【公開番号】P2021185596
(43)【公開日】2021-12-09
【審査請求日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】17193745.1
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517152128
【氏名又は名称】ルミレッズ ホールディング ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ペーター,ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】エンゲレン,ロブ
(72)【発明者】
【氏名】ディーデリッヒ,トーマス
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08323528(US,B1)
【文献】国際公開第2009/134507(WO,A2)
【文献】特開平04-289483(JP,A)
【文献】国際公開第2011/145651(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102747423(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102560669(CN,A)
【文献】国際公開第2016/174236(WO,A1)
【文献】特開2014-093403(JP,A)
【文献】特開2008-166740(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105062481(CN,A)
【文献】特開2015-060921(JP,A)
【文献】特許第3412726(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2010/0045163(US,A1)
【文献】国際公開第2014/103671(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
C09K 11/00 - 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
発光材料と、
クロムドープされたガーネット、クロムドープされたコルキライト、およびクロムドープされたタングステン酸塩からなる群から選定された、第2の発光材料と、
を有する装置であって、
前記発光材料は、
三方晶カルシウムガロゲルマネート構造タイプに結晶化するホスト格子と、
前記ホスト格子に設置されたドーパントと、
を有し、
前記ドーパントは、
3価のクロムと、
残光を抑制するため、前記発光材料中の全クロムの1%未満の4価のクロムと、
を有し、
前記ホスト格子は、Cr(IV)の有効イオン半径よりも、有効イオン半径が少なくとも10%小さい4価のカチオンを有し、
前記発光材料は、RE3Ga5-x-yAxSiO14:Cry(RE=La,Nd,Gd,Yb,Tm;A=Al)、ここで0<x≦1、および0.005≦y≦0.1である、装置。
【請求項2】
前記第2の発光材料は、Gd3-x1Sc2-x2-yLux1+x2Ga3O12:Cry、ここで0.02≦x1≦0.25、0.05≦x2≦0.3、0.04≦y≦0.12である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の発光材料は、Gd2.85Sc1.75Lu0.3Ga3O12:Cr0.1である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の発光材料は、Gd2.8La0.2Sc1.7Lu0.2Ga3O12:Cr0.1である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の発光材料は、Gd2.85Sc1.75Lu0.3Ga3O12:Cr0.1であり、前記発光材料は、La2.98Gd0.02Ga4.76Al0.2SiO14:Cr0.04である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の発光材料は、SrLiAl0.995F6:Cr0.005である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記光源は、青色励起(pump)LEDであり、
前記青色励起LEDに設置されたシリコーンマトリクスに組み合わされた、前記発光材料は10質量%であり、前記第2の発光材料は90質量%である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記光源は、青色励起LEDであり、
前記第2の発光材料は、Gd2.85Sc1.75Lu0.3Ga3O12:Cr0.1であり、
記発光材料は、La2.98Gd0.02Ga4.76Al0.2SiO14:Cr0.04である、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
シリコーンマトリクスに組み合わされた、前記発光材料は12質量%であり、前記第2の発光材料は88質量%である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記発光材料および第2の発光材料は、マトリクス内に形成され、
該マトリクスは、ガラス、セラミック、およりシリコーンの少なくとも1つを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記マトリクスは、タイルに成形される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記マトリクスは、可撓性シートに成形される、請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、発光装置用の波長変換材料に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)、共振器型発光ダイオード(RCLED)、垂直共振器レーザダイオード(VCSEL)、および端面発光レーザを含む半導体発光装置は、現在利用できる最も効率的な光源である。可視スペクトルにわたり作動可能な高輝度発光装置の製造において、現在関心のある材料系は、III-V族半導体、特に、ガリウム、アルミニウム、インジウム、および窒素の二元系、三元系、および四元系の合金を含み、これらはIII-窒化物材料とも称されている。通常、III-窒化物発光装置は、金属-有機化学気相成膜(MOCVD)、分子ビームエピタキシー(MBE)、または他のエピタキシャル技術により、サファイア、炭化ケイ素、III-窒化物、または他の好適基板上に、異なる組成およびドーパント濃度の半導体層のスタックをエピタキシャル成長させることにより製作される。スタックは、しばしば、基板上に形成された、例えばSiでドープされた1または2以上のn型層と、n型層の上に形成された、活性領域における1または2以上の発光層と、活性領域の上部の、例えばMgでドープされた1または2以上のp型層と、を有する。n型およびp型の領域には、電気的コンタクトが形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
LEDのような発光装置は、しばしば、蛍光体のような波長変換材料と組み合わされる。そのような装置は、しばしば、蛍光体変換LEDまたはPCLEDと称される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明では、
発光材料であって、
三方晶カルシウムガロゲルマネート構造タイプに結晶化するホスト格子と、
前記ホスト格子に設置されたドーパントと、
を有し、
前記ドーパントは、
3価のクロムと、
当該発光材料中の全クロムの全濃度の1%未満の濃度の4価のクロムと、
を有する、発光材料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】ある実施例による2つの近赤外放射蛍光体の放射スペクトルを示した図である。
図2】LEDの断面図である。
図3】LEDと直接接触する波長変換構造を有する装置の断面図である。
図4】LEDと近接する波長変換構造を有する装置の断面図である。
図5】LEDから離れた波長変換構造を有する装置の断面図である。
図6】合成されたLa3Ga4.98SiO14:Cr0.02のX線回折(XRD)パターンである。
図7】合成されたLa3Ga4.48Al0.5SiO14:Cr0.02のXRDパターンである。
図8】合成されたGd2.8La0.2Sc1.7Lu0.2Ga3O12:Cr0.1のXRDパターンである。
図9】合成されたGd2.4La0.6Sc1.5Lu0.4Ga3O12:Cr0.1のXRDパターンである。
図10】長波長および短波長の近赤外放射材料の混合物の放射スペクトルを示した図である。
図11】長波長および短波長の近赤外放射材料の混合物の放射スペクトルを示した図である。
図12】長波長および短波長の近赤外放射材料の混合物を含む蛍光体変換LEDの放射スペクトルを示した図である。
図13】長波長および短波長の近赤外放射材料の混合物を含む蛍光体変換LEDの放射スペクトルを示した図である。
図14】合成されたLa2.89Gd0.02Ga4.76Al0.2SiO14:Cr0.04のX線回折(XRD)パターンである。
図15】合成されたGd2.85Sc1.75Lu0.3Ga3O12:Cr0.1のXRDパターンである。
図16】12wt%のGd2.85Sc1.75Lu0.3Ga3O12:Cr0.1 と、88wt%のLa2. 98Gd0.02Ga4.76Al0.2SiO14:Cr0.04との混合物を含む蛍光体変換LEDの放射スペクトルを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の実施例は、近赤外放射線(NIR)を放射する蛍光体のような、波長変換材料または発光材料を含む。簡略化のため、本願において赤外放射線は、「光」と称される。NIR蛍光体は、例えば、蛍光体変換LEDに使用されてもよい。
【0007】
NIR蛍光体は、ある実施例では、少なくとも700nmのピーク波長を有する光を放射し、ある実施例では、1100nm以下のピーク波長を有する光を放射してもよい。ある実施例では、例えば、NIR蛍光体は、700-1100nmの範囲内の分布放射強度を有し、NIR蛍光体は、ある実施例では、少なくとも1700cm-1の半値全幅を有し、ある実施例では、4000 cm -1以下の半値全幅を有してもよい。
【0008】
NIR蛍光体は、例えば、可視スペクトル範囲における光で励起されてもよく、これは、これらが可視光を吸収し、応答としてNIR光を放射することを意味する。NIR蛍光体は、ワイドバンドギャップ材料であってもよい。ワイドバンドギャップホスト格子の使用は、高温での光電離による蛍光消光を制限してもよい。NIR蛍光体のバンドギャップは、ある実施例では少なくとも4.8eVであり、ある実施例では5eV超であり、ある実施例では7eV未満である。
【0009】
ある実施例では、NIR蛍光体は、電気絶縁材料である。電気絶縁材料のある利点は、導電率がバンドギャップに関連するため、バンドギャップが高いことである。バンドギャップが高いほど、導電率は低下する。また、半導体は、しばしば、高温で高い導電率を示すものの、ダイアモンド(バンドギャップ~5.5eV、ある実施例によるNIR蛍光体のバンドギャップに匹敵する)のような絶縁体は、高温でも絶縁性のままである。
【0010】
通常、蛍光体のような波長変換材料は、ホスト格子と、少なくとも一つのドーパント種とを有する。ドーパント種の原子は、発光中心として機能する。ある実施例では、NIR蛍光体は、発光中心として、Cr(III)のような(Cr(III)は、Cr3+と同じである)、3価のカチオンを有する。ある実施例では、3価のカチオンに加えて、またはこの代わりに、NIR蛍光体は、発光中心として4価のカチオンを有する。ある実施例では、ホスト格子は、Si4+のような、4価のカチオンを有し、有効イオン半径は、4重配位のため、Cr4+の有効イオン半径よりも38%小さい。小さな4価のホスト格子カチオンサイズは、好ましくないCr(IV)の形成を抑制し、これにより、NIR蛍光体の安定性が向上し、高温でのNIR蛍光体の発光変換効率が高まる。ある実施例では、NIR蛍光体は、NIR蛍光体中の全クロム含有量に対して10%未満のCr(IV)を有し、自己吸収ロスが抑制され、または排除される。放射される光は、蛍光体材料に再吸収される。自己吸収ロスは、Cr(III)の放射バンドと、Cr(IV)の吸収バンドの重複により生じ得る。放射エネルギーの大部分は、熱に変換され、これは、効率を低下させる。例えば、ある実施例では、Cr(IV)は、(全Cr量の)10%未満であり、ある実施例では、5%未満であり、ある実施例では、1%未満であり、ある実施例では、0%である。
【0011】
ある実施例において、La3Ga5GeO14:Crのような他の蛍光体では、要求される低濃度のCr(IV)は、容易に到達できない。これは、ホスト格子内の小径の4価のカチオンを含まない。なぜなら、大きなサイズのGe4+カチオンは、5%以内のCr4+と同じサイズを有し、従って、Cr4+が構造内で安定化されるためである。そのような蛍光体では、高圧下での還元焼成のような高価な次善策が要求され、例えばガリウムロスを抑制する必要がある。ある実施例では、NIR蛍光体は、Si4+を有し、これは、Ge4+およびCr4+よりもずっと小さい。従って、Cr4+のSi4+サイトへの挿入を抑制するために、前述の還元焼成のような技術は要求されなくなる。
【0012】
また、例えば、La3Ga5GeO14:CrにおけるCr(IV)の導入は、顕著な残光(低強度、一定のスペクトルパワー分布を有する短光パルスが必要な用途では好ましくない、持続的な放射)につながる上、Cr(IV)が赤色光で直接励起される場合、放射スペクトルの長波長側へのシフトにつながる。残光現象は、La3Ga5GeO14:Cr材料に、さらに構造内のCr(IV)を安定化する2価のカチオンをドープすることにより顕著化され得る。ある実施例によるNIR蛍光体は、ドーパントとして、例えばMg2+のような、2価のカチオンを含まない。ある実施例では、NIR蛍光体は、ホスト格子に、例えばGe4+のような、Cr(IV)を不必要に安定化する4価のカチオンを含まない。
【0013】
ある実施例では、NIR蛍光体は、極性空間群P321において結晶化する、カルシウムガロゲルマネート構造群に属するホスト格子を有する。ホスト格子は、三方晶カルシウムガロゲルマネート構造タイプに結晶化してもよい。好適なカルシウムガロゲルマネート材料は、組成範囲RE3Ga5-x-yAxSiO14:Cry(RE=La,Nd,Gd,Yb,Tm;A=Al,Sc)を有してもよい。ここで、0≦x≦1であり、0.005≦y≦0.1である。
【0014】
ある実施例では、NIR蛍光体は、カルシウムガロゲルマネート、ガーネット、またはコルキライト結晶構造のホスト格子を有し、これは、ある量の2価の遷移金属、例えば、Mg、Ca、Yb、Sr、Eu、Ba、Zn、およびCdを有する。2価のトレース金属の濃度は、低く維持され、ある実施例では400ppm未満であり、ある実施例では、100ppm未満である。前述のRE3Ga5-x-yAxSiO14:Cry材料において、小さな2価の遷移金属、例えばMg、Zn、およびCdは、ガリウムと置換されてもよい。
【0015】
ある実施例では、NIR蛍光体は、ランガサイトとしても知られる、La3Ga5-ySiO14:Cryであり、これは、5.1eVで光学バンドギャップを示す。ある実施例では、NIR蛍光体は、組成物RE3Ga5-x-yAxSiO14:Cryの1または2以上のガロゲルマネート化合物であり、これは、4.6eVよりも大きな光学バンドギャップを示す。ある実施例では、ガロゲルマネート材料の光学バンドギャップは、Alおよび/もしくはScによるGaの部分置換、ならびに/または小さな希土類元素Nd、Gd、YbによりLaの一部を置換することにより上昇する。Alおよび/もしくはScによるGaの置換は、さらに、特に高温での蛍光体材料の効率を改善する。Nd3+およびYb3+は、950-1070nmの波長範囲で追加の放射を示し、これは、ある用途において有益である。
【0016】
ある実施例では、NIR蛍光体RE3Ga5-x-yAxSiO14:Cry(RE=La,Nd,Gd,Yb,Tm;A=Al,Sc)は、組成がGd3-xRExSc2-y-zLnyGa3-wAlwO12:Crz(Ln=Lu,Y,Yb,Tm;RE=La,Nd)、ここで0≦x≦3;0≦y≦1.5;0≦z≦0.3;および0≦w≦2、の1もしくは2以上のクロムドープされたガーネット、ならびに/または組成がAAEM1-xF6:Crx(A=Li,Cu;AE=Sr,Ca;M=Al,Ga,Sc)、ここで0.005≦x≦0.2、の1もしくは2以上のクロムドープされたコルキライト材料、ならびに/または組成がA2-x(WO4)3:Crx(A=Al,Ga,Sc,Lu,Yb)、ここで0.003≦x≦0.5の、1もしくは2以上のクロムドープされたタングステン酸塩材料のような、第2の、広いバンドギャップのNIR蛍光体材料と組み合わされる。
【0017】
ある実施例では、NIR蛍光体は、(La,Gd)3Ga5-x-yAlxSiO14:Cry、ここで0≦x≦1および0.02≦y≦0.08の組成範囲を有してもよい。ある実施例では、NIR蛍光体(La,Gd)3Ga5-x-yAlxSiO14:Cryは、組成がGd3-x1Sc2-x2-yLux1+x2Ga3O12:Cry、ここで0.02≦x1≦0.25、0.05≦x2≦0.3、および0.04≦y≦0.12の、1または2以上のクロムドープされたガーネットのような、第2の、広いバンドギャップのNIR蛍光体材料と組み合わされる。
【0018】
図1には、ある実施例による2つのNIR蛍光体粉末の放射スペクトルを示す。図1における材料は、クロムドープされたガーネットである。曲線Aは、440nmの光で励起された際のGd2.8La0.2Sc1.7Lu0.2Ga3O12:Cr0.1の放射スペクトルである。曲線Bは、440nmの光で励起された際のGd2.4La0.6Sc1.5Lu0.4Ga3O12:Cr0.1の放射スペクトルである。これらの材料の合成法は、以降の実施例に記載されている。
【0019】
ある実施例によるNIR蛍光体は、既知の蛍光体系を超える利点、例えば、特に波長範囲>800nmにおいて、高温(例えば,ある実施例では25℃超および85℃以下)における高い吸収および改善された量子効率を有する。
【0020】
前述のNIR蛍光体材料は、例えば、粉末形態、セラミックの形態、または他の任意の好適な形態で製造され得る。NIR蛍光体材料は、事前作製されたガラスまたはセラミックタイルのような、光源から別個に形成され、別個に処理された構造に形成されてもよい。あるいは、光源上に形成された共形の、または他のコーティングのような、光源を用いてin-situで形成された構造に形成されてもよい。
【0021】
ある実施例では、前述のNIR蛍光体は、例えば、透明マトリクス、ガラスマトリクス、セラミックマトリクス、または他の任意の好適な材料もしくは構造内に分散された粉末であってもよい。マトリクスに分散されたNIR蛍光体は、例えば、単体化され、または光源にわたって分散されたタイルに形成されてもよい。ガラスマトリクスは、例えば、軟化点が1000℃未満の低融点ガラスであり、あるいは他の任意の好適なガラスまたは他の透明材料であってもよい。ある実施例では、低融点ガラスは、軟化点が600℃未満で、屈折率が1.75超の、亜鉛ビスマスホウ酸塩ガラスの群に属する。ある実施例では、低融点ガラスは、さらに、バリウムおよび/またはナトリウムを有し、軟化点が500℃未満、屈折率が1.8超であってもよい。セラミックマトリクス材料は、例えば、CaF2のようなフッ化物塩、または他の好適な材料であってもよい。
【0022】
前述のNIR蛍光体は、例えば、粉末状の蛍光体をシリコーンのような透明材料と混合し、光源からの光路に混合物を分散または配置させることにより、粉末の形態で使用されてもよい。粉末形態では、NIR蛍光体の平均粒子サイズ(例えば粒子直径)は、ある実施例では少なくとも1μmであり、ある実施例では50μm以下であり、ある実施例では少なくとも5μmであり、ある実施例では20μm以下である。ある実施例では、個々のNIR蛍光体粒子またはNIR粉末蛍光体層は、ケイ酸塩、リン酸塩、および/または1もしくは2以上の酸化物のような、1または2以上の材料でコーティングされてもよく、例えば吸収および発光特性が改善され、および/または材料の機能寿命が増加する。
【0023】
前述のNIR蛍光体は、例えば、発光ダイオード(LED)を含む光源に使用されてもよい。発光ダイオードにより放射される光は、本発明の実施例による蛍光体により吸収され、異なる波長の光が放射される。図2には、青色の光を放射する、好適な発光ダイオードであるIII-窒化物LEDの一例を示す。
【0024】
以下の例では、半導体発光装置は、青色光またはUV光を放射するIII-窒化物LEDであるが、LEDに加えて、レーザダイオードのような半導体発光装置、および他のIII-V材料、III-リン化物材料、III-ヒ素化物、II-VI材料、ZnO、またはSi系材料のような、他の材料系で構成された半導体発光装置が使用されてもよい。特に、前述のNIR蛍光体は、例えば、青色(420-470nm)または赤色(600-670nm)の波長範囲で放射するLEDのような光源により励起されてもよい。
【0025】
図2には、本発明の実施例に使用される、III-窒化物LED1が示されている。いかなる好適な半導体発光装置を使用してもよく、本発明の実施例は、図2に記載の装置に限定されない。図2の装置は、従来のように、成長基板10上で、III-窒化物半導体構造を成長させることにより形成される。成長基板は、しばしば、サファイアであるが、例えば、SiC、Si、GaN、または複合材基板のような、いかなる好適な基板であってもよい。III-窒化物半導体構造が成長する成長基板の表面は、成長前に、パターン化され、粗面化され、またはテキスチャー加工(textured)され、これにより装置からの光取り出しが改善されてもよい。成長基板の成長表面とは逆の表面(すなわち、フリップチップ構成において、光の大部分が抽出される表面)は、成長前または後に、パターン化され、粗面化され、またはテキスチャー加工され、装置からの光取り出しが改善されてもよい。
【0026】
半導体構造は、n型とp型の領域に間に挟まれた、発光領域または活性領域を有する。n型領域16は、最初に成長し、組成およびドーパント濃度が異なる複数の層を有し、これには、例えば、バッファ層もしくは核発生層のような調製層、および/または成長基板の除去が容易となるように設計された層を含み、これらは、n型であっても、積極的にドープされていなくてもよく、さらに、効率的に光を放射するため発光領域にとって望ましい特定の光学的、材料的、または電気的な特性のために設計された、n型もしくはp型の装置層を有してもよい。発光領域または活性領域18は、n型領域の上に成長される。好適な発光領域の例には、単一の厚いもしくは薄い発光層、またはバリア層により分離された複数の薄いもしくは厚い発光層を含む、複数の量子井戸発光領域が含まれる。次に、発光領域の上部にp型領域20が成長されてもよい。n型領域と同様、p型領域は、意図的にドープされていない層もしくはn型層を含む、組成、厚さ、およびドーパント濃度が異なる複数の層を有してもよい。
【0027】
成長後、p型領域の表面に、pコンタクトが形成される。pコンタクト21は、しばしば、反射金属および保護金属のような複数の導電層を有し、後者は、反射金属の電気泳動を防ぎ、または低減してもよい。反射金属は、しばしば、銀であるが、いかなる好適な材料が使用されてもよい。pコンタクト21を形成した後、pコンタクト21、p型領域20、および活性領域18の一部は除去され、nコンタクト22が形成されるn型領域16の一部が露出される。nおよびpコンタクト22、21は、ギャップ25により、相互に電気的に絶縁され、ギャップには、ケイ素の酸化物または他の好適な材料のような誘電体が充填される。複数のnコンタクトバイアスが形成されてもよい。nおよびpコンタクト22、21は、図2に示した配置に限定されない。nおよびpコンタクトは、再分配され、従来のように、誘電体/金属スタックを有するボンドパッドが形成されてもよい。
【0028】
LED1に対する電気的接続を形成するため、nおよびpコンタクト22、21上に、1または2以上の相互接続26、28が形成され、またはnおよびpコンタクト22、21と電気的に接続される。図5において、相互接続26は、nコンタクト22と電気的に接続される。相互接続28は、pコンタクト21と電気的に接続される。相互接続26、28は、誘電体層24とギャップ27により、nおよびpコンタクト22、21から、ならびに相互から、電気的に絶縁される。相互接続26、28は、例えば、はんだ、スタッドバンプ、金層、または他の任意の好適な構造であってもよい。
【0029】
基板10は、薄肉化され、または完全に除去されてもよい。ある実施例では、薄肉化により露出された基板10の表面は、パターン化され、テクスチャー加工され、または粗面化され、光取り出しが改善される。
【0030】
任意の好適な発光装置が、本発明の実施例による光源に使用されてもよい。本発明は、図2に示した特定のLEDに限定されない。例えば、図2に示したLEDのような光源は、以下の図において、ブロック1により示されている。
【0031】
図3、4、5には、LED1と波長変換構造30とを組み合わせた装置を示す。波長変換構造30は、前述の例および実施例による1または2以上のNIR蛍光体を有してもよい。
【0032】
図3では、波長変換構造30は、LED1に直接接続される。例えば、波長変換構造は、図2に示すように、基板10に直接接続されてもよく、あるいは基板が除去される場合、半導体構造に直接接続されてもよい。
【0033】
図4では、波長変換構造30は、LED1に直接接触しないものの、LED1に近接して設置される。例えば、波長変換構造30は、接着層32、小さな空気ギャップ、または他の任意の好適な構造により、LED1から離されてもよい。ある実施例では、LED1と波長変換構造30の間の間隔は、例えば、500μm未満であってもよい。
【0034】
図5では、波長変換構造30は、LED1から離間される。ある実施例では、LEDと波長変換構造30の間の間隔は、例えば、mmのオーダーであってもよい。そのような装置は、遠隔「蛍光体」装置と称される。
【0035】
波長変換構造30は、正方形、矩形、多角形、六角形、円形、または他の任意の好適な形状であってもよい。波長変換構造は、LED1と同じサイズであっても、LED1よりも大きくても、小さくてもよい。
【0036】
単一の装置に、複数の波長変換材料および複数の波長変換構造が使用され得る。波長変換構造の例には、発光セラミックタイル;ロール処理され、成形され、またはシート状に形成され、その後、個々の波長変換構造に単一化された、シリコーンまたはガラスのような、透明材料内に配置された粉末蛍光体;LED1に積層され、またはLED1にわたって設置された、可撓性シートに成形されたシリコーンのような透明材料内に設置された粉末蛍光体のような波長変換材料;シリコーンのような透明材料と混合され、分散され、スクリーン印刷され、型版印刷され、成形され、または他の方法でLED1の上に設置された、粉末蛍光体のような波長変換材料;ならびに電気泳動法、気相法、または他の任意の好適な成膜法により、LED1または別の構造上にコーティングされた波長変換材料;が含まれる。
【0037】
また、装置は、前述のNIR蛍光体に加えて、例えば、従来の蛍光体、有機蛍光体、量子ドット、有機半導体、II-VI族もしくはIII-V族半導体、II-VI族もしくはIII-V族半導体量子ドットもしくはナノ結晶、色素、ポリマー、または他の発光する材料のような、他の波長変換材料を有してもよい。
【0038】
波長変換材料は、LEDにより放射される光を吸収し、1または2以上の異なる波長の光を放射する。LEDにより放射される未変換の光は、しばしば、構造から抽出される光の最終スペクトルの一部となる。ただしこれは必須ではない。特定用途のために望ましい、または必要な、構造から取り出される光のスペクトルを調整するため、異なる波長の光を放射する波長変換材料が含有されてもよい。
【0039】
複数の波長変換材料が相互に混合され、または別個の構造として形成されてもよい。
【0040】
ある実施例では、波長変換構造または装置に、例えば、光学特性を改善する材料、散乱を高める材料、および/または熱特性を改善する材料のような、他の材料が添加されてもよい。
【実施例
【0041】
1. La3Ga4.98SiO14:Cr0.02の合成
4.805gの酸化ランタン(Auer Remy,4N)、4.589gの酸化ガリウム(Alfa,5N)、0.0149gの酸化クロム(III)(Alfa,99%)、0.591gのヒュームドシリカ(Evonik)、および0.1 gのホウ酸(Aldrich)の開始材料を、エタノール中で混合し、100℃で乾燥させ、一酸化炭素下、1300℃で4時間焼成した。ボールミル処理の後、粉末を水洗し、乾燥後、ふるい分けした。単相のLa3Ga4.98SiO14:Cr0.02が得られた。図6は、合成されたLa3Ga4.98SiO14:Cr0.02のX線回折(XRD)パターンであり、カルシウムガロゲルマネート構造における結晶化で、a0=8.163Å、c0=5.087Åである。
【0042】
2. La3Ga4.48Al0.5SiO14:Cr0.02の合成
9.8182gの酸化ランタン(Auer Remy,4N)、8.4354gの酸化ガリウム(Molycorp,UHPグレード)、0.0314gの酸化クロム(III)(Alfa,99%)、1.208 gのヒュームドシリカ(Evonik)、0.5136gのアルミナ(Baikowski)、および0.2005gのホウ酸(Aldrich)の開始材料を、エタノール中で混合し、100℃で乾燥させ、一酸化炭素下、1320℃で4時間焼成し、形成ガス下、1000℃でさらに4時間焼成した。ボールミル処理後、粉末を水洗し、乾燥後、ふるい分けした。図7は、合成されたLa3Ga4.48Al0.5SiO14:Cr0.02のXRDパターンであり、カルシウムガロゲルマネート構造における結晶化で、a0=8.146Å、c0=5.075Åである。
【0043】
2.1. La2.98Gd0.02Ga4.76Al0.2SiO14:Cr0.04の合成
59.262gの酸化ランタン(Auer Remy,4N)、54.769gの酸化ガリウム(Molycorp,UHPグレード)、0.369gの酸化クロム(III)(Materion,2N5)、7.6gのヒュームドシリカ(Evonik)、1.24gの酸化アルミニウム(Baikowski,SP-DBM)、および0.52gのフッ化ガドリニウム(Materion,>2N)の開始材料を、ボールミルによりエタノール中で混合し、100℃で乾燥させ、窒素下、1320℃で8時間焼成した(加熱および冷却ランプル:200 K/h)。ボールミル処理の後、粉末を水洗し、乾燥後、ふるい分けした。図14は、合成されたLa2.89Gd0.02Ga4.76Al0.2SiO14:Cr0.04のX線回折(XRD)パターンであり、カルシウムガロゲルマネート構造における結晶化で、a0=8.1595Å、c0=5.0871Åである。
【0044】
3. Gd2.8La0.2Sc1.7Lu0.2Ga3O12:Cr0.1の合成
5.148gの酸化ガドリニウム(Rhodia,スペラミックグレード)、1.189gの酸化スカンジウム(Alfa Aesar,4N)、0.404gの酸化ルテニウム(Rhodia)、2.852gの酸化ガリウム(Alfa Aesar,4N)、0.0771gの酸化クロム(III)(Alfa,99%)、0.3305gの酸化ランタン(Auer Remy,4N)、 および0.2gのフッ化バリウム(Alfa Aesar)の開始材料を混合し、大気雰囲気下、1500℃で4時間焼成した。粗粉砕およびボールミル処理の後、粉末を温水で洗浄し、乾燥後、ふるい分けした。図8は、合成されたGd2.8La0.2Sc1.7Lu0.2Ga3O12:Cr0.1のXRDパターンであり、ガーネット構造における結晶化で、a0=12.440Åである。
【0045】
4. Gd2.4La0.6Sc1.5Lu0.4Ga3O12:Cr0.1の合成
4.330gの酸化ガドリニウム(Rhodia,スペラミックグレード)、1.103gの酸化スカンジウム(Alfa Aesar,4N)、0.792gの酸化ルテニウム(Rhodia)、2.799gの酸化ガリウム(Alfa Aesar,4N)、0.0757gの酸化クロム(III)(Alfa,99%)、0.9730gの酸化ランタン(Auer Remy,4N)、および0.2gのフッ化バリウム(Alfa Aesar)の開始材料を混合し、大気雰囲気下、1550℃で4時間焼成した。ミル処理後、粉末を、一酸化炭素雰囲気下で、再度、1400℃で4時間焼成した。粗粉砕およびボールミル処理の後、粉末を温水で洗浄し、乾燥後、ふるい分けした。図9は、合成されたGd2.4La0.6Sc1.5Lu0.4Ga3O12:Cr0.1のXRDパターンであり、ガーネット構造における結晶化で、a0=12.604Åである。
【0046】
4.1. Gd2.85Sc1.75Lu0.3Ga3O12:Cr0.1の合成
61.404gの酸化ガドリニウム(Treibacher,>3N8)、14.888gの酸化スカンジウム
(Treibacher,4N)、7.291gの酸化ルテニウム(Solvay,4N)、34.638gの酸化ガリウム(Dowa,4N)、0.925gの酸化クロム(III)(Materion,>2N5)、および1.956gのフッ化ガドリミウム(Materion,>2N)の開始材料をボールミル処理により混合し、1550℃と1520℃において2回、焼成した。その間で、中間ミル処理を8時間実施した。粗粉砕およびミル処理の後、粉末を水洗し、乾燥後、ふるい分けした。図15は、合成されたGd2.85Sc1.75Lu0.3Ga3O12:Cr0.1のXRDパターンであり、ガーネット構造における結晶化で、a0=12.503Åである。
【0047】
5. SrLiAl0.995F6:Cr0.005の合成
AlF3(99.99%,無水物)、LiF(99.999%)、SrF2(99.99%,乾燥)、およびCrF3(99.98%,無水物)の開始材料を、アルゴン下で混合し、白金るつぼに入れた。アルゴン雰囲気下、600℃で4時間焼成後、得られた粉末ケーキをエタノール下でミル処理し、乾燥させた。
【0048】
6. 蛍光体混合物
NIR分光測定のような赤外照射用途では、しばしば、ブロードで、連続的な放射強度分布を有することが好ましい。従って、ある実施例では、例えば、例1)、2)、および2.1)に示されているCrドープカルシウムガロゲルマネートタイプの蛍光体の分類からの、1または2以上の長波長放射材料が、例えば、例3)、4)、および4.1)に示された、Crドープガーネットの分類からの、1または2以上の短波長放射材料、ならびに/または例5)に示されたCrドープコルキライト材料の分類からの材料、と組み合わされる。
【0049】
図10および11には、445nmの光で励起された際の、そのような蛍光体混合物から得られた放射スペクトルの例を示す。図10において、曲線Aは、La3Ga4.98SiO14:Cr0.02とGd2.8La0.2Sc1.7Lu0.2Ga3O12:Cr0.1とが5:1(重量/重量)の比で混合された混合物の放射スペクトルである。曲線Bは、La3Ga4.98SiO14:Cr0.02と、Gd2.8La0.2Sc1.7Lu0.2Ga3O12:Cr0.1とが2:1(重量/重量)の比で混合された混合物の放射スペクトルである。図11には、La3Ga4.98SiO14:Cr0.02と、SrLiAl0.995F6:Cr0.005とが4:1(重量/重量)の比で混合された混合物の放射スペクトルを示す。少なくとも2つの異なる蛍光体系の組み合わせでは、700-1100nmの範囲に、ブロードに構成された放射スペクトルが得られ、単一の蛍光体系のスペクトルに比べて、特に高温で優れた変換効率が得られる。
【0050】
7. LED評価
密度が5.52g/cm3の例1)と、密度が6.80g/cm3の例3)の蛍光体粉末が、90:10および95:5の重量比で、シリコーン(Dow Corning OE-7662)中に懸濁された。懸濁液は、ニードルディスペンサを用いて、450nmの放射青色InGaN励起LEDを備えるパッケージに設置された。図12および13に示すように、シリコーンの硬化後、蛍光体変換LEDが異なる温度で測定された。例えば、350mAのパルス電流の場合、600-1050nm範囲において、全体の放射フラックス>50mWが得られた。
【0051】
図12には、I=350mA、20msのパルス幅において450nmの青色励起(pump)LEDを有するパッケージに分配された、5wt%のGd2.8La0.2Sc1.7Lu0.2Ga3O12:Cr0.1と、95wt%のLa3Ga4.98SiO14:Cr0.02の混合物を含む蛍光体変換LEDの放射スペクトルを示す。曲線Aは、25℃(LED基盤温度)での放射スペクトルであり、装置は、600-1050nmの範囲において、53mWの全放射フラックスを放射する。曲線Bは、55℃での放射スペクトルであり、装置は、600-1050nmの範囲において、39mWの全放射フラックスを放射する。曲線Cは、85℃での放射スペクトルであり、装置は、600-1050nmにおいて、28mWの全放射フラックスを放射する。
【0052】
図13には、I=350mA、20msのパルス幅において450nmの青色励起LEDを有するパッケージに分散された、10wt%のGd2.8La0.2Sc1.7Lu0.2Ga3O12:Cr0.1 と、90wt%のLa3Ga4.98SiO14:Cr0.02との混合物を含む、蛍光体変換LEDの放射スペクトルを示す。曲線Aは、25℃(LED基盤温度)での放射スペクトルであり、装置は、600-1050nmの範囲において、64mWの全放射フラックスを放射する。曲線Bは、55℃での放射スペクトルであり、装置は、600-1050nmの範囲において、49mWの全放射フラックスを放射する。曲線Cは、85℃での放射スペクトルであり、装置は、600-1050nmにおいて、38mWの全放射フラックスを放射する。
【0053】
密度が5.752g/cm3の例2.1)と、密度が6.803g/cm3の例3)の蛍光体粉末を、88:12の重量比で、シリコーン(24.7vol%の蛍光体ロード)中に懸濁した。懸濁物は、ニードルディスペンサにより、450nmの放射青色InGaN励起LEDを備えるパッケージ中に分配した。図16に示すように、シリコーンの硬化後に、室温で蛍光体変換LEDを測定した。例えば、350mAのパルス電流の場合、600-1100nmの範囲において、全放射フラックス>50mWが得られた。
【0054】
図16には、25℃(LED基盤温度)で、I=350mA、20msのパルス幅において450nmの青色励起LEDを備えるパッケージ中に分散された、12wt%のGd2.85Sc1.75Lu0.3Ga3O12:Cr0.1 と、88wt%のLa2. 98Gd0.02Ga4.76Al0.2SiO14:Cr0.04 の混合物を含む、蛍光体変換LEDの放射スペクトルを示す。装置は、600-1100nmにおいて、57mWの全放射フラックスを放射する。
【0055】
本発明の詳細な説明から、本開示を前提として、記載された本発明の概念の思想から逸脱しないで、本発明に対する修正が可能であることは、当業者には明らかである。従って、本発明の範囲は、示された特定の実施例に限定することを意図するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16