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特許7250862ナノウェルのパターン化アレイを有する次元低下構造化照明顕微鏡
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】ナノウェルのパターン化アレイを有する次元低下構造化照明顕微鏡
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/06 20060101AFI20230327BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20230327BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
G02B21/06
G02B21/36
G01N21/64 E
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021128321
(22)【出願日】2021-08-04
(62)【分割の表示】P 2019571725の分割
【原出願日】2019-01-22
(65)【公開番号】P2021184100
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】2020622
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】62/621,564
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514202402
【氏名又は名称】イラミーナ インコーポレーテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】502279294
【氏名又は名称】イルミナ ケンブリッジ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー マーク スキナー
(72)【発明者】
【氏名】ゲライント ウィン エヴァンズ
(72)【発明者】
【氏名】スタンリー エス ホン
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0071452(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0173158(US,A1)
【文献】特開2003-097928(JP,A)
【文献】特表2010-539469(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102007009550(DE,A1)
【文献】特表2010-525325(JP,A)
【文献】特開2011-128019(JP,A)
【文献】国際公開第2017/047735(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00-21/00
G02B 21/06-21/36
G01N 21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の細長いナノウェルを含むフローセルに含まれる生物学試料上に光学パターンを投影する投影ステップと、
時間遅延積分ライン走査カメラアセンブリを用いて、前記生物学試料上でオーバーレイされる前記光学パターンの複数の画像を捕捉する捕捉ステップと、
プロセッサを用いて、前記複数の画像の組み合わせに基づいて、前記生物学試料を表す高解像度画像を再構成する再構成ステップと、
を含む方法であり、
前記投影ステップは、
第1位相の前記光学パターンを、前記生物学試料に投影することと、
第2位相の前記光学パターンを、前記生物学試料に投影することと、
第3位相の前記光学パターンを、前記生物学試料に投影することと、を含み、
前記複数の画像は、前記生物学試料上でオーバーレイされる前記第1位相の前記光学パターンの1つ以上の第1画像と、前記生物学試料上でオーバーレイされる前記第2位相の前記光学パターンの1つ以上の第2画像と、前記生物学試料上でオーバーレイされる前記第3位相の前記光学パターンの1つ以上の第3画像と、を含む、方法。
【請求項2】
前記捕捉ステップは、3チップ時間遅延積分イメージャを用いることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記第1位相の前記光学パターンを投影すること、前記第2位相の前記光学パターンを投影すること、及び前記第3位相の前記光学パターンを投影することは、前記第1位相、前記第2位相及び前記第3位相の前記光学パターンを前記生物学試料の対応する部分上に同時に投影することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記第1位相、前記第2位相及び前記第3位相の前記光学パターンを前記生物学試料の対応する部分上に同時に投影することは、3部分回折格子を用いることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記投影ステップは、前記光学パターンを、楕円形状に成形される複数のナノウェルを含むフローセルに包含される前記生物学試料上に投影することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記投影ステップは、前記光学パターンを、矩形状に成形される複数のナノウェルを含むフローセルに包含される前記生物学試料上に投影することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記投影ステップは、前記光学パターンを、ナノウェルの矩形状アレイを含むフローセルに包含される前記生物学試料上に投影することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記投影ステップは、前記光学パターンを、ナノウェルの正方形状アレイを含むフローセルに包含される前記生物学試料上に投影することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記投影ステップは、前記光学パターンを、ナノウェルの六角形状アレイを含むフローセルに包含される前記生物学試料上に投影することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記投影ステップは、前記光学パターンを、パターン化フローセルに包含される前記生物学試料上に投影することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記投影ステップは、前記光学パターンを、非対称パターン化フローセルに包含される前記生物学試料上に投影することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記複数のナノウェルのそれぞれは、前記フローセルの第1軸に沿って前記生物学試料を表す情報を解像する解像度が向上し、前記フローセルの他の軸に沿って前記生物学試料を表す情報を解像する解像度は向上しないように配向される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1位相の前記光学パターンを前記生物学試料に投影するステップは、前記フローセルを第1の位置に位置させることを含み、
前記第2位相の前記光学パターンを前記生物学試料に投影するステップは、前記フローセルを第2の位置に位置させることを含み、
前記第3位相の前記光学パターンを前記生物学試料に投影するステップは、前記フローセルを第3の位置に位置させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
それぞれが楕円形状に成形され又は矩形状に成形される複数の細長いナノウェルを含み、生物学試料を包含し、非対称にパターン化されるフローセルと、
前記生物学試料上でオーバーレイされる光学パターンの複数の画像を捕捉するカメラアセンブリと、
前記複数の画像の組み合わせに基づいて、前記生物学試料を表す高解像度画像を再構成するプロセッサと、
を備え
前記複数の画像は、前記生物学試料上でオーバーレイされる第1位相の前記光学パターンの1つ以上の第1画像と、前記生物学試料上でオーバーレイされる第2位相の前記光学パターンの1つ以上の第2画像と、前記生物学試料上でオーバーレイされる第3位相の前記光学パターンの1つ以上の第3画像と、を含む、装置。
【請求項15】
前記フローセルは、細長いナノウェルを含む基板を備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記基板に結合されるとともに前記細長いナノウェルを覆う半透明カバーを更に備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記細長いナノウェルはレーンを形成する、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記細長いナノウェルは複数の離間したレーンを形成する、請求項15に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2018年1月24日に出願された発明の名称が「ナノウェルのパターン化アレイ
を有する次元低下構造化照明顕微鏡」である米国仮特許出願第62/621,564号、および2018
年3月20日に出願された「ナノウェルのパターン化アレイを有する次元低下構造化照明顕
微鏡」という名称のオランダ特許出願第N2020622号の優先権を主張する。上記各出願の全
内容を参照により本明細書に援用するものとする。
【背景技術】
【0002】
生物学の研究における多くの最近の進歩は、核酸の分析および配列決定のための改善さ
れた方法から利益を得てきた。例えば、ヒトゲノムプロジェクトでは、期待されるヒトゲ
ノムの全塩基配列が決定されており、疾病の治療から基礎科学の進歩に至るまでの分野で
さらなる発見につながるであろう。平面アレイの形態またはビーズ上のいずれかでの、増
幅されていないまたは増幅された単一分子の大規模な並行分析に基づく、多数の新しいDN
A配列決定技術が、最近報告されている。
【0003】
このような新しい配列決定技術において核酸の配列を分析するために使用される方法は
しばしば、蛍光ヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの検出に基づく。構造化照明顕微
鏡法(SIM)は空間的に構造化された(すなわち、パターン化された)光を使用して、顕微鏡
の横方向分解能を2倍以上増大させるために試料を撮像することができる、1つのそのよう
な配列決定技術を記載する。試料の撮像中、試料の画像は種々のパターン位相(例えば、0
°、120°、および240°)で取得することができ、その手続はパターン配向を光軸を中心
に(例えば、60°および120°だけ)回転させることによって繰り返される。捕捉された画
像(例えば、9つの画像、各パターン位相における各配向角度に関する1つの画像)は、拡張
された空間周波数帯域幅を有する単一の画像に組み立てることができる。単一の画像は顕
微鏡によって通常解像可能であるよりも高い分解能を有する画像を生成するために、実空
間に再変換されてもよい。
【0004】
SIMシステムの典型的な実施態様では、直線偏光ビームが正弦波干渉縞模様として結像
試料上に投影され得る2つ以上の別個の次数にビームを回折する、光学回折格子を通って
導かれる。これらの実施形態では、投影された光回折格子パターンの配向が光軸を中心に
して光回折格子を回転させることによって制御され、一方、パターンの位相は光学回折格
子を軸をわたって横方向に移動させることによって調整される。このようなシステムでは
、光学回折格子が平行移動ステージ上に取り付けられ、次いで、回転ステージ上に取り付
けられる。加えて、このようなシステムは、直線偏光子を使用して、光源によって放射さ
れた光を、回折格子で受光される前に偏光させる。
【0005】
図1Aは、試料100及び試料100上に投影された光学回折格子パターン102の一例を示す。
試料100は分解不可能なより高い空間周波数を含み得るが、試料100上に既知のより低い空
間周波数を有する光回折格子パターン102を重ね合わせると、モアレ縞が生じる。このこ
とは、分解不可能なより高い空間周波数を、顕微鏡によって分解可能なより低い空間周波
数に効果的に移動させる。上述したように、光学回折格子パターン102の試料100に対して
異なる方位/角度および位相を有する、試料100の画像を捕捉することにより、より高い分
解能を有する画像を生成するために実空間に再変換される単一の画像に組み合わせること
が可能な画像が得られる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示されるシステムおよび方法の例は、特にパターン化されたフローセルを
通してSIMを使用して蛍光試料を分解するために必要とされる画像および次元の数を低減
するための技術、ならびに線走査技術と共に使用することができるSIMの実施を達成する
ために蛍光試料に対する光ビームの移動を活用するための技術を対象とする。
【0007】
一実施形態によれば、生物学試料を撮像する方法は、生物学試料上に光学パターンを投
影し、生物学試料上でオーバーレイされる光学パターンの第1画像を捕捉する投影ステッ
プを含む。さらに、本方法は、投影される光学パターンを生物学試料に対して位相シフト
し、位相シフトされるとともに生物学試料上でオーバーレイされる光学パターンの少なく
とも第2画像を捕捉する位相シフトステップを含むことができる。またさらに、本方法は
、捕捉される第1画像及び捕捉される少なくとも第2画像に基づいて、生物学試料を表す
高解像度画像を再構成する再構成ステップを含むことができる。
【0008】
いくつかの例では、生物学試料は、複数の細長いナノウェルを含み非対称にパターン化
されるフローセルに含まれる。いくつかの例では、複数の細長いナノウェルのそれぞれは
、楕円形状に成形され又は矩形状に成形される。いくつかの例では、複数の細長いナノウ
ェルのそれぞれは、非対称にパターン化されるフローセルの第1軸に沿って生物学試料を
表す情報を解像する解像度が向上するように配向される。いくつかの例では、複数の細長
いナノウェルのそれぞれは、非対称にパターン化されるフローセルの第2軸に沿って生物
学試料を表す情報を解像する解像度は向上しないように配向される。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1画像及び少なくとも第2画像の捕捉は、ライン走査撮像
を実行することを含む。本方法は、光を、第1位相及び第1角度配向の光学回折格子に向
け、光学回折格子を通すことをさらに含むことができ、生物学試料上に投影される光学パ
ターンは、光学回折格子を通る光が生成する光学回折格子パターンであり、位相シフトス
テップは、光学回折格子を位相シフトすることを含む。光学回折格子を位相シフトするこ
とは、光学回折格子を第1角度配向に沿って位相シフトすることを含むことができる。光
学回折格子を位相シフトすることは、ライン走査撮像の方向と直交して起こり得る。
【0010】
いくつかの例では、本方法は、高解像度画像を再構成する前に、光学回折格子の第3位
相シフトを実行し、光学回折格子パターンを生物学試料上に投影し、位相シフトされると
ともに生物学試料上でオーバーレイされる光学回折格子パターンの少なくとも第3画像を
捕捉することをさらに含むことができる。
【0011】
いくつかの例では、生物学試料を撮像する方法は、光を、第1位相及び第1角度配向の
光学回折格子に向け、前記光学回折格子を通す配向ステップと、光学回折格子を通る光が
生物学試料上に生成する光学回折格子パターンを投影し、生物学試料上でオーバーレイさ
れる光学回折格子パターンの第1画像を捕捉する投影ステップと、を含む。本方法はさら
に、光学回折格子を位相シフトし、光学回折格子パターンを生物学試料上に投影し、位相
シフトされるとともに生物学試料上でオーバーレイされる光学回折格子パターンの少なく
とも第2画像を捕捉する第2画像捕捉ステップを含むことができる。さらにまた、本方法
は、光学回折格子を第2角度配向に再配向させ、光学回折格子パターンを生物学試料上に
投影し、生物学試料上でオーバーレイされる光学回折格子パターンの第3画像を捕捉する
第3画像捕捉ステップを含むことができる。そのうえ、本方法は、光学回折格子を位相シ
フトし、光学回折格子パターンを生物学試料上に投影し、位相シフトされるとともに生物
学試料上でオーバーレイされる光学回折格子パターンの少なくとも第4画像を捕捉する第
4画像捕捉ステップを含むことができる。さらに、本方法は、捕捉される、第1画像、少
なくとも第2画像、第3画像及び少なくとも第4画像に基づいて、生物学試料を表す高解
像度画像を再構成する再構成ステップを含むことができる。
【0012】
いくつかの例では、生物学試料が、複数のナノウェルを含む正方形状アレイパターン化
フローセルに包含される。
【0013】
いくつかの例では、システムは、光線を放射するレーザ源と、放射される光線が通過す
ると光学回折格子パターンを生成するように適合される光学回折格子と、カメラアセンブ
リと、を備えることができる。カメラアセンブリは、生物学試料上でオーバーレイされる
光学回折格子パターンの複数の画像を捕捉するように適合することができ、複数の画像は
、光学回折格子の生物学試料に対する3つの位相を反映する。システムは、複数の画像の
組み合わせに基づいて、生物学試料を表す高解像度画像を再構成するように適合されるプ
ロセッサをさらに備えることができる。
【0014】
いくつかの例では、生物学試料は、非対称アレイに配向される複数のナノウェルを含む
フローセルに配置される。いくつかの例では、複数のナノウェルのそれぞれは、楕円形状
に成形され、又は矩形状に成形される。いくつかの例では、複数のナノウェルのそれぞれ
は、フローセルの第1軸に沿って生物学試料を表す情報を解像する解像度が向上するよう
に配向される。いくつかの例では、複数のナノウェルのそれぞれは、フローセルの第2軸
に沿って生物学試料を表す情報を解像する解像度は向上しないように配向される。
【0015】
いくつかの例では、カメラアセンブリは、時間遅延積分ライン走査カメラアセンブリを
備える。いくつかの例では、生物学試料はフローセルに包含され、フローセルの様々な部
分が、オーバーレイされ、光学回折格子の3つの位相を同時に表す。
【0016】
いくつかの例では、システムの光学回折格子は、3つの位相ステップ素子を備え、3つ
の位相ステップ素子のそれぞれは、放射される光線が位相ステップ素子を通過すると光学
回折格子パターンを生成するように適合され、カメラアセンブリは、3つの位相ステップ
素子のそれぞれが生成するとともに生物学試料上でオーバーレイされる光学回折格子パタ
ーンの画像を捕捉するように適合される。いくつかの例では、カメラアセンブリは、3つ
のイメージセンサを備え、3つのイメージセンサのそれぞれは、位相ステップ素子のそれ
ぞれが生成する光学回折格子パターンの画像を捕捉するように適合される。
【0017】
他の実施形態によれば、システムは、光線を放射するレーザ源と、放射される光線が通
過すると光学回折格子パターンを生成するように適合される光学回折格子と、生物学試料
上でオーバーレイされる光学回折格子パターンの複数の画像を捕捉するように適合される
カメラアセンブリと、を備えることができ、複数の画像は、光学回折格子の生物学試料に
対する3つの位相と、光学回折格子の生物学試料に対する2つの角度配向とを反映する。
システムは、複数の画像の組み合わせに基づいて、生物学試料を表す高解像度画像を再構
成するように適合されるプロセッサをさらに備えることができる。
【0018】
いくつかの例では、生物学試料が、正方形状のアレイに配向される複数のナノウェルを
含むフローセルに配置される。
【0019】
いくつかの例では、複数のナノウェルのそれぞれは、フローセルの第1軸及び第2軸に
沿って生物学試料を表す情報を解像する解像度が向上するように配向される。
【0020】
前述の概念と、以下でより詳細に論じられる追加の概念とのすべての組合せが、(その
ような概念が相互に矛盾しないという条件で)本明細書で開示される本発明の主題の一部
であると考えられることを理解されたい。特に、本開示の末尾にある特許請求の範囲の主
題のすべての組み合わせは、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると考えられ
る。
【0021】
開示された技術の他の構成及び態様は、例として、開示された技術の実施形態による構
成を示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。この概要は
、特許請求の範囲及び均等物によって定められる、本明細書に記載される任意の発明の範
囲を限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】分解能を高めることを可能にする試料の周波数パターンを下げるために使用される構造化照明の一例を示す図である。
図1B】一例において、撮像のために試料を分解するのに必要な角度の数を示す。
図2】構造化照明撮像システムの1つの例を示す。
図3A】六角形状フローセルパターンの例を示す。
図3B】正方形状アレイフローセルパターンの一例を示し、その使用は、次元低下構造化照明撮像をもたらす。
図3C】非対称アレイフローセルパターンの一例を示し、その使用は、次元低下構造化照明撮像をもたらす。
図4】次元低下構造化照明撮像のために実施され得る動作の例を示すフロー図である。
図5】ライン走査撮像システムの一例を示す図である。
図6図6A図6Cは、一例において、一次元における構造化照明パターンの位相シフトを示す図である。図6Dは、位相シフトされた構造化照明パターンを同時に重ね合わせた異なる部分を有する非対称にパターン化されたフローセルの1つの例を示す図である。
図7】従来のパターン化されたフローセルを使用するライン走査動作の一例を示す図である。
図8】静止構造化照明パターンを使用するライン走査撮像システムの一例を示す図である。
図9】照明光線を変調する静止構造化照明パターンを使用するライン走査動作の一例を示す図である。
図10】ライン走査画像と併せて使用される次元低下構造化照明画像のために実施され得る動作例を示すフローチャートである。
図11】本開示で説明される実施形態の様々な特徴を実施するために使用され得る例示的なコンピューティング要素を示す。
図12】格子及びウェルパターンがわずかな角度オフセットで構成され、比較的遠く離れた試料上に3つの薄い照明領域が投影される実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、1つ以上の様々な実装形態に従って、以下の図面を参照して詳細に説明され
る。図面は、説明のみを目的として提供され、典型的または例示的実施形態を単に示す。
【0024】
図面は、網羅的ではなく、開示された厳密な形態に本開示を限定するものではない。
【0025】
本明細書において回折格子によって放たれる回折光を指すように使用される場合、「次
」または「次数」という用語は、強め合う干渉のための隣接する回折格子のスリットから
の光の経路長差を表す波長の整数を意味することを意図している。「0次」または「0次最
大」という用語は、回折がない回折格子によって放出された中央の明るい縞を指すことを
意図している。「1次」という用語は、0次縞のいずれかの側に放たれる2つの明るい縞を
指すことを意図しており、経路長差は±1波長である。
【0026】
試料を参照するために本明細書で使用されるときに、用語「スポット」または「特徴」
は、相対位置に従って他の点または領域から区別され得るパターン内の点または領域を意
味することが意図される。個々のスポットは、特定の型の1つ以上の分子を含み得る。例
えば、スポットは、特定の同一配列を有する単一の標的核酸分子を含み得るか、またはス
ポットは同じ配列(および/またはその相補的配列)を有するいくつかの核酸分子を含み得
る。
【0027】
本明細書で使用される「タイル」という用語は一般に、試料の同じ領域の1つ以上の画
像を指し、1つ以上の画像のそれぞれは、それぞれの色チャネルを表す。タイルは、1つの
撮像サイクルの撮像データセットの撮像データサブセットを形成することができる。
【0028】
本明細書で使用される用語「x-y平面」は、デカルト座標系における直線軸xおよびyに
よって定義される2次元領域を意味することを意図している。検出器および検出器によっ
て観察される物体に関して使用される場合、領域は、検出器と検出される物体との間の観
察方向に直交するものとしてさらに特定され得る。本明細書でラインスキャナに言及する
ために使用される場合、用語「y方向」は走査の方向を意味する。
【0029】
本明細書で使用されるとき、用語「z座標」は、x-y平面に直交する軸に沿った点、線、
または領域の位置を特定する情報を意味することが意図される。特定の実施形態では、z
軸が検出器によって観察される物体の領域に直交する。例えば、光学系に対するフォーカ
スの方向は、z軸に沿って指定されてもよい。
【0030】
本明細書で使用される用語「ライン走査」は物体のx-y平面内の2次元断面を検出するこ
とを意味し、その断面は矩形または楕円形であり、断面と物体との間に相対的移動を生じ
させることを意図している。例えば、蛍光イメージングの場合、矩形または楕円形の形状
を有する物体の面積は(他の面積を除いて)特異的に励起することができ、および/または
当該面積からの放射はスキャンの所与の時点で(他の面積を除いて)特異的に獲得し得る。
【0031】
本明細書で開示される実施形態は、正方形または非対称パターンを有するように構成さ
れたフローセルを対象とする。SIMは顕微鏡の横方向分解能を2倍以上増大させるために、
試料を撮像するために空間的に構造化された(すなわち、パターン化された)光に依存する
ことを思い出されたい。また、伝統的に、複数のパターン位相および複数の配向/角度に
おける試料の画像が、横方向分解能の所望の増加を達成するために使用されることを思い
出してほしい。
【0032】
図1Bは、概して、1つの例において、顕微鏡対物レンズ(その回折パターンに類似してい
る)によって生成される逆格子空間の観察可能領域と、それが対物レンズが透過できる最
も高い空間周波数(2NA / λ(グラフ120))によってエッジでどのように制限されるかを示
す。図示のように、中心スポットは0次成分を表す。平行な線のパターンを表す0次およ
び1次の回折成分が、グラフ122に示されている。パターン間隔が解像度の限界にある場合
、一次スポットは観測可能なフィールドの端(k0の境界上)で発生する。周波数混合のため
、観察可能領域は、空間周波数の正像(中心円)に加えて、元のフィールドのエッジを中心
とする2つの新しいオフセット周波数画像(グラフ124)も含む。これらのオフセット画像は
、従来の顕微鏡を用いては観測できないより高い空間周波数を含んでいる。グラフ126に
よって示されるように、120°の方位の3つの位相から作られた画像のセットは最終的には
処理後に、広視野蛍光顕微鏡で観察され得るような空間解像度の2倍を含む実画像を生じ
る。
【0033】
しかしながら、(例えば、六角形パターンではなく)正方形または非対称パターンを有す
るようにフローセルを構成することによって、基板を分解するために必要とされる分解能
向上が異方性となるので、必要な画像がより少数となり、より制限されたSIM角度セット
を使用することを通して異方性光学伝達関数(OTF)を構築することは、基板を十分な程度
まで分解するために十分となる。すなわち、ナノウェルの正方形または非対称パターンを
有するフローセルは、より狭いピッチ(すなわち、すぐ隣接するナノウェル間の距離)を有
し、解像度の増加を伴うフローセルの1つ以上の軸が、解像度が増加されるべき1つ以上
の軸と整列されることを可能にする。正方形のパターン化されたフローセルの1つの例で
は、解像度の増加が2つの軸に関してのみ必要である。したがって、6つの画像のみが必要
とされる(3つの位相にわたる2つの角度の各々における画像)。非対称にパターン化された
フローセルの場合、試料の3つの画像のみが、増大した解像度(3つの位相にわたる1つの角
度の画像)を達成するために必要である。
【0034】
試料を所望の程度に分解するのに必要な角度の数を減らすことによって、試料の撮像を
完了するのに必要な画像の数が減る。例えば、4色素化学の文脈において、システムは、
塩基呼び出しのための4つの画像を生成するために36の画像を取得する必要があり得る(以
下に説明される)。キャプチャされた画像を格納またはキャッシュするために必要な記憶
装置(例えば、ディスク)空間の量も減少させることができる。さらに、画像を単一の画像
に組み立て、次いでその単一の画像を所望の解像度を有する画像に再変換/再構成するの
に必要な処理能力および/または計算能力も低減することができる。
【0035】
さらに、SIMの従来の実施は、試料を撮像するためにライン走査技術を利用するシーケ
ンシングシステムと互換性がない。ライン走査は(例えばフローセルのような、物体全体
の静止画像を捕捉する画素の2次元アレイを有するカメラまたはセンサとは対照的に)連続
画像を構築するために、線毎にフローセルを撮像する画素の線を使用することに言及する
ことができる。シーケンスシステムに適した1つの特定のタイプの線走査は、時間遅延積
分(TDI)ライン走査である。
【0036】
マルチアングルSIMの実施形態では、角度/位相画像の組み合わせの各々を取得するため
に、固定された視野が必要とされる。しかしながら、非対称にパターン化されたフローセ
ルが試料基板として使用される本明細書に開示される実施形態の場合のように、単一の角
度のみに関して画像が撮影される場合、TDIライン走査を使用して、3つのSIMパターン位
相をカバーする試料の画像を取り込むことができる。すなわち、SIMパターンを非対称に
パターン化されたフローセルに対して移動させて、1つの軸のみに沿って分解能を増大さ
せてフローセル内の試料を分解するのに必要な3つの位相を生成することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、TDIライン走査は、フローセル(「スワス」と呼ばれる)に沿
って画像を取り込むためにTDIライン走査カメラまたはセンサを使用することによって試
料を撮像するためにSIM技術と併せて使用することができる。すなわち、TDIライン走査は
、第1の位相でSIMパターンでパターン化されたフローセル上で実行することができる。SI
Mパターンは第2の位相にシフトすることができ、TDIライン走査を繰り返すことができる
。SIMパターンは第3のフレーズにシフトされ、TDIライン走査は再び繰り返されることが
できる。このようにして、各パターン位相における試料の画像が捕捉される。
【0038】
あるいは、フローセルの異なる部分を、SIMパターンの異なる位相でパターン化するこ
とができる。例えば、フローセルの第1の部分ではSIMパターンがフローセルの第1の位置
に位置することができ、フローセルの第2の部分ではSIMパターンは第2の位置にシフトす
ることができ、フローセルの第3の部分ではSIMパターンが第3の位置にシフトすることが
できる。従って、カメラ又はセンサがスワスを捕捉するときに、3つのSIMパターン位相の
各々にわたる試料の画像が単一のTDIライン走査で捕捉される。
【0039】
TDIライン走査のいくつかの実施態様は、投影された縞模様の3つの位相が1回の走査で
指定され得る3チップTDIイメージャを用いて実施され得る。このような実装は、回折格子
の各部分が特定の位相に対応する3部分回折格子を用いて実装することができる。例えば
、3素子回折格子を、各素子が位相ステップ状に形成されるとともに、同一の基板上に形
成してもよい。この実装により、走査方向に沿った移動とは別に、格子又は試料の移動は
必要とされない。
【0040】
さらに他の実施態様では、試料/フローセルに対してSIMパターンをシフトさせる代わり
に、SIMパターンが静止したままで試料/フローセルを移動させる。試料はフローセル内に
配置/設置され、その結果、フローセルを構成するナノウェルに従って試料がパターン化
されることが理解される。上述したように、TDIライン走査を実施する場合、試料/フロー
セルは既に移動している。したがって、試料/フローセルのこの移動を活用して、SIMパタ
ーンをシフトする必要を回避することができる。すなわち、静止SIMパターン(適切な配向
が与えられる)に対する試料/フローセルの移動は、試料を分解するために必要とされる必
要な位相を生成する。
【0041】
幾つかの実施形態では、格子及びウェルパターンはわずかな角度オフセットで構成する
ことができ、3つの薄い照明領域が比較的遠く離れて試料上に投影される。各照明ライン
内ではウェルが、主に格子と同位相のままであり得るが、照明領域間の距離は第2の照明
領域によって、それらが位相シフトのために位相がラムダ/3ずれるのに十分であり得る。
このような実施形態における照明ライン間の間隔は互いに隣接する3つの画像センサ(例え
ば、3つのTDIスキャナチップ)を有することをより容易にすることができる。この例示的
なシナリオを図12に示す。
【0042】
本明細書で開示されるシステムおよび方法の様々な実装を詳細に説明する前に、本明細
書で開示される技術を実装することができる例示的な環境を説明することが有用である。
そのような例示的環境の1つは、図2に示される、空間的に構造化された光で試料を照らす
構造化照明撮像システム200の環境である。例えば、システム200は、生物学的サンプルを
撮像するために空間的に構造化された励起光を利用する構造化照明蛍光顕微鏡システムで
あってもよい。
【0043】
図2の例では、発光体250がコリメーションレンズ251によってコリメートされた光線を
出力するように構成されている。コリメートされた光は、光構造化光学アセンブリ255に
よって構造化(パターン化)され、ダイクロイックミラー260によって、対物レンズ242を介
して、段階270上に配置された試料容器210の試料上に向けられる。蛍光試料の場合、試料
は構造化された励起光に応答して蛍光を発し、得られた光は、対物レンズ242によって収
集され、カメラシステム240のイメージセンサに導かれて、蛍光を検出する。
【0044】
以下にさらに記載される様々な実装における光構造化光学アセンブリ255は、1つ以上の
光学回折格子を含み、試料容器210の試料上に投射される回折光(例えば縞)の正弦パター
ンを生成する。回折格子は、一次元又は二次元の透過格子、反射格子又は位相格子であっ
てよい。特定の実装を参照して以下でさらに説明するように、システム200では、回折格
子は必ずしも回転ステージを含まない。幾つかの実施形態では、回折格子が撮像システム
の動作中に固定されてもよい(例えば、回転されない、または直線的に移動されない)。例
えば、以下に更に記載される特定の実施形態において、回折格子は互いに実質的に又は正
確に/完全に垂直に配向された2つの固定された1次元透過回折格子(例えば、水平回折格
子及び垂直回折格子)を含むことができる。
【0045】
各撮像サイクル中に、システム200は光構造化光学アセンブリ255を利用して、試料面に
沿って(例えば、x-y平面に沿って)横方向に変位した様々な位相の複数の画像(例えば、個
々の画像の横方向空間解像度の約2倍を有する画像)を取得し、この手続は光軸の周りに(
すなわち、試料のx-y平面に対して)パターン配向を回転させることによって1回以上繰り
返される。次いで、捕捉された画像はより高い解像度の画像(例えば、個々の画像の横方
向の空間解像度の約2倍を有する画像)を生成するために、空間的に再構成されてもよい。
【0046】
システム200では、発光体250がインコヒーレント発光体(例えば、1つ以上の励起ダイオ
ードによって出力される光線を放出する)、または1つ以上のレーザ若しくはレーザダイオ
ードによって出力される光の発光体などのコヒーレント発光体であってもよい。システム
200の例に図示されるように、発光体250は、出力される光ビームを導くための光ファイバ
252を含む。しかしながら、発光体250の他の構成を使用してもよい。マルチチャネル撮像
システムにおける構造化照明を利用する実施形態(例えば、光の複数の波長を利用するマ
ルチチャネル蛍光顕微鏡)では、光ファイバ252が複数の異なる光源(図示せず)に光学的に
結合することができ、各光源は異なる波長の光を発光する。システム200は単一の発光体2
50を有するものとして示されているが、いくつかの実施態様では複数の発光体250を含む
ことができる。例えば、複数の発光体が、更に後述する、複数のアームを利用する構造化
照明撮像システムの場合に含まれてもよい。例えば、青色、緑色、赤色、又は他の色のよ
うな異なる波長に対応する光を放射することができる。いくつかの例では、1つの発光体/
光源を使用することができる。いくつかの例では、2つ以上の発光体/光源が使用されても
よい。
【0047】
いくつかの実施形態では、システム200が、構造化ビームの形状および経路を調整する
ためにz軸に沿って関節運動するレンズ素子を含むことができる管レンズ256を含むことが
できる。例えば、管レンズの構成要素は、容器210内の試料のある範囲の試料厚さ(例えば
、異なるカバーガラス厚さ)を占めるために関節運動されてもよい。
【0048】
システム200の例では、流体送達モジュールまたは装置290が、試薬(例えば、蛍光標識
されたヌクレオチド、緩衝液、酵素、切断試薬など)の流れを、試料容器210および廃棄バ
ルブ220に(およびそれを通して)導き得る。試料容器210は、その上に試料が提供される1
つ以上の基板を含むことができる。例えば、多数の異なる核酸配列を分析するためのシス
テムの場合、試料容器210は、配列決定される核酸が結合、付着、又は会合される1つ以上
の基板を含み得る。基板は例えば、ガラス表面、プラスチック表面、ラテックス、デキス
トラン、ポリスチレン表面、ポリプロピレン表面、ポリアクリルアミドゲル、金表面、お
よびシリコンウェーハなど、核酸を付着させることができる、任意の不活性基板またはマ
トリックスを含むことができる。いくつかの応用では、基板が試料容器210にわたるマト
リックス又はアレイに形成される複数個所のチャネル又は他の区域内にある。システム20
0はまた、試料容器210内の流体の状態の温度を任意に調節することができる温度ステーシ
ョンアクチュエータ230およびヒーター/クーラー235を含むことができる。
【0049】
特定の実施形態では、試料容器210は半透明カバープレート、基板、およびそれらの間
に含まれる液体を含むパターン表面フローセルとして実施することができ、生物学試料は
半透明カバープレートの内面または基板の内面に配置することができる。フローセルは、
基板内に定められるアレイ(例えば、六角形アレイ、長方形アレイなど)にパターン化され
た多数(例えば、数千、数百万、または数十億、またはそれ以上)のウェルまたは領域を含
むことができる。各領域は、例えば合成によるシーケンシングを使用して配列決定され得
る、DNA、RNA、または別のゲノム物質のような生物学試料のクラスター(例えば、モノク
ローナルクラスター)を形成し得る。フローセルはさらに、多数の離間したレーン(例えば
、8つのレーン)に分割されてもよく、各レーンは、クラスタの六角形のアレイを含む。
【0050】
試料容器210は、対物レンズ242に対する試料容器210の移動および位置合わせを提供す
るために、試料ステージ270上に取り付けることができる。試料ステージは、3次元のいず
れの次元で移動することを可能にするために、1つ以上のアクチュエータを有することが
できる。例えば、デカルト座標系に関して、アクチュエータを、ステージが対物レンズに
対してX、Y、及びZ方向に移動することを可能にするように提供し得る。これにより、試
料容器210上の1つ以上の試料位置が対物レンズ242と光学的に位置合わせされて配置され
ることを可能にし得る。対物レンズ242に対する試料ステージ270の移動は、試料ステージ
自体、対物レンズ、撮像システムの他のいくつかの構成要素、または前記のもの任意の組
合せを移動させることによって達成することができる。さらなる実施形態はまた、静止し
た試料に対して撮像システム全体を移動させることを含むことができる。代替的に、試料
容器210は、撮像中に固定されてもよい。
【0051】
幾つかの実施形態では、フォーカス(z軸)構成要素275を含み、フォーカス方向(典型的
にはz軸、またはz方向と呼ばれる)における試料容器210に対する光学部品の位置決めを制
御してもよい。フォーカス構成要素275は光学ステージ若しくは試料ステージ又はこれら
の両方に物理的に結合された1つ以上のアクチュエータを含むことができ、試料ステージ2
70上の試料容器210を光学要素(例えば、対物レンズ242)に対して移動させて、撮像動作の
ための適切な焦点合わせを提供する。例示すると、アクチュエータは例えば、ステージに
又はステージと、機械的、磁気的、流体的若しくは他の取り付けによって、又は直接的若
しくは間接的に接触することによって、それぞれのステージに物理的に連結されてもよい
。1つ以上のアクチュエータは、試料ステージを同じ平面内に維持しながら(例えば、高さ
または水平姿勢を維持し、実質的にまたは完全に光軸に垂直に)、ステージをz方向に移動
させるように構成することができる。完全な垂直性、平行性、または他の方位は例えば、
製造公差、動作限界などのために、いくつかの例または実施形態に従って達成可能でない
ことがあることを理解されたい。しかし、本明細書で開示される技術の目的のために、実
質的に垂直、平行、または他の方位は、本明細書で説明および/または企図される所望の
解像度または他の関連する効果を達成するのに十分な方位を意味すると理解される。1つ
以上のアクチュエータは、ステージを傾斜させるように構成されることもできる。このこ
とは、例えば、試料容器210がその表面における任意の傾きを考慮して動的に水平にされ
得るように、行われ得る。
【0052】
撮像されている試料位置で試験サンプルから発する構造化される光は、ダイクロイック
ミラー260を介してカメラシステム240の1つ以上の検出器に向けることができる。いくつ
かの実施形態では、1つ以上の発光フィルタを有するフィルタスイッチングアセンブリ265
を含めることができ、1つ以上の発光フィルタを使用して、特定の発光波長を通過させ、
他の波長をブロック(または反射)することができる。例えば、1つ以上の発光フィルタは
、撮像システムの異なるチャネルの間で切り替えるために使用されてもよい。特定の実施
形態において、発光フィルタは、異なる波長の発光を、カメラシステム240の異なるイメ
ージセンサに向けるダイクロイックミラーとして実装することができる。
【0053】
カメラシステム240は試料容器210の撮像(例えば、配列決定)を監視および追跡するため
に、1つ以上の画像センサを含み得る。カメラシステム240は例えば、電荷結合素子(CCD)
撮像素子カメラとして実装することができるが、他のイメージセンサ技術(例えば、アク
ティブ画素センサ)を使用することもできる。カメラシステム240からの出力データ(例え
ば、画像)は、リアルタイム分析モジュール(図示せず)に伝達されてもよく、リアルタイ
ム分析モジュールは以下でさらに説明するように、各撮像サイクル中に取り込まれた画像
を再構成して、より高い空間解像度を有する画像を生成してもよいソフトウェアアプリケ
ーションとして実装されてもよい。後述するように、カメラシステム240はまた、ライン
走査技術を実行するために、TDI CCDカメラとして実装することができる。
【0054】
図示されていないが、システム200の種々の光学構成要素を同期させることを含む、構
造化照明撮像システム200の動作を制御するコントローラを設けることができる。コント
ローラは、例えば光構造化光学アセンブリ255の構成(例えば、回折格子の選択及び/又は
直線移動)、チューブレンズ256の移動、合焦、ステージ移動、及び撮像動作のようなシス
テム動作の態様を制御するように実装することができる。様々な実装形態では、コントロ
ーラは、ハードウェア、アルゴリズム(例えば、機械実行可能命令)、または前記のもの組
合せを使用して実装することができる。たとえば、いくつかの実装では、コントローラが
関連するメモリを備える1つ以上のCPU又はプロセッサを含むことができる。別の例として
、コントローラは、コンピュータプロセッサ、およびその中に機械可読命令が格納された
非一時的コンピュータ可読媒体など、動作を制御するためのハードウェアまたは他の回路
を備えることができる。例えば、この回路は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(F
PGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、複合プロ
グラマブルロジックデバイス(CPLD)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、プログラマ
ブルアレイロジック(PAL)、又は他の類似する処理デバイス若しくは回路のうちの1つ以上
を含むことができる。さらに別の例として、コントローラは、この回路と1つ以上のプロ
セッサとの組合せを備えることができる。
【0055】
図3Aは、本明細書に開示される実施形態に従って撮像され得るパターン化フローセル30
0の例示的な構成を示す。この例では、フローセル300が撮像実行中に同時に撮像すること
ができる順序付けられたスポットまたは特徴302の六角形アレイ(304参照)でパターン化さ
れる。説明を容易にするために、フローセル300は、数十から数百のスポット302を有する
ものとして示されている。しかしながら、当業者によって理解され得るように、フローセ
ル300は、撮像される数千、数百万、または数十億のスポット302を有し得る。さらに、い
くつかの例では、フローセル300が撮像実行中にサンプリングされるスポット302の複数の
平面(フォーカス方向に対して実質的にまたは完全に垂直)を含む多層平面試料であっても
よい。特定の実施形態においては、フローセル300が、レーンに分割される数百万または
数十億のウェルを有し、パターン化されることがある。この特定の実施形態において、フ
ローセルの各ウェルは、合成によるシーケンシングを使用して配列決定される生物学的物
質を含み得る。
【0056】
上記で示唆したように、いくつかの例では、パターン化フローセル300を使用して試料
を分解するために、必要な分解能を達成するため少なくとも9つの画像が必要とされる。
このことは、パターン化されたフローセル300内のナノウェルの六角形のアレイが、ナノ
ウェル間のピッチがタイトである高周波パターンでありかつ分解不可能であるためである
。特に、この例では、試料を十分に分解するために必要な画像の数を決定することができ
る2つの要因がある。
【0057】
第1の要因は、所望の光通過帯域のコピーの数である。再び図1Bを参照すると、グラフ1
22は、SIMを使用しない通常の通過帯域を示す。グラフ124は、光通過帯域の1つのコピー
が作成される例を示す。これは1次元における解像度を向上させることができ、一方、グ
ラフ126/グラフ306(図3A)は光学通過帯域の3つのコピーが作成される例を示し、これは2
次元においてかなり均一な解像度の向上をもたらす。
【0058】
第2の要因は、各光学通過帯域について位相を復調するために使用される画像の数であ
る。理論的には、必要な画像は2 つだけであるが(実部と虚部を得るために)、通常、3 つ
の画像を使用して、より良いノイズの平均化が得られる。
【0059】
画像を空間周波数からフーリエ空間に平行移動させる場合(対物レンズの後焦点面にお
いて顕微鏡によって生成された生データの分析はフーリエ分析に基づく)、フーリエ変換
は3つの成分または軸を含むことを理解されたい。すなわち、対物レンズの後焦点面にお
ける光の回折は、対物レンズの開口数及び照明の平均波長に応じて、横方向(x, y)寸法で
約200nm、軸方向(z)寸法で約500nmの最大解像度を規定する回折限界を生成する。従って
、パターニングされたフローセル300の画像においてナノウェルの六角形アレイを使用す
る場合、SIMを使用して3つの角度で画像が撮影される。また、上記でも説明したように、
必要な解像度を得るためには、3つの角度の各々において3つの位相にわたって画像を取得
しなければならず、この場合、撮像領域上の全ての部分が観察されることを確実にするた
めに(すなわち、SIMパターンの波長全体をカバーするために)、3つの位相が必要とされ、
それによって、9つの画像が得られる。この結果、3つの軸308すべてにおいて解像度が向
上する。
【0060】
しかしながら、1つの例では、ナノウェル312が正方形アレイ(314を参照)上にパターニ
ングされる、別のタイプのパターニングされたフローセル、例えばフローセル310を使用
すると、増大された分解能を達成するためには2つの角度のみが、必要であり、増大され
た分解能は正方形アレイの軸に沿って位置合わせされる。グラフ316は、光通過帯域の2つ
のコピーのみが生成され、必要とされる解像度増加を達成するために必要とされる、この
例を示す。言い換えれば、フローセル310などの正方形パターン化フローセルはSIMパター
ンまたは縞を、分解能の増加が望まれる方向に、この場合、正方形アレイの2つの軸(xお
よびy)に沿って整列させることによって分解することができる。隣接するナノウェル312
間の任意の対角経路に沿って、対角線的に隣接するナノウェルが互いに分解可能になるよ
うに、ある程度の分解能向上があることが理解され得る。しかしながら、x軸とy軸に沿っ
たナノウェル312の間では、ピッチ(Px、Py)はSIMを使用して解像度をブーストする必要が
あるほど狭く、すなわち、x軸とy軸の空間周波数が高すぎて解決できない。
【0061】
フローセル310のような正方形のパターン化されたフローセルを使用することによって
、SIMを使用する従来のシーケンシングシステムの次元要件を1次元だけ低減することがで
き、そこでは、分解能が2つの軸318のみで増加する。すなわち、それぞれ3つの位相にわ
たって3つの角度をカバーする9つの画像を捕捉するのではなく、フローセル310内に含ま
れる試料を適切に分解するためには、それぞれ3つの位相にわたって2つの角度をカバーす
る6つの画像のみを捕捉する必要がある。このことは、フローセル310の充填密度の減少に
もかかわらず有利である。例えば、充填密度の減少は、同じピッチを有する六角形アレイ
上でわずか11%であり得る。しかしながら、様々な実施例に従ってSIMを実施すると、700n
mピッチの非SIM六角形アレイに対して、例えば、350nmピッチの正方形パターン化アレイ
に関して例えば356%の充填密度増加をもたらすことができる。
【0062】
さらに別のタイプのパターン化フローセル、この例では非対称にパターン化されたフロ
ーセルを使用することによって、SIMを使用する従来のシーケンシングシステムの次元要
件を、さらにもう1次元低減することができる。図3Cは、ナノウェルが非対称にパターン
化された、パターン化フローセル320を示す。この実施態様では、各ナノウェル322が細長
い構造を形成するように成形または構成される。本明細書で利用されるように、細長い構
造という用語は、第1の軸に沿った寸法が第2の軸に沿った寸法よりも大きい形状を指す。
この例では、x軸が、別の軸(この例ではy軸)に沿ったナノウェル322の長さまたは高さよ
りも狭い。図3Cに示される実施形態は楕円形ナノウェルを使用するが、他の種類の細長い
ナノウェル、例えば長方形のナノウェルを使用してもよいことは理解されるべきである。
1つの軸のみに沿った試料がSIMを使用した解像度増加と関連付けられるパターンをもたら
す、任意の形状のナノウェルを使用することができる。いくつかの実施形態では、パター
ン化特徴の寸法である縞幅wは、円形特徴の直径、正方形特徴の一辺の長さ、矩形特徴の
長辺または短辺の長さ、その長軸または短軸に沿った楕円形特徴の直径、または特徴の1
つの軸(例えば、x軸またはy軸)に沿った不規則形状特徴の最長寸法と少なくとも実質的に
等しく又はこれらよりもわずかに大きくすることができる。いくつかの実施態様では、ナ
ノウェルが代わりに、正方形または円形として形成されてもよいが、それらの間に非対称
の間隔を有する可能性がある。様々な実施形態では、非対称にパターン化されたフローセ
ルは、一次周波数成分がゼロ周波数成分から異なる距離にあるアレイ、その単位格子が様
々なピッチによって画定され得るアレイ、またはアレイの周波数成分が従来の3角度SIM O
TFよりも非対称である光学伝達関数によって分解され得るアレイを指すことができる。
【0063】
このようにして、試料は1つの方向または軸に沿って、すなわち、y軸に沿って分解する
ことができ、一方、別の方向または軸に沿って、すなわち、x軸に沿って、SIMは、試料を
分解するために分解能を増加させるために使用される。すなわち、x軸に沿って、非対称
的にパターン化されたフローセル320のピッチPxは狭くまたはタイトであり、解像度の増
大を伴い、一方、y軸に沿って、非対称的にパターン化されたフロー320のピッチPyはより
大きくなる。従って、解像度は1つの軸318に沿って/一方向にのみ増加し、フローセル32
0のナノウェル内に含まれる試料を適切に解像するために、3つの画像のみが捕捉される。
したがって、グラフ352によって示されるように、光通過帯域の1つのコピーのみが、生成
され、解像度を増加させるために必要とされる。
【0064】
図4は、正方形または非対称にパターン化されたフローセルを使用して試料をシーケン
シングするために、図2の構造化照明撮像システム200などのシーケンシングシステムにお
いて実行することができる例示的な動作を示すフローチャートである。動作400において
、第1の位相に配向された第1の光学回折格子パターンに対応する光源をオンにすることが
できる。動作410では、第1の配向における光学回折格子パターンが試料上に投影され、画
像が捕捉される。すなわち、図2に戻って参照すると、発光器250は、コリメーションレン
ズ251によってコリメートされた光線を出力することができる。平行光は、光構造化光学
アセンブリ255によって構造化(パターン化)され、ダイクロイックミラー260によって対物
レンズ242を介して、ステージ270上に配置された試料容器210の試料上に向けられる。こ
の実施態様では、試料容器210が、正方形または非対称パターンを有するパターン化フロ
ーセル、例えばフローセル310または320をそれぞれ含む(図3Bおよび3C)。蛍光試料の場合
、正方形または非対称にパターン化されたフローセルに含まれる試料は、構造化された励
起光に応答して蛍光を発し、得られた光は、対物レンズ242によって収集され、カメラシ
ステム240のイメージセンサに導かれて、蛍光を検出する。
【0065】
動作420では、追加の位相シフトが必要であるかどうかを判定するためにチェックを実
行することができる。必要であれば、動作430において、光学回折格子が位相シフトされ
、動作は動作410に戻り、そこで光学回折格子パターン(位相シフトされた)が試料上に投
影され、画像が捕捉される。前述のように、3つの位相シフトは一般に、撮像領域全体、
この実施形態では、正方形パターン化フローセルの領域全体を捕捉するために実行される
【0066】
追加の位相シフトが必要でない場合には、動作440において、追加の角度が必要である
か否かを判断するためにチェックを実行することができ、動作450において光学回折格子
の角度が変更される。動作は動作410に戻り、そこで、(角度を変化させた後の)光学回折
格子パターンが試料上に投影され、画像が捕捉される。動作は動作420に進み、ここで、4
20において追加の位相シフトが必要とされる場合、光回折格子は、動作430において位相
シフトされる。再度、動作は動作410に戻り、そこで、(新しい角度および新しい位相での
)光学回折格子パターンが試料上に投影され、画像が捕捉される。この場合も、この実施
形態では、正方形のパターン化フローセルの全体領域を捕捉するために、3つのフェーズ
にわたる画像が必要とされる。構造化照明画像システム200のシステム動作の態様を制御
するために使用される上記コントローラは、上述の機能を実行するための命令、例えば、
使用されている特定のタイプのフローセルを撮像するために、光学回折格子パターンの追
加の位相シフトまたは配向が必要であるか否かをチェックする命令で構成することができ
ることを理解されたい。
【0067】
正方形のパターン化されたフローセル、例えばフローセル310(図3)の場合、フローセル
310の2つの軸に沿って解像度を増加させるために、2つの角度での画像が必要である。従
って、2つの角度(光回折格子パターンの3つの位相シフトにわたる)に対応する2つの方位
に投影された光回折格子パターンで画像を取り込んだ後、動作460において(6つの合計画
像を組み合わせ、それらを実空間に再変換することによって)高解像度画像が再構成され
る。この高解像度画像再構成はシステム内で行うことができ、またはいくつかの例では、
別個の処理エンティティを使用して再構成を実行することができる。
【0068】
パターン化フローセルが非対称フローセルである実施態様では、上述の方法は角度を変
更することを必要としない。さらに、非対称フローセルでは、SIMが1つの軸のみに沿って
分解能を増加させるために使用される。したがって、光回折格子は3回だけ位相シフトさ
せる必要があり、3つの位相シフトについて画像を捕捉することができる。従って、一旦
動作420において他の位相シフトが必要とされないと、本方法は動作460に進み、ここで、
3つの捕捉画像のみを使用して高解像度画像を再構成することができる。
【0069】
前述のように、低減された次元のSIM実装の利点を得ることができる特にパターン化さ
れたフローセルを使用する場合、TDIライン走査などのライン走査技術を使用して、それ
らのパターン化されたフローセルに含まれる試料を撮像することができる。図5は、様々
な実施形態において試料を撮像するために使用され得る例示的な2チャネルライン走査撮
像システム500を示すブロック図である。
【0070】
図2の構造化照明撮像システム200の場合のように、ライン走査撮像システム500は核酸
の配列決定のために使用することができ、ここで、核酸はアレイ中の固定された位置(す
なわち、フローセル320のようなフローセルのウェル)に付着され、そしてアレイは繰り返
し撮像され得る。そのような実施態様では、ライン走査撮像システム500が、特定のヌク
レオチド塩基型を別のものから区別するために使用され得る2つの異なるカラーチャネル
で画像を取得し得る。より具体的には、ライン走査撮像システム500が撮像サイクルにお
ける画像の所与のスポット箇所についてのベースコール(例えば、アデニン(A)、シトシン
(C)、グアニン(G)、またはチミン(T))を決定するプロセスを一般に指す、「ベースコーリ
ング」と呼ばれるプロセスを実施することができる。2チャネルベースコールの間、2つの
画像から抽出された画像データは、2つの画像の強度の組み合わせとしてベース同一性を
符号化することによって、4つのベースタイプのうちの1つの存在を決定するために使用さ
れてもよい。2つの画像のそれぞれにおける所与のスポットまたは位置について、信号同
一性の組合せが[on、on]、[on、off]、[off、on]、または[off、off]であるかどうかに基
づいて、ベース同一性を決定することができる。
【0071】
再びライン走査撮像システム500を参照すると、システムは、その中に配置された2つの
光源511および512を備えたライン生成モジュールLGC 510を含む。光源511および512は、
レーザビームを出力するレーザダイオードなどのコヒーレント光源であってもよい。光源
511は第1の波長(例えば、赤色波長)の光を放射することができ、光源512は第2の波長(例
えば、緑色波長)の光を放射することができる。レーザ源511及び512から出力される光線
は、1つ以上のビーム成形レンズ513を介して方向付けられ得る。幾つかの実施形態では
、単一の光成形レンズを使用して、両方の光源から出力される光線を整形することができ
る。他の実装形態では、各光ビームに対して別個のビーム成形レンズを使用してもよい。
いくつかの例では、ビーム成形レンズが光線がラインパターンに整形されるように、パウ
エルレンズである。LGC 510または他の光学部品撮像システムのビーム成形レンズは、光
源511および512によって放出された光を(例えば、1つ以上のパウエルレンズ、または他の
ビーム成形レンズ、回折または散乱部品を使用することによって)ラインパターンに成形
するように構成される。例えば、幾つかの実施形態では、光源511および512によって放射
された光は、光回折格子を通して送られ、試料上に投影することができる光回折格子パタ
ーン(SIMパターン)を生成することができる。
【0072】
LGC 510は、単一のインターフェースポートを通して放射光学モジュール(EOM)530に光
線を向けるように構成されたミラー514および半反射ミラー515をさらに含んでもよい。光
線は、シャッタ要素516を通過してもよい。EOM 530は、対物レンズ535と、対物レンズ535
をターゲット550に近づけたり遠ざけたりするように長手方向に移動させるzステージ536
とを含むことができる。例えば、ターゲット(例えば、パターン化フローセル)550は、液
体層552および半透明カバープレート551を含むことができ、生物学試料は、半透明カバー
プレートの内側表面、及び液体層の下に位置する基材層の内側表面に位置することができ
る。次いで、zステージは、フローセルのいずれかの内側表面上に光線を集束させる(例え
ば、生物学試料上に集束させる)ように、対物レンズを移動させてもよい。生物学試料は
、DNA、RNA、タンパク質、または当該分野で既知の光学的配列決定に応答する他の生物学
的材料であり得る。
【0073】
EOM 530は、フォーカス追跡モジュール(FTM)540から放射されたフォーカス追跡光線を
ターゲット550に反射させ、次いで、ターゲット550から戻された光をFTM 540に反射させ
るために、半反射ミラー533を含んでもよい。FTM 540は、戻されたフォーカス追跡光線の
特性を検出し、ターゲット550上の対物レンズ535のフォーカスを最適化するためのフィー
ドバック信号を生成するために、フォーカス追跡光学センサを含んでもよい。
【0074】
EOM 530はまた、ターゲット550から戻された光が通過することを可能にしながら、対物
レンズ535を通して光を導くために半反射ミラー534を含んでもよい。いくつかの実施態様
では、EOM 530がチューブレンズ532を含むことができる。チューブレンズ532を透過した
光は、フィルタ要素531を通過し、カメラアセンブリ520内に入ることができる。カメラア
センブリ520は入射光ビーム(例えば、光源511および512から受け取った赤色光および緑色
光に応答する蛍光)に応答して生物学試料から放出される光を検出するために、1つ以上の
光学センサ521(例えば、TDIライン走査センサ)を含み得る。一例では、LGC(上述したもの
など)が回折格子を通して光を投影し、線状縞模様を生成してもよい。
【0075】
カメラアセンブリ520のセンサからの出力データは、リアルタイム分析回路525に通信さ
れてもよい。リアルタイム分析回路525は様々な実装形態で、画像データを分析し(例えば
、画像品質スコアリング、塩基コールなど)、ビームの特性(例えば、フォーカス、形状、
強度、電力、明るさ、位置)をグラフィカルユーザインターフェース(GUI)などに報告また
は表示するためのコンピュータ可読命令を実行する。これらの動作は下流の分析時間を最
小限に抑え、撮像実行中にリアルタイムのフィードバックおよびトラブルシューティング
を提供するために、撮像サイクル中にリアルタイムで実行することができる。実施形態に
おいて、リアルタイム分析回路525は、撮像システム500に通信的に連結され、撮像システ
ム500を制御する計算装置(例えば、計算装置1100)であってもよい。以下でさらに説明す
る実施態様では、リアルタイム分析回路525が、カメラアセンブリ520から受け取った出力
画像データの歪みを補正するためのコンピュータ可読命令をさらに実行することができる
【0076】
図6A~6Cは非対称にパターン化されたフローセルのTDIライン走査の例示的表現を表す
。ここで、SIMはフローセルの1つの軸に沿って分解能を増加させるために使用される。特
に、図6Aは、SIMパターン630が上に重ね合わされた、非対称にパターン化されたフローセ
ル620(非対称にパターン化されたフローセル320(図3C)の実施であり得る)を図示する。TD
Iライン走査は、非対称的にパターン化されたフローセル620の行ごとの画像をキャプチャ
するために、y軸に沿って実行され得る。図6Aでキャプチャされた画像は、第1の位相でSI
Mパターン630によってキャプチャされる。
【0077】
例として、ライン走査撮像システム500はシステムの光学系と協調してLGC 510を使用し
て、赤色スペクトル内の波長を有する光で試料をライン走査し(SIMパターン、すなわち、
光学回折格子パターンで重ね合わされる)、緑色カラースペクトル内の波長を有する光で
試料をライン走査することができる。ライン走査に応答して、試料の異なるスポットに位
置する蛍光色素が蛍光を発することができ、得られた光は、対物レンズ535によって収集
することができ、蛍光を検出するためにカメラアセンブリ520の画像センサに向けること
ができる。例えば、各スポットの蛍光は、カメラアセンブリ520の数画素によって検出す
ることができる。次いで、カメラアセンブリ520から出力された画像データは処理のため
に、例えば、スワスを形成するために画像を結合するために、リアルタイム分析回路525
に通信されてもよい。
【0078】
図6Bは、SIMパターン630を重ね合わせた非対称にパターン化されたフローセル620を示
す。しかしながら、図6Bでは、SIMパターン630がx軸に沿って(試料を分解するための分解
能増加を必要とする軸と整列して)位相シフトされている。上述のように、ライン走査撮
像システム500は、システムの光学系と協調してLGC 510を使用して、試料をライン走査す
る(位相シフトされたSIMパターン630と重ね合わされる)。画像は、捕捉され、カメラアセ
ンブリ520から出力され、再び、処理のためにリアルタイム分析回路525に通信され得る。
【0079】
図6Cは、SIMパターン630を重ね合わせた非対称にパターン化されたフローセル620を示
す。図6Cでは、SIMパターン630がx軸に沿って(試料を分解するための解像度増加を必要と
する軸と整列する)第3の位相に位相シフトされている。ここでも、ライン走査撮像システ
ム500は、システムの光学系と協調してLGC 510を使用して、試料をライン走査にすること
ができる(位相シフトされたSIMパターン630と重ね合わされる)。画像はカメラアセンブリ
520から捕捉され、出力され、再び、処理のためにリアルタイム分析回路525に通信され得
る。各位相/位相シフトに従って捕捉された画像は、リアルタイム分析回路525によって単
一の画像に組み合わされ、実空間に再変換されて、この例ではx軸に沿って、より高い分
解能を有する画像を生成することができる。
【0080】
別の実施形態では図6Dに示されるように、フローセル620の異なる部分はその異なる位
相においてSIMパターン630でオーバーレイされ得る。すなわち、第1の位相630AのSIMパタ
ーンがフローセル620の下部に沿ってオーバーレイされ、第2の位相630Bの同じSIMパター
ンがフローセル620の中間部分に沿ってオーバーレイされ、また、第3の位相630Cの同じSI
Mパターンがフローセル620の上部に沿ってオーバーレイされる。したがって、ラインスキ
ャンイメージングシステム500はSIMパターンの異なる位相(630A~630B)にオーバーレイさ
れたフローセル620をライン走査し、その結果、ラインスキャンイメージングシステム500
は、SIMパターンの各必要な位相に従って、単一の実行でフロー全体を撮像することがで
きる。幾つかの実施形態では、ラインスキャンイメージングシステム500は、複数のLGCお
よび複数のカメラまたはセンサ/カメラアセンブリを有するように修正することができ、
例えばそれら3つの各々はSIMパターンの3つの位相を生成するために、3つの光学回折格子
(同じであるが異なる位相で配向されている)を通して光を生成および出力する。このよう
にして、各カメラまたはセンサ/カメラアセンブリは、異なるSIMパターン位相とともに、
フローセル620の画像を同時に捕捉することができる。
【0081】
上記で示唆したように、さらに他の実装形態では、SIMパターンが静止したままである
間に、試料/フローセルを移動させることができる。TDIライン走査を実施する場合、試料
/フローセルは既に移動している。したがって、試料/フローセルのこの移動を活用して、
SIMパターンをシフトする必要を回避することができる。すなわち、静止SIMパターンに対
する試料/フローセルの移動は、試料を分解するために必要とされる必要な位相を生成す
る。
【0082】
図7は、六角形アレイパターン化フローセル300(図3A)と同様の別の例示的なパターン化
フローセル720を示す。従来の構造化照明撮像システムでは、フローセル720が、例えばy
軸の方向にライン走査され得る。LGC、例えば、LGC 510(図5)によってフローセル720内の
試料上に出力される光線の強度は、x軸に沿って幅広で均一であるように示されている(図
示されていないが、ライン走査方向に実質的にまたは正確に垂直である)。しかし、y軸に
沿っては、光線の強度は狭い。レーザビームがフローセル720に対して移動するときに、
蛍光画像はライン走査カメラまたはセンサ、例えば、カメラアセンブリ520(図5)によって
、光線によって照射されている対応する領域に捕捉される。
【0083】
しかしながら、試料/フローセル720が既に移動しているという事実を利用し、また、非
対称にパターン化されたフローセル、例えばフローセル320(図3C)内の試料を解像するた
めには、1次元SIMのみが必要であるため、SIMパターンを生成する光学回折格子を依然と
して維持することができる。すなわち、試料を適切に分解するために必要な複数(例えば
、3つ)の位相が必要であった。従って、従来のライン走査撮像システムにおいて、例えば
光学回折格子を移動(例えば回転又は平行移動)させるのに必要な移動ステージ又は他の
要素は、この実施形態においては必要とされない。
【0084】
図8は、静止光学回折格子を使用する、例示的ライン走査撮像システム800を示す。説明
を容易にするために、図8は、すべての特徴/元素が示されているわけではない簡略化され
た図であることに留意されたい。しかしながら、ライン走査システム800は、得られた光
学回折格子パターン/SIMパターンを依然として維持するために静止光学回折格子を使用す
るライン走査撮像システム500の1つの実施形態であってもよい。
【0085】
図8の例では、発光体、例えばレーザ802は、コリメーションレンズ804によってコリメ
ートされた光線を出力するように構成される。一実施形態では、レーザ802が緑色波長の
光を放射する。平行光は、ダイクロイックフィルタ806によって静止光回折格子812を通っ
て、別のダイクロイックフィルタ828を介して、対物レンズ830に向かい、試料容器832の
試料上に向けられる。この実施態様では、試料容器830がフローセル320(図3C)などの非対
称にパターン化されたフローセルである。
【0086】
第2の発光体、例えばレーザ808は、静止光回折格子812を通って対物レンズ830に、また
、ダイクロイックフィルタ828を通って、試料容器832の試料上に、(例えば、赤色波長の)
光を放射する。試料容器832は、レーザ802および808からの光線に対して試料容器832を移
動させることができるステージ840上に配置される。蛍光試料の場合、試料は構造化され
た励起光(レーザ802および808からのレーザビーム)に応じて蛍光を発し、得られた光は、
対物レンズ828によって集められ、カメラ814および820のイメージセンサに向けられる。
【0087】
ダイクロイックフィルタ806は、レーザ802からの緑色光ビームを通過させて静止光回折
格子812に通過させ、一方、レーザ808からの赤色光ビームを静止光回折格子812に向けて
反射させるために使用される。ダイクロイックフィルタ828は、レーザ802および808から
の赤色光ビームおよび緑色光ビームが対物レンズ830に反射されることを可能にし、一方
、カメラ814および820が緑色光および赤色光で蛍光発光された画像をそれぞれ捕捉するこ
とを可能にするという点で、同様に機能する。ダイクロイックフィルタ816は蛍光試料か
らの緑色光放射をカメラ814に向け、ダイクロイックフィルタ822は蛍光試料からの赤色光
放射をカメラ820に向ける。レンズ818および824は、それぞれ、カメラ814および820のた
めのコリメートレンズである。ダイクロイックミラー826は、蛍光を発した試料からの緑
色および赤色光放射を適切なカメラに向ける。
【0088】
ライン走査システム800では、光回折格子812は静止している。すなわち、先に議論した
ように、非対称にパターン化されたフローセルをSIMと併用することによって、構造化さ
れた照明の1次元のみが必要とされ、フローセルに沿ってビームを移動させることによっ
て、複数の位相を達成することができる。換言すれば、試料/フローセルに対するレーザ
ビームの移動、またはレーザビームに対する試料/フローセルの移動の結果、試料と干渉
縞の励起パターンとの間の相対的な移動は、全て、異なる位相を生成するために必要なも
のである。
【0089】
図9は、ライン走査システム800などのライン走査撮像システムで線走査され得るパター
ン化フローセル920を示す。フローセル920に光学回折格子パターンを投影することができ
、一方、フローセル920は、ライン走査撮像技術に従って移動する。静止光回折格子パタ
ーンに対するフローセル920の移動は、前述のように、必要な位相シフトを生成し、ライ
ン走査中に捕捉された画像は、いったん組み合わせて実空間に再変換すると、分解能を増
加させる。
【0090】
特に、光線はy軸の方向に移動する。ここでも、光ビームの強度はx軸(図示せず)に沿っ
て均質であるが、静止した光回折格子、例えば、静止光回折格子、例えば静止光回折格子
(図8)を通過することによってy軸に沿った強度が変調される。光線がフローセル920に対
して移動するときに、光回折格子パターンはシフトする。実際には、3つ超、または数十
もの位相シフトを生成することができる。その結果、光回折格子の代わりに試料/フロー
セル920を移動させることによって、ライン走査の軸に沿った分解能の増加を達成するこ
とができる。いくつかの実施態様では上述したように、この方向の解像度は、ランダム特
徴または周期的パターンの両方を有する表面上で少なくとも2倍増加させることができる
。解像度は、例えば少なくとも2倍増加させることができるので、フローセル920内のナノ
ウェルの密度は、2倍以上増加させることができることを理解されたい。
【0091】
図10は非対称的にパターン化されたフローセルを使用して試料をシーケンシングするた
めに、ライン走査撮像システム500(図5)またはライン走査撮像システム800(図8)などの、
ライン走査撮像システムにおいて実施され得る操作を例示するフローチャートである。動
作1000において、第1の光回折格子パターン配向に対応する、静止光回折格子、例えば静
止光回折格子812を通して出力される、レーザ源、例えばレーザ源802および808からの光
ビームをオンにすることができる。動作1010では光回折格子パターンが試料上に投影され
、動作1020では試料はライン走査される。ライン走査は、ライン走査撮像システム800(図
8)に関して前述したように実施されてもよい。操作1030では、試料が、前述のライン走査
技術に従って移動されるか、または指向された光が試料と光回折格子パターンとの間の相
対運動を達成するために、前述のように移動されてもよい。
【0092】
動作1020および1030は、サンプル全体を表す画像を取り込むために必要な回数だけ繰り
返されてもよい。ここでも、試料が静止光学回折格子パターンに対して移動された結果、
試料及び光学回折格子パターンの画像を、分解能を高めるために必要とされる必要な位相
シフトにわたって捕捉することができる。操作1040において、高解像度画像を再構成する
ことができる。
【0093】
ライン走査中に光回折格子パターンと試料との間のモーションブラーを防止するために
、レーザ源はパルス状に動作することができることに留意されたい。すなわち、レーザ源
、例えば、レーザ源802および808は、励起毎にライン走査画像を捕捉することができるよ
うにパルス化されてもよい。幾つかの実施形態では、試料/フローセルに対する光回折格
子パターンの方位を90°ずらすことができる。他の実装では、図6A~6Cに例示されている
ように、光回折格子パターンの方位が試料が明暗の領域にわたって移動しないようなもの
である場合(光回折格子パターンの方位が90°ずれた場合の場合のように)、光回折格子パ
ターンに対する試料の移動が同じ縞強度を通って移動するので、レーザ光源のパルス化が
不要となる場合がある。
【0094】
本明細書に記載された実施形態は主として、回折格子を使用して、撮像される試料上に
投影される縞パターンを生成するという文脈で説明されてきたが、実施形態では投影され
た縞パターンが必ずしも回折格子によって生成される必要はないことに留意されたい。正
弦波縞パターンを生成する任意の方法が適切であり得る。縞模様の生成は、所望の干渉パ
ターンの点で相互にコヒーレントな2つの逆伝播ビーム間の干渉を介して、回折格子のコ
ヒーレントまたは非コヒーレント撮像を介して、ビームスプリッタを経て分離され干渉さ
れたビームを介して、ライトパイプまたは導波路等の中の逆伝播ビームを介して達成する
ことができる。
【0095】
図11は、システム200、500、および/または800に実装され、本明細書で説明される、図
4および図10に示される方法の1つ以上の態様の前述の特徴および機能性など、本明細書で
開示されるシステムおよび方法の様々な特徴を実装するために使用され得る例示的なコン
ピューティング成分を示す。例えば、コンピューティング要素は、リアルタイム分析回路
525として実装されてもよい。
【0096】
本明細書で使用されるように、回路という用語は、本出願の1つ以上の実施形態に従っ
て実行することができる機能の所与のユニットを記述することができる。本明細書で使用
されるように、回路は、任意の形態のハードウェア、またはハードウェアとソフトウェア
との組み合わせを利用して実装され得る。例えば、1つ以上のプロセッサ、コントローラ
、ASIC、PLA、PAL、CPLD、FPGA、論理コンポーネント、ソフトウェアルーチン、又は他の
メカニズムが、回路を構成するために実装され得る。実施形態において、本明細書で説明
される様々な回路は個別の回路として実装されてもよく、又は説明される機能及び構成が
1つ以上の回路の間で部分的に又は全体的に共有されてもよい。言い換えれば、本明細書
を読んだ後の当業者は、本明細書に記載された様々な特徴および機能性が任意の所与のア
プリケーションにおいて実装されてもよく、様々な組合せおよび順列で1つ以上の別個の
または共有の回路において実装されてもよいことを理解することができる。機能の様々な
特徴または要素は個別のモジュールとして個別に説明または請求され得るが、当業者はこ
れらの特徴および機能が1つ以上の共通のソフトウェアおよびハードウェア要素の間で共
有され得ることを理解し、そのような説明はそのような特徴または機能を実装するために
、個別のハードウェアまたはソフトウェア構成要素が使用されることを必要とせず、また
は暗示するものではない。
【0097】
アプリケーションの構成要素または回路がソフトウェアを使用して全体的にまたは部分
的に実装される場合、一実装形態では、これらのソフトウェア要素がそれに関して説明さ
れた機能を実行することが可能なコンピューティングまたは処理モジュールで動作するよ
うに実装され得る。そのようなコンピューティングコンポーネントの一例を図13に示す。
様々な実装が、この例示的コンピューティング要素1000に関して記述される。この説明を
読んだ後、他のコンピューティングモジュールまたはアーキテクチャを使用してアプリケ
ーションをどのように実装するかが、当業者には明らかになるであろう。
【0098】
ここで図13を参照すると、コンピューティング要素1000は例えば、デスクトップ、ラッ
プトップ、ノート型パソコン、およびタブレットコンピュータ内で見られるコンピューテ
ィングまたは処理能力、ハンドヘルドコンピューティングデバイス(タブレット、PDA、ス
マートフォン、携帯電話、パームトップなど)、メインフレーム、スーパーコンピュータ
、ワークステーション、若しくはサーバ、又は所与のアプリケーションまたは環境にとっ
て望ましくまたは適切であり得る任意の他の種類の専用または汎用コンピューティングデ
バイスを表すことができる。コンピューティング要素1000はまた、所与の装置内に組み込
まれた、又は所与の装置で利用可能な計算能力を表すこともできる。例えば、コンピュー
ティング要素は例えば、デジタルカメラ、ナビゲーションシステム、携帯電話、ポータブ
ルコンピューティングデバイス、モデム、ルータ、WAP、端末、および何らかの形態の処
理能力を含み得る他の電子デバイスなどの他の電子デバイスに見出され得る。
【0099】
コンピューティング要素1000は、例えばプロセッサ1004のような1つ以上のプロセッサ
、コントローラ、制御モジュールまたは他の処理装置を含むことができる。プロセッサ10
04は、例えばマイクロプロセッサ、コントローラ、または他の制御ロジックなどの汎用ま
たは専用処理エンジンを使用して実装され得る。図示の例では、プロセッサ1004はバス10
02に接続されているが、任意の通信媒体を使用して、コンピューティング要素1000の他の
要素との相互作用を容易にしたり、外部と通信したりすることができる。
【0100】
コンピューティング要素1000はまた、ここでは単にメインメモリ1008と称される1つ以
上のメモリモジュールを含んでもよい。例えば、好ましくは、ランダムアクセスメモリ(
RAM)または他のダイナミック・メモリが、プロセッサ1004によって実行される情報お
よび命令を記憶するために使用されてもよい。メインメモリ1008は、プロセッサ1004によ
って実行される命令の実行中に、一時変数又は他の中間情報を記憶するためにも使用され
得る。コンピューティング要素1000は同様に、プロセッサ1004のための静的情報および命
令を記憶するために、バス1002に結合された読出し専用メモリ(“ROM”)または他の
静的記憶装置を含むことができる。
【0101】
コンピューティング要素1000は、例えば媒体ドライブ1012および記憶ユニットインタフ
ェース1020を含むことができる、1つ以上の様々な形態の情報記憶機構1010を含むことも
できる。媒体ドライブ1012は、固定又は取り外し可能な記憶媒体1014をサポートするため
のドライブ又は他の機構を含んでもよい。例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドス
テートドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、CD若しくはDVDドライブ(R
またはRW)、または他の取り外し可能な若しくは固定媒体ドライブが提供され得る。した
がって、記憶媒体1014は例えば、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テー
プ、カートリッジ、光ディスク、CD、DVD若しくはBlu-ray、または媒体ドライブ1012によ
って読み取られたり、そこに書き込まれたり若しくはそこからアクセスされる他の固定若
しくは取り外し可能媒体を含むことができる。これらの例が示すように、記憶媒体1014は
、コンピュータソフトウェア又はデータが記憶されたコンピュータ使用可能な記憶媒体を
含むことができる。
【0102】
代替例では、情報記憶機構1010がコンピュータプログラムまたは他の命令またはデータ
をコンピューティング要素1000にロードすることを可能にする他の同様の手段を含むこと
ができる。そのような手段は例えば、固定又は取り外し可能な記憶ユニット1022及びイン
ターフェース1020を含み得る。このような記憶ユニット1022およびインターフェース1020
の例は、プログラムカートリッジおよびカートリッジインタフェース、取り外し可能なメ
モリ(例えば、フラッシュメモリまたは他の取り外し可能なメモリモジュール)およびメモ
リスロット、PCMCIAスロットおよびカード、ならびにソフトウェアおよびデータが記憶ユ
ニット1022からコンピューティング要素1000に転送されることを可能にする他の固定また
は取り外し可能記憶ユニット1022およびインターフェース1020を含むことができる。
【0103】
コンピューティング要素1000は、通信インターフェース1024を含むこともできる。通信
インターフェース1024は、ソフトウェアおよびデータがコンピューティング要素1000と外
部装置との間で転送されることを可能にするために使用されてもよい。通信インターフェ
ース1024の例は、モデムまたはソフトモデム、ネットワークインターフェース(イーサネ
ット(登録商標)、ネットワークインターフェースカード、WiMedia、IEEE 802.XXまたは
他のインターフェースなど)、通信ポート(USBポート、IRポート、RS232ポートBluetooth
(登録商標)インターフェース、または他のポートなど)、または他の通信インターフェ
ースを含み得る。通信インターフェース1024を介して転送されるソフトウェア及びデータ
は、典型的には所与の通信インターフェース1024によって交換されることが可能な、電子
的、電磁気的(光を含む)、又は他の信号であり得る、信号上で搬送され得る。これらの信
号は、チャネル1028を介して通信インターフェース1024に提供されてもよい。このチャネ
ル1028は、信号を搬送することができ、有線又は無線通信媒体を使用して実装することが
できる。チャネルのいくつかの例は、電話回線、セルラリンク、RFリンク、光リンク、ネ
ットワークインターフェース、ローカル又はワイドエリアネットワーク、及び他の有線又
は無線通信チャネルを含むことができる。
【0104】
本明細書では、用語「コンピュータ可読媒体」、「コンピュータ使用可能媒体」および
「コンピュータプログラム媒体」は一般に、例えば、メモリ1008、記憶ユニット1022、お
よび媒体1014などの揮発性または不揮発性の非一時的媒体を指すために使用される。これ
らおよび他の様々な形態のコンピュータプログラム媒体またはコンピュータ使用可能媒体
は、実行のために1つ以上の命令の1つ以上の配列を処理デバイスに搬送することに関与す
ることができる。媒体に具体化されるそのような命令は一般に、「コンピュータプログラ
ムコード」または「コンピュータプログラム製品」(コンピュータプログラムまたは他の
グループの形態でグループ化することができる)と呼ばれる。このような命令が実行され
ると、コンピューティング要素1000は本明細書で論じるように、本願の特徴または機能を
実行することができる。
【0105】
様々な実施例および実施形態に関して上述したが、個々の実施形態の1つ以上に記載さ
れている様々な特徴、態様および機能性は、それらが記載されている特定の実施例への利
用可能性に制限されず、その代わりに、そのような実施形態が記載されているかどうか、
およびそのような特徴が記載されている実施形態の一部であるとして提示されているかど
うかにかかわらず、本願の1つ以上の他の実施形態に単独で、または様々な組み合わせで
利用できることが理解されるべきである。したがって、本願の幅および範囲は、上述の例
示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。
【0106】
前述の概念のすべての組み合わせ(そのような概念が相互に矛盾しない限り)は、本明細
書で開示される本発明の主題の一部であると考えられることを理解されたい。特に、本開
示の末尾にある特許請求の範囲の主題のすべての組み合わせは、本明細書に開示される本
発明の主題の一部であると考えられる。
【0107】
特許請求の範囲を含む、本開示全体にわたって使用される「実質的に」および「約」と
いう用語は処理の変動などによる小さな変動を記述し、説明するために使用される。例え
ば、これらの用語は、±5%以下、例えば±2%以下、例えば±1%以下、例えば±0.5%以下、
例えば±0.2%以下、例えば±0.1%以下、例えば±0.05%以下を指すことができる。
【0108】
適用可能な範囲で、本明細書における用語「第1」、「第2」、「第3」などは、単に、
これらの用語によって説明されるそれぞれの目的を別個のエンティティとして示すために
使用され、本明細書において明示的に別段の記載がない限り、時系列順の意味を暗示する
ことを意味しない。
【0109】
本書で使用されている用語及び語句、ならびにそれらのバリエーションは別途明示的に
記載されていない限り、限定ではなく、オープンエンド型の意味にとる必要がある。前述
の例として、「含む」という用語は「限定なしに含む」などを意味するものとして解釈さ
れるべきであり、「例」という用語は論議中のアイテムの例を提供するために使用され、
そのリストを網羅的または限定するものではなく、「1つの(“a”または“an”)」
という用語は「少なくとも1つ」、は「1つ以上」などを意味するものとして解釈されるべ
きであり、「従来の」、「伝統的な」、「通常の」、「標準の」、「既知の」などの形容
詞、および同様の意味の用語は記載されたアイテムを、所与の期間に、または所与の時間
に利用可能なアイテムに限定するものと解釈されるべきではなく、代わりに、現在または
将来において利用可能であるか、または知られている可能性がある従来の、伝統的な、通
常の、または標準の技術を包含するものと解釈されるべきである。同様に、本明細書が当
業者に明らかであるか、または知られている可能性がある技術に言及する場合、そのよう
な技術は、現在または将来の任意の時点で当業者に明らかであるか、または知られている
技術を包含する。
【0110】
場合によっては、「1つ以上」、「少なくとも」、「少なくとも」又は「ただし、これ
らに限定されない」などの拡張語および句、または他の同様の句の存在は、そのような拡
張語句が存在しない可能性がある場合に、より狭い場合が意図され、または必要とされる
ことを意味すると解釈されるべきではない。
【0111】
さらに、本明細書で説明される様々な実装形態は、例示的なブロック図、フローチャー
トおよび他の図に関して説明される。本明細書を読んだ後、当業者には明らかになるよう
に、例示された実施形態およびそれらの様々な代替形態は、例示された例に限定されるこ
となく実施することができる。例えば、ブロック図及びそれらの付随する説明は、特定の
アーキテクチャ又は構造を指定するものとして解釈されるべきではない。
【0112】
本開示のさまざまな実施形態が上述されてきたが、それらは限定ではなく、例としての
み提示されてきたことが理解されるべきである。同様に、様々な図は、本開示に含まれ得
る特徴および機能を理解するのを助けるために行われる、本開示のための例示的なアーキ
テクチャまたは他の構成を示すことができる。本開示は例示されたアーキテクチャまたは
構成に限定されるものではないが、所望の特徴は種々の代替アーキテクチャおよび構成を
使用して実施することができる。実際、本開示の所望の特徴を実施するために、代替の機
能的、論理的、または物理的なパーティションおよび構成をどのように実施することがで
きるかは、当業者には明らかであろう。また、本明細書に示されたもの以外の多数の異な
る構成要素名を、様々なパーティションに適用することができる。さらに、フロー図、動
作説明、および方法クレームに関して、本明細書でステップが提示される順序は、文脈が
別段の指示をしない限り、様々な実施形態が、列挙された機能を同じ順序で実行するよう
に実装されることを強制するものではない。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7
図8
図9
図10
図11
図12