(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】固溶体組成物および心血管疾患における使用
(51)【国際特許分類】
A61K 9/00 20060101AFI20230327BHJP
A61K 31/192 20060101ALI20230327BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230327BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230327BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20230327BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
A61K9/00
A61K31/192
A61K45/00
A61K47/10
A61K47/14
A61P29/00
(21)【出願番号】P 2021139210
(22)【出願日】2021-08-27
(62)【分割の表示】P 2019061720の分割
【原出願日】2014-01-14
【審査請求日】2021-09-24
(32)【優先日】2013-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2013-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515192346
【氏名又は名称】インファースト ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】バンニスター,ロビン マーク
(72)【発明者】
【氏名】ブリュー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】レイリー,リチャード ロバート
(72)【発明者】
【氏名】カパーロス-ワンダーリー,ウィルソン
【審査官】菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-508248(JP,A)
【文献】特表2007-512265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00
A61K 31/192
A61K 45/00
A61K 47/10
A61K 47/14
A61P 29/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固溶体医薬組成物であって、
a)約5重量%~約55重量%の1種以上の
プロピオン酸誘導体非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);
b)35重量%以上の1種以上の室温の固体脂質であって、1種以上のトリグリセリドを含む、室温の固体脂質;
c)25重量%以上の1種以上の室温の液体脂肪であって、1種以上の部分的に加水分解された脂肪の混合物を含む、室温の液体脂肪;及び
d)
液体ポリエチレングリコール(PEG)ポリマーを含む液体グリコールポリマーを含む、1種以上の安定化剤;
を含み、
前記1種以上のトリグリセリドが、飽和C
10
~C
18
トリグリセリドの混合物を含み、
前記1種以上の部分的に加水分解された脂肪が、モノリノール酸グリセリンを含む1種以上のモノグリセリドを含み、
前記固溶体医薬組成物が約15℃以下の温度において固体であり、かつ25℃以上の融点を有するように製剤化されている、
固溶体医薬組成物。
【請求項2】
前記プロピオン酸誘導体NSAIDは、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、デクスケトプロフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、プラノプロフェン、スプロフェン、またはこれらの組合せを含む、請求項1に記載の固溶体医薬組成物。
【請求項3】
前記1種以上のプロピオン酸誘導体NSAIDが、イブプロフェン、ナプロキセン、またはこれらの組合せを含む、請求項2に記載の固溶体医薬組成物。
【請求項4】
前記プロピオン酸誘導体NSAIDは
、イブプロフェ
ンを含む、請求項3に記載の固溶体医薬組成物。
【請求項5】
前記1種以上の
プロピオン酸誘導体NSAIDが、前記固溶体医薬組成物の約20重量%~約30重量%である、請求項1
~4のいずれか1項に記載の固溶体医薬組成物。
【請求項6】
前記1種以上のトリグリセリドが、約41℃~約45℃の融点を有する飽和C
10~C
18トリグリセリドの混合物を含む、請求項1~
5のいずれか1項に記載の固溶体医薬組成物。
【請求項7】
前記1種以上の室温の固体脂質が、前記固溶体医薬組成物の35重量%~45重量%である、請求項1~
6のいずれか1項に記載の固溶体医薬組成物。
【請求項8】
前記1種以上の室温の固体脂質が、前記固溶体医薬組成物の40重量%以上である、請求項1~
7のいずれか1項に記載の固溶体医薬組成物。
【請求項9】
前記1種以上の室温の液体脂肪が、30重量%以上である、請求項1~
8のいずれか1項に記載の固溶体医薬組成物。
【請求項10】
前記1種以上の室温の液体脂肪が、45重量%未満である、請求項1~
9のいずれか1項に記載の固溶体医薬組成物。
【請求項11】
前記液体グリコールポリマーが、約4重量%~約30重量%、約6重量%~約20重量%、約8重量%~約15重量%、約7重量%~約13重量%、約8重量%~約12重量%、または約9重量%~約11重量の量である、請求項1~
10のいずれか1項に記載の固溶体医薬組成物。
【請求項12】
前記液体PEGポリマーが、約1,000g/モル以下である、請求項1
~11のいずれか1項に記載の固溶体医薬組成物。
【請求項13】
前記液体PEGポリマーが、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG700、PEG800、PEG900、PEG1000またはこれらの任意の組合せを含む、請求項
12に記載の固溶体医薬組成物。
【請求項14】
前記1種以上の
プロピオン酸誘導体NSAIDの溶解が35%以下である、請求項1~
13の固溶体医薬組成物。
【請求項15】
前記1種以上の
プロピオン酸誘導体NSAIDがイブプロフェンであり
、前記1種以上の部分的に加水分解された脂肪が、
1種以上のジグリセリドを更に含む、請求項1~
14のいずれか一項に記載の固溶体医薬組成物。
【請求項16】
前記イブプロフェンが、薬学的に許容される塩、溶媒和物、または塩の溶媒和物を含む、請求項
4に記載の固溶体医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本一部継続出願は、35U.S.C.§120に従って、2012年2月3日に出願された米国通常特許出願第13/365,824号、2011年10月31日に出願されたPCT特許出願第GB2011/052115号の優先権を主張する一部継続出願、2010年10月29日に出願された英国特許第1018289.7号の優先権を主張する国際特許出願の優先権を主張し、2012年2月3日に出願された米国特許第13/365,828号の優先権を主張し、かつ2011年8月10日に出願された英国特許第1113730.4号、2011年8月10日に出願された英国特許第1113729.6号、2011年8月10日に出願された英国特許第1113728.8号および2011年2月4日に出願された英国特許第1101937.9号の優先権を主張するものであり、本一部継続出願は、35U.S.C.§119(e)に従って、2013年2月4日に出願された米国仮特許出願第61/752,309号および2013年1月14日に出願された米国仮特許出願第61/752,356号の優先権を主張するものであり、それらの各開示内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
脂質は、脂肪酸、グリセロ脂質、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、糖脂質(saccharolipid)、ポリケチド、ステロール脂質およびプレノール脂質(prenol lipid)などの広範囲の天然に生じる疎水性または両親媒性の分子群を構成する。脂質の主要な生体機能としては、エネルギーの貯蔵、細胞膜の構造成分や重要なシグナル伝達分子としての機能が挙げられる。これらの基本的な役割を考慮すると、全ての細胞は、脂質を使用し、かつそれに依存している。脂質を細胞に輸送するために使用されるプロセスの1つは、アポリポタンパク質を必要とする。アポリポタンパク質は、脂質に結合してリポタンパク質を形成するタンパク質であり、リポタンパク質は、リンパ系および循環系を通してトリグリセリドおよびコレステロールなどの脂質を輸送するために使用される媒体である。リポタンパク質の脂質成分は、それ自体は水に不溶である。しかし、それらの両親媒性により、アポリポタンパク質および他の両親媒性分子(例えばリン脂質など)は、脂質を包囲し、それ自体が水溶性であって、よって、水性循環系すなわち血液およびリンパなどを通して運ぶことができるリポタンパク質粒子を形成することができる。
【0003】
5つの主要なリポタンパク質粒子群が存在し、リポタンパク質の密度およびリポタンパク質に含まれるアポリポタンパク質の種類により、粒子の運命およびその代謝への影響が決まる。キロミクロン(カイロミクロン)は、最も大きなリポタンパク質粒子であり、この粒子は、トリグリセリドを腸から肝臓、骨格筋および脂肪組織に運ぶ。超低密度リポタンパク質(VLDL)粒子は、トリグリセリドを脂肪組織および筋肉に輸送する、肝臓によって分泌される大きなトリグリセリド高含有リポタンパク質である。第3のリポタンパク質粒子群は、中間密度リポタンパク質(IDL)粒子であり、VLDLと低密度リポタンパク質(LDL)との中間である。IDL粒子は、毛管においてリポタンパク質リパーゼによりトリグリセリドがVLDL粒子から除去された際に形成され、これらの小さくなった粒子は循環系に戻される。IDL粒子は、それらのトリグリセリドの大部分を失っているが、コレステリルエステルを保持している。IDL粒子の一部は肝臓により急速に取り込まれ、それ以外は循環系中に残存し、そこで、さらなるトリグリセリド加水分解を受け、LDLに変換される。LDL粒子は、コレステロールを肝臓から体の細胞に運び、そこで、これらの粒子は、LDL受容体に結合し、その後、クラスリン被覆ピットを介して小胞型で飲食される。クラスリン被覆が外れた後、それらの小胞は最終的にLDLをリソソームに送達し、そこで、コレステロールエステルは加水分解される。最後のリポタンパク質粒子群は、高密度リポタンパク質(HDL)粒子であり、これは、コレステロールを体の組織から回収し、それを肝臓に戻す。
【0004】
高レベルの脂質(例えばコレステロール)および/またはリポタンパク質粒子(例えば、VLDL、IDLおよび/またはLDL)は、心血管系に対して有害効果を有する恐れがある。例えば、LDLは、コレステロールの主要な細胞外担体として、細胞機能および代謝経路の調節において重要な生理的役割を担う。細胞は、コレステロールの十分な供給を確保し、かつ血中におけるその過剰な蓄積を防ぐ複雑なフィードバック機構を有する。しかし、病的状況下、例えば、高脂血症、酸化ストレスおよび/または遺伝性疾患では、LDLの特定の成分が酸化されたり、それ以外の方法で変性されたりするが、その結果、そのような変性されたLDLによるコレステロール輸送は、その生理的標的から逸れて、血中に蓄積される。
【0005】
この蓄積の効果の1つとして、高量のコレステロールおよび/またはLDLが血管壁に溜まった状態になり、それにより炎症反応が引き起こされる。この炎症に応答して、血液単球は内皮に付着し、内皮下空間に遊出して、マクロファージに分化する。次いで、マクロファージは、LDL受容体とは異なるスカベンジャー受容体を介したファゴサイトーシス(貪食)によりコレステロール沈着物および変性されたLDLを飲み込む。しかし、マクロファージにより媒介される適応機構は、病的状態で認められる無制御なコレステロールおよび/またはLDL沈着物を処理するのに十分ではない。その結果、脂質を持つマクロファージは、M1表現型を有する「泡沫細胞」に変わる。血管壁におけるコレステロール/LDL沈着および付随する泡沫細胞媒介性炎症誘発反応の両方により、アテローム性動脈硬化症が発症する。治療せず放置すると、この脂質の蓄積および炎症誘発反応により病変が進行し、最終的に心血管疾患に至る。
【0006】
血中に高コレステロール/LDLが蓄積した際の別の効果としては、LDL強凝集体またはLDL弱凝集体が形成される。高分子量のLDL弱凝集体は、ウイルスまたは細菌のような病原体によって引き起こされるのと同様の方法で炎症反応を開始する。この炎症反応により、マクロファージによる弱凝集体の取り込みが誘発され、その結果、これらの細胞がM1表現型を有する泡沫細胞に変換し、炎症誘発性分子が放出される。この場合も、これを治療せずに放置すると、この脂質の蓄積および炎症誘発反応により心血管疾患が引き起こされることがある。
【0007】
血中の脂質および/またはリポタンパク質レベルを制御することにより心血管疾患を治療する試みは、成功の限界に達している。例えば、個体の中にはスタチンの投与により心血管リスクが低下するものもいるが、これらの治療用化合物ではトリグリセリドレベルは低下しない。従って、身体に有害な高レベルのトリグリセリドを示す心血管リスクを有する個体では、フィブラートと呼ばれる別のクラスの治療用化合物が投与されることがある。しかし、フィブラートは、トリグリセリドおよびLDLレベルを低下させるが、心血管疾患を防ぐことが知られているHDLすなわちリポタンパク質粒子のレベルに影響は与えない。最後に、スタチンおよびフィブラートを用いる併用療法は有効であるが、ミオパチーや横紋筋融解症のリスクを著しく増加させるため、非常に厳重な医用監視装置下でのみ実施することができる。従って、これらの問題を考えると、高い脂質および/またはリポタンパク質レベルに関連する疾患を含む心血管疾患の治療に使用するための改良された化合物および組成物が明らかに必要である。
【0008】
本明細書は、固溶体医薬組成物を開示する。心血管疾患をより効果的に治療するように脂質および/またはリポタンパク質レベルを調節する活性を有する治療用化合物を送達することができる脂質アジュバント送達システムを本質的に形成するように、本明細書に開示されている医薬組成物を製剤化する。
【発明の概要】
【0009】
本明細書の態様は、一つには、治療用化合物と1種以上の室温の固体脂質とを含む固溶体医薬組成物を開示する。本明細書に開示されている固溶体医薬組成物は、1種以上の室温の液体脂質、1種以上の安定化剤、1種以上の中和剤またはそれらの任意の組み合わせをさらに含んでいてもよい。治療用化合物は、脂質レベルを正常化させる活性を有していてもよい。
【0010】
本明細書の他の態様は、一つには、本明細書に開示されている固溶体医薬組成物の調製方法を開示する。本明細書に開示されている方法は、a)本明細書に開示されている治療用化合物を、本治療用化合物を脂質に溶解することができる条件下で1種以上の室温の液体脂質と接触させる工程と、b)この化合物/脂質溶液を、固溶体組成物の形成を可能にする条件下で1種以上の室温の固体脂質と接触させる工程とを含む。本方法の態様では、熱を加えて本治療用化合物を1種以上の室温の液体脂質の中に溶解して、溶液を生成する。本方法の他の態様では、工程(a)は、本明細書に開示されている治療用化合物を、本治療用化合物を脂質に溶解することができる条件下で、1種以上の室温の液体脂質および/または1種以上の安定化剤および/または1種以上の中和剤と接触させる工程を含む。
【0011】
本明細書の他の態様は、心血管疾患を有する個体の治療方法であって、それを必要としている個体に本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を投与し、この投与により心血管疾患に関連する症状を軽減し、それにより個体を治療する工程を含む方法を開示する。
【0012】
本明細書の他の態様は、心血管疾患の治療のための薬の製造における本明細書に開示されている固溶体医薬組成物の使用を開示する。
【0013】
本明細書の他の態様は、心血管疾患の治療に使用される本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を開示する。
【0014】
本明細書の他の態様は、心血管疾患の治療のための本明細書に開示されている固溶体医薬組成物の使用を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】イブプロフェンを含む本明細書に開示されている固溶体組成物の示差走査熱量測定(DSC)グラフを示す。
図1Aは、75℃~78℃の融点範囲を示すイブプロフェン単体のDSCグラフであり、
図1Bは、41℃~45℃の融点範囲を示すGELUCIE(登録商標)43/01単体のDSCグラフであり、
図1Cは、32℃~38℃および41℃~45℃の融点範囲を示すGELUCIE(登録商標)43/01、MAISINE(登録商標)35-1およびPEG400を含む溶媒のDSCグラフであり、
図1Dは、32℃~44℃の融点範囲を示すイブプロフェン組成物LA 35-1のDSCグラフであり、
図1Eは、32℃~43℃の融点範囲を示すイブプロフェン組成物LA 35-2のDSCグラフであり、
図1Fは、32℃~42℃の融点範囲を示すイブプロフェン組成物LA 35-1のDSCグラフであり、
図1Gは、32℃~38℃の融点範囲を示すイブプロフェン組成物LA 35-1のDSCグラフであり、
図1Hは、32℃~42℃の融点範囲を示すイブプロフェン組成物LA 35-1のDSCグラフである。
【
図2】35℃~40℃の融点範囲を示すアルテメテル組成物LA 2-15-1のDSCグラフを示す。
【
図3】35℃~40℃の融点範囲を示すアスピリン組成物LA 3-86-3のDSCグラフを示す。
【
図4】34℃~39℃の融点範囲を示すダントロレン組成物LA 3-104-2のDSCグラフを示す。
【
図5】35℃~40℃の融点範囲を示すジクロフェナク組成物LA 3-103のDSCグラフを示す。
【
図6】34℃~39℃の融点範囲を示すフェノフィブラート組成物LA 2-19のDSCグラフを示す。
【
図7】34℃~40℃の融点範囲を示すリドカイン組成物LA 3-101-2のDSCグラフを示す。
【
図8】35℃~40℃の融点範囲を示すナブメトン組成物LA 3-105-1のDSCグラフを示す。
【
図9】30℃~39℃の融点範囲を示すナプロキセン組成物LA 1-23-5のDSCグラフを示す。
【
図10】32℃~40℃の融点範囲を示すサルブタモール組成物LA 1のDSCグラフを示す。
【
図11】34℃~43℃の融点範囲を示すサルメテロール組成物LA 1-23-7のDSCグラフを示す。
【
図12】32℃~43℃の融点範囲を示すシンバスタチン組成物LA 3-83-3のDSCグラフを示す。
【
図13】34℃~43℃の融点範囲を示すテルミサルタン組成物LA 1のDSCグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書は、多種多様な治療用化合物を製剤化するのに有用な固溶体組成物を開示する。固溶体組成物は、固溶体中の分子がランダムに並べられ、かつ規則正しく配列されていない溶媒材料(標準温度で固体であってもよい)および溶質のマトリックスを含む結晶性固体である。本明細書に開示されている固溶体医薬組成物は、脂質レベルをより効果的に正常化させるように、本明細書に開示されている治療用化合物を、細胞型、組織、器官または体の領域により効果的に送達するかそれらを標的とすることができる送達システムとして機能する。この調節により心血管疾患の治療が改善される。
【0017】
例えば、本明細書に開示されている医薬組成物により、本明細書に開示されている治療用化合物のマクロファージ内への送達を促進してもよい。マクロファージは、2つの基本的な経路の交差部分に存在し、免疫系および脂質代謝における主細胞である。免疫系に関しては、大部分の病原体が、マクロファージにより認識され飲み込まれる脂質含有表面成分を有する。この選択的体内分布を達成する可能な機序の1つは、本明細書に開示されている医薬組成物をキロミクロンの活性を利用するように設計できる点にある。キロミクロンは、75nm~1,200nmの直径を有する比較的大きなリポタンパク質粒子である。トリグリセリド(85~92%)、リン脂質(6~12%)、コレステロール(1~3%)およびアポリポタンパク質(1~2%)からなるキロミクロンは、食物中の脂質を腸から体内のその他の場所に輸送する。キロミクロンは、脂肪およびコレステロールを血流の水性溶液中で移動できるようにするリポタンパク質の5つの主要なグループ(それ以外は、VLDL、IDL、低密度リポタンパク質(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)である)のうちの1つである。
【0018】
消化の間、脂肪酸およびコレステロールは、リパーゼを含む膵液の作用および胆汁塩による乳化により消化管内で処理されてミセルを生成する。これらのミセルにより、腸細胞として知られている小腸の吸収細胞による遊離脂肪酸としての脂質の吸収が可能になる。腸細胞内に入ると、トリグリセリドとコレステロールが集結して未成熟キロミクロンを構築する。未成熟キロミクロンは、主としてトリグリセリド(85%)からなり、若干のコレステロールおよびコレステリルエステルを含む。主なアポリポタンパク質成分は、アポリポタンパク質B-48(APOB48)である。これらの未成熟キロミクロンは、開口分泌により腸細胞から乳糜管(小腸の絨毛から始まるリンパ管)内に放出され、その後、左鎖骨下静脈と繋がった胸管で血流に分泌される。
【0019】
リンパ液および血液中を循環している間、キロミクロンは、HDLと成分を交換する。HDLは、アポリポタンパク質C-II(APOC2)およびアポリポタンパク質E(APOE)を未成熟キロミクロンに提供し、成熟キロミクロン(多くの場合、単に「キロミクロン」という)へと変換する。APOC2は、リポタンパク質リパーゼ(LPL)活性のための補因子である。トリグリセリドの蓄えが配布されると、キロミクロンはAPOC2をHDLに戻し(但し、APOEは保持する)、僅か30~50nmのキロミクロンレムナントとなる。APOB48およびAPOEは、エンドサイトーシス(飲食)およびリポタンパク質(VLDL、LDLおよびHDL)への分解のために、肝臓でキロミクロンレムナントを識別するのに重要である。これらのリポタンパク質は、例えば、肝細胞、脂肪細胞およびマクロファージなどのコンピテント細胞により処理および貯蔵される。従って、どんな理論にも縛られたくないが、本明細書に開示されている医薬組成物は、経口投与されると、消化管にある間に処理されてミセルになり、腸細胞により吸収され、未成熟キロミクロン内に集結し、肝臓により取り込まれるキロミクロンレムナントに結合したままになり、最終的に炎症を起こした組織中に存在するマクロファージ内に取り込まれる。
【0020】
別の例としては、本明細書に開示されている医薬組成物により、本明細書に開示されている治療用化合物の樹状細胞内への送達を促進してもよい。本明細書に開示されている医薬組成物の選択的体内分布を達成するための可能な機序の1つは、樹状細胞のエンドサイトーシス(飲食)/ファゴサイトーシス(貪食)活性を利用することにある。樹状細胞は、哺乳類の免疫系の一部をなす免疫細胞である。樹状細胞の主な機能は、抗原物質を処理し、その表面で免疫系の他の細胞にそれを提示することである。従って、樹状細胞は、生得免疫と適応免疫との間のメッセンジャーとして働く抗原提示細胞としての役割を担う。樹状細胞は、例えば、皮膚(ここには、ランゲルハンス細胞と呼ばれる特殊な樹状細胞型が存在する)ならびに鼻、肺、胃および腸の内面などの外部環境と接触する組織中に存在する。これらの細胞は、血中にも未成熟状態で存在する。樹状細胞は、活性化されるとリンパ節に移動し、そこでT細胞およびB細胞と相互作用して、適応免疫応答を開始および形成する。樹状細胞は、それらの環境監視および抗原提示プロセスの一部として脂質粒子を飲食および貪食することが知られている。どんな理論にも縛られたくないが、本明細書に開示されている医薬組成物は、局所もしくは吸入投与されると、鼻、肺、胃および腸の皮膚すなわち内面を貫通し、樹状細胞により飲食/貪食され、最終的に炎症を起こした組織中に存在するT細胞および/またはB細胞内に取り込まれることができる。
【0021】
本明細書に開示されている治療用化合物の標的送達に加えて、本明細書に開示されている固溶体医薬組成物は、使用される各種脂質の異なる融点温度を利用する。添加される脂質の種類および量を制御することにより、室温では実質的に固体であるが、例えば摂取された後などに体温に到達すると融解するように、本明細書に開示されている医薬組成物を調製することができる。得られる融解組成物は、上記のように、腸で容易に吸収され、キロミクロン内に集結し、最終的にマクロファージによって吸収されるか樹状細胞によって取り込まれるミセルを容易に形成する。
【0022】
本明細書の態様は、一つには、固溶体組成物を開示する。本明細書に開示されている固溶体組成物は一般に、薬学的に許容される組成物として投与される。本明細書で使用される「薬学的に許容される」という用語は、個体に投与した際に、有害反応、アレルギー反応または他の不都合もしくは望ましくない反応を生じないあらゆる分子的実体または組成物を指す。本明細書で使用される「薬学的に許容される組成物」という用語は、「医薬組成物」と同義であり、治療的に有効な濃度の有効成分、例えば、本明細書に開示されている任意の治療用化合物を意味する。本明細書に開示されている医薬組成物は、医学および獣医学用途にとって有用である。医薬組成物は、個体に単体で投与しても、他の追加の有効成分、薬剤、薬物またはホルモンと併用投与してもよい。
【0023】
本明細書に開示されている治療用化合物の薬力学的作用を左右するために、本固溶体組成物には3つの特徴が必要である。第1に、本固溶体組成物に使用される少なくとも1種の脂質は、炭素鎖長が12~24であり、従って腸細胞経路からの吸収に適した、少なくとも1種の脂肪酸で構成されていなければならない。このC12~C24長さに満たない脂肪酸は、脂質-薬物マトリックスを形成せず、従って、この薬物は、正常な吸収プロセスにより体に取り込まれる。このC12~C24長さを超える脂肪酸は、脂質-薬物マトリックスを形成するが、吸収されず、本固溶体組成物から浸出し、消化管から体外に排出されてしまう。
【0024】
第2に、本治療用化合物は、C12~C24脂質との固溶体マトリックスの形成を可能にする親油性をそれ自体が有していなければならない。以下に述べるように、この親油性は、本治療用化合物(脂溶性薬物製剤)に内在するものであってもよく、あるいはマトリックス中に、より広範囲の脂溶性薬物(遊離酸/遊離塩基薬物製剤、塩薬物製剤および組み合わせ薬物製剤)の使用を容易にする特定の添加剤を使用してもよい。
【0025】
第3に、本治療用化合物は、それ自体が、最終的に体内を循環する固溶体組成物の脂質アジュバント性によって接触される特定の細胞型の生物学的作用に影響を与えるものでなければならない。そのような構築物としては、キロミクロン、LDL粒子およびHDL粒子が挙げられる。接触される細胞型としては、マクロファージ、樹状細胞、脂肪細胞および癌細胞が挙げられる。また、高い表面脂質含有量を有する組織を優先的に標的にしてもよい。このような組織としては、神経組織および脳が挙げられる。
【0026】
本明細書は、一般的な4種類の固溶体組成物、すなわち脂溶性薬物製剤、遊離酸/遊離塩基薬物製剤、塩薬物製剤および組み合わせ薬物製剤を開示する。脂溶性薬物製剤を用いて製剤化される固溶体組成物は、本明細書に開示されている治療用化合物を固溶体組成物に製剤化するために、脂質成分のみを必要とする。理論に縛られたくはないが、脂溶性薬物は、典型的に加熱により脂質に溶解することができる。冷却すると、脂質成分および薬物は、脂質が薬物を包むように構築された脂質-薬物マトリックスを形成すると思われる。疎水性相互作用のみが存在するため、これらの脂質-薬物マトリックスには規則正しい配列が存在せず(すなわち、古典的な固形に結晶化されず)、固溶体組成物が得られる。
【0027】
一般に、約3.0以上のlogPを有する治療用化合物は、脂溶性薬物製剤において有用である。非限定的な例としては、アルテエーテル、アルテメテル、アルテミシニン、アーテスネートおよびジヒドロアルテミシニンなどのアルテミシニン、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クロフィブラート、フェノフィブラートおよびゲムフィブロジルなどのフィブラートならびにアトルバスタチン、フラバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンおよびシンバスタチンなどのスタチンが挙げられる。
【0028】
脂溶性薬物製剤は、界面活性剤を使用したり必要としたりしない。また、脂溶性薬物製剤は、非脂質系溶媒を使用したり必要としたりしない。
【0029】
遊離酸/遊離塩基薬物製剤を用いて製剤化される固溶体組成物は、本明細書に開示されている治療用化合物を固溶体組成物に製剤化するために、脂質成分に加えて安定化剤を必要とする。遊離酸または遊離塩基を有する治療用化合物は、加熱により脂質に溶解することができるが、室温に冷却すると結晶化して、古典的な固体組成物を形成する。これらの混合物の熱力学的性質が低エネルギー固相を好むため、このようなことが生じる。固溶体組成物を生成するために、安定化剤を添加して薬物を安定化させ、かつ冷却時のその古典的な固相への転移を防止しなければならない。理論に縛られたくはないが、安定化剤が脂質-薬物マトリックスをそれらの形成時に被覆すると考えられる。この被覆がマトリックス間の相互作用を妨害し、それにより固相組成物の結晶性マトリックスを形成するのに必要な配列を防止する。よって、固相への転移は起こらず、固溶体組成物が形成される。従って、安定化剤は、古典的な固相への熱力学的転移に対する障壁を提供するか、この転移をそれが起こらない程度まで引き延ばす化合物である。安定化剤の例としては、液体ポリエチレングリコール、イソソルビドジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(2-(2-エトキシエトキシ)エタノール)、一水和物アルコールが挙げられる。
【0030】
一般に、約2.2~約3.0のlogPを有する治療用化合物は、遊離酸/遊離塩基薬物製剤において有用である。非限定的な例としては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)およびアミノ安息香酸エステルが挙げられる。NSAIDとしては、サリチル酸誘導体NSAID、p-アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸(enolic acid)(オキシカム)誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤が挙げられる。アミノ安息香酸エステルとしては、アミロカイン、ベンゾカイン、ブタカイン、ブタンベン、クロロプロカイン、ジメトカイン、リドカイン、メプリルカイン、メタブテタミン、メタブトキシカイン、オルトカイン、プリロカイン、プロポキシカイン、プロカイン(ノボカイン)、プロキシメタカイン、リソカイン(Risocaine)およびテトラカインが挙げられる。
【0031】
塩薬物製剤を用いて製剤化される固溶体組成物は、本明細書に開示されている治療用化合物を固溶体組成物に製剤化するために、脂質成分に加えて中和剤を必要とする。治療用化合物の塩は、加熱により脂質に溶解することができるが、室温に冷却すると結晶化して、古典的な固体組成物を形成する。これらの混合物の熱力学的性質が低エネルギー固相を好むため、このようなことが生じる。固溶体組成物を生成するために、中和剤を添加して治療用化合物の塩を中性にし、かつ冷却時のその古典的な固相への転移を防止しなければならない。理論に縛られたくはないが、中和剤により塩薬物中に存在する電荷を除去すると考えられる。この中和は、マトリックス間のイオン相互作用を妨害し、それにより固相組成物の結晶性マトリックスを形成するのに必要な配列を防止する。よって、固相への転移は起こらず、固溶体組成物が形成される。従って、中和剤は、古典的な固相への熱力学的転移に対する障壁を提供するか、この転移をそれが起こらない程度まで引き延ばす化合物である。
【0032】
中和剤としては、塩基-塩薬物のための脂肪酸および酸-塩薬物のためのトリエタノールアミンが挙げられる。中和の程度は、製剤に添加される中和剤の量によって決まる。完全な中和のために、1モル当量の中和剤を本製剤に添加する。部分的中和のために、1モル当量未満を添加する。部分的中和は、徐放製剤の製造に有利である。投与するとすぐに、当該薬物の一部が、体に直接利用可能な状態になり(即時の生物学的利用能)、別の部分の生物学的利用能は、中和剤によって中和されるまで遅延させる。また、中和剤は、過剰な量(すなわち1モル当量超)で添加してもよい。塩薬物の中和に加えて、過剰な量の中和剤により、本固溶体組成物の融点を調整することもできる。
【0033】
一般に、約2.2以下のlogPを有する治療用化合物は、塩薬物製剤において有用である。非限定的な例としては、アズモレンおよびダントロレンなどのリアノジン受容体拮抗薬ならびにアジルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタンなどのアンジオテンシンII受容体拮抗薬が挙げられる。
【0034】
固溶体組成物は、脂溶性薬物、遊離酸/遊離塩基薬物および塩薬物の異なる組み合わせを含んでもよい。使用される薬物に応じて、そのような製剤は、脂質成分および薬物に加えて、安定化剤、中和剤またはその両方も含むことができる。
【0035】
本明細書の態様は、一つには、治療用化合物を開示する。治療用化合物は、疾患の診断、治癒、緩和、治療または予防において薬理活性または他の直接効果を与える化合物あるいはヒトまたは動物の体の構造または任意の機能に影響を与える化合物である。本明細書に開示されている治療用化合物を、薬学的に許容される塩、溶媒和物または塩の溶媒和物、例えば塩酸塩の形態で使用してもよい。さらに、本明細書に開示されている治療用化合物を、ラセミ体または個々の鏡像異性体、例えばR-もしくはS-鏡像異性体として提供してもよい。従って、本明細書に開示されている治療用化合物は、治療用化合物のR-鏡像異性体のみ、S-鏡像異性体のみまたはR-鏡像異性体およびS-鏡像異性体の両方の組み合わせを含んでいてもよい。本明細書に開示されている治療用化合物は、脂質レベルを正常化させる活性を有する。本明細書で使用される「脂質レベルを正常化させる」という用語は、脂質またはリポタンパク質のレベルを身体に有害な高レベルから正常レベルすなわち非有害レベルまで低下させるか、脂質またはリポタンパク質のレベルを個体に有利なレベルまで上昇させるか、その両方を行う活性を指す。例えば、脂質レベルを正常化させる活性を有する治療用化合物により、コレステロールおよび/またはLDLを身体に有害な高レベルから正常レベルすなわち非有害レベルに低下させるか、HDLを個体に有利なレベルに上昇させるか、その両方を行ってもよい。
【0036】
脂質およびリポタンパク質の異常は、一般集団によく起こるものであり、アテローム性動脈硬化症に対するそれらの影響による心血管疾患の修正可能なリスク因子とみなされている。研究から、より高レベルのLDL粒子により、健康問題および心血管疾患が促進されることが分かっているため、LDL粒子は、非公式に「悪玉コレステロール」粒子と呼ばれることが多い。これはHDL粒子とは対照的であり、より高いHDLレベルは、心血管の健康と相関しているため、HDL粒子は頻繁に、「善玉コレステロール」または「健康に良いコレステロール」粒子と呼ばれる。高レベルのHDLは、LDL中の過剰なトリグリセリドレベルを吸い込むもの(sink)として機能することにより、LDLレベルを低下させると考えられている。
【0037】
一実施形態では、本明細書に開示されている治療用化合物は、抗高脂血症活性を有する。本実施形態の一態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、VLDL、IDL、LDLまたはそれらの組み合わせのレベルを低下させることができる抗高脂血症活性を有する。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、VLDL、IDL、LDLまたはそれらの組み合わせのレベルを、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%低下させることができる抗高脂血症活性を有する。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、VLDL、IDL、LDLまたはそれらの組み合わせのレベルを、例えば、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%または約50%~約70%の範囲で低下させることができる抗高脂血症活性を有する。
【0038】
別の実施形態では、本明細書に開示されている治療用化合物は、HDLのレベルを上昇させる。本実施形態の一態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、HDLのレベルを、例えば、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも15%、少なくとも17%、少なくとも20%、少なくとも22%、少なくとも25%、少なくとも27%、少なくとも30%、少なくとも32%、少なくとも35%、少なくとも37%、少なくとも40%、少なくとも42%、少なくとも45%または少なくとも47%上昇させる。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、HDLのレベルを、例えば、約2%~約100%、約10%~約50%、約15%~約50%、約20%~約50%、約25%~約50%、約30%~約50%、約35%~約50%、約40%~約50%、約2%~約45%、約10%~約45%、約15%~約45%、約20%~約45%、約25%~約45%、約30%~約45%、約35%~約45%、約2%~約40%、約10%~約40%、約15%~約40%、約20%~約40%、約25%~約40%、約30%~約40%、約2%~約35%、約10%~約35%、約15%~約35%、約20%~約35%または約25%~約35%の範囲で上昇させる。
【0039】
コレステロールおよび/またはLDLのようなリポタンパク質が血管壁に溜まった状態になると、免疫応答が引き起こされ、その後に慢性炎症反応が生じることがある。そのような慢性炎症は、最終的に血管を脆弱化および損傷し、破裂させることがある。従って、脂質またはリポタンパク質のレベルの調節により、慢性炎症が軽減または除去される。プロスタグランジンは、局所炎症反応を媒介し、プロスタグランジン受容体に対する作用を介して全ての炎症機能に関与し、かつ走化性(マクロファージ、好中球および好酸球)、血管拡張および痛覚過敏などの炎症性シグナル伝達を媒介する。但し、PG媒介性炎症反応は、自己限定性(収束性)である。主要な収束因子は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPAR-γ)シグナル伝達の内因性作動薬である15dPGJ2と呼ばれるプロスタグランジンである。PPARγシグナル伝達経路は、1)マクロファージM1細胞のアポトーシスを誘導することによりTh1炎症誘発性サイトカインのレベルを低下させ、かつ2)単球のマクロファージM2細胞への分化を促進する。マクロファージM2細胞は、Th2抗炎症性サイトカインを産生および放出する。
【0040】
一実施形態では、本明細書に開示されている治療用化合物は、炎症誘発性プロスタグランジンのレベルを低下させることができる抗炎症活性を有する。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、感覚ニューロンから放出される炎症誘発性プロスタグランジンのレベルを、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%低下させることができる抗炎症活性を有する。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、感覚ニューロンから放出される炎症誘発性プロスタグランジンのレベルを、例えば、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%または約50%~約70%の範囲で低下させることができる抗炎症活性を有する。
【0041】
別の実施形態では、本明細書に開示されている治療用化合物は、15dPGJ2と実質的に同様の抗炎症活性を有する。本実施形態の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、15dPGJ2で観察される活性の、例えば、少なくとも5%、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%である抗炎症活性を有する。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、15dPGJ2で観察される活性の、例えば、約5%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約25%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約80%~約90%、約25%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約70%~約80%、約25%~約70%、約50%~約70%、約25%~約60%、約50%~約60%または約25%~約50%の範囲の抗炎症活性を有する。
【0042】
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)は、遺伝子の発現を制御する転写因子として機能する核内受容体タンパク質群である。全てのPPARが、レチノイドX受容体(RXR)とヘテロ二量体化し、かつペルオキシソーム増殖因子ホルモン応答配列(PPRE)と呼ばれる標的遺伝子のDNA上の特定の領域に結合することが知られている。PPARは、細胞の分化、成長および代謝(炭水化物、脂質、タンパク質)の制御ならびに高等生物の腫瘍形成において重要な役割を担っている。このファミリーは、3つのメンバーすなわちPPAR-α、PPAR-γおよびPPAR-δ(PPAR-βとしても知られている)を含む。PPAR-αは、肝臓、腎臓、心臓、筋肉、脂肪組織ならびに他の組織で発現される。PPAR-δは、多くの組織で発現されるが、脳、脂肪組織および皮膚で顕著に発現される。PPAR-γは、それぞれが異なる発現パターンを有する3種類の選択的にスプライスされた形態を含む。PPAR-γ1は、心臓、筋肉、結腸、腎臓、膵臓および脾臓を含む実質的に全ての組織で発現される。PPAR-γ2は、主に脂肪組織で発現される。PPAR-γ3は、マクロファージ、大腸および白色の脂肪組織で発現される。PPARの内因性リガンドとしては、遊離脂肪酸およびエイコサノイドが挙げられる。PPAR-γは、PGJ2(プロスタグランジン)により活性化され、PPAR-αは、ロイコトリエンB4によって活性化される。
【0043】
肝臓によるHDL粒子のデノボ産生は、PPARシグナル伝達経路の活性化により誘発されると考えられている。そのため、正常な脂質吸収機構による脂質処理に関与する細胞型(マクロファージ、脂肪細胞および肝細胞)を標的とするPPAR作動薬は、有利なHDLレベルを選択的に上昇させ、こうして、血液脂質プロファイルを正常化させ、かつ心血管疾患を治療する。
【0044】
一実施形態では、本明細書に開示されている治療用化合物は、全てのPPARシグナル伝達経路を刺激することができる抗炎症活性を有する。そのような治療用化合物としては、PPARパンアゴニスト(汎作動薬)が挙げられる。他の実施形態では、本明細書に開示されている治療用化合物は、PPARシグナル伝達経路の1つまたは2つを刺激することができる抗炎症活性を有する。そのような治療用化合物としては、選択的PPAR作動薬が挙げられる。
【0045】
別の実施形態では、本明細書に開示されている治療用化合物は、PPAR-αシグナル伝達経路を刺激することができる抗炎症活性を有する。本実施形態の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、PPAR-αシグナル伝達経路を、例えば、少なくとも5%、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%刺激する。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、PPAR-αシグナル伝達経路を、例えば、約5%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約25%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約80%~約90%、約25%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約70%~約80%、約25%~約70%、約50%~約70%、約25%~約60%、約50%~約60%または約25%~約50%の範囲で刺激する。
【0046】
別の実施形態では、本明細書に開示されている治療用化合物は、PPAR-δシグナル伝達経路を刺激することができる抗炎症活性を有する。本実施形態の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、PPAR-δシグナル伝達経路を、例えば、少なくとも5%、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%刺激する。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、PPAR-δシグナル伝達経路を、例えば、約5%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約25%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約80%~約90%、約25%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約70%~約80%、約25%~約70%、約50%~約70%、約25%~約60%、約50%~約60%または約25%~約50%の範囲で刺激する。
【0047】
別の実施形態では、本明細書に開示されている治療用化合物は、PPARγシグナル伝達経路を刺激することができる抗炎症活性を有する。本明細書に開示されている治療用化合物は、PPAR-γの全てのイソ型に結合可能であってもよく、あるいはPPAR-γ1、PPAR-γ2、PPAR-γ3またはそれらの2つの任意の組み合わせのいずれかに選択的に結合可能であってもよい。本実施形態の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、PPARγシグナル伝達経路を、例えば、少なくとも5%、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%刺激する。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、PPARγシグナル伝達経路を、例えば、約5%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約25%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約80%~約90%、約25%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約70%~約80%、約25%~約70%、約50%~約70%、約25%~約60%、約50%~約60%または約25%~約50%の範囲で刺激する。
【0048】
マクロファージは、活性化されて、独特な細胞表面分子を発現し、かつ別々の組のサイトカインおよびケモカインを分泌する異なる表現型に分極化される。古典的M1表現型は、例えば、インターロイキン-6(IL-6)、IL-12およびIL-23などのサイトカインによって促進される炎症誘発性Th1応答を支持し、他のM2表現型は一般に、IL-10によって促進される抗炎症プロセスを支持する。M2細胞は、刺激の種類ならびにその後の表面分子やサイトカインの発現に基づいて、M2a、M2bおよびM2cのサブセットにさらに分類することができる。
【0049】
さらに別の実施形態では、本明細書に開示されている治療用化合物は、M1からM2への収束性表現型変化を促進することができる抗炎症活性を有する。本実施形態の一態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、マクロファージM1細胞のアポトーシスを誘導することができる抗炎症活性を有する。本実施形態の別の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、マクロファージM2細胞の分化を促進することができる抗炎症活性を有する。本実施形態のさらに別の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、マクロファージM1細胞のアポトーシスを誘導し、かつマクロファージM2細胞の分化を促進することができる抗炎症活性を有する。
【0050】
さらに別の実施形態では、本明細書に開示されている治療用化合物は、Th1およびTh2サイトカインを調節することができる抗炎症活性を有する。本実施形態の一態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、Th1細胞から放出されるインターフェロン-γ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、IL-12またはそれらの組み合わせのレベルを低下させることができる抗炎症活性を有する。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、Th1細胞から放出されるIFN-γ、TNF-α、IL-12またはそれらの組み合わせのレベルを、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%低下させることができる抗炎症活性を有する。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、Th1細胞から放出されるIFN-γ、TNF-α、IL-12またはそれらの組み合わせのレベルを、例えば、約5%~約100%、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%または約50%~約70%の範囲で低下させることができる抗炎症活性を有する。
【0051】
本実施形態の別の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、Th2細胞から放出されるIL-10のレベルを上昇させることができる抗炎症活性を有する。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、Th2細胞から放出されるIL-10のレベルを、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%上昇させることができる抗炎症活性を有する。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、Th2細胞から放出されるIL-10のレベルを、例えば、約5%~約100%、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%または約50%~約70%の範囲で上昇させることができる抗炎症活性を有する。
【0052】
本実施形態の別の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、Th1細胞から放出されるIFN-γ、TNF-α、IL-12またはそれらの組み合わせのレベルを低下させることができ、かつTh2細胞から放出されるIL-10のレベルを上昇させることができる抗炎症活性を有する。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、Th1細胞から放出されるIFN-γ、TNF-α、IL-12またはそれらの組み合わせのレベルを、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%低下させることができ、かつTh2細胞から放出されるIL-10のレベルを、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%上昇させることができる抗炎症活性を有する。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、Th1細胞から放出されるIFN-γ、TNF-α、IL-12またはそれらの組み合わせのレベルを、例えば、約5%~約100%、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%または約50%~約70%の範囲で低下させることができ、かつTh2細胞から放出されるIL-10のレベルを、例えば、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%または約50%~約70%の範囲で上昇させることができる抗炎症活性を有する。
【0053】
別の実施形態では、本明細書に開示されている治療用化合物は、炎症誘発性分子のレベルを低下させることができる抗炎症活性を有する。本実施形態の一態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、物質P(SP)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、グルタミン酸塩またはそれらの組み合わせのレベルを低下させることができる抗炎症活性を有する。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、感覚ニューロンから放出されるSP、CGRP、グルタミン酸塩またはそれらの組み合わせのレベルを、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%低下させることができる抗炎症活性を有する。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、感覚ニューロンから放出されるSP、CGRP、グルタミン酸塩またはそれらの組み合わせのレベルを、例えば、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%または約50%~約70%の範囲で低下させることができる抗炎症活性を有する。
【0054】
本明細書に開示されている治療用化合物は、本化合物が有機溶媒に可溶であることを示すlogP値を有していてもよい。本明細書で使用される「logP値」という用語は、化合物の分配係数(P)の対数(底は10)を指し、親油性の尺度である。典型的には、Pは、平衡状態の2種類の不混和性溶媒の混合物の2つの相における非イオン化化合物の濃度比として定める。従って、logP=Log10(P)(式中、P=[不混和性溶媒1中の溶質]/[不混和性溶媒2中の溶質])である。有機相および水相に関しては、化合物のlogP値は、任意の所与の対の水性溶媒および有機溶媒において一定であり、その値は、例えば、振盪フラスコアッセイ、HPLCアッセイ、および2種類の不混和性電解質溶液間界面(ITIES)アッセイなどの、当業者に知られているいくつかの相分配法のうちの1つにより実験的に決定することができる。
【0055】
本実施形態の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、本化合物が有機溶媒に実質的に可溶であることを示すlogP値を有していてもよい。本実施形態の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、本化合物が、例えば、有機溶媒に少なくとも50%可溶である、有機溶媒に少なくとも60%可溶である、有機溶媒に少なくとも70%可溶である、有機溶媒に少なくとも80%可溶である、あるいは有機溶媒に少なくとも90%可溶であることを示すlogP値を有していてもよい。本実施形態の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、本化合物が、例えば、有機溶媒に約50%~約100%可溶である、有機溶媒に約60%~約100%可溶である、有機溶媒に約70%~約100%可溶である、有機溶媒に約80%~約100%可溶である、あるいは有機溶媒に約90%~約100%可溶であることを示すlogP値を有していてもよい。
【0056】
本実施形態の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、例えば、1.1超、1.2超、1.4超、1.6超、1.8超、2.0超、2.2超、2.4超、2.6超、2.8超、3.0超、3.2超、3.4超または3.6超のlogP値を有していてもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、例えば、1.8~4.0、2.0~4.0、2.1~4.0、2.2~4.0、2.3~4.0、2.4~4.0、2.5~4.0、2.6~4.0または2.8~4.0の範囲のlogP値を有していてもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、例えば、3.0~4.0または3.1~4.0、3.2~4.0、3.3~4.0、3.4~4.0、3.5~4.0または3.6~4.0の範囲のlogP値を有していてもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、例えば、2.0~2.5、2.0~2.7、2.0~3.0または2.2~2.5の範囲のlogP値を有していてもよい。
【0057】
本明細書に開示されている治療用化合物は、疎水性である極性表面積を有していてもよい。本明細書で使用される「極性表面積」という用語は、化合物の構造中の全極性原子の総表面積和を指し、疎水性の尺度である。典型的には、これらの極性原子としては、例えば、酸素、窒素およびそれらに結合した水素が挙げられる。本実施形態の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、例えば、8.0nm2未満、7.0nm2未満、6.0nm2未満、5.0nm2未満、4.0nm2未満または3.0nm2未満の極性表面積を有していてもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、例えば、3.0nm2~6.5nm2、3.0nm2~6.0nm2、3.0nm2~5.5nm2、3.0nm2~5.0nm2、3.0nm2~4.5nm2、3.5nm2~6.5nm2、3.5nm2~6.0nm2、3.5nm2~5.5nm2、3.5nm2~5.0nm2、3.5nm2~4.5nm2、4.0nm2~6.5nm2、4.0nm2~6.0nm2、4.0nm2~5.5nm2または4.0nm2~5.0nm2、4.0nm2~4.5nm2または4.5nm2~5.5nm2の範囲の極性表面積を有していてもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物は、例えば、2.0nm2~6.5nm2、2.0nm2~6.0nm2、2.0nm2~5.5nm2、2.0nm2~5.0nm2、2.0nm2~4.5nm2、2.5nm2~6.5nm2、2.5nm2~6.0nm2、2.5nm2~5.5nm2、2.5nm2~5.0nm2または2.5nm2~4.5nm2の範囲の極性表面積を有していてもよい。
【0058】
本明細書に開示されている治療用化合物は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であってもよい。NSAIDは、鎮痛性、抗炎症性および解熱性を有する治療用化合物の大きなグループである。NSAIDは、シクロオキシゲナーゼを阻害して炎症を抑える。NSAIDとしては、アセクロフェナク、アセメタシン、アクタリット、アルクロフェナク、アルミノプロフェン、アンフェナク、アロキシプリン、アミノフェナゾン、アントラフェニン、アスピリン、アザプロパゾン、ベノリラート、ベノキサプロフェン、ベンジダミン、ブチブフェン、セレコキシブ、クロルテノキサジン、サリチル酸コリン、クロメタシン、デクスケトプロフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エモルファゾン、エピリゾール、エトドラク、エトリコキシブ、フェクロブゾン、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロフェナク、フルルビプロフェン、グラフェニン、サリチル酸ヒドロキシエチル、イブプロフェン、インドメタシン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、ラクチルフェネチジン、ロキソプロフェン、ルミラコキシブ、メフェナム酸、メロキシカム、メタミゾール、メチアジン酸、モフェブタゾン、モフェゾラク、ナブメトン、ナプロキセン、ニフェナゾン、ニフルム酸、オキサメタシン、フェナセチン、ピペブゾン、プラノプロフェン、プロピフェナゾン、プロカゾン、プロチジン酸、ロフェコキシブ、サリチルアミド、サルサラート、スリンダク、スプロフェン、チアラミド、チノリジン、トルフェナム酸、バルデコキシブおよびゾメピラクが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
NSAIDを、それらの化学構造または作用機序に基づいて分類してもよい。NSAIDの非限定的な例としては、サリチル酸誘導体NSAID、p-アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤および選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤が挙げられる。NSAIDはプロフェンであってもよい。好適なサリチル酸誘導体NSAIDの例としては、アセチルサリチル酸(アスピリン)、ジフルニサルおよびサルサラートが挙げられるが、これらに限定されない。好適なp-アミノフェノール誘導体NSAIDの例としては、パラセタモールおよびフェナセチンが挙げられるが、これらに限定されない。好適なプロピオン酸誘導体NSAIDの例としては、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、デクスケトプロフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、プラノプロフェンおよびスプロフェンが挙げられるが、これらに限定されない。好適な酢酸誘導体NSAIDの例としては、アセクロフェナク、アセメタシン、アクタリット、アルクロフェナク、アンフェナク、クロメタシン、ジクロフェナク、エトドラク、フェルビナク、フェンクロフェナク、インドメタシン、ケトロラク、メチアジン酸、モフェゾラク、ナブメトン、ナプロキセン、オキサメタシン、スリンダクおよびゾメピラクが挙げられるが、これらに限定されない。好適なエノール酸(オキシカム)誘導体NSAIDの例としては、ドロキシカム、イソキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、ピロキシカムおよびテノキシカムが挙げられるが、これらに限定されない。好適なフェナム酸誘導体NSAIDの例としては、フルフェナミン酸、メフェナム酸、メクロフェナム酸およびトルフェナム酸が挙げられるが、これらに限定されない。好適な選択的COX-2阻害剤の例としては、セレコキシブ、エトリコキシブ、フィロコキシブ、ルミラコキシブ、メロキシカム、パラセタモール(アセトアミノフェン)、パレコキシブ、ロフェコキシブおよびバルデコキシブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
本明細書に開示されている治療用化合物は、PPARα作動薬であってもよい。好適なPPARα作動薬の例としては、ピリニクス酸(WY14643)、GW6471およびフィブラートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
本明細書に開示されている治療用化合物は、PPARβ/δ作動薬であってもよい。好適なPPARβ/δ作動薬の例としては、テトラデシルチオ酢酸(TTA)、GSK0660、GSK3787、GW501516(GW-501,516、GW1516、GSK-516およびEndurobol)、GW0742およびGW610742Xが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
本明細書に開示されている治療用化合物は、PPARγ作動薬であってもよい。好適なPPARγ作動薬の例としては、モナシン、チアゾリジンジオン(例えば、ロシグリタゾン、ピオグリタゾンおよびトログリタゾン)およびT0070907が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適なPPARγ作動薬は、Masson and Caumont-Bertrand, PPAR Agonist Compounds, Preparation and Uses、米国特許出願公開第2011/0195993号に記載されており、これらの開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
本明細書に開示されている治療用化合物は、グリタザール(Glitazar)(二重αおよびγPPAR作動薬)であってもよい。好適なグリタザールの例としては、アレグリタザール(Aleglitazar)、ムラグリタザール(Muraglitazar)、サログリタザール(Saroglitazar)およびテサグリタザール(Tesaglitazar)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
本明細書に開示されている治療用化合物は、免疫抑制剤であってもよい。好適な免疫抑制剤の例としては、アザチオプリンおよびミコフェノール酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
本明細書に開示されている治療用化合物は、尿酸排泄促進薬であってもよい。好適な尿酸排泄促進薬の例としては、ベンズブロマロンが挙げられるが、これに限定されない。
【0066】
本明細書に開示されている治療用化合物は、アグリコンであってもよい。好適なアグリコン薬物の例としては、ピセアタンノール、ピノシルビン、プテロスチルベンおよびレスベラトロールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
本明細書に開示されている治療用化合物は、カンナビジオールであってもよい。好適な尿酸排泄促進薬の例としては、植物性カンナビノイド、内在性カンナビノイドおよび合成カンナビノイドが挙げられるが、これらに限定されない。植物性カンナビノイドとしては、テトラヒドロカンナビノール(例えば、Δ-9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC、THC)およびΔ-8-テトラヒドロカンナビノール(Δ8-THC)など)、カンナビジオール、カンナビノール、カンナビゲロール、テトラヒドロカンナビバリン、カンナビジバリンおよびカンナビクロメンが挙げられる。内在性カンナビノイドとしては、アラキドノイルエタノールアミン(アナンダミドすなわちAEA)、2-アラキドノイルグリセリン(2-AG)、2-アラキドニルグリセリルエーテル(ノラジンエーテル(noladin ether))、N-アラキドノイル-ドーパミン(NADA)、ビロダミン(Virodhamine)(OAE)およびリゾホスファチジルイノシトール(LPI)が挙げられる。合成カンナビノイドとしては、ドロナビノール(マリノール)、ナビロン(商品名:セサメット(Cesamet))、サティベックス、リモナバン(SR141716)、JWH-018、JWH-073、CP-55940、ジメチルヘプチルピラン、HU-210、HU-331、SR144528、WIN55,212-2、JWH-133、レボナントラドール(商品名:Nantrodolum)およびAM-2201が挙げられる。
【0068】
本明細書に開示されている治療用化合物は、核内受容体結合剤であってもよい。好適な核内受容体結合剤の例としては、レチノイン酸受容体(RAR)結合剤、レチノイドX受容体(RXR)結合剤、肝臓X受容体(LXR)結合剤およびビタミンD結合剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
本明細書に開示されている治療用化合物は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬であってもよい。好適なアンジオテンシンII受容体拮抗薬の例としては、アジルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
本明細書に開示されている治療用化合物は、アセチルコリンエステラーゼ(ACE)阻害剤であってもよい。好適なACE阻害剤の例としては、スルフヒドリル含有剤、ジカルボン酸含有剤、ホスホン酸含有剤、カソキニン(Casokinin)およびラクトキニン(Lactokinin)が挙げられるが、これらに限定されない。スルフヒドリル含有剤としては、カプトプリル(商品名:カポテン(Capoten))およびゾフェノプリルが挙げられる。ジカルボン酸含有剤としては、エナラプリル(商品名:ヴァソテック(Vasotec)/レニテク(Renitec))、ラミプリル(商品名:アルテース(Altace)/Prilace/Ramace/Ramiwin/Triatec/トリテース(Tritace))、キナプリル(商品名:アキュプリル(Accupril))、ペリンドプリル(商品名:コバシル(Coversyl)/アセオン(Aceon))、リシノプリル(商品名:Listril/ロプリル(Lopril)/Novatec/プリニビル(Prinivil)/ゼストリル(Zestril))、ベナゼプリル(商品名:Lotensin)、イミダプリル(商品名:タナトリル(Tanatril))、ゾフェノプリル(商品名:Zofecard)およびトランドラプリル(商品名:マビック(Mavik)/Odrik/ゴプテン(Gopten))が挙げられる。ホスホン酸含有剤としては、フォシノプリル(商品名:Fositen/モノプリル(Monopril))が挙げられる。
【0071】
本明細書に開示されている治療用化合物は、ホスホジエステラーゼ阻害剤であってもよい。好適なホスホジエステラーゼ阻害剤の例としては、PDE1選択的阻害剤、PDE2選択的阻害剤、PDE3選択的阻害剤、PDE4選択的阻害剤、PDE5選択的阻害剤およびPDE10選択的阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。PDE1選択的阻害剤としては、ビンポセチンが挙げられる。PDE2選択的阻害剤としては、BAY60-7550(2-[(3,4-ジメトキシフェニル)メチル]-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-4-フェニルブチル]-5-メチル-イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4(1H)-オン)、EHNA(エリスロ-9-(2-ヒドロキシ-3-ノニル)アデニン)、オキシインドールおよびPDP(9-(6-フェニル-2-オキソヘキサ-3-イル)-2-(3,4-ジメトキシベンジル)-プリン-6-オン)が挙げられる。PDE3選択的阻害剤としてはアナグレリド、シロスタゾール、エノキシモン、イナムリノンおよびミルリノンが挙げられる。PDE4選択的阻害剤としては、ドロタベリン、イブジラスト、ルテオリン、メセンブリン、ピクラミラスト、ロフルミラストおよびロリプラムが挙げられる。PDE5選択的阻害剤としては、アバナフィル、ジピリダモール、イカリイン、4-メチルピペラジン、ピラゾロピリミジン-7-1、シルデナフィル、タダラフィル、ウデナフィルおよびバルデナフィルが挙げられる。PDE10選択的阻害剤としては、パパベリンが挙げられる。
【0072】
本明細書に開示されている治療用化合物は、フィブラートであってもよい。フィブラートは、脂質レベル修正特性を有する両親媒性カルボン酸のクラスである。これらの治療用化合物は、広範囲の代謝異常のために使用される。非限定的な使用の1つは、例えば、トリグリセリドおよびLDLのレベルを低下させ、かつHDLのレベルを上昇させることができる高脂血症薬である。好適なフィブラートの例としては、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クロフィブラート、ゲムフィブロジルおよびフェノフィブラートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
本明細書に開示されている治療用化合物は、スタチンであってもよい。スタチン(すなわちHMG-CoA還元酵素阻害剤)は、肝臓でのコレステロールの生成において中心的役割を担うHMG-CoA還元酵素を阻害することにより、LDLおよび/またはコレステロールレベルを低下させるために使用される治療用化合物のクラスである。コレステロール利用能の低下を補償するために、肝臓のLDL受容体の合成を増加させ、それによりLDL粒子の血液からのクリアランスを増加させる。好適なスタチンの例としては、アトルバスタチン、フラバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンおよびシンバスタチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
本明細書に開示されている治療用化合物は、トコトリエノールであってもよい。トコトリエノールは、別のクラスのHMG-CoA還元酵素阻害剤であり、肝臓のLDL受容体上方制御を誘発し、かつ/または血漿LDLレベルを低下させてLDLおよび/またはコレステロールレベルを低下させるために使用することができる。好適なトコトリエノールの例としては、γ-トコトリエノールおよびδ-トコトリエノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
本明細書に開示されている治療用化合物は、ナイアシンであってもよい。ナイアシンは、脂質レベル修正特性を有する治療用化合物のクラスである。例えば、ナイアシンは、肝臓のジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ2を選択的に阻害してLDLを低下させ、受容体HM74およびHM74AまたはGPR109Aを介してトリグリセリド合成およびVLDL分泌を減少させることができる。これらの治療用化合物は、広範囲の代謝異常のために使用される。非限定的な使用の1つは、脂肪組織中の脂肪の分解を阻害することができる高脂血症薬としての使用である。ナイアシンは脂肪の分解を阻害するため、血中の遊離脂肪酸の減少を引き起こし、その結果、肝臓による超低密度リポタンパク質(VLDL)およびコレステロールの分泌を減少させる。ナイアシンにより、VLDLレベルを低下させて、血中のHDLレベルを増加させてもよい。好適なナイアシンの例としては、アシピモックス、ナイアシン、ニコチンアミドおよびビタミンB3が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
本明細書に開示されている治療用化合物は、胆汁酸金属イオン封鎖剤であってもよい。胆汁酸金属イオン封鎖剤(樹脂としても知られている)は、消化管において胆汁の特定の成分と結合させるために使用される治療用化合物のクラスである。胆汁酸金属イオン封鎖剤は、胆汁酸を封鎖し、かつそれらの腸からの再吸収を防止して、胆汁酸の腸肝循環を中断させる。胆汁酸金属イオン封鎖剤は、腸内に放出されるコレステロール含有胆汁酸を封止し、かつそれらの腸からの再吸収を防止して、LDLおよびコレステロールを低下させるのに特に有効である。また、胆汁酸金属イオン封鎖剤により、HDLレベルを上昇させてもよい。好適な胆汁酸金属イオン封鎖剤の例としては、コレスチラミン、コレセベラムおよびコレスチポールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
本明細書に開示されている治療用化合物は、コレステロール吸収阻害剤であってもよい。コレステロール吸収阻害剤は、コレステロールの腸からの吸収を阻害する治療用化合物のクラスである。コレステロールの吸収の減少により、細胞の表面にあるLDL受容体が上方制御され、かつLDLコレステロールのこれらの細胞への取り込みが増加し、よって血漿中のLDLレベルが減少する。好適なコレステロール吸収阻害剤の例としては、エゼチミブ、フィトステロール、ステロールおよびスタノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
本明細書に開示されている治療用化合物は、脂肪吸収阻害剤であってもよい。脂肪吸収阻害剤は、脂肪の腸からの吸収を阻害する治療用化合物のクラスである。脂肪吸収の減少により、カロリー摂取量が減少する。一態様では、脂肪吸収阻害剤は、膵臓リパーゼ、すなわち腸内でトリグリセリドを分解する酵素を阻害する。好適な脂肪吸収阻害剤の例としては、オーリスタットが挙げられるが、これに限定されない。
【0079】
本明細書に開示されている治療用化合物は、交感神経作用アミンであってもよい。交感神経作用アミンは、カテコールアミン、エピネフリン(アドレナリン)、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)および/またはドーパミンなどの交感神経系の伝達物質の作用を模倣する治療用化合物のクラスである。交感神経作用アミンは、α-アドレナリン作動薬、β-アドレナリン作動薬、ドーパミン作動薬、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤およびCOMT阻害剤として作用してもよい。そのような治療用化合物は、とりわけ、心停止、低血圧を治療するか、さらには早産を遅らせるために使用される。好適な交感神経作用アミンの例としては、クレンブテロール、サルブタモール、エフェドリン、プソイドエフェドリン、メタンフェタミン、アンフェタミン、フェニレフリン、イソプロテレノール、ドブタミン、メチルフェニデート、リスデキサンフェタミン、カチン、カチノン、メトカチノン、コカイン、ベンジルピペラジン(BZP)、メチレンジオキシピロバレロン(MDPV)、4-メチルアミノレックス、ペモリン、フェンメトラジンおよびプロピルヘキセドリンが挙げられるが、これらに限定されない。α-アドレナリン作動薬としては、フェニレフリン、プロピルヘキセドリンおよびプソイドエフェドリンが挙げられる。β-アドレナリン作動薬としては、クレンブテロール、ドブタミン、エフェドリン、イソプロテレノールおよびサルブタモールが挙げられる。ドーパミン/ノルエピネフリン作動薬としては、コカイン(DA/NE再取り込み阻害剤)、リスデキサンフェタミン(5HT/DA/NE再取り込み阻害剤)、メチルフェニデート(DA/NE再取り込み阻害剤)およびメチレンジオキシピロバレロン(DA/NE再取り込み阻害剤)が挙げられる。神経伝達物質放出剤としては、アンフェタミン(DA/NE放出剤)、ベンジルピペラジン(DA/NE放出剤)、カチン(DA/NE放出剤)、カチノン(DA/NE放出剤)、メタンフェタミン(DA/NE放出剤)、メトカチノン(DA/NE放出剤)、4-メチルアミノレックス(DA/NE放出剤)、ペモリン、フェンメトラジン(DA/NE放出剤)およびフェネチルアミン(DA/NE放出剤)が挙げられる。
【0080】
本明細書に開示されている治療用化合物は、リアノジン受容体拮抗薬であってもよい。リアノジン受容体拮抗薬の例としては、アズモレンおよびダントロレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
本明細書に開示されている治療用化合物は、抗癌剤であってもよい。好適な抗癌剤の例としては、アルキル化剤、代謝拮抗剤、植物アルカロイドおよびテルペノイド、トポイソメラーゼ阻害剤および抗腫瘍性抗生物質が挙げられるが、これらに限定されない。アルキル化剤としては、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、イホスファミド、オキサリプラチンおよびメクロレタミンが挙げられる。代謝拮抗剤としては、アザチオプリンおよびメルカプトプリンが挙げられる。植物アルカロイドおよびテルペノイドとしては、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビンおよびビンデシンなどのビンカアルカロイド、エトポシドおよびテニポシドなどのポドフィロトキシン、およびドセタキセルおよびオルタタキセルなどのタキサンが挙げられる。トポイソメラーゼ阻害剤としては、カンプトテシン、例えば、エキサテカン、イリノテカン、ルルトテカン、トポテカン、BNP1350、CKD602、DB67(AR67)、およびST1481などのI型トポイソメラーゼ阻害剤ならびにエピポドフィロトキシン、例えば、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシドおよびテニポシドなどのII型阻害剤が挙げられる。抗腫瘍性抗生物質としては、アクチノマイシンDなどのアクチノマイシン、バシトラシン、コリスチン(ポリミキシンE)およびポリミキシンB、ミトキサントロンおよびピクサントロンなどのアントラセンジオン、ならびに、ブレオマイシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン、プリカマイシンおよびバルルビシンなどのアントラサイクリンが挙げられる。
【0082】
本明細書に開示されている治療用化合物は、メトホルミン、クルクミン、グリチルレチン酸または6-ショウガオールであってもよい。
【0083】
本明細書に開示されている治療用化合物は、抗生物質であってもよい。好適な交感神経作用アミンの例としては、イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミドおよびエタンブトールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
本明細書に開示されている治療用化合物は、抗蠕虫薬であってもよい。好適な抗蠕虫薬の例としては、アバメクチン、モネパンテルなどのアミノアセトニトリル、ベンズイミダゾール、ジエチルカルバマジン、イベルメクチン、レバミゾール、ニクロサミド、エモデプシドなどのオクタデプシペプチド、ホスホン酸(メトリホナート)、プラジカンテル、デルクアンテルなどのスピロインドールおよびスラミン、パモ酸ピランテルが挙げられるが、これらに限定されない。ベンズイミダゾールとしては、アルベンダゾール、フェンベンダゾール、フルベンダゾール、メベンダゾール、チアベンダゾールおよびトリクラベンダゾールが挙げられる。
【0085】
本明細書に開示されている治療用化合物は、抗マラリア薬であってもよい。好適な抗マラリア薬の例としては、アモジアキン、アルテミシニン、アトバコン、クロロキン、クリンダマイシン、ドキシサイクリン、ハロファントリン、メフロキン、プリマキン、プログアニル、ピリメタミン、キニーネおよびキニマックスやキニジンなどの関連薬剤、ルフィガロール(Rufigallol)、ならびにスルファドキシンやスルファメトキシピリダジンなどのスルホンアミドが挙げられるが、これらに限定されない。アルテミシニンとしては、アルテエーテル、アルテメテル、アルテミシニン、アーテスネートおよびジヒドロアルテミシニンが挙げられる。
【0086】
本明細書に開示されている治療用化合物は、高脂血症薬であってもよい。いくつかのクラスの高脂血症薬(脂質低下薬としても知られている)が存在する。これらの薬は、コレステロールプロファイルおよび有害作用の両方に対するそれらの影響において異なり得る。例えば、低密度リポタンパク質(LDL)を低下させるものもあれば、高密度リポタンパク質(HDL)を優先的に上昇させるものもある。臨床的に、薬剤の選択は、個体のコレステロールプロファイル、個体の心血管リスクおよび/または個体の肝臓および腎臓機能によって決まる。好適な高脂血症薬の例としては、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、ACE阻害剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、フィブラート、スタチン、トコトリエノール、ナイアシン、胆汁酸金属イオン封鎖剤(樹脂)、コレステロール吸収阻害剤、膵臓リパーゼ阻害剤および交感神経作用アミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
本明細書に開示されている治療用化合物は、治療用化合物のエステルであってもよい。治療用化合物のエステルは、エステル修飾をしていない同治療用化合物に対してlogP値を上昇させる。本治療用化合物中に存在する、例えばカルボン酸もしくはヒドロキシル官能基により、エステル基を治療用化合物に結合させてもよい。治療用化合物のエステルは、高い疎水性を有していてもよく、従って、少ない体積の本明細書に開示されている溶媒に溶解させることができる。場合によっては、治療用化合物のエステルを、本明細書に開示されているアジュバントと直接組み合わせ、それにより溶媒の必要性をなくしてもよい。治療用化合物のエステルは、同治療用化合物の非エステル化型が、エステル化しなければ本明細書に開示されている溶媒に混和しない状況において、本明細書に開示されている医薬組成物の調製を可能にすることができる。治療用化合物のエステルは、本化合物が本明細書に開示されている脂質と組み合わせられている限り、炎症誘発反応をより効果的に阻害するようになお送達することができる。一実施形態では、治療用化合物のエチルエステルを形成するために、本治療用化合物をエチルエステルと反応させてもよい。
【0088】
本明細書に開示されている固溶体医薬組成物は、個体への通例の投与を可能にする十分な量で治療用化合物を含んでいてもよい。本実施形態の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、例えば、少なくとも5mg、少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも30mg、少なくとも35mg、少なくとも40mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも55mg、少なくとも60mg、少なくとも65mg、少なくとも70mg、少なくとも75mg、少なくとも80mg、少なくとも85mg、少なくとも90mg、少なくとも95mgまたは少なくとも100mgの量で治療用化合物を含んでいてもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、例えば、少なくとも5mg、少なくとも10mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも50mg、少なくとも75mg、少なくとも100mg、少なくとも200mg、少なくとも300mg、少なくとも400mg、少なくとも500mg、少なくとも600mg、少なくとも700mg、少なくとも800mg、少なくとも900mg、少なくとも1,000mg、少なくとも1,100mg、少なくとも1,200mg、少なくとも1,300mg、少なくとも1,400mgまたは少なくとも1,500mgの量で治療用化合物を含んでいてもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、例えば、約5mg~約100mg、約10mg~約100mg、約50mg~約150mg、約100mg~約250mg、約150mg~約350mg、約250mg~約500mg、約350mg~約600mg、約500mg~約750mg、約600mg~約900mg、約750mg~約1,000mg、約850mg~約1,200mgまたは約1,000mg~約1,500mgの量で治療用化合物を含んでいてもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、例えば、約10mg~約250mg、約10mg~約500mg、約10mg~約750mg、約10mg~約1,000mg、約10mg~約1,500mg、約50mg~約250mg、約50mg~約500mg、約50mg~約750mg、約50mg~約1,000mg、約50mg~約1,500mg、約100mg~約250mg、約100mg~約500mg、約100mg~約750mg、約100mg~約1,000mg、約100mg~約1,500mg、約200mg~約500mg、約200mg~約750mg、約200mg~約1,000mg、約200mg~約1,500mg、約5mg~約1,500mg、約5mg~約1,000mgまたは約5mg~約250mgの量で治療用化合物を含んでいてもよい。
【0089】
本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、例えば、約90重量%未満、約80重量%未満、約70重量%未満、約65重量%未満、約60重量%未満、約55重量%未満、約50重量%未満、約45重量%未満、約40重量%未満、約35重量%未満、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満または約1重量%未満の量で治療用化合物を含んでいてもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、例えば、約1重量%~90重量%、約1重量%~80重量%、約1重量%~75重量%、約1重量%~70重量%、約1重量%~65重量%、約1重量%~60重量%、約1重量%~55重量%、約1重量%~50重量%、約1重量%~45重量%、約1重量%~40重量%、約1重量%~35重量%、約1重量%~30重量%、約1重量%~25重量%、約1重量%~20重量%、約1重量%~15重量%、約1重量%~10重量%、約1重量%~5重量%、約2重量%~50重量%、約2重量%~40重量%、約2重量%~30重量%、約2重量%~20重量%、約2重量%~10重量%、約4重量%~50重量%、約4重量%~40重量%、約4重量%~30重量%、約4重量%~20重量%、約4重量%~10重量%、約6重量%~50重量%、約6重量%~40重量%、約6重量%~30重量%、約6重量%~20重量%、約6重量%~10重量%、約8重量%~50重量%、約8重量%~40重量%、約8重量%~30重量%、約8重量%~20重量%、約8重量%~15重量%または約8重量%~12重量%の量で治療用化合物を含んでいてもよい。
【0090】
本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、例えば、約0.1重量%~約45重量%、約0.1重量%~約40重量%、約0.1重量%~約35重量%、約0.1重量%~約30重量%、約0.1重量%~約25重量%、約0.1重量%~約20重量%、約0.1重量%~約15重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、約1重量%~約45重量%、約1重量%~約40重量%、約1重量%~約35重量%、約1重量%~約30重量%、約1重量%~約25重量%、約1重量%~約20重量%、約1重量%~約15重量%、約1重量%~約10重量%、約1重量%~約5重量%、約5重量%~約45重量%、約5重量%~約40重量%、約5重量%~約35重量%、約5重量%~約30重量%、約5重量%~約25重量%、約5重量%~約20重量%、約5重量%~約15重量%、約5重量%~約10重量%、約10重量%~約45重量%、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約35重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約15重量%、約15重量%~約45重量%、約15重量%~約40重量%、約15重量%~約35重量%、約15重量%~約30重量%、約15重量%~約25重量%、約15重量%~約20重量%、約20重量%~約45重量%、約20重量%~約40重量%、約20重量%~約35重量%、約20重量%~約30重量%、約20重量%~約25重量%、約25重量%~約45重量%、約25重量%~約40重量%、約25重量%~約35重量%または約25重量%~約30重量%の量で治療用化合物を含んでいてもよい。
【0091】
本明細書に開示されている治療用化合物の本明細書に開示されている医薬組成物中の最終濃度は、任意の所望の濃度であってもよい。本実施形態の一態様では、治療用化合物の医薬組成物中の最終濃度は、治療的有効量であってもよい。本実施形態の他の態様では、治療用化合物の医薬組成物中の最終濃度は、例えば、少なくとも0.00001mg/mL、少なくとも0.0001mg/mL、少なくとも0.001mg/mL、少なくとも0.01mg/mL、少なくとも0.1mg/mL、少なくとも1mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも25mg/mL、少なくとも50mg/mL、少なくとも100mg/mL、少なくとも200mg/mL、少なくとも500mg/mL、少なくとも700mg/mL、少なくとも1,000mg/mLまたは少なくとも1,200mg/mLであってもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物の当該溶液中の濃度は、例えば、最大で1,000mg/mL、最大で1,100mg/mL、最大で1,200mg/mL、最大で1,300mg/mL、最大で1,400mg/mL、最大で1,500mg/mL、最大で2,000mg/mL、最大で2,000mg/mLまたは最大で3,000mg/mLであってもよい。本実施形態の他の態様では、治療用化合物の医薬組成物中の最終濃度は、例えば、約0.00001mg/mL~約3,000mg/mL、約0.0001mg/mL~約3,000mg/mL、約0.01mg/mL~約3,000mg/mL、約0.1mg/mL~約3,000mg/mL、約1mg/mL~約3,000mg/mL、約250mg/mL~約3,000mg/mL、約500mg/mL~約3,000mg/mL、約750mg/mL~約3,000mg/mL、約1,000mg/mL~約3,000mg/mL、約100mg/mL~約2,000mg/mL、約250mg/mL~約2,000mg/mL、約500mg/mL~約2,000mg/mL、約750mg/mL~約2,000mg/mL、約1,000mg/mL~約2,000mg/mL、約100mg/mL~約1,500mg/mL、約250mg/mL~約1,500mg/mL、約500mg/mL~約1,500mg/mL、約750mg/mL~約1,500mg/mL、約1,000mg/mL~約1,500mg/mL、約100mg/mL~約1,200mg/mL、約250mg/mL~約1,200mg/mL、約500mg/mL~約1,200mg/mL、約750mg/mL~約1,200mg/mL、約1,000mg/mL~約1,200mg/mL、約100mg/mL~約1,000mg/mL、約250mg/mL~約1,000mg/mL、約500mg/mL~約1,000mg/mL、約750mg/mL~約1,000mg/mL、約100mg/mL~約750mg/mL、約250mg/mL~約750mg/mL、約500mg/mL~約750mg/mL、約100mg/mL~約500mg/mL、約250mg/mL~約500mg/mL、約0.00001mg/mL~約0.0001mg/mL、約0.00001mg/mL~約0.001mg/mL、約0.00001mg/mL~約0.01mg/mL、約0.00001mg/mL~約0.1mg/mL、約0.00001mg/mL~約1mg/mL、約0.001mg/mL~約0.01mg/mL、約0.001mg/mL~約0.1mg/mL、約0.001mg/mL~約1mg/mL、約0.001mg/mL~約10mg/mLまたは約0.001mg/mL~約100mg/mLの範囲であってもよい。
【0092】
本明細書の態様は、一つには、1種以上の脂質を開示する。脂質は、疎水性もしくは両親媒性小分子として広く定めてもよい。脂質の中にはその両親媒性により、水性環境において小胞、リポソームまたは膜などの構造体を形成できるものもある。脂質の非限定的な例としては、脂肪酸、グリセロ脂質、リン脂質、スフィンゴ脂質、ステロール脂質、プレノール脂質、糖脂質およびポリケチドが挙げられる。
【0093】
本明細書に開示されている医薬組成物において有用な脂質は、薬学的に許容される脂肪酸であってもよい。脂肪酸は、飽和もしくは不飽和のいずれであってもよい長い非分岐鎖状炭化水素鎖を有するカルボン酸を含む。そのような配置により、脂肪酸に極性の親水性末端および水に不溶な非極性の疎水性末端が与えられる。大部分の天然に生じる脂肪酸は、偶数の炭素原子数、典型的には4~24個の炭素からなる炭化水素鎖を有し、酸素、ハロゲン、窒素および硫黄を含む官能基に結合している場合もある。合成すなわち非天然の脂肪酸は、炭素数3~40の任意の数の炭素原子からなる炭化水素鎖を有し得る。二重結合が存在する場合、シスまたはトランス幾何異性のいずれかの可能性があり、それは分子の分子構造に著しく影響を与える。シス-二重結合は脂肪酸鎖の屈曲を引き起こし、影響が顕著な程、鎖内により多くの二重結合が存在する。大部分の天然に生じる脂肪酸はシス型立体配置であるが、トランス型が、天然および部分的に水素化された油脂中に存在することがある。脂肪酸の例としては、カプリル酸(8:0)、ペラルゴン酸(9:0)、カプリン酸(10:0)、ウンデシル酸(11:0)、ラウリン酸(12:0)、トリデシル酸(13:0)、ミリスチン酸(14:0)、ミリストレイン酸(14:1)、ペンタデシル酸(15:0)、パルミチン酸(16:0)、パルミトレイン酸(16:1)、サピエン酸(16:1)、マルガリン酸(17:0)、ステアリン酸(18:0)、オレイン酸(18:1)、エライジン酸(18:1)、バクセン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノエライジン酸(18:2)、α-リノレン酸(18:3)、γ-リノレン酸(18:3)、ステアリドン酸(18:4)、ノナデシル酸(19:0)、アラキジン酸(20:0)、エイコセン酸(20:1)、ジホモ-γ-リノレン酸(20:3)、ミード酸(20:3)、アラキドン酸(20:4)、エイコサペンタエン酸(20:5)、ヘンイコシル酸(21:0)、ベヘン酸(22:0)、エルカ酸(22:1)、ドコサヘキサエン酸(22:6)、トリコシル酸(23:0)、リグノセリン酸(24:0)、ネルボン酸(24:1)、ペンタコシル酸(25:0)、セロチン酸(26:0)、ヘプタコシル酸(27:0)、モンタン酸(28:0)、ノナコシル酸(Nonacosylic acid)(29:0)、メリシン酸(30:0)、ヘナトリアコンチル酸(31:0)、ラッセル酸(32:0)、プシリン酸(Psyllic acid)(33:0)、ゲダ酸(Geddic acid)(34:0)、セロプラスチン酸(Ceroplastic acid)(35:0)およびヘキサトリアコンチル酸(36:0)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
一実施形態では、脂質は、薬学的に許容される飽和または不飽和脂肪酸であってもよい。本実施形態の態様では、飽和または不飽和脂肪酸は、例えば、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも16個、少なくとも18個、少なくとも20個、少なくとも22個、少なくとも24個、少なくとも26個、少なくとも28個または少なくとも30個の炭素原子を含む。本実施形態の他の態様では、飽和または不飽和脂肪酸は、例えば、4~24個の炭素原子、6~24個の炭素原子、8~24個の炭素原子、10~24個の炭素原子、12~24個の炭素原子、14~24個の炭素原子または16~24個の炭素原子、4~22個の炭素原子、6~22個の炭素原子、8~22個の炭素原子、10~22個の炭素原子、12~22個の炭素原子、14~22個の炭素原子または16~22個の炭素原子、4~20個の炭素原子、6~20個の炭素原子、8~20個の炭素原子、10~20個の炭素原子、12~20個の炭素原子、14~20個の炭素原子または16~20個の炭素原子を含む。不飽和の場合、脂肪酸は、例えば、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上または6以上の二重結合を有していてもよい。
【0095】
本明細書に開示されている医薬組成物において有用な脂質は、薬学的に許容される固い脂肪であってもよい。「固体脂肪」「室温の固体脂質」または単に「脂肪」としても知られている固い脂肪としては、標準室温、例えば約20℃で固体のあらゆる脂肪酸が挙げられる。脂肪は、一般に有機溶媒に可溶であって一般に水に不溶な広範囲の化合物群からなる。薬学的に許容される固い脂肪の混合物の例としては、本明細書に開示されている1種以上のグリセロ脂質の混合物、本明細書に開示されている1種以上のグリコール脂肪酸エステルの混合物、本明細書に開示されている1種以上のポリエーテル脂肪酸エステルの混合物、本明細書に開示されている1種以上のグリセリドの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
本明細書に開示されている医薬組成物において有用な固い脂肪は、薬学的に許容されるグリセロ脂質であってもよい。グリセロ脂質は、主に一置換、二置換および三置換グリセリンからなる。グリセロ脂質の1つのグループは、グリセリドであり、ここでは、グリセリンの1つ、2つまたは3つ全てのヒドロキシル基がそれぞれ本明細書に開示されている脂肪酸でエステル化されて、モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドのそれぞれが生成される。これらの化合物では、グリセリンの各ヒドロキシル基が、同じ脂肪酸または異なる脂肪酸でエステル化されていてもよい。さらに、アセチル化モノグリセリド、アセチル化ジグリセリドおよびアセチル化トリグリセリドを生成するように、グリセリドがアセチル化されていてもよい。本実施形態の態様では、モノグリセリドは、C12~C24の炭素長さを有する飽和または不飽和脂肪酸を含んでいてもよい。本実施形態の他の態様では、ジグリセリドは、C12~C24の炭素長さを有する1つの飽和または不飽和脂肪酸あるいはそれぞれがC12~C24の炭素長さを有する2つの飽和または不飽和脂肪酸を含んでいてもよい。本実施形態のさらに他の態様では、トリグリセリドは、C12~C24の炭素長さを有する1つの飽和または不飽和脂肪酸、それぞれがC12~C24の炭素長さを有する2つの飽和または不飽和脂肪酸、あるいはそれぞれがC12~C24の炭素長さを有する3つの飽和または不飽和脂肪酸を含んでいてもよい。
【0097】
本実施形態の態様では、薬学的に許容される脂質の混合物としては、例えば、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約43℃、約43℃、約44℃、約45℃、約45℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃の融点を有するモノグリセリド、ジグリセリドおよび/またはトリグリセリドの混合物が挙げられる。本実施形態の態様では、薬学的に許容される脂質の混合物としては、例えば、約30℃~約44℃、約30℃~約45℃、約30℃~約46℃、約30℃~約47℃、約30℃~約48℃、約30℃~約49℃、約30℃~約50℃、約32℃~約44℃、約32℃~約45℃、約32℃~約46℃、約32℃~約47℃、約32℃~約48℃、約32℃~約49℃、約32℃~約50℃、約34℃~約44℃、約34℃~約45℃、約34℃~約46℃、約34℃~約47℃、約34℃~約48℃、約34℃~約49℃、約34℃~約50℃、約36℃~約44℃、約36℃~約45℃、約36℃~約46℃、約36℃~約47℃、約36℃~約48℃、約36℃~約49℃、約36℃~約50℃、約38℃~約44℃、約38℃~約45℃、約38℃~約46℃、約38℃~約47℃、約38℃~約48℃、約38℃~約49℃、約38℃~約50℃、約40℃~約44℃、約40℃~約45℃、約40℃~約46℃、約40℃~約47℃、約40℃~約48℃、約40℃~約49℃、約40℃~約50℃、約42℃~約44℃、約42℃~約45℃、約42℃~約46℃、約42℃~約47℃、約42℃~約48℃、約42℃~約49℃または約42℃~約50℃の融点を有するモノグリセリド、ジグリセリドおよび/またはトリグリセリドの混合物が挙げられる。
【0098】
本実施形態の他の態様では、薬学的に許容される脂質の混合物は、例えば、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約43℃、約43℃、約44℃、約45℃、約45℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃の融点を有するPEG脂肪酸エステルの混合物を含む。本実施形態の態様では、薬学的に許容される脂質の混合物は、例えば、約30℃~約44℃、約30℃~約45℃、約30℃~約46℃、約30℃~約47℃、約30℃~約48℃、約30℃~約49℃、約30℃~約50℃、約32℃~約44℃、約32℃~約45℃、約32℃~約46℃、約32℃~約47℃、約32℃~約48℃、約32℃~約49℃、約32℃~約50℃、約34℃~約44℃、約34℃~約45℃、約34℃~約46℃、約34℃~約47℃、約34℃~約48℃、約34℃~約49℃、約34℃~約50℃、約36℃~約44℃、約36℃~約45℃、約36℃~約46℃、約36℃~約47℃、約36℃~約48℃、約36℃~約49℃、約36℃~約50℃、約38℃~約44℃、約38℃~約45℃、約38℃~約46℃、約38℃~約47℃、約38℃~約48℃、約38℃~約49℃、約38℃~約50℃、約40℃~約44℃、約40℃~約45℃、約40℃~約46℃、約40℃~約47℃、約40℃~約48℃、約40℃~約49℃、約40℃~約50℃、約42℃~約44℃、約42℃~約45℃、約42℃~約46℃、約42℃~約47℃、約42℃~約48℃、約42℃~約49℃または約42℃~約50℃の融点を有するPEG脂肪酸エステルの混合物を含む。
【0099】
本実施形態の他の態様では、薬学的に許容される脂質の混合物としては、例えば、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約43℃、約43℃、約44℃、約45℃、約45℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃の融点を有する、モノグリセリド、ジグリセリドおよび/またはトリグリセリドとPEG脂肪酸エステルとの混合物が挙げられる。本実施形態の態様では、薬学的に許容される脂質の混合物としては、例えば、約30℃~約44℃、約30℃~約45℃、約30℃~約46℃、約30℃~約47℃、約30℃~約48℃、約30℃~約49℃、約30℃~約50℃、約32℃~約44℃、約32℃~約45℃、約32℃~約46℃、約32℃~約47℃、約32℃~約48℃、約32℃~約49℃、約32℃~約50℃、約34℃~約44℃、約34℃~約45℃、約34℃~約46℃、約34℃~約47℃、約34℃~約48℃、約34℃~約49℃、約34℃~約50℃、約36℃~約44℃、約36℃~約45℃、約36℃~約46℃、約36℃~約47℃、約36℃~約48℃、約36℃~約49℃、約36℃~約50℃、約38℃~約44℃、約38℃~約45℃、約38℃~約46℃、約38℃~約47℃、約38℃~約48℃、約38℃~約49℃、約38℃~約50℃、約40℃~約44℃、約40℃~約45℃、約40℃~約46℃、約40℃~約47℃、約40℃~約48℃、約40℃~約49℃、約40℃~約50℃、約42℃~約44℃、約42℃~約45℃、約42℃~約46℃、約42℃~約47℃、約42℃~約48℃、約42℃~約49℃または約42℃~約50℃の融点を有する、モノグリセリド、ジグリセリドおよび/またはトリグリセリドとPEG脂肪酸エステルとの混合物が挙げられる。
【0100】
本明細書に開示されている固溶体医薬組成物は、本明細書に開示されている固溶体組成物を形成するのに十分な量で薬学的に許容される室温の固体脂質(固い脂肪)を含んでいてもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、薬学的に許容される室温の固体脂質(固い脂肪)を、例えば、少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%または少なくとも99重量%の量で含んでいてもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、薬学的に許容される室温の固体脂質(固い脂肪)を、例えば、約30重量%~約99重量%、約35重量%~約99重量%、約40重量%~約99重量%、約45重量%~約99重量%、約50重量%~約99重量%、約30重量%~約98重量%、約35重量%~約98重量%、約40重量%~約98重量%、約45重量%~約98重量%、約50重量%~約98重量%、約30重量%~約95重量%、約35重量%~約95重量%、約40重量%~約95重量%、約45重量%~約95重量%または約50重量%~約95重量%の量で含んでいてもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、薬学的に許容される室温の固体脂質(固い脂肪)を、例えば、約70重量%~約97重量%、約75重量%~約97重量%、約80重量%~約97重量%、約85重量%~約97重量%、約88重量%~約97重量%、約89重量%~約97重量%、約90重量%~約97重量%、約75重量%~約96重量%、約80重量%~約96重量%、約85重量%~約96重量%、約88重量%~約96重量%、約89重量%~約96重量%、約90重量%~約96重量%、約75重量%~約93重量%、約80重量%~約93重量%、約85重量%~約93重量%、約88重量%~約93重量%、約89重量%~約93重量%または約90重量%~約93重量%の量で含んでいてもよい。
【0101】
市販されている薬学的に許容されるグリセロ脂質の混合物としては、カカオ脂、ステアリン酸PEG-6とパルミトステアリン酸エチレングリコールとステアリン酸PEG-32との混合物(TEFOSE(登録商標)1500、TEFOSE(登録商標)63)、トリセテアレス-4リン酸とパルミトステアリン酸エチレングリコールとパルミトステアリン酸ジエチレングリコールとの混合物(SEDEFOS(登録商標)75)、モノステアリン酸グリセリンとステアリン酸PEG-75との混合物(GELOT(登録商標))、セチルアルコールとエトキシ化脂肪アルコール(セテス-2-、ステアレス-20)との混合物(EMULCIRE(登録商標))、約33℃の融点を有する飽和C10~C18トリグリセリドの混合物(GELUCIRE(登録商標)33/01)、約39℃の融点を有する飽和C10~C18トリグリセリドの混合物(GELUCIRE(登録商標)39/01)、約43℃の融点を有する飽和C10~C18トリグリセリドの混合物(GELUCIRE(登録商標)43/01)、モノステアリン酸グリセリン40-55(I型)とジグリセリドとの混合物(GELEOL(登録商標)モノグリセリドおよびジグリセリド)、および中鎖トリグリセリドの混合物(LABRAFAC(登録商標)Lipophile WL 1349)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
本明細書に開示されている医薬組成物において有用な固い脂肪は、薬学的に許容されるグリコール脂肪酸エステルであってもよい。薬学的に許容されるグリコール脂肪酸エステルは、グリコールのモノエステル、グリコールのジエステルまたはグリコールのトリエステルであってもよい。グリコール脂肪酸エステルとしては、エチレングリコール脂肪酸エステル、ジエチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびジプロピレン脂肪酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。グリコール脂肪酸エステルの非限定的な例としては、例えば、カプリル酸エチレングリコール、ペラルゴン酸エチレングリコール、カプリン酸エチレングリコール、ウンデシル酸エチレングリコール、ラウリン酸エチレングリコール、トリデシル酸エチレングリコール、ミリスチン酸エチレングリコール、ミリストレイン酸エチレングリコール、ペンタデシル酸エチレングリコール、パルミチン酸エチレングリコール、パルミトレイン酸エチレングリコール、サピエン酸エチレングリコール、マルガリン酸エチレングリコール、ステアリン酸エチレングリコール、パルミトステアリン酸エチレングリコール、オレイン酸エチレングリコール、エライジン酸エチレングリコール、バクセン酸エチレングリコール、リノール酸エチレングリコール、リノエライジン酸エチレングリコール、α-リノレン酸エチレングリコール、γ-リノレン酸エチレングリコール、ステアリドン酸エチレングリコール、カプリルカプリン酸(capprylocaprate)エチレングリコール、ジカプリルカプリン酸エチレングリコール、カプリル酸ジエチレングリコール、ペラルゴン酸ジエチレングリコール、カプリン酸ジエチレングリコール、ウンデシル酸ジエチレングリコール、ラウリン酸ジエチレングリコール、トリデシル酸ジエチレングリコール、ミリスチン酸ジエチレングリコール、ミリストレイン酸ジエチレングリコール、ペンタデシル酸ジエチレングリコール、パルミチン酸ジエチレングリコール、パルミトレイン酸ジエチレングリコール、サピエン酸ジエチレングリコール、マルガリン酸ジエチレングリコール、ステアリン酸ジエチレングリコール、パルミトステアリン酸ジエチレングリコール、オレイン酸ジエチレングリコール、エライジン酸ジエチレングリコール、バクセン酸ジエチレングリコール、リノール酸ジエチレングリコール、リノエライジン酸ジエチレングリコール、α-リノレン酸ジエチレングリコール、γ-リノレン酸ジエチレングリコール、ステアリドン酸ジエチレングリコール、カプリルカプリン酸ジエチレングリコール、ジカプリルカプリン酸ジエチレングリコール、カプリル酸プロピレングリコール、ペラルゴン酸プロピレングリコール、カプリン酸プロピレングリコール、ウンデシル酸プロピレングリコール、ラウリン酸プロピレングリコール、トリデシル酸プロピレングリコール、ミリスチン酸プロピレングリコール、ミリストレイン酸プロピレングリコール、ペンタデシル酸プロピレングリコール、パルミチン酸プロピレングリコール、パルミトレイン酸プロピレングリコール、サピエン酸プロピレングリコール、マルガリン酸プロピレングリコール、ステアリン酸プロピレングリコール、パルミトステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸プロピレングリコール、エライジン酸プロピレングリコール、バクセン酸プロピレングリコール、リノール酸プロピレングリコール、リノエライジン酸プロピレングリコール、α-リノレン酸プロピレングリコール、γ-リノレン酸プロピレングリコール、ステアリドン酸プロピレングリコール、カプリルカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリルカプリン酸プロピレングリコール、カプリル酸ジプロピレングリコール、ペラルゴン酸ジプロピレングリコール、カプリン酸ジプロピレングリコール、ウンデシル酸ジプロピレングリコール、ラウリン酸ジプロピレングリコール、トリデシル酸ジプロピレングリコール、ミリスチン酸ジプロピレングリコール、ミリストレイン酸ジプロピレングリコール、ペンタデシル酸ジプロピレングリコール、パルミチン酸ジプロピレングリコール、パルミトレイン酸ジプロピレングリコール、サピエン酸ジプロピレングリコール、マルガリン酸ジプロピレングリコール、ステアリン酸ジプロピレングリコール、パルミトステアリン酸ジプロピレングリコール、オレイン酸ジプロピレングリコール、エライジン酸ジプロピレングリコール、バクセン酸ジプロピレングリコール、リノール酸ジプロピレングリコール、リノエライジン酸ジプロピレングリコール、α-リノレン酸ジプロピレングリコール、γ-リノレン酸ジプロピレングリコール、ステアリドン酸ジプロピレングリコール、カプリルカプリン酸ジプロピレングリコール、ジカプリルカプリン酸ジプロピレングリコールまたはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0103】
市販されている薬学的に許容されるグリコール脂肪酸エステルとしては、モノパルミトステアリン酸プロピレングリコール(MONOSTEOL(登録商標))、ジカプリルカプリン酸プロピレングリコール(LABRAFAC(登録商標)PG)、モノラウリン酸プロピレングリコール(I型)(LAUROGLYCOL(登録商標)FCC)、モノラウリン酸プロピレングリコール(II型)(LAUROGLYCOL(登録商標)90)、モノカプリル酸プロピレングリコール(I型)(CAPRYOL(登録商標)PGMC)およびモノカプリル酸プロピレングリコール(II型)(CAPRYOL(登録商標)90)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
本明細書に開示されている医薬組成物において有用な固い脂肪は、薬学的に許容されるポリエーテル脂肪酸エステルであってもよい。薬学的に許容されるポリエーテル脂肪酸エステルは、ポリエーテルのモノ脂肪酸エステル、ポリエーテルのジ脂肪酸エステルまたはポリエーテルのトリ脂肪酸エステルであってもよい。ポリエーテル脂肪酸エステルとしては、PEG脂肪酸エステル、PEGグリセリル脂肪酸、PEG脂肪酸エステルグリセリド、PPG脂肪酸エステル、PPGグリセリル脂肪酸およびPPG脂肪酸エステルグリセリドが挙げられるが、これらに限定されない。PEGまたはPPGは、例えば5~20,000の分子量であってもよい。ポリエーテル脂肪酸エステルの非限定的な例としては、例えば、カプリル酸PEG、ペラルゴン酸PEG、カプリン酸PEG、ウンデシル酸PEG、ラウリン酸PEG、トリデシル酸PEG、ミリスチン酸PEG、ミリストレイン酸PEG、ペンタデシル酸PEG、パルミチン酸PEG、パルミトレイン酸PEG、サピエン酸PEG、マルガリン酸PEG、ステアリン酸PEG、パルミトステアリン酸PEG、オレイン酸PEG、エライジン酸PEG、バクセン酸PEG、リノール酸PEG、リノエライジン酸PEG、α-リノレン酸PEG、γ-リノレン酸PEG、ステアリドン酸PEG、カプリルカプリン酸PEG、ジカプリルカプリン酸PEG、カプリル酸PEGグリセリル、ペラルゴン酸PEGグリセリル、カプリン酸PEGグリセリル、ウンデシル酸PEGグリセリル、ラウリン酸PEGグリセリル、トリデシル酸PEGグリセリル、ミリスチン酸PEGグリセリル、ミリストレイン酸PEGグリセリル、ペンタデシル酸PEGグリセリル、パルミチン酸PEGグリセリル、パルミトレイン酸PEGグリセリル、サピエン酸PEGグリセリル、マルガリン酸PEGグリセリル、ステアリン酸PEGグリセリル、パルミトステアリン酸PEGグリセリル、オレイン酸PEGグリセリル、エライジン酸PEGグリセリル、バクセン酸PEGグリセリル、リノール酸PEGグリセリル、リノエライジン酸PEGグリセリル、α-リノレン酸PEGグリセリル、γ-リノレン酸PEGグリセリル、ステアリドン酸PEGグリセリル、カプリルカプリン酸PEGグリセリル、ジカプリルカプリン酸PEGグリセリル、カプリロイルPEGグリセリド、ペラルゴノイルPEGグリセリド、カプロイルPEGグリセリド、ウンデシロイル(undecyloyl)PEGグリセリド、ラウロイルPEGグリセリド、トリデシロイル(tridecyloyl)PEGグリセリド、ミリストイルPEGグリセリド、ミリストロイル(myristoloyl)PEGグリセリド、ペンタデシロイル(pentadecycloyl)PEGグリセリド、パルミトイルPEGグリセリド、パルミトレオイルPEGグリセリド、サピエノイル(sapienoyl)PEGグリセリド、マルガロイルPEGグリセリド、ステアロイルPEGグリセリド、パルミトステアロイルPEGグリセリド、オレオイルPEGグリセリド、エライドイルPEGグリセリド、バクシノイル(vaccinoyl)PEGグリセリド、リノレオイルPEGグリセリド、リノエライドイルPEGグリセリド、α-リノレノイル(linolenoyl)PEGグリセリド、γ-リノレノイルPEGグリセリド、ステアリドノイルPEGグリセリド、カプリルカプロイル(capprylocaproyl)PEGグリセリド、ジカプリルカプロイルPEGグリセリド、カプリル酸PPG、ペラルゴン酸PPG、カプリン酸PPG、ウンデシル酸PPG、ラウリン酸PPG、トリデシル酸PPG、ミリスチン酸PPG、ミリストレイン酸PPG、ペンタデシル酸PPG、パルミチン酸PPG、パルミトレイン酸PPG、サピエン酸PPG、マルガリン酸PPG、ステアリン酸PPG、パルミトステアリン酸PPG、オレイン酸PPG、エライジン酸PPG、バクセン酸PPG、リノール酸PPG、リノエライジン酸PPG、α-リノレン酸PPG、γ-リノレン酸PPG、ステアリドン酸PPG、カプリルカプリン酸PPG、ジカプリルカプリン酸PPG、カプリル酸PPGグリセリル、ペラルゴン酸PPGグリセリル、カプリン酸PPGグリセリル、ウンデシル酸PPGグリセリル、ラウリン酸PPGグリセリル、トリデシル酸PPGグリセリル、ミリスチン酸PPGグリセリル、ミリストレイン酸PPGグリセリル、ペンタデシル酸PPGグリセリル、パルミチン酸PPGグリセリル、パルミトレイン酸PPGグリセリル、サピエン酸PPGグリセリル、マルガリン酸PPGグリセリル、ステアリン酸PPGグリセリル、パルミトステアリン酸PPGグリセリル、オレイン酸PPGグリセリル、エライジン酸PPGグリセリル、バクセン酸PPGグリセリル、リノール酸PPGグリセリル、リノエライジン酸PPGグリセリル、α-リノレン酸PPGグリセリル、γ-リノレン酸PPGグリセリル、ステアリドン酸PPGグリセリル、カプリルカプリン酸PPGグリセリル、ジカプリルカプリン酸PPGグリセリル、カプリロイルPPGグリセリド、ペラルゴノイルPPGグリセリド、カプロイルPPGグリセリド、ウンデシロイルPPGグリセリド、ラウロイルPPGグリセリド、トリデシロイルPPGグリセリド、ミリストイルPPGグリセリド、ミリストロイルPPGグリセリド、ペンタデシロイルPPGグリセリド、パルミトイルPPGグリセリド、パルミトレオイルPPGグリセリド、サピエノイルPPGグリセリド、マルガロイルPPGグリセリド、ステアロイルPPGグリセリド、パルミトステアロイルPPGグリセリド、オレオイルPPGグリセリド、エライドイルPPGグリセリド、バクシノイルPPGグリセリド、リノレオイルPPGグリセリド、リノエライドイルPPGグリセリド、α-リノレノイルPPGグリセリド、γ-リノレノイルPPGグリセリド、ステアリドノイルPPGグリセリド、カプリルカプロイルPPGグリセリド、ジカプリルカプロイルPPGグリセリドまたはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0105】
市販されている薬学的に許容されるポリエーテル脂肪酸エステルとしては、カプリルカプロイルマクロゴール-8グリセリド(LABRASOL(登録商標))、PEG-8ミツロウ(APIFIL(登録商標))、ラウロイルマクロゴール-32グリセリド(GELUCIRE44/14)、ステアロイルマクロゴール-32グリセリド(GELUCIRE50.13)、リノレオイルマクロゴール-6グリセリド(LABRAFIL(登録商標)M2125CS)、オレオイルマクロゴール-6グリセリド(LABRAFIL(登録商標)M1944CS)、およびラウロイルマクロゴール-6グリセリド(LABRAFIL(登録商標)M2130CS)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
本明細書に開示されている医薬組成物において有用な別の脂質は、薬学的に許容される室温の液体脂質であってもよい。「液体脂肪」としても知られている室温の液体脂質としては、例えば約20℃などの標準室温で液体である、あらゆる脂肪酸が挙げられる。室温の液体脂質は、一般に有機溶媒に可溶であって一般に水に不溶な広範囲の化合物群を含む。薬学的に許容される室温の液体脂質の混合物の例としては、本明細書に開示されている1種以上の脂肪酸の混合物、1種以上の部分的に加水分解された脂肪の混合物、および1種以上の部分的に水素化された脂肪の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
薬学的に許容される室温の液体脂質としては、薬学的に許容される部分的に水素化された脂肪が挙げられる。水素化プロセスにより水素原子を不飽和脂質に添加して、二重結合を除去し、それらを部分的または完全に飽和した脂質にする。部分的水素化は、酵素的なものではなく化学的なものであり、それらを完全に水素化する代わりにシス異性体の一部をトランス不飽和脂質に変換する。第1の反応工程では、1つの水素を添加して、それ以外の配位的に不飽和な炭素を触媒に結合させる。第2の工程では、水素を残りの炭素に付加し、飽和脂肪酸を生成する。第1の工程は可逆的であるため、水素は触媒に再吸着され、二重結合が再形成される。1つのみの水素が付加された中間体は二重結合を含まず、自由に回転することができる。従って、シスまたはトランスのいずれかとして二重結合を再形成することができ、そのうち、出発物質に関わらずトランスが好ましい。
【0108】
本明細書に開示されている固溶体医薬組成物は、本明細書に開示されている治療用化合物を溶解するのに十分な量で室温の液体脂質を含んでいてもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、室温の液体脂質を、例えば、約90重量%未満、約80重量%未満、約70重量%未満、約65重量%未満、約60重量%未満、約55重量%未満、約50重量%未満、約45重量%未満、約40重量%未満、約35重量%未満、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満または約1重量%未満の量で含んでいてもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、室温の液体脂質を、例えば、約1重量%~90重量%、約1重量%~80重量%、約1重量%~70重量%、約1重量%~60重量%、約1重量%~50重量%、約1重量%~40重量%、約1重量%~30重量%、約1重量%~20重量%、約1重量%~10重量%、約2重量%~50重量%、約2重量%~40重量%、約2重量%~30重量%、約2重量%~20重量%、約2重量%~10重量%、約4重量%~50重量%、約4重量%~40重量%、約4重量%~30重量%、約4重量%~20重量%、約4重量%~10重量%、約6重量%~50重量%、約6重量%~40重量%、約6重量%~30重量%、約6重量%~20重量%、約6重量%~10重量%、約8重量%~50重量%、約8重量%~40重量%、約8重量%~30重量%、約8重量%~20重量%、約8重量%~15重量%または約8重量%~12重量%の範囲の量で含んでいてもよい。
【0109】
薬学的に許容される室温の液体脂質の例としては、モノミリストレイン酸グリセリン、モノパルミトレイン酸グリセリン、モノサピエン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン、モノエライジン酸グリセリン、モノバクセン酸グリセリン、モノリノール酸グリセリン、モノリノエライジン酸グリセリン、モノリノレン酸グリセリン、モノステアリドン酸グリセリン、モノエイコセン酸グリセリン、モノミード酸(monomeadate)グリセリン、モノアラキドン酸グリセリン、モノエイコサペンタエン酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、モノドコサヘキサエン酸グリセリンおよびモノネルボン酸グリセリンなどのモノグリセリドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
市販されている薬学的に許容される室温の液体脂質としては、ジベヘン酸グリセリル(COMPRITOL(登録商標)888)、ベヘン酸グリセリン(COMPRITOL(登録商標)EATO)、ジパルミトステアリン酸グリセリン(Biogapress Vegetal BM297ATO)、ジステアリン酸グリセリン(I型)(PRECIROL(登録商標)ATO5)、およびモノリノール酸グリセリン(MAISINE(商標)35-1)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
本明細書の態様は、一つには、安定化剤を開示する。安定化剤は、本明細書に開示されている治療用化合物に存在する遊離酸または遊離塩基と相互作用してその電荷を遮蔽し、それにより治療用化合物/脂質マトリックス間のイオン相互作用を妨害し、固相組成物の結晶性マトリックスの形成に必要な配列を防止する化合物である。従って、安定化剤は、組成物の古典的な固相への熱力学的転移を防止するか、この転移をそれが生じない程度まで引き延ばす。安定化剤の例としては、液体グリコールポリマー、一価アルコール、イソソルビドジメチルエーテル、およびジエチレングリコールモノエチルエーテル(2-(2-エトキシエトキシ)エタノール)(TRANSCUTOL(登録商標))が挙げられる。
【0112】
本明細書に開示されている医薬組成物は、本明細書に開示されている治療用化合物中に存在する遊離酸または遊離塩基を安定化させるのに十分な量で安定化剤を含んでいてもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、安定化剤を、例えば、約40重量%未満、約35重量%未満、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約19重量%未満、約18重量%未満、約17重量%未満、約16重量%未満、約15重量%未満、約14重量%未満、約13重量%未満、約12重量%未満、約11重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満または約1%未満の量で含んでいてもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、安定化剤を、例えば、約1重量%~約5重量%、約1重量%~約7重量%、約1重量%~約10重量%、約1重量%~約12重量%、約1重量%~約15重量%、約1重量%~約18重量%、約1重量%~約20重量%、約2重量%~約5重量%、約2重量%~約7重量%、約2重量%~約10重量%、約2重量%~約12重量%、約2重量%~約15重量%、約2重量%~約18重量%、約2重量%~約20重量%、約3重量%~約5重量%、約3重量%~約7重量%、約3重量%~約10重量%、約3重量%~約12重量%、約3重量%~約15重量%、約3重量%~約18重量%、約3重量%~約20重量%、約4重量%~約5重量%、約4重量%~約7重量%、約4重量%~約10重量%、約4重量%~約12重量%、約4重量%~約15重量%、約4重量%~約18重量%、約4重量%~約20重量%、約5重量%~約7重量%、約5重量%~約10重量%、約5重量%~約12重量%、約5重量%~約15重量%、約5重量%~約18重量%、約5重量%~約20重量%、約6重量%~約7重量%、約6重量%~約10重量%、約6重量%~約12重量%、約6重量%~約15重量%、約6重量%~約18重量%、約6重量%~約20重量%、約7重量%~約10重量%、約7重量%~約12重量%、約7重量%~約15重量%、約7重量%~約18重量%、約7重量%~約20重量%、約8重量%~約10重量%、約8重量%~約12重量%、約8重量%~約15重量%、約8重量%~約18重量%、約8重量%~約20重量%、約9重量%~約10重量%、約9重量%~約12重量%、約9重量%~約15重量%、約9重量%~約18重量%、約9重量%~約20重量%、約10重量%~約12重量%、約10重量%~約15重量%、約10重量%~約18重量%または約10重量%~約20重量%の量で含んでいてもよい。
【0113】
本明細書に開示されている安定化剤は、溶質を実質的に溶解しない量で使用されるため、溶媒ではない。従って、本明細書に開示されている固溶体組成物中に使用される安定化剤の量では、本明細書に開示されている治療用化合物の85%以下の溶解が生じる。本実施形態の態様では、本明細書に開示されている固溶体組成物中に使用される安定化剤の量では、例えば、本明細書に開示されている治療用化合物の80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または5%以下の溶解が生じる。
【0114】
一実施形態では、グリコールポリマーは、薬学的に許容されるPEGポリマーを含んでもよい。PEGポリマーは、ポリエチレンオキシド(PEO)ポリマーまたはポリオキシエチレン(POE)ポリマーとしても知られており、エチレンオキシドの重合により調製され、100g/モル~10,000,000g/モルの広範囲の分子量で市販されている。低分子量のPEGポリマーは、液体または低融点固体であり、高分子量のPEGポリマーは固体である。本実施形態の一態様では、安定化剤として使用されるPEGポリマーは、液体PEGポリマーである。本実施形態の態様では、PEGポリマーは、例えば、100g/モル以下、200g/モル以下、300g/モル以下、400g/モル以下、500g/モル以下、600g/モル以下、700g/モル以下、800g/モル以下、900g/モル以下または1000g/モル以下の分子量を有する。
【0115】
PEGポリマーとしては、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG700、PEG800、PEG900、PEG1000、PEG1100、PEG1200、PEG1300、PEG1400、PEG1500、PEG1600、PEG1700、PEG1800、PEG1900、PEG2000、PEG2100、PEG2200、PEG2300、PEG2400、PEG2500、PEG2600、PEG2700、PEG2800、PEG2900、PEG3000、PEG3250、PEG3350、PEG3500、PEG3750、PEG4000、PEG4250、PEG4500、PEG4750、PEG5000、PEG5500、PEG6000、PEG6500、PEG7000、PEG7500、PEG8000、PEG8500、PEG9000、PEG9500、PEG10,000、PEG11,000、PEG12,000、PEG13,000、PEG14,000、PEG15,000、PEG16,000、PEG17,000、PEG18,000、PEG19,000またはPEG20,000が挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
別の実施形態では、グリコールポリマーは、薬学的に許容されるポリプロピレングリコール(PPG)ポリマーを含んでもよい。PPGポリマーは、ポリプロピレンオキシド(PPO)ポリマーまたはポリオキシプロピレン(POP)ポリマーとしても知られており、プロピレンオキシドの重合により調製され、100g/モル~10,000,000g/モルの広範囲の分子量で市販されている。低分子量のPPGポリマーは、液体または低融点固体であり、高分子量のPPGポリマーは、固体である。本実施形態の一態様では、安定化剤として使用されるPPGポリマーは、液体PPGポリマーである。本実施形態の態様では、PPGポリマーは、例えば、100g/モル以下、200g/モル以下、300g/モル以下、400g/モル以下、500g/モル以下、600g/モル以下、700g/モル以下、800g/モル以下、900g/モル以下または1000g/モル以下の分子量を有する。
【0117】
PPGポリマーとしては、PPG100、PPG200、PPG300、PPG400、PPG500、PPG600、PPG700、PPG800、PPG900、PPG1000、PPG1100、PPG1200、PPG1300、PPG1400、PPG1500、PPG1600、PPG1700、PPG1800、PPG1900、PPG2000、PPG2100、PPG2200、PPG2300、PPG2400、PPG2500、PPG2600、PPG2700、PPG2800、PPG2900、PPG3000、PPG3250、PPG3350、PPG3500、PPG3750、PPG4000、PPG4250、PPG4500、PPG4750、PPG5000、PPG5500、PPG6000、PPG6500、PPG7000、PPG7500、PPG8000、PPG8500、PPG9000、PPG9500、PPG10,000、PPG11,000、PPG12,000、PPG13,000、PPG14,000、PPG15,000、PPG16,000、PPG17,000、PPG18,000、PPG19,000またはPPG20,000が挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
また、一価アルコールを安定化剤として使用してもよい。本実施形態の態様では、一価アルコールは、例えば、C2~4アルコール、C1~4アルコール、C1~5アルコール、C1~7アルコール、C1~10アルコール、C1~15アルコールまたはC1~20アルコールであってもよい。一価アルコールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールおよび1-ヘキサデカノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
本明細書の態様は、一つには、中和剤を開示する。中和剤は、塩である本明細書に開示されている治療用化合物と相互作用して、本治療用化合物が溶解する際に生成されるイオン電荷を中和し、それにより治療用化合物/脂質マトリックス間のイオン相互作用を妨害し、固相組成物の結晶性マトリックスを形成するのに必要な配列を防止する化合物である。従って、中和剤は、組成物の古典的な固相への熱力学的転移を防止するか、この転移をそれが生じない程度まで引き延ばす。中和剤の例としては、塩基-塩薬物のための本明細書に開示されている脂肪酸および酸-塩薬物のための酢酸ナトリウムまたはトリエタノールアミンが挙げられる。
【0120】
使用される中和剤の量は、所望の電荷中和の程度に基づく。完全な中和のために、治療用化合物に対して1モル当量の中和剤を本製剤に添加する。部分的中和のために、1モル当量未満を添加する。部分的中和は、徐放製剤を製造する際に有利である。投与するとすぐに本治療用化合物の一部が体に直接利用可能になる(即時の生物学的利用能)が、別の部分の生物学的利用能は、本治療用化合物が中和剤により中和されるまで遅延させる。また、中和剤は、過剰な量すなわち治療用化合物に対して1モル当量超で添加してもよい。塩薬物を中和するのに加え、過剰な量の中和剤は、本固溶体組成物の融点を調整することもできる。
【0121】
本実施形態の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、中和剤を、例えば、少なくとも5mg、少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも30mg、少なくとも35mg、少なくとも40mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも55mg、少なくとも60mg、少なくとも65mg、少なくとも70mg、少なくとも75mg、少なくとも80mg、少なくとも85mg、少なくとも90mg、少なくとも95mgまたは少なくとも100mgの量で含んでいてもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、中和剤を、例えば、少なくとも5mg、少なくとも10mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも50mg、少なくとも75mg、少なくとも100mg、少なくとも200mg、少なくとも300mg、少なくとも400mg、少なくとも500mg、少なくとも600mg、少なくとも700mg、少なくとも800mg、少なくとも900mg、少なくとも1,000mg、少なくとも1,100mg、少なくとも1,200mg、少なくとも1,300mg、少なくとも1,400mgまたは少なくとも1,500mgの量で含んでいてもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、中和剤を、例えば、約5mg~約100mg、約10mg~約100mg、約50mg~約150mg、約100mg~約250mg、約150mg~約350mg、約250mg~約500mg、約350mg~約600mg、約500mg~約750mg、約600mg~約900mg、約750mg~約1,000mg、約850mg~約1,200mgまたは約1,000mg~約1,500mgの量で含んでいてもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、中和剤を、例えば、約10mg~約250mg、約10mg~約500mg、約10mg~約750mg、約10mg~約1,000mg、約10mg~約1,500mg、約50mg~約250mg、約50mg~約500mg、約50mg~約750mg、約50mg~約1,000mg、約50mg~約1,500mg、約100mg~約250mg、約100mg~約500mg、約100mg~約750mg、約100mg~約1,000mg、約100mg~約1,500mg、約200mg~約500mg、約200mg~約750mg、約200mg~約1,000mg、約200mg~約1,500mg、約5mg~約1,500mg、約5mg~約1,000mgまたは約5mg~約250mgの量で含んでいてもよい。
【0122】
本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、中和剤を、例えば、約90重量%未満、約80重量%未満、約70重量%未満、約65重量%未満、約60重量%未満、約55重量%未満、約50重量%未満、約45重量%未満、約40重量%未満、約35重量%未満、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満または約1重量%未満の量で含んでいてもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、中和剤を、例えば、約1重量%~90重量%、約1重量%~80重量%、約1重量%~75重量%、約1重量%~70重量%、約1重量%~65重量%、約1重量%~60重量%、約1重量%~55重量%、約1重量%~50重量%、約1重量%~45重量%、約1重量%~40重量%、約1重量%~35重量%、約1重量%~30重量%、約1重量%~25重量%、約1重量%~20重量%、約1重量%~15重量%、約1重量%~10重量%、約1重量%~5重量%、約2重量%~50重量%、約2重量%~40重量%、約2重量%~30重量%、約2重量%~20重量%、約2重量%~10重量%、約4重量%~50重量%、約4重量%~40重量%、約4重量%~30重量%、約4重量%~20重量%、約4重量%~10重量%、約6重量%~50重量%、約6重量%~40重量%、約6重量%~30重量%、約6重量%~20重量%、約6重量%~10重量%、約8重量%~50重量%、約8重量%~40重量%、約8重量%~30重量%、約8重量%~20重量%、約8重量%~15重量%または約8重量%~12重量%の量で含んでいてもよい。
【0123】
本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、中和剤を、例えば、約0.1重量%~約45重量%、約0.1重量%~約40重量%、約0.1重量%~約35重量%、約0.1重量%~約30重量%、約0.1重量%~約25重量%、約0.1重量%~約20重量%、約0.1重量%~約15重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、約1重量%~約45重量%、約1重量%~約40重量%、約1重量%~約35重量%、約1重量%~約30重量%、約1重量%~約25重量%、約1重量%~約20重量%、約1重量%~約15重量%、約1重量%~約10重量%、約1重量%~約5重量%、約5重量%~約45重量%、約5重量%~約40重量%、約5重量%~約35重量%、約5重量%~約30重量%、約5重量%~約25重量%、約5重量%~約20重量%、約5重量%~約15重量%、約5重量%~約10重量%、約10重量%~約45重量%、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約35重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約15重量%、約15重量%~約45重量%、約15重量%~約40重量%、約15重量%~約35重量%、約15重量%~約30重量%、約15重量%~約25重量%、約15重量%~約20重量%、約20重量%~約45重量%、約20重量%~約40重量%、約20重量%~約35重量%、約20重量%~約30重量%、約20重量%~約25重量%、約25重量%~約45重量%、約25重量%~約40重量%、約25重量%~約35重量%または約25重量%~約30重量%の量で含んでいてもよい。
【0124】
本明細書に開示されている医薬組成物は、有効成分の薬学的に許容される組成物内への加工を容易にする薬学的に許容される担体を任意に含んでいてもよい。本明細書で使用される「薬理学的に許容される担体」という用語は、「薬理学的担体」と同義であり、投与された場合に長期または永続的有害作用を実質的に有しないあらゆる担体を意味し、「薬理学的に許容される溶媒、安定化剤、希釈剤、添加剤、助剤または賦形剤」などの用語を包含する。そのような担体は一般に、活性化合物と混合されるか活性化合物の希釈または封入を可能にし、固体、半固体または液体の薬剤であってもよい。当然のことながら、有効成分は可溶性であってもよく、あるいは所望の担体または希釈剤に懸濁させた懸濁液として送達してもよい。限定されるものではないが、例えば、水、生理食塩水、グリシン、ヒアルロン酸などの水性媒体、例えば、マンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、滑石、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどの固体担体、溶媒、分散媒、被覆物、抗菌薬、抗真菌薬、等張剤、吸収遅延剤または任意の他の不活性成分を含む、様々な薬学的に許容される担体のいずれかを使用することができる。薬理学的に許容される担体の選択は、投与様式によって決まってもよい。有効成分に適合しない場合を除いて、あらゆる薬理学的に許容される担体の薬学的に許容される組成物中での使用が想定される。そのような医薬担体の具体的な使用の非限定的な例は、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems (Howard C. Ansel et al., eds., Lippincott Williams & Wilkins Publishers, 7th ed. 1999)、REMINGTON: THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY (Alfonso R. Gennaro ed., Lippincott, Williams & Wilkins, 20th ed. 2000)、Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics (Joel G. Hardman et al., eds., McGraw-Hill Professional, 10th ed. 2001)およびHandbook of Pharmaceutical Excipients (Raymond C. Rowe et al., APhA Publications, 4th edition 2003)に記載されている。これらの手順は日常的な手順であり、あらゆる修正が当業者および本明細書中の教示の範囲に十分に含まれる。
【0125】
本明細書に開示されている医薬組成物は、限定されるものではないが緩衝液、防腐剤、張度調整剤、塩、酸化防止剤、オスモル濃度調整剤、生理的物質、薬理学的物質、充填剤、乳化剤、湿潤剤、甘味料または着香料などの、限定されるものではないが他の薬学的に許容される成分(すなわち医薬成分)を任意に含むことができる。得られる製剤が薬学的に許容される限り、各種緩衝液およびpH調整手段を使用して、本明細書に開示されている医薬組成物を調製することができる。そのような緩衝液としては、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、中性緩衝食塩水、リン酸緩衝食塩水およびホウ酸緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない。当然のことながら、必要に応じて、酸または塩基を使用して組成物のpHを調整することができる。薬学的に許容される酸化防止剤としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチルヒドロキシアニソールおよびブチルヒドロキシトルエンが挙げられるが、これらに限定されない。有用な防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、安定化オキシクロロ組成物およびキレート剤(例えば、DTPAまたはDTPA-ビスアミド、カルシウムDTPAおよびCaNaDTPA-ビスアミド)が挙げられるが、これらに限定されない。医薬組成物において有用な張度調整剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの塩、マンニトールまたはグリセリンおよび他の薬学的に許容される張度調整剤が挙げられるが、これらに限定されない。本医薬組成物は、塩として提供してもよく、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などの多くの酸と共に形成することができる。塩は、対応する遊離塩基型よりも、水性もしくは他のプロトン性溶媒により溶解しやすい。当然のことながら、これらの物質および薬理学の技術分野で知られている他の物質も医薬組成物に含めることができる。
【0126】
一実施形態では、本明細書に開示されている医薬組成物は、室温で固体である。本実施形態の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物を、例えば、約35℃以下、約34℃以下、約33℃以下、約32℃以下、約31℃以下、約30℃以下、約29℃以下、約28℃以下、約27℃以下、約26℃以下、約25℃以下、約24℃以下、約23℃以下、約22℃以下、約21℃以下、約20℃以下、約19℃以下、約18℃以下、約17℃以下、約16℃以下、約15℃以下、約14℃以下、約13℃以下、約12℃以下、約11℃以下、約10℃以下、約9℃以下、約8℃以下、約7℃以下、約6℃以下、約5℃以下、約4℃以下、約3℃以下、約2℃以下、約1℃以下または約0℃以下の温度で固体であるように製剤化してもよい。
【0127】
本実施形態の他の態様では、開示されている医薬組成物は、例えば、5℃以上、10℃以上、15℃以上、16℃以上、17℃以上、18℃以上、19℃以上、20℃以上、21℃以上、22℃以上、23℃以上、24℃以上、25℃以上、26℃以上、27℃以上、28℃以上、29℃以上、30℃以上、31℃以上、32℃以上、33℃以上、34℃以上、35℃以上、36℃以上または37℃以上の融点温度を有する。本実施形態の他の態様では、開示されている医薬組成物は、例えば、約5℃~約24℃、約10℃~約24℃。約22℃~約24℃、約23℃~約25℃、約24℃~約26℃、約25℃~約27℃、約26℃~約28℃、約27℃~約29℃、約28℃~約30℃、約29℃~約31℃、約30℃~約32℃、約31℃~約33℃、約32℃~約34℃、約33℃~約35℃、約34℃~約36℃または約35℃~約37℃の範囲の融点温度を有する。本実施形態の他の態様では、開示されている医薬組成物は、例えば、約22℃~約26℃、約24℃~約28℃、約26℃~約30℃、約28℃~約32℃、約30℃~約34℃、約32℃~約36℃または約34℃~約38℃の範囲の融点温度を有する。
【0128】
本明細書の態様は、一つには、本明細書に開示されている固溶体医薬組成物の調製方法を開示する。一実施形態では、本明細書に開示されている方法は、a)本明細書に開示されている治療用化合物を1種以上の室温の液体脂質に溶解させることができる条件下で、本治療用化合物をその1種以上の脂質と接触させる工程と、b)固溶体組成物の形成を可能にする条件下で、本明細書に開示されている化合物/脂質溶液を1種以上の室温の固体脂質と接触させる工程とを含む。
【0129】
一実施形態では、本明細書に開示されている方法は、a)本明細書に開示されている治療用化合物を1種以上の室温の液体脂質に溶解させることができる条件下で、本治療用化合物をその1種以上の脂質および1種以上の安定化剤と接触させる工程と、b)固溶体組成物の形成を可能にする条件下で、本明細書に開示されている化合物/脂質溶液を1種以上の室温の固体脂質と接触させる工程とを含む。
【0130】
一実施形態では、本明細書に開示されている方法は、a)本明細書に開示されている治療用化合物を1種以上の室温の液体脂質に溶解させることができる条件下で、本治療用化合物をその1種以上の脂質および1種以上の中和剤と接触させる工程と、b)固溶体組成物の形成を可能にする条件下で、本明細書に開示されている化合物/脂質溶液を1種以上の室温の固体脂質と接触させる工程とを含む。
【0131】
一実施形態では、本明細書に開示されている方法は、a)本明細書に開示されている治療用化合物を1種以上の室温の液体脂質に溶解させることができる条件下で、本治療用化合物をその1種以上の脂質、1種以上の安定化剤および1種以上の中和剤と接触させる工程と、b)固溶体組成物の形成を可能にする条件下で、本明細書に開示されている化合物/脂質溶液を1種以上の室温の固体脂質と接触させる工程とを含む。
【0132】
本明細書に開示されている方法は、本治療用化合物を他の成分に溶解させることができる条件下で行う。本実施形態の態様では、本治療用化合物を1種以上の室温の液体脂質および/または1種以上の安定化剤および/または1種以上の中和剤に溶解させて溶液を生成するのに十分な温度で、本明細書に開示されている方法を行ってもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている方法は、本明細書に開示されている治療用化合物を含む混合物を、例えば、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃または約75℃の温度に加熱する工程を含む。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている方法は、本明細書に開示されている治療用化合物を含む混合物を、例えば、少なくとも40℃、少なくとも45℃、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃または少なくとも75℃の温度に加熱する工程を含む。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている方法は、本明細書に開示されている治療用化合物を含む混合物を、例えば、最大で40℃、最大で45℃、最大で50℃、最大で55℃、最大で60℃、最大で65℃、最大で70℃または最大で75℃の温度に加熱する工程を含む。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている方法は、本明細書に開示されている治療用化合物を含む混合物を、例えば、約40℃~約45℃、約40℃~約50℃、約40℃~約55℃、約40℃~約60℃、約40℃~約65℃、約40℃~約70℃、約40℃~約75℃、約45℃~約50℃、約45℃~約55℃、約45℃~約60℃、約45℃~約65℃、約45℃~約70℃、約45℃~約75℃、約50℃~約55℃、約50℃~約60℃、約50℃~約65℃、約50℃~約70℃、約50℃~約75℃、約55℃~約60℃、約55℃~約65℃、約55℃~約70℃、約55℃~約75℃、約60℃~約65℃、約60℃~約70℃、約60℃~約75℃、約65℃~約70℃、約65℃~約75℃または約70℃~約75℃の温度に加熱する工程を含む。
【0133】
本実施形態の他の態様では、1種以上の室温の固体脂質を、本治療用化合物を含む溶液に溶解するのに十分な温度で、本明細書に開示されている方法を行ってもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている方法は、1種以上の室温の固体脂質を溶解するために、本明細書に開示されている治療用化合物を含む混合物を、例えば、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃または約75℃の温度に加熱する工程を含む。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている方法は、1種以上の室温の固体脂質を溶解するために、本明細書に開示されている治療用化合物を含む混合物を、例えば、少なくとも40℃、少なくとも45℃、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃または少なくとも75℃の温度に加熱する工程を含む。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている方法は、1種以上の室温の固体脂質を溶解するために、本明細書に開示されている治療用化合物を含む混合物を、例えば、最大で40℃、最大で45℃、最大で50℃、最大で55℃、最大で60℃、最大で65℃、最大で70℃または最大で75℃の温度に加熱する工程を含む。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている方法は、1種以上の室温の固体脂質を溶解するために、本明細書に開示されている治療用化合物を含む混合物を、例えば、約40℃~約45℃、約40℃~約50℃、約40℃~約55℃、約40℃~約60℃、約40℃~約65℃、約40℃~約70℃、約40℃~約75℃、約45℃~約50℃、約45℃~約55℃、約45℃~約60℃、約45℃~約65℃、約45℃~約70℃、約45℃~約75℃、約50℃~約55℃、約50℃~約60℃、約50℃~約65℃、約50℃~約70℃、約50℃~約75℃、約55℃~約60℃、約55℃~約65℃、約55℃~約70℃、約55℃~約75℃、約60℃~約65℃、約60℃~約70℃、約60℃~約75℃、約65℃~約70℃、約65℃~約75℃または約70℃~約75℃の温度に加熱する工程を含む。
【0134】
本明細書の態様は、一つには、本明細書に開示されている治療用化合物を1種以上の脂質と接触させる工程を開示する。本実施形態の態様では、1種以上の脂質は、本明細書に開示されている1種、2種、3種、4種または5種の異なる脂質を含む。本実施形態の他の態様では、1種以上の脂質は、本明細書に開示されている2種以上、3種以上、4種以上または5種以上の異なる脂質を含む。本実施形態のさらに他の態様では、1種以上の脂質は、本明細書に開示されている約1種~約5種の異なる脂質、本明細書に開示されている約2~約5種の異なる脂質、本明細書に開示されている約3種~約5種の異なる脂質、本明細書に開示されている約1種~約4種の異なる脂質、本明細書に開示されている約2種~約4種の異なる脂質、または本明細書に開示されている約2種~約3種の異なる脂質を含む。
【0135】
本実施形態の他の態様では、1種以上の脂質は、1種以上の室温の固体脂質と、1種以上の室温の液体脂質とを含む。本実施形態の態様では、1種以上の脂質は、本明細書に開示されている1種、2種、3種、4種または5種の異なる固い脂肪と、本明細書に開示されている1種、2種、3種、4種または5種の異なる室温の液体脂質とを含む。本実施形態の他の態様では、1種以上の脂質は、本明細書に開示されている2種以上、3種以上、4種以上または5種以上異なる室温の固体脂質と、本明細書に開示されている2種以上、3種以上、4種以上または5種以上の異なる室温の液体脂質とを含む。本実施形態のさらに他の態様では、1種以上の脂質は、本明細書に開示されている約1種~約5種の異なる固い脂肪、本明細書に開示されている約2種~約5種の異なる室温の固体脂質、本明細書に開示されている約3種~約5種の異なる室温の固体脂質、本明細書に開示されている約1種~約4種の異なる室温の固体脂質、本明細書に開示されている約2種~約4種の異なる室温の固体脂質または本明細書に開示されている約2種~約3種の異なる室温の固体脂質と、本明細書に開示されている約1種~約5種の異なる室温の液体脂質、本明細書に開示されている約2種~約5種の異なる室温の液体脂質、本明細書に開示されている約3種~約5種の異なる室温の液体脂質、本明細書に開示されている約1種~約4種の異なる室温の液体脂質、本明細書に開示されている約2種~約4種の異なる室温の液体脂質または本明細書に開示されている約2種~約3種の異なる室温の液体脂質とを含む。
【0136】
本実施形態の態様では、本明細書に開示されている方法は、室温の固体脂質および室温の液体脂質を、例えば、少なくとも1:1、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1または少なくとも20:1の固体脂質:液体脂質の比で使用してもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている方法は、室温の固体脂質および室温の液体脂質を、例えば、約1:1~約20:1、約5:1~約20:1、約2:1~約15:1、約5:1~約15:1、約4:1~約12:1または約6:1~約10:1の固体脂質:液体脂質の比で使用してもよい。
【0137】
本実施形態の態様では、本明細書に開示されている方法は、複数の室温の固体脂質および複数の室温の液体脂質を、例えば、少なくとも1:1、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1または少なくとも20:1の総固体脂質:総液体脂質の比で使用してもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている方法は、複数の室温の固体脂質および複数の室温の液体脂質を、例えば、約1:1~約20:1、約5:1~約20:1、約2:1~約15:1、約5:1~約15:1、約4:1~約12:1または約6:1~約10:1の総固体脂質:総液体脂質の比で使用してもよい。
【0138】
治療用化合物と1種以上の脂質とを接触させる工程は、例えば、撹拌、反転、超音波処理またはボルテックス撹拌による混合を含んでもよい。この混合は、本治療用化合物が脂質/グリコールポリマー混合物に完全に溶解されるまで、例えば、少なくとも1秒間、少なくとも5秒間、少なくとも10秒間、少なくとも20秒間、少なくとも30秒間、少なくとも45秒間、少なくとも60秒間またはそれ以上で行ってもよい。
【0139】
本明細書の態様は、一つには、本化合物/脂質溶液を本明細書に開示されている1種以上のグリコールポリマーと接触させる工程を開示する。
【0140】
固溶体組成物の凝固を可能にする条件下で、本明細書に開示されている方法を行う。本実施形態の態様では、本組成物をその溶液が凝固する温度まで冷却するのに十分な温度で、本方法を行ってもよい。
【0141】
特定の実施形態では、急速冷却工程を使用して、本明細書に開示されている医薬組成物の温度をその形成後に低下させてもよい。例えば、治療用化合物を薬学的に許容される溶媒に完全に溶解させることができ、かつ/または本治療用化合物を含む溶液で医薬組成物に形成することができるように室温よりも高い温度を使用する手順において、急速冷却工程を使用してもよい。本実施形態の態様では、急速冷却工程により、例えば、20分で約30℃、20分で約25℃、20分で約20℃、20分で約15℃、15分で約30℃、15分で約25℃、15分で約20℃、15分で約15℃、10分で約30℃、10分で約25℃、10分で約20℃、10分で約15℃、5分で約30℃、5分で約25℃、5分で約20℃、5分で約15℃の温度低下を引き起こす。本実施形態の他の態様では、急速冷却工程により、例えば、20分で約20℃~約30℃、15分で約20℃~約30℃、10分で約20℃~約30℃、5分で約20℃~約30℃、20分で約15℃~約25℃、15分で約15℃~約25℃、10分で約15℃~約25℃、5分で約15℃~約25℃、20分で約10℃~約20℃、15分で約10℃~約20℃、10分で約10℃~約20℃または5分で約10℃~約20℃の温度低下を引き起こす。
【0142】
本実施形態のさらなる態様では、急速冷却工程により、例えば、約2.0℃/分、約1.9℃/分、約1.8℃/分、約1.7℃/分、約1.6℃/分、約1.5℃/分、約1.4℃/分、約1.3℃/分、約1.2℃/分、約1.1℃/分、約1.0℃/分、約0.9℃/分、約0.8℃/分、約0.7℃/分、約0.6℃/分、約0.5℃/分、約0.4℃/分、約0.3℃/分、約0.2℃/分または約0.1℃/分の温度低下を引き起こす。本実施形態のさらなる態様では、急速冷却工程により、例えば、約0.1℃~約0.4℃/分、約0.2℃~約0.6℃/分、約0.4℃~約0.8℃/分、約0.6℃~約1.0℃/分、約0.8℃~約1.2℃/分、約1.0℃~約1.4℃/分、約1.2℃~約1.6℃/分、約1.4℃~約1.8℃/分、約1.6℃~約2.0℃/分、約0.1℃~約0.5℃/分、約0.5℃~約1.0℃/分、約1.0℃~約1.5℃/分、約1.5℃~約2.0℃/分、約0.5℃~約1.5℃/分または約1.0℃~約2.0℃/分の温度低下を引き起こす。
【0143】
本明細書に開示されている製剤では、脂質および治療用化合物の固溶体が形成される。そのような製剤では、リポソーム乳濁液および/またはミセル粒子および/または任意の他の種類の多相組成物は形成されない。また、そのような製剤では、例えば、水または緩衝液などの親水性溶媒を必要としない。従って、本明細書に開示されている医薬組成物は、親水性溶媒を用いて製剤化する必要はない。一実施形態では、本明細書に開示されている医薬組成物は、薬学的に許容される親水性溶媒を含んでいない。
【0144】
本明細書に開示されている方法で使用される治療用化合物、室温の液体脂質、室温の固体脂質(固い脂肪)、安定化剤および中和剤の量は、任意の所望の量であってもよい。使用される各成分の量を決定するために使用される因子としては、本医薬組成物中の本治療用化合物の所望の最終量、本溶液中の治療用化合物の所望の濃度、本治療用化合物の疎水性、本治療用化合物の疎油性(lipophobicity)、医薬組成物の所望の最終量、および固溶体医薬組成物を生成するために使用される条件が挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】
一実施形態では、医薬組成物は、1種以上の治療用化合物、室温の固体脂質すなわち固い脂肪および1種以上の室温の液体脂質を含むが、薬学的に許容される親水性溶媒を含まない。
【0146】
一実施形態では、医薬組成物は、1種以上の治療用化合物、1種以上の室温の固体脂質すなわち固い脂肪、1種以上の室温の液体脂質および1種以上の安定化剤を含むが、薬学的に許容される親水性溶媒を含まない。本実施形態の態様では、固溶体医薬組成物は、治療用化合物、室温の固体脂質すなわち固い脂肪、室温の液体脂質および液体グリコールポリマーおよび/または一価アルコールおよび/またはイソソルビドジメチルエーテルおよび/またはジエチレングリコールモノエチルエーテル(2-(2-エトキシエトキシ)エタノール)を含むが、薬学的に許容される親水性溶媒を含まない。本実施形態の他の態様では、固溶体医薬組成物は、治療用化合物、トリグリセリド混合物、モノグリセリド混合物および液体PEGポリマーおよび/またはC1~C5一価アルコールおよび/またはイソソルビドジメチルエーテルおよび/またはジエチレングリコールモノエチルエーテル(2-(2-エトキシエトキシ)エタノール)を含むが、薬学的に許容される親水性溶媒を含まない。本実施形態のさらに他の態様では、医薬組成物は、治療用化合物、GELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)、MAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)、モノリノール酸グリセリルおよび液体PEGポリマーおよび/またはC1~C5一価アルコールおよび/またはイソソルビドジメチルエーテルおよび/またはジエチレングリコールモノエチルエーテル(2-(2-エトキシエトキシ)エタノール)を含むが、薬学的に許容される親水性溶媒を含まない。
【0147】
本実施形態の態様では、固溶体組成物は、約1重量%~約55重量%の治療用化合物、約40重量%~約90重量%の室温の固体脂質すなわち固い脂肪、約1重量%~約10重量%の室温の液体脂質および約1%~約5%の安定化剤を含む。本実施形態の態様では、固溶体組成物は、約1重量%~約55重量%の治療用化合物、約40重量%~約90重量%の室温の固体脂質すなわち固い脂肪、約1重量%~約10重量%の室温の液体脂質および約1%~約5%の液体グリコールポリマーおよび/または一価アルコールおよび/またはイソソルビドジメチルエーテルおよび/またはジエチレングリコールモノエチルエーテル(2-(2-エトキシエトキシ)エタノール)を含む。本実施形態の他の態様では、固溶体組成物は、約5重量%~約50重量%の治療用化合物、約40重量%~約70重量%の室温の固体脂質すなわち固い脂肪、約1重量%~約7重量%の室温の液体脂質および約1%~約3%の液体グリコールポリマーおよび/または一価アルコールおよび/またはイソソルビドジメチルエーテルおよび/またはジエチレングリコールモノエチルエーテル(2-(2-エトキシエトキシ)エタノール)を含む。
【0148】
一実施形態では、医薬組成物は、1種以上の治療用化合物、1種以上の室温の固体脂質すなわち固い脂肪、1種以上の室温の液体脂質および1種以上の中和剤を含むが、薬学的に許容される親水性溶媒を含まない。本実施形態の他の態様では、固溶体医薬組成物は、治療用化合物、室温の固体脂質すなわち固い脂肪、室温の液体脂質および脂肪酸を含むが、薬学的に許容される親水性溶媒を含まない。本実施形態のさらに他の態様では、固溶体医薬組成物は、治療用化合物、トリグリセリド混合物、モノグリセリド混合物およびC16~C18脂肪酸を含むが、薬学的に許容される親水性溶媒を含まない。本実施形態のさらに他の態様では、医薬組成物は、治療用化合物、GELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)、MAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)、モノリノール酸グリセリルおよびステアリン酸を含むが、薬学的に許容される親水性溶媒を含まない。
【0149】
本実施形態の態様では、固溶体組成物は、約1重量%~約55重量%の治療用化合物、約30重量%~約70重量%の室温の固体脂質すなわち固い脂肪、約1重量%~約10重量%の室温の液体脂質および約1%~約55%の中和剤を含む。本実施形態の他の態様では、固溶体組成物は、約1重量%~約55重量%の治療用化合物、約30重量%~約70重量%の室温の固体脂質すなわち固い脂肪、約1重量%~約10重量%の室温の液体脂質および約1%~約55%の脂肪酸を含む。本実施形態のさらに他の態様では、固溶体組成物は、約5重量%~約50重量%の治療用化合物、約30重量%~約60重量%の室温の固体脂質すなわち固い脂肪、約1重量%~約7重量%の室温の液体脂質および約5%~約50%の脂肪酸を含む。
【0150】
本実施形態の他の態様では、固溶体医薬組成物は、1種以上の治療用化合物、1種以上の室温の固体脂質すなわち固い脂肪、1種以上の室温の液体脂質およびトリエタノールアミンを含むが、薬学的に許容される親水性溶媒を含まない。本実施形態のさらに他の態様では、固溶体医薬組成物は、治療用化合物、トリグリセリド混合物、モノグリセリド混合物およびトリエタノールアミンを含むが、薬学的に許容される親水性溶媒を含まない。本実施形態のさらに他の態様では、医薬組成物は、治療用化合物、GELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、GELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)、MAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)、モノリノール酸グリセリルおよびトリエタノールアミンを含むが、薬学的に許容される親水性溶媒を含まない。
【0151】
本実施形態の態様では、固溶体組成物は、約1重量%~約55重量%の治療用化合物、約30重量%~約70重量%の室温の固体脂質すなわち固い脂肪、約1重量%~約10重量%の室温の液体脂質および約1%~約55%のトリエタノールアミンを含む。本実施形態の他の態様では、固溶体組成物は、約5重量%~約50重量%の治療用化合物、約30重量%~約60重量%の室温の固体脂質すなわち固い脂肪、約1重量%~約7重量%の室温の液体脂質および約5%~約50%のトリエタノールアミンを含む。
【0152】
一実施形態では、医薬組成物は、1種以上の治療用化合物、室温の固体脂質すなわち固い脂肪、1種以上の室温の液体脂質、1種以上の安定化剤および1種以上の中和剤を含むが、薬学的に許容される親水性溶媒を含まない。
【0153】
本明細書の態様は、一つには、心血管疾患を有する個体の治療方法を開示する。一実施形態では、本方法は、それを必要としている個体に本明細書に開示されている医薬組成物を投与し、この投与により心血管疾患に伴う症状を軽減し、それにより個体を治療する工程を含む。
【0154】
本明細書の態様は、一つには、心血管疾患に悩まされている個体を治療する工程を開示する。本明細書で使用される「治療」という用語は、個体における心血管疾患の臨床症状を軽減または除去すること、または個体における心血管疾患の臨床症状の発症を遅らせるまたは防止することを指す。例えば、「治療」という用語は、心血管疾患を特徴とする病気の症状を、例えば、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%軽減させることを意味することができる。心血管疾患に関連する実際の症状は、よく知られており、限定されるものではないが、心血管疾患の位置、心血管疾患の原因、心血管疾患の重症度および/または心血管疾患によって冒される組織もしくは器官などの因子を考慮して当業者が決定することができる。当業者であれば、特定の種類の心血管疾患に関連する適切な症状または指標を知っており、個体が本明細書に開示されている治療候補であるか否かを決定する方法を知っている。
【0155】
心血管疾患は、心臓それ自体および/または血管系、特に心臓に/から繋がる静脈および動脈を冒す多くの特定の疾患のうちのいずれかである。心血管疾患の公知および/または関連する原因としては、2種類の最小のリポタンパク質であるLDLおよびHDLの不健康な比、高脂血症、血糖値の上昇、正常高値血圧、Lp-PLA2、リポタンパク質および高ホモシステイン血症が挙げられるが、これらに限定されない。心臓を冒す心血管疾患の症状としては、胸痛、胸部の不快感および片腕、両腕、片方の肩、両肩、首、顎もしくは背中の痛み、息切れ、浮動性めまい、心拍数の上昇、悪心、異常な心拍、疲労および/または心筋梗塞が挙げられるが、これらに限定されない。脳を冒す心血管疾患の症状としては、顔、片腕、両腕、片脚もしくは両脚の突然の痺れまたは脱力感、発話もしくは会話の理解における突然の混乱もしくはトラブル、片目もしくは両目の視力における突然のトラブル、突然の浮動性めまい、歩行困難または平衡もしくは協調の消失および/または原因不明の突然の深刻な頭痛が挙げられるが、これらに限定されない。片脚、両脚、骨盤、片腕、両腕および/または肩を冒す心血管疾患の症状としては、筋肉痛、筋痙攣、片足もしくは両足および/または足の指、片手もしくは両手および/または手の指における冷感および/または片足、両足および/または足の指、片手、両手および/または手の指における痺れまたは脱力感が挙げられるが、これらに限定されない。
【0156】
限定されるものではないが、高脂血症、冠状動脈性心臓病、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、心筋症、血管炎、炎症性心疾患、虚血性心疾患、鬱血性心不全、高血圧性心疾患、心臓弁膜症、高血圧症、心筋梗塞、糖尿病性心臓病、動脈瘤、塞栓症、剥離、偽動脈瘤、血管奇形、血管性母斑、血栓症、静脈瘤および脳卒中などの60種を超える心血管疾患が存在する。
【0157】
一実施形態では、心血管疾患は、高脂血症を含む。高脂血症(または高リポタンパク血症)は、血中の脂質および/またはリポタンパク質のレベルの異常な上昇を特徴とする病気を指す。高脂血症は、特定の遺伝的異常によって引き起こされる家族性(または一次性)高脂血症、別の基礎疾患から生じる後天性(または二次性)高脂血症、または未知の原因で生じる特発性高脂血症として分類することができる。高脂血症は、どの種類の脂質および/またはリポタンパク質が上昇したかに基づいて分類することもできる。高脂血症の非限定的な例としては、脂質代謝異常症、高コレステロール血症、高グリセリド血症、高トリグリセリド血症、高リポタンパク血症および高カイロミクロン血症および複合型高脂血症が挙げられる。高リポタンパク血症としては、例えば、Ia型高リポタンパク血症、Ib型高リポタンパク血症、Ic型高リポタンパク血症、IIa型高リポタンパク血症、IIb型高リポタンパク血症、III型高リポタンパク血症、IV型高リポタンパク血症およびV型高リポタンパク血症が挙げられる。
【0158】
別の実施形態では、心血管疾患は、冠状動脈性心臓病を含む。冠状動脈性心臓病は、適切な血流を心筋および周囲組織に供給するための冠循環不全を特徴とする病気を指す。典型的には、例えば、アテローム性冠動脈疾患、冠状動脈血管痙攣および/または冠動脈狭窄などの冠状動脈の狭窄や閉塞によって引き起こされる。胸痛および心筋梗塞は、冠状動脈性心臓病によって引き起こされる一般的な病状である。
【0159】
別の実施形態では、心血管疾患は、血管閉塞性疾患(VOD)を含む。VODは、血管の閉塞を特徴とする病気を指す。VODとしては、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患および狭窄が挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
本実施形態の一態様では、VODは、アテローム性動脈硬化症を含む。アテローム性動脈硬化症は、動脈の内壁へのコレステロールおよび脂肪沈着物(プラークと呼ばれる)の蓄積を特徴とする病気を指す。これらのプラークは、動脈を物理的に詰まらせるか異常な動脈緊張および機能を引き起こすことにより、心筋への血流を制限することができる。動脈硬化性プラークの破裂は、虚血の最も一般的な原因である。
【0161】
本実施形態の一態様では、VODは、末梢血管疾患(PVD)を含む。末梢動脈疾患(PAD)または末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)としても知られている末梢血管疾患(PVD)は、冠状動脈、大動脈弓血管系または脳内以外の大動脈の閉塞を特徴とする病気を指す。PVDは、アテローム性動脈硬化症、狭窄、塞栓症または血栓形成に至る炎症プロセスに起因していることがある。これは、急性もしくは慢性虚血のいずれかを引き起こす。PVDは、例えば、レイノー現象などの突発性動脈狭窄または血管痙攣などの動脈拡張に起因する微小血管疾患として分類される疾患のサブセットも含む。PVDの症状としては、血流の減少による痛み、脱力感、痺れもしくは筋痙攣、びらん(sore)、創傷、またはゆっくりと治癒するか全く治癒しない潰瘍、手足の青みすなわち蒼白、手足の冷え、毛髪および冒されている手足および指における爪の成長の低下が挙げられるが、これらに限定されない。軽度のPADに罹患している患者の約20%には、症状が現れないこともある。
【0162】
別の実施形態では、心血管疾患は、心筋症を含む。心筋症は、心筋機能の悪化を特徴とする病気を指す。症状および兆候は、心疾患のほとんどあらゆる形態のものに類似しており、胸痛やEKG異常を含む。軽度の心筋症は、症状が現れないことが非常に多い。より深刻な症例は、心不全、不整脈、全身性塞栓形成および/または突然心臓死を伴う。心筋症は、機能の異常により、拡張型、肥大型または拘束型として分類することができる。
【0163】
心筋症は、外因性または内因性のいずれかに分類することもできる。外因性心筋症は、最初の病状が心筋自体ではない心筋症を指す。例えば、外因性心筋症は、代謝/貯蔵障害、内分泌障害、神経筋異常、栄養障害、炎症、毒性(薬物およびアルコールを含む)、虚血および/または感染(C型肝炎を含む)によって引き起こされることがある。外因性心筋症の非限定的な例としては、先端巨大症、アルコール性心筋症、アミロイドーシス、シャーガス病、化学療法、糖尿病性心筋症、ヘモクロマトーシス、高血圧性心筋症、甲状腺機能亢進症、炎症性心筋症、虚血性心筋症、筋ジストロフィー、弁膜症性心筋症、全身性代謝性疾患に続発する心筋症、全身性栄養性疾患に続発する心筋症、冠動脈疾患および先天性心疾患が挙げられる。
【0164】
内因性心筋症は、特定可能な外部原因すなわち未知の原因によるものではない心筋の脱力感が存在する心筋症を指す。内因性心筋症は、その特発性により様々な病状を含み、遺伝性、混合型または後天性として分類することができる。内因性心筋症の非限定的な例としては、拡張型心筋症(DCM)、肥大型心筋症(HCMまたはHOCM)、催不整脈性右室心筋症(ARVC)、拘束型心筋症(RCM)、心筋緻密化障害、孤発性心室緻密化障害、ミトコンドリアミオパチー、たこつぼ心筋症およびレフラー心内膜炎が挙げられる。
【0165】
別の実施形態では、心血管疾患は、血管炎を含む。血管炎は、白血球遊走によるリンパ管ならびに静脈(静脈炎)、動脈(動脈炎)および毛管のような血管を含む血管壁の炎症とその結果生じる損傷を特徴とする各種疾患群である。血管炎は、体内のあらゆる場所のあらゆる大きさの血管を冒すことができる。血管炎は、動脈および/または静脈のいずれかを冒すことができる。血管炎は、限局的(血管内の単一の位置を冒すことを意味する)であったり、炎症領域が特定の器官もしくは組織全体に散らばった状態で広がっていたり、体内の2つ以上の器官系を冒していたりすることさえある。血管炎としては、ビュルガー病(閉塞性血栓性血管炎)、脳血管炎(中枢神経血管炎)、チャーグ・ストラウス動脈炎、クリオグロブリン血症、本態性クリオグロブリン血症性血管炎、巨細胞性(側頭)動脈炎、ゴルファー血管炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、過敏性血管炎(アレルギー性血管炎)、川崎病、顕微鏡的多発性動脈炎/多発性血管炎、結節性多発性動脈炎、リウマチ性多発筋痛(PMR)、リウマチ性血管炎、高安動脈炎、血栓性静脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、および結合組織病(例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、再発性多発性軟骨炎、ベーチェット病)または他の結合組織病に続発する血管炎、ウイルス感染に続発する血管炎が挙げられるが、これらに限定されない。
【0166】
別の実施形態では、心血管疾患は、炎症性心疾患を含む。炎症性心疾患は、心筋および/またはそれを囲む組織の炎症を特徴とする病気を指す。炎症性心疾患の非限定的な例としては、心内膜炎、炎症性心肥大および心筋炎が挙げられる。
【0167】
別の実施形態では、心血管疾患は、虚血性心疾患を含む。虚血性心疾患または心筋虚血は、通常は冠状動脈の狭窄や閉塞に起因する心筋の血液供給の減少を特徴とする病気を指す。虚血性心疾患の症状としては、寒冷での労作時または感情的状況下での胸痛、急性胸痛、急性冠不全症候群、不安定狭心症、心筋梗塞、心不全、呼吸困難または手足の腫れが挙げられる。
【0168】
別の実施形態では、心血管疾患は、鬱血性心不全を含む。鬱血性心不全は、心臓が十分な量の血液を体全体に満たす、すなわち行き渡らせたる能力を損なう、あらゆる構造的または機能的心疾患に起因することのない心臓の異常を特徴とする病気を指す。
【0169】
別の実施形態では、心血管疾患は、高血圧性心疾患を含む。高血圧性心疾患は、高血圧、特に局所的高血圧を特徴とする病気を指す。高血圧性心疾患によって引き起こされことがある状態としては、左心室肥大、冠状動脈性心臓病、鬱血性心不全、高血圧性心筋症および心不整脈が挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
別の実施形態では、心血管疾患は、心臓弁膜症を含む。心臓弁膜症は、心臓の1つ以上の弁の機能不全を特徴とする病気を指す。心臓弁膜症によって冒されることがある主要な心臓弁としては、三尖弁、右大動脈弁、僧帽弁および左大動脈弁が挙げられる。
【0171】
医薬組成物または化合物は、個体に投与される。個体は典型的には人間である。典型的には、従来の心血管疾患治療の候補であるあらゆる個体が、本明細書に開示されている心血管疾患治療の候補である。術前評価は典型的に、当該処置の全ての関連するリスクと利点を開示する徹底的なインフォームドコンセントに加えて、日常的な病歴の確認および健康診断を含む。
【0172】
本明細書に開示されている医薬組成物は、治療的有効量の治療用化合物を含んでいてもよい。本明細書で使用される「有効量」という用語は、「治療的有効量」「有効な用量」または「治療的有効用量」と同義であり、心血管疾患の治療に関して使用する場合、所望の治療効果を達成するのに必要な本明細書に開示されている治療用化合物の最少用量を指し、心血管疾患に関連する症状を軽減するのに十分な用量を含む。心血管疾患を治療する際の本明細書に開示されている治療用化合物の有効性は、1つ以上の臨床症状および/またはその状態に関連する生理的指標に基づいて、個体における改善を観察することにより決定する。心血管疾患の改善は、併用療法の必要性の低下によって示すこともできる。
【0173】
特定の心血管疾患のために個体に投与される本明細書に開示されている治療用化合物の適当な有効量は、限定されるものではないが、心血管疾患の種類、心血管疾患の位置、心血管疾患の原因、心血管疾患の重症度、所望の軽減の程度、所望の軽減の持続期間、使用される特定の治療用化合物、使用される治療用化合物の排泄率、使用される治療用化合物の薬力、本組成物に含まれる他の化合物の性質、特定の投与経路、患者の特定の特徴、病歴および危険因子(例えば、年齢、体重、健康状態など)またはそれらの任意の組み合わせなどの因子を考慮して、当業者が決定することができる。さらに、治療用化合物を繰り返し投与する場合、治療用化合物の有効量は、限定されるものではないが、投与の頻度、本治療用化合物の半減期またはそれらの任意の組み合わせなどの因子によってさらに決まる。本明細書に開示されている治療用化合物の有効量は、ヒトへの投与前に、動物モデルを用いた生体外アッセイや生体内投与研究により推定することができることを当業者は知っている。
【0174】
本実施形態の態様では、治療的有効量の本明細書に開示されている治療用化合物は、心血管疾患に関連する症状を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%軽減する。本実施形態の他の態様では、治療的有効量の本明細書に開示されている治療用化合物は、心血管疾患に関連する症状を、例えば、最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%または最大で100%軽減する。本実施形態のさらに他の態様では、治療的有効量の本明細書に開示されている治療用化合物は、心血管疾患に関連する症状を、例えば、約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%または約30%~約50%軽減する。
【0175】
本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物の治療的有効量は一般に、約0.001mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲である。本実施形態の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物の有効量は、例えば、少なくとも0.001mg/kg/日、少なくとも0.01mg/kg/日、少なくとも0.1mg/kg/日、少なくとも1.0mg/kg/日、少なくとも5.0mg/kg/日、少なくとも10mg/kg/日、少なくとも15mg/kg/日、少なくとも20mg/kg/日、少なくとも25mg/kg/日、少なくとも30mg/kg/日、少なくとも35mg/kg/日、少なくとも40mg/kg/日、少なくとも45mg/kg/日または少なくとも50mg/kg/日であってもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物の有効量は、例えば、約0.001mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約15mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約20mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約25mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約30mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約35mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約40mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約45mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約50mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約75mg/kg/日または約0.001mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲であってもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物の有効量は、例えば、約0.01mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約15mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約20mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約25mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約30mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約35mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約40mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約45mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約50mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約75mg/kg/日または約0.01mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲であってもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物の有効量は、例えば、約0.1mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約15mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約20mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約25mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約30mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約35mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約40mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約45mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約50mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約75mg/kg/日または約0.1mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲であってもよい。
【0176】
本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物の有効量は、例えば、約1mg/kg/日~約10mg/kg/日、約1mg/kg/日~約15mg/kg/日、約1mg/kg/日~約20mg/kg/日、約1mg/kg/日~約25mg/kg/日、約1mg/kg/日~約30mg/kg/日、約1mg/kg/日~約35mg/kg/日、約1mg/kg/日~約40mg/kg/日、約1mg/kg/日~約45mg/kg/日、約1mg/kg/日~約50mg/kg/日、約1mg/kg/日~約75mg/kg/日または約1mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲であってもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物の有効量は、例えば、約5mg/kg/日~約10mg/kg/日、約5mg/kg/日~約15mg/kg/日、約5mg/kg/日~約20mg/kg/日、約5mg/kg/日~約25mg/kg/日、約5mg/kg/日~約30mg/kg/日、約5mg/kg/日~約35mg/kg/日、約5mg/kg/日~約40mg/kg/日、約5mg/kg/日~約45mg/kg/日、約5mg/kg/日~約50mg/kg/日、約5mg/kg/日~約75mg/kg/日または約5mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲であってもよい。
【0177】
投与は、単回投与であっても累積投与(連続投与)であってもよく、当業者が容易に決定することができる。例えば、心血管疾患の治療は、本明細書に開示されている医薬組成物の有効用量の1回限りの投与を含んでもよい。あるいは、心血管疾患の治療は、例えば、1日1回、1日2回、1日3回、数日に1回または毎週1回などの様々な期間にわたって行われる医薬組成物の有効用量の複数回投与を含んでもよい。投与のタイミングは、個体の症状の重症度などの因子によって個体ごとに異なり得る。例えば、本明細書に開示されている医薬組成物の有効用量を、不確定な期間にわたって、あるいは個体がもはやその治療法を必要としなくなるまで、個体に1日1回投与することができる。当業者であれば、治療過程全体を通して個体の状態を監視することができ、かつ投与される本明細書に開示されている医薬組成物の有効量をそれに応じて調整することができることを理解している。
【0178】
一実施形態では、個体に投与するとすぐに、本明細書に開示されている治療用化合物を含む医薬組成物により、本明細書に開示されているアジュバントを含まないこと以外は同じである医薬組成物に含まれる本治療用化合物の体内分布とは異なる本治療用化合物の体内分布が生じる。
【0179】
別の実施形態では、個体に投与するとすぐに、本明細書に開示されている医薬組成物の治療用化合物は、マクロファージに送達される。マクロファージは、炎症反応の制御に関与していると考えられている主要な細胞型のうちの一つである。マクロファージ中に存在する、脂質レベルを正常化させる活性および/または抗炎症活性を有する得られる高レベの治療用化合物により、臨床的に有効な心血管疾患の治療がもたらされる。本実施形態の一態様では、個体に投与するとすぐに、本明細書に開示されている医薬組成物の治療的有効量の治療用化合物は、マクロファージに優先的に送達される。本実施形態の他の態様では、個体に投与するとすぐに、本明細書に開示されている医薬組成物の治療用化合物は、マクロファージに実質的に送達される。本実施形態のさらに他の態様では、個体に投与するとすぐにマクロファージに送達される本明細書に開示されている医薬組成物の治療用化合物の量は、投与される医薬組成物に含まれる本治療用化合物の総量の、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%である。本実施形態のさらに他の態様では、個体に投与するとすぐにマクロファージに送達される本明細書に開示されている医薬組成物の治療用化合物の量は、投与される医薬組成物に含まれる本治療用化合物の総量の、例えば、約5%~約100%、約10%~約100%、約15%~約100%、約20%~約100%、約25%~約100%、約30%~約100%、約35%~約100%、約40%~約100%、約45%~約100%、約50%~約100%、約5%~約90%、約10%~約90%、約15%~約90%、約20%~約90%、約25%~約90%、約30%~約90%、約35%~約90%、約40%~約90%、約45%~約90%、約50%~約90%、約5%~約80%、約10%~約80%、約15%~約80%、約20%~約80%、約25%~約80%、約30%~約80%、約35%~約80%、約40%~約80%、約45%~約80%、約50%~約80%、約5%~約70%、約10%~約70%、約15%~約70%、約20%~約70%、約25%~約70%、約30%~約70%、約35%~約70%、約40%~約70%、約45%~約70%または約50%~約70%の範囲である。
【0180】
別の実施形態では、個体に投与するとすぐに、本明細書に開示されている医薬組成物は、胃の刺激を減少させる。本実施形態の一態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、実質的に胃の刺激を減少させる。さらに別の実施形態では、個体に投与するとすぐに、本明細書に開示されている医薬組成物は、薬学的に許容されるアジュバントを含まないこと以外は同じである本明細書に開示されている医薬組成物と比較した場合、胃の刺激を減少させる。本実施形態の一態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、薬学的に許容されるアジュバントを含まないこと以外は同じである本明細書に開示されている医薬組成物と比較した場合、実質的に胃の刺激を減少させる。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、胃の刺激を、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%減少させる。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、胃の刺激を、例えば、約5%~約100%、約10%~約100%、約15%~約100%、約20%~約100%、約25%~約100%、約30%~約100%、約35%~約100%、約40%~約100%、約45%~約100%、約50%~約100%、約5%~約90%、約10%~約90%、約15%~約90%、約20%~約90%、約25%~約90%、約30%~約90%、約35%~約90%、約40%~約90%、約45%~約90%、約50%~約90%、約5%~約80%、約10%~約80%、約15%~約80%、約20%~約80%、約25%~約80%、約30%~約80%、約35%~約80%、約40%~約80%、約45%~約80%、約50%~約80%、約5%~約70%、約10%~約70%、約15%~約70%、約20%~約70%、約25%~約70%、約30%~約70%、約35%~約70%、約40%~約70%、約45%~約70%または約50%~約70%の範囲で減少させる。
【0181】
別の実施形態では、個体に投与するとすぐに、本明細書に開示されている医薬組成物は、腸の刺激を減少させる。本実施形態の一態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、実質的に腸の刺激を減少させる。さらに別の実施形態では、個体に投与するとすぐに、本明細書に開示されている医薬組成物は、薬学的に許容されるアジュバントを含まないこと以外は同じである本明細書に開示されている医薬組成物と比較した場合、腸の刺激を減少させる。本実施形態の一態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、薬学的に許容されるアジュバントを含まないこと以外は同じである本明細書に開示されている医薬組成物と比較した場合、実質的に腸の刺激を減少させる。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、薬学的に許容されるアジュバントを含まないこと以外は同じである本明細書に開示されている医薬組成物と比較した場合、腸の刺激を、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも100%減少させる。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、薬学的に許容されるアジュバントを含まないこと以外は同じである本明細書に開示されている医薬組成物と比較した場合、腸の刺激を、例えば、約5%~約100%、約10%~約100%、約15%~約100%、約20%~約100%、約25%~約100%、約30%~約100%、約35%~約100%、約40%~約100%、約45%~約100%、約50%~約100%、約5%~約90%、約10%~約90%、約15%~約90%、約20%~約90%、約25%~約90%、約30%~約90%、約35%~約90%、約40%~約90%、約45%~約90%、約50%~約90%、約5%~約80%、約10%~約80%、約15%~約80%、約20%~約80%、約25%~約80%、約30%~約80%、約35%~約80%、約40%~約80%、約45%~約80%、約50%~約80%、約5%~約70%、約10%~約70%、約15%~約70%、約20%~約70%、約25%~約70%、約30%~約70%、約35%~約70%、約40%~約70%、約45%~約70%または約50%~約70%減少させる。
【0182】
治療の全体的治療効果を増加させるために、本明細書に開示されている医薬組成物を他の治療用化合物と組み合わせて個体に投与することもできる。適応症を治療するための複数の化合物の使用により、副作用の存在を抑えながら有益な効果を増加させることができる。
【0183】
本発明の態様は、以下のように記載することもできる。
1.a)抗炎症活性を有する治療用化合物と、b)室温の固体脂質と、c)室温の液体脂質とを含む固溶体医薬組成物。
2.安定化剤をさらに含む、実施形態1に記載の固溶体医薬組成物。
3.中和剤をさらに含む、実施形態1または2に記載の固溶体医薬組成物。
4.界面活性剤を含まない、実施形態1~3に記載の固溶体医薬組成物。
5.親水性溶媒を含まない、実施形態1~4に記載の固溶体医薬組成物。
6.脂質レベルを正常化させる活性は、抗高脂血症活性を有する、実施形態1~5に記載の医薬組成物。
7.抗高脂血症活性により、VLDL、IDL、LDLまたはそれらの組み合わせのレベルを少なくとも10%低下させる、実施形態6に記載の医薬組成物。
8.抗高脂血症活性により、HDLのレベルを例えば少なくとも2%上昇させる、実施形態7に記載の医薬組成物。
9.脂質レベルを正常化させる活性により、炎症誘発性プロスタグランジンのレベルを低下させる、実施形態1~8に記載の医薬組成物。
10.炎症誘発性プロスタグランジンのレベルを少なくとも10%低下させる、実施形態9に記載の医薬組成物。
11.脂質レベルを正常化させる活性により、PPARシグナル伝達経路を刺激する、実施形態1~10に記載の医薬組成物。
12.PPARシグナル伝達経路を少なくとも10%刺激する、実施形態11に記載の医薬組成物。
13.脂質レベルを正常化させる活性により、マクロファージM1細胞のアポトーシスを誘導するか、マクロファージM2細胞の分化を促進するか、その両方を行う、実施形態1~12に記載の医薬組成物。
14.脂質レベルを正常化させる活性により、Th1細胞から放出されるインターフェロン-γ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、インターロイキン-12(IL-12)またはそれらの組み合わせのレベルを低下させるか、Th2細胞から放出されるIL-10のレベルを上昇させるか、その両方を行う、実施形態1~13に記載の医薬組成物。
15.Th1細胞から放出されるIFN-γ、TNF-α、IL-12またはそれらの組み合わせのレベルを少なくとも10%低下させる、実施形態14に記載の医薬組成物。
16.Th2細胞から放出されるIL-10のレベルを少なくとも10%上昇させる、実施形態14に記載の医薬組成物。
17.脂質レベルを正常化させる活性により、炎症誘発性分子のレベルを低下させる、実施形態1~16に記載の医薬組成物。
18.炎症誘発性分子は、物質P(SP)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、グルタミン酸塩またはそれらの組み合わせを含む、実施形態17に記載の医薬組成物。
19.本治療用化合物は、3.0以上のlogP値を有する、実施形態1~18に記載の固溶体医薬組成物。
20.本治療用化合物は、約2.2~約3.0のlogP値を有する、実施形態1~18に記載の固溶体医薬組成物。
21.本治療用化合物は、約2.0以下のlogP値を有する、実施形態1~18に記載の固溶体医薬組成物。
22.本治療用化合物は、疎水性である極性表面積を有する、実施形態1~21に記載の医薬組成物。
23.本治療用化合物は、8.0nm2未満の極性表面積を有する、実施形態1~22に記載の医薬組成物。
24.本治療用化合物は、6.0nm2未満の極性表面積を有する、実施形態1~22に記載の医薬組成物。
25.本治療用化合物は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を含む、実施形態1~24に記載の医薬組成物。
26.NSAIDは、サリチル酸誘導体NSAID、p-アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤またはそれらの組み合わせを含む、実施形態25に記載の医薬組成物。
27.本治療用化合物は、PPARα作動薬、PPARβ/δ作動薬、PPARγ作動薬またはグリタザールを含む、実施形態1~26に記載の医薬組成物。
28.本治療用化合物は、免疫抑制剤、尿酸排泄促進薬、アグリコンまたはカンナビジオールを含む、実施形態1~27に記載の医薬組成物。
29.本治療用化合物は、リアノジン受容体拮抗薬を含む、実施形態1~28に記載の医薬組成物。
30.リアノジン受容体拮抗薬は、アズモレンまたはダントロレンである、実施形態29に記載の医薬組成物。
31.本治療用化合物は、核内受容体結合剤を含む、実施形態1~30に記載の医薬組成物。
32.核内受容体結合剤は、レチノイン酸受容体(RAR)結合剤、レチノイドX受容体(RXR)結合剤、肝臓X受容体(LXR)結合剤、ビタミンD結合剤またはそれらの組み合わせを含む、実施形態31に記載の医薬組成物。
33.本治療用化合物は、高脂血症薬を含む、実施形態1~34に記載の医薬組成物。
34.高脂血症薬は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、ACE阻害剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、フィブラート、スタチン、トコトリエノール、ナイアシン、胆汁酸金属イオン封鎖剤(樹脂)、コレステロール吸収阻害剤、膵臓リパーゼ阻害剤、交感神経作用アミンまたはそれらの組み合わせを含む、実施形態33に記載の医薬組成物。
35.アンジオテンシンII受容体拮抗薬は、アジルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタンを含む、実施形態34に記載の医薬組成物。
36.ACE阻害剤は、スルフヒドリル含有剤、ジカルボン酸含有剤、ホスホン酸含有剤、カソキニンおよびラクトキニンを含む、実施形態34に記載の医薬組成物。
37.ホスホジエステラーゼ阻害剤は、PDE1選択的阻害剤、PDE2選択的阻害剤、PDE3選択的阻害剤、PDE4選択的阻害剤、PDE5選択的阻害剤またはPDE10選択的阻害剤を含む、実施形態34に記載の医薬組成物。
38.フィブラートは、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、フェノフィブラートまたはそれらの組み合わせを含む、実施形態34に記載の医薬組成物。
39.スタチンは、アトルバスタチン、フラバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチンまたはそれらの組み合わせを含む、実施形態34に記載の医薬組成物。
40.ナイアシンは、アシピモックス、ナイアシン、ニコチンアミド、ビタミンB3またはそれらの組み合わせを含む、実施形態34に記載の医薬組成物。
41.胆汁酸金属イオン封鎖剤は、コレスチラミン、コレセベラム、コレスチポールまたはそれらの組み合わせを含む、実施形態34に記載の医薬組成物。
42.コレステロール吸収阻害剤は、エゼチミブ、フィトステロール、ステロール、スタノールまたはそれらの組み合わせを含む、実施形態34に記載の医薬組成物。
43.脂肪吸収阻害剤は、オルリスタットを含む、実施形態34に記載の医薬組成物。
44.交感神経作用アミンは、クレンブテロール、サルブタモール、エフェドリン、プソイドエフェドリン、メタンフェタミン、アンフェタミン、フェニレフリン、イソプロテレノール、ドブタミン、メチルフェニデート、リスデキサンフェタミン、カチン、カチノン、メトカチノン、コカイン、ベンジルピペラジン(BZP)、メチレンジオキシピロバレロン(MDPV)、4-メチルアミノレックス、ペモリン、フェンメトラジン、プロピルヘキセドリンまたはそれらの組み合わせを含む、実施形態34に記載の医薬組成物。
45.本治療用化合物は、抗癌剤を含む、実施形態1~44に記載の医薬組成物。
46.抗癌剤は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、植物アルカロイドおよびテルペノイド、トポイソメラーゼ阻害剤または抗腫瘍性抗生物質を含む、実施形態45に記載の医薬組成物。
47.本治療用化合物は、メトホルミン、クルクミン、グリチルレチン酸または6-ショウガオールを含む、実施形態1~46に記載の医薬組成物。
48.本治療用化合物は、抗生物質を含む、実施形態1~46に記載の医薬組成物。
49.抗生物質は、イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミドまたはエタンブトールを含む、実施形態48に記載の医薬組成物。
50.本治療用化合物は抗蠕虫薬を含む、実施形態1~49に記載の医薬組成物。
51.抗蠕虫薬は、アバメクチン、モネパンテルなどのアミノアセトニトリル、ベンズイミダゾール、ジエチルカルバマジン、イベルメクチン、レバミゾール、ニクロサミド、エモデプシドなどのオクタデプシペプチド、ホスホン酸(メトリホナート)、プラジカンテル、デルクアンテルなどのスピロインドールまたはスラミン、パモ酸ピランテルを含む、実施形態50に記載の医薬組成物。
52.本治療用化合物は抗マラリア薬を含む、実施形態1~51に記載の医薬組成物。
53.抗マラリア薬は、アモジアキン、アルテミシニン、アトバコン、クロロキン、クリンダマイシン、ドキシサイクリン、ハロファントリン、メフロキン、プリマキン、プログアニル、ピリメタミン、キニーネおよびキニマックスやキニジンなどの関連薬剤、ルフィガロールおよびスルファドキシンやスルファメトキシピリダジンなどのスルホンアミドを含む、実施形態52に記載の医薬組成物。
54.アルテミシニンは、アルテエーテル、アルテメテル、アルテミシニン、アーテスネートまたはジヒドロアルテミシニンを含む、実施形態53に記載の医薬組成物。
55.本治療用化合物は、治療用化合物のエステルを含む、実施形態1~54に記載の医薬組成物。
56.本治療用化合物は、実施形態35~54に記載の治療用化合物のエステルを含む、実施形態1~55に記載の医薬組成物。
57.本治療用化合物は、約90重量%未満、約80重量%未満、約70重量%未満、約65重量%未満、約60重量%未満、約55重量%未満、約50重量%未満、約45重量%未満、約40重量%未満、約35重量%未満、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満または約1重量%未満あるいは約1重量%~90重量%、約1重量%~80重量%、約1重量%~75重量%、約1重量%~70重量%、約1重量%~65重量%、約1重量%~60重量%、約1重量%~55重量%、約1重量%~50重量%、約1重量%~45重量%、約1重量%~40重量%、約1重量%~35重量%、約1重量%~30重量%、約1重量%~25重量%、約1重量%~20重量%、約1重量%~15重量%、約1重量%~10重量%、約1重量%~5重量%、約2重量%~50重量%、約2重量%~40重量%、約2重量%~30重量%、約2重量%~20重量%、約2重量%~10重量%、約4重量%~50重量%、約4重量%~40重量%、約4重量%~30重量%、約4重量%~20重量%、約4重量%~10重量%、約6重量%~50重量%、約6重量%~40重量%、約6重量%~30重量%、約6重量%~20重量%、約6重量%~10重量%、約8重量%~50重量%、約8重量%~40重量%、約8重量%~30重量%、約8重量%~20重量%、約8重量%~15重量%または約8重量%~12重量%の量である、実施形態1~56に記載の医薬組成物。
58.本治療用化合物は、約0.1重量%~約45重量%、約0.1重量%~約40重量%、約0.1重量%~約35重量%、約0.1重量%~約30重量%、約0.1重量%~約25重量%、約0.1重量%~約20重量%、約0.1重量%~約15重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、約1重量%~約45重量%、約1重量%~約40重量%、約1重量%~約35重量%、約1重量%~約30重量%、約1重量%~約25重量%、約1重量%~約20重量%、約1重量%~約15重量%、約1重量%~約10重量%、約1重量%~約5重量%、約5重量%~約45重量%、約5重量%~約40重量%、約5重量%~約35重量%、約5重量%~約30重量%、約5重量%~約25重量%、約5重量%~約20重量%、約5重量%~約15重量%、約5重量%~約10重量%、約10重量%~約45重量%、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約35重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約15重量%、約15重量%~約45重量%、約15重量%~約40重量%、約15重量%~約35重量%、約15重量%~約30重量%、約15重量%~約25重量%、約15重量%~約20重量%、約20重量%~約45重量%、約20重量%~約40重量%、約20重量%~約35重量%、約20重量%~約30重量%、約20重量%~約25重量%、約25重量%~約45重量%、約25重量%~約40重量%、約25重量%~約35重量%または約25重量%~約30重量%の量である、実施形態1~57に記載の医薬組成物。
59.薬学的に許容される室温の固体脂質は、薬学的に許容されるグリセロ脂質、薬学的に許容されるグリコール脂肪酸エステル、薬学的に許容されるポリエーテル脂肪酸エステル、薬学的に許容される脂質の混合物またはそれらの任意の組み合わせである、実施形態1~58に記載の医薬組成物。
60.薬学的に許容されるグリセロ脂質は、カカオ脂、ステアリン酸PEG-6とパルミトステアリン酸エチレングリコールとステアリン酸PEG-32との混合物(TEFOSE(登録商標)1500、TEFOSE(登録商標)63)、トリセテアレス-4リン酸とパルミトステアリン酸エチレングリコールとパルミトステアリン酸ジエチレングリコールとの混合物(SEDEFOS(登録商標)75)、モノステアリン酸グリセリンとステアリン酸PEG-75との混合物(GELOT(登録商標))、セチルアルコールとエトキシ化脂肪アルコール(セテス-2-、ステアレス-20)との混合物(EMULCIRE(登録商標))、約33℃の融点を有する飽和C10~C18トリグリセリドの混合物(GELUCIRE(登録商標)33/01)、約39℃の融点を有する飽和C10~C18トリグリセリドの混合物(GELUCIRE(登録商標)39/01)、約43℃の融点を有する飽和C10~C18トリグリセリドの混合物(GELUCIRE(登録商標)43/01)、モノステアリン酸グリセリン40-55(I型)とジグリセリドとの混合物(GELEOL(登録商標)モノグリセリドおよびジグリセリド)、および中鎖トリグリセリドの混合物(LABRAFAC(登録商標)Lipophile WL 1349)である、実施形態1~59に記載の医薬組成物。
61.薬学的に許容されるグリコール脂肪酸エステルは、エチレングリコール脂肪酸エステル、ジエチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ジプロピレン脂肪酸エステル、カプリル酸エチレングリコール、ペラルゴン酸エチレングリコール、カプリン酸エチレングリコール、ウンデシル酸エチレングリコール、ラウリン酸エチレングリコール、トリデシル酸エチレングリコール、ミリスチン酸エチレングリコール、ミリストレイン酸エチレングリコール、ペンタデシル酸エチレングリコール、パルミチン酸エチレングリコール、パルミトレイン酸エチレングリコール、サピエン酸エチレングリコール、マルガリン酸エチレングリコール、ステアリン酸エチレングリコール、パルミトステアリン酸エチレングリコール、オレイン酸エチレングリコール、エライジン酸エチレングリコール、バクセン酸エチレングリコール、リノール酸エチレングリコール、リノエライジン酸エチレングリコール、α-リノレン酸エチレングリコール、γ-リノレン酸エチレングリコール、ステアリドン酸エチレングリコール、カプリルカプリン酸エチレングリコール、ジカプリルカプリン酸エチレングリコール、カプリル酸ジエチレングリコール、ペラルゴン酸ジエチレングリコール、カプリン酸ジエチレングリコール、ウンデシル酸ジエチレングリコール、ラウリン酸ジエチレングリコール、トリデシル酸ジエチレングリコール、ミリスチン酸ジエチレングリコール、ミリストレイン酸ジエチレングリコール、ペンタデシル酸ジエチレングリコール、パルミチン酸ジエチレングリコール、パルミトレイン酸ジエチレングリコール、サピエン酸ジエチレングリコール、マルガリン酸ジエチレングリコール、ステアリン酸ジエチレングリコール、パルミトステアリン酸ジエチレングリコール、オレイン酸ジエチレングリコール、エライジン酸ジエチレングリコール、バクセン酸ジエチレングリコール、リノール酸ジエチレングリコール、リノエライジン酸ジエチレングリコール、α-リノレン酸ジエチレングリコール、γ-リノレン酸ジエチレングリコール、ステアリドン酸ジエチレングリコール、カプリルカプリン酸ジエチレングリコール、ジカプリルカプリン酸ジエチレングリコール、カプリル酸プロピレングリコール、ペラルゴン酸プロピレングリコール、カプリン酸プロピレングリコール、ウンデシル酸プロピレングリコール、ラウリン酸プロピレングリコール、トリデシル酸プロピレングリコール、ミリスチン酸プロピレングリコール、ミリストレイン酸プロピレングリコール、ペンタデシル酸プロピレングリコール、パルミチン酸プロピレングリコール、パルミトレイン酸プロピレングリコール、サピエン酸プロピレングリコール、マルガリン酸プロピレングリコール、ステアリン酸プロピレングリコール、パルミトステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸プロピレングリコール、エライジン酸プロピレングリコール、バクセン酸プロピレングリコール、リノール酸プロピレングリコール、リノエライジン酸プロピレングリコール、α-リノレン酸プロピレングリコール、γ-リノレン酸プロピレングリコール、ステアリドン酸プロピレングリコール、カプリルカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリルカプリン酸プロピレングリコール、カプリル酸ジプロピレングリコール、ペラルゴン酸ジプロピレングリコール、カプリン酸ジプロピレングリコール、ウンデシル酸ジプロピレングリコール、ラウリン酸ジプロピレングリコール、トリデシル酸ジプロピレングリコール、ミリスチン酸ジプロピレングリコール、ミリストレイン酸ジプロピレングリコール、ペンタデシル酸ジプロピレングリコール、パルミチン酸ジプロピレングリコール、パルミトレイン酸ジプロピレングリコール、サピエン酸ジプロピレングリコール、マルガリン酸ジプロピレングリコール、ステアリン酸ジプロピレングリコール、パルミトステアリン酸ジプロピレングリコール、オレイン酸ジプロピレングリコール、エライジン酸ジプロピレングリコール、バクセン酸ジプロピレングリコール、リノール酸ジプロピレングリコール、リノエライジン酸ジプロピレングリコール、α-リノレン酸ジプロピレングリコール、γ-リノレン酸ジプロピレングリコール、ステアリドン酸ジプロピレングリコール、カプリルカプリン酸ジプロピレングリコール、ジカプリルカプリン酸ジプロピレングリコール、モノパルミトステアリン酸プロピレングリコール(MONOSTEOL(登録商標))、ジカプリルカプリン酸プロピレングリコール(LABRAFAC(登録商標)PG)、モノラウリン酸プロピレングリコール(I型)(LAUROGLYCOL(登録商標)FCC)、モノラウリン酸プロピレングリコール(II型)(LAUROGLYCOL(登録商標)90)、モノカプリル酸プロピレングリコール(I型)(CAPRYOL(登録商標)PGMC)、モノカプリル酸プロピレングリコール(II型)(CAPRYOL(登録商標)90)またはそれらの任意の組み合わせである、実施形態1~60に記載の医薬組成物。
62.薬学的に許容されるポリエーテル脂肪酸エステルは、PEG脂肪酸エステル、PEGグリセリル脂肪酸、PEG脂肪酸エステルグリセリド、PPG脂肪酸エステル、PPGグリセリル脂肪酸またはPPG脂肪酸エステルグリセリドである、実施形態1~61に記載の医薬組成物。
63.薬学的に許容される室温の固体脂質は、固溶体組成物を形成するのに十分な量である、実施形態1~62に記載の医薬組成物。
64.薬学的に許容される室温の固体脂質は、少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%または少なくとも99重量%あるいは約30重量%~約99重量%、約35重量%~約99重量%、約40重量%~約99重量%、約45重量%~約99重量%、約50重量%~約99重量%、約30重量%~約98重量%、約35重量%~約98重量%、約40重量%~約98重量%、約45重量%~約98重量%、約50重量%~約98重量%、約30重量%~約95重量%、約35重量%~約95重量%、約40重量%~約95重量%、約45重量%~約95重量%または約50重量%~約95重量%、約70重量%~約97重量%、約75重量%~約97重量%、約80重量%~約97重量%、約85重量%~約97重量%、約88重量%~約97重量%、約89重量%~約97重量%、約90重量%~約97重量%、約75重量%~約96重量%、約80重量%~約96重量%、約85重量%~約96重量%、約88重量%~約96重量%、約89重量%~約96重量%、約90重量%~約96重量%、約75重量%~約93重量%、約80重量%~約93重量%、約85重量%~約93重量%、約88重量%~約93重量%、約89重量%~約93重量%または約90重量%~約93重量%の量である、実施形態1~63に記載の医薬組成物。
65.薬学的に許容される室温の液体脂質は、モノグリセリドである、実施形態1~64に記載の医薬組成物。
66.モノグリセリドは、モノミリストレイン酸グリセリン、モノパルミトレイン酸グリセリン、モノサピエン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン、モノエライジン酸グリセリン、モノバクセン酸グリセリン、モノリノール酸グリセリン、モノリノエライジン酸グリセリン、モノリノレン酸グリセリン、モノステアリドン酸グリセリン、モノエイコセン酸グリセリン、モノミード酸グリセリン、モノアラキドン酸グリセリン、モノエイコサペンタエン酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、モノドコサヘキサエン酸グリセリン、モノネルボン酸グリセリン、ジベヘン酸グリセリル(COMPRITOL(登録商標)888)、ベヘン酸グリセリン(COMPRITOL(登録商標)EATO)、ジパルミトステアリン酸グリセリン(Biogapress Vegetal BM297ATO)、ジステアリン酸グリセリン(I型)(PRECIROL(登録商標)ATO5)、およびモノリノール酸グリセリン(MAISINE(商標)35-1)である、実施形態65に記載の医薬組成物。
67.薬学的に許容される室温の液体脂質は、治療用化合物を溶解するのに十分な量である、実施形態1~66に記載の医薬組成物。
68.薬学的に許容される室温の液体脂質は、約90重量%未満、約80重量%未満、約70重量%未満、約65重量%未満、約60重量%未満、約55重量%未満、約50重量%未満、約45重量%未満、約40重量%未満、約35重量%未満、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満または約1重量%未満あるいは約1重量%~90重量%、約1重量%~80重量%、約1重量%~70重量%、約1重量%~60重量%、約1重量%~50重量%、約1重量%~40重量%、約1重量%~30重量%、約1重量%~20重量%、約1重量%~10重量%、約2重量%~50重量%、約2重量%~40重量%、約2重量%~30重量%、約2重量%~20重量%、約2重量%~10重量%、約4重量%~50重量%、約4重量%~40重量%、約4重量%~30重量%、約4重量%~20重量%、約4重量%~10重量%、約6重量%~50重量%、約6重量%~40重量%、約6重量%~30重量%、約6重量%~20重量%、約6重量%~10重量%、約8重量%~50重量%、約8重量%~40重量%、約8重量%~30重量%、約8重量%~20重量%、約8重量%~15重量%または約8重量%~12重量%の量である、実施形態1~67に記載の医薬組成物。
69.安定化剤は、液体グリコールポリマー、一価アルコール、イソソルビドジメチルエーテルおよびジエチレングリコールモノエチルエーテル(2-(2-エトキシエトキシ)エタノール)(TRANSCUTOL(登録商標))である、実施形態1~68に記載の医薬組成物。
70.液体グリコールポリマーは、液体PEGポリマーおよび/または液体PPHポリマーである、実施形態69に記載の医薬組成物。
71.一価アルコールは、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールまたは1-ヘキサデカノールである、実施形態70に記載の医薬組成物。
72.薬学的に許容される安定化剤は、本治療用化合物中に存在する遊離酸または遊離塩基を安定化させるのに十分な量である、実施形態1~71に記載の医薬組成物。
73.薬学的に許容される安定化剤は、約40重量%未満、約35重量%未満、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約19重量%未満、約18重量%未満、約17重量%未満、約16重量%未満、約15重量%未満、約14重量%未満、約13重量%未満、約12重量%未満、約11重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満または未満約1%あるいは約1重量%~約5重量%、約1重量%~約7重量%、約1重量%~約10重量%、約1重量%~約12重量%、約1重量%~約15重量%、約1重量%~約18重量%、約1重量%~約20重量%、約2重量%~約5重量%、約2重量%~約7重量%、約2重量%~約10重量%、約2重量%~約12重量%、約2重量%~約15重量%、約2重量%~約18重量%、約2重量%~約20重量%、約3重量%~約5重量%、約3重量%~約7重量%、約3重量%~約10重量%、約3重量%~約12重量%、約3重量%~約15重量%、約3重量%~約18重量%、約3重量%~約20重量%、約4重量%~約5重量%、約4重量%~約7重量%、約4重量%~約10重量%、約4重量%~約12重量%、約4重量%~約15重量%、約4重量%~約18重量%、約4重量%~約20重量%、約5重量%~約7重量%、約5重量%~約10重量%、約5重量%~約12重量%、約5重量%~約15重量%、約5重量%~約18重量%、約5重量%~約20重量%、約6重量%~約7重量%、約6重量%~約10重量%、約6重量%~約12重量%、約6重量%~約15重量%、約6重量%~約18重量%、約6重量%~約20重量%、約7重量%~約10重量%、約7重量%~約12重量%、約7重量%~約15重量%、約7重量%~約18重量%、約7重量%~約20重量%、約8重量%~約10重量%、約8重量%~約12重量%、約8重量%~約15重量%、約8重量%~約18重量%、約8重量%~約20重量%、約9重量%~約10重量%、約9重量%~約12重量%、約9重量%~約15重量%、約9重量%~約18重量%、約9重量%~約20重量%、約10重量%~約12重量%、約10重量%~約15重量%、約10重量%~約18重量%または約10重量%~約20重量%の量である、実施形態1~72に記載の医薬組成物。
74.薬学的に許容される安定化剤は、溶媒として使用されない、実施形態1~73に記載の医薬組成物。
75.薬学的に許容される安定化剤により、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または5%以下の本治療用化合物の溶解が生じる、実施形態1~74に記載の医薬組成物。
76.薬学的に許容される中和剤は、本治療用化合物が溶解する際に生成されるイオン電荷を中和させるのに十分な量である、実施形態1~75に記載の医薬組成物。
77.薬学的に許容される中和剤は、本治療用化合物に対して1モル当量の量である、実施形態1~76に記載の医薬組成物。
78.薬学的に許容される中和剤は、本治療用化合物に対して1モル当量未満の量である、実施形態1~77に記載の医薬組成物。
79.薬学的に許容される中和剤は、本治療用化合物に対して1モル当量超の量である、実施形態1~78に記載の医薬組成物。
80.中和剤は、約90重量%未満、約80重量%未満、約70重量%未満、約65重量%未満、約60重量%未満、約55重量%未満、約50重量%未満、約45重量%未満、約40重量%未満、約35重量%未満、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満または約1重量%未満あるいは約1重量%~90重量%、約1重量%~80重量%、約1重量%~75重量%、約1重量%~70重量%、約1重量%~65重量%、約1重量%~60重量%、約1重量%~55重量%、約1重量%~50重量%、約1重量%~45重量%、約1重量%~40重量%、約1重量%~35重量%、約1重量%~30重量%、約1重量%~25重量%、約1重量%~20重量%、約1重量%~15重量%、約1重量%~10重量%、約1重量%~5重量%、約2重量%~50重量%、約2重量%~40重量%、約2重量%~30重量%、約2重量%~20重量%、約2重量%~10重量%、約4重量%~50重量%、約4重量%~40重量%、約4重量%~30重量%、約4重量%~20重量%、約4重量%~10重量%、約6重量%~50重量%、約6重量%~40重量%、約6重量%~30重量%、約6重量%~20重量%、約6重量%~10重量%、約8重量%~50重量%、約8重量%~40重量%、約8重量%~30重量%、約8重量%~20重量%、約8重量%~15重量%または約8重量%~12重量%の量である、実施形態1~79に記載の医薬組成物。
81.中和剤は、約0.1重量%~約45重量%、約0.1重量%~約40重量%、約0.1重量%~約35重量%、約0.1重量%~約30重量%、約0.1重量%~約25重量%、約0.1重量%~約20重量%、約0.1重量%~約15重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、約1重量%~約45重量%、約1重量%~約40重量%、約1重量%~約35重量%、約1重量%~約30重量%、約1重量%~約25重量%、約1重量%~約20重量%、約1重量%~約15重量%、約1重量%~約10重量%、約1重量%~約5重量%、約5重量%~約45重量%、約5重量%~約40重量%、約5重量%~約35重量%、約5重量%~約30重量%、約5重量%~約25重量%、約5重量%~約20重量%、約5重量%~約15重量%、約5重量%~約10重量%、約10重量%~約45重量%、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約35重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約15重量%、約15重量%~約45重量%、約15重量%~約40重量%、約15重量%~約35重量%、約15重量%~約30重量%、約15重量%~約25重量%、約15重量%~約20重量%、約20重量%~約45重量%、約20重量%~約40重量%、約20重量%~約35重量%、約20重量%~約30重量%、約20重量%~約25重量%、約25重量%~約45重量%、約25重量%~約40重量%、約25重量%~約35重量%または約25重量%~約30重量%の量である、実施形態1~80に記載の医薬組成物。
82.実施形態1~81に記載の医薬組成物をそれを必要としている個体に投与し、投与により心血管疾患に関連する症状を軽減し、それにより個体を治療する工程を含む、心血管疾患を有する個体の治療方法。
83.心血管疾患の治療のための薬の製造における実施形態1~81に記載の医薬組成物の使用。
84.心血管疾患の治療のための実施形態1~81に記載の医薬組成物の使用。
85.心血管疾患は、高脂血症、冠状動脈性心臓病、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、血管閉塞性疾患、心筋症、血管炎、炎症性心疾患、虚血性心疾患、鬱血性心不全、高血圧性心疾患、心臓弁膜症、高血圧症、心筋梗塞、糖尿病性心臓病、動脈瘤、塞栓症、剥離、偽動脈瘤、血管奇形、血管性母斑、血栓症、静脈瘤または脳卒中に関連する、実施形態82に記載の方法または実施形態83もしくは84に記載の使用。
86.高脂血症は、脂質代謝異常症、高コレステロール血症、高グリセリド血症、高トリグリセリド血症、高リポタンパク血症または高カイロミクロン血症および複合型高脂血症である、実施形態85に記載の方法または使用。
87.高リポタンパク血症は、Ia型高リポタンパク血症、Ib型高リポタンパク血症、Ic型高リポタンパク血症、IIa型高リポタンパク血症、IIb型高リポタンパク血症、III型高リポタンパク血症、IV型高リポタンパク血症またはV型高リポタンパク血症である、実施形態86に記載の方法または使用。
88.血管閉塞性疾患(VOD)は、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患または狭窄症である、実施形態85に記載の方法または使用。
89.心筋症は、外因性心筋症または内因性心筋症である、実施形態85に記載の方法または使用。
90.外因性心筋症は、先端巨大症、アルコール性心筋症、アミロイドーシス、シャーガス病、化学療法、糖尿病性心筋症、ヘモクロマトーシス、高血圧性心筋症、甲状腺機能亢進症、炎症性心筋症、虚血性心筋症、筋ジストロフィー、弁膜症性心筋症、全身性代謝性疾患に続発する心筋症、全身性栄養性疾患に続発する心筋症、冠動脈疾患または先天性心疾患である、実施形態89に記載の方法または使用。
91.内因性心筋症は、拡張型心筋症(DCM)、肥大型心筋症(HCMまたはHOCM)、催不整脈性右室心筋症(ARVC)、拘束型心筋症(RCM)、心筋緻密化障害、孤発性心室緻密化障害、ミトコンドリアミオパチー、たこつぼ心筋症またはレフラー心内膜炎である、実施形態89に記載の方法または使用。
92.血管炎は、ビュルガー病、動脈炎、脳血管炎、チャーグ・ストラウス動脈炎、クリオグロブリン血症、本態性クリオグロブリン血症性血管炎、巨細胞性動脈炎、ゴルファー血管炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、過敏性血管炎、川崎病、静脈炎、顕微鏡的多発性動脈炎/多発性血管炎、結節性多発性動脈炎、リウマチ性多発筋痛(PMR)、リウマチ性血管炎、高安動脈炎、血栓性静脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、結合組織病に続発する血管炎またはウイルス感染に続発する血管炎である、実施形態85に記載の方法または使用。
93.結合組織病に続発する血管炎は、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、再発性多発性軟骨炎、ベーチェット病である、実施形態92に記載の方法または使用。
94.炎症性心疾患は、心内膜炎、炎症性心肥大または心筋炎である、実施形態85に記載の方法または使用。
95.個体に投与するとすぐに、実施形態1~81に記載の治療用化合物を含む医薬組成物により、薬学的に許容されるアジュバントを含まないこと以外は同じである医薬組成物に含まれる治療用化合物の体内分布とは異なる本治療用化合物の体内分布が生じる、実施形態82もしくは85~94に記載の方法または実施形態83~94に記載の使用。
96.個体に投与するとすぐにマクロファージに送達される実施形態1~81に記載の医薬組成物の本治療用化合物の量は、投与される医薬組成物に含まれる本治療用化合物の総量の少なくとも5%である、実施形態82もしくは85~95に記載の方法または実施形態83~95に記載の使用。
97.個体に投与するとすぐに、実施形態1~81に記載の医薬組成物は、薬学的に許容されるアジュバントを含まないこと以外は実施形態1~81に記載の医薬組成物と比較した場合、腸の刺激を少なくとも5%減少させる、実施形態82もしくは85~96に記載の方法または実施形態83~96に記載の使用。
98.個体に投与するとすぐに、実施形態1~81に記載の医薬組成物は、薬学的に許容されるアジュバントを含まないこと以外は実施形態1~81に記載の医薬組成物と比較した場合、胃の刺激を少なくとも5%減少させる、実施形態82もしくは85~97に記載の方法または実施形態83~97に記載の使用。
【実施例】
【0184】
開示されている主題のより完全な理解を促すために、以下の非限定的な例を単に例示を目的として示す。これらの実施例は、本医薬組成物、医薬組成物の調製方法あるいは異常な脂質レベルもしくは異常な脂質レベルに関連する疾患の治療方法またはその使用に関する実施形態を含む、本明細書に記載されている実施形態のいずれも限定するものとして解釈されるべきではない。
【0185】
実施例1:示差走査熱量測定
本実施例は、治療用化合物を含む本明細書に開示されている固溶体医薬組成物の製剤を示す。
【0186】
本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の一般的な手順を使用した。室温の固体脂質以外の全ての成分を一緒に混合した。本治療用化合物を溶解するために、この混合物を撹拌しながら約50℃~約60℃の範囲の温度に加熱し、それにより溶液を生成した。次いで、室温の固体脂質をこの溶液に添加し、混合物を溶け合うまで撹拌した。次いで、混合物を放置して室温に冷却して凝固させた。各種治療用化合物を含有する代表的な製剤を表1に示す。
【表1】
【0187】
次いで、混合物を放置して室温に冷却し、凝固させた。次いで、凝固した組成物を、外観および示差走査熱量測定(DSC)により評価した。
【0188】
DSCを用いて分析している間に、濁った外観を有して凝固した製剤は結晶構造を有する古典的な固体組成物を形成し、透明な外観を有して凝固したものは非晶質構造を有する固溶体組成物を示すという一般的な傾向が観察された。次いで、透明な外観を有して凝固した組成物をさらに再融解させると、非晶質構造を有する固溶体組成物を示す沈殿物のない外観となった。
【0189】
外観および再融解アッセイを用いて、多くの製剤を、固溶体組成物を形成する能力について評価した。固体を形成するのに失敗するか濁った外観を有する固体を形成した製剤はさらに分析せずに廃棄した。同様に、透明な外観を有して凝固した組成物の再融解後に沈殿物が形成された場合も、製剤をさらに分析せずに廃棄した。透明な固体を形成した製剤は、その後にDSCでも分析した。
【0190】
透明な外観を有して凝固する代表的なイブプロフェン製剤のデータを
図1に示す。DSC分析により、個々の成分が急激で明確なピークを示すことが分かった。例えば、イブプロフェンは、75℃~78℃の明確な融点範囲を有していた(
図1A)。同様に、GELUCIRE(登録商標)43/01などの室温の固体脂質すなわち固い脂肪は、41℃~45℃の明確な融点範囲を有していた(
図1B)。これらの急激で明確な融点温度範囲は、明確な結晶構造を有する古典的な固体転移段階中の組成物を示す。MAISINE(登録商標)35-1およびPEG400は室温で液体であり、従って、20℃未満の融点を有する。例えば、MAISINE(登録商標)35-1は、約14℃~約16℃の融点温度範囲を有し、PEG400は、約4℃~約8℃の融点温度範囲を有する。
【0191】
室温の固体脂質(固い脂肪)、室温の液体脂質および安定化剤を含む溶媒をDSCで調べた際に、予期せずに、新しい融点温度ピークが現れた。例えば、41℃~45℃のGELUCIRE(登録商標)43/01のピークに加えて、DSC分析により、約32℃~約38℃の新しい広い融点温度範囲が特定された(
図1C)。この温度範囲は、個々の成分単体の融点範囲すなわちGELUCIRE(登録商標)43/01では41℃~45℃、MAISINE(登録商標)35-1では14℃~16℃、PEG400では4℃~8℃とは異なっていた。これらの結果は、組成物の一部が古典的な固相の代わりに固溶体相になっていることを示している。
【0192】
驚くべきことに、この溶媒と共に本治療用化合物を含む製剤は、個々の成分(
図1D~
図1H)とは異なる融点温度を有する広い融解範囲を示した。さらに、本治療用化合物単体または固い脂肪単体のいずれか一方に関するピークは検出されなかった。例えば、イブプロフェンは、75℃~78℃の融点温度範囲を有し、GELUCIRE(登録商標)43/01は、41℃~45℃の融点を有し、MAISINE(登録商標)35-1は、14℃~16℃の融点温度を有し、PEG400は、4℃~8℃の融点温度を有する。しかし、これらの成分を含む製剤により、使用される量および比に応じて35℃~40℃の融点を有する組成物が得られた。異なる固体成分の古典的な混合相では、各個々のピーク、すなわち、イブプロフェンでは75℃~78℃、GELUCIRE(登録商標)43/01では41℃~45℃が分離された。この事例では、これらのピークが一斉に消えなかった。凝固した組成物に関する単一の新しい融点ピークの存在および個々の成分の融点ピークの同時消失は、治療用化合物および室温の固体脂質(固い脂肪)の新規な固溶体構造が形成されたことを示している。
【0193】
実施例2:アルテメテルを含む固溶体医薬組成物
本実施例は、アルテメテルを含む本明細書に開示されている固溶体医薬組成物の調製方法を示す。
【0194】
アルテメテルを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約1.0gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)および約0.5mLのトリブチリン(室温の液体脂質として)を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶け合うまで撹拌しながら約40℃~約50℃に加熱した。約40mgのアルテメテルを約0.8mLのこの溶け合った混合物に添加し、溶解するまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。
【0195】
この製剤は透明な外観を有して凝固した。また、DSC分析は、約35℃~約40℃の新しい広い融点温度範囲を示した(
図2)。この温度範囲は、個々の成分単体の温度範囲すなわちGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)では41℃~45℃、アルテメテルでは86℃~90℃とは異なっていた。トリブチリンは室温で液体であり、従って、20℃未満の融点を有する。これらの結果は、アルテメテルを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0196】
実施例3:アスピリンを含む固溶体医薬組成物
本実施例は、アスピリンを含む本明細書に開示されている固溶体医薬組成物の調製方法を示す。
【0197】
アスピリンを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約120mgのアスピリンおよび約0.5mLのイソソルビドジメチルエステル(安定化剤として)を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約1.0gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。
【0198】
この製剤は透明な外観を有して凝固した。また、DSC分析は、約35℃~約40℃の新しい広い融点温度範囲を示した(
図3)。この温度範囲は、個々の成分単体の温度範囲、すなわちGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)では41℃~45℃、アスピリンでは138℃~140℃とは異なっていた。イソソルビドジメチルエステルは室温で液体であり、従って、20℃未満の融点を有する。これらの結果は、アスピリンを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0199】
実施例4:ダントロレンを含む固溶体医薬組成物
本実施例は、ダントロレンを含む本明細書に開示されている固溶体医薬組成物の調製方法を示す。
【0200】
ダントロレンを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約232.7mgのステアリン酸(中和剤として)を容器に添加し、融解するまで撹拌しながら約70℃~約75℃に加熱した。約250.2mgのダントロレンナトリウム塩および20mLのイソソルビドジメチルエステル(安定化剤として)を、融解したステアリン酸に添加し、均一な稠度が達成されるまで撹拌した。約20.02gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。
【0201】
この製剤は透明な外観を有して凝固した。また、DSC分析は、約34℃~約39℃の新しい広い融点温度範囲を示した(
図4)。この温度範囲は、個々の成分単体の温度範囲、すなわちGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)では41℃~45℃、ステアリン酸では70℃、ダントロレンでは279℃~280℃とは異なっていた。イソソルビドジメチルエステルは室温で液体であり、従って、20℃未満の融点を有する。これらの結果は、ダントロレンを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0202】
ダントロレンを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約309.8mgのステアリン酸(中和剤として)を容器に添加し、融解するまで撹拌しながら約70℃~約75℃に加熱した。約59.6mgのダントロレンナトリウム塩を、融解したステアリン酸に添加し、均一な稠度が達成されるまで撹拌した。0.75mLのイソソルビドジメチルエステル(安定化剤として)を添加し、全ての成分が溶解するまで混合物を撹拌した。約760.3mgのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。この製剤は透明な外観を有して凝固し、沈殿物を形成することなく再融解した。これらの結果は、ダントロレンを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0203】
ダントロレンを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約250.2mgのステアリン酸(中和剤として)を容器に添加し、融解するまで撹拌しながら約70℃~約75℃に加熱した。約50.3mgのダントロレンナトリウム塩を、融解したステアリン酸に添加し、均一な稠度が達成されるまで撹拌した。5.0mLのイソソルビドジメチルエステル(安定化剤として)を添加し、全ての成分が溶解するまで混合物を撹拌した。約5.0gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。この製剤は透明な外観を有して凝固し、沈殿物を形成することなく再融解した。これらの結果は、ダントロレンを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0204】
ダントロレンを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約225.0mgのステアリン酸(中和剤として)を容器に添加し、融解するまで撹拌しながら約70℃~約75℃に加熱した。約25.1mgのダントロレンナトリウム塩を、融解したステアリン酸に添加し、均一な稠度が達成されるまで撹拌した。2.0mLのイソソルビドジメチルエステル(安定化剤として)を添加し、全ての成分が溶解するまで混合物を撹拌した。約2.07gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。この製剤は透明な外観を有して凝固し、沈殿物を形成することなく再融解した。これらの結果は、ダントロレンを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0205】
ダントロレンを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約224.9mgのステアリン酸(中和剤として)を容器に添加し、融解するまで撹拌しながら約70℃~約75℃に加熱した。約25.1mgのダントロレンナトリウム塩を、融解したステアリン酸に添加し、均一な稠度が達成されるまで撹拌した。0.75mLのイソソルビドジメチルエステル(安定化剤として)を添加し、全ての成分が溶解するまで混合物を撹拌した。約304.1mgのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。この製剤は透明な外観を有して凝固し、沈殿物を形成することなく再融解した。これらの結果は、ダントロレンを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0206】
実施例5:ジクロフェナクを含む固溶体医薬組成物
本実施例は、ジクロフェナクを含む本明細書に開示されている固溶体医薬組成物の調製方法を示す。
【0207】
ジクロフェナクを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約119mgのジクロフェナク、約1.0mLのMAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)、モノリノール酸グリセリル(室温の液体脂質として)および約0.3mLのイソソルビドジメチルエステル(安定化剤として)を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約1.0gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。
【0208】
この製剤は透明な外観を有して凝固した。また、DSC分析は、約35℃~約40℃の新しい広い融点温度範囲を示した(
図5)。この温度範囲は、個々の成分単体の温度範囲、すなわちGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)では41℃~45℃、ジクロフェナクでは157℃~158℃とは異なっていた。MAISINE(登録商標)35-1およびイソソルビドジメチルエステルは室温で液体であり、従って、どちらも20℃未満の融点を有している。これらの結果は、ジクロフェナクを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0209】
実施例6:フェノフィブラートを含む固溶体医薬組成物
本実施例は、フェノフィブラートを含む本明細書に開示されている固溶体医薬組成物の調製方法を示す。
【0210】
フェノフィブラートを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約400mgのフェノフィブラートおよび4.0gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶け合うまで撹拌しながら約45℃~約55℃に加熱した。約0.76mLのイソソルビドジメチルエステル(安定化剤として)をこの混合物に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。
【0211】
この製剤は透明な外観を有して凝固した。また、DSC分析は、約34℃~約39℃の新しい広い融点温度範囲を示した(
図6)。この温度範囲は、個々の成分単体の温度範囲、すなわちGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)では41℃~45℃、フェノフィブラートでは80℃~85℃とは異なっていた。イソソルビドジメチルエステルは室温で液体であり、従って、20℃未満の融点を有する。これらの結果は、フェノフィブラートを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0212】
実施例7:ゲムフィブロジルを含む固溶体医薬組成物
本実施例は、ゲムフィブロジルを含む本明細書に開示されている固溶体医薬組成物の調製方法を示す。
【0213】
ゲムフィブロジルを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約1gのゲムフィブロジル、約0.9mLのMAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)、モノリノール酸グリセリル(室温の液体脂質として)および約0.4mLのPEG400(安定化剤として)を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約1.9gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。この製剤は透明な外観を有して凝固し、沈殿物を形成することなく再融解した。これらの結果は、ゲムフィブロジルを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0214】
ゲムフィブロジルを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約1gのゲムフィブロジルおよび34℃~38℃の融点を有し、かつ飽和C16~C18トリグリセリドの混合物を含む7.5gのカカオ脂ワックス状固体(室温の固体脂質として)を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶け合うまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。この製剤は透明な外観を有して凝固し、沈殿物を形成することなく再融解した。これらの結果は、ゲムフィブロジルを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0215】
実施例8:イブプロフェンを含む固溶体医薬組成物
本実施例は、イブプロフェンを含む本明細書に開示されている固溶体医薬組成物の調製方法を示す。
【0216】
イブプロフェンを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約1gのイブプロフェンナトリウム塩、約0.9mLのMAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)、モノリノール酸グリセリル(室温の液体脂質として)および約0.4mLのPEG400を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約1.9gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。
【0217】
この製剤は透明な外観を有して凝固した。また、DSC分析は、約32℃~約44℃の新しい広い融点温度範囲を示した(
図1D)。この温度範囲は、個々の成分単体の温度範囲、すなわちGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)では41℃~45℃、イブプロフェンでは75℃~78℃とは異なっていた。MAISINE(登録商標)35-1およびPEG400は室温で液体であり、従って、どちらも20℃未満の融点を有している。これらの結果は、イブプロフェンを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0218】
イブプロフェンを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約1gのイブプロフェンナトリウム塩、約0.5mLのMAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)、モノリノール酸グリセリル(室温の液体脂質として)および約0.4mLのPEG400を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約2.3gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。
【0219】
この製剤は透明な外観を有して凝固した。また、DSC分析は、約32℃~約43℃の新しい広い融点温度範囲を示した(
図1E)。この温度範囲は、個々の成分単体の温度範囲、すなわちGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)では41℃~45℃、イブプロフェンでは75℃~78℃とは異なっていた。MAISINE(登録商標)35-1およびPEG400は室温で液体であり、従って、どちらも20℃未満の融点を有している。これらの結果は、イブプロフェンを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0220】
イブプロフェンを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約1gのイブプロフェンナトリウム塩、約0.2mLのMAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)、モノリノール酸グリセリル(室温の液体脂質として)および約0.4mLのPEG400を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約2.6gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。
【0221】
この製剤は透明な外観を有して凝固した。また、DSC分析は、約32℃~約42℃の新しい広い融点温度範囲を示した(
図1F)。この温度範囲は、個々の成分単体の温度範囲、すなわちGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)では41℃~45℃、イブプロフェンでは75℃~78℃とは異なっていた。MAISINE(登録商標)35-1およびPEG400は室温で液体であり、従って、どちらも20℃未満の融点を有している。これらの結果は、イブプロフェンを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0222】
イブプロフェンを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約5gのイブプロフェンナトリウム塩、約9.5mLのMAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)、モノリノール酸グリセリル(室温の液体脂質として)および約1.0mLのPEG400を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約4.0gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。
【0223】
この製剤は透明な外観を有して凝固した。また、DSC分析は、約32℃~約38℃の新しい広い融点温度範囲を示した(
図1G)。この温度範囲は、個々の成分単体の温度範囲、すなわちGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)では41℃~45℃、イブプロフェンでは75℃~78℃とは異なっていた。MAISINE(登録商標)35-1およびPEG400は室温で液体であり、従って、どちらも20℃未満の融点を有している。これらの結果は、イブプロフェンを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0224】
イブプロフェンを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約5gのイブプロフェンナトリウム塩、約6.5mLのMAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)、モノリノール酸グリセリル(室温の液体脂質として)および約1.5mLのPEG400を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約6.5gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。
【0225】
この製剤は透明な外観を有して凝固した。また、DSC分析は、約32℃~約42℃の新しい広い融点温度範囲を示した(
図1H)。この温度範囲は、個々の成分単体の温度範囲、すなわちGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)では41℃~45℃、イブプロフェンでは75℃~78℃とは異なっていた。MAISINE(登録商標)35-1およびPEG400は室温で液体であり、従って、どちらも20℃未満の融点を有している。これらの結果は、イブプロフェンを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0226】
イブプロフェンを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約1gのイブプロフェンナトリウム塩、約0.9mLのMAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)、モノリノール酸グリセリル(室温の液体脂質として)、約0.4mLのPEG400および約0.3mLプロピレングリコールを容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約1.9gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。この製剤は透明な外観を有して凝固し、沈殿物を形成することなく再融解した。これらの結果は、イブプロフェンを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0227】
イブプロフェンを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約5gのイブプロフェン遊離酸、約5gのイブプロフェンナトリウム塩、約8mLのMAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)、モノリノール酸グリセリル(室温の液体脂質として)、約3mLのPEG400および約1mLプロピレングリコールを容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約19gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。この製剤は透明な外観を有して凝固し、沈殿物を形成することなく再融解した。これらの結果は、イブプロフェンを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0228】
実施例9:リドカインを含む固溶体医薬組成物
本実施例は、リドカインを含む本明細書に開示されている固溶体医薬組成物の調製方法を示す。
【0229】
リドカインを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約200mgのリドカインベースおよび約2.0mLのイソソルビドジメチルエステル(安定化剤として)を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約8.8gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。
【0230】
この製剤は透明な外観を有して凝固した。また、DSC分析は、約34℃~約40℃の新しい広い融点温度範囲を示した(
図7)。この温度範囲は、個々の成分単体の温度範囲、すなわちGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)では41℃~45℃、リドカインでは66℃~69℃とは異なっていた。イソソルビドジメチルエステルは室温で液体であり、従って、20℃未満の融点を有する。これらの結果は、リドカインを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0231】
リドカインを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約250.1mgのリドカインベースおよび約1.74mLのイソソルビドジメチルエステル(安定化剤として)を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約8.72gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。
【0232】
リドカインを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約500.4mgのリドカインベースおよび約1.74mLのイソソルビドジメチルエステル(安定化剤として)を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約8.5gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。
【0233】
リドカインを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約250.4mgのリドカインベースおよび約0.87mLのイソソルビドジメチルエステル(安定化剤として)を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶け合うまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。別に、約250.1mgのプリロカインHClベース、0.13mLのトリエタノールアミン(中和剤として)および約0.87mLのイソソルビドジメチルエステル(安定化剤として)を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶け合うまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。リドカインおよびプリロカインの混合物を1つにまとめ、全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約8.49gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。
【0234】
実施例10:ナブメトンを含む固溶体医薬組成物
本実施例は、ナブメトンを含む本明細書に開示されている固溶体医薬組成物の調製方法を示す。
【0235】
ナブメトンを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約126mgのナブメトンおよび約0.5mLのMAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)、モノリノール酸グリセリル(室温の液体脂質として)を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約1.0gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。
【0236】
この製剤は透明な外観を有して凝固した。また、DSC分析は、約35℃~約40℃の新しい広い融点温度範囲を示した(
図8)。この温度範囲は、個々の成分単体の温度範囲、すなわちGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)では41℃~45℃、ナブメトンでは80℃~81℃とは異なっていた。MAISINE(登録商標)35-1は室温で液体であり、従って、20℃未満の融点を有する。これらの結果は、ナブメトンを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0237】
実施例11:ナプロキセンを含む固溶体医薬組成物
本実施例は、ナプロキセンを含む本明細書に開示されている固溶体医薬組成物の調製方法を示す。
【0238】
ナプロキセンを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約250.1mgのナプロキセンおよび約0.75mLのMAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)、モノリノール酸グリセリル(室温の液体脂質として)を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約750.9mgのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。この製剤は透明な外観を有して凝固した。これらの結果は、ナプロキセンを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0239】
ナプロキセンを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約650.5mgのナプロキセンおよび約1.2mLのMAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)、モノリノール酸グリセリル(室温の液体脂質として)を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約1.234gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。
【0240】
この製剤は透明な外観を有して凝固した。また、DSC分析は、約30℃~約39℃の新しい広い融点温度範囲を示した(
図9)。この温度範囲は、個々の成分単体の温度範囲、すなわちGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)では41℃~45℃、ナプロキセンでは153℃~154℃とは異なっていた。MAISINE(登録商標)35-1は室温で液体であり、従って、20℃未満の融点を有する。これらの結果は、ナプロキセンを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0241】
実施例12:ペントキシフィリンを含む固溶体医薬組成物
本実施例は、ペントキシフィリンを含む本明細書に開示されている固溶体医薬組成物の調製方法を示す。
【0242】
ペントキシフィリンを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約208mgのペントキシフィリン、約1.0mLのMAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)、モノリノール酸グリセリル(室温の液体脂質として)および約0.2mLのイソソルビドジメチルエステル(安定化剤として)を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約1.0gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。この製剤は透明な外観を有して凝固し、沈殿物を形成することなく再融解した。これらの結果は、ペントキシフィリンを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0243】
実施例13:サルブタモールを含む固溶体医薬組成物
本実施例は、サルブタモールを含む本明細書に開示されている固溶体医薬組成物の調製方法を示す。
【0244】
サルブタモールを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約61mgのサルブタモール、約0.6mLのMAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)、モノリノール酸グリセリル(室温の液体脂質として)、1.0mLのイソソルビドジメチルエーテル(安定化剤として)および約1.0mL無水エタノール(安定化剤として)を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約10gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。
【0245】
この製剤は透明な外観を有して凝固した。また、DSC分析は、約32℃~約40℃の新しい広い融点温度範囲を示した(
図10)。この温度範囲は、個々の成分単体の温度範囲、すなわちGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)では41℃~45℃、サルブタモールでは157℃~158℃とは異なっていた。MAISINE(登録商標)35-1、イソソルビドジメチルエーテルおよび無水エタノールは、室温で液体であり、従って、全てが20℃未満の融点を有している。これらの結果は、サルブタモールを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0246】
実施例14:サルメテロールを含む固溶体医薬組成物
本実施例は、サルメテロールを含む本明細書に開示されている固溶体医薬組成物の調製方法を示す。
【0247】
サルメテロールを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約11mgのキシナホ酸サルメテロール、約1.0mLのMAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)、モノリノール酸グリセリル(室温の液体脂質として)および約1.0mLの無水エタノール(安定化剤として)を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約2.04gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。
【0248】
この製剤は透明な外観を有して凝固した。また、DSC分析は、約34℃~約43℃の新しい広い融点温度範囲を示した(
図11)。この温度範囲は、個々の成分単体の温度範囲、すなわちGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)では41℃~45℃、サルメテロールでは137℃~138℃とは異なっていた。MAISINE(登録商標)35-1および無水エタノールは室温で液体であり、従って、どちらも20℃未満の融点を有している。これらの結果は、サルメテロールを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0249】
実施例15:シンバスタチンを含む固溶体医薬組成物
本実施例は、シンバスタチンを含む本明細書に開示されている固溶体医薬組成物の調製方法を示す。
【0250】
シンバスタチンを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約200mgのシンバスタチンおよび約2.5mLのMAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)、モノリノール酸グリセリル(室温の液体脂質として)を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約5gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。
【0251】
この製剤は透明な外観を有して凝固した。また、DSC分析は、約32℃~約42℃の新しい広い融点温度範囲を示した(
図12)。この温度範囲は、個々の成分単体の温度範囲、すなわちGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)では41℃~45℃、シンバスタチンでは135℃~138℃とは異なっていた。MAISINE(登録商標)35-1および無水エタノールは室温で液体であり、従って、どちらも20℃未満の融点を有している。これらの結果は、シンバスタチンを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0252】
実施例16:テルミサルタンを含む固溶体医薬組成物
本実施例は、テルミサルタンを含む本明細書に開示されている固溶体医薬組成物の調製方法を示す。
【0253】
テルミサルタンを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約60.1mgのテルミサルタンおよび約2.0mLのイソソルビドジメチルエーテル(安定化剤として)を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約2.03gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。この製剤は透明な外観を有して凝固し、沈殿物を形成することなく再融解した。これらの結果は、テルミサルタンを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0254】
テルミサルタンを用いて本明細書に開示されている固溶体医薬組成物を調製するために、以下の方法を行った。約160.2mgのテルミサルタン、約1.0mLのMAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)、モノリノール酸グリセリル(室温の液体脂質として)および約1.0mLの無水エタノール(安定化剤として)を容器に添加し、混合物の全ての成分が溶解するまで撹拌しながら約50℃~約60℃に加熱した。約2.03gのGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、41℃~45℃の融点を有し、かつ飽和C10~C18トリグリセリドの混合物を含むワックス状固体(室温の固体脂質として)をこの溶液に添加し、溶け合うまで撹拌した。次いで、加熱した混合物を約37℃~約40℃に冷却し、型に入れて等分し、室温に冷却した。あるいは、混合物を室温に冷却し、次いで型の中に等分するために、その後に約40℃~約45℃に再加熱することができる。
【0255】
この製剤は透明な外観を有して凝固した。また、DSC分析は、約34℃~約43℃の新しい広い融点温度範囲を示した(
図13)。この温度範囲は、個々の成分単体の温度範囲、すなわちGELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)では41℃~45℃、テルミサルタンでは261℃~263℃とは異なっていた。MAISINE(登録商標)35-1および無水エタノールは室温で液体であり、従って、どちらも20℃未満の融点を有している。これらの結果は、テルミサルタンを含む本明細書に開示されている固溶体製剤が形成されたことを示している。
【0256】
実施例17:マクロファージ取り込み実験
本実施例は、本明細書に開示されている固溶体医薬組成物が、免疫系を優先的に治療用化合物の標的にすることをを示す。
【0257】
U937単球細胞株の培養物を、細胞が90%コンフルエントな単層に到達するまで、10%ウシ胎児血清(FCS)を添加したRPMI-1640中で増殖させた。次いで、これらの細胞をPMAで処理し、細胞がマクロファージに分化するまで、37℃のインキュベータ内、5%の二酸化炭素中でインキュベートした。マクロファージの単層を新鮮な培養液で洗浄し、次いで3mLの以下の試験溶液、すなわちA)イブプロフェン、GELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse社)、MAISINE(登録商標)35-1(Gattefosse社)およびPEG400を含む本明細書に開示されている固溶体製剤、B)イブプロフェン、菜種油およびエタノールを含む本明細書に開示されている液体製剤、C)イブプロフェン遊離酸、およびD)治療用化合物を含まない溶媒のうちの1つを添加した。45分間のインキュベート後に、試験溶液の上澄み除去し、分析のために保存し、次いで細胞をPBSで数回洗浄し、2サイクルの凍結融解で溶解した。試験溶液中に存在する治療用化合物、試験溶液の上澄み、および細胞溶解物画分の濃度をHPLCで測定した。マクロファージによって取り込まれた治療用化合物の割合を、以下の式:吸着された治療用化合物の割合(%)=100×(細胞溶解物から回収された化合物の質量)/(試験溶液中の送達された化合物の質量-試験溶液の上澄みから回収された化合物の質量)を用いて計算した。結果を以下の表1に示す。これらの結果は、このように製剤化されていない組成物に対して、本特許請求されている医薬組成物の製剤を用いると、マクロファージによる治療用化合物の平均取り込みが550%以上増加することを示している。
【表2】
【0258】
実施例18:胃の糜爛のための動物モデル
本明細書に開示されている医薬組成物が胃の刺激を減少させるか否かを評価するために、胃の糜爛マウスモデルを用いて実験を行った。
【0259】
SDラットを、それぞれ5匹の動物を含む7つの実験群に分けた。一晩絶食させた後、各群の動物に対して7種類の異なる治療のうちの1つを行った。A群は対照であり、各マウスに1%メチルセルロース/0.5%ポリソルベート80溶媒のみを経口投与した。B群は対照であり、各マウスに溶媒/アジュバントのみを経口投与した(10%エタノールおよび90%亜麻仁油の経管栄養)。C群は対照であり、各マウスに150mg/kgのアスピリンを経口投与した。D群は対照であり、各マウスに1%メチルセルロース/0.5%ポリソルベート80に懸濁させた100mg/kgのイブプロフェンを経口投与した。E群は実験群であり、各マウスに100mg/kgのイブプロフェン、10%エタノールおよび90%亜麻仁油を含む本明細書に開示されている医薬組成物(BC1054-100)を投与した。F群は対照であり、各マウスに1%メチルセルロース/0.5%ポリソルベート80に懸濁させた100mg/kgのイブプロフェンを経口投与した。G群は実験群であり、各マウスに、200mg/kgのイブプロフェン、10%エタノールおよび90%亜麻仁油を含む本明細書に開示されている医薬組成物(BC1054-200)を投与した。治療から4時間後に動物を屠殺し、出血の程度および粘膜糜爛病変部の重症度について胃を調べた。胃の刺激を、0:病変なし、1:充血、2:1箇所または2箇所の僅かな病変、3:3箇所以上の僅かな病変または深刻な病変、4:非常に深刻な病変としてスコア化した。C群(アスピリン治療対照群)(これを100%に設定した)に対して50%以上のスコアを、胃の刺激について陽性のスコアとみなした。
【0260】
結果を表4に示す。D群(100mg/kgのイブプロフェン治療対照群)およびF群(200mg/kgのイブプロフェン治療対照群)はそれぞれ、C群(アスピリン治療対照群)によって誘発されたものと同程度に深刻な75%および95%の胃の病変部を生じさせた。しかし、E群(BC1054-100治療実験群)およびG群(BC1054-200治療実験群)はそれぞれ、C群(アスピリン治療対照群)に関する病変部の深刻度の20%および40%の胃の病変部を生じさせた。これらの結果は、本明細書に開示されている医薬組成物では、治療用化合物が粘膜病変部を生じさせ、かつ胃の刺激を引き起こし得る程度が減少することを実証している。
【表3】
【0261】
実施例19:炎症性腸疾患のための動物モデル
炎症性腸疾患の治療における本明細書に開示されている医薬組成物の有効性を評価するために、TBS誘発性大腸炎マウスモデルを用いて実験を行った。
【0262】
C57BI/6雄マウス(6~7週齢)を、それぞれが少なくとも10匹の動物を含む7つの実験群に分けた。0日目に、イソフルラン麻酔下でTNBS(4mg)の50%エタノール溶液100μLを直腸内投与して、B~G群のマウスにおいて大腸炎を誘発させた。1日目~5日目に、7種類の異なる治療薬のうちの1つを動物に1日1回または3回投与した。A群は対照であり、各マウスにエタノール溶媒のみを経口投与した。B群は対照であり、各マウスに1%メチルセルロース溶媒のみを経口投与した。C群は対照であり、各マウスに溶媒/アジュバントのみを経口投与した(10%エタノールおよび90%亜麻仁油の経管栄養)。D群は対照であり、各マウスに3mg/kgのプレドニゾロンを経口投与した。E群は対照であり、各マウスに1%メチルセルロース(1mL/kg)に懸濁させた20mg/kgのイブプロフェン(アジュバントなし)を経口投与した。F群は実験群であり、各マウスに20mg/kgのイブプロフェン、10%エタノールおよび90%亜麻仁油を含む本明細書に開示されている医薬組成物(BC1054-20)を投与した。G群は実験群であり、各マウスに30mg/kgのイブプロフェン、10%エタノールおよび90%亜麻仁油を含む本明細書に開示されている医薬組成物(BC1054-30)を投与した。全ての動物の体重を毎日測定し、下痢および/または血便の存在について目視で評価した。3日目および5日目に、全ての動物においてビデオ内視鏡検査を用いて大腸炎の重症度を評価し、この検査では、画像を撮影し、盲検観察者が大腸炎の重症度を目視で、0:正常、1:血管分布の喪失、2:血管分布の喪失および脆弱性、3:脆弱性および糜爛、4:潰瘍化および出血とする0~4のスケールでスコア化した。5日目の内視鏡検査後に、動物を屠殺し、結腸を取り出し、その長さおよび重量を測定した。血清試料を得、結腸を10%ホルマリンで固定した。結腸組織のさらなる小片を回収し、重量を測り、液体窒素中で瞬間凍結した。
【0263】
これらの実験の結果を表5に示す。B群(TNBS治療対照群)は、A群(未治療エタノール対照群)と比較した場合、平均体重変化において統計的に有意な差を示し、全ての他の比較群は、平均体重変化において差を示さなかった。B群(TNBS治療対照群)は、A群(未治療エタノール対照群)と比較した場合、平均結腸長さにおいて統計的に有意な減少を示した。さらに、D群(プレドニゾロン治療対照群)、F群(BC1054-20治療実験群)およびG群(BC1054-30治療実験群)は全て、B群(TNBS治療対照群)と比較した場合、平均結腸長さにおいて統計的に有意な増加を示した。B群(TNBS治療対照群)は、A群(未治療エタノール対照群)と比較した場合、平均結腸重量において統計的に有意な増加を示したが、全ての他の比較群は、平均結腸重量において差を示さなかった。内視鏡検査大腸炎スコアに関しては、D群(プレドニゾロン治療対照群)は、B群(TNBS治療対照群)と比較した場合、3日目および5日目に統計的に有意な平均大腸炎スコアの減少を示した。同様の方法で、F群(BC1054-20治療実験群)およびG群(BC1054-30治療実験群)の両方が、B群(TNBS治療対照群)と比較した場合、5日目に統計的に有意な平均大腸炎スコアの減少を示した。これらの結果は、本明細書に開示されている医薬組成物が炎症性腸疾患の治療において有効であったことを示している。
【表4】
【0264】
実施例20:全身性関節炎のための動物モデル
本明細書に開示されている医薬組成物の関節炎の治療における有効性を評価するために、関節リウマチなどの全身性関節炎を模倣したα-コラーゲン抗体誘発性関節炎(ACAIA)マウスのモデルを用いて実験を行った。
【0265】
雄のBALB/cマウスを、それぞれが10匹の動物を含む8つの群に分けた。調査0日目(調査開始日)に、関節炎の症状を誘発するために、8つの群全てのマウスに4種類のα-コラーゲンIIモノクローナル抗体(ARTHRITOMAB(商標)、MD Biosciences社)の2mgの混合物を含む200μLの抗体溶液を静脈内注射し、次いで、調査3日目に100μgリポ多糖類(LPS)を含有する溶液200μLを腹膜内注射した。各群を、以下のように0~11日目に毎日投与される対照もしくは試験治療に供した:1群のマウス(1M)を、1日3回投与される1%メチルセルロースを含有する溶媒製剤で経口治療し、2群のマウス(2M)を、1日1回投与される10mg/kgのエタネルセプト(ENBREL(登録商標)、Wyeth社)を含有する陽性対照製剤で腹膜内治療し、3群のマウス(3M)を、1日1回投与されるイブプロフェンおよび菜種油を含む20mg/kgの試験液体製剤(BC1054 LF-RO)で経口治療し、4群のマウス(4M)を、1日3回投与されるイブプロフェンおよび菜種油を含む20mg/kgの試験液体製剤(BC1054 LF-RO)で経口治療し、5群のマウス(5M)を、1日3回投与されるイブプロフェンおよびモノリノール酸グリセリル(MAISINE(登録商標)35-1、Gattefosse社)を含む20mg/kgの試験液体製剤(BC1054 LF-MA)で経口治療し、6群のマウス(6M)を、1日3回投与されるイブプロフェンおよびカカオ脂を含む20mg/kgの試験固体製剤(BC1054 LF-TO)で経口治療し、7群のマウス(7M)を、1日3回投与される20mg/kgのイブプロフェンを含む対照製剤1で経口治療し、8群のマウス(8M)を、1日3回投与されるイブプロフェンおよび37℃~41℃の融点を有し、かつ飽和C
10~C
18トリグリセリドの混合物(GELUCIRE(登録商標)39/01、Gattefosse社)を含むワックス状固体を含む20mg/kgの試験固体製剤(BC1054 LF-GE)で経口治療した(表6)。投与する用量は、各動物の体重が平均20gであるという仮定に基づいて計算した。陽性対照(2M)が投与される動物に200μLを投与したこと以外は、一定体積の100μLを各マウスに投与した。
【表5】
【0266】
関節炎の誘発の少し前の調査0日目ならびにその後の調査3~7、9、10および12日目(試験終了日)に、全てのマウスおいて関節炎の発症および臨床検査を監視した。関節炎の発症を評価するために、関節炎スコアおよび足の厚さ(体積変動記録法)測定値の両方を得た。関節炎スコアは、0~4のスケールの昇順の重症度(関節炎反応を全く示さない0段階、足首/手首の軽度だが確かな発赤および腫れまたは冒されている足の指の数に関わらず個々の足の指に限定された見かけ上の発赤および腫れを示す1段階、足首/手首の中度から深刻な発赤および腫れを示す2段階、足の指を含む足全体の発赤および腫れを示す3段階、および複数の関節が関与する最大に腫れ上がった肢を示す4段階)を用いる関節炎反応の目視評価に基づいていた。足の厚さを、足の肉球の真上であって踵骨の下の両後足について、ダイヤルキャリパ(Kroeplin社、ドイツのミュンヘン)を用いて測定した。足の厚さの測定値の平均値を決定し、必要に応じて、チューキーの事後解析を含むANOVAによるデータ分析を適用して治療効果の有意性を決定した。
【0267】
臨床検査には、体重の変化、皮膚、毛皮、眼、粘膜の状態、分泌物および排泄物(例えば下痢)の発生ならびに自律神経活動(例えば、流涙、流涎、起毛、瞳孔の大きさ、異常な呼吸パターン)が含まれていた。歩調の変化、姿勢および処置への反応ならびに奇異な行動、振戦、痙攣、睡眠および昏睡の存在にも留意した。調査終了時に血清を回収した。
【0268】
全ての群において、3日目から関節炎の発生が増加した。1M動物群では、発生のピークは7日目であり、9/10匹の動物が関節炎反応を示し、これは調査の終了時まで比較的一定のままであった。エタネルセプト治療群の2Mマウスでは、発生のピークは6日目であり、9/10匹の動物が兆候を示したが、12日目までに1/10匹まで減少した。BC1054 LS-ROを1日1回または3回投与した3M群および4M群動物における関節炎のピークの発生は7日目であり(それぞれ9/10および7/10匹の動物)、これは、12日目までに両群において4/10匹のマウスまで減少した。BC1054 LS-MAを投与した5M群動物では、関節炎の発生のピークは6日目であり、8/10匹の動物が冒され、その発生は、調査の終了まで6~8匹の動物の間で変動した。6日目までに、BC1054 SF-TOを投与した6M群動物では、9/10匹の動物が関節炎を呈したが、これも変動し、12日目に7/10匹で終了した。イブプロフェン治療群7Mでは、関節炎の発生ピークは6日目に記録され、8/10匹の動物が冒され、これは、調査終了時まで比較的一定のままであった。BC1054 LS-GEを投与した8M群マウスは、6日目に発生ピークを呈し、9/10匹の動物が関節炎の兆候を示したが、これは、12日目までに4/10匹まで減少した。
【0269】
3日目のLPSの増加後に、全ての群においてLPS投与に関連する臨床的兆候が発生した。この兆候は全ての群において12日目までに消失した。この調査中に、死亡または溶媒治療群と試験項目治療群との体重における有意差は生じなかった。
【0270】
平均の足の厚さの結果を表7に示す。1M(溶媒治療)群動物における平均の後足の厚さは、0日目に1.72±0.01であった。9日目に厚さは増加し、2.33±0.15でピークに達し、12日目に2.17±0.11で終了した。エタネルセプト治療群の2Mマウスでは、平均の後足の厚さは0日目に1.70±0.02で開始した。6日目にこれが増加し、1.96±0.05でピークに達した後、12日目に1.77±0.02に減少した。エタネルセプト治療により、陽性対照マウスと比較して、9日、10日および12日目に足の体積が有意に減少した。1日1回BC1054 LS-ROを投与した3M群では、後足の厚さは、0日目に1.71±0.02であった。7日目までに、この群における腫れは1.96±0.05でピークに達し、その後これは比較的一定のままであった。BC1054 LS-ROの投与後に、6日目および9日目に平均の足の腫れにおいて有意な減少が生じた。1日3回BC1054 LS-ROを投与した4M群における平均の後足の厚さは、(0日目の1.70±0.03から)10日目に1.97±0.08まで増加し、足の体積は、10日目から調査の終了時までに相対的に一定のままであった。1日3回BC1054 LS-ROを投与することにより、溶媒治療マウス(1M群)と比較して、6日、7日および9日目に平均の足の厚さは有意に減少した。BC1054 LS-MAで治療した5M群マウスは、7日目に足の体積がピークに達し(0日目の1.69±0.02から1.97±0.05)、この群では、溶媒治療群の1M動物と比較した場合、6日目および9日目に測定値が有意に減少した。BC1054 LS-TOで治療した6M群動物では、平均の後足の厚さは、0日目に1.74±0.01で開始した。これは7日目に2.05±0.10のピークまで増加した後、12日目に1.94±0.06に減少した。BC1054 LS-TOで治療した動物(6M群)と溶媒対照で治療した動物(1M群)との間に有意差は記録されなかった。イブプロフェンを投与した群(7M群)では、後足の厚さは、0日目に1.71±0.02であった。7日目までに、この群における腫れは、2.15±0.10でピークに達した後、12日目に2.02±0.08まで減少した。この群を溶媒対照群1Mと比較した際に、有意差は観察されなかった。BC1054 LS-GEで治療した8M群動物は、後足の厚さにおいて0日目の1.72±0.02から7日目の1.85±0.06への僅かな増加を呈し、これは比較的一定のままであり、12日目に1.77±0.03で終了した。BC1054 LS-GEの投与により、6日、7日、9日、10日および12日目に溶媒対照(1M群)と比較して、動物(8M群)において足の腫れが有意に減少した。
【表6】
【0271】
上記調査結果から、BC1054 LS-ROを1日1回投与した3M群動物、BC1054 LS-ROを1日3回投与した4M群動物、BC1054 LS-MAを1日3回投与した5M群動物およびBC1054 SF-GEを1日3回投与した8M群動物において顕著な抗関節炎活性が観察された。
【0272】
実施例21:心血管疾患の治療のための症例研究
高コレステロール血症(LDL:4.35mmol/L)と診断された49歳の男性に、20mg/kgのイブプロフェン、10%エタノールおよび90%亜麻仁油を含む本明細書に開示されている医薬組成物(BC1054)(600mgを1日2回)を7日間投与した。5日間の治療後に、この患者のLDLレベルは、3.89mmol/Lまで正常化した。LDLレベルの正常化は、最後の検査での測定では、BC1054の投与を中断した後、2ヶ月間持続していた。
【0273】
高コレステロール血症(LDL:4.31mmol/L)と新たに診断された60歳の男性に、LDLレベルを正常範囲内まで低下させるために、20mg/kgのイブプロフェン、10%エタノールおよび90%亜麻仁油を含む本明細書に開示されている医薬組成物(BC1054)(1200mgを1日1回)のコースを行った。5日間の治療後に、この患者のLDLレベルは、3.36mmol/Lまで低下した。この患者を1ヶ月間経過観察すると、BC1054をさらに投与していないにも関わらず、この男性のLDLは、正常範囲内のままであった。
【0274】
実施例22:心血管疾患の治療
62歳の女性は、コレステロールレベルが高いと診断された。医師は、このコレステロールレベルの高さは、高コレステロール血症によるものであると判断した。本明細書に開示されているイブプロフェンを含む医薬組成物を1日2回経口投与して、この女性を治療した。あるいは、本明細書に開示されているPPAR-γ作動薬を含む医薬組成物を1日3回経口投与して、この女性を治療した。あるいは、本明細書に開示されているゲムフィブロジルを含む医薬組成物を1日2回経口投与して、この女性を治療した。この女性の状態を監視し、約1週間の治療試験後に、血中のコレステロールレベルの低下を示した。1ヶ月および3ヶ月後の検査で、この女性の血中コレステロールレベルは正常範囲内のままであった。この高コレステロール血症症状の減少は、本明細書に開示されている医薬組成物での治療の成功を示していた。本明細書に開示されている医薬組成物の同様の種類の経口投与を使用して、例えば、脂質代謝異常症、高コレステロール血症、高グリセリド血症、高トリグリセリド血症、高カイロミクロン血症、複合型高脂血症、またはIa型高リポタンパク血症、Ib型高リポタンパク血症、Ic型高リポタンパク血症、IIa型高リポタンパク血症、IIb型高リポタンパク血症、III型高リポタンパク血症、IV型高リポタンパク血症およびV型高リポタンパク血症を含む高リポタンパク血症などの他の形態に罹患している患者を治療する。同様の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p-アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAIDのようなNSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、PPARγ作動薬、核内受容体結合剤、またはフィブラート、スタチン、トコトリエノール、ナイアシン、胆汁酸金属イオン封鎖剤、コレステロール吸収阻害剤、膵臓リパーゼ阻害剤のような高脂血症薬あるいは交感神経作用アミンなどの本治療用化合物のいずれかを医薬組成物に製剤化し、上記のようにこの患者に投与する。
【0275】
58歳の男性は、胸痛、息切れおよび浮動性めまいを訴えた。医師は、この呼吸困難は、アテローム性動脈硬化症によるものであると判断した。本明細書に開示されているイブプロフェンを含む医薬組成物を1日2回経口投与して、この男性を治療した。あるいは、本明細書に開示されているPPAR-γ作動薬を含む医薬組成物を1日3回経口投与して、この男性を治療した。あるいは、本明細書に開示されているゲムフィブロジルを含む医薬組成物を1日2回経口投与して、この男性を治療した。この男性の状態を監視し、約3週間の治療後に、この男性は、呼吸機能の改善および以前ほどの浮動性めまいがないことを示した。2ヶ月および3ヶ月後の検査で、この男性は、呼吸の改善および浮動性めまいがない状態が続いていること、ならびに最近は胸痛がないことを示した。このアテローム性動脈硬化症症状の減少は、本明細書に開示されている医薬組成物での治療の成功を示していた。本明細書に開示されている医薬組成物の同様の種類の経口投与を使用して、例えば、末梢血管疾患または狭窄症などの別の形態の血管閉塞性疾患に罹患している患者を治療する。同様の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p-アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAIDのようなNSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、PPARγ作動薬、核内受容体結合剤、またはフィブラート、スタチン、トコトリエノール、ナイアシン、胆汁酸金属イオン封鎖剤、コレステロール吸収阻害剤、膵臓リパーゼ阻害剤のような高脂血症薬あるいは交感神経作用アミンなどの本治療用化合物のいずれかを医薬組成物に製剤化し、上記のようにこの患者に投与する。
【0276】
アルコール依存症に悩んでいる67歳の男性は、胸部圧迫感および左肩の痺れを訴えた。医師は、この胸部圧迫感および左肩の痺れは、アルコール性心筋症によるものであると判断した。本明細書に開示されているイブプロフェンを含む医薬組成物を1日2回経口投与して、この男性を治療した。あるいは、本明細書に開示されているPPAR-γ作動薬を含む医薬組成物を1日3回経口投与して、この男性を治療した。あるいは、本明細書に開示されているゲムフィブロジルを含む医薬組成物を1日2回経口投与して、この男性を治療した。この男性の状態を監視し、約3週間の治療後に、この男性は、痺れの減少を示した。2ヶ月および3ヶ月後の検査で、この男性は、肩の感覚の改善が続き、かつ最近は胸部圧迫感が発症していないことを示した。このアルコール性心筋症症状の減少は、本明細書に開示されている医薬組成物での治療の成功を示していた。本明細書に開示されている医薬組成物の同様の種類の経口投与を使用して、例えば、先端巨大症、アミロイドーシス、シャーガス病、化学療法、糖尿病性心筋症、ヘモクロマトーシス、高血圧性心筋症、甲状腺機能亢進症、炎症性心筋症、虚血性心筋症、筋ジストロフィー、弁膜症性心筋症、全身性代謝性疾患に続発する心筋症、全身性栄養性疾患に続発する心筋症、冠動脈疾患または先天性心疾患のような外因性心筋症あるいは拡張型心筋症(DCM)、肥大型心筋症(HCMまたはHOCM)、催不整脈性右室心筋症(ARVC)、拘束型心筋症(RCM)、心筋緻密化障害、孤発性心室緻密化障害、ミトコンドリアミオパチー、たこつぼ心筋症またはレフラー心内膜炎のような内因性心筋症などの心筋症に罹患している患者を治療する。同様の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p-アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAIDのようなNSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、PPARγ作動薬、核内受容体結合剤、またはフィブラート、スタチン、トコトリエノール、ナイアシン、胆汁酸金属イオン封鎖剤、コレステロール吸収阻害剤、膵臓リパーゼ阻害剤のような高脂血症薬あるいは交感神経作用アミンなどの本治療用化合物のいずれかを医薬組成物に製剤化し、上記のようにこの患者に投与する。
【0277】
73歳の女性は、右脚の筋痙攣および冷覚を訴えた。医師は、この症状は大腿動脈炎によるものであると判断した。本明細書に開示されているイブプロフェンを含む医薬組成物を1日2回経口投与して、この女性を治療した。あるいは、本明細書に開示されているPPAR-γ作動薬を含む医薬組成物を1日3回経口投与して、この女性を治療した。あるいは、本明細書に開示されているゲムフィブロジルを含む医薬組成物を1日2回経口投与して、この女性を治療した。この女性の状態を監視し、約3週間の治療後に、この女性は、脚の筋痙攣および冷覚の減少を示した。2ヶ月および3ヶ月後の検査で、この女性は、筋痙攣または冷覚がない状態が続いていることを示した。この動脈炎症状の減少は、本明細書に開示されている医薬組成物での治療の成功を示していた。本明細書に開示されている医薬組成物の同様の種類の経口投与を使用して、例えば、ビュルガー病、動脈炎、脳血管炎、チャーグ・ストラウス動脈炎、クリオグロブリン血症、本態性クリオグロブリン血症性血管炎、巨細胞性動脈炎、ゴルファー血管炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、過敏性血管炎、川崎病、静脈炎、顕微鏡的多発性動脈炎/多発性血管炎、結節性多発性動脈炎、リウマチ性多発筋痛(PMR)、リウマチ性血管炎、高安動脈炎、血栓性静脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、ウイルス感染に続発する血管炎、または全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、再発性多発性軟骨炎またはベーチェット病などの結合組織病に続発する血管炎などの別の種類の血管炎に罹患している患者を治療する。同様の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p-アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAIDのようなNSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、PPARγ作動薬、核内受容体結合剤、またはフィブラート、スタチン、トコトリエノール、ナイアシン、胆汁酸金属イオン封鎖剤、コレステロール吸収阻害剤、膵臓リパーゼ阻害剤のような高脂血症薬あるいは交感神経作用アミンなどの本治療用化合物のいずれかを医薬組成物に製剤化し、上記のようにこの患者に投与する。
【0278】
37歳の男性は、胸痛を訴えた。医師は、この胸痛は、心内膜炎によるものであると判断した。本明細書に開示されているイブプロフェンを含む医薬組成物を1日2回経口投与して、この男性を治療した。あるいは、本明細書に開示されているPPAR-γ作動薬を含む医薬組成物を1日3回経口投与して、この男性を治療した。あるいは、本明細書に開示されているゲムフィブロジルを含む医薬組成物を1日2回経口投与して、この男性を治療した。この男性の状態を監視し、約1週間の治療後に、この男性は胸痛の減少を示した。1ヶ月および3ヶ月後の検査で、この男性は、胸痛がない状態が続いていることを示した。この心内膜炎症状の減少は、本明細書に開示されている医薬組成物での治療の成功を示していた。本明細書に開示されている医薬組成物の同様の種類の経口投与を使用して、例えば、炎症性心肥大または心筋炎などの別の種類の炎症性心疾患に罹患している患者を治療する。同様の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p-アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAIDのようなNSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、PPARγ作動薬、核内受容体結合剤、またはフィブラート、スタチン、トコトリエノール、ナイアシン、胆汁酸金属イオン封鎖剤、コレステロール吸収阻害剤、膵臓リパーゼ阻害剤のような高脂血症薬あるいは交感神経作用アミンなどの本治療用化合物のいずれかを医薬組成物に製剤化し、上記のようにこの患者に投与する。
【0279】
59歳の女性は息切れを訴え、高血圧と診断された。医師は、この関節の硬直および腫れは、高血圧疾患によるものであると判断した。本明細書に開示されているイブプロフェンを含む医薬組成物を1日2回経口投与して、この女性を治療した。あるいは、本明細書に開示されているPPAR-γ作動薬を含む医薬組成物を1日3回経口投与して、この女性を治療した。あるいは、本明細書に開示されているゲムフィブロジルを含む医薬組成物を1日2回経口投与して、この女性を治療した。この女性の状態を監視し、約3週間の治療後に、この女性は、呼吸の改善および血圧が正常範囲内であることを示した。2ヶ月および3ヶ月後の検査で、この女性は、正常な呼吸および正常範囲内の血圧が続いていることを示した。この高血圧の低下は、本明細書に開示されている医薬組成物での治療の成功を示していた。本明細書に開示されている医薬組成物の同様の種類の経口投与を使用して、例えば、冠状動脈性心臓病、虚血性心疾患、鬱血性心不全、高血圧性心疾患、心臓弁膜症、高血圧症、心筋梗塞、糖尿病性心臓病、動脈瘤、塞栓症、剥離、偽動脈瘤、血管奇形、血管性母斑、血栓症、静脈瘤または脳卒中などの心血管疾患に罹患している患者を治療する。同様の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p-アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAIDのようなNSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、PPARγ作動薬、核内受容体結合剤、またはフィブラート、スタチン、トコトリエノール、ナイアシン、胆汁酸金属イオン封鎖剤、コレステロール吸収阻害剤、膵臓リパーゼ阻害剤のような高脂血症薬あるいは交感神経作用アミンなどの本治療用化合物のいずれかを医薬組成物に製剤化し、上記のようにこの患者に投与する。
【0280】
締めくくりとして、当然のことながら、本明細書の態様は具体的な実施形態を参照して強調されているが、当業者であれば、これらの開示されている実施形態は、本明細書に開示されている主題の原理の単に例示であることが容易に分かるであろう。従って、当然のことながら、開示されている主題は、決して本明細書に記載されている特定の方法論、手順および/または試薬などに限定されない。従って、本明細書の趣旨から逸脱することなく、本明細書中の教示に従って、開示されている主題に対する各種修正もしくは変更またはそれらの他の構成が可能である。最後に、本明細書中で使用されている用語は、単に特定の実施形態を記述するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではく、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ定義される。従って、本発明は、詳細に図示および記載されているものに限定されない。
【0281】
本発明者らに知られている本発明を実施するための最良の形態を含む本発明の特定の実施形態が、本明細書に記載されている。当然のことながら、これらの記載されている実施形態の変形形態は、上記記載を読めば当業者には明らかである。本発明者は、当業者がそのような変形形態を適宜用いることを想定しており、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されているものとは異なる方法で本発明が実施されることを企図している。従って、本発明は、本明細書に添付されている特許請求の範囲に列挙されている主題の全ての変形形態および均等物を適用法により認められるものとして含むものである。さらに、本明細書に特に明記しない限り、あるいは文脈に明らかに矛盾しない限り、その全ての可能な変形形態における上記実施形態の任意の組み合わせが本発明により包含される。
【0282】
本発明の他の実施形態、要素または工程のグループ化は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。各グループの構成要素は、個々に、あるいは本明細書に開示されている他のグループの構成要素との任意の組み合わせで参照および特許請求することができる。グループの1つ以上の構成要素は、利便性および/または特許性を理由に、グループに含めたり、そこから削除したりすることができるものと想定される。任意のそのような包含または削除が生じた場合、本明細書は、そのグループを修正されたものとして含めるものとし、従って、添付の特許請求の範囲に使用されている全てのマーカッシュ群の記載を満たすものとする。
【0283】
特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲に使用されている特性、項目、量、パラメータ、性質、用語などを表わす全ての数は、「約」という用語により、全ての場合に修正されるものとして理解されるべきである。本明細書で使用される「約」という用語は、そのように限定された特性、項目、量、パラメータ、性質または用語が、その指定された特性、項目、量、パラメータ、性質または用語の値の上下±10%の範囲を包含することを意味する。従って、特に矛盾した記載がない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載されている数値のパラメータは、変動し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲の範囲に対する均等論の適用を制限しようとするものではなく、各数値の表示は、少なくとも、報告されている有効数字の数を考慮し、かつ通常の丸め技術を適用して解釈されるべきである。本発明の広い範囲を示す数値の範囲および値が近似値であっても、具体的な例に示されている数値の範囲および値は、可能な限り正確に報告されている。但し、あらゆる数値の範囲または値は、本質的に、それらの各試験測定値に認められる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含む。本明細書における値の数値の範囲の記載は単に、その範囲に含まれる各個別の数値を個々に述べるのを省略する方法としての役割を担うものである。本明細書に明記しない限り、数値の範囲の各個々の値は、あたかも本明細書に個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれている。
【0284】
本発明を記載する文脈(特に、以下の特許請求の範囲の文脈)に使用される「1つの(a)」「1つの(an)」「その(前記)(the)」という用語および同様の指示物は、本明細書に特に明記しない限り、あるいは文脈に明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含するものと解釈されるべきである。本明細書に記載されている全ての方法は、本明細書に特に明記しない限り、あるいは文脈に明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書に提供されているありとあらゆる例または例を表わす言葉(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより良く理解するためのものであり、特許請求の範囲に別段の記載がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいずれの言葉も、本発明の実施に必須なあらゆる特許請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0285】
本明細書に開示されている具体的な実施形態は、「~からなる(consisting of language)」または「本質的に~からなる(consisting essentially of language)」という用語の使用により、特許請求の範囲においてさらに限定することができる。特許請求の範囲で使用されている場合、出願であるか補正による追加であるかに関わらず、「~なる(consisting of)」という移行用語は、特許請求の範囲に記載されていないあらゆる要素、工程または成分を排除するものである。「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語は、特許請求の範囲を、指定されている材料または工程および基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を与えないものに限定するものである。そのように特許請求されている本発明の実施形態は、本明細書中に本質的かつ明確に記載されており、実施可能である。
【0286】
本明細書で参照および特定されている全ての特許、特許公開公報および他の刊行物の開示内容全体が、例えば、本発明に関して使用され得るそのような刊行物に記載されている組成物および方法論を記載および開示するために、個々に、かつ明確に参照により本明細書に組み込まれる。これらの刊行物は単に、本出願の出願日より前のそれらの開示のために提供されている。この点に関してはいずれも、本発明者らが、先願発明により、あるいはあらゆる他の理由のために、そのような開示に先行する権利がないということを認めるものとして解釈されるべきではない。これらの文献の日付に関する全ての記載または内容に関する表現は、本出願人に利用可能な情報に基づくものであり、これらの文献の日付または内容の正確性に関するいかなる承認も構成するものではない。