(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】伸延デバイス用の外部調整デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
A61B17/70
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021159424
(22)【出願日】2021-09-29
(62)【分割の表示】P 2018530529の分割
【原出願日】2016-12-12
【審査請求日】2021-10-28
(32)【優先日】2016-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510116244
【氏名又は名称】ニューベイシブ スペシャライズド オーソペディックス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シャンバオ
(72)【発明者】
【氏名】メラー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】シュワード,ジェフリー
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第02/034131(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/168175(WO,A1)
【文献】特表2014-521386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体内に移植される遠隔デバイス内で回転運動を磁気的に生成するためのコントローラであって、
N極と、
S極と、
前記N極と前記S極との間に位置付けられる第1の回転軸と、前記N極及び前記S
極を通じて前記
第1の回転軸に対して横方向に延びる第1の中心磁性軸とを有する、第1の駆動磁石と、
N極と、
S極と、
前記N極と前記S極との間に位置付けられる第2の回転軸と、前記N極及び前記S
極を通じて前記
第2の回転軸に対して横方向に延びる第2の中心磁性軸とを有する、第2の駆動磁石と、
前記第1の駆動磁石及び前記第2の駆動磁石から等距離にある
中心垂直軸上の任意の磁束基準点と、
前記第1の回転軸及び前記第2の回転軸についての前記第1の駆動磁石及び前記第2の駆動磁石の同期回転
を生成するための駆動システムと
、を含み、
前記第1の中心磁性軸及び前記第2の中心磁性軸のうちの少なくとも1つは、前記
任意の磁束基準点
が位置する前記中心垂直軸に対する回転
角度オフセットで方向付けられる、
コントローラ。
【請求項2】
前記第1の中心磁性軸及び前記第2の中心磁性軸のうち
の少なくとも1つは、
前記中心垂直軸に対して約5°~約135°の回転
角度オフセットにある、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記回転
角度オフセットは、正回転である、請求項2に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記回転
角度オフセットは、負回転である、請求項2に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記第1の中心磁性軸及び前記第2の中心磁性軸の両方は、前記
中心垂直軸に対
する回転
角度オフセット
で方向付けられる、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記第1の中心磁性軸及び前記第2の中心磁性軸の両方の前記回転
角度オフセットは、
前記中心垂直軸に対して約5°~約135°の回転
角度オフセットである、請求項5に記載のコントローラ。
【請求項7】
前記回転
角度オフセットは、正回転である、請求項6に記載のコントローラ。
【請求項8】
前記回転
角度オフセットは、負回転である、請求項6に記載のコントローラ。
【請求項9】
身体内に移植される遠隔デバイス内で回転運動を磁気的に生成するためのコントローラであって、
第1の直径と、N極と、S極と、前記N極と前記S極との間に位置付けられる第1の回転軸と、前記N極及び前記S極を通じて前記第1の回転軸に対して横方向に延びる第1の中心磁性軸とを有する、第1の駆動磁石と、
第2の直径と、N極と、S極と、前記N極と前記S極との間に位置付けられる第2の回転軸と、前記N極及び前記S極を通じて前記第2の回転軸に対して横方向に延びる第2の中心磁性軸とを有する、第2の駆動磁石と、
前記第1の駆動磁石及び第2の駆動磁石の前記第1の直径及び第2の直径とは異なる第3の直径を有する、第3の駆動磁石と、
前記第1の回転軸及び前記第2の回転軸についての前記第1の駆動磁石及び前記第2の駆動磁石の同期回転を生成するための駆動システムと、を含み、
前記第1の駆動磁石及び前記第2の駆動磁石は、互いに対する前記第1の中心磁性軸及び前記第2の中心磁性軸の角度オフセットを伴って回転する、
コントローラ。
【請求項10】
前記第1の駆動磁石及び前記第2の駆動磁石のうちの少なくとも1つは、永久磁石である、請求項9に記載のコントローラ。
【請求項11】
前記第1の駆動磁石及び前記第2の駆動磁石のうちの少なくとも1つは、電磁石である、請求項9に記載のコントローラ。
【請求項12】
前記第1の中心磁性軸と前記第2の中心磁性軸との間の角度を調整するための制御回路又は制御デバイスを更に含む、請求項9に記載のコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この出願は、2015年12月10日に出願された米国仮特許出願第62/265,430号及び2016年1月7日に出願された米国仮特許出願第62/276,196号の優先権及び利益を主張する。
本発明の分野は、一般的に、骨格系の障害を治療する医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
脊柱側弯症(scoliosis)は、通常、胸部又は胸腰部領域における脊椎の横方向(側方)湾曲についての一般的な用語である。脊柱側弯症は、通常、異なる治療群、即ち、思春期特発性脊柱側弯症(adolescent idiopathic scoliosis)、早期発症脊柱側弯症(early onset scoliosis)及び成人脊柱側弯症(adult scoliosis)に分けられる。
【0003】
思春期特発性脊柱側弯症(AIS)は、典型的には、10~16歳の間の子供に罹患し、身体が発達するにつれて起こる急成長(growth spurts)中に最も重症になる。10~16歳の間の子供の1~2%は、幾らかの量の脊柱側弯症を有する。1000人の子供毎の2~5人が、治療を必要とするのに十分な程に深刻な湾曲を持つようになる。脊柱側弯症の程度は、典型的には、コブ角(Cobb angle)によって記述され、コブ角は、通常、湾曲部分の頂点の上下にある最も傾斜した椎骨を取って、頂部椎骨の頂部に対して垂直に引かれる交差線と底部椎骨の底部に対して垂直に引かれる交差線との間の角度を測定することによって、X線画像から決定される。特発性という用語は、この湾曲の正確な原因が不明であるという事実を指す。急成長段階中に脊柱の黄色靭帯がきつすぎて、脊柱の対称的な成長を妨げるときに、脊柱側弯症が起こると推測する者がいる。例えば、脊椎の前方部分が後方部分よりも速く伸びると、胸椎は、それが側方に湾曲するまで、しばしば付随する回転を伴って真っ直ぐになり始める。より重症の場合、この回転は実際には顕著な変形を生み、一方の肩は他方の肩よりも低い。現在、多くの学区は、例えば、5年生の全生徒において、脊椎の外部視覚評価を行っている。「I」形状の代わりに「S」形状又は「C」形状が特定される学生については、医師による脊椎検査を受けることが推奨され、通常、定期的な脊椎X線でフォローアップされる。
【0004】
典型的には、20°以下のコブ角を有する患者は治療されないが、しばしばそれに続くX線で継続的にフォローアップされる。40°以上のコブ角の患者は、通常、融合手術(fusion surgery)を推奨される。多くの患者は数多くの理由のためにこの脊椎評価を受けないことが留意されなければならない。多くの学区はこの評価を行わず、多くの子供たちは医師を定期的に訪問しないので、しばしば湾曲は急速且つ重篤に進行する。90°以上ほどのコブ角を伴う極端な場合には、未治療の脊柱側弯症を有する成人の大きな人口がある。しかしながら、これらの成人の多くはこの変形に付随する痛みを有さず、比較的普通の生活を送るが、しばしば可動性及び運動が制限される。AISでは、10°以下の湾曲の男性と女性の比率は約1対1である。しかしながら、30°を超える角度では、女性は8対1だけ男性よりも多い。AIS患者又は成人脊柱側弯症患者に対して融合手術を行うことができる。典型的な後部融合手術では、背中の長さに沿って切開を行い、湾曲部分に沿ってチタン又はステンレス製の矯正ロッド(strengthening rods)を配置する。これらのロッドは、典型的には、背骨を真っ直ぐにされることを可能にする方法において、例えば、フック又は骨ネジ、あるいは、より具体的には、椎弓根ネジ(pedicle screws)を用いて、椎体に固定される。通常、融合に望ましい区画で、椎間板を除去し、骨グラフト材料を配置して融合を生む。これが自己由来材料(autologous material)であるならば、骨は別個の切開部を介して股関節から採取される。
【0005】
代替的には、融合手術は、前方で行われてよい。アクセスのために側方及び前方切開が行われる。通常、この前方アプローチから脊椎へのアクセスを可能にするために、肺の一方が収縮される。前方処置の侵襲性のより少ないバージョンでは、単一の長い切開の代わりに、各々が約3~4cmの長さの約5つの切開が、患者の片側にある(肋骨間の)肋間空間の幾つかに作られる。この最小侵襲手術の1つのバージョンでは、つなぎ綱(tethers)及びネジが配置され、曲線の前方凸部にある椎骨に固定される。現在、つなぎ綱/ネジの組み合わせの代わりにステープルを使用する臨床試験が行われている。後部アプローチと比較したこの手術の1つの利点は、例えば、水着を着用するときに、切開からの傷痕が依然として目に見える領域に位置するが、それほど劇的でないことである。ステープルは臨床試験において幾らかの困難を有した。ステープルは、重大な応力レベルに達すると、骨から抜け出す傾向がある。
【0006】
幾つかの場合には、手術後、融合プロセスが起こると、患者は数ヶ月に亘って保護ブレース(brace)を着用する。患者が脊椎成熟に達すると、その後の手術においてロッド及び関連するハードウェアを取り除くことは困難である。何故ならば、椎骨の融合は、通常、ロッド自体を組み込むからである。標準的な慣行は、命を終えるまでこのインプラントを残すことである。これらの2つの手術方法のうちのいずれかを用いるならば、融合後、患者の脊椎は今や真っ直ぐであるが、どれぐらい多くの椎骨が融合されたかに依存して、曲げ及びひねりの両方において、しばしば柔軟性の程度に限界がある。これらの融合患者が成熟すると、融合区画は、隣接する非融合椎骨に大きな応力を与えることがあり、しばしば、痛みを含む他の問題がこれらの領域において生じ、時には更なる手術を必要にする。これは老年の患者に問題を起こしやすい脊椎の腰部(lumbar portion)にある傾向がある。多くの医師は、融合の欠点の一部を排除することができる場合がある脊柱側弯症のための融合手術に今や興味がある。
【0007】
脊椎が特に動的である一群の患者は、早期発症脊柱側弯症(EOS)として知られるサブセットであり、EOSは、典型的には5歳より前の子供たちに典型的に生じ、少女よりも少年により頻繁に生じる。これは1万人の子供のうちの約1~2人で起こるより希な状態であるが、重症である場合があり、時には器官の正常な発達に影響を与える。これらの子供たちの脊椎は治療後に依然として大量に成長するという事実の故に、成長ロッドとして知られる非融合伸延デバイス(non-fusion distraction devices)及びEPTR垂直拡張可能補綴チタンリブ(「チタンリブ」(“Titanium Rib”))として知られるデバイスが開発されている。これらのデバイスは、典型的には、子供が少なくとも8歳になるまで、時には15歳になるまで、子供の成長に合わせて約6ヶ月毎に調整される。各調整は、デバイスの調整可能部分にアクセスするために外科的な切開を必要とする。患者は6ヵ月程の早い年齢でデバイスを受け入れることがあるので、この治療は多数の手術を必要とする。複数の外科手術の故に、これらの患者は幾分高い感染の優位性(preponderance of infection)を有する。
【0008】
AIS患者に戻ると、20°~40°の間のコブ角を有する患者の治療方法論は、かなり議論の的になる。多くの医師は、患者が骨格的に成熟するまで(例えば、16歳になるまで)、患者が1日18~23時間服の下で身体の上に着用しなければならない、ブレース(例えば、ボストンブレース)を禁止する。これらの患者は全て社会的な要求の厳しい青年時代を通じ経験するので、上半身の大半を覆う幾分嵩張るブレースを着用するか、大きな傷跡を残し且つ運動も制限する融合手術を受けるか、或いは何もしないで外観を損ね、場合によっては身体障害者になるかのいずれかを選択することを強いられることが、極めて厳粛な見通しである。多くの患者は、例えば、関連する恥ずかしさから逃れるために、学校外の低木内にブレースを隠す場合があることが一般的に知られている。患者がブレース着用を遵守することには問題であるので、患者の身体を感知して、ブレースが着用されている1日当たりの時間の量を追跡する、特別なブレースが構築されている。患者は、センサをだますために、この種類の着用していないブレース内に物体を置くことさえ知られている。一貫性のない患者のブレース使用の遵守と結び付けられることは、たとえブレースが正しく使用されるとしても、ブレースが脊柱側弯症の治療に全く効果的でないという多くの医師による感覚である。これらの医師は、ブレーシング(bracing)が湾曲(コブ角)の進行を遅くさせることがあり得るし、或いは一時的に停止させることさえあり得ることに同意する場合があるが、治療期間が終了して、ブレースがもはや着用されなくなると、脊柱側弯症は、しばしば治療開始時のコブ角よりも更に一層重症なコブ角まで急速に進行することに気付いた。ブレースが効果的でないと考えられる理由は、それが胴体の一部でのみ機能し、脊椎全体で機能しないからであると言う者もいる。現在、BrAIST(思春期特発性脊柱側弯症試験におけるブレーシング)として知られる予想される無作為に抽出された500人の患者の臨床試験は登録患者がおり、そのうちの50%はブレースで治療を受け、そのうちの50%は注視されるだけである。コブ角データは骨格成熟まで又は50°のコブ角に達するまで継続的に測定され、その時点で患者は手術を受ける可能性が高い。多くの医師は、BrAIST試験が示していることは、ブレースが完全に効果的でないことであると感じている。それが当て嵌まるならば、20°~40°のコブ角度を有するAIS患者をどのようにすべきかについての困惑がより顕著になるだけである。「20°~40°」の患者人口は、「40°以上」の患者人口の10倍ほど大きいことに留意すべきである。
【0009】
仮骨延長法(distraction callotasis)及び仮骨延長法(osteodistraction)とも呼ばれる仮骨延長法(distraction osteogenesis)は、体の長骨を成功裡に長くするために使用されている。典型的には、既に骨折していなければ、骨は骨切断(corticotomy)によって意図的に骨折させられ、骨の2つのセグメントは徐々に伸長して離れ、それは新しい骨がギャップ(間隙)内に形成するのを可能にする。延伸速度が高すぎるならば、癒着不能(nonunion)のリスクがあり、延伸速度が低すぎるならば、延伸期間が完了する前に2つのセグメントが互いに完全に融合するリスクがある。このプロセスを用いて骨の所望の長さが達成されるとき、骨は統合することが可能にされる。仮骨延長法の用途は、大腿骨又は脛骨の成長に主に焦点を置くが、上腕骨、顎骨(小顎症)、又は他の骨も含むことがある。骨の延長又は成長の理由は多岐にわたり、その用途は、骨肉腫後骨癌(post osteosarcoma bone cancer)、低身長又は小人症(dwarfism)/軟骨形成不全症(achondroplasia)における美容的延長(両脚-大腿骨及び/又は脛骨)、他の(先天性(congenital)、外傷後(post-trauma)、骨格障害後(post-skeletal disorder)、人工膝関節(prosthetic knew joint))癒着不能と一致する1つの四肢の延長を含むが、これらに限定されない。
【0010】
外部固定具を使用する仮骨延長法は長年に亘って行われているが、外部固定具は患者にとって扱いにくいことがあり得る。それは痛いこともあり得るし、患者はピントラック感染、関節硬直、食欲喪失、鬱病、軟骨損傷及び他の副作用のリスクに曝される。外部固定具を所定の場所に有することは、リハビリの開始も遅らせる。
【0011】
外部固定具伸延の欠点に応答して、髄内伸延釘が外科的に移植され、髄内伸延釘は骨内に完全に収容される。幾つかは患者の四肢の反復的な回転によって自動的に延長される。これは患者にとって痛いことがあり、しばしば制御されない方法で進行し得る。従って、これは、(過度に速い場合の)癒着不能又は(過度に遅い場合の)早期統合を回避する厳格な毎日又は毎週の延長体制(lengthening regime)に従うことを困難にする。下肢の伸延速度は、1日当たり1mmのオーダである。移植されるモータを有し且つアンテナによって遠隔制御される他の骨髄内釘が開発されている。従って、これらのデバイスは、制御された方法で延長させるように設計されるが、それらの複雑さの故に、手頃な価格の製品として製造可能でないことがある。他の者は、磁石を収容し且つ移植する髄内伸延装置(distractors)を提案しており、それは伸延(distraction)が外部ステータによって電磁的に駆動されることを可能にする。外部ステータの複雑さ及び大きさの故に、この技術は患者が延伸を毎日行うのを可能にするために家に持ち帰ることができる簡単且つ費用効果的なデバイスに変えられない。
【発明の概要】
【0012】
1つの実施形態において、外部調整デバイスが、ある軸についての回転のために構成される少なくとも1つの永久磁石を含む。外部調整デバイスは、更に、デバイスの第1の端で直線的に延びる第1のハンドルと、デバイスの第2の端に配置される第2のハンドルとを含み、第2のハンドルは、第1のハンドルに対して角度付けられた方向に延びる。外部調整デバイスは、第1のハンドルの内側に取り付けられるモータと、第1のハンドル又は第2のハンドルの一方に近接して配置される第1のボタンとを含み、第1のボタンは、第1のハンドル又は第2のハンドルの一方を握る手の親指によって操作されるように構成される。第1のボタンは、モータを作動させて、少なくとも1つの永久磁石を第1の方向において軸について回転させるように、構成される。
【0013】
他の実施形態において、外部調整デバイスは、ある軸についての回転のために構成される少なくとも1つの永久磁石と、少なくとも1つの永久磁石をその軸について回転させるために構成されるモータとを含む。外部調整デバイスは、デバイスの第1の端で直線的に延びる第1のハンドルと、デバイスの第2の端に配置される第2のハンドルとを含み、第2のハンドルは、第1のハンドルに対して実質的に軸が外れた方向に延び、第1及び第2のハンドルの一方は、ループ形状を含む。第1の駆動ボタンが、第1のハンドル又は第2のハンドルの一方に近接して配置され、第1の駆動ボタンは、第1のハンドル又は第2のハンドルの一方を握る手の親指によって操作されるように構成される。第1の駆動ボタンは、モータを作動させて、少なくとも1つの永久磁石を第1の方向において軸について回転させるように、構成される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】延伸デバイスを作動させるように構成された外部調整デバイスを例示している。
【0015】
【
図2】外部調整デバイスのディスプレイ及び制御パネルの詳細図を例示している。
【0016】
【
図3】外部調整デバイスの下方面又は下側面を例示している。
【0017】
【
図4】
図3の線4-4に沿って取られた外部調整デバイスの断面図を例示している。
【0018】
【
図5】
図3の線5-5に沿って取られた外部調整デバイスの断面図を例示している。
【0019】
【
図6】延伸デバイスの移植された磁石を駆動させている間の外部調整デバイスの磁石の向きを概略的に例示している。
【0020】
【
図7】外部調整デバイスのプリント基板に接続される様々なセンサを例示している。
【0021】
【
図8】外部調整でデバイスのプリント基板上のホール効果センサのクロック位置の図を例示している。
【0022】
【
図9A】1つの実施形態に従ったホール効果センサの具体的な構成を例示している。
【0023】
【
図9B】
図9Aにおける構成のホール効果センサの出力電圧を例示している。
【0024】
【
図9C】非同期状態にある磁石を備える
図9Aの構成を例示している。
【0025】
【
図9D】
図9Cにおける構成のホール効果センサの出力電圧を例示している。
【0026】
【
図10A】他の実施形態に従ったホール効果センサの具体的な構成を例示している。
【0027】
【0028】
【
図11】内部の移植された磁石に対する外部調整デバイスの2つの外部磁石の向きを例示している。
【0029】
【
図12A】異なる磁石間ギャップを有する外部調整デバイスの外部磁石のペアを例示している。
【
図12B】異なる磁石間ギャップを有する外部調整デバイスの外部磁石のペアを例示している。
【
図12C】異なる磁石間ギャップを有する外部調整デバイスの外部磁石のペアを例示している。
【0030】
【
図13A】外部調整デバイスの外部磁石を取り囲む磁界線の概略を例示している。
【
図13B】外部調整デバイスの外部磁石を取り囲む磁界線の概略を例示している。
【0031】
【
図14】様々な磁石間ギャップを有する2つの外部磁石についての間隙距離に対してプロットされた磁束密度のグラフを例示している。
【0032】
【
図15】磁石間ギャップ及び回転オフセットが異なる2つの外部磁石の2つの異なるペアについての間隙距離に対してプロットされた磁束密度のグラフを例示している。
【0033】
【
図16A】様々な正の片側回転オフセットを有する外部調整デバイスの2つの外部磁石の向きを例示している。
【
図16B】様々な正の片側回転オフセットを有する外部調整デバイスの2つの外部磁石の向きを例示している。
【
図16C】様々な正の片側回転オフセットを有する外部調整デバイスの2つの外部磁石の向きを例示している。
【
図16D】様々な正の片側回転オフセットを有する外部調整デバイスの2つの外部磁石の向きを例示している。
【0034】
【
図17A】様々な負の片側回転オフセットを有する外部調整デバイスの2つの外部磁石の向きを例示している。
【
図17B】様々な負の片側回転オフセットを有する外部調整デバイスの2つの外部磁石の向きを例示している。
【
図17C】様々な負の片側回転オフセットを有する外部調整デバイスの2つの外部磁石の向きを例示している。
【
図17D】様々な負の片側回転オフセットを有する外部調整デバイスの2つの外部磁石の向きを例示している。
【0035】
【
図18】片側の回転角度に対してプロットされたインプラントトルクのグラフを例示している。
【0036】
【
図19A】様々な正の両側回転オフセットを有する外部調整デバイスの2つの外部磁石の向きを例示している。
【
図19B】様々な正の両側回転オフセットを有する外部調整デバイスの2つの外部磁石の向きを例示している。
【
図19C】様々な正の両側回転オフセットを有する外部調整デバイスの2つの外部磁石の向きを例示している。
【
図19D】様々な正の両側回転オフセットを有する外部調整デバイスの2つの外部磁石の向きを例示している。
【0037】
【
図20A】様々な負の両側回転オフセットを有する外部調整デバイスの2つの外部磁石の向きを例示している。
【
図20B】様々な負の両側回転オフセットを有する外部調整デバイスの2つの外部磁石の向きを例示している。
【
図20C】様々な負の両側回転オフセットを有する外部調整デバイスの2つの外部磁石の向きを例示している。
【
図20D】様々な負の両側回転オフセットを有する外部調整デバイスの2つの外部磁石の向きを例示している。
【0038】
【
図21A】様々な両側回転オフセット及び基準向きにおいて外部調整デバイスの外部磁石を取り囲む磁界線の概略を例示している。
【
図21B】様々な両側回転オフセット及び基準向きにおいて外部調整デバイスの外部磁石を取り囲む磁界線の概略を例示している。
【
図21C】様々な両側回転オフセット及び基準向きにおいて外部調整デバイスの外部磁石を取り囲む磁界線の概略を例示している。
【
図21D】様々な両側回転オフセット及び基準向きにおいて外部調整デバイスの外部磁石を取り囲む磁界線の概略を例示している。
【
図21E】様々な両側回転オフセット及び基準向きにおいて外部調整デバイスの外部磁石を取り囲む磁界線の概略を例示している。
【0039】
【
図22A】両側回転角に対してプロットされたインプラントトルクのグラフを例示している。
【
図22B】両側回転角に対してプロットされたインプラントトルクのグラフを例示している。
【0040】
【
図23】様々な回転オフセットを有する外部磁石についての間隙距離に対してプロットされた磁束密度のグラフを例示している。
【0041】
【
図24】内部の移植された磁石に対する外部調整デバイスの3つの外部磁石の向きを例示している。
【0042】
【
図25A】外部調整デバイスの3つの外部磁石の様々な向きを例示している。
【
図25B】外部調整デバイスの3つの外部磁石の様々な向きを例示している。
【
図25C】外部調整デバイスの3つの外部磁石の様々な向きを例示している。
【0043】
【
図26A】成形された磁界を有する様々な円筒磁石を例示している。
【
図26B】成形された磁界を有する様々な円筒磁石を例示している。
【
図26C】成形された磁界を有する様々な円筒磁石を例示している。
【0044】
【
図27】2磁石システムの磁束マップを例示している。
【0045】
【
図28A】3磁石システムの概略図を例示している。
【0046】
【
図28B】3磁石システムの磁束マップを例示している。
【
図28C】3磁石システムの磁束マップを例示している。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1~
図3は、伸延デバイス1000(distraction device)を調整するように構成される外部調整デバイス700(external adjustment device)を例示している。伸延装置1000は、本明細書中に参照として援用する米国特許出願第12/121,355号、米国特許出願第12/250,442号、米国特許出願第12/391,109号、及び米国特許出願11/172,678号に開示されている伸延デバイスのような、任意の数の伸延デバイスを含んでよい。伸延デバイス1000は、一般に、外部調整デバイス700によって加えられる磁場に応答して回転する回転可能に取り付けられる内部永久磁石1010を含む。1つの方向における磁石1010の回転は伸延(distraction)をもたらすのに対し、反対方向における磁石1010の回転は収縮(retraction)をもたらす。外部調整デバイス700は、再充電可能なバッテリ又は電力コード711によって電力供給されてよい。外部調整デバイス700は、第1のハンドル702と、第2のハンドル704とを含む。第2のハンドル704は、ループ形状であり、第2のハンドル704は、外部調整デバイス700を運ぶために使用されることができる。第2のハンドル704は、使用中に外部調整デバイス700を安定させるために使用されることもできる。一般的に、第1のハンドル702は、外部調整デバイス700の第1の端から直線的に延びるのに対し、第2のハンドル704は、外部調整デバイス700の第2の端に配置され、そして、実質的に軸から外れて延びるか、或いは第2のハンドル702に対して角度付けられる。1つの実施形態において、第2のハンドル704は、第1のハンドル702に対して実質的に垂直に方向付けられてよい。第1のハンドル702は、
図3に最良に見られるように、伝動装置、ベルト、及び同等物を介して、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708を駆動させる、モータ705を含む。伸延装置が正しい方向において作動させられるよう、第1のハンドル702には外部調整デバイス700を患者の体に配置する正しい方向を示す任意的な方向付け矢印802と本体輪郭806とを含む任意的な方向付け画像804がある。第1のハンドル702を保持している間に、操作者は親指で伸延ボタン722を押す。伸延ボタン722は、伸延シンボル717を有し、第1の色、例えば、緑色である。これは伸延装置1000を伸延させる。伸延装置1000が過剰に伸延させられ、伸延装置1000の伸延を収縮させるか或いは伸延を少なさせることが望まれるならば、操作者は親指で収縮ボタン724を押す。収縮ボタン724は、収縮シンボル718を有する。
【0048】
伸延は磁石706,708を1つの方向に回転させ、収縮は磁石706,708を反対方向に回転させる。磁石706,708は、窓811内に見ることができるストライプ809(縞)を有する。これは、磁706,708が静止しているか或いは回転しているか、そして、それらがどの方向に回転しているかの、容易な識別を可能にする。これは装置の操作者による迅速なトラブルシューティングを可能にする。操作者は伸延装置1000の磁石が埋め込まれる患者の地点を決定することができ、次に、操作者は、患者の皮膚の対応する部分に印を付け、次に、外部調整デバイス700の整列窓716を通じてこのスポットを見ることによって、外部調整デバイス700を伸延装置1000に対する正しい場所に置くことができる。
【0049】
制御パネル812は、幾つかのボタン814,816,818,820と、ディスプレイ715とを含む。ボタン814,816,818,820はソフトキーであり、異なる機能のアレイについてプログラムされることができる。1つの設定において、ボタン814,816,818,820は、ディスプレイに現れる対応する凡例(legends)を有する。伸延装置1000上で行われるべき伸延の長さを設定するために、増加ボタン814及び減少ボタン816を使用して目標伸延長さ830を調整する。緑色プラス記号のグラフィック822を有する凡例は、増加ボタン814に対応し、赤色マイナス記号のグラフィック824を有する凡例は、減少ボタン816に対応する。本明細書において特定の構成に使用される特定の色に言及することは例示として見られるべきことが理解されるべきである。本明細書で具体的に列挙する色以外の他の色が本明細書に記載する発明的な着想と関連して使用されることがある。増加ボタン814が押される度に、それは目標伸延長さ830を0.1mm増加させる。減少ボタン816が押される度に、それは目標伸延長さ830を0.1mm減少させる。もちろん、0.1mm以外の他の増分を使用することもできる。所望の目標伸延長さ830が表示され、外部調整デバイス700が患者に正しく配置されるとき、操作者は伸延ボタン722を押し下げ、外部伸延装置700は作動し、目標伸延長さ830が達成されるまで磁石706,708を回転させる。これに続いて、外部調整デバイス700は停止する。伸延プロセスの間に、0.0mmから開始して目標伸延長さ830が達成されるまで増加する、実際の伸延長さ832が表示される。実際の伸延長さ832が増加すると、伸延進展グラフィック834が表示される。例えば、左から右に暗い色で満ちる明るい色のボックス833。
図2において、目標伸延長さ830は3.5mmであり、2.1mmの伸延が生じている。伸延進展グラフィック824のボックス833の60%が表示されている。リセットグラフィック826に対応するリセットボタン818を押して、数字の一方又は両方を0にリセットすることができる。追加的なボタン820を他の機能(ヘルプ、データなど)に割り当てることができる。このボタンは、その独自の対応するグラフィック828を有することができる。代替的に、タッチスクリーン、例えば、容量性又は抵抗性タッチキーを使用することができる。この実施形態において、グラフィックス/凡例814,816,818,820は、ボタン814,816,818,820に取って代わる或いは増強するタッチキーであってよい。1つの特定の実施形態において、822,824,826,828にあるタッチキーは、それぞれ、ボタン814,816,818,820の機能を行い、ボタン814,816,818,820は排除される。
【0050】
幾つかの方法で2つのハンドル702,704を保持することができる。例えば、第1のハンドル702は、伸延装置1000の移植された磁石(埋め込まれた磁石)の患者上の位置を見出そうとする間に、手のひらが上に向けられた状態で保持されることができる。指はハンドル702の周りに巻き付けられ、4本の指の指先又は中点はハンドル702を僅かに押し上げ、それを幾分平衡させる。これは伸延装置1000内の磁石と外部調整デバイス700の磁石706,708との間の磁場がより明らかになるのを可能にする非常に敏感な感覚を可能にする。患者の伸延の間に、第1のハンドル702は、手のひらが下に向けられた状態で保持されることで、操作者が伸延装置を患者に対してしっかりと押し下げて、外部調整デバイスの磁石706,708と伸延装置1000の磁石との間の距離を最小にするのを可能にすることにより、トルク結合を最大にするのを可能にしてよい。これは患者が大きいか或いは幾分肥満であるならば特に適切である。第2のハンドル704は、操作者の好みに依存して、磁石感知動作及び伸延動作の間に、手のひらが上の状態又は手のひらが下の状態で保持されてよい。
【0051】
図3は、外部調整デバイス700の下側(underside)又は下面(lower surface)を例示している。外部調整デバイス700の底で、接触面836は、エラストマ材料、例えば、PEBAX(登録商標)又はポリウレタンのような、軟らかいデュロメータの材料で作られてよい。これは装置700が落下する場合に装置700を保護する耐衝撃性を可能にする。また、装置を患者の素肌に配置するならば、この性質の物質は硬質プラスチック又は金属ほどに素早く患者から熱を奪わず、よって、それらは硬質プラスチック又は金属ほどに「冷たく感じない」。ハンドル702,704は、滑り止めグリップとして作用するために、それらを覆う類似の材料を有してもよい。
【0052】
図3は、笑顔のオプションを含む、子どもに優しいグラフィック837も例示している。代替的に、これはテディベア(teddy bear)、おんまさん(horsey)、又はウサちゃん(bunny rabbit)のような、動物の顔であり得る。様々な若い患者の好きなものと一致するよう、複数の顔のセットが取外し可能又は交換可能であることができる。加えて、装置の下側にある顔の場所は、操作者がより年少の子供に顔を示すが、それほど喜ばないことがあるより年長の子供から隠されたままにすることを可能にする。代替的に、装置の動作に影響を及ぼさずに、装置が人間、動物又は他のキャラクタを特徴とする靴下の操り人形又は装飾カバーで薄く覆われることがあるよう、それらが製造されてよいが、追加的に、伸延処置が行われた後に操り人形又はカバーが若い患者に与えられてよい。これは幼児が将来の処置に戻ることにより興味を持ったままであるのに役立ち得ることが期待される。
【0053】
図4及び
図5は、様々な中心線に沿って取られた外部調整デバイス700の内部コンポーネントを例示する断面図である。
図4は、
図3の線4-4に沿って取られた外部調整デバイス700の断面図である。
図5は、
図3の線5-5に沿って取られた外部調整デバイス700の断面図である。外部調整デバイス700は、第1のハウジング868と、第2のハウジング838と、中央磁石区画725とを含む。第1のハンドル702及び第2のハンドル704は、(第1のハンドル702上に示す)グリップ703を含む。グリップ703は、エラストマ材料で作られてよく、手で握られるときに柔らかい感覚を有してよい。材料は、しっかりとした把持を助けるために、粘着感を有してもよい。電力が電力コード711を介して供給され、電力コード711はひずみリリーフ844(strain relief)で第2のハウジング838に保持される。ワイヤ727が、モータ840を含む様々な電子部品(electronic components)を接続し、モータ840は、ギアボックス842、出力ギア848、中央ギア870をそれぞれ介して、磁石706,708を回転させ、中央ギア870は、2つの磁石ギア852を回転させ、1つの磁石ギアが各磁石706,708にある(1つのそのようなギア852が
図5に例示されている)。出力ギア848は、カプリング850を介してモータ出力に取り付けられ、モータ840及び出力ギア848の両方が、マウント846を介して第2のハウジング838に固定される。磁石706,708は、磁石カップ862内に保持される。磁石及びギアは、軸受872,874,856,858に取り付けられ、軸受は低摩擦回転を助ける。モータ840は、モータプリント基板(PCB)854によって制御されるのに対し、ディスプレイは、ディスプレイプリント基板(PCB)866(
図4)によって制御される。ディスプレイPCB866は、フレーム864に取り付けられる。
【0054】
図6は、伸延処置中の伸延デバイス1000の移植された磁石1010並びに第1及び第2の外部磁石706,708の極の向きを例示している。記述のために、向きは時計上の数字に関連して記載される。第1の外部磁石706は、第2の外部磁石708と同期して(伝動装置、ベルトなどによって)回転されるので、第2の外部磁石708のS極904が12時に位置付けられるときに、第1の外部磁石706のN極902は12時の位置を指している。従って、この向きでは、第1の外部磁石706のS極906は、6時の位置を指しているのに対し、第2の外部磁石708のN極908は、6時の位置を指している。第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の両方は、それぞれの矢印914,916によって例示するように、第1の方向に回転させられる。回転する磁界は、移植された磁石1010に対してトルクを加え、矢印918によって例示するように、移植された磁石を第2の方向に回転させる。トルク給送中の移植された磁石1010のN極1012及びS極1014の例示的な向きが
図6に示されている。第1及び第2の外部磁石706,708が図示の向きとは反対方向に回転させられると、移植された磁石1010は、図示の方向とは反対方向に回転させられる。互いに対する第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の向きは、移植された磁石1010へのトルク給送を最適化するのに役立つ。外部調整デバイス700の動作中、2つの外部磁石706,708が所望に同期して駆動させられていることを確認するのは困難なことが多い。
図7及び
図8を参照すると、外部調整デバイス700が適切に作動しているのを保証するために、モータプリント基板854は、1つ又はそれよりも多くのエンコーダシステム、例えば、光断続器(フォトインタラプタ)(photointerrupters)900,922及び/又はホール効果センサ924,926,928,930,932,934,936,938を含む。光断続器920,922は、それぞれ、エミッタと、検出器とを含む。径方向に縞状のリング940を外部磁石706,708の一方又は両方に取り付けて、光断続器が角運動を光学的に符号化するのを可能にしてよい。光921,923は、径方向に縞状のリング940と光断続器920,922との間に概略的に例示されている。
【0055】
別個に、ホール効果センサ924,926,928,930,932,934,936,938は、外部磁石706,708の一方又は両方の外部磁石の回転を追跡する非光学エンコーダとして使用されてよい。8つのホール効果センサが
図7に例示されているが、より少ない又はより多いそのようなセンサが利用されてよいことが理解されるべきである。ホール効果センサは、外部磁石706,708が回転するときに、ホール効果センサが磁場の変化を感知するのを可能にする場所でモータプリント基板854に接続される。各ホール効果センサ924,926,928,930,932,934,936,938は、磁場内の増加又は減少に対応する電圧を出力する。
図9Aは、センサ924,938に対するホール効果センサの1つの基本的配置を例示している。第1のホール効果センサ924が、第1の外部磁石706に対して9時に配置される。第2のホール効果センサ938が、第2の外部磁石708に対して3時に配置される。磁石706,708が同期運動において正しく回転すると、第1のホール効果センサ924の第1の電圧出力940及び第2のホール効果センサ938の第2の電圧出力942は、外部磁石706,708の全回転サイクルについての電圧をグラフ化する
図9Bに見られるように、同じパターンを有する。グラフは、出力電圧の正弦波分散(sinusoidal variance)を示すが、クリッピングされた(clipped)ピークは信号の飽和に起因する。設計において使用されるホール効果センサがこの効果を引き起こすとしても、時間の経過と共に第1の電圧出力940と第2の電圧出力942とを比較するのに十分な信号が依然として存在する。2つのホール効果センサ924,938のいずれも動作中又は外部調整デバイス700の間に正弦波信号を出力しないならば、これは対応する外部磁石が、例えば、接着不良、ギア分離などの故に、回転を停止したことを実証する。
図9Cは、外部磁石706,708の両方が同じ近似角速度で回転しているが、N極902,908が正しく同期されていない状態を例示している。このため、第1の電圧出力940及び第2の電圧出力942は、位相が外れており、位相シフト(0)を示している。これらの信号はプロセッサ915によって処理され、装置が再同期されるように、エラー警告が外部調整デバイス700のディスプレイ715に表示される。
【0056】
独立したステッピングモータが使用されるならば、再同期化プロセスは単純に再プログラミングの1つであってよいが、例えば、伝動装置又はベルトによって、2つの外部磁石706,708が互いに連結されるならば、機械的な再加工が必要とされることがある。
図9Aに例示するホール効果センサ構成に対する代替が
図10Aに例示されている。この実施形態では、第3のホール効果センサ928が、第1の外部磁石706に対して12時に配置され、第4のホール効果センサ934が、第2の外部磁石708に対して12時に配置される。この構成を用いるならば、第2の外部磁石708のS極904が第4のホール効果センサ934に向いているとき、第1の外部磁石706のN極902は、第3のホール効果センサ928に向いていなければならない。この構成を用いるならば、第3のホール効果センサ928は、第3の出力電圧944を出力し、第4のホール効果センサ934は、第4の出力電圧946を出力する(
図10B)。第3の出力電圧944は、意図的に、第4の出力電圧946と位相が外れている。
図9Aのホール効果センサ構成の利点は、各センサが、各センサと反対側の磁石、例えば、第2の外部磁石708と比較した第1のホール効果センサ924の間により大きい距離を有するので、干渉の可能性がより少ないことである。
図10Aのホール効果センサ構成の利点は、それがよりコンパクトな(より小さい幅の)外部調整デバイス700を作ることが可能な場合があることである。磁石の同期性を確認するために、
図10Bの位相外れパターンを分析することもできる。
【0057】
図7及び
図8に戻ると、追加的なホール効果センサ926,930,932,936が示されている。これらの追加的なセンサは、外部調整デバイス700の外部磁石706,708の回転角フィードバックに追加的な精度を可能にする。再び、ホール効果センサの番的な数及び方向は異なってよい。ホール効果センサの代わりに、磁気抵抗性エンコーダが使用されてもよい。
【0058】
更に他の実施形態では、追加的な情報がプロセッサ915によって処理されて、ディスプレイ715に表示されてよい。例えば、外部調整デバイス700を使用する伸延は、医療従事者によって或いは家庭内で患者又は患者の家族構成員によって行われてよい。いずれの場合にも、後にアクセスすることができる各伸延セッションからの情報、例えば、各伸延の正確な日時、試行された伸延の量、得られた伸延の量を格納するのが望ましいことがある。この情報はプロセッサ915又はプロセッサ915と関連付けられる1つ又はそれよりも多くのメモリモジュール(図示せず)に格納されてよい。加えて、医師は、伸延長さの限界、例えば、各セッションで伸延することができる最大量、1日当たりの最大量、1週間当たりの最大量などを入力することができてよい。医師は、患者がアクセスすることができない、装置のキー又はボタンを使用する安全な入力を使用することによって、これらの限度を入力してよい。
【0059】
図1に戻ると、幾人かの患者では、伸延装置1000の第1の端1018を患者内で近位に又は頭に向かって配置し、伸延装置1000の第2の端1020を遠位に又は足に向かって配置することが望ましい場合がある。伸延デバイス1000のこの向きを順行(antegrade)と呼ぶことがある。他の患者では、第2の端1020を患者内で近位にあり、第1の端1018を遠位にある状態で、伸延装置1000を方向付けることが望ましい場合がある。この場合、伸延装置1000の向きを逆行(retrograde)と呼ぶことがある。ナット内でネジを回転させるために磁石が回転する伸延装置1000において、患者内で順行又は逆行のいずれかである伸延装置1000の向きは、伸延装置1000が順行配置されるときに、外部調整デバイス700が方向付け画像804に従って配置されなければならないが、伸延装置1000が逆行配置されるときに、方向付け画像804の反対側に配置されなければならないことを意味する。代替的に、伸延装置1000が順行移植又は逆行移植されたか否かをプロセッサ915が認識し、次に、伸延ボタン722が配置されるときにプロセッサ915が磁石706,708を適切な方向に回転させるように、ソフトウェアをプログラムしてよい。
【0060】
例えば、モータ705は、逆行配置された伸延装置1000を伸延させるときに磁石706,708を第1の方向に回転させ、逆行配置された伸延装置1000を伸延させるときに磁石706,708を第2の反対方向に回転させるように命令される。医師は、例えば、伸延装置1000が順行配置されているか或いは逆行配置されているかを制御パネル812を使用して入力するよう、ディスプレイ715によって促されてよい。次に、患者は、同じ外部調整デバイス700を使用し続けて、モータ705が伸延及び収縮の両方のために磁石706,708を正しい方向に回転させることを保証してよい。代替的に、伸延装置1000は、外部調整デバイス700にあるアンテナ1024によって読み取ることができ且つ書込むことができるRFIDチップ1022を組み込んでよい。患者内の伸延装置1000の位置(順行又は逆行)は、RFIDチップ1022に書き込まれ、よって、任意の外部調整デバイス700のアンテナ1024によって読み取られることができ、どの外部調整デバイス700が使用されているかに拘わらず、患者が正しい伸延又は収縮を得ることを可能にする。
【0061】
図11は、例えば、移植された伸延装置内の、内部の移植された磁石1010に対する2つの外部磁石、即ち、外部調整デバイスの第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の極の向きを例示している。上記の
図6と同様に、各磁石の向きは、時計上の数字に関連して記載されてよい。第1の外部磁石706は、N極902と、S極906とを有する。同様に、第2の外部磁石708は、S極904と、N極908とを有する。各外部磁石は、直径及び長さによって物理的に定められる(即ち、実質的に直円柱(right cylinder)を定める)。即ち、第1の外部磁石706は、第1の磁石直径1134を有するのに対し、第2の外部磁石708は、第2の磁石直径1132を有する。幾つかの実施形態において、第1磁石直径1134及び第2の磁石直径1132は等しい。しかしながら、これは必ずしもそうである必要はない。他の実施形態において、第1の磁石直径1134は、第2の磁石直径1132よりも大きい。そして、更に他の実施形態において、第2の磁石直径132は、第1の磁石直径1134よりも大きい。
【0062】
図11は、主として、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708を例示するために含められている。移植された磁石1010は、主として、参照のために含められている。しかしながら、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708とほぼ同様に、移植された磁石1010は、N極1012と、S極1014とを有する。移植された磁石1010も、内部磁石の直径1136及び長さによって定められてよい(即ち、移植された磁石1010も、実質的に直円柱であってよい)。第1の外部磁石706、第2の外部磁石708、及び移植された磁石1010のうちのいずれかは、実質的な直円柱以外の磁石であってよいことが理解されなければならない。
【0063】
上記で説明したように、
図6に関して、外部磁石706は、第1の細長い回転軸について回転するように構成される。
図6及び
図11において、第1の細長い回転軸は、第1の外部磁石706の中心を通じてページ内に延びる第1の外部磁石706の中心を通じる線である。同様に、第2の外部磁石708は、第2の細長い回転軸について回転するように構成される。再び、
図6及び
図11において、第2の細長い回転軸は、第2の外部磁石708の中心を通じてページ内に延びる第2の外部磁石708の中心を通じる線である。第1の細長い回転軸及び第2の細長い回転軸は本質的に地点であるので、それらの2つは、第1の外部磁石706と第2の外部磁石708との間の線を定める。それらが位置する線は、水平軸1110として
図11に示されている。
【0064】
第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の各々は、水平軸1110に対して垂直であり、磁石の細長い回転軸を通る、それ自体の垂直軸を定める。第1の外部磁石706は、第1の磁石垂直軸1113を有し、第1の磁石垂直軸1113は、水平軸1110に対して垂直であり、第1の細長い回転軸と交差する(即ち、水平軸1110及び第1の磁石垂直軸1113は、第1の外部磁石706の長手軸に対して垂直な任意の平面によって定められる円の中心で交差する)。同様に、第2の外部磁石708は、第2の磁石垂直軸1112を有し、第2の磁石垂直軸1112は、水平軸1110に対して垂直であり、第2の細長い回転軸と交差する(即ち、水平軸1110及び第2の磁石垂直軸1112は、第2の外部磁石708の長手軸に対して垂直な任意の平面によって定められる円の中心で交差する)。
【0065】
第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708は、第1の外部磁石706の最も右側の縁と第2の外部磁石708の最も左側の縁との間の水平軸1110に沿う距離として定められる、磁石間ギャップ1130(磁石間の間隙)(intermagnet gap)によって分離される。中心垂直軸1111は、水平軸1110に対して垂直に、磁石間ギャップ1130の中心において水平軸1110を二等分する。従って、第1の外部磁石706の中心(即ち、第1の細長い回転軸)から第2の外部磁石708の中心(即ち、第2の細長い回転軸)までの距離は、第1の磁石の直径1134の2分の1に第2の磁石の直径1132の2分の1を加えてものと等しい。
図11に示すように、第1の外部磁石706の第1の磁石直径1134及び第2の外部磁石708の第2の磁石直径1132が等しいとき、第1の細長い回転軸及び第2の細長い回転軸は中心垂直軸1111から等距離にある。しかしながら、幾つかの実施形態は、等しい大きさの第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708を含むが、全てがそうではない。従って、第1の細長い回転軸及び第2の細長い回転軸の全ての可能なペア(対)が中心垂直軸1111から等距離にあるわけではない。
【0066】
移植された磁石1010のための理想的な基準場所は、中心垂直軸1111上にある。第1の磁石直径1134と第2の磁石直径1132とが等しい場合、第1の外部磁石706と第2の外部磁石708とは等しい磁場を生成する。従って、中心垂直軸1111に沿う任意の地点は、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708による等しい影響を受ける。外部磁石(即ち、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708)の最下方縁と、移植された磁石1010の最上方縁との間の距離は、間隙距離1138として定められる。中心垂直軸1111上の移植された磁石1010のための基準場所は概念的に有用であるが、移植された磁石1010は、中心垂直軸1111から外れて位置してもよい。
【0067】
図12A~
図12Cを参照すると、一連の外部磁石のペアが様々な磁石間ギャップ1130で示されている。
図12Aは、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708を示しており、それらの両方は、第1の例示的な磁石間ギャップ1130’によって分離された水平軸1110の上に位置している。
図12Bは、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708を示しており、それらの両方は、第2の例示的な磁石間ギャップ1130”によって分離された水平軸1110の上に位置している。
図12Bの第2の例示的な磁石間ギャップ1130”は、概して、
図12Aの第1の例示的な磁石間ギャップ1130’よりも小さい。
図12Cは、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708を示しており、それらの両方は、第3の例示的な磁石間ギャップ1130によって分離された水平軸1110”’の上に位置している。第3の例示的な磁石間ギャップ1130は、概して、第2の例示的な磁石間ギャップ1130”及び第1の例示的な磁石間ギャップ1130’の両方よりも小さい。任意の磁気間の間隙1130が第1の外部磁石706と第2の外部磁石708との間で使用されてよいことが理解されるべきである。
【0068】
磁石間ギャップ1130は、中心垂直軸1111に沿って観察される磁束密度に対する影響を有し得る。磁束密度は、約1/r
3(逆立方体)で低下する。従って、極めて小さいギャップ距離が、中心垂直軸1111に沿う比較的大きい磁束密度を観察することがある。対照的に、磁束密度がどれぐらい急速に低下するかの故に、中程度の及び大きい磁石間ギャップ1130で、磁束密度の下限に比較的急速に達する。
図13Aは、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708を取り囲む磁力線(magnetic field lines)の概略を例示している。第1の外部磁石706と第2の外部磁石708との間の磁石間ギャップ1130は比較的小さい。中心垂直軸1111に沿う磁束線(flux lines)は比較的密であり、特に第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の近くの及び/又は第1の外部磁石706と第2の外部磁石708との間の中心垂直軸1111に沿って比較的密であることを見ることができる。対照的に、
図13Bは、
図13Aに示す磁石間ギャップものよりも有意に大きい磁石間ギャップ1130によって分離された第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708を取り囲む磁力線の概略を例示している。
図13Bの中心垂直軸1111に沿う磁束線は、
図13Aの中心垂直軸1111に沿う磁束線よりも顕著に密度が低い。これは専ら磁石間ギャップ1130の増加に起因する。
【0069】
図14は、ギャップ距離1138(間隙距離)に対する第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708によって生成される磁束密度のグラフを例示している。モデル化された磁束密度は、基準地点が第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の底から離れる方向に更に移動するときに(即ち、ギャップ距離1138がゼロ基準地点から増大するときに)中心垂直軸1111に沿う基準地点で測定される。
図14の第1の線1410は、50.8mm(即ち、2インチ)の磁石間ギャップ1130を有する第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708についてのギャップ距離1138に対する磁束密度のグラフを例示している。第2の線1420は、55.88mm(即ち、2.2インチ)の磁石間ギャップ1130を有する第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708についてのギャップ距離1138に対する磁束密度のグラフを例示している。第3の線1430は、60.96mm(即ち、2.4インチ)の磁石間ギャップ1130を有する第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708についてのギャップ距離1138に対する磁束密度のグラフを例示している。第4の線1440は、66.04mm(即ち、2.6インチ)の磁石間ギャップ1130を有する第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708についてのギャップ距離1138に対する磁束密度のグラフを例示している。第5の線1450は、71.12mm(即ち、2.8インチ)の磁石間ギャップ1130を有する第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708についてのギャップ距離1138に対する磁束密度のグラフを例示している。そして、最後に、第6の線1460は、76.2mm(即ち、3.0インチ)の磁石間ギャップ1130を有する第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708についてのギャップ距離1138に対する磁束密度のグラフを例示している。
図14の線は、小さなギャップ距離1138(例えば、ゼロギャップ距離1138)で、磁石間ギャップ1130を減少させることは、観察される磁束密度を増加させることを例示している。実際には、ゼロのギャップ距離1138で、50.8mmの磁石間ギャップ1130が、同じギャップ距離での76.2mmの磁石間ギャップ1130よりも約135%高い磁束密度を有する。しかしながら、磁石間ギャップ1130を減少させることによって実現される利得は、かなり小さいギャップ距離1138でのみ存在する。
図14の線は、約25mmでの第1の線1410、第2の線1420、第3の線1430、第4の線1440、第5の線1450、及び第6の線1460の近収束を例示している。約25mmの後、変化する磁石間ギャップ1130について中心垂直軸1111に沿う磁束密度の間の差はほんの僅かである。
【0070】
再び
図12A~
図12Cを参照すると、
図14Aの線に鑑みると、小さなギャップ距離について、より大きい第1の例示的な磁石間ギャップ1130’を有する
図12Aに例示するシステムは、より小さい第2の例示的な磁石間ギャップ1130”を有する
図12Bに例示するシステムよりも小さい磁束密度を有し、次いで、より小さい第2の例示的な磁石間ギャップ1130”を有する
図12Bに例示するシステムは、最小の第3の例示的な磁石間ギャップ1130”’を有する
図12Cに例示するシステムよりも小さい磁束密度を有する。幾つかの状況では、大きな磁束密度が望ましい。しかしながら、他の状況では、減少した磁束密度が望ましい。変動する磁束密度の望ましさ(desirability)を以下に追加的に詳細に議論する。
【0071】
理解されるように、小さなギャップ距離が可能であるか或いは必要とされる用途では、磁石間ギャップを変動させて磁束密度を増加又は減少させてよい。(より高いトルクが有用であるか或いは必要とされるときのように)より高い磁束密度が有用であるか或いは必要とされるならば、ギャップ距離を一定に保ちながら、磁石間ギャップを減少させてよい。即ち、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708は、水平軸上で互いにより近づけられてよい。対照的に、(高いトルクが必要とされないか或いは有害であり得るときのように)より低い磁束密度が有用であるか或いは必要とされるならば、ギャップ距離を一定に保ちながら、磁石間ギャップを増加させてよい。即ち、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708は、水平軸110上で離間するように移動させられてよい。もちろん、磁石間ギャップ及びギャップ距離の両方が変更されてよい。
【0072】
幾つかの実施形態において、外部調整デバイス700は、「スマート」であることがあり、非限定的に、ユーザ入力及び検知されたパラメータのような、1つ又はそれよりも多くの要因に基づいて、磁石間ギャップを変化させることができる。従って、そのような「スマート」外部調整デバイス700は、必要に応じて磁石間ギャップを操作して磁束密度を増加又は減少させてよい。例えば、ユーザは、外部調整デバイスが所与の用途についての適切な磁石間ギャップ距離を選択するのを可能にする幾つかのパラメータを入力してよい。そのような変数は、インプラント場所、患者の年齢、患者の体重、患者体格指数(BMI)、ギャップ距離等を含んでよい。入力パラメータとは対照的に、「スマート」外部調整デバイス700は、ギャップ距離磁気結合すべり(gap distance magnetic coupling slippage)、生成されるトルク(torque generated)、生成される力(force generated)等のような、感知パラメータを使用することができてよい。
【0073】
これらのユーザ入力及び感知パラメータのうちの1つ又はそれよりも多くのに応答して、磁石間ギャップが調整されてよい。幾つかの実施形態において、外部調整デバイス700は、所与の調整が治療効能を向上させ得ることをユーザに通知してよい。そのような場合、ユーザは、多数のツール、システム、及び方法のうちのいずれかを使用して、磁石間ギャップを増加させることができる。代替的に、「スマート」外部調整デバイス700は、ユーザ入力及び/又は感知パラメータを処理し、トルク生成又は磁束密度の変化(増大若しくは減少)が有利であることを決定し、システム能力内に留まる最適な磁石間ギャップまで磁石間ギャップを自動的に調整してよい(即ち、物理的な制約の故に、磁石間ギャップには下限及び上限の両方がある)。
【0074】
図6を参照して説明したように、第2の外部磁石708のS極904が12時の位置を指しているときに、第1の外部磁石706のN極902が12時の位置を指しているように、第1の外部磁石706は、第2の外部磁石708と同期して(伝動装置、ベルト等によって)回転される。従って、この向きにおいて、第2外部磁石708のN極908が6時の位置を指している間に、第1の外部磁石706のS極906は6時の位置を指している。第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の両方は、時計回りの方向のような、第1の方向に回転させられてよい。回転する磁場は、移植された磁石1010に対してトルクを加え、移植された磁石1010を反時計回りの方向のような第2の方向に回転させる。第1及び第2の外部磁石706,708が反対方向に、即ち、反時計回り方向に回転させられると、移植された磁石1010も反対方向に、即ち、時計回り方向に回転させられる。
【0075】
図6は、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の基準構成(reference configuration)を例示している。第1の外部磁石706は、N極902の中心が上を指し、S極906の中心が下を指すよう、位置付けられている。同様に、第2の外部磁石708は、S極904の中心が上を指し、N極908の中心が下を指すように、位置付けられている。然る後、
図6において、2つの磁石は、互いに対して固定的な角度的に位置決めされて回転する。従って、第1の外部磁石706のN極902及び第2の外部磁石708のS極904は、常に同じ角度位置にある。そして、第1の外部磁石706のS極906及び第2の外部磁石708のN極908も、常に同じ角度位置にある。
【0076】
再び
図11を参照すると、第1の外部磁石706は、第1の外部磁石706のN極902の中心を通じ、第1の細長い回転軸と交差するよう第1の外部磁石706の中心を通じ、そして、第1の外部磁石706のS極906の中心を通じて延びる、第1の中心磁性軸1122を有する。第1の外部磁石706のN極902の向きに関して第1の中心磁性軸1122を議論する。同様に、第2の外部磁石708は、第2の外部磁石708のS極904の中心を通じ、第2の細長い回転軸と交差するよう第2の外部磁石708の中心を通じ、第2の外部磁石708のN極908の中心を通じて延びる、第2の中心磁性軸1120を有する。第2の外部磁石708のS極904の向きに関して第2の中心磁性軸1120を議論する。
【0077】
図6及び
図11の両方に示すその基準向き(reference orientation)において、第1の中心磁性軸1122は、第1の磁性垂直軸1113と直接的に整列させられている。この整列させられた向きは、角度オフセットを有しない(即ち、第1の外部磁石706の角度オフセットは0°である)。移植された磁石1010の場所を参照して第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の回転に言及する。移植された磁石1010が第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708より「上」(above)にある
図11では、反時計回り方向の第1の細長い回転軸についての第1の外部磁石706の回転を正として示し、時計回り方向の第1の細長い回転軸についての第1の外部磁石706の回転を負として示している。対照的に、移植された磁石1010が第2の外部磁石708より「上」にある
図11の実施形態では、時計回り方向の第2の細長い回転軸についての第2の外部磁石708の回転を正として示し、反時計回り方向の第2の細長い回転軸線についての第2の外部磁石708の回転を負として示している。
【0078】
図6は、一致して回転することがある2つの磁石を例示している。例えば、第2の外部磁石708の第S極904が12時の位置を指しているときに、第1の外部磁石706のN極902が12時の位置を指すよう、第1の外部磁石706は、(伝動装置、ベルト等によって)第2の外部磁石708と同期して回転させられてよい。延長により、第1の外部磁石706のS極906及び第2の外部磁石708のN極908の両方は、6時の位置を指している。
図6に例示するように、両方の外部磁石は、それぞれの矢印914,916によって例示する第1の方向に回転させられてよい。回転する磁場は、移植された磁石1010に対してトルクを加えて、移植された磁石1010を矢印918によって例示するように第2の方向において回転させる。第1及び第2の外部磁石706,708が図示する方向とは反対の方向に回転させられると、移植された磁石1010は、図示する方向とは反対の方向に回転させられる。磁石はゼロ角度オフセットで回転させられることがあるが、いましがた記載したように、磁石は正の角度オフセットで回転させられてもよい。
【0079】
第1の外部磁石706は、第1の回転角1123だけ例示的な第1の中心磁性軸1122’に対して回転させられてよい。幾つかの実施形態では、ちょうど述べたように、第1の回転角1123は正であり、幾つかの実施形態において、第1の回転角1123は負である。第1の回転角1123は、第1の中心磁性軸1122を0°~360°まで正の方向に回転させてよい。加えて、第1の回転角1123は、第1の中心磁性軸1122を0°~-360°まで負の方向に回転させてよい。第1の中心磁性軸1122が>0°~<180°の第1の回転角1123だけ回転的にオフセットされる(rotationally offset)ような、第1の外部磁石706の回転は、一意的に(uniquely)正の回転オフセット(rotational offsets)である。同様に、第1の中心磁性軸1122が<0°~>-180°の第1の回転角1123だけ回転的にオフセットされるような、第1の外部磁石706の回転は、一意的に負の回転オフセットである。容易に理解されるように、>180°~<360°の第1の回転角1123だけの第1の外部磁石706の回転は、<0°~>-180°の第1の回転角1123だけの第1の外部磁石706の回転と等しく、<-180°~<-360°の第1の回転角1123だけの第1の外部磁石706の回転は、>0°~<180°の第1の回転角だけの第1の外部磁石706の回転と等しい。>0°~<180°の第1の回転角1123だけの第1の外部磁石706の回転は、「上向き回転(upward rotations)」又は「上向きオフセット(upward offsets)」として知られる一意的に正の回転オフセットである。対照的に、<0°~>-180°の第1の回転角1123だけの第1の外部磁石706の回転は、「下向き回転(downward rotations)」又は「下向きオフセット(downward offsets)」として知られる一意的に負の回転オフセットである。
【0080】
第2の外部磁石708も、回転オフセットを有してよい。第2の外部磁石708は、第2の回転角1121だけ例示的な第2の中心磁性軸1120’に対して回転させられてよい。幾つかの実施形態において、第2の回転角1121は正であり、幾つかの実施形態において、第2の回転角1121は負である。第2の中心磁性軸1120を含む第2の外部磁石708は、0°~360°まで正の方向に第2の回転角1121だけ回転させられてよい。加えて、第2の中心磁性軸1120を含む第2の外部磁石708は、0°~-360°まで負の方向に第2の回転角1121だけ回転されられてよい。第2の中心磁性軸1120が>0°~<180°の第2の回転角1121だけ回転的にオフセットされるような、第2の外部磁石708の回転は、一意的に正の回転オフセットである。同様に、第2の中心磁性軸1120が<0°~>-180°の第2の回転角1121だけ回転的にオフセットされるような、第2の外部磁石708の回転は、一意的に負の回転オフセットである。第1の外部磁石708に関して議論したように、>180°~<360°の第2の回転角1121だけの第2の外部磁石708の回転は、<0°~>-180°の第2の回転角だけの第2の外部磁石708の回転と等しく、<-180°~<-360°の第2の回転角だけの第2の外部磁石の回転は、>0°~<180°の第2の回転角だけの第2の外部磁石708の回転と等しい。>0°~<180°の第2の回転角1121だけの第2の外部磁石708の回転は、「上向き回転」又は「上向きオフセット」として知られる一意的な正の回転オフセットである。対照的に、<0°~>-180°の第2の回転角1121だけの第2の外部磁石708の回転は、「下向き回転」又は「下向きオフセット」として知られる一意的な負の回転オフセットである。
【0081】
一方又は両方の磁石が回転的にオフセットされてよい。幾つかの実施形態では、第1の外部磁石706のみが、正の方向及び負の方向の一方(即ち、上向き回転又は下向き回転)において回転させられる。他の実施形態では、第2の外部磁石708のみが、正の方向及び負の方向の一方(即ち、上向き回転又は下向き回転)において回転させられる。更に他の実施形態では、両方の磁石が回転させられる。二重磁石回転の任意の置換(permutation)が可能であり、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の両方が(同じ量又は異なる量だけ)上向きに回転され、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の両方が(等しい量又は異なる量だけ)下向きに回転させられ、第1の外部磁石706が上向きに回転させられるのに対し、第2の外部磁石708が(同じ量又は異なる量だけ)下向きに回転させられ、並びに第1の外部磁石706が下向きに回転させられるのに対し、第2の外部磁石708は(同じ量又は異なる量だけ)上向きに回転させられる。第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の両方が等しく上向きに回転させられると、回転的な系統オフセット(rotational
systemic offset)は、2つのオフセットの大きさの合計である。例えば、第1の外部磁石706が40°の上向き回転を有し、第2の外部磁石708が40°の回転を有するとき、システムの回転を、例えば、「上向き80°」又は「80°上向き」と呼ぶ。同様に、第1の外部磁石706が-15°の下向きの回転を有し、第2の外部磁石708が-15°の下向きの回転を有するならば、システムの回転を、例えば、「下向き30°」又は「30°下向き」と呼ぶ。
【0082】
中心垂直軸1111上の地点に依存して、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の一方又は両方の回転オフセットを変更することは、所与のギャップ距離1138について観察される磁束密度を増加又は減少させることがある。例えば、以下でより詳細に議論するように、上向きの回転オフセット(即ち、>0°~<180°)は、所与のギャップ距離1138での中心垂直軸1111上の磁束密度を概ね増加させる。対照的に、下向きオフセット(即ち、<0°~>-180°)は、所与のギャップ距離1138での中心垂直軸1111上の磁束密度を概ね減少させる(しかしながら、下向きのオフセットは、小さなギャップ距離1138での中心垂直軸1111上の磁束密度を増加させることがある)。第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708が、上向き方向又は下向き方向のいずれかに位相が外れて片側に(unilaterally)又は両側に(bilaterally)回転させられると、それらは互いに回転的にロックされることがあり、上述のように(例えば、同じ角速度で)回転させられることがある。
【0083】
図16A~
図16Dは、他方の磁石をゼロ基準で保持しながらの単一の磁石の片側の回転オフセット(unilateral rotational offset)を例示している。
図16A~
図16Dの各々は磁石より「上」にある磁束基準/測定地点1177を示していることに留意のこと。
図16Aは、磁束基準/測定地点1177に対する約20°の上向き回転を伴う、第2の外部磁石708の第2の中心磁性軸1120を示している。それはゼロ基準地点で一定に保持されている第1の外部磁石706の第1の中心磁性軸122も示している。
図16Bは、磁束基準/測定地点1177に対する約45°の上向き回転を伴う、第2の外部磁石708の第2の中心磁性軸1122を示している。それはゼロ基準地点で一定に保持されている第1の外部磁石706の第1の中心磁性軸1122も示している。
図16Cは、磁束基準/測定地点1177に対する約90°の上向き回転を伴う、第2の外部磁石708の第2の中心磁性軸1120を示している。それはゼロ基準地点で一定に保持されている第1の外部磁石706の第1の中心磁性軸1122も示している。
図16Dは、磁束基準/測定地点1177に対する約135°の上向き回転を伴う、第2の外部磁石708の第2の中心磁性軸1120を示している。それはゼロ基準地点で一定に保持されている第1の外部磁石706の第1の中心磁性軸1122も示している。
【0084】
図17A~
図17Dは、他方の磁石をゼロ基準で保持しながらの単一の磁石の片側の回転オフセットを例示している。
図17A~
図17Dの各々は、磁石より「上」にある磁束基準/測定地点1177を示している。
図17Aは、磁束基準/測定地点1177に対する約-20°の下向き回転を伴う、第2の外部磁石708の第2の中心磁性軸1120を示している。それはゼロ基準地点で一定に保持されている第1の外部磁石706の第1の中心磁性軸1122も示している。
図17Bは、磁束基準/測定地点1177に対する約-45°の下向き回転を伴う、第2の外部磁石708の第2の中心磁性軸1120を示している。それはゼロ基準地点で一定に保持されている第1の外部磁石706の第1の中心磁性軸1122も示している。
図17Cは、磁束基準/測定地点1177に対する約-90°の下向き回転を伴う、第2の外部磁石708の第2の中心磁性軸1120を示している。それはゼロ基準地点で一定に保持されている第1の外部磁石706の第1の中心磁性軸1122も示している。
図17Dは、磁束基準/測定地点1177に対する約-135°の下向き回転を伴う、第2の外部磁石708の第2の中心磁性軸1120を示している。それはゼロ基準地点で一定に保持されている第1の外部磁石706の第1の中心磁性軸1122も示している。
【0085】
図18は、片側の回転角(即ち、
図16A~
図16D及び
図17A~
図17Dに示すように、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石のうちの一方のみが回転オフセットを与えられるのに対し、他方が回転オフセットを与えられない場合)に対する、第1の外部磁石706と第2の外部磁石708とによって生成される(磁束密度に正比例する)インプラントトルクのグラフを例示している。
【0086】
図19A~
図19Dは、2つの磁石、即ち、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の、等しい両側の回転オフセット(bilateral rotational offset)を例示している。再び、
図19A~
図19Dの各々は、磁石より「上」にある磁束基準/測定地点1177を示している。
図19Aは、第1の外部磁石706の第1の中心磁性軸11222及び第2の外部磁石708の第2の中心磁性軸1120を示しており、それぞれ、磁束基準/測定地点1177に対する約20°の上向き回転を有する。
図19Aに示すシステムは、上向き40°の回転オフセットを有する。
図19Bは、第1の外部磁石706の中心磁性軸1122及び第2の外部磁石708の第2の中心磁性軸1120を示しており、それぞれ、磁束基準/測定地点1177に対する約45°の上向き回転を有する。
図19Bのシステムは、上向き180°の回転オフセットを有する。
図19Cは、第1の外部磁石706の中心磁性軸1122及び第2の外部磁石708の第2の中心磁性軸1120を示しており、それぞれ、磁束基準/測定地点1177に対する約90°の上向き回転を有する。
図19Cに示すシステムは、上向き180°の回転オフセットを有する。そして、最後に、
図19Dは、第1の外部磁石706の第1の中心磁性軸1122及び第2の外部磁石708の第2の中心磁性軸1120を示しており、それぞれ、磁束基準/測定地点1177に対する約135°の上向き回転を有する。
図19Dに示すシステムは、上向き270°の回転オフセットを有する。
【0087】
図20A~
図20Dは、2つの磁石、即ち、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の、等しい両側の回転オフセットを例示している。
図20A~
図20Dの各々は、磁石より「上」にある磁束基準/測定地点1177を示している。
図20Aは、第1の外部磁石706の第1の中心磁性軸11222及び第2の外部磁石708の第2の中心磁性軸1120を示しており、それぞれ、磁束基準/測定地点1177に対する約-20°の下向き回転を有する。
図20Aに示すシステムは、下向き40°の回転オフセットを有する。
図20Bは、第1の外部磁石706の第1の中心磁性軸1122及び第2の外部磁石708の第2の中心磁性軸1120を示しており、それぞれ、磁束基準/測定地点1177に対する約-45°の下向き回転を有する。
図20Bに示すシステムは、下向き90°の回転オフセットを有する。
図20Cは、第1の外部磁石706の第1の中心磁性軸1122及び第2の外部磁石708の第2の中心磁性軸1120を示しており、それぞれ、磁束基準/測定地点1177に対する約-90°の下向き回転を有する。
図20Cに示すシステムは、下向き180°の回転オフセットを有する。そして、最後に、
図20Dは、第1の外部磁石706の第1の中心磁性軸1122及び第2の外部磁石708の第2の中心磁性軸1120を示しており、それぞれ、磁束基準/測定地点1177に対する約-135°の下向き回転を有する。
図20Dに示すシステムは、下向き270°の回転オフセットを有する。
【0088】
図21Aは、基準構成において第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708を取り囲む磁力線の概略を例示している。第1の外部磁石706のN極902は、ゼロ基準方向に向けられており、第2の外部磁石708のS極904も、ゼロ基準方向に向けられている。磁束基準/測定地点1177は、再び、磁石より「上」にあるものと理解される。
図21とは対照的に、
図21Bは、上向き40°の体系的な回転オフセットを有する、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708を取り囲む、磁力線の概略を例示している。換言すると、第1の外部磁石706のN極902及び第2の外部磁石708のS極904は、それぞれ20°(上向きに20°)だけ回転させられている。磁束基準/測定地点1177は、再び、磁石より「上」にあるものと理解される。
図21Bにおいて中心垂直線1111に沿い且つ磁石より上にある磁束線は、
図21Aにおいて中心垂直線1111に沿い且つ磁石より上にある磁束線よりも緻密である。前述のように、所与のギャップ距離1138について、上向きの回転は、磁束密度を増大させる傾向がある。
図21Cは、上向き80°の体系的な回転オフセットを有する、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708を取り囲む、磁力線の概略を例示している。換言すると、第1の外部磁石706のN極902及び第2の外部磁石708のS極904は、それぞれ、40°(上向き40°)だけ回転させられている。磁束基準/測定地点1177は、再び、磁石より「上」にあると理解される。
図21C中の中心垂直軸1111に沿い且つ磁石より上にある磁束線は、
図21C中の中心垂直軸1111に沿い且つ磁石より上にある磁束線よりも顕著に緻密である。前述のように、所与のギャップ距離1138について、上向きの回転は、磁束密度を増加させる傾向がある。
図21Dは、下向き40°の体系的な回転オフセットを有する、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708を取り囲む、磁力線の概略を例示している。換言すると、第1の外部磁石706のN極902及び第2の外部磁石708のS極904は、それぞれ、-20°(下向き20°)だけ回転させられている。磁束基準/測定地点1177は、再び、磁石より「上」にあると理解される。
図21D中の中心垂直軸1111に沿い且つ磁石より上にある磁束線は、(第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708がそれらの基準構成にある)
図21A中の中心垂直軸1111に沿い且つ磁石より上にある磁束線よりも疎らである。しかしながら、これらの磁束線は、(第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708が上向き80°の回転オフセットを有する)
図21C中の中心垂直軸1111に沿い且つ磁石より上に示される磁束線よりも、密度が一層少ないことが留意されるべきである。所与のギャップ距離1138について、下向きの回転は、(磁束密度を増加させる、劇的にさえ増加させる、小さなギャップ距離1138での下向きの回転を除いて)磁束密度を減少させる傾向がある。従って、下向き回転は、基準システムよりも低い磁束密度を生成し、上向きオフセット/回転を有するシステムよりも一層低い磁束密度を生成する。最後に、
図21Eは、下向き80°の体系的な回転オフセットを有する、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708を取り囲む、磁力線の概略を例示している。換言すると、第1の外部磁石706のN極902及び第2の外部磁石708のS極904は、それぞれ、-40°(下向き40°)だけ回転させられている。磁束基準/測定地点1177は、磁石より「上」にあると理解される。図から分かるように、
図21E中の中心垂直軸1111に沿い且つ磁石より上にある磁束線は、極めて小さいギャップ距離1138で極めて稠密であり、恐らく上向き80°オフセットから観察される密度よりも更に緻密である。しかしながら、ギャップ距離1138が増加すると、磁束密度は急速に減少する。
【0089】
図22A~
図22Bは、両側の回転角(即ち、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708が、
図19A~
図19D及び
図20A~
図20Dに示すように、同じ回転オフセットが与えられる場合)に対する、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708によって生成される(磁束密度に正比例する)インプラントトルクのグラフを例示している。
【0090】
図22A~
図22Bとは対照的に、
図23は、回転が存在しない幾つかのシナリオにおけるギャップ距離に対する(mTeslaの単位で測定された)磁束密度のグラフを例示している。
図11を参照すると、
図23に含まれる様々なプロットは、(複数の)磁石の縁、即ち、ギャップ距離1138がゼロである場所から、(依然として中心垂直軸1111上で)外向きに、約5インチのギャップ距離1138まで延びる、中心垂直軸1111に沿って受ける静磁場強度のプロットである。
【0091】
第1の線2310は、磁石が0.75インチの磁石間ギャップを有し、角度オフセットがない(即ち、第1の外部磁石706も第2の外部磁石708も位相が外れて回転しない)、2磁石システム(two magnet system)(例えば、第1の外部磁石706と第2の外部磁石708とを有するシステム)についてのギャップ距離に対する磁束密度のプロットである。そのようなシステムの例示的な磁束マップを
図21Aに示す。従って、第1の線2310は、2つの磁石の直ぐ間の垂直線(例えば、中心垂直軸1111)に沿う磁束密度として概念化されてよい。第1の線2310上の第1の地点は、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の最外側の水平な縁を接続する線の交点にある。磁束密度の減少する値は、
図21Aによって例示されており、
図21Aでは、磁石から離れる距離が増大するにつれて、磁束線が少なくなっている。第1の線2310は、「増加した」及び/又は「減少した」磁束密度が評価される基準線と考えられてよい。
【0092】
第2の線2320は、磁石が0.75インチの磁石間ギャップ及び上向き40度の体系的な角度オフセットを有する(即ち、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の各々が20度の上向き回転を有する)、2磁石システム(例えば、第1の外部磁石706と第2の外部磁石708とを有するシステム)についてのギャップ距離に対する磁束密度のプロットである。そのようなシステムの例示的な磁束マップを
図21Bに示す。ここで、第2の線2320は、
図21Bに示す2つの磁石の直ぐ間の垂直線(例えば、中心垂直軸1111)に沿う磁束密度として概念化されてよい。第2の線2320上の第1の地点は、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の最外側の水平な縁を接続する線の交点にある。第2の線2320についての磁束密度の値は、基準線、即ち、第1の線2310についての磁束密度の値が降下するよりも迅速に降下する。
【0093】
第3の線2330は、2磁石システム(例えば、第1の外部磁石706と第2の外部磁石708とを有するシステム)のギャップ距離に対する磁束密度のプロットである。磁石が0.75インチの磁石間ギャップ及び下向き40度の体系的な角度オフセットを有する(即ち、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の各々は、20度の下向き回転を有する)。そのようなシステムの例示的な磁束マップを
図21Dに示す。第3の線2330は、第1の線2310及び第2の線2320に関して記載したばかりのように、中心垂直軸1111に沿う磁束密度として理解されてよい。磁束密度は、基準磁束密度(即ち、第1の線2310の磁束密度)よりも僅かに低いが、磁束密度は、約15mmよりも大きいギャップ距離に亘って基準磁束密度よりも高いままである。より高いトルク又は磁束密度が望まれるシステムでは、そのような構成が有用なことがある。
【0094】
最後に、第4の線2340は、磁石が0.75インチの磁石間ギャップ及び下向き80度の体系的な角度オフセットを有する(即ち、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の各々は40度の下向き回転を有する)、2磁石システム(例えば、第1の外部磁石706と第2の外部磁石708とを有するシステム)のギャップ距離に対する磁束密度のプロットである。そのようなシステムの例示的な磁束マップを
図21Eに示す。第4の線2340は、第1の線2310、第2の線2320、及び第3の線2330に関して記載したように、中心垂直軸1111に沿う磁束密度として理解されてよい。ここでは、それらの線とは対照的に、磁束密度はより低く開始するが、他の線よりも遅く降下する。そのような構成は、ギャップ距離が必然的により大きい(例えば、50~100mmの範囲内にある)が依然として比較的高いトルクを必要とする用途において有用なことがある。
【0095】
図15は、2つの変数、即ち、磁石間ギャップ及び回転オフセットが変更された、2つの異なる磁石システムについてのギャップ距離に対してプロットされた(mTeslaで測定された)磁束密度を例示している。第1の線1510及び第2の線1520は、ゼロ回転オフセットを有する2磁石システムによって生成される磁束密度プロットを例示している。換言すると、両方の磁石は基準位置にある。対照的に、第3の線1530及び第4の線1540は、体系的な下向き80度の回転オフセットを有する2磁石システムによって生成された磁束密度プロットを例示している。換言すると、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708は、それぞれ40度の下向き回転を有する。最初に、第1の線1510と第2の線1520とを比較する。
【0096】
記載したばかりのように、第1の線1510及び第2の線1520を生成した2磁石システムは、ゼロ回転オフセットを有する。しかしながら、第1の線1510を生成した最初の2磁石システムは約0.2インチの磁石間ギャップを有したのに対し、第2の線1520を生成した第2の2磁石システムは約0.75インチの磁石間ギャップを有した。磁石が互いにより接近したシステムは、磁石がより離れたシステムよりも有意に高い磁束密度を最初に有した。実際には、磁束密度は、ゼロのギャップ距離で約30%より高い。グラフは、小さな磁石間ギャップを通じて達成される利得が、比較的短いギャップ距離でのみ実現されることを例示している。第1の線1510及び第2の線1520は、約30mmで実質的に収束し、然る後、それらはほぼ等しいままである。これは、変化する磁石間ギャップを示す
図14と完全に一致する。再び、
図14は、ギャップ距離がゼロであるときに並びに磁石間ギャップがゼロであるときに、磁束密度が(任意の所与の2つの磁石についての)限界に近づくことを例示している。磁石間ギャップが増加すると、(ギャップ距離が一定のゼロに維持されるときでさえも)磁束密度は減少する。加えて、少なくとも磁石間ギャップの比較的小さな増加について、(磁石間ギャップに拘わらず)磁石間ギャップの影響は約25mmではもはや感じられない。換言すると、磁石間ギャップのみが変化するシステムによって生成された磁束密度プロットは、約25mmで全て収束し、その時点で、それらは互いに追跡し続ける(ほぼ逆立方体でゼロの限界まで降下する)。
【0097】
上で議論したように、そして、議論したばかりのゼロ回転オフセットシステムとは対照的に、第3の線1530及び第4の線1540を生成した2磁石システムは、体系的な下向き80度の回転オフセットを有する。しかしながら、第3のライン1530を生成した最初の2磁石システムは、約0.2インチの磁石間ギャップを有したのに対し、第4の線1540を生成した第2の2磁石システムは、約0.75インチの磁石間ギャップを有した。磁石が互いにより近接したシステムは、磁石がより離れたシステムよりも有意に高い磁束密度を最初に有した。実際には、それはゼロのギャップ距離で約70%より高い。グラフは、下向き回転オフセットを有するシステムにおける小さい磁石間ギャップを通じて達成される利得が、回転オフセットのないシステムについてよりもずっと広い範囲のギャップ距離に亘って実現されることを例示している。上述のように、回転オフセットを有さないシステムは、約25mmよりも少ないギャップ距離についてのみ増加した磁束密度を維持する。著しく対照的に、下向き80度の回転オフセットを有するシステムは、ギャップ距離の2倍である約50mmで磁束密度の増加を依然として受けた。回転オフセットされたシステムは約50mmで収束し、その時点で、それらは互いに追跡し続けた。しかしながら、それらは回転オフセットを有さないより上に留まる。
【0098】
図15は、異なる結果を達成するために磁石間ギャップ及びギャップ距離の両方を操作したシステムの例を例示している。小さいギャップ距離が可能な幾つかの用途があることが理解されるであろう。そのような用途の1つの例は、子供に移植される磁気的に調整可能な脊柱側弯症ロッドにある。これらのロッドは、脊柱の後部の直ぐ上の皮膚の下に近接して位置することが多い。これらのデバイスの幾つかの例は、米国特許第8,197,490号、同第8,057,472号、同第8,343,192号、及び同第9,179,938号に記載されており、それらの全文を本明細書中に参照として援用する。(ギャップ距離が小さい)これらのような用途では、必要とされるトルクの大きさは評価されなければならない。
図15によって例示されるように、高いレベルのトルクが必要とされるとき、には、小さい磁石間ギャップが望ましいことがあり(磁石間ギャップを減少させると、磁束は概ね増加する)、下向きの回転オフセットが望ましくないことがある(小さいギャップ距離から中程度のギャップ距離で、下向きの回転オフセットは、磁束密度を減少させる傾向がある)。しかしながら、高いレベルのトルクは不必要であるか或いは有害でさえあることがある。これらの場合には、大きい磁石間ギャップが望ましいことがある(磁石間ギャップを増大させると、磁束は概ね減少する)。トルクの一層更なる/より大きな減少が望ましいならば、下向き回転オフセットが使用されてよい。
【0099】
小さいギャップ距離が不可能ではないにしても珍しく、中程度のギャップ距離から大きいギャップ距離が対処されなければならない、用途があることも理解されるであろう。そのような用途の例は、磁気的に調整可能な髄内大腿骨釘にある。そのような釘は、大腿骨の髄内管(intramedullary canal)内に配置される。結果的に、脂肪、筋膜、及び筋肉は、ある程度まで圧縮されることがあり、ギャップ距離は、大腿骨を覆う組織によって実質的に増加される。そのようなデバイスの幾つかの例は、米国特許第8,449,543号及び同第8,852,187号に開示されており、それらの全文を本明細書中に参照として援用する。上述したように、下向き回転オフセットは、一般的に、ギャップ距離が増加すると、磁束密度を増加させる。従って、これらの用途では、下向き回転オフセットシステムが、それらの対応する同等物(aligned counterparts)よりも効果的である可能性が高い。80度の下向き回転オフセットを有するシステムについて、磁石間ギャップの減少に起因する磁束密度のあらゆる増加は、概して約50mmだけ失われる。従って、トルクの(従って、磁束密度の)増大が望ましい用途が約50mmよりも大きいギャップ距離を有するならば、磁石間ギャップを減少させることは、トルクを増加させることにおいて殆ど役割を果たさない。しかしながら、ギャップ距離が約50mm未満であるならば、ギャップ距離を減少させることは、可能なトルクを劇的に増加させ得る。いずれかの大腿骨髄内釘が小さいギャップ距離を常に受ける可能性は低いが、ギャップ距離が約25mmよりも小さいならば、下向き回転オフセットを有することは、より高いトルクを生成するシステムの能力を低下させる。その場合には、小さいギャップ距離を有する回転整列させられるシステムがより良いであろう。ここでは、回転オフセット及び磁石間ギャップの影響を極めて限定的な脈絡において並びに例示の目的のために議論したに過ぎないことが留意されるべきである。本明細書で議論するように、所与の地点で受ける磁束密度を増加又は減少させるよう変更されてよい追加的な範囲及び変数がある。
【0100】
図24は、システムによって創成される磁場を更に成形するために第3の外部磁石2408を追加している点を除いて
図11に示した磁石システムと類似する、他の磁石システムを例示している。第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708と同様に、第3の外部磁石2408は、S極2406と、N極2404と、第3の磁石直径2432と、第3の細長い回転軸とを有する。第3の外部磁石2408は、ここでは、第2の磁石直径1132又は第1の磁石直径1134よりも小さい第3の磁石直径2432を有するものとして示されているが、これは例示の目的のために過ぎないことが理解されるべきである。任意の所与のシステムの磁束成形目標に依存して、第3の磁石直径2432は、第2磁石直径1132及び/又は第1の磁石直径1134よりも小さくてよく、第2磁石直径1132及び/又は第1の磁石直径1134と同じでよく、或いは第2磁石直径1132及び/又は第1の磁石直径1134よりも大きくてよい。
【0101】
引き続き
図24を参照すると、(第1及び第2の細長い回転軸のような)第3の細長い回転軸は、第3の外部磁石2408の中心を通じてページ内に延びる第3の外部磁石2408の中心を通る線である。第1の外部磁石706は、その第1の磁石垂直軸1113を有し、第2の外部磁石708は、その第2の磁石垂直軸1112を有するが、第3の外部磁石2408は、中心垂直軸1111上に直接的に位置するように示されており、前記線は、磁石間ギャップ1130を二分している。第3の外部磁石2408を中心垂直軸1111上に配置することは、中心垂直軸1111に亘る有利に均一なシステムを可能にすることがある。しかしながら、第3の外部磁石2408は、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708に対してどこに配置されてもよい。
図24に示すように、第3の外部磁石2408の位置は、水平軸1110から第3の外部磁石2408の第3の磁石水平軸2410までの中心垂直軸1111に沿う距離である、第3の磁石垂直オフセット1139によっても定められる。
【0102】
第3の外部磁石2408は、(
図24に示す)第3の中心磁性軸2424に対する第3の回転角2425だけ回転させられてよい。第3の外部磁石2408は、そのような基準構成を有する。第3の外部磁石2408についての基準系(frame of reference)は、第2の外部磁石708についての基準系と同じである。換言すると、時計回り方向における第3の細長い回転軸についての第3の外部磁石2408の回転は正として示されるのに対し、反時計回り方向における第3の細長い回転軸についての第3の外部磁石2408の回転は負として示される。第3の外部磁石2408は、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708とちょうど同じように、回転オフセットを有してもよい。幾つかの実施形態において、第3の回転角2425は正であり、幾つかの実施形態において、第3の回転角2425は負である。第3の中心磁性軸2424を含む第3の外部磁石2408は、0°~360°の正の方向において第3の回転角2425だけ回転させられてよい。加えて、第3の中心磁性軸2424を含む第3の外部磁石2408は、0°~-360°の負の方向において第3の回転角2425だけ回転させられてよい。第2の外部磁石708と同様に、第3の中心磁性軸2424が>0°~<180°の第3の回転角2425だけ回転的にオフセットされるような、第3の外部磁石2408の回転は、一意的に正の回転オフセットである。同様に、第3の中心磁性軸2424が<0°~>-180°の第3の回転角2425だけ回転的にオフセットされる、第3の外部磁石2408の回転は、一意的に負の回転オフセットである。容易に理解されるように、>180°~<360°の第3の回転角2425だけの第3の外部磁石2408の回転は、<0°~>-180°の第3の回転角2425だけの第3の外部磁石2408の回転と等しく、<-180°~<-360°の第3の回転角2425だけの第3の外部磁石2408の回転は、>0°~<180°の第3の回転角2425だけの第3の外部磁石2408の回転に等しい。>0°~<180°の第3の回転角2425だけの第3の外部磁石2408の回転は、「上向き回転」又は「上向きオフセット」として知られる一意的に正の回転オフセットである。対照的に、<0°~>-180°の第3の回転角2425だけの第3の外部磁石2408の回転は、「下向き回転」又は「下向きオフセット」として知られる一意的に負の回転オフセットである。
【0103】
図24は、第3の外部磁石2408の第3の磁石水平軸2410が水平軸1110と移植された磁石1010との間にあるものとして例示しているが、他の配置が可能である。
図25A~
図25Cは、第3の外部磁石2408が配置されてよい場所の様々な例を例示している。
図25A~
図25Cにおいて、移植された磁石1010の位置は、向き2480の方向によって特定される。移植された磁石1010は、
図24において、第1の外部磁石706、第2の外部磁石708、及び第3の外部磁石2408より「上」にあるものとして示されているが、
図25A~
図25Cでは、第1の外部磁石706、第2の外部磁石708、及び第3の外部磁石2408より「下」(below)にあることに留意のこと。
【0104】
図25Aは、第3の外部磁石2408が、水平軸1110、第1の外部磁石706、及び第2の外部磁石708より上に位置付けられるよう、第3の磁石垂直オフセット1139が正である、3磁石システム(three magnet system)を例示している。第3の磁石垂直オフセット1139は、磁気的に意味のある任意の正の値を有してよい。第3の磁石垂直オフセット1139が増加すると、(
図25に示すように)磁場が逆正方形で降下するので、第3の外部磁石2408の効果は急速に降下する。
図25Aにおいて、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の両方は、(中心間距離によって定められる)移植された磁石1010により近接する。従って、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708が第3の磁石直径2432よりも大きい直径を有する限り、移植された磁石1010が第3の外部磁石2408から感じる効果は、移植された磁石1010が第1の外部磁石706又は第2の外部磁石708から感じる効果よりも少ないであろう。もちろん、第3の磁石直径2432が十分に増加したならば、第3の外部磁石2408は、十分に強い磁場を有することができるので、その逆も正しい。同様に、3つの磁石の各々が移植された磁石1010に等しく効果を与えるようパラメータを最適化することができる。
【0105】
図25Bは、第3の磁石垂直オフセット1139がゼロである(即ち、第3の磁石水平軸2410及び水平軸1110が同じ線の上に位置する/同じ線である)、第2の3磁石システムを例示している。
図25Bにおいて、第3の外部磁石2408は、(中心垂直軸1111に沿って位置し且つ中心間距離によって定められるときに)、移植された磁石に常により近接する。従って、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708と等しい効果を得るために、第3の磁石直径2432は、(閾値直径にある)第2の磁石直径1132及び/又は第1の磁石直径1134のいずれかよりも小さくてよい。しかしながら、等しい降下を有することよりもむしろ、第3の外部磁石2408が第1の外部磁石706又は第2の外部磁石708よりも強い効果を有することが望ましい場合がある。そのような場合、第3の磁石直径2432は、閾値直径より上に増大させられてよい。もちろん、幾つかの実施形態では、第1の外部磁石706又は第2の外部磁石708から感じられる効果よりも少ない効果が第3の磁石直径2432によって生成されることが望ましい。それらの場合、第3の磁石直径2432は、閾値直径より下に減少させられてよい。
【0106】
図25Cは、第3の外部磁石2408が水平軸1110、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708より下に位置付けられるよう、第3の磁石垂直オフセット1139が負である、第3の3磁石システムを例示している。第3の磁石垂直オフセット1139は、磁気的に意味のある任意の負の値を有してよい。第3の磁石垂直オフセット1139がますます負になると、磁場はほぼ逆正方形で降下するので、第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の(中心垂直軸1111に沿う)効果は急速に降下する。
図25Cは、第1の磁石直径1134及び第2の磁石直径1132よりも小さい第3の磁石直径2432を有する第3の外部磁石2408を例示している。第3の外部磁石2408は、中心垂直軸1111の更に下にある(例えば、理論上の移植された磁石1010により近接する)ので、第3の外部磁石2408が向き2480の方向において磁束密度に対して有する効果は、第1の外部磁石706又は第2の外部磁石708のいずれよりも顕著であることがある。しかしながら、上述のように、システム要件に依存して、様々な磁石の直径を変更して、1つの磁石の磁気入力を他の磁石の磁気入力に対して均衡させ或いは強調してよい(第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708は一般的には同じ直径を有してよいが、それらは異なる直径を有してよい)。例えば、第3の磁石直径2432を増大させて、第3の外部磁石2408の効果を強調することができる。或いは、(場合によっては第3の磁石直径2432を減少させながら)第1の磁石直径1134及び第2の磁石直径1132のうちの1つ又はそれよりも多くを増大させて、第3の外部磁石2408に対する第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の効果を増加させることができる。
【0107】
コンパス(compass)又は馬蹄形磁石(horseshoe magnet)のような、更には第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708のような回転分極円筒磁石(rotational poled cylindrical magnet)のような、単純な磁石に加えて、各極の磁束方向が随意に選択されてよい、複雑な磁石を創成することが可能である。複雑な磁石の一般的な例は、磁気が片側のみに存在する-磁石の背面は冷蔵庫にくっつくのに対し、正面は冷蔵庫にくっつかない、冷蔵庫磁石である。この現象は、磁場が磁石の一方の側にのみ存在することを可能にする、磁石の構築中の磁束方向の選択的な向きに起因する。この現象はハルバッハ効果(Halbach effect)として知られており、配置(arrangement)はハルバッハアレイ(Halbach array)として知られている。ハルバッハアレイでは直線磁石が創成されることがあるので、各々の連続的な極片のN極が前の磁石から4分の1回転だけ回転させられるよう、N極片及びS極片を単に並べて配置することによって、磁場が片側にのみ存在する。ひとたび記載するように整列させられると、貴方が特定の方向に進むに応じて、磁化の方向が均一に回転する。
【0108】
一般的に、ハルバッハアレイは、ハルバッハアレイの一方の側の磁場を増大させるが、ハルバッハアレイの他の側で磁場をほぼゼロに又は実質的にほぼゼロに打ち消すことができる、永久磁石の配置である。例えば、ハルバッハアレイの底面で磁場を増強し、ハルバッハアレイの頂面で磁場を打ち消すことができる(片側磁束)。永久磁石の4分の1回転の回転パターンを無限に継続することができ、それは同じ効果を有する。ますます複雑なハルバッハアレイを使用して、円筒磁石を含む任意の磁石の磁場を成形することができる。
【0109】
図26A~
図26Cは、個々の磁極の磁束方向が操作されることがある様々な円筒磁石を例示している。
図26Aは、第1の磁極2611と第2の磁極2612とを有し、それらの各々が磁束場2626(flux field)を有する、2極磁石2610(two-poled magnet)を例示している。ハルバッハアレイを使用して、磁束場2626は任意の方向に「向けられる(pointed)」ことがある。例えば、磁石の実質的に一方のみに磁場を創成することができる。
図26Bは、第1の磁極2621と、第2の磁極2622と、第3の磁極2623と、第4の磁極2624とを有し、それらの各々が磁極場2626を有する、4極磁石2620(four-poled magnet)を例示している。
図26Aに関して記載したように、各磁束場2626は、任意の方向に「向けられている」。最後に、
図26Cは、第1の磁極2631と、第2の磁極2632と、第3の磁極2633と、第4の磁極2634と、第5の磁極2635と、第6の磁極2636と、第7の磁極2637と、第8の磁極2638とを有し、それらの各々が磁束場2626を有する、8極磁石2630(eight-poled magnet)を例示している。増大する数の磁極を備えるハルバッハアレイの原理を使用して、有利な特性を備える複雑な磁石を創成することができる。例えば、磁石の一方の側に単一の強い集束場を有する円筒磁石を創成することが可能なことがある。対照的に、磁気不感帯(magnetic dead zone)(即ち、磁束が殆ど又は全く存在しないゾーン)によって分離された、4つのより弱い磁場を有する円筒磁石を創成することが可能なことがある。これらの複雑な磁石は、移植された磁石1010のようなインプラントに有利に適用されることがある。より強い集束磁場を有するインプラントされた磁石は、より高い結合トルクを生成し得ることがある。代替的に、トルクを増加させるよりもむしろ、移植された磁石1010の大きさを減少させることが可能なことがある。例えば、(1つ又はそれよりも多くのハルバッハアレイを有する)より小さい複雑な移植された磁石1010上の集束磁場は、比較的非集束な磁場を有する標準的な2極磁石と等しい又はそれよりも更に大きい結合トルクを生成し得ることがある。そのような複雑な磁石は、外部調整デバイス700内に組み込まれてもよい。再び、1つ又はそれよりも多くのハルバッハアレイは、磁石の大きさの減少又は結合トルクの増加を可能にすることがあり、或いはそれらの両方を可能にすることさえある。移植された磁石1010及び外部調整デバイス700の両方において複雑な磁石が使用されるならば、その効果が増大させられることがある。
【0110】
図27は、
図11に示す2磁石システムのような、2磁石システムの磁束マップを例示している。
図11とは対照的に、両方の磁石は、時計回り方向に90度回転させられている。従って、第1の外部磁石706のN極902は、S極904のN極908に直接的に面している。この磁束マップは、
図13Bに示す磁束マップに極めて類似している。
【0111】
図28Aは、
図24及び
図25A~
図25Cに例示する3磁石システムに類似する、3磁石システムの概略図を例示している。
図28Aにおいて、移植された磁石は、3つの磁石のうちのより小さい磁石が移植された磁石1010と同じ水平軸1110の側にあるよう、3磁石システムより「下」にある。
図28Aは、3磁石システムの1つの可能な構成を例示している。3つの磁石のうちのより大きい2つの磁石は、
図27に示すように構成される。しかしながら、(
図24の第3の外部磁石2408と類似する)3つの磁石のうちのより小さい磁石は、より大きい磁石から90度オフセットされたS極を有する。換言すると、小さな磁石にあるN極及びS極を分割する線は、より大きい磁石のS極及びN極を分割する(平行な)線に対して垂直である。この構成は、移植された磁石の方向に向かって磁場を成形して、その場所で増大した磁場密度を提供する場合があることが観察されている。少なくとも1つの実施形態において、(磁石間の距離、磁石の大きさ、ギャップ距離等に依存する)この構成は、(
図27に示す2磁石システムのような)2磁石システムよりも50%より多い磁束密度を提供することができ、従って、50%より多い力を提供することができる。
【0112】
図28Bは、
図28Aに示す3磁石システムと類似する、3磁石システムの磁束マップを例示している。両方のより大きい磁石のN極は、再び、2つの磁石を分割する垂直線に向って向けられている。加えて、より小さい第3の磁石のN極は、移植された磁石に向かって下向きに向けられている。このようにして、3磁石システムの移植された磁石側の磁束密度を増加させてよい。
図28Bは、磁束密度線の増加した密度を例示している。対照的に、
図28Cは、同じ位置にあるより大きな磁石を例示しているが、より小さい磁石は、N極が上に向けられ、植え込まれた磁石から離れている。この構成において、システムは、移植された磁石によって観察される磁束密度を減少させる。磁石間の距離、磁石の大きさ、ギャップ距離等に依存して、この構成は、(
図27に示すような)2磁石システムよりも50%より少ない(減少させられた)磁束密度を提供することができ、従って、50%より小さい力を提供することができる。
【0113】
組織国際非電離放射線防護委員会(International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection)は、「(300GHzまでの)時間変動電場、磁場、電磁場への曝露を制限するガイドライン」(“Guidelines for Limiting Exposure to Time-Varying Electric, Magnetic, and Electromagnetic Fields (Up to 300GHz”)及び「静磁場への暴露の制限に関するガイドライン」(“Guidelines on Limits of Exposure to Static Magnetic Fields”)を発行した。両方のガイドラインのセットの全文を本明細書中に参照として援用する。これらのガイドラインは、健康を守るために時間変動磁場及び静磁場の両方への曝露を制限する。しかしながら、この制限は体の異なる領域によって異なる。例えば、指は脳より高い制限を有することがある。時間変動磁場の制限について、2つの変数、即ち、(例えば、体に対する)磁場移動速度及び磁場強度が特に重要である。弱い磁場は、一般的に、規定される限度内に留まっている間、体の周りを比較的速く移動させられることがある。対照的に、非常に強い磁石は、規定される限度内に留まるために体の周りを極めて遅く移動させられる必要がある。これはMRIスキャンを受けている患者が動かないように言われる1つの理由である。患者は信じられないほど強い磁場に曝されている。MRI機械内の人のより多くの動きは規定される限界を超える可能性が高い。時間変動磁場の制限とは対照的に、静磁場の制限は主として磁場強度に関係する。しかしながら、ガイドラインは、「医療診断又は治療を受けている患者の曝露に当て嵌まらない」と記している。それらが当て嵌まるならば、MRI機械が限界を超えることはほぼ確実である。
【0114】
上記で議論したガイドラインに鑑みれば、磁気医療デバイスは、理想的には、最も弱い磁場を可能な限り遅く使用して依然として所望の臨床結果を達成しなければならないことが分かる。
図1に示す外部調整デバイス700を含む、本明細書に開示するシステムのうちの幾つかは、磁石の大きさ、磁石間ギャップ等を含む、多くの一定のパラメータを有する。そのような外部調整デバイス700のために、時間変動磁場暴露を減少させる方法はあまり多くない。幾つかの方法は、(患者に対する安定化が有益である可能性が高いので困難なことがある)ギャップ距離の増加並びに第1の外部磁石706及び第2の外部磁石708の回転速度の減少を含むことがある。
【0115】
外部調整デバイス700において使用者によって或いは「スマート」外部調整デバイス700自体によって変更されることがあるパラメータは、磁石間ギャップ、ギャップ距離、回転オフセット(片側及び両側)、及び磁石回転速度を含む。これらの変数のうちの1つ又はそれよりも多くを選択的に変化させることは、ユーザ又は「スマート」外部調整デバイス700が、依然として臨床的に有効な最も低い磁束(最も弱い磁場)を有するようシステムを最適化するのを可能にすることがある。
【0116】
特定の好ましい実施形態及び実施例の文脈において本発明を開示したが、本発明は具体的に開示した実施形態を超えて本発明の他の代替的な実施形態及び/又は使用並びにそれらの明からな修正物及び均等物に拡張されることが当業者によって理解されるであろう。加えて、本発明の多数の変形を詳細に示し且つ記載したが、本発明の範囲内にある他の修正が、この開示に基づいて当業者に容易に明らかになるであろう。実施形態の特定の構成及び態様の様々な組み合せ又は部分的な組み合わせが行われてよく、本発明の範囲内にあることも想定される。従って、開示した発明の様々なモードを形成するために、開示の実施形態の様々な構成及び態様を互いに組み合わせることができ或いは互いに置換することができることが理解されるべきである。よって、本明細書に開示する本発明の範囲は、上述の特定の開示した実施形態によって限定されてならず、後続の特許請求の範囲を公正に読むことによってのみ決定されるべきであることが意図されている。
【0117】
同様に、この開示の方法は、如何なる請求項もその請求項に明示的に列挙されているよりも多くの構成を必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。むしろ、後続の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、いずれかの単一の前述の開示した実施形態の全ての構成よりも少ない構成の組み合わせにある。よって、発明の詳細な説明に続く請求項は、この発明の詳細な説明に明示的に組み込まれ、各請求項は別個の実施形態としてそのまま有効である。