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特許7250888粉砕装置のためのローラアセンブリ、粉砕装置、および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】粉砕装置のためのローラアセンブリ、粉砕装置、および方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 4/32 20060101AFI20230327BHJP
   G05G 1/015 20080401ALI20230327BHJP
【FI】
B02C4/32
G05G1/015 A
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021180441
(22)【出願日】2021-11-04
(62)【分割の表示】P 2020566760の分割
【原出願日】2019-05-28
(65)【公開番号】P2022017488
(43)【公開日】2022-01-25
【審査請求日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】18174570.4
(32)【優先日】2018-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501003320
【氏名又は名称】ビューラー・アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Buehler AG
【住所又は居所原語表記】Gupfenstrasse 5, CH-9240 Uzwil, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】フィリペ ホーレンシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス シュトゥデルス
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル リッケンバッハ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル マーク
(72)【発明者】
【氏名】ヘリベアト ヴェーバー
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-510388(JP,A)
【文献】米国特許第05018960(US,A)
【文献】独国特許出願公開第10125378(DE,A1)
【文献】独国特許発明第00524055(DE,C2)
【文献】欧州特許出願公開第01201308(EP,A1)
【文献】特許第6974634(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 4/00 - 4/44
G05G 1/015
G01G 1/10
G01L 5/00 - 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕装置(70)であって、
当該粉砕装置(70)は、
機械台(71)と、
前記機械台(71)に装着されているか、または装着可能である、第1のローラ(11)および第2のローラ(12)を有する少なくとも1つのローラアセンブリ(10)と
を含み、
前記ローラアセンブリ(10)は、少なくとも1つのころ(31)を備える組み込まれた転動装置(30)を有し、
前記少なくとも1つのころ(31)は、前記ローラアセンブリ(10)を水平な基礎上に配置することができるように、かつ前記ローラアセンブリ(10)が前記少なくとも1つのころ(31)によって前記水平な基礎上を移動することができるように、前記ローラアセンブリ(10)に配置されているか、または配置可能であり、
前記機械台(71)は、少なくとも1つのレール(72)を有し、
前記ローラアセンブリ(10)の取り付け中および/または取り外し中には、前記少なくとも1つのレール(72)上を前記ローラアセンブリ(10)の前記少なくとも1つのころ(31)が転動することができ、
前記ローラアセンブリ(10)は、少なくとも1つの接触面(42,76)を有し、
前記機械台(71)は、少なくとも1つの相手側接触面(73)を有し、
前記接触面(42,76)と前記相手側接触面(73)とは、前記ローラアセンブリ(10)が取り付けられた位置では、前記少なくとも1つの接触面(42,76)と前記少なくとも1つの相手側接触面(73)との間の少なくとも1つの形状結合による係合により、前記ローラアセンブリ(10)の前記少なくとも1つのころ(31)が前記レール(72)上に載置されないように、互いに対して、かつ前記少なくとも1つのレール(72)に対して位置調整されている、
粉砕装置(70)。
【請求項2】
前記ローラアセンブリ(10)は、ハンドル軸線(H)を中心にして回転可能であって、前記第1のローラ(11)と前記第2のローラ(12)との間に形成される粉砕間隙を調整可能なハンドル(21)を含み、
前記ローラアセンブリ(10)は、前記ハンドル(21)の位置を示すための位置インジケータ(26)を有しており、
前記位置インジケータ(26)は、位置インジケータハウジング(27)と、インジケータ要素(28)とを含み、
前記インジケータ要素(28)は、前記位置インジケータハウジング(27)に対して前記ハンドル回転軸線(H)に沿って移動可能であり、
前記インジケータ要素(28)には、位置インジケータばね(29)によって、前記位置インジケータハウジング(27)に対して前記ハンドル回転軸線(H)の方向に予荷重が加えられているか、または予荷重を加えることができ、これにより、前記インジケータ要素(28)が、前記位置インジケータばね(29)によってもたらされた前記予荷重を克服した場合にのみ、前記ハンドル回転軸線(H)を中心にして回転することができるようになっている、
請求項1載の粉砕装置(70)。
【請求項3】
前記ローラアセンブリ(10)は、少なくとも1つのころ(31)を備える組み込まれた転動装置(30)を有し、
前記少なくとも1つのころ(31)は、前記ローラアセンブリ(10)を水平な基礎上に配置することができるように、かつ前記ローラアセンブリ(10)が前記少なくとも1つのころ(31)によって前記水平な基礎上を移動することができるように、前記ローラアセンブリ(10)に配置されているか、または配置可能である、
請求項記載の粉砕装置(70)。
【請求項4】
前記第1のローラ(11)は、少なくとも1つの第1の軸受本体(13)によって保持されており、
前記第2のローラ(12)は、少なくとも1つの第2の軸受本体(14)によって保持されており、
前記軸受本体(13,14)のうちの少なくとも1つは、前記ローラ(11,12)のうちの1つのローラ(11,12)のローラ軸部(33)を支持する転がり軸受(58)を有し、
前記転がり軸受(58)の軸受カバー(63)は、自身の内側(34)に、潤滑剤のための案内溝(35)を有し、
前記案内溝(35)は、前記ローラ軸部(33)の周りに延在していて、かつ出口開口部(36)に接続されており、前記出口開口部(36)を介して前記案内溝(35)から前記潤滑剤を排出することができる、
請求項または記載の粉砕装置(70)。
【請求項5】
前記第1のローラ(11)は、2つの第1の軸受本体(13)によって保持されており、
前記第2のローラ(12)は、2つの第2の軸受本体(14)によって保持されており、
前記第1の軸受本体(13)同士は、互いに独立して位置調節可能であり、かつ/または
前記第2の軸受本体(14)同士は、互いに独立して位置調節可能である、
請求項からまでのいずれか1項記載の粉砕装置(70)。
【請求項6】
前記機械台(71)は、緊締装置(16)を有し、
前記ローラアセンブリ(10)は、連結装置(66)を有している、
請求項1からまでのいずれか1項記載の粉砕装置(70)。
【請求項7】
前記連結装置(66)は、前記ローラアセンブリ(10)を前記緊締装置(16)に解離可能に結合するために、前記第2の軸受本体(14)に配置されている、
請求項5を引用する請求項6記載の粉砕装置(70)。
【請求項8】
前記緊締装置(16)は、シリンダ(40)を有する、
請求項または記載の粉砕装置(70)。
【請求項9】
前記シリンダ(40)は、ベローズシリンダ(40)である、
請求項記載の粉砕装置(70)。
【請求項10】
前記緊締装置(16)は、予荷重が加えられた少なくとも1つのばね(41)を有する、
請求項からまでのいずれか1項記載の粉砕装置(70)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのばね(41)は、前記シリンダ(40)と直列に接続されている、
請求項記載の粉砕装置(70)。
【請求項12】
前記粉砕装置(70)は、製粉ローラ粉砕機(70)である、
請求項1から11までのいずれか1項記載の粉砕装置(70)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕装置のためのローラアセンブリと、粉砕装置と、ローラアセンブリのローラ同士の間に作用する半径方向の力を検出するための方法とに関する。
【0002】
粒子状の粉砕材料を粉砕するための種々の種類の粉砕装置が、多種多様な産業用途のために使用されている。これらの装置には、例えば、製粉ローラ粉砕機、麦芽製粉用ミル、飼料用ミル、およびコーヒーミルが含まれる。そのような粉砕装置は、1つまたは複数のローラアセンブリを含み、このローラアセンブリは、それぞれ少なくとも2つのローラを有する。ローラは、それぞれの軸受本体によって保持可能である。ローラ同士の間には粉砕間隙が形成されており、多くのローラアセンブリでは、例えば、軸受本体同士が互いに位置調整可能であることにより、この粉砕間隙を調整することができる。
【0003】
公知のローラアセンブリは、実質的に同じ原理に基づいて設計されている。すなわち、機械的、空気圧的、または電気機械的な駆動部によって、可動に取り付けられたローラを動作間隙へと変位させることにより、粉砕間隙の幅を縮小すること、すなわち「押し込む」ことができるようになっている。次いで、この動作間隙を、例えば手動または電動の手段によって動作中にさらに適合させることができる。
【0004】
独国特許発明第595934号明細書および独国特許発明第597775号明細書は、ミリングローラの接触圧力を調整するための装置を開示している。これらの装置は、硬い異物の通過時にミリングローラを偏向させることができる設定可能なばね手段を含む。
【0005】
ローラアセンブリは、ある程度の剛性を有し、この剛性は、ローラ同士の間に作用する半径方向の力と、粉砕間隙の幅とに依存していることを特徴とし得る。
【0006】
この剛性は、ローラアセンブリのローラの剛性と、転がり軸受の剛性と、残りのコンポーネントの剛性とから構成される。したがって、押し込まれた状態では、ローラの位置は、粉砕間隙内に存在する力に依存している。この力は、主として、粉砕間隙の拡大をもたらす半径方向の力である。この力が一定である限り、この力は、動作中に修正可能であるので、悪影響を及ぼすことはない。
【0007】
しかしながら、困難をもってしかローラ同士の間に引き込むことができない粉砕材料の場合には、粉砕間隙内の力が非常に変動しやすくなる。粉砕材料が粉砕間隙を通過すると、ローラ同士が押し離される。短時間の間、粉砕材料が引き込まれない場合には、ローラ同士が互いに接触する。このような状況では、間隙の剛性が、粉砕材料の挙動および特性に大きな影響を及ぼす。
【0008】
本発明の第1の目的は、公知のローラアセンブリの欠点を克服することである。できるだけ均一な特性を有する粉砕材料を製造することができるようにするために、粉砕間隙の幅ができるだけ一定に維持されるローラアセンブリを提供することが、特に意図されている。
【0009】
上記の目的およびさらなる目的は、本発明の第1の態様において、少なくとも1つの第1の軸受本体によって保持されている第1のローラと、少なくとも1つの第2の軸受本体によって保持されている第2のローラとを含む、粉砕装置のためのローラアセンブリによって達成される。第1のローラと第2のローラとの間に形成される粉砕間隙を調整することができるように、第1の軸受本体および第2の軸受本体を互いに対して位置調整することができる。例えば、第2の軸受本体は、第1の軸受本体上で枢動可能に支持可能である。第1の軸受本体および第2の軸受本体には、緊締装置によって、第1のローラと第2のローラとが互いに向かって押し付けられるように、互いに予荷重を加えることができる。
【0010】
本発明によれば、第1の軸受本体が、第1のストッパ面を備える少なくとも1つの第1のストッパ本体を有し、第2の軸受本体が、第2のストッパ面を備える少なくとも1つの第2のストッパ本体を有し、ストッパ面が、当該ストッパ面同士の接触がローラ同士の接触を阻止するように、軸受本体上に形成および配置されているか、または配置可能である、ようにすることが企図されている。ここおよび以下において、「接触を阻止する」という用語は、ローラ同士の接触が完全に防止されることを意味するとは必ずしも理解されない。事前に規定された非常に小さい粉砕間隙幅の場合には、ローラ同士の接触も、本発明の範囲内において許容される。
【0011】
さらに、第1のストッパ本体は、第1の回転軸線を中心にして回転可能である。第1のストッパ面は、第1のストッパ本体の、第1の回転軸線に対して偏心している円周面によって形成されており、特に、第1のストッパ本体の回転位置が、粉砕間隙の最小幅を決定するようになっている。ここおよび以下において、第1のストッパ本体の円周面は、この円周面が第1の回転軸線に対して回転対称でない場合に、すなわち、第1のストッパ本体が第1の回転軸線を中心にして少なくとも0°より大きく360°より小さい角度だけ回転した結果としてこの円周面自体が変化している場合に、偏心していると称される。
【0012】
本発明によるローラアセンブリでは、粉砕間隙内に存在する力が変化した場合には、軸受本体同士の間の予荷重のみが変化するが、軸受本体同士の相対位置は変化しない。したがって、粉砕間隙に関する唯一の柔軟性は、ローラおよび軸受に起因する。第1のストッパ本体を回転させることにより、例えば澱粉の損傷、吸水、および特に小麦粉の粒径分布のような粉砕される粉砕材料の特性を、正確に設定することが可能になる(特に、粉砕装置に供給される質量流量の変動に起因して、間隙の占有率、ひいては間隙の力が変化する場合)。
【0013】
ストッパ本体同士が接触しない状況、したがって、粉砕間隙の幅が大きくなりすぎる状況を防止するために、ストッパ本体同士の間に存在する、緊締装置からの予荷重を、粉砕間隙内に存在する力から生じる、ストッパ本体同士の間の最大予想力よりも大きくすべきである。
【0014】
緊締装置は、ローラアセンブリの構成部分であり得る。しかしながら、緊締装置を、粉砕装置の機械台の構成部分とし、ローラアセンブリが、緊締装置との解離可能な結合のための連結装置を有するようにすることが好ましい。これにより、ローラアセンブリの取り付けおよび取り外しが容易になる。この結合により、機械台の緊締装置は、ローラアセンブリの軸受本体に予荷重を加えることができる。連結装置は、軸受本体のうちの1つに配置可能である。
【0015】
第1のストッパ本体の円周面は、第1の回転軸線に対して円筒形であり得る。第1の回転軸線に対する円周方向において、円周面は、例えば、少なくとも特定の部分において螺旋の形状を有することができる。螺旋によって理解されるべきことは、第1の回転軸線から円周面までの距離が、角度に応じて大きくなったり、または小さくなったりするということである。螺旋は、好ましくは、距離が角度に線形に依存するアルキメデス螺旋である。
【0016】
第2のストッパ本体が、第1の回転軸線に対して平行な第2の回転軸線を中心にして回転可能であり、第2のストッパ面が、第2のストッパ本体の、第2の回転軸線に対して回転対称である円周面によって形成されていると、有利である。なぜなら、粉砕間隙の幅を調整するために第1のストッパ本体を回転させると、2つのストッパ本体の円周面は、互いの上で転動することができ、その結果、摩擦が大幅に減少するので、調整が容易になるからである。ストッパ本体同士は、好ましくは高度の予荷重で互いに押し付けられるので、このことは、本発明の範囲内において重要である。
【0017】
さらに、第1のストッパ本体の第1の回転軸線および/または第2のストッパ本体の第2の回転軸線が、特に第1の回転軸線に対して垂直な方向に変位可能に配置されていると、好適である。第1のストッパ本体の回転は、粉砕間隙の微調整をもたらすが、その一方で、粉砕間隙の大まかな調整は、少なくとも1つのストッパ本体を変位させることによって達成可能である。
【0018】
ローラアセンブリが、ハンドルを有し、ハンドルが、ハンドル回転軸線を中心にして可能であって、かつ当該ハンドルの回転が第1のストッパ本体の回転を引き起こすように、ハンドル伝動機構を介して第1のストッパ本体に結合されていると、微調整がさらに容易になる。公知のように、伝動機構は、ハンドルに対する比較的小さなトルクが、第1のストッパ本体における大きなトルクに変換されるように選択可能である。ハンドル伝動機構は、好ましくは、できるだけ高い効率を有するべきである。ハンドル上のできるだけ正確な位置の指示と、第1のストッパ本体のできるだけ正確な位置決めとを可能にするために、伝動機構に小さいバックラッシュを設けることも有利である。ストッパ本体同士は、好ましくは高度の予荷重で互いに押し付けられるので、このことは全て、本発明の範囲内において重要である。さらに、ハンドル伝動機構が、複数の伝動機構入力部、特に、ハンドルのための第1の伝動機構入力部と、電動での調整を可能にするための第2の伝動機構入力部とを有することが好ましい。
【0019】
本発明は、上記のようなローラアセンブリを動作させるための方法も含む。本方法は、第1の軸受本体および第2の軸受本体に、緊締装置によって、第1のローラと第2のローラとが互いに向かって押し付けられるように、互いに予荷重を加えるステップを含む。
【0020】
本方法は、粉砕間隙の最小幅を設定するために、第1のストッパ本体を、第1の回転軸線を中心にして回転させるさらなるステップを含むことができる。
【0021】
さらに、ローラアセンブリが、力測定装置を有し、力測定装置が、第1の軸受本体および第2の軸受本体に互いに予荷重を加えている第1の力を検出するための第1のセンサと、第1のストッパ本体と第2のストッパ本体との間に作用する第2の力を検出するための第2のセンサとを含むと、好適である。一方または両方のセンサは、力を直接的に検出するための力センサであり得る。しかしながら、これに代えて、2つのセンサのうちの少なくとも1つを、例えば圧力センサとして力を間接的に検出するように設計してもよく、この圧力センサを用いてシリンダ(特に、以下でさらに説明するベローズシリンダ)内に存在する圧力を検出して、この圧力から関連する力を算出してもよい。センサによって直接的または間接的に検出された2つの力から、ローラ同士の間に作用する力を計算することができる。
【0022】
第1のセンサは、例えば、緊締装置に組み込み可能である。第2のセンサは、例えば、第2のストッパ本体上に配置可能である。
【0023】
本発明は、そのようなローラアセンブリのローラ同士の間に作用する半径方向の力を検出するための方法も含む。本方法は、ローラの間に作用する力を、センサによって検出された力から計算するステップを含む。
【0024】
(ギャップセンサまたはエンコーダのような電子要素を用いることなく)できるだけ簡単なやり方で、上で既に述べたようなハンドルの位置を示すために、従来技術では、位置インジケータが使用される。動作間隙が所期のように設定されている場合には、位置インジケータを回転させることによって、ハンドルの位置が参照される。したがって、粉砕間隙の所要の適合により、基本状態を簡単に取得することが可能である。位置インジケータは、ハンドル内に収容されており、従来技術では、ラジアル調整ねじによって挟持されており、これによって回転または滑落に対して保護されている。もう1つの変形例は、後側に向かって軸方向に荷重を加えることである。しかしながら、粉砕動作中に発生する振動が、位置インジケータに対してかなりの悪影響を及ぼす可能性がある。
【0025】
この点に関して、オイルで充填された位置インジケータは、確かによりロバストである。しかしながら、位置インジケータを挟持することは、さらに危機的である。というのも、荷重が弱すぎると、位置インジケータが脱落してしまい、荷重が強すぎると、破損する可能性があるからである。特殊なねじを使用してこの問題を克服することは、既に試みられている。しかしながら、このような特殊なねじは、紛失する可能性がある。従来のねじに交換すると、漏れが発生する場合がある。その他の欠点は、参照するために工具が必要であることと、ねじが小さくてしばしばアクセスしにくいことである。
【0026】
本発明のさらなる目的は、これらの欠点を克服することと、特に、粉砕中に発生する振動に耐えることができ、かつ容易に設定することができる位置インジケータを有するローラアセンブリを提供することとにある。
【0027】
この目的を達成するために、本発明の第2の態様では、粉砕装置のためのローラアセンブリであって、当該ローラアセンブリは、第1のローラおよび第2のローラと、ハンドル回転軸線を中心にして回転可能であって、かつ第1のローラと第2のローラとの間に形成された粉砕間隙を調節することができるハンドルとを含む、ローラアセンブリが提案される。このローラアセンブリは、例えば、上記のようなローラアセンブリであり得る。本発明によれば、ローラアセンブリが、ハンドルの位置を示すための位置インジケータを有し、位置インジケータが、位置インジケータハウジングと、インジケータ要素とを含み、インジケータ要素が、位置インジケータハウジングに対してハンドル回転軸線に沿って移動可能であり、インジケータ要素には、位置インジケータばねによって、位置インジケータハウジングに対してハンドル回転軸線の方向に予荷重が加えられているか、または予荷重を加えることができ、インジケータ要素が、保持位置において、位置インジケータハウジングに接触することにより、ハンドル回転軸線を中心にした回転に対して保護されるようになっており、かつ位置インジケータばねによってもたらされた予荷重を克服した場合にのみ、ハンドル回転軸線を中心にして回転することができるようになっている、ようにすることが企図されている。
【0028】
インジケータ要素を参照中に回転させることができるようにするためには、このインジケータ要素を、予荷重に対抗して手動で押すだけでよく、このようにして回転させることができる。これにより、前述のねじおよび工具の必要性が省略される。さらに、粉砕動作中の振動の邪魔な影響を、効果的に防止することができる。
【0029】
1つの可能な実施形態では、インジケータ要素および位置インジケータハウジングは、接触面を有し、この接触面により、保持位置における形状結合(嵌め合いや凹凸に基づく結合)による係合が可能になる。結果として、粉砕動作中の振動の悪影響を、特に効果的に抑制することができる。しかしながら、形状結合による係合に代えてまたはこれに加えて、保持位置における摩擦結合による係合を設けることも可能である。
【0030】
例えば検査目的のために、粉砕装置の1つまたは複数のローラを交換することが時々必要とされる。この目的のために、ローラアセンブリは、少なくとも1つのころを備える組み込まれた転動装置を有することができ、少なくとも1つのころは、ローラアセンブリを水平な基礎上に配置することができるように、かつローラアセンブリが少なくとも1つのころによって水平な基礎上を移動することができるように、ローラアセンブリに配置されているか、または配置可能である。
【0031】
軸受本体の転がり軸受においてローラを支承するためには潤滑剤を使用する必要があるが、この潤滑剤が軸受から制御されずに漏出することを、防止すべきである。過剰な潤滑または過酷な取り付け条件に対してはロバストであっても、潤滑剤の漏出を完全には防止することができないようなシーリングシステムが存在する。
【0032】
潤滑剤の制御された漏出を可能にするために、ローラのローラ軸部を支持する転がり軸受の軸受カバーは、自身の内側に、潤滑剤のための案内溝を有することができ、案内溝は、ローラ軸部の周りに延在していて、かつ出口開口部に接続されており、出口開口部を介して案内溝から潤滑剤を排出することができる。出口開口部の下には、潤滑剤を収集するための収集装置、例えば収集容器を配置することができる。漏出した潤滑剤を意図した通りに収集することにより、費用効果が高くて組み立てが容易であり、過剰な潤滑の危険性がなく、それと同時に、粉砕装置の衛生的な操作を可能にするような、ロバストなシーリング設計が可能になる。
【0033】
ローラの全長にわたって均一な粉砕を達成するために、ローラには、しばしばクラウンが付けられている。それにもかかわらず、ローラの全長にわたって均一な粉砕動作を達成することができない場合には、クラウンを適合させることができる。間隙調整に加えて、ローラを斜めにすること、すなわちローラ軸線を傾けることにより、ローラの長さ全体にわたって粉砕に影響を与えるための、かつより均一な粉砕を実現するための制御変数が得られる。この目的のために、第1のローラは、2つの第1の軸受本体によって保持されており、第2のローラは、2つの第2の軸受本体によって保持されており、第1の軸受本体同士は、互いに独立して位置調整可能であり、かつ/または第2の軸受本体同士は、互いに独立して位置調整可能である、ようにすることを企図することができる。
【0034】
1つの可能な実施形態では、このことは、第2の軸受本体が、枢動ボルトを介して第1の軸受本体上で枢動可能に支持されており、枢動ボルトが、第1の軸受本体に対して例えば垂直方向に調整可能であることによって達成可能である。このことは、例えば、第1の軸受本体がくさびを有し、このくさびを、第1の軸受本体に対する第1の方向へのくさびの変位が、第1の軸受本体に対する、第1の方向とは異なる第2の方向への枢動ボルトの変位を生ぜしめるように形成および配置することによって実現可能である。しかしながら、これに代えて、第2の軸受本体を、第1の軸受本体に対して偏心によって調整できるようにしてもよい。
【0035】
本発明によるローラアセンブリは、国際特許出願第PCT/EP2018/061793号明細書に開示されている伝動機構と組み合わせると特に有利であり、この伝動機構に関する上記の開示は、参照により本明細書に援用される。したがって、特に、ローラアセンブリがさらに、伝動装置を含み、この伝動装置が、軸受ハウジングを備え、軸受ハウジング内には、入力軸と、第1の出力軸と、第2の出力軸と、が収容されており、入力軸と第1の出力軸とが互いに垂直に配置されていて、第1の出力軸と第2の出力軸とが互いに平行に配置されており、入力軸と第1の出力軸とが、傘歯車対によって、互いに伝動可能に接続されていて、第1の出力軸と第2の出力軸とが、トルク伝達装置によって、互いに伝動可能に接続されており、第1の出力軸が、第1のローラに結合されていて、第2の出力軸が、第2のローラに結合されていることが、本発明に含まれている。
【0036】
本発明のさらなる態様は、粉砕装置、例えば、製粉ローラ粉砕機、麦芽製粉用ミル、飼料用ミル、およびコーヒーミルである。当該粉砕装置は、機械台と、機械台に挿入されているか、または挿入可能である、先行する請求項に従って形成された上記のような少なくとも1つのローラアセンブリとを含む。この結果、粉砕装置に関して、ローラアセンブリに関して既に上で説明した利点が得られる。
【0037】
既に上で説明したように、機械台が、緊締装置を有し、ローラアセンブリが、緊締装置に着脱可能に結合するための結合装置を有すると、好適である。特に、これにより、ローラアセンブリの取り付けおよび取り外しが容易になる。
【0038】
予荷重を生成するために、緊締装置は、好ましくはベローズシリンダとして構成されたシリンダを有することができる。ベローズシリンダに排気弁を接続することが特に好ましい。これにより、過負荷状態(例えば、粉砕間隙に異物が入ったとき)において、排気弁の開弁によってベローズシリンダ内に存在する圧力を低下させることにより、負荷緩和を達成することができる。迅速な負荷緩和のために、排気弁を相応に寸法設計すべきである。
【0039】
過負荷状態において粉砕間隙の広がりを増大させるために、緊締装置は、予荷重が加えられた少なくとも1つのばねをさらに有することができ、少なくとも1つのばねは、特にシリンダと直列に接続されている。予荷重が加えられるばねは、例えば、公知の皿ばねアセンブリであり得る。
【0040】
緊締装置は、引っ張りアンカーと、引っ張りアンカーの第1の端部に枢動可能に取り付けられた引っ張りブッシュと、引っ張りブッシュ内に部分的に収容されていて、かつばねによって予荷重が加えられた引っ張りロッドと、引っ張りアンカーの第2の端部に結合されているシリンダとを含むことができる。引っ張りロッドは、ローラアセンブリの、第2の軸受本体に配置された連結装置に結合可能である。引っ張りアンカーは、ローラアセンブリが取り付けられている状態では、当該アンカーの両方の端部の間に位置する支持点において軸受本体上で支持可能である。シリンダを作動させることにより、引っ張りアンカーの第2の端部を、第1の軸受本体に押し付けて、第1の軸受本体上で支持することができ、その結果、ローラアセンブリに作用する回転モーメントを低減させることができる。引っ張りアンカーは、支持点を中心にして枢動することができ、これにより、引っ張りブッシュおよび引っ張りロッドを引っ張ることができる。このようにして、第1の軸受本体および第2の軸受本体には、第1のローラと第2のローラとが互いに向かって押し付けられるように、互いに予荷重を加えることができる。
【0041】
例えば検査目的のために、粉砕装置の1つまたは複数のローラを交換しなければならないことは既に述べた。これらのローラを順次に取り外すことができるか、またはアセンブリ全体を取り外すことができる。ローラは、粉砕面、軸受本体、またはローラ軸部において収容可能である。第1の変形例では、液圧式のリフトテーブルによる持ち上げが実施され、それに続いてローラアウトが実施される。軸受本体において収容する際には、まず始めにローラが取り付けられ、次いで、ローラを下に降ろすことによってローラアセンブリが持ち上げられ、次いで、ローラアウトされる。ローラ軸部において懸架して収容する場合には、このローラ軸部をチェーン巻き上げ器によって持ち上げることができ、次いで、このチェーン巻き上げ器をレール上でスライドさせることができる。ローラをローラ軸部に固定してレール上でスライドさせることによって、ローラ軸部において水平方向に収容することも可能である。欧州特許出願公開第1201308号明細書はさらに、ローラアセンブリを持ち上げることができるようにするために、偏心機構によって下に降ろすことができる組み込まれたローラを有するローラアセンブリを開示している。
【0042】
しかしながら、これら全ての方法は、欠点を有する。例えば、ローラアウトするためには、まず始めに、準備ステップにおいてローラを取り付けるか、少なくとも調整する必要がある。さらに、欧州特許出願公開第1201308号明細書によるローラアセンブリの持ち上げは、非常に手間がかかる。
【0043】
本発明のさらなる態様では、粉砕装置、特に製粉ローラ粉砕機であって、当該粉砕装置は、機械台と、第1のローラおよび第2のローラを有していて、かつ機械台に装着されているか、または装着可能である少なくとも1つのローラアセンブリとを含む、粉砕装置によって、上記の欠点が克服される。特に、ローラアセンブリは、上記のようなローラアセンブリであり得る。ローラアセンブリは、少なくとも1つのころを備える組み込まれた転動装置を有し、少なくとも1つのころは、ローラアセンブリを水平な基礎上に配置することができるように、かつローラアセンブリが少なくとも1つのころによって水平な基礎上を移動することができるように、ローラアセンブリに配置されているか、または配置可能である。さらに、機械台は、少なくとも1つのレールを有し、ローラアセンブリの取り付け中および/または取り外し中には、レール上をローラアセンブリの少なくとも1つのころが転動することができる。さらに、ローラアセンブリは、少なくとも1つの接触面を有し、機械台は、少なくとも1つの相手側接触面を有する。接触面と相手側接触面とは、ローラアセンブリが取り付けられた位置では、接触面と相手側接触面との間の形状結合による係合により、ローラアセンブリの少なくとも1つのころがレール上に載置されないように、互いに対して、かつ少なくとも1つのレールに対して位置調整されている。
【0044】
本発明によるこの設計により、アセンブリは、取り外し中、持ち上げられるのではなくローラ上へと下げられる。さらに、ローラアセンブリのころは、取り付けられた位置にあるときにはレール上に載置されておらず、このことによってローラが保護される。
【0045】
以下では本発明を、例示的な実施形態と、複数の図面とを参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】緊締装置の一部を有する、引き出された位置にある本発明によるローラアセンブリを示す図である。
図2】緊締装置の一部を有する、押し込められた位置にある本発明によるローラアセンブリを示す図である。
図3a】本発明による2つのローラアセンブリを有する、本発明による製粉ローラ粉砕機の斜視図である。
図3b】本発明による製粉ローラ粉砕機の側面図である。
図3c】本発明による製粉ローラ粉砕機の平面図である。
図4】本発明によるローラアセンブリを有する、本発明による製粉ローラ粉砕機の側面図である。
図5】間隙幅を微調整するためのハンドルおよびハンドル伝動機構の詳細図である。
図6】ハンドルの位置を示すための位置インジケータの詳細図である。
図7】ローラ同士の間に作用する力を決定するための2つの力センサの詳細図である。
図8】軸受本体を調整するためのローラアセンブリの詳細図である。
図9】ローラアセンブリの転がり軸受の断面図である。
図10】潤滑剤のための収集トラフを有するローラアセンブリの斜視図である。
図11】ローラと接触面とを有するローラアセンブリの転動装置の詳細図である。
図12】レールと相手側接触面とを有する機械台の詳細図である。
【0047】
図1および図2は、製粉ローラ粉砕機のためのローラアセンブリ10の側面図を示す。ローラアセンブリ10は、2つの第1の軸受本体13によって保持されている第1のローラ11と、2つの第2の軸受本体14によって保持されている第2のローラ12とを含む。第2の軸受本体14は、枢動ボルト57を介して第1の軸受本体13上に枢動可能に支持されている。
【0048】
図3a~図3cに示されている製粉ローラ粉砕機70は、機械台71と、2つのローラアセンブリ10とを有し、これら2つのローラアセンブリ10は、互いの上に、ひいては省スペースに配置されている。それぞれのローラアセンブリ10は、伝動機構43によって駆動可能であり、伝動機構43は、軸受ハウジング44を含み、軸受ハウジング44内には、入力軸(ここでは見えない)と、第1の出力軸46と、第2の出力軸47とが収容されている。入力軸と第1の出力軸46とは、互いに垂直に配置されていて、第1の出力軸46と第2の出力軸47とは、互いに平行に配置されている。入力軸と第1の出力軸46とは、傘歯車対(ここでは見えない)によって、互いに伝動可能に接続されていて、第1の出力軸46と第2の出力軸47とは、トルク伝達装置(同様に見えない)によって、互いに伝動可能に接続されている。第1の出力軸は、第1のローラ11に結合されていて、第2の出力軸47は、第2のローラ12に結合されている。伝動機構43の詳細な説明については、既に述べた国際特許出願第PCT/EP2018/061793号明細書を参照されたい。伝動機構43により、第2のローラ12を可動に取り付けることができる。
【0049】
第1の軸受本体13はさらに、第1のストッパ本体17を有し、第1のストッパ本体17は、第1の回転軸線A1を中心にして回転可能であって、第1のストッパ面18を有する。第1のストッパ面18は、第1のストッパ本体17の、第1の回転軸線A1に対して偏心している円周面18によって形成されている。第2の軸受本体14は、第2のストッパ本体19を有し、第2のストッパ本体19は、第1の回転軸線A1に対して平行な第2の回転軸線A2を中心にして回転可能であって、第2のストッパ面20を有する。第2のストッパ面20は、第2のストッパ本体19の、第2の回転軸線A2に対して回転対称である円周面20によって形成されている。以下で説明するように、これら2つのストッパ面18,20は、当該ストッパ面18,20同士の接触がローラ11,12同士の接触を阻止するように、軸受本体13,14上に形成および配置されている。
【0050】
図1は、ストッパ面18,20同士が互いに接触していない、ローラアセンブリ10の連動解除された位置を示す。機械台71の構成部分であって、かつここでは部分的にのみ図示されている緊締装置16により、第1のローラ11と第2のローラ12との間に形成される粉砕間隙を調整することができるように、第1の軸受本体13および第2の軸受本体14を互いに対して調整することができる。緊締装置16は、引っ張りアンカー51と、枢軸54を介して引っ張りアンカー51の上側端部67に枢動可能に取り付けられた引っ張りブッシュ55と、引っ張りブッシュ55内に部分的に収容されていて、かつ皿ばねアセンブリ41によって予荷重が加えられた引っ張りロッド52と、引っ張りアンカー51の下側端部68に結合されていて、かつ図4にのみ図示されているベローズシリンダ40とを含む。引っ張りロッド52は、第2の軸受本体14に配置された連結装置66によって、第2の軸受本体14に連結されている。引っ張りアンカー51は、ローラアセンブリ10が組み付けられている限り、支持点75において第1の軸受本体13上で支持されている。
【0051】
図4は、ローラアセンブリ10を有する製粉ローラ粉砕機70の側面図を示す。ベローズシリンダ40を作動させることにより、引っ張りアンカー51の下側端部68が、第1の軸受本体13に押し付けられて、第1の軸受本体13上で支持され、その結果、ローラアセンブリ10に作用している全体の回転モーメントが減少する。ここで、引っ張りアンカー51は、支持点75を中心にして枢動し、これにより、引っ張りブッシュ55および引っ張りロッド52を引っ張り、ひいては、連結装置66を介して第2の軸受本体14を引っ張る。このようにして、第1の軸受本体13および第2の軸受本体14には、第1のローラ11と第2のローラ12とが互いに向かって押し付けられるように、互いに締め付け力が加えられる。
【0052】
ベローズシリンダ40を介して支承することにより、過負荷保護がもたらされる。過負荷状態(例えば、粉砕間隙に異物が入ったとき)において即座に負荷を緩和することができるようにするために、ベローズシリンダは、排気弁と接続しており、この排気弁は、ベローズシリンダ内に存在する圧力を、排気弁の開放によって急速に低減させることができるように十分に寸法設定されている。排気弁が開放しない場合、その結果として力の増加も生じるであろうが、この力の増加は、ばねアセンブリしか存在しない場合よりも格段に小さいものであろう。
【0053】
図2に示されているローラアセンブリ10の押し込まれた位置は、ストッパ面18,20同士が互いに接触したときに達成される。粉砕間隙内に生じている力が変化した場合には、軸受本体13と14との間の締め付け力のみが変化し、軸受本体13と14との間の相対位置は変化しない。第1のストッパ本体17の回転位置が、粉砕間隙の最小幅を決定する。
【0054】
粉砕間隙の幅を大まかに設定できるようにするために、第1のストッパ本体17の第1の回転軸線A1と、第2のストッパ本体19の第2の回転軸線A2とは、変位可能に配置されており、正確に言えば、回転軸線A1,A2に対して垂直な方向に変位可能に配置されている。
【0055】
ローラアセンブリ10はさらに、粉砕間隙の幅を微調整するために、ハンドル軸線Hを中心にして回転することができるハンドル21を有している。ハンドル21は、図5に示されているハンドル伝動機構22を介して第1のストッパ本体17に結合されている。ハンドル21は、当該ハンドル21の回転が第1のストッパ本体17の回転を引き起こすように構成されている。したがって、ハンドル21に対する比較的小さなトルクを、第1のストッパ本体17における大きなトルクに変換することが可能である。前述の目的のために、ハンドル伝動機構22は、高い効率と、小さいバックラッシュとを有する。
【0056】
ローラアセンブリ10はさらに、ハンドル21の位置を示すための、図6に詳細に示されている位置インジケータ26を有する。位置インジケータ26は、位置インジケータハウジング27と、インジケータ要素28とを含み、インジケータ要素28は、位置インジケータハウジング27に対してハンドル回転軸線Hに沿って移動可能である。インジケータ要素28には、少なくとも1つの位置インジケータばね29によって、位置インジケータハウジング27に対してハンドル回転軸線Hの方向に予荷重が加えられているか、または予荷重を加えることができ、インジケータ要素28は、位置インジケータばね29によってもたらされた予荷重を克服した場合にのみ、ハンドル回転軸線Hを中心にして回転することができるようになっている。このことは、インジケータ要素28および位置インジケータハウジング27における形状結合要素53によって実施される。
【0057】
ローラ11と12との間に生じる半径方向の力を検出するために、ローラアセンブリ10は、第1の力センサ24および第2の力センサ25を有する力測定装置を含む。第1の力センサ24は、緊締装置16に組み込まれており、すなわち、引っ張りアンカー51と引っ張りロッド52との間に配設された枢軸54の領域に組み込まれており、第2の力センサ25は、第2のストッパ本体19上に配置されている(図7を参照)。このようにして、第1の軸受本体13と第2の軸受本体14を互いに押し付けている第1の力を検出するために、第1のセンサ24を使用することができ、第1のストッパ本体17と第2のストッパ本体19との間に作用する第2の力を検出するために、第2のセンサ25を使用することができる。これらの力から、ローラ11,12同士の間に作用する力を計算によって決定することができる。
【0058】
図8は、どのようにして第2の軸受本体14が、枢動ボルト57を介して第1の軸受本体13上で枢動可能に支持されているかを詳細に示す。第1の軸受本体13は、それぞれくさび39を含み、このくさび39を貫通して調整ねじ56が案内されている。調整ねじ56の回転は、水平の第1の方向R1におけるくさび39の変位をもたらし、したがって、第1の方向R1に対して垂直である第2の方向R2における枢動ボルト57および第2の軸受本体14の変位をもたらす。このようにして、第2の軸受本体14を、第1の軸受本体13に対して個別に調整することができ、これにより、ローラ軸線を傾けることができる。
【0059】
図9および図10は、転がり軸受58と、転がり軸受58のシーリング(封止)とを詳細に示す。第2のローラ12のローラ軸部33は、内レース(内輪)59と、複数の転動体60と、外レース(外輪)61とによって支持されている。第2のローラ12の軸線方向には、内側軸受カバー62および外側軸受カバー63が配置されており、内側軸受カバー62および外側軸受カバー63は、各自の内側34に、シール(ここには図示されていない)を収容するための、ローラ軸部33の周りに延在する溝64と、潤滑剤のための案内溝35とを有する。潤滑剤の排出を支援する段部65も設けられている。外側軸受カバー63の案内溝35は、出口開口部36に接続されており、この出口開口部36を介して、外側軸受カバー63の案内溝35から潤滑剤を排出することができる。出口開口部36の下には、桶37の形態の、潤滑剤を収集するための収集装置37が配置されている。過剰潤滑を防止するために、内部と案内溝35との間に接続孔(図示せず)が設けられており、これにより、この接続孔を通して過剰なグリースを漏出させることができる。これによって、製粉ローラ粉砕機70を衛生的に動作させることができる。
【0060】
図11に示されているように、ローラアセンブリ10は、複数のころ31を備える組み込まれた転動装置30を有する。ころ31は、ローラアセンブリ10を水平な基礎(ここには図示されていない)上に配置することができるように、かつローラアセンブリ10がころ31によってこの水平な基礎上を移動することができるように、ローラアセンブリ10に配設されている。図12に示されているように、製粉ローラ粉砕機70の機械台71は、レール72を有し、ローラアセンブリ10の取り付け中および/または取り外し中には、このレール72上をローラアセンブリ10のころ31が移動することができる。ローラアセンブリ10はさらに、前側の接触面76(図8を参照)および後側の接触面42を有し、機械台71は、対応する相手側接触面73を有する。接触面42,76と相手側接触面73とは、ローラアセンブリ10が取り付けられた位置では、接触面42,76と相手側接触面73との間の形状結合による係合により、ころ31がレール72上に載置されることのないように、互いに対して、かつレール72に対して調整されている。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12