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  • -軟膜撮像のための方法および装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】軟膜撮像のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20230327BHJP
   G01N 15/05 20060101ALI20230327BHJP
   G01N 15/04 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
G01N21/17 A
G01N15/05
G01N15/04 A
G01N15/04 C
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021525333
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 US2019057535
(87)【国際公開番号】W WO2020096772
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】16/184,494
(32)【優先日】2018-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505359506
【氏名又は名称】パーキンエルマー・ヘルス・サイエンシズ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】PERKINELMER HEALTH SCIENCES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【弁理士】
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ドレシュラー,トーマス・アール
【審査官】古川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-501937(JP,A)
【文献】特開平03-037568(JP,A)
【文献】国際公開第2017/132169(WO,A1)
【文献】特開平05-312804(JP,A)
【文献】特開2000-162215(JP,A)
【文献】特開平02-195261(JP,A)
【文献】特開2001-108506(JP,A)
【文献】特表2013-535193(JP,A)
【文献】特表2018-511787(JP,A)
【文献】国際公開第2006/037941(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
G01N 1/00 - G01N 1/44
G01N 15/00 - G01N 15/14
G01N 33/00 - G01N 33/46
G01N 35/00 - G01N 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心分離機にかけられた血液サンプルを撮像するための血液サンプル処理装置であって、
前記遠心分離機にかけられた血液サンプルが入っている透明容器と、
前記遠心分離機にかけられた血液サンプルを照光するための照明光源であって、前記遠心分離機にかけられた血液サンプルを、前記透明容器の重心軸に対して斜角を成すように配置された照明光源と、
前記遠心分離機にかけられた血液サンプルを撮像するデジタルカメラと、
前記遠心分離機にかけられた血液サンプル画像を処理して、前記遠心分離機にかけられた血液サンプルの成分層の相対位置を判定するための処理装置と、
を備え、
前記成分層は、プラズマ層と、軟膜層と、赤血球層とを含み、
前記処理装置は、前記遠心分離機にかけられた血液サンプルの表面との機械的接触によって、前記表面の位置を検知するための液面レベルセンサを備え、
前記処理装置は、前記遠心分離機にかけられた血液サンプルの前記成分層の前記相対位置と、前記遠心分離機にかけられた血液サンプルの前記表面の前記位置とに基づいて、前記成分層の実際の位置を判定する、
血液サンプル処理装置。
【請求項2】
前記照明光源が570nmの波長未満の単色光を使用する、
請求項1に記載の血液サンプル処理装置。
【請求項3】
前記照明光源が570nmの波長未満の光の複数の波長を使用する、
請求項1に記載の血液サンプル処理装置。
【請求項4】
前記光の複数の波長が、清浄な軟膜層および遷移層の各々を強調するように選択されている、
請求項3に記載の血液サンプル処理装置。
【請求項5】
前記照明光源が、前記遠心分離機にかけられた血液サンプルを前記透明容器に対して30度の角度で照光する、
請求項1に記載の血液サンプル処理装置。
【請求項6】
前記デジタルカメラがカラーデジタルカメラである、
請求項1に記載の血液サンプル処理装置。
【請求項7】
前記遠心分離機にかけられた血液サンプルの前記成分層の実際の位置を判定するための外部基準をさらに備える、
請求項1に記載の血液サンプル処理装置。
【請求項8】
前記透明容器から前記遠心分離機にかけられた血液サンプルの前記成分層を取り出すためのピペットをさらに備える、
請求項1に記載の血液サンプル処理装置。
【請求項9】
遠心分離機にかけられた血液サンプルを分析する方法であって、
前記血液サンプルを透明容器の中に入れることと、
前記遠心分離機にかけられた血液サンプルを、前記透明容器の重心軸に対して斜角を成すように配置された照明光源で照光することと、
前記遠心分離機にかけられた血液サンプルを、デジタルカメラで撮像することと、
前記遠心分離機にかけられた血液サンプルの画像を処理して、前記遠心分離機にかけられた血液サンプルの成分層の相対位置を判定することと、
液面レベルセンサと前記遠心分離機にかけられた血液サンプルの表面との機械的接触によって、前記表面の位置を検知することと、
前記遠心分離機にかけられた血液サンプルの前記成分層の前記相対位置と、前記遠心分離機にかけられた血液サンプルの前記表面の前記位置とに基づいて、前記成分層の実際の位置を判定すること、
含み
前記成分層は、プラズマ層と、軟膜層と、赤血球層とを含む、
方法。
【請求項10】
前記遠心分離機にかけられた血液サンプルを、570nmの波長未満の単色光を使用して照光することをさらに含む、
請求項9に記載の、遠心分離機にかけられた血液サンプルを分析する方法。
【請求項11】
前記血液サンプルを、570nmの波長未満の光の複数の波長を使用して照光することをさらに含む、
請求項9に記載の、遠心分離機にかけられた血液サンプルを分析する方法。
【請求項12】
前記光の複数の波長を、清浄な軟膜層および遷移層の各々を強調するように選択するステップをさらに含む、
請求項11に記載の、遠心分離機にかけられた血液サンプルを分析する方法。
【請求項13】
前記遠心分離機にかけられた血液サンプルを前記透明容器に対して30度の角度で照光することをさらに含む、
請求項9に記載の、遠心分離機にかけられた血液サンプルを分析する方法。
【請求項14】
前記デジタルカメラ用にカラーデジタルカメラを使用することをさらに含む、
請求項9に記載の、遠心分離機にかけられた血液サンプルを分析する方法。
【請求項15】
前記遠心分離機にかけられた血液サンプルの前記成分層の実際の位置を判定するために外部基準を使用するステップをさらに含む、
請求項9に記載の、遠心分離機にかけられた血液サンプルを分析する方法。
【請求項16】
前記遠心分離機にかけられた血液サンプルの前記成分層を、ピペットを使用して前記透明容器から取り出すことをさらに含む、
請求項9に記載の、遠心分離機にかけられた血液サンプルを分析する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、遠心分離後の血液サンプルにおける成分層の位置を判定するための方法および装置に関する。より詳細には、本発明は、血液サンプルにおける成分層の位置を確証するために、遠心分離機にかけられた血液サンプルの高コントラスト像を生成するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]血液サンプルは、大抵の場合、血液サンプルの特定の成分を成分層の中に取り出すために、遠心分離機にかけることによって分析されるかまたは処理される。一般的には、遠心分離機にかけられた血液サンプルは、上部のプラズマ層、下部の赤血球層、および白血球を含有する中間の「軟膜」層といった3つの成分層を含む。遠心分離によって、適切な成分層を取り出すことにより、対象の特定の成分が血液サンプルから抽出され得る。
【0003】
[0003]血液サンプルの成分層は、一般的には手作業で、結果としてピペットによって抽出される。関心のある成分を含有する成分層は分析のために保存され、他の成分層は希望通りに保存されるかまたは処分されてよい。このように行われる血液サンプルの成分層の用手抽出は、時間がかかる上に割高である。また、この用手抽出は、血液サンプルの成分層の間の境界を肉眼で識別するのが困難になり得るので、かなりの熟練を必要とする。軟膜層は、血液サンプルの他の成分層と比較して一般的には比較的薄いので、軟膜層が関心の部分である場合にはこれらの問題が悪化する。
【0004】
[0004]血液サンプルおよび含まれる成分層の適切な照明は、確実に分析され得る高コントラスト像をもたらすために極めて重要である。一般に、反射は画像に対して干渉し、複雑なハードウェアまたはソフトウェアのフィルタリングが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]したがって、本発明の目的は、遠心分離機にかけられた血液サンプルの自動化された照明および撮像のための方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]本発明の一実施形態によれば、遠心分離機にかけられた血液サンプルを撮像するための血液サンプル処理装置が、この血液サンプルを入れる透明容器を含めて提供される。照明光源は、遠心分離機にかけられた血液サンプルを照光するように、透明容器に対して斜角に配置される。透明容器の反対側に配設されたデジタルカメラが、遠心分離機にかけられた血液サンプルを撮像し、画像は、この血液サンプルの成分層の相対位置を判定するために処理される。
【0007】
[0007]本発明のさらなる実施形態によれば、遠心分離機にかけられた血液サンプルの最上部の実際の位置を判定してそこから成分層を除去するための、液面レベルセンサを有するピペットが提供される。
【0008】
[0008]本発明のさらなる実施形態によれば、遠心分離機にかけられた血液サンプルの成分層の実際の位置を判定するための処理装置が提供される。
[0009]それゆえに、軟膜層の位置を正確に検知することにより、遠心分離機にかけられた血液サンプルの個別成分層のうち任意のものの自動収集が可能になる。軟膜層は、遠心分離機にかけられた血液サンプルが入った容器を撮像するためのカメラと、容器の中の各成分層の垂直位置を定量的に分析するために、遠心分離機にかけられた血液サンプルの画像を後処理するためのアルゴリズムとを使用する光学的撮像によって検知され得る。
【0009】
[0010]本発明の特徴および利益が、添付の図面とともに採用された以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】遠心分離機にかけられた血液サンプルが入った試験管の図である。
図2】本発明による血液サンプル処理装置の図である。
図3】血液サンプル処理装置の論理的相互接続の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0011]遠心分離の後に、透明な液体(プラズマ)の層と、大部分の赤血球を含有する赤い液体の層と、中間の薄い層とが、識別され得る。軟膜層は、血液の密度勾配遠心分離の後に、大部分の白血球および血小板を含有する抗凝固処理血液サンプルのほんの一部分である。
【0012】
[0012]図1を参照して、遠心分離後の血液サンプルが試験管10の中に示されている。血液サンプルには、試験管の上部のプラズマ層12と、試験管の下部の赤血球層14と、中間の層すなわち軟膜層16との、3つの成分層がある。いくつかの事例では、清浄な軟膜層の厚さは約1mmである。清浄な軟膜層の上に約3~4mmの厚さの遷移軟膜層がある。清浄な軟膜層と遷移軟膜層が、ともに軟膜層を構築する。
【0013】
[0013]一般的には、処理には清浄な軟膜層のみが望まれる。それゆえに、最初にプラズマ層12が除去される。次いで、軟膜層16の遷移層が排除される。そこで、清浄な軟膜層が試験管10の一番上になり、取り出すことができる。
【0014】
[0014]層の各々を適切に除去するために、各層を十分に照光して識別する必要がある。これは、光源で試験管10を照光し、次いで試験管とその内容物の画像を得ることによって達成され得る。照明光源すなわち光源は試験管10の内容物を照光するために使用される。いくつかの事例では、光源は単色光源であり得、他の事例では、光源は、スペクトル的に混合される複数の単色光源を備えることができる。単色光源の例は、570nm未満の波長の光を放射するLEDを含む。これらの光源は、1つまたは複数のLEDによって生成された着色光であり得る。さらなる実施形態では、光源または複数の光源は、フィルタリングされた光またはフィルタリングされていない光であり得る。
【0015】
[0015]図2は、本発明の一実施形態による照明光源18を設ける血液サンプル処理装置を示すものである。試験管10の中のサンプル層の間の最適のコントラストを得るための調整は、照明光源18の光の適切な波長を選択することによって達成される。サンプルのプラズマ層は、照光されたとき、一般的には約570nm以上の波長を有する黄色または琥珀色の光を反射するかまたは投じ、一方、赤い血液層は約680nm以上の波長の赤色光を反射する。したがって、サンプルのプラズマ層および赤い血液層からの反射および後方散乱を最小化し、さらには軟膜層を特定するためには、570nm未満の波長を有する光源でサンプルを照光するのが有利である。いくつかの事例では、この光源は470nmの波長の青色光であり得、他の事例では緑色光であり得、さらに他の事例では紫外線源が使用され得る。しかしながら、それぞれの事例において、光源の570nm未満の波長の反射は、軟膜層からのものが、より具体的には清浄な軟膜層からのものが最大になる。
【0016】
[0016]いくつかの事例では、照明すなわち光源18は、570nm未満の波長を有する光を放射するLEDまたは他の発光素子を有し得る。他の事例では、光源18は、種々の波長の光を放射する複数の発光素子を有し得る。これらの多色光源は、多くの事例において、軟膜層とプラズマ層および赤血球の層との間の差別化を強化することによって軟膜層による光の反射を最大化することができ、それによって軟膜層の画像の解像度が向上する。たとえば、種々の波長を有する複数のLEDが使用され得て、種々の色相または色温度を有する光を実現する。光源波長を混合すると、遷移軟膜層と清浄な軟膜層の間の差別化も強化することができる。詳細には、ある特定の光波長では、清浄な軟膜層ではなく遷移軟膜層による反射量が増加し、他の光波長では、遷移軟膜層ではなく清浄な軟膜層による反射量が増加する。2つ以上の異種の光源のこのグループを2つ以上の異なる波長と混合することにより、遷移軟膜層と清浄な軟膜層の両方の反射を増加することができる。これらの異種の光源は、種々の色温度または色相を有する種々の着色光源になり得る。
【0017】
[0017]照明光源18は、望ましくは、たとえばLuxeon Rebel Color LEDSといった高輝度LEDであり、より詳細には、multi-LED blue(470nm)3のLED基板である。他の事例では、他のLED、LEDパッケージ、または光源が使用され得る。LEDは、単一の回路基板上に組み込まれた個々のLED、または単一のチップへと統合された複数のLEDチップであり得る。望ましくはLEDが使用されるが、他の方法はLED以外の照明光源を含むことができ、非LED光源は、570nm未満の波長の光を分離する1つまたは複数のスペクトルフィルタを通される。
【0018】
[0018]照明光源18は、試験管10の重心軸から約30度の角度で配置され得る。反射や他の干渉を防止するのに十分な角度である限り、任意のオフセット角(すなわち試験管に対する斜角)が照明光源にとって適切なはずであることが理解され得る。たとえば、いくつかの事例では、照明光源18は、試験管10の重心軸に対して15~30度の任意の角度で配置され得る。さらに別の例では、照明光源18は、試験管10の重心軸に対して45~30度の任意の角度で配置され得る。
【0019】
[0019]試験管10および入っている血液サンプルを撮像するために、試験管10の反対側にデジタルカメラ20が配置される。望ましくは、軟膜層16を強調し得るように、白黒カメラではなくカラーカメラが使用される。いくつかの事例では、この目的に適するカメラは、Cognex Advantage 100Series、Cognex Corporation(マサチューセッツ州ネーティック)の部品番号ADV102Cであり得る。他の事例では、任意の高解像度カメラが使用され得る。デジタルカメラ20は撮像前に較正する必要があることが理解されよう。デジタルカメラ20によって照明光源18が起動され得ることも理解されよう。
【0020】
[0020]有利には、撮像向けのほとんどすべての血液サンプル入り試験管にはラベルが付いている。それゆえに、血液サンプルの撮像は試験管10のきれいな側を通して行われてよく、試験管のラベルは反射体として使用され得る。デジタルカメラ20の露光時間は、カメラの飽和レベルに基づいて最適化され得る。デジタルカメラ20の露光は、画質を保証するために、飽和点未満に設定されるべきであることが理解され得る。
【0021】
[0021]血液サンプルが入った試験管10の撮像用に光遮蔽22も設けられてよい。たとえば黒背景とともに光遮蔽を使用すると周辺光を低減し得、それによって血液サンプルの撮像を改善する。
【0022】
[0022]成分層の位置を判定するために、遠心分離機にかけられた血液サンプルが入っている試験管10が、デジタルカメラ20の反対側に垂直に配置される。次いで、デジタルカメラ20によって、血液サンプルが入った試験管10の画像が取り込まれる。次いで、この画像は、適切な処理装置100によって、画素数を使用して試験管10の中の成分層の相対位置を判定する写真処理アルゴリズムを使用して、処理され得る。この用途に適するハードウェア/ソフトウェア・システムは、Cognex Corporation(マサチューセッツ州ネーティック)の2D視覚システムでよい。
【0023】
[0023]光遮蔽22は外部基準を含み得、これと対照して、血液サンプルが入った試験管10が撮像され得る。これによって画像から、層の直接的な位置がもたらされることになる。外部基準は、血液サンプル処理装置または試験管があるラックの中に組み込まれてもよい。
【0024】
[0024]血液サンプル処理装置の処理装置100は、自動ピペット24も制御し得る。自動ピペットは、血液サンプルの液体表面を検知するための液面レベルセンサ26を有する。一旦、血液サンプルの液体表面の実際の位置が分かると、血液サンプルの各成分層の実際の位置を設定するために相対位置が使用され得る。試験管10の寸法が知られているので、ピペット24が血液サンプルの所望の位置に挿入されて、特定の層の計画された体積と等しい体積の液体が吸引され得る。一般的には、層は、最上部の層すなわちプラズマ層から始めて順番に吸引される。
【0025】
[0025]一例として、分析のために軟膜層を抽出することが望まれる場合には、ピペットは、プラズマ層12を、軟膜層16の上方境界の直ぐ上のレベルまで吸引するように使用され得る。次いで、ピペット24は、軟膜層16の下方境界の直ぐ下のレベルまで軟膜層16を吸引するように使用され得る。次いで、ピペット24の中の血液サンプルの軟膜層16は、分析用の別の容器に移されてよい。
【0026】
[0026]分析のために清浄な軟膜層のサンプルが必要なときには、プラズマ層12が吸引され、次いで軟膜層16の遷移層が吸引されてよい。最後に、清浄な軟膜層が吸引され、分析用の別の容器に移されてよい。
【0027】
[0027]軟膜層の吸引位置は、特定の用途に依拠することが理解され得る。下流の2次処理を使用する評価分析なら、層の全体を得るために軟膜層よりも上の部分や軟膜層よりも下の部分を収集しても差し支えがない。生体バンクを採取する用途は、最小の汚染を保証するために、上部のプラズマ層を通り越して、下部の赤血球層の寸前で止めることによって軟膜層を「守り」得る。
【0028】
[0028]図3は、血液サンプル処理装置の様々な構成要素が論理的に接続され得る様子を示すものである。サンプル処理装置100は、照明光源18、デジタルカメラ20、ピペット24および液面レベルセンサ26に直接接続されている。処理装置100にはユーザインターフェース102も備わっていてよい。処理装置100は、撮像中に血液サンプルが入った試験管10の照明を制御してもよい。その際、照明光源18はストロボ動作または常時オンのいずれかでよい。望ましい実施形態では、サンプル処理装置100およびユーザインターフェース102はコンピュータシステムによってもたらされ得る。いくつかの事例では、照明光源18、カメラ20、ピペット24、液面レベルセンサ26および処理装置100は、血液サンプルを分析するように使用され得る単一のシステムまたはマシンに含まれてよい。この単一のシステムは、単一のマシンを制御するために使用され得るユーザインターフェース102をさらに含むことができる。場合によっては、方法の各ステップは、マシンの処理装置100によって実行されるプログラムによって自動化され得る。
【0029】
[0029]上記の実施形態の詳細は例としてのみ説明されており、本発明はもちろんこれに限定されないことを理解されたい。以下の特許請求の範囲内で多くの変形形態が可能である。
図1
図2
図3