(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】コンテンツデータ管理装置、及びコンテンツデータ管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230327BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021548171
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2021003030
(87)【国際公開番号】W WO2022162833
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2021-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】518180571
【氏名又は名称】double jump.tokyo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 広伸
(72)【発明者】
【氏名】玉舎 直人
【審査官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-084163(JP,A)
【文献】国際公開第2020/255372(WO,A1)
【文献】特表2009-533766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のユーザグループが利用する所定のコンテンツサービスの処理において前記
ユーザグループのユーザが利用する、
所定の属性を有するコンテンツデータを作成するコンテンツデータ作成部と、
前記コンテンツデータ
の属性の値が前記コンテンツサービスの処理における所定の条件を満たしていると判定した場合に、
前記属性の値を含む、前記コンテンツデータに対応するアセットの情報と
、前記コンテンツデータのユーザの所有権とを記憶したトークンを作成し、作成したトークンを
、前記ユーザグループのユーザ以外のユーザに係る情報処理装置をノードとして含んで構成されている所定のブロックチェーンシステムにおいて発行するトークン発行部と、
を備えるコンテンツデータ管理装置。
【請求項2】
前記コンテンツデータに関する前記コンテンツサービスの処理を実行する際に、前記コンテンツデータに対応するトークンを発行しているか否かを判定し、前記トークンを既に発行していると判定した場合には、前記コンテンツデータに対応するアセットの情報を含むトークンの情報を取得し、取得した情報に基づき前記コンテンツサービスの処理を実行し、前記トークンを未だ発行していないと判定した場合には、前記コンテンツデータを取得し、取得したコンテンツデータに基づき前記コンテンツサービスの処理を実行するデータ取得部をさらに備える、請求項1に記載のコンテンツデータ管理装置。
【請求項3】
前記コンテンツデータが入力されることにより当該コンテンツデータに応じた処理を実行する、前記コンテンツサービスとしてのゲームプログラムを実行するコンテンツ実行部をさらに備え、
前記トークン発行部は、前記コンテンツデータの属性が前記ゲームプログラムにおける所定の条件を満たしていると判定した場合に、前記作成したトークンを、前記ブロックチェーンシステムにおいて発行する、
請求項1に記載のコンテンツデータ管理装置。
【請求項4】
前記トークン発行部は、前記トークンとして、前記ブロックチェーンシステムを構成する情報処理装置のアカウント間で前記トークンの所有権移転を実行する取引実行部を含むスマートコントラクトを作成する、
請求項1に記載のコンテンツデータ管理装置。
【請求項5】
前記トークン発行部は、前記コンテンツデータが前記コンテンツサービスの処理における所定の条件を満たしていると判定した場合に、前記作成したトークンを、前記
所定のブロックチェーンシステムにおいて発行する、
請求項1に記載のコンテンツデータ管理装置。
【請求項6】
情報処理装置が、
所定のユーザグループが利用する所定のコンテンツサービスの処理において前記
ユーザグループのユーザが利用する、
所定の属性を有するコンテンツデータを作成するコンテンツデータ作成処理と、
前記コンテンツデータ
の属性の値が前記コンテンツサービスの処理における所定の条件を満たしていると判定した場合に、
前記属性の値を含む、前記コンテンツデータに対応するアセットの情報と
、前記コンテンツデータのユーザの所有権とを記憶したトークンを作成し、作成したトークンを
、前記ユーザグループのユーザ以外のユーザに係る情報処理装置をノードとして含んで構成されている所定のブロックチェーンシステムにおいて発行するトークン発行処理と、
を実行するコンテンツデータ管理方法。
【請求項7】
前記情報処理装置が、
前記コンテンツデータに関する前記コンテンツサービスの処理を実行する際に、前記コンテンツデータに対応するトークンを発行しているか否かを判定し、前記トークンを既に発行していると判定した場合には、前記コンテンツデータに対応するアセットの情報を含むトークンの情報を取得し、取得した情報に基づき前記コンテンツサービスの処理を実行し、前記トークンを未だ発行していないと判定した場合には、前記コンテンツデータを取得し、取得したコンテンツデータに基づき前記コンテンツサービスの処理を実行するデータ取得処理をさらに実行する、請求項6に記載のコンテンツデータ管理方法。
【請求項8】
前記情報処理装置が、
前記コンテンツデータが入力されることにより当該コンテンツデータに応じた処理を実行する、前記コンテンツサービスとしてのゲームプログラムを実行するコンテンツ実行処理をさらに実行し、
前記トークン発行処理において、前記コンテンツデータの属性が前記ゲームプログラムにおける所定の条件を満たしていると判定した場合に、前記作成したトークンを、前記ブロックチェーンシステムにおいて発行する、
請求項6に記載のコンテンツデータ管理方法。
【請求項9】
前記情報処理装置が、
前記トークン発行処理において、前記トークンとして、前記ブロックチェーンシステムを構成する情報処理装置のアカウント間で前記トークンの所有権移転を実行する取引実行部を含むスマートコントラクトを作成する、
請求項6に記載のコンテンツデータ管理方法。
【請求項10】
前記情報処理装置が、
前記トークン発行処理において、前記コンテンツデータが前記コンテンツサービスの処理における所定の条件を満たしていると判定した場合に、前記作成したトークンを、前記
所定のブロックチェーンシステムにおいて発行する、
請求項6に記載のコンテンツデータ管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツデータ管理装置、及びコンテンツデータ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートコントラクト(Smart contract)を利用した電子アセットの取引が広く行われている。例えば、スマートコントラクトによりユーザ間のアセットの取引を実行し、その取引の履歴が各ノードで共有されるようにしたトークンを発行することが可能なプラットフォームであるイーサリアム(Ethereum)が知られている。このようなアセットの高度な流通性を実現できる技術を用いることで、コンテンツサービスを発展させていく試みが多くなされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】"ethereum.org"、[online]、[令和3年(2021年)1月25日検索]、インターネット(URL: https://ethereum.org/en/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、コンテンツサービスの中には、そのコンテンツを利用するユーザを会員制又は登録制等によって限定してユーザにデータを利用させている場合がある。このような場合であっても、サービスの進化や拡大に応じて、コンテンツデータをより広い市場に展開できるようにしておくことがサービス戦略上好ましいと考えられる。
【0005】
本発明はこのような背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンテンツデータをコンテンツの内容に応じて広く展開することが可能なコンテンツデータ管理装置、及びコンテンツデータ管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するための本発明の一つは、所定のユーザグループが利用する所定のコンテンツサービスの処理において前記ユーザグループのユーザが利用する、所定の属性を有するコンテンツデータを作成するコンテンツデータ作成部と、前記コンテンツデータの属性の値が前記コンテンツサービスの処理における所定の条件を満たしていると判定した場合に、前記属性の値を含む、前記コンテンツデータに対応するアセットの情報と、前記コンテンツデータのユーザの所有権とを記憶したトークンを作成し、作成したトークンを、前記ユーザグループのユーザ以外のユーザに係る情報処理装置をノードとして含んで構成されている所定のブロックチェーンシステムにおいて発行するトークン発行部と、を備えるコンテンツデータ管理装置、とする。
【0007】
また、本発明の他の一つは、情報処理装置が、所定のユーザグループが利用する所定のコンテンツサービスの処理において前記ユーザグループのユーザが利用する、所定の属性を有するコンテンツデータを作成するコンテンツデータ作成処理と、前記コンテンツデータの属性の値が前記コンテンツサービスの処理における所定の条件を満たしていると判定した場合に、前記属性の値を含む、前記コンテンツデータに対応するアセットの情報と、前記コンテンツデータのユーザの所有権とを記憶したトークンを作成し、作成したトークンを、前記ユーザグループのユーザ以外のユーザに係る情報処理装置をノードとして含んで構成されている所定のブロックチェーンシステムにおいて発行するトークン発行処理と、を実行するコンテンツデータ管理方法、とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンテンツデータをコンテンツの内容に応じて広く展開することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るコンテンツシステムの構成の一例を説明する図である。
【
図2】
図2は、サーバ装置が備える機能の一例を説明する図である。
【
図3】
図3は、ブロックチェーンシステムにおけるトークンの構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、コンテンツシステムにおける各情報処理装置が備えるハードウェアの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、コンテンツシステムで実行される処理の概要を説明するフロー図である。
【
図6】
図6は、データ取得処理の一例を説明するフロー図である。
【
図7】
図7は、トークン発行処理の一例を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[システム構成]
図1は、本実施形態に係るコンテンツシステム1の構成の一例を説明する図である。コンテンツシステム1は、所定のコンテンツ(本実施形態では後述するようにゲームとする)に関する1又は複数のコンテンツデータ80に基づきコンテンツサービスを実現するプログラムを実行するコンテンツ実行システム10と、互いに通信可能な複数のノード7により構成されているブロックチェーンシステム20とを含んで構成されている。
【0011】
コンテンツ実行システム10は、コンテンツデータ80を利用して各種の処理を行うプログラムを実行するコンテンツデータ管理装置30と、当該コンテンツのユーザが使用する、コンテンツデータ管理装置30と通信可能に接続された1又は複数のユーザ端末40(スマートフォン、パーソナルコンピュータ等)とを含んで構成される。
【0012】
コンテンツデータ管理装置30及びユーザ端末40の間は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等の有線又は無線の通信ネットワーク5により通信可能に接続される。
【0013】
本実施形態では、コンテンツ実行システム10は、ゲームに関するコンテンツデータ80を利用したゲーム実行システムであるとする。すなわち、コンテンツデータ管理装置30は、所定のゲームプログラムを記憶している。なお、ユーザ(ユーザ端末40)は、コンテンツデータ管理装置30のゲームプログラムを実行するためには、予めコンテンツデータ管理装置30等に利用登録を行っておく必要がある。
【0014】
そして、このコンテンツデータ管理装置30は、各ユーザ端末40からの要求に応じて、そのユーザが利用可能な(そのユーザに貸与する)コンテンツデータ80として、ゲーム上での利用が可能なカード、アイテム、キャラクター、モンスター、アバター等の各種のデータを作成及び登録する。各ユーザ端末40は、登録されたコンテンツデータ80を適宜用いてコンテンツデータ管理装置30のゲームプログラムを実行することにより、他のユーザ端末40(ユーザ)との対戦等のアクションを実行する。また、各コンテンツデータ80は固有の属性情報(例えば、ポイント、能力、価値)を有しており、各ユーザによるゲームプログラムの実行の状況(ユーザ間の対戦の結果等)に応じて、その属性が変更される(例えば、値が増減する)ようになっている。
【0015】
一方、ブロックチェーンシステム20では、各ノード7がトークン70を共有可能となっている。このトークン70は、各コンテンツデータ80をアセットとしたトークンであり、ブロックチェーンデータとしてノード7間で共有される。なお、ブロックチェーンシステム20を構成するノード7はユーザ端末40を含んでいるが、ユーザ端末40とは異なる端末を含んでいてもよい。
【0016】
ブロックチェーンシステム20のトークン70は、アセットの所有権(アセットの所有者)の移転の履歴と、アセットの取引等の処理を実行することが可能な関数であるスマートコントラクト(Smart Contract)とを含んでいる。このトークン70は、アセットの属性又はその所有者等によって価値が異なるNon Fungible Token(NFT)である。コンテンツデータ管理装置30は、通信ネットワーク5と同様の構成によりブロックチェーンシステム20と通信可能に接続されており、コンテンツデータ管理装置30が、このトークン70をブロックチェーンシステム20に発行する。
【0017】
なお、ブロックチェーンシステム20は、例えば、イーサリアム(Ethereum)を用いて実現されるが、以下に説明する各機能が実装可能であれば、他のプラットフォームであってもよい。
【0018】
次に、
図2は、コンテンツデータ管理装置30が備える機能の一例を説明する図である。コンテンツデータ管理装置30は、コンテンツデータ作成部31、トークン発行部33、コンテンツ実行部35、及びデータ取得部37を備える。
【0019】
コンテンツデータ作成部31は、所定のコンテンツサービスの処理においてユーザが利用するコンテンツデータ80を作成する。本実施形態では、コンテンツデータ作成部31は、各ユーザ端末40からの要求に応じて、そのユーザがゲームプログラムで使用されるカード、アイテム、又はキャラクター等を作成する。コンテンツデータ作成部31は、作成したコンテンツデータ80をコンテンツデータ情報50として記憶する。
【0020】
コンテンツデータ情報50は、コンテンツデータ80ごとに割り当てられたデータID51と、データID51に係るコンテンツデータ80のユーザ53(コンテンツデータ管理装置30からコンテンツデータ80の貸与を受けたユーザないしユーザ端末40)と、データID51に係るコンテンツデータ80の属性55(例えば、ポイント、能力、価値)と、データID51に係るコンテンツデータ80がトークン70として発行されたか否かを示す発行情報57を含む各情報をデータレコードとして記憶しているデータベースである(なお、後述するように発行情報57は不要とすることもできる)。なお、本実施形態では、トークン70が発行されている場合には発行情報57に「Yes」、トークン70が発行されていない場合には発行情報57に「No」がそれぞれ設定されるものとする。
【0021】
トークン発行部33は、コンテンツ実行システム10におけるコンテンツデータ80に基づきトークン70を作成し、これをブロックチェーンシステム20に発行することで(例えば、ユーザのアカウント又はウォレット等にトークン70を登録することで)、トークン70の情報を各ノード7に共有させる。
【0022】
具体的には、トークン発行部33は、アイテム、キャラクター等のコンテンツデータ80がゲームプログラムの処理における所定の条件を満たしていると判定した場合に、コンテンツデータ80に対応するアセットの情報とコンテンツデータ80のユーザの所有権とを記憶したトークン70を作成し、作成したトークン70をブロックチェーンシステム20において発行する。このトークン70は、ブロックチェーンシステム20の各ノード7に共有される。
【0023】
コンテンツ実行部35は、各ユーザ(ユーザ端末40)のコンテンツデータ80を入力値とするコンテンツサービスであるゲームプログラムを実行する。具体的には、コンテンツ実行部35は、コンテンツデータ80が入力されることによりコンテンツデータ80に応じた処理を実行するサービスであるコンテンツサービス(ゲームプログラム)を実行する。また、コンテンツ実行部35は、ゲームプログラム(各モジュール)を実行し、その実行結果(出力値等)に応じて、各コンテンツデータ80の属性値を変更する。
【0024】
データ取得部37は、コンテンツ実行部35がコンテンツデータ80に基づきゲームプログラムを実行する際に、そのコンテンツデータ80又はこれに対応するトークン70の情報をそれぞれ、コンテンツ実行システム10又はブロックチェーンシステム20から取得する。
【0025】
すなわち、データ取得部37は、コンテンツデータ80に関するコンテンツサービスの処理を実行する際に、コンテンツデータ80に対応するトークン70を発行しているか否かを判定し、トークン70を既に発行していると判定した場合には、コンテンツデータ80に対応するアセットの情報を含むトークン70の情報を取得し、取得した情報に基づきコンテンツサービス80の処理を実行し、トークン70を未だ発行していないと判定した場合には、コンテンツデータ80を取得し、取得したコンテンツデータ80に基づきコンテンツサービスの処理を実行する。
【0026】
次に、
図3は、ブロックチェーンシステム20におけるトークン70の構成の一例を示す図である。トークン70は、取引実行部71、及びアセット情報73を記憶している。
【0027】
取引実行部71は、ブロックチェーンシステム20のノード7のアカウント間でのトークン70の所有権移転を実行する。なお、この移転取引の具体的形態は特に限定されるものではなく、例えば、所定の暗号通貨(Ether等)を対価とした取引であってもよいし、対価のない移転であってもよい。
【0028】
アセット情報73は、コンテンツデータ80に対応したアセットの情報であり、具体的には、アセットID75(コンテンツデータ情報50のデータID51に対応)と、アセットID75に係るアセットの属性77(コンテンツデータ情報50の属性55に対応した情報(の履歴)が時系列的に設定される)と、アセットID75に係るアセットの所有権移転履歴79(コンテンツデータ情報50のユーザ53に対応した情報の履歴が時系列的に設定される)とを有する。なお、トークン70は、例えば、スマートコントラクトとして実装される。
【0029】
ここで、
図4は、コンテンツシステム1における各情報処理装置(コンテンツデータ管理装置30、ユーザ端末40、ノード7)が備えるハードウェアの一例を示す図である。各情報処理装置は、CPU(Central Processing Unit)などの処理装置91と、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の主記憶装置92と、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置93と、キーボード、マウス、タッチパネルなどからなる入力装置94と、モニタ(ディスプレイ)等からなる出力装置95と、他の情報処理装置と通信を行う通信装置96とを備える。前記で説明した各情報処理装置の機能は、各情報処理装置のハードウェアによって、もしくは、各情報処理装置の処理装置91が主記憶装置92や補助記憶装置93に記憶したプログラム(スマートコントラクト等)を実行することによって実現される。また、これらのプログラムは、例えば、二次記憶デバイスや不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSDなどの記憶デバイス、又は、ICカード、SDカード、DVDなどの、各情報処理装置で読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納される。
次に、コンテンツシステム1で実行される処理について説明する。
【0030】
--処理--
図5は、コンテンツシステム1で実行される処理の概要を説明するフロー図である。コンテンツシステム1は、例えば、コンテンツデータ管理装置30がゲームプログラムの実行を開始したことを契機に繰り返し実行される。
【0031】
まず、コンテンツデータ管理装置30は、ゲームプログラムが規定するシナリオに基づき、現在実行すべき処理(以下、対象処理という。例えば、関数、モジュール等のプログラムの構成単位)を特定する(s1)。そして、コンテンツデータ管理装置30は、対象処理を実行するために必要なコンテンツデータ80又はこれに対応するトークン70のデータを、コンテンツデータ管理装置30又はブロックチェーンシステム20から取得するデータ取得処理を実行する(s3)。データ取得処理の詳細は後述する。
【0032】
コンテンツデータ管理装置30は、s3で取得したデータに基づき、対象処理を実行する(s5)。
【0033】
さらに、コンテンツデータ管理装置30は、自身が記憶しているコンテンツデータ80のうち所定の条件を満たすコンテンツデータ80をトークン70にしてブロックチェーンシステム20に展開するトークン発行処理を実行する(s7)。トークン発行処理の詳細は後述する。
【0034】
以上のs1~s7の処理が随時繰り返される。なお、ここで説明した処理の順序はあくまで一例であり、処理の順序は任意である。例えば、トークン発行処理は、s1~s5の処理とは独立に、所定のタイミング(例えば、所定の時間間隔、所定の時刻)で実行されてもよい。
以下、データ取得処理及びトークン発行処理の詳細を説明する。
【0035】
--データ取得処理--
図6は、データ取得処理の一例を説明するフロー図である。まず、データ取得部37は、対象処理を実行する際に用いられるコンテンツデータ80(以下、対象データという)を特定する(s31)。例えば、データ取得部37は、コンテンツデータ情報50から、対象処理に入力すべきコンテンツデータ80のデータID51が登録されているレコードを取得する。
【0036】
データ取得部37は、s31で取得した対象データがトークン70として発行済みであるか否かを判定する(s33)。例えば、データ取得部37は、s31で取得したレコードの発行情報57が「Yes」であるか否かを確認する。
【0037】
対象データがトークン70として発行済みであると判定した場合は(s33:YES)、データ取得部37は、s35、s37の処理を実行し、対象データがトークン70として発行済みでないと判定した場合は(s33:NO)、データ取得部37は、s39の処理を実行する。
【0038】
s35~s37においてデータ取得部37は、ブロックチェーンシステム20で共有されているトークン70のデータを取得する。
【0039】
すなわち、データ取得部37は、ブロックチェーンシステム20のトークン70から、対象データに係るアセットの所有ユーザに関する情報を取得する(s35)。具体的には、データ取得部37は、アセットID75が対象データのデータID51と同じであるトークン70の所有権移転履歴79を参照することで、現在アセットの所有権を有しているユーザの情報を取得する。
【0040】
また、データ取得部37は、ブロックチェーンシステム20のトークン70から、対象データに対応するアセットの属性に関する情報を取得する(s37)。具体的には、データ取得部37は、アセットID75が対象データのデータID51と同じであるトークン70のアセットの属性77を参照することで、アセットの現在の属性の情報を取得する。
【0041】
他方、s39においてデータ取得部37は、コンテンツデータ情報50における対象データのユーザ及び属性の情報を取得する。具体的には、データ取得部37は、コンテンツデータ情報50から、s31で取得したレコードのユーザ53及び属性55を取得する。以上でデータ取得処理は終了する。
【0042】
--トークン発行処理--
図7は、トークン発行処理の一例を説明するフロー図である。まず、トークン発行部33は、トークン発行処理の対象とするコンテンツデータ80(以下、本件コンテンツデータという)を選択する。例えば、トークン発行部33は、本件コンテンツデータのデータID51が登録されているコンテンツデータ情報50のレコードの属性55を参照することで、本件コンテンツデータの属性を取得する(s71)。
【0043】
トークン発行部33は、本件コンテンツデータの属性がトークン70を発行するための条件を満たしているか否かを判定する(s73)。
【0044】
この条件は、本実施形態では、ゲームプログラムに関連した情報であり、例えば、カードのポイントが所定のポイント値を超えているか、複数のキャラクターが合成されたか、キャラクターの能力が所定のレベルを超えているか、ゲームの所定のシナリオを完了したかといった条件である。また、この条件は、複数の条件を組み合わせたものであってもよい。
【0045】
本件コンテンツデータの属性がトークン70を発行するための条件を満たしていないと判定した場合は(s73:NO)、トークン発行処理は終了する。なお、トークン発行部33は、トークン70を発行するための条件を満たしているか否かを判定していないコンテンツデータ80がある場合は、そのコンテンツデータ80を本件コンテンツデータとして、s71以降の処理を繰り返してもよい。
【0046】
本件コンテンツデータの属性がトークン70を発行するための条件を満たしていると判定した場合は(s73:YES)、トークン発行部33は、この条件を満たす本件コンテンツデータ80をアセットとしたトークン70を作成してブロックチェーンシステム20に発行する(s75)。
【0047】
具体的には、例えば、トークン発行部33は、本件コンテンツデータのデータID51をアセットID75に設定し、ユーザ53を所有権移転履歴79に設定し、属性55を属性77に設定したアセット情報73と、取引実行部71とを含むトークン70を作成し、作成したトークン70をブロックチェーンシステム20に送信し、本件コンテンツデータの所有者たるユーザのアカウント又はウォレット等に登録する。ブロックチェーンシステム20の各ノード7は、このトークン70を共有して記憶する。また、トークン発行部33は、コンテンツデータ情報50における本件コンテンツデータの発行情報57を「Yes」に設定する。
【0048】
なお、トークン発行部33は、トークン70を発行する前に、トークン70を実際に発行するか否かの確認のユーザ入力をさせる画面を表示することで、トークン70の発行の事前確認を行ってもよい。
【0049】
また、トークン発行部33は、トークン70を発行する際に、トークン70の属性77に特典の情報を付与するようにしてもよい。
【0050】
以上でトークン発行処理は終了する。なお、トークン発行部33は、トークン70を発行するための条件を満たしているか否かを判定していないコンテンツデータ80がある場合は、そのコンテンツデータ80を本件コンテンツデータとして、s71以降の処理を繰り返してもよい。
【0051】
その後、ブロックチェーンシステム20の各ユーザ(ユーザ端末40)は、トークン70の取引実行部71の実行により、ブロックチェーンシステム20に参加しているユーザ(ノード7)間で、そのトークン70の取引をすることができる。
【0052】
例えば、トークン発行処理によりトークン70に登録された最初のユーザ(ゲームユーザ)は、ブロックチェーンシステム20に参加している他のゲームユーザにトークン70の所有権を移転することができる。そして、コンテンツデータ管理装置30は、前記したデータ取得処理に基づき当該他のゲームユーザをコンテンツデータ80の現在のユーザと認識し、これを前提にゲームプログラムを実行することになる。
また、上記最初のユーザは、ブロックチェーンシステム20に参加しているゲーム外のユーザ又は事業者等にコンテンツデータの所有権を移転することもできる。これにより、ゲームユーザでない者であってもこのトークン70の価値を取得し、さらなる取引の対象とすることができる。
【0053】
以上のように、本実施形態のコンテンツデータ管理装置30は、ゲームコンテンツで使用されるコンテンツデータ80を作成した上で、コンテンツデータ80がゲームコンテンツにおける所定の条件を満たしていると判定した場合に、コンテンツデータ80に対応するアセットの情報とアセットのユーザの所有権とを記憶したトークン70を作成し、作成したトークン70を、ブロックチェーンシステム20に送信する。
【0054】
このように、コンテンツデータ管理装置30は、ゲームコンテンツのコンテンツデータ80をトークン70としてブロックチェーンシステム20に展開できることで、ゲームコンテンツ内でクローズドにユーザに使用されていた(ユーザに貸与させていた)コンテンツデータ80を、そのユーザが所有権を有するトークン70に転換し、ブロックチェーンシステム20で広く流通させることができる。これにより、アセット(元はコンテンツデータ80)の価値が増大し、ゲームコンテンツに対するゲームユーザ及び非ゲームユーザの魅力度を上げることができる。
【0055】
以上に説明した実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。
【0056】
例えば、本実施形態で説明した各情報処理装置の機能の一部は、他の情報処理装置に設けてもよい。例えば、コンテンツデータ管理装置30は、トークン発行部33を備える情報処理装置と、その他の機能を備える情報処理装置とに分割してもよい。
【0057】
また、本実施形態では、コンテンツデータ管理装置30がコンテンツサービスとしてゲームを提供するものとしたが、その他の種類のコンテンツ(音楽、アニメーション、映画、写真、漫画等)を利用したサービスであってもよい。例えば、コンテンツデータ管理装置30が、ある特定の事象に対する、ユーザによる投げ銭システムを提供しており、投げ銭の価値が所定の額を超えた場合に、上記事象を表す情報をトークン70として生成するものとしてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、コンテンツデータ80がトークン70となっているか否かを判定するために、コンテンツデータ情報50の発行情報57を用いるものとしたが、その他の方法を採用してもよい。例えば、コンテンツデータ情報50には発行情報57を設けず、コンテンツデータ管理装置30は、コンテンツデータ80からトークン70を作成する際に、そのコンテンツデータ80に関するコンテンツデータ情報50のレコードを削除するようにしてもよい。これにより、コンテンツデータ情報50の情報量を少なくすることができる。
【0059】
以上の本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態のトークン管理装置30は、前記コンテンツデータに関する前記コンテンツサービスの処理を実行する際に、前記コンテンツデータに対応するトークンを発行しているか否かを判定し、前記トークンを既に発行していると判定した場合には、前記コンテンツデータに対応するアセットの情報を含むトークンの情報を取得し、取得した情報に基づき前記コンテンツサービスの処理を実行し、前記トークンを未だ発行していないと判定した場合には、前記コンテンツデータを取得し、取得したコンテンツデータに基づき前記コンテンツサービスの処理を実行するデータ取得部をさらに備える、としてもよい。
【0060】
このように、トークン70をブロックチェーンシステム20に発行した場合には、トークン70から所有権及びアセットを取得してコンテンツの処理を実行し、トークン70を未発行の場合にはコンテンツデータ80を用いてコンテンツの処理を実行することで、コンテンツデータ80がオフチェーン(コンテンツ実行システム10)又はブロックチェーンシステム20のいずれにある場合でも、コンテンツデータ管理装置30が提供するコンテンツサービスをシームレスに実行することができる。
【0061】
また、本実施形態のコンテンツデータ管理装置30は、前記コンテンツデータが入力されることにより当該コンテンツデータに応じた処理を実行する、前記コンテンツサービスとしてのゲームプログラムを実行するコンテンツ実行部をさらに備え、前記トークン発行部は、前記コンテンツデータの属性が前記ゲームプログラムにおける所定の条件を満たしていると判定した場合に、前記作成したトークンを、前記ブロックチェーンシステムにおいて発行する、としてもよい。
【0062】
このように、コンテンツデータ80を利用したゲームプログラムにおいて、コンテンツデータ80の属性がゲームプログラムの所定の条件を満たしている場合に、トークン70をブロックチェーンシステム20に展開することで、例えば、所定のコミュニティ内に提供されていたゲームのアイテム等をブロックチェーンに提供できるようになる。これにより、ゲーム外のコミュニティに、アイテム等に関する新たな価値を提供できるようになる。
【0063】
また、本実施形態のトークン管理装置30の前記トークン発行部は、前記トークンとして、前記ブロックチェーンシステムを構成する情報処理装置のアカウント間で前記トークンの所有権移転を実行する取引実行部を含むスマートコントラクトを作成する、としてもよい。
【0064】
このように、ブロックチェーンシステム20のノード7のアカウント間でトークン70の所有権移転を実行するスマートコントラクトとしてのトークン70を作成することで、トークン70を広く流通させることができる。
【0065】
また、本実施形態のトークン管理装置30の前記トークン発行部は、前記コンテンツデータが前記コンテンツサービスの処理における所定の条件を満たしていると判定した場合に、前記作成したトークンを、前記コンテンツデータのユーザに係る情報処理装置を含んで構成されるブロックチェーンシステムにおいて発行する、としてもよい。
【0066】
このように、ブロックチェーンシステム20が、コンテンツデータ80のユーザに係るノード7を含んで構成されていることで、コンテンツサービスのユーザは、コンテンツ実行システム10だけでなくブロックチェーンシステム20に対する関係でもコンテンツデータ80(トークン70)にアクセスし、これを利用することができる。
【0067】
さらに、本実施形態のトークン管理方法として、前記情報処理装置(トークン管理装置30)が、前記コンテンツデータに関する前記コンテンツサービスの処理を実行する際に、前記コンテンツデータに対応するトークンを発行しているか否かを判定し、前記トークンを既に発行していると判定した場合には、前記コンテンツデータに対応するアセットの情報を含むトークンの情報を取得し、取得した情報に基づき前記コンテンツサービスの処理を実行し、前記トークンを未だ発行していないと判定した場合には、前記コンテンツデータを取得し、取得したコンテンツデータに基づき前記コンテンツサービスの処理を実行するデータ取得処理をさらに実行する、としてもよい。
【0068】
また、本実施形態のトークン管理方法として、前記情報処理装置(トークン管理装置30)が、前記コンテンツデータが入力されることにより当該コンテンツデータに応じた処理を実行する、前記コンテンツサービスとしてのゲームプログラムを実行するコンテンツ実行処理をさらに実行し、前記トークン発行処理において、前記コンテンツデータの属性が前記ゲームプログラムにおける所定の条件を満たしていると判定した場合に、前記作成したトークンを、前記ブロックチェーンシステムにおいて発行する、としてもよい。
【0069】
また、本実施形態のトークン管理方法として、前記情報処理装置が、前記トークン発行処理において、前記トークンとして、前記ブロックチェーンシステムを構成する情報処理装置のアカウント間で前記トークンの所有権移転を実行する取引実行部を含むスマートコントラクトを作成する、としてもよい。
【0070】
また、本実施形態のトークン管理方法として、前記情報処理装置が、前記トークン発行処理において、前記コンテンツデータが前記コンテンツサービスの処理における所定の条件を満たしていると判定した場合に、前記作成したトークンを、前記コンテンツデータのユーザに係る情報処理装置を含んで構成されるブロックチェーンシステムにおいて発行する、としてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 コンテンツシステム、10 コンテンツ実行システム、20 ブロックチェーンシステム、30 コンテンツデータ管理装置、40 ユーザ端末、7 ノード、5 通信ネットワーク、70 トークン、80 コンテンツデータ、31 コンテンツデータ作成部、33 トークン発行部、35 コンテンツ実行部、37 データ取得部、50 コンテンツデータ情報、51 データID、53 ユーザ、55 属性、57 発行情報、70 トークン、71 取引実行部、73 アセット情報、75 アセットID、77 属性、79 所有権移転履歴、91 処理装置、92 主記憶装置、93 補助記憶装置、94 入力装置、95 出力装置、96 通信装置