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特許7250951隔離性を損なうことなく、隔離されたシステムからデータをアップロードすること
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】隔離性を損なうことなく、隔離されたシステムからデータをアップロードすること
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/32 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
A61N1/32
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021557836
(86)(22)【出願日】2020-04-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 IB2020053472
(87)【国際公開番号】W WO2020212824
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】62/835,147
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519275847
【氏名又は名称】ノボキュア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨラム・ワッサーマン
(72)【発明者】
【氏名】ゴラン・バル-タル
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ヴァルシャヴェア
(72)【発明者】
【氏名】シモン・エルカベッツ
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/033842(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0191912(US,A1)
【文献】特開平10-028679(JP,A)
【文献】国際公開第2011/047211(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/32
G16H 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
TTフィールド(腫瘍治療電場)療法電場発生器であって、
AC電圧発生器と、
シリアルデータトランシーバと、
メモリと、
1)前記AC電圧発生器によって生成されたAC電圧を出力するための第1の複数のピンと、2)前記シリアルデータトランシーバとの間でシリアルデータを伝達するための第2の複数のピンとを有する単一の第1のコネクタと、
命令を実行するようにプログラムされたコントローラであって、前記命令が、前記電場発生器に、
(1)トランスデューサインターフェースが前記第1のコネクタに接続されているかどうかを判断するステップと、
(2)前記トランスデューサインターフェースが前記第1のコネクタに接続されていると判断した後に、AC電圧が前記第1のコネクタの前記第1の複数のピンにわたって現れるように前記AC電圧発生器を作動させ、TTフィールド治療に関連するデータを前記メモリ内に記憶するステップと、
(3)データ転送装置が前記第1のコネクタに接続されているかどうかを判断するステップと、
(4)前記データ転送装置が前記第1のコネクタに接続されていると判断した後に、前記メモリから前記TTフィールド治療に関連するデータを取得し、前記シリアルデータトランシーバが前記単一の第1のコネクタの前記第2の複数のピンを介して前記TTフィールド治療に関連するデータを出力するように、前記取得されたデータを前記シリアルデータトランシーバにルーティングするステップと
を実行させる、コントローラと
を備える、TTフィールド療法電場発生器。
【請求項2】
前記コントローラが、前記シリアルデータトランシーバを介して受信されたデータを調査することによって、トランスデューサインターフェースが前記第1のコネクタに接続されていることを判断するようにプログラムされた、請求項1に記載の電場発生器。
【請求項3】
前記コントローラが、前記シリアルデータトランシーバを介して受信されたデータを調査することによって、データ転送装置が前記第1のコネクタに接続されていることを判断するようにプログラムされた、請求項1に記載の電場発生器。
【請求項4】
前記コントローラが、前記TTフィールド治療に関連するデータが前記シリアルデータトランシーバによって出力された後に、前記メモリから前記TTフィールド治療に関連するデータをクリアするようにプログラムされた、請求項1に記載の電場発生器。
【請求項5】
前記メモリ内に記憶された前記TTフィールド治療に関連するデータが、治療セッションの日時、前記第1のコネクタに前記トランスデューサインターフェースを介して接続されたトランスデューサアレイのセット内の各トランスデューサアレイによって印加される電流、測定された皮膚温度値、および動作異常のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の電場発生器。
【請求項6】
診断を強化したTTフィールド(腫瘍治療電場)療法システムであって、前記システムが、
電場発生器と、
データ転送装置と
を備え、
前記電場発生器が、
AC電圧発生器と、
第1のシリアルデータトランシーバと、
第1のメモリと、
1)前記AC電圧発生器によって生成されたAC電圧を出力するための第1の複数のピンと、2)前記第1のシリアルデータトランシーバとの間でシリアルデータを伝達するための第2の複数のピンを有する単一の第1のコネクタと、
命令を実行するようにプログラムされた第1のコントローラであって、前記命令が、前記電場発生器に、
(1)トランスデューサインターフェースが前記第1のコネクタに接続されているかどうかを判断するステップと、
(2)前記トランスデューサインターフェースが前記第1のコネクタに接続されていると判断した後に、AC電圧が前記第1のコネクタの前記第1の複数のピンにわたって現れるように前記AC電圧発生器を作動させ、TTフィールド治療に関連するデータを前記第1のメモリ内に記憶するステップと、
(3)データ転送装置が前記第1のコネクタに接続されているかどうかを判断するステップと、
(4)前記データ転送装置が前記第1のコネクタに接続されていると判断した後に、前記第1のメモリから前記TTフィールド治療に関連するデータを取得し、前記第1のシリアルデータトランシーバが前記単一の第1のコネクタの前記第2の複数のピンを介して前記TTフィールド治療に関連するデータを出力するように、前記取得されたデータを前記第1のシリアルデータトランシーバにルーティングするステップと
を実行させる、第1のコントローラと
を備え、
前記データ転送装置が、
第2のシリアルデータトランシーバと、
第2のメモリと、
モデムと、
前記第1のコネクタとインターフェースするように構成された第2のコネクタと、
命令を実行するようにプログラムされた第2のコントローラであって、前記命令が、前記データ転送装置に、
(1)前記電場発生器が前記データ転送装置に接続されていることを判断するステップと、
(2)前記電場発生器が前記データ転送装置に接続されたと判断した後に、前記第2のシリアルデータトランシーバに、前記電場発生器からのシリアルデータを受け入れさせ、前記受け入れられたデータを前記第2のメモリ内に記憶させるステップであって、前記受け入れられたデータが、前記TTフィールド治療に関連するデータである、ステップと、
(3)前記電場発生器から前記データを受け入れた後、前記電場発生器が前記データ転送装置から切断されたかどうかを判断するステップと、
(4)前記電場発生器が前記データ転送装置から切断されたと判断した後、前記第2のメモリから前記TTフィールド治療に関連するデータを取得し、前記モデムに、前記取得されたデータを遠隔サーバに送信させるステップと
を実行させる、第2のコントローラと
を備える、TTフィールド療法システム。
【請求項7】
前記第1のコントローラが、(a)前記第1のシリアルデータトランシーバを介して受信されたデータを調査することによって、前記トランスデューサインターフェースが前記第1のコネクタに接続されていることを判断し、(b)前記第1のシリアルデータトランシーバを介して受信されたデータを調査することによって、前記データ転送装置が前記第1のコネクタに接続されていることを判断するようにプログラムされた、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のコントローラが、前記TTフィールド治療に関連するデータが前記第1のシリアルデータトランシーバによって出力された後、前記第1のメモリから前記TTフィールド治療に関連するデータをクリアするようにプログラムされた、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のメモリ内に記憶される前記TTフィールド治療に関連するデータが、治療セッションの日時、前記第1のコネクタに接続されたトランスデューサアレイのセット内の各トランスデューサアレイによって印加される電流、測定された温度値、および動作異常のうちの1つまたは複数を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記電場発生器と前記データ転送装置との間の前記接続が、前記第2のコネクタを前記第1のコネクタに直接嵌合することによって実施される、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記電場発生器と前記データ転送装置との間の前記接続が、前記第2のコネクタと前記第1のコネクタとの間にケーブルを接続することによって実施される、請求項6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2019年4月17日に出願された米国仮出願第62/835,147号の利益を主張する。
【0002】
一般に、本出願は、医療デバイスの隔離性を損なうことなく、隔離された医療デバイスからデータをアップロードすることに向けられている。より具体的には、本出願は、医療デバイスとともに使用するデータ転送装置(「DTA」:data transfer apparatus)に向けられており、このDTAは、医療デバイスを使用する治療の遠隔監視を容易にする。
【背景技術】
【0003】
一般に、TTフィールド(tumor-treating field(腫瘍治療電場))療法は、腫瘍を治療するための実績のある手法である。図1に示すTTフィールドを送達するための従来技術のOptune(登録商標)システムにおいて、TTフィールドは、腫瘍に近接した患者の皮膚上に配置された4つのトランスデューサアレイ10を介して患者に送達される。トランスデューサアレイ10は、2対において配置され、各トランスデューサアレイ10は、マルチワイヤケーブルを介してトランスデューサインターフェース20に接続され、トランスデューサインターフェース20は、コネクタを介して電場発生器14に接続される。電場発生器14は、(a)第1の時間期間中にアレイ10の一方の対を通してAC電流を送り、次いで、(b)第2の時間期間中にアレイ10の他方の対を通してAC電流を送り、次いで、治療の持続期間中、ステップ(a)および(b)を繰り返す。
【0004】
電場発生器14は、AC電圧発生器16と、コントローラ18とを含む。トランスデューサアレイ10を介して送達される交流電流の振幅は、皮膚温度(トランスデューサアレイの下の皮膚において測定される)が摂氏41度の安全しきい値を超えないようにコントローラ18によって制御される。患者の皮膚における温度測定値は、トランスデューサアレイ10のディスク(図示せず)のうちのいくつかの下に配置されたサーミスタ(図示せず)を使用して取得される。既存のOptune(登録商標)システムでは、各アレイ10は、8つのサーミスタを含み、1つのサーミスタがアレイ内のそれぞれのディスクの下に配置されている。
【0005】
32個すべてのサーミスタ(4つのアレイ×アレイごとに8個のサーミスタ)からの温度が測定され、サーミスタごとにデジタル値にアナログ-デジタル変換される。これらの測定値は、次いで、トランスデューサインターフェース20から電場発生器14に送信される。電場発生器14内のコントローラ18は、患者の皮膚上の温度を摂氏41度未満に維持するために、アレイ10の各対を介して送達される電流を制御するために温度測定値を使用する。
【0006】
既存のOptune(登録商標)システムでは、各々がそれぞれのアレイ10とトランスデューサインターフェース20との間を走る4本の長い10線ケーブル12と、トランスデューサインターフェース20と電場発生器14上のコネクタ28との間を走る1本の8線スパイラルコード(特に図示せず)とが存在する。10線ケーブル12の各々は、8つのサーミスタからの信号を運ぶための8本のワイヤと、8つのサーミスタすべてに共通の1本のワイヤと、TTフィールド信号(すなわち、電流)をアレイ10に提供するための1本のワイヤとを有する。8線スパイラルコードは、電場発生器内の電源から供給されるトランスデューサインターフェース20への電力(Vcc)用の1本のワイヤと、トランスデューサインターフェース20への接地用の1本のワイヤと、(トランスデューサインターフェース20からの温度読み取り値を電場発生器14に送るための)シリアルデータ通信用の2本のワイヤと、TTフィールド信号(すなわち、4つのアレイ10の各々について1つの信号)用の4本のワイヤとを有する。8線スパイラルコードは、電場発生器14上の第1のコネクタ28とインターフェースする第2のコネクタ26をその端部に有する。
【0007】
さらに、ケア提供者が患者の治療過程を監視することができるように、電場発生器14は、患者治療データが記憶される1つまたは複数のデータ記憶レジスタ(すなわち、メモリ)30を含む。治療データ内の情報は、例えば、治療セッションの日時、各トランスデューサアレイ10によって印加される電流、サーミスタによって測定される温度、任意の異常などを含み得る。現在、電場発生器内に記憶されている治療データは、患者がOptune(登録商標)システムを施設に持ち込み、そこで技術スタッフが専用のサービスポートを介してデータにアクセスしてダウンロードすることによってのみアクセスすることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示されている装置は、患者がOptune(登録商標)システムを輸送することを必要とすることなく、Optune(登録商標)システムから遠隔施設へのデータの転送を容易にする。したがって、開示されている装置は、トランスデューサインターフェースを電場発生器に取り付けるために従来使用されていたのと同じ単一のコネクタを使用して電場発生器(患者の治療データが記憶されている)に接続するデータ転送装置(「DTA」)を備える。電場発生器は、トランスデューサインターフェースまたはDTAのどちらが接続されているかを自動的に判断するように構成される。トランスデューサインターフェースが電場発生器に接続されている場合、電場発生器は、TTフィールド療法を患者に送達するために、(トランスデューサインターフェースを介して)AC電圧をトランスデューサアレイに印加する。一方、DTAが電場発生器に接続されている場合、電場発生器は、患者治療データをDTAに転送し、DTAは、電場発生器からデータを受け入れる。続いて、DTAが電場発生器から切断された後、DTAは、例えば、インターネット(ワイヤレス、または有線接続を介する)を介して、またはセルラデータ伝送を介して、データを遠隔サーバに伝送する。
【0009】
データは、遠隔サーバに送信されるので、この配置は、患者がOptune(登録商標)システムを施設に持ち込む必要性を排除し、これは、患者にとって非常に便利である。さらに、DTAまたはトランスデューサインターフェースを電場発生器に取り付けるために同じ単一のコネクタが使用されるので、DTAからトランスデューサに(したがって、患者に)誤って電流を印加するリスクがない。言い換えれば、電場発生器によって生成された信号以外の信号からの患者の電気的絶縁が維持される。さらに、データ伝送ハードウェアを電場発生器に組み込むのとは対照的に、DTAを別個のデバイスとして提供することは、(例えば、食料医薬品局による)医療デバイスの認証に加えて、(例えば、米国連邦通信委員会による)データ伝送の認証の必要性を回避する。
【0010】
本発明の一態様は、TTフィールド(腫瘍治療電場)療法システムの電場発生器と関連して使用するためのデータ転送装置に向けられている。電場発生器は、AC信号を出力し、シリアルデータを伝達するために使用される第1のコネクタを有する。データ転送装置は、シリアルデータトランシーバと、メモリと、モデムと、第1のコネクタとインターフェースするように構成された第2のコネクタとを備える。データ転送装置は、命令を実行するようにプログラムされたコントローラも備え、命令は、データ転送装置に、(1)電場発生器がデータ転送装置に接続されていることを判断するステップと、(2)電場発生器がデータ転送装置に接続されていると判断した後、シリアルデータトランシーバに、電場発生器からのシリアルデータを受け入れさせ、受け入れられたデータをメモリ内に記憶させるステップであって、受け入れられたデータがTTフィールドを使用する患者の治療に関連するデータである、ステップと、(3)電場発生器からのデータを受け入れた後、電場発生器がデータ転送装置から切断されているかどうかを判断するステップと、(4)電場発生器がデータ転送装置から切断されていると判断した後、メモリからTTフィールドを使用する患者の治療に関連するデータを取得し、モデムに、取得されたデータを遠隔サーバに送信させるステップとを実行させる。
【0011】
データ転送装置のいくつかの実施形態において、コントローラは、TTフィールドを使用する患者の治療に関連するすべてのデータが受け入れられると、電場発生器内に記憶されたTTフィールド治療関連データを電場発生器にクリアさせるようにプログラムされる。
【0012】
データ転送装置のいくつかの実施形態において、モデムは、インターネットを介してデータを送信するように構成される。データ転送装置のいくつかの実施形態において、モデムは、セルラデータネットワークを介してデータを送信するように構成される。
【0013】
データ転送装置のいくつかの実施形態は、データ転送装置への別のデバイスの物理的接続時に作動するスイッチをさらに備える。これらの実施形態において、コントローラは、スイッチの状態を検出することによって、電場発生器がデータ転送装置に接続されたことを判断するようにプログラムされる。任意選択で、これらの実施形態において、コントローラは、スイッチの状態を検出することによって、電場発生器がデータ転送装置から切断されたことを判断するようにさらにプログラムされる。
【0014】
データ転送装置のいくつかの実施形態において、電場発生器とデータ転送装置インターフェースとの間の接続は、第2のコネクタを第1のコネクタに直接嵌合することによって実施される。
【0015】
データ転送装置のいくつかの実施形態において、電場発生器とデータ転送装置インターフェースとの間の接続は、第2のコネクタと第1のコネクタとの間にケーブルを接続することによって実施される。
【0016】
本発明の別の態様は、TTフィールド(腫瘍治療電場)療法電場発生器に向けられている。電場発生器は、AC電圧発生器と、シリアルデータトランシーバと、メモリと、1)AC電圧発生器によって生成されたAC電圧を出力するための第1の複数のピンと、2)シリアルデータトランシーバとの間でシリアルデータを伝達するための第2の複数のピンとを有する単一の第1のコネクタとを備える。電場発生器は、命令を実行するようにプログラムされたコントローラも備え、命令は、電場発生器に、(1)トランスデューサインターフェースが第1のコネクタに接続されているかどうかを判断するステップと、(2)トランスデューサインターフェースが第1のコネクタに接続されていると判断した後に、AC電圧が第1のコネクタの第1の複数のピンにわたって現れるようにAC電圧発生器を作動させ、TTフィールド治療に関連するデータをメモリ内に記憶するステップと、(3)データ転送装置が第1のコネクタに接続されているかどうかを判断するステップと、(4)データ転送装置が第1のコネクタに接続されていると判断した後に、メモリからTTフィールド治療に関連するデータを取得し、シリアルデータトランシーバが単一の第1のコネクタの第2の複数のピンを介してTTフィールド治療に関連するデータを出力するように、取得されたデータをシリアルデータトランシーバにルーティングするステップとを実行させる。
【0017】
電場発生器のいくつかの実施形態において、コントローラは、シリアルデータトランシーバを介して受信されたデータを調査することによって、トランスデューサインターフェースが第1のコネクタに接続されていることを判断するようにプログラムされる。
【0018】
電場発生器のいくつかの実施形態において、コントローラは、シリアルデータトランシーバを介して受信されたデータを調査することによって、データ転送装置が第1のコネクタに接続されていることを判断するようにプログラムされる。
【0019】
電場発生器のいくつかの実施形態において、コントローラは、TTフィールド治療に関連するデータがシリアルデータトランシーバによって出力された後に、メモリからTTフィールド治療に関連するデータをクリアするようにプログラムされる。
【0020】
電場発生器のいくつかの実施形態において、メモリ内に記憶されたTTフィールド療法に関連するデータは、治療セッションの日時、第1のコネクタに接続されたトランスデューサアレイのセット内の各トランスデューサアレイによって印加される電流、測定された温度値、および動作異常のうちの1つまたは複数を含む。
【0021】
本発明の別の態様は、診断を強化したTTフィールド(腫瘍治療電場)療法システムに向けられている。システムは、電場発生器と、データ転送装置とを備える。電場発生器は、AC電圧発生器と、第1のシリアルデータトランシーバと、第1のメモリと、1)AC電圧発生器によって生成されたAC電圧を出力するための第1の複数のピンと、2)第1のシリアルデータトランシーバとの間でシリアルデータを伝達するための第2の複数のピンとを有する単一の第1のコネクタと、第1のコントローラとを含む。第1のコントローラは、命令を実行するようにプログラムされ、命令は、電場発生器に、(1)トランスデューサインターフェースが第1のコネクタに接続されているかどうかを判断するステップと、(2)トランスデューサインターフェースが第1のコネクタに接続されていると判断した後に、AC電圧が第1のコネクタの第1の複数のピンにわたって現れるようにAC電圧発生器を作動させ、TTフィールド治療に関連するデータを第1のメモリ内に記憶するステップと、(3)データ転送装置が第1のコネクタに接続されているかどうかを判断するステップと、(4)データ転送装置が第1のコネクタに接続されていると判断した後に、第1のメモリからTTフィールド治療に関連するデータを取得し、第1のシリアルデータトランシーバが単一の第1のコネクタの第2の複数のピンを介してTTフィールド治療に関連するデータを出力するように、取得されたデータを第1のシリアルデータトランシーバにルーティングするステップとを実行させる。データ転送装置は、第2のシリアルデータトランシーバと、第2のメモリと、モデムと、第1のコネクタとインターフェースするように構成された第2のコネクタと、第2のコントローラとを含む。第2のコントローラは、命令を実行するようにプログラムされ、命令は、データ転送装置に、(1)電場発生器がデータ転送装置に接続されていることを判断するステップと、(2)電場発生器がデータ転送装置に接続されたと判断した後に、第2のシリアルデータトランシーバに、電場発生器からのシリアルデータを受け入れさせ、受け入れられたデータを第2のメモリ内に記憶させるステップであって、受け入れられたデータが、TTフィールドを使用する患者の治療に関連するデータである、ステップと、(3)電場発生器からデータを受け入れた後、電場発生器がデータ転送装置から切断されたかどうかを判断するステップと、(4)電場発生器がデータ転送装置から切断されたと判断した後、第2のメモリからTTフィールドを使用する患者の治療に関連するデータを取得し、モデムに、取得されたデータを遠隔サーバに送信させるステップとを実行させる。
【0022】
システムのいくつかの実施形態において、第1のコントローラは、(a)第1のシリアルデータトランシーバを介して受信されたデータを調査することによって、トランスデューサインターフェースが第1のコネクタに接続されていることを判断し、(b)第1のシリアルデータトランシーバを介して受信されたデータを調査することによって、データ転送装置が第1のコネクタに接続されていることを判断するようにプログラムされる。
【0023】
システムのいくつかの実施形態において、第1のコントローラは、TTフィールド治療に関連するデータが第1のシリアルデータトランシーバによって出力された後、第1のメモリからTTフィールド治療に関連するデータをクリアするようにプログラムされる。
【0024】
システムのいくつかの実施形態において、第1のメモリ内に記憶されるTTフィールド療法に関連するデータは、治療セッションの日時、第1のコネクタに接続されたトランスデューサアレイのセット内の各トランスデューサアレイによって印加される電流、測定された温度値、および動作異常のうちの1つまたは複数を含む。
【0025】
システムのいくつかの実施形態において、電場発生器とデータ転送装置インターフェースとの間の接続は、第2のコネクタを第1のコネクタに直接嵌合することによって実施される。システムのいくつかの実施形態において、電場発生器とデータ転送装置インターフェースとの間の接続は、第2のコネクタと第1のコネクタとの間にケーブルを接続することによって実施される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】従来技術によるTTフィールド治療療法のためのシステムを示す概略図である。
図2A】電場発生器に接続されたトランスデューサアレイのセットを示す概略図である。
図2B】電場発生器に接続されたDTAを示す概略図である。
図3】TTフィールド治療療法関連データをアップロードするためのシステムを使用するときに患者がとるステップを示すフローチャートである。
図4A】DTAおよび電場発生器の全体的な動作を示す高レベルフローチャートである。
図4B】DTAおよび電場発生器の全体的な動作を示す高レベルフローチャートである。
図5A図2Aおよび図2Bに示すDTAおよび電場発生器の例示的な動作ロジックを示すフローチャートである。
図5B図2Aおよび図2Bに示すDTAおよび電場発生器の例示的な動作ロジックを示すフローチャートである。
図5C図2Aおよび図2Bに示すDTAおよび電場発生器の例示的な動作ロジックを示すフローチャートである。
図5D図2Aおよび図2Bに示すDTAおよび電場発生器の例示的な動作ロジックを示すフローチャートである。
図5E図2Aおよび図2Bに示すDTAおよび電場発生器の例示的な動作ロジックを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図2A図2B図3図4A図4B、および図5A図5Eは、本発明による、TTフィールド治療療法に関連して使用するための構成要素を示す。一般に、構成要素は、電場発生器40と、4つのトランスデューサアレイ10およびトランスデューサインターフェース20と、データ転送装置(DTA)42とを含む。
【0028】
図2Aおよび図2Bに示すように、電場発生器40は、コントローラ44と、図1のAC電圧発生器16と同様のAC電圧発生器46と、シリアルデータトランシーバ48、例えば、図1のRS485通信回路17と同様のRS485通信回路と、メモリ50と、電場発生器コネクタ52とを含む。コントローラ44は、図1のコントローラ18の機能の大部分を実行するようにプログラムされるが、コントローラ44は、いくつかの追加の機能も実行する。具体的には、コントローラ44は、トランスデューサインターフェース20またはDTA42のどちらが電場発生器コネクタ52に接続されているのかを判断するようにプログラムされる。図2Aに示すようにトランスデューサインターフェース20が電場発生器コネクタ52に接続されている場合、コントローラ44は、コントローラ18と同様に動作し、AC電圧発生器46を作動させることによって、TTフィールド療法を患者に送達させる。一方、図2Bに示すように、DTA42が電場発生器コネクタ52に接続されている場合、コントローラ44は、DTAが、その後、TTフィールド療法関連データを、例えば、データセンタにおける遠隔サーバに送信することができるように、電場発生器40からDTA42へのTTフィールド療法関連データの転送を制御する。
【0029】
電場発生器コネクタ52(本明細書では「第1のコネクタ」とも呼ばれる)は、電場発生器40によって生成されたAC電流がTTフィールド療法のために患者に印加され得るように、図2Aに示すように、トランスデューサインターフェース20の第2のコネクタ26を介してトランスデューサインターフェース20とインターフェースするように構成される。4本のワイヤ54は、電圧発生器46から延在し、4つのトランスデューサアレイ10の各々に提供される電流(TTフィールド信号)を運び、2本のワイヤ56は、トランスデューサインターフェース20からの温度読み取り値のシリアルデータ通信のために、シリアルデータトランシーバ48から延在する。これらのワイヤ54および56は、電場発生器コネクタ52におけるそれぞれの電気接続ピン(図示せず)において終端する。(本明細書で使用される「ピン」とう用語は、オスまたはメスの接続端子を指す場合がある。)
【0030】
図2Bに示すように、DTA42は、AC電源58と、シリアルデータトランシーバ64、例えば、RS485通信回路と、メモリ、例えば、EEPROM66とを含み、メモリは、電場発生器40(以下でさらに説明する)から受信されたTTフィールド療法を使用する患者の治療に関連するデータ、ならびにシステム設定を記憶することができる。DTA42は、ログデータのバックアップを、例えば、SDカードに記憶するために使用することができるフラッシュメモリリーダ/ライタ68も含み得る。DTA42は、少なくとも1つの通信モデム、例えば、インターネットモデム70および/またはセルラデータモデム72も含む。さらに、DTA42は、以下でさらに説明するように、DTA42の動作を制御するようにプログラムされたコントローラ74を含む。
【0031】
DTA42は、電場発生器コネクタ52とインターフェースするように構成されたDTAコネクタ76(本明細書では、第2のコネクタとも呼ばれる)を有する。2本のワイヤ78がシリアルデータトランシーバ64から延在し、それらは、DTA42がTTフィールド療法を使用する患者の治療に関連するデータを電場発生器40から受け入れるためのシリアルデータ通信経路を提供する。これらのワイヤ78は、電場発生器コネクタ52の対応するピンと嵌合するDTAコネクタ76内の電気接続ピン(図示せず)において終端する。
【0032】
TTフィールド治療療法関連データをアップロードするために図2A/図2Bに示すハードウェアを使用する一例を図3に示す。データ転送セッションは、電場発生器40がオンにされ(S80)、DTA42がオンにされる(S82)ことで開始する。電場発生器40およびDTA42は、各々、電源投入時自己診断テストS84、S86を実行し、自己診断テストが完了すると、インジケータ(例えば、LED)がユニットの各々において点灯する。その時点で、電場発生器40は、電場発生器コネクタ52をDTAコネクタ76に接続することによってDTA42に接続することができる(S88)。TTフィールド治療療法に関連する、電場発生器40内に記憶されたデータは、次いで、1)DTA42に転送され、2)電場発生器40からクリアされ、その後、各デバイス上の別のインジケータ(例えば、LED)が点灯される(S90)。電場発生器40は、次いで、DTA42から切断され得る(S92)。
【0033】
電場発生器40がDTA42から切断されると、電場発生器40は、再起動され得、トランスデューサアレイは、図2Aに示すように、トランスデューサインターフェース20の第2のコネクタ26を電場発生器コネクタ52に接続することによって、電場発生器40に接続され得る(S94)。次いで、TTフィールド療法が開始し得る(S96)。
【0034】
加えて、電場発生器40がDTA42から切断されると、電場発生器40がDTA42から切断された後にのみ、DTA42は、電場発生器40から受信されたTTフィールド療法関連データを遠隔サーバに送信することを開始する。電場発生器40がDTA42から切断されるまでTTフィールド関連データを送信しないことによって、電場発生器40の隔離、したがって、TTフィールド療法治療システム全体の隔離を維持することができる。したがって、この配置は、患者を保護する。加えて、医療デバイスとして認証されることに加えて、TTフィールド治療システムをデータ通信デバイスとして認証する必要がなくなる。
【0035】
DTA42が、受信されたすべてのTTフィールド治療関連データを遠隔サーバに送信すると、インジケータ(例えばLED)が点灯し(S98)、DTA42がオフにされ得る(S100)。
【0036】
電場発生器40およびDTA42のための適切な動作ロジックのいくつかの例を図4A図4B、および図5A図5Eに示す。(この説明が特定のステップを実行する電場発生器40またはDTA42に言及する場合、それぞれのコントローラ44または74が特定のステップを実行するようにプログラムされることを意味するものとして理解されるべきであることに留意されたい。)
【0037】
一般的なレベルにおいて、DTA42(図2Bに示す)の動作ロジックを図4Aに示す。プロセスは、DTA42が、デバイスがDTAコネクタ76を介してDTA42に接続されているかどうかを判断することで開始する(S101)。デバイスがDTA42に接続されていない場合(結果経路103)、プロセスは、トップに戻り、DTA42は、DTA42に接続されるデバイスについて監視し続ける。
【0038】
一方、デバイスがDTA42に接続されている場合、フローは、ステップS105に進み、そこで、DTA42は接続されたデバイスが電場発生器40であるかどうかを判断する。接続されたデバイスが電場発生器40ではない場合(結果経路107)、エラーメッセージが送信され(S270)、プロセスは終了する。そうでなければ、DTA42は、電場発生器40からのTTフィールド療法関連データを要求し(S109)、次いで、データを受け入れ、オンボードメモリ66に記憶する(S111)。DTA42が電場発生器40からデータを受信するたびに、DTA42は、転送されるべきデータがそれ以上あるかどうかについて問い合わせる(S113)。DTA42に転送されるべきデータが電場発生器40内に残っている限り(結果経路115)、DTA42は、電場発生器40からのデータを受け入れ、記憶し続ける。
【0039】
すべてのデータが電場発生器40からDTA42に転送されると(結果経路117)、DTA42は、電場発生器40がDTA42から切断されたかどうかを判断する(S119)。電場発生器40がDTA42から切断されていない場合(結果経路121)、電場発生器を切断するようにユーザに促す(S123)。一方、電場発生器40がDTA42から切断されると(結果経路125)、DTA42は、電場発生器40から受信されたデータを遠隔サーバにアップロードする(S127)。
【0040】
電場発生器40(図2Aおよび図2Bに示す)のための動作ロジックを図4Bに一般的なレベルで示す。プロセスは、電場発生器40が、デバイスが電場発生器コネクタ52を介して電場発生器40に接続されているかどうかを判断することで開始する(S131)。オンにされると、電場発生器は、電場発生器コネクタ52を介して、1秒に1回、通信要求を送ることを開始する。したがって、電場発生器40に接続されたデバイスがない場合(結果経路133)、電場発生器の通信要求に対する応答はなく、電場発生器40は、デバイスが実際に電場発生器40に接続されるまで待機し続ける。一方、デバイスが電場発生器40に接続されている場合(結果経路135)、電場発生器40は、ステップS137において、接続されたデバイスが(図2Aに示すように、トランスデューサインターフェース20を介して電場発生器40に接続された)トランスデューサアレイ10のセットまたは(図2Bに示すように)DTA42のどちらであるかを判断する。これは、例えば、電場発生器に接続されているいずれかのデバイスから受信されたデバイス識別データを調査することによって達成され得る。
【0041】
接続されたデバイスがトランスデューサアレイ10である場合(結果経路139)、電場発生器40は、TTフィールド療法を患者に提供するために、AC電圧をトランスデューサアレイ10に提供し(S141)、そうする際にTTフィールド療法関連データをそのメモリ50内に記憶する。一方、接続されたデバイスがDTA42である場合(結果経路143)、電場発生器40は、そのメモリ50から記憶されたTTフィールド療法関連データを取得し、取得されたデータを、その後にDTA42によって遠隔サーバにアップロードするためにDTA42に転送する(S145)。
【0042】
図5A図5Eは、電場発生器40がDTA42に接続されているときに電場発生器40とDTA42との間で、および電場発生器40がDTA42に接続されていないときにDTA42と遠隔サーバとの間で、データがどのように流れることができるかの一例をより詳細に示す。しかしながら、多種多様な代替の手法が使用され得ることに留意されたい。電源投入時自己診断テストが電場発生器40およびDTA42の各々について完了すると(それぞれ、S84、S86)、動作が開始する。電場発生器40における電源投入時自己診断テストが完了すると、電場発生器40は、通信するための着信要求を「リッスン」することを開始する(S108)。
【0043】
一方、DTA42における電源投入時自己診断テストが完了すると、DTAは、DTA42内(例えば、EEPROM66内、および/またはフラッシュメモリリーダ/ライタ68に挿入されたSDにカード内)に、電場発生器40からのTTフィールド療法関連データの完全なセットを受信および記憶するために十分な利用可能なメモリが存在するかどうかを判断するためにチェックする(S110)。十分なメモリがDTA42において利用可能ではない場合(すなわち、結果経路112)、ルーチンは、DTA42と電場発生器40との間のデータ通信接続を確立することなく、インターネット接続が開かれるプロセスの遠隔通信部分(図5DのS196)に進む。一方、実際に、電場発生器40からのTTフィールド療法関連データの完全なセットを受信し記憶するのに十分なメモリがDTA42において利用可能である場合(すなわち、結果経路114)、DTA42内のシリアルデータトランシーバ64がオンにされる(S116)。
【0044】
プロセスのこの時点で、DTA42は、別のデバイスがDTA42に接続されているかどうかと、そうである場合、他のデバイスが電場発生器40であると認識されているかどうかとを評価することを開始する(S118)。この評価を行うための1つの適切な手法は、DTA42が、(a)DTA42への別のデバイスの物理的接続時に作動するスイッチと、(b)電場発生器がオンにされていることを検出するように構成されたセンサとを使用することである。スイッチおよびセンサが、電場発生器40がDTA42に接続されたことを示すと、DTA42は、電場発生器40からの接続要求をリッスンし始める。
【0045】
接続されたデバイスが電場発生器40であると認識されない場合(結果経路120)、DTA42は、所定のタイムアウト期間に達するまで、接続されたデバイスを認識することを試み続ける。タイムアウト期間に達した場合(すなわち、結果経路122)、エラーメッセージが表示され(S124)、プロセスは、終了する。一方、接続されたデバイスが電場発生器40であると判断された場合(結果経路126)、DTA42は、接続要求を電場発生器40に送ることによって、DTA42と電場発生器40との間、すなわち、DTA42内のシリアルデータトランシーバ64と電場発生器40内のシリアルデータトランシーバ48との間にデータ伝送接続を確立することを試みる(S128)。
【0046】
電場発生器40が別のデバイスからの接続要求を受信すると(S130)、電場発生器40は、例えば、受信されたデータから、どのデバイスが接続されているかを判断する(S132)。接続されたデバイスが、トランスデューサインターフェース20によって電場発生器40に接続されたトランスデューサアレイのセットである場合(結果経路134)、電場発生器40は、TTフィールド療法が開始されるのを待機する(S136)。患者が、例えば、電場発生器40の開始ボタンを押下することによって、TTフィールド療法(図5Aには示さず)を開始すると、電場発生器40は、図2Aに関連して上述したように、TTフィールド療法を提供するために、AC電圧をトランスデューサアレイ10に出力する。一方、DTA42が接続されている場合(結果経路138)、電場発生器40は、データ転送接続を完了するために、DTA42に接続することを試みることによって接続要求に応答する(S140)。
【0047】
電場発生器40は、DTA42が接続要求を送ったときに開始した所定のタイムアウト期間に達するまで、DTA42に接続することを試み続ける(S128)。タイムアウト期間に達した場合(すなわち、結果経路142)、エラーメッセージが表示され(S124)、プロセスは、終了する。
【0048】
一方、タイムアウト期間が満了する前に電場発生器40がデータ転送接続を正常に完了した場合(結果経路146)、DTA42は、電場発生器40から、すなわちメモリ50から、DTA42自体のメモリへの、すなわちEEPROM66へのTTフィールド療法関連データの転送を開始する(S148)。そうするために、DTA42は、DTA42に送信されていないTTフィールド療法関連データがメモリ50内に残っているかどうかを判断するために、電場発生器40にクエリを送る(S150)。送信されていないTTフィールド療法関連データがメモリ50内に存在する場合(結果経路152)、DTA42は、電場発生器40がTTフィールド療法関連データをDTA42に送るための要求を電場発生器40に送り(S154)、電場発生器40は、TTフィールド療法関連データをDTA42に送信することによって応答する(S156)。
【0049】
DTA42は、入ってくるTTフィールド療法関連データを処理し(S158)、それをEEPROM66にコピーし(S160)、次いで、データを検証する(S162)。データが有効でない場合(結果経路164)、エラーが示され(S166)、プロセスは、終了する。そうでなければ、データが有効である場合(結果経路168)、プロセスは、送信されていないTTフィールド療法関連データがメモリ50内に残っているかどうかをもう一度チェックするために戻る(S150)。
【0050】
メモリ50内に残っている送信されていないTTフィールド療法関連データがなくなると(結果経路170、図5C図5D)、DTAは、データをEEPROM66内に記憶する(S172)。加えて、フラッシュメモリリーダ/ライタ68が存在する場合、検証されたTTフィールド療法関連データは、リーダ/ライタ68内に存在するリムーバブルメディア内に記憶される(S174)。
【0051】
次に、DTA42は、データクリア処理を開始し(S176)、TTフィールド療法関連データのメモリ50をクリアするように電場発生器40に指示するコマンドを電場発生器40に送る(S178)。このコマンドに応答して、電場発生器40は、TTフィールド療法関連データのメモリ50をクリアし(S180)、クリアステップの完了時に、(電場発生器40が)そうしたことを示す確認メッセージをDTA42に送り返す(S182)。
【0052】
確認メッセージの受信時に、DTA42は、電場発生器40との通信を閉じるために、そのシリアルデータトランシーバ64をオフにする(S184)。DTA42は、次いで、(例えば、別のデバイスのDTAへの物理的接続時に作動するスイッチを使用して)電場発生器40がDTAから切断されたかどうかを判断するためにチェックする(S186)。DTA42は、電場発生器40がDTA42に接続されたままである限り(結果経路188)、DTA42がデータクリア確認メッセージを受信してそのシリアルデータトランシーバ64をオフにしたときに開始されたタイムアウト期間が満了するまで、電場発生器40がDTA42から切断されたかどうかをチェックし続ける。
【0053】
タイムアウト期間が満了した場合(結果経路190)、DTAは、例えば、LEDを点灯するか、または電場発生器40をDTA42から切断するように患者に指示するメッセージを表示することによって、エラーを示し(S192)、以前に受け入れられたデータを送信することなく処理をすべて終了する。一方、電場発生器40がDTA42から切断されると(結果経路194)、DTAは、電場発生器40から受信されたTTフィールド療法関連データを遠隔データセンタサーバに送信することを開始する。DTAが電場発生器40に接続されたままである間、DTA42は、サーバとの通信セッションを決して開始しないことが留意されるべきである。
【0054】
DTA42が電場発生器40から切断された後、DTA42は、DTA42が有するモデムのタイプに応じて、オンボードインターネットモデム70またはセルラデータモデム72のいずれかのための通信セッションを開く(S196)。(DTA42がインターネットモデムとセルラデータモデムの両方を有する場合、DTA42は、患者が、どちらのデータ通信のモードが利用されるかについて選択することを可能にするように構成され得る。)次いで、接続要求をデータセンタにおけるサーバに送ること(S200)によって、データアップロードプロセスが開始される(S198)。
【0055】
接続要求の受信時に、サーバは、それを認証することを試みる(S202)。接続要求が認証されない場合(結果経路204)、接続は、拒否され(S206)、エラーメッセージがDTA42において表示される。一方、接続要求が認証された場合(結果経路208)、遠隔サーバは、接続要求を受け入れるメッセージをDTA42に送る(S210)。
【0056】
DTA42が、接続要求が受け入れられたことを示すメッセージを受信すると、DTA42は、データセンタにまだアップロードされていないTTフィールド療法関連データがそのメモリ66内にあるかどうかをチェックする(S212)。アップロードされるべきデータが残っていない場合(結果経路214)、通信接続は、閉じられ(S216)、DTAのメモリ66内に記憶されたTTフィールド療法関連データは、クリアされる(S218)。プロセスは、次いで、DTAのシリアルデータトランシーバ64がオンに戻されること(S116)に戻り(経路220、図5E図5B)、この時点で、DTA42は、DTA42に接続されているデバイスについてチェックすることを再び開始する。一方、実際に、アップロードされるべきデータがDTAのメモリ66内に残っている場合(結果経路224)、DTA42は、データパケットを遠隔サーバに送信する(S226)。
【0057】
データパケットの受信時に、遠隔サーバは、入ってくるデータパケットを検証する(S228)。入ってくるデータパケットが有効でない場合(結果経路230)、遠隔サーバは、エラーメッセージをDTA42に送り(S232)、DTAは、通信エラーインジケータを表示する(S234)。一方、入ってくるデータパケットが実際に有効である場合(結果経路236)、遠隔サーバは、所与のデータ単位の送信における最後のパケットかどうかを確認するために、パケットを調査する(S238)。受信されたパケットが最後のパケットではない場合(結果経路240)、遠隔サーバは、データパケットの受信を確認するメッセージをDTA42に送り(S242)、DTA42は、送信されていないデータがそのメモリ66内に残っているかどうかを確認するために再度チェックする(S212)。未送信のデータが残っている限り(結果経路224)、DTA42は、データパケットを遠隔サーバに送り続ける。
【0058】
受信されたパケットが所与のデータ単位の送信における最後のパケットである場合(結果経路246)、遠隔サーバは、パケットを組み立てることによってデータを完成させ(S248)、次いで、組み立てられたデータを検証することを試みる(S250)。組み立てられたデータが有効でない場合(結果経路252)、遠隔サーバは、エラーメッセージをDTA42に送り(S232)、DTA42は、通信エラーインジケータを表示する(S234)。一方、組み立てられたデータが実際に有効である場合(結果経路258)、データは、遠隔サーバにおけるデータベースに追加される(S260)。遠隔サーバは、次いで、データパケットの受信を確認するメッセージをDTA42に送り(S242)、DTA42は、送信されていないデータがそのメモリ66内に残っているかどうかを確認するためにもう一度チェックする(S212)。
【0059】
このプロセスは、DTA42のメモリ66内に残っている送信されていないデータがなくなる(結果経路214)まで繰り返される。この時点に達すると、遠隔サーバへのデータ伝送接続は、閉じられ(S216)、TTフィールド療法関連データは、DTA42のメモリ66からクリアされる(S218)。プロセスは、次いで、DTAのシリアルデータトランシーバ64がオンにされ、DTA42がDTA42に接続されているデバイスについてチェックすることに戻る(経路220、図5Eから図5Bに戻る)。
【0060】
本発明は、特定の実施形態を参照して開示されているが、添付の特許請求の範囲において定義されているように、本発明の領域および範囲から逸脱することなく、説明されている実施形態に対する多数の修正、改変、および変更が可能である。したがって、本発明は、説明されている実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の文言およびその均等物によって定義される全範囲を有することが意図されている。
【符号の説明】
【0061】
10 トランスデューサアレイ
12 10線ケーブル
20 トランスデューサインターフェース
26 第2のコネクタ
40 電場発生器
44 コントローラ
46 AC電圧発生器
48 シリアルデータトランシーバ
50 メモリ
52 電場発生器コネクタ
54 ワイヤ
56 ワイヤ
58 AC電源
64 シリアルデータトランシーバ
66 EEPROM、メモリ
68 フラッシュメモリリーダ/ライタ、リーダ/ライタ
70 インターネットモデム、オンボードインターネットモデム
72 セルラデータモデム
74 コントローラ
76 DTAコネクタ
78 ワイヤ
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E