(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】印刷方法
(51)【国際特許分類】
B41F 15/12 20060101AFI20230327BHJP
H05K 3/34 20060101ALN20230327BHJP
【FI】
B41F15/12 A
H05K3/34 505Z
(21)【出願番号】P 2022025757
(22)【出願日】2022-02-22
(62)【分割の表示】P 2020520982の分割
【原出願日】2018-05-25
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横井 良宗
【審査官】井出 元晴
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-125173(JP,A)
【文献】特開2004-066756(JP,A)
【文献】特開平09-156079(JP,A)
【文献】特開平08-039786(JP,A)
【文献】特開平06-071847(JP,A)
【文献】特開2011-056761(JP,A)
【文献】特開2010-147289(JP,A)
【文献】特開2010-076226(JP,A)
【文献】特開2004-001547(JP,A)
【文献】特開2000-071417(JP,A)
【文献】特開2013-099952(JP,A)
【文献】特開2010-247441(JP,A)
【文献】特開2002-187250(JP,A)
【文献】特開平05-092552(JP,A)
【文献】中国実用新案第207190499(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/12
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンマスクを固定保持するマスク作業部を備え、前記スクリーンマスクを含む交換対象物を用いて印刷対象に対して粘性流体の印刷処理を行う印刷装置による印刷方法であって、
無人搬送車により搬送された前記交換対象物の搬入を指令する工程と、
前記無人搬送車が前記交換対象物を保管する保管庫から搬送した前記交換対象物を、前記マスク作業部の高さまで昇降させる工程と、
前記マスク作業部の高さまで昇降させられた前記交換対象物を、前記印刷装置へ水平に移動させる工程と
、を含
み、
前記無人搬送車により搬送された前記交換対象物の搬入を指令する工程は、前記無人搬送車から、前記印刷装置との間で前記交換対象物を搬入する収納装置への、前記交換対象物の搬入を指令する工程である、印刷方法。
【請求項2】
前記無人搬送車から前記収納装置へ搬入された前記交換対象物を、前記印刷装置へ搬入する工程を含む、請求項
1に記載の印刷方法。
【請求項3】
前記無人搬送車により搬送された前記交換対象物の搬入を指令する工程の後に、前記収納装置に設けられた搬入口を開放する工程を含む、請求項
1又は
2に記載の印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、収納装置及び印刷システムを開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、基板などの印刷対象に対してスクリーンマスクを用いて粘性流体の印刷処理を行う印刷装置において、スクリーンマスクの自動交換を行うものが知られている。例えば、特許文献1には、下方に突出したロッドと、ロッドを移動させることによりスクリーンマスクを摺動させて本体フレームへの出し入れを行う摺動子と、を備えた印刷装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した印刷装置には、スクリーンマスクを載置する収納棚が複数設けられているが、それぞれの収納棚にスクリーンマスクを出し入れするベルトコンベアを備えており、構成が煩雑であった。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、印刷装置に用いられる交換対象物を搬出入してストックするに際して構成をより簡略化することができる収納装置及び印刷システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する収納装置及び印刷システムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の収納装置は、
スクリーンマスクを含む交換対象物を用いて印刷対象に対して粘性流体の印刷処理を行う印刷部を備えた印刷装置に用いられる収納装置であって、
前記交換対象物を前記印刷部との間で搬出入する受渡し段があり、前記交換対象物を載置する載置部を複数収容し該交換対象物を収納する収納部と、
前記載置部のいずれかを前記受渡し段に移動させる載置部移動部と、
前記受渡し段に配設され、前記載置部を通過させる待避位置と前記載置部上の前記交換対象物に当接する当接位置との間で移動し前記当接位置で前記交換対象物に当接して該交換対象物を搬出入方向に移動させる対象物移動部と、
を備えたものである。
【0008】
この収納装置では、対象物移動部は、交換対象物を印刷部との間で搬出入する受渡し段に配設されており、待避位置に待避して載置部のいずれかを受渡し段に移動し、当接位置に移動して交換対象物に当接してこの交換対象物を搬出入方向に移動させる。このように、この収納装置では、載置部の全てに対象物移動部を設ける必要がないため、印刷装置に用いられる交換対象物を搬出入してストックするに際して構成をより簡略化することができる。ここで、「交換対象物」には、例えば、スクリーンマスクのほか、粘性流体を収容するカートリッジ、スキージ、スクリーンマスクの清掃に用いられる清掃部材及び印刷対象を固定する支持部材などが挙げられる。「印刷対象」としては、例えば、部品を実装する基板や立体物などが挙げられる。また、「粘性流体」としては、はんだペーストや導電性ペースト、接着剤などが挙げられる。この収納装置において、前記対象物移動部は、前記受渡し段にのみ配設されているものとしてもよい。また、「受渡し段」は、1段のみであってもよいし、複数段あってもよいが、1段である方が構成をより簡略化できるため好ましい。この収納装置では、最も構成を簡略化することができる。また、この収納装置において、前記載置部移動部は前記載置部を垂直方向に移動させ、前記対象物移動部は前記交換対象物を前記搬出入方向としての水平方向に移動させるものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】印刷装置11を含む実装システム10の一例を表す概略説明図。
【
図2】収納装置40及び印刷装置11の概略説明図。
【
図4】実装システム10の電気的な接続関係を示すブロック図。
【
図5】スクリーンマスクMを収納装置40へ搬入処理する説明図。
【
図6】スクリーンマスクMを印刷装置11へ送出処理する説明図。
【
図7】スクリーンマスクMを印刷装置11から搬出処理する説明図。
【
図8】別の対象物移動部44Bの一例を表す説明図。
【
図9】別の対象物移動部44Cの一例を表す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。
図1は、本開示の一例である印刷装置11を含む実装システム10の一例を表す概略説明図である。
図2は、収納装置40及び印刷装置11の概略説明図である。
図3は、対象物移動部44及び載置部50の説明図であり、
図3Aが平面図、
図3Bが正面図である。
図4は、実装システム10の電気的な接続関係を示すブロック図である。実装システム10は、例えば部品を基板Sに実装するシステムである。この実装システム10は、印刷装置11及び収納装置40を有する印刷システム12と、実装装置13と、無人搬送車14と、管理コンピュータ(PC)18と、収納装置40とを備えている。実装システム10は、印刷装置11の下流側に部品を基板Sに実装する複数の実装装置13が配置された実装ラインとして構成されている。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、
図1~3、
図5~10に示した通りとする。
【0011】
実装装置13は、印刷装置11によりはんだペーストなどの粘性流体が印刷された基板Sに部品を装着する装置である。無人搬送車14は、実装処理に関する部材を保管する保管庫と実装ラインとの間で移動し、例えばスクリーンマスクMなどの部材を自動搬送する。印刷装置11には、収納装置40が接続されており、無人搬送車14は、搬送した部材を一旦、収納装置40に収納させる。管理PC18は、実装システム10の各装置の情報を管理する装置である。この管理PC18は、実装ラインの各装置の進捗状況や、無人搬送車14の搬送している部材や現在位置などを管理している。実装システム10の各装置は、管理PC18と情報をやりとりし、他の装置の進捗状況などを情報を取得する。
【0012】
印刷装置11は、
図1~4に示すように、スキージ25を用いてスクリーンマスクM上のはんだをスクリーンマスクMに形成されたパターン孔に押し込むことによりそのパターン孔を介して下方の印刷対象としての基板Sに、粘性流体としてのはんだを塗布(印刷)する装置である。「印刷対象」としては、例えば、部品を実装する基板Sや立体物などが挙げられる。「粘性流体」としては、はんだペーストや導電性ペースト、接着剤などが挙げられる。ここでは、基板Sとはんだを一例として以下説明する。印刷装置11は、制御部21(
図4参照)と、印刷部22と、マスク作業部26と、基板処理部30と、清掃部32と、供給部34とを備えている。制御部21は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、印刷装置11の全体を制御する。
【0013】
印刷部22は、印刷装置11の上段に配設されており、スクリーンマスクMを用いて粘性流体を基板S上に印刷処理するユニットである。印刷部22は、
図1、4に示すように、印刷ヘッド23と、印刷移動部24と、スキージ昇降部と、スキージ25とを備えている。印刷移動部24は、印刷ヘッド23を所定の印刷方向(ここでは前後方向)に移動するものであり、前後方向に形成されたガイドとガイドに沿って移動するスライダとスライダを駆動するモータとを備えている。スキージ25は、印刷ヘッド23の下面側に配設され、スキージ昇降部により昇降される。印刷部22は、前後方向にそれぞれ用いられる2つのスキージ25を有している。マスク作業部26は、
図2に示すように上下方向で印刷部22と基板処理部30との間に配設されており、スクリーンマスクMを固定保持するユニットである。マスク作業部26は、
図4に示すように、マスク移動部27と、マスク固定部28とを備えている。マスク移動部27は、印刷ヘッド23に設けられた搬送ロッドであり、図示しないエアシリンダによりスクリーンマスクMに当接する位置に降下される。マスク固定部28は、スクリーンマスクMを位置決めして水平な姿勢で支持固定する。スクリーンマスクMは、マスク移動部27に押されマスク作業部26のガイドに沿って前後に移動され、マスク固定部28により固定される。基板処理部30は、
図2に示すように、マスク作業部26の下方に配設され、基板Sを搬入し、搬入した基板Sを位置決めして支持し、スクリーンマスクMに接触,離間させるユニットである。基板処理部30は、基板Sを左右方向に搬送する基板搬送部31と、基板Sを下方から支持する基板支持部材と、基板処理部30全体や基板支持部材を昇降させる基板昇降部とを備える。清掃部32は、
図2に示すように、上下方向でマスク作業部26と基板処理部30との間に配設されており、スクリーンマスクMの裏面を清掃する清掃処理を行うユニットである。清掃部32は、清掃部材33を有しており、この清掃部材33でスクリーンマスクMを清掃する。供給部34は、カートリッジ35に収容されたはんだをスクリーンマスクM上に供給するユニットである。供給部34は、印刷ヘッド23の前方に配設されている。供給部34は、カートリッジ35に圧力を加えてカートリッジ35からはんだを吐出させる。清掃部材33やカートリッジ35は消耗品であり、必要に応じて交換される。
【0014】
収納装置40は、印刷装置11の前方に配設されている。収納装置40は、スクリーンマスクMなどを含む印刷装置11で用いられる交換対象物を収納し、印刷装置11や無人搬送車14との間で交換対象物の搬入搬出を行うものである。ここで、「交換対象物」には、例えば、スクリーンマスクMのほか、粘性流体を収容するカートリッジ35、スキージ25、スクリーンマスクMの清掃に用いられる清掃部材33及び印刷対象を固定する支持部材(基板支持部材)などが挙げられる。ここでは、スクリーンマスクMを主として説明する。
【0015】
この収納装置40は、制御部41と、収納部42と、載置部移動部43と、対象物移動部44と、搬出入部47と、載置部50と、扉部53とを備えている。載置部50は、スクリーンマスクMを載置する棚である。載置部50は、
図3に示すように、支持ローラ51と、プレート52とを有している。支持ローラ51は、駆動部が接続されずにスクリーンマスクMを支持するものであり、側壁に回転可能に支持された支持軸の端部寄りの2カ所に配設されている。この載置部50には、複数箇所(6箇所)に支持ローラ51が配設されている。支持ローラ51は、スクリーンマスクMの端部領域E(枠部分)を少なくとも支持するように、スクリーンマスクMの印刷領域以外の領域に設けられている(
図3B参照)。プレート52は、支持ローラ51上に載置されたスクリーンマスクMの印刷領域の下方に配設される板状部材である。このプレート52は、載置部50の筐体から取り外し可能に固定されている。収納装置40では、この載置部50が複数(例えば5つ)収納部42の中に収容されている。
【0016】
制御部41は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各駆動部(モータやエアシリンダ)の駆動など、収納装置40の全体を制御する。収納部42は、収納装置40の筐体内部に形成されており、スクリーンマスクMを印刷部22との間で搬出入する受渡し段58があり、載置部50を複数収容し、スクリーンマスクMを収納するものである。この収納部42には、印刷装置11側の受渡し段58にスクリーンマスクMなどが通過する開口部16が形成されている。また、収納部42には、無人搬送車14側の受渡し段58にスクリーンマスクMなどが通過する搬出入口17が形成されている(
図1,2参照)。載置部移動部43は、載置部50のいずれかを受渡し段58に移動させる処理を行う。この載置部移動部43は、
図2に示すように、所定間隔で載置部50を支持する支持部を複数有し、上下方向に形成された直動駆動部により載置部50を垂直方向(Z軸方向)に昇降させる。
【0017】
対象物移動部44は、スクリーンマスクMに当接してこれを搬出入方向(Y軸方向,前後方向)へ移動させるユニットである。対象物移動部44は、
図3に示すように、受渡し段58に配設され、載置部50を通過させる待避位置(図中点線)と載置部50上のスクリーンマスクMに当接する当接位置(図中実線)との間で移動する。なお、
図3では、左側の当接位置での対象物移動部44を省略した。対象物移動部44は、載置部50が昇降する際には、載置部50との接触を避けるために待避位置へ移動する。この対象物移動部44は、挟持部材45と、搬送ローラ46と、従動ローラと、待避駆動部56と、搬送駆動部57とを備えている。対象物移動部44は、挟持部材45及び搬送ローラ46を左右に少なくとも1対有している。この対象物移動部44は、受渡し段58に一対のみ配設されている。挟持部材45は、待避位置と当接位置との間で移動しスクリーンマスクMの端部を挟み込むための部材である。挟持部材45は、スクリーンマスクMの側面側に配設されている。この挟持部材45は、搬送ローラ46及び従動ローラとの間に掛け渡されこの搬送ローラ46により駆動されスクリーンマスクMに直接当接するベルトである。即ち、対象物移動部44は、左右一対のベルトコンベアとして構成されている。ベルトがスクリーンマスクMに当接する当接面は、垂直方向に沿って配設されている。このベルトは、スクリーンマスクMの外周にある枠体の側面に当接する。搬送ローラ46は、挟持部材45と共に退避位置及び当接位置の間で移動し、挟持部材45を送ることによりスクリーンマスクMを搬出入方向に移動させる。なお、図では省略したが、搬送ローラ46と従動ローラとの間に挟持部材45を支持する支持ローラを1以上有してもよい。待避駆動部56は、待避位置と当接位置との間で挟持部材45及び搬送ローラ46を移動させる。待避駆動部56は、搬送ローラ46の中心軸に接続され、この中心軸を介して挟持部材45を搬出入方向に直交する水平方向(X軸方向)に移動する。待避駆動部56は、収納装置40の筐体に固定されており、挟持部材45や搬送ローラ46を下方に吊り下げるように支持する(
図2,
図3B参照)。待避駆動部56は、エアシリンダとしてもよいし、リニアモータとしてもよい。搬送駆動部57は、搬送ローラ46を回転駆動するモータであり、搬送ローラ46の上方に配設されている。待避駆動部56や搬送駆動部57は、載置部50の昇降の妨げにならないよう載置部50の昇降領域から外れた位置に固定されている(
図3A参照)。
【0018】
搬出入部47は、無人搬送車14との間でスクリーンマスクMなどの交換対象物を搬出入するユニットである。搬出入部47は、
図2に示すように、収納部42に収納されて受渡し段58に配設されている。この搬出入部47は、収納部42から外部に突出することによって、スクリーンマスクMを収納部42へ引き入れるかスクリーンマスクMを収納部42から送り出すかの処理を行う。無人搬送車14は、スクリーンマスクMを外部に送り出す装置を備えていないことがある。収納装置40では、外部に突出する搬出入部47によって、無人搬送車14との間でスクリーンマスクMをやりとりする。搬出入部47は、把持部材48と、搬出入ローラ49と、移動駆動部と、回動駆動部とを備えている。把持部材48は、収納装置40の外部に配置された交換対象物の端部を把持するための部材である。搬出入ローラ49は、把持部材48と共に移動しスクリーンマスクMに直接当接して搬出入方向に移動させるものである。搬出入ローラ49は、把持部材48の先端側に配設されている。移動駆動部は、搬出入ローラ49を回転駆動するモータであり、搬出入ローラ49と共に把持部材48の先端に配設されている。回動駆動部は、把持部材48を把持位置と解除位置との間で回動させるロータリーアクチュエータである。この回動駆動部は、把持部材48の回動軸に接続されている。この搬出入部47は、把持部材48、搬出入ローラ49、移動駆動部及び回動駆動部を少なくとも1対有し、スクリーンマスクMの側面を両側から把持して移動させる。把持部材48や回動駆動部は、対象物移動部44との干渉を避けるため、受渡し段58の下方側から支持固定されている。
【0019】
扉部53は、スクリーンマスクMの外部への移動を規制するシャッタユニットである。扉部53は、開口部16の近傍(
図1参照)及び搬出入口17の近傍の2箇所に配設されている。なお、ここでは、搬出入口17に配設された扉部53の図示を省略した。扉部53は、
図1、4に示すように、遮蔽板54と、開閉駆動部55とを有している。遮蔽板54は、受渡し段58のスクリーンマスクMの搬出入方向への移動を規制する規制位置(
図1の実線)とスクリーンマスクMの搬出入方向への移動を可能とする開放位置(
図1の点線)との間で移動する。この扉部53の遮蔽板54は、スクリーンマスクMの移動する搬出入方向に直交する方向(上下方向)に移動する。開閉駆動部55は、遮蔽板54を規制位置と開放位置との間で移動させるアクチュエータである。載置部50は、自由に回転する支持ローラ51を有し、スクリーンマスクMの移動を円滑にしている。扉部53は、スクリーンマスクMの搬出入時以外は規制位置に固定され、意図しないスクリーンマスクMの外部への移動を規制する。
【0020】
次に、こうして構成された収納装置40の動作について説明する。まず、無人搬送車14から収納装置40へ交換対象物としてのスクリーンマスクMを搬入する処理について説明する。
図5は、スクリーンマスクMを収納装置40へ搬入処理する説明図であり、
図5Aが搬出入部47が解除位置にある図、
図5Bが搬出入部47がスクリーンマスクMを把持した図、
図5CがスクリーンマスクMの搬入の図である。無人搬送車14は、受渡し段58の高さにスクリーンマスクMを載置しているものとする。まず、制御部41は、無人搬送車14により搬送されたスクリーンマスクMの搬入指令を管理PC18から受ける。制御部41は、扉部53の遮蔽板54を開放位置に移動させて搬出入口17を開放すると共に、搬出入部47を解除位置に固定する(
図5A)。無人搬送車14が収納装置40の前に停止する。次に、制御部41は、回動駆動部を駆動させ、把持部材48を回動して把持位置に移動させ、把持部材48によりスクリーンマスクMを把持させる(
図5B)。続いて、制御部41は、移動駆動部を駆動させ、スクリーンマスクMの側面に当接した搬出入ローラ49を回転させて、スクリーンマスクMを搬出入方向へ移動させる(
図5C)。スクリーンマスクMが収納部42の内部に入ると、制御部41は、待避駆動部56により挟持部材45をスクリーンマスクMの側面に当接させ、搬送駆動部57により搬送ローラ46を駆動してスクリーンマスクMを載置部50の中心領域まで移動させる。そして、制御部41は、扉部53の遮蔽板54を規制位置に移動させ、スクリーンマスクMの外部への移動を規制する。このように、収納装置40は、搬出入部47を利用してスクリーンマスクMを収納部42に収納することができる。
【0021】
次に、収納装置40から印刷装置11へスクリーンマスクMを搬出する処理について説明する。
図6は、スクリーンマスクMを印刷装置11へ送出処理する説明図であり、
図6Aが準備状態の図、
図6Bが対象物移動部44による移動図、
図6Cがマスク移動部27による搬入図である。載置部50の受渡し段58とマスク作業部26とは同じ高さであり、スクリーンマスクMは、水平に移動される。まず、制御部41と制御部21とは、スクリーンマスクMの印刷装置11への搬入指令を管理PC18から受ける。制御部41は、扉部53の遮蔽板54を開放位置に移動させて開口部16を開放する。また、制御部41は、待避駆動部56により挟持部材45を当接位置へ移動し、スクリーンマスクMの側面を挟持部材45で挟持させる(
図6A)。次に、制御部41は、搬送駆動部57を駆動させ、搬送ローラ46を回転駆動して挟持部材45によりスクリーンマスクMを搬出入方向に移動させる(
図6B)。制御部21は、マスク移動部27がスクリーンマスクMを移動可能な位置へ印刷ヘッド23を移動させる。また、制御部21は、マスク移動部27の搬送ロッドを下降させる。続いて、制御部41は、スクリーンマスクMが収納部42の外部に搬出されると、待避駆動部56により挟持部材45を待避位置へ移動させ、開閉駆動部55により遮蔽板54を規制位置へ移動させる。また、制御部21は、マスク移動部27の搬送ロッドをスクリーンマスクMの枠体に当接させ、印刷ヘッド23と共にスクリーンマスクMを移動させる(
図6C)。このように、収納装置40は、対象物移動部44を利用してスクリーンマスクMを印刷装置11へ送り出すことができる。
【0022】
次に、印刷装置11から収納装置40へスクリーンマスクMを搬出する処理について説明する。
図7は、スクリーンマスクMを印刷装置11から搬出処理する説明図であり、
図7Aが準備状態の図、
図7Bがマスク移動部27による移動図、
図7Cが対象物移動部44による搬入図である。まず、制御部41と制御部21とは、スクリーンマスクMの収納装置40への搬出指令を管理PC18から受ける。制御部41は、扉部53の遮蔽板54を開放位置に移動させて開口部16を開放する(
図7A)。また、制御部21は、スクリーンマスクMを移動する位置に印刷ヘッド23を移動させ、搬送ロッドを下降してスクリーンマスクMの枠体に当接させる。続いて、制御部21は、スクリーンマスクMの枠体を押すように印刷ヘッド23を移動させ、スクリーンマスクMを搬出入方向へ移動させる(
図7B)。次に、制御部41は、待避駆動部56により挟持部材45を当接位置へ移動し、スクリーンマスクMの側面を挟持部材45で挟持させる。次に、制御部41は、搬送駆動部57を駆動させ、搬送ローラ46を回転駆動して挟持部材45によりスクリーンマスクMを搬出入方向に移動させる。続いて、制御部41は、スクリーンマスクMが収納部42の内部に収容されると、待避駆動部56により挟持部材45を待避位置へ移動させ、開閉駆動部55により遮蔽板54を規制位置へ移動させる。また、制御部41は、載置部移動部43により、使用後のスクリーンマスクMを載置した載置部50を受渡し段58とは異なる段へ移動してもよい(
図7C)。このように、収納装置40は、対象物移動部44を利用してスクリーンマスクMを回収することができる。
【0023】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の収納部42が収納部に相当し、載置部移動部43が載置部移動部に相当し、対象物移動部44が対象物移動部に相当し、搬出入部47が搬出入部に相当し、扉部53が扉部に相当する。
【0024】
以上説明した本実施形態の収納装置40では、対象物移動部44が、交換対象物としてのスクリーンマスクMを印刷部22との間で搬出入する受渡し段58に配設されており、待避位置に待避して載置部50のいずれかを受渡し段58に移動し、当接位置に移動して交換対象物に当接してこれを搬出入方向に移動させる。このように、この収納装置40では、載置部50の全てに対象物移動部44を設ける必要がないため、印刷装置11に用いられる交換対象物を搬出入してストックするに際して構成をより簡略化することができる。また、対象物移動部44は、待避位置と当接位置との間で移動し交換対象物の端部を挟み込むための挟持部材45と、挟持部材45と共に移動し交換対象物を搬出入方向に移動させる搬送ローラ46とを少なくとも1対有している。この収納装置40では、挟持部材45によって交換対象物を挟み込み、搬送ローラ46によって交換対象物を搬出入方向に移動させることができる。更に、挟持部材45は、搬送ローラ46に掛け渡され、この搬送ローラ46により駆動され交換対象物に当接するベルトである。この収納装置40では、ベルトコンベアを用いて交換対象物をより確実に挟持すると共に搬送することができる。更にまた、挟持部材45は、交換対象物の側面側に配設されているため、交換対象物の側面から挟み込むことにより、交換対象物を搬出入方向に移動することができる。また、この収納装置40では、対象物移動部44が側面側、即ち水平方向に待避するため、載置部50が垂直方向に移動するものとしたとき、載置部50の移動を妨げにくい。
【0025】
また、載置部50は、交換対象物の端部を少なくとも支持する複数の支持ローラ51が配設されている。この収納装置40では、支持ローラ51により支持されるため、交換対象物の移動をより円滑に行うことができる。また、載置部50は、駆動部を有しない支持ローラ51が配設されているため、構成をより簡略化することができる。更にまた、載置部50の支持ローラ51は、スクリーンマスクMの印刷領域以外の領域(枠体の領域)に設けられている。スクリーンマスクMは、その裏面に粘性流体が付着していることがある。この支持ローラ51は、印刷領域には配置されていないため、支持ローラ51の汚れなどを抑制することができる。そしてまた、載置部50は、載置されたスクリーンマスクMの印刷領域の下方に取り外し可能なプレート52を備えている。この収納装置40では、スクリーンマスクMから粘性流体が落下しても、プレート52で受けることができるため、プレート52を取り外して清掃しやすい。
【0026】
また、この収納装置40は、受渡し段58の交換対象物の搬出入方向への移動を規制する規制位置と交換対象物の搬出入方向への移動を可能とする開放位置との間で移動する扉部53を備える。この収納装置40では、交換対象物が意図せず装置外に出てしまうことを扉部53によって防止することができる。この扉部53は、対象物移動部44の移動する方向に直交する方向に移動する。例えば、対象物移動部44は水平方向に移動するものとし、扉部53は垂直方向に移動する。この収納装置40では、対象物移動部44の移動と扉部53の移動とが互いに干渉しにくく好ましい。
【0027】
また、収納装置40は、収納部42に収納されて受渡し段58に配設され、この収納部42から外部に突出することによって、交換対象物を収納部42へ引き入れるか、交換対象物を収納部42から送り出すかを行う搬出入部47を備える。この収納装置40では、外部に突出する搬出入部47によって、交換対象物を収納部42へ引き入れやすく、収納部42から送り出しやすい。また、搬出入部47は、収納装置40の外部に配置された交換対象物の端部を把持するための把持部材48と、把持部材48と共に移動し交換対象物を搬出入方向に移動させる搬出入ローラ49と、を少なくとも1対有している。この収納装置40では、把持部材48によって交換対象物を把持させ、搬出入ローラ49によって交換対象物を収納部42へ引き入れ、または収納部42から送り出すことができる。
【0028】
また、印刷システム12は、上述した収納装置40と、収納装置40から送り出された交換対象物を用いて印刷対象としての基板Sに対して粘性流体の印刷処理を行う印刷部22を備えた印刷装置と、を備えている。この印刷システム12では、上述した収納装置40と同様に、印刷装置11に用いられる交換対象物を搬出入してストックするに際して構成をより簡略化することができる。
【0029】
なお、本開示の収納装置及び印刷システムは上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0030】
例えば、上述した実施形態では、収納装置40は、受渡し段58を1段のみ備えるものとして説明したが、特にこれに限定されず、2段以上有していてもよい。このとき、載置部50よりも受渡し段58の数が少ないものとすれば、対象物移動部44を減らすことができ、構成をより簡略化することができる。なお、対象物移動部44は、受渡し段58に配設されていればよく、構成を簡略化するものとすれば、他の段に存在してもよい。
【0031】
上述した実施形態では、ベルトとしての挟持部材45及びベルトを駆動する搬送ローラ46を有するベルトコンベアである対象物移動部44について説明したが、特にこれに限られない。
図8は、別の対象物移動部44Bの一例を表す説明図である。この対象物移動部44Bにおいて、挟持部材45Bは搬送ローラ46Bを支持する支持部材であり、搬送ローラ46Bは挟持部材45Bに配設され交換対象物に直接当接してこの交換対象物を搬出入方向に移動させるものである。この収納装置40Bでは、支持部材としての挟持部材45Bによって搬送ローラ46Bを待避位置と当接位置との間で移動させ、搬送ローラ46Bが直接交換対象物に当接してこれを移動することができる。
【0032】
あるいは、交換対象物を移動する対象物移動部は、挟持部材45及び搬送ローラ46を有するものに限られない。
図9は、別の対象物移動部44Cの一例を表す説明図である。この対象物移動部44Cは、待避位置と当接位置との間で移動し交換対象物の端部を挟持する挟持部材45Cと、挟持部材45Cごと交換対象物を搬出入方向に移動させる直動駆動部46Cと、を少なくとも1対有している。この収納装置40Cでは、挟持部材45Cによって交換対象物を挟み込み、直動駆動部46Cによって交換対象物を搬出入方向に移動させることができる。この直動駆動部46Cは、例えば、エアシリンダとしてもよいし、リニアモータとしてもよい。また、直動駆動部46Cは、例えば、伸延する支持部材に支持された挟持部材45Cを収納部42の外部まで移動可能としてもよい(
図9の二点鎖線参照)。この収納装置40Cでは、対象物移動部44Cが搬出入部47を兼ねることができる。なお、
図9では、挟持部材45Cを1対だけ備えるものとしたが、2対以上備えるものとしてもよい。
【0033】
上述した実施形態では、収納装置40は、把持部材48と搬出入ローラ49とを備えた搬出入部47を備えるものとしたが、外部に突出して交換対象物をやりとりするものとすれば、特にこれに限定されない。
図10は、別の搬出入部47Bの一例を表す説明図である。この搬出入部47Bは、軸60に支持され収納装置40の外部に配置された交換対象物の端部を引っ掛けて搬出入方向に移動させる引掛け部材48Bと、収納装置40の外部に突出した突出位置と収納装置40の内部の引込み位置との間で引掛け部材48Bをガイドするガイド部材59と、引掛け部材48Bをガイド部材59のガイドに沿って移動させる駆動部49Bとを有している。軸60は、ガイド部材59のガイド孔に挿入されて、ガイド孔に沿って移動する。ガイド孔には、軸60を一方向に導く規制板が設けられている。規制板は、下側から押されるとガイド孔を開放するものである。この規制板は、引っ込み位置から引掛け位置までは軸60を前後方向に移動させ、軸60が下方から進入すると、開放して軸60を引っ込み位置へ移動可能とする。この搬出入部47Bでは、引掛け部材48Bによって交換対象物を引っ掛け、ガイド部材59のガイドに沿って引っ掛け部材48Bを駆動部49Bによって移動させることにより、交換対象物を収納部42へ引き入れ、または収納部42から送り出すことができる。なお、この搬出入部47Bは、載置部50が昇降する際には、全体が水平状態(
図10)から垂直状態に跳ね上げられ載置部50の移動を妨げないようになっている。
【0034】
あるいは、交換対象物を引き込み、送り出す搬出入部部は、把持部材48と搬出入ローラ49とを備えたものに限られない。例えば、搬出入部は、収納装置40の外部に配置された交換対象物の端部を把持するための把持部材と、把持部材ごと交換対象物を搬出入方向に移動させる直動駆動部とを少なくとも1対有しているものとしてもよい(
図9参照)。この収納装置では、把持部材によって交換対象物を把持させ、直動駆動部によって交換対象物を収納部へ引き入れ、または収納部から送り出すことができる。収納装置40は、
図9のように、対象物移動部と搬出入部とを共用としてもよいし、これらを別に設けるものとしてもよい。
【0035】
上述した実施形態では、印刷装置11がマスク移動部27を有しているものとしたが、マスク移動部27を有していなくてもよい。この場合、収納装置40は、搬出入部47を印刷装置11側にも設けるものとすればよい。また、無人搬送車14は、交換対象物を引き入れ、送り出す構成がないものとしたが、これを備えるものとしてもよい。この場合、収納装置40は、搬出入部47を省略してもよい。
【0036】
上述した実施形態では、交換対象物をスクリーンマスクMとしたが、交換を要するものであればこれに限定されず、スクリーンマスクMのほか、粘性流体を収容するカートリッジ35、スキージ25、スクリーンマスクMの清掃に用いられる清掃部材33及び印刷対象を固定する支持部材などとしてもよい。また、印刷対象を基板Sとしたが、粘性流体を印刷するものとすれば、特にこれに限定されず、立体物などとしてもよい。また、粘性流体をはんだペーストとしたが、導電性ペーストや接着剤などとしてもよい。
【0037】
上述した実施形態では、対象物移動部44は、交換対象物の側面側に配設され、この側面を挟み込み移動させるものとして説明したが、特にこれに限定されない。例えば、対象物移動部44は、交換対象物の上下面を挟み込んで移動するものとしてもよい。
【0038】
上述した実施形態では、支持ローラ51は、スクリーンマスクMの端部領域のみに配設され、その他の領域では支持軸であるものとしたが、特にこれに限定されず、支持軸の全体に支持ローラが形成されているものとしてもよい。また、載置部50は、支持ローラ51やプレート52を備えるものとしたが、特にこれに限定されず、これらのいずれかを省略してもよい。載置部50が載置面を有するものとしても、スクリーンマスクMの移動を行うことはできる。
【0039】
上述した実施形態では、上下に遮蔽板54が移動する扉部53を備えるものとしたが、特にこれに限定されず、遮蔽板54は、左右に移動してもよい。また、収納装置40は、扉部53を備えるものとしたが、これを省略してもよい。扉部53を省略する場合、収納装置40は、支持ローラ51にロック機構を設けてもよいし、支持ローラ51自体を省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本開示は、部品を実装処理する装置の技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 実装システム、11 印刷装置、12 印刷システム、13 実装装置、14 無人搬送車、16 開口部、17 搬出入口、18 管理PC、21 制御部、22 印刷部、23 印刷ヘッド、24 印刷移動部、25 スキージ、26 マスク作業部、27 マスク移動部、28 マスク固定部、30 基板処理部、31 基板搬送部、32 清掃部、33 清掃部材、34 供給部、35 カートリッジ、40,40B,40C 収納装置、41 制御部、42 収納部、43 載置部移動部、44,44B,44C 対象物移動部、45,45B,45C 挟持部材、46,46B 搬送ローラ、46C 直動駆動部、47,47B 搬出入部、48 把持部材、48B 引掛け部材、49 搬出入ローラ、49B 駆動部、50 載置部、51 支持ローラ、52 プレート、53 扉部、54 遮蔽板、55 開閉駆動部、56 待避駆動部、57 搬送駆動部、58 受渡し段、59 ガイド部材、60 軸、E 端部領域、M スクリーンマスク、S 基板。