(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】基板の化学的及び/又は電解的表面処理用プロセス流体の分布システム
(51)【国際特許分類】
H05K 3/18 20060101AFI20230327BHJP
C25D 17/10 20060101ALI20230327BHJP
C25D 21/12 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
H05K3/18 E
C25D17/10 A
C25D21/12 A
(21)【出願番号】P 2022516436
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2020082211
(87)【国際公開番号】W WO2021104911
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-03-14
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518264310
【氏名又は名称】セムシスコ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】SEMSYSCO GmbH
【住所又は居所原語表記】Karolingerstrasse 7C 5020 Salzburg Republic of Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100198568
【氏名又は名称】君塚 絵美
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス グライスナー
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト メードル
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-173793(JP,A)
【文献】特開昭62-77495(JP,A)
【文献】特開昭53-7543(JP,A)
【文献】特開2013-11004(JP,A)
【文献】特開2019-49046(JP,A)
【文献】特開2019-52370(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0129418(US,A1)
【文献】中国実用新案第203238341(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第104790022(CN,A)
【文献】中国実用新案第205774869(CN,U)
【文献】中国実用新案第207973814(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D17/00―21/22
H05K3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の化学的及び/又は電解的表面処理用プロセス流体の分布システム(10)であって、
第1分布体(11)と、
代替体と、
フレームワーク(14)と、
を備え、
前記第1分布体(11)は、プロセス流体及び/又は電流の流れを前記基板に向けるように構成され、
前記第1分布体(11)及び前記代替体は、それらの間に前記基板を挿入するように配置され、
前記フレームワーク(14)は、前記第1分布体(11)及び前記代替体を互いに対して相対的に取り付けるように構成され、
前記フレームワーク(14)は、前記第1分布体(11)及び前記代替体と共に、前記基板を取り囲むケーシングを形成するようにさらに構成され、
前記ケーシングは、独立ユニットとして前記分布システム(10)に挿入可能である分布システム(10)。
【請求項2】
前記ケーシングを受け入れるように構成され、アノードの受け入れに適したタンク(15)をさらに備える、請求項1に記載の分布システム(10)。
【請求項3】
それぞれが前記ケーシングの一方の側面に取り付けられた2つのチャンバをさらに含み、各チャンバは、アノードの受け入れに適している、請求項1に記載の分布システム(10)。
【請求項4】
前記代替体は、プロセス流体及び/又は電流の流れを基板に向けるようにも構成された第2分布体(12)である、請求項1から3のいずれか一項に記載の分布システム(10)。
【請求項5】
前記フレームワーク(14)は、少なくともプロセス流体入口(2)及び/又はプロセス流体出口(3)を備えた分布フレーム要素(13)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の分布システム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板の化学的及び/又は電解的表面処理用プロセス流体の分布システム、プロセス流体中の基板の化学的及び/又は電解的表面処理用の装置、分布システムの使用、及び基板の化学的及び/又は電解的表面処理用に構成されたプロセス流体の分布システムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント回路基板(PCB)を製造するためのパネルの基板寸法は、製造効率を高め、物理的に大型サイズの技術要件に対応するために、寸法が大幅に増加している。パネルはすでに片側の長さが1000mmを大幅に超えており、場合によっては3000mmを超える。
【0003】
今日では最高の処理結果は、いわゆるHSPシステム、つまり高速めっき技術を含むシステムで達成される。このようなシステムでは、1つ又は2つの基板と共に1つ又は2つのHSPを、電解質及び1つ以上のアノードを収容するタンクに浸す。電解質で満たされたこのタンク内で、電解質(及びこれにより電流分布)がHSPプレートを通って基板表面に向けられる。しかし、パネルのサイズがより大きな寸法に達すると、アノードから基板(カソードとして機能)にHSPの周りを流れる、大量の変化する漂遊電流が現れ、その結果不要且つ不均一な材料が基板上に堆積することが認められている。
【0004】
より大型サイズのパネルめっきシステムに現れるこれらの変動する漂遊電流は、通常は温度が変化するプロセスでの使用中にわずかに変形するHSPが非金属(プラスチック)材料から製造されるという事実に起因することが確認されている。変形により、めっきシステムのさまざまな要素間の材料の隙間が現れたり再度消えたりする可能性があり、その結果、電流がHSPの分布方向を迂回するための望ましくない経路が生じる。大型HSPシステムのこの動作の原因は、膨張係数、材料強度、変形安定性などの材料特性であるが、これらは克服することができない。したがって、業界におけるHSPの現在の設計及び実装では、これらの漂遊電流と均一性の問題は一般的には解決することができない。
【0005】
したがって、大型サイズの基板の化学的及び/又は電解的表面処理用プロセス流体の改良された分布システムを提供する必要があり、それは特に非常に均一な材料堆積を可能にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
この問題は、独立請求項の主題によって解決される、ここで、さらなる実施形態が従属請求項に組み込まれている。以下に記載される本開示の態様は、基板の化学的及び/又は電解的表面処理用プロセス流体の分布システム、プロセス流体中の基板の化学的及び/又は電解的表面処理用の装置、及び基板の化学的及び/又は電解的表面処理用に構成されたプロセス流体の分布システムの使用及び製造方法にも適用されることに留意されたい。
【0007】
本開示によれば、基板の化学的及び/又は電解的表面処理用に構成されたプロセス流体の分布システムが提示される。本プロセス流体の分布システムは、第1分布体、代替体、及びフレームワークを備える。
【0008】
第1分布体は、プロセス流体及び/又は電流の流れを基板に向けるように構成される。第1分布体及び代替体は、それらの間に基板を挿入するように配置される。フレームワークは、第1分布体及び代替体を互いに対して相対的に取り付けるように構成される。フレームワークは、少なくとも1つ、好ましくはいくつかの配線盤要素を備えてもよい。フレームワークは、分布体と代替体との間に配置されて、処理される基板を受け入れるための適切な空間を提供するようにそれらの間の距離を決定してもよい。
【0009】
フレームワークはさらに、第1分布体及び代替体と共に、基板を取り囲むケーシングを形成するように構成される。言い換えれば、第1分布体、代替体及びフレームワークは、共に基板のケーシングを形成する。ケーシングは、基板の化学的及び/又は電解的表面処理用の処理セル又はめっきセルを形成する。ケーシング又は処理セルは、独立ユニットとして、プロセス流体を収容するタンクに挿入することができる。換言すれば、ケーシングは、タンクに接続されていないか、又はタンクに挿入されたときにケーシングをタンクから個別に取り外すことができるようにタンクに着脱可能に取り付けられている。したがって、基板を含むケーシングを安全に移動させることができ、タンクとは独立したケーシングの交換を容易にすることができる。
【0010】
ケーシングは、分布システムの電気的絶縁を確実にし、それによって分布システムの不可欠な部分として電気的シーリング効果を提供する。これにより、ケーシングは、分布システムの大幅に改良された非常に信頼性の高い電気的シーリングを提供する。電気的シーリングは、不要な不均一な材料の堆積をもたらす可能性のある漂遊電流の形式の電流漏れを回避する。
【0011】
ケーシングは、処理セルとタンクの機能を分離することを可能にし、その結果、例えば、変化する膨張係数、材料強度、及び変形安定性による、異なる材料の異なる変形特性によって引き起こされる問題を克服することを可能にする。結果として、本開示による分布システムはまた、それほど厳密でない公差で、及び、良好で長持ちする電気的シーリングが達成される限り、例えばタンクの再加工又は特別な調整を必要とせずに、製造することができる。その結果、大型の基板も処理して、高い堆積均一性を実現することができる。
【0012】
本開示による分布システムは、特定のサイズに限定されない基板と共に使用することに適している。第1分布体及び代替体と一緒にケーシングを形成するフレームワークのサイズは、基板のサイズに対して調整することができる。
【0013】
一実施形態では、基板の化学的及び/又は電解的表面処理用に構成されたプロセス流体の分布システムは、ケーシング及びアノードを受け入れるように構成されたタンクをさらに含む。タンクはまた、複数のアノードを受け入れてもよい。言い換えれば、一方のタンク及び他方のケーシング又はめっきセルは独立ユニットとして構築される。分布システムは、ケーシングの上に配置されてケーシングを吊り下げ位置に保持するように構成された取り付けサスペンションをさらに備えてもよい。取り付けサスペンションは、タンクを周囲に対して吊り下げ位置に保持するように構成されてもよい。取り付けサスペンションはまた、ケーシング内の吊り下げ位置で基板ホルダー内の基板を保持するように構成されてもよい。
【0014】
1つのタンクの代わりに、2つのチャンバを使用してもよい。したがって、別の実施形態では、分布システムは、それぞれがケーシングの一方の側面に取り付けられた2つのチャンバを含み、各チャンバは、アノードを受け入れるように構成される。
【0015】
一実施形態では、タンク又はチャンバは、異なるサイズのアノードを受け入れるのに適していてもよい。換言すれば、タンク又はチャンバのサイズは、そこに挿入されるアノードのサイズに対して調整してもよい。
【0016】
一実施形態では、代替体は、プロセス流体及び/又は電流の流れを基板に向けるようにも構成された第2分布体である。言い換えれば、分布システムは、第1分布体、第2分布体及びフレームワークを備える。第1分布体及び第2分布体は、プロセス流体及び/又は電流の流れを基板に向けるように構成される。第1分布体及び第2分布体は、それらの間に少なくとも1つの基板を挿入するように配置される。フレームワークは、第1分布体及び第2分布体を互いに対して相対的に取り付けるように構成される。フレームワークはさらに、第1分布体及び第2分布体と共に、少なくとも1つの基板を取り囲むケーシングを形成するように構成される。
【0017】
一実施形態では、プロセス流体の分布システムは、フレームワークと第1分布体との間のインターフェース、及びフレームワークと代替体との間のインターフェースを、周囲に対して電気的に絶縁された方法で封止するように構成された1つ以上の電気シーリングユニットをさらに備える。前記1つ以上のシーリングユニットは、ケーシングの電気的絶縁をもたらし、それにより、分布体の周囲の漂遊電流の可能性を回避する。その結果、加工均一性が大幅に向上する。シーリングユニットは、電流が印加されるさまざまなコンポーネント間のインターフェースに配置された細長い弾性変形可能な要素であってよく、不要な漂遊電流が発生しないように封止する必要がある。シーリングユニットの例としては、Oリング、リップシール、コンプレッションシールフィッティング、フェイスシール、プラグシール、インフレータブルシール、静水圧又は流体力学的シール、接着シール、接着剤シール、またはそれらの類似品などの、適切な形状とサイズのガスケットがある。電気的シーリングはまた、異なる構成要素を溶接することによっても実現可能である。
【0018】
一実施形態では、ケーシングの上面は、基板の通過を可能にするために少なくとも部分的に開口している。結果として、1つ又は2つの基板を備えた基板ホルダーを、上面から開口部を通してケーシング内へ挿入することができる。ケーシングの上面は、少なくとも部分的に周囲の環境に対して開放されている。その場合、ケーシングは側面と下部が電気的に絶縁されていて、上部は開口していると理解することができる。
【0019】
一実施形態では、フレームワークは、互いに対して相対的に取り付けられるいくつかの個別のフレーム要素、第1分布体及び代替体又は第2分布体を備える。例えば、フレームワークは4つの側面要素及び1つの下部要素を備える。個別の要素は互いに接着されていてもよい。一実施形態では、個別のフレーム要素は、互いに、第1分布体及び代替体に、着脱可能に取り付けられる。例えば、ネジを使用することができる。その結果、2つの分布体又は1つの分布体と代替体をしっかりと高精度に接続することができる。
【0020】
一実施形態では、フレームワークは、第1分布体及び代替体又は第2分布体を互いに対して平行に取り付けるように構成される。また、相互に傾斜していてもよい。
【0021】
一実施形態では、フレームワークは、第1分布体及び代替体又は第2分布体よりも剛性が高い。結果として、フレームワークは、最初は非平行の第1分布体、第2分布体又は代替体も平行状態に強制するように構成される。これは、製造公差のバランスを取るための取り組みをサポートする。また、平行以外の状態も可能である。
【0022】
一実施形態では、フレームワークは、少なくともプロセス流体入口及び/又はプロセス流体出口を備えた分布フレーム要素を備える。分布フレーム要素又は流体分布プレートは、第1分布体、第2分布体又は代替体の下部に配置することができる。分布フレーム要素は、タンクの流体供給システムへの簡単な接続を形成するために使用できる。
【0023】
本開示によれば、プロセス流体中の基板の化学的及び/又は電解的表面処理用の装置も提示される。 基板の化学的及び/又は電解的表面処理用の装置は、上記のような分布システム及び基板ホルダーを備える。基板ホルダーは、分布システム内に少なくとも1つの基板を保持するように構成される。
【0024】
一実施形態では、分布システムの第1分布体及び基板ホルダーは、挿入されるプロセス流体の上の同一の基準システムに取り付けられる。基準システムは、事前に定義された基準位置又は装置の一部であっても良く、これに第1分布体及び基板ホルダーが取り付けられている。基準システムは、プロセス流体の上に配置されるフレームワークの上部であってもよい。
【0025】
好ましくは、タンク内がプロセス流体及び/又は電流で完全に満たされていてもよく、基準システムは、プロセス流体の上に配置されていてもよい。タンクの50%又は80%のみがプロセス流体で満たされている場合でも、基準システムをプロセス流体の上に配置してもよい。ただし、タンク内のプロセス流体がどのレベルであっても、第1分布体及び基板ホルダーはプロセス流体に完全に浸されている必要がある。
【0026】
その結果、適用が簡単で効果的なセルレベリングが可能になり、基板処理システムに対するケーシングの正確な水平及び垂直方向の位置合わせを確実にする。第1分布体、それによりケーシング及び基板ホルダーがそれらの上端で固定されるため、すべての熱膨張は同一方向、すなわちそれらの下端への方向に加わる。さらに、重力が、第1分布体、第2分布体又は代替体の座屈を回避し、それらを平面形状に保つのに役立つ。
【0027】
本開示によれば、基板の化学的及び/又は電解的表面処理用プロセス流体の分布システムの製造方法もまた提示される。基板の化学的及び/又は電解的表面処理用のプロセス流体の分布システムの製造方法は、
第1分布体と代替体をそれらの間に基板が挿入されるように配置するステップと、
フレームワークを使用して、第1分布体及び代替体を互いに対して相対的に取り付けるステップと、
を備える。
【0028】
第1分布体及び代替体は、プロセス流体及び/又は電流の流れを基板に向けるように構成される。 フレームワークは、第1分布体及び代替体と共に、基板を取り囲むケーシングを形成するように構成される。
【0029】
本開示によれば、基板、特に大型の基板を化学的及び/又は電気化学的に処理するための上記のようなシステム又は装置の使用も提示される。「大型の基板」という用語は、300×300mm以上の範囲の寸法を持つ基板として理解することができる。好ましくは、基板の対角線又は直径は、350mm以上、より好ましくは500mm以上、さらにより好ましくは800mm以上、さらにより好ましくは1000mm以上である。
【0030】
独立請求項によるシステム、装置、使用及び方法は、特に、従属請求項で定義されているように、類似及び/又は同一の好ましい実施形態を有することが理解されたい。本開示の好ましい実施形態はまた、従属請求項とそれぞれの独立請求項との任意の組み合わせであり得ることをさらに理解されたい。
【0031】
本開示のこれらおよび他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、参照して解明されるであろう。
【0032】
本開示の例示的な実施形態を、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本開示による基板の化学的及び/又は電解的表面処理用プロセス流体の分布システムの実施形態を概略的かつ例示的に示す図である。
【
図2】断面で見た場合の、本開示によるプロセス流体の分布システムの実施形態を概略的かつ例示的に示す図である。
【
図3】下から見た場合の、本開示によるプロセス流体の分布システムの実施形態を概略的かつ例示的に示す図である。
【
図4】プロセス流体中の基板の化学的及び/又は電解的表面処理用の装置の実施形態を概略的かつ例示的に示す図である。
【
図5】プロセス流体中の基板の化学的及び/又は電解的表面処理用の装置の実施形態を概略的かつ例示的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本開示による基板の化学的及び/又は電解的表面処理用プロセス流体の分布システム10の実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図2は、断面で見た場合の、本開示によるプロセス流体の分布システム10の実施形態を概略的かつ例示的に示す。プロセス流体の分布システム10は、第1分布体11、第2分布体12及びフレームワーク14を備える。
【0035】
第1分布体11及び第2分布体12は、プロセス流体及び/又は電流の流れを基板に向けるように構成される。第1分布体及び第2分布体12は、それらの間に基板を挿入するように配置される。
【0036】
フレームワーク14は、第1分布体11及び第2分布体12を互いに対して相対的に取り付ける。 フレームワーク14は、第1分布体11及び第2分布体12と共に、挿入される基板を取り囲むケーシングを形成する。フレームワーク14は、互いに対して相対的に取り付けられたいくつかの個別のフレーム要素1及び4、第1分布体11並びに第2分布体12を備える。フレームワーク14は、4つの横方向要素及び1つの底部要素を含む。個別の要素は互いにねじ止めされていてもよい。フレームワーク14は、第1分布体11及び第2分布体12を互いに対して平行に取り付ける。
【0037】
ケーシングの上面は、基板の通過を可能にするために開口している。1つ又は2つの基板を備えた基板ホルダー21(
図4を参照)は、上面から開口部を通してケーシング内に挿入することができる。これにより、ケーシングの上面は周囲の環境に開放されている。
【0038】
図3は、下から見た場合の、本開示によるプロセス流体の分布システム10の実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図3に見られるように、フレームワーク14は、いくつかのプロセス流体入口2及びいくつかのプロセス流体出口3を備えた分布フレーム要素13を備える。分布フレーム要素13又は流体分布プレートは、第1分布体又は第2分布体の下部に配置される。
【0039】
換言すれば、第1分布体11、第2分布体12及びフレームワーク14は、共に基板のためのケーシングを形成する。ケーシングは、独立ユニットとして、プロセス流体を収容しているタンク15に挿入することができる。これは
図4で見ることができる。
【0040】
図4は、プロセス流体中の基板の化学的及び/又は電解的表面処理用の装置20及びシステム10の実施形態を概略的かつ例示的に示す。装置20は、分布システム10と、ケーシング及び少なくとも1つのアノードを受け入れるためのタンク15とを備える。
図4では、2つのアノードがタンク15内に配置されている。
【0041】
分布システム10は、フレームワーク14と第1分布体11との間のインターフェース及びフレームワーク14と第2分布体12との間のインターフェースを、周囲に対して流体密又は液密及び電気的に絶縁された方法で封止するためのシーリングユニットをさらに備える。シーリングユニットは、ケーシングの電気的絶縁をもたらす。
【0042】
フレームワーク14は、第1分布体11及び第2分布体12よりも剛性が高い。その結果、フレームワーク14はまた、最初は非平行である第1分布体又は第2分布体を平行状態に強制する。
【0043】
図5は、プロセス流体中の基板の化学的及び/又は電解的表面処理用の装置20の実施形態を概略的かつ例示的に示す。化学的及び/又は電解的表面処理用の装置20は、上記の分布システム10及び基板ホルダー21を含む。基板ホルダー21は、分布システム10内に少なくとも1つの基板を保持するように構成される。分布システム10のケーシング及び基板ホルダー21は、プロセス流体の上の同一の基準システムA(破線を参照)に取り付けられる。第1分布体11、それによりケーシング及び基板ホルダー21がそれらの上端で固定されるので、すべての熱膨張は同一方向、すなわちそれらの下端への方向に加わる。
【0044】
本開示の実施形態は、異なる主題を参照して説明されていることに留意されたい。具体的には、いくつかの実施形態は、方法タイプの請求項を参照して説明されており、他の実施形態は、装置タイプの請求項を参照して説明されている。しかしながら、当業者は、上記及び以下の説明から、別段の通知がない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関連する特徴間の任意の組み合わせも本出願で開示されると推測するであろう。ただし、すべての特徴を組み合わせて、特徴の単純な積算以上の相乗効果を提供することが可能である。
【0045】
本開示を、図面及び前述の説明において詳細に例示及び説明してきたが、そのような例示及び説明は、例証的又は例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。本開示は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示、及び従属請求項の検討から、特許請求の範囲に記載された本開示を実施する当業者によって理解及び実施され得る。
【0046】
請求項において、「備える」という用語は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」が付された用語は、複数であってもよい。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に記載されているいくつかの項目の機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属クレームで引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用できないことを示すものではない。請求項内の参照記号のいずれも、範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0047】
[実施形態]
1.基板の化学的及び/又は電解的表面処理用プロセス流体の分布システム(10)であって、
第1分布体(11)と、
代替体と、
フレームワーク(14)と、
を備え、
前記第1分布体(11)は、プロセス流体及び/又は電流の流れを前記基板に向けるように構成され、
前記第1分布体(11)及び前記代替体は、それらの間に前記基板を挿入するように配置され、
前記フレームワーク(14)は、前記第1分布体(11)及び前記代替体を互いに対して相対的に取り付けるように構成され、
前記フレームワーク(14)は、前記第1分布体(11)及び前記代替体と共に、前記基板を取り囲むケーシングを形成するようにさらに構成される分布システム(10)。
【0048】
2.前記ケーシング及びアノードを受け入れるように構成されたタンク(15)をさらに備える、実施形態1に記載の分布システム(10)。
【0049】
3.それぞれが前記ケーシングの一方の側面に取り付けられた2つのチャンバをさらに備え、各チャンバは、アノードを受け入れるように構成される、実施形態1に記載の分布システム(10)。
【0050】
4.前記フレームワーク(14)と前記第1分布体(11)との間のインターフェース及び前記フレームワーク(14)と前記代替物との間のインターフェースを周囲に対して電気的に絶縁された方法で封止するように構成されたシーリングユニットをさらに備える、実施形態1~3のいずれか1つに記載の分布システム(10)。
【0051】
5.前記ケーシングの上面が少なくとも部分的に開口して前記基板の通過を可能にする、実施形態1~4のいずれか1つに記載の分布システム(10)。
【0052】
6.前記フレームワーク(14)は、前記第1分布体(11)及び前記代替体を互いに対して平行に取り付けるように構成される、実施形態1~5のいずれか1つに記載の分布システム(10)。
【0053】
7.前記フレームワーク(14)は、互いに対して相対的に取り付けられるいくつかの個別のフレーム要素(1,4)、前記第1分布体(11)及び前記代替体を備える、実施形態1~6のいずれか1つに記載の分布システム(10)。
【0054】
8.前記個別のフレーム要素(1,4)は着脱可能に取り付けられている、実施形態1~7のいずれか1つに記載の分布システム(10)。
【0055】
9.前記フレームワーク(14)は前記第1分布体(11)及び前記代替体よりも剛性が高く、それにより、最初に非平行な前記第1分布体及び前記代替体も平行状態に強制するように構成される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の分布システム(10)。
【0056】
10.前記代替体は、前記プロセス流体及び/又は電流の流れを前記基板に向けるようにも構成された第2分布体(12)である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の分布システム(10)。
【0057】
11.前記フレームワーク(14)は、少なくとも25プロセス流体入口(2)及び/又はプロセス流体出口(3)を備えた分布フレーム要素(13)を備える、実施形態1~10のいずれか1つに記載の分布システム(10)。
【0058】
12.プロセス流体中の基板の化学的及び/又は電解的表面処理用の装置(20)であって、
実施形態1~11のいずれか1つに記載の分布システム(10)と;及び
基板ホルダー(21)と、
を備え、
前記基板ホルダーは、前記分布システム(10)内に少なくとも1つの基板を保持するように構成される装置。
【0059】
13.前記分布システム(10)の第1分布体(11)及び前記基板ホルダー(21)は、挿入されるプロセス流体の上の同一の基準システム(A)に取り付けられる、実施形態1~12のいずれか1つに記載の装置(20)。
【0060】
14.基板の化学的及び/又は電解的表面処理用プロセス流体の分布システム(10)の製造方法であって、
第1分布体(11)及び代替体を、それらの間に基板を挿入するように配置するステップと、
フレームワーク(14)を使用して、前記第1分布体(11)及び前記代替体を、互いに対して相対的に取り付けるステップと、
を備え、
前記第1分布体(11)及び前記代替体は、前記プロセス流体及び/又は電流の流れを前記基板に向けるように構成され、
前記フレームワーク(14)は、前記第1分布体(11)及び前記代替体と共に、前記基板を取り囲むケーシングを形成するように構成される製造方法。
【0061】
15.基板、特に大型の基板を化学的に処理するための、実施形態1から13のうちの1つに記載のシステム(10)又は装置(20)の使用。