(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】喫煙兼水素吸引装置
(51)【国際特許分類】
A24F 47/00 20200101AFI20230328BHJP
【FI】
A24F47/00
(21)【出願番号】P 2019552688
(86)(22)【出願日】2018-10-19
(86)【国際出願番号】 JP2018039065
(87)【国際公開番号】W WO2019093101
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2017215875
(32)【優先日】2017-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017241100
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】511131376
【氏名又は名称】株式会社アクアバンク
(74)【代理人】
【識別番号】100115200
【氏名又は名称】山口 修之
(72)【発明者】
【氏名】竹原 隆
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/190222(WO,A1)
【文献】特開昭61-068061(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02186537(EP,A1)
【文献】特開2014-019640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒型の携帯型加熱式喫煙装置本体を取り外し可能に収容し、喫煙と水素吸引とを行うことができる喫煙兼水素吸引装置であって、
電池受容部内に配設される充電可能な電池と、
該電池から電力供給を制御する制御基板と、
該制御基板により電池の陽極及び陰極と通電又は遮電される一対の陽陰電極と、
下部に前記一対の陽陰電極が内部に挿入され、電解液又は水の注水口と電解槽内の空気層と流体的に接続する水素発生口とを有する貯水可能な電解槽と、
前記喫煙装置本体を上方から挿入可能な筒状孔を形成し、底部に喫煙装置の下部の端子に電気接続可能な端子を有する喫煙装置受容部と、を備え、
前記喫煙装置本体は、前記制御基板により電池から電力供給されると喫煙装置の上部に取り付けられた喫煙カートリッジが加熱されて上部からニコチン又は芳香含有蒸気を発生し、
前記電解槽は、前記制御基板により電池から前記一対の陽陰電極に電力供給されると陽極から水素を発生し、水素発生口から水素が放出し、
さらに、前記電解槽の水素発生口と前記喫煙カートリッジとを覆って両者それぞれから放出されるニコチン又は芳香含有蒸気と水素とを貫通孔を有するノズル部まで案内する蓋部材を備える、ことを特徴とする喫煙兼水素吸引装置。
【請求項2】
前記電解槽の注水口は開閉可能であり、前記水素発生口は電解槽内の気体のみ通過させて液体を通過させない材料で遮蔽しており、
前記注水口と前記水素発生口とは、一体のアタッチメントとして形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙兼水素吸引装置。
【請求項3】
前記喫煙装置受容部に喫煙装置本体が挿入された状態で、
喫煙装置本体上端と前記電解槽の前記アタッチメントとが並列に配設され、前記蓋部材のノズル部が喫煙装置
本体の上端を入れ子状に覆って蓋部材内で前記アタッチメントの水素発生口から案内された水素を前記ノズル部と喫煙装置の上端との隙間から外部に放出する、ことを特徴とする請求項2に記載の喫煙兼水素吸引装置。
【請求項4】
前記喫煙装置本体は、前記制御基板により電池から電力供給されると喫煙装置本体内の加熱器が加熱されて、湿った喫煙可能な物質を含む前記喫煙カートリッジを加熱する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の喫煙兼水素吸引装置。
【請求項5】
前記喫煙装置受容部の底部には喫煙装置本体が挿入され下方に押圧されると制御基板により電池からの電力を喫煙装置本体に供給する圧力センサスイッチを有する、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の喫煙兼水素吸引装置。
【請求項6】
前記制御基板は、ユーザからの操作信号に基づく前記一対の陽陰電極への通電信号を受信し、それぞれの信号に基づいて前記電池から前記一対の陽陰電
極への電力供給を行い、 前記圧力センサスイッチからの電力供給信号に基づく前記喫煙装置本体への通電信号を受信し、該信号に基づいて前記電池からの前記喫煙装置本体への電力供給を行う、ことを特徴とする
請求項5に記載の喫煙兼水素吸引装置。
【請求項7】
前記圧力センサスイッチのON/OFFスイッチを有する、ことを特徴とする請求項6に記載の喫煙兼水素吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汎用の携帯型加熱式喫煙装置の喫煙装置本体に接続してニコチン又は芳香気体を吸引することができると同時に、電気分解により発生する水素ガスをも吸引し得る喫煙兼水素吸引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タバコ吸引時に発生する副流煙、呼出煙による受動喫煙の弊害等が社会問題となっており、タール等を含む副流煙等を放出させない又は低減させた所謂電子タバコが提供されている。近年、この電子タバコの中でタバコ葉を含む使い捨ての喫煙カートリッジをその都度連結して使用し、喫煙カートリッジ内のタバコ葉を発火させず加熱してニコチン成分のみを吸引し、副流煙を放出させない(又は大幅カットする)所謂加熱式電子タバコが登場している(特許文献1~3)。
【0003】
この加熱式電子タバコは、通電により加熱する加熱器を備えた筒型の本体と、本体の下部に連結して本体に電力供給する筒型の電力供給カートリッジ(充電池を含む)と、本体の上内部に備えた空洞の蒸気チャンバーに取り付けて加熱されるとニコチン含有蒸気を発生させる使い捨ての喫煙カートリッジとを組み合わせて一式の電子タバコを構成している。
【0004】
しかしながら、従来の電子タバコの場合、副流煙等による受動喫煙の健康被害を回避することはできても、喫煙者本人は少なくともニコチン摂取を継続していることとなり、自主的にニコチン摂取量を減らしていき禁煙することが必須になり、結局、禁煙達成にはつながっていなかった。
【0005】
従来より、タバコの健康被害には、(1)活性酸素が発生することによる発がん性の上昇、(2)一酸化炭素の吸引による運動機能等の低下や動脈硬化リスク等の上昇、が指摘されてきた。このうち(1)について、活性酸素は酸化力が非常に強く、人間の体内に侵入した細菌やウイルスを除去する役割を有する一方で、人間の正常な細胞をも攻撃し、損傷させてしまうことが知られており、過剰な活性酸素の摂取は、正常な細胞を損傷させる可能性を上昇させ、細胞の劣化及び細胞の変異、又はこれに伴う肌の老化などのリスク、代表的には発がんリスクを上昇させる。
【0006】
また、(2)について、一酸化炭素の摂取は少量であっても血中ヘモグロビン機能が低下し、軽度の酸欠が継続するため、運動機能や脳機能が低下することとなる。また、赤血球が異常増加するケースもあり、血液の高粘化や血圧上昇、頭痛を招き、動脈効果の遠因となることも指摘されている。
【0007】
これに対して、近年、水素と活性酸素とは結び付いて還元するため水素が活性酸素を除去する機能が高いことが明らかになっており、また水素と活性酸素との反応物としては生成されるものは水であるため、人体への悪影響が非常に少ないことがわかっている。従って、特に活性酸素が身体に発生しやすい喫煙時には水素を身体に取り入れることが推奨され、水素水販売市場拡大の要因の1つとなっていた。また、一酸化炭素は、酸素と結びつくと二酸化酸素となり無毒化するため喫煙時には酸素を摂取することも推奨される。
【0008】
このような事情に鑑みて出願人は、ニコチンと水素等を摂取することができ受動喫煙の防止と喫煙者本人の健康被害の低減とを同時に達成することができる携帯式の喫煙兼水素等吸引装置を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特表2017-500100号公報
【文献】特表2016-510970号公報
【文献】特表2014-524313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記携帯式の喫煙兼水素等吸引装置はユーザにとって既に持っている電子タバコと別途、購入し持ち運ぶ必要があり、コスト面や運搬の便宜を考慮して購買意欲が低下する場合もあるという指摘もあった。
【0011】
本発明は、以上の事情に鑑みて創作されたものであり、汎用の電子タバコを使用しつつ一台でニコチンと水素(又は芳香気体)を摂取し得る携帯式の喫煙兼水素吸引装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、筒型の携帯型加熱式喫煙装置本体を取り外し可能に収容し、喫煙と水素吸引とを行うことができる喫煙兼水素吸引装置であって、
電池受容部内に配設される充電可能な電池と、
該電池から電力供給を制御する制御基板と、
該制御基板により電池の陽極及び陰極と通電又は遮電される一対の陽陰電極と、
下部に前記一対の陽陰電極が内部に挿入され、電解液又は水の注水口と電解槽内の空気層と流体的に接続する水素発生口とを有する貯水可能な電解槽と、
前記喫煙装置本体を上方から挿入可能な筒状孔を形成し、底部に喫煙装置の下部の端子に電気接続可能な端子を有する喫煙装置受容部と、を備え、
前記喫煙装置本体は、前記制御基板により電池から電力供給されると喫煙装置の上部に取り付けられた喫煙カートリッジが加熱されて上部からニコチン又は芳香含有蒸気を発生し、
前記電解槽は、前記制御基板により電池から前記一対の陽陰電極に電力供給されると陽極から水素を発生し、水素発生口から水素が放出し、
さらに、前記電解槽の水素発生口と前記喫煙カートリッジとを覆って両者それぞれから放出されるニコチン又は芳香含有蒸気と水素とを貫通孔を有するノズル部まで案内する蓋部材を備える。
【0013】
上述の喫煙兼水素吸引装置では、特許文献1~3に例示するような筒型の携帯型加熱式喫煙装置の本体を活用し、ニコチン摂取と水素摂取とを達成する具体的な構成が提供されている。携帯型加熱式喫煙装置本体とは、筒型の携帯型加熱式喫煙装置のうち電力供給する部分に取り外し可能に連結する加熱式ニコチン発生装置であり、この上部にタバコ葉を含む消耗品の喫煙カートリッジを装着し、これを加熱してニコチン含有蒸気を放出する。この汎用の携帯型加熱式喫煙装置本体を本発明の喫煙装置の喫煙装置受容部に受容部に挿入し、下部の端子に接続(連結)し、本発明の装置内の充電池からの電力供給を受けることでニコチン含有蒸気を放出する。その意味で本発明は、汎用の携帯型加熱式喫煙装置の電力供給部の代替えとしての機能を有している。
【0014】
また、本発明の喫煙兼水素吸引装置において水素は内部の電解槽内の陽陰極で電解液(又水)を電気分解して生成される。この電気分解は制御基板により充電池の電力を供給することで行われる。ニコチンを含む蒸気と水素とは上部の蓋部材で1つのノズル部まで案内され、同時に吸引可能である。したがって、ユーザは1つのノズル部から喫煙と同様に吸引するだけでニコチン含有蒸気と水素とを摂取することができる。また、水素は酸化すると水に還元されるため、酸化し易い加熱空気中を通過させないことが好ましいが、本喫煙兼水素吸引装置では、水素を蓋部分でノズル部まで案内し、加熱されている本体周辺を通過させない点でも有利である。
【0015】
また、電気分解は陽極で水素を生成する一方、陰極では酸素を生成する。その意味では本喫煙兼水素吸引装置では高濃度の酸素吸引を行うこともできる。なお、電解槽の上部には電解槽内に水分充填可能な注水口と気体のみを透過させる材質で構成された水素発生口とを同部材内に有するアタッチメントが備えられている。したがって、外部から水分充填可能であるとともに水分漏出させずに水素等の気体成分のみ外部(蓋部材内)に放出することが可能となる。
【0016】
詳細には本喫煙兼水素吸引装置は下記の構成が例示される。
前記電解槽の注水口は開閉可能であり、前記水素発生口は電解槽内の気体のみ通過させて液体を通過させない材料で遮蔽しており、
前記注水口と前記水素発生口とは、一体のアタッチメントとして形成される。
【0017】
前記喫煙装置受容部に喫煙装置本体が挿入された状態で、その上端と前記電解槽の前記アタッチメントとが並列に配設され、前記蓋部材のノズル部が喫煙装置の上端を入れ子状に覆って蓋部材内で前記アタッチメントの水素発生口から案内された水素を前記ノズル部と喫煙装置の上端との隙間から外部に放出する。
【0018】
前記喫煙装置本体は、前記制御基板により電池から電力供給されると喫煙装置本体内の加熱器が加熱されて、湿った喫煙可能な物質を含む前記喫煙カートリッジを加熱する。
【0019】
前記喫煙装置受容部の底部には喫煙装置本体が挿入され下方に押圧されると制御基板により電池からの電力を喫煙装置本体に供給する圧力センサスイッチを有する。なお、前記圧力センサスイッチは、ON/OFFスイッチを有することが好ましい。喫煙装置本体を格納した状態でもニコチン等含有蒸気を吸引しない場合に電源をOFFにし、喫煙カートリッジからの蒸気放出や充電池の消耗を防止するためである。
【0020】
前記制御基板は、ユーザからの操作信号に基づく前記一対の陽陰電極への通電信号を受信し、それぞれの信号に基づいて前記電池から前記一対の陽陰電極極への電力供給を行い、 前記圧力センサスイッチからの電力供給信号に基づく前記喫煙装置本体への通電信号を受信し、該信号に基づいて前記電池からの前記喫煙装置本体への電力供給を行う。
【発明の効果】
【0021】
本発明の携帯式の喫煙兼水素吸引装置によれば、汎用の電子タバコを使用しつつ一台でニコチンと水素(又は芳香気体)を摂取し得、ニコチンを摂取しながら受動喫煙の防止と喫煙者本人の健康被害の低減とを同時に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の喫煙兼水素吸引装置の実施形態を模式的に示すブロック図である。
【
図2】本発明の喫煙兼水素吸引装置の実施形態の実施形態を表す正面図、左右側面図、平面図である。
【
図3】本喫煙装置本体を含む汎用の電子タバコの略分解図である。
【
図4】本発明の喫煙兼水素吸引装置の電解槽内における電気分解の様子を示す略模式図が示されている。
【
図6】本発明の喫煙兼水素吸引装置の実施形態例の外観写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の喫煙兼水素吸引装置の実施形態を例示説明する。
図1にはその実施形態を模式的に表すブロック図、
図2には
図1の実施形態の代表例の六面図等、
図4には喫煙兼水素吸引装置の電解槽内における電気分解の様子を示す略模式図が示されている。
図5は電極の具体的な構成を略示したものである。なお、本発明の喫煙兼水素吸引装置は、図示されるものに限られず、また図示及び説明の内容を一般常識の範囲内で改変したものをも含むことはいうまでもない。
【0024】
図1に示すように、本喫煙兼水素吸引装置は、電池4、LED16、制御手段17、電解槽3、喫煙装置本体5、混合部2、ノズル部8で概ね構成されている。まず、電池4は充電式であり、電解槽3には一対の陽陰電極6、7が配設されている。陽陰電極6、7は、制御手段33を介して電池4からの電力が供給され、LED16は電池4に接続されている。制御手段17には、電極制御回路17aと、ヒータ制御回路17bと、LED制御回路17c、電力供給手段(電力供給回路)17dとが備えられている。
【0025】
また、喫煙装置本体5の受容部の底部には圧力センサスイッチ19が設けられ、喫煙装置本体の下端が圧力センサスイッチ19を押圧すると制御基板17の電力供給手段17dにより電池4の電力が喫煙装置本体5に供給される。
【0026】
また、ユーザが操作ボタン18を操作すると、これに応じて電極制御回路17dが電解槽3内の一対の電極6、7への通電・遮断を制御し、電力供給手段17dにより電池4から供給される電力量を可変して電極6、7に電力を供給する。一対の電極6、7に電力が供給されると電解槽10内に貯留する水を電気分解し、陽電極6側に酸素が発生し、陰電極7側に水素が発生する。
【0027】
陰電極7から発生した水素は、電解槽3上部のアタッチメント14を介して蓋部材2に流入する。また、陽電極6から発生した酸素は、ベントされる。
【0028】
また、喫煙装置本体5は、圧力センサースイッチ19がONになると電力供給手段17dにより喫煙装置本体5内の加熱器への電池4からの電力が供給され、内部の蒸気チャンバ(図示せず)に取り付けられた喫煙カートリッジを加熱する。加熱器により喫煙カートリッジが加熱されるとニコチン等含有蒸気が発生する。なお、喫煙カートリッジはタバコ葉を含む加熱式電子タバコの使い捨て用交換品であり、加熱によりニコチン含有蒸気を発生するが、それ以外に加熱により芳香付きのニコチン等含有蒸気を発生させるものや、ニコチン含有せず芳香剤を含有し加熱により芳香付き蒸気を発生させるものが挙げられる。
【0029】
喫煙装置本体5で発生したニコチン等含有蒸気は、ノズル部8を吸引することで口内に放出される。このとき吸引で発生する負圧により、アタッチメント4から放出された水素が蓋部材2内を流れ、蓋部材2内に露出した喫煙装置本体5の上部の周囲と、ノズル部8の内壁との隙間を通過してニコチン含有空気と混合して口内に案内される。これを加熱することで芳香付きのニコチン等含有蒸気を発生させることも考えられる。
【0030】
図2には、喫煙装置本体5が挿入された状態の本喫煙兼水素吸引装置1の具体的な構成例が示されている。
図2の(a)は喫煙兼水素吸引装置1の正面図、(b)は天面図、(c)は左側面図、(d)は右側面を示している。(a)は喫煙兼水素吸引装置1の蓋部材2が取り外された状態であり、蓋部材2を外した(開けた)状態で上部右側の開口から下方に延びる筒状の喫煙装置受容部(以下、「受容部」とも称する)20を有する。この受容部20に喫煙装置本体5を挿入する。喫煙装置本体は5は、汎用の筒型の加熱式電子タバコの本体部である。以下、汎用の加熱式電子タバコについて例示する。
【0031】
図3には加熱式電子タバコ100の概要を示している。
図3に示す汎用の加熱式電子タバコ100は、概ね3つの部材で構成されており、左から喫煙カートリッジ25、上記喫煙装置本体5、バッテリー部30が示されており、これらの部材が長手方向に連結される。喫煙カートリッジ25は、粒粉状等の微細片のタバコ葉を包装紙に封入された使い捨ての円筒形ものであり、蒸気が放出される孔が設けられている。タバコ葉は芳香剤と均一年度になるまで混ぜ合わせても良く、健康促進又は禁煙用にタバコ葉を含有せず芳香材料のみで形成されても良い(
図3(a)に写真図例)。
【0032】
喫煙時には上記喫煙カートリッジ25を喫煙装置本体5の上端(
図3の左端)から押し込んで内在する空洞の蒸気チャンバー(図示せず)に挿入する。略円筒形状の喫煙装置本体5の上部の内壁は喫煙カートリッジ25が挿入しやすいように上方に開くテーパ形状の勾配が形成されている、又は喫煙カートリッジ25の底部に蒸気チャンバーの空洞表面に応じた差込口が設けられて固定しやすく、接触面積を拡大して熱伝導しやすいようにしている。喫煙装置本体5は上部を吸い込み負圧が発生するとON状態になって後述するバッテリー30内の充電池から電力が供給され、加熱器により蒸気チャンバーが熱せられる。そして、喫煙カートリッジ25内のタバコ葉内の水分が蒸気かするとともにニコチン成分(及び/又は芳香成分)が放出される。その意味で、吸引によりニコチン等含有蒸気を経口摂取する装置としては、喫煙装置本体5と喫煙カートリッジ25で足りる。なお、喫煙装置本体5は、
図3の例では喫煙カートリッジ25を5回使用可能な半使い捨て装置である。
【0033】
喫煙装置本体5の下端(
図3右端)でバッテリー30と連結可能である。バッテリー30が、連結した状態で喫煙装置本体5とが1つの円筒棒になる形状を有する。
図3(b)の写真図例に示すように喫煙装置本体5の下端とバッテリー30の上端とには、それぞれ互いに連結し得るアタッチメント5a、30bが設けられている。
図3の例では、喫煙装置本体5側のアタッチメント5aにネジ溝を設けた凹部、バッテリー30側のアタッチメント30aにネジ山を設けた凸部が形成されており、互いに軸回転挿入させることで喫煙装置本体5とバッテリー30とを連結する。
【0034】
また、アタッチメント5aは喫煙装置本体5内の加熱器に電気的に接続された端子として、アタッチメント30aはバッテリー30内の充電池に電気的に接続された端子として、の機能も有している。したがって、アタッチメント5a、30aが連結されると、バッテリー30内の充電池から喫煙装置本体5内の加熱器に電力が供給され、蒸気チャンバを介して喫煙カートリッジ25のタバコ葉が加熱される。また、喫煙装置本体5は上端を吸引して負圧を作用させると内部の加熱器にバッテリー30からの電力が供給されるが、同時にバッテリー30からの電力が供給されているときには、バッテリー30の下端のLED30bが点灯する。
【0035】
ここで再び
図2に戻って本喫煙兼水素吸引装置1について説明する。喫煙兼水素吸引装置1の受容部20には上述した
図3の汎用の加熱式電子タバコの喫煙装置本体5が挿入される。受容部20の底部には圧力センサスイッチ19が配設され、その上端には電気端子としてアタッチメント30aと同形状の凸ネジ19aが設けられている。圧力センサスイッチ19は押圧されると充電池(リチウムバッテリ)4からの電力が凸ネジ19aに供給される。その意味で充電池4が
図3に示すバッテリー30の代替えとして機能する。すなわち、喫煙装置本体5が受容部20に挿入され、凸ネジ19aにアタッチメント5aが締結された状態で喫煙装置本体5を上方から押圧すると充電池4の電力が凸ネジ19aを介して喫煙装置本体5に供給され、喫煙カートリッジ25を加熱してニコチン等含有蒸気を吸引可能となる。
【0036】
なお、本喫煙兼水素吸引装置1の右側部(
図2(c)参照)には、電子タバコON/OFFスイッチ16cとLEDインジケータ16bと主電源/水素ボタン16aとが設けられている。電子タバコON/OFFスイッチ16cは、圧力センサスイッチ19のON/OFFスイッチであって、ONのときには喫煙装置本体5の下端のアタッチメント5aが凸ネジ19に連結されて押圧されると喫煙装置本体5への充電池4の電力供給がなされる状態になっており、OFFのときには圧力センサスイッチ19を押圧しても充電池4からの電力供給がなさない状態になる。また、主電源/水素ボタン16aは後述する電解槽3内の陽陰極6、7と主電源とのボタン式電力供給スイッチであり、押し方/時間により主電源のON/OFFと陽陰極6、7への電力供給ON/OFFとを兼用する。
【0037】
この例では、主電源/水素ボタン16aを3秒長押しすると5分間、陽陰極6、7に通電し水素を発生させ、3回押しを2秒間行うと主電源をOFFにする。なお、主電源はOFFにする動作を行わなくても自動的に20分経過するとOFFになる。また、主電源/水素ボタン16aは水素発生中は点灯し、その点灯色に応じて充電池4の残量表示機能も有する。この例では、電池残量20~80%の場合は青色に点灯し、電池残量80~100%の場合は白色に点灯する。また、LEDインジケータ16bは、上下2つのLEDが設けられており、上側LEDは電解槽3内の陽陰極6、7への電力供給が行われると点灯し、下側LEDは圧力センサスイッチ19がONになり喫煙装置本体5への通電が行われると点灯する。なお、電子タバコON/OFFスイッチ16c、LEDインジケータ16b、主電源/水素ボタン16それぞれの点灯は内部のインジケータ基盤26による制御される。
【0038】
上述したように圧力センサスイッチ19がONになると充電池4からの電力は、制御基板17により一対の陽陰電極6、7にも電力供給される。
図2(c)に示すように一対の陽陰電極6、7は電解槽5の内底部に横向き配設されても良く、
図5に示すように縦向きに配設されても良い。なお、充電池4は喫煙兼水素吸引装置1の側部のUSB端子16dから入電することができ、充電される(
図2(d)参照)。
【0039】
次に、
図4を参照しつつ、電解槽3内の構成や陽陰電極6、7が通電した場合の電解槽3内における電気分解の様子について説明する。
図4に示すように貯水された電解槽3は概ね、中空で長手方向に延びる筒部材3bと、筒部材3bの底部を閉鎖する底部材3aと、筒部材3aの上部を閉鎖する蓋部材3c、3d(3cと3dとは一体成形であっても良い)と、で構成されている。陽陰電極6、7を通電させると、陽電極6の近傍には酸素(O
2)が発生し、陰電極7の近傍には水素(H
2)が発生する。発生した酸素及び水素は、水よりも比重が軽いため、上方に移動し、それぞれ隙間3gへと移動する。ここで、電解槽3はその上端から下方に延びて電解槽3を陰電極7側の水素ガス発生層12と陽電極6側の酸素ガス発生層13とに区分けする仕切り部材8が設けられている。仕切り部材8の下端は、水素ガス発生層12と酸素ガス発生層13とを流体的に接続させるように底部材3aの上面から隙間3gが設けられている。
【0040】
この仕切り部材8により酸素及び水素の上方への移動中において、電解槽3内での酸素と水素との混合が阻害される。一方で、仕切り部材8で仕切られない仕切り板8の下部に設けられた上記隙間3gの下部においては、水(H2O)の自由な移動、すなわち酸素及び水素の発生に必要なイオン(「OH-」及び「H+」)の移動が可能である。このように、仕切り部材50によって、電気分解をしつつ酸素と水素の混合の阻害を達成している。
【0041】
蓋部材3cは、酸素ガス発生層13の上部を閉鎖するが、蓋部材3cの一部又は蓋部材3cと仕切り部材8又は筒部材3bとの間に開口3eを設けている。開口3eは酸素透過膜9で閉鎖されている。したがって、隙間3g等により水素ガス発生層12から酸素ガス発生層13に水素が漏洩しても酸素透過膜9により外部に放出される気体は酸素のみに限定される。この酸素透過膜9は、
図2に示す電解液注入口/水素発生口14(後述)に配設しても良いが、電解槽3に専用に設けた孔に配設するのが好ましい。
【0042】
また、水素ガス発生層12でも、蓋部材3dにより水素ガス発生層12の上部が閉鎖されるが、水素ガス発生層12側の筒部材3bの上部に開口3fが設けられる。開口3fは、バイパス流路3hに連結している。したがって、陰電極7で発生した水素ガス発生層12内の水素は、バイパス流路3hに流入し、上方に流れることとなる。
【0043】
図4の開口3f~バイパス流路3hの水素の流路について
図2の例では、電解液注入口/水素発生口14が開口3f、電解槽3の上部と蓋部材2との隙間がバイパス流路3hに相当する。電解液注入口/水素発生口14は、上述したように電解槽5内に電解液又は水を注入する流入口としての機能と、電解槽5内の水素を外部に放出する開口3fとしての機能と、を有している。電解液注入口/水素発生口14に取り外し可能にネジ締結し得る形状を有しており、ネジを緩めて取り外した状態で電解液又は水を開口3fから注入する。また、ネジを締結した状態では電解槽5内の電解液等の漏出を抑えるが電解液注入口/水素発生口14に別途設けた孔等を塞ぐ水素等ガス透過膜(図示せず)から水素を放出する。
【0044】
放出された水素は
図2の点線に示すように、蓋部材2内を左方向(喫煙装置本体5方向)に流れる。蓋部材2は、左端に上端に開口を設けて突出する筒状のノズル部2aを有し、喫煙装置本体5の上端と電解液注入口/水素発生口14とを覆って電解槽5の上部に配設される取り外し可能な一体部材である。蓋部材2が電解槽3の上部に装着されたときにノズル部2aはその開口内に喫煙装置本体5の上端が周囲に隙間26を設けて入れ子状に入った状態となる。ノズル部2aを吸引すると、電解液注入口/水素発生口14から流れてきた水素(高濃度水素含有空気)が隙間26を上昇し、外部に放出される(
図2の点線参照)。これにより高濃度水素を摂取可能となる。また、喫煙装置本体5に電力供給されている場合は、喫煙カートリッジ25からのニコチン及び/又は芳香剤含有空気と高濃度水素との混合ガスを摂取することができる。なお、本喫煙兼水素吸引装置1は開閉可能なカバー1aを備えており、
図2の例ではカバー1aが開放された状態を示している。なお、電解槽3内の液量を視認できるように喫煙兼水素吸引装置1の側部に電解槽5内の液量を覗ける開口(電解液確認窓)3iが設けている。
【0045】
参考までに
図6に本発明の喫煙兼水素吸引装置1の実施形態例の外観写真図を示している。
図6(a)は喫煙兼水素吸引装置1を左斜め前方から見たものであり、(b)は喫煙兼水素吸引装置1を右斜め前方から見たものであり、(c)は(a)の左斜前方から見た喫煙兼水素吸引装置1のカバー1aを開放した状態を示したものである。意匠上、
図2の例と異なる部分もあるが、主たる構造は概ね同様であり、
図6に付す参照番号は
図2の例と同様のものである。
【0046】
以上、本発明の喫煙兼水素吸引装置についてその実施形態を例示説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲および明細書等の記載の精神や教示を逸脱しない範囲で他の変形例や改良例が得られることが当業者は理解できるであろう。
【符号の説明】
【0047】
1 喫煙兼水素吸引装置
2 蓋部材
3 電解槽
4 充電池
5 喫煙装置本体
6 陽電極
7 陰電極
8 ノズル部
17 制御手段
18 操作ボタン(操作手段)
19 圧力センサスイッチ
19a 凸ネジ
20 喫煙装置受容部(受容部)
25 喫煙カートリッジ