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特許7251015ハイサイドドライバのための逆方向電流保護を提供する回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】ハイサイドドライバのための逆方向電流保護を提供する回路
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/08 20060101AFI20230328BHJP
   H02H 7/20 20060101ALI20230328BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20230328BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230328BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
H02H3/08 T
H02H7/20 C
H02H7/18
H02J7/00 S
B60R16/02 650S
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020546995
(86)(22)【出願日】2019-03-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 US2019020662
(87)【国際公開番号】W WO2019173275
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】15/913,465
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】スリ ナヴァネーサクリシュナ イーシュワラン
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー パウル デュリエ
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-106965(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0058320(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/08
H02H 7/20
H02H 7/18
H02J 7/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイサイドドライバのための電子制御ユニット(ECU)であって、
第1の電圧を搬送する第1の電圧レールと前記第1の電圧よりも小さい第2の電圧を搬送する第2の電圧レールとの間に直列に結合される1及びのスイッチングトランジスタを含む増幅器回路であって、前記第1及び第2のスイッチングトランジスタのそれぞれのゲートを制御するように結合される、前記増幅器回路
前記ハイサイドドライバ上のバスピンを接地への短絡バッテリーへの短絡の両方から保護するために結合される単一電流感知回路であって
前記第1のスイッチングトランジスタと前記第2のスイッチングトランジスタとの間に位置する入力ノードと、
通常動作の間前記入力ノードから前記バスピンに電流を通すように結合されるスイッチ回路と、
前記入力ノード前記第1の電圧レールに結合される順方向電流感知回路であって、第1の出力ノード上に第1の電流を提供して第2の出力ノード上に第2の電流を提供するように結合され、前記第1及び第2の電流の各々が前記バスピンにおける出力電流に比例し、前記バスピン上のバス電圧が所与の値を上回るとき前記第1及び第2の電流が実質的にゼロである、前記順方向電流感知回路と、
前記第2のスイッチングトランジスタの前記ゲートに結合されて前記第2の電流を受け取るように結合される逆方向電流スイッチング回路であって、前記第2の電流出力がゼロであるとき前記第2のスイッチングトランジスタをオフにするように更に結合される、前記逆方向電流スイッチング回路と、
前記順方向電流感知回路前記第1の電圧レール前記第2の電圧より小さい第3の電圧を提供する第3の電圧レールに結合される順方向電流保護回路であって、接地への短絡に応答して前記スイッチ回路をオフにするように結合される、前記順方向電流保護回路と、
を含む、前記単一電流感知回路と、
を含む、ECU。
【請求項2】
請求項1に記載のハイサイドドライバのためのECUであって、
前記第2のスイッチングトランジスタがp型金属酸化物シリコン(PMOS)トランジスタであり、
前記逆方向電流スイッチング回路が、
前記第2の電流を受け取るように結合される第1のノード
前記第1のノードと前記第3の電圧レールとの間に結合される第1の電流シンク
前記第2のスイッチングトランジスタの前記ゲートと前記第3の電圧レールとの間に結合される第1のn型金属酸化物シリコン(NMOS)トランジスタであって、前記第1のノードと前記第1の電流シンクとの間の点に結合されるゲートを有する、前記第1のNMOSトランジスタ
前記第2のスイッチングトランジスタの前記ゲートと前記第3の電圧レールとの間に結合される第1の抵抗器
を含む、ECU。
【請求項3】
請求項2に記載のハイサイドドライバのためのECUであって、
前記スイッチ回路が、
第2の抵抗器と、
前記第1の電圧レールと前記入力ノードとの間に前記第2の抵抗器と共に直列に結合される第1の電流源であって、第2のノード上に安定電圧を提供する、前記第1の電流源
前記入力ノードと前記バスピンとの間に直列に結合される第2及び第3のNMOSトランジスタであって、前記第2のノードに結合され第1のダイオードと第2のダイオードを介して前記第1及び第2のNMOSトランジスタの共通ソースに更に結合されるそれぞれのゲートを有する、前記第2及び第3のNMOSトランジスタ
を含む、ECU。
【請求項4】
請求項3に記載のハイサイドドライバのためのECUであって、
前記順方向電流感知回路が、
第1、第2及び第3のPMOSトランジスタであって、前記第1、第2及び第3のPMOSトランジスタの各々が、前記第1の電圧レールに結合されるソースと、共に結合されるそれぞれのゲートとを有し、前記第1のPMOSトランジスタのドレインが前記第1のPMOSトランジスタのゲートに結合され、前記第2のPMOSトランジスタのドレインが前記第1の電流を供給し、前記第3のPMOSトランジスタのドレインが前記第2の電流を供給する、前記第1、第2及び第3のPMOSトランジスタ
前記第1のPMOSトランジスタのドレインと、前記第2及び第3のNMOSトランジスタのそれぞれのソースの間に結合される第3のノードとの間に、第3のダイオードと共に直列に結合される第4及び第5のNMOSトランジスタであって、前記第5のNMOSトランジスタが前記第2及び第3のNMOSトランジスタのそれぞれのゲートに結合されるゲートを有する、前記第4及び第5のNMOSトランジスタ
前記入力ノードに結合される非反転入力と、前記第3のダイオードと前記第5のNMOSトランジスタとの間の第4のノードに結合される反転入力と、前記第4のNMOSトランジスタのゲートに結合される出力とを有する第1の演算増幅器
を含む、ECU。
【請求項5】
請求項4に記載のハイサイドドライバのためのECUであって、
前記順方向電流感知回路が、前記第4のノードと前記第3の電圧レールとの間に結合される第2の電流シンクを更に含む、ECU。
【請求項6】
請求項4に記載のハイサイドドライバのためのECUであって、
前記順方向電流保護回路が、
第3の抵抗器と、
第4のダイオードと、
前記第1の電圧レールと前記第3のノードとの間に前記第3の抵抗器と第4のダイオードと共に直列に結合される第6及び第7のNMOSトランジスタであって、前記第6のNMOSトランジスタが前記第1の演算増幅器の前記出力に結合されるゲートを有し、前記第7のNMOSトランジスタが前記第2のNMOSトランジスタの前記ゲートに結合されるゲートを有する、前記第6及び第7NMOSトランジスタと
前記第1の電圧レールと前記第3の電圧レールとの間第3の電流シンク(If_ref)と共に直列に結合される第4の抵抗器
第2の演算増幅器であって、前記第3の抵抗器と前記第6のNMOSトランジスタとの間の第5のノードに結合される非反転入力、前記第4の抵抗器と前記第3の電流シンクとの間の第6のノードに結合される反転入力、第5のダイオードを介して前記第2及び第3のNMOSトランジスタの前記それぞれのゲートに結合される出力を有する、前記第2の演算増幅器
を含む、ECU。
【請求項7】
請求項1に記載のハイサイドドライバのためのECUであって、
前記増幅器回路が浮遊増幅器である、ECU。
【請求項8】
請求項2に記載のハイサイドドライバのためのECUであって、
前記増幅器回路が、
第2の電流シンクと、
第4のPMOSトランジスタと、
第5のPMOSトランジスタと、
第6のPMOSトランジスタと、
前記第1の電圧レールと前記第3の電圧レールとの間に前記第4のPMOSトランジスタ第2の電流シンクと共に直列に結合される第8のNMOSトランジスタ
前記第1の電圧レールと前記第3の電圧レールとの間に前記第5のPMOSトランジスタと共に直列に結合される第2の電流源
前記第6のPMOSトランジスタに直列に結合される第3の電流源
更に含み、
前記第3の電流源の端子が前記第1の電圧レールに結合され、前記第6のPMOSトランジスタのドレインが前記第2のスイッチングトランジスタの前記ゲートに結合され、前記第4のPMOSトランジスタが、前記第6のPMOSトランジスタのゲート前記第4のPMOSトランジスタのドレインに結合されるゲートを有し、前記第1のスイッチングトランジスタのゲートが前記第2の電流源と前記第5のPMOSトランジスタとの間のノードに結合される、ECU。
【請求項9】
請求項1に記載のハイサイドドライバのためのECUであって、
前記第1の電圧が約14Vであり、前記第2の電圧が約7Vであり、前記第3の電圧が局地接地である、ECU。
【請求項10】
トランシーバチップであって、
複数のデコーダ
複数のトランシーバであって、前記複数のトランシーバの各々がそれぞれのチャネルを介して前記複数のデコーダのそれぞれのデコーダに結合され、前記複数のトランシーバのトランシーバがハイサイドドライバのための電子制御ユニット(ECU)を含む、前記複数のトランシーバと
を含み、
前記ECUが、
第1の電圧レールと第2の電圧レールとの間に直列に結合される第1及び第2のスイッチングトランジスタを含む増幅器回路であって、前記第1及び第2のスイッチングトランジスタのそれぞれのゲートを制御するように結合される、前記増幅器回路
前記ECU上のバスピンを接地への短絡バッテリーへの短絡の両方から保護するために結合される単一電流感知回路であって
前記第1のスイッチングトランジスタと前記第2のスイッチングトランジスタとの間に位置する入力ノードと、
通常動作の間前記入力ノードから前記バスピンに電流を通すように結合されるスイッチ回路と、
前記入力ノード前記第1の電圧レールに結合される順方向電流感知回路であって、第1の出力ノード上に第1の電流を提供して第2の出力ノード上に第2の電流を提供するように結合され、前記第1及び第2の電流の各々が前記バスピンにおける出力電流に比例し、前記バスピン上のバス電圧が或る選択された値を上回るとき前記第1及び第2の電流が実質的にゼロである、前記順方向電流感知回路と、
前記第2のスイッチングトランジスタの前記ゲートに結合されて前記第2の電流を受け取るように結合される逆方向電流スイッチング回路であって、前記第2の電流出力がゼロであるとき前記第2のスイッチングトランジスタをオフにするように結合される、前記逆方向電流スイッチング回路と、
前記順方向電流感知回路前記第1の電圧レール第3の電圧レールに結合される順方向電流保護回路であって、接地への短絡に応答して前記スイッチ回路をオフにするように結合される、前記順方向電流保護回路と、
を含む、前記単一電流感知回路と、
を含む、トランシーバチップ。
【請求項11】
請求項10に記載のトランシーバチップであって、
前記第2のスイッチングトランジスタがp型金属酸化物シリコン(PMOS)トランジスタであり、
前記逆方向電流スイッチング回路が、
前記第2の電流を受け取るように結合される第1のノード
前記第1のノードと前記第3の電圧レールとの間に結合される第1の電流シンク
前記第2のスイッチングトランジスタのゲートと前記第3の電圧レールとの間に結合される第1のn型金属酸化物シリコン(NMOS)トランジスタであって、前記第1のノードと前記第1の電流シンクとの間の点に結合されるゲートを有する、前記第1のNMOSトランジスタ
前記第2のスイッチングトランジスタの前記ゲートと前記第3の電圧レールとの間に結合される第1の抵抗器
を含む、トランシーバチップ。
【請求項12】
請求項11に記載のトランシーバチップであって、
前記増幅器回路が、
第2の電流シンクと、
第4のPMOSトランジスタと、
第5のPMOSトランジスタと、
第6のPMOSトランジスタと、
前記第1の電圧レールと前記第3の電圧レールとの間に前記第4のPMOSトランジスタと前記第2の電流シンクと共に直列に結合される第8のNMOSトランジスタ
前記第1の電圧レールと前記第3の電圧レールとの間に前記第5のPMOSトランジスタと共に直列に結合される第2の電流源
前記第6のPMOSトランジスタに直列に結合される第3の電流源
更に含み、
前記第3の電流源の端子が前記第1の電圧レールに結合され、前記第6のPMOSトランジスタのドレインが前記第2のスイッチングトランジスタの前記ゲートに結合され、第4のPMOSトランジスタが、前記第6のPMOSトランジスタのゲート前記第4のPMOSトランジスタのドレインに結合されるゲートを有し、前記第1のスイッチングトランジスタのゲートが前記第2の電流源と前記第5のPMOSトランジスタとの間のノードに結合される、トランシーバチップ。
【請求項13】
請求項10に記載のトランシーバチップであって、
前記複数のトランシーバが周辺機器センサインタフェーストランシーバである、トランシーバチップ。
【請求項14】
システムオンチップ(SOC)であって、
第1の電圧を提供する第1の電圧レールと、前記第1の電圧より小さい第2の電圧を提供する第2の電圧レールと、前記第2の電圧より小さい第3の電圧を提供する第3の電圧レールとを提供するように結合される電力供給モジュールと、
前記第2及び第3の電圧レールを受け取るように結合される第1の複数のトランシーバと、
前記第1、前記第2及び前記第3の電圧レールを受け取るように結合される第2の複数のトランシーバであって、前記第2の複数のトランシーバの各々がそれぞれのチャネルを介して複数のデコーダのそれぞれのデコーダに結合され、前記第2の複数のトランシーバのトランシーバがハイサイドドライバのためのECUを含む、前記第2の複数のトランシーバと、
を含み、
前記ECUが、
前記第1の電圧レールと前記第2の電圧レールとの間に直列に結合される第1及び第2のスイッチングトランジスタを含む増幅器回路であって、前記第1及び第2のスイッチングトランジスタのそれぞれのゲートを制御するように結合される、前記増幅器回路と、
接地への短絡とバッテリーへの短絡との両方から前記ECU上のバスピンを保護するために結合される単一感知回路であって、
前記第1のスイッチングトランジスタと前記第2のスイッチングトランジスタとの間に位置する入力ノードと、
通常動作の間に前記入力ノードから前記バスピンに電流を流すように結合されるスイッチ回路と、
前記入力ノードと前記第1の電圧レールとに結合される順方向電流感知回路であって、第1の電流と第2の電流とを提供するように結合され、前記第1及び第2の電流の各々が前記バスピンにおける出力電流に比例し、前記バスピン上のバス電圧が或る選択された値を上回るときに前記第1及び第2の電流が実質的にゼロである、前記順方向電流感知回路と、
前記第2のスイッチングトランジスタのゲートに結合されて前記第2の電流を受け取るように結合される逆方向電流スイッチング回路であって、前記第2の電流がゼロであるときに前記第2のスイッチングトランジスタをオフにするように更に結合される、前記逆方向電流スイッチング回路と、
前記順方向電流感知回路と前記第1の電圧レールと前記第3の電圧レールとに結合される順方向電流保護回路であって、接地への短絡に応答して前記スイッチ回路をオフにするように結合される、前記順方向電流保護回路と、
を含む、SOC。
【請求項15】
請求項14に記載のSOCであって、
前記第2のスイッチングトランジスタがp型金属酸化物シリコン(PMOS)トランジスタであり、
前記逆方向電流スイッチング回路が、
前記第2の電流を受け取るように結合される第1のノード
前記第1のノードと前記第3の電圧レールとの間に結合される第1の電流シンク
前記第2のスイッチングトランジスタのゲートと前記第3の電圧レールとの間に結合される第1のn型金属酸化物シリコン(NMOS)トランジスタであって、前記第1のノードと前記第1の電流シンクとの間の点に結合されるゲートを有する、前記第1のNMOSトランジスタ
前記第2のスイッチングトランジスタの前記ゲートと前記第3の電圧レールとの間に結合される第1の抵抗器
を含む、SOC。
【請求項16】
請求項15に記載のSOCであって、
前記増幅器回路が、
第2の電流シンクと、
第4のPMOSトランジスタと、
第5のPMOSトランジスタと、
第6のPMOSトランジスタと、
前記第1の電圧レールと前記第3の電圧レールとの間に前記第4のPMOSトランジスタと前記第2の電流シンクと共に直列に結合される第8のNMOSトランジスタと、
前記第1の電圧レールと前記第3の電圧レールとの間に前記第5のPMOSトランジスタと共に直列に結合される第2の電流源と、
前記第6のPMOSトランジスタに直列に結合される第3の電流源と、
を更に含み、
前記第3の電流源が前記第1の電圧レールに結合される端子を有し、前記第6のPMOSトランジスタが前記第2のスイッチングトランジスタのゲートに結合されるドレインを有し、前記第4のPMOSトランジスタが前記第6のPMOSトランジスタのゲートと前記第4のPMOSトランジスタのドレインとに結合されるゲートを有し、前記第1のスイッチングトランジスタのゲートが前記第2の電流源と前記第5のトランジスタとの間のノードに結合される、SOC。
【請求項17】
請求項14に記載のSOCであって、
前記第2の複数のトランシーバが周辺機器センサインタフェーストランシーバである、SOC。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して電子回路に関し、より詳細にはハイサイドドライバのための逆方向(reverse)電流保護を提供する回路に関する。
【背景技術】
【0002】
周辺機器センサインタフェース(PSI)は発展しつつあるオートモーティブ規格であり、PSI5が現行版であり、ローカル相互接続ネットワーク(LIN)の代替と考えられている。多数のオートモーティブ用途が、エアバッグ加速度センサ、超音波、動力伝達装置、制動応用例などのPSIプロトコルを用いている。PSIトランシーバの電子制御ユニット(ECU)は、ベース電圧などの電力と同期(SYNC)パルスをセンサに供給し、同期パルスは、センサからデータ収集を開始する。センサは、電流変調されたデータに応答し、ECUがこれを感知してデジタル波形に変換する。トランシーババスピン(出力)は、接地又はバッテリーのいずれかに短絡する可能性があり、障害保護のために双方向電流感知を必要とする。以下に説明するように、接地への短絡とバッテリーへの短絡に対する保護は従来は2つの異なる回路を用いており、これはチップのための面積の増加と電力消費の増加の両方につながる。保護回路のためのより小さなフットプリント及び一層低い電力消費が望まれる。
【発明の概要】
【0003】
記載される例は、接地への短絡及びバッテリー保護への短絡の両方のための単一電流感知経路を提供し、両方の保護を提供するための2つ又はそれ以上の電流感知ループの使用を排除する。これにより、回路に必要な面積と、回路の動作に必要な電力の両方における効率が提供される。
【0004】
一態様において、ハイサイドドライバのための電子制御ユニットが、第1の電圧を搬送する第1の電圧レールと、第1の電圧よりも小さい第2の電圧を搬送する第2の電圧レールとの間で第2のスイッチングトランジスタに直列に結合される第1のスイッチングトランジスタを含む増幅器回路と、ハイサイドドライバ上のバスピンを接地への短絡及びバッテリーへの短絡の両方から保護するように結合される単一電流感知回路とを含む。増幅器回路は、第1及び第2のスイッチングトランジスタのそれぞれのスイッチングトランジスタのゲートを制御するように結合される。単一電流検出回路は、第1のスイッチングトランジスタと第2のスイッチングトランジスタとの間に位置する入力ノードと、通常動作の間、入力ノードからバスピンに電流を通すように結合されるスイッチ回路と、入力ノードに及び第1の電圧レールに結合され、第1の出力ノードに第1の電流を、第2の出力ノードに第2の電流を供給するように結合される順方向電流検出回路と、第2の電流を受け取るように結合される逆方向電流スイッチング回路と、順方向電流検出回路、第1の電圧レール、及び第3の電圧レールに結合される順方向電流保護回路とを含む。第1の電流及び第2の電流の各々は、バスピンにおける出力電流にそれぞれ比例し、バスピン上のバス電圧が所与の値を上回ると、第1及び第2の電流が実質的にゼロになる。逆方向電流スイッチング回路は、更に第2のスイッチングトランジスタのゲートに結合され、第2の電流出力がゼロであるとき第2のスイッチングトランジスタをオフにするように結合される。順方向電流保護回路は、第2の電圧よりも小さい第3の電圧を提供し、更に、接地への短絡に応答してスイッチ回路をオフにするように結合される。
【0005】
別の態様において、トランシーバチップが、複数のデコーダと、複数のトランシーバとを含む。複数のトランシーバの各々は、それぞれのチャネルを介して複数のデコーダのそれぞれのデコーダに結合される。複数のトランシーバの各々は、ハイサイドドライバのための電子制御ユニット(ECU)を含む。ECUは、第1の電圧レールと第2の電圧レールとの間の第2のスイッチングトランジスタに直列に結合される第1のスイッチングトランジスタを含む増幅器回路と、ECU上のバスピンを接地への短絡及びバッテリーへの短絡の両方から保護するように結合される単一電流感知回路とを含む。増幅器回路は、第1及び第2のスイッチングトランジスタのそれぞれのゲートを制御するように結合される。単一電流感知回路は、第1のスイッチングトランジスタと第2のスイッチングトランジスタとの間に位置する入力ノードと、通常動作の間、入力ノードからバスピンに電流を通すように結合されるスイッチ回路と、入力ノードに及び第1の電圧レールに結合される順方向電流感知回路と、第2の電流を受け取るように結合され、第2のスイッチングトランジスタのゲートに更に結合される逆方向電流スイッチング回路と、順方向電流感知回路に結合され、第1の電圧レール及び第3の電圧レールに結合される、順方向電流保護回路とを含む。順方向電流感知回路は、第1の出力ノードに第1の電流を、第2の出力ノードに第2の電流を提供するように結合され、第1の電流及び第2の出力ノードに第2の電流を提供するように結合され、バスピンにおける出力電流にそれぞれ比例し、バスピン上のバス電圧が選択された値を上回るとき第1及び第2の電流が実質的にゼロである。逆方向電流スイッチング回路は、第2の電流がゼロであるとき、第2のスイッチングトランジスタをオフにするように結合される。順方向保護回路は、接地への短絡に応答してスイッチ回路をオフにする。
【0006】
更に別の態様において、システムオンチップ(SOC)は、第1の電圧を提供する第1の電圧レールと、第1の電圧よりも小さい第2の電圧を提供する第2の電圧レールと、第2の電圧よりも小さい第3の電圧を提供する第3の電圧レールとを提供するように結合される電力供給モジュール;第2及び第3の電圧レールを受けとるように結合される第1の複数のトランシーバ;第1、第2、及び第3の電圧レールを受けとるように結合される第2の複数のトランシーバを含む。第2の複数のトランシーバの各々は、それぞれのチャネルを介して複数のデコーダのそれぞれのデコーダに結合されており、第2の複数のトランシーバのトランシーバが、ハイサイドドライバのためのECUを含み得る。ECUは、第1の電圧レールと第2の電圧レールとの間で第2のスイッチングトランジスタに直列に結合される第1のスイッチングトランジスタと、ECU上のバスピンを接地への短絡及びバッテリーへの短絡の両方から保護するように結合される単一感知回路とを含む増幅器回路を含む。増幅器回路は、第1及び第2のスイッチングトランジスタのそれぞれのゲートを制御するように結合される。単一感知回路は、第1のスイッチングトランジスタと第2のスイッチングトランジスタとの間に位置する入力ノードと、通常動作の間、入力ノードからバスピンに電流を通すように結合されるスイッチ回路と、入力ノードに及び第1の電圧レールに結合される順方向電流感知回路と、第2の電流を受け取るように結合され、更に、第2のスイッチングトランジスタのゲートに結合される逆方向電流スイッチング回路と、順方向電流感知回路に、第1の電圧レール及び第3の電圧レールに結合される順方向電流保護回路とを含む。順方向電流感知回路は、第1の電流及び第2の電流を供給するように結合され、第1の電流及び第2の電流の各々が、バスピンにおける出力電流に比例し、バスピン上のバス電圧が選択値を上回るとき、第1及び第2の電流が実質的にゼロである。逆方向電流スイッチング回路は、第2の電流がゼロであるとき、第2のスイッチングトランジスタをオフにするように結合される。順方向電流保護回路は更に、接地への短絡に応答してスイッチ回路をオフにするように結合されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本記載の一実施例に従って感知回路を用い得るハイサイドドライバのためのECUの高レベルの概略を示す。
【0008】
図2】従来のハイサイドドライバのためのECUの幾分より詳細な概略を示す。
【0009】
図3A】従来のハイサイドドライバのためのECUの実装を示す。
図3B】従来のハイサイドドライバのためのECUの実装を示す。
【0010】
図4】本記載の一実施例に従った、ハイサイドドライバのためのECUの一部の実装を示す。
【0011】
図5】本記載の一実施例に従った、記載された保護回路を用い得るスタンドアロンPSI5トランシーバチップを含むシステムの高レベルの概略を示す。
【0012】
図6】本記載の一実施例に従った、記載された保護回路を用い得るSOCを含むシステムの高レベルの概略を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面において、類似の参照符号は同様の要素を示す。本記載における「或る」又は「一つの」実施例への異なる言及は、必ずしも同じ実施例を意味するものではなく、そのような言及は少なくとも一つを意味し得る。更に、特定の特徴、構造、又は特性が一実施例と関連して記載されている場合、そのような特徴、構造、又は特性は、明示的に記載されているかどうかにかかわらず、他の実施例に関連して実施され得る。本明細書で用いられるように、「結合する」という語は「通信可能に結合される」(ワイヤレス接続を含み得る)として限定されない限り、間接的又は直接的な電気的接続である。そのため、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は、直接的な電気的接続を介するもの、又は他のデバイス及び接続を介する間接的電気的接続を介するものであり得る。
【0014】
図1は、ハイサイドドライバのためのECU102と、双方向信号線116を介してECUのバスピンOUTxに結合されるセンサ104とを含むオートモーティブシステム100の高レベルの概略を示す。この図では一つのセンサのみが示されているが、典型的には多数のセンサがECU102に結合される。一実施例のオートモーティブシステム100は、例えばPSI5などのPSIプロトコルを用いて動作するように設計されているが、オートモーティブシステム100は他のオートモーティブプロトコルで動作することもできる。PSI5プロトコルでは、双方向信号線116がセンサとデータ送信の両方に電力を供給する2ワイヤ接続である。ECU102は、例えば5Vであり得るVCCのレールと局地接地との間で動作する低電圧論理回路106を含む。ECU102はまた、14~40Vの範囲で典型的に「高い」電圧を有するレールVDD_HVと、一実施例において約7Vの電圧を有する「中間の」電圧を有するレールVDD_MVとの間で動作する高電圧同期パルス生成及び電流感知回路108を含む。
【0015】
低電圧論理回路106は、同期パルス生成及び電流感知回路108に信号110を提供し、同期パルス生成及び電流感知回路108は、関連するセンサからデータ収集を開始するために同期パルスが提供されるべきであることを示すことができる。同期パルス生成及び電流感知回路108は、バスピンOUTxに信号112を提供する。信号112は例えば、オートモーティブシステム100が作動しているときに7Vのベース電圧を提供し得る。信号110上のパルスの受信に応答して、同期パルス生成及び電流感知回路108は同期パルスを提供し、その一実施例は12Vである。同期パルスはセンサ104からの応答をトリガし、これは、双方向信号線116上の電流変調を用いて信号114を提供し、センサの通常(静止)電流消費によって表される「低」レベルと、センサの増加した電流シンクによって生成される「高」レベルを有する。同期パルス生成及び電流感知回路108は電流の変化を検出し、デジタル信号を提供するように構成される。
【0016】
双方向性信号線116は、オートモーティブシステムを介して数メートル走り得る。オートモーティブシステム100の寿命の間、バスピンOUTxは、バッテリー又は接地のいずれかに不用意に短絡される可能性があるため、これらの条件のいずれかが発生した場合にはECU102を保護しなければならない。図2は、図1を幾分詳細にしたものであるオートモーティブシステム200を示す。ECU202は、低電圧論理回路204、この例では浮遊増幅器である増幅器回路206、及び、順方向電流感知回路208と逆方向電流感知回路210の、2つの保護回路を含む。2つ又はそれ以上の別個の保護回路の使用は、これらの回路の各々がチップ上で大量の占有面積を使用し、走るためにかなりの電力消費を必要とする場合であっても、一般的である。PSI5プロトコルでは、デバイスあたり複数のチャネルが存在するため、各チャネルには順方向電流感知回路と逆方向電流感知回路の両方が必要となり、各々大きな面積が必要で、200mAの範囲の電流が消費される。
【0017】
図3A及び図3Bは共に、ECU202として用いられ得るハイサイドドライバ回路のためのECU300を示す。ECU300は、低電圧論理回路302、この場合も浮遊増幅器である増幅器回路304、順方向電流感知回路306、及び逆方向電流感知回路308を含む。低電圧論理回路302は、回路の低電圧部の上側レールと下側レールとの間のn型金属酸化物シリコン(NMOS)トランジスタMaに直列に結合された抵抗器R5及びR6を含む分圧器を含む。NMOSトランジスタMaは、回路がアクティブであるときにイネーブル信号を受信する。抵抗器R5とR6との間で取られる電圧が、増幅器310の非反転入力に結合され、増幅器310の出力は、増幅器310の反転入力に、また、電流源312に結合される。電流源312は、スイッチS1を介してノード316に結合され、電流シンク314も、第2のスイッチS2を介してノード316に結合される。同期化信号が、低電圧論理回路302の出力が下側レール又は基準電圧Vrefのいずれかに等しくなるようにスイッチS1、S2を制御し、一方、コンデンサC1が、低電圧論理回路302の出力信号と下側レールとの間で結合され、信号が、下側レールの値とVrefとの間で傾斜遷移を有することを確実にする。
【0018】
低電圧論理回路302によって生成された信号は増幅器回路304に供給され、増幅器回路304は、図示の実施例では、高電圧レールVDD_HV、中間電圧レールVDD_MV、及び低電圧レールVDD_LVを受け取る浮遊増幅器回路である。電圧レールVDD_HV、VDD_MV、及びVDD_LVは、それぞれ、第1、第2、及び第3の電圧レールと称され得る。一実施例において、高電圧レールVDD_HVは約14Vの第1の電圧を搬送し、中間電圧レールVDD_MVは約7Vの第2電圧を搬送し、低電圧レールVDD_LVは下側電圧レールとも呼ばれる第3の電圧の局地接地を搬送する。図3A図3Bに示す実施例では、無線周波数(RF)干渉を避けるために、増幅器回路304によって生成されたパルスに対して非常に制御された形状を有する必要がある。この必要性のために、受信した信号は、高電圧レールVDD_HV、中間電圧レールVDD_MV、及び低電圧レールVDD_LVの各々に結合されたパルス整形増幅器318の非反転入力上で受信される。ダイオードDHVが、示された回路から上流に移動する電流からの保護を提供する。
【0019】
パルス整形増幅器318は、p型金属酸化物シリコン(PMOS)トランジスタM4のゲートに結合される反転出力と、NMOSトランジスタM3のゲートに結合される非反転出力とを提供する。PMOSトランジスタM4は、高電圧レールVDD_HVに結合されるソースを有し、NMOSトランジスタM3は低電圧レールVDD_LVに結合されるソースを有する。PMOSトランジスタM5とNMOSトランジスタM6は、PMOSトランジスタM4とNMOSトランジスタM3のドレイン間で並列に結合され、PMOSトランジスタM5のゲートは、電流源Vbpを介して高電圧レールVDD_HVに結合され、NMOSトランジスタM6のゲートは、電流シンクVbnを介して低電圧レールに結合される。PMOSトランジスタM2は、VDD_HVとVDD_LVとの間でNMOSトランジスタM1に直列に結合される。PMOSトランジスタM2のゲートはPMOSトランジスタM4のドレインに結合され、NMOSトランジスタM1のゲートはNMOSトランジスタM3のドレインに結合される。ノード320はPMOSトランジスタM2とNMOSトランジスタM1のドレインの間に存在し、NMOSトランジスタMbとPMOSトランジスタMcのゲートを駆動するように結合され、また、抵抗器R7とR8を含む分圧器を介してパルス整形増幅器318の反転入力に結合されてフィードバックループを提供する。NMOSトランジスタMbは、電流シンク322を介してVDD_LVに結合されるソースと、VDD_HVに結合されるドレインとを有し、PMOSトランジスタMcは、電流源324を介してVDD_HVに結合されるソースと、VDD_LVに結合されるドレインとを有する。最後に、NMOSスイッチングトランジスタMsrが、高電圧レールVDD_HVと中間電圧レールVDD_MVとの間でPMOSスイッチングトランジスタMsnに直列に結合される。NMOSスイッチングトランジスタMsrのゲートは、電流源324とPMOSトランジスタMcとの間のノード326に結合され、PMOSスイッチングトランジスタMsnのゲートは、NMOSトランジスタMbと電流シンク322との間のノード328に結合される。NMOSスイッチングトランジスタMsrとPMOSスイッチングトランジスタMsnのソースの間にあるノード330は、順方向電流感知回路306と逆方向電流感知回路308の両方に信号を提供する。通常動作の間、例えば、短絡回路が存在しないとき、増幅器回路304は、センサに電力を供給するために中間電圧レールVDD_MVで搬送される値に等しいベース電圧を提供する。増幅器回路304がパルス整形増幅器318への入力上のパルスを受信すると、増幅器回路304は、RF干渉を最小化するように設計された正確な形状を有するパルスを提供する。
【0020】
順方向電流感知回路306内で、NMOSトランジスタM7F及びM7Rが、ノード330とバスピンOUTXとの間で直列に結合される。電流源332は、VDD_HVとノード330との間の抵抗器Rgに直列に結合され、電流源332と抵抗器Rgとの間のノードN2が、NMOSトランジスタM7FとM7Rのゲートに結合される。NMOSトランジスタM7F及びM7Rのゲートの、ノードN2上の安定電圧への結合により、接地への短絡時にNMOSトランジスタM7F及びM7Rが特にオフにならない限り、ノード330で受信した信号が確実にバスピンOUTxに渡されることが確実となる。
【0021】
また、順方向電流感知回路306内では、演算増幅器OA2が、PMOSトランジスタM8、M10、及びNMOSトランジスタM9、M16と共に、電流検知を実施し、演算増幅器Opfが、第3及び第4の抵抗器R3、R4、NMOSトランジスタM11、M12、ダイオードD3及び電流シンクIf_refと連携して、短絡対接地に対する保護を提供する。演算増幅器OA2の非反転入力は、送信信号を受信するためにノード330に結合され、その出力をNMOSトランジスタM16のゲートに供給する。PMOSトランジスタM8、及びNMOSトランジスタM16、M9は、高電圧レールVDD_HVと第3のノードN3との間に直列に結合されており、ノードN3は、それぞれ、第1のダイオード及び第2のダイオードとみなすことができるバックツーバックダイオードDl、D2を介して、NMOSトランジスタM7F、M7Rのゲートに結合される。NMOSトランジスタM16のソースとNMOSトランジスタM9のドレインとの間に位置するノードN4は、演算増幅器OA2の反転入力に結合され、NMOSトランジスタM9のゲートは、NMOSトランジスタM7F、M7Rのゲートと共通して、ノードN2に結合される。PMOSトランジスタM8はダイオード結合され、PMOSトランジスタM8のゲートは、PMOSトランジスタM10のゲートに更に結合され、PMOSトランジスタM10はVDD_HVとノードN7との間に結合され、これは更なる処理のための電流Ircvを提供する。
【0022】
接地への短絡から保護する順方向電流感知回路306の部分内では、抵抗器R3が、VDD_HVとノードN3との間でNMOSトランジスタM12及びM11に直列に結合され、抵抗器R4が、VDD_HVとVDD_LVとの間で電流シンクIf_refに直列に結合される。NMOSトランジスタM12のゲートは、演算増幅器OA2の出力に結合され、NMOSトランジスタM11のゲートがノードN2に結合され、抵抗器R3とNMOSトランジスタM12のドレインとの間の第5のノードN5が、演算増幅器Opfの非反転入力に結合される。第6のノードN6が、抵抗器R4と電流シンクIf_refとの間に存在し、演算増幅器Opfの反転ノードに結合され、演算増幅器Opfの出力は、ダイオードD3を介してノードN2に結合され、また、NMOSトランジスタM7F及びM7Rのゲートに結合される。順方向電流感知回路の動作は、この回路にわずかな追加しか含まない図4に関して後述する。
【0023】
逆方向電流感知回路308も、2つの演算増幅器OA1及びOprを含む。更に、逆方向電流感知回路308は、VDD_HVとVDD_MVとの間でNMOSトランジスタM15及びPMOSトランジスタM14に直列に結合される抵抗器R1rと、VDD_HVとVDD_LVとの間で電流シンクIr_refに直列に結合される抵抗器R2rとを含む。演算増幅器OA1の非反転入力は、出力信号をバスピンOUTxに提供するノード330に結合され、演算増幅器OA1の反転入力は、NMOSトランジスタM15のそれぞれのソースとPMOSトランジスタM14との間に位置するノード348に結合され、演算増幅器OA1の出力は、NMOSトランジスタM15のゲートに結合される。抵抗器R1rとNMOSトランジスタM15との間に位置するノード344が、演算増幅器Oprの反転ノードに結合され、抵抗器R2rと電流シンクIr_refとの間に位置するノード346が、非反転入力Ofrに結合される。演算増幅器オパーの出力は、ダイオードD4を介して、PMOSトランジスタM14及びMsnのゲートと共通して、ノード328に結合される。逆方向電流感知回路308の通常動作の間、ノード346上の電圧はノード344上の電圧よりも小さく、演算増幅器Oprに低信号を出力させ、これは、PMOSスイッチングトランジスタMsn上の低値を変化させず、PMOSスイッチングトランジスタMsnを通る電流を維持する。バッテリーへの短絡により逆方向電流が流れると、演算増幅器OA1はNMOSトランジスタM15をONにし、これによりノード344上の電圧が下がり、演算増幅器Oprに高信号を出力させ、これによりPMOSスイッチングトランジスタMsnをオフにするように作用し、電流がバスピンOUTxから中間電圧レールVDD_MVに流れることから保護する。
【0024】
ECU300は良好に動作するが、回路は2つの別個の感知回路を用いて、接地への短絡及びバッテリーへの短絡に対する保護を提供する。これらの2つの検知回路は高電圧であり、単一PSI5チャネルに対して電力消費を少なくとも200mA増大させるとともに、回路のための面積を増大させる。多重チャネルを持つチップ又はSOCの場合、電力消費は更に大きくなる。生じ得る別の問題は、同期パルスの立ち上がりエッジの間、高電圧レールVDD_HVから中間電圧レールVDD_MVへの交差電流(cross current)が誤った逆方向電流と誤解され得、誤って逆方向電流保護がトリガされる可能性があることである。バッテリーへの短絡から保護する必要性に対するもう一つの解決策は、バスピンOUTxと中間電圧レールVDD_MVとの間の差動電圧コンパレータを用いて逆方向電流条件を感知することである。ただし、この解決策は、差動電圧コンパレータも高電圧でなければならないため、面積も大幅に増加する。
【0025】
図4は、バッテリーへの短絡を調整するための第2の感知回路の使用を排除し、接地への短絡及びバッテリーへの短絡の両方からバスピンOUTxを保護するため、すなわち、バスピンOUTx上のバス電圧が高すぎ又は低すぎてもチップに害を及ぼさないことを保証するために単一電流感知回路を用いる、ハイサイドドライバ回路のためのECU400の一部を示す。ECU300に対して行われた変更を強調するために、低電圧論理回路302及びラインA-A’の左側にある増幅器回路304の部分は、これらの回路が同じままであるので、この図には示されていない。示される増幅器回路304’の部分は、ECU300から修正されており、第8のNMOSトランジスタM20、及び第4、第5、及び第6のPMOSトランジスタM21、M22、M23、並びに、第2の電流シンクCsi2及び第2及び第3の電流源Cso2及びCso3を含む。第8のNMOSトランジスタM20は、VDD_HVとVDD_LVとの間でPMOSトランジスタM21及び第2の電流シンクCsi2に直列に結合される。第2の電流源Cso2は、VDD_HVとVDD_LVとの間でPMOSトランジスタM22に直列に結合され、第3の電流源Cso3はPMOSトランジスタM23に直列に結合される。第3の電流源Cso3の一つの端子はVDD_HVに結合され、PMOSトランジスタM23のドレインは、第2のスイッチングトランジスタとも呼ばれるPMOSスイッチングトランジスタMsnのゲートに結合される。PMOSトランジスタM21及びM23のゲートは共に、及びPMOSトランジスタM21のドレインに結合されて、電流ミラーを形成する。最後に、第1のスイッチングトランジスタとも呼ばれるNMOSスイッチングトランジスタMsrのゲートは、第2の電流源Cso2とPMOSトランジスタM22との間の点に結合される。
【0026】
単一電流感知回路は4つのセクションを含み、各セクションは点線によって囲まれる。即ち、1)第1の電流源Isg、第2の抵抗器R2、第1及び第2のダイオードD1及びD2、並びに、共通のソースを有する第2及び第3のNMOSトランジスタM7F、M7Rを含、スイッチ回路402、2)第1の演算増幅器OA2、第3のダイオードD3、第4のNMOSトランジスタM16、第5のNMOSトランジスタM9、及び、第1、第2、及び第3のPMOSトランジスタM8、M10、Mrevを含む、順方向電流NMOSトランジスタ406、3)第2の演算増幅器Opf、第3及び第4の抵抗器R3、R4、第4及び第5のダイオードD4、D5、第3の電流シンクIf_ref、第6のダイオードM12、及び第7のNMOSトランジスタM11を含む、順方向ダイオード404、並びに、4)第1の電流シンクCsi1、第1のNMOSトランジスタMswitch、及び第1の抵抗器R1を含み、PMOSスイッチングトランジスタMsnのゲートに結合される、逆方向電流スイッチング回路408である。図示の実施例では、スイッチ回路402、順方向電流感知回路404、及び順方向電流保護回路406は、第4及び第5のNMOSトランジスタM16及びM9の間の順方向電流感知回路404への第3のダイオードD3の追加、及び、第6及び第7のNMOSトランジスタM12及びM11の間の順方向電流保護回路406への第4のダイオードD4の追加を除いて、図3A及び3Bにおけるそれらの対応する回路と同じデバイスを含み、同じように動作する。順方向電流感知回路404も、追加のPMOSトランジスタMrevを含むように改変されており、そのゲートは、PMOSトランジスタM8及びM10のゲートに結合される。PMOSトランジスタMrevは、VDD_HVに結合されるソースと、ノードN8を介して逆方向電流スイッチング回路408に電流IMrevを供給するように結合されるドレインとを有する。
【0027】
ECU400の通常動作の間、増幅器回路304’は、PMOSトランジスタMsnをオンにして、電圧VDD_MVを提供することによって、ノード330でベース電圧を提供する。増幅器回路304’がパルス信号を供給すると、PMOSスイッチングトランジスタMsnがオフになり、NMOSスイッチングトランジスタMsrがONになって、電圧VDD_HVが供給される。図3Aに示される増幅器回路304と、図4に増幅器回路304’として示される変形との両方は、低減されたノイズを提供するなどのオートモーティブ回路の特定の必要性を満たすような形状のパルスを提供する。しかしながら、本明細書に記載される単一感知回路と共に他の増幅器回路を用い得ることが理解されるであろう。記載された単一検知回路は、浮遊増幅器回路と共に用いられて示されているが、記載された単一検知回路は浮遊でない増幅器回路と共に用いることもできる。
【0028】
出力信号、すなわちベース電圧及び/又は同期パルスは、入力ノードとも呼ばれるノード330からスイッチ回路402を介してバスピン出力に渡される。第2及び第3のNMOSトランジスタM7F、M7Rのゲートは、後述するように、これらのトランジスタのゲート上の電圧をこれらのトランジスタの閾値未満にされない限り、第2及び第3のNMOSトランジスタM7F、M7Rを完全にONに保持する、第2のノードN2で提供される安定した電圧に結合される。出力信号は演算増幅器OA2の非反転入力にも供給されるが、演算増幅器OA2の出力は、第4のNMOSトランジスタM16のゲートに供給される。PMOSトランジスタM8及び第4及び第5のNMOSトランジスタM16及びM9を用いて演算増幅器OA2の反転入力にフィードバック値が供給され、フィードバック値は、第4のノードN4から第4のNMOSトランジスタM16と第5のNMOSトランジスタM9との間で取得される。第5のNMOSトランジスタM9及び第7のNMOSトランジスタM11は第2のNMOSトランジスタM7Fに比例するサイズであり、例えば、第2のNMOSトランジスタM7Fがサイズ1000×1を有する場合、第5のNMOSトランジスタM9及び第7のNMOSトランジスタM11は、値10×1を有し得、第2のNMOSトランジスタM7Fの100分の1の電流をソースすることになる。ECU400の通常動作の間、順方向電流感知回路404の第4のNMOSトランジスタM16及び第6のNMOSトランジスタM12は、センサによって伝送されるデータによって生じる変動を含む、バスピンOUTxを通る電流を検出し、順方向電流感知回路404は、第1の電流としても知られる比例電流Ircvを、センサから送られるデータを感知するためのコンパレータを備える処理回路に供給する第1の出力ノードN7と、第2の電流としても知られる比例電流IMrevを逆方向電流スイッチング回路408に供給する第2の出力ノードN8との両方に比例電流を供給する。バスピンOUTx上の接地への短絡状態の間、演算増幅器Opfは、NMOSトランジスタMスイッチがONのままである一方、第2のNMOSトランジスタM7F上のゲートの電圧を制限することによって電流を調整する。
【0029】
逆方向電流スイッチング回路408は、第1の電流シンクCsi1を介してVDD_LVに結合される第1のノードN9で比例電流IMrevを受け取り、そのため、供給された電流は一定のレートでシンクされる。第1のNMOSトランジスタが、PMOSスイッチングトランジスタMsnのゲートとVDD_LVとの間に結合され、抵抗器R1が、第1のNMOSトランジスタと並列に、PMOSスイッチングトランジスタMsnとVDD_LVとの間に結合される。第1のNMOSトランジスタMswitchのゲートは、第1のノードN9と第1の電流シンクCsi1との間の点に結合される。ECU400の通常動作の間、第1のノードN9において提供される電流IMrevは、第1の電流シンクCsi1によってシンクされる電流よりも大きく、第1のNMOSトランジスタMswitchのゲートはオンに保たれる。第1のNMOSトランジスタMswitchがONの場合、PMOSスイッチングトランジスタMsnのゲートはVDD_LVに結合され、VDD_LVは、PMOSスイッチングトランジスタMsnをONに保つように機能する。しかしながら、バッテリーへの短絡が生じると、第1のノードN9における第2の電流IMrevはゼロになる。これは、第1のNMOSトランジスタMswitch上の電圧が低下して、第1の電流シンクCsi1が電流をシンクして第1のNMOSトランジスタMswitchをオフにすることを意味する。これにより、PMOSスイッチングトランジスタMsnのゲートが立ち上がり、PMOSスイッチングトランジスタMsnがオフになる。ECU300では、バッテリーへの短絡が生じると、逆方向電流がバスピンOUTxから第5のNMOSトランジスタM9及び第4のNMOSトランジスタM16を通過して、第1出力ノードN7で電流が生じる可能性があることは注目に値する。しかしながら、第3のダイオードD3を追加すると、逆方向電流は許容されず、第1の出力ノードN7上の第1の電流Ircvと、ノードN8/N9上の第2の電流IMrevとが、バッテリーへの短絡の間ゼロになる。このように、所望の逆方向電流スイッチング保護は、追加の検知回路を必要とせずに供給され、設計による空間及び電力が節約される。ノードN4を介して演算増幅器OA2の非反転入力に結合される電流シンクIoffsetによって、追加の利点が提供され得る。この電流シンクによって提供されるオフセット電流は、回路が、バッテリーへの短絡と高電圧レールVDD_HVから中間電圧レールVDD_MVへの瞬時交差電流とを区別することを可能にする。すなわち、ノードN8を介する電流IMrevは開ラインではゼロではなく、バッテリーへの短絡の間ゼロである。バッテリーへの短絡の間の電流制限レベルは、Ioffset値を用いて調整され得る。
【0030】
図5は、記載されたECUをハイサイドドライバ回路に用い得るスタンドアロンPSI5トランシーバチップ502を含むシステム500の高レベルの概略を示す。PSI5トランシーバチップ502は、高電圧を提供するVDD_HVと、中間電圧を提供するVDD_MVと、局地接地などの低電圧を提供するVDD_LVとの3つの電力供給入力を受けとる。3つの電力供給入力はPSI5トランシーバ504のセットに結合され、それらはそれぞれのチャネル及びデコーダに結合される。PSI5トランシーバチップ502のチャネルの各々からの出力は、受信したデータのソフトウェア処理を提供するデータモジュール530に提供される。図示の例ではPSI5トランシーバチップ502が4つのPSI5トランシーバ及び4つのチャネルを有するが、このチップが用いられる特定のシステムによって必要に応じて提供される任意の数のチャネルが存在し得ることが理解されよう。PSI5トランシーバ506は第1のチャネル514に結合され、第1のチャネル514は、マンチェスタデコーダである第1のデコーダ522に結合され、PSI5トランシーバ508は、第2のデコーダ524に結合される第2のチャネル516に結合され、PSI5トランシーバ510は、第3のデコーダ526に結合される第3のチャネル518に結合され、PSI5トランシーバ512は、第4のデコーダ528に結合される第4のチャネル520に結合される。
【0031】
図6は、本記載の一実施例に従って説明された保護回路を用い得るSOC602を含むシステム600の高レベルの概略を示す。SOC602はオートモーティブバッテリー601に結合され、イグニッションがオンにされると、電力供給モジュール604が、高電圧レールVDD_HV、中間電圧レールVDD_MV及び低電圧レールVDD_LVを電力供給ラインに供給する。多数のトランシーバシステムをSOC602上に設けることができ、図示の例では、これらは、VDD_MV及びVDD_LVを受け取るLINトランシーバ606、同じくVDD_MV及びVDD_LVを受け取るフレックス・レイ(FR)トランシーバ608、並びに、いずれもVDD_HV、VDD_MV及びVDD_LVの3つ全てを受け取るコントローラエリアネットワーク(CAN)トランシーバ610及びPSI5トランシーバ612を含む。スタンドアロンチップの場合と同様に、PSI5トランシーバ612は4つのトランシーバ(別個には図示せず)を含み、トランシーバの各々がそれぞれのチャネル及びデコーダに結合される。デコーダの出力は、データソフトウェア処理622に提供される。
【0032】
本明細書に記載されるように、革新的な回路が、ハイサイドドライバのバスピンを、接地への短絡及びバッテリーへの短絡の両方から保護する。記載された回路は、チップ上で使用する面積がより少なく、消費電力がより少ない。これは、回路が別個の検知回路を必要としないからである。記載されている保護回路は、PSI5トランシーバのためのハイサイドドライブ又は他のハイサイドドライバと共に用いられ得る。スタンドアロンチップと、記載された回路を含むSOCの両方も示されている。記載の保護回路を用いると、バッテリーへの短絡は10mA未満の電流を通過させるように動作し得る。
【0033】
本記載において、単数形の要素への言及は明示的にそのように述べられない限り、「一つのみ」を意味することを意図せず、むしろ「一つ以上」を意味することを意図する。
【0034】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6