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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】眼科走査システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20230328BHJP
【FI】
A61B3/10 100
A61B3/10 300
A61B3/10 ZDM
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020170040
(22)【出願日】2020-10-07
(65)【公開番号】P2021058597
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】16/594,985
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509012991
【氏名又は名称】オプトス ピーエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】スリラン ヴィクラマン シタラクシュミ アンマ
(72)【発明者】
【氏名】プラヴィーン アショク
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ハースト
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-053198(JP,A)
【文献】特開昭59-097118(JP,A)
【文献】特開2018-061622(JP,A)
【文献】特開2015-080726(JP,A)
【文献】国際公開第2019/189223(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像化モダリティと、
前記第1の画像化モダリティとは異なる第2の画像化モダリティと、
前記第1の画像化モダリティと前記第2の画像化モダリティとの間の光学機械的及び電気機械的投影差の少なくとも1つを補償し、前記第1の画像化モダリティの走査位置に基づいて前記第2の画像化モダリティの走査位置を提供することによって、前記第1の画像化モダリティの第1の光線前記第2の画像化モダリティの第2の光線共整列させて照射する制御システムと
を含む眼科走査システム。
【請求項2】
前記第1の画像化モダリティが眼底、SLO、又はラインイメージャであり、及び/又は前記第2の画像化モダリティがOCT又はSLOイメージャである、請求項1記載の眼科走査システム。
【請求項3】
前記第1の画像化モダリティと前記第2の画像化モダリティの前記走査位置が同じ又は異なる、及び/又は前記第1の画像化モダリティと前記第2の画像化モダリティの走査視野が同じ又は異なる、請求項1又は請求項に記載の眼科走査システム。
【請求項4】
前記制御システムが、前記第2の画像化モダリティの前記走査位置における前記第2の画像化モダリティの外角に対する前記第1の画像化モダリティの外角の誤差を推定するシミュレーションモデルから取得されたデータを含む共整列補正ルックアップテーブルを使用することによって、前記第1の画像化モダリティの第1の光線前記第2の画像化モダリティの第2の光線共整列させて照射するように構成されている、請求項1~請求項のいずれか一項に記載の眼科走査システム。
【請求項5】
前記制御システムは、前記第2の画像化モダリティの外角が前記第1の画像化モダリティの外角にマッピングされるように、前記第2の画像化モダリティの内角を調整するためにガルバノメータの位置を制御するように構成されている、請求項1~請求項のいずれか一項に記載の眼科走査システム。
【請求項6】
前記制御システムは、前記第1の画像化モダリティと前記第2の画像化モダリティの不均一なピクセル寸法を補償するために、位置ベースのピクセル乗算器ルックアップテーブルを利用するように構成されている、請求項1~請求項のいずれか一項に記載の眼科走査システム。
【請求項7】
前記第1の画像化モダリティと前記第2の画像化モダリティの前記不均一なピクセル寸法をそれぞれ補償するために異なる倍率が使用される、請求項に記載の眼科走査システム。
【請求項8】
前記位置ベースのピクセル乗算器ルックアップテーブルが、シミュレーションモデルから取得されたデータを使用する、請求項又は請求項に記載の眼科走査システム。
【請求項9】
前記制御システムは、前記第2の画像化モダリティのガルバノメータの位置を調整して前記第2の画像化モダリティの非線形性及び前記ガルバノメータのヒステリシスを補償するために、非線形性補正ルックアップテーブルを利用するように構成されている、請求項1~請求項のいずれか一項に記載の眼科走査システム。
【請求項10】
前記第1の画像化モダリティと前記第2の画像化モダリティは、少なくとも1つの共通軸を共有するパターンで走査する、請求項1~請求項のいずれか一項に記載の眼科走査システム。
【請求項11】
前記第1の画像化モダリティが、前記第1の画像化モダリティの前記走査位置に垂直パターンを有するように前記第1の光線を走査するように構成された回転ポリゴンミラーを含み、前記第2の画像化モダリティが、同じ垂直パターンで前記第2の光線を走査するように構成されたガルバノメータを含み、又は
前記第1の画像化モダリティが、前記第1の画像化モダリティの前記走査位置に水平パターンを有するように前記第1の光線を走査するように構成された回転ポリゴンミラーを含み、前記第2の画像化モダリティが、同じ水平パターンで前記第2の光線を走査するように構成されたガルバノメータを含む、
請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の眼科走査システム。
【請求項12】
第1の画像化モダリティ及び第2の画像化モダリティをマッピングする方法であって、前記方法が、
前記第1の画像化モダリティの走査位置を受信することと、
前記第1の画像化モダリティと前記第2の画像化モダリティとの間の光学機械的及び電気機械的投影差の少なくとも1つを補償することによって、前記第1の画像化モダリティの第1の光線前記第2の画像化モダリティの第2の光線共整列させて照射することと
を含む、方法。
【請求項13】
前記第2の画像化モダリティの不均一なピクセル寸法を補償するために、位置ベースのピクセル乗算器ルックアップテーブルを使用して前記第2の画像化モダリティのガルバノメータ位置を調整することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の画像化モダリティのガルバノメータ位置を調整するために視線追跡ロジックを実行することをさらに含む、請求項12又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の画像化モダリティのガルバノメータ位置を調整して前記第2の画像化モダリティの非線形性及びヒステリシスを補償するために、非線形性補正ルックアップテーブルを使用することをさらに含む、請求項12~請求項14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の例示的な態様は、一般に、眼科走査システム及び方法、より具体的には、共整列、標的追跡、並びに非線形性補償を提供する眼科走査システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検眼鏡は、同じ機器に複数の走査モダリティを含むことができる。例えば、検眼鏡は、眼の網膜の2次元及び3次元画像をキャプチャするために、走査型レーザ検眼鏡(SLO)モダリティと光コヒーレンス断層撮影(OCT)モダリティの両方を含むことができる。SLO及びOCTモダリティは、眼の網膜に向けられてその画像をキャプチャする別々のレーザ光線を使用する。
【0003】
走査の再現性と位置精度は、光線の整列に依存する。したがって、網膜における光線の整列は、走査モダリティが同じ位置から同じデータを確実にキャプチャするのに役立つことができる。異なる走査モダリティ間での光線の整列のあらゆる差異は、走査位置の誤差、走査サイズの誤差、及び/又は走査線形性の誤差を引き起こし、画像/特徴相関誤差を引き起こす可能性がある。
【0004】
様々な眼科走査構成には、異なる走査モダリティによって使用される光線の整列に影響を与える複数の要因がある。したがって、検眼鏡内の異なる走査モダリティからの光線の整列を補正して、異なる走査モダリティ間の誤差を減らすことが有用であろう。
【発明の概要】
【0005】
本明細書の例示的な一態様では、眼科走査システムは、第1の画像化モダリティと、第1の画像化モダリティとは異なる第2の画像化モダリティと、第1及び第2の画像化モダリティ間の光学機械的及び電気機械的投影差の少なくとも1つを補償することによって第1の画像化モダリティを第2の画像化モダリティにマッピングする制御システムとを含む。制御システムは、第1の画像化モダリティの走査位置に基づいて、第2の画像化モダリティの走査位置を提供する。
【0006】
別の態様では、第1及び第2の画像化モダリティをマッピングする方法は、第1の画像化モダリティの走査位置を受信することと、第1及び第2の画像化モダリティ間の光学機械的及び電気機械的投影差の少なくとも1つを補償することによって、第1の画像化モダリティの走査位置に基づいて第2の画像化モダリティの走査位置を提供することとを含む。
【0007】
これら及び他の態様及び実施形態は、添付の図面図に関連して以下で詳細に説明される。
【0008】
本出願の一部を形成する以下の図面は、説明される技術の例示的なものであり、いかなる方法でも開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、眼科走査システムを概略的に示したブロック図である。
図2図2は、第1及び第2の光線イメージャを含む眼科走査システムの走査及び反射要素を概略的に示した図である。
図3図3は、眼科走査システムの回転ポリゴンミラー及びガルバノメータスキャナに関連する光線コンバイナ/スプリッタの詳細な模式図である。
図4図4は、第2の光線の外角と比較した第1の光線の外角に対する回折誤差の影響を示したグラフである。
図5図5は、回転ポリゴンミラーの角度が変化するときの第1の光線の外角の誤差を示したグラフである。
図6図6は、第2の画像化モダリティを第1の画像化モダリティにマッピングするための眼科走査システムを概略的に示した図である。
図7図7は、第2の画像化モダリティを第1の画像化モダリティにマッピングするための制御システム及びソフトウェアコンポーネントを有する眼科走査システムを概略的に示した図である。
図8図8は、回転ポリゴンミラー及び補償されたガルバノメータスキャナに関連する光線コンバイナ/スプリッタの詳細な模式図である。
図9図9は、第2の光線を第1の光線にマッピングするために使用されるガルバノメータスキャナの機械的角度補正を示したグラフである。
図10図10は、第1の画像化モダリティの回転ポリゴンミラーからの不均一なピクセル寸法を補償するための倍率を示したグラフである。
図11図11は、第2の画像化モダリティのガルバノメータスキャナからの不均一なピクセル寸法を補償するための倍率を示したグラフである。
図12図12は、順方向及び逆方向掃引を提供するガルバノメータの機械的角度にわたるADC値の勾配を示したグラフである。
図13図13は、ガルバノメータの順方向及び逆方向掃引から生じる電気駆動ヒステリシスを示したグラフである。
図14図14は、第2の画像化モダリティを第1の画像化モダリティにマッピングする例示的な方法を示した図である。
図15図15は、コンピューティングデバイスの例示的な物理的構成要素を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、例示的な眼科走査システム10を示す概略図である。眼科走査システム10は、第1の画像化モダリティ12と、第2の画像化モダリティ14と、コンピューティングデバイス1500とを含む。一例によれば、第1の画像化モダリティ12と、第2の画像化モダリティ14と、コンピューティングデバイス1500とを含む眼科走査システム10の構成要素は、検眼鏡などの単一の器具のハウジング18の内部に収容される。
【0011】
コンピューティングデバイス1500は、第1及び第2の画像化モダリティ12、14を制御するように動作し、少なくとも1つの中央処理装置1508と、少なくとも1つの中央処理装置1508によって実行されたときに、本明細書に記載の1又は複数の方法及び機能を中央処理装置1508に実行させる命令を記憶するシステムメモリ1512とを有する。コンピューティングデバイス1500は、図15の説明で以下により詳細に説明される。
【0012】
いくつかの例では、第1の画像化モダリティ12は、眼の網膜の診断用2次元画像化のために共焦点レーザ走査顕微鏡法を使用する走査型レーザ検眼鏡(SLO)画像化モダリティである。第1の画像化モダリティ12は、レーザ光線を使用して、ラスターパターンで網膜を横切って走査し、網膜の連続する要素を一点一点照明する。網膜の各点から反射された光は、光電子増倍管によってキャプチャされる。光電子増倍管の出力は記録され、デジタル形式で表示される。このようにして、第1の画像化モダリティ12は、網膜の高コントラストで詳細な画像を生成することができる。
【0013】
いくつかの例では、第2の画像化モダリティ14は光コヒーレンス断層撮影(OCT)画像化モダリティであり、OCT画像化モダリティは、非侵襲的であり、光波を使用して網膜の高解像度断面画像を取得する。断面画像は、眼組織によって後方散乱される低コヒーレンス光の時間遅延と大きさの変化を分析することによって生成される。網膜内の層を区別し、網膜の厚さを測定して、緑内障、加齢性黄斑変性症(AMD)、糖尿病性眼疾患などの網膜疾患及び状態の早期発見と診断を支援することができる。
【0014】
いくつかの例では、画像は第1の画像化モダリティ12及び第2の画像化モダリティ14によって順次キャプチャされ、第1の画像は第1の画像化モダリティ12によってキャプチャされ、その後、第1の画像は、第2の画像化モダリティ14によって第2の画像をキャプチャするための基準として使用されるようになる。
【0015】
図2は、本明細書の例示的な実施形態による、眼科走査システム100の走査及び反射要素の概略図である。眼科走査システム100は、第1の光線イメージャ102と第2の光線イメージャ104とを含む。いくつかの例では、第1の光線イメージャ102は、眼底、SLO、又はラインイメージャである。いくつかのさらなる例では、第2の光線イメージャ104は、OCT又はSLOイメージャである。
【0016】
眼科走査システム100は、第1及び第2の光線イメージャ102、104からの光線が、患者の眼124に向けられたときに共通軸(例えば、x軸)を共有する構成で示されている。他の構成では、第1及び第2の光線(及び本明細書で説明される構成要素(例えば、ガルバノメータ))は、共通軸を共有せず、代わりに、例えば例として別々のxスキャナとyスキャナが使用されている場合などでは、x軸及びy軸の両方で独立することができる。
【0017】
第1の光線イメージャ102は、第1のタイプの光線(以下、「第1の光線」)を回転ポリゴンミラー110に向ける。回転ポリゴンミラー110は、光線コンバイナ/スプリッタ116に向かって少なくとも一方向で第1の光線を走査する。また、回転ポリゴンミラー110は、光線コンバイナ/スプリッタ116から受け取った反射された第1の光線を第1の光線イメージャ102に向けて戻す。いくつかの例では、第1の光線はSLO光線である。
【0018】
第2の光線イメージャ104は、第2のタイプの光線(以下、「第2の光線」)を集束機構112に向け、集束機構112は、第2の光線をガルバノメータ114に向ける。ガルバノメータ114は、光線コンバイナ/スプリッタ116に向かって少なくとも一方向で第2の光線を走査する。ガルバノメータ114はまた、光線コンバイナ/スプリッタ116から受け取った反射された第2の光線を、集束機構112を介して第2の光線イメージャ104に向けて戻す。いくつかの例では、第2の光線はOCT光線である。
【0019】
光線コンバイナ/スプリッタ116は、回転ポリゴンミラー110及びガルバノメータ114からそれぞれ受け取った第1及び第2の光線を組み合わせて、患者の眼124などの標的領域に向かって共通経路126をたどる。共通経路126は、スリットミラー118、二次ガルバノメータスキャナ120、及びメインミラー122などの走査及び反射要素を含む。メインミラー122は、第1及び第2の光線を患者の眼124に向ける。いくつかの例では、二次ガルバノメータスキャナ120(又は同等のもの)は、共通経路126の一部ではない。さらに、図2に示される眼科走査システム100は、本明細書に記載の実施形態で使用することができる構成の一例に過ぎず、追加の構成が企図される。
【0020】
光線コンバイナ/スプリッタ116はまた、患者の眼124から反射して戻された第1及び第2の光線を分割し、反射された第1及び第2の光線を第1及び第2の光線イメージャ102、104に向けてそれぞれ戻し、第1及び第2の光線が走査及び反射要素の共通経路126を通過した後の画像処理及び分析を行う。本明細書のいくつかの例では、光線コンバイナ/スプリッタ116は、ダイクロイックミラーである。
【0021】
図2に示される例示的なシステムでは、回転ポリゴンミラー110及びガルバノメータ114は、少なくとも1つの共通軸を共有する走査パターンで、共通経路126を通って患者の眼124に向かって第1及び第2の光線を走査する(ただし上記のように、他の実施形態では、ビームは異なる軸を通して走査される)。一例として、回転ポリゴンミラー110は、患者の眼124などの走査位置で垂直パターンを有するように第1の光線を走査し、ガルバノメータ114は、第1及び第2の光線が共通の水平軸(すなわち、x軸)を共有するように、同じ垂直パターンで第2の光線を走査する。別の例として、回転ポリゴンミラー110は、患者の眼124などの走査位置で水平パターンを有するように第1の光線を走査することができ、ガルバノメータ114は、第1及び第2の光線が共通の垂直軸(すなわち、y軸)を共有するように、同じ水平パターンで第2の光線を走査することができる。他の例では、回転ポリゴンミラー110及びガルバノメータ114は、x軸及びy軸の両方で独立している走査パターンで第1及び第2の光線を走査できることが企図される。さらに、対角線、円形、ロゼットなどの追加の走査パターンも企図される。
【0022】
最適には、第1及び第2の光線は、患者の眼124上の同じ点に向けられるように光線コンバイナ/スプリッタ116から患者の眼124への共通経路126に向けられるときに、共整列される。しかしながら、様々な要因により、第1及び第2の光線が患者の眼124に到達する前に、それらに相関誤差が生じることがある。
【0023】
図3は、回転ポリゴンミラー110及びガルバノメータ114に関連する光線コンバイナ/スプリッタ116の詳細な模式図である。図3に示される例では、光線コンバイナ/スプリッタ116は、第1及び第2の光線イメージャ102、104からそれぞれ発生した第1及び第2の光線を組み合わせる。第2の光線は、ガルバノメータ114によって光線コンバイナ/スプリッタ116に向けられた後、光線コンバイナ/スプリッタ116の第1の表面116aから反射され、第1の光線は、回転ポリゴンミラー110によって光線コンバイナ/スプリッタ116に向けられた後、第2の表面116bで光線コンバイナ/スプリッタ116を通過し、第1の表面116aで出る。
【0024】
光線コンバイナ/スプリッタ116に対するガルバノメータ114又は回転ポリゴンミラー110の所与の角度θvで、第2の光線は第1の表面116aから最適に反射され、その同じ角度で第1の光線が第1の表面116aで出て、第1及び第2の光線が共整列されるようになる。共整列とは、第1及び第2の光線が患者の眼124の同じ領域に向けられることを意味する。しかしながら、図3に示されるようないくつかの例では、回折誤差により、第1及び第2の光線が患者の眼124に到達するときに異なる外角を有する可能性がある(図2を参照)。
【0025】
図4は、回転ポリゴンミラー110又はガルバノメータ114の角度θvが変化するときの、第2の光線と比較した第1の光線に対する回折誤差の影響を示す図表400を示す。回折誤差により、第1の光線の外角(すなわち、患者の眼に入る光線の角度)は、特定の角度θvにおいて、第2の光線の外角とは異なる。第1及び第2の光線の外角の差は、第1及び第2の光線の視野が広がるにつれて誤差がより顕著になるように、回転ポリゴンミラー110の角度θvが0度から増減するにつれて増加する。上記のように、いくつかの例では、第1の光線はSLO画像化モダリティに使用され、一方、第2の光線はOCT画像化モダリティに使用される。
【0026】
図5は、回転ポリゴンミラー110の角度θvが変化するときの、第2の光線の外角と比較した第1の光線の外角の誤差を示すグラフ500を示している。図5に示すように、第2の光線の外角と比較した第1の光線の外角の誤差は、回転ポリゴンミラー110の角度θvが0度から増減するにつれて増加する。したがって、第1の光線の視野が広がるにつれて、第1の光線の誤差が増加する。
【0027】
第1及び第2の光線の経路における光学要素からの誤差(例えば、光線コンバイナ/スプリッタ116によって引き起こされる回折誤差)に加えて、第1及び第2の光線間の非線形挙動の差異からも誤差が生じ得る。例えば、光線コンバイナ/スプリッタ116での機械的角度と、患者の眼に入る光線の外角との比は、第1及び第2の光線で異なる可能性がある。
【0028】
さらに、第1及び第2の光線の外角の非線形挙動は、第1及び第2の光線が眼を上から下に走査するときに、光線の横方向(x又はy方向)の掃引分解能を変化させる可能性がある。これにより、画像処理で補正するのが難しい不均一なピクセル寸法が存在する可能性がある。したがって、第1及び第2の光線間の特徴サイズの精度又は線形性を維持するために、ピクセルサイズから実際の物理サイズへのエンコーディングが好ましくは考慮されるべきである。
【0029】
さらなる誤差は、眼科走査システム100内の位置決め要素の電気機械的性質から生じる可能性がある。例えば、電気機械的誤差は、第1及び第2の光線の共整列に影響を与える位置センサの非線形性又は電気駆動ヒステリシスから生じ得る。位置センサの非線形性は、ピクセル寸法の誤差を引き起こす可能性がある(これは、第1及び第2の光線の光路による非線形ピクセル寸法に追加される可能性がある)。これらのさらなる誤差の影響は、視線追跡などの閉ループフィードバックシステムで使用すると累積される可能性がある。ガルバノメータ114の非線形挙動は、掃引の終わり近くで増加する可能性がある。さらに、電気駆動ヒステリシス挙動(例えば、複数の順方向及び逆方向掃引の場合)により、順方向掃引と逆方向掃引との間に大きな差異が生じることがある。
【0030】
図6は、本明細書の例示的な実施形態による、第1の光線と第2の光線とを共整列させるための眼科走査システム600を概略的に示す。眼科走査システム600は、第1の光線を第1の走査システム606に送る第1の光線イメージャ602を含み、第1の走査システム606は、本明細書の例示的な一実施形態では、図2及び図3を参照して上記で説明した回転ポリゴンミラー110を含むことができる。いくつかの例では、第1の光線イメージャ602は、眼底、SLO、又はラインイメージャである。
【0031】
システム600は、第2の光線を第2の走査システム608に送る第2の光線イメージャ604を含み、第2の走査システム608は、本明細書の例示的な一実施形態では、図2及び図3を参照して上記で説明した集束機構112及びガルバノメータ114を含むことができる。いくつかの例では、第2の光線イメージャ604は、OCT又はSLOイメージャである。
【0032】
制御システム700は、光線コンバイナ/スプリッタ616に向けられた第2の光線の内角を調整するために第2の走査システム608のガルバノメータを補償することによって、第2の光線を第1の光線にマッピングする。光線コンバイナ/スプリッタ616は、上記の光線コンバイナ/スプリッタ116と同様である。いくつかの例では、光線コンバイナ/スプリッタ616は、第1及び第2の光線を組み合わせて分割することができるダイクロイックミラーである。
【0033】
光線コンバイナ/スプリッタ616は、第1及び第2の光線を組み合わせ/共整列させ、共整列した第1及び第2の光線を共通走査システム618に向ける。共通走査システム618は、本明細書の例示的な一実施形態では、図2を参照して上記で説明したスリットミラー118、二次ガルバノメータスキャナ120、及びメインミラー122を含むことができる。したがって、少なくともいくつかの例では、第1及び第2の光線イメージャ602、604は、光路の一部を共有する。
【0034】
光線コンバイナ/スプリッタ116はまた、(ビーム送達システム620及び共通走査システム618を介して)患者の眼624から反射して戻された第1及び第2の光線を分割することができ、反射された第1及び第2の光線を、画像処理及び分析のために第1及び第2の光線イメージャ102、104に向けてそれぞれ戻す。
【0035】
ビーム送達システム620は、共通走査システム618から受け取った共整列した第1及び第2の光線を患者の眼624に送る。ビーム送達システム620は、本明細書の例示的な一実施形態では、共整列した第1及び第2の光線をどちらの方向にも送達するための1又は複数のレンズ(図示せず)を含むことができる。
【0036】
図7は、図6の制御システム700をより詳細に模式的に示す。制御システム700は、第1の画像化モダリティを基準として使用し、第1及び第2の画像化モダリティ間の光学機械的及び電気機械的投影差の少なくとも1つを補償することによって第2の画像化モダリティを第1の画像化モダリティにマッピングし、これにより、第1及び第2のモダリティ間のすべての走査システムの差異及び光路の差異を整合する。制御システム700は、共通光路を共有しない複数のモダリティを使用するときに他の場合では発生し得る誤差を補正する。
【0037】
上記のように、いくつかの例では、第1の画像化モダリティはSLO画像化モダリティであり、第2の画像化モダリティはOCT画像化モダリティである。第1及び第2のモダリティの各々について、制御システム700は、眼科走査システムが再現性をもって同じ位置を走査することを可能にし、第1及び第2のレーザ光線の共整列を提供し、第1及び第2の非線形性及び位置に依存する分解能からの誤差を補正する。制御システム700は、眼科走査システムが網膜病理を走査して、第1及び第2のモダリティにわたって同じ位置、サイズ、形、及び寸法を有することを可能にする。
【0038】
制御システム700は、本明細書の例示的な一実施形態では、様々なルックアップテーブル(LUT)を利用して、画像化モダリティのガルバノメータ714の位置及び動きを制御することによって第1及び第2の画像化モダリティ間の改善された走査位置精度及び相関を提供し、共整列補正ルックアップテーブル718は共整列の補正を提供し、位置ベースのピクセル乗算器ルックアップテーブル720は標的追跡補償を提供し、非線形性補正ルックアップテーブル740は非線形性及びヒステリシス補正を提供する。制御システム700は、これらのルックアップテーブルを使用して、第2の画像化モダリティを第1の画像化モダリティにマッピングすると同時に、標的追跡及び非線形性補償も提供する。いくつかの例では、ルックアップテーブルを生成するために使用されるデータは、モデリングに基づく体系的なデータ、キャリブレーションに基づく体系的なデータ、生物測定情報、並びに画像化システムへのアクセスに関する固定及び患者位置決め誤差の少なくとも1つ又は組み合わせから導出される。
【0039】
制御システム700は、ガルバノメータ714を制御するために組み合わせて使用される電子基板701、ガルバノメータコントローラ702、及びソフトウェアモジュール704を含む。いくつかの例では、ガルバノメータ714は、上記のガルバノメータ114に類似している。
【0040】
ソフトウェアモジュール704は、画像を生成するための第1の画像化モダリティのための関心領域710を含む。関心領域710は、第2の画像化モダリティの走査位置712を決定するための基準として使用される。走査位置712は、第1の画像化モダリティによって生成された画像内で特徴又は病理が識別される位置など、第1の画像化モダリティによって走査された関心領域710の一部又はサブセットであり得る。
【0041】
いくつかの例では、第2の画像化モダリティの走査位置712は、第1の画像化モダリティの関心領域710と同じである。他の例では、第2の画像化モダリティの走査位置712は、第1の画像化モダリティの関心領域710とは異なる。いくつかの例では、第2の画像化モダリティの走査視野は、第1の画像化モダリティの走査視野と同じである。さらなる例では、第2の画像化モダリティの走査視野は、第1の画像化モダリティの走査視野とは異なる。
【0042】
走査位置712は、ガルバノメータ位置716に変換される。ガルバノメータ位置716は、ガルバノメータ714の位置を制御するためのアナログ-デジタル変換器(ADC)の値に基づく。ガルバノメータ位置716は、上記の走査位置及び整合誤差を補償するために、共整列補正ルックアップテーブル718によって調整される。
【0043】
共整列補正ルックアップテーブル718は、ガルバノメータ位置716の内角対外角の補正を提供する。共整列補正ルックアップテーブル718は、第2の画像化モダリティの第2の光線に対する第1の画像化モダリティの第1の光線の外角の誤差を推定するシミュレーションモデルから取得されたデータを使用して(例えば、図5を参照)、ガルバノメータ714の機械的角度補正を決定する。したがって、共整列補正ルックアップテーブル718を使用して、ガルバノメータ位置716を補償して、第1及び第2の画像化モダリティの第1及び第2の光線の外角間の誤差を低減及び/又は排除する。
【0044】
図8は、第1の画像化モダリティの第1の光線を向けるために使用される回転ポリゴンミラー812及び第2の画像化モダリティの第2の光線を向けるために使用されるガルバノメータ814に関連する光線コンバイナ/スプリッタ816の詳細な模式図である。ガルバノメータ814は、第1及び第2の光線の外角間の誤差を排除するために、共整列補正ルックアップテーブル718によって補償される。したがって、ガルバノメータ814は、第2の光線の外角が外部の第1の光線にマッピングされて第1及び第2の画像化モダリティの第1及び第2の光線が共整列するように、光線コンバイナ/スプリッタ816に向けられる第2の光線の角度を調整するために制御システム700によって位置決めされる。
【0045】
図9は、ガルバノメータ814(図8を参照)の角度θvを調整して第2の光線を第1の光線にマッピングするための共整列補正ルックアップテーブル718に含まれる機械的角度補正データを示すグラフ900を示す。図9に示されるように、ガルバノメータ814の機械的角度補正は、回転ポリゴンミラー812の角度θvが0度から離れて(すなわち、x軸の左方向又は右方向に)増減するにつれて増加する。したがって、ガルバノメータ814の機械的角度補正は、第1及び第2の光線の視野が広がるにつれて増加する。
【0046】
図7に戻ると、いくつかのシナリオでは、共整列補正ルックアップテーブル718は、ガルバノメータ位置716を補償するために利用されない(走査位置712をガルバノメータ位置716に直接つなげる矢印を参照)。これは、眼科走査システムが、第1の走査モダリティを実行せずに、第2の走査モダリティのみを実行する場合に発生する可能性がある。
【0047】
図7にも示されているように、位置ベースのピクセル乗算器ルックアップテーブル720は、光線が患者の眼を横切って走査するときに、第1及び第2の光線の不均一なピクセル寸法を補償するために使用される。さらに、位置ベースのピクセル乗算器ルックアップテーブル720は、リアルタイムの走査位置に応じて、視線追跡ロジック726(以下でより詳細に説明される)からの出力をADC値に変換するために使用される。
【0048】
位置ベースのピクセル乗算器ルックアップテーブル720からの異なる倍率は、それぞれの回転ポリゴンミラー812及びガルバノメータ814の各機械的角度について第1及び第2の光線を補償するために使用される(図8を参照)。位置ベースのピクセル乗算器ルックアップテーブル720は、シミュレーションモデルから取得されたデータを使用する。例えば、図10は、回転ポリゴンミラー812によって引き起こされる不均一なピクセル寸法を補償するための倍率(例えば、y軸)を表示するグラフ1000(位置ベースのピクセル乗算器ルックアップテーブル720によって使用され得る)を示す。図11は、ガルバノメータ814からの不均一なピクセル寸法を補償するための倍率(例えば、y軸)を表示するグラフ1100(位置ベースのピクセル乗算器ルックアップテーブル720によって使用され得る)を示す。
【0049】
いくつかの例示的なシナリオでは、位置ベースのピクセル乗算器ルックアップテーブル720は、ガルバノメータ位置716を補償するために利用されない。例えば、位置ベースのピクセル乗算器ルックアップテーブル720は、システムが非線形走査位置に依存するピクセル対ADC値の関係を持たない場合には使用されない。これらの例では、ガルバノメータ位置716のADC値は、ソフトウェアモジュール704のその要素から、ガルバノメータコントローラ702内のガルバノメータ駆動位置ルックアップテーブル722に直接送信される。
【0050】
ガルバノメータ駆動位置ルックアップテーブル722は、ガルバノメータ位置716からのADC値を記憶してガルバノメータ714の位置を制御するガルバノメータコントローラ702のメモリである。したがって、ガルバノメータ駆動位置ルックアップテーブル722の入力は、ガルバノメータ714が移動して走査を開始することが望まれる位置を制御する。入力は、ガルバノメータ駆動位置ルックアップテーブル722に複数の異なる波形で格納することができる。有利なことに、同じメモリ内の駆動及び共整列補正値を組み合わせると、ガルバノメータコントローラ702のリアルタイムストレージが削減される。
【0051】
ガルバノメータ駆動位置ルックアップテーブル722がガルバノメータ位置716からADC値を取得すると、その後、ADC値は、ガルバノメータコントローラ702内の位置ベースのピクセル乗算器724によって補償される。位置ベースのピクセル乗算器724は、ガルバノメータコントローラ702のメモリである。いくつかの例では、位置ベースのピクセル乗算器724は、位置ベースのピクセル乗算器ルックアップテーブル720の一部又はサブセットのみを格納して、ガルバノメータコントローラ702のメモリを節約する。
【0052】
ガルバノメータコントローラ702は、患者の眼及び/又は頭の動きを補償するために走査パターンの調整を生成する視線追跡ロジック726を含む。位置ベースのピクセル乗算器724は、ピクセル単位の視線追跡ロジック726からの出力を、ガルバノメータ駆動位置ルックアップテーブル722によって使用されるADC値に変換するために使用される。いくつかの例では、調整は非線形であり、乗数730を使用して、患者の眼の異なる領域における異なるピクセル倍率(スケーリング(scaling))について位置ベースのピクセル乗算器724からのADC値を補償する。乗数730は、眼の異なる領域のピクセル倍率に従ってADC値を変換して、視線追跡ロジック726に基づいてガルバノメータ714の位置を調整する。
【0053】
位置ベースのピクセル乗算器724からの出力は、視線追跡ロジック726からの視線追跡ピクセル誤差を、乗算によってガルバノメータ駆動値に変換するために使用される。本明細書の例示的な一実施形態では、乗数730は定数ではない。代わりに、例として、乗数730は走査位置に依存する。したがって、走査位置はガルバノメータ駆動位置ルックアップテーブル722から取得され、乗数は位置ベースのピクセル乗算器724から選択され、視線追跡ピクセル誤差は乗数730で乗算されて、メモリブロック732で駆動波形に合算されるガルバノメータ駆動誤差を提供する。したがって、メモリブロック732は、ガルバノメータ駆動位置ルックアップテーブル722からの走査位置を、位置ベースのピクセル乗算器724からの非線形ピクセル補正係数と乗算した後の乗数730を通して視線追跡ロジック726からのオフセットと組み合わせる。次に、駆動波形は、ガルバノメータ714の位置及び動きを指示するためにモータコントローラ744を駆動するPIDコントローラ及びPWMドライバ742に送られる。
【0054】
例示的な一例では、視線追跡ロジック726は、OCT走査が行われている間にSLO画像を受信する。視線追跡ロジック726は、入ってくるSLO画像を参照画像と比較する。いくつかの例では、参照画像は、走査シーケンスの初期の画像又は参照用のSLO計画画像から導出される。視線追跡ロジック726の出力は、ピクセル単位(x軸及びy軸座標)であり、SLO画像が参照画像に対してオフセットされている。これらのピクセル誤差は、乗数730で乗算されて、ガルバノメータ駆動値(すなわち、ADC値)に変換される。本明細書の例示的な一実施形態では、変換は非線形であり、走査位置に依存する。したがって、位置ベースのピクセル乗算器724は、(ADC値で)現在の走査位置について正しい乗数を提供する。
【0055】
依然として図7を参照すると、非線形性補正ルックアップテーブル740を使用してガルバノメータ714の位置を調整し、以下で説明するように、第1及び第2の光線の非線形性及びガルバノメータ714に対するヒステリシスの影響を補償することもできる。まず、図12及び図13について説明する。
【0056】
図12は、ガルバノメータ714の機械的角度に対するADC値(上の曲線)と、ガルバノメータ714の機械的角度に対するADC値の勾配(下の曲線)を表示するグラフ1200を示している。図12に示されるように、ADC値は、ガルバノメータ714の移動(すなわち、掃引)の終わりにロールオフする。したがって、ADC値とガルバノメータ位置との関係は、ガルバノメータ714の視野の両端(例えば、掃引の端部)で関係が非線形であるように、ガルバノメータの位置に応じて変化する。ADC値の非線形性は、第2の光線を反射するときにガルバノメータ714がどのように駆動されるか、又はガルバノメータの位置を識別するアナログ出力信号を生成するガルバノメータ714の位置センサから現れる。非線形性の影響(補正されないままの場合)は、ガルバノメータがすべての走査角度で所望の位置に正しく向けられないことである。代わりに、ガルバノメータは「正しい位置」を誤って報告し、制御システム700は、ガルバノメータが誤った方向に不正確に向けられていることを検出することができない。
【0057】
図13は、ガルバノメータ714の順方向及び逆方向掃引からの電気駆動ヒステリシスを示すグラフ1300を示している。逆波形からのヒステリシスにより、同じADC値は、端から端までの全掃引範囲について、ガルバノメータ714の各位置で異なる機械的角度を有する。(例示的で非限定的な一例では、ヒステリシスは、ガルバノメータ714の位置が位置30,000に駆動され、ガルバノメータ714の角度が、動き+ve又は-veに応じて、-20度又は0度のいずれかを指している場合に発生し得る。また、例示的で非限定的な一例では、そのような誤差は、例えばゲイン及びDCオフセットなどのパラメータを使用してガルバノメータをオーバードライブすることによって、走査角度についてソフトウェアで局所的に補償することができ、最終的に、最初に計画された位置に近い順方向及び逆方向掃引の両方の位置をもたらす。)
【0058】
図7に戻ると、非線形性補正ルックアップテーブル740は、位置フィードバック回路736からの入力を受信するローパスフィルタ738からの入力を受信する。非線形性補正ルックアップテーブル740は、シミュレーションモデルから取得されたデータ(グラフ1200及び1300に含まれるデータなど)を格納し、格納されたデータは、ADC値の非線形性及びガルバノメータ714のヒステリシスを補償するために使用される。ローパスフィルタ738を介して位置フィードバック回路736から受信したガルバノメータ714の位置情報に基づいて、非線形性補正ルックアップテーブル740を使用して、補償された位置情報をPIDコントローラ及びPWMドライバ742に提供する。
【0059】
PIDコントローラ及びPWMドライバ742は、新しい位置情報に基づいてガルバノメータ714の位置及び動きを制御するようにモータコントローラ744を制御することによって、非線形性補正ルックアップテーブル740から受信した補償された位置情報に応答する。PIDコントローラ及びPWMドライバ742は、ガルバノメータ714の現在の位置(740の出力)とガルバノメータ714の所望の位置(メモリブロック732からの出力)との間の誤差を使用して、ガルバノメータ714を正しい位置に駆動する。いくつかの例では、非線形性補正ルックアップテーブル740は、ガルバノメータ714からの位置センサの誤差を補正する。メモリブロック732からの出力は、ドライブ位置誤差(すなわち、システム内の視線追跡又は既知の光学誤差からの誤差)を補正するため、メモリブロック732の出力は、ガルバノメータ714にとって所望のドライブ値である。次に、ガルバノメータ714は、標的領域にわたって走査を実行する。いくつかの例では、ガルバノメータ714は、標的領域にわたって光コヒーレンス断層撮影(OCT)走査を実行する。
【0060】
ガルバノメータ714の位置及び動きが制御システム700に従って制御される場合、第2の画像化モダリティの第2の光線経路の外角に対する機械的角度の比は、第1の画像化モダリティの第1の光線経路の外角に対する機械的角度の比と同じになる。したがって、制御システム700は、第1及び第2の画像化モダリティ間の改善された走査位置精度及び相関を提供し、第1及び第2の画像化モダリティが眼科走査システムにおいてより広い視野を有することを可能にする。例えば、第1及び第2の画像化モダリティは、走査位置の誤差、走査サイズの誤差、及び走査線形性の誤差を大幅に削減しながら、網膜の約80%を含む200度の視野を有することができる。
【0061】
有利なことに、制御システム700は、眼科走査システムが、全走査範囲にわたって改善された走査線形性及び精度を提供しながら、より広い走査範囲(すなわち、超広視野)をカバーすることを可能にする。加えて、第1及び第2の画像化モダリティ間の誤差はスキャナレベルで無視できるほど小さくなり、高レベルの走査分解能と再現性が実現され、これにより、第1及び第2の画像化モダリティ間の走査位置及び分解能の差異を補正するための画像化後の処理は不要になる。さらに、制御システム700は、ガルバノメータ714に対するヒステリシス及び非線形性の影響を実質的に低減することができる。
【0062】
図14は、本明細書の例示的な実施形態による、第2の画像化モダリティを第1の画像化モダリティにマッピングする方法1400を示す。上記のように、いくつかの例では、第1の画像化モダリティはSLO画像化モダリティであり、第2の画像化モダリティはOCT画像化モダリティである。方法1400は、第1の画像化モダリティによって画像化された関心領域(例えば、図7の関心領域710)に基づいて、第2の画像化モダリティの走査位置(例えば、図7の走査位置712)を受信する動作1402を含む。走査位置は、第1の画像化モダリティによって画像化された関心領域内で識別された特徴又は病理であり得る。次に、方法1400は、動作1404で、動作1402から受信した走査位置に基づいて、第2の画像化モダリティの初期ガルバノメータ位置(例えば、図7のガルバノメータ位置716)を決定する。
【0063】
次に、方法1400は、共整列補正ルックアップテーブル(例えば、図7の共整列補正ルックアップテーブル718)を使用して、第2の画像化モダリティの初期ガルバノメータ位置を調整する動作1406を含む。上記のように、共整列補正ルックアップテーブルは、ガルバノメータ位置の内角対外角の補正を提供して、ガルバノメータ位置を調整し、標的領域での第1及び第2の光線の外角間の誤差を補償する。
【0064】
次に、方法1400は、動作1408で、(例えば、患者が眼を動かしたときに)標的領域が移動したかどうかを決定する。標的領域が移動したと決定された場合(すなわち、動作1408の「はい」)、方法1400は動作1410に進み、患者の眼及び/又は頭の動きを補償するために走査パターンの調整を生成する視線追跡ロジックを実行する。上記のように、位置ベースのピクセル乗算器724などのルックアップテーブルを使用して、ピクセル単位の視線追跡ロジックからの出力をADC値に変換して、ガルバノメータ位置を調整することができる。不均一なピクセル寸法を補償するために、ルックアップテーブルには様々な倍率が用意されている。
【0065】
標的領域が移動していない(すなわち、動作1408の「いいえ」)と決定された場合、又は動作1410で視線追跡ロジックの実行が完了した後、方法1400は動作1412に進み、非線形性補正ルックアップテーブル(例えば、図7の非線形性補正ルックアップテーブル740)を使用してガルバノメータの位置を調整し、ガルバノメータの非線形性及びヒステリシスの影響を補償する。その後、方法1400は、第2の画像化モダリティによる標的領域の走査を実行することによって、動作1414に進む。いくつかの例では、動作1414で実行される走査はOCT走査である。
【0066】
図15は、上記の眼科走査システムに関連する1つ又は複数のコンピューティングデバイスなどのコンピューティングデバイス1500の例示的な物理的構成要素を示す。示されるように、コンピューティングデバイス1500は、少なくとも1つのプロセッサ又は中央処理装置(「CPU」)1508と、システムメモリ1512と、システムメモリ1512をCPU1508に結合するシステムバス1510とを含む。中央処理装置1508は、処理装置の一例である。
【0067】
システムメモリ1512は、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)1518と読み取り専用メモリ(「ROM」)1520とを含む。起動時など、コンピューティングデバイス内の要素間で情報を転送するのに役立つ基本ルーチンを含む基本入出力システムは、ROM1520に格納される。コンピューティングデバイスは、大容量記憶装置1514をさらに含む。大容量記憶装置1514は、ソフトウェア命令及びデータを記憶することができる。大容量記憶装置1514は、システムバス1510に接続された大容量記憶コントローラを介してCPU1508に接続されている。大容量記憶装置1514及びそれに関連するコンピュータ可読データ記憶媒体は、コンピューティングデバイス1500に不揮発性の非一時的記憶を提供する。本明細書に含まれるコンピュータ可読データ記憶媒体の説明は、ハードディスク又はCD-ROMドライブなどの大容量記憶装置に言及しているが、コンピュータ可読データ記憶媒体は、デバイスがデータ及び/又は命令を読み取ることができる任意の利用可能な非一時的な物理デバイス又は製品であり得ることを当業者は理解すべきである。大容量記憶装置1514は、コンピュータ可読記憶装置の一例である。
【0068】
コンピュータ可読データ記憶媒体には、コンピュータ可読ソフトウェア命令、データ構造、プログラムモジュール又は他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法又は技術で実装された揮発性及び非揮発性、取り外し可能及び取り外し不能の媒体が含まれる。コンピュータ可読データ記憶媒体の例示的なタイプには、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他のソリッドステートメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(「DVD」)、他の光学式記憶媒体、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置又は他の磁気記憶装置、又は所望の情報を記憶するために使用することができ、コンピューティング装置によってアクセスすることができる他の任意の媒体が含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
コンピューティングデバイス1500は、ローカルネットワーク、インターネット、又は別のタイプのネットワークなどのネットワーク46を介したリモートネットワークデバイスへの論理接続を使用して、ネットワーク環境で動作し得る。コンピューティングデバイス1500は、システムバス1510に接続されたネットワークインターフェースユニット1516を介してネットワーク46に接続する。ネットワークインターフェースユニット1516はまた、他のタイプのネットワーク及びリモートコンピューティングシステムに接続し得る。
【0070】
コンピューティングデバイス1500は、タッチユーザインターフェース表示画面又は別のタイプの入力デバイスを含む、他の多くのデバイスからの入力を受信及び処理するための入力/出力コントローラ1522を含む。同様に、入力/出力コントローラ1522は、タッチユーザインターフェース表示画面、プリンタ、又は他のタイプの出力デバイスに出力を提供し得る。
【0071】
上記のように、大容量記憶装置1514及びコンピューティングデバイス1500のRAM1518は、ソフトウェア命令及びデータを記憶することができる。ソフトウェア命令は、コンピューティングデバイス1500の動作を制御するのに適したオペレーティングシステム1532を含む。大容量記憶装置1514及び/又はRAM1518はソフトウェア命令も記憶し、ソフトウェア命令は、CPU1508によって実行されると、コンピューティングデバイス1500に、本明細書で説明され図に示された方法を含む、本明細書で論じられた機能を提供させる。
【0072】
通信媒体は、ソフトウェア命令、データ構造、プログラムモジュール、又は例えば搬送波又は他の移送メカニズムなど変調されたデータ信号内の他のデータで具体化することができ、任意の情報配信媒体を含む。「変調されたデータ信号」という用語は、信号内の情報を符号化するような方法で設定又は変更された1又は複数の特性を有する信号を表すことがある。例として、通信媒体は、有線ネットワーク又は直接有線接続などの有線媒体、並びに音響、無線周波数(RF)、赤外線及び他の無線媒体などの無線媒体を含み得る。
【0073】
本明細書で示されているブロック図は単なる例である。本開示の精神から逸脱することなく、そこに記載されているこれらの図には多くの変形があり得る。例えば、構成要素は追加、削除、又は変更され得る。
【0074】
前述の説明では、いくつかの例示的な実施形態を参照して例示的な態様が説明されている。したがって、この仕様は限定的なものではなく、例示的なものである。同様に、例示的な実施形態の機能性及び利点を強調する図面に示される図は、例示的な目的のためにのみ提示されている。例示的な実施形態のアーキテクチャは、添付の図に示されている方法以外の方法で利用(及びナビゲート)され得るように、十分に柔軟であり、適合性がある。
【0075】
本明細書に提示される例のソフトウェアの実施形態は、例示的な一実施形態ではそれぞれが非一時的であり得る(そしてメモリ又はストアを形成することができる)機械アクセス可能媒体、機械可読媒体、命令ストア、又はコンピュータ可読記憶装置などの製造品に含まれるか格納される命令又は命令のシーケンスを有する1又は複数のプログラムなどのコンピュータプログラム又はソフトウェアとして提供され得る。非一時的な機械アクセス可能媒体、機械可読媒体、メモリ、命令ストア、又はコンピュータ可読記憶装置若しくは媒体上のプログラム又は命令は、コンピュータシステム又は他の電子装置をプログラムするために使用され得る。機械又はコンピュータ可読デバイス/媒体、メモリ、命令ストア、及び記憶装置は、電子命令の格納又は送信に適したフロッピーディスク、光ディスク、及び光磁気ディスク又は他のタイプの媒体/機械可読媒体/命令ストア/記憶装置を含み得るが、これらに限定されない。本明細書で説明される技術は、いずれの特定のソフトウェア構成にも限定されない。あらゆるコンピューティング環境又は処理環境での適用性が見出され得る。本明細書で使用される用語「コンピュータ可読媒体」、「機械アクセス可能媒体」、「機械可読媒体」、「メモリ」、「命令ストア」、「コンピュータ可読記憶媒体」、及び「コンピュータ可読記憶装置」は、マシン、コンピュータ、又はコンピュータプロセッサによって実行するための命令又は一連の命令を格納、符号化、又は送信することができ、かつマシン/コンピュータ/コンピュータプロセッサに本書に記載されている方法のいずれか1つを実行させる任意の媒体を含むものとする。さらに、当技術分野ではソフトウェアについて、何らかの形(例えば、プログラム、手順、プロセス、アプリケーション、モジュール、ユニット、ロジックなど)で、アクションを実行する、又は結果を引き起こすものとして話すのが一般的である。このような表現は、処理システムによるソフトウェアの実行により、プロセッサがアクションを実行して結果を生成することを示す簡略な方法に過ぎない。
【0076】
いくつかの実施形態はまた、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイを準備することによって、又は従来の構成回路の適切なネットワークを相互接続することによって実施され得る。
【0077】
いくつかの実施形態は、コンピュータプログラム製品を含む。コンピュータプログラム製品は、本明細書に記載の例示的な実施形態の手順のいずれかをコンピュータ又はコンピュータプロセッサに制御又は実行させるために使用することができる命令がその上又はその中に格納されている、記憶媒体又は媒体、メモリ、命令ストア、又は記憶装置であり得る。記憶媒体/メモリ/命令ストア/記憶装置は、例示的でありこれらに限定されないが、光ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、DRAM、VRAM、フラッシュメモリ、フラッシュカード、磁気カード、光学カード、ナノシステム、分子メモリ集積回路、RAID、リモートデータストレージ/アーカイブ/ウェアハウジング、及び/又は命令及び/又はデータを格納するのに適した任意の他のタイプのデバイスを含み得る。
【0078】
コンピュータ可読媒体又は媒体、メモリ、命令ストア、又は記憶装置のいずれかに格納された一部の実装は、システムのハードウェアを制御するため、及びシステム又はマイクロプロセッサが本明細書に記載の例示的な実施形態の結果を利用する人間のユーザ又は他のメカニズムと相互作用できるようにするためのソフトウェアを含む。このようなソフトウェアは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、及びユーザアプリケーションを含み得るが、これらに限定されない。最終的に、そのようなコンピュータ可読媒体又は記憶装置はさらに、上記のように本発明の例示的な態様を実行するためのソフトウェアを含む。
【0079】
システムのプログラミング及び/又はソフトウェアには、本明細書に記載の手順を実施するためのソフトウェアモジュールが含まれる。本明細書のいくつかの例示的な実施形態では、モジュールはソフトウェアを含むが、本明細書の他の例示的な実施形態では、モジュールは、ハードウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせを含む。
【0080】
本発明の様々な例示的な実施形態を上記で説明してきたが、それらは例示として提示されたものであり、限定ではないことを理解されたい。関連技術の当業者には、その中で形態及び詳細に様々な変更を加えることができることが明らかであろう。したがって、本発明は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの同等物に従ってのみ定義されるべきである。
【0081】
さらに、要約の目的は、特許庁及び一般の人々、特に特許又は法的用語又は表現に精通していない当技術分野の科学者、技術者及び実務家が、大まかに見て本申請の技術的開示の性質及び本質を迅速に判断できるようにすることである。要約は、本明細書に提示された例示的な実施形態の範囲に関していかなる方法でも限定することを意図するものではない。また、特許請求の範囲に記載されているあらゆる手順は、提示された順序で実行される必要はないことを理解されたい。
【0082】
本明細書は多くの特定の実施形態の詳細を含むが、これらは、発明の範囲又は請求され得るものの制限として解釈されるべきではなく、本明細書に記載の特定の実施形態に固有の特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態の文脈で本明細書に記載されている特定の特徴は、単一の実施形態で組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴は、複数の実施形態で別々に、又は任意の適切なサブコンビネーションで実装することもできる。さらに、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上記に記載され、最初にそのように主張されてさえいるが、主張された組み合わせからの1又は複数の特徴は場合によっては組み合わせから削除することができ、主張された組み合わせは、サブコンビネーション又はサブコンビネーションのバリエーションを対象とし得る。
【0083】
本明細書に記載のデバイス及び装置は、その特性から逸脱することなく他の特定の形態で具体化され得る。前述の実施形態は、説明されたシステム及び方法を限定するものではなく、例示的なものである。したがって、本明細書に記載の光学システム及び装置の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び同等の範囲内に入る変更がそこに含まれる。
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