(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/631 20060101AFI20230328BHJP
H01R 12/71 20110101ALI20230328BHJP
【FI】
H01R13/631
H01R12/71
(21)【出願番号】P 2019018199
(22)【出願日】2019-02-04
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 章吾
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-078015(JP,A)
【文献】特開2007-323854(JP,A)
【文献】特開2006-210206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/631
H01R 12/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板に取り付けられる第1コネクタと、第2基板に取り付けられる第2コネクタと、を備え、
前記第1コネクタは、
平板状の第1底壁部と、前記第1底壁部の外周に沿って前記第1底壁部上に立設する枠状の第1側壁部とを有する第1ハウジングと、
前記第1側壁部における互いに対向する一対の壁部に配置される導電性の複数の第1コンタクトと、を備え、
前記第2コネクタは、
平板状の第2底壁部と、前記第2底壁部の外周に沿って前記第2底壁部上に立設する枠状の第2側壁部とを有する第2ハウジングと、
前記第2側壁部によって形成される凹部に配置され、前記複数の第1コンタクトに接続される導電性の複数の第2コンタクトと、を備え、
前記第1側壁部の角部は、前記第1側壁部の外方に向かうにつれて前記第1底壁部へ向けて傾斜する第1傾斜面を有する被案内部を備え、
前記第2側壁部の角部は、前記第2底壁部から離れる方向に突出し、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合する際、前記被案内部を前記第2底壁部に向けて案内する案内部を備え
、
前記被案内部は、
前記第1側壁部の4つの角部の各々に設けられ、
前記案内部は、
前記第2側壁部の4つの角部の各々に設けられ、且つ、前記第2側壁部における連続する領域から、前記第2底壁部から離れる方向に突出する突出部を有し、
前記突出部は、
前記第2側壁部の内方に向かうにつれて前記第2底壁部へ向けて傾斜し、周方向における中央部が両端部に対して凸状に形成された第2傾斜面を有し、
前記案内部は、
前記第2傾斜面に連続し、前記第2側壁部の内方に向けて突出する凸部を有し、
前記被案内部は、
前記第1傾斜面に連続し、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合状態である場合に前記凸部に対向する凹部を有する
ことを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
前記第1傾斜面は、凹状の曲面である
ことを特徴とする請求項
1に記載のコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各々の基板に取り付けられ互いに嵌合可能に構成された2つの電気コネクタを備えるコネクタ装置が広く用いられている。かかるコネクタ装置として、枠状の壁部を有する絶縁性のハウジングに導電性の複数のコンタクトが配列された電気コネクタと、かかる電気コネクタにおける枠状の壁部によって形成された凹部に導電性の複数のコンタクトが配列される絶縁性のハウジングを有する相手コネクタとを備えるコネクタ装置が知られている。
【0003】
この種のコネクタ装置に関し、特許文献1には、電気コネクタにおける枠状の壁部のうちコンタクトが形成される一対の側壁を連結する一対の端壁に、内方へ向けて傾斜する傾斜面が形成されており、かかる傾斜面を案内部として相手コネクタを電気コネクタに挿入することができるガイド機能を有したコネクタ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の電気コネクタは、案内部として機能する傾斜面が一対の側壁(長手方向に延在する壁)から一対の端壁(短手方向に延在する壁)に亘って連続するように形成されるため、十分な傾斜面を形成するためには、相手コネクタを電気コネクタに挿入する方向と直交する方向の長さが長くなり、小型化が難しいといった課題がある。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、ガイド機能を有し且つ小型化が可能なコネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係るコネクタ装置は、第1基板に取り付けられる第1コネクタと、第2基板に取り付けられる第2コネクタとを備える。前記第1コネクタは、平板状の第1底壁部と、前記第1底壁部の外周に沿って前記第1底壁部上に立設する枠状の第1側壁部とを有する第1ハウジングと、前記第1側壁部における互いに対向する一対の壁部に配置される導電性の複数の第1コンタクトとを備える。前記第2コネクタは、平板状の第2底壁部と、前記第2底壁部の外周に沿って前記第2底壁部上に立設する枠状の第2側壁部とを有する第2ハウジングと、前記第2側壁部によって形成される凹部に配置され、前記複数の第1コンタクトに接続される導電性の複数の第2コンタクトとを備える。前記第1側壁部の角部は、前記第1側壁部の外方に向かうにつれて前記第1底壁部へ向けて傾斜する第1傾斜面を有する被案内部を備える。前記第2側壁部の角部は、前記第2底壁部から離れる方向に突出し、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合する際、前記被案内部を前記第2底壁部に向けて案内する案内部を備える。前記被案内部は、前記第1側壁部の4つの角部の各々に設けられる。前記案内部は、前記第2側壁部の4つの角部の各々に設けられ、且つ、前記第2側壁部における連続する領域から、前記第2底壁部から離れる方向に突出する突出部を有する。前記突出部は、前記第2側壁部の内方に向かうにつれて前記第2底壁部へ向けて傾斜し、周方向における中央部が両端部に対して凸状に形成された第2傾斜面を有する。前記案内部は、前記第2傾斜面に連続し、前記第2側壁部の内方に向けて突出する凸部を有する。前記被案内部は、前記第1傾斜面に連続し、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合状態である場合に前記凸部に対向する凹部を有する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、ガイド機能を有し且つ小型化が可能なコネクタ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係るコネクタ装置におけるプラグコネクタとレセプタクルコネクタとの嵌合方法を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るプラグコネクタの外観斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るプラグコネクタの平面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るレセプタクルコネクタの外観斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るレセプタクルコネクタの平面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るプラグコネクタとレセプタクルコネクタとの嵌合方法を説明するための図である。
【
図9】
図9は、プラグコネクタがレセプタクルコネクタに対して左右方向(X軸正負方向)にずれている状態でレセプタクルコネクタに挿入される様子を示す平面図である。
【
図10】
図10は、プラグコネクタがレセプタクルコネクタに対して左右方向(X軸正負方向)にずれている状態でレセプタクルコネクタに挿入される様子を示す外観斜視図である。
【
図11】
図11は、プラグコネクタがレセプタクルコネクタに対して前後方向(Y軸正負方向)にずれている状態でレセプタクルコネクタに挿入される様子を示す平面図である。
【
図12】
図12は、プラグコネクタがレセプタクルコネクタに対して前後方向(Y軸正負方向)にずれている状態でレセプタクルコネクタに挿入される様子を示す外観斜視図である。
【
図13】
図13は、プラグコネクタがレセプタクルコネクタに対してθ方向にずれている状態でレセプタクルコネクタに挿入される様子を示す平面図である。
【
図14】
図14は、プラグコネクタがレセプタクルコネクタに対してθ方向にずれている状態でレセプタクルコネクタに挿入される様子を示す外観斜視図である。
【
図15】
図15は、実施形態に係るプラグコネクタの他の構成例を示す外観斜視図である。
【
図16】
図16は、実施形態に係るレセプタクルコネクタの他の構成例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するコネクタ装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
<1.コネクタ装置の構成>
まず、
図1を参照して実施形態に係るプラグコネクタおよびレセプタクルコネクタを含むコネクタ装置を説明する。
【0012】
図1に示すように、実施形態に係るコネクタ装置1は、配線基板2に取り付けられるプラグコネクタ10と、配線基板3に取り付けられるレセプタクルコネクタ20とを備える。配線基板2,3は、例えば、印刷配線基板などの電気回路基板である。配線基板2は、第1基板の一例であり、配線基板3は、第2基板の一例である。プラグコネクタ10は、第1コネクタの一例であり、レセプタクルコネクタ20は、第2コネクタの一例である。
【0013】
また、以下においては、説明の便宜上、レセプタクルコネクタ20に対してプラグコネクタ10を挿入する方向(Z軸負方向)を「下方向」とし、その逆方向である抜去方向(Z軸正方向)を「上方向」とする。また、プラグコネクタ10およびレセプタクルコネクタ20の長手方向(X軸正負方向、以下、X軸方向とする)を「左右方向」とする。また、プラグコネクタ10およびレセプタクルコネクタ20の短手方向(Y軸正負方向、以下、Y軸方向とする)を「前後方向」とする。
【0014】
コネクタ装置1では、プラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ20との嵌合によって、プラグコネクタ10の絶縁性のハウジング11に配列された導電性の複数のコンタクト12がレセプタクルコネクタ20の絶縁性のハウジング21に配列された導電性の複数のコンタクト22に電気的に接続される。これにより、配線基板2に形成された不図示の信号導電路と配線基板3に形成された不図示の信号導電路とがコンタクト12,22を介して電気的に接続される。ハウジング11は、第1ハウジングの一例であり、コンタクト12は、第1コンタクトの一例であり、ハウジング21は、第2ハウジングの一例であり、コンタクト22は、第2コンタクトの一例である。
【0015】
プラグコネクタ10のハウジング11は、平板状の底壁部111と、底壁部111の外周に沿って底壁部111上に立設する枠状の側壁部112とを有する。複数のコンタクト12は、側壁部112における互いに対向する一対の壁部1121に左右方向(X軸方向)に沿って配列される。底壁部111は、第1底壁部の一例であり、側壁部112は、第1側壁部の一例である。
【0016】
レセプタクルコネクタ20のハウジング21は、平板状の底壁部211と、底壁部211の外周に沿って底壁部211上に立設する枠状の側壁部212とを有する。複数のコンタクト22は、側壁部212によって形成される凹部27に左右方向(X軸方向)に沿って配列される。底壁部211は、第2底壁部の一例であり、側壁部212は、第2側壁部の一例である。
【0017】
そして、プラグコネクタ10のハウジング11における枠状の側壁部112の各角部は、側壁部112の外方に向かうにつれて底壁部111へ向けて傾斜する傾斜面1131を有する被案内部113を備える。傾斜面1131は第1傾斜面の一例である。また、レセプタクルコネクタ20のハウジング21における枠状の側壁部212の各角部は、案内部214を備える。かかる案内部214は、底壁部211から離れる方向(Z軸正方向)に突出する突出部2141を有し、プラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ20とが嵌合する際、被案内部113を底壁部211に向けて案内する。
【0018】
このように、コネクタ装置1では、プラグコネクタ10における傾斜面1131を有する被案内部113が、レセプタクルコネクタ20の案内部214によって案内される。かかる案内部214は、底壁部211から離れる方向に突出する突出部2141でプラグコネクタ10の被案内部113を案内する。そのため、例えば、前後方向(Y軸方向)において対向する一対の壁部2121(
図6参照)から左右方向(X軸方向)において対向する一対の壁部2122(
図6参照)に亘って連続するように傾斜面を側壁部212に形成する場合に比べ、側壁部212の前後方向(Y軸方向)および左右方向(X軸方向)の長さを抑えることができ、レセプタクルコネクタ20の小型化が可能である。
【0019】
また、被案内部113は、コンタクト12が配置される一対の壁部1121よりも底壁部111から離れる方向に突出しているため、プラグコネクタ10をレセプタクルコネクタ20に誘い込む段階においてプラグコネクタ10のコンタクト12がレセプタクルコネクタ20のハウジング21に接触することが抑制される。そのため、プラグコネクタ10をレセプタクルコネクタ20に誘い込む段階においてプラグコネクタ10のコンタクト12がレセプタクルコネクタ20のハウジング21に接触して破損することを抑制することができる。
【0020】
<2.プラグコネクタ10の構成>
次に、
図2~
図4を参照して実施形態に係るプラグコネクタ10の構成について説明する。なお、
図2~
図4では、
図1に示すXYZ座標上のレセプタクルコネクタ20にプラグコネクタ10が挿入されたと仮定した状態のXYZ座標が示される。
【0021】
図2に示すように、プラグコネクタ10は、絶縁性のハウジング11と、導電性の複数のコンタクト12と、導電性の一対の固定金具13とを備える。複数のコンタクト12および固定金具13は、例えば、一つの金属板に打抜き加工や折曲げ加工を施すことによって各々形成される。
【0022】
ハウジング11は、上述したように、平板状の底壁部111と、底壁部111の外周に沿って底壁部111上に立設する枠状の側壁部112とを備える。底壁部111および側壁部112によって凹部14が形成される。側壁部112は、互いに対向し且つ複数のコンタクト12が配列される一対の壁部1121と、一対の壁部1121を連結する一対の壁部1122とを備え、平面視で方形状に形成される。
【0023】
複数のコンタクト12は、例えば、圧入またはインサート成形によって一対の壁部1121に固定される。各コンタクト12は、壁部1121における前後の壁面(外面と内面)に跨って配置され、レセプタクルコネクタ20のコンタクト22に接触するU字状の接触部121と、接触部121の一端から外方に突出し配線基板2(
図1参照)の不図示の信号導電路に接続される端子部122とを有する。
【0024】
一対の固定金具13の各々は、本体部131と、複数の端子部132とを有する。各本体部131は、ハウジング11における一対の壁部1122のうち対応する壁部1122の表面を部分的に覆う。複数の端子部132は、本体部131における端部から外方に突出し配線基板3(
図1参照)の不図示のグランド導電路に接続される。
【0025】
ハウジング11における枠状の側壁部112の4つの角部の各々には、被案内部113が設けられる。被案内部113は、
図4に示すように、側壁部112の外方に向かうにつれて底壁部111へ向けて傾斜する傾斜面1131と、傾斜面1131に連続する凹部1132とを有する。かかる被案内部113は、固定金具13に覆われていない。被案内部113における底壁部111からの高さ位置は、固定金具13の本体部131における底壁部111からの高さ位置よりも高いが同一であってもよい。
【0026】
傾斜面1131は、凹状の曲面であり、
図2~
図4に示す例では、凹状の湾曲面である。かかる傾斜面1131は、底壁部111へ向かうにつれて幅が狭くなる。すなわち、傾斜面1131は、側壁部112の角部の先端へ向うにつれて幅が狭くなる。凹部1132は、側壁部112の角部の先端に形成され、上下方向に延伸する。かかる凹部1132は、ハウジング11の内方に向けて窪む凹状の曲面を有する。
【0027】
<3.レセプタクルコネクタ20の構成>
次に、
図5~
図7を参照して実施形態に係るレセプタクルコネクタ20の構成について説明する。
図5および
図6に示すように、レセプタクルコネクタ20は、絶縁性のハウジング21と、導電性の複数のコンタクト22と、ハウジング21の左右方向(X軸方向)の各端部に取り付けられた固定金具23とを備える。コンタクト22および固定金具23は、例えば、一つの金属板に打抜き加工や折曲げ加工を施すことによって各々形成される。
【0028】
ハウジング21は、上述したように、平板状の底壁部211と、底壁部211の外周に沿って底壁部211上に立設する枠状の側壁部212と、底壁部211から立設し側壁部212で囲まれた領域に側壁部212と間隔を空けて配置される中央壁部213とを備える。側壁部212は、互いに対向し且つ複数のコンタクト12が配列される一対の壁部2121と、一対の壁部2121を連結する一対の壁部2122とを備える。
【0029】
ハウジング21は、底壁部211、側壁部212、および中央壁部213によって凹部27が形成される。プラグコネクタ10がレセプタクルコネクタ20に挿入される際に、プラグコネクタ10における枠状の側壁部112がハウジング21に形成される凹部27に挿入され、プラグコネクタ10における凹部14にハウジング21に形成される中央壁部213が挿入される。
【0030】
複数のコンタクト22は、例えば、圧入またはインサート成形によって一対の壁部2121に固定される。各コンタクト22は、接触部221と、端子部222とを有する。各接触部221は、ハウジング11の凹部27に沿って一部を露出させるように配置され、プラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ20とが嵌合している状態で、複数のコンタクト12のうち対応するコンタクト12の接触部121と接触する。端子部222は、接触部221の一端から外方に突出し配線基板3(
図1参照)の不図示の信号導電路に接続される。
【0031】
一対の固定金具23の各々は、本体部231と、複数の端子部232とを有する。各本体部231は、ハウジング21における一対の壁部2122のうち対応する壁部2122から一対の壁部2121の一部にかけて配置される。複数の端子部232は、本体部231の一端から外方に突出し配線基板3の不図示のグランド導電路に接続される。
【0032】
固定金具23の本体部231は、プラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ20との嵌合状態において、固定金具13の本体部131と接触する。これにより、配線基板2に形成された不図示のグランド導電路と配線基板3に形成された不図示のグランド導電路とが固定金具13,23を介して電気的に接続される。なお、
図7に示すように、本体部231における底壁部211からの高さ位置は、壁部2122における底壁部211からの高さ位置よりも低いが同一の高さであってもよい。
【0033】
図6に示すように、本体部231の他端は、底壁部211に形成された丸孔2111の縁に沿って凹状の円弧が形成される。丸孔2111の一部には、左右方向(X軸方向)に延伸する長孔2112が連続して形成される。レセプタクルコネクタ20が配線基板3に取り付けられた状態で、ハウジング21の色と配線基板3の色とが互いに識別可能である場合、丸孔2111および長孔2112の位置を画像認識などによって把握することができる。
【0034】
そのため、配線基板3に取り付けられた状態のレセプタクルコネクタ20に、配線基板2に取り付けられたプラグコネクタ10を挿入する際に、配線基板3に取り付けられた状態のレセプタクルコネクタ20を撮像することで、レセプタクルコネクタ20の位置を検出することができる。これにより、レセプタクルコネクタ20に対するプラグコネクタ10の位置補正をロボットなどで行うことができ、レセプタクルコネクタ20にプラグコネクタ10を精度よく挿入することができる。
【0035】
また、レセプタクルコネクタ20において、ハウジング21の色と固定金具23の色は互いに識別可能に設定される。これにより、レセプタクルコネクタ20が配線基板3に取り付けられた状態で、ハウジング21の色と配線基板3の色とが識別できない場合であっても、固定金具23における本体部231の他端に形成された円弧形状と配線基板3とが画像認識によって識別可能である。
【0036】
そのため、レセプタクルコネクタ20にプラグコネクタ10を挿入する際に、レセプタクルコネクタ20を撮像することで、レセプタクルコネクタ20の位置を検出することができる。これにより、レセプタクルコネクタ20に対するプラグコネクタ10の位置補正をロボットなどで行うことができ、レセプタクルコネクタ20にプラグコネクタ10を精度よく挿入することができる。
【0037】
図5に示すように、ハウジング21における枠状の側壁部212の4つの角部の各々には、案内部214が設けられる。案内部214は、
図7に示すように、底壁部211から離れる方向に突出する突出部2141を有し、プラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ20とが嵌合する際、被案内部113を底壁部211に向けて案内する。
【0038】
かかる案内部214の突出部2141は、柱状に形成されており、先端の外周に底壁部211へ向けて傾斜する傾斜面24,25を有する。傾斜面24は、突出部2141のうち側壁部212の外方寄りに形成され、側壁部212の外方に向かうにつれて底壁部211へ向けて傾斜する。傾斜面24は、
図6に示すように、XY平面における中央部が両端部に比べて突出する凸状の曲面である。
【0039】
また、傾斜面25は、突出部2141のうち側壁部212の内方に形成され、側壁部212の内方に向かうにつれて底壁部211へ向けて傾斜する。傾斜面25は、第2傾斜面の一例である。かかる傾斜面25は、XY平面における中央部が両端部に比べて突出する凸状の曲面である。かかる傾斜面25の各端部は、傾斜面24の両端部のうち対応する端部と連続している。傾斜面25は、プラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ20とが嵌合する際、被案内部113の傾斜面1131と接触し、被案内部113を底壁部211に向けて案内する。
【0040】
また、
図7に示すように、案内部214は、傾斜面25に連続し、上下方向に延伸する凸部26を有する。かかる凸部26は、ハウジング21の内方に向けて突出する凸状の曲面を有する。プラグコネクタ10がレセプタクルコネクタ20に嵌合している状態で、レセプタクルコネクタ20の案内部214の凸部26は、プラグコネクタ10の被案内部113の凹部1132に対向するように配置される。
【0041】
<4.プラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ20との嵌合について>
次に、
図8~
図14を参照して実施形態に係るプラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ20との嵌合について説明する。
【0042】
図8に示すように、プラグコネクタ10のレセプタクルコネクタ20に対する挿入は、プラグコネクタ10のハウジング11におけるコンタクト12が配置された枠状の側壁部112が、レセプタクルコネクタ20のハウジング21におけるコンタクト22が配置された凹部27に挿入されることによって行われる。
【0043】
プラグコネクタ10における枠状の側壁部112をレセプタクルコネクタ20における凹部27に挿入する際、側壁部112の角部に形成された被案内部113が、側壁部212の角部に形成された案内部214の突出部2141に接触して底壁部111へ向けて案内される。被案内部113には、
図2~
図4および
図8に示すように、傾斜面1131が形成されており、かかる傾斜面1131によって被案内部113が案内部214によって案内される。そのため、傾斜面1131が形成されていない場合に比べ、コネクタ装置1におけるガイド機能を高めることができる。
【0044】
また、案内部214の突出部2141は、コンタクト22が配置される一対の壁部2121よりも底壁部211から離れる方向(Z軸正方向)に突出しているため、プラグコネクタ10をレセプタクルコネクタ20に誘い込む段階でプラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ20とが位置補正される。このとき、コンタクト22の上方にコンタクト12が配置される。
【0045】
これにより、プラグコネクタ10をレセプタクルコネクタ20に誘い込む段階でプラグコネクタ10のコンタクト12がレセプタクルコネクタ20のハウジング21に接触することが抑制される。そのため、プラグコネクタ10のコンタクト12がレセプタクルコネクタ20のハウジング21に接触して破損することを抑制することができる。また、案内部214の突出部2141に被案内部113の傾斜面1131を接触させるため、プラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ20との接触面積が小さく、プラグコネクタ10をレセプタクルコネクタ20に誘い込む段階で、摩擦を小さくすることができる。そのため、プラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ20とをスムーズに嵌合させることができる。
【0046】
また、プラグコネクタ10における枠状の側壁部112をレセプタクルコネクタ20における凹部27に挿入する際、被案内部113の凹部1132が案内部214の凸部26に接触して底壁部211へ向けて案内される。これにより、コネクタ装置1におけるガイド機能をさらに高めることができる。
【0047】
また、プラグコネクタ10をレセプタクルコネクタ20に挿入する際に、レセプタクルコネクタ20に対するプラグコネクタ10の位置がずれている場合であっても、被案内部113および案内部214によって、プラグコネクタ10をレセプタクルコネクタ20に容易に挿入することができる。以下、レセプタクルコネクタ20に対するプラグコネクタ10の位置がずれている状態で、プラグコネクタ10がレセプタクルコネクタ20に挿入される例を具体的に説明する。
【0048】
図9および
図10に示すように、プラグコネクタ10がレセプタクルコネクタ20に対して左右方向(X軸方向)にずれている状態でレセプタクルコネクタ20に挿入されるとする。この場合、被案内部113の傾斜面1131の一部と案内部214の突出部2141の一部とが、
図9および
図10に示すように、上下方向(Z軸方向)で対向する位置にあれば、案内部214の突出部2141の傾斜面25に被案内部113の傾斜面1131が接触する。そのため、案内部214の突出部2141が被案内部113を底壁部211へ向けて案内することができる。
【0049】
また、被案内部113の傾斜面1131は、凹状の湾曲面である。そのため、かかる傾斜面1131によって、枠状の側壁部212の角部の先端の中心へ向けて移動するように案内部214の突出部2141に案内される。これにより、
図9および
図10に示す状態から、X軸負方向へ向けて移動させながらプラグコネクタ10をレセプタクルコネクタ20に誘い込むことができる。
【0050】
さらに、案内部214の突出部2141の内方には、傾斜面25が形成されており、かかる傾斜面25によって被案内部113をより容易に底壁部211へ向けて案内することができる。また、傾斜面25は、XY平面における中央部が両端部に比べて突出する凸状の曲面であるため、案内部214を傾斜面25のXY平面における中央部に向けて誘い込み易くなり、これによっても、被案内部113をより容易に底壁部211へ向けて案内することができる。
【0051】
また、
図11および
図12に示すように、プラグコネクタ10がレセプタクルコネクタ20に対して前後方向(Y軸方向)にずれている状態でレセプタクルコネクタ20に挿入されるとする。この場合、被案内部113の傾斜面1131の一部と案内部214の突出部2141の一部とが、
図11および
図12に示すように、上下方向(Z軸方向)で対向する位置にあれば、案内部214の突出部2141に被案内部113の傾斜面1131が接触する。そのため、案内部214の突出部2141が被案内部113を底壁部211へ向けて案内することができる。
【0052】
また、被案内部113の傾斜面1131は、凹状の湾曲面を有している。これにより、
図11および
図12に示す状態から、Y軸負方向へ向けてプラグコネクタ10を移動させながらレセプタクルコネクタ20に誘い込むことができる。
【0053】
また、
図13および
図14に示すように、プラグコネクタ10がレセプタクルコネクタ20に対してθ方向にずれている状態でレセプタクルコネクタ20に挿入されるとする。この場合、被案内部113の傾斜面1131の一部と案内部214の突出部2141の一部とが、
図13および
図14に示すように、上下方向(Z軸方向)で対向する位置にあれば、案内部214の突出部2141に被案内部113の傾斜面1131が接触する。この場合、案内部214の突出部2141が被案内部113を底壁部211へ向けて案内することができる。
【0054】
また、被案内部113の傾斜面1131は、凹状の湾曲面を有しているため、
図13および
図14に示す状態から、プラグコネクタ10をθ方向に回転させながらレセプタクルコネクタ20に誘い込むことができる。
【0055】
このように、実施形態に係るコネクタ装置1では、プラグコネクタ10を位置がずれている状態でレセプタクルコネクタ20に接触させた場合であっても、被案内部113の傾斜面1131の一部と案内部214の突出部2141の一部とが、上下方向(Z軸方向)で対向する位置にあれば、案内部214の突出部2141が被案内部113を底壁部211へ向けて案内することができる。そのため、例えば、フローティング機能を有するロボットによって、プラグコネクタ10をレセプタクルコネクタ20に精度よく挿入することができる。
【0056】
<5.変形例>
次に、プラグコネクタ10およびレセプタクルコネクタ20の変形例を説明する。
図15に示すプラグコネクタ10では、底壁部111から離れる方向(Z軸負方向)において、コンタクト12が配置される一対の壁部1121よりも被案内部113が突出している点で、
図2に示すプラグコネクタ10と異なる。
【0057】
また、
図16に示すレセプタクルコネクタ20では、底壁部211から離れる方向(Z軸正方向)において、コンタクト22が配置される一対の壁部2121と案内部214とが同じ位置であるが、枠状の側壁部212に凹部2123,2124,2125が形成されている点で、
図5に示すレセプタクルコネクタ20と異なる。枠状の側壁部212に凹部2123,2124,2125が形成されていることで、案内部214の突出部2141が底壁部211から離れる方向(Z軸正方向)に突出した状態になっている。
【0058】
図17に示すように、
図15に示すプラグコネクタ10を
図16に示すレセプタクルコネクタ20に挿入する際、プラグコネクタ10における側壁部112の角部に形成された被案内部113が、レセプタクルコネクタ20における側壁部212の角部に形成された案内部214の突出部2141に接触して底壁部211へ向けて案内される。被案内部113には、傾斜面1131が形成されており、かかる傾斜面1131によって被案内部113が案内部214によって案内される。そのため、傾斜面1131が形成されていない場合に比べ、コネクタ装置1におけるガイド機能を高めることができる。
【0059】
また、被案内部113は、コンタクト12が配置される一対の壁部1121よりも底壁部111から離れる方向に突出しているため、プラグコネクタ10をレセプタクルコネクタ20に誘い込む段階でプラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ20とが位置補正される。このとき、コンタクト22の上方にコンタクト12が配置される。
【0060】
これにより、プラグコネクタ10をレセプタクルコネクタ20に誘い込む段階でプラグコネクタ10のコンタクト12がレセプタクルコネクタ20のハウジング21に接触することが抑制される。そのため、プラグコネクタ10のコンタクト12がレセプタクルコネクタ20のハウジング21に接触して破損することを抑制することができる。
【0061】
なお、レセプタクルコネクタ20の底壁部211には、貫通孔2113が形成されており、プラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ20とが嵌合している状態で、プラグコネクタ10の被案内部113の一部が貫通孔2113に挿入される。これにより、
図15に示すように被案内部113を突出させた場合であっても、プラグコネクタ10をレセプタクルコネクタ20に嵌合させることができる。
【0062】
以上のように、実施形態に係るコネクタ装置1は、配線基板2(第1基板の一例)に取り付けられるプラグコネクタ10(第1コネクタの一例)と、配線基板3(第2基板の一例)に取り付けられるレセプタクルコネクタ20(第2コネクタの一例)とを備える。プラグコネクタ10は、ハウジング11(第1ハウジングの一例)と、導電性の複数のコンタクト12(第1コンタクトの一例)とを備える。ハウジング11は、平板状の底壁部111(第1底壁部の一例)と、底壁部111の外周に沿って底壁部111上に立設する枠状の側壁部112(第1側壁部の一例)とを有する。複数のコンタクト12は、側壁部212における互いに対向する一対の壁部2121に配置される。レセプタクルコネクタ20は、ハウジング21(第2ハウジングの一例)と、導電性の複数のコンタクト22(第2コンタクトの一例)とを備える。ハウジング21は、平板状の底壁部211(第2底壁部の一例)と、底壁部211の外周に沿って底壁部211上に立設する枠状の側壁部212(第2側壁部の一例)とを有する。複数のコンタクト22は、側壁部212によって形成される凹部27に配置され、複数のコンタクト12に接続される。側壁部112の角部は、側壁部112の外方に向かうにつれて底壁部111へ向けて傾斜する傾斜面1131(第1傾斜面の一例)を有する。側壁部212の角部は、底壁部211から離れる方向に突出し、プラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ20とが嵌合する際、被案内部113を底壁部211に向けて案内する案内部214を備える。これにより、コネクタ装置1におけるガイド機能を高めることができる。
【0063】
また、案内部214は、側壁部212の内方に向かうにつれて底壁部211へ向けて傾斜する傾斜面25(第2傾斜面の一例)を有する。かかる傾斜面25によって被案内部113をより容易に底壁部211へ向けて案内することができる。
【0064】
また、案内部214は、傾斜面25に連続し、側壁部212の内方に向けて突出する凸部26を有する。これにより、傾斜面25をXY平面に沿った幅方向の中央部が両端部に比べて突出する凸状の曲面にすることができ、プラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ20との位置補正を適切に行うことができる。
【0065】
また、被案内部113は、傾斜面1131に連続し、プラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ20とが嵌合状態である場合に凸部26に対向する凹部1132を有する。これにより、被案内部113の凹部1132を案内部214の凸部26に接触させながら底壁部211へ向けて案内することができ、コネクタ装置1におけるガイド機能をさらに高めることができる。
【0066】
また、傾斜面1131は、凹状の曲面である。これにより、位置ずれを減少させる方向にプラグコネクタ10を移動させながらレセプタクルコネクタ20に誘い込むことができる。
【0067】
また、被案内部113は、側壁部112の4つの角部の各々に設けられ、案内部214は、側壁部212の4つの角部の各々に設けられる。これにより、コネクタ装置1におけるガイド機能をより高めることができる。なお、被案内部113および案内部214は、3つ以下であってもよい。例えば、被案内部113および案内部214は、左右方向(X軸方向)の一端部に各々2つのみを形成してもよく、また、被案内部113および案内部214は、左右方向(X軸方向)の両端部に各々1つずつ形成してもよい。
【0068】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 コネクタ装置
2 配線基板(第1基板の一例)
3 配線基板(第2基板の一例)
10 プラグコネクタ(第1コネクタの一例)
11 ハウジング(第1ハウジングの一例)
12 コンタクト(第1コンタクトの一例)
20 レセプタクルコネクタ(第2コネクタの一例)
21 ハウジング(第2ハウジングの一例)
22 コンタクト(第2コンタクトの一例)
25 傾斜面(第2傾斜面の一例)
26 凸部
27 凹部
111 底壁部(第1底壁部の一例)
112 側壁部(第1側壁部の一例)
113 被案内部
211 底壁部(第2底壁部の一例)
212 側壁部(第2側壁部の一例)
214 案内部
1131 傾斜面(第1傾斜面の一例)
1132 凹部
2121 壁部
2141 突出部