(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】運用管理装置、運用管理システム、および運用管理方法
(51)【国際特許分類】
H04L 43/024 20220101AFI20230328BHJP
G06F 11/30 20060101ALI20230328BHJP
H04W 24/08 20090101ALI20230328BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20230328BHJP
【FI】
H04L43/024
G06F11/30 140A
G06F11/30 155
G06F11/30 196
H04W24/08
H04W24/10
(21)【出願番号】P 2019063280
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2021-09-09
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、総務省、「IoT共通基盤技術の確立・実証 II効率的かつ安定的なIoTデバイス接続・エリアネットワーク運用管理技術の確立」研究開発委託契約に基づく開発項目「エリアネットワーク運用管理技術に関する研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】矢野 愛
(72)【発明者】
【氏名】大谷 武
【審査官】佐々木 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-097527(JP,A)
【文献】国際公開第2018/066041(WO,A1)
【文献】特開2019-047377(JP,A)
【文献】特開2017-123124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
H04L 41/00-101/695
H04W 24/08
H04W 24/10
G06F 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のデバイスとの間の通信における運用管理情報を取得する取得部と、
前記1以上のデバイスとの間で、状態監視用パケットの送受信を行うことで前記1以上のデバイスの状態を監視する監視部と、
前記状態監視用パケットの送受信時において、前記運用管理情報の悪化の有無を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に応じて、前記状態監視用パケットの送受信
の手法を決定する決定部と、を備え、
前記判定部は、前記状態監視用パケットの送受信時において、前記1以上のデバイスに設定された複数のプロトコルのうち、使用していないプロトコルでの前記運用管理情報の悪化の有無を判定し、
前記使用していないプロトコルでの前記運用管理情報が悪化していると判定された場合に、前記監視部は、前記1以上のデバイスの状態監視用パケットの送受信を停止することを特徴とする運用管理装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記状態監視用パケットの送受信について、送信タイミングまたは送信間隔を変更することを特徴とする請求項1に記載の運用管理装置。
【請求項3】
前記運用管理情報は、前記1以上のデバイスの通信品質を示す運用管理情報を含み、
前記判定部は、前記状態監視用パケットの送受信時において、前記通信品質を示す運用管理情報の悪化の有無を判定し、
前記決定部は、前記通信品質を示す運用管理情報についての前記判定部の判定結果に応じて、前記状態監視用パケットの送受信の手法を決定する、ことを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の運用管理装置。
【請求項4】
前記運用管理情報は、前記1以上のデバイスのそれぞれの端末品質を示す運用管理情報を含み、
前記判定部は、前記状態監視用パケットの送受信時において、前記端末品質を示す運用管理情報の悪化の有無を判定し、
前記決定部は、前記端末品質を示す運用管理情報についての前記判定部の判定結果に応じて、前記1以上のデバイスのそれぞれについて、前記状態監視用パケットの送受信の手法を決定することを特徴とする
請求項1~3のいずれか一項に記載の運用管理装置。
【請求項5】
前記1以上のデバイスは、複数のセンサノードと、前記複数のセンサノードの計測値を中継して前記運用管理装置に送信する1以上の中継器とを備え、
前記判定部は、前記中継器ごとかつ前記状態監視用パケットの送受信のプロトコルごとに、前記状態監視用パケットの送受信時において、前記運用管理情報の悪化の有無を判定し、
前記決定部は、前記判定部の判定結果に応じて、前記状態監視用パケットの送受信の手法を決定することを特徴とする
請求項1~4のいずれか一項に記載の運用管理装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記状態監視用パケットの送受信の手法のそれぞれについて、端末品質の改善効果の有無を事前に保持しておき、前記端末品質の改善効果が有る手法を決定することを特徴とする
請求項1~5のいずれか一項に記載の運用管理装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記状態監視用パケットの送受信の間隔またはタイミングに応じて、前記運用管理情報を取得する間隔またはタイミングを調整することを特徴とする
請求項1~6のいずれか一項に記載の運用管理装置。
【請求項8】
1以上のデバイスと、
前記1以上のデバイスと通信を行う運用管理装置と、を備え、
前記運用管理装置は、前記1以上のデバイスとの間の通信における運用管理情報を取得する取得部と、前記1以上のデバイスとの間で、状態監視用パケットの送受信を行うことで前記1以上のデバイスの状態を監視する監視部と、前記状態監視用パケットの送受信時において、前記運用管理情報の悪化の有無を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に応じて、前記状態監視用パケットの送受信
の手法を決定する決定部と、を備え、
前記判定部は、前記状態監視用パケットの送受信時において、前記1以上のデバイスに設定された複数のプロトコルのうち、使用していないプロトコルでの前記運用管理情報の悪化の有無を判定し、前記使用していないプロトコルでの前記運用管理情報が悪化していると判定された場合に、前記監視部は、前記1以上のデバイスの状態監視用パケットの送受信を停止することを特徴とする運用管理システム。
【請求項9】
取得部が、1以上のデバイスとの間の通信における運用管理情報を取得し、
監視部が、前記1以上のデバイスとの間で、状態監視用パケットの送受信を行うことで前記1以上のデバイスの状態を監視し、
判定部が、前記状態監視用パケットの送受信時において、前記運用管理情報の悪化の有無を判定し、
決定部が、前記判定部の判定結果に応じて、前記状態監視用パケットの送受信
の手法を決定し、
前記判定部は、前記状態監視用パケットの送受信時において、前記1以上のデバイスに設定された複数のプロトコルのうち、使用していないプロトコルでの前記運用管理情報の悪化の有無を判定し、
前記使用していないプロトコルでの前記運用管理情報が悪化していると判定された場合に、前記監視部は、前記1以上のデバイスの状態監視用パケットの送受信を停止することを特徴とする運用管理方法。
【請求項10】
1以上のデバイスとの間の通信における運用管理情報を取得する取得部と、
前記1以上のデバイスとの間で、状態監視用パケットの送受信を行うことで前記1以上のデバイスの状態を監視する監視部と、
前記状態監視用パケットの送受信時において、前記運用管理情報の悪化の有無を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に応じて、前記状態監視用パケットの送受信の手法を決定する決定部と、を備え、
前記1以上のデバイスは、複数のセンサノードと、前記複数のセンサノードの計測値を中継して運用管理装置に送信する1以上の中継器とを備え、
前記判定部は、前記中継器ごとかつ前記状態監視用パケットの送受信のプロトコルごとに、前記状態監視用パケットの送受信時において、前記運用管理情報の悪化の有無を判定し、
前記決定部は、前記判定部の判定結果に応じて、前記状態監視用パケットの送受信の手法を決定することを特徴とする運用管理装置。
【請求項11】
1以上のデバイスと、
前記1以上のデバイスと通信を行う運用管理装置と、を備え、
前記運用管理装置は、前記1以上のデバイスとの間の通信における運用管理情報を取得する取得部と、前記1以上のデバイスとの間で、状態監視用パケットの送受信を行うことで前記1以上のデバイスの状態を監視する監視部と、前記状態監視用パケットの送受信時において、前記運用管理情報の悪化の有無を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に応じて、前記状態監視用パケットの送受信の手法を決定する決定部と、を備え、前記1以上のデバイスは、複数のセンサノードと、前記複数のセンサノードの計測値を中継して前記運用管理装置に送信する1以上の中継器とを備え、前記判定部は、前記中継器ごとかつ前記状態監視用パケットの送受信のプロトコルごとに、前記状態監視用パケットの送受信時において、前記運用管理情報の悪化の有無を判定し、前記決定部は、前記判定部の判定結果に応じて、前記状態監視用パケットの送受信の手法を決定することを特徴とする運用管理システム。
【請求項12】
取得部が、1以上のデバイスとの間の通信における運用管理情報を取得し、
監視部が、前記1以上のデバイスとの間で、状態監視用パケットの送受信を行うことで前記1以上のデバイスの状態を監視し、
判定部が、前記状態監視用パケットの送受信時において、前記運用管理情報の悪化の有無を判定し、
決定部が、前記判定部の判定結果に応じて、前記状態監視用パケットの送受信の手法を決定し、
前記1以上のデバイスは、複数のセンサノードと、前記複数のセンサノードの計測値を中継して運用管理装置に送信する1以上の中継器とを備え、
前記判定部は、前記中継器ごとかつ前記状態監視用パケットの送受信のプロトコルごとに、前記状態監視用パケットの送受信時において、前記運用管理情報の悪化の有無を判定し、
前記決定部は、前記判定部の判定結果に応じて、前記状態監視用パケットの送受信の手法を決定することを特徴とする運用管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、運用管理装置、運用管理システム、および運用管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IoT(Internet of Things)フィールドの拡大に伴い、多種多様なデバイスが、多種多様な通信方式で接続されるようになっている。このような状況において、設置デバイス、利用通信方式、周辺の無線状況、利用アプリ等により、発生する障害(デバイスのハードウェア/ソフトウェア障害、通信障害)が様々となる。そのため、時々刻々と変化するIoT環境において、運用管理技術が重要になっている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-162406号公報
【文献】特開2008-15722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IoTの運用管理において、デバイスの状態を監視して異常検知を行うために、複数種類の中から選択された手法で状態監視用パケットが送受信されている。時々刻々と変化するIoT環境においては、通信負荷の変化に応じた手法で異常検知を行うことが望まれる。
【0005】
1つの側面では、本発明は、通信負荷の変化に応じた手法で異常検知を行うことができる運用管理装置、運用管理システム、および運用管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、運用管理装置は、1以上のデバイスとの間の通信における運用管理情報を取得する取得部と、前記1以上のデバイスとの間で、状態監視用パケットの送受信を行うことで前記1以上のデバイスの状態を監視する監視部と、前記状態監視用パケットの送受信時において、前記運用管理情報の悪化の有無を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に応じて、前記状態監視用パケットの送受信の手法を決定する決定部と、を備え、前記判定部は、前記状態監視用パケットの送受信時において、前記1以上のデバイスに設定された複数のプロトコルのうち、使用していないプロトコルでの前記運用管理情報の悪化の有無を判定し、前記使用していないプロトコルでの前記運用管理情報が悪化していると判定された場合に、前記監視部は、前記1以上のデバイスの状態監視用パケットの送受信を停止する。
【発明の効果】
【0007】
通信負荷の変化に応じた手法で異常検知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】IoTフィールド運用管理を例示する図である。
【
図2】実施例1に係る運用管理システムの全体構成を例示する図である。
【
図3】計測値データベースに格納されるセンサ計測値のテーブルを例示する図である。
【
図4】運用管理情報データベースに格納される運用管理情報のテーブルを例示する図である。
【
図5】(a)はセンサ計測値の取得に失敗した場合を例示し、(b)はRSSIが閾値「-60」を下回った場合を例示する図である。
【
図6】監視管理データベースに格納される監視間隔のテーブルを例示する図である。
【
図9】運用管理システムが実行するフローチャートを例示する図である。
【
図10】運用管理システムが実行するフローチャートを例示する図である。
【
図11】状態監視用パケットの送信間隔および送信タイミングが変更された場合の監視管理データベースのテーブルを例示する図である。
【
図12】運用管理システムが実行するフローチャートを例示する図である。
【
図14】運用管理システムが実行するフローチャートを例示する図である。
【
図15】状態監視用パケットの送信間隔および送信タイミングが変更された場合の監視管理データベースのテーブルを例示する図である。
【
図16】運用管理システムが実行するフローチャートを例示する図である。
【
図17】中継器ごとかつプロトコルごとに集約された各デバイスの運用管理情報を例示する図である。
【
図18】運用管理システムが実行するフローチャートを例示する図である。
【
図19】監視管理データベースに登録された効果の有無を例示する図である。
【
図20】ゲートウェイのハードウェア構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施例の説明に先立って、IoT(Internet of Things)フィールドの運用管理の概要について説明する。IoTの拡大に伴い、多種多様なデバイスが、多種多様な通信方式で接続されるようになっている。このような状況において、デバイス、利用通信方式、周辺の無線状況、利用アプリ等により、発生する障害(デバイスのハードウェア/ソフトウェア障害、通信障害)が様々となる。そのため、時々刻々と変化するIoT環境において、デバイスやネットワークの状態を監視し、異常発生を検知し、障害原因を特定し、運用管理者に通知するIoT運用管理技術が重要になっている。
【0010】
異常発生検知をリアルタイムに、かつ同時に障害原因を特定すべく、高頻度でセンサノードの詳細な状態情報の収集をすると、通信負荷が高くなるという問題がある。逆に、通信の負荷にならないように詳細な状態情報を収集せず、センサノードの死活監視のみにすると、リアルタイムに障害対応できない可能性がある。そのため、時々刻々と変化する通信負荷に応じて、収集するセンサノードの状態情報を最適化することにより、通信負荷上昇を抑制しつつ、かつリアルタイムな異常検知や障害原因特定の両立を実現する技術が重要となる。
【0011】
図1は、IoTフィールド運用管理を例示する図である。
図1で例示するように、デバイスは、センサノード、中継器などを含む。ゲートウェイ(GW)は、フィールドエリアネットワークの各センサノードからデータを収集する。例えば、各センサノードは、有線で中継器等を介してゲートウェイにセンサ計測値を送信する。または、各センサノードは、無線で中継器等を介してゲートウェイにセンサ計測値を送信する。
【0012】
このようなIoTフィールド運用管理においては、ゲートウェイは、各デバイスの状態を監視する。デバイスの状態の管理手法として、ゲートウェイから状態情報を要求するプロトコルと、デバイスから状態情報を送信するプロトコルとがある。ゲートウェイから状態情報を要求するプロトコルでは、プロトコルごとに指定された監視間隔で、指定されたデバイスに対して、状態監視用パケットが送信される。デバイスから状態情報を送信するプロトコルでは、ゲートウェイが、指定された監視間隔を、指定されたデバイスに対して通知する。当該監視間隔で、各デバイスはゲートウェイに状態監視用パケットを送信する。
【0013】
ゲートウェイから状態情報を要求するプロトコルには、Ping(ICMP(Internet Control Message Protocol))、SNMP(Simple Network Manegement Protocol)などがある。Ping方式では、デバイスは、センサノードに対してpingパケットを送り、応答の有無に応じてデバイスの状態(死活など)を判断する。この方式は、短パケット送受信方式であるため、ネットワーク負荷は軽いが情報量が少なくなる。SNMP方式では、SNMPマネージャ(ゲートウェイ)がSNMPエージェント(デバイス)に対してMIB(Management Information Base)(CPU/メモリ使用率、トラフィック量等)を要求することで、デバイスの詳細な状態を判断する。この方式では、デバイスの詳細情報を送信することが可能であるが、パケットが長くなるためネットワーク負荷が大きくなる。
【0014】
デバイスから状態情報を送信するプロトコルには、LLDP(Link Layer Discovery Protocol)などがある。LLDP方式では、デバイスがLLDPパケット(ネイバー(隣接する機器)情報)をマルチキャストアドレス宛に定期的に送信し、ゲートウェイがLLDPパケットを受信してデバイスの接続経路を含む状態を判断する。この方式では、デバイスの詳細情報を送信することが可能であるが、パケットが長くなるためネットワーク負荷が大きくなる。
【0015】
このように、デバイスの状態を監視する手法には、情報量が少なくて通信負荷の小さいもの、情報量が多くて通信負荷の大きいもの、などがある。通信負荷を抑制しつつ、デバイスの監視を行うことが望まれる。
【0016】
以下の実施例では、時々刻々と変化するIoT環境において、通信負荷の変化に応じた手法で異常検知を行うことができる運用管理装置、運用管理システム、および運用管理方法について説明する。
【実施例1】
【0017】
図2は、実施例1に係る運用管理システム100の全体構成を例示する図である。
図2で例示するように、運用管理システム100は、1以上のデバイスとゲートウェイ30とを備えている。1以上のデバイスには、センサノード10、中継器20などが含まれている。例えば、センサノード10は、無線で中継器20と通信する。または、センサノード10は、有線で中継器20と通信する。例えば、中継器20は、有線でゲートウェイ30と通信する。
【0018】
センサノード10は、性能計測部11、センサ計測部12、通信部13などを備える。性能計測部11は、自身が備わるセンサノード10の性能を計測する。センサノード10の性能には、後述する運用管理情報、センサノード10の状態監視情報などが含まれる。センサ計測部12は、センサノード10が備えるセンサの計測結果(センサ計測値)を取得する。通信部13は、性能計測部11が計測した性能、センサ計測部12が取得したセンサ計測値などを中継器20に送信する。また、通信部13は、中継器20を介して状態監視用パケットをゲートウェイ30に送信するか、中継器20を介して状態監視用パケットをゲートウェイ30から受信する。
【0019】
中継器20は、性能計測部21、通信部22などを備える。性能計測部21は、自身が備わる中継器20の性能を計測する。通信部22は、性能計測部21が計測した性能をゲートウェイ30に送信する。また、通信部22は、各センサノード10から受信したデータをゲートウェイ30に送信する。また、通信部22は、状態監視用パケットをゲートウェイ30に送信するか、状態監視用パケットをゲートウェイ30から受信する。
【0020】
ゲートウェイ30は、計測値取得部31、計測値データベース32、運用管理情報取得部33、運用管理情報データベース34、異常判定部35、原因特定部36、通知部37、監視部38、監視管理データベース39、変化判定部40、方式決定部41、プロトコル管理データベース42などを備える。
【0021】
計測値取得部31は、各センサノード10のセンサ計測部12が計測したセンサ計測値を取得し、計測値データベース32に格納する。計測値取得部31は、計測値データベース32にセンサ計測値を格納するたびに、異常判定部35に計測値データベース32の更新を通知する。
図3は、計測値データベース32に格納されるセンサ計測値のテーブルを例示する図である。
図3で例示するように、各デバイスを特定するためのデバイスIDに関連付けて、計測された日時(タイムスタンプ)、各センサ計測値(温度、湿度、水位、ガス量)などが格納されている。
図3の例では、センサノードのセンサ計測値が例示されている。
【0022】
運用管理情報取得部33は、各センサノード10の性能計測部11が計測した運用管理情報、各中継器20の性能計測部21が計測した運用管理情報、およびゲートウェイ30の運用管理情報を取得し、運用管理情報データベース34に格納する。運用管理情報取得部33は、ゲートウェイ30の運用管理情報も計測して、運用管理情報データベース34に格納する。センサノード10が計測した運用管理情報には、当該センサノード10の通信品質を示す運用管理情報、当該センサノード10のハードウェアやソフトウェアの状況(端末品質)を示す運用管理情報などが含まれる。中継器20が計測した運用管理情報には、当該中継器20の端末品質を示す運用管理情報などが含まれる。運用管理情報取得部33は、運用管理情報データベース34に運用管理情報を格納するたびに、異常判定部35に運用管理情報データベース34の更新を通知する。ゲートウェイ30が計測した運用管理情報には、当該ゲートウェイ30の端末品質を示す運用管理情報などが含まれる。
図4は、運用管理情報データベース34に格納される運用管理情報のテーブルを例示する図である。
図4で例示するように、デバイスIDに関連付けて、取得された日時(タイムスタンプ)、運用管理情報などが格納されている。通信品質を示す運用管理情報には、受信信号強度(RSSI)、リンク品質(LQ:Link Quality)、応答時間、パケットエラー率(PER)、再送回数、チャネル利用率、アクティブノード数などのパラメータが含まれる。端末品質を示す運用管理情報には、バッテリ残量、CPU使用率、メモリ使用率、HDD使用率、デバイス内温度、内部処理時間などのパラメータが含まれる。なお、運用管理情報取得部33は、さらに、中継器20が観測できる通信品質を示す運用管理情報を取得してもよい。
【0023】
異常判定部35は、計測値取得部31から計測値データベース32の更新通知を受信すると、計測値データベース32の直近データを取得し、異常の有無を判定する。それにより、異常判定部35は、計測値取得部31が取得する全てのセンサ計測値について、異常の有無を判定することができる。また、異常判定部35は、運用管理情報取得部33から運用管理情報データベース34の更新通知を受信すると、運用管理情報データベース34の直近データを取得し、異常の有無を判定する。それにより、異常判定部35は、運用管理情報取得部33が取得する全ての運用管理情報について、異常の有無を判定することができる。異常判定部35は、異常発生を検知した場合、原因特定部36に、異常発生を通知するとともに、異常と判定された元データ(センサ計測値または運用管理情報)を渡す。例えば、異常判定部35は、原因特定部36に、該当するデータのデバイスID、タイムスタンプ、データ名、データ値を渡す。
【0024】
異常発生の判定基準として、例えば、センサ計測値もしくは運用管理情報の取得に失敗したこと、運用管理情報が閾値を超えたこと、エラーメッセージを受信したことなどが挙げられる。また、計測値データベース32または運用管理情報データベース34から複数個の直近データを時系列で取得し、平均値や分散値等の特徴量を算出して、閾値を超えるか否か判定してもよい。
図5(a)では、計測値データベース32で、センサ計測値の取得に失敗している例が示されている。
図5(b)では、運用管理情報データベース34で、RSSIが閾値「-60」を下回った例が示されている。
【0025】
原因特定部36は、異常判定部35から異常発生の通知を受信すると、異常と判定された元データのデバイスIDについて、運用管理情報データベース34から1以上の直近データを取得し、分析し、異常発生の原因を特定する。原因特定部36は、原因を特定できた場合には、通知部37に障害内容(デバイスID、異常発生日時、異常発生の原因)を通知する。
【0026】
原因特定部36が運用管理情報データベース34から取得する直近データの個数は、異常発生と判定された元データのタイムスタンプから直前X個でもよいし、異常発生と判定された元データのタイムスタンプの前後X個でもよい。また、データ変化周期、データ変化量等に応じてXを変更してもよい。例えば、通信品質を示す運用管理情報については、アトランダムに大きく変化するため、より多くの直近データ(例えば50個)を取得することが好ましい。端末品質を示す運用管理情報については、線形に変化することが多いため、少ない直近データ(例えば10個)を取得することが好ましい。分析手法は、既存手法(平均、中央値、分散値、特徴量の比較、閾値超え、クラスタ分析、トレンド分析、正常時の学習パターン、クラスタとの比較等)を利用してもよい。
【0027】
通知部37は、原因特定部36から受信した障害内容(デバイスID、異常発生日時、異常発生の原因)を通知先へ通知する。通知先は、システム運用アプリ、見える化アプリ、システム管理者、システム利用者等である。以上のことから、センサ計測値または運用管理情報に基づいて、障害内容を通知することができるようになる。
【0028】
監視部38は、監視管理データベース39からプロトコルごとにデバイス情報を取得し、プロトコルごとの監視間隔(送信間隔)を取得する。
図6は、監視管理データベース39に格納される監視間隔のテーブルを例示する図である。例えば、デバイスID_001のセンサノードは、状態監視パケット送信について、監視間隔が10秒に設定されたSNMPプロトコル用いている。デバイスID_021のセンサノードは、状態監視パケット送信について、監視間隔が1秒に設定されたPinプロトコルを用いている。
【0029】
ゲートウェイ30がセンサノード10に状態監視用パケットを送信する場合には、監視部38は、プロトコルごとに、指定された監視間隔で、指定されたセンサノード10に対して、状態監視用パケットを送信する。指定されたセンサノード10は、状態監視用パケットを受信する。センサノード10からゲートウェイ30に状態監視用パケットを送信する場合は、監視部38は、プロトコルごとに、指定されたセンサノード10に対して、指定された監視間隔を通知する。センサノード10は、指定された監視間隔で状態監視用パケットを送信する。監視部38は、各センサノード10に状態監視用パケットを送信するか、各センサノード10から状態監視用パケットを受信する。監視部38は、各センサノード10に状態監視用パケットを送信したこと、または各センサノード10から状態監視用パケットを受信したことを変化判定部40に通知する。
【0030】
続いて、通信品質を示す運用管理情報の変化に応じて、状態監視パケットの送受信の手法を決定する例について説明する。監視部38は、センサノード10に対して状態監視用パケットを送信したこと、またはセンサノード10から状態監視用パケットを受信したことを変化判定部40に通知する。
【0031】
変化判定部40は、監視部38から、センサノード10に対して状態監視用パケットを送信したこと、またはセンサノード10から状態監視用パケットを受信したことを受信する。この受信タイミングにおいて、変化判定部40は、この受信タイミングから以前に収集した該センサノード10に関して、通信品質を示す運用管理情報を運用管理情報データベース34から取得し、センサノード10ごとに、通信品質を示す運用管理情報の変化(悪化、変化無し、良化)を判定する。また、変化判定部40は、監視管理データベース39から該センサノード10のプロトコルを取得し、プロトコルごとに、センサノード10の運用管理情報変化を集約する。
図7は、集約されたテーブルを例示する図である。変化判定部40は、状態監視時の運用管理情報の変化(悪化、変化無し、良化)を判定し、方式決定部41に通知する。例えば、いずれか1つのパラメータでも悪化であれば「悪化」と判定してもよく、悪化/変化無し/良化のそれぞれの多数決でもよい。なお、
図7で、「×」は悪化を表し、「‐」は変化無しを表し、「〇」は良化を表す。
【0032】
通信品質を示す運用管理情報変化の分析手法は、既存手法(平均、中央値、分散値、特徴量の比較、閾値超え、クラスタ分析、トレンド分析、近似直線の傾き等)を用いてもよい。例えば、RSSI、LQなどについては、値が小さくなる傾向にあれば悪化していると判定することができる。応答時間、PER、再送回数、チャネル利用率、アクティブノード数などについては、値が大きくなる傾向にあれば悪化していると判定することができる。
【0033】
また、状態監視時における、通信品質を示す運用管理情報変化の判定は、状態監視パケットを送信/受信したことを受信するたびに実施してもよく、複数回分をまとめて実施してもよい。また、状態監視時の運用管理情報変化の判定は、デバイスが1個でも「悪化」があれば「悪化」と判定してもよいし、悪化/変化無し/良化のそれぞれの多数決でもよい。
【0034】
方式決定部41は、変化判定部40から状態監視時の運用管理情報の変化を受信し、該変化が悪化している場合、監視管理データベース39から、該プロトコルを利用して状態監視しているデバイスのリストを取得し、該デバイスの中で、複数プロトコルに対応しているデバイスがあるかどうか判定する。
図8は、対応プロトコルリストを例示する図である。例えば、デバイスIDがノードID_001のセンサノード10は、SNMPプロトコルおよびPingプロトコルの2種類のプロトコルに対応している。方式決定部41は、複数のプロトコルに対応しているデバイスがある場合、使用中以外のプロトコルについて、状態監視時における、通信品質を示す運用管理情報の変化を取得し、該変化が悪化以外の場合、該デバイスの状態監視用プロトコルを変更し、監視管理データベース39に登録する。デバイスごとの対応プロトコルリストは、予め手動で登録しておいてもよく、新デバイス接続時に、ゲートウェイ30からプロトコルコマンドを送信して応答のあるプロトコルを登録してもよい。
【0035】
図9は、運用管理システム100が、通信品質を示す運用管理情報の変化に応じて、状態監視パケットの送受信の手法を決定する場合に実行するフローチャートを例示する図である。
図9で例示するように、方式決定部41は、変化判定部40が通信品質を示す運用管理情報の変化を判定するごとに、当該判定結果を変化判定部40から受信する(ステップS1)。次に、方式決定部41は、当該判定結果が悪化であるか、変化無しであるか、良化であるかを判定する(ステップS2)。判定結果が「変化無し」または「良化」であれば、ステップS1から再度実行される。
【0036】
判定結果が「悪化」であれば、方式決定部41は、監視管理データベース39から、該プロトコルを利用して状態監視しているデバイスのリストを取得する(ステップS3)。次に、方式決定部41は、該デバイスの中で、他のプロトコルに対応しているデバイスがあるかどうか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4で「No」と判定された場合、ステップS1から再度実行される。
【0037】
ステップS4で「Yes」と判定された場合、方式決定部41は、当該他のプロトコルについて、状態監視時における、通信品質を示す運用管理情報の変化を監視管理データベース39から取得する。さらに、方式決定部41は、当該変化が悪化であるか、変化無しであるか、良化であるかを判定する(ステップS5)。ステップS5で「悪化」と判定された場合、ステップS1から再度実行される。ステップS5で「変化無し」または「良化」と判定された場合には、当該センサノード10のプロトコルを当該他のプロトコルに変更し、監視管理データベース39に登録する(ステップS6)。
【0038】
本実施例によれば、状態監視用パケットの送受信時において、通信品質を示す運用管理情報の悪化の有無が判定される。この判定の結果に応じて、状態監視用パケットの送受信の手法が決定される。通信品質を示す運用管理情報の悪化の有無を判定することで、通信負荷の変化を判定することができる。したがって、時々刻々と変化するIoT環境において、通信負荷の変化に応じた手法で異常検知を行うことができる。例えば、通信品質を示す運用管理情報が悪化する場合に状態監視用パケットの送受信の手法を変更することで、通信負荷が大きくなる場合に状態監視用パケットの送受信の手法を変更することができる。例えば、通信負荷が軽減されるプロトコルを選択することで、通信負荷を抑制することができる。
【実施例2】
【0039】
実施例2では、プロトコルを切り替える前に状態監視用パケットの送信間隔や送信タイミングを変更する例について説明する。
図10は、本実施例において運用管理システム100が実行するフローチャートを例示する図である。
図10で例示するように、方式決定部41は、変化判定部40が通信品質を示す運用管理情報の変化を判定するごとに、当該判定結果を変化判定部40から受信する(ステップS11)。次に、方式決定部41は、当該判定結果が悪化であるか、変化無しであるか、良化であるかを判定する(ステップS12)。判定結果が「変化無し」または「良化」であれば、ステップS11から再度実行される。
【0040】
ステップS12で「悪化」と判定された場合には、方式決定部41は、使用中のプロトコルの監視間隔を所定時間(例えば、1秒)だけ長くした場合の値を算出する(ステップS13)。次に、方式決定部41は、算出された監視間隔が予め定められたリミットに達したか否かを判定する(ステップS14)。ステップS14で「No」と判定された場合、方式決定部41は、監視管理データベースの監視間隔を算出された監視間隔に変更する(ステップS15)。その後、ステップS11から再度実行される。
【0041】
ステップS14で「Yes」と判定された場合、方式決定部41は、ゲートウェイ30からセンサノード10に状態監視用パケットを送信するプロトコルを用いているか否かを判定する(ステップS16)。ステップS16で「Yes」と判定された場合、状態監視用パケットを送信するタイミングをシフトさせることで変更する(ステップS17)。その後、ステップS11から再度実行される。なお、
図11は、状態監視用パケットの送信間隔および送信タイミングが変更された場合の監視管理データベース39のテーブルを例示する図である。
【0042】
ステップS16で「No」と判定された場合、方式決定部41は、監視管理データベース39から、該プロトコルを利用して状態監視しているデバイスのリストを取得する(ステップS18)。次に、方式決定部41は、該デバイスの中で、他のプロトコルに対応しているデバイスがあるかどうか否かを判定する(ステップS19)。ステップS19で「No」と判定された場合、ステップS11から再度実行される。
【0043】
ステップS19で「Yes」と判定された場合、方式決定部41は、当該他のプロトコルについて、状態監視時の運用管理情報の変化を監視管理データベース39から取得する。さらに、方式決定部41は、当該変化が悪化であるか、変化無しであるか、良化であるかを判定する(ステップS20)。ステップS20で「悪化」と判定された場合、ステップS11から再度実行される。ステップS20で「変化無し」または「良化」と判定された場合には、当該デバイスのプロトコルを当該他のプロトコルに変更し、監視管理データベース39に登録する(ステップS21)。
【0044】
本実施例によれば、状態監視用パケットの送受信について、送信タイミングまたは送信間隔を変更することで、通信品質の悪化を抑制することができる。プロトコルの変更をしなくても通信品質の悪化を抑制できれば、プロトコルの変更に伴う情報量の減を抑制することができる。
【0045】
なお、監視間隔を延ばす間隔とリミットは、プロトコルごとに変えてもよい。また、状態監視時の運用管理情報の変化が良くなった場合は、逆に、間隔を短くしてもよい。
【実施例3】
【0046】
実施例3では、変更すべきプロトコルが無い場合に状態監視用パケットの送信を停止する場合について説明する。
図12は、本実施例において運用管理システム100が実行するフローチャートを例示する図である。
図12で例示するように、ステップS11~ステップS21については
図10と同様の処理を行う。
【0047】
ステップS19で「No」と判定された場合、またはステップS20で「悪化」と判定された場合、監視部38は、状態監視用パケットの送受信を停止する(ステップS22)。次に、方式決定部41は、計測値取得部31および運用管理情報取得部33に、それぞれのデータベース更新通知を、変化判定部40にも通知するよう依頼通知する(ステップS23)。その後、ステップS11から再度実行される。
【0048】
本実施例によれば、通信品質を示す運用管理情報が悪化するプロトコルしか選択できなければ、状態監視用パケットの送受信が停止される。この場合、計測値取得部31および運用管理情報取得部33がデータベースの更新通知を変化判定部40に通知することで、状態監視用パケットの代わりに、センサ計測値や運用管理情報を各デバイスの状態監視に用いることができる。
【実施例4】
【0049】
実施例4では、端末品質を示す運用管理情報の変化を考慮する例について説明する。本実施例においては、変化判定部40は、監視部38から、デバイスに対して状態監視パケットを送信したこと、またはデバイスから状態管理パケットを受信したことを受信する。この受信タイミングにおいて、変化判定部40は、この受信タイミングから以前に収集した該デバイスに関して、端末品質を示す運用管理情報を運用管理情報データベース34から取得し、デバイスごとに、端末品質を示す運用管理情報の変化(悪化、変化無し、良化)を判定する。また、変化判定部40は、監視管理データベース39から該デバイスのプロトコルを取得し、プロトコルごとに、デバイスの運用管理情報変化を集約する。変化判定部40は、状態監視時の運用管理情報の変化(悪化、変化無し、良化)を判定し、方式決定部41に通知する。
図13は、集約されたテーブルを例示する図である。変化判定部40は、状態監視時の運用管理情報の変化(悪化、変化無し、良化)を判定し、方式決定部41に通知する。
【0050】
図14は、本実施例において運用管理システム100が実行するフローチャートを例示する図である。
図14で例示するように、方式決定部41は、変化判定部40が中継器20、センサノード10、およびゲートウェイ30について端末品質を示す運用管理情報の変化を判定するごとに、当該判定結果を変化判定部40から受信する(ステップS31)。方式決定部41は、変化判定部40が中継器20について端末品質を示す運用管理情報の変化を判定した場合、当該判定結果が悪化であるか、変化無しであるか、良化であるかを判定する(ステップS32)。
【0051】
判定結果が「悪化」であれば、パケット長が長いプロトコルの監視間隔を所定時間(例えば1秒)だけ長くした場合の値を算出する(ステップS33)。次に、方式決定部41は、算出された監視間隔が予め定められたリミットに達したか否かを判定する(ステップS34)。ステップS34で「No」と判定された場合、方式決定部41は、監視管理データベース39の監視間隔を算出された監視間隔に変更する(ステップS35)。その後、ステップS31から再度実行される。
【0052】
ステップS34で「Yes」と判定された場合、方式決定部41は、ゲートウェイ30からセンサノード10に状態監視用パケットを送信するプロトコルを用いているか否かを判定する(ステップS36)。ステップS36で「Yes」と判定された場合、当該プロトコルについて、状態監視用パケットを送信するタイミングをシフトさせることで変更する(ステップS37)。その後、ステップS31から再度実行される。なお、
図15は、状態監視用パケットの送信間隔および送信タイミングが変更された場合の監視管理データベース39のテーブルを例示する図である。
【0053】
ステップS36で「No」と判定された場合、方式決定部41は、監視管理データベース39から、当該プロトコルを利用して状態監視しているデバイスのリストを取得する(ステップS38)。次に、方式決定部41は、当該デバイスの中で、他のプロトコルに対応しているデバイスがあるかどうか否かを判定する(ステップS39)。ステップS39で「Yes」と判定された場合、方式決定部41は、当該他のプロトコルについて、状態監視時における、通信品質を示す運用管理情報の変化を監視管理データベース39から取得する。さらに、方式決定部41は、当該変化が悪化であるか、変化無しであるか、良化であるかを判定する(ステップS40)。ステップS40で「変化無し」または「良化」と判定された場合には、当該デバイスのプロトコルを当該他のプロトコルに変更し、監視管理データベース39に登録する(ステップS41)。その後、ステップS31から再度実行される。
【0054】
ステップS39で「No」と判定された場合、またはステップS40で「悪化」と判定された場合、監視部38は、状態監視用パケットの送受信を停止する(ステップS42)。次に、方式決定部41は、計測値取得部31および運用管理情報取得部33に、それぞれのデータベース更新通知を、変化判定部40にも通知するよう依頼通知する(ステップS43)。その後、ステップS31から再度実行される。
【0055】
なお、ステップS32で「変化無し」または「良化」と判定された場合、実施例1~実施例3のいずれかの処理が行われる。また、
図14の例では、ステップS31で変化判定部40が中継器20について端末品質を示す運用管理情報の変化を判定した場合にステップS32が実行されているが、変化判定部40がセンサノード10について端末品質を示す運用管理情報の変化を判定した場合には、他のフローチャート(
図16)が実行されてもよい。
【0056】
図16は、本実施例において運用管理システム100が実行する他のフローチャートを例示する図である。
図16で例示するように、方式決定部41は、変化判定部40がセンサノード10について端末品質を示す運用管理情報の変化を判定するごとに、当該判定結果を変化判定部40から受信する(ステップS51)。次に、方式決定部41は、当該判定結果が悪化であるか、変化無しであるか、良化であるかを判定する(ステップS52)。
【0057】
判定結果が「悪化」であれば、当該デバイスが使用しているプロトコルの監視間隔を所定時間(例えば1秒)だけ長くした場合の値を算出する(ステップS53)。次に、方式決定部41は、算出された監視間隔が予め定められたリミットに達したか否かを判定する(ステップS54)。ステップS54で「No」と判定された場合、方式決定部41は、監視管理データベース39の監視間隔を算出された監視間隔に変更する(ステップS55)。その後、ステップS51から再度実行される。
【0058】
ステップS54で「Yes」と判定された場合、方式決定部41は、ゲートウェイ30からセンサノード10に状態監視用パケットを送信するプロトコルを用いているか否かを判定する(ステップS56)。ステップS56で「Yes」と判定された場合、状態監視用パケットを送信するタイミングをシフトさせることで変更する(ステップS57)。その後、ステップS51から再度実行される。
【0059】
ステップS56で「No」と判定された場合、方式決定部41は、当該デバイスの中で、他のプロトコルに対応しているデバイスがあるかどうか否かを判定する(ステップS58)。ステップS58で「Yes」と判定された場合、方式決定部41は、当該他のプロトコルについて、状態監視時における、通信品質を示す運用管理情報の変化を監視管理データベース39から取得する。さらに、方式決定部41は、当該変化が悪化であるか、変化無しであるか、良化であるかを判定する(ステップS59)。ステップS59で「変化無し」または「良化」と判定された場合には、当該デバイスのプロトコルを当該他のプロトコルに変更し、監視管理データベース39に登録する(ステップS60)。その後、ステップS51から再度実行される。
【0060】
ステップS58で「No」と判定された場合、またはステップS59で「悪化」と判定された場合、監視部38は、状態監視用パケットの送受信を停止する(ステップS61)。次に、方式決定部41は、計測値取得部31および運用管理情報取得部33に、それぞれのデータベース更新通知を、変化判定部40にも通知するよう依頼通知する(ステップS62)。その後、ステップS51から再度実行される。
【0061】
なお、ステップS52で「変化無し」または「良化」と判定された場合、実施例1~実施例3のいずれかの処理が行われる。
【0062】
本実施例によれば、状態監視用パケットの送受信時において、端末品質を示す運用管理情報の悪化の有無が判定される。この判定の結果に応じて、状態監視用パケットの送受信の手法が決定される。端末品質を示す運用管理情報の悪化の有無を判定することで、端末負荷の変化を判定することができる。したがって、時々刻々と変化するIoT環境において、端末負荷の変化に応じた手法で異常検知を行うことができる。例えば、端末品質を示す運用管理情報が悪化する場合に状態監視用パケットの送受信の手法を変更することで、端末負荷が大きくなる場合に状態監視用パケットの送受信の手法を変更することができる。例えば、端末負荷が軽減されるプロトコルを選択することで、端末負荷を抑制することができる。
【実施例5】
【0063】
実施例5では、中継器ごとかつプロトコルごとにデバイスの運用管理情報の変化を集約する例について説明する。本実施例においては、変化判定部40は、中継器ごとかつプロトコルごとにデバイスの運用管理情報を集約し、状態監視時の運用管理情報の変化を判定し、方式決定部41に通知する。
図17は、中継器ごとかつプロトコルごとに集約された各デバイスの運用管理情報を例示する図である。
【0064】
図18は、本実施例において運用管理システム100が実行するフローチャートを例示する図である。
図18で例示するように、方式決定部41は、変化判定部40が端末品質を示す運用管理情報の変化を判定するごとに、当該判定結果を変化判定部40から受信する(ステップS71)。次に、方式決定部41は、当該判定結果が悪化であるか、変化無しであるか、良化であるかを判定する(ステップS72)。判定結果が「変化無し」または「良化」であれば、ステップS71から再度実行される。
【0065】
ステップS72で「悪化」と判定された場合には、方式決定部41は、悪化と判定されたプロトコルが複数であるか否かを判定する(ステップS73)。ステップS73で「Yes」と判定された場合、方式決定部41は、当該複数のプロトコルのうち、対応デバイス数の多いプロトコルを選択する(ステップS74)。ステップS73で「No」と判定された場合またはステップS74の実行後、悪化と判定された1つのプロトコルまたはステップS74で選択されたプロトコルの監視間隔を所定時間(例えば、1秒)だけ長くした場合の値を算出する(ステップS75)。次に、方式決定部41は、算出された監視間隔が予め定められたリミットに達したか否かを判定する(ステップS76)。ステップS76で「No」と判定された場合、方式決定部41は、監視管理データベース39の監視間隔を算出された監視間隔に変更する(ステップS77)。その後、ステップS71から再度実行される。
【0066】
ステップS76で「Yes」と判定された場合、方式決定部41は、ゲートウェイ30からセンサノード10に状態監視用パケットを送信するプロトコルを用いているか否かを判定する(ステップS78)。ステップS78で「Yes」と判定された場合、状態監視用パケットを送信するタイミングをシフトさせることで変更する(ステップS79)。その後、ステップS71から再度実行される。
【0067】
ステップS78で「No」と判定された場合、方式決定部41は、監視管理データベース39から、該プロトコルを利用して状態監視しているデバイスのリストを取得する(ステップS80)。次に、方式決定部41は、該デバイスの中で、他のプロトコルに対応しているデバイスがあるかどうか否かを判定する(ステップS81)。
【0068】
ステップS81で「Yes」と判定された場合、方式決定部41は、当該他のプロトコルについて、状態監視時における、通信品質を示す運用管理情報の変化を監視管理データベース39から取得する。さらに、方式決定部41は、当該変化が悪化であるか、変化無しであるか、良化であるかを判定する(ステップS82)。ステップS82で「変化無し」または「良化」と判定された場合には、当該デバイスのプロトコルを当該他のプロトコルに変更し、監視管理データベース39に登録する(ステップS83)。その後、ステップS71から再度実行される。
【0069】
ステップS81で「No」と判定された場合またはステップS82で「悪化」と判定された場合には、方式決定部41は、ステップS74で選択しなかったプロトコルが有るか否かを判定する(ステップS84)。ステップS84で「Yes」と判定された場合、方式決定部41は、ステップS74で選択しなかったプロトコルのいずれかを選択する(ステップS85)。その後、ステップS75から再度実行される。
【0070】
ステップS84で「No」と判定された場合、監視部38は、状態監視用パケットの送受信を停止する(ステップS86)。次に、方式決定部41は、計測値取得部31および運用管理情報取得部33に、それぞれのデータベース更新通知を、変化判定部40にも通知するよう依頼通知する(ステップS87)。その後、ステップS71から再度実行される。
【0071】
本実施例によれば、中継器ごと、かつプロトコルごとに、デバイスの運用管理情報変化が集約され、状態監視時の運用管理情報の変化が判定される。この構成では、状態監視時に取得できる情報をなるべく減らさず、効率的に通信負荷を軽減することが可能となる。
【実施例6】
【0072】
実施例6においては、実施例1~5において、状態監視用パケットの送受信の手法の変更後における、運用管理情報変化を学習する例について説明する。本実施例においては、例えば、監視間隔の変更、監視タイミングの変更、プロトコルの変更、監視パケット送受信停止、それぞれの対処後の運用管理情報変化を学習する。
【0073】
本実施例においては、方式決定部41は、変化判定部40から、状態監視時の端末品質を示す運用管理情報の変化を受信し、監視方式を変更したデバイスに関して、状態監視時の端末品質を示す運用管理情報の変化(悪化/変化無し/良化)が変わったか否かを判定し、監視管理データベース39に登録する。例えば、「悪化→良化」または「悪化→変化無し」の場合に、効果「有」とする。方式決定部41は、プロトコルごと、かつデバイスごとに、効果の有無を管理する。
【0074】
次に、方式決定部41は、登録済のデバイスの状態監視時の端末品質を示す運用管理情報の変化が悪化の場合、監視管理データベース39に登録された、効果有の方式に変更する。登録されていないデバイスの状態監視時の端末品質を示す運用管理情報の変化が悪化した場合、同じ中継器/プロトコルの他デバイスと同じ方式に変更してもよい。
【0075】
図19は、監視管理データベース39に登録された効果の有無を例示する図である。
図19で例示するように、プロトコルごと、かつデバイスごとに、効果の有無を予め登録しておく。
【0076】
本実施例によれば、状態監視用パケットの送受信の手法のそれぞれについて、端末品質の改善効果の有無が事前に保持されている。したがって、端末品質の改善効果が有る手法を決定することができる。
【実施例7】
【0077】
実施例7では、状態監視用パケットの送信間隔または送信タイミングに応じて、運用管理情報収集の間隔またはタイミングを調整する例について説明する。本実施例においては、運用管理情報取得部33は、監視管理データベース39に登録された、デバイスごとの監視間隔および監視タイミング情報を取得する。運用管理情報取得部33は、監視タイミング時と、監視間隔中に複数回、センサノード10とゲートウェイ30との間の通信品質を示す運用管理情報を取得し、運用管理情報データベース34に格納し、異常判定部35に運用管理情報データベース34の更新を通知する。
【0078】
状態監視タイミングと、運用管理情報取得タイミングを同一にすると、通信負荷が上昇する可能性が高いので、状態監視タイミングより若干遅らせて運用管理情報を取得することが望ましい。運用管理情報取得タイミングが、他デバイスの状態監視のタイミングおよび運用管理情報取得タイミングと同一にならないように調整することが望ましい。
【0079】
本実施例においては、変化判定部40は、監視部38から、状態監視パケットを送信したことまたは受信したことを受信する。変化判定部40は、監視管理データベース39に登録された、デバイスごとの監視間隔および監視タイミング情報を取得する。変化判定部40は、状態態監視用パケットを送受信したタイミングから、以前に状態監視パケットを送受信したタイミングまでの間に、収集した該デバイスに関する運用管理情報を複数個、運用管理情報データベース34から取得する。変化判定部40は、該デバイス毎に、運用管理情報の変化(悪化/変化無し/良化)を判定する。
【0080】
本実施例によれば、状態監視用パケットの送受信の間隔またはタイミングに応じて、運用管理情報を取得する間隔またはタイミングが調整される。それにより、通信負荷の上昇を抑制することができる。
【0081】
(ゲートウェイの装置構成)
図20は、ゲートウェイ30のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図20で例示するようにゲートウェイ30は、CPU101、RAM102、記憶装置103、インタフェース104等を備える。
【0082】
CPU(Central Processing Unit)101は、中央演算処理装置である。CPU101は、1以上のコアを含む。RAM(Random Access Memory)102は、CPU101が実行するプログラム、CPU101が処理するデータなどを一時的に記憶する揮発性メモリである。記憶装置103は、不揮発性記憶装置である。記憶装置103として、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどのソリッド・ステート・ドライブ(SSD)、ハードディスクドライブに駆動されるハードディスクなどを用いることができる。記憶装置103は、プログラムを記憶している。インタフェース104は、中継器20との通信装置である。なお、ゲートウェイ30の各部は、プログラムの実行によって実現されてもよく、専用の回路などのハードウェアであってもよい。また、ゲートウェイ30の機能がクラウド上で実現されてもよい。
【0083】
上記各例において、運用管理情報取得部33が、1以上のデバイスとの間の通信における運用管理情報を取得する取得部の一例として機能する。監視部38が、前記1以上のデバイスとの間で、状態監視用パケットの送受信を行うことで前記1以上のデバイスの状態を監視する監視部の一例として機能する。変化判定部40が、前記状態監視用パケットの送受信時において、前記運用管理情報の悪化の有無を判定する判定部の一例として機能する。方式決定部41が、前記判定部の判定結果に応じて、前記状態監視用パケットの送受信の手法を決定する決定部の一例として機能する。ゲートウェイ30が、運用管理装置の一例として機能する。
【0084】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
10 センサノード
11 性能計測部
12 センサ計測部
13 通信部
20 中継器
21 性能計測部
22 通信部
30 ゲートウェイ
31 計測値取得部
32 計測値データベース
33 運用管理情報取得部
34 運用管理情報データベース
35 異常判定部
36 原因特定部
37 通知部
38 監視部
39 監視管理データベース
40 変化判定部
41 方式決定部
100 運用管理システム