(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】連結ピン挿入装置
(51)【国際特許分類】
B66C 23/26 20060101AFI20230328BHJP
【FI】
B66C23/26 C
(21)【出願番号】P 2019065354
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100178582
【氏名又は名称】行武 孝
(72)【発明者】
【氏名】島津 泰彦
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-173424(JP,A)
【文献】特開2015-054739(JP,A)
【文献】特開平10-291775(JP,A)
【文献】特開2012-002326(JP,A)
【文献】特開平05-071247(JP,A)
【文献】実開昭63-108452(JP,U)
【文献】実開昭59-080336(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0067840(US,A1)
【文献】特許第3638890(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 19/00-23/94
B66B 3/00- 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1構成部材と第2構成部材と複数の連結ピンとを有する作業機械であって、
前記第1構成部材が、
前記作業機械の左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の上側第1連結部と、
前記左右一対の上側第1連結部の下方で前記左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の下側第1連結部と、
を含み、前記左右一対の上側第1連結部および前記左右一対の下側第1連結部には前記左右方向に沿って第1孔部がそれぞれ開口されており、
前記第2構成部材が、
前記左右一対の上側第1連結部の間で前記左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の上側第2連結部と、
前記左右一対の上側第2連結部の下方かつ前記左右一対の下側第1連結部の間で前記左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の下側第2連結部と、
を含み、前記左右一対の上側第2連結部および前記左右一対の下側第2連結部には前記左右方向において前記第1孔部と合致する位置に前記左右方向に沿って第2孔部がそれぞれ開口されており、更に、前記第2構成部材には、前記左右一対の上側第2連結部同士の間に前記左右方向に延びるように上側空間が形成され、前記左右一対の下側第2連結部同士の間に前記左右方向に延びるように下側空間が形成されており、
前記複数の連結ピンは、前記左右一対の上側第2連結部の内側で前記第2孔部にそれぞれ対向して配置される左右一対の第1連結ピンと、前記左右一対の下側第2連結部の内側で前記第2孔部にそれぞれ対向して配置される左右一対の第2連結ピンと、を含む、作業機械のうち、
少なくとも前記左右一対の上側第1連結部および前記左右一対の上側第2連結部の前記第1孔部および前記第2孔部に前記左右方向の内側から前記左右一対の連結ピンを挿入することで前記第1構成部材と前記第2構成部材とを互いに連結することが可能な、連結ピン挿入装置であって、
第1シリンダ本体と前記第1シリンダ本体から第1方向に向かって伸長可能とされ連結ピンを押圧可能な第1押圧ロッドとを含む第1押圧シリンダと、
第2シリンダ本体と前記第2シリンダ本体から第2方向に向かって伸長可能とされ連結ピンを押圧可能な第2押圧ロッドとを含む第2押圧シリンダと、
地上を走行可能な走行部と前記走行部に支持され姿勢変更可能な作業アタッチメントとを有する作業装置の前記作業アタッチメントの先端部に接続される被接続部を含む本体部であって、当該本体部は、前記第1方向および前記第2方向が互いに平行かつ反対の方向に向かうように、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを保持し、かつ、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダが前記作業装置の前記作業アタッチメントの姿勢変更に伴って前記第1方向および前記第2方向が前記左右方向と平行となるような姿勢で前記上側空間に配置されることが可能であるとともに、前記第1押圧ロッドおよび前記第2押圧ロッドが、前記左右一対の第1連結ピンを前記第1方向および前記第2方向に向かってそれぞれ押圧しながら前記左右一対の上側第2連結部の前記第2孔部および前記左右一対の上側第1連結部の前記第1孔部にそれぞれ挿入することで、前記第1構成部材および第2構成部材の上側部分を互いに連結することが可能なように、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを保持する本体部と、
を備え
、
前記本体部は、更に、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダが前記作業装置の前記作業アタッチメントの姿勢変更に伴って前記第1方向および前記第2方向が前記左右方向と平行となるような姿勢で前記下側空間に配置されることが可能であるとともに、前記第1押圧ロッドおよび前記第2押圧ロッドが、前記左右一対の第2連結ピンを前記第1方向および前記第2方向に向かってそれぞれ押圧しながら前記左右一対の下側第2連結部の前記第2孔部および前記左右一対の下側第1連結部の前記第1孔部にそれぞれ挿入することで、前記第1構成部材および第2構成部材の下側部分を互いに連結することが可能なように、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを保持し、
前記第1押圧ロッドおよび前記第2押圧ロッドが前記第1方向および前記第2方向に同時に伸長するように、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを駆動するシリンダ駆動部を更に備える、連結ピン挿入装置。
【請求項2】
前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダは、それぞれ、作動油の供給を受けるとともに作動油を排出することで伸縮する油圧シリンダからなり、
前記シリンダ駆動部は、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダに対して作動油を同時に供給することで、前記第1押圧ロッドおよび前記第2押圧ロッドを同時に伸長させる、請求項
1に記載の連結ピン挿入装置。
【請求項3】
第1構成部材と第2構成部材と複数の連結ピンとを有する作業機械であって、
前記第1構成部材が、
前記作業機械の左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の上側第1連結部と、
前記左右一対の上側第1連結部の下方で前記左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の下側第1連結部と、
を含み、前記左右一対の上側第1連結部および前記左右一対の下側第1連結部には前記左右方向に沿って第1孔部がそれぞれ開口されており、
前記第2構成部材が、
前記左右一対の上側第1連結部の間で前記左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の上側第2連結部と、
前記左右一対の上側第2連結部の下方かつ前記左右一対の下側第1連結部の間で前記左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の下側第2連結部と、
を含み、前記左右一対の上側第2連結部および前記左右一対の下側第2連結部には前記左右方向において前記第1孔部と合致する位置に前記左右方向に沿って第2孔部がそれぞれ開口されており、更に、前記第2構成部材には、前記左右一対の上側第2連結部同士の間に前記左右方向に延びるように上側空間が形成され、前記左右一対の下側第2連結部同士の間に前記左右方向に延びるように下側空間が形成されており、
前記複数の連結ピンは、前記左右一対の上側第2連結部の内側で前記第2孔部にそれぞれ対向して配置される左右一対の第1連結ピンと、前記左右一対の下側第2連結部の内側で前記第2孔部にそれぞれ対向して配置される左右一対の第2連結ピンと、を含む、作業機械のうち、
少なくとも前記左右一対の上側第1連結部および前記左右一対の上側第2連結部の前記第1孔部および前記第2孔部に前記左右方向の内側から前記左右一対の連結ピンを挿入することで前記第1構成部材と前記第2構成部材とを互いに連結することが可能な、連結ピン挿入装置であって、
第1シリンダ本体と前記第1シリンダ本体から第1方向に向かって伸長可能とされ連結ピンを押圧可能な第1押圧ロッドとを含む第1押圧シリンダと、
第2シリンダ本体と前記第2シリンダ本体から第2方向に向かって伸長可能とされ連結ピンを押圧可能な第2押圧ロッドとを含む第2押圧シリンダと、
地上を走行可能な走行部と前記走行部に支持され姿勢変更可能な作業アタッチメントとを有する作業装置の前記作業アタッチメントの先端部に接続される被接続部を含む本体部であって、当該本体部は、前記第1方向および前記第2方向が互いに平行かつ反対の方向に向かうように、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを保持し、かつ、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダが前記作業装置の前記作業アタッチメントの姿勢変更に伴って前記第1方向および前記第2方向が前記左右方向と平行となるような姿勢で前記上側空間に配置されることが可能であるとともに、前記第1押圧ロッドおよび前記第2押圧ロッドが、前記左右一対の第1連結ピンを前記第1方向および前記第2方向に向かってそれぞれ押圧しながら前記左右一対の上側第2連結部の前記第2孔部および前記左右一対の上側第1連結部の前記第1孔部にそれぞれ挿入することで、前記第1構成部材および第2構成部材の上側部分を互いに連結することが可能なように、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを保持する本体部と、
を備え、
前記本体部は、
前記被接続部を含むアタッチメント側本体部と、
前記アタッチメント側本体部に対して前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを相対移動させることが可能な移動機構と、
を有する、
連結ピン挿入装置。
【請求項4】
前記移動機構は、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダが、上下方向において前記上側空間と前記下側空間との間に形成された空間である中央空間を通じて、前記上側空間と前記下側空間との間を移動することが可能なように、前記アタッチメント側本体部に対して前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを昇降させる、請求項
3に記載の連結ピン挿入装置。
【請求項5】
前記本体部は、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを互いに連結するシリンダ連結部を有し、
前記移動機構は、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダが前記アタッチメント側本体部に対して一体で昇降するように、前記アタッチメント側本体部に対して前記シリンダ連結部を昇降させる、請求項
4に記載の連結ピン挿入装置。
【請求項6】
前記移動機構は、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを互いに独立して昇降させる、請求項
4に記載の連結ピン挿入装置。
【請求項7】
前記本体部は、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを互いに連結するシリンダ連結部を有し、
前記移動機構は、前記シリンダ連結部を前記アタッチメント側本体部に対して前記第1方向と直交する方向に延びる回転軸回りに相対的に回動させる、請求項
3に記載の連結ピン挿入装置。
【請求項8】
前記本体部は、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを互いに連結するシリンダ連結部を有し、
前記移動機構は、前記シリンダ連結部を支持する先端部と前記アタッチメント側本体部に接続される基端部とを含み前記第1方向と平行な方向に沿って伸縮可能な伸縮シリンダであって、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダが、前記左右一対の上側第1連結部のうちの左側の上側第1連結部と前記左右一対の下側第1連結部のうちの左側の下側第1連結部との間で上下方向に沿って延びる空間である左側空間、または、前記左右一対の上側第1連結部のうちの右側の上側第1連結部と前記左右一対の下側第1連結部のうちの右側の下側第1連結部との間で上下方向に沿って延びる空間である右側空間を通じて、上下方向において前記上側空間と前記下側空間との間に形成された空間である中央空間に前記第1構成部材および前記第2構成部材の外側から進入することが可能なように伸縮する、伸縮シリンダを更に有する、請求項
3に記載の連結ピン挿入装置。
【請求項9】
前記シリンダ連結部は、前記伸縮シリンダの先端部と前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダとを前記第1方向と直交する方向に間隔をおいて互いに連結し、
前記移動機構は、前記シリンダ連結部を前記伸縮シリンダの前記先端部を通り前記第1方向と平行な第1回転中心軸回りに回転させることが可能な回転駆動部を更に有する、請求項
8に記載の連結ピン挿入装置。
【請求項10】
第1構成部材と第2構成部材と複数の連結ピンとを有する作業機械であって、
前記第1構成部材が、
前記作業機械の左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の上側第1連結部と、
前記左右一対の上側第1連結部の下方で前記左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の下側第1連結部と、
を含み、前記左右一対の上側第1連結部および前記左右一対の下側第1連結部には前記左右方向に沿って第1孔部がそれぞれ開口されており、
前記第2構成部材が、
前記左右一対の上側第1連結部の間で前記左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の上側第2連結部と、
前記左右一対の上側第2連結部の下方かつ前記左右一対の下側第1連結部の間で前記左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の下側第2連結部と、
を含み、前記左右一対の上側第2連結部および前記左右一対の下側第2連結部には前記左右方向において前記第1孔部と合致する位置に前記左右方向に沿って第2孔部がそれぞれ開口されており、更に、前記第2構成部材には、前記左右一対の上側第2連結部同士の間に前記左右方向に延びるように上側空間が形成され、前記左右一対の下側第2連結部同士の間に前記左右方向に延びるように下側空間が形成されており、
前記複数の連結ピンは、前記左右一対の上側第2連結部の内側で前記第2孔部にそれぞれ対向して配置される左右一対の第1連結ピンと、前記左右一対の下側第2連結部の内側で前記第2孔部にそれぞれ対向して配置される左右一対の第2連結ピンと、を含む、作業機械のうち、
少なくとも前記左右一対の上側第1連結部および前記左右一対の上側第2連結部の前記第1孔部および前記第2孔部に前記左右方向の内側から前記左右一対の連結ピンを挿入することで前記第1構成部材と前記第2構成部材とを互いに連結することが可能な、連結ピン挿入装置であって、
第1シリンダ本体と前記第1シリンダ本体から第1方向に向かって伸長可能とされ連結ピンを押圧可能な第1押圧ロッドとを含む第1押圧シリンダと、
第2シリンダ本体と前記第2シリンダ本体から第2方向に向かって伸長可能とされ連結ピンを押圧可能な第2押圧ロッドとを含む第2押圧シリンダと、
地上を走行可能な走行部と前記走行部に支持され姿勢変更可能な作業アタッチメントとを有する作業装置の前記作業アタッチメントの先端部に接続される被接続部を含む本体部であって、当該本体部は、前記第1方向および前記第2方向が互いに平行かつ反対の方向に向かうように、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを保持し、かつ、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダが前記作業装置の前記作業アタッチメントの姿勢変更に伴って前記第1方向および前記第2方向が前記左右方向と平行となるような姿勢で前記上側空間に配置されることが可能であるとともに、前記第1押圧ロッドおよび前記第2押圧ロッドが、前記左右一対の第1連結ピンを前記第1方向および前記第2方向に向かってそれぞれ押圧しながら前記左右一対の上側第2連結部の前記第2孔部および前記左右一対の上側第1連結部の前記第1孔部にそれぞれ挿入することで、前記第1構成部材および第2構成部材の上側部分を互いに連結することが可能なように、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを保持する本体部と、
を備え、
前記本体部の前記被接続部は、前記作業装置の前記作業アタッチメントのうち前記走行部に姿勢変更可能なように支持される可動部材であってその先端部に接続部を有する可動部材の前記接続部から、前記可動部材の前記接続部に着脱可能に接続され所定の作業を行うことが可能な作業部材が脱離された状態で、前記接続部に接続可能とされる、
連結ピン挿入装置。
【請求項11】
前記本体部の前記被接続部は、前記作業装置の前記作業アタッチメントの前記可動部材の先端部に配置され前記作業部材を水平な第2回転中心軸回りに回動させる回動機構から前記作業部材が更に脱離された状態で、前記接続部および前記回動機構に前記第2回転中心軸回りに回動可能に接続される、請求項
10に記載の連結ピン挿入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結ピン挿入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機械として、下部走行体と、上部旋回体と、ブームと、を備えたクレーンが知られている。ブームは、所定の方向に延びる長手形状を有し、上部旋回体の前部に起伏可能に取り付けられる。このようなブームは、前記長手方向に沿って複数のブーム部材(下部ブーム、中間ブーム、上部ブームなど)が互いに連結されることで形成されることが多い。ブーム部材同士は、水平方向に沿って延びる連結ピンによって互いに連結される。
【0003】
各ブーム部材は、四角柱形の各角部に相当する位置に配置された4本の主材と、隣り合う主材同士を互いに連結する副材とによって構成される。詳しくは、各ブーム部材が地上で水平に延びる姿勢とされた状態で、4本の主材のうち上側および下側に位置する2本の主材同士が左右方向(ブーム幅方向)に間隔をおいて配置される。そして、当該2本の主材の間の空間に予め連結ピンが準備され、当該連結ピンが人力または油圧式アクチュエータなどの駆動力によってブームの左右方向外側に向かって押圧されることで、連結ピンが各主材に開口されたピン孔に挿入される。ブーム部材同士を連結する作業では、このような連結ピンの挿入作業が上下左右の4箇所において実施されることで、ブーム部材同士が互いに連結される。
【0004】
このように、主材同士の間の空間を利用して連結ピンの着脱が行われる場合、ブーム部材の幅方向の外側に連結ピンが大きく突出することがないため、ブームの組立作業の省スペース化が実現される。しかしながら、このような連結方法において、作業者がハンマーなどで連結ピンを打撃する場合には、作業者の負担が大きくなる。また、連結ピンを油圧式アクチュエータによって押圧し挿入する場合には、作業者がブーム部材の各接続箇所に油圧式アクチュエータを持ち上げる作業が発生し、同様に作業者の負担が大きくなる。このため、連結ピンの挿入作業における作業者の負担を低減することが望まれていた。
【0005】
特許文献1には、ビルの解体作業などに使用される解体機であって、機体と、当該機体に備えられ、その先端部に破砕機が備えられたロングアタッチメントと、を備える解体機を、小型油圧ショベルを用いて組み立てる組立方法が開示されている。当該組立方法では、1本の連結ピンを把持可能なピン把持部とピン把持部に把持された前記連結ピンを打撃可能なピン打撃部とが併設された連結ピン挿入装置が、小型油圧ショベルのアタッチメントの先端部にバケットの代わりに装着される。前記ロングアタッチメントは複数のブーム部材によって構成され、各ブーム部材同士は、ブーム部材の左右方向の寸法よりも大きな長さを有する上下2本の連結ピンによって互いに連結される。小型油圧ショベルのアタッチメントが駆動されることで、前記連結ピン挿入装置が各ブーム部材のピン孔に対向して配置され左右方向の外側から連結ピンを挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された技術では、連結ピン挿入装置が、ブーム部材の左右方向の寸法よりも大きな長さを有する上下2本の連結ピンを、ブーム部材の左右方向外側からピン孔に挿入する。このような連結ピン挿入装置を、前述のように各ブーム部材が4本の主材を備え主材同士の間の空間から連結ピンが左右外側に向かって挿入される構造に適用しようとすると、油圧ショベルの先端部に備えられた連結ピン挿入装置が主材同士の間の空間に進入することができないため、連結ピンの挿入作業を容易に行うことが困難であった。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、作業機械の複数の構成部材同士を連結する連結ピンを前記構成部材の内側から挿入する作業の作業性を向上することが可能な連結ピン挿入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の局面に係る連結ピン挿入装置は、第1構成部材と第2構成部材と複数の連結ピンとを有する作業機械であって、前記第1構成部材が、前記作業機械の左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の上側第1連結部と、前記左右一対の上側第1連結部の下方で前記左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の下側第1連結部と、を含み、前記左右一対の上側第1連結部および前記左右一対の下側第1連結部には前記左右方向に沿って第1孔部がそれぞれ開口されており、前記第2構成部材が、前記左右一対の上側第1連結部の間で前記左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の上側第2連結部と、前記左右一対の上側第2連結部の下方かつ前記左右一対の下側第1連結部の間で前記左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の下側第2連結部と、を含み、前記左右一対の上側第2連結部および前記左右一対の下側第2連結部には前記左右方向において前記第1孔部と合致する位置に前記左右方向に沿って第2孔部がそれぞれ開口されており、更に、前記第2構成部材には、前記左右一対の上側第2連結部同士の間に前記左右方向に延びるように上側空間が形成され、前記左右一対の下側第2連結部同士の間に前記左右方向に延びるように下側空間が形成されており、前記複数の連結ピンは、前記左右一対の上側第2連結部の内側で前記第2孔部にそれぞれ対向して配置される左右一対の第1連結ピンと、前記左右一対の下側第2連結部の内側で前記第2孔部にそれぞれ対向して配置される左右一対の第2連結ピンと、を含む、作業機械のうち、少なくとも前記左右一対の上側第1連結部および前記左右一対の上側第2連結部の前記第1孔部および前記第2孔部に前記左右方向の内側から前記左右一対の連結ピンを挿入することで前記第1構成部材と前記第2構成部材とを互いに連結することが可能な、連結ピン挿入装置であって、第1シリンダ本体と前記第1シリンダ本体から第1方向に向かって伸長可能とされ連結ピンを押圧可能な第1押圧ロッドとを含む第1押圧シリンダと、第2シリンダ本体と前記第2シリンダ本体から第2方向に向かって伸長可能とされ連結ピンを押圧可能な第2押圧ロッドとを含む第2押圧シリンダと、地上を走行可能な走行部と前記走行部に支持され姿勢変更可能な作業アタッチメントとを有する作業装置の前記作業アタッチメントの先端部に接続される被接続部を含む本体部であって、当該本体部は、前記第1方向および前記第2方向が互いに平行かつ反対の方向に向かうように、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを保持し、かつ、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダが前記作業装置の前記作業アタッチメントの姿勢変更に伴って前記第1方向および前記第2方向が前記左右方向と平行となるような姿勢で前記上側空間に配置されることが可能であるとともに、前記第1押圧ロッドおよび前記第2押圧ロッドが、前記左右一対の第1連結ピンを前記第1方向および前記第2方向に向かってそれぞれ押圧しながら前記左右一対の上側第2連結部の前記第2孔部および前記左右一対の上側第1連結部の前記第1孔部にそれぞれ挿入することで、前記第1構成部材および第2構成部材の上側部分を互いに連結することが可能なように、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを保持する本体部と、を備える。
【0010】
本構成によれば、連結ピン挿入装置は、第1押圧シリンダおよび第2押圧シリンダを保持する本体部を有している。特に、本体部は、第1方向および第2方向が互いに平行かつ反対の方向に向かうように、第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを保持する。このため、連結ピン挿入装置が上部空間に配置されると、第1押圧ロッドおよび第2押圧ロッドによって左右一対の連結ピンを容易に挿入することができる。このため、1つの押圧シリンダによって各連結ピンを順に挿入する場合と比較して、左右一対の連結ピンを効率的に挿入することができる。また、本体部の被接続部が作業装置の作業アタッチメントの先端部に接続されると、作業アタッチメントの姿勢を変更することで重量物である各押圧シリンダを連結ピンの挿入位置まで容易に移動させることができる。特に、第1構成部材および第2構成部材が、ブームなどの大型の構成部材の場合には、上側第1連結部および上側第2連結部が地上から数メートルの高さに位置する。このような場合でも、上記の構成によれば、作業装置の作業アタッチメントの高さを利用して連結ピン挿入装置を持ち上げることができるため、作業者が高所まで押圧シリンダを運ぶ必要がなく、連結ピンの挿入作業における作業性を向上することが可能となる。また、連結ピン挿入装置よりも大きな重量を備える作業装置が連結ピン挿入装置を支持しているため、連結ピン挿入装置が連結ピンを挿入する際に発生する反力を作業装置によって受けることができる。
【0011】
上記の構成において、前記本体部は、更に、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダが前記作業装置の前記作業アタッチメントの姿勢変更に伴って前記第1方向および前記第2方向が前記左右方向と平行となるような姿勢で前記下側空間に配置されることが可能であるとともに、前記第1押圧ロッドおよび前記第2押圧ロッドが、前記左右一対の第2連結ピンを前記第1方向および前記第2方向に向かってそれぞれ押圧しながら前記左右一対の下側第2連結部の前記第2孔部および前記左右一対の下側第1連結部の前記第1孔部にそれぞれ挿入することで、前記第1構成部材および第2構成部材の下側部分を互いに連結することが可能なように、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを保持することが望ましい。
【0012】
本構成によれば、連結ピン挿入装置が下部空間に配置されると、第1押圧ロッドおよび第2押圧ロッドによって左右一対の連結ピンを容易に挿入することができる。
【0013】
上記の構成において、前記第1押圧ロッドおよび前記第2押圧ロッドが前記第1方向および前記第2方向に同時に伸長するように、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを駆動するシリンダ駆動部を更に備えることが望ましい。
【0014】
本構成によれば、第1押圧ロッドおよび第2押圧ロッドが連結ピンを同時に押圧することで、押圧時に発生する反力を相殺し、本体部や作業アタッチメントに掛かる負荷を低減することができる。
【0015】
上記の構成において、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダは、それぞれ、作動油の供給を受けるとともに作動油を排出することで伸縮する油圧シリンダからなり、前記シリンダ駆動部は、前記第1押圧シリンダおよび前記第2シリンダに対して作動油を同時に供給することで、前記第1押圧ロッドおよび前記第2押圧ロッドを同時に伸長させることが望ましい。
【0016】
本構成によれば、シリンダ駆動部が第1押圧シリンダおよび第2押圧シリンダに作動油を同時に供給することで、前記第1押圧ロッドおよび前記第2押圧ロッドを同時に伸長させることができる。このため、作業装置として油圧ショベルなどを用いることで、作業装置で使用される作動油を連結ピン挿入装置に供給し、連結ピンを挿入することができる。
【0017】
上記の構成において、前記本体部は、前記被接続部を含むアタッチメント側本体部と、前記アタッチメント側本体部に対して前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを相対移動させることが可能な移動機構と、を有することが望ましい。
【0018】
本構成によれば、移動機構が第1押圧シリンダおよび第2押圧シリンダを作業アタッチメントに対して相対的に移動させることができる。したがって、作業アタッチメントを静止させた状態で、第1押圧シリンダおよび第2押圧シリンダを移動させることや、第1押圧ロッドおよび第2押圧ロッドを左右一対の連結ピンに精度良く位置合わせすることができる。
【0019】
上記の構成において、前記移動機構は、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダが、上下方向において前記上側空間と前記下側空間との間に形成された空間である中央空間を通じて、前記上側空間と前記下側空間との間を移動することが可能なように、前記アタッチメント側本体部に対して前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを昇降させることが望ましい。
【0020】
本構成によれば、第1押圧シリンダおよび第2押圧シリンダの上側空間と下側空間との間の移動が移動機構によって中央空間を通じて行われるため、作業アタッチメントの姿勢変更によって前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを第1構成部材および第2構成部材の外側を経由して移動させる場合と比較して、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを速やかかつ精度良く移動させることが可能となる。
【0021】
上記の構成において、前記本体部は、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダ互いに連結するシリンダ連結部を有し、前記移動機構は、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダが前記アタッチメント側本体部に対して一体で昇降するように、前記アタッチメント側本体部に対して前記シリンダ連結部を昇降させることが望ましい。
【0022】
本構成によれば、第1押圧シリンダおよび第2押圧シリンダの相対的な位置関係を保ったまま、第1押圧シリンダおよび第2押圧シリンダを上側空間と下側空間との間で移動させることができる。
【0023】
上記の構成において、前記移動機構は、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを互いに独立して昇降させることが望ましい。
【0024】
本構成によれば、左右一対の連結ピンのうちの一方の連結ピンの挿入動作に時間を要する場合には、先に連結ピンの挿入が完了した側の押圧シリンダを速やかに移動させ、次の挿入動作の準備に入ることができる。
【0025】
上記の構成において、前記本体部は、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを互いに連結するシリンダ連結部を有し、前記移動機構は、前記シリンダ連結部を前記アタッチメント側本体部に対して前記第1方向と直交する方向に延びる回転軸回りに相対的に回動させることが望ましい。
【0026】
本構成によれば、移動機構がシリンダ連結部を回動させると、第1押圧シリンダおよび第2押圧シリンダが第1方向と直交する方向に回動する。このため、上側空間または下側空間において、各押圧シリンダと連結ピンとを位置合わせすることができる。
【0027】
上記の構成において、前記本体部は、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを互いに連結するシリンダ連結部を有し、前記移動機構は、前記シリンダ連結部を支持する先端部と前記アタッチメント側本体部に接続される基端部とを含み前記第1方向と平行な方向に沿って伸縮可能な伸縮シリンダであって、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダが、前記左右一対の上側第1連結部のうちの左側の上側第1連結部と前記左右一対の下側第1連結部のうちの左側の下側第1連結部との間で上下方向に沿って延びる空間である左側空間、または、前記左右一対の上側第1連結部のうちの右側の上側第1連結部と前記左右一対の下側第1連結部のうちの右側の下側第1連結部との間で上下方向に沿って延びる空間である右側空間を通じて、上下方向において前記上側空間と前記下側空間との間に形成された空間である中央空間に前記第1構成部材および前記第2構成部材の外側から進入することが可能なように伸縮する、伸縮シリンダを更に有することが望ましい。
【0028】
本構成によれば、作業アタッチメントの姿勢を保った状態で、伸縮シリンダの伸縮に応じて、第1押圧シリンダおよび第2押圧シリンダを第1構成部材(第2構成部材)の側方から中央空間に進入することが可能となる。
【0029】
上記の構成において、前記シリンダ連結部は、前記伸縮シリンダの先端部と前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダとを前記第1方向と直交する方向に間隔をおいて互いに連結し、前記移動機構は、前記シリンダ連結部を前記伸縮シリンダの前記先端部を通り前記第1方向と平行な第1回転中心軸回りに回転させることが可能な回転駆動部を更に有することが望ましい。
【0030】
本構成によれば、回転駆動部がシリンダ連結部を回転させることで、第1押圧シリンダおよび第2押圧シリンダを上側空間と下側空間との間で移動させることができる。
【0031】
上記の構成において、前記作業装置の前記作業アタッチメントは、前記走行部に姿勢変更可能なように支持される可動部材であってその先端部に接続部を有する可動部材と、前記可動部材の前記接続部に着脱可能に接続され所定の作業を行うことが可能な作業部材と、を有し、前記本体部の前記被接続部は、前記作業装置の前記作業アタッチメントのうち前記走行部に姿勢変更可能なように支持される可動部材であってその先端部に接続部を有する可動部材の前記接続部から、前記可動部材の前記接続部に着脱可能に接続され所定の作業を行うことが可能な作業部材が脱離された状態で、前記接続部に接続可能とされることが望ましい。
【0032】
本構成によれば、作業装置の作業アタッチメントの可動部材に配置され作業部材を装着するための接続部を利用して、連結ピン挿入装置を作業アタッチメントに装着することができる。
【0033】
上記の構成において、前記本体部の前記被接続部は、前記作業装置の前記作業アタッチメントの前記可動部材の先端部に配置され前記作業部材を水平な第2回転中心軸回りに回動させる回動機構から前記作業部材が更に脱離された状態で、前記接続部および前記回動機構に前記第2回転中心軸回りに回動可能に接続されることが望ましい。
【0034】
本構成によれば、作業部材の回動機構を利用して、連結ピン挿入装置を作業アタッチメントに対して相対的に回動させ、連結ピンに対する各押圧シリンダの位置を調整することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、作業機械の複数の構成部材同士を連結する連結ピンを前記構成部材の左右方向の内側から挿入する作業の作業性を向上することが可能な連結ピン挿入装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施形態に係る作業機械の起伏体が組み立てられる様子を示す側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る作業機械の組立作業において、第1構成部材と第2構成部材とが連結される様子を示す模式的な平面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る連結ピン挿入装置が作業装置に支持された様子を示す側面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る連結ピン挿入装置が作業装置に支持された様子を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る連結ピン挿入装置が作業装置に支持された様子を示す拡大斜視図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る連結ピン挿入装置が作業装置に支持された様子を示す拡大斜視図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る連結ピン挿入装置が作業装置に支持された様子を示す拡大側面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る連結ピン挿入装置が作業機械の起伏体に配置された様子を示す拡大斜視図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係る連結ピン挿入装置が作業機械の起伏体に配置された様子を示す拡大斜視図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る連結ピン挿入装置の正面図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る連結ピン挿入装置の平面図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係る連結ピン挿入装置の側面図である。
【
図13】本発明の第2実施形態に係る連結ピン挿入装置が連結ピンを挿入する様子を示す正面図である。
【
図14】本発明の第2実施形態に係る連結ピン挿入装置が連結ピンを挿入する様子を示す正面図である。
【
図15】本発明の第2実施形態に係る連結ピン挿入装置が連結ピンを挿入する様子を示す正面図である。
【
図16】本発明の第2実施形態に係る連結ピン挿入装置が連結ピンを挿入する様子を示す正面図である。
【
図17】本発明の第2実施形態に係る連結ピン挿入装置が連結ピンを挿入する様子を示す正面図である。
【
図18】本発明の第1変形実施形態に係る連結ピン挿入装置が連結ピンを挿入する様子を示す正面図である。
【
図19】本発明の第3実施形態に係る連結ピン挿入装置が作業装置に支持された様子を示す正面図である。
【
図20】本発明の第3実施形態に係る連結ピン挿入装置が作業装置に支持された様子を示す拡大斜視図である。
【
図21】本発明の第3実施形態に係る連結ピン挿入装置が作業装置に支持された様子を示す拡大正面図である。
【
図22】本発明の第2変形実施形態に係る連結ピン挿入装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照しつつ、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るクレーン1(作業機械)のブーム12(起伏体)が組み立てられる様子を示す側面図である。
図2は、本実施形態に係るクレーン1の組立作業において、第1中間ブーム16と第2中間ブーム18とが連結される様子を示す模式的な平面図である。なお、以後、各図には、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」および「後」の方向が示されているが、当該方向は、本実施形態に係るクレーン1の構造、組立方法ならびにピン打ち装置30(
図3)の構造を説明するために便宜上示すものであり、本発明に係る連結ピン挿入装置の構造や使用態様などを限定するものではない。
【0038】
クレーン1は、クレーン本体に相当する上部旋回体11と、この上部旋回体11を旋回可能に支持する下部走行体10と、ブーム12と、後記の複数の連結ピン70と、を備える。
【0039】
図1に示されるようにクレーン1の一部を構成するブーム12は、いわゆるラチス型であり、下部ブーム14と、一または複数(図例では2個)の第1中間ブーム16、第2中間ブーム18と、不図示の上部ブームとから構成される。具体的に、下部ブーム14は、上部旋回体11の前部に起伏方向に回動可能となるように連結される。第1中間ブーム16、第2中間ブーム18は、その順に下部ブーム14の先端側に着脱可能に継ぎ足される。上部ブームは、第2中間ブーム18の先端側に着脱可能に継ぎ足される。なお、本発明ではブームの具体的な構造は限定されない。例えば、当該ブームは、上記とは中間部材の数が異なるものでもよい。クレーン1が組み立てられる際には、
図1に示すように、ブーム16が地上で組み立てられる。たとえば、第1中間ブーム16が地上に載置された状態で、第2中間ブーム18が補助クレーン1Sによって吊り上げられ、第1中間ブーム16と第2中間ブーム18とが互いに連結される。
【0040】
図2を参照して、第1中間ブーム16は、左右一対の第1上メインフレーム161と、左右一対の第1上メインフレーム161の先端部同士を左右方向に接続する第1上サブフレーム162と、左右一対の第1下メインフレーム163(
図9参照)と、左右一対の第1下メインフレーム163の先端部同士を左右方向に接続する第1下サブフレーム164と、左右一対のサイドフレームと、を有する。左右一対のサイドフレームは、左側の第1上メインフレーム161および第1下メインフレーム163を上下方向に接続し、右側の第1上メインフレーム161と第1下メインフレーム163とを上下方向に接続する(
図13のサイドフレーム185参照)。
【0041】
同様に、第2中間ブーム18は、左右一対の第2上メインフレーム181と、左右一対の第2上メインフレーム181の先端部同士を左右方向に接続する第2上サブフレーム182と、左右一対の第2下メインフレーム183(
図9参照)と、左右一対の第2下メインフレーム183の先端部同士を左右方向に接続する第2下メインフレーム184と、左右一対のサイドフレーム185と、を有する。左右一対のサイドフレーム185は、左側の第2上メインフレーム181および第2下メインフレーム183を上下方向に接続し、右側の第2上メインフレーム181と第2下メインフレーム183とを上下方向に接続する(
図13)。
【0042】
左右一対の第1上メインフレーム161、左右一対の第1下メインフレーム163、左右一対の第2上メインフレーム181および左右一対の第2下メインフレーム183は、ブーム16が地上に倒伏した状態で、それぞれ前後方向に延びるように配置されている。
【0043】
第1中間ブーム16は、更に、左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の第1上コネクタ16A(上側第1連結部)と、前記左右一対の第1上コネクタ16Aの下方で左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の第1下コネクタ16B(下側第1連結部)(
図9)と、を有する。
【0044】
第1上コネクタ16Aおよび第1下コネクタ16Bは、それぞれ第1上メインフレーム161および第1下メインフレーム163の先端部に配置される第1板状部16Pを有する。第1板状部16Pには左右方向に沿って第1孔部16Qが開口されている。なお、
図2では、第1上コネクタ16Aのみについて示しているが、第1上コネクタ16Aの下方の第1下コネクタ16Bも同様の構造を有している。
【0045】
一方、第2中間ブーム18は、更に、前記左右一対の第1上コネクタ16Aの間で左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の第2上コネクタ18A(上側第2連結部)と、前記左右一対の第2上コネクタ18Aの下方かつ前記左右一対の第1下コネクタ16Bの間で左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の第2下コネクタ18B(下側第2連結部)(
図9)と、を有する。
【0046】
第2上コネクタ18Aおよび第2下コネクタ18Bは、それぞれ第2上メインフレーム181および第2下メインフレーム183の先端部に配置される一対の第2板状部18Pを有する。第2板状部18Pには左右方向に沿って第2孔部18Qが開口されている。なお、
図2では、第2上コネクタ18Aのみについて示しているが、第2上コネクタ18Aの下方の第2下コネクタ18Bも同様の構造を有している。また、
図2に示す状態から第2中間ブーム18が補助クレーン1Sによって後方に移動されると、第2上コネクタ18Aの一対の第2板状部18Pの間に第1上コネクタ16Aの第1板状部16Pが配置される。この結果、左右方向において第1孔部16Qおよび第2孔部18Qの位置が互いに合致する。
【0047】
図2に示すように、第2中間ブーム18の左右一対の第2上コネクタ18Aでは、左右方向の内側の第2板状部18Pに左右一対のピン受け部18Tが備えられている。ピン受け部18Tは、左右一対の第2上コネクタ18Aの内側において、連結ピン70を支持する。このため、連結ピン70が落下することが抑止され、連結ピン70が
図2に示す待避位置から第1孔部16Qおよび第2孔部18Qの内部の連結位置に移動可能とされる。
【0048】
本実施形態では、上記のように、クレーン1の一部を構成する第1中間ブーム16と第2中間ブーム18とを連結ピン70によって互いに連結することが可能なピン打ち装置30(連結ピン挿入装置)が提供される。
図3および
図4は、本実施形態に係るピン打ち装置30が作業装置20に支持された様子を示す側面図および斜視図である。
図5および
図6は、本実施形態に係るピン打ち装置30が作業装置20に支持された様子を示す拡大斜視図であり、
図7は、同拡大側面図である。
【0049】
本実施形態では、ピン打ち装置30を支持する作業装置20が、一例として油圧ショベルからなる。なお、各図では、油圧ショベルのバケット(
図19参照)に代わってピン打ち装置30が装着されている。作業装置20は、地上を走行可能な下部走行体21(走行部)と、下部走行体21上に旋回可能に支持された上部旋回体22と、上部旋回体22の前端部に配置されるキャブ23(運転席)と、作業アタッチメント24と、を有する。作業アタッチメント24は、上部旋回体22に水平な回転中心軸回りに起伏可能に支持されたブーム25と、ブーム25の先端部に水平な回転中心軸回りに回動可能に支持されたアーム26と、を有する。ピン打ち装置30は、アーム26の先端部に装着されている。なお、作業装置20は、ブーム25、アーム26およびピン打ち装置30を回動させるための不図示の油圧シリンダを含む。作業アタッチメント24は、上部旋回体22を介して下部走行体21に支持され、ブーム25およびアーム26の回動に伴って姿勢変更可能とされている。
【0050】
図5乃至
図7を参照して、ピン打ち装置30は、本体部31と、第1支持アーム34と、第2支持アーム35と、押圧シリンダ36と、を有する。
【0051】
本体部31は、ピン打ち装置30の本体部分である。本体部31は、フレーム本体32と、旋回フレーム33と、旋回部30Hと、を有する。フレーム本体32は、一対の側板と、当該一対の側板の先端部に固定された円板とを含む。
図5に示すように、フレーム本体32は、本体支点部31S(被接続部)を含む。本体支点部31Sは、本体部31のうち作業アタッチメント24のアーム26に接続された部分であり、アーム26に水平方向に延びる回転中心軸回りに回動可能に支持されている。フレーム本体32は、本発明のアタッチメント側本体部として機能する。
【0052】
旋回フレーム33は、旋回部30Hを介してフレーム本体32に旋回可能に支持されている。すなわち、旋回部30Hは、フレーム本体32に対して旋回フレーム33を相対的に旋回(移動)させる。なお、旋回フレーム33の旋回中心軸部分には、押圧シリンダ36に対する作動油の供給を行うためのスイベルユニット32Sが備えられている(
図6、
図7)。また、スイベルユニット32Sに隣接して、旋回フレーム33を旋回駆動するモーター32Tが備えられている。
【0053】
第1支持アーム34は、本体支点部31Sよりもアーム26の基端側に配置された第1支点部34Sを含み、第1支点部34Sにおいて水平な回動中心軸回りに回動可能なようにアーム26に支持されている。第2支持アーム35は、第1支持アーム34の先端部に配置された第2支点部34Tに水平な回転中心軸回りに回動可能に支持されている。また、第2支持アーム35は、第2支点部34Tとは反対側の第3支点部35Sにおいて、フレーム本体32の一対の側板を水平な回転中心軸回りに回動可能に支持している。この結果、不図示の油圧シリンダの駆動力を受けて、第1支持アーム34と第2支持アーム35とがなす角度が変化されると、ピン打ち装置30がアーム26に対して相対的に回動する(チルト機構)。
【0054】
旋回フレーム33(
図6)は、平面視で菱形形状を有しており、その長手方向の両端部に押圧シリンダ36を支持している。また、旋回フレーム33は、一対のガイドプレート331と、一対の弾性体332と、カバー333と、を有する。一対のガイドプレート331は、押圧シリンダ36の軸方向と直交する方向に互いに間隔をおいて前記軸方向に延びるように配置されている。一対の弾性体332は、一対のガイドプレート331の外側に固定された直方体形状のゴム材からなる。一対の弾性体332は、第1中間ブーム16または第2中間ブーム18のフレーム部分に当接することで、押圧シリンダ36を前記第1孔部16Qまたは第2孔部18Qに対して位置決めする機能を有する。カバー333は、一対のガイドプレート331を接続するように配置された透明な板材からなる。カバー333は、前記スイベルユニット32Sから延びる不図示の油圧ホースなどを保護する。
【0055】
押圧シリンダ36は、前記左右一対の連結ピン70を押圧することが可能とされている。詳しくは、押圧シリンダ36は、伸縮可能な第1押圧シリンダ36Aおよび第2押圧シリンダ36Bを有する(
図6)。
【0056】
第1押圧シリンダ36Aは、第1シリンダ本体361Aと、第1押圧ロッド362と、を有する。第1シリンダ本体361Aは、所定の軸方向に沿って延びる筒形状を有する。第1押圧ロッド362Aは、前記第1シリンダ本体361Aから前記軸方向に沿った第1方向に向かって伸長することで連結ピン70を押圧可能とされている。
【0057】
第2押圧シリンダ36Bは、第2シリンダ本体361Bと、第2押圧ロッド362Bと、を有する。第2シリンダ本体361Bは、前記第1シリンダ本体361Aから見て前記軸方向のうち前記一端側とは反対の他端側で前記軸方向に沿って延びる筒形状を有する。第2押圧ロッド362Bは、前記第2シリンダ本体361Bから前記軸方向に沿った第2方向に向かって伸長することで連結ピン70を押圧可能とされている。本実施形態では、第1押圧シリンダ36Aおよび第2押圧シリンダ36Bは、同じ軸線上に互いに対向して配置されるように旋回フレーム33に固定されている。このため、旋回フレーム33は、第1押圧シリンダ36Aおよび第2押圧シリンダ36Bを互いに連結するシリンダ連結部として機能する。また、本体部31は、前記第1方向および前記第2方向が互いに平行かつ反対の方向に向かうように、前記第1押圧シリンダ36Aおよび前記第2押圧シリンダ36Bを保持している。そして、第1押圧ロッド362Aおよび第2押圧ロッド362Bは、互いに反対の方向に向かって伸長することで、左右一対の連結ピン70を押圧する。
【0058】
なお、第1押圧シリンダ36Aおよび第2押圧シリンダ36Bは、作動油の供給を受ける一方作動油を排出することで伸縮する油圧シリンダからなる。このため、ピン打ち装置30は、シリンダ駆動部30K(
図4)を有する。本実施形態では、シリンダ駆動部30Kは、作業装置20の上部旋回体22に備えられている。なお、シリンダ駆動部30Kは、本体部31に備えられてもよい。シリンダ駆動部30Kは、油圧源や切換弁を含み、第1押圧シリンダ36Aおよび第2押圧シリンダ36Bに対して不図示の油路を経由して作動油を同時に供給することで、第1押圧ロッド362Aおよび第2押圧ロッド362Bを同時に伸長させる。他の実施形態において、第1押圧シリンダ36Aおよび第2押圧シリンダ36Bは、電動シリンダなど他の駆動シリンダでもよい。この場合、シリンダ駆動部30Kは、電動モーターなどでもよい。
【0059】
図8および
図9は、本実施形態に係るピン打ち装置30がクレーン1のブーム12の所定位置に配置された様子を示す拡大斜視図である。
【0060】
図8、
図9を参照して、第1中間ブーム16および第2中間ブーム18の各コネクタが位置合わせされた状態で、左右一対の第2上コネクタ18A同士の間で左右方向に延びるように形成された空間が、上側空間12Aと定義される。また、左右一対の第2下コネクタ18B同士の間で左右方向に延びるように形成された空間が、下側空間12Bと定義される。なお、上側空間12Aは、前後方向において、第1上サブフレーム162と第2上サブフレーム182との間の空間であって、上下方向において第1上サブフレーム162(第2上サブフレーム182)の高さ(パイプ径)と略同じ高さを有する。同様に、下側空間12Bは、前後方向において、第1下サブフレーム164と第2下メインフレーム184との間の空間であって、上下方向において第1下サブフレーム164(第2下メインフレーム184)の高さ(パイプ径)と略同じ高さを有する。
【0061】
図8では、作業装置20の作業アタッチメント24の姿勢変更に伴って、ピン打ち装置30が上側空間12Aに押圧シリンダ36の軸方向が左右方向に沿って延びる姿勢で配置された状態を示している。換言すれば、
図8に示されるように、ピン打ち装置30の押圧シリンダ36が上側空間12Aに上から進入可能なように、本体部31が作業装置20の作業アタッチメント24に接続されるとともに押圧シリンダ36を支持している。
【0062】
図8に示すように、作業装置20の作業アタッチメント24の姿勢変更に伴って押圧シリンダ36が上側空間12Aに配置されると、左右一対の第2上コネクタ18Aの内側で第2孔部18Q(
図2)に対向して配置される左右一対の連結ピン70(第1連結ピン)を第1押圧ロッド362Aおよび第2押圧ロッド362Bがそれぞれ左右外側に向かって押圧すると、左右一対の第2上コネクタ18Aの第2孔部18Qおよび左右一対の第1上コネクタ16Aの第1孔部16Qに左右一対の連結ピン70が順に挿入されることで、押圧シリンダ36が第1中間ブーム16および第2中間ブーム18の上側部分を互いに連結する。
【0063】
このように、本実施形態では、第1押圧シリンダ36Aおよび第2押圧シリンダ36Bが作業装置20の作業アタッチメント24の姿勢変更に伴って前記第1方向および前記第2方向が左右方向と平行となるような姿勢で上側空間12Aに配置されることが可能であるとともに、第1押圧ロッド362Aおよび第2押圧ロッド362Bが、左右一対の第1連結ピン70を前記第1方向および前記第2方向に向かってそれぞれ押圧しながら左右一対の第2上コネクタ18Aの第2孔部18Qおよび左右一対の第1上コネクタ16Aの第1孔部16Qにそれぞれ挿入することで、第1中間ブーム16および第2中間ブーム18の上側部分を互いに連結することが可能なように、本体部31が第1押圧シリンダ36Aおよび第2押圧シリンダ36Bを保持している。
【0064】
一方、
図9では、作業装置20の作業アタッチメント24の姿勢変更に伴って、ピン打ち装置30が下側空間12Bに押圧シリンダ36の軸方向が左右方向に沿って延びる姿勢で配置された状態を示している。換言すれば、
図9に示されるように、ピン打ち装置30の押圧シリンダ36が下側空間12Bに下から進入可能なように、本体部31が作業装置20の作業アタッチメント24に接続されるとともに押圧シリンダ36を支持している。
【0065】
図9に示すように、作業アタッチメント24の姿勢変更に伴って押圧シリンダ36が下側空間12Bに配置されると、左右一対の第2下コネクタ18Bの内側で第2孔部18Qに対向して配置される左右一対の連結ピン70(第2連結ピン)を第1押圧ロッド362Aおよび第2押圧ロッド362Bがそれぞれ左右外側に向かって押圧すると、左右一対の第2下コネクタ18Bの第2孔部18Qおよび左右一対の第1下コネクタ16Bの第1孔部16Qに左右一対の連結ピン70が順に挿入されることで、押圧シリンダ36が第1中間ブーム16および第2中間ブーム18の下側部分を互いに連結する。
【0066】
すなわち、本実施形態では、第1押圧シリンダ36Aおよび第2押圧シリンダ36Bが作業装置20の作業アタッチメント24の姿勢変更に伴って前記第1方向および前記第2方向が左右方向と平行となるような姿勢で下側空間12Bに配置されることが可能であるとともに、第1押圧ロッド362Aおよび第2押圧ロッド362Bが、左右一対の第2連結ピン70を前記第1方向および前記第2方向に向かってそれぞれ押圧しながら左右一対の第2下コネクタ18Bの第2孔部18Qおよび左右一対の第1下コネクタ16Bの第1孔部16Qにそれぞれ挿入することで、第1中間ブーム16および第2中間ブーム18の下側部分を互いに連結することが可能なように、本体部31が第1押圧シリンダ36Aおよび第2押圧シリンダ36Bを保持している。
【0067】
以上のように本実施形態では、ピン打ち装置30は、第1押圧シリンダ36Aおよび第2押圧シリンダ36Bを保持する本体部31を有している。特に、本体部31は、第1方向および第2方向が互いに平行かつ反対の方向に向かうように、第1押圧シリンダ36Aおよび第2押圧シリンダ36Bを保持する。このため、ピン打ち装置30が上部空間12Aや下側空間12Bに配置されると、第1押圧ロッド362Aおよび第2押圧ロッド362Bによって左右一対の連結ピン70を容易に挿入することができる。このため、1つの押圧シリンダによって各連結ピン70を順に挿入する場合と比較して、左右一対の連結ピン70を効率的に挿入することができる。また、本体部31の本体支点部31Sが作業装置20の作業アタッチメント24の先端部に接続されると、作業アタッチメント24の姿勢を変更することで重量物である各押圧シリンダを連結ピン70の挿入位置まで容易に移動させることができる。特に、第1中間ブーム16および第2中間ブーム18のように、ブーム12などの大型の部材を構成する場合には、第1中間ブーム16および第2中間ブーム18の上面部に配置される、第1上コネクタ16Aおよび第2上コネクタ18Aは地上から数メートルの高さに位置する。このような場合でも、上記の構成によれば、作業装置20の作業アタッチメント24の高さを利用してピン打ち装置30を移動することができるため、作業者が高所まで押圧シリンダを運ぶことなく、連結ピンの挿入作業を行うことが可能となり、前記作業の作業性を向上することができる。また、このような高所において作業者がハンマーなどで連結ピン70を押圧して各孔部に挿入する必要が低減され、作業者の負担を少なくすることができる。また、ピン打ち装置30よりも大きな重量を備える作業装置20がピン打ち装置30を支持しているため、押圧シリンダ36が左右の連結ピン70を挿入する際に発生する反力を作業装置20によって受けることができる。
【0068】
また、本実施形態では、第1押圧ロッド362Aおよび第2押圧ロッド362Bが前記左右一対の連結ピン70(第1連結ピンまたは第2連結ピン)を同時に押圧するように、シリンダ駆動部30K(
図4)が押圧シリンダ36を駆動する。この結果、押圧シリンダ36が第1方向および第2方向に向かって左右一対の連結ピン70を押圧する際に発生する反力を相殺し、本体部31や作業アタッチメント24に掛かる負荷を低減することができる。
【0069】
また、本実施形態では、シリンダ駆動部30Kが第1押圧シリンダ36Aおよび第2押圧シリンダ36Bに作動油を同時に供給することで、第1押圧ロッド362Aおよび第2押圧ロッド362Bを同時に伸長させることができる。このため、作業装置20として油圧ショベルなどを用いることで、作業装置20で使用される作動油をピン打ち装置30に供給し、連結ピン70を挿入することができる。
【0070】
更に、本実施形態では、ピン打ち装置30が、本体部31に対して押圧シリンダ36を相対移動させる移動機構を更に備える。このため、押圧シリンダ36が上側空間12Aまたは下側空間12Bに配置されると、作業アタッチメント24の姿勢を保った状態で、移動機構が押圧シリンダ36の移動や姿勢変更を行うことが可能となる。したがって、押圧シリンダ36の第1押圧ロッド362Aおよび第2押圧ロッド362Bを左右一対の連結ピン70に精度良く位置合わせし当接させることができる。
【0071】
より詳しくは、本実施形態では、前記移動機構が、作業アタッチメント24の姿勢変更に伴って押圧シリンダ36が上側空間12A(
図8)または下側空間12B(
図9)に配置された状態で、押圧シリンダ36の前記軸方向が左右方向と平行になるように押圧シリンダ36の姿勢を調整可能な旋回部30H(
図7、姿勢調整機構)およびチルト部30K(
図7、姿勢調整機構)を有する。このため、作業アタッチメント24または本体部31に対して押圧シリンダ36を相対移動させ、押圧シリンダ36の第1押圧ロッド362Aおよび第2押圧ロッド362Bを連結ピン70に位置合わせし安定して押圧することができる。
【0072】
旋回部30Hは、押圧シリンダ36を支持する旋回フレーム33を本体部31のフレーム本体32に対して第1押圧シリンダ36Aと第2押圧シリンダ36Bとの間を通り上下方向(第1方向と直交する方向)に延びる旋回軸心(回転軸)回りに旋回(相対的に回動)させることが可能とされている。押圧シリンダ36が上側空間12Aまたは下側空間12Bに配置されると、
図6における押圧シリンダ36の軸方向が、略左右方向に沿って延びる。この際、押圧シリンダ36の軸方向が左右方向に対して前後に傾いている場合には、一対の第1押圧シリンダ36Aおよび第2押圧シリンダ36Bが
図6の矢印のように前記旋回中心軸回りに旋回することで、押圧シリンダ36の軸方向を左右方向と平行に調整(位置合わせ)することができる。
【0073】
また、チルト部30Kは、本体部31を作業アタッチメント24の先端部に対して前後方向(第1方向と直交する方向)に延びる回転中心軸回りに回動させる。押圧シリンダ36が上側空間12Aまたは下側空間12Bに配置されると、
図7における押圧シリンダ36の軸方向が、略左右方向に沿って延びる。この際、押圧シリンダ36の軸方向が左右方向に対して上下に傾いている場合には、作業アタッチメント24の不図示の油圧シリンダが駆動され、第1支持アーム34が第1支点部34S回りに回動する。この結果、第1支持アーム34に連結されている第2支持アーム35が本体部31を本体支点部31S回りに回動させる。すなわち、本体部31が作業アタッチメント24に先端部に対して前後方向に延びる回転中心軸回りに回動する。この結果、押圧シリンダ36の軸方向を左右方向と平行に調整することができる。なお、チルト部30Kは、フレーム本体32に対して旋回フレーム33を前後方向(第1方向と直交する方向)に延びる回転中心軸回りに相対的に回動させてもよい。また、チルト部30Kは、バケット27を回動させるために作業アタッチメント24に備えられているものを利用してもよい。
【0074】
次に、本発明の第2実施形態に係るピン打ち装置40(連結ピン挿入装置)について説明する。本実施形態に係るピン打ち装置40も先の実施形態に係るピン打ち装置30と同様に、作業装置20の作業アタッチメント24の先端部に装着されるため、以下ではピン打ち装置40の構造、機能を中心に説明し、ピン打ち装置30と共通する部分の説明を省略する。
【0075】
図10、
図11および
図12は、本実施形態に係るピン打ち装置40の正面図、平面図および側面図である。ピン打ち装置40は、駆動シリンダ41(移動機構、昇降用シリンダ)と、装置本体フレーム42と、シリンダ支持フレーム43と、ピン押圧シリンダ44と、を備える。駆動シリンダ41、装置本体フレーム42およびシリンダ支持フレーム43は、本発明の本体部として機能する。
【0076】
装置本体フレーム42は、ピン打ち装置40の本体部分であり、作業アタッチメント24の先端部に装着される作業装置連結部42Sを有する。なお、作業装置連結部42Sも先のピン打ち装置30と同様に、不図示のチルト機構を有する。装置本体フレーム42は、本発明のアタッチメント側本体部として機能する。
【0077】
駆動シリンダ41は、装置本体フレーム42に固定され伸縮可能な油圧シリンダからなる。駆動シリンダ41は、シリンダ本体41Aと、第1ロッド41Bと、第2ロッド41Cと、を有する。シリンダ本体41Aは、装置本体フレーム42に固定され、第1ロッド41Bはシリンダ本体41Aに対して相対的に伸縮する。同様に、第2ロッド41Cは第1ロッド41Bに対して相対的に伸縮する。駆動シリンダ41は、本発明の移動機構として機能する。
【0078】
シリンダ支持フレーム43は、駆動シリンダ41の第2ロッド41Cの先端部に固定されたフレームである。シリンダ支持フレーム43は、ピン押圧シリンダ44を支持する。
【0079】
ピン押圧シリンダ44は、第1押圧シリンダ44Aと、第2押圧シリンダ44Bと、を有する。第1押圧シリンダ44Aおよび第2押圧シリンダ44Bは、先の実施形態に係る第1押圧シリンダ36A、第2押圧シリンダ36Bと同様の構造を有しており、それぞれシリンダ本体441および押圧ロッド442を含む。なお、シリンダ支持フレーム43は、第1押圧シリンダ44Aおよび第2押圧シリンダ44Bを互いに連結するシリンダ連結部として機能する。また、駆動シリンダ41は、前第1押圧シリンダ44Aと、第2押圧シリンダ44Bが装置本体フレーム42に対して一体で昇降するように、装置本体フレーム42に対してシリンダ支持フレーム43を昇降させる。
【0080】
図13乃至
図17は、本実施形態に係るピン打ち装置40が左右の連結ピンを挿入する様子を順に示す正面図である。駆動シリンダ41は、装置本体フレーム42に対してピン押圧シリンダ44を相対移動させる機能を有している。具体的に、まず、
図13、
図14に示すように、作業アタッチメント24(
図3、
図4)の姿勢変更によって、ピン打ち装置40のピン押圧シリンダ44が、前述の上側空間12A(
図8)に上から進入する。そして、作業装置20から供給される作動油によってピン押圧シリンダ44の第1押圧シリンダ44Aおよび第2押圧シリンダ44Bが駆動され、それぞれの押圧ロッド442が伸長する(
図15)。この結果、先の実施形態と同様に、左右一対の第1上コネクタ16Aおよび第2上コネクタ18Aの各孔部に連結ピン70が挿入され、ピン打ち装置40のピン押圧シリンダ44が第1中間ブーム16および第2中間ブーム18の上側部分を互いに連結する。
【0081】
次に、
図15に示す状態から
図14に示すように、一対の押圧ロッド442が収縮されると、駆動シリンダ41の第1ロッド41Bおよび第2ロッド41Cがそれぞれ伸長する。この結果、
図16に示すように、ピン打ち装置40のピン押圧シリンダ44が下側空間12Bに上から進入する。その後、再び、作業装置20から供給される作動油によってピン押圧シリンダ44の第1押圧シリンダ44Aおよび第2押圧シリンダ44Bが駆動され、それぞれの押圧ロッド442が伸長する(
図17)。この結果、先の実施形態と同様に、左右一対の第1下コネクタ16Bおよび第2下コネクタ18Bの各孔部に連結ピン70が挿入され、ピン打ち装置40のピン押圧シリンダ44が第1中間ブーム16および第2中間ブーム18の下側部分を互いに連結する。なお、
図1に示すように、第1中間ブーム16および第2中間ブーム18において、第1上コネクタ16Aと第2上コネクタ18Aとが互いに連結される際、第1下コネクタ16Bと第2下コネクタ18Bとが前後方向に間隔をおいて配置されている場合には、
図15において第1上コネクタ16Aと第2上コネクタ18Aとが連結された後、補助クレーン1Sによって第2中間ブーム18が下方に回動され、その後、
図16、
図17のように第1下コネクタ16Bおよび第2下コネクタ18Bが連結されればよい。
【0082】
以上のように、本実施形態では、ピン打ち装置40の駆動シリンダ41が、装置本体フレーム42に対してピン押圧シリンダ44を相対移動させる移動機構として機能する。このため、作業アタッチメント24の姿勢を保った状態で、ピン押圧シリンダ44の移動や姿勢変更が可能となる。したがって、ピン押圧シリンダ44の押圧ロッド442を左右一対の連結ピン70に精度良く当接させることができる。
【0083】
特に、本実施形態では、駆動シリンダ41は、上側空間12Aに配置されたピン押圧シリンダ44が上下方向において上側空間12Aと下側空間12Bとの間に形成された空間である中央空間12Sを通じて下側空間12Bに移動することを許容するように、装置本体フレーム42に対してピン押圧シリンダ44を相対移動させる。このため、ピン押圧シリンダ44の上側空間12Aと下側空間12Bとの間の移動が中央空間12Sを通じて行われるため、作業アタッチメント24の姿勢変更によってピン打ち装置40を第1中間ブーム16(第2中間ブーム18)の外側を経由して移動させる場合と比較して、ピン打ち装置40のピン押圧シリンダ44を速やかかつ精度良く移動させることが可能となる。
【0084】
ここで、本実施形態では、作業アタッチメント24の姿勢変更に応じてピン押圧シリンダ44が装置本体フレーム42の下方に配置された状態で上側空間12Aに上方から進入することが可能なように、装置本体フレーム42の作業装置連結部42S(被接続部)が作業アタッチメント24(アーム26)の先端部に接続されている。そして、駆動シリンダ41は、上下方向に沿って伸縮することで、上側空間12Aに配置されたピン押圧シリンダ44が中央空間12Sを通じて下側空間12Bに移動することが可能なように、ピン押圧シリンダ44を装置本体フレーム42に対して昇降させる。このような構成によれば、駆動シリンダ41の伸縮によって、ピン押圧シリンダ44を安定して昇降させることが可能となる。このため、上側空間12Aにおいて左右一対の連結ピン70に対するピン押圧シリンダ44の姿勢を調整すれば、駆動シリンダ41の伸長動作を行うだけで、下側空間12Bにおける左右一対の連結ピン70に対してピン押圧シリンダ44の位置を速やかに設定し、連結ピン70に挿入動作を行うことができる。
【0085】
なお、本実施形態では、ピン打ち装置40の作業装置連結部42Sが作業アタッチメント24の先端部に4箇所で接続されている(
図11、
図12参照)。このため、
図9と同様に、作業アタッチメント24の先端部に支持されたピン打ち装置40は、作業アタッチメント24の姿勢変更によって下側空間12Bに下方から進入することが可能である。その後、
図13から
図17の上下をそれぞれ反転した図の手順で、第1中間ブーム16と第2中間ブーム18とを互いに連結することもできる。
【0086】
図18は、本発明の第1変形実施形態に係るピン打ち装置40が連結ピンを挿入する様子を示す正面図である。上記の第2実施形態と比較して、本変形実施形態に係るピン打ち装置40は、第1中間ブーム16(第2中間ブーム18)の側方から中央空間12Sに進入する。このような場合、作業アタッチメント24の可動範囲が小さいものでも、ピン打ち装置40を中央空間12Sに進入させることができる。本変形実施形態に係るピン打ち装置40は、先の第2実施形態と比較して、回転用モーター45(回転駆動部)と、シリンダサブ支持フレーム46(シリンダ連結部)と、を更に備える。
【0087】
シリンダサブ支持フレーム46は、駆動シリンダ41(伸縮シリンダ)の第2ロッド41Cの先端部に固定されたフレームである。シリンダサブ支持フレーム46は、駆動シリンダ41の軸方向(伸縮方向、
図18の左右方向)と直交する方向に延びるように、第2ロッド41Cの先端部に配置されている。そして、
図18に示すように、駆動シリンダ41は、シリンダサブ支持フレーム46およびシリンダ支持フレーム43を支持する先端部と装置本体フレーム42(
図10乃至
図12と同様)に接続される基端部とを含み、左右方向(第1方向と平行な方向)に沿って伸縮可能とされる。詳しくは、シリンダサブ支持フレーム46の先端部にシリンダ支持フレーム43(シリンダ連結部)が固定されている。シリンダ支持フレーム43は、駆動シリンダ41の伸縮方向に延びるように配置されており、その両端部にピン押圧シリンダ44の第1押圧シリンダ44Aおよび第2押圧シリンダ44Bが配置され、2つの押圧シリンダを互いに連結している。
【0088】
回転用モーター45は、シリンダサブ支持フレーム46を駆動シリンダ41の伸縮方向(左右方向)に延びる回転中心軸L(シリンダサブ支持フレーム46の先端部を通り第1方向と平行な第1回転中心軸)回りに回転させる。上記のように、シリンダサブ支持フレーム46は、駆動シリンダ41の先端部と第1押圧シリンダ44Aおよび第2押圧シリンダ44Bとを上下方向(第1方向と直交する方向)に間隔をおいて互いに連結している。そして、
【0089】
このような構成によれば、駆動シリンダ41がピン押圧シリンダ44を支持した状態で左右方向に沿って伸縮する。そして、ピン押圧シリンダ44は、たとえば当該ピン押圧シリンダ44の軸方向が左右方向と平行となるような姿勢で作業アタッチメント24に支持された状態で、左右一対の第2上コネクタ18Aのうちの左側の第2上コネクタ18Aと左右一対の第2下コネクタ18Bのうちの左側の第2下コネクタ18Bとの間で上下方向に沿って延びる空間である左側空間12Cを通じて、中央空間12Sに第2中間ブーム18(第1中間ブーム16)の外側から進入する。このため、作業アタッチメント24の姿勢を保った状態で、駆動シリンダ41の伸縮に応じて、ピン押圧シリンダ44を第1中間ブーム16(第2中間ブーム18)の側方から中央空間12Sに進入させることが可能となる。なお、
図18において、ピン押圧シリンダ44は、右側空間12D(左右一対の第2上コネクタ18Aのうちの右側の第2上コネクタ18Aと左右一対の第2下コネクタ18Bのうちの右側の第2下コネクタ18Bとの間で上下方向に沿って延びる空間)から中央空間12Sに進入する態様でもよい。
【0090】
また、
図18の矢印で示すように、回転用モーター45がシリンダサブ支持フレーム46を回転させることで、上側空間12Aに配置されたピン押圧シリンダ44を下方の下側空間12Bに容易に移動(昇降)させることができる。このため、ピン打ち装置40を第1中間ブーム16(第2中間ブーム18)の外側を経由して移動させる場合と比較して、ピン打ち装置40のピン押圧シリンダ44を速やかかつ精度良く移動させることが可能となる。なお、ピン打ち装置40が一旦第1中間ブーム16および第2中間ブーム18の外側に移動され、シリンダサブ支持フレーム46が回転軸中心L回りに回動されてもよい。
【0091】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図19は、本実施形態に係るピン打ち装置50(連結ピン挿入装置)が作業装置20に支持された様子を示す正面図である。
図20および
図21は、本実施形態に係るピン打ち装置50が作業装置20に支持された様子を示す拡大斜視図および拡大正面図である。本実施形態では、作業装置20の作業アタッチメント24が、バケット27を更に備える。バケット27は、アーム26の先端部に水平な回転中心軸回りに回動可能に支持されている。バケット27は、その先端部に配置されたフック27Sを備える。そして、本実施形態に係るピン打ち装置50は、
図20に示すように、4本の吊りロープ28によって、上記フック27Sに吊り上げられることが可能とされている。
【0092】
ピン打ち装置50は、装置本体フレーム51と、左右一対のピン押圧シリンダ52と、制御ユニット53と、左右一対の作動油パイプ54と、を有する。装置本体フレーム51は、ピン打ち装置50の本体部分であって、複数のパイプ材が互いに接続されることで形成されている。なお、装置本体フレーム51は、本発明の本体部(アタッチメント側本体部)として機能する。また、
図20のピン打ち装置50のうち4本の吊りロープ28の下端部が接続されている部分は、本発明の被接続部に相当する。
【0093】
装置本体フレーム51は、左右一対の第1縦パイプ511と、左右一対の第2縦パイプ512と、上下一対の第1横パイプ513と、上下一対の第2横パイプ514と、載置板515と、を有する。左右一対の第1縦パイプ511は、装置本体フレーム51の左右両端部において上下方向に延びている。同様に、左右一対の第2縦パイプ512は、装置本体フレーム51の左右両端部かつ第1縦パイプ511の後方において上下方向に延びている。上下一対の第1横パイプ513は、左右一対の第1縦パイプ511の上端部同士および略中央部同士をそれぞれ左右方向に接続している。同様に、第2横パイプ514は、左右一対の第2縦パイプ512の上端部同士および略中央部同士をそれぞれ左右方向に接続している。載置板515は、装置本体フレーム51の左右方向の中央部において上下に面するように固定された板部材である。載置板515は、制御ユニット53を支持する。
【0094】
左右一対のピン押圧シリンダ52は、装置本体フレーム51に左右方向に間隔をおいてそれぞれ支持されている。作動油パイプ54はピン押圧シリンダ52の上方において装置本体フレーム51に支持され、作業装置20からピン押圧シリンダ52に供給する作動油が流通することを許容する。
【0095】
本実施形態では、
図20、
図21に示すように、作業装置20によって吊り上げられたピン打ち装置50が、上側空間12A(
図8)に上方から挿入される。この際、平面視で左右一対の第1縦パイプ511および左右一対の第2縦パイプ512によって画定される四角形部分が、
図8の左右一対の第1上メインフレーム161、第1上サブフレーム162、左右一対の第2上メインフレーム181および第2上サブフレーム182で画定される四角形の内側に挿入されることで、一対のピン押圧シリンダ52の軸方向が左右方向と平行とされる。この結果、ピン押圧シリンダ52と連結ピン70とが上下方向において位置合わせされるだけで、左右一対のピン押圧シリンダ52が左右一対の連結ピン70をそれぞれ押圧することができる。
【0096】
このように本実施形態においても、作業者が重量物である左右一対のピン押圧シリンダ52を上側空間12Aまで人力で運搬する必要がなく、作業者の負担を低減することができるとともに、左右一対の連結ピン70を第1中間ブーム16および第2中間ブーム18の孔部に容易に挿入することができる。
【0097】
図22は、本発明の第2変形実施形態に係るピン打ち装置60(連結ピン挿入装置)の斜視図である。本変形実施形態に係るピン打ち装置60も、上記の第3実施形態に係るピン打ち装置50と同様に、4本の吊りロープ28によって作業装置20のフック27Sに吊り上げられる。
【0098】
ピン打ち装置60は、装置本体フレーム61(本体部、アタッチメント側本体部)と、左右一対のウインチ支持部62と、左右一対の昇降ウインチ63(移動機構)と、左右一対のピン押圧シリンダ64と、を有する。
【0099】
装置本体フレーム61は、ピン打ち装置60の本体部分であり、平面視で矩形形状を有しており、その内部は空洞化されている。第3実施形態に係る装置本体フレーム51と同様に、装置本体フレーム61の外形寸法は、
図8の左右一対の第1上メインフレーム161、第1上サブフレーム162、左右一対の第2上メインフレーム181および第2上サブフレーム182で画定される四角形の内側に挿入されるように設定されている。
【0100】
左右一対のウインチ支持部62は、装置本体フレーム61の上面部に、左右方向に間隔をおいて固定されている。ウインチ支持部62は平面視で矩形形状を有しており、その内部は空洞化されている。
【0101】
左右一対の昇降ウインチ63は、それぞれウインチ支持部62の上面部に支持されている。昇降ウインチ63から引き出された昇降ロープ65は、装置本体フレーム61およびウインチ支持部62の内部を通って、装置本体フレーム61の下方に位置するピン押圧シリンダ64に接続されている。この結果、昇降ウインチ63は、昇降ロープ65の巻上げ、繰出しを行うことで、ピン押圧シリンダ64を昇降させることができる。
【0102】
左右一対のピン押圧シリンダ64は、左右方向において互いに反対の方向を向くように配置されており、それぞれ左右一対の連結ピン70を押圧することが可能である。
【0103】
本実施形態においても、作業アタッチメント24の姿勢変更によってピン打ち装置60の左右一対のピン押圧シリンダ64が上側空間12Aに上方から進入すると、ピン押圧シリンダ64が連結ピン70を押圧することで、第1中間ブーム16および第2中間ブーム18の上側部分が互いに接続される。更に、左右一対の昇降ウインチ63および昇降ロープ65は、上側空間12Aに配置されたピン押圧シリンダ64が中央空間12S(
図13参照)を通じて下側空間12Bに相対移動することが可能なように、ピン押圧シリンダ64を装置本体フレーム61に対して昇降させる。この結果、左右一対のピン押圧シリンダ64が下側空間12Bに上方から進入すると、ピン押圧シリンダ64が連結ピン70を押圧することで、第1中間ブーム16および第2中間ブーム18の下側部分が互いに接続される。したがって、ピン打ち装置60を第1中間ブーム16(第2中間ブーム18)の外側を経由して移動させる場合と比較して、ピン打ち装置60のピン押圧シリンダ64を速やかかつ精度良く移動させることが可能となる。
【0104】
このように、本変形実施形態では、昇降ウインチ63および昇降ロープ65によって、ピン押圧シリンダ64を容易に昇降させることができる。昇降ウインチ63による昇降ロープ65の巻上げ、繰出しは、手動または遠隔操作によって行われてもよい。なお、左右一対の昇降ウインチ63は、不図示のシリンダ連結部によって互いに連結された左右一対のピン押圧シリンダ64(第1押圧シリンダ、第2押圧シリンダ)を一体で昇降させてもよいし、
図22のように互いに独立して昇降させてもよい。前者の場合は、前記第1押圧シリンダおよび第2押圧シリンダの相対的な位置関係を保ったまま、第1押圧シリンダおよび第2押圧シリンダを上側空間12Aとおよび下側空間12Bとの間で移動させることができるとともに、上側空間12Aおよび下側空間12Bの2つの連結ピン70を同時かつ効率的に押圧、挿入することができる。また、1つの駆動機構によって一対のピン押圧シリンダ64を駆動することができる。一方、後者の場合は、2つの連結ピン70のうちの一方の挿入動作に時間を要する場合には、先に連結ピン70の押圧が完了したピン押圧シリンダ64を速やかに下側空間12Bに移動させ、挿入動作の準備に入ることができる。
【0105】
以上、本発明の実施形態に係るクレーン1のブーム12の組立作業に使用されるピン打ち装置30、40、50、60について説明した。なお、これらのピン打ち装置についてピン打ち装置30を例に付言すれば、本体部31の本体支点部31Sは、前記作業装置20の前記作業アタッチメント24のうち下部走行体21に姿勢変更可能なように支持される可動部材(ブーム25、アーム26)であってその先端部に接続部を有する可動部材の前記接続部から、前記可動部材の前記接続部に着脱可能に接続され所定の作業を行うことが可能なバケット27(作業部材)が脱離された状態で、前記接続部に接続可能とされる。このため、作業装置20の作業アタッチメント24のアーム26(可動部材)に配置されバケット27を装着するための接続部を利用して、ピン打ち装置30を作業アタッチメント24に装着することができる。
【0106】
また、本体部31の第3支点部35Sは、前記作業装置20の前記作業アタッチメント24の前記可動部材の先端部に配置され前記作業部材を水平な回転中心軸(第2回転中心軸)回りに回動させる回動機構(第1支持アーム34、第2支持アーム35)からバケット27が更に脱離された状態で、前記接続部および前記回動機構に前記第2回転中心軸回りに回動可能に接続される。このため、バケット27の回動機構を利用して、ピン打ち装置30を作業アタッチメント24に対して相対的に回動させ、連結ピン70に対する各押圧シリンダの位置を調整することができる。
【0107】
なお、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。本発明は、例えば以下のような変形実施形態を取ることができる。
【0108】
(1)また、上記の実施形態では、作業機械として
図1に示されるクレーン10をもって説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、掘削機、破砕機、ショベルなどその他の作業機械に適用されてもよい。
【0109】
(2)上記の実施形態では、連結ピン70によってブーム12の第1中間ブーム16と第2中間ブーム18とが互いに連結される態様にて説明したが、たとえばブーム12の下部ブーム14(第1構成部材)と第1中間ブーム16(第2構成部材)とが連結ピン70によって連結される態様でもよい。また、作業機械の一部を構成するジブやマストなどその他の構造物を構成する第1構成部材および第2構成部材が連結ピン70によって互いに連結されるものでもよい。また、第1上コネクタ16A、第1下コネクタ16B、第2上コネクタ18Aおよび第2下コネクタ18Bの各板状部分の枚数、形状および配置は、上記の態様に限定されるものではない。
【0110】
(3)また、上記の実施形態では、駆動シリンダ41(
図10)は、シリンダ本体41Aと、第1ロッド41Bと、第2ロッド41Cと、を有する態様にて説明したが、駆動シリンダ41の構造がこれに限定されるものではない。駆動シリンダ41は、単独のシリンダからなるものでもよいし、複数のシリンダからなるものでもよい。後者の場合、駆動シリンダ41は、公知の複数段式のテレスコープ状の構造としたものでもよい。
【0111】
(4)また、上記の実施形態では、
図18のシリンダサブ支持フレーム46が、駆動シリンダ41(伸縮シリンダ)の第2ロッド41Cの先端部に固定されたフレームからなる態様にて説明したが、シリンダサブ支持フレーム46も、駆動シリンダ41と同様の構造をもって
図18の上下方向に伸縮可能なシリンダからなるものでもよい。この場合、回転中心軸L回りに回動する際の回動半径を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0112】
1 クレーン
1S 補助クレーン
10 下部走行体
11 上部旋回体
12 ブーム
12A 上側空間
12B 下側空間
12C 左側空間
12D 右側空間
12S 中央空間
14 下部ブーム
16 第1中間ブーム(第1構成部材)
16A 第1上コネクタ(上側第1連結部)
16B 第1下コネクタ(下側第1連結部
16P 第1板状部
16Q 第1孔部
18 第2中間ブーム(第2構成部材)
18A 第2上コネクタ(上側第2連結部)
18B 第2下コネクタ(下側第2連結部)
18P 第2板状部
18Q 第2孔部
18T ピン受け部
20 作業装置
21 下部走行体
22 上部旋回体
23 キャブ
24 作業アタッチメント
25 ブーム
26 アーム
27 バケット
27S フック
28 吊りロープ
30、40、50、60 ピン打ち装置(連結ピン挿入装置)
31 本体部
31S 本体支点部(被接続部)
32 フレーム本体
32S スイベルユニット
32T モーター
33 旋回フレーム
331 ガイドプレート
332 弾性体
333 カバー
34 第1支持アーム
34S 第1支点部
34T 第2支点部
35 第2支持アーム
35S 第3支点部(被接続部)
36 押圧シリンダ
36A 第1押圧シリンダ
361A 第1シリンダ本体
362A 第1押圧ロッド
36B 第2押圧シリンダ
361B 第2シリンダ本体
362B 第2押圧ロッド
40 ピン打ち装置
41 駆動シリンダ
41A シリンダ本体
41B 第1ロッド
41C 第2ロッド
42 装置本体フレーム
42S 作業装置連結部
43 シリンダ支持フレーム
44 ピン押圧シリンダ
44A 第1押圧シリンダ
44B 第2押圧シリンダ
441 シリンダ本体
442 押圧ロッド
45 回転用モーター
46 シリンダサブ支持フレーム
50 ピン打ち装置
51 装置本体フレーム
52 ピン押圧シリンダ
53 制御ユニット
54 作動油パイプ
60 ピン打ち装置
61 装置本体フレーム
62 ウインチ支持部
63 昇降ウインチ
64 ピン押圧シリンダ
65 昇降ロープ
70 連結ピン
H ブーム内部空間
L 回転中心軸