(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/26 20060101AFI20230328BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20230328BHJP
B65H 3/44 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
B65H1/26 312Z
B65H5/06 P
B65H3/44 Z
(21)【出願番号】P 2019080223
(22)【出願日】2019-04-19
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100161953
【氏名又は名称】松井 敬直
(72)【発明者】
【氏名】山本 清典
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-063340(JP,A)
【文献】特開2010-276905(JP,A)
【文献】特開2017-039564(JP,A)
【文献】特開平06-001471(JP,A)
【文献】特開2010-152243(JP,A)
【文献】特開2002-179282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
B65H 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙搬送路を有する装置本体と、
前記装置本体に引き出し可能に挿入される第1給紙カセットと、
前記装置本体に引き出し可能に挿入され、前記第1給紙カセットから前記用紙搬送路に向かって用紙を搬送する搬送ユニットと、
前記装置本体からの前記搬送ユニットの引き出しを規制するロック位置と、前記装置本体からの前記搬送ユニットの引き出しを許容するロック解除位置と、の間で変位可能なロック部材と、を備え、
前記ロック部材が前記ロック位置にある状態では、前記第1給紙カセットと前記ロック部材が干渉せずに、前記第1給紙カセットの前記装置本体への挿入が許容され、
前記ロック部材が前記ロック解除位置にある状態では、前記第1給紙カセットと前記ロック部材が干渉して、前記第1給紙カセットの前記装置本体への挿入が規制されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記装置本体に引き出し可能に挿入される第2給紙カセットと、
前記第2給紙カセットと干渉せずに前記第2給紙カセットの前記装置本体への挿入を許容する許容位置と、前記第2給紙カセットと干渉して前記第2給紙カセットの前記装置本体への挿入を規制する規制位置と、の間で変位可能なストッパーと、を更に備え、
前記ロック部材が前記ロック位置にある状態では、前記ストッパーが前記許容位置にあり、前記ロック部材が前記ロック解除位置にある状態では、前記ストッパーが前記規制位置にあることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ロック部材は、前記ロック位置と前記ロック解除位置の間で回転可能に設けられ、
前記ストッパーは、前記許容位置と前記規制位置の間で直線的に移動可能に設けられ、
前記ロック部材が前記ロック解除位置から前記ロック位置まで回転すると、前記ロック部材が前記ストッパーを押圧して、前記ストッパーが前記規制位置から前記許容位置まで直線的に移動することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ストッパーを前記規制位置に付勢する付勢部材を更に備え、
前記ロック部材が前記ロック位置から前記ロック解除位置まで回転すると、前記付勢部材の付勢力によって、前記ストッパーが前記許容位置から前記規制位置まで直線的に移動することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ロック部材及び前記ストッパーは、前記搬送ユニットに取り付けられていることを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ロック部材は、
前記装置本体への前記搬送ユニットの挿入方向に沿って延びる軸部と、
前記軸部の前記挿入方向上流側の端部から前記軸部の径方向に延びるレバー部と、
前記軸部の前記挿入方向下流側の端部から前記軸部の径方向に延びる係合部と、を備え、
前記ロック部材が前記ロック位置にある状態では、前記係合部が前記装置本体の側板に係合して、前記装置本体からの前記搬送ユニットの引き出しが規制され、
前記ロック部材が前記ロック解除位置にある状態では、前記係合部と前記装置本体の前記側板の係合が解除されて、前記装置本体からの前記搬送ユニットの引き出しが許容されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1給紙カセットの内面には、リブが突出しており、
前記ロック部材が前記ロック解除位置にある状態では、前記リブと前記レバー部が干渉して、前記第1給紙カセットの前記装置本体への挿入が規制されることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記搬送ユニットは、用紙を水平方向に搬送する水平搬送機構を備えていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置は、用紙搬送路を有する装置本体と、用紙を収容する給紙カセットと、給紙カセットから用紙搬送路に向かって用紙を搬送する搬送ユニットと、を備えている。上記の搬送ユニットは、JAM処理作業(詰まった用紙を取り除く作業)の容易性等を考慮し、画像形成装置の装置本体から引き出し可能に設けられていることがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような画像形成装置において、装置本体に対して搬送ユニットがロックされていない状態(装置本体からの搬送ユニットの引き出しが許容された状態)で用紙搬送動作が実行されると、装置本体に対する搬送ユニットの位置がずれる恐れがある。このように装置本体に対する搬送ユニットの位置がずれると、搬送ユニットによる用紙の搬送位置もずれてしまい、用紙JAM(用紙の詰まり)や用紙スキュー(用紙の斜行)につながる恐れがある。
【0005】
そこで、本発明は、装置本体に対する搬送ユニットの位置ずれを防ぐことで、用紙JAMや用紙スキューを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
画像形成装置は、用紙搬送路を有する装置本体と、前記装置本体に引き出し可能に挿入される第1給紙カセットと、前記装置本体に引き出し可能に挿入され、前記第1給紙カセットから前記用紙搬送路に向かって用紙を搬送する搬送ユニットと、前記装置本体からの前記搬送ユニットの引き出しを規制するロック位置と、前記装置本体からの前記搬送ユニットの引き出しを許容するロック解除位置と、の間で変位可能なロック部材と、を備え、前記ロック部材が前記ロック位置にある状態では、前記第1給紙カセットと前記ロック部材が干渉せずに、前記第1給紙カセットの前記装置本体への挿入が許容され、前記ロック部材が前記ロック解除位置にある状態では、前記第1給紙カセットと前記ロック部材が干渉して、前記第1給紙カセットの前記装置本体への挿入が規制される。
【0007】
前記画像形成装置は、前記装置本体に引き出し可能に挿入される第2給紙カセットと、前記第2給紙カセットと干渉せずに前記第2給紙カセットの前記装置本体への挿入を許容する許容位置と、前記第2給紙カセットと干渉して前記第2給紙カセットの前記装置本体への挿入を規制する規制位置と、の間で変位可能なストッパーと、を更に備え、前記ロック部材が前記ロック位置にある状態では、前記ストッパーが前記許容位置にあり、前記ロック部材が前記ロック解除位置にある状態では、前記ストッパーが前記規制位置にあっても良い。
【0008】
前記ロック部材は、前記ロック位置と前記ロック解除位置の間で回転可能に設けられ、前記ストッパーは、前記許容位置と前記規制位置の間で直線的に移動可能に設けられ、前記ロック部材が前記ロック解除位置から前記ロック位置まで回転すると、前記ロック部材が前記ストッパーを押圧して、前記ストッパーが前記規制位置から前記許容位置まで直線的に移動しても良い。
【0009】
前記画像形成装置は、前記ストッパーを前記規制位置に付勢する付勢部材を更に備え、前記ロック部材が前記ロック位置から前記ロック解除位置まで回転すると、前記付勢部材の付勢力によって、前記ストッパーが前記許容位置から前記規制位置まで直線的に移動しても良い。
【0010】
前記ロック部材及び前記ストッパーは、前記搬送ユニットに取り付けられていても良い。
【0011】
前記ロック部材は、前記装置本体への前記搬送ユニットの挿入方向に沿って延びる軸部と、前記軸部の前記挿入方向上流側の端部から前記軸部の径方向に延びるレバー部と、前記軸部の前記挿入方向下流側の端部から前記軸部の径方向に延びる係合部と、を備え、前記ロック部材が前記ロック位置にある状態では、前記係合部が前記装置本体の側板に係合して、前記装置本体からの前記搬送ユニットの引き出しが規制され、前記ロック部材が前記ロック解除位置にある状態では、前記係合部と前記装置本体の前記側板の係合が解除されて、前記装置本体からの前記搬送ユニットの引き出しが許容されても良い。
【0012】
前記第1給紙カセットの内面には、リブが突出しており、前記ロック部材が前記ロック解除位置にある状態では、前記リブと前記レバー部が干渉して、前記第1給紙カセットの前記装置本体への挿入が規制されても良い。
【0013】
前記搬送ユニットは、用紙を水平方向に搬送する水平搬送機構を備えていても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、装置本体に対する搬送ユニットの位置ずれを防ぐことで、用紙JAMや用紙スキューを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す模式的な正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、第1、第2給紙カセット及び搬送ユニットが装置本体から引き出された状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る第1給紙カセットを示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る第2給紙カセットを示す斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る搬送ユニットとロック部材を示す断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る搬送ユニットとロック部材を示す斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、ロック部材がロック位置にあり、ストッパーが許容位置にある状態を示す正面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、ロック部材がロック解除位置にあり、ストッパーが規制位置にある状態を示す正面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、ロック部材がロック位置にある状態を示す平面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、ロック部材がロック解除位置にある状態を示す平面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、第1給紙カセットの第1リブとロック部材のレバー部が干渉している状態を示す斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、第2給紙カセットの第2リブとストッパーのボス部が干渉している状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1について説明する。以下、説明の便宜上、
図1における紙面手前側を画像形成装置1の前側とする。各図に適宜付される矢印L、R、U、Lo、Fr、Rrは、それぞれ画像形成装置1の左側、右側、上側、下側、前側、後側を示している。
【0017】
まず、画像形成装置1の全体の構成について説明する。
【0018】
図1を参照して、画像形成装置1は、例えば、インクジェット方式のカラープリンターである。画像形成装置1は、箱型の装置本体2を備えている。
【0019】
装置本体2の下端部には、第1給紙カセット3と第2給紙カセット4が左右方向に並んでいる。第1給紙カセット3と第2給紙カセット4は、それぞれ用紙Sを収納している。装置本体2の下部には、第1給紙カセット3と第2給紙カセット4の上方に、搬送ユニット5が設けられている。
【0020】
装置本体2の下部には、搬送ユニット5の上方に、第3給紙カセット6と第4給紙カセット7が上下方向に並んでいる。第3給紙カセット6と第4給紙カセット7は、それぞれ用紙Sを収納している。装置本体2の下部には、第3給紙カセット6と第4給紙カセット7の右方に、それぞれ給紙ユニット8が設けられている。
【0021】
装置本体2の上部には、画像形成部10が設けられている。画像形成部10は、搬送ベルト11と4個の記録ヘッド12を備えている。各記録ヘッド12は、それぞれ、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクを吐出可能に設けられている。装置本体2の上部には、画像形成部10の左方に、排紙ユニット13が設けられている。
【0022】
装置本体2の内部には、用紙搬送路14が設けられている。用紙搬送路14の上流端部は、搬送ユニット5及び各給紙ユニット8に接続されている。用紙搬送路14の中流部は、画像形成部10を通過している。用紙搬送路14の下流端部は、排紙ユニット13に接続されている。
【0023】
次に、画像形成装置1の全体の動作について説明する。
【0024】
まず、搬送ユニット5によって第1給紙カセット3又は第2給紙カセット4から用紙Sが取り出されるか、又は、どちらかの給紙ユニット8によって第3給紙カセット6又は第4給紙カセット7から用紙Sが取り出される。このようにしていずれかの給紙カセット3、4、6、7から取り出された用紙Sは、用紙搬送路14を下流側へと搬送されて画像形成部10に進入し、搬送ベルト11の上面に吸着される。各記録ヘッド12は、搬送ベルト11の上面に吸着された用紙Sに対して、インクを吐出する。これにより、用紙Sに画像が形成される。画像が形成された用紙Sは、用紙搬送路14を更に下流側へと搬送され、排紙ユニット13によって装置本体2の外部に排出される。
【0025】
次に、第1給紙カセット3について説明する。
【0026】
図2~
図4を参照して、第1給紙カセット3は、上方に向かって開放された箱型を成している。第1給紙カセット3の内部には、昇降可能な第1リフト板16が収容されている。第1リフト板16には、用紙S(
図2~
図4では図示せず)が載置されている。
【0027】
第1給紙カセット3の左側壁3aと右側壁(図示せず)の下部には、前後方向に沿って延びる第1係合突起17が設けられている。第1係合突起17は、装置本体2に設けられた第1ガイドレール(図示せず)に係合している。これにより、第1給紙カセット3は、装置本体2に挿入された位置(
図2参照)と装置本体2から引き出された位置(
図3参照)との間で前後方向に沿って移動可能となっている。つまり、第1給紙カセット3は、装置本体2に引き出し可能に挿入されている。
【0028】
第1給紙カセット3の前壁3bの前面(外面)の左上部には、第1取手部18が設けられている。第1給紙カセット3の前壁3bの後面(内面)の上部中央には、第1リブ19が突出している。第1リブ19は、左右方向に延びる上下一対の延出板20と、上下方向に延びて上下一対の延出板20を連結する連結板21と、を備えている。
【0029】
次に、第2給紙カセット4について説明する。
【0030】
図2、
図3、
図5を参照して、第2給紙カセット4は、第1給紙カセット3の左側(左右方向一方側)に、第1給紙カセット3と隣接して設けられている。第2給紙カセット4は、上方に向かって開放された箱型を成している。第2給紙カセット4の内部には、昇降可能な第2リフト板23が収容されている。第2リフト板23には、用紙S(
図2、
図3、
図5では図示せず)が載置されている。
【0031】
第2給紙カセット4の左側壁4aと右側壁(図示せず)の下部には、前後方向に沿って延びる第2係合突起24が設けられている。第2係合突起24は、装置本体2に設けられた第2ガイドレール(図示せず)に係合している。これにより、第2給紙カセット4は、装置本体2に挿入された位置(
図2参照)と装置本体2から引き出された位置(
図3参照)との間で前後方向に沿って移動可能となっている。つまり、第2給紙カセット4は、装置本体2に引き出し可能に挿入されている。
【0032】
第2給紙カセット4の前壁4bの前面(外面)の右上部には、第2取手部25が設けられている。第2給紙カセット4の前壁4bの後面(内面)の右上部には、台座部26が突出している。台座部26の後面(内面)の上部には、第2リブ27が突出している。第2リブ27は、上下方向に延びる左右一対の延出部28と、左右方向に延びて左右一対の延出部28を連結する連結部29と、を備えている。
【0033】
次に、搬送ユニット5について説明する。
【0034】
図3を参照して、搬送ユニット5は、左右方向及び前後方向に長い偏平形状を成している。搬送ユニット5には、前後方向に沿って延びる係合突起(図示せず)が設けられている。係合突起は、装置本体2に設けられたガイドレール(図示せず)に係合している。これにより、搬送ユニット5は、装置本体2に挿入された位置(
図3の二点鎖線参照)と装置本体2から引き出された位置(
図3の実線参照)との間で、前後方向に沿って移動可能となっている。つまり、搬送ユニット5は、装置本体2に引き出し可能に挿入されている。
【0035】
なお、各図に適宜付される矢印Xは、装置本体2への搬送ユニット5の挿入方向(以下、「挿入方向X」と称する)を示している。挿入方向Xは、前後方向に沿って前側から後側に向かう方向であり、上下方向及び左右方向と直交している。挿入方向Xは、装置本体2への第1、第2給紙カセット3、4の挿入方向と一致している。以下、「挿入方向上流側」又は「挿入方向下流側」と記載する場合には、挿入方向Xにおける「上流側」又は「下流側」を示す。
【0036】
図6、
図7を参照して、搬送ユニット5は、前後一対のフレーム31、32と、前後一対のフレーム31、32の間に配置される第1、第2給紙機構33、34及び水平搬送機構35と、を備えている。
【0037】
搬送ユニット5の各フレーム31、32は、左右方向に沿って延びている。前側のフレーム31は、フレームカバー37によって前側(挿入方向上流側)から覆われている。なお、フレームカバー37は、
図8、
図9では表示が省略されている。
図8、
図9を参照して、前側のフレーム31の前面(外面)の左右方向中央部には、フレーム側取付部38が前側に向かって突出している。
【0038】
図6を参照して、搬送ユニット5の第1給紙機構33は、第1給紙カセット3の右上方に設けられている。第1給紙機構33は、ピックアップローラー40と、ピックアップローラー40の右方に配置されるフィードローラー41及びリタードローラー42と、フィードローラー41及びリタードローラー42の右方に配置される上下一対の補助搬送ローラー43と、を備えている。フィードローラー41とリタードローラー42は、互いに接触している。リタードローラー42には、トルクリミッター(図示せず)が収容されている。上下一対の補助搬送ローラー43は、互いに接触している。
【0039】
搬送ユニット5の第2給紙機構34は、第2給紙カセット4の右上方に設けられている。第2給紙機構34の構成は、第1給紙機構33の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0040】
図6、
図7を参照して、搬送ユニット5の水平搬送機構35は、下側搬送ガイド45と、下側搬送ガイド45の上方に配置される上側搬送ガイド46と、を備えている。下側搬送ガイド45と上側搬送ガイド46の間には、水平搬送路47が形成されている。なお、上側搬送ガイド46は、
図3では表示が省略されている。
【0041】
図6を参照して、水平搬送機構35の下側搬送ガイド45は、左右方向に沿って延びている。下側搬送ガイド45には、左右一対の下側搬送ローラー48が設けられている。
【0042】
図6、
図7を参照して、水平搬送機構35の上側搬送ガイド46は、左右方向に沿って延びている。上側搬送ガイド46は、水平搬送路47を開放する開放位置(
図7の二点鎖線参照)と、水平搬送路47を閉止する閉止位置(
図7の実線参照)との間で、下側搬送ガイド45に対して回転可能となっている。上側搬送ガイド46には、左右一対の上側搬送ローラー49が設けられている。各上側搬送ローラー49は、上側搬送ガイド46が閉止位置(
図7の実線参照)にある状態で、下側搬送ガイド45の各下側搬送ローラー48と接触している。
【0043】
図7~
図9を参照して、上記のように構成された搬送ユニット5には、ロック部材51と、ストッパー52と、コイルバネ53(付勢部材の一例)と、が取り付けられている。以下、これらの部材について順番に説明する。
【0044】
まず、ロック部材51について説明する。
【0045】
図7~
図11を参照して、ロック部材51は、搬送ユニット5に対する前後方向の移動が規制されている。そのため、ロック部材51は、搬送ユニット5と一体的に前後方向に移動可能である。
【0046】
ロック部材51は、挿入方向Xに沿って直線状に延びる軸部55と、軸部55の前端部(挿入方向上流側の端部)から軸部55の径方向に延びるレバー部56と、軸部55の前部から軸部55の径方向に延びる押圧部57と、軸部55の後端部(挿入方向下流側の端部)から軸部55の径方向に延びる係合部58と、を備えている。なお、押圧部57は、
図7では表示が省略されている。
【0047】
ロック部材51の軸部55は、搬送ユニット5の前後一対のフレーム31、32に回転可能に取り付けられている。これにより、ロック部材51は、ロック位置(
図8、
図10参照)とロック解除位置(
図9、
図11参照)の間で軸部55を中心に回転可能となっている。
【0048】
ロック部材51のレバー部56は、搬送ユニット5の前側のフレーム31よりも前側(挿入方向上流側)に位置している。レバー部56は、軸部55とは別体に設けられており、軸部55に固定されている。
【0049】
ロック部材51の押圧部57は、搬送ユニット5の前側のフレーム31よりも前側(挿入方向上流側)に位置している。押圧部57は、軸部55とは別体に設けられており、軸部55に固定されている。押圧部57は、レバー部56の後側(挿入方向下流側)に、レバー部56とは間隔をおいて設けられている。押圧部57は、軸部55に対してレバー部56と同じ側に突出している。押圧部57の先端部57a(軸部55から離間する側の端部)は、円弧状に湾曲している。
【0050】
ロック部材51の係合部58は、搬送ユニット5の後側のフレーム32よりも後側(挿入方向下流側)に位置している。係合部58は、軸部55と一体に設けられている。係合部58は、軸部55に対してレバー部56と逆側に突出している。
【0051】
次に、ストッパー52について説明する。
【0052】
図8、
図9を参照して、ストッパー52は、搬送ユニット5の前側のフレーム31よりも前側(挿入方向上流側)に位置している。ストッパー52は、ロック部材51の左側(左右方向一方側)に、ロック部材51と隣接して設けられている。
【0053】
ストッパー52は、左右方向に沿って直線状に延びるプレート部61と、プレート部61の左端部から前側(挿入方向上流側)に延びるボス部62と、を備えている。
【0054】
ストッパー52のプレート部61の右側部と左右方向中央部には、それぞれ長穴64が設けられている。各長穴64は、左右方向に長い形状を成している。各長穴64には、搬送ユニット5の前側のフレーム31に取り付けられた左右一対のビス65が貫通している。即ち、プレート部61は、左右一対のビス65を介して搬送ユニット5の前側のフレーム31に取り付けられている。これにより、ストッパー52は、許容位置(
図8参照)と規制位置(
図9参照)の間で左右方向に沿って直線的に移動可能となっている。プレート部61の左側部には、ストッパー側取付部66が上側に向かって突出している。
【0055】
次に、コイルバネ53について説明する。
【0056】
図8、
図9を参照して、コイルバネ53は、搬送ユニット5の前側のフレーム31よりも前側(挿入方向上流側)に位置している。コイルバネ53は、左右方向に沿って延びている。コイルバネ53の右端部は、搬送ユニット5の前側のフレーム31のフレーム側取付部38に取り付けられている。コイルバネ53の左端部は、ストッパー52のプレート部61のストッパー側取付部66に取り付けられている。このように、コイルバネ53は、搬送ユニット5の前側のフレーム31とストッパー52のプレート部61の間に介装されている。コイルバネ53は、ストッパー52を規制位置(
図9参照)に付勢している。
【0057】
次に、搬送ユニット5によって第1、第2給紙カセット3、4から用紙搬送路14に向かって用紙Sを搬送する動作(以下、「用紙搬送動作」と称する)について説明する。
【0058】
第1給紙カセット3から用紙搬送路14に向かって用紙Sを搬送する場合には、第1給紙機構33のピックアップローラー40によって第1給紙カセット3から用紙Sを取り出す。第1給紙カセット3から取り出された用紙Sは、第1給紙機構33のフィードローラー41、リタードローラー42及び各補助搬送ローラー43によって水平方向と傾斜する方向に搬送され、用紙搬送路14に送り出される。
【0059】
一方で、第2給紙カセット4から用紙搬送路14に向かって用紙Sを搬送する場合には、第2給紙機構34のピックアップローラー40によって第2給紙カセット4から用紙Sを取り出す。第2給紙カセット4から取り出された用紙Sは、第2給紙機構34のフィードローラー41、リタードローラー42及び各補助搬送ローラー43によって水平方向と傾斜する方向に搬送され、水平搬送機構35の水平搬送路47に送り出される。水平搬送機構35の水平搬送路47に送り出された用紙Sは、水平搬送機構35の各下側搬送ローラー48及び各上側搬送ローラー49によって水平方向に搬送され、用紙搬送路14に送り出される。
【0060】
次に、水平搬送機構35の水平搬送路47で詰まった用紙Sを取り除く作業(以下、「JAM処理作業」と称する)について説明する。
【0061】
まず、作業者は、第1、第2給紙カセット3、4を装置本体2から引き出す。次に、作業者は、ロック部材51のレバー部56を操作し、ロック部材51をロック位置(
図8、
図10参照)からロック解除位置(
図9、
図11参照)まで回転させる。これに伴って、ロック部材51の係合部58と装置本体2の側板2a(
図10、
図11参照)の係合が解除されて、装置本体2からの搬送ユニット5の引き出しが許容される。なお、上記のようにロック部材51がロック位置(
図8、
図10参照)からロック解除位置(
図9、
図11参照)まで回転すると、コイルバネ53の付勢力によって、ストッパー52が許容位置(
図8参照)から規制位置(
図9参照)まで直線的に移動する。
【0062】
次に、作業者は、装置本体2から搬送ユニット5を引き出して、水平搬送機構35の上側搬送ガイド46を閉止位置(
図7の実線参照)から開放位置(
図7の二点鎖線参照)まで回転させる。これにより、水平搬送機構35の水平搬送路47が開放される。次に、作業者は、水平搬送機構35の水平搬送路47で詰まった用紙Sを取り除く。
【0063】
次に、作業者は、水平搬送機構35の上側搬送ガイド46を開放位置(
図7の二点鎖線参照)から閉止位置(
図7の実線参照)まで回転させ、装置本体2に搬送ユニット5を挿入する。次に、作業者は、ロック部材51のレバー部56を操作し、ロック部材51をロック解除位置(
図9、
図11参照)からロック位置(
図8、
図10参照)まで回転させる。これに伴って、ロック部材51の係合部58が装置本体2の側板2a(
図10、
図11参照)に係合して、装置本体2からの搬送ユニット5の引き出しが規制される。なお、上記のようにロック部材51がロック解除位置(
図9、
図11参照)からロック位置(
図8、
図10参照)まで回転すると、ロック部材51の押圧部57の先端部57aがストッパー52のプレート部61の右端部を左側に押圧する。これにより、コイルバネ53の付勢力に抗して、ストッパー52が規制位置(
図9参照)から許容位置(
図8参照)まで直線的に移動する。
【0064】
最後に、作業者は、第1、第2給紙カセット3、4を装置本体2に挿入する。これにより、JAM処理作業が完了する。
【0065】
ところで、上記のような画像形成装置1において、ロック部材51がロック解除位置(
図9、
図11参照)にある状態で用紙搬送動作が実行されると、装置本体2に対する搬送ユニット5の位置がずれる恐れがある。このように装置本体2に対する搬送ユニット5の位置がずれると、搬送ユニット5による用紙Sの搬送位置もずれてしまい、用紙JAM(用紙Sの詰まり)や用紙スキュー(用紙Sの斜行)につながる恐れがある。そこで、本実施形態では以下のようにして、ロック部材51がロック解除位置(
図9、
図11参照)にある状態で用紙搬送動作が実行されるのを抑制している。
【0066】
図12に二点鎖線で示されるように、ロック部材51がロック位置にある状態では、第1給紙カセット3の第1リブ19とロック部材51のレバー部56が干渉せずに、第1給紙カセット3の装置本体2への挿入が許容される。そのため、第1給紙カセット3を装置本体2に挿入し、用紙搬送動作を実行することができる。
【0067】
一方で、
図12に実線で示されるように、ロック部材51がロック解除位置にある状態では、第1給紙カセット3の第1リブ19とロック部材51のレバー部56が干渉して、第1給紙カセット3の装置本体2への挿入が規制される。そのため、第1給紙カセット3を装置本体2に挿入することはできず、用紙搬送動作を実行することもできない。
【0068】
以上のように、本実施形態では、ロック部材51がロック解除位置にある状態では、第1給紙カセット3が装置本体2に挿入されるのを規制することで、用紙搬送動作が実行されるのを抑制している。そのため、装置本体2に対する搬送ユニット5の位置ずれを防ぐことができ、上記の位置ずれに伴う用紙JAMや用紙スキューを抑制することができる。
【0069】
また、上記のような構成を採用することで、破損しやすい電気部品(例えば、センサーやスイッチ)を用いることなく、ロック部材51がロック解除位置にある状態で用紙搬送動作が実行されるのを抑制することができる。そのため、部品交換のために必要なコストや労力を削減することができる。
【0070】
また、
図13に二点鎖線で示されるように、ロック部材51がロック位置にある状態では、ストッパー52が許容位置にあるため、第2給紙カセット4の第2リブ27とストッパー52のボス部62が干渉せずに、第2給紙カセット4の装置本体2への挿入が許容される。そのため、第2給紙カセット4を装置本体2に挿入し、用紙搬送動作を実行することができる。
【0071】
一方で、
図13に実線で示されるように、ロック部材51がロック解除位置にある状態では、ストッパー52が規制位置にあるため、第2給紙カセット4の第2リブ27とストッパー52のボス部62が干渉して、第2給紙カセット4の装置本体2への挿入が規制される。そのため、第2給紙カセット4を装置本体2に挿入することはできず、用紙搬送動作を実行することもできない。
【0072】
以上のように、本実施形態では、ロック部材51がロック解除位置にある状態では、第2給紙カセット4が装置本体2に挿入されるのを規制することで、用紙搬送動作が実行されるのを抑制している。そのため、装置本体2に対する搬送ユニット5の位置ずれを一層確実に防ぐことができ、上記の位置ずれに伴う用紙JAMや用紙スキューを一層確実に抑制することができる。
【0073】
また、ロック部材51がロック解除位置からロック位置まで回転すると、ロック部材51がストッパー52を押圧して、ストッパー52が規制位置から許容位置まで直線的に移動している。このような構成を採用することで、簡易な構成を用いて、ストッパー52を規制位置から許容位置まで確実に移動させることができる。
【0074】
また、ロック部材51がロック位置からロック解除位置まで回転すると、コイルバネ53の付勢力によって、ストッパー52が許容位置から規制位置まで直線的に移動している。このような構成を採用することで、ロック部材51がロック位置からロック解除位置まで回転するのに伴って、ストッパー52を許容位置から規制位置まで確実に移動させることができる。そのため、ロック部材51がロック解除位置にある状態で用紙搬送動作が実行されるのを一層確実に抑制することができる。
【0075】
また、ロック部材51及びストッパー52は、搬送ユニット5に取り付けられている。このような構成を採用することで、ロック部材51及びストッパー52を搬送ユニット5と共に装置本体2から引き出すことができるため、ロック部材51及びストッパー52のメンテナンス性を高めることができる。
【0076】
また、ロック部材51がロック位置にある状態では、ロック部材51の係合部58が装置本体2の側板2aに係合して、装置本体2からの搬送ユニット5の引き出しが規制されている。このような構成を採用することで、簡易な構成を用いて、装置本体2からの搬送ユニット5の引き出しを確実に規制することができる。
【0077】
また、ロック部材51がロック解除位置にある状態では、第1給紙カセット3の第1リブ19とロック部材51のレバー部56が干渉して、第1給紙カセット3の装置本体2への挿入が規制されている。このような構成を採用することで、作業者によって操作される部分であるレバー部56を、第1給紙カセット3と干渉する部分として併用することができる。そのため、ロック部材51の構成の複雑化を抑制することができる。
【0078】
また、搬送ユニット5は、用紙Sを水平方向に搬送する水平搬送機構35を備えている。このような構成を採用することで、左右方向に並んだ第1、第2給紙カセット3、4からの給紙を、1つの搬送ユニット5を用いて実現することができる。
【0079】
本実施形態では、ロック部材51は、ロック位置とロック解除位置の間で回転可能に設けられている。一方で、他の異なる実施形態では、ロック部材51は、ロック位置とロック解除位置の間で直線的に移動可能に設けられていても良い。
【0080】
本実施形態では、ストッパー52は、許容位置と規制位置の間で直線的に移動可能に設けられている。一方で、他の異なる実施形態では、ストッパー52は、許容位置と規制位置の間で回転可能に設けられていても良い。
【0081】
本実施形態では、ロック部材51及びストッパー52は、搬送ユニット5に取り付けられている。一方で、他の異なる実施形態では、ロック部材51及びストッパー52は、装置本体2や第1、第2給紙カセット3、4に取り付けられていても良い。
【0082】
本実施形態では、搬送ユニット5が第1、第2給紙機構33、34と水平搬送機構35を備えている。一方で、他の異なる実施形態では、搬送ユニット5が1個又は複数個の給紙機構のみを備えていても良い。
【0083】
本実施形態では、画像形成装置1が複数個の給紙カセット3、4、6、7を備えている。一方で、他の異なる実施形態では、画像形成装置1が給紙カセットを1個だけ備えていても良い。
【0084】
本実施形態では、画像形成装置1がカラープリンターである。一方で、他の異なる実施形態では、画像形成装置1がモノクロプリンター、コピー機、ファクシミリ、複合機(プリント機能、コピー機能及びファックス機能等を複合的に備えた機器)等であっても良い。
【0085】
本実施形態では、画像形成装置1がインクジェット方式を採用している。一方で、他の異なる実施形態では、画像形成装置1が電子写真方式を採用していても良い。
【符号の説明】
【0086】
1 画像形成装置
2 装置本体
3 第1給紙カセット
4 第2給紙カセット
5 搬送ユニット
14 用紙搬送路
19 第1リブ
35 水平搬送機構
51 ロック部材
52 ストッパー
53 コイルバネ(付勢部材の一例)
55 軸部
56 レバー部
58 係合部