(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】制御プログラム、制御方法および制御装置
(51)【国際特許分類】
G06F 30/10 20200101AFI20230328BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
G06F30/10
G06T1/00 200E
(21)【出願番号】P 2019105051
(22)【出願日】2019-06-05
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 肇
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 幸治
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-259468(JP,A)
【文献】特開2018-200657(JP,A)
【文献】特開2006-039665(JP,A)
【文献】特開2006-072571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00-30/398
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある工程までに組み立てられる第一の部品群を含むアセンブリのベース画像を表示し、
前記アセンブリの前記ベース画像の表示に対して、ユーザから、オブジェクトの追加を受け付け、
前記ある工程に対する前記ベース画像と前記オブジェクトとを含む工程画像を、他の工程に対してコピーする命令を受け付けた場合に、
前記他の工程までに組み立てられる第二の部品群と、前記第一の部品群との差分を抽出し、
前記差分に基づき、前記第一の部品群および前記第二の部品群を含む複数の部品について、描画対象および非対象を決定し、
前記描画対象および前記非対象の情報と前記オブジェクトとを含む工程画像情報を、前記他の工程に紐づけて記録する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項2】
前記他の工程に対する前記工程画像情報に基づき、前記工程画像を表示する場合に、
前記第二の部品群に前記描画対象を追加し、前記第二の部品群から前記非対象を削除することで、第三の部品群を生成し、前記他の工程に紐付けられた前記オブジェクトと、前記第三の部品群とを基にして、前記工程画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の制御プログラム。
【請求項3】
前記他の工程に対する前記工程画像情報に基づき、前記工程画像を表示する処理は、前記第三の部品群の画像に、前記オブジェクトの画像を重畳することで、前記工程画像を生成し、生成した前記工程画像を表示することを特徴とする請求項2に記載の制御プログラム。
【請求項4】
最初の工程から前記ある工程までにそれぞれ対応付けられた部品群を基にして、前記第一の部品群を特定し、前記最初の工程から前記他の工程までにそれぞれ対応付けられた部品群を基にして、前記第二の部品群を特定する処理を更に実行することを特徴とする請求項1、2または3に記載の制御プログラム。
【請求項5】
ある工程までに組み立てられる第一の部品群を含むアセンブリのベース画像を表示し、
前記アセンブリの前記ベース画像の表示に対して、ユーザから、オブジェクトの追加を受け付け、
前記ある工程に対する前記ベース画像と前記オブジェクトとを含む工程画像を、他の工程に対してコピーする命令を受け付けた場合に、
前記他の工程までに組み立てられる第二の部品群と、前記第一の部品群との差分を抽出し、
前記差分に基づき、前記第一の部品群および前記第二の部品群を含む複数の部品について、描画対象および非対象を決定し、
前記描画対象および前記非対象の情報と前記オブジェクトとを含む工程画像情報を、前記他の工程に紐づけて記録する
処理をコンピュータが実行することを特徴とする制御方法。
【請求項6】
ある工程までに組み立てられる第一の部品群を含むアセンブリのベース画像を表示する表示制御部と、
前記アセンブリの前記ベース画像の表示に対して、ユーザから、オブジェクトの追加を受け付ける受付部と、
前記ある工程に対する前記ベース画像と前記オブジェクトとを含む工程画像を、他の工程に対してコピーする命令を受け付けた場合に、前記他の工程までに組み立てられる第二の部品群と、前記第一の部品群との差分を抽出し、前記差分に基づき、前記第一の部品群および前記第二の部品群を含む複数の部品について、描画対象および非対象を決定する決定部と、
前記描画対象および前記非対象の情報と前記オブジェクトとを含む工程画像情報を、前記他の工程に紐づけて記録する記録制御部と
を有することを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御プログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の画像を描画する描画ソフトウェアはコピー機能を有している。このコピー機能によって、あるシートに描画された画像に含まれる複数のオブジェクトをコピーし、コピーした複数のオブジェクトを他のシートに貼り付けることができる。この場合には、あるシートから、コピーしたときと同じ状態の画像が、他のシートに複製される。
【0003】
また、デジタルモックアップ(DMU:Digital Mock Up)ツールのように、設計部門が設計した製品の情報を使って、製品の外観や構造などを3次元モデルとして作成し、画面上に映し出すツールがある。このDMUツールを使用することで、製品の製造現場で検証を行ったり、実際の製造および組立の工程を構築したりすることができる。
【0004】
DMUツールでは、複数の工程を経て組みあがった状態のアセンブリに、図形やコメント等のオブジェクトを描画する機能がある。以下の説明では、最初の工程からある工程までの複数の工程で組みあがった状態のアセンブリに、図形やコメント等のオブジェクトを描画した画像を、ある工程の「工程画像」と表記する。
【0005】
図18は、工程画像の一例を示す図である。
図18に示す工程画像5には、部品p1とp2とを組み付けたアセンブリを描画した画像と、オブジェクト0b1~4の画像とが表示されている。
【0006】
ここで、DMUツールが、ある工程10において、工程画像の保存を行う例について説明する。たとえば、最初の工程1から工程10までに、部品p1、p2が組み付けられるものとする。DMUツールは、ユーザによって、工程10が指定されると、部品p1、p2が組み付けられた状態のアセンブリを描画したベース画像を表示する。
【0007】
ユーザは、描画された、ある工程10までに組み付けられる複数部品を含むアセンブリのベース画像に対して、オブジェクトを追加して保存操作を行う。保存操作を受け付けたDMUツールは、ベース画像と、オブジェクトの画像とを重畳した工程画像を、工程10と対応付けて保存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2006-277561号公報
【文献】国際公開第2004/034282号
【文献】特開2017-215796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来技術では、ある工程に対応付けて保存した工程画像の情報を、他の工程に対してコピーすることができないという問題がある。
【0010】
1つの側面では、本発明は、ある工程に対応付けて保存した工程画像の情報を、他の工程に対してコピーすることを可能とするための制御プログラム、制御方法および制御制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の案では、コンピュータに次の処理を実行させる。コンピュータは、ある工程までに組み立てられる第一の部品群を含むアセンブリのベース画像を表示し、アセンブリのベース画像の表示に対して、ユーザから、オブジェクトの追加を受け付ける。コンピュータは、ある工程に対するベース画像とオブジェクトとを含む工程画像を、他の工程に対してコピーする命令を受け付けた場合に、次の処理を行う。コンピュータは、他の工程までに組み立てられる第二の部品群と、第一の部品群との差分を抽出し、差分に基づき、第一の部品群および第二の部品群を含む複数の部品について、描画対象および非対象を決定する。コンピュータは、描画対象および非対象の情報とオブジェクトとを含む工程画像情報を、他の工程に紐づけて記録する。
【発明の効果】
【0012】
ある工程に対応付けて保存した工程画像の情報を、他の工程に対してコピーさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、各工程で描画されるベース画像の一例について説明する図である。
【
図2】
図2は、本実施例に係る表示制御装置の処理を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本実施例に係るシステムの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施例に係る表示制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、部品とアセンブリとを説明するための図である。
【
図6】
図6は、部品データのデータ構造の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、アセンブリデータのデータ構造の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、構成モデル情報のデータ構造の一例を示す図(1)である。
【
図9】
図9は、構成モデル情報のデータ構造の一例を示す図(2)である。
【
図10】
図10は、作業フローデータのデータ構造の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、ある工程に対応付けられる工程画像情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本実施例に係る表示制御装置が工程画像を生成して保存する処理を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、本実施例に係る表示制御装置が工程画像をコピーする処理を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、本実施例に係る表示制御装置が工程画像を表示する処理を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、表示制御装置のその他の処理を説明するための図である。
【
図17】
図17は、表示制御装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本願の開示する制御プログラム、制御方法および制御装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0015】
本発明の実施例の説明を行う前に、従来技術の課題について詳細に説明する。従来のDMUツールでは、工程画像の保存指示を受け付けた時点のアセンブリおよびオブジェクトの状態を「画像」として保存しているわけではなかった。DMUツールは、上述のベース画像については、工程画像の保存後に表示指示を受け付けるたびに、ある工程までに組み付けられる部品情報を参照して、ある工程のアセンブリに対応するベース画像を、その都度描画する。そして、ベース画像に対して、保存されたオブジェクトを重畳表示する。なお、このような手法でベース画像を、その都度描画する理由は、次の通りである。仮に、アセンブリに対応するベース画像も含む工程画像として保存してしまうと、ある工程で組み付けられる各部品のうち、部品p1の色が変わったり、形が変わったりした場合に、保存されている工程画像におけるベース画像に、部品p1の変更が反映されなくなるためである。
【0016】
このため、DMUツールでは、ある工程で保存した工程画像を再現する場合には、先頭の工程からある工程までに組み付けられる各部品の形状等のデータを使って、ベース画像の描画を行う。また、工程画像として保存されるオブジェクトの情報は、オブジェクトの形状や位置を示すものであり、オブジェクトの形状と位置とを基にして、オブジェクトの画像を描画する。DMUツールは、ベース画像と、オブジェクトの画像とを重畳して、工程画像を再現し、表示する。
【0017】
図1は、各工程で描画されるベース画像の一例について説明する図である。工程S1では、部品p1を含むベース画像G01が描画される。工程S2では、部品p1にp2を組み付けたベース画像G02が描画される。工程S3では、部品p1~p3を組み付けたベース画像03が描画される。工程S4では、部品p1~p4を組み付けたベース画像G04が描画される。工程S5では、部品p1~p5を組み付けたベース画像G05が描画される。工程S6では、部品p1~p6を組み付けたベース画像G06が描画される。
【0018】
工程S7では、部品p1~p7を組み付けたベース画像G07が描画される。工程S8、S9では、部品p1~p7を組み付けたベース画像G08、G09が描画される。工程S10では、部品p1~p10を組み付けたベース画像G10が描画される。工程S11では、部品p1~p11を組み付けたベース画像G11が描画される。なお、画像G07~G11では、部品p1~p6の指示を省略する。
【0019】
たとえば、工程S10は、部品p1~p11のうち、工程S9までに組み付けられた部品p1~p9に対して、部品p10を組み付ける工程を示すものである。このため、DMUツールは、工程S10に保存された工程画像を再現する場合には、部品p1~p11のうち、部品p1~p10の形状等のデータを使って、ベース画像G10の描画を行い、ベース画像G10と、オブジェクトの画像とを重畳する。
【0020】
一方で、ある工程で作成および保存した工程画像をコピーして、他の工程に貼り付けたいような場合があることに気がついた。たとえば、工程S10で保存した工程画像をコピーして、工程S2に貼り付け、工程S2において、コピーした工程画像を再現しようとする場合である。
【0021】
しかし、従来手法では、ある工程S2に工程画像を保存する場合には、ある工程S2に紐づけて保存される情報は、オブジェクトを再現するための情報のみであった。なぜなら、他の工程で作成された工程画像をコピーするということを想定していない限りは、その都度、どの工程で生成された工程画像かという識別はする必要がなかった。よって、工程画像は当然保存されている工程S2をベースにしたものであるという認識のもと、構成情報から工程S2までに組み立てられるアセンブリのベース画像を生成し、その上に保存されたオブジェクトを重畳することで工程画像が再現できるためである。
【0022】
この従来手法を採用し、仮に、他の工程(工程S10)で作成した工程画像を、他の工程(工程S2)へコピー保存した場合、どのようになるかを説明する。工程S2に保存された工程画像の表示指示を受け付けた場合に、工程S2は、そもそも、工程S10からコピーされた工程画像であることを認識するすべはない。よって、自身の工程(工程S2)の構成情報を用いてベース画像が生成される。つまり、工程S2までに組み立てられる部品の構成情報が参照されるため、工程S2で描画されるベース画像は、部品p1,p2を組み付けたアセンブリのベース画像G02となる。そして、工程S2相当のアセンブリに対応するベース画像に、保存されているオブジェクトが重畳表示された工程画像が生成される。この工程画像は、工程S10で工程画像を作成した際に生成されたオブジェクトが工程S2相当のベース画像に重畳された画像である。
【0023】
つまり、従来手法を採用した場合には、工程S10で生成された工程画像におけるベース画像(部品p1~p10を組み付けたアセンブリのベース画像G10)と異なるベース画像を含む工程画像が再現される。
【0024】
以上の通り、従来手法を単純に採用しても、コピー先の工程(工程S2)では、コピー元(工程S10)相当のベース画像を再現することができない。そして、ユーザは、工程S10で作成した時点の工程画像を工程S2にコピーして、工程S2において、再現することができない。
【0025】
次に、本実施例に係る表示制御装置の処理について説明する。制御装置は、「表示制御装置」の一例である。
図2は、本実施例に係る表示制御装置の処理を説明するための図である。
図2に示す例では、第1工程で描画対象となるアセンブリを部品p1、p2、p3を組み立てたものとする。第2工程で描画対象となるアセンブリを部品p2、p3、p4、p5を組み立てたものとする。
【0026】
表示制御装置は、第1工程において、工程画像の作成指示を受け付けると、部品p1~p3を組み付けたアセンブリを描画したベース画像を生成する。表示制御装置は、ベース画像を表示し、ユーザは、ベース画像を参照しつつ、オブジェクト情報を表示制御装置に入力する。オブジェクト情報は、部品に関するユーザのコメント、図形の形状や、図形を配置する位置等の情報を含む。表示制御部は、受け付けたオブジェクト情報を、第1工程の工程画像の情報として記録する。表示制御装置は、オブジェクト情報を基にして、オブジェクトの画像を描画し、オブジェクトの画像と、ベース画像とを重畳することで、第1工程の工程画像G20を生成し、表示する。工程画像G20には、部品p1~p3を組み付けたアセンブリの画像と、オブジェクトOb10の画像が含まれる。
【0027】
表示制御装置は、第1工程の工程画像を、第2工程にコピーする指示を受け付けると、第1工程のオブジェクト情報を、そのまま、第2工程の工程画像の情報として記録する。また、表示制御装置は、第1工程の部品p1、p2、p3と、第2工程の部品p2、p3、p4、p5とを比較して、差分表示部品と、差分非表示部品とを特定する。
【0028】
差分表示部品は、第1工程の部品に存在し、第2工程の部品に存在しないものであり、たとえば、「差分表示部品:p1」となる。差分非表示部品は、第1工程の部品に存在せず、第2工程の部品に存在するものであり、たとえば、「差分非表示部品:p4、p5」となる。表示制御装置は、差分表示部品および差分非表示部品の情報を、第2工程の工程画像の情報として記録する。
【0029】
表示制御装置は、第2工程の「コピーした工程画像」に関する表示指示を受け付けると、第2工程の部品p2~p5に、差分表示部品「p1」を追加し、差分非表示部品「p4、p5」を削除した部品「p1~p3」を特定する。表示制御装置は、部品p1~p3を組み付けたアセンブリを描画したベース画像を生成する。また、コピーされたオブジェクト情報を基にして、オブジェクトの画像を描画する。表示制御装置は、オブジェクトの画像と、ベース画像とを重畳することで、第2工程の工程画像G21を生成し、表示する。
【0030】
工程画像G20および工程画像G21では、同一の部品p1~p3、オブジェクトOb10が表示されている。このため、本実施例にかかる表示制御装置によれば、第1工程で作成した時点の工程画像を、第2工程にコピーして、第2工程において、第1工程で作成した時点の工程画像を再現することができる。
【0031】
次に、本実施例に係るシステムの構成について説明する。
図3は、本実施例に係るシステムの一例を示す図である。
図3に示すように、このシステムは、CAD装置50aと、管理者端末50bと、表示制御装置100とを有する。CAD装置50aは、CAD(Computer Aided Design)データを作成するための装置である。製品の設計者は、CAD装置50aを操作して、CADデータを生成する。CAD装置50aで作成されたCADデータは、管理者端末50bに送信される。
【0032】
管理者端末50bは、生産準備部門の管理者等が利用する端末装置である。管理者は、管理者端末50bを操作して、CAD装置50aから送信されるCADデータを参照し、作業フローデータを生成する。作業フローデータは、製品を組み立てる工程と、描画対象の部品群とをそれぞれ対応付ける情報である。管理者端末50bで生成された作業フローデータは、表示制御装置100に送信される。管理者端末50bは、CADデータを、表示制御装置100に送信してもよい。
【0033】
表示制御装置100は、作業フローデータを表示し、
図2で説明した処理によって、工程画像の保存、コピー、表示を行う装置である。
図4は、本実施例に係る表示制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、この表示制御装置100は、通信部110と、入力部120と、表示部130と、記憶部140と、制御部150とを有する。表示制御装置100は、制御装置の一例である。
【0034】
通信部110は、ネットワークを介して管理者端末50b等とデータ通信を実行する処理部である。通信部110は、通信装置の一例である。後述する制御部150は、通信部110を介して、管理者端末50b等とデータをやり取りする。
【0035】
たとえば、通信部110は、管理者端末50bから、CADデータ140aおよび作業フローデータ140dを受信した場合には、受信したCADデータ140a、作業フローデータ140dを、制御部150に出力する。
【0036】
入力部120は、各種の情報を表示制御装置100に入力するための入力装置である。入力部120は、キーボードやマウス、タッチパネル等に対応する。たとえば、ユーザは、入力部120を操作して、工程画像の保存、コピー、表示に関する各種の指示を行う。
【0037】
表示部130は、制御部150から出力される情報を表示する表示装置である。表示部130は、液晶ディスプレイやタッチパネル等に対応する。たとえば、表示部130は、作業フローデータや、工程画像を表示する。
【0038】
記憶部140は、CADデータ140a、部品データ140b、アセンブリデータ140c、作業フローデータ140dを有する。記憶部140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子や、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置に対応する。
【0039】
CADデータ140aは、CAD装置50aにより作成されたデータであり、3次元CADによる設計データである。CADデータ140aには、部品やアセンブリに関する各種の情報が含まれている。たとえば、CADデータ140aから、部品データ140b、アセンブリデータ140cが抽出される。
【0040】
ここで、「部品」と「アセンブリ」について説明する。製品は、部品およびアセンブリから構成される。アセンブリは、複数の部品で構成され、ある1つの機能を実現するための単位である。通常、製品を組み立てる場合には、アセンブリを構成する部品1つ1つも、1部品として数える。
【0041】
図5は、部品とアセンブリとを説明するための図である。
図5に示す部品20は、ある製品(たとえば、マウス)に含まれる1部品である。また、部品20は、部品20a~20hから構成されるアセンブリである。
【0042】
部品データ140bは、製品に含まれる各部品に関する情報を保持する。
図6は、部品データのデータ構造の一例を示す図である。
図6に示すように、部品データ140bは、部品IDと、部品名称と、部品の原点座標と、部品のローカル座標系と、形状情報とを対応付ける。
【0043】
部品IDは、部品を一意に識別する情報である。部品名称は、部品の名称を示すものである。部品の原点座標は、3次元CAD空間の座標において、部品に関する位置情報の原点として用いる座標を示す情報である。部品の原点座標は、部品ごとに異なってもよく、各部品で共通の原点を用いてもよい。
【0044】
部品のローカル座標系は、部品ごとに、部品の原点座標を基準として、3次元CAD空間での部品の位置を規定するために用いる座標系を示す情報である。部品のローカル座標系は、部品ごとに異なってもよく、各部品で共通の座標系を用いてもよい。形状情報は、部品ごとに、部品の原点座標を基準とした部品のローカル座標系で部品の形状を示した情報である。
【0045】
アセンブリデータ140cは、製品に含まれる各アセンブリに関する情報を保持する。
図7は、アセンブリデータのデータ構造の一例を示す図である。
図7に示すように、アセンブリデータ140cは、アセンブリIDと、アセンブリ名と、登録部品数と、構成モデル情報とを対応付ける。
【0046】
アセンブリIDは、アセンブリを一意に識別する情報である。アセンブリ名は、アセンブリの名称を示すものである。登録部品数は、アセンブリに含まれる部品の数を示す。構成モデル情報は、アセンブリの配下の子部品に関する情報を示す。アセンブリの配下の部品がアセンブリである場合には、構成モデル情報には、配下のアセンブリに関する情報が含まれる。
【0047】
図8および
図9は、構成モデル情報のデータ構造の一例を示す図である。
図8および
図9に示すように、構成モデル情報は、子要素ID、部品/アセンブリ名、親アセンブリ情報、配置情報を対応付ける。構成モデル情報には、配下の子部品の情報または配下のアセンブリの情報が格納される。
【0048】
子要素IDは、親部品の配下の子部品(またはアセンブリ)を一意に識別する情報である。部品/アセンブリ名は、親部品の配下の子部品(またはアセンブリ)の名称を示す。親アセンブリ情報は、親部品を一意に識別する情報である。
【0049】
配置情報は、原点座標とローカル座標系とを示している。原点座標は、座標により表現される情報であり、子要素IDにより識別される構成要素の原点が親アセンブリのどの位置に配置されているかを示す。ローカル座標系は、X軸ベクトルとY軸ベクトルとZ軸ベクトルとで表現される情報であり、子要素IDにより識別される構成要素の傾きを示している。
【0050】
図8に示す構成モデル情報では、親アセンブリ情報(アセンブリID)「A001」の親部品の配下に、子要素ID(アセンブリID)「A002」のアセンブリ「スイッチPCB ASY」が含まれることが示される。
【0051】
図9に示す構成モデル情報では、親アセンブリ情報(アセンブリID)「A002」の親部品の配下に、子要素ID(部品ID)「Z002-1」のアセンブリ「SW PT板」が含まれることが示される。
【0052】
作業フローデータ140dは、製品の部品を組み立てる手順を示す情報である。
図10は、作業フローデータのデータ構造の一例を示す図である。
図10に示すように、作業フローデータ140dは、工程と、IDと、工程画像情報とを対応付ける。
【0053】
工程は、作業の工程を示すものである。IDは、該当する工程において、組立で取り扱う部品またはアセンブリを一意に識別する情報である。IDで識別される部品(アセンブリ)は、
図2で示した部品に対応するものである。以下の説明では、IDによって識別される部品またはアセンブリを単に「部品」と表記する。また、「IDによって識別される複数の部品」を組み合わせたものを、適宜、「アセンブリ」と表記する。工程画像情報は、工程に対応付けられる工程画像の情報である。
【0054】
なお、
図10の説明では省略するが、工程において、除去対象となるIDを、作業フローデータ140dで定義してもよい。たとえば、工程S2において、除去対象となるIDとして「Z001」が設定されている場合には、工程S3で表示されるアセンブリのベース画像には、ID「Z001、A001、Z003」の部品から、「Z001」の部品を除いたベース画像となる。
【0055】
図11は、ある工程に対応付けられる工程画像情報のデータ構造の一例を示す図である。
図11に示すように、この工程画像情報は、ローカルIDと、オブジェクト情報と、差分表示部品IDと、差分非表示部品IDとを有する。ローカルIDは、同一の工程に対応付けられた複数の工程画像をそれぞれ識別する情報である。オブジェクト情報は、ローカルIDに対応する工程画像を保存する際に、ユーザに指定されたオブジェクト情報である。
【0056】
差分表示部品は、コピー元の工程の工程画像に存在し、コピー先の工程の工程画像に存在しないIDを示す。差分非表示部品は、コピー元の工程の工程画像に存在せず、コピー先の工程の工程画像に存在するIDを示す。たとえば、
図10において、工程S3の工程画像に存在するIDは、各工程S1、S2、S3のIDを合わせた「Z001、A001、Z003」となる。
【0057】
図4の説明に戻る。制御部150は、取得部150a、表示制御部150b、受付部150c、決定部150d、記録制御部150eを有する。制御部150は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などによって実現できる。また、制御部150は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードワイヤードロジックによっても実現できる。
【0058】
取得部150aは、ネットワークを介して、管理者端末50bから、CADデータ140a、作業フローデータ140dを取得する処理部である。取得部150aは、CADデータ140a、作業フローデータ140dを、記憶部140に格納する。
【0059】
また、取得部150aは、CADデータ140aをデータ変換することにより、部品データ140bおよびアセンブリデータ140cを生成する。取得部150aは、生成した部品データ140bおよびアセンブリデータ140cを、記憶部140に格納する。なお、取得部150aは、変換済みの部品データ140bおよびアセンブリデータ140cを、管理者端末50b等から取得し、記憶部140に格納してもよい。
【0060】
表示制御部150bは、作業フローデータ140dを基にして、作業フロー画面の情報を生成し、表示部130に出力して、作業フロー画面を表示させる。
図12は、作業フロー画面の一例を示す図である。
図12に示すように、作業フロー画面30は、工程と、IDと、工程画像アイコンとを対応付けて表示する。
【0061】
工程は、製品を組み立てる工程を示すものである。IDは、部品(アセンブリ)を一意に識別する情報である。工程画像アイコンは、工程画像を生成した場合に表示するアイコンである。表示制御部150bは、工程に対応付けて、一つの工程画像につき、一つのアイコンを表示する。
図12に示す例では、工程S3に対応するアイコン30aが表示されているため、工程S3について、一つの工程画像が生成されていることを示す。工程画像アイコンは、それぞれ、工程画像情報に含まれるローカルIDと対応付けられているものとする。
図12では、一つのアイコン30aを示すが、工程画像を生成する度に、新たなアイコンが表示される。
【0062】
ユーザは、工程画像を作成する場合に、作業フロー画面30を参照し、入力部120を操作して、一つの工程を指定する。表示制御部150bは、工程の指定を受け付けると、最初の工程(たとえば工程S1)から、指定された工程までに紐付けられた部品をそれぞれ特定する。表示制御部150bは、各部品に対応する形状情報および配置情報等を、部品データ140bおよびアセンブリデータ140cから取得し、各部品を組み付けたアセンブリのベース画像を生成する。表示制御部150bは、生成したベース画像の情報を、表示部130に出力して表示させる。表示制御部150bは、作業フロー画面30でユーザに指定された工程の情報を、受付部150cに出力する。
【0063】
以下の説明において、最初の工程から、ユーザに指定された工程に含まれる各工程について、各工程に対応する部品を組み合わせたものを「構成部品」と表記する。たとえば、
図10において、工程S3の構成部品は、「Z001、A001、A003」の各部品(アセンブリ)を組み付けた部品を示す。
【0064】
受付部150cは、オブジェクト情報を受け付ける処理部である。ユーザは、表示部130に表示されるベース画像を参照しつつ、入力部120を操作して、オブジェクト情報を入力する。オブジェクト情報は、コメント、図形の形状や、図形を配置する位置等の情報が含まれる。
【0065】
受付部150cは、オブジェクト情報を受け付けると、作業フローデータ140dにアクセスし、ユーザに指定された工程に対応する工程画像情報に、オブジェクト情報を登録する。受付部150cは、オブジェクト情報を登録する場合、ユニークなローカルIDを生成し、ローカルIDと対応付けて、オブジェクト情報を登録する。たとえば、ユーザによって、工程S3が指定されている場合、受付部150cは、作業フローデータ140dの工程S3に対応する工程画像情報に、ローカルIDと対応付けて、オブジェクト情報を登録する。
【0066】
表示制御部150bは、指定された工程について、オブジェクト情報が登録されると、オブジェクト情報を基にして、オブジェクト画像を生成する。表示制御部150bは、指定された工程の構成部品のベース画像と、オブジェクト画像とを重畳して、工程画像を生成し、生成した工程画像を表示部130に表示させる。表示制御部150bは、工程画像を生成した場合には、工程画像に対応するアイコンを、作業フロー画面30に表示させる。表示制御部150bは、表示したアイコンと、ローカルIDとを対応付ける。
【0067】
決定部150dは、コピー元の工程画像と、コピー先の工程との指定を受け付けた場合に、コピー元の工程に対応する構成部品と、コピー先の工程に対応する構成部品とを基にして、差分表示部品IDと、差分非表示部品IDとを決定する処理部である。たとえば、ユーザは、入力部120を操作して、コピー元の工程画像と、コピー先の工程とを指定する。
【0068】
一例として、ユーザは、入力部120を操作して、
図12に示したアイコン30aをコピー元として指定することで、コピー元の工程「S3」、工程画像のローカルID(アイコン30aに対応付けられたローカルID)を指定する。以下の説明では、コピー元の工程画像のローカルIDを「第1ローカルID」と表記する。また、ユーザは、入力部120を操作して、アイコン30aを、所望するコピー先の工程に対応する「工程画像アイコンのセル」にドラックすることで、コピー先の工程を指定してもよい。
【0069】
決定部150dは、コピー元の工程を基にして、最初の工程(S1)から、コピー元の工程までの各工程に対応付けられるIDを、コピー元の工程の構成部品に対応する部品のIDとして特定する。コピー元の工程の構成部品を「第1構成部品」と表記する。
【0070】
決定部150dは、コピー先の工程を基にして、最初の工程(S1)から、コピー先の工程までの各工程に対応付けられるIDを、コピー先の工程の構成部品に対応する部品のIDとして特定する。コピー先の工程の構成部品を「第2構成部品」と表記する。
【0071】
決定部150dは、第1構成部品に対応する各IDと、第2構成部品に対応する各IDとを比較して、差分表示部品IDと、差分非表示部品IDとを特定する。決定部150dは、第1構成部品に存在し、第2構成部品に存在しないIDを、差分表示部品IDとして特定する。決定部150dは、第1構成部品に存在せず、第2構成部品に存在するIDを、差分非表示部品IDとして特定する。
【0072】
決定部150dは、コピー元の工程、第1ローカルID、コピー先の工程、差分表示部品ID、差分非表示部品IDの情報を、記録制御部150eに出力する。
【0073】
記録制御部150eは、作業フローデータ140dにおいて、コピー先の工程に対応する工程画像情報を記録する処理部である。記録制御部150eは、コピー先の工程において、ユニークなローカルIDを生成する。以下の説明では、コピー先の工程のローカルIDを「第2ローカルID」と表記する。
【0074】
記録制御部150eは、第2ローカルIDに対応付けて、第1ローカルIDに対応するオブジェクト情報を記録する。また、記録制御部150eは、第2ローカルIDに対応付けて、差分表示部品ID、差分非表示部品IDを登録する。記録制御部150eは、上記処理を行うことで、作業フローデータ140dにおいて、コピー先の工程に対応する工程画像情報を記録した場合には、第2ローカルIDに対応するアイコンを、作業フロー画面30のコピー先の工程に対応する工程画像アイコンに表示する。
【0075】
ここで、ユーザは、
図12に示した作業フロー画面30の工程画像アイコンのセルに表示されるアイコンを選択することで、工程画像の表示指示を、表示制御装置100に対して実行する。
【0076】
ユーザに指定された工程画像を表示する処理は、たとえば、上記の表示制御部150bが実行する。表示制御部150bは、表示対象となる工程の指定と、工程に対応する工程画像のローカルIDの指定を受け付ける。表示制御装置100は、ユーザにより選択されるアイコンに基づき、ローカルIDを判定する。表示制御部150bは、最初の工程(S1)から、指定された工程までに紐付けられる部品(アセンブリ)を合わせた構成部品を特定する。
【0077】
表示制御部150bは、作業フローデータ140dを参照して、指定されたローカルIDの差分表示部品IDと、差分非表示部品IDとを特定する。表示制御部150bは、指定された工程の構成部品のIDに、差分表示部品IDを追加し、差分非表示部品IDを削除することで、構成部品のIDを更新する。
【0078】
表示制御部150bは、更新した構成部品のIDに対応する部品(アセンブリ)の形状情報および配置情報等を、部品データ140bおよびアセンブリデータ140cから取得し、各部品を組み付けたアセンブリのベース画像を生成する。また、表示制御部150bは、指定されたローカルIDのオブジェクト情報を基にして、オブジェクト画像を描画する。表示制御部150bは、ベース画像と、オブジェクト画像とを重畳して、工程画像を生成し、表示部130に出力して表示させる。
【0079】
なお、表示制御部150bは、差分表示部品IDおよび差分非表示部品IDにIDが登録されていない場合には、構成部品のIDを更新する処理をスキップする。
【0080】
次に、本実施例に係る表示制御装置100の処理手順の一例について説明する。
図13は、本実施例に係る表示制御装置が工程画像を生成して保存する処理を示すフローチャートである。
図13に示すように、表示制御装置100の表示制御部150bは、作業フロー画面を表示し、工程の指定を受け付ける(ステップS101)。
【0081】
表示制御部150bは、最初の工程から、指定された工程までに紐付けられる各部品(アセンブリ)を合わせた構成部品を特定する(ステップS102)。表示制御部150bは、特定した構成部品を基にして、ベース画像を生成し、ベース画像を表示部130に表示させる(ステップS103)。
【0082】
表示制御装置100の受付部150cは、オブジェクト情報の指定を受け付ける(ステップS104)。表示制御部150bは、ベース画像とオブジェクト画像とを重畳した工程画像を生成して表示部130に表示させる(ステップS105)。
【0083】
受付部150cは、ローカルIDを生成する(ステップS106)。受付部150cは、指定された工程に対応付けて、ローカルIDとオブジェクト情報とを作業フローデータ140dの工程画像情報に登録する(ステップS107)。
【0084】
表示制御装置100は、処理を継続する場合には(ステップS108,Yes)、ステップS101に移行する。表示制御装置100は、処理を継続しない場合には(ステップS108,No)、工程画像を生成して保存する処理を終了する。
【0085】
図14は、本実施例に係る表示制御装置が工程画像をコピーする処理を示すフローチャートである。
図14に示すように、表示制御装置100の決定部150dは、コピー元の工程の第1ローカルIDの指定を受け付ける(ステップS201)。決定部150dは、最初の工程から、指定されたコピー元の工程までに紐付けられる各部品(アセンブリ)を合わせた第1構成部品を特定する(ステップS202)。
【0086】
決定部150dは、コピー先の工程の指定を受け付ける(ステップS203)。表示制御装置100の記録制御部150eは、コピー先の工程に関する、第2ローカルIDを生成する(ステップS204)。決定部150dは、最初の工程から、指定されたコピー先の工程までに紐付けられる各部品(アセンブリ)を合わせた第2構成部品を特定する(ステップS205)。
【0087】
決定部150dは、第1構成部品と、第2構成部品とを基にして、差分表示部品IDと、差分非表示部品IDとを特定する(ステップS206)。記録制御部150eは、第2ローカルIDに対応付けて、差分表示部品ID、差分非表示部品IDを記録する(ステップS207)。記録制御部150eは、第2ローカルIDに対応付けて、第1ローカルIDのオブジェクト情報を登録する(ステップS208)。
【0088】
表示制御装置100は、処理を継続する場合には(ステップS209,Yes)、ステップS201に移行する。表示制御装置100は、処理を継続しない場合には(ステップS209,No)、工程画像をコピーする処理を終了する。
【0089】
図15は、本実施例に係る表示制御装置が工程画像を表示する処理を示すフローチャートである。
図15に示すように、表示制御装置100の表示制御部150bは、表示対象となる工程画像の工程について、ローカルIDの指定を受け付ける(ステップS301)。
【0090】
表示制御部150bは、最初の工程から、指定された工程までに紐付けられる各部品(アセンブリ)を合わせた構成部品を特定する(ステップS302)。表示制御部150bは、指定されたローカルIDの差分表示部品IDと、差分非表示部品IDとを特定する(ステップS303)。
【0091】
表示制御部150bは、構成部品のIDに、差分表示部品IDを追加し、差分非表示部品IDを削除して、構成部品のIDを更新する(ステップS304)。表示制御部150bは、更新した構成部品のIDに対応する部品について、各部品の形状、配置位置を計算し、ベース画像を生成する(ステップS305)。
【0092】
表示制御部150bは、指定されたローカルIDにオブジェクト情報に基づくオブジェクト画像を生成する(ステップS306)。表示制御部150bは、ベース画像と、オブジェクト画像とを重畳して、工程画像を生成する(ステップS307)。表示制御部150bは、工程画像を表示部130に表示させる(ステップS308)。
【0093】
表示制御装置100は、処理を継続する場合には(ステップS309,Yes)、ステップS301に移行する。表示制御装置100は、処理を継続しない場合には(ステップS309,No)、工程画像を表示する処理を終了する。
【0094】
次に、本実施例に係る表示制御装置100の効果について説明する。表示制御装置100は、工程画像のコピー指示を受け付けた場合、コピー元の工程の構成部品と、コピー先の工程部品とを基にして、差分表示部品、差分非表示部品を抽出する。表示制御装置100は、コピー先の工程の工程画像として、コピー元のオブジェクト情報と、差分表示部品、差分非表示部品とを、記憶部140に記憶する。これによって、コピー元の工程画像を、コピー先の工程にコピーさせることができる。
【0095】
表示制御装置100は、工程画像の表示指示を受け付けると、工程の構成部品のIDに、差分表示部品IDを追加し、差分非表示部品を削除し、構成部品のIDを更新する。表示制御装置100は、更新した構成部品のベース画像と、オブジェクト画像とを重畳して、指定された工程の工程画像を表示する。これによって、コピー元の工程で作成した時点の工程画像を、コピー先の工程にコピーして、コピー先の工程において、コピー元の工程で作成した時点の工程画像を再現することができる。
【0096】
表示制御装置100は、工程の指定を受け付け、工程画像を生成する場合に、最初の工程から、指定された工程までのIDを合わせることで、指定された工程に対応する構成部品のIDを特定し、ベース画像を生成する。これにより、ある工程で組み付けられる部品に変更が加えられても、かかる変更を反映したベース画像およびベース画像を用いる工程画像を再現することができる。
【0097】
ところで、上述した表示制御装置100の処理は一例であり、他の処理を実行してもよい。以下において、表示制御装置100のその他の処理について説明する。上記の処理では、一例として、新規に工程画像を生成して保存し、工程画像をコピーする場合について説明したが、コピーした工程画像を、更に他の工程にコピーすることも可能である。
【0098】
図16は、表示制御装置のその他の処理を説明するための図である。
図16では、第2工程にコピーした工程画像を、更に、第3工程にコピーする場合について説明する。
図16において、第1工程で描画対象となるアセンブリを部品p1、p2、p3を組み立てたものとする。第2工程で描画対象となるアセンブリを部品p2、p3、p4、p5を組み立てたものとする。第3工程で描画対象となるアセンブリを部品p2、p3、p4、p5、p6を組み立てたものとする。第1工程の工程画像を、第2工程にコピーする処理は、
図2で説明した処理と同様である。
【0099】
表示制御装置100は、第2工程にコピーした工程画像を、更に、第3工程にコピーする指示を受け付けると、第2工程のオブジェクト情報を、そのまま、第3工程の工程画像の情報として記録する。表示制御装置100は、第2工程の部品p2~p5に、差分表示部品p1を追加し、差分非表示部品p4、p5を削除することで、第1工程の部品p1、p2、p3を再現する。
【0100】
表示制御装置100は、再現した第1工程の部品p1~p3と、第3工程の部品p2~p6とを比較して、差分表示部品「p1」と、差分非表示部品「p4、p5、p6」とを特定する。表示制御装置100は、差分表示部品および差分非表示部品の情報を、第3工程の工程画像の情報として記録する。
【0101】
表示制御装置100は、第3工程の「コピーした工程画像」に関する表示指示を受け付けると、第3工程の部品p2~p6に、差分表示部品「p1」を追加し、差分非表示部品「p4、p5、p5」を削除した部品「p1~p3」を特定する。表示制御装置100は、部品p1~p3を組み付けたアセンブリを描画したベース画像を生成する。また、コピーされたオブジェクト情報を基にして、オブジェクトの画像を描画する。表示制御装置100は、オブジェクトの画像と、ベース画像とを重畳することで、第3工程の工程画像G22を生成し、表示する。
【0102】
工程画像G20~G22では、同一の部品p1~p3、オブジェクトOb10が表示されている。これにより、表示制御装置100によれば、第1工程で作成した時点の工程画像を、第2工程にコピーして、第2工程において、第1工程で作成した時点の工程画像を再現することができる。また、第2工程にコピーした工程画像を、更に、第3工程にコピーしても、第1工程で作成した時点の工程画像を再現することができる。
【0103】
次に、上記実施例に示した表示制御装置100と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例について説明する。
図17は、表示制御装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0104】
図17に示すように、コンピュータ200は、各種演算処理を実行するCPU201と、ユーザからのデータの入力を受け付ける入力装置202と、ディスプレイ203とを有する。また、コンピュータ200は、記憶媒体からプログラム等を読み取る読み取り装置204と、有線または無線ネットワークを介して、外部装置との間でデータの授受を行うインタフェース装置205とを有する。コンピュータ200は、各種情報を一時記憶するRAM206と、ハードディスク装置207とを有する。そして、各装置201~207は、バス208に接続される。
【0105】
ハードディスク装置207は、取得プログラム207a、表示制御プログラム207b、受付プログラム207c、決定プログラム207d、記録制御プログラム207eを有する。CPU201は、取得プログラム207a、表示制御プログラム207b、受付プログラム207c、決定プログラム207d、記録制御プログラム207eを読み出してRAM206に展開する。
【0106】
取得プログラム207aは、取得プロセス206aとして機能する。表示制御プログラム207bは、表示制御プロセス206bとして機能する。受付プログラム207cは、受付プロセス206cとして機能する。決定プログラム207dは、決定プロセス206dとして機能する。記録制御プログラム207eは、記録制御プロセス206eとして機能する。
【0107】
取得プロセス206aの処理は、取得部150aの処理に対応する。表示制御プロセス206bの処理は、表示制御部150bの処理に対応する。受付プロセス206cの処理は、受付部150cの処理に対応する。決定プロセス206dの処理は、決定部150dの処理に対応する。記録制御プロセス206eの処理は、記録制御部150eの処理に対応する。
【0108】
なお、各プログラム207a~207eについては、必ずしも最初からハードディスク装置207に記憶させておかなくてもよい。例えば、コンピュータ200に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ200が各プログラム207a~207eを読み出して実行するようにしてもよい。
【0109】
以上の各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0110】
(付記1)ある工程までに組み立てられる第一の部品群を含むアセンブリのベース画像を表示し、
前記アセンブリの前記ベース画像の表示に対して、ユーザから、オブジェクトの追加を受け付け、
前記ある工程に対する前記ベース画像と前記オブジェクトとを含む工程画像を、他の工程に対してコピーする命令を受け付けた場合に、
前記他の工程までに組み立てられる第二の部品群と、前記第一の部品群との差分を抽出し、
前記差分に基づき、前記第一の部品群および前記第二の部品群を含む複数の部品について、描画対象および非対象を決定し、
前記描画対象および前記非対象の情報と前記オブジェクトとを含む工程画像情報を、前記他の工程に紐づけて記録する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【0111】
(付記2)前記他の工程に対する前記工程画像情報に基づき、前記工程画像を表示する場合に、
前記第二の部品群に前記描画対象を追加し、前記第二の部品群から前記非対象を削除することで、第三の部品群を生成し、前記他の工程に紐付けられた前記オブジェクトと、前記第三の部品群とを基にして、前記工程画像を表示することを特徴とする付記1に記載の制御プログラム。
【0112】
(付記3)前記他の工程に対する前記工程画像情報に基づき、前記工程画像を表示する処理は、前記第三の部品群の画像に、前記オブジェクトの画像を重畳することで、前記工程画像を生成し、生成した前記工程画像を表示することを特徴とする付記2に記載の制御プログラム。
【0113】
(付記4)最初の工程から前記ある工程までにそれぞれ対応付けられた部品群を基にして、前記第一の部品群を特定し、前記最初の工程から前記他の工程までにそれぞれ対応付けられた部品群を基にして、前記第二の部品群を特定する処理を更に実行することを特徴とする付記1、2または3に記載の制御プログラム。
【0114】
(付記5)ある工程までに組み立てられる第一の部品群を含むアセンブリのベース画像を表示し、
前記アセンブリの前記ベース画像の表示に対して、ユーザから、オブジェクトの追加を受け付け、
前記ある工程に対する前記ベース画像と前記オブジェクトとを含む工程画像を、他の工程に対してコピーする命令を受け付けた場合に、
前記他の工程までに組み立てられる第二の部品群と、前記第一の部品群との差分を抽出し、
前記差分に基づき、前記第一の部品群および前記第二の部品群を含む複数の部品について、描画対象および非対象を決定し、
前記描画対象および前記非対象の情報と前記オブジェクトとを含む工程画像情報を、前記他の工程に紐づけて記録する
処理をコンピュータが実行することを特徴とする制御方法。
【0115】
(付記6)前記他の工程に対する前記工程画像情報に基づき、前記工程画像を表示する場合に、
前記第二の部品群に前記描画対象を追加し、前記第二の部品群から前記非対象を削除することで、第三の部品群を生成し、前記他の工程に紐付けられた前記オブジェクトと、前記第三の部品群とを基にして、前記工程画像を表示することを特徴とする付記5に記載の制御方法。
【0116】
(付記7)前記他の工程に対する前記工程画像情報に基づき、前記工程画像を表示する処理は、前記第三の部品群の画像に、前記オブジェクトの画像を重畳することで、前記工程画像を生成し、生成した前記工程画像を表示することを特徴とする付記6に記載の制御方法。
【0117】
(付記8)最初の工程から前記ある工程までにそれぞれ対応付けられた部品群を基にして、前記第一の部品群を特定し、前記最初の工程から前記他の工程までにそれぞれ対応付けられた部品群を基にして、前記第二の部品群を特定する処理を更に実行することを特徴とする付記5、6または7に記載の制御方法。
【0118】
(付記9)ある工程までに組み立てられる第一の部品群を含むアセンブリのベース画像を表示する表示制御部と、
前記アセンブリの前記ベース画像の表示に対して、ユーザから、オブジェクトの追加を受け付ける受付部と、
前記ある工程に対する前記ベース画像と前記オブジェクトとを含む工程画像を、他の工程に対してコピーする命令を受け付けた場合に、前記他の工程までに組み立てられる第二の部品群と、前記第一の部品群との差分を抽出し、前記差分に基づき、前記第一の部品群および前記第二の部品群を含む複数の部品について、描画対象および非対象を決定する決定部と、
前記描画対象および前記非対象の情報と前記オブジェクトとを含む工程画像情報を、前記他の工程に紐づけて記録する記録制御部と
を有することを特徴とする制御装置。
【0119】
(付記10)前記表示制御部は、前記他の工程に対する前記工程画像情報に基づき、前記工程画像を表示する場合に、前記第二の部品群に前記描画対象を追加し、前記第二の部品群から前記非対象を削除することで、第三の部品群を生成し、前記他の工程に紐付けられた前記オブジェクトと、前記第三の部品群とを基にして、前記工程画像を表示することを特徴とする付記9に記載の制御装置。
【0120】
(付記11)前記表示制御部は、前記第三の部品群の画像に、前記オブジェクトの画像を重畳することで、前記工程画像を生成し、生成した前記工程画像を表示することを特徴とする付記10に記載の制御装置。
【0121】
(付記12)前記表示制御部は、最初の工程から前記ある工程までにそれぞれ対応付けられた部品群を基にして、前記第一の部品群を特定し、前記最初の工程から前記他の工程までにそれぞれ対応付けられた部品群を基にして、前記第二の部品群を特定する処理を更に実行することを特徴とする付記9、10または11に記載の制御装置。
【符号の説明】
【0122】
100 表示制御装置
110 通信部
120 入力部
130 表示部
140 記憶部
140a CADデータ
140b 部品データ
140c アセンブリデータ
140d 作業フローデータ
150 制御部
150a 取得部
150b 表示制御部
150c 受付部
150d 決定部
150e 記録制御部