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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】伝送装置、伝送システム、及び伝送方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/077 20130101AFI20230328BHJP
   H04B 10/2543 20130101ALI20230328BHJP
【FI】
H04B10/077
H04B10/2543
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019107395
(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公開番号】P2020202469
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 誠
(72)【発明者】
【氏名】宿南 宣文
(72)【発明者】
【氏名】岡部 純
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-060612(JP,A)
【文献】特開2015-039110(JP,A)
【文献】特開2008-141498(JP,A)
【文献】特開昭62-219775(JP,A)
【文献】実開昭56-110671(JP,U)
【文献】特開平08-181656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/077
H04B 10/2543
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主信号光を、伝送路を介して他の伝送装置に伝送する伝送装置において、
前記伝送装置及び前記他の伝送装置の監視制御に関する信号に基づく強度変調により監視信号光を生成する生成部と、
前記監視信号光を前記主信号光に合波する合波部と、
前記他の伝送装置から前記監視信号光の受光状態に関する受光情報を取得する取得部と、
前記受光情報に応じて前記強度変調の変調度を制御する制御部とを有することを特徴とする伝送装置。
【請求項2】
前記受光情報は、前記他の伝送装置における前記監視信号光の受光パワーを示し、
前記制御部は、前記受光パワーに応じて前記強度変調の変調度を制御することを特徴とする請求項1に記載の伝送装置。
【請求項3】
前記受光情報は、前記他の伝送装置における前記監視制御に関する信号の受信の完了を示し、
前記制御部は、前記強度変調の変調度を、前記受光情報が取得される範囲内の値に制御することを特徴とする請求項1に記載の伝送装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記監視信号光を出力するレーザダイオードと、前記強度変調に用いられる変調電流を前記レーザダイオードに出力する変調回路と、前記変調回路の電源ラインに接続された可変抵抗器とを有し、
前記制御部は、前記受光情報に応じて前記可変抵抗器の抵抗値を調整することにより前記強度変調の変調度を制御することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の伝送装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記監視信号光を出力するレーザダイオードと、前記強度変調に用いられる変調電流を前記レーザダイオードに出力する変調回路と、前記変調回路の電源ラインに接続された抵抗器とを有し、
前記制御部は、前記抵抗器に印加される電圧を前記受光情報に応じて調整することにより前記強度変調の変調度を制御することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の伝送装置。
【請求項6】
主信号光を、伝送路を介して他の伝送装置に伝送する第1伝送装置と、
前記第1伝送装置から前記伝送路を介して前記主信号光を受光する第2伝送装置とを有し、
前記第1伝送装置は、
前記第1伝送装置及び前記第2伝送装置の監視制御に関する信号に基づく強度変調により監視信号光を生成する生成部と、
前記監視信号光を前記主信号光に合波する合波部と、
前記第2伝送装置から前記監視信号光の受光状態に関する受光情報を取得する取得部と、
前記受光情報に応じて前記強度変調の変調度を制御する制御部とを有し、
前記第2伝送装置は、
前記伝送路から入力された前記主信号光及び前記監視信号光を分波する分波部と、
前記監視信号光の前記受光状態を検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記受光状態から前記受光情報を生成して前記第1伝送装置に通知する通知部とを有することを特徴とする伝送システム。
【請求項7】
主信号光を、伝送装置から伝送路を介して他の伝送装置に伝送する伝送方法において、
前記伝送装置及び前記他の伝送装置の監視制御に関する信号に基づく強度変調により監視信号光を生成し、
前記監視信号光を前記主信号光に合波し、
前記他の伝送装置から前記監視信号光の受光状態に関する受光情報を取得し、
前記受光情報に応じて前記強度変調の変調度を制御することを特徴とする伝送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、伝送装置、伝送システム、及び伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数の波長光が波長多重された主信号光に伝送システムの監視信号光を合波して伝送する伝送装置がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-159290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
監視信号光の送信パワーが高くなると、伝送路中で主信号光と監視信号光に相互位相変調などの非線形光学効果が生じることにより主信号光の伝送品質が低下するおそれがある。これに対し監視信号光のパワーを低下させれば非線形光学効果を抑制し得るが、監視信号光のパワーが不足することにより監視信号光が正常に受信されず、伝送装置の監視制御機能が低下するおそれがある。
【0005】
そこで本件は、監視制御機能を低下させずに非線形光学効果を抑制することができる伝送装置、伝送システム、及び伝送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、伝送装置は、主信号光を、伝送路を介して他の伝送装置に伝送する伝送装置において、前記伝送装置及び前記他の伝送装置の監視制御に関する信号に基づく強度変調により監視信号光を生成する生成部と、前記監視信号光を前記主信号光に合波する合波部と、前記他の伝送装置から前記監視信号光の受光状態に関する受光情報を取得する取得部と、前記受光情報に応じて前記強度変調の変調度を制御する制御部とを有する。
【0007】
1つの態様では、伝送システムは、主信号光を、伝送路を介して他の伝送装置に伝送する第1伝送装置と、前記第1伝送装置から前記伝送路を介して前記主信号光を受光する第2伝送装置とを有し、前記第1伝送装置は、前記第1伝送装置及び前記第2伝送装置の監視制御に関する信号に基づく強度変調により監視信号光を生成する生成部と、前記監視信号光を前記主信号光に合波する合波部と、前記第2伝送装置から前記監視信号光の受光状態に関する受光情報を取得する取得部と、前記受光情報に応じて前記強度変調の変調度を制御する制御部とを有し、前記第2伝送装置は、前記伝送路から入力された前記主信号光及び前記監視信号光を分波する分波部と、前記監視信号光の前記受光状態を検出する検出部と、前記検出部が検出した前記受光状態から前記受光情報を生成して前記第1伝送装置に通知する通知部とを有する。
【0008】
1つの態様では、伝送方法は、主信号光を、伝送装置から伝送路を介して他の伝送装置に伝送する伝送方法において、前記伝送装置及び前記他の伝送装置の監視制御に関する信号に基づく強度変調により監視信号光を生成し、前記監視信号光を前記主信号光に合波し、前記他の伝送装置から前記監視信号光の受光状態に関する受光情報を取得し、前記受光情報に応じて前記強度変調の変調度を制御する方法である。
【発明の効果】
【0009】
1つの側面として、伝送装置の監視制御機能を低下させずに非線形光学効果を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】伝送システムの一例を示す構成図である。
図1B】変調度の制御に関するFPGA(Field Programmable Gate Array)の機能の一例を示す構成図である。
図2】レーザダイオードの駆動電流に対する光パワーの変化例と光波形の一例とを示す図である。
図3】FPGA及び送信部の一例を示す構成図である。
図4】受光パワーと変調度の関係の一例を示す図である。
図5】調整抵抗器の抵抗値に対する変調電流の変化の一例を示す図である。
図6】FPGA及び送信部の他の例を示す構成図である。
図7】変調度の設定処理の一例を示すフローチャートである。
図8】監視信号光の受信処理の一例を示すフローチャートである。
図9】監視制御情報の受信完了の通知処理の一例を示すフローチャートである。
図10】変調度の設定処理の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1Aは、伝送システムの一例を示す構成図である。伝送システムは、光ファイバなどの伝送路90,91を介して接続された一組の伝送装置1a,1bを有する。
【0012】
伝送装置1a,1bは、例えばROADM(Reconfigurable Optical Add-and-Drop Multiplexer)などの波長多重伝送装置である。伝送装置1a,1bは、波長が相違する複数の波長光を波長多重した主信号光Sm,Sm’を他方の伝送装置1b,1aに伝送する。後述の例では伝送装置1aから伝送路90を介して伝送装置1bに主信号光Smを伝送する処理を挙げるが、伝送装置1bから伝送路91を介して伝送装置1aに主信号光Sm’を伝送する処理もこれと同様に行われる。
【0013】
伝送装置1aは、第1伝送装置の一例であり、主信号光Smを伝送路90に送信する。主信号光Smには、イーサネット(登録商標、以下同様)フレームなどのユーザデータを含む複数の波長光が波長多重されている。伝送装置1bは、第2伝送装置の一例であり、伝送装置1aから伝送路90を介して主信号光Smを受信する。符号Raは、伝送装置1aから伝送装置1bに伝送される主信号光Smの経路を示し、符号Rdは、伝送装置1bから伝送装置1aに伝送される主信号光Sm’の経路を示す。
【0014】
また、伝送装置1a,1bは、伝送装置1a,1bの監視制御に関する信号(警報など。以下、「監視信号」と表記。)に基づいて光を強度変調することにより監視信号光Scを生成し、主信号光Sm,Sm’に合波して他方の伝送装置1b,1aに伝送する。監視信号光Scは、例えばOSC(Optical Supervisory Channel)光である。監視信号光Sc,Sc’は、主信号光Sm,Sm’に含まれる波長光の波長帯とは所定の波長帯域分だけ離れた波長を有する。符号Rbは、伝送装置1aから伝送装置1bに伝送される監視信号光Scの経路を示し、符号Rcは、伝送装置1bから伝送装置1aに伝送される監視信号光Sc’の経路を示す。
【0015】
監視信号光Scの送信パワーが強すぎると、伝送路90中で主信号光Smと監視信号光Scに相互位相変調などの非線形光学効果が生じることにより主信号光Smの伝送品質が低下するおそれがある。
【0016】
そこで、伝送装置1aは、他方の伝送装置1bから監視信号光Scの受光状態に関する受光情報を取得し、受光情報に応じて監視信号光Scの強度変調の変調度を制御する。非線形光学効果は、強度変調の変調度が大きいほど、監視信号光Scの送信パワーの変化量が大きくなって光位相の変化量も増えるため、顕著となる。
【0017】
このため、伝送装置1aは、受光情報により監視信号光Scの受光状態を監視しつつ変調度を適切な値まで低下させることにより、監視信号光Scの伝送品質の要求を満たしつつ、監視信号光Scの送信パワーの変化量を低減することができる。したがって、伝送装置1aは、監視制御機能を低下させずに非線形光学効果を抑制することができる。
【0018】
また、伝送装置1aは、監視信号光Scの送信パワーではなく、変調度を低下させるため、例えば可変光減衰器などの送信パワーの低下手段を備える必要がない。このため、伝送装置1aの規模が低減される。以下に伝送装置1a,1bの構成を述べる。
【0019】
伝送装置1aは、FPGA10aと、メモリ12aと、SFP(Small Form-factor Pluggable)20aと、光アンプ30a,31aとを有する。伝送装置1aは、さらに光スプリッタ23aと、フィルタ33a,34aと、PD(Photo Diode)25aとを有する。また、伝送装置1bは、伝送装置1aと同様に、FPGA10bと、メモリ12bと、SFP20bと、光アンプ30b,31bと、光スプリッタ23bと、フィルタ33b,34bと、PD25bとを有する。なお、伝送装置1a,1bは、FPGA10a,10bに代えて、ASIC(Application Specified Integrated Circuit)などの他の回路を備えてもよい。
【0020】
光アンプ30a,30bは、隣接ノードから入力された主信号光Sm,Sm’をそれぞれ増幅する。FPGA10a,10bは光アンプ30a,30bの利得をそれぞれ制御する。主信号光Smは光アンプ30aからフィルタ33aに入力され、主信号光Sm’は光アンプ30bからフィルタ33bに入力される。
【0021】
SFP20a,20bは、それぞれ、伝送装置1a,1bに着脱自在な光モジュールである。SFP20a,20bは、監視信号光Sc,Sc’を送信する送信部(Tx)200a,200bと、監視信号光Sc,Sc’を受信する受信部(Rx)201a,201bとをそれぞれ有する。
【0022】
送信部200a,200bは、監視信号に基づく強度変調により監視信号光Sc,Sc’を生成する。送信部200a,200bは、後述するように、監視信号光Sc,Sc’を出力するレーザダイオードなどを備える。監視信号光Sc,Sc’は、送信部200a,200bからフィルタ33a,33bにそれぞれ入力される。なお、送信部200aは生成部の一例である。
【0023】
フィルタ33aは、合波部の一例であり、監視信号光Scを主信号光Smに合波する。フィルタ33bは、監視信号光Sc’を主信号光Sm’に合波する。フィルタ33a,33bとしては、例えば波長多重機能を備える光フィルタが挙げられるが、これに限定されない。監視信号光Sc及び主信号光Smの合波光はフィルタ33aから伝送路90に出力され、監視信号光Sc’及び主信号光Sm’の合波光はフィルタ33bから伝送路91に出力される。
【0024】
監視信号光Sc及び主信号光Smの合波光は、伝送路90からフィルタ34bに入力される。フィルタ34bは、分波部の一例であり、伝送路90から入力された合波光から主信号光Sm及び監視信号光Scを分波する。
【0025】
また、監視信号光Sc’及び主信号光Sm’の合波光は伝送路91からフィルタ34aに入力される。フィルタ34aは伝送路91から入力された合波光から主信号光及び監視信号光Sc’を分波する。フィルタ34a,34bとしては、例えば波長分離機能を備える光フィルタが挙げられるが、これに限定されない。
【0026】
主信号光Sm,Sm’はフィルタ34a,34bから光アンプ31a,31bにそれぞれ入力される。光アンプ31a,31bは主信号光Sm,Sm’をそれぞれ増幅する。FPGA10a,10bは光アンプ31a,31bの利得をそれぞれ制御する。主信号光Sm,Sm’は光アンプ31a,31bから隣接ノードにそれぞれ出力される。
【0027】
監視信号光Scはフィルタ34bから光スプリッタ23bに入力され、監視信号光Sc’はフィルタ34aから光スプリッタ23aに入力される。光スプリッタ23bは、監視信号光Scを分岐させてSFP20bとPD25bに導き、光スプリッタ23aは、監視信号光Sc’を分岐させてSFP20aとPD25aに導く。
【0028】
SFP20a,20bの受信部201a,201bは、監視信号光Sc,Sc’を受信して電気的な監視信号に変換してFPGA10a,10bにそれぞれ出力する。受信部201a,201bは、監視信号光Sc,Sc’を監視信号に変換するためのPDなどを有する。
【0029】
FPGA10a,10bは、監視信号のペイロードデータから、伝送装置1a,1bの監視制御に関する監視制御情報をそれぞれ取得する。FPGA10aは、例えば監視制御情報に基づき光アンプ30a,31aの利得を制御する。FPGA10bは、例えば監視制御情報に基づき光アンプ30b,31bの利得を制御する。
【0030】
PD25bは、検出部の一例であり、監視信号光Scの受光状態を検出する。PD25bは、監視信号光Scを光-電気変換することによりその受光パワーを検出する。監視信号光Scの受光パワーの情報(以下、「パワー情報」と表記)は、受光情報としてPD25bからFPGA10bに入力される。
【0031】
FPGA10bは、パワー情報を監視信号のペイロードデータに挿入してSFP20bに出力する。また、PD25aは、監視信号光Sc’を光-電気変換することによりその受光パワーを検出してFPGA10aに通知する。
【0032】
SFP20bの送信部200bは監視信号を電気-光変換することにより監視信号光Sc’を生成して出力する。これにより、パワー情報は、監視信号光Scを受信した伝送装置1bから、監視信号光Scの送信元の伝送装置1aに通知される。このように、受信側の伝送装置1bのFPGA10bは、PD25bが検出した監視信号光Scの受光パワーを送信側の伝送装置1aに通知する。なお、FPGA10bは通知部の一例である。
【0033】
送信側の伝送装置1aのSFP20aは、受信側の伝送装置1bから監視信号光Sc’を受信する。SFP20aの受信部201aは、監視信号光Sc’を光-電気変換することにより監視信号を再生してFPGA10aに出力する。監視信号には、受信側の伝送装置1bにおける監視信号光Scのパワー情報が含まれる。
【0034】
このように、受信部201aは、受信側の伝送装置1bからパワー情報を取得する。FPGA10aは、監視信号のペイロードデータからパワー情報を抽出する。なお、受信部201aは取得部の一例である。
【0035】
FPGA10aは、制御部の一例であり、パワー情報が示す受光パワーに応じて監視信号光Scの強度変調の変調度を制御する。
【0036】
図1Bは、変調度の制御に関するFPGA10aの機能の一例を示す構成図である。なお、本例では送信側の伝送装置1aのFPGA10aを挙げるが、受信側の伝送装置1bのFPGA10bもこれと同様の機能を有する。
【0037】
FPGA10aは、変調度設定機能108及び変調度算出機能109を有する。また、メモリ12aには、変調度データベース(DB)120が格納されている。変調度DB120は、後述するように、受光パワーと変調度の関係が登録されている。
【0038】
FPGA10aは、受信部201aから監視信号を受信することにより監視信号光Scのパワー情報を取得する。FPGA10aは、変調度算出機能109によりパワー情報に基づき変調度DB120を参照することにより変調度を算出する。
【0039】
次にFPGA10aは、変調度設定機能108により変調度を送信部200aに設定する。このとき、FPGA10aは、送信部200aのレーザダイオードの駆動電流を変化させる。
【0040】
図2は、レーザダイオードの駆動電流(mA)に対する光パワー(mW)の変化例(符号81参照)と光波形の一例(符号82参照)とを示す図である。レーザダイオードの光パワーは、駆動電流が大きいほど、大きくなる。
【0041】
変調度が100(%)である場合、例えばレーザダイオードの駆動電流が0(mA)からImax(mA)までの範囲内で制御されることにより、光パワーは、平均光パワーPav(mW)を中心として、0(mW)からPmax(mW)までの範囲内で変化する。なお、駆動電流の範囲は、上記に限定されず、レーザダイオードから光が出力される閾値に応じ、例えば数十(mA)からImax(mA)までとしてもよい。また、変調度が50(%)である場合、例えばレーザダイオードの駆動電流がIL(mA)(>Imin)からIH(mA)(<Imax)までの範囲内で制御されることにより、光パワーは、平均光パワーPav(mW)を中心として、(1/2)Pav(mW)から(3/2)Pav(mW)までの範囲内で変化する。
【0042】
このように、FPGA10aは、駆動電流の範囲を狭めることにより光パワーの変化量を低減する。これにより、監視信号光Scと主信号光Smの間の非線形光学効果が低減される。なお、レーザダイオードは、平均光パワーPav(mW)が一定となるようにバイアス電流が制御される。
【0043】
次にFPGA10a及び送信部200aの構成を説明する。
【0044】
図3は、FPGA10a及び送信部200aの一例を示す構成図である。本例では、監視信号光Scの送信側の伝送装置1aのFPGA10a及び送信部200aを挙げるが、監視信号光Scの受信側の伝送装置1bのFPGA10b及び送信部200bも、これと同様の構成を有する。
【0045】
FPGA10aは、伝送制御部100、信号出力部101、及びインターフェース(IF)部102を有する。伝送制御部100及び信号出力部101はFPGA10a内の回路として形成されるが、例えばCPU(Central Processing Unit)がメモリからプログラムを読み出すことにより形成される機能であってもよい。
【0046】
伝送制御部100は、伝送装置1bに対する監視信号光Scの伝送を制御する。伝送制御部100は、光アンプ30a,31aと通信することにより監視制御情報を生成して信号出力部101に出力する。また、伝送制御部100は、PD25aから入力された信号から伝送装置1bの監視信号光Sc’のパワー情報を生成して信号出力部101に出力する。
【0047】
信号出力部101は、監視制御情報及びパワー情報から正相及び逆相の各データ信号Tp,Tnを生成して送信部200aに出力する。
【0048】
また、伝送制御部100には、受信部201aから、監視信号光Sc’の変換により得られた監視信号が入力される。伝送制御部100は、監視信号に含まれるパワー情報に応じた変調度を決定する。なお、この伝送制御部100の機能は変調度算出機能109に該当する。
【0049】
伝送制御部100は、例えばメモリ12aに格納された変調度DB120からパワー情報に応じた変調度を算出する。
【0050】
図4は、受光パワーと変調度の関係の一例を示す図である。横軸は、パワー情報が示す受光パワー(dBm)を示し、縦軸は、監視制御情報の正常な受信に必要な変調度(%)を示す。なお、変調度は、例えば、監視制御情報の正常な受信に必要な最低値または最低値に所定のマージンを加えた値である。
【0051】
メモリ12aには、上述したように、受光パワーと変調度の関係を示す変調度DB120が格納され、伝送制御部100は、パワー情報が示す受光パワーに基づき変調度DB120を参照することにより変調度を決定する。例えば伝送制御部100は、受光パワーがPaである場合、変調度を50(%)に決定し、受光パワーがPb(>Pa)である場合、変調度を10(%)に決定する。このため、受光パワーが大きいほど、変調度は低くなる。なお、メモリ12bにも、メモリ12a内の変調度DB120と同様のデータベースが格納されており、FPGA10bは、データベースを参照することにより変調度を制御する。
【0052】
このように、伝送制御部100は、パワー情報が示す受光パワーに応じて変調度を制御する。このため、伝送装置1aは、例えば伝送路90における監視信号光Scの伝送損失などに応じて高精度に変調度を制御することができる。なお、伝送制御部100は、データベースを用いなくても、例えば図2に示される関係性を示す所定の算出式から変調度を決定してもよい。
【0053】
再び図3を参照すると、送信部200aは、電源ライン50、インターフェース(IF)回路51、設定レジスタ52、調整抵抗器53、ドライバ回路54、コイル55、レーザダイオード(LD: Laser Diode)56、及びPD57を有する。
【0054】
ドライバ回路54は、監視信号光Scを出力するレーザダイオード56を駆動する。ドライバ回路54は電源ライン50から給電される。電源ライン50とドライバ回路54の間には調整抵抗器53が接続されている。
【0055】
調整抵抗器53は、可変抵抗器の一例であり、設定レジスタ52により抵抗値Rvが設定される。調整抵抗器53としては例えばポテンショメータが挙げられるが、これに限定されない。インターフェース回路51は、FPGA10aのインターフェース部102と、例えばI2C(Inter-Integrated Circuit)またはSPI(Serial Peripheral Interface)などにより通信する。
【0056】
伝送制御部100は、パワー情報が示す受光パワーに応じた抵抗値Rvをインターフェース部102に指示する。インターフェース部102は、抵抗値Rvに基づき設定レジスタ52を設定する。なお、インターフェース部102は変調度設定機能108に該当する。
【0057】
例えば設定レジスタ52は、調整抵抗器53に対して並列接続された抵抗値を設定することにより調整抵抗器53の抵抗値Rvを設定する。これにより、FPGA10aは、調整抵抗器53の抵抗値Rvを制御することができる。
【0058】
ドライバ回路54には、信号出力部101から正相及び逆相の各データ信号Tp,Tnが入力される。ドライバ回路54は、正相及び逆相の各データ信号Tp,Tnから変調電流Imを生成してレーザダイオード56に出力する。
【0059】
また、ドライバ回路54は、監視信号光Scの平均光パワーPavが一定値に維持されるようにバイアス電流Ibをレーザダイオード56に出力する。バイアス電流Ibは、コイル55を介してレーザダイオード56に入力される。このため、バイアス電流Ibは、時間による変動分が平滑化される。
【0060】
PD57は、レーザダイオード56から出力された監視信号光Scの光パワーを監視する。PD57は、監視信号光Scを電気信号に変換してドライバ回路54に出力する。ドライバ回路54は、PD57からの電気信号に基づきバイアス電流Ibをフィードバック制御する。
【0061】
ドライバ回路54は、信号変換回路540、パルス変調回路541、バイアス回路542、及びパワー制御回路543を有する。パワー制御回路543はPD57と接続されている。パワー制御回路543は、PD57からの電気信号に基づいて監視信号光Scの平均光パワーPavを検出して、その検出値をバイアス回路542に通知する。
【0062】
バイアス回路542は、平均光パワーPavが一定となるようにバイアス電流Ibを制御する。
【0063】
信号変換回路540は、例えば正相及び逆相の各データ信号Tp,Tnの電圧レベルを変換してパルス変調回路541に出力する。パルス変調回路541は、変調回路の一例であり、正相及び逆相の各データ信号Tp,Tnから変調電流Imを生成してレーザダイオード56に出力する。変調電流Imは、バイアス電流Ibと合流してレーザダイオード56に入力され、監視信号光Scの強度変調に用いられる。
【0064】
パルス変調回路541は、正相及び逆相の各データ信号Tp,Tnの電圧レベルから監視信号の論理レベル(「0」または「1」)を判定し、判定結果に応じてパルス状の変調電流Imを生成する(符号Ga参照)。変調電流Imは、パルス変調回路541に接続された調整抵抗器53の抵抗値Rvに応じて変化することによりパルスの大きさHが変化する。
【0065】
図5は、調整抵抗器53の抵抗値Rvに対する変調電流Imの変化の一例を示す図である。横軸は抵抗値Rv(kΩ)を示し、縦軸は変調電流Im(mA)を示す。なお、横軸及び縦軸のスケールは対数で規定されている。
【0066】
抵抗値RvがRth(kΩ)以上の範囲において、抵抗値Rvが大きいほど、変調電流Imは小さくなる。伝送制御部100は、変調度が受光パワーに応じた値となるように抵抗値Rvを調整することにより変調電流Imを制御する。
【0067】
例えば伝送制御部100は、変調度を90(%)に制御する場合、抵抗値RvをR1(kΩ)(<Rth)とすることにより変調電流ImをI1(mA)に制御する。また、伝送制御部100は、変調度を20(%)に制御する場合、抵抗値RvをR2(kΩ)(>Rth)とすることにより変調電流ImをI2(mA)(<I1)に制御する。また、伝送制御部100は、変調度を2(%)に制御する場合、抵抗値RvをR3(kΩ)(>R2)とすることにより変調電流ImをI3(mA)(<I2)に制御する。
【0068】
このように、伝送制御部100は、パワー情報に応じて調整抵抗器53の抵抗値Rvを調整することにより強度変調の変調度を制御する。このため、伝送制御部100は、汎用的なドライバ回路54に対して変調度を制御することができる。
【0069】
また、伝送制御部100は、抵抗値Rvに代えて電源ライン50の供給電圧を調整してもよい。
【0070】
図6は、FPGA10a及び送信部200aの他の例を示す構成図である。図6において、図3と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0071】
FPGA10aは、伝送制御部100a、信号出力部101、及び電圧変更部106を有する。電圧変更部106は、例えばデジタル-アナログ変換器であり、パルス変調回路541の電源ライン50に接続されている。
【0072】
送信部200aは、インターフェース回路51、設定レジスタ52、及び調整抵抗器53に代えて、調整抵抗器53aを有する。調整抵抗器53aは、抵抗器の一例であり、所定の抵抗値を有する。
【0073】
パルス変調回路541は、調整抵抗器53aを介して電源ライン50に接続されている。パルス変調回路541は、電源ライン50から給電される。
【0074】
電圧変更部106は、伝送制御部100aから指示された電圧に従って、調整抵抗器53aに印加される電圧Eを変更する。伝送制御部100aは、変調度に応じた電圧を電圧変更部106に指示する。
【0075】
調整抵抗器53aの抵抗値は固定値であるため、調整抵抗器53aからパルス変調回路541に流れる供給電流Isは、符号Gbで示されるように電圧Eに対して比例する。このため、パルス変調回路541は、電圧Eに応じた変調電流Imをレーザダイオード56に出力する。
【0076】
このように、伝送制御部100aは、調整抵抗器53aに印加される電圧をEをパワー情報に応じて調整することにより強度変調の変調度を制御する。このため、伝送制御部100は、汎用的なドライバ回路54に対して変調度を制御することができる。
【0077】
次に伝送装置1a,1bによる伝送方法について述べる。
【0078】
図7は、変調度の設定処理の一例を示すフローチャートである。本処理は、監視信号光Scを送信する場合に実行される。なお、以下の例では伝送装置1aの動作を挙げるが、他方の伝送装置1bも伝送装置1aと同様に動作する。
【0079】
FPGA10aは、光アンプ30a,30bと通信することにより監視制御情報を含む監視信号を生成する(ステップSt1)。監視信号はSFP20aの送信部200aに入力される。
【0080】
次に送信部200aは、監視信号に基づく強度変調により監視信号光Scを生成する(ステップSt2)。監視信号光Scはフィルタ33aに入力される。
【0081】
次にフィルタ33aは、光アンプ30aから入力された主信号光Smと、監視信号光Scとを合波する(ステップSt3)。次に主信号光Smと監視信号光Scの合波光はフィルタ33aから伝送路90に出力される(ステップSt4)。
【0082】
次に受信部201aは、他方の伝送装置1bから監視信号光Sc’を受信する(ステップSt5)。受信部201aは、監視信号光Sc’を電気的な監視信号に変換してFPGA10aに出力する。
【0083】
次にFPGA10aは監視信号からパワー情報を抽出する(ステップSt6)。次にFPGA10aは、パワー情報に基づいて、図4に示されるようなメモリ12a内の変調度DB120を参照することにより変調度を決定する(ステップSt7)。
【0084】
次にFPGA10aは送信部200aに対して変調度を設定する(ステップSt8)。このとき、FPGA10aは、上述したように、例えば変調度に応じた抵抗値Rvまたは電圧Eを設定することにより変調度を設定する。このようして、変調度の設定処理は実行される。
【0085】
図8は、監視信号光Scの受信処理の一例を示すフローチャートである。本処理は、監視信号光Scを受信する場合に実行される。なお、以下の例では伝送装置1bの動作を挙げるが、他方の伝送装置1aも伝送装置1bと同様に動作する。
【0086】
フィルタ34bは、伝送路90から入力された合波光から主信号光Sm及び監視信号光Scを分波する(ステップSt11)。主信号光Smは光アンプ31bに入力され、監視信号光Scは光スプリッタ23bに入力される。光スプリッタ23bは監視信号光Scを分波する(ステップSt12)。監視信号光Scは受信部201b及びPD25bに入力される。以下のステップSt13とステップSt14,St15は同時並行で行われる。
【0087】
受信部201bは、一方の監視信号光Scを受信する(ステップSt13)。また、PD25bは監視信号光Scの受光パワーを検出する(ステップSt14)。PD25bは、監視信号光Scを光-電気変換して得た電気信号をFPGA10bに出力する。
【0088】
FPGA10bは、PD25bから入力された電気信号に基づき、受光パワーを示すパワー情報を生成して送信部200bから伝送装置1aに通知する(ステップSt15)。このようして、監視信号光Scの受信処理は実行される。
【0089】
本例では、監視信号光Scの受光状態を示す受光情報としてパワー情報が用いられるが、これに限定されない。例えば、受光情報として、監視信号光Scに含まれる監視制御情報の受信の完了通知が用いられてもよい。
【0090】
この場合、FPGA10aは、監視信号光Scの受信完了通知に応じて変調度を所定の目標値以下まで低下させる。これにより、監視信号光Scの伝送品質の要求を満たしつつ、監視信号光Scの送信パワーの変化量を低減することができる。したがって、伝送装置1aは、監視制御機能を低下させずに非線形光学効果を抑制することができる。以下に伝送装置1a,1bの動作を述べる。
【0091】
図9は、監視制御情報の受信完了の通知処理の一例を示すフローチャートである。本処理は、監視信号光Scの受信のたびに行われる。なお、以下の例では伝送装置1bの動作を挙げるが、他方の伝送装置1aも伝送装置1bと同様に動作する。
【0092】
受信部201bは伝送装置1aから監視信号光Scを受信する(ステップSt21)。監視信号光Scは光-電気変換により監視信号としてFPGA10bに入力される。
【0093】
次にFPGA10bは、監視信号から監視制御情報を取得したか否かを判定する(ステップSt22)。例えば監視信号光Scの受光パワーが正常な受信が可能な範囲であれば、監視制御情報は取得されるが、受光パワーが正常な受信が可能な範囲外である場合、監視制御情報は取得されない。
【0094】
FPGA10bは、監視制御情報を取得した場合(ステップSt22のYes)、監視制御情報の受信完了を送信部200b経由で伝送装置1aに通知する(ステップSt23)。また、FPGA10bは、監視制御情報を取得していない場合(ステップSt22のNo)、監視制御情報の受信完了を通知せずに処理を終了する。このようして、監視制御情報の受信完了の通知処理は実行される。
【0095】
伝送装置1aは、監視信号光Scを送信中、他方の伝送装置1bからの受信完了通知の有無を判定し、判定結果に応じて変調度を制御する。
【0096】
図10は、変調度の設定処理の他の例を示すフローチャートである。本処理は、監視信号光Scの送信とともに実行される。なお、変調度の設定手段は、図3及び図6を参照して述べたとおりである。
【0097】
FPGA10aは変調度を所定値h[1]に設定する(ステップSt31)。所定値h[1]は、変調度の初期値であり、例えば100(%)である。
【0098】
次にFPGA10aは、他方の伝送装置1bからの監視信号光Scの受信完了通知の有無を判定する(ステップSt32)。このとき、FPGA10aは、例えばステップSt31の処理の実行完了からの経過時間をタイマなどで監視し、タイマが満了するまでに受信完了通知を受信したか否かを判定する。FPGA10aは、受信完了通知を受けていない場合(ステップSt32のNo)、処理を終了する。
【0099】
FPGA10aは、受信完了通知を受けた場合(ステップSt32のYes)、変調度を所定値h[2]に設定する(ステップSt33)。所定値h[2]は、例えば50(%)である。次にFPGA10aは、変数n(正の整数)を3にセットする(ステップSt34)。
【0100】
h[n]=|h[n-2]-h[n-1]|/2 ・・・(1)
【0101】
次にFPGA10aは、上記の式(1)に従って変数h[n]を算出する(ステップSt35)。最初にステップSt35が実行された場合、所定値h[1]=100(%)かつ所定値h[2]=50(%)とすると、FPGA10aは、h[3]=25(%)(=(100-50)/2)を算出する。
【0102】
次にFPGA10aは、他方の伝送装置1bからの監視信号光Scの受信完了通知の有無を判定する(ステップSt36)。このとき、FPGA10aは、例えばステップSt33の処理の実行完了からの経過時間をタイマなどで監視し、タイマが満了するまでに受信完了通知を受信したか否かを判定する。
【0103】
変調度=h[n-1]+h[n] ・・・(2)
変調度=h[n-1]-h[n] ・・・(3)
【0104】
FPGA10aは、受信完了通知を受けていない場合(ステップSt36のNo)、変調度が低いために監視信号光Scが正常に受光されていないと判断し、式(2)から変調度を算出して設定する(ステップSt39)。この場合、変調度は増加する。
【0105】
次にFPGA10aは、変数nに1を加算して(ステップSt40)、ステップSt35以降の各処理を実行する。なお、この場合、FPGA10aは、ステップSt36において、例えばステップSt39の処理の実行完了からの経過時間をタイマなどで監視し、タイマが満了するまでに受信完了通知を受信したか否かを判定する。
【0106】
また、FPGA10aは、受信完了通知を受けた場合(ステップSt36のYes)、変調度が十分に高いために監視信号光Scが正常に受光されていると判断し、式(3)から変調度を算出して設定する(ステップSt37)。この場合、変調度は減少する。
【0107】
次にFPGA10aは変調度と所定の目標値を比較する(ステップSt38)。目標値は、例えばFPGA10aに予め設定されている。
【0108】
FPGA10aは、変調度が目標値より高い場合(ステップSt38のNo)、変数nに1を加算して(ステップSt40)、ステップSt35以降の各処理を実行する。なお、この場合、FPGA10aは、ステップSt36において、例えばステップSt37の処理の実行完了からの経過時間をタイマなどで監視し、タイマが満了するまでに受信完了通知を受信したか否かを判定する。
【0109】
また、FPGA10aは、変調度が目標値以下である場合(ステップSt38のYes)、変調度が十分に低下したと判断して処理を終了する。このようして、変調度の設定処理は実行される。
【0110】
このように、FPGA10aは、変調度を、監視信号光Scの監視制御情報が取得される範囲内の値に制御する。このため、FPGA10aは、例えば図4に示されるような変調度DB120を用いることなく、他方の伝送装置1bでの監視制御情報の受信の成否に応じて変調度を低下させることができる。このため、変調度の設定時間が短縮される。
【0111】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能である。
【0112】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1) 主信号光を、伝送路を介して他の伝送装置に伝送する伝送装置において、
前記伝送装置及び前記他の伝送装置の監視制御に関する信号に基づく強度変調により監視信号光を生成する生成部と、
前記監視信号光を前記主信号光に合波する合波部と、
前記他の伝送装置から前記監視信号光の受光状態に関する受光情報を取得する取得部と、
前記受光情報に応じて前記強度変調の変調度を制御する制御部とを有することを特徴とする伝送装置。
(付記2) 前記受光情報は、前記他の伝送装置における前記監視信号光の受光パワーを示し、
前記制御部は、前記受光パワーに応じて前記強度変調の変調度を制御することを特徴とする付記1に記載の伝送装置。
(付記3) 前記受光情報は、前記他の伝送装置における前記監視制御に関する信号の受信の完了を示し、
前記制御部は、前記強度変調の変調度を、前記受光情報が取得される範囲内の値に制御することを特徴とする付記1に記載の伝送装置。
(付記4) 前記生成部は、前記監視信号光を出力するレーザダイオードと、前記強度変調に用いられる変調電流を前記レーザダイオードに出力する変調回路と、前記変調回路の電源ラインに接続された可変抵抗器とを有し、
前記制御部は、前記受光情報に応じて前記可変抵抗器の抵抗値を調整することにより前記強度変調の変調度を制御することを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載の伝送装置。
(付記5) 前記生成部は、前記監視信号光を出力するレーザダイオードと、前記強度変調に用いられる変調電流を前記レーザダイオードに出力する変調回路と、前記変調回路の電源ラインに接続された抵抗器とを有し、
前記制御部は、前記抵抗器に印加される電圧を前記受光情報に応じて調整することにより前記強度変調の変調度を制御することを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載の伝送装置。
(付記6) 主信号光を、伝送路を介して他の伝送装置に伝送する第1伝送装置と、
前記第1伝送装置から前記伝送路を介して前記主信号光を受光する第2伝送装置とを有し、
前記第1伝送装置は、
前記第1伝送装置及び前記第2伝送装置の監視制御に関する信号に基づく強度変調により監視信号光を生成する生成部と、
前記監視信号光を前記主信号光に合波する合波部と、
前記第2伝送装置から前記監視信号光の受光状態に関する受光情報を取得する取得部と、
前記受光情報に応じて前記強度変調の変調度を制御する制御部とを有し、
前記第2伝送装置は、
前記伝送路から入力された前記主信号光及び前記監視信号光を分波する分波部と、
前記監視信号光の前記受光状態を検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記受光状態から前記受光情報を生成して前記第1伝送装置に通知する通知部とを有することを特徴とする伝送システム。
(付記7) 前記受光情報は、前記第2伝送装置における前記監視信号光の受光パワーを示し、
前記制御部は、前記受光パワーに応じて前記強度変調の変調度を制御することを特徴とする付記6に記載の伝送システム。
(付記8) 前記受光情報は、前記第2伝送装置における前記監視制御に関する信号の受信の完了を示し、
前記制御部は、前記強度変調の変調度を、前記受光情報が取得される範囲内の値に制御することを特徴とする付記6に記載の伝送システム。
(付記9) 前記生成部は、前記監視信号光を出力するレーザダイオードと、前記強度変調に用いられる変調電流を前記レーザダイオードに出力する変調回路と、前記変調回路の電源ラインに接続された可変抵抗器とを有し、
前記制御部は、前記受光情報に応じて前記可変抵抗器の抵抗値を調整することにより前記強度変調の変調度を制御することを特徴とする付記6乃至8の何れかに記載の伝送システム。
(付記10) 前記生成部は、前記監視信号光を出力するレーザダイオードと、前記強度変調に用いられる変調電流を前記レーザダイオードに出力する変調回路と、前記変調回路の電源ラインに接続された抵抗器とを有し、
前記制御部は、前記抵抗器に印加される電圧を前記受光情報に応じて調整することにより前記強度変調の変調度を制御することを特徴とする付記6乃至8の何れかに記載の伝送システム。
(付記11) 主信号光を、伝送装置から伝送路を介して他の伝送装置に伝送する伝送方法において、
前記伝送装置及び前記他の伝送装置の監視制御に関する信号に基づく強度変調により監視信号光を生成し、
前記監視信号光を前記主信号光に合波し、
前記他の伝送装置から前記監視信号光の受光状態に関する受光情報を取得し、
前記受光情報に応じて前記強度変調の変調度を制御することを特徴とする伝送方法。
(付記12) 前記受光情報は、前記他の伝送装置における前記監視信号光の受光パワーを示し、
前記受光パワーに応じて前記強度変調の変調度を制御することを特徴とする付記11に記載の伝送方法。
(付記13) 前記受光情報は、前記他の伝送装置における前記監視制御に関する信号の受信の完了を示し、
前記強度変調の変調度を、前記受光情報が取得される範囲内の値に制御することを特徴とする付記11に記載の伝送方法。
(付記14) 前記伝送装置は、前記監視信号光を出力するレーザダイオードと、前記強度変調に用いられる変調電流を前記レーザダイオードに出力する変調回路と、前記変調回路の電源ラインに接続された可変抵抗器とを有し、
前記受光情報に応じて前記可変抵抗器の抵抗値を調整することにより前記強度変調の変調度を制御することを特徴とする付記11乃至13の何れかに記載の伝送方法。
(付記15) 前記伝送装置は、前記監視信号光を出力するレーザダイオードと、前記強度変調に用いられる変調電流を前記レーザダイオードに出力する変調回路と、前記変調回路の電源ラインに接続された抵抗器とを有し、
前記抵抗器に印加される電圧を前記受光情報に応じて調整することにより前記強度変調の変調度を制御することを特徴とする付記11乃至13の何れかに記載の伝送方法。
【符号の説明】
【0113】
1a,1b 伝送装置
10a,10b FPGA
20a,20b SFP
25a,25b PD
33a,33b,34a,34b フィルタ
50 電源ライン
53,53a 調整抵抗器
56 レーザダイオード
90,91 伝送路
541 パルス変調回路
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10