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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】シーラントタイヤの製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 73/20 20060101AFI20230328BHJP
   B29D 30/06 20060101ALI20230328BHJP
   B29C 48/285 20190101ALI20230328BHJP
   B05B 1/00 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
B29C73/20
B29D30/06
B29C48/285
B05B1/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019111419
(22)【出願日】2019-06-14
(65)【公開番号】P2020203395
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日野 大輔
(72)【発明者】
【氏名】鬼松 博幸
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-78457(JP,A)
【文献】特開2007-289845(JP,A)
【文献】実開昭57-17730(JP,U)
【文献】国際公開第2017/106978(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 73/00-73/34
B29D 30/00-30/72
B29C 48/00-48/96
B05B 1/00- 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ本体に塗布されるシーラント材を調製する押出機と、前記押出機に粉体材料及び液状材料を投入するノズルとを備え、
前記ノズルが、前記粉体材料を前記押出機に供給する吐出口と前記吐出口に至る粉体材料供給路とが形成された粉体ノズルと、前記粉体ノズルの前記吐出口が形成された先端部の周りを囲む外環部材とを備え、
前記粉体ノズルの前記先端部の外周面と前記外環部材の内周面との間に液状材料供給路が形成されており、
前記粉体材料供給路に撥液層がコーティングされているシーラントタイヤの製造装置。
【請求項2】
前記粉体ノズルの前記先端部の前記外周面に親液層がコーティングされている、請求項1に記載のシーラントタイヤの製造装置。
【請求項3】
前記吐出口が前記粉体ノズルの前記先端部の前記外周面の先端より凹んでいる、請求項1又は2に記載のシーラントタイヤの製造装置。
【請求項4】
前記吐出口と前記粉体ノズルの前記先端部の前記外周面との間に溝が形成されている、請求項1から3のいずれかに記載のシーラントタイヤの製造装置。
【請求項5】
前記粉体ノズルの前記先端部の前記外周面が前記外環部材の前記内周面より突出しており、前記外周面がその先端に向かって内外方向内向きに傾斜している、請求項1から4のいずれかに記載のシーラントタイヤの製造装置。
【請求項6】
(A)押出機内の主剤に粉体材料及び液状材料をノズルで投入する工程、
(B)前記主剤、前記粉体材料及び前記液状材料を混練しシーラント材を得る工程
及び
(C)前記シーラント材をタイヤ本体に塗布する工程
を含み、
前記ノズルが、前記粉体材料を前記押出機に供給する吐出口と前記吐出口に至る粉体材料供給路とが形成された粉体ノズルと、粉体ノズルの前記吐出口が形成された先端部の周りを囲む外環部材とを備え、前記粉体ノズルの前記先端部の外周面と前記外環部材の内周面との間に液状材料供給路が形成されており、前記粉体材料供給路に撥液層がコーティングされている、シーラントタイヤの製造方法。
【請求項7】
前記工程(A)において、前記ノズルから投入される前記液状材料の温度が50℃以上120℃以下である、請求項6に記載のシーラントタイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーラントタイヤの製造装置とそれを用いたシーラントタイヤの製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
シーラントタイヤでは、空気入りタイヤ本体の内周面にシーラント材が塗布されている。このタイヤのトレッドに貫通孔が形成されると、この貫通孔がシーラント材によって塞がれる。このタイヤでは、シーラント材よって空気が漏れることが抑制される。
【0003】
特許文献1(特開2016-78457号公報)には、シーラントタイヤの製造装置が開示されている。この製造装置では、主剤に、粉状の硬化剤及び液状ゴムが、ノズルで投入される。この主剤と硬化剤及び液状ゴムとが混練されて、シーラント材が調製される。このシーラント材がタイヤ本体の内周面に塗布される。
【0004】
この製造装置では、この硬化剤と液状ゴムとによって、適正な粘度のシーラント材が得られる。この製造装置では、硬化剤の外側を液状ゴムで囲んだ状態で、硬化剤及び液状ゴムが主剤に投入される。液状ゴムで囲むことで、硬化剤の飛散が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-78457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この製造装置では、硬化剤の吐出口の周りから液状ゴムが供給される。この吐出口に硬化剤が付着することがある。付着した硬化剤は、吐出口を狭める。更には吐出口を詰まらせる。この硬化剤の付着は、硬化剤の投入量にばらつきを生じさせる。この硬化剤の付着は、シーラント材の品質にばらつきを生じさせる。このばらつきは、シーラントタイヤの品質にばらつきを生じさせる。
【0007】
本発明の目的は安定した品質のシーラントタイヤが得られる製造装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るシーラントタイヤの製造装置は、タイヤ本体に塗布されるシーラント材を調製する押出機と、前記押出機に粉体材料及び液状材料を投入するノズルとを備える。
前記ノズルは、前記粉体材料を前記押出機に供給する吐出口と前記吐出口に至る粉体材料供給路とが形成された粉体ノズルと、粉体ノズルの前記吐出口が形成された先端部の周りを囲む外環部材とを備える。前記粉体ノズルの前記先端部の外周面と前記外環部材の内周面との間に液状材料供給路が形成されている。前記粉体材料供給路に撥液層がコーティングされている。
【0009】
好ましくは、前記粉体ノズルの前記先端部の前記外周面に親液層がコーティングされている。
【0010】
好ましくは、前記吐出口が前記粉体ノズルの前記先端部の前記外周面の先端より凹んでいる。
【0011】
好ましくは、前記吐出口と前記粉体ノズルの前記先端部の前記外周面との間に溝が形成されている。
【0012】
好ましくは、前記粉体ノズルの前記先端部の前記外周面が前記外環部材の前記内周面より突出している。前記外周面がその先端に向かって内外方向内向きに傾斜している。
【0013】
本発明に係るシーラントタイヤの製造方法は、
(A)押出機内の主剤に粉体材料及び液状材料をノズルで投入する工程、
(B)前記主剤、前記粉体材料及び前記液状材料を混練しシーラント材を得る工程
及び
(C)前記シーラント材をタイヤ本体に塗布する工程
を含む。
前記ノズルは、前記粉体材料を前記押出機に供給する吐出口と前記吐出口に至る粉体材料供給路とが形成された粉体ノズルと、粉体ノズルの前記吐出口が形成された先端部の周りを囲む外環部材とを備える。前記粉体ノズルの前記先端部の外周面と前記外環部材の内周面との間に液状材料供給路が形成されている。前記粉体材料供給路に撥液層がコーティングされている。
【0014】
好ましくは、前記工程(A)において、前記ノズルから投入される前記液状材料の温度が50℃以上120℃以下である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るシーラントタイヤの製造装置では、ノズルの粉体材料供給路に撥液層がコーティングされている。この粉体材料供給路に、液状材料が付着することが抑制される。液状材料の付着が抑制されることで、粉体材料の付着が抑制される。これにより、粉体材料供給路が粉体材料によって詰まることが抑制されている。この製造装置は、粉体材料を安定して供給できる。この製造装置は、シーラントタイヤの品質の安定に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るシーラントタイヤの製造装置が示された概念図である。
図2図2は、図1の製造装置のノズルの断面図である。
図3図3は、図2のノズルの底面図ある。
図4図4は、本発明の撥液性及び親液性の評価方法の説明図である。
図5図5は、図1の製造装置のノズルの使用状態が示された説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0018】
図1には、シーラントタイヤの製造装置2が示されている。この製造装置2は、押出機4、タイヤ保持装置6及び材料供給装置8を備える。図1の左右方向が製造装置2の前後方向であり、紙面に垂直な方向が左右方向である。この製造装置2では、空気入りタイヤ本体10の内周面10aにシーラント材が塗布され、シーラントタイヤが得られる。
【0019】
押出機4は、シリンダ4aと、押出ヘッド4bと、塗布ノズル4cと複数の投入口4dから4hとを備える。図示されないが、押出機4は、更に、スクリューを備える。スクリューはシリンダ4a内に回転可能に収容されている。
【0020】
押出ヘッド4bは、シリンダ4aの前端に取り付けられている。塗布ノズル4cは、押出ヘッド4bに取り付けられている。塗布ノズル4cは押出ヘッド4bからタイヤ保持装置6に延びている。図1では、塗布ノズル4cは、タイヤ本体10の内周面10aに向かって延びている。
【0021】
複数の投入口4dから4hのそれぞれは、シリンダ4aに連通している。投入口4d、4e及び4fは、押出機4の後方に位置している。言い換えると、押出方向において、投入口4d、4e及び4fは、シリンダ4aの上流側に位置している。投入口4gは、シリンダ4aの中間に位置している。投入口4hは、シリンダ4aの前方、言い換えると下流側に位置している。
【0022】
タイヤ保持装置6は、基台6a、第一移動台6b、第二移動台6c、第三移動台6d、及び保持具6eを備える。
【0023】
第一移動台6bは、基台6aに支持されている。第一移動台6bは、基台6aに対して前後方向に移動可能である。図示されないが、タイヤ保持装置6は、第一移動台6bを前後方向に移動させる第一駆動装置を備える。
【0024】
第二移動台6cは、第一移動台6bに支持されている。第二移動台6cは、第一移動台6bに対して左右方向に移動可能である。図示されないが、タイヤ保持装置6は、第二移動台6cを左右方向に移動させる第二駆動装置を備える。
【0025】
第三移動台6dは、第二移動台6cに支持されている。第三移動台6dは、第二移動台6cに対して上下方向に移動可能である。図示されないが、タイヤ保持装置6は、第三移動台6dを上下方向に移動させる第三駆動装置を備える。
【0026】
保持具6eは、第三移動台6dに支持されている。この保持具6eは、複数の保持ローラ6fを備える。例えば、保持具6eは、3本の保持ローラ6fを備える。それぞれの保持ローラ6fがタイヤ本体10に当接して、タイヤ本体10が保持される。保持具6eは、タイヤ本体10の軸方向を前後方向にして、タイヤ本体10を保持可能である。
【0027】
それぞれの保持ローラ6fはそれぞれの軸線周りに回転可能である。これにより、タイヤ本体10は保持具6eに保持された状態で回転可能である。図示されないが、保持具6eは、タイヤ本体10を回転させる回転駆動装置を備える。
【0028】
材料供給装置8は、複数の供給部12aから12hと、複数の流量計14aから14cと、ノズル16とを備える。この材料供給装置8では、供給部12aが投入口4dに、供給部12b及び12cが投入口4eに、供給部12dが投入口4fに、供給部12eが投入口4gに、供給部12fが投入口4hに接続されている。供給部12h及び供給部12gはノズル16に接続されている。このノズル16は、投入口4hの上方に配置され、投入口4hに向けられている。
【0029】
この材料供給装置8では、流量計14aが供給部12dに、流量計14bが供給部12eに、流量計14cが供給部12fに接続されている。流量計14aから14cは例示であって、流量計は、供給部12aから12c、12g及び12hの全部のそれぞれに、又はその一部に接続されていてもよい。
【0030】
図2に示される様に、ノズル16は、粉体ノズル18を構成するノズル本体20及び中環部材22と、外環部材24と、撥液層26と、親液層28とを備える。
【0031】
粉体ノズル18のノズル本体20には、軸方向一方の端面20aに吐出口32が形成されている。軸方向他方の端面20bに供給口34が形成されている。ノズル本体20には、軸線に沿って貫通する粉体材料供給路30が形成されている。この粉体材料供給路30は、供給口34から吐出口32まで延びている。粉体材料供給路30の開口断面積は、供給口34から吐出口32に向かって漸減している。また、ノズル本体20の先端部では、ノズル本体20の外径が先端に向かって漸減している。
【0032】
中環部材22には、軸方向一方の端面22aから他方の端面22bまで、貫通する挿入孔36が形成されている。中環部材22の先端部22cの外径は、端面22b側の後端部22dの外径より小さい。この挿入孔36の外径は、先端部22cにおいて、端面22aに向かって、漸増している。
【0033】
この中環部材22の挿入孔36に、ノズル本体20が挿入されている。このノズル本体20と中環部材22とから粉体ノズル18が構成されている。粉体ノズル18の先端側では、ノズル本体20と挿入孔36との間に、溝38が形成されている。図2に示される様に、ノズル本体20の端面20aは、中環部材22の端面22aより、後端側に凹んでいる。
【0034】
外環部材24には、軸方向一方の端面24aから他方の端面24bに貫通する挿入孔40が形成されている。外環部材24には、複数の連通孔42が形成されている。それぞれの連通孔42は、外環部材24の外周面24cから挿入孔40に貫通している。
【0035】
粉体ノズル18に、外環部材24が取り付けられる。中環部材22の先端部22cが外環部材24の挿入孔40に挿入されている。先端部22cの外周面22eと挿入孔40の内周面40aとの間に液状材料供給路44が形成されている。中環部材22の先端部22cは、外環部材24の端面24aより突出している。
【0036】
粉体材料供給路30に、液状材料M1で濡れ難い撥液層26がコーティングされている。この撥液層26は、シリコン系コーティングが例示される。中環部材22の先端部22cの外周面22eに、液状材料M1で濡れ易い親液層28がコーティングされている。この親液層28は、例えば、Si2系コーティングが例示される。
【0037】
図3には、図2の矢印IIIの向きに見たノズル16の底面が示されている。図3に示される様に、吐出口32は、その周りを液状材料供給路44に囲まれている。吐出口32は、液状材料供給路44の周囲開口46に囲まれている。
【0038】
ここで、図4を参照しつつ、撥液層26の撥液性と、親液層28の親液性とを評価方法が説明される。この評価方法では、評価対象のコーティング層の表面48で、液状材料M1の接触角θが測定される。この接触角θとは、水平に保持された評価対象のコーティング層の表面48に、液状材料M1をガラス細管等を用いて小粒状に滴下し、そのときの液滴の端部が表面48となす角度をいう。接触角θが大きいほど撥液性が高いことを示し、接触角θが小さいほど親液性が高いことを示す。この接触角θは、接触角測定装置を用いて測定することができる。
【0039】
図5には、ノズル16から液状材料M1と粉体材料M2が投入される様子が示されている。ノズル16の吐出口32から粉体材料M2が吐出される。周囲開口46から液状材料M1が吐出される。吐出された液状材料M1は、吐出された粉体材料M2の外側を囲んでいる。この液状材料M1と粉体材料M2との混合材料が押出機4に投入される。
【0040】
ここで、この製造装置2を用いたシーラントタイヤの製造方法が説明される。用いられるシーラント材としては、粘着性を有するものあれば特に限定されず、空気入りタイヤのパンクシールに用いられる通常のゴム組成物を使用することができる。ここでは、シーラント材として、ゴム組成物を主成分とするゴム成分に、液状材料M1としての液状ポリマーと、粉体材料M2としての硬化剤とを配合したものを用いて、説明がされる。
【0041】
このゴム成分として、例えば、ブチル系ゴムが用いられる。ブチル系ゴムとしては、ブチルゴム(IIR)の他、臭素化ブチルゴム(Br-IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl-IIR)などのハロゲン化ブチルゴム(X-IIR)等も挙げられる。ゴム成分として、更に、天然ゴム(NR)等他の成分が含まれてもよい。
【0042】
液状ポリマーとして、液状ポリブテン、液状ポリイソブテン、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエン、液状ポリα-オレフィン、液状イソブチレン、液状エチレンα-オレフィン共重合体、液状エチレンプロピレン共重合体、液状エチレンブチレン共重合体等が挙げられる。ここでは、粘着性付与等の観点から、液状ポリブテンが用いられる。
【0043】
硬化剤は、特に限定されず、従来公知の化合物を使用できるが、硬化剤はとして有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物として、例えば、ジベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド等のアシルパーオキサイド類、1-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシフタレートなどのパーオキシエステル類、メチルエチルケトンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類、ジ-t-ブチルパーオキシベンゾエート、1,3-ビス(1-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンなどのアルキルパーオキサイド類、t-ブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。ここでは、硬化剤として、ジベンゾイルパーオキサイドが用いられる。
【0044】
更に、このシーラント材は、架橋助剤を含む。この架橋助剤としては、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオ尿素系、グアニジン系、ジチオカルバミン系、アルデヒド-アミン系、アルデヒド-アンモニア系、イミダゾリン系、キサントゲン酸系、及びキノンジオキシム化合物(キノイド化合物)からなる群より選択される少なくとも1種を使用することができる。
【0045】
このシーラントタイヤの製造方法では、タイヤ本体10がタイヤ保持装置6に保持される(STEP1)。このSTEP1では、タイヤ本体10は、所定の位置で保持され、その軸線周りに回転させられる。
【0046】
押出機4で、シーラント材の材料が混練されて、シーラント材が得られる(STEP2)。このSTEP2では、押出機4の上流側の投入口4d、4e及び4fから、ブチル系ゴム等のゴム成分、無機充填剤及び架橋助剤が充填される。これらが混練されつつ、下流側に送られる。中間の投入口4gから液状ポリマーが投入される。上流側の投入口4d、4e及び4fから投入された材料と液状ポリマーとが混練されつつ、更に下流側に送られる。この混練で、シーラント材の主剤が得られる。
【0047】
下流側の投入口4hから、液状ポリマー及び硬化剤が投入される。ここでは、この投入口4hから、更に可塑剤が投入される。図5に示される様に、この液状ポリマー及び硬化剤は、ノズル16を用いて投入される。シーラント材の主剤に、液状ポリマー及び硬化剤が混練されて、シーラント材が得られる。このシーラント材は、押出ヘッド4bから押し出される。押し出されたシーラント材は、塗布ノズル4cによって、タイヤ本体10の内周面10aに向かって送られる。
【0048】
タイヤ本体10の内周面10aにシーラント材が塗布される(STEP3)。塗布ノズル4cから送り出されるシーラント材がタイヤ本体10の内周面10aに塗布される。タイヤ保持装置6は、タイヤ本体10を回転させつつ、軸方向に移動させる。これにより、内周面10aに所定の軸方向幅で、シーラント材が塗布される。このようにして、シーラントタイヤが得られる。
【0049】
製造装置2のノズル16では、吐出する粉体材料M2の周りを液状材料M1が覆っている。これにより、粉体材料M2の飛散が抑制される。この粉体材料M2は飛散すること無く、液状材料M1と共に、押出機4に投入される。
【0050】
このノズル16では、粉体材料供給路30に撥液層26がコーティングされている。これにより、粉体材料供給路30に、液状材料M1が付着し難い。液状材料M1が付着し難いので、粉体材料M2が液状材料M1と共に付着することが抑制されている。この粉体材料供給路30は、粉体材料M2の付着が抑制されている。この粉体材料供給路30は、粉体材料M2の付着よって、流路断面積が小さくなることが抑制されている。この粉体材料供給路30は、粉体材料M2の付着よって、詰まることが抑制されている。このノズル16は、粉体材料M2を安定して供給できる。
【0051】
液状材料M1の付着を抑制する観点から、撥液層26の接触角θは、好ましくは90°以上であり、更に好ましくは100°以上である。接触角θの上限は特に限定されないが、例えば120°以下である。
【0052】
このノズル16では、液状材料供給路44を形成する粉体ノズル18の外周面22eに親液層28がコーティングされている。この外周面22eに、液状材料M1とが付着し易い。液状材料M1は、この外周面22eに沿って流れ易い。このノズル16では、液状材料M1の飛散が抑制されている。
【0053】
液状材料M1が付着し易い観点から、親液層28の接触角θは、好ましくは30°以下であり、更に好ましくは15°以下である。接触角θの下限は特に限定されないが、例えば5°以上である。
【0054】
このノズル16では、ノズル本体20の端面20aは、中環部材22の端面22aより内側に位置している。従って、吐出口32は、粉体ノズル18の外周面22eの先端より凹んでいる。外周面22eに案内される液状材料M1が、吐出口32に向かって飛ぶことが抑制されている。これにより、吐出口32に液状材料M1が付着することが抑制されている。この端面20aと端面22aとの両方又はいずれかにも、撥液層26が形成されてもよい。これにより、吐出口32に液状材料M1が付着することが更に抑制されている。
【0055】
このノズル16では、吐出口32と外周面22eとの間に、溝38が形成されている。この溝38は、吐出口32と外周面22eとの間で、上方に向かって凹んでいる。外周面22eに案内される液状材料M1が、吐出口32に向かって流れることが抑制されている。これにより、吐出口32に液状材料M1が付着することが抑制されている。更に、この溝38を形成する、ノズル本体20の外周面と中環部材22の挿入孔36の内周面とに、撥液層26が形成されてもよい。これにより、吐出口32に液状材料M1が付着することが更に抑制されている。
【0056】
このノズル16では、外周面22eは外環部材24の挿入孔40の内周面40aより突出している。この外周面22eは、液状材料M1を案内し易い。更に、外周面22eは、その先端に向かって内外方向内向きに傾斜している。この外周面22eは、吐出口32から吐出する粉体材料M2の周りに向かって液状材料M1を案内し易い。更に、挿入孔40の内周面40aに、撥液層26が形成されてもよい。これにより、この外周面22eは、更に、液状材料M1を案内し易い。
【0057】
このシーラントタイヤの製造方法では、ノズル16から吐出される液状材料M1は適度の温度に加温されることが好ましい。適度の温度の液状材料M1は、押出機4での混練を容易にする。この混練を容易にする観点から、液状材料M1の温度は、好ましくは50℃以上である。同様の観点から、この温度は、好ましくは120℃以下である。この温度は、ノズル16の吐出口32で測定される。この液状材料M1の温度変化を抑制する観点から、粉体材料M2も、同様の温度に加温されることが好ましい。この温度は、ノズル16から吐出された直後の粉体材料M2で測定される。
【0058】
このノズル16は、ノズル本体20と中環部材22と外環部材24とから形成されている。ノズル本体20の粉体材料供給路30に撥液層26がコーティングされている。中環部材22の外周面22eに親液層28がコーティングされている。ノズル本体20と中環部材22とに分けることで、撥液層26と親液層28との別々のコーティングが容易できる。更に、中環部材22と外環部材24とに分かれることで、外周面22eに親液層28が容易にコーティングできる。
【0059】
なお、このノズル16は、ノズル本体20と中環部材22と外環部材24とから組み立てられたが、これに限られない。ノズル本体20と中環部材22と外環部材24とのいずれか2つが又は全部が一体で形成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上説明された製造装置とこの製造装置を用いた製造方法は、シーラントタイヤの製造に広く適用されうる。
【符号の説明】
【0061】
2・・・製造装置
4・・・押出機
10・・・タイヤ本体
10a・・・内周面
16・・・ノズル
18・・・粉体ノズル
20・・・ノズル本体
22・・・中環部材
22e・・・外周面
24・・・外環部材
26・・・撥液層
28・・・親液層
30・・・粉体供給路
32・・・吐出口
38・・・溝
40・・・挿入孔
40a・・・内周面
44・・・液状材料供給路
46・・・周囲開口
図1
図2
図3
図4
図5