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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   B64F 3/00 20060101AFI20230328BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20230328BHJP
   B64F 3/02 20060101ALI20230328BHJP
   B64U 50/30 20230101ALI20230328BHJP
   B64U 101/30 20230101ALN20230328BHJP
【FI】
B64F3/00
B64C39/02
B64F3/02
B64U50/30
B64U101:30
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019159642
(22)【出願日】2019-09-02
(65)【公開番号】P2021037818
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】工藤 拓
(72)【発明者】
【氏名】羽田 芳朗
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-077395(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0012020(KR,A)
【文献】特開2014-169038(JP,A)
【文献】特開2016-179742(JP,A)
【文献】特開2017-052389(JP,A)
【文献】特表2015-531718(JP,A)
【文献】米国特許第10364026(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0185346(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0200437(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0011600(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/00 - 5/60
B64C 1/00 - 99/00
B64U 10/00 - 101/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置と飛行体とを接続するケーブルの長さと、前記飛行体と前記ケーブルとの接続箇所における前記ケーブルの傾きと、前記接続箇所において前記飛行体に対して前記ケーブルから掛かる張力と、前記飛行体と前記制御装置との間の高度差とに基づいて、前記飛行体に対して前記ケーブルから掛かる水平方向の外力が第1の閾値以下となる第1のケーブル長を求める処理部と、
前記第1のケーブル長に基づいて、前記ケーブルの長さを調節する指示を出力する調節部と、
を含む、制御装置。
【請求項2】
前記処理部は、更に、前記飛行体に対して前記ケーブルから掛かる垂直方向の外力が第2の閾値以下となる第2のケーブル長を求め、
前記調節部は、前記第1のケーブル長と、前記第2のケーブル長とに基づいて、前記ケーブルの長さを調節する指示を出力する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
制御装置と飛行体とを接続するケーブルの長さと、前記飛行体と前記ケーブルとの接続箇所における前記ケーブルの傾きと、前記接続箇所において前記飛行体に対して前記ケーブルから掛かる張力と、前記飛行体と前記制御装置との間の高度差とに基づいて、前記飛行体に対して前記ケーブルから掛かる水平方向の外力が第1の閾値以下となる第1のケーブル長を求め、
前記第1のケーブル長に基づいて、前記ケーブルの長さを調節する指示を出力する、
ことを含む、コンピュータが実行する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、橋梁などのインフラストラクチャー(以下、インフラと呼ぶことがある)といった構造物の検査に、ドローンなどの飛行体を用いて撮影した構造物の外側表面の画像を利用する試みがなされている。また、こうした飛行体に対する給電方式の一例として、電源装置からケーブルで給電を行う方式がある。
【0003】
これに関し、ケーブルを用いた給電に関連する技術が知られている(例えば、特許文献1から特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-169038号公報
【文献】特開2017-052389号公報
【文献】特開2016-179742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、給電などのために飛行体にケーブルを接続した場合、ケーブルに起因する外力によって、飛行体の姿勢が影響を受けてしまうことがある。その結果、検査対象の構造物の画像撮影効率が低下してしまうことがある。
【0006】
1つの側面では、本発明は、飛行体にケーブルを接続した場合におけるケーブルが飛行体に与える影響を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様の制御装置は、処理部と、調節部と、を含む。処理部は、制御装置と飛行体とを接続するケーブルの長さと、飛行体とケーブルとの接続箇所におけるケーブルの傾きと、接続箇所において飛行体に対してケーブルから掛かる張力と、飛行体と制御装置との間の高度差とに基づいて、飛行体に対してケーブルから掛かる水平方向の外力が第1の閾値以下となる第1のケーブル長を求める。調節部は、第1のケーブル長に基づいて、ケーブルの長さを調節する指示を出力する。
【発明の効果】
【0008】
ケーブルが飛行体に与える影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る検査システムを例示する図である。
図2】実施形態に係る飛行体のブロック構成を例示する図である。
図3】実施形態に係る制御装置のブロック構成を例示する図である。
図4】実施形態に係る検査システムのケーブルの状態を例示する図である。
図5】実施形態に係るケーブルの張力Tの水平方向と垂直方向への分解を例示する図である。
図6】L<Lである場合におけるケーブルの長さの調節速度の制御を例示する図である。
図7】L>Lである場合におけるケーブルの長さの調節速度の制御を例示する図である。
図8】実施形態に係るケーブルの長さの制御処理の動作フローを例示する図である。
図9】第2の実施形態に係るケーブルの長さの制御処理の動作フローを例示する図である。
図10】例示的な飛行体の飛行姿勢に応じた撮影範囲を示す図である。
図11】実施形態に係る制御装置を実現するためのコンピュータのハードウェア構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。なお、複数の図面において対応する要素には同一の符号を付す。
【0011】
図1は、実施形態に係る検査システム100を例示する図である。図1には、検査対象の構造体150が示されている。構造体150は、例えば、橋梁などであってよい。また、検査システム100は、飛行体101と、制御装置102とを含む。
【0012】
飛行体101は、例えば、ドローンなどの無人航空機であってよく、カメラなどの撮影装置111を含み、構造体150の検査対象の領域151を撮影する。飛行体101は、ケーブル103により制御装置102と接続されていてよい。
【0013】
制御装置102は、ケーブル103の長さを調節する駆動部121を含み、ケーブル103の長さを制御する。また、一例では、制御装置102は、ケーブル103を介して飛行体101に電力を供給してよい。制御装置102は、高度を計測するための高度センサ122を備えていてよい。
【0014】
また、ケーブル103と、飛行体101との接続箇所104には飛行体101に関する情報を計測する飛行体センサ140が取り付けられていてよい。飛行体センサ140は、例えば、傾きセンサ141と、張力センサ142と、高度センサ143とを含む。傾きセンサ141は、例えば、ケーブル103と飛行体101との接続箇所104において、ケーブル103の重力方向または水平方向に対する角度を計測するためのセンサであってよい。張力センサ142は、例えば、ケーブル103に掛かる張力を計測するセンサである。高度センサ143は、例えば、気圧計などの飛行体101の高度を計測するためのセンサである。高度センサ143で計測される高度は、例えば、飛行体101の高度として用いることができる。なお、別の例では、飛行体センサ140に含まれるこれらのセンサは、飛行体101に搭載されていてもよい。また、制御装置102は、検査対象の構造体150を撮影する際には、一例では、飛行体101よりも高い高度に配置されていてよい。
【0015】
図2は、実施形態に係る飛行体101のブロック構成を例示する図である。飛行体101は、例えば、制御部201、記憶部202、通信部203、駆動制御部205、および駆動部206を含む。制御部201は、飛行体101の各部を制御する。記憶部202は、例えば、飛行体の制御に関するプログラムや情報を記憶していてよい。通信部203は、例えば、制御部201の指示に従って制御装置102、および飛行体101を操縦する信号を出力する操縦装置250と通信してよい。なお、通信部203と、制御装置102および操縦装置250との間の通信は、例えば、Wi-Fi(登録商標)などを用いた無線通信であってもよく、ケーブル103を介した有線接続であってもよい。駆動部206は、例えば、プロペラとプロペラを駆動するためのモータ、飛行体101の舵を制御する装置などの飛行体101の飛行を制御するための装置を含んでよい。制御部201は、例えば、操縦装置250から入力された指示に応じて駆動制御部205に指示を出力する。駆動制御部205は、制御部201からの指示に従って駆動部206を制御し、それによって、飛行体101は、操縦装置250から入力された指示に応じた飛行を行ってよい。また、飛行体101にはケーブル103が接続されていてよい。一例では、ケーブル103は、制御装置102からの電力を飛行体101に供給するために用いられてよい。
【0016】
図3は、実施形態に係る制御装置102のブロック構成を例示する図である。制御装置102は、例えば、制御部301、記憶部302、通信部303、高度センサ122、長さセンサ305、駆動制御部306、駆動部121、および電源装置308を含む。制御部301は、制御装置102の各部を制御する。制御部301は、例えば処理部311、および調節部312などを含む。記憶部302は、例えば、後述するケーブル103の1m当たりの重さw、重力加速度g、閾値Tおよび閾値Tなどの情報を記憶していてよい。通信部303は、例えば、制御部301の指示に従って無線通信などを用いて飛行体センサ140と接続し、飛行体センサ140から計測値を収集してよい。なお、別の実施形態では、飛行体センサ140からの計測値は飛行体101に送信されてよく、制御部301は、飛行体センサ140の計測値を飛行体101から受信してもよい。高度センサ122は、例えば、気圧計などの制御装置102の設置された高度として利用可能な高度情報を計測するセンサである。駆動部121は、ケーブル103の繰出しや巻き取りを行う電動リールなどのモータを備える装置であってよい。駆動制御部306は、制御部301の指示に従って、例えば、モータの回転などの駆動部121の駆動を制御する。長さセンサ305は、例えば、飛行体101と制御装置102との間で駆動部121が繰出したり、巻き取ったりするケーブル103の長さを計測する。一例では、長さセンサ305は、ロータリーエンコーダー等の装置により駆動部の回転動作を計測し、それに基づいて飛行体101と制御装置102との間のケーブル103の長さを計算してよい。電源装置308は、例えば、制御装置102の各部に電力を供給する。また、一例では、電源装置308は、ケーブル103を介して飛行体101に電力を供給してよい。
【0017】
そして、以下で述べる実施形態では、制御装置102の制御部301は、駆動部121によるケーブル103の繰出しと巻き取りを制御して、ケーブル103の長さを調節する。例えば、制御部301は、飛行体センサ140で計測された計測値と、制御装置102の高度センサ122および長さセンサ305の計測値とに基づいて、ケーブル103の長さを制御してよい。なお、飛行体センサ140で計測される計測値は、例えば、高度センサ143で計測される飛行体の高度を表す情報と、ケーブル103および飛行体101の接続箇所104におけるケーブル103の角度およびケーブル103に掛かる張力を含む。そして、実施形態では、制御部301は、ケーブル103の長さを調節することで、飛行体101に掛かるケーブル103による外力を抑え、飛行体101の飛行を安定させる。そのため、飛行体101は、撮影の際に機体を安定に保つことができ、検査対象の検査に利用する画像を効率的に撮影することが可能となる。なお、機体が安定であるとは、一例では、飛行中に機体を所定の誤差範囲内で水平に保つことであってよい。例えば、飛行体101に掛かる水平方向の外力を十分に小さくすることで、飛行体101の姿勢を水平に維持することが可能である。
【0018】
以下、飛行体101に掛かる外力を抑制するためのケーブル103の長さの制御について説明する。
【0019】
図4は、実施形態に係る検査システム100のケーブル103の状態を例示する図である。図4では、ケーブル103が属する平面におけるケーブル103の形状を示すグラフが示されている。図4において、縦軸は重力方向であってよく、また、横軸は重力に垂直な水平方向であってよい。また、図4のグラフは、ケーブル103の最下点の位置を原点としている。グラフにおいて飛行体101の座標が(x,y)で示されている。また、ケーブル103の送り出し位置(即ち、制御装置102の位置)の座標が(x,y)で示されている。2点を結ぶ曲線は、重力で垂れ下がるケーブル103の形状を示している。そして、この様な2点間を結ぶ重力で垂れ下がるケーブル103などの紐状の物体の形状は下記の式1に示すカテナリー曲線で表現することができる。カテナリー曲線の式は、紐の張力と紐の重量のつり合いの関係から導出される。
【数1】
【0020】
式1において、a′は、カテナリー曲線の形状を決定する値であり、以下ではカテナリーパラメータと呼ぶことがある。a′は、以下の式2で導出される。
【数2】
【0021】
式2においてT:紐の張力、w:紐の1m当たりの重さ、g:重力加速度、θ:紐がx軸に対してなす角を表す。また、飛行体101とケーブル103送り出し位置の高度差はYとする。なお、T、w、g、θ、Yは予め取得することが可能な既知の値である。例えば、Tは、飛行体センサ140の張力センサ142から取得することができる。θは、飛行体センサ140の傾きセンサ141から取得することができる。高度差Yは、飛行体センサ140の高度センサ143で計測された高度と、制御装置102の高度センサ122で計測された高度との差分から取得することができる。wは、予め単位長当たりの紐の重力を計測しておくことで取得可能である。重力加速度:gも既知の値である。
【0022】
そして、実施形態では制御装置102の制御部301は、例えば、カテナリー曲線の式を用いて、ケーブル103の長さと、ケーブル103が飛行体101に及ぼす張力との関係を導出する。更に、制御部301は、得られた関係に基づいて、飛行体101が安定して飛行することが可能と判断される所定値以下の張力となるようにケーブル103の長さを調節する。
【0023】
なお、飛行体101の外力に対する安定性は、例えば、飛行体101の重量に依存している。そのため、飛行体101が安定して飛行することが可能と判断される許容可能な外力は、一実施形態においては、飛行体101の重量に基づいて決定されてよい。一例では、飛行体101に対する許容可能な外力は、飛行体101の重量の5%以下であってよく、また、飛行体101に対する許容可能な水平方向の外力は、飛行体101の重量の1%以下であってよい。
【0024】
或いは、例えば、飛行体101の推力は、飛行体101の重量の2倍または3倍など飛行体101の重量に応じた値に設定されることが多く、また、飛行体101が外力を受けた場合に、外力に対して飛行体101が抵抗する力も推力に応じて決まる。そのため、別の実施形態では飛行体101に対する許容可能な外力は、飛行体101の推力に基づいて決定されてもよい。例えば、飛行体101に対する許容可能な水平方向の外力は、飛行体101の推力の1%以下であってよく、好ましくは、0.5%以下であってよい。例えば、飛行体101に対する許容可能な水平張力を0.5%以下とし、機体の推力を14kgfとする。この場合、閾値となる0.5%における水平張力:Tは、T=0.005×(14×9.8)=0.686[N]と設定することができる。
【0025】
また、例えば、飛行体101に対する許容可能な垂直方向の外力は、飛行体101の推力の5%以下であってよく、好ましくは、2.5%以下であってよい。例えば、飛行体101に対する許容可能な垂直張力を2.5%以下とし、機体の推力を14kgfとする。この場合、閾値となる2.5%における垂直張力:Tは、T=0.025×(14×9.8)=3.43[N]と設定することができる。
【0026】
続いて、設定した水平張力の閾値Tを満たすケーブル103の長さの決定について、以下に述べる。上述のように、T:紐の張力、w:紐の1m当たりの重さ、g:重力加速度、θ:紐がx軸に対してなす角は既知の値である。一方、図4において(x,y)、(x,y)は未知である。まず、(x,y)、(x,y)の導出について説明する。
【0027】
(x,y)におけるカテナリー曲線の接線の傾きは、以下の式3で表すことができる。
【数3】
【0028】
また、カテナリー曲線の接線の傾きは式1の微分でも表すことができ、以下の式4の通りとなる。
【数4】
【0029】
よって、xは以下の通り導出できる。
【数5】
【0030】
また、yはカテナリー曲線の式1にxを当てはめることで求めることができ、以下となる。
【数6】
【0031】
以上により、制御部301は、(x,y)を導出することができる。
【0032】
続いて、(x,y)の導出について説明する。まず、yとyとの高度差Yは、上述のように、飛行体センサ140の高度センサ143で計測された高度と、制御装置102の高度センサ122で計測された高度との差分から取得することができる。従って、yは、yとの高度差Yとから、y=y+Yで求めることができる。
【0033】
また、xは、以下の式の変形により求めることができる。
【数7】
【0034】
以上により、制御部301は、(x,y)および(x,y)を導出することができる。
【0035】
続いて、(x,y)、(x,y)を結ぶカテナリー曲線の長さの導出について述べる。y=f(x)で表される曲線の区間a~bにおける長さは、以下の式5で表すことができる。
【数8】
【0036】
式5を、計測時のカテナリー曲線に当てはめると、カテナリー曲線の区間a~bでのケーブル103の長さL’は以下のように表すことができる。
【数9】
【0037】
ここで積分区間を図4の原点から左側と右側に分割し、x~0と0~xとすると、L’は以下となる。
【数10】
【0038】
右辺の第一項はxが負の値をとるため正になるが、長さの値にマイナスをつけることは直感的に違和感を伴い得るため、下記のように絶対値をとって表すことができる。
【数11】
【0039】
ところで、a′は式2に示すように、張力Tと角度θに応じて定まるパラメータであるが、これは(x,y)、(x,y)が固定された場合、ケーブル103の長さによって変動する値である。よって任意の長さLにおけるカテナリーパラメータをaとすると、上記の式6は以下の式7に書き換えることができる。
【数12】
【0040】
以上の式7により、カテナリーパラメータaとケーブル103の長さLとの関係が得られる。
【0041】
続いて、ケーブル103の張力Tとカテナリーパラメータaとの関係を考える。ケーブル103の張力は図5に示すように、飛行体101に対して斜めに働くため、水平方向の張力Tと垂直方向の張力Tとに力を分解することができる。
【0042】
ここで、水平方向の張力Tとカテナリーパラメータaとの関係は容易に導出できる。まず、aの定義は式2に基づき以下の通りで表すことができる。
【数13】
【0043】
ここで、図5に示すように、張力Tとすると、水平張力Tとの関係は、T×cos(θ)=Tで表すことができ、これを式8に代入すると、以下の式9が得られる。
【数14】
【0044】
次に、垂直方向の張力Tは、図4に示すケーブル103の最下点から飛行体101までの部分の重さであると考えられる。この部分のケーブル103の長さは、上述のケーブル103の長さを示す式7の以下の項で表されている。
【数15】
【0045】
この長さに単位長当たりのケーブル103の重さを示すwgを掛け、Tは以下の式10で表すことができる。
【数16】
【0046】
この式はa=の形に変換することができないため、ニュートン法等の数値解析的手法によってTに対応するaを計算してよい。ここでは、その計算結果を便宜的にa=F(T)と記す。
【0047】
以上において、a=T/wgおよびa=F(T)の2つの式が得られる。ここで、a=T/wgは水平張力Tを働かせるようなケーブル103形状のカテナリーパラメータを示しており、この式におけるカテナリーパラメータを、以下ではaとする。また、a=F(T)は垂直張力Tを働かせるようなケーブル103形状のカテナリーパラメータを示しており、この式におけるカテナリーパラメータを、以下ではaとする。
【0048】
ここで、aの式は単純増加であり、aの式は単純減少である。また、ケーブル103の長さLに対するカテナリーパラメータaの式である式7は単純減少である。これは、以下の2つの事柄を示す。
1.Tが大きくなるほどにaは大きくなり、Lは小さくなる。
2.Tが大きくなるほどにaは小さくなり、Lは大きくなる。
【0049】
つまり、ケーブル103の長さが短いときには横に引っ張られる力がおおきくなり、ケーブル103の長さが長いときにはケーブル103自体の重量により垂直に引っ張られる力が大きくなる。
【0050】
そして、実施形態では制御部301は、水平張力を所定の閾値以下に抑える制御を実行してよい。例えば、ある水平張力を与えるケーブル103の長さを、第1のケーブル長:Lとすると、Lは式7により以下の式11で表すことができる。
【数17】
【0051】
なお、式11においてaは、閾値となる水平張力Tが決まれば、上述の式9を用いて以下の式12により求めることができる。
【数18】
【0052】
従って、水平張力を所定の閾値以下にするためには、制御部301は、ケーブル103の長さをLよりも長くするように駆動部121を制御すればよい。
【0053】
また、実施形態では制御部301は、垂直張力を所定の閾値以下に抑える制御を実行してよい。例えば、ある垂直張力を与えるケーブル103の長さを、第2のケーブル長:Lとすると、Lは式7により以下の式13で表すことができる。
【数19】
【0054】
なお、式13においてaは、閾値となる垂直張力Tが決まれば、上述のa=F(T)を用いて求めることができる。
【0055】
従って、垂直張力を所定の閾値以下にするためには、制御部301は、ケーブル103の長さをLより短くするように制御すればよい。
【0056】
そして、実施形態では制御部301は、LおよびLの少なくとも一方の値を用いて、ケーブル103の長さの制御を行ってよい。
【0057】
一例として、L<Lである場合を考える。この場合は、制御部301は、制御装置102が備える長さセンサ305で現在のケーブル103の長さLを測定する。そして、現在のケーブル103の長さLがLからLの範囲に収まるように、ケーブル103の長さを制御する。
【0058】
図6は、実施形態に係るL<Lである場合におけるケーブル103の長さの調節速度の制御を例示する図である。なお、図6の例では、駆動部121は、電動リールであってよい。また、速度Vが正の場合、制御部301は、ケーブル103を伸ばすように駆動制御部306に指示を出力し、駆動制御部306は、ケーブル103を伸ばす方向に駆動部121を回転させるものとする。一方、速度Vが負の場合、制御部301は、ケーブル103を短くするように駆動制御部306に指示を出力し、駆動制御部306は、ケーブル103を短くする方向に駆動部121を回転させるものとする。回転速度Vは、例えば、L<Lの場合はα(L-L)とし、L<L<Lの場合は0とし、L>Lの場合はα(L-L)としてよい。ここで、αは比例定数であり、回転速度の変化の急峻さを調節するパラメータである。また、回転速度には上限および下限が設けられていてもよい。
【0059】
以上で述べた制御によれば、制御装置102の駆動部121は、ケーブル103の長さがLより短い時にはケーブル103を伸ばし、Lより長い時にはケーブル103を巻き取るように動作する。それによって、水平張力をT以下に抑え、また、垂直張力をT以下に抑えることができる。なお、別の実施形態では駆動部121の回転は、α(L-L)およびα(L-L)の代わりに、所定の速度で制御されてもよい。
【0060】
続いて、L>Lの場合を考える。この場合、制御部301は、水平張力と垂直張力を同時に閾値以下に制御しようとしても、水平張力を小さくするためにケーブル103の長さを長くすると、それが垂直張力を増大させてしまい垂直張力の上限に達してしまう。そのため、制御部301は、一例では、水平張力と垂直張力に優先順位をつけてケーブル103の長さを制御してもよい。例えば、飛行体101が移動する際の直進性に与える影響を抑えることを考えると、水平張力を閾値以下に抑えることが望ましい。そのため、水平張力を優先または選択し、垂直張力は閾値よりも増大することを許容することが考えられる。この場合、制御部301は、ケーブル103の長さLを、例えばLに近づけるように、ケーブル103の繰出しと巻き取りの制御を実行してよい。
【0061】
図7は、L>Lである場合におけるケーブル103の長さの調節速度の制御を例示する図である。図7においても速度Vが正の場合、制御部301は、ケーブル103を伸ばすように駆動制御部306に指示を出力し、駆動制御部306は、ケーブル103を伸ばす方向に駆動部121を回転させるものとする。また、速度Vが負の場合、制御部301は、ケーブル103を短くするように駆動制御部306に指示を出力し、駆動制御部306は、ケーブル103を短くする方向に駆動部121を回転させるものとする。この場合、回転速度は、一例では、α(L-L)で設定されてよい。αは比例定数であり、回転速度の変化の急峻さを調節するパラメータである。また、回転速度には上限と下限が設けられていてもよい。
【0062】
具体的な制御としては、例えば、制御部301は、所定周期(5Hz~20Hzなど)でLを計算し、現在のケーブル103の長さがLに近づくようにケーブル103の繰出しと巻き取りを制御してよい。なお、別の実施形態では、制御部301は、Lを優先または選択して制御をおこなってもよい。この場合、制御部301は、例えば、ケーブル103の長さLをLに近づけるように、ケーブル103の繰出しと巻き取りの制御を実行してよい。
【0063】
以上で述べたように、実施形態によれば、Lに基づいてケーブル103の長さを制御することで、水平張力が閾値以下となるようにケーブル103の長さを調節することができる。そのため、飛行体101の飛行の安定性を高めることができる。その結果、飛行体101で検査対象の領域151の画像を効率よく撮影することが可能になる。
【0064】
また、実施形態によれば、Lに基づいてケーブル103の長さを制御することで、垂直張力が閾値以下となるようにケーブル103の長さを調節することができる。そのため、飛行体101は、例えば、少ない推力で飛行することが可能であり、飛行体101の飛行の安定性や運動性能を高めることができる。
【0065】
以下、実施形態に係る制御装置102の制御部301が実行するケーブル103の長さの制御処理の動作フローを説明する。図8は、実施形態に係るケーブル103の長さの制御処理の動作フローを例示する図である。制御部301は、例えば、制御装置102とケーブル103で繋がれた飛行体101の稼働を開始すると、図8の動作フローを開始してよい。
【0066】
ステップ801(以降、ステップを“S”と記載し、例えば、S801と表記する)において制御装置102の制御部301は、検査システム100に含まれる各種のセンサから計測値を収集する。例えば、制御装置102の制御部301は、飛行体センサ140の傾きセンサ141および張力センサ142とから接続箇所104におけるケーブル103の角度と、接続箇所104でケーブル103に掛かる張力とを収集してよい。また、制御部301は、飛行体センサ140の高度センサ143と、制御装置102が備える高度センサ122とから、飛行体101と制御装置102とのそれぞれの高度を表す計測値を収集する。更に、制御部301は、長さセンサ305から飛行体101と制御装置102との間の現在のケーブル103の長さの情報を収集する。一例では、長さセンサ305は、制御部301が駆動制御部306に出力した指示や、ケーブル103の繰出しと巻き取りを行う駆動部121の基準となる位置からの回転の回数などに基づいて、現在のケーブル103の長さを見積もってよい。
【0067】
S802において制御部301は、収集した計測値に基づいて、現在の制御装置102と飛行体101との位置関係を特定する。そして、制御部301は、特定した位置関係に基づいて飛行体101とケーブル103との接続箇所104に掛かる水平張力を所定の閾値以下に抑えるケーブル103の長さの閾値:Lを求める。ケーブル103の長さの閾値:Lは、一例では、上述の式11により計算されてよい。
【0068】
S803において制御部301は、現在のケーブル103の長さLが、閾値:Lよりも長いか否かを判定する。現在のケーブル103の長さLが、ケーブル103の長さの閾値:Lよりも長い場合(S803がYes)、フローはS804に進む。S804で制御部301は、ケーブル103を巻き取るように駆動制御部306に指示を出力し、フローはS806に進む。
【0069】
一方、現在のケーブル103の長さLが、ケーブル103の長さの閾値:L未満である場合(S803がNo)、フローはS805に進む。S805で制御部301は、ケーブル103を繰出すように駆動制御部306に指示を出力し、フローはS806に進む。
【0070】
S806において制御部301は、飛行体101が稼働を停止したか否かを判定する。飛行体101が稼働を停止していない場合(S806がNo)、フローはS801に戻り、処理を繰り返す。一方、飛行体101が停止している場合(S806がYes)、本動作フローは終了する。
【0071】
以上で述べたように、図8の動作フローによれば、Lに近づくようにケーブル103の長さが制御される。そのため、飛行体101とケーブル103との接続箇所104における水平方向の張力を、所定の閾値以下に抑えることができる。それによって、飛行体101の飛行の姿勢(例えば、水平方向の姿勢)を安定させることが可能である。なお、この様に、飛行体の水平方向の姿勢を水平に維持することが可能な技術はこれまでになく、有用である。
【0072】
また、図8では、Lを用いてケーブル103の長さを制御する例を述べているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、別の実施形態では、Lを用いてケーブル103の長さを制御してもよい。以下の第2の実施形態では、図6を参照して上記したように、LおよびLの両方を用いてケーブル103の長さを制御する例を述べる。
【0073】
図9は、第2の実施形態に係るケーブル103の長さの制御処理の動作フローを例示する図である。例えば、制御装置102とケーブル103で繋がれた飛行体101の稼働を開始すると、図9の動作フローを開始してよい。
【0074】
S901において制御部301は、検査システム100に含まれる各種のセンサから計測値を収集する。制御部301は、例えば、上述のS801で述べたように、飛行体101とケーブル103との接続箇所104におけるケーブル103の角度と張力、飛行体101および制御装置102の高度、並びに現在のケーブル103の長さの情報を収集してよい。
【0075】
S902において制御部301は、収集した計測値に基づいて、現在の制御装置102と飛行体101との位置関係を特定する。そして、制御部301は、特定した位置関係に基づいて、飛行体101とケーブル103との接続箇所104に掛かる水平張力を所定の閾値以下に抑えるケーブル103の長さの閾値:Lを求める。ケーブル103の長さ:Lは、一例では、上述の式11により計算されてよい。
【0076】
S903において制御部301は、S902で特定した現在の制御装置102と飛行体101との位置関係に基づき、飛行体101とケーブル103との接続箇所に掛かる垂直張力を所定の閾値以下に抑えるケーブル103の長さの閾値:Lを求める。ケーブル103の長さ:Lは、一例では、上述の式13により計算されてよい。
【0077】
S904において制御部301は、現在のケーブル103の長さLが、ケーブル103の長さの閾値:Lよりも短いか否かを判定する。現在のケーブル103の長さLが、ケーブル103の長さの閾値:Lよりも短い場合(S904がYes)、フローはS905に進む。S905で制御部301は、ケーブル103を繰出すように、駆動部121を制御し、フローはS908に進む。
【0078】
一方、S904において現在のケーブル103の長さLが、ケーブル103の長さの閾値:L以上である場合(S904がNo)、フローはS906に進む。
【0079】
S906において制御部301は、現在のケーブル103の長さLが、ケーブル103の長さの閾値:Lよりも長いか否かを判定する。現在のケーブル103の長さLが、ケーブル103の長さの閾値:Lよりも長い場合(S906がYes)、フローはS907に進む。S907で制御部301は、ケーブル103を巻き取るように、駆動部121を制御し、フローはS908に進む。
【0080】
一方、S906において現在のケーブル103の長さLが、ケーブル103の長さの閾値:L以下である場合(S906がNo)、フローはS908に進む。
【0081】
S908において制御部301は、飛行体101が稼働を停止したか否かを判定する。飛行体101の稼働が停止していない場合(S908がNo)、フローはS901に戻り、処理を繰り返す。一方、飛行体101の稼働が停止している場合(S908がYes)、本動作フローは終了する。
【0082】
以上の図9の動作フローによれば、長さがLとLとの間に収まるように、ケーブル103の長さが制御される。そのため、飛行体101にケーブル103から掛かる水平張力と垂直張力とを抑えることができ、飛行体101の飛行を安定させることが可能である。
【0083】
以上で述べたように、実施形態によれば、飛行体101の挙動に対するケーブル103の影響を抑えることができる。
【0084】
例えば、上述の実施形態では、ケーブル103から受ける水平方向の外力を考慮してケーブル103の長さを制御するため、飛行体101の機体を所定の誤差範囲以下で水平に保つことができる。そのため、例えば、検査対象の画像を撮影する際などに、ユーザが望む画角で画像を撮影することが容易になる。また、例えば、撮影装置111の撮影範囲に対して大きなサイズを有する検査対象の構造体150を撮影する際に、撮影姿勢が一定の複数の画像を撮影することが可能になる。そのため、検査対象の検査に利用する画像の撮影効率を向上させることができる。
【0085】
図10は、例示的な飛行体101の飛行姿勢に応じた撮影範囲1001を示す図である。図10(a)では、撮影時の飛行体101の姿勢が一定ではなく、撮影範囲1001の向きにばらつきがあり、撮影漏れしている箇所や、重複して撮影されている箇所が発生している。一方、図10(b)では、撮影時の飛行体101の姿勢が一定であるため、撮影範囲1001の向きが均一で重複や撮影漏れを抑えて撮影を行うことができている。このように、飛行体101の姿勢を安定させることで、撮影効率を向上させることが可能である。
【0086】
また、例えば、上述の実施形態によればGPS(Global Positioning System)等の測位技術を使わなくても、飛行体101がケーブル103から受ける外力が十分に小さくなるようにケーブル103の長さを制御することができる。例えば、飛行体101で検査対象の構造体150の画像を撮影する場合に、飛行体101が構造体150に近接することがある。例えば、このような状況では構造体150によって遮蔽されることでGPS等の測位技術が実用的に使用できない環境もある。しかしながら、実施形態によれば、GPS等の測位技術が実用的に使用できない環境でも、ケーブル103の長さを適切に調節することができる。
【0087】
以上において、実施形態を例示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の動作フローは例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。可能な場合には、動作フローは、処理の順番を変更して実行されてもよく、別に更なる処理を含んでもよく、または、一部の処理が省略されてもよい。例えば、図9のS903とS904の処理は順序を入れ替えて実行されてもよい。
【0088】
また、上述の実施形態では、GPS等の測位技術を使わずに、ケーブル103の長さを調節する例を述べているが実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、別の実施形態では制御部301は、GPS等の測位技術を用いて、飛行体101および制御装置102の位置を測位し、得られた位置情報を図4のxおよびxなどの位置の特定に利用してもよい。
【0089】
また、上述の実施形態においてケーブル103は、一例では、飛行体101に電力を供給する電力線として用いられてよい。ケーブルを介して飛行体101に給電を行うことで、例えば、飛行体101のバッテリの交換、運搬、および充電といった作業を行わなくてもよく、運用の効率化を図ることができる。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、飛行体101にケーブル103を接続することで、飛行体101の飛行がより安定したり、または、飛行体101の回収などが容易になったりすることがある。そのため、例えば、別の実施形態ではケーブル103は、電力線を含まなくてもよい。この場合、飛行体101はバッテリを含んでよい。また、別の例として、ケーブル103は、飛行体101の操縦のための指示、および飛行体センサ140の計測値などの情報を通信するための通信線を含んでもよい。そして、飛行体101と、制御装置102は、ケーブル103の通信線を介して情報を通信してもよい。また、更に別の実施形態では、ケーブル103は、その他の電線であってもよい。
【0090】
また、一実施形態においては、飛行体101の撮影装置111で検査対象の構造体150の画像を安定して撮影するために、飛行体101に車輪を取り付けることが考えられる。例えば、飛行体101に同軸で同径の複数の車輪を取り付け、その車輪を壁に這わせて飛行体101を壁沿いに移動させることで、構造体150との距離を一定に保ちつつ画像を撮影することができる。また、車輪を壁に接触させているため、例えば、風などの外力が飛行体101の姿勢に与える影響を低減して画像を撮影することが可能になる。そのため、検査に有効な精細な画像の撮影が容易になる。しかしながら、この場合にも飛行体101の姿勢が水平ではなく傾いていると、傾いた角度で車輪が壁に接してしまう。その結果、車輪を回転させて壁沿いに飛行体101を移動させる際に、例えば、重力方向に対して斜めに飛行体101が移動してしまうことがある。しかしながら、上述の実施形態では、ケーブル103による水平方向の外力を抑えることができる。そのため、機体を水平に保つことができ、その結果、車輪を回転させて飛行体101を壁沿いに移動させる際に飛行体101を垂直方向に移動させたり、直進させたりすることが容易になる。
【0091】
また、上述の実施形態では、L<Lであるか、およびL>Lであるかに応じて、処理を異ならせる例を述べているが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、LとLの大小関係によらず、LとLの一方を用いてケーブルの長さを制御してもよい。
【0092】
なお、上述の実施形態において、例えば、S802、S902、およびS903の処理で制御部301は、処理部311として動作する。また、例えば、S803~S805、およびS904~S907の処理で制御部301は、調節部312として動作する。
【0093】
続いて、制御装置102のハードウェア構成について説明する。制御装置102は、例えば、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、電子回路などの装置であってよい。
【0094】
図11は、実施形態に係る制御装置102を実現するためのコンピュータ1100のハードウェア構成を例示する図である。図11のハードウェア構成は、例えば、プロセッサ1101、メモリ1102、記憶装置1103、読取装置1104、通信インタフェース1106、入出力インタフェース1107、駆動制御装置1120、および駆動装置1121を備える。なお、プロセッサ1101、メモリ1102、記憶装置1103、読取装置1104、通信インタフェース1106、入出力インタフェース1107は、例えば、バス1108を介して互いに接続されている。
【0095】
プロセッサ1101は、例えば、シングルプロセッサであっても、マルチプロセッサやマルチコアであってもよい。プロセッサ1101は、メモリ1102を利用して例えば上述の動作フローの手順を記述したプログラムを実行することにより、上述した各部の一部または全部の機能を提供する。例えば、プロセッサ1101は、記憶装置1103に格納されているプログラムを読み出して実行することで、処理部311、および調節部312として動作してよい。また、一実施形態においては、プロセッサ1101は、例えば、記憶装置1103に格納されているプログラムを読み出して実行することで、長さセンサ305として動作してよい。
【0096】
メモリ1102は、例えば半導体メモリであり、RAM領域およびROM領域を含んでいてよい。記憶装置1103は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、または外部記憶装置である。なお、RAMは、Random Access Memoryの略称である。また、ROMは、Read Only Memoryの略称である。
【0097】
読取装置1104は、プロセッサ1101の指示に従って着脱可能記憶媒体1105にアクセスする。着脱可能記憶媒体1105は、例えば、半導体デバイス(USBメモリ等)、磁気的作用により情報が入出力される媒体(磁気ディスク等)、光学的作用により情報が入出力される媒体(CD-ROM、DVD等)などにより実現される。なお、USBは、Universal Serial Busの略称である。CDは、Compact Discの略称である。DVDは、Digital Versatile Diskの略称である。
【0098】
上述の記憶部302は、例えば、メモリ1102、記憶装置1103、および着脱可能記憶媒体1105などを含んでよい。例えば、記憶装置1103には、ケーブル103の1m当たりの重さw、重力加速度g、閾値Tおよび閾値Tなどの情報が格納されていてよい。
【0099】
通信インタフェース1106は、プロセッサ1101の指示に従ってネットワークを介してデータを送受信する。通信インタフェース1106は、上述の通信部303の一例である。入出力インタフェース1107は、例えば、入力装置および出力装置との間のインタフェースであってよい。入力装置は、例えばユーザからの指示を受け付けるタッチパネルおよび入力キーなどのデバイスである。出力装置は、例えばディスプレーなどの表示装置、およびスピーカなどの音声装置である。
【0100】
また、プロセッサ1101は、例えば、駆動制御装置1120と接続されていてよい。駆動制御装置1120は、例えば、電動リールなどの駆動装置1121と接続されていてよい。駆動制御装置1120は、例えば、プロセッサ1101からの指示に従って、駆動装置1121の駆動を制御するモータドライバなどの装置であってよい。なお、駆動制御装置1120は、上述の駆動制御部306の一例である。また、駆動装置1121は、上述の駆動部121の一例である。
【0101】
なお、図11を参照して述べたコンピュータ1100のハードウェア構成は、例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の機能部の一部または全部の機能がFPGAおよびSoCなどの回路によるハードウェアとして実装されてもよい。なお、FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。SoCは、System-on-a-chipの略称である。
【0102】
また、実施形態に係る各プログラムは、例えば、下記の形態で制御装置102に提供されてよい。
(1)記憶装置1103に予めインストールされている。
(2)着脱可能記憶媒体1105により提供される。
(3)プログラムサーバなどのサーバから提供される。
【0103】
以上において、いくつかの実施形態が説明される。しかしながら、実施形態は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の各種変形形態および代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、各種実施形態は、その趣旨および範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できることが理解されよう。また、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の実施形態が実施され得ることが理解されよう。更には、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してまたは置換して、或いは実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加して種々の実施形態が実施され得ることが当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0104】
100 :検査システム
101 :飛行体
102 :制御装置
103 :ケーブル
104 :接続箇所
111 :撮影装置
121 :駆動部
122 :高度センサ
140 :飛行体センサ
141 :傾きセンサ
142 :張力センサ
143 :高度センサ
150 :構造体
151 :領域
201 :制御部
202 :記憶部
203 :通信部
205 :駆動制御部
206 :駆動部
250 :操縦装置
301 :制御部
302 :記憶部
303 :通信部
305 :長さセンサ
306 :駆動制御部
308 :電源装置
311 :処理部
312 :調節部
1100 :コンピュータ
1101 :プロセッサ
1102 :メモリ
1103 :記憶装置
1104 :読取装置
1105 :着脱可能記憶媒体
1106 :通信インタフェース
1107 :入出力インタフェース
1108 :バス
1120 :駆動制御装置
1121 :駆動装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11