(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】充電制御装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230328BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20230328BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20230328BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230328BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20230328BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20230328BHJP
B60L 58/16 20190101ALI20230328BHJP
B60L 53/14 20190101ALN20230328BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/04 L
H02J7/10 B
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
H01M10/48 301
H01M10/42 P
B60L58/16
B60L53/14
(21)【出願番号】P 2019161603
(22)【出願日】2019-09-04
【審査請求日】2021-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】大和 宏樹
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-004509(JP,A)
【文献】特開2009-043554(JP,A)
【文献】特開2015-029390(JP,A)
【文献】特開2011-067041(JP,A)
【文献】特開2016-158355(JP,A)
【文献】特開2010-073657(JP,A)
【文献】特開2013-012374(JP,A)
【文献】特開2007-325324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H01M 10/42-10/48
B60L 58/16
B60L 53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される電池の充電を制御する充電制御装置であって、
充電電圧及び終了電流を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている充電電圧及び終了電流の少なくとも1つを変更する変更部と、
前記電池に流れる電流を一定にさせているとき、前記電池の電圧が前記記憶部に記憶されている充電電圧以上になると、前記電池に流れる電流を徐々に低下させ、前記電池に流れる電流が前記記憶部に記憶されている終了電流以下になると、前記電池に流れる電流をゼロにさせる充電制御部と、
を備え、
前記変更部は、前記車両の使用状況に応じて、前記記憶部に記憶されている終了電流を基準終了電流より大きい第1の終了電流に変更する、または、前記記憶部に記憶されている充電電圧を基準充電電圧より小さい第1の充電電圧に変更する、または、前記記憶部に記憶されている充電電圧を前記第1の充電電圧に変更するとともに前記記憶部に記憶されている終了電流を前記第1の終了電流に変更する
ことを特徴とする充電制御装置。
【請求項2】
車両に搭載される電池の充電を制御する充電制御装置であって、
充電電圧及び終了電流を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている充電電圧及び終了電流の少なくとも1つを変更する変更部と、
前記電池に流れる電流を一定にさせているとき、前記電池の電圧が前記記憶部に記憶されている充電電圧以上になると、前記電池に流れる電流を徐々に低下させ、前記電池に流れる電流が前記記憶部に記憶されている終了電流以下になると、前記電池に流れる電流をゼロにさせる充電制御部と、
を備え、
前記変更部は、前記車両の単位時間あたりの使用量が第1の閾値以下であり、かつ、前記第1の閾値より小さい第2の閾値より大きい場合、前記記憶部に記憶されている終了電流を基準終了電流より大きい第1の終了電流に変更し、前記車両の単位時間あたりの使用量が前記第2の閾値以下であり、かつ、前記第2の閾値より小さい第3の閾値より大きい場合、前記記憶部に記憶されている充電電圧を基準充電電圧より小さい第1の充電電圧に変更し、前記車両の単位時間あたりの使用量が前記第3の閾値以下である場合、前記記憶部に記憶されている充電電圧を前記第1の充電電圧に変更するとともに前記記憶部に記憶されている終了電流を前記第1の終了電流に変更する
ことを特徴とする充電制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の充電制御装置であって、
前記変更部は、前記電池の温度または前記電池の劣化度に応じて、前記記憶部に記憶されている終了電流を前記基準終了電流より大きく、かつ、前記第1の終了電流より小さい第2の終了電流に変更し、または、前記記憶部に記憶されている充電電圧を前記基準充電電圧より小さく、かつ、前記第1の充電電圧より大きい第2の充電電圧に変更し、または、前記記憶部に記憶されている充電電圧を前記第2の充電電圧に変更するとともに前記記憶部に記憶されている終了電流を前記第2の終了電流に変更する
ことを特徴とする充電制御装置。
【請求項4】
車両に搭載される電池の充電を制御する充電制御装置であって、
充電電圧を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている充電電圧を変更する変更部と、
前記電池に流れる電流を一定にさせているとき、前記電池の電圧が前記記憶部に記憶されている充電電圧以上になると、前記電池に流れる電流をゼロにさせる充電制御部と、
を備え、
前記変更部は、前記車両の使用状況に応じて、前記記憶部に記憶されている充電電圧を基準充電電圧より小さい第1の充電電圧に変更する
ことを特徴とする充電制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の充電制御装置であって、
前記変更部は、前記電池の温度または前記電池の劣化度に応じて、前記記憶部に記憶されている充電電圧を前記基準充電電圧より小さく、かつ、前記第1の充電電圧より大きい第2の充電電圧に変更する
ことを特徴とする充電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される電池の充電を制御する充電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
充電制御装置として、車両の使用状況に応じて電池の充電量を最適化するために、目標充電量と現在の充電容量の推定値との差が固定値以下になると充電を終了するものがある。関連する技術として、特許文献1がある。
【0003】
ところで、電池の充電容量の推定値は充電中の電池に流れる電流や電池の電圧から求めた値である。しかし、充電中の電池に流れる電流の積算値には、電流計の計測誤差が含まれるおそれがある。同様に、電池の電圧の測定値には、電圧計の計測誤差が含まれるおそれがある。
【0004】
そのため、上記充電制御装置において、充電容量の推定値を用いて充電を行う場合、その推定値に含まれる誤差の影響により、推定値が電池の過充電状態に対応する閾値を超えていないにもかかわらず、真の充電容量が閾値を超えて電池が劣化してしまうおそれがある。同様に、誤差の影響により充電量が足りず、充電容量が不足するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一側面に係る目的は、車両の使用状況に応じて電池の充電量を最適化することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一つの形態である充電制御装置は、車両に搭載される電池の充電を制御する充電制御装置であって、充電電圧及び終了電流を記憶する記憶部と、記憶部に記憶されている充電電圧及び終了電流の少なくとも1つを変更する変更部と、電池に流れる電流を一定にさせているとき、電池の電圧が記憶部に記憶されている充電電圧以上になると、電池に流れる電流を徐々に低下させ、電池に流れる電流が記憶部に記憶されている終了電流以下になると、電池に流れる電流をゼロにさせる充電制御部とを備える。
【0008】
これにより、車両の単位時間あたりの使用量が小さい場合など電池の充電容量が比較的少なくてもよい場合、記憶部に記憶されている終了電流を基準終了電流より大きい第1の終了電流に変更する、または、記憶部に記憶されている充電電圧を基準充電電圧より小さい第1の充電電圧に変更する、または、記憶部に記憶されている充電電圧を第1の充電電圧に変更するとともに記憶部に記憶されている終了電流を第1の終了電流に変更することで、充電後の電池の充電容量を減少させることができ、電池の劣化を抑制することができる。また、充電中の電池の電圧や電池に流れる電流を用いて充電を制御する構成であるため、充電中の電池に流れる電流の積算値により推定される充電容量を用いて充電を制御する場合に比べて、充電容量の推定値に含まれる誤差の影響を受けずに充電することができ、充電したい充電量に合った充電ができ、真の充電容量が電池の過充電状態に対応する閾値を超えて電池が劣化してしまうことを低減することができる。同様に、誤差の影響で充電量が足りず、充電容量が不足することを回避できる。すなわち、車両の使用状況に応じて電池の充電量を最適化することができる。
【0009】
また、変更部は、車両の単位時間あたりの使用量が第1の閾値以下であり、かつ、第1の閾値より小さい第2の閾値より大きい場合、記憶部に記憶されている終了電流を第1の終了電流に変更し、車両の単位時間あたりの使用量が第2の閾値以下であり、かつ、第2の閾値より小さい第3の閾値より大きい場合、記憶部に記憶されている充電電圧を第1の充電電圧に変更し、車両の単位時間あたりの使用量が第3の閾値以下である場合、記憶部に記憶されている充電電圧を第1の充電電圧に変更するとともに記憶部に記憶されている終了電流を第1の終了電流に変更するようにしてもよい。
【0010】
これにより、車両が充電に割ける時間が短い場合で、かつ、充電終了後すぐに車両が使用される場合、記憶部に記憶されている終了電流を第1の終了電流に変更することで、充電後の電池の充電容量の減少幅を抑えることができるため、電池の充電容量を確保しつつ、電池の長寿命化も図ることができる。また、車両が充電に割ける時間が短い場合で、かつ、車両の単位時間あたりの使用量が比較的小さい場合または充電終了後に車両が比較的長い時間放置される場合、記憶部に記憶されている充電電圧を第1の充電電圧に変更することで、充電後の電池の充電容量を減少させることができるため、電池の長寿命化を図ることができる。ところで、充電電圧の変更により充電量の精度を確保でき、充電電流の変更により時間当たり充電量の確保することができる。そのため、車両の単位時間あたりの使用量がさらに小さい場合または充電終了後に車両がさらに長い時間放置される場合、記憶部に記憶されている充電電圧を第1の充電電圧に変更するとともに記憶部に記憶されている終了電流を第1の終了電流に変更するよう、それぞれの方法を組み合わせることで、電池の長寿命化と最適な充電容量の確保を両立することができる。
【0011】
また、変更部は、電池の温度または電池の劣化度に応じて、記憶部に記憶されている終了電流を基準終了電流より大きく、かつ、第1の終了電流より小さい第2の終了電流に変更し、または、記憶部に記憶されている充電電圧を基準充電電圧より小さく、かつ、第1の充電電圧より大きい第2の充電電圧に変更し、または、記憶部に記憶されている充電電圧を第2の充電電圧に変更するとともに記憶部に記憶されている終了電流を第2の終了電流に変更するようにしてもよい。
【0012】
これにより、電池の温度低下や電池の劣化に伴って電池の内部抵抗が高くなり充電中の電池の電圧が高くなっても、電池の充電量が減少することを抑制することができるため、電池の温度上昇や電池の劣化に伴って車両の走行距離や稼働時間が減少することを抑制することができる。
【0013】
また、本発明に係る一つの形態である充電制御装置は、車両に搭載される電池の充電を制御する充電制御装置であって、充電電圧を記憶する記憶部と、記憶部に記憶されている充電電圧を変更する変更部と、電池に流れる電流を一定にさせているとき、電池の電圧が記憶部に記憶されている充電電圧以上になると、電池に流れる電流をゼロにさせる充電制御部とを備える。
【0014】
これにより、車両の単位時間あたりの使用量が小さい場合など電池の充電容量が比較的少なくてもよい場合、記憶部に記憶されている充電電圧を基準充電電圧より小さい第1の充電電圧に変更することで、充電後の電池の充電量を減少させることができ、電池の劣化を抑制することができる。また、充電中の電池の電圧を用いて充電を制御する構成であるため、充電中の電池に流れる電流の積算値により推定される充電容量を用いて充電を制御する場合に比べて、電流計の計測誤差の影響をなくして充電後の電池の充電容量を真の充電容量に近づけることができ、真の充電容量が電池の過充電状態に対応する閾値を超えて電池が劣化してしまうことを低減することができる。すなわち、車両の使用状況に応じて電池の充電容量を最適化することができる。
【0015】
また、変更部は、電池の温度または電池の劣化度に応じて、記憶部に記憶されている充電電圧を基準充電電圧より小さく、かつ、第1の充電電圧より大きい第2の充電電圧に変更するようにしてもよい。
【0016】
これにより、電池の温度上昇や電池の劣化に伴って電池の内部抵抗が高くなり充電中の電池の電圧が高くなっても、電池の電圧が記憶部に記憶されている充電電圧以上になり難くすることができるため、電池の充電量が減少することを抑制することができ、電池の温度上昇や電池の劣化に伴って車両の走行距離や走行時間が減少することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、車両の使用状況に応じて電池の充電量を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態の充電制御装置を含む車両及び充電器の一例を示す図である。
【
図3】制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】電池に流れる電流及び電池の電圧の一例を示す図である。
【
図5】電池に流れる電流及び電池の電圧の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
図1は、実施形態の充電制御装置を含む車両及び充電器の一例を示す図である。
【0020】
図1に示す車両Veは、電動フォークリフトや電動トーイングトラクタ、電気自動車などであり、負荷Loと、記憶部1と、制御部2と、電池パックBPとを備える。
【0021】
負荷Loは、走行用モータや荷役用モータを駆動するインバータ回路などである。
記憶部1は、RAM(Random Access Memory)またはROM(Read Only Memory)などにより構成される。
【0022】
制御部2は、CPU(Central Processing Unit)またはプログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device))などにより構成され、負荷Loの動作や車両Veの全体の動作を制御する。
【0023】
充電器Chは、電力変換部3と、記憶部4と、制御部5とを備える。
電力変換部3は、系統電源Pから供給される交流電力を所定の電力に変換し、電池パックBPに供給する。
【0024】
記憶部4は、RAMまたはROMなどにより構成される。
制御部5は、CPUまたはプログラマブルなデバイスなどにより構成され、ユーザからの指示や車両Veからの指示に基づいて、電力変換部3の動作を制御する。
【0025】
電池パックBPは、電池Bと、電圧計6と、電流計7と、温度計8と、スイッチSW1と、スイッチSW2と、記憶部9と、制御部10とを備える。
【0026】
電池Bは、リチウムイオン電池またはニッケル水素電池などの1つ以上の二次電池により構成され、負荷Loに電力を供給する。また、車両Veの外部に設けられる充電器Chから電池Bに電力が供給されているとき、すなわち、充電器Chから電池Bに電流が流れているとき、電池Bが充電され電池Bの電圧が上昇する。
【0027】
電圧計6は、分圧抵抗やオペアンプなどにより構成され、電池Bの電圧を計測し、その計測した電圧を制御部10に送る。
【0028】
電流計7は、ホール素子やシャント抵抗などにより構成され、電池Bに流れる電流を計測し、その計測した電流を制御部10に送る。
【0029】
温度計8は、サーミスタなどにより構成され、電池Bの温度を計測し、その計測した温度を制御部10に送る。
【0030】
スイッチSW1、SW2は、それぞれ、半導体リレー(例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor))または電磁式リレーなどにより構成される。スイッチSW1の一方端子は電池Bのマイナス端子に接続され、スイッチSW1の他方端子は充電器Chのマイナス端子に接続されている。スイッチSW2の一方端子は電池Bのマイナス端子に接続され、スイッチSW2の他方端子は負荷Loのマイナス端子に接続されている。スイッチSW1が導通し、スイッチSW2が遮断すると、充電器Chから電池Bに電力を供給することが可能な状態になる。また、スイッチSW1が遮断し、スイッチSW2が導通すると、電池Bから負荷Loに電力を供給することが可能な状態になる。
【0031】
記憶部9は、RAMまたはROMなどにより構成され、後述する充電電圧及び終了電流を記憶する。なお、記憶部9には、初期値として、基準充電電圧Vr及び基準終了電流Irが記憶されているものとする。
【0032】
制御部10は、CPUまたはプログラマブルなデバイスなどにより構成され、変更部11と、充電制御部12とを備え、スイッチSW1、SW2の動作を制御する。また、制御部10は、制御部2や制御部5と通信する。なお、CPUまたはプログラマブルなデバイスが記憶部9に記憶されているプログラムを実行することにより、変更部11及び充電制御部12が実現される。例えば、充電制御装置は、記憶部9、制御部10の変更部11、及び制御部10の充電制御部12から構成される。なお、変更部11及び充電制御部12は、車両Veに搭載される制御部2に備えられてもよい。このように構成する場合、充電制御装置は、記憶部1、制御部2の変更部11、及び制御部2の充電制御部12から構成される。また、変更部11及び充電制御部12は、充電器Chに搭載される制御部5に備えられてもよい。このように構成する場合、充電制御装置は、記憶部4、制御部5の変更部11、及び制御部5の充電制御部12から構成される。
【0033】
変更部11は、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流のうちの少なくとも1つを変更する。また、変更部11は、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流のうちの少なくとも1つを変更した後、さらに、電池Bの温度または電池Bの劣化度(電池Bの内部抵抗や満充電容量など)に応じて、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流のうちの少なくとも1つを変更する。
【0034】
充電制御部12は、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流を用いて、定電流充電制御及び定電圧充電制御を行う。
【0035】
まず、充電制御部12は、定電流充電制御を開始すると、電流計7により計測される電流が一定になるように、充電器Chの制御部5に指示する。制御部5は、その指示により、充電器Chから電池Bに流れる電流が一定になるように、電力変換部3の動作を制御する。電池Bに一定の電流が流れているとき、電池Bが充電され電池Bの電圧が徐々に上昇する。
【0036】
次に、充電制御部12は、電圧計6により計測される電圧が記憶部9に記憶されている充電電圧以上になると、定電流充電制御を終了し、定電圧充電制御を開始する。充電制御部14は、定電圧充電制御を開始すると、電池Bの電圧が記憶部9に記憶されている充電電圧以上である状態を保ちつつ、充電器Chから電池Bに流れる電流が徐々に低下するように、制御部5に指示する。制御部5は、その指示により、電池Bの電圧が記憶部9に記憶されている充電電圧以上である状態を保ちつつ、充電器Chから電池Bに流れる電流が徐々に低下するように、電力変換部3の動作を制御する。例えば、制御部5は、定電圧充電制御時、電圧計6により計測される電圧が記憶部9に記憶されている充電電圧以上になる度に、電流計7により計測される電流が所定値ずつ低下するように、電力変換部3の動作を制御するように構成してもよい。
【0037】
そして、充電制御部12は、電流計7により計測される電流が記憶部9に記憶されている終了電流以下になると、充電器Chから電池Bに流れる電流がゼロになるように、制御部5に指示し、定電圧充電制御を終了する。
【0038】
<変更部11の実施例1>
変更部11は、車両Veの単位時間あたりの使用量(車両Veの単位時間あたりの走行距離や走行時間など)が小さい場合など電池Bの充電容量が比較的少なくてもよい場合、記憶部9に記憶されている終了電流を基準終了電流Irより大きい終了電流I1(第1の終了電流)に変更する、または、記憶部9に記憶されている充電電圧を基準充電電圧Vrより小さい充電電圧V1(第1の充電電圧)に変更する、または、記憶部9に記憶されている充電電圧を充電電圧V1に変更するとともに記憶部9に記憶されている終了電流を終了電流I1に変更する。これにより、充電後の電池Bの充電容量を減少させることができるため、電池Bの劣化を抑制することができ、電池Bの長寿命化を図ることができる。
【0039】
<変更部11の実施例2>
変更部11は、車両Veの単位時間あたりの使用量が第1の閾値以下であり、かつ、第2の閾値より大きい場合、記憶部9に記憶されている終了電流を終了電流I1に変更し、車両Veの単位時間あたりの使用量が第2の閾値以下であり、かつ、第3の閾値より大きい場合、記憶部9に記憶されている充電電圧を充電電圧V1に変更し、車両Veの単位時間あたりの使用量が第3の閾値以下である場合、記憶部9に記憶されている充電電圧を充電電圧V1に変更するとともに記憶部9に記憶されている終了電流を終了電流I1に変更する。なお、第1の閾値>第2の閾値>第3の閾値とする。これにより、車両Veがフォークリフトなどの産業車両である場合で、かつ、比較的短い充電時間において電池Bが充電される場合で、かつ、充電終了後すぐに車両Veが使用される場合、記憶部9に記憶されている終了電流を終了電流I1に変更することで、充電後の電池Bの充電容量の減少幅を抑えることができるため、電池Bの充電容量を確保しつつ、電池Bの長寿命化も図ることができる。また、車両Veがフォークリフトなどの産業車両である場合で、かつ、車両Veの単位時間あたりの使用量が比較的小さい場合または充電終了後に車両Veが比較的長い時間放置される場合、記憶部9に記憶されている充電電圧を充電電圧V1に変更することで、充電後の電池Bの充電容量を減少させることができるため、電池Bの長寿命化を図ることができる。また、車両Veがフォークリフトなどの産業車両である場合で、かつ、車両Veの単位時間あたりの使用量がさらに小さい場合または充電終了後に車両Veがさらに長い時間放置される場合、記憶部9に記憶されている充電電圧を充電電圧V1に変更するとともに記憶部9に記憶されている終了電流を終了電流I1に変更することで、充電後の電池Bの充電容量をさらに減少させることができるため、電池Bの寿命をさらに延ばすことができる。
【0040】
<変更部11の実施例3>
変更部11は、比較的短い時間で電池Bを充電しつつ電池Bの寿命を図りたいユーザまたは車両Veの単位時間あたりの使用量が比較的小さく電池Bの長寿命化を図りたいユーザからの指示により、記憶部9に記憶されている終了電流を終了電流I1に変更する、または、記憶部9に記憶されている充電電圧を充電電圧V1に変更する、または、記憶部9に記憶されている充電電圧を充電電圧V1に変更するとともに記憶部9に記憶されている終了電流を終了電流I1に変更する。
【0041】
ここで、
図2(a)及び
図2(b)は、電池パックBp、車両Ve、または充電器Chに備えられる不図示の表示部(タッチパネルなど)に表示される画面の一例を示す図である。
【0042】
図2(a)に示す画面D1にはボタンB1~B4が設けられている。
ユーザによりボタンB1が押されて「通常モード」が選択された旨の指示が変更部11に入力されると、変更部11は、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流を変更しない。すなわち、ユーザにより「通常モード」が選択される場合、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流は基準充電電圧Vr及び基準終了電流Irのまま変更されない。
【0043】
ユーザによりボタンB2が押されて「補充電モード」が選択された旨の指示が変更部11に入力されると、変更部11は、記憶部9に記憶されている充電電圧を変更しないとともに記憶部9に記憶されている終了電流を終了電流I1に変更する。すなわち、ユーザにより「補充電モード」が選択される場合、記憶部9に記憶されている充電電圧が基準充電電圧Vrのまま変更されず、記憶部9に記憶されている終了電流が大きくなる。
【0044】
ユーザによりボタンB3が押されて「延命モードA」が選択された旨の指示が変更部11に入力されると、変更部11は、記憶部9に記憶されている充電電圧を充電電圧V1に変更するとともに記憶部9に記憶されている終了電流を変更しない。すなわち、ユーザにより「延命モードA」が選択される場合、記憶部9に記憶されている充電電圧が小さくなるとともに、記憶部9に記憶されている終了電流が基準終了電流Irのまま変更されない。
【0045】
ユーザによりボタンB4が押されて「延命モードB」が選択された旨の指示が変更部11に入力されると、変更部11は、記憶部9に記憶されている充電電圧を充電電圧V1に変更するとともに記憶部9に記憶されている終了電流を終了電流I1に変更する。すなわち、ユーザにより「延命モードB」が選択される場合、記憶部9に記憶されている充電電圧が小さくなるとともに、記憶部9に記憶されている終了電流が大きくなる。
【0046】
図2(b)に示す画面D2には、記憶部9に記憶されている充電電圧を8段階で変更するためのボタンBv1~Bv8と、記憶部9に記憶されている終了電流を8段階で変更するためのボタンBi1~Bi8が設けられてる。なお、ボタンBv1は、充電電圧V1に対応し、ボタンBv8は、基準充電電圧Vrに対応する。また、ボタンBv2、Bv3、Bv4、Bv5、Bv6、Bv7の順に、各ボタンにそれぞれ対応する充電電圧が大きくなる。また、ボタンBi1は、基準終了電流Irに対応し、ボタンBi8は、終了電流I1に対応する。また、ボタンBi2、Bi3、Bi4、Bi5、Bi6、Bi7の順に、各ボタンにそれぞれ対応する終了電流が大きくなる。
【0047】
ユーザによりボタンBv8が押されるとともにボタンBi1が押されると、変更部11は、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流を変更しない。すなわち、ユーザによりボタンBv8が押されるとともにボタンBi1が押される場合、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流は基準充電電圧Vr及び基準終了電流Irのまま変更されない。
【0048】
ユーザによりボタンBv8が押されるとともにボタンBi8が押されると、変更部11は、記憶部9に記憶されている充電電圧を変更しないとともに記憶部9に記憶されている終了電流を終了電流I1に変更する。すなわち、ユーザによりボタンBv8が押されるとともにボタンBi8が押される場合、記憶部9に記憶されている充電電圧が基準充電電圧Vrのまま変更されず、記憶部9に記憶されている終了電流が大きくなる。
【0049】
ユーザによりボタンBv1が押されるとともにボタンBi1が押されると、変更部11は、記憶部9に記憶されている充電電圧を充電電圧V1に変更するとともに記憶部9に記憶されている終了電流を変更しない。すなわち、ユーザによりボタンBv1が押されるとともにボタンBi1が押される場合、記憶部9に記憶されている充電電圧が小さくなるとともに、記憶部9に記憶されている終了電流が基準終了電流Irのまま変更されない。
【0050】
ユーザによりボタンBv1が押されるとともにボタンBi8が押されると、変更部11は、記憶部9に記憶されている充電電圧を充電電圧V1に変更するとともに記憶部9に記憶されている終了電流を終了電流I1に変更する。すなわち、ユーザによりボタンBv1が押されるとともにボタンBi8が押される場合、記憶部9に記憶されている充電電圧が小さくなるとともに、記憶部9に記憶されている終了電流が大きくなる。
【0051】
<変更部11の実施例4>
変更部11は、電池Bの温度または電池Bの劣化度に応じて、記憶部9に記憶されている終了電流を基準終了電流Irより大きく、かつ、終了電流I1より小さい終了電流I2(第2の終了電流)に変更する。また、変更部11は、電池Bの温度または電池Bの劣化度に応じて、記憶部9に記憶されている充電電圧を基準充電電圧Vrより小さく、かつ、充電電圧V1より大きい充電電圧V2(第2の充電電圧)に変更する。また、変更部11は、電池Bの温度または電池Bの劣化度に応じて、記憶部9に記憶されている充電電圧を充電電圧V2に変更するとともに記憶部9に記憶されている終了電流を終了電流I2に変更する。これにより、電池Bの温度上昇や電池Bの劣化に伴って電池Bの内部抵抗が高くなり充電中の電池Bの電圧が高くなっても、電池Bの充電容量が減少することを抑制することができるため、電池Bの温度上昇や電池Bの劣化に伴って車両Veの走行可能距離が減少することを抑制することができる。
【0052】
図3は、制御部10の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、制御部10の変更部11は、車両Veの使用状況、ユーザからの指示、電池Bの温度、または、電池Bの劣化に応じて、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流のうちの少なくとも1つを変更する(ステップS1)。
【0053】
次に、制御部10の充電制御部12は、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流を用いて、定電流充電制御及び定電圧充電制御を行う(ステップS2~S5)。
【0054】
まず、充電制御部12は、定電流充電制御を開始し(ステップS2)、電圧計6により計測される電圧が、記憶部9に記憶されている充電電圧より小さい場合(ステップS3:No)、定電流充電制御を継続して行う(ステップS2)。
【0055】
一方、充電制御部12は、電圧計6により計測される電圧が、記憶部9に記憶されている充電電圧以上である場合(ステップS3:Yes)、定電流充電制御を終了して定電圧充電制御を開始する(ステップS4)。
【0056】
次に、充電制御部12は、電流計7により計測される電流が、記憶部9に記憶されている終了電流より大きい場合(ステップS5:No)、定電圧充電制御を継続して行う(ステップS4)。
【0057】
一方、充電制御部12は、電流計7により計測される電流が、記憶部9に記憶されている終了電流以下である場合(ステップS5:Yes)、定電流充電制御を終了する。
【0058】
ここで、
図4及び
図5は、定電流充電制御及び定電圧充電制御が行われているときに電池Bに流れる電流と電池Bの電圧の一例を示す図である。
【0059】
図4(a)は、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が基準充電電圧Vr及び基準終了電流Irである場合の電池Bに流れる電流と電池Bの電圧を示している。また、
図4(b)は、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が基準充電電圧Vr及び終了電流I1である場合の電池Bに流れる電流と電池Bの電圧を示している。また、
図4(c)は、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が充電電圧V1及び基準終了電流Irである場合の電池Bに流れる電流と電池Bの電圧を示している。また、
図4(d)は、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が充電電圧V1及び終了電流I1である場合の電池Bに流れる電流と電池Bの電圧を示している。また、
図4(a)~
図4(d)に示す2次元座標の横軸は時間を示し、縦軸は電流または電圧を示している。また、
図4(a)~
図4(d)に示す実線は、電流計7により計測される電流を示し、
図4(a)~
図4(d)に示す破線は、電圧計6により計測される電圧を示している。
【0060】
(記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が基準充電電圧Vr及び基準終了電流Irである場合)
まず、充電制御部12は、
図4(a)の時刻t0において、定電流充電制御を開始する。すると、電流計7により計測される電流が一定電流Icになり、電圧計6により計測される電圧が徐々に上昇する。
【0061】
次に、充電制御部12は、
図4(a)の時刻t3において、電圧計6により計測される電圧が基準充電電圧Vr以上になると、定電流充電制御を終了して定電圧充電制御を開始し、電流計7により計測される電流を徐々に低下させる。
【0062】
そして、充電制御部12は、
図4(a)の時刻t6において、電流計7により計測される電流が基準終了電流Ir以下になると、電流計7により計測される電流をゼロにさせて、定電圧充電制御を終了する。
【0063】
(記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が基準充電電圧Vr及び終了電流I1である場合)
まず、充電制御部12は、
図4(b)の時刻t0において、定電流充電制御を開始する。すると、電流計7により計測される電流が一定電流Icになり、電圧計6により計測される電圧が徐々に上昇する。
【0064】
次に、充電制御部12は、
図4(b)の時刻t3において、電圧計6により計測される電圧が基準充電電圧Vr以上になると、定電流充電制御を終了して定電圧充電制御を開始し、電流計7により計測される電流を徐々に低下させる。
【0065】
そして、充電制御部12は、
図4(b)の時刻t4において、電流計7により計測される電流が終了電流I1以下になると、電流計7により計測される電流をゼロにさせて、定電圧充電制御を終了する。
【0066】
(記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が充電電圧V1及び基準終了電流Irである場合)
まず、充電制御部12は、
図4(c)の時刻t0において、定電流充電制御を開始する。すると、電流計7により計測される電流が一定電流Icになり、電圧計6により計測される電圧が徐々に上昇する。
【0067】
次に、充電制御部12は、
図4(c)の時刻t1において、電圧計6により計測される電圧が充電電圧V1以上になると、定電流充電制御を終了して定電圧充電制御を開始し、電流計7により計測される電流を徐々に低下させる。
【0068】
そして、充電制御部12は、
図4(c)の時刻t5において、電流計7により計測される電流が基準終了電流Ir以下になると、電流計7により計測される電流をゼロにさせて、定電圧充電制御を終了する。
【0069】
(記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が充電電圧V1及び終了電流I1である場合)
まず、充電制御部12は、
図4(d)の時刻t0において、定電流充電制御を開始する。すると、電流計7により計測される電流が一定電流Icになり、電圧計6により計測される電圧が徐々に上昇する。
【0070】
次に、充電制御部12は、
図4(d)の時刻t1において、電圧計6により計測される電圧が充電電圧V1以上になると、定電流充電制御を終了して定電圧充電制御を開始し、電流計7により計測される電流を徐々に低下させる。
【0071】
そして、充電制御部12は、
図4(d)の時刻t2において、電流計7により計測される電流が終了電流I1以下になると、電流計7により計測される電流をゼロにさせて、定電圧充電制御を終了する。
【0072】
なお、時刻t0<時刻t1<時刻t2<時刻t3<時刻t4<時刻t5<時刻t6とする。また、時刻t3から時刻t6までの期間と、時刻t1から時刻t5までの期間とを互いに同じものとする。
【0073】
この場合、時刻t3から時刻t4までの期間において電池Bに流れる電流の積算値(充電量)は、時刻t3から時刻t6までの期間において電池Bに流れる電流の積算値より小さくなる。
【0074】
そのため、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が基準充電電圧Vr及び終了電流I1である場合における充電終了時の電池Bの充電容量は、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が基準充電電圧Vr及び基準終了電流Irである場合における充電終了時の電池Bの充電容量より小さくなる。
【0075】
すなわち、終了電流のみを大きくする場合、充電電圧及び終了電流を変更しない場合に比べて、電池Bの充電容量を低減することができ、電池Bの寿命を延ばすことができる。
【0076】
また、時刻t3から時刻t6までの期間において電池Bに流れる電流の積算値と、時刻t1から時刻t5までの期間において電池Bに流れる電流の積算値とが互いに同じになる。時刻t0から時刻t1までの期間において電池Bに流れる電流の積算値は、時刻t0から時刻t3までの期間において電池Bに流れる電流の積算値より小さくなる。
【0077】
そのため、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が充電電圧V1及び基準終了電流Irである場合における充電終了時の電池Bの充電容量は、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が基準充電電圧Vr及び基準終了電流Irである場合における充電終了時の電池Bの充電容量より小さくなる。
【0078】
すなわち、充電電圧のみを小さくする場合、充電電圧及び終了電流を変更しない場合に比べて、電池Bの充電容量を低減することができ、電池Bの寿命を延ばすことができる。なお、終了電流のみを大きくする場合は、充電電圧のみを小さくする場合に比べて、充電容量を確保しつつ、充電時間を短くすることができる。
【0079】
また、時刻t1から時刻t2までの期間において電池Bに流れる電流の積算値は、時刻t1から時刻t5までの期間において電池Bに流れる電流の積算値より小さくなる。
【0080】
そのため、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が充電電圧V1及び終了電流I1である場合における充電終了時の電池Bの充電容量は、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が充電電圧V1及び基準終了電流Irである場合における充電終了時の電池Bの充電容量より小さくなる。
【0081】
すなわち、充電電圧を小さくするとともに終了電流を大きくする場合、充電電圧のみを小さくする場合に比べて、電池Bの充電容量をさらに低減することができ、電池の長寿命化と最適な充電容量の確保を両立することができる。
【0082】
また、
図5(a)は、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が基準充電電圧Vr及び終了電流I2である場合の電池Bに流れる電流と電池Bの電圧を示している。また、
図5(b)は、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が充電電圧V2及び基準終了電流Irである場合の電池Bに流れる電流と電池Bの電圧を示している。また、
図5(c)は、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が充電電圧V2及び終了電流I2である場合の電池Bに流れる電流と電池Bの電圧を示している。また、
図5(a)~
図5(c)に示す2次元座標の横軸は時間を示し、縦軸は電流または電圧を示している。また、
図5(a)~
図5(c)に示す実線は、電流計7により計測される電流を示し、
図5(a)~
図5(c)に示す破線は、電圧計6により計測される電圧を示している。
【0083】
(記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が基準充電電圧Vr及び終了電流I2である場合)
まず、充電制御部12は、
図5(a)の時刻t0において、定電流充電制御を開始する。すると、電流計7により計測される電流が一定電流Icになり、電圧計6により計測される電圧が徐々に上昇する。
【0084】
次に、充電制御部12は、
図5(a)の時刻t3において、電圧計6により計測される電圧が基準充電電圧Vr以上になると、定電流充電制御を終了して定電圧充電制御を開始し、電流計7により計測される電流を徐々に低下させる。
【0085】
そして、充電制御部12は、
図5(a)の時刻t4´において、電流計7により計測される電流が終了電流I2以下になると、電流計7により計測される電流をゼロにさせて、定電圧充電制御を終了する。
【0086】
(記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が充電電圧V2及び基準終了電流Irである場合)
まず、充電制御部12は、
図5(b)の時刻t0において、定電流充電制御を開始する。すると、電流計7により計測される電流が一定電流Icになり、電圧計6により計測される電圧が徐々に上昇する。
【0087】
次に、充電制御部12は、
図5(b)の時刻t1´において、電圧計6により計測される電圧が充電電圧V2以上になると、定電流充電制御を終了して定電圧充電制御を開始し、電池Bに流れる電流を徐々に低下させる。
【0088】
そして、充電制御部12は、
図5(b)の時刻t5´において、電流計7により計測される電流が基準終了電流Ir以下になると、電池Bに流れる電流をゼロにさせて、定電圧充電制御を終了する。
【0089】
(記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が充電電圧V2及び終了電流I2である場合)
まず、充電制御部12は、
図5(c)の時刻t0において、定電流充電制御を開始する。すると、電流計7により計測される電流が一定電流Icになり、電圧計6により計測される電圧が徐々に上昇する。
【0090】
次に、充電制御部12は、
図5(c)の時刻t11において、電圧計6により計測される電圧が充電電圧V2以上になると、定電流充電制御を終了して定電圧充電制御を開始し、電池Bに流れる電流を徐々に低下させる。
【0091】
そして、充電制御部12は、
図5(c)の時刻t22において、電流計7により計測される電流が終了電流I2以下になると、電流計7により計測される電流をゼロにさせて、定電圧充電制御を終了する。
【0092】
なお、
図5(a)に示す時刻t3から時刻t4´までの期間は、
図4(b)に示す時刻t3から時刻t4までの期間より長いものとする。また、
図5(b)に示す時刻t0から時刻t1´までの期間は、
図4(c)に示す時刻t0から時刻t1までの期間より長いものとする。また、
図5(b)に示す時刻t1´から時刻t5´までの期間と、
図4(c)に示す時刻t1から時刻t5までの期間とは互いに同じものとする。また、
図5(c)に示す時刻t0から時刻t11までの期間は、
図4(d)に示す時刻t0から時刻t1までの期間より長いものとする。また、
図5(c)に示す時刻t11から時刻t22までの期間は、
図4(d)に示す時刻t1から時刻t2までの期間より長いものとする。
【0093】
この場合、
図5(a)に示す時刻t3から時刻t4´までの期間において電池Bに流れる電流の積算値は、
図4(b)に示す時刻t3から時刻t4までの期間において電池Bに流れる電流の積算値より大きくなる。
【0094】
そのため、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が基準充電電圧Vr及び終了電流I2である場合における充電終了時の電池Bの充電容量は、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が基準充電電圧Vr及び終了電流I1である場合における充電終了時の電池Bの充電容量より大きくなる。
【0095】
すなわち、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が基準充電電圧Vr及び終了電流I2である場合、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が基準充電電圧Vr及び終了電流I1である場合に比べて、車両Veの走行距離や走行時間を延ばすことができる。
【0096】
また、
図5(b)に示す時刻t1´から時刻t5´までの期間において電池Bに流れる電流の積算値は、
図4(c)に示す時刻t1から時刻t5までの期間において電池Bに流れる電流の積算値と同じになる。
図5(b)に示す時刻t0から時刻t1´までの期間において電池Bに流れる電流の積算値は、
図4(c)に示す時刻t0から時刻t1までの期間において電池Bに流れる電流の積算値より大きくなる。
【0097】
そのため、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が充電電圧V2及び基準終了電流Irである場合における充電終了時の電池Bの充電容量は、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が充電電圧V1及び基準終了電流Irである場合における充電終了時の電池Bの充電容量より大きくなる。
【0098】
すなわち、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が充電電圧V2及び基準終了電流Irである場合、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が充電電圧V1及び基準終了電流Irである場合に比べて、車両Veの走行距離や走行時間を延ばすことができる。
【0099】
また、
図5(c)に示す時刻t0から時刻t11までの期間において電池Bに流れる電流の積算値は、
図4(d)に示す時刻t0から時刻t1までの期間において電池Bに流れる電流の積算値より大きくなる。
図5(c)に示す時刻t11から時刻t22までの期間において電池Bに流れる電流の積算値は、
図4(d)に示す時刻t1から時刻t2までの期間において電池Bに流れる電流の積算値より大きくなる。
【0100】
そのため、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が充電電圧V2及び終了電流I2である場合における充電終了時の電池Bの充電容量は、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が充電電圧V1及び終了電流I1である場合における充電終了時の電池Bの充電容量より大きくなる。
【0101】
すなわち、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が充電電圧V2及び終了電流I2である場合、記憶部9に記憶されている充電電圧及び終了電流が充電電圧V1及び終了電流I1である場合に比べて、車両Veの走行距離や走行時間を延ばすことができる。
【0102】
このように、実施形態の充電制御装置では、車両Veの単位時間あたりの使用量が小さい場合など電池Bの充電容量が比較的少なくてもよい場合、記憶部9に記憶されている終了電流を終了電流I1に変更する、または、記憶部9に記憶されている充電電圧を充電電圧V1に変更する、または、記憶部9に記憶されている充電電圧を充電電圧V1に変更するとともに記憶部9に記憶されている終了電流を終了電流I1に変更する。これにより、充電後の電池Bの充電容量を減少させることができ、電池Bの劣化を抑制することができる。また、充電中の電池Bの電圧や電池Bに流れる電流を用いて充電を制御する構成であるため、充電中の電池Bに流れる電流の積算値により推定される充電容量を用いて充電を制御する場合に比べて、電流計7の計測誤差の影響を少なくして充電後の電池Bの充電容量を真の充電容量に近づけることができ、真の充電容量が電池Bの過充電状態に対応する閾値を超えて電池Bが劣化してしまうことを低減することができる。すなわち、車両Veの使用状況に応じて電池Bの充電量を最適化することができる。
【0103】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【0104】
<変形例>
上記実施形態では、定電流電圧制御及び定電圧充電制御を行うことにより電池Bを充電する構成であるが、定電流充電制御のみを行うことにより電池Bを充電するように構成してもよい。
【0105】
このように構成する場合、記憶部9は、充電電圧を記憶する。また、変更部11は、記憶部9に記憶されている充電電圧を変更する。また、充電制御部12は、定電流充電制御時、電池Bに流れる電流を一定にさせているとき、電池Bの電圧が記憶部9に記憶されている充電電圧以上になると、電池Bに流れる電流をゼロにさせる。
【0106】
なお、変更部11は、車両Veの使用状況やユーザからの指示に応じて、記憶部9に記憶されている充電電圧を充電電圧V1に変更するように構成してもよい。これにより、充電後の電池Bの充電容量を減少させることができ、電池Bの劣化を抑制することができる。また、充電中の電池Bの電圧を用いて充電を制御する構成であるため、充電中の電池Bに流れる電流の積算値により推定される充電容量を用いて充電を制御する場合に比べて、電流計7の計測誤差の影響をなくして充電後の電池Bの充電容量を真の充電容量に近づけることができ、真の充電容量が電池Bの過充電状態に対応する閾値を超えて電池Bが劣化してしまうことを低減することができる。すなわち、車両Veの使用状況に応じて電池Bの充電量を最適化することができる。
【0107】
また、変更部11は、電池Bの温度または電池Bの劣化度に応じて、記憶部9に記憶されている充電電圧を充電電圧V2に変更するように構成してもよい。これにより、電池Bの温度上昇や電池Bの劣化に伴って電池Bの内部抵抗が高くなり充電中の電池Bの電圧が高くなっても、電池Bの電圧が記憶部9に記憶されている充電電圧以上になり難くすることができるため、電池Bの充電容量が減少することを抑制することができ、電池Bの温度上昇や電池Bの劣化に伴って車両Veの走行距離や走行時間が減少することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0108】
1 記憶部
2 制御部
3 電力変換部
4 記憶部
5 制御部
6 電圧計
7 電流計
8 温度計
9 記憶部
10 制御部
11 変更部
12 充電制御部