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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】インバータ制御装置及び車載用流体機械
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20230328BHJP
【FI】
H02M7/48 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020021430
(22)【出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2021129354
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】川島 隆
(72)【発明者】
【氏名】大神 崇
(72)【発明者】
【氏名】永田 芳樹
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-64322(JP,A)
【文献】特開2010-119201(JP,A)
【文献】特開2017-225297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42- 7/98
H02P 21/00-27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用蓄電装置を用いて車載用電動モータを駆動させるインバータ回路の制御に用いられるインバータ制御装置であって、
前記車載用電動モータは、3相コイルを有し、
前記インバータ回路は、3相スイッチング素子を有し、
前記インバータ制御装置は、
前記車載用電動モータの回転速度を把握する速度把握部と、
前記車載用蓄電装置の電圧である電源電圧を把握する電圧把握部と、
外部から送信される外部指令値と前記速度把握部の把握結果とに基づいて、前記車載用電動モータのd軸及びq軸に印加する電圧の目標値である2相電圧指令値を導出する2相電圧指令値導出部と、
前記2相電圧指令値に基づいて、前記3相コイルに印加する3相電圧指令値を導出する3相電圧指令値導出部と、
を備え、前記3相電圧指令値に基づいて、前記3相スイッチング素子をPWM制御するものであり、
前記3相電圧指令値導出部は、
前記2相電圧指令値と前記電圧把握部の把握結果とに基づいて算出される電圧利用率が第1電圧利用率である場合には、前記3相電圧指令値の中性点電位を第1中性点振幅で変化させることによって得られる第1の3相電圧指令値を導出し、
前記電圧利用率が前記第1電圧利用率よりも小さい第2電圧利用率である場合には、前記中性点電位を前記第1中性点振幅よりも大きい第2中性点振幅で変化させることによって得られる第2の3相電圧指令値を導出することを特徴とするインバータ制御装置。
【請求項2】
前記3相電圧指令値導出部は、
前記2相電圧指令値に基づいて、基準振幅を有する3相基準指令値を生成する基準生成部と、
前記3相基準指令値に対して前記中性点電位を重畳させることによって前記3相電圧指令値を導出する重畳部と、
を備え、
前記重畳部は、
前記電圧利用率が前記第1電圧利用率である場合には、前記3相基準指令値に対して前記第1中性点振幅の中性点電位を重畳させ、
前記電圧利用率が前記第2電圧利用率である場合には、前記3相基準指令値に対して前記第2中性点振幅の中性点電位を重畳させるものである請求項1に記載のインバータ制御装置。
【請求項3】
前記3相電圧指令値導出部は、前記2相電圧指令値及び前記電圧利用率と、前記3相電圧指令値とが対応付けて設定されたマップデータを有し、当該マップデータを参照することによって、前記2相電圧指令値及び前記電圧利用率に対応した前記3相電圧指令値を導出するものであり、
前記3相電圧指令値は、前記2相電圧指令値を2相/3相変換することによって得られる3相基準指令値に対して前記電圧利用率に対応する中性点振幅を有する中性点電位を重畳させた値である請求項1に記載のインバータ制御装置。
【請求項4】
前記3相電圧指令値導出部は、前記電圧利用率が小さくなるに従って前記中性点電位の振幅を大きく変化させる請求項1~3のうちいずれか一項に記載のインバータ制御装置。
【請求項5】
前記3相電圧指令値導出部は、前記電圧利用率が前記第1電圧利用率である場合に、前記第1の3相電圧指令値が前記電源電圧を超えないように前記第1中性点振幅を調整する請求項1~4のうちいずれか一項に記載のインバータ制御装置。
【請求項6】
前記車載用電動モータと、
前記インバータ回路と、
請求項1~5のうちいずれか一項に記載のインバータ制御装置と、
を備えていることを特徴とする車載用流体機械。
【請求項7】
前記車載用流体機械は、前記車載用電動モータによって駆動する圧縮部を備えた車載用電動圧縮機である請求項6に記載の車載用流体機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ制御装置及び車載用流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示すように、車載用蓄電装置を用いて車載用電動モータを駆動させるインバータ回路の制御に用いられるインバータ制御装置が知られている。特許文献1には、車載用電動モータは自動車のエアコン用モータとして使用されるものであって3相コイルを有している点、及び、インバータ回路が3相スイッチング素子を有する点が記載されている。また、特許文献1には、励磁成分電圧及びトルク成分電圧からなる2相電圧指令値に基づいて3相電圧指令値としての駆動電圧を算出する点について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-208187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、2相電圧指令値と車載用蓄電装置の電圧とに基づいて算出される電圧利用率が低い状況下では、3相電圧指令値の変化範囲が狭くなり易い。この場合、3相電圧指令値は特定の値又はそれに近い値に偏り易いため、スイッチング素子では、特定のデューティ比又はそれに近いデューティ比でスイッチングが行われる頻度が高くなり易い。このため、スイッチング素子のスイッチングに起因するノイズが、上記特定のデューティ比に対応する周波数である特定周波数に集中し易くなり、局所的に特定周波数のノイズが大きくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は3相電圧指令値の変化範囲が狭くなることに起因して局所的に特定周波数のノイズが大きくなることを抑制できるインバータ制御装置及びそのインバータ制御装置を備えた車載用流体機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するインバータ制御装置は、車載用蓄電装置を用いて車載用電動モータを駆動させるインバータ回路の制御に用いられるものであって、前記車載用電動モータは、3相コイルを有し、前記インバータ回路は、3相スイッチング素子を有し、前記インバータ制御装置は、前記車載用電動モータの回転速度を把握する速度把握部と、前記車載用蓄電装置の電圧である電源電圧を把握する電圧把握部と、外部から送信される外部指令値と前記速度把握部の把握結果とに基づいて、前記車載用電動モータのd軸及びq軸に印加する電圧の目標値である2相電圧指令値を導出する2相電圧指令値導出部と、前記2相電圧指令値に基づいて、前記3相コイルに印加する3相電圧指令値を導出する3相電圧指令値導出部と、を備え、前記3相電圧指令値に基づいて、前記3相スイッチング素子をPWM制御するものであり、前記3相電圧指令値導出部は、前記2相電圧指令値と前記電圧把握部の把握結果とに基づいて算出される電圧利用率が第1電圧利用率である場合には、前記3相電圧指令値の中性点電位を第1中性点振幅で変化させることによって得られる第1の3相電圧指令値を導出し、前記電圧利用率が前記第1電圧利用率よりも小さい第2電圧利用率である場合には、前記中性点電位を前記第1中性点振幅よりも大きい第2中性点振幅で変化させることによって得られる第2の3相電圧指令値を導出することを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、電圧利用率が第1電圧利用率よりも小さい第2電圧利用率である場合には、第1電圧利用率に対応する第1中性点振幅よりも大きい第2中性点振幅で中性点電位が変化することにより、少なくとも第2中性点振幅以上の変化範囲を有する第2の3相電圧指令値が得られる。これにより、第2の3相電圧指令値の変化範囲が狭くなることを抑制できる。したがって、3相電圧指令値の変化範囲が狭くなることに起因して局所的に特定周波数のノイズが大きくなることを抑制できる。
【0008】
特に、通常、電圧利用率が小さくなると、3相電圧指令値の変化範囲は小さくなり易い。このため、電圧利用率が第2電圧利用率である場合には、3相電圧指令値の変化範囲は狭くなり易い。
【0009】
この点、本構成によれば、電圧利用率が第2電圧利用率である場合には、相対的に大きい第2中性点振幅で中性点電位を変化させることにより、電圧利用率が第2電圧利用率である場合であっても3相電圧指令値の変化範囲が狭くなることを抑制できる。これにより、局所的に特定周波数のノイズが大きくなることを抑制できる。
【0010】
また、電圧利用率が第1電圧利用率である場合に導出される第1の3相電圧指令値は、中性点電位が第2中性点振幅よりも小さい第1中性点振幅で変化することによって得られるものである。これにより、第1の3相電圧指令値の変化範囲が過度に広がることを抑制できる。
【0011】
上記インバータ制御装置について、前記3相電圧指令値導出部は、前記2相電圧指令値に基づいて、基準振幅を有する3相基準指令値を生成する基準生成部と、前記3相基準指令値に対して前記中性点電位を重畳させることによって前記3相電圧指令値を導出する重畳部と、を備え、前記重畳部は、前記電圧利用率が前記第1電圧利用率である場合には、前記3相基準指令値に対して前記第1中性点振幅の中性点電位を重畳させ、前記電圧利用率が前記第2電圧利用率である場合には、前記3相基準指令値に対して前記第2中性点振幅の中性点電位を重畳させるものであるとよい。
【0012】
かかる構成によれば、3相基準指令値に対して中性点電位を重畳させることによって3相電圧指令値が導出される。この場合、3相コイルに印加される線間電圧を変更することなく、3相電圧指令値の変化範囲を中性点電位の振幅に対応する分だけ広くすることができる。そして、電圧利用率が第1電圧利用率である場合には第1中性点振幅の中性点電位が重畳され、電圧利用率が第2電圧利用率である場合には、第1中性点振幅よりも大きい第2中性点振幅の中性点電位が重畳される。これにより、車載用電動モータの挙動に影響を与えることなく、上述した効果を奏する。
【0013】
上記インバータ制御装置について、前記3相電圧指令値導出部は、前記2相電圧指令値及び前記電圧利用率と、前記3相電圧指令値とが対応付けて設定されたマップデータを有し、当該マップデータを参照することによって、前記2相電圧指令値及び前記電圧利用率に対応した前記3相電圧指令値を導出するものであり、前記3相電圧指令値は、前記2相電圧指令値を2相/3相変換することによって得られる3相基準指令値に対して前記電圧利用率に対応する中性点振幅を有する中性点電位を重畳させた値であるとよい。
【0014】
かかる構成によれば、マップデータに、今回導出された2相電圧指令値及び電圧利用率に対応する3相電圧指令値が予め設定されているため、2相/3相変換、中性点振幅の導出、及び中性点電位を重畳させるための演算を行う必要がない。これにより、3相電圧指令値の導出に係る処理負荷の軽減を図ることができる。
【0015】
上記インバータ制御装置について、前記3相電圧指令値導出部は、前記電圧利用率が小さくなるに従って前記中性点電位の振幅を大きく変化させるとよい。
かかる構成によれば、電圧利用率が小さくなるに従って中性点振幅が大きくなる。これにより、電圧利用率が小さくなるに従って3相電圧指令値の変化範囲が狭くなることを抑制できる。
【0016】
上記インバータ制御装置について、前記3相電圧指令値導出部は、前記電圧利用率が前記第1電圧利用率である場合に、前記第1の3相電圧指令値が前記電源電圧を超えないように前記第1中性点振幅を調整するとよい。
【0017】
かかる構成によれば、中性点電位を変化させることに起因して第1の3相電圧指令値が電源電圧に維持されてしまうことを抑制できる。
上記目的を達成する車載用流体機械は、前記車載用電動モータと、前記インバータ回路と、上述したインバータ制御装置と、を備えていることを特徴とする。
【0018】
前記車載用流体機械は、前記車載用電動モータによって駆動する圧縮部を備えた車載用電動圧縮機であるとよい。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、3相電圧指令値の変化範囲が狭くなることに起因して局所的に特定周波数のノイズが大きくなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】車載用電動圧縮機の概要を示すブロック図。
図2】インバータ回路及びインバータ制御装置の電気的構成を示すブロック図。
図3】回転制御処理を示すフローチャート。
図4】電圧利用率が第2電圧利用率である条件下において中性点電位を変化させない場合の3相電圧指令値を示すグラフ。
図5】電圧利用率が第2電圧利用率である条件下において中性点電位を第2中性点振幅で変化させた場合の3相電圧指令値を示すグラフ。
図6】電圧利用率が第1電圧利用率である条件下において中性点電位を第1中性点振幅で変化させた場合の3相電圧指令値を示すグラフ。
図7】別例のインバータ制御装置の電気的構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、インバータ制御装置、当該インバータ制御装置が搭載された車載用流体機械の一実施形態について説明する。本実施形態では、車載用流体機械は車載用電動圧縮機であり、当該車載用電動圧縮機は車載用空調装置に用いられる。
【0022】
車載用空調装置及び車載用電動圧縮機の概要について説明する。
図1に示すように、車両100に搭載されている車載用空調装置101は、車載用電動圧縮機10と、車載用電動圧縮機10に対して流体としての冷媒を供給する外部冷媒回路102とを備えている。
【0023】
外部冷媒回路102は、例えば熱交換器及び膨張弁等を有している。車載用空調装置101は、車載用電動圧縮機10によって冷媒が圧縮され、且つ、外部冷媒回路102によって冷媒の熱交換及び膨張が行われることによって、車内の冷暖房を行う。
【0024】
車載用空調装置101は、当該車載用空調装置101の全体を制御する空調ECU103を備えている。空調ECU103は、車内温度やカーエアコンの設定温度等を把握可能に構成されており、これらのパラメータに基づいて、車載用電動圧縮機10に対して指令回転速度Ncなどの各種指令を送信する。
【0025】
車両100は、車載用蓄電装置104を備えている。車載用蓄電装置104は、直流電力の充放電が可能なものであれば任意であり、例えば二次電池や電気二重層キャパシタ等である。車載用蓄電装置104は、車載用電動圧縮機10の直流電源として用いられる。
【0026】
車載用電動圧縮機10は、車載用電動モータ11と、車載用電動モータ11によって駆動する圧縮部12と、車載用蓄電装置104を用いて車載用電動モータ11を駆動させるインバータ回路13と、インバータ回路13の制御に用いられるインバータ制御装置14とを備えている。
【0027】
車載用電動モータ11は、回転軸21と、回転軸21に固定されたロータ22と、ロータ22に対して対向配置されているステータ23と、ステータ23に捲回された3相コイル24u,24v,24wとを有している。ロータ22は永久磁石22aを含んでいる。詳細には、永久磁石22aはロータ22内に埋め込まれている。図2に示すように、3相コイル24u,24v,24wは例えばY結線されている。ロータ22及び回転軸21は、3相コイル24u,24v,24wが所定のパターンで通電されることにより回転する。すなわち、本実施形態の車載用電動モータ11は、3相モータである。
【0028】
なお、3相コイル24u,24v,24wの結線態様は、Y結線に限られず任意であり、例えばデルタ結線でもよい。また、車載用電動モータ11の回転速度及び加速度とは、ロータ22の回転速度及び加速度を意味する。
【0029】
圧縮部12は、車載用電動モータ11が駆動することによって流体(本実施形態では冷媒)を圧縮するものである。詳細には、圧縮部12は、回転軸21が回転することによって、外部冷媒回路102から供給された吸入冷媒を圧縮し、その圧縮された冷媒を吐出する。圧縮部12の具体的な構成は、スクロールタイプ、ピストンタイプ、ベーンタイプ等任意である。
【0030】
インバータ回路13は、車載用蓄電装置104から入力される直流電力を交流電力に変換することにより、車載用蓄電装置104を用いて車載用電動モータ11を駆動させるものである。
【0031】
図2に示すように、インバータ回路13は、3相スイッチング素子Qu1~Qw2を有している。詳細には、インバータ回路13は、u相コイル24uに対応するu相スイッチング素子Qu1,Qu2と、v相コイル24vに対応するv相スイッチング素子Qv1,Qv2と、w相コイル24wに対応するw相スイッチング素子Qw1,Qw2と、を備えている。
【0032】
3相スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2(以下、「3相スイッチング素子Qu1~Qw2」という。)は、例えばIGBT等のパワースイッチング素子である。但し、3相スイッチング素子Qu1~Qw2は、IGBTに限られず、任意であり、例えばMOSFETでもよい。なお、3相スイッチング素子Qu1~Qw2は、還流ダイオード(ボディダイオード)Du1~Dw2を有している。
【0033】
各u相スイッチング素子Qu1,Qu2は接続線を介して互いに直列に接続されており、その接続線はu相コイル24uに接続されている。u相スイッチング素子Qu1のコレクタは、車載用蓄電装置104の高圧側である正極端子(+端子)に接続されている。u相スイッチング素子Qu2のエミッタは、車載用蓄電装置104の低圧側である負極端子(-端子)に接続されている。
【0034】
なお、他のスイッチング素子Qv1,Qv2,Qw1,Qw2の接続態様は、対応するコイルが異なる点を除いて、u相スイッチング素子Qu1,Qu2と同様である。
インバータ制御装置14は、CPU及びメモリ等といった電子部品を有するコントローラである。インバータ制御装置14は、インバータ回路13、詳細には3相スイッチング素子Qu1~Qw2を制御することにより、車載用電動モータ11を駆動させる。
【0035】
インバータ制御装置14は、車載用蓄電装置104の電圧である電源電圧Vinを把握する電圧把握部として電圧センサ31を備えている。電圧センサ31は、インバータ回路13の入力電圧を検出することにより、電源電圧Vinを把握する。
【0036】
インバータ制御装置14は、車載用電動モータ11に流れるモータ電流を検出する電流センサ32を備えている。本実施形態におけるモータ電流とは、例えば3相コイル24u,24v,24wに流れる3相電流Iu,Iv,Iwである。
【0037】
図2に示すように、インバータ制御装置14は、電流センサ32によって検出された3相電流Iu,Iv,Iwを互いに直交したd軸電流Id及びq軸電流Iq(以下、「2相電流Id,Iq」という。)に変換する3相/2相変換回路33を有している。
【0038】
ちなみに、d軸電流Idとは、ロータ22の磁束軸方向成分の電流、すなわち励磁成分電流ともいえ、q軸電流Iqとは、車載用電動モータ11のトルクに寄与するトルク成分電流ともいえる。
【0039】
インバータ制御装置14は、ロータ22の回転位置及び回転速度を推定する位置/速度推定部(位置推定部)34を備えている。位置/速度推定部34は、例えば2相電流Id,Iqと2相電圧指令値Vdr,Vqrの少なくとも一方とに基づいて、ロータ22の回転位置及び実際の回転速度である実回転速度Nrを推定する。指令回転速度Nc及び実回転速度Nrの単位は任意であるが、例えばrpmが考えられる。
【0040】
位置/速度推定部34の具体的な構成は任意である。例えば位置/速度推定部34は、2相電流Id,Iqと、d軸電圧指令値Vdrとモータ定数等とに基づいて3相コイル24u,24v,24wにて誘起される誘起電圧を算出する誘起電圧算出部を有してもよい。この場合、位置/速度推定部34は、誘起電圧と、2相電流Id,Iqのうちのd軸電流Id等とに基づいて、ロータ22の回転位置及び実回転速度Nrを推定してもよい。
【0041】
位置/速度推定部34は、電流センサ32の検出結果を定期的に把握しており、定期的にロータ22の回転位置及び実回転速度Nrを推定している。これにより、位置/速度推定部34は、ロータ22の回転位置及び実回転速度Nrの変化に追従している。本実施形態では、位置/速度推定部34が車載用電動モータ11の回転速度を把握する「速度把握部」に対応する。
【0042】
インバータ制御装置14は、外部としての空調ECU103から送信される外部指令値を取得する取得部35と、取得部35によって取得される外部指令値と実回転速度Nrとに基づいて車載用電動モータ11の回転制御を行う回転制御部(回転制御回路)36と、を備えている。
【0043】
取得部35は、例えば空調ECU103とインバータ制御装置14とを電気的に接続するためのコネクタなどである。取得部35によって空調ECU103とインバータ制御装置14とが電気的に接続され、情報のやり取りが可能となる。なお、取得部35は、指令回転速度Ncなどの各種指令が入力される入力部ともいえる。
【0044】
外部指令値とは、例えば指令回転速度Ncである。詳細には、空調ECU103は、車載用空調装置101の運転状況などから、必要な冷媒の流量を算出し、その流量を実現できる指令回転速度Ncを算出し、指令回転速度Ncをインバータ制御装置14に向けて送信する。
【0045】
なお、外部指令値は、指令回転速度Ncに限られず、車載用電動モータ11の駆動態様を規定することができれば、その具体的な指令内容は任意である。また、外部指令値の出力主体は、空調ECU103に限られず任意である。
【0046】
回転制御部36は、取得部35と電気的に接続されている。回転制御部36は、取得部35を介して空調ECU103と電気的に接続されており、取得部35によって取得された指令回転速度Ncは回転制御部36に入力される。つまり、回転制御部36は、取得部35を介して空調ECU103からの外部指令値を受信する。
【0047】
回転制御部36は、電圧センサ31と電気的に接続されており、電源電圧Vinを把握可能となっている。
回転制御部36は、位置/速度推定部34と電気的に接続されている。これにより、回転制御部36は、位置/速度推定部34によって推定されたロータ22の回転位置及び実回転速度Nrを把握可能となっているとともに、位置/速度推定部34に対して推定に必要なパラメータを送信可能となっている。
【0048】
また、3相/2相変換回路33は、2相電流Id,Iqを、位置/速度推定部34と回転制御部36との双方に出力する。このため、回転制御部36は、2相電流Id,Iqを把握することができる。
【0049】
回転制御部36は、インバータ回路13の3相スイッチング素子Qu1~Qw2をPWM制御することにより、車載用電動モータ11(詳細にはロータ22)の回転を制御する回転制御処理を行う。
【0050】
回転制御部36の具体的なハード構成は任意である。例えば、回転制御部36は、回転制御処理を行うプログラムや必要な情報が記憶されたメモリと、上記プログラムに基づいて回転制御処理を実行するCPUとを有する構成でもよい。
【0051】
また、回転制御部36は、回転制御処理の一部又は全部を実行する1又は複数の専用ハードウェア回路を有する構成でもよいし、1又は複数の専用ハードウェア回路とソフトウェア処理を実行するCPUとの組み合わせでもよい。換言すれば、回転制御部36は、例えば1つ以上の専用のハードウェア回路、及び、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ(制御回路)の少なくとも一方によって実現されていればよい。
【0052】
ここで、説明の便宜上、回転制御部36によって実現される回転制御処理を図3に示すフローチャート形式で説明する。
図3に示すように、回転制御部36は、まずステップS101にて、取得部35によって取得される外部指令値(本実施形態では指令回転速度Nc)と、位置/速度推定部34によって把握(本実施形態では推定)された実回転速度Nrとに基づいて、2相電流指令値Idr,Iqrを導出する。2相電流指令値Idr,Iqrとは、d軸電流Idの目標値であるd軸電流指令値Idrと、q軸電流Iqの目標値であるq軸電流指令値Iqrとである。
【0053】
その後、回転制御部36は、ステップS102にて、2相電流指令値Idr,Iqrと3相/2相変換回路33によって得られた2相電流Id,Iqとに基づいて、2相電圧指令値Vdr,Vqrを導出する。2相電圧指令値Vdr,Vqrは、d軸電圧指令値Vdrとq軸電圧指令値Vqrとから構成されている。d軸電圧指令値Vdrは、車載用電動モータ11のd軸に印加する電圧の目標値であり、q軸電圧指令値Vqrは、車載用電動モータ11のq軸に印加する電圧の目標値である。
【0054】
ちなみに、回転制御部36は、2相電圧指令値Vdr,Vqrを位置/速度推定部34に出力する。位置/速度推定部34は、2相電圧指令値Vdr,Vqrの少なくとも一方をロータ22の位置及び実回転速度Nrの推定に用いる。
【0055】
回転制御部36は、ステップS103~S106にて、2相電圧指令値Vdr,Vqrに基づいて3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrを導出する処理を実行する。
3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrは、u相電圧指令値Vur、v相電圧指令値Vvr及びw相電圧指令値Vwrで構成されている。u相電圧指令値Vurは、u相コイル24uの印加電圧の目標値であり、v相電圧指令値Vvrは、v相コイル24vの印加電圧の目標値であり、w相電圧指令値Vwrは、w相コイル24wの印加電圧の目標値である。
【0056】
詳細には、回転制御部36は、ステップS103にて、2相電圧指令値Vdr,Vqrに基づいて3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0を導出する。例えば、回転制御部36は、2相電圧指令値Vdr,Vqrを2相/3相変換することによって3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0を導出する。
【0057】
3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0は、電気角に応じて変化するものであり、例えば電気角の0°~360°を1周期とした基準振幅f0を有する波形となっている。3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0の位相は互いに異なっており、例えば互いに120°ずれている。3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0の波形は、正弦波、三角波、矩形波、又は、それらの波形の変形したものなど、任意である。
【0058】
また、回転制御部36は、ステップS103とは別に、ステップS104にて、2相電圧指令値Vdr,Vqrと電源電圧Vinとに基づいて、電圧利用率Rを算出する。電圧利用率Rは、2相電圧指令値Vdr,Vqrを車載用電動モータ11に印加するために必要な電源電圧Vinの利用率である。例えば、電圧利用率Rは、電源電圧Vinに対する2相電圧指令値Vdr,Vqrの実効値の比率、又は当該比率に所定の補正パラメータを加算又は乗算したパラメータである。
【0059】
なお、2相電圧指令値Vdr,Vqrに応じて3相コイル24u,24w,24wの線間電圧が変化することに着目すれば、電圧利用率Rは、電源電圧Vinに対する3相コイル24u,24w,24wの線間電圧の実効値の比率ともいえる。換言すれば、電圧利用率Rは、3相コイル24u,24w,24wの線間電圧が2相電圧指令値Vdr,Vqrに対応した値となるために電源電圧Vinの利用率を示すパラメータともいえる。
【0060】
ちなみに、ステップS103にて導出される3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0の振幅である基準振幅f0は、電圧利用率Rが小さくなるに従って小さくなる。例えば、電圧利用率Rが第1電圧利用率R1である場合の基準振幅f0と、電圧利用率Rが第1電圧利用率R1よりも小さい第2電圧利用率R2である場合の基準振幅f0とを比較すると、第2電圧利用率R2である場合の基準振幅f0は、第1電圧利用率R1である場合の基準振幅f0よりも小さい。そして、基準振幅f0が小さくなると、3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0の変化範囲(詳細には最小値から最大値までの範囲)が狭くなり易い。このため、電圧利用率Rが第2電圧利用率R2である場合の方が、電圧利用率Rが第1電圧利用率R1である場合と比較して、3相スイッチング素子Qu1~Qw2のON/OFFのデューティ比が特定の値に偏り易くなる。
【0061】
回転制御部36は、電圧利用率Rを算出した後は、ステップS105にて、電圧利用率Rに基づいて、変化させる中性点電位Enの振幅である中性点振幅fnを導出する。中性点電位Enとは、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrの中性点の電位である。
【0062】
ここで、回転制御部36は、電圧利用率Rに応じて中性点振幅fnを可変させる。詳細には、回転制御部36は、電圧利用率Rが第1電圧利用率R1である場合には、中性点振幅fnとして第1中性点振幅fn1を導出し、電圧利用率Rが第1電圧利用率R1よりも小さい第2電圧利用率R2である場合には、中性点振幅fnとして第1中性点振幅fn1よりも大きい第2中性点振幅fn2を導出する。本実施形態では、回転制御部36は、電圧利用率Rが小さくなるに従って中性点振幅fnを大きくする。
【0063】
なお、中性点振幅fnを決定するための具体的な態様は任意であり、例えば所定の計算式で電圧利用率Rに対応する中性点振幅fnを導出する構成でもよい。また、電圧利用率Rと中性点振幅fnとが対応付けられて設定されたマップデータをメモリに記憶させておき、回転制御部36は当該マップデータを参照することによって今回算出された電圧利用率Rに対応する中性点振幅fnを導出してもよい。
【0064】
回転制御部36は、3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0と中性点振幅fnとを導出した後は、ステップS106にて、中性点電位Enを中性点振幅fnで変化させることによって得られる3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrを導出する。
【0065】
詳細には、回転制御部36は、3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0に対して中性点振幅fnの中性点電位Enを重畳させることにより3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrを導出する。すなわち、回転制御部36は、電気角に応じて変化する3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0に対して、電気角に応じて中性点振幅fnで中性点電位Enを変化させながら加算(又は減算)することによって3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrを導出する。換言すれば、回転制御部36は、3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0の波形に対して中性点振幅fnの中性点電位Enの波形を重ね合わせることにより3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrを導出するともいえる。なお、重畳させる中性点電位Enの周期は、例えば120°である。
【0066】
詳細には、回転制御部36は、電圧利用率Rが第1電圧利用率R1である場合には、第1電圧利用率R1に対応する3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0に対して第1中性点振幅fn1の中性点電位Enを重畳させることによって第1の3相電圧指令値Vur1,Vvr1,Vwr1を導出する。
【0067】
また、回転制御部36は、電圧利用率Rが第2電圧利用率R2である場合には、第2電圧利用率R2に対応する3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0に対して第2中性点振幅fn2の中性点電位Enを重畳させることによって第2の3相電圧指令値Vur2,Vvr2,Vwr2を導出する。
【0068】
既に説明したとおり、第2中性点振幅fn2は第1中性点振幅fn1よりも大きい。このため、電圧利用率Rが第2電圧利用率R2になることによって基準振幅f0が小さくなった場合であっても、第2の3相電圧指令値Vur2,Vvr2,Vwr2の変化範囲が狭くなりにくい。
【0069】
本実施形態では、回転制御部36は、電圧利用率Rに関わらず、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrの変化範囲が一定となるように、電圧利用率Rに応じて変化する基準振幅f0に対応させて中性点振幅fnを導出している。
【0070】
ちなみに、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrの変化範囲は、電圧利用率Rに関わらず、予め定められた閾値以上となっていてもよい。例えば、電源電圧Vinに対する3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrの最小値の比率を最小比率とし、電源電圧Vinに対する3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrの最大値の比率を最大比率とした場合、最小比率から最大比率までの範囲は、閾値範囲以上となっていてもよい。換言すれば、回転制御部36は、最小比率から最大比率までの範囲が閾値範囲以上となるように、電圧利用率Rに対応させて中性点振幅fnを導出し、当該中性点振幅fnだけ中性点電位Enを変化させているともいえる。
【0071】
ちなみに、本実施形態では、回転制御部36は、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrが電源電圧Vinを超えないように中性点振幅fnを調整している。例えば、回転制御部36は、電圧利用率Rが第1電圧利用率R1である場合、3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0と第1中性点振幅fn1の中性点電位Enとを加算(又は減算)した値が0Vから電源電圧Vinまでの範囲内に収まるように第1中性点振幅fn1を導出する。これにより、第1の3相電圧指令値Vur1,Vvr1,Vwr1が電源電圧Vinに維持されることが回避される。
【0072】
また、第2中性点振幅fn2は、第2電圧利用率R2に対応する基準振幅f0よりも大きくてもよい。すなわち、回転制御部36は、基準振幅f0よりも大きい振幅の中性点電位Enを重畳させてもよい。一方、第1中性点振幅fn1は、第1電圧利用率R1に対応する基準振幅f0よりも小さくてよい。すなわち、回転制御部36は、基準振幅f0よりも大きい振幅の中性点電位Enを重畳させてもよい。
【0073】
換言すれば、回転制御部36は、電圧利用率Rに応じて、基準振幅f0よりも大きい振幅で中性点電位Enを変化させることによって3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrを導出する制御と、基準振幅f0よりも小さい振幅で中性点電位Enを変化させることによって3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrを導出する制御と、に切り替えている。
【0074】
回転制御部36は、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrを導出した後は、ステップS107にて、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrとキャリア信号とに基づいて、3相スイッチング素子Qu1~Qw2のスイッチングパターン(詳細にはデューティ比)が設定されたPWM信号を生成する。そして、回転制御部36は、ステップS108にて、生成されたPWM信号を用いて3相スイッチング素子Qu1~Qw2のスイッチング制御を行う。
【0075】
本実施形態では、ステップS101,S102の処理を実行する回転制御部36が「2相電圧指令値導出部」に対応する。そして、ステップS103~S106の処理を実行する回転制御部36が「3相電圧指令値導出部」に対応し、特にステップS103の処理を実行する回転制御部36が「基準生成部」に対応し、ステップS106の処理を実行する回転制御部36が「重畳部」に対応する。
【0076】
なお、説明の便宜上、フローチャート形式で説明したが、ステップS103~S106の処理の順序は任意に変更可能である。例えば、回転制御部36は、ステップS103の処理を実行した後に、ステップS104及びステップS105の処理を実行し、その後ステップS106の処理を実行してもよい。また、回転制御部36は、ステップS104及びステップS105の処理を実行した後にステップS103の処理を実行してもよい。つまり、ステップS103の処理と、ステップS104,S105の処理とは並列に行われる必要はない。また、上述したとおり、ステップS103~S106の処理のうち一部又は全部を専用のハードウェア回路が実行する構成でもよい。
【0077】
次に図4図6を用いて本実施形態の作用について説明する。図4は、比較例として示すグラフであり、詳細には電圧利用率Rが第2電圧利用率R2である条件下において中性点電位Enを変化させない場合の3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrのグラフである。一方、図5は、電圧利用率Rが第2電圧利用率R2である条件下において中性点電位Enを第2中性点振幅fn2で変化させた場合の3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrのグラフである。図6は、電圧利用率Rが第1電圧利用率R1である条件下において中性点電位Enを第1中性点振幅fn1で変化させた場合の3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrのグラフである。
【0078】
図4に示すように、電圧利用率Rが第2電圧利用率R2である条件下で中性点電位Enが変化しない場合には、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrは3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0のままである。このため、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrは、3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0の変化範囲である基準範囲Vy0内で変化する。この場合、第2電圧利用率R2が小さいことに対応して基準範囲Vy0が狭いと、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrの変化量が小さくなる。かかる状況においては、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrが特定の値又はそれに近い値に偏り易いため、3相スイッチング素子Qu1~Qw2が特定のデューティ比又はそれに近いデューティ比で周期的にON/OFFされることとなる。したがって、特定のデューティ比に対応する特定周波数のノイズが局所的に発生し易くなる。
【0079】
これに対して、図5に示すように、第2電圧利用率R2である状況下において中性点電位Enが第2中性点振幅fn2で変化することによって導出された第2の3相電圧指令値Vur2,Vvr2,Vwr2は、3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0よりも大きく変化している。詳細には、第2の3相電圧指令値Vur2,Vvr2,Vwr2の変化範囲を第2変化範囲Vy2とすると、第2変化範囲Vy2は基準範囲Vy0よりも広くなる。これにより、電気角の変化に対する第2の3相電圧指令値Vur2,Vvr2,Vwr2の変化量が大きくなり易いため、3相スイッチング素子Qu1~Qw2のデューティ比は変わり易くなる。したがって、3相スイッチング素子Qu1~Qw2が特定のデューティ比又はそれに近いデューティ比で周期的にON/OFFされる事態が生じにくくなる。
【0080】
特に、本実施形態では、第2中性点振幅fn2は基準振幅f0よりも大きく設定されている。これにより、第2の3相電圧指令値Vur2,Vvr2,Vwr2は、中性点電位Enが支配的な波形となっている。したがって、基準振幅f0が小さい場合であっても第2変化範囲Vy2は広くなっている。
【0081】
なお、念の為に説明すると、中性点電位Enが重畳された場合であっても、3相コイル24u,24w,24wに印加される線間電圧は変化しない。したがって、車載用電動モータ11には、3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0と同等のトルクが付与される。
【0082】
また、図6に示すように、電圧利用率Rが第1電圧利用率R1である場合には、第2中性点振幅fn2よりも小さい第1中性点振幅fn1の中性点電位Enが重畳される。これにより、第1の3相電圧指令値Vur1,Vvr1,Vwr1の変化範囲である第1変化範囲Vy1が車載用蓄電装置104の出力可能な電圧範囲に収まっている。すなわち、第1の3相電圧指令値Vur1,Vvr1,Vwr1が電源電圧Vinを超えることが抑制されている。換言すれば、電圧利用率Rが比較的高い状況下ではそれに対応させて中性点振幅fnが小さくなることによって、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrが最大値に維持される期間又は最小値に維持される期間が短くなっているともいえる。
【0083】
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)インバータ制御装置14は、車載用蓄電装置104を用いて車載用電動モータ11を駆動させるインバータ回路13の制御に用いられるものである。車載用電動モータ11は3相コイル24u,24v,24wを有し、インバータ回路13は3相スイッチング素子Qu1~Qw2を有している。
【0084】
インバータ制御装置14は、車載用電動モータ11の回転速度である実回転速度Nrを把握する位置/速度推定部34と、車載用蓄電装置104の電圧である電源電圧Vinを把握する電圧センサ31と、回転制御部36と、を備えている。回転制御部36は、外部から送信される外部指令値と実回転速度Nrとに基づいて、車載用電動モータ11のd軸及びq軸に印加する電圧の目標値である2相電圧指令値Vdr,Vqrを導出する処理と、2相電圧指令値Vdr,Vqrに基づいて3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrを導出する処理と、を行う。そして、回転制御部36は、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrに基づいて3相スイッチング素子Qu1~Qw2をPWM制御する。
【0085】
かかる構成において、回転制御部36は、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrを導出する処理にて、2相電圧指令値Vdr,Vqrと電源電圧Vinとに基づいて算出される電圧利用率Rに応じて3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrを変更する。
【0086】
詳細には、回転制御部36は、電圧利用率Rが第1電圧利用率R1である場合には、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrの中性点電位Enを第1中性点振幅fn1で変化させることによって得られる第1の3相電圧指令値Vur1,Vvr1,Vwr1を導出する。また、回転制御部36は、電圧利用率Rが第1電圧利用率R1よりも小さい第2電圧利用率R2である場合には、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrの中性点電位Enを第2中性点振幅fn2で変化させることによって得られる第2の3相電圧指令値Vur2,Vvr2,Vwr2を導出する。第2中性点振幅fn2は第1中性点振幅fn1よりも大きい。
【0087】
かかる構成によれば、電圧利用率Rが第1電圧利用率R1よりも小さい第2電圧利用率R2である場合には、第1電圧利用率R1に対応する第1中性点振幅fn1よりも大きい第2中性点振幅fn2で中性点電位Enが変化する。これにより、少なくとも第2中性点振幅fn2以上の変化範囲を有する第2の3相電圧指令値Vur2,Vvr2,Vwr2が得られる。したがって、第2の3相電圧指令値Vur2,Vvr2,Vwr2の変化範囲(第2変化範囲Vy2)が狭くなることを抑制できる。よって、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrの変化範囲が狭くなることに起因して特定周波数のノイズが大きくなることを抑制できる。
【0088】
特に、通常、電圧利用率Rが小さくなると、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrの変化範囲は狭くなり易い。このため、電圧利用率Rが第2電圧利用率R2である場合には、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrの変化範囲は狭くなり易い。
【0089】
この点、本構成によれば、電圧利用率Rが第2電圧利用率R2である場合には、相対的に大きい第2中性点振幅fn2で中性点電位Enを変化させることにより、電圧利用率Rが第2電圧利用率R2である場合であっても3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrの変化範囲が狭くなることを抑制できる。これにより、特定周波数のノイズが大きくなることを抑制できる。
【0090】
また、電圧利用率Rが第1電圧利用率R1である場合に導出される第1の3相電圧指令値Vur1,Vvr1,Vwr1は、中性点電位Enが第2中性点振幅fn2よりも小さい第1中性点振幅fn1で変化することによって得られるものである。これにより、第1の3相電圧指令値Vur1,Vvr1,Vwr1の変化範囲(第1変化範囲Vy1)が過度に広がることを抑制できる。
【0091】
(2)回転制御部36は、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrを導出する処理において、2相電圧指令値Vdr,Vqrに基づいて、基準振幅f0を有する3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0を生成するステップS103の処理を行う。そして、回転制御部36は、3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0に対して中性点電位Enを重畳させることによって3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrを導出するステップS106の処理を行う。
【0092】
回転制御部36は、ステップS106では、電圧利用率Rが第1電圧利用率R1である場合には、3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0に対して第1中性点振幅fn1の中性点電位Enを重畳させる。また、回転制御部36は、電圧利用率Rが第2電圧利用率R2である場合には、3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0に対して第2中性点振幅fn2の中性点電位Enを重畳させる。
【0093】
かかる構成によれば、3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0に対して中性点電位Enを重畳させることによって3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrが導出される。この場合、3相コイル24u,24w,24wに印加される線間電圧を変更することなく、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrの変化範囲を中性点振幅fnに対応する分だけ広くすることができる。そして、電圧利用率Rが第1電圧利用率R1である場合には第1中性点振幅fn1の中性点電位Enが重畳され、電圧利用率Rが第2電圧利用率R2である場合には第2中性点振幅fn2の中性点電位Enが重畳される。これにより、車載用電動モータ11の挙動に影響を与えることなく、上述した効果を奏する。
【0094】
(3)回転制御部36は、2相電圧指令値Vdr,Vqrを2相/3相変換することにより3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0を生成する。そして、回転制御部36は、電圧利用率Rが第1電圧利用率R1である場合には、基準振幅f0よりも小さい第1中性点振幅fn1で中性点電位Enを変化させることによって第1の3相電圧指令値Vur1,Vvr1,Vwr1を導出する。回転制御部36は、電圧利用率Rが第2電圧利用率R2である場合には、基準振幅f0よりも大きい第2中性点振幅fn2で中性点電位Enを変化させることによって第2の3相電圧指令値Vur2,Vvr2,Vwr2を導出する。
【0095】
かかる構成によれば、第2の3相電圧指令値Vur2,Vvr2,Vwr2は、中性点電位Enが支配的な波形となる。これにより、基準振幅f0が小さい場合であっても、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrの変化範囲をある程度確保することができるため、特定周波数のノイズを低減できる。
【0096】
一方、第1の3相電圧指令値Vur1,Vvr1,Vwr1は、3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0が支配的な波形となる。これにより、中性点電位Enが変化することによる影響を抑制でき、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrの変化範囲が過度に広くなることを抑制できる。
【0097】
(4)回転制御部36は、電圧利用率Rが小さくなるに従って中性点振幅fnが大きくなるように変化させて3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrを導出する。
かかる構成によれば、電圧利用率Rが小さくなるに従って中性点振幅fnが大きくなる。これにより、電圧利用率Rが小さくなるに従って3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrの変化範囲が狭くなることを抑制できる。
【0098】
(5)回転制御部36は、電圧利用率Rが第1電圧利用率R1である場合、第1の3相電圧指令値Vur1,Vvr1,Vwr1が電源電圧Vinを超えないように第1中性点振幅fn1を調整している。
【0099】
かかる構成によれば、中性点電位Enを変化させることに起因して第1の3相電圧指令値Vur1,Vvr1,Vwr1が電源電圧Vinに維持されてしまうことを抑制できる。
【0100】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 2相電圧指令値Vdr,Vqr及び電圧利用率Rに基づいて3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrを導出するための具体的な構成は、実施形態に示した構成に限られず、任意である。
【0101】
例えば、図7に示すように、回転制御部36は、2相電圧指令値Vdr,Vqrと電圧利用率Rと3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrとが対応付けられて設定されたマップデータ36aを有してもよい。この場合、回転制御部36は、2相電圧指令値Vdr,Vqrと電圧利用率Rとを導出した後に、マップデータ36aを参照することにより、今回導出された2相電圧指令値Vdr,Vqr及び電圧利用率Rに対応した3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrを導出する構成でもよい。
【0102】
かかる構成においては、マップデータ36aに設定されている3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrは、2相電圧指令値Vdr,Vqrを2相/3相変換することによって得られる3相基準指令値Vu0,Vv0,Vw0に対して、電圧利用率Rに対応した中性点振幅fnが重畳された値である。
【0103】
かかる構成によれば、マップデータ36aに、今回導出された2相電圧指令値Vdr,Vqr及び電圧利用率Rに対応する3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrが予め記憶されているため、2相/3相変換、中性点振幅fnの導出、及び中性点電位Enを重畳させるための演算を行う必要がない。これにより、回転制御部36の処理負荷の軽減を図ることができる。
【0104】
○ 電圧利用率Rが第1電圧利用率R1である場合よりも第2電圧利用率R2である場合の方が、中性点振幅fnが大きくなれば、電圧利用率Rに応じた中性点振幅fnの変化態様は任意である。
【0105】
例えば、中性点振幅fnは、電圧利用率Rが小さくなるに従って徐々に大きくなるようにアナログ的に変化する構成でもよい。一例としては、回転制御部36は、第1電圧利用率R1から第2電圧利用率R2に向かうに従って徐々に中性点振幅fnが大きくなるように中性点振幅fnを導出してもよい。
【0106】
また、中性点振幅fnは、電圧利用率Rに応じてデジタル的に変化する構成でもよい。例えば、第1電圧利用率R1よりも小さく且つ第2電圧利用率R2よりも大きい電圧利用率Rを閾値利用率Rthとする。この場合、回転制御部36は、電圧利用率Rが閾値利用率Rth以上である場合には、第1中性点振幅fn1で中性点電位Enを変化させることによって3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrを導出する。一方、回転制御部36は、電圧利用率Rが閾値利用率Rth未満である場合には、第2中性点振幅fn2で中性点電位Enを変化させることによって3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrを導出する構成でもよい。
【0107】
○ 回転制御部36は、電圧利用率Rが第1電圧利用率R1よりも大きくなった場合には第1中性点振幅fn1よりも小さい中性点振幅fnを導出してもよいし、電圧利用率Rが第2電圧利用率R2よりも小さくなった場合には第2中性点振幅fn2よりも大きい中性点振幅fnを導出してもよい。
【0108】
また、回転制御部36は、電圧利用率Rが第1電圧利用率R1よりも大きくなった場合には第1中性点振幅fn1を導出し、電圧利用率Rが第2電圧利用率R2よりも小さくなった場合には第2中性点振幅fn2を導出してもよい。つまり、第1中性点振幅fn1は、電圧利用率Rに基づき導出される中性点振幅fnの最小値であってもよいし、最小値でなくてもよい。また、第2中性点振幅fn2は、電圧利用率Rに基づき導出される中性点振幅fnの最大値であってもよいし、最大値でなくてもよい。
【0109】
○ 上記実施形態では、回転制御部36は、電圧利用率Rに関わらず、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrの変化範囲が一定となるように、電圧利用率Rに応じて変化する基準振幅f0に対応させて中性点振幅fnを導出していたが、これに限られず、3相電圧指令値Vur,Vvr,Vwrの変化範囲は電圧利用率Rに応じて変動してもよい。
【0110】
○ 回転制御部36は、所定の条件下では中性点電位Enを重畳させない構成でもよい。所定の条件とは、任意であるが、例えば電圧利用率Rが予め定められた閾値以上である場合であってもよいし、変調方式が2相変調方式である場合でもよい。
【0111】
○ 実回転速度Nrを把握するための構成は、位置/速度推定部34に限られず任意であり、専用のセンサ(レゾルバ)を採用してもよい。すなわち、速度把握部は、実回転速度Nrを推定することによって把握する構成に限られず、レゾルバ等といった実際に検出する構成でもよい。
【0112】
○ 取得部35は、空調ECU103から送信される外部指令値を受け取ることができればその具体的な構成は任意である。例えば空調ECU103が無線信号にて指令を送信する構成においては、取得部35は、その無線信号を受信するモジュールでもよい。
【0113】
○ 車載用蓄電装置104の電圧である電源電圧Vinを把握するための構成は、電圧センサ31に限られず任意である。例えば、車載用蓄電装置104に電源電圧Vinを検出する電圧センサ31と電圧センサ31に電気的に接続された電池CPUとが設けられている場合には、回転制御部36は、電池CPUと通信を行うことにより電源電圧Vinを取得する構成でもよい。この場合、電池CPUと通信を行う回転制御部36が「電圧把握部」に対応する。
【0114】
○ 車載用電動圧縮機10は、車載用空調装置101に用いられる構成に限られず、他の装置に用いられるものであってもよい。例えば、車両100が燃料電池車両である場合には、車載用電動圧縮機10は燃料電池に空気を供給する空気供給装置に用いられてもよい。すなわち、圧縮対象の流体は、冷媒に限られず、空気など任意である。
【0115】
○ 車載用流体機械は、流体を圧縮する圧縮部12を備えた車載用電動圧縮機10に限られない。例えば、車両100が燃料電池車両である場合には、車載用流体機械は、燃料電池に水素を供給するポンプと当該ポンプを駆動する車載用電動モータとを有する電動ポンプ装置であってもよい。この場合、インバータ制御装置14は、ポンプを駆動する車載用電動モータを制御するのに用いられてもよい。
【0116】
○ 車載用電動モータ11は、車載用電動圧縮機10に用いられるものに限られず、車両に搭載されるものであれば任意である。例えば、車載用電動モータ11は、車両を走行させる走行用モータであってもよい。
【0117】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる好適な一例について以下に記載する。
(イ)車載用蓄電装置を用いて車載用電動モータを駆動させるインバータ回路の制御に用いられるインバータ制御装置であって、前記車載用電動モータは、3相コイルを有し、前記インバータ回路は、3相スイッチング素子を有し、前記インバータ制御装置は、前記車載用電動モータの回転速度を把握する速度把握部と、前記車載用蓄電装置の電圧である電源電圧を把握する電圧把握部と、外部から送信される外部指令値と前記速度把握部の把握結果とに基づいて、前記車載用電動モータのd軸及びq軸に印加する電圧の目標値である2相電圧指令値を導出する2相電圧指令値導出部と、前記2相電圧指令値に基づいて、前記3相コイルに印加する3相電圧指令値を導出する3相電圧指令値導出部と、を備え、前記3相電圧指令値に基づいて、前記3相スイッチング素子をPWM制御するものであり、前記3相電圧指令値導出部は、前記2相電圧指令値と前記電圧把握部の把握結果とに基づいて算出される電圧利用率に応じて、前記2相電圧指令値を2相/3相変換して得られる3相基準指令値の振幅である基準振幅よりも大きい振幅で中性点電位を変化させることによって前記3相電圧指令値を導出する制御と、前記基準振幅よりも小さい振幅で中性点電位変化させることによって前記3相電圧指令値を導出する制御と、に切り替えることを特徴とするインバータ制御装置。
【符号の説明】
【0118】
10…車載用電動圧縮機(車載用流体機械)、11…車載用電動モータ、12…圧縮部、13…インバータ回路、14…インバータ制御装置、22…ロータ、24u,24v,24w…3相コイル、31…電圧センサ(電圧把握部)、34…位置/速度推定部(速度把握部)、35…取得部、36…回転制御部、36a…マップデータ、104…車載用蓄電装置、Qu1~Qw2…3相スイッチング素子、Vdr,Vqr…2相電圧指令値、Vur,Vvr,Vwr…3相電圧指令値、Vur1,Vvr1,Vwr1…第1の3相電圧指令値、Vur2,Vvr2,Vwr2…第2の3相電圧指令値、Vu0,Vv0,Vw0…3相基準指令値、En…中性点電位、f0…基準振幅、fn…中性点振幅、fn1…第1中性点振幅、fn2…第2中性点振幅、R…電圧利用率、R1…第1電圧利用率、R2…第2電圧利用率。
図1
図2
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図5
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図7